IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

特許7292904オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機
<>
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図1
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図2
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図3
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図4
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図5
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図6
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図7
  • 特許-オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F25B 43/02 20060101AFI20230612BHJP
   F25B 9/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
F25B43/02 A
F25B9/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019040474
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020143836
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】勢村 健太
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-151381(JP,A)
【文献】特開2014-153038(JP,A)
【文献】特開昭58-008525(JP,A)
【文献】特開平09-318120(JP,A)
【文献】特開平11-046990(JP,A)
【文献】実公平07-031099(JP,Y2)
【文献】韓国公開特許第10-2003-0079233(KR,A)
【文献】実開平04-078481(JP,U)
【文献】特開2012-202635(JP,A)
【文献】米国特許第05605748(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00 - 9/14
F25B 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルセパレータ容器と、
前記オイルセパレータ容器の中に配置され、前記オイルセパレータ容器との間に外側空洞を定めるフィルターエレメントであって、冷媒ガスが導入される内側空洞を有し、前記内側空洞から前記外側空洞に流れる前記冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントと、を備え、
前記フィルターエレメントは、
前記内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、
前記外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、前記内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、
前記内側フィルター部材と前記外側フィルター層の間に配置され、前記内側フィルター部材を保持するフィルター保持部材と、
前記外側フィルター層に外側から接触するワイヤ状または帯状のフィルター押さえ部材と、を備えることを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項2】
前記フィルター押さえ部材は、らせん状であることを特徴とする請求項1に記載のオイルセパレータ。
【請求項3】
前記冷媒ガス出口面が、前記外側フィルター層の表面積の少なくとも80%を占めることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルセパレータ。
【請求項4】
前記冷媒ガス出口面が、前記外側フィルター層の表面積の少なくとも95%を占めることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のオイルセパレータ。
【請求項5】
オイルセパレータ容器と、
前記オイルセパレータ容器の中に配置され、前記オイルセパレータ容器との間に外側空洞を定めるフィルターエレメントであって、冷媒ガスが導入される内側空洞を有し、前記内側空洞から前記外側空洞に流れる前記冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントと、を備え、
前記フィルターエレメントは、
前記内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、
前記外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、前記内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、
前記内側フィルター部材と前記外側フィルター層の間に配置され、前記内側フィルター部材を保持するフィルター保持部材と、を備え、
前記冷媒ガス出口面が、前記外側フィルター層の表面積の少なくとも80%を占めることを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項6】
前記外側フィルター層は、不織布または多孔質膜であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオイルセパレータ。
【請求項7】
記フィルター保持部材は、前記内側フィルター部材の最外層を外側から押さえるメッシュ部材であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のオイルセパレータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のオイルセパレータを備えることを特徴とする極低温冷凍機用圧縮機。
【請求項9】
内側空洞から外側空洞に流れる冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントであって、
前記内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、
前記外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、前記内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、
前記内側フィルター部材と前記外側フィルター層の間に配置され、前記内側フィルター部材を保持するフィルター保持部材と、
前記外側フィルター層に外側から接触するワイヤ状または帯状のフィルター押さえ部材と、を備えることを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項10】
内側空洞から外側空洞に流れる冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントであって、
前記内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、
前記外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、前記内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、
前記内側フィルター部材と前記外側フィルター層の間に配置され、前記内側フィルター部材を保持するフィルター保持部材と、を備え、
前記冷媒ガス出口面が、前記外側フィルター層の表面積の少なくとも80%を占めることを特徴とするフィルターエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルセパレータ、フィルターエレメント、および極低温冷凍機用圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
極低温冷凍機に使用される冷媒ガスの圧縮機は、圧縮され昇圧された冷媒ガスからオイルを除去するために、多くの場合、オイルセパレータとアドゾーバを有する。オイルセパレータに流入する冷媒ガスにはいくらかのオイルが混入している。大半のオイルはオイルセパレータによって冷媒ガスから分離されるが、オイルセパレータから冷媒ガスとともに微量のオイルが流出しうる。これはアドゾーバで吸着され、冷媒ガスから除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-202635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オイルセパレータからのオイル流出の増加は望まれない。オイル流出が増えるほど、アドゾーバの吸着材を早期に交換しなければならなくなり、運転コストが高まりうる。多量の吸着材を搭載する大型のアドゾーバを採用すれば、吸着材の交換頻度を減らすことができるが、これは圧縮機の大型化を招きうる。アドゾーバでオイルを除去しきれなければ、オイルは冷媒ガスとともに膨張機に流入し、低温部で固化しうる。これは、膨張機の劣化や冷凍能力の低下の原因となりうる。
【0005】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、オイルセパレータからのオイル流出を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によると、オイルセパレータは、オイルセパレータ容器と、オイルセパレータ容器の中に配置され、オイルセパレータ容器との間に外側空洞を定めるフィルターエレメントであって、冷媒ガスが導入される内側空洞を有し、内側空洞から外側空洞に流れる冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントと、を備える。フィルターエレメントは、内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、外側フィルター層に外側から接触するワイヤ状または帯状のフィルター押さえ部材と、を備える。
【0007】
本発明のある態様によると、オイルセパレータは、オイルセパレータ容器と、オイルセパレータ容器の中に配置され、オイルセパレータ容器との間に外側空洞を定めるフィルターエレメントであって、冷媒ガスが導入される内側空洞を有し、内側空洞から外側空洞に流れる冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントと、を備える。フィルターエレメントは、内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、を備え、冷媒ガス出口面が、外側フィルター層の表面積の少なくとも80%を占める。
【0008】
本発明のある態様によると、極低温冷凍機用圧縮機は、上述のいずれかのオイルセパレータを備える。
【0009】
本発明のある態様によると、内側空洞から外側空洞に流れる冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントが提供される。フィルターエレメントは、内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、外側フィルター層に外側から接触するワイヤ状または帯状のフィルター押さえ部材と、を備える。
【0010】
本発明のある態様によると、内側空洞から外側空洞に流れる冷媒ガスからオイルを分離するフィルターエレメントが提供される。フィルターエレメントは、内側空洞を囲む筒状の内側フィルター部材と、外側空洞に露出された冷媒ガス出口面を有し、内側フィルター部材の外側に配置された外側フィルター層と、を備え、冷媒ガス出口面が、外側フィルター層の表面積の少なくとも80%を占める。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オイルセパレータからのオイル流出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る極低温冷凍機を概略的に示す図である。
図2】実施の形態に係るオイルセパレータを概略的に示す断面図である。
図3】実施の形態に係るフィルターエレメントを概略的に示す側面図である。
図4】実施の形態に係るフィルター押さえ部材の例を示す。
図5】実施の形態に係るフィルター押さえ部材の例を示す。
図6】実施の形態に係るフィルター押さえ部材の例を示す。
図7】実施の形態に係るフィルター押さえ部材の例を示す。
図8】実施の形態に係るフィルター押さえ部材の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0015】
図1は、実施の形態に係る極低温冷凍機を概略的に示す図である。
【0016】
極低温冷凍機10は、圧縮機12と、コールドヘッド14とを備える。圧縮機12は、極低温冷凍機10の冷媒ガスをコールドヘッド14から回収し、回収した冷媒ガスを昇圧して、再び冷媒ガスをコールドヘッド14に供給するよう構成されている。圧縮機12は、圧縮機ユニットとも称される。コールドヘッド14は、膨張機とも称され、室温部14aと、冷却ステージとも称される低温部14bとを有する。圧縮機12とコールドヘッド14により極低温冷凍機10の冷凍サイクルが構成され、それにより低温部14bが所望の極低温に冷却される。冷媒ガスは、作動ガスとも称され、通例はヘリウムガスであるが、適切な他のガスが用いられてもよい。
【0017】
極低温冷凍機10は、一例として、単段式または二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機であるが、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機、またはそのほかのタイプの極低温冷凍機であってもよい。コールドヘッド14は、極低温冷凍機10のタイプに応じて異なる構成を有するが、圧縮機12は、極低温冷凍機10のタイプによらず、以下に説明する構成を用いることができる。
【0018】
なお、一般に、圧縮機12からコールドヘッド14に供給される冷媒ガスの圧力と、コールドヘッド14から圧縮機12に回収される冷媒ガスの圧力は、ともに大気圧よりかなり高く、それぞれ第1高圧及び第2高圧と呼ぶことができる。説明の便宜上、第1高圧及び第2高圧はそれぞれ単に高圧及び低圧とも呼ばれる。典型的には、高圧は例えば2~3MPaである。低圧は例えば0.5~1.5MPaであり、例えば約0.8MPaである。
【0019】
圧縮機12は、圧縮機本体16、オイルライン18、オイルセパレータ20、アドゾーバ21を備える。また、圧縮機12は、吐出ポート22、吸入ポート24、吐出流路26、吸入流路28、ストレージタンク30、バイパス弁32、冷媒ガス冷却部34、オイル冷却部36を備える。
【0020】
圧縮機本体16は、その吸入口から吸入される冷媒ガスを内部で圧縮して吐出口から吐出するよう構成されている。圧縮機本体16は、例えば、スクロール方式、ロータリ式、または冷媒ガスを昇圧するそのほかのポンプであってもよい。圧縮機本体16は、固定された一定の冷媒ガス流量を吐出するよう構成されていてもよい。あるいは、圧縮機本体16は、吐出する冷媒ガス流量を可変とするよう構成されていてもよい。圧縮機本体16は、圧縮カプセルと称されることもある。
【0021】
圧縮機本体16では冷却と潤滑のためにオイルが使用され、吸入された冷媒ガスは圧縮機本体16内でこのオイルに直接さらされる。よって、冷媒ガスは、オイルが若干混入した状態で吐出口から送出される。
【0022】
オイルライン18は、オイル循環ライン18aと、オイル戻りライン18bとを備える。オイル循環ライン18aは、オイル冷却部36を有し、圧縮機本体16から流出するオイルがオイル冷却部36により冷却され再び圧縮機本体16に流入するように構成されている。オイル循環ライン18aには、内部を流れるオイル流量を制御するオリフィスが設けられている。また、オイル循環ライン18aには、オイルに含まれる塵埃を除去するフィルターが設けられてもよい。オイル戻りライン18bは、オイルセパレータ20で回収されたオイルを圧縮機本体16に戻すために、オイルセパレータ20を圧縮機本体16に接続する。オイル戻りライン18bの途中には、オイルセパレータ20で分離されたオイルに含まれる塵埃を除去するフィルターと、圧縮機本体16へのオイルの戻り量を制御するオリフィスが設けられてもよい。
【0023】
オイルセパレータ20は、圧縮機本体16を通ることによって冷媒ガスに混入するオイルを冷媒ガスから分離するために設けられている。オイルセパレータ20は、吐出流路26の上流部26aを通じて圧縮機本体16の吐出口に接続されている。また、オイルセパレータ20は、吐出流路26の下流部26bを通じて吐出ポート22に接続されている。オイルセパレータ20の詳細については後述する。
【0024】
アドゾーバ21は、冷媒ガスに残留している例えば気化したオイルそのほかの汚染成分を冷媒ガスから吸着により除去するために設けられている。アドゾーバ21は、吐出流路26の下流部26bの途中に配置されている。
【0025】
吐出ポート22は、圧縮機本体16により高圧に昇圧された冷媒ガスを圧縮機12から送出するために圧縮機筐体38に設置された冷媒ガスの出口であり、吸入ポート24は、低圧の冷媒ガスを圧縮機12に受け入れるために圧縮機筐体38に設置された冷媒ガスの入口である。圧縮機筐体38には、圧縮機本体16やオイルセパレータ20など圧縮機12の各構成要素が収容されている。圧縮機本体16の吐出口が吐出流路26により吐出ポート22に接続され、吸入ポート24が吸入流路28により圧縮機本体16の吸入口に接続されている。
【0026】
ストレージタンク30は、コールドヘッド14から圧縮機12へと戻る低圧の冷媒ガスに含まれる脈動を除去するための容積として設けられている。ストレージタンク30は、吸入流路28に配置されている。
【0027】
バイパス弁32は、圧縮機本体16を迂回するように吐出流路26を吸入流路28に接続する。一例として、バイパス弁32は、オイルセパレータ20とアドゾーバ21の間で吐出流路26の下流部26bから分岐し、圧縮機本体16とストレージタンク30の間で吸入流路28に接続される。バイパス弁32は、冷媒ガス流量制御のために、及び/または、圧縮機12を停止する際の吐出流路26と吸入流路28との均圧化のために設けられている。
【0028】
冷媒ガス冷却部34およびオイル冷却部36は、例えば冷却水などの冷却媒体を用いて圧縮機12を冷却する冷却系を構成する。冷媒ガス冷却部34は、吐出流路26の上流部26aに配置され、圧縮機本体16での冷媒ガスの圧縮に伴って生じる圧縮熱により加熱された高圧の冷媒ガスを冷却するために設けられている。冷媒ガス冷却部34は、冷媒ガスと冷却媒体との熱交換により冷媒ガスを冷却する。また、オイル冷却部36は、圧縮機本体16から流出するオイルと冷却媒体との熱交換によりオイルを冷却する。冷却媒体は、外部から圧縮機12に供給され、冷媒ガス冷却部34とオイル冷却部36を経て、圧縮機12の外部に排出される。このようにして、圧縮機本体16で生じる圧縮熱は、冷却媒体とともに圧縮機12の外へと除去される。なお、冷却媒体は、例えばチラー(図示せず)により冷却され、再び供給されてもよい。
【0029】
また、極低温冷凍機10は、コールドヘッド14の室温部14aに高圧ポート40と低圧ポート41とを備える。高圧ポート40は、高圧配管42によって吐出ポート22に接続され、低圧ポート41は、低圧配管43によって吸入ポート24に接続されている。
【0030】
したがって、コールドヘッド14から圧縮機12に回収される冷媒ガスは、低圧ポート41から低圧配管43を通じて圧縮機12の吸入ポート24に流入する。冷媒ガスは、吸入流路28上のストレージタンク30を経て、圧縮機本体16の吸入口へと回収される。冷媒ガスは、圧縮機本体16によって圧縮され昇圧される。圧縮機本体16の吐出口から送出される冷媒ガスは、吐出流路26上の冷媒ガス冷却部34、オイルセパレータ20、アドゾーバ21を経て、吐出ポート22から圧縮機12を出る。冷媒ガスは、高圧配管42と高圧ポート40を経てコールドヘッド14の内部に供給される。
【0031】
図2は、実施の形態に係るオイルセパレータを概略的に示す断面図である。図3は、実施の形態に係るフィルターエレメントを概略的に示す側面図である。
【0032】
オイルセパレータ20は、オイルセパレータ容器44と、フィルターエレメント46とを備える。フィルターエレメント46は、オイルセパレータ容器44の中に配置され、オイルセパレータ容器44との間に外側空洞48を定める。また、フィルターエレメント46は、冷媒ガスが導入される内側空洞50を有し、内側空洞50から外側空洞48に流れる冷媒ガスからオイルを分離する。図2においては、理解を容易にするために、オイルセパレータ20内での冷媒ガスの流れを白色の矢印Gで示し、オイルの流れを濃色の矢印OLで示す。
【0033】
オイルセパレータ20は、縦型のオイルセパレータとして構成されている。オイルセパレータ20は、細長く延びた筒型の形状を有し、その長手方向を鉛直方向に一致させるようにして圧縮機12に設置される。図1に示される圧縮機本体16から流入する冷媒ガス(いくらかのオイルが混入している)は、オイルセパレータ20の上部から導入される。フィルターエレメント46によって清浄化された冷媒ガスは、オイルセパレータ20の上部からオイルセパレータ20の外部に排出される。フィルターエレメント46によって冷媒ガスから分離されたオイルは、フィルターエレメント46の内部または表面を鉛直方向に流下し、オイルセパレータ20の底部から回収される。
【0034】
オイルセパレータ容器44は、オイルセパレータ20の外形を定める円筒状の容器であり、容器筒部44a、上部フランジ44b、下部フランジ44cを備える。上部フランジ44bが容器筒部44aの上端に固定され、下部フランジ44cが容器筒部44aの下端に固定されている。上部フランジ44bと下部フランジ44cはそれぞれ、例えば溶接により容器筒部44aに固定され、オイルセパレータ容器44は、気密容器となっている。
【0035】
上部フランジ44bには、冷媒ガス導入管52、冷媒ガス導出管54及び戻りオイル管56が設けられている。冷媒ガス導入管52は、図1に示される吐出流路26の上流部26aがオイルセパレータ20に接続する部分に相当する。冷媒ガス導出管54は、吐出流路26の下流部26bがオイルセパレータ20に接続する部分に相当する。戻りオイル管56は、オイルライン18のオイル戻りライン18bがオイルセパレータ20に接続する部分に相当する。
【0036】
冷媒ガス導入管52は、上部フランジ44bを貫通して設けられている。冷媒ガス導入管52は、オイルセパレータ20の中心軸に沿って延びている。上部フランジ44bを貫通した冷媒ガス導入管52は、フィルターエレメント46の内側空洞50まで延びている。図2に示される例においては、冷媒ガス導入管52は、内側空洞50の上部で開口しているが、冷媒ガス導入管52は、内側空洞50の底部近傍まで延びていてもよい。冷媒ガス導入管52を通じて、オイルセパレータ20の外部からフィルターエレメント46の内側空洞50へと冷媒ガスが導入される。
【0037】
冷媒ガス導出管54は、上部フランジ44bを貫通して設けられている。上部フランジ44bを貫通した冷媒ガス導出管54は、外側空洞48において上部フランジ44bの近傍、例えば、オイルセパレータ20の軸方向において上部フランジ44bとフィルターエレメント46との間で、開口している。内側空洞50からフィルターエレメント46を通過して外側空洞48に流れる冷媒ガスは、冷媒ガス導出管54からオイルセパレータ20の外部に排出される。
【0038】
戻りオイル管56は、上部フランジ44bを貫通して設けられている。上部フランジ44bを貫通した戻りオイル管56は、容器筒部44aに沿って下部フランジ44cの近傍まで延びている。戻りオイル管56は、外側空洞48において下部フランジ44cの近傍、例えば、オイルセパレータ20の軸方向においてフィルターエレメント46と下部フランジ44cの間で、開口している。フィルターエレメント46によって冷媒ガスから分離したオイルは、戻りオイル管56からオイルセパレータ20の外部に排出される。
【0039】
フィルターエレメント46は、フィルター積層体58、フィルター押さえ部材60、上部蓋体62、下部蓋体64を備える。フィルター積層体58は、内筒部材66、内側フィルター部材68、フィルター保持部材70、外側フィルター層72を備える。図2には、フィルター積層体58の外側部分の部分拡大図を破線の円内に併せて示してある。
【0040】
フィルター積層体58は、上部蓋体62と下部蓋体64で挟まれている。上部蓋体62及び下部蓋体64は、それぞれ、例えばステンレスなど金属で形成された円板状の部材である。上述のように、冷媒ガス導入管52が上部フランジ44bを貫通して外側空洞48に進入している。冷媒ガス導入管52は、さらに、上部蓋体62を貫通して内側空洞50へと延びている。
【0041】
上部蓋体62及び下部蓋体64は、それぞれフィルター積層体58の上部及び下部に例えば接着剤により接着されている。接着剤は、エポキシ系接着剤やシリコン系接着剤など密閉性を有するものであってもよい。これにより、フィルター積層体58と上部蓋体62との間、および、フィルター積層体58と下部蓋体64との間に隙間が発生することを防止できる。冷媒ガス導入管52から内側空洞50に導入された冷媒ガスが、オイルを含んだまま隙間を通って外側空洞48に流出することを防止できる。また、冷媒ガスから分離され液化したオイルが、隙間を通って外側空洞48に流出することを防止できる。
【0042】
内筒部材66は、例えばステンレスや炭素鋼よりなるパンチングプレートから形成された筒状(例えば円筒状)の部材である。内筒部材66は、冷媒ガス導出管54を囲むようにしてオイルセパレータ20の中心軸と同軸に配置されている。内筒部材66は、内側フィルター部材68を内側から支持するために設けられている。内筒部材66の内部空間が内側空洞50であり、内側空洞50は、内筒部材66と上部蓋体62と下部蓋体64とにより囲まれている。なお、内筒部材66が多孔板であることは必須ではなく、金網、スリットを設けた板、棒材を格子状に並べた部材など、ガスの流れを阻害せずに内側フィルター部材68を支持する構造であれば、どのようなものであってもよい。
【0043】
内側フィルター部材68は、筒状の形状を有し、内側空洞50を囲んでいる。内側フィルター部材68も、オイルセパレータ20の中心軸と同軸に配置されている。内側フィルター部材68は、内筒部材66を芯とし、内筒部材66の周りに、フィルター材を円筒形状に巻回すように配置して設けられている。内側フィルター部材68がフィルター積層体58の大半の体積を占める。内側フィルター部材68は、例えばグラスウールなどの鉱物繊維またはその他のフィルター材で形成されている。
【0044】
フィルター保持部材70は、内側フィルター部材68と外側フィルター層72の間に配置されている。フィルター保持部材70は、例えば金網またはその他のメッシュ部材であり、内側フィルター部材68の最外層を外側から押さえ、内側フィルター部材68を保持する。フィルター保持部材70が内側フィルター部材68を外側から補強し、内筒部材66が内側フィルター部材68を内側から補強している。なお、フィルター保持部材70が金網であることは必須ではなく、パンチングメタルなどの多孔板、スリットを設けた板、棒材を格子状に並べた部材など、ガスの流れを阻害せずに内側フィルター部材68を支持する構造であれば、どのようなものであってもよい。
【0045】
外側フィルター層72は、外側空洞48に露出された冷媒ガス出口面74を有し、内側フィルター部材68の外側に配置されている。また、外側フィルター層72は、フィルター保持部材70の外側に配置されている。そのため、内側フィルター部材68とフィルター保持部材70は、外側フィルター層72で覆われ(または包まれ)ており、これらは外側空洞48に露出されていない。冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の外面の少なくとも一部(例えば大部分)を占める。外側フィルター層72のすぐ外側に外側空洞48が隣接している。
【0046】
外側フィルター層72は、例えば不織布である。不織布は、多数の細孔を有し、冷媒ガスに通気性を有するとともにオイルに浸透性を有する。内側フィルター部材68によって分離された液状のオイルが内側フィルター部材68の最外層およびフィルター保持部材70に沿って鉛直方向に流下するとき、このオイルは、外側フィルター層72の内面に沿って、または外側フィルター層72の内部を流れることができる。仮に、外側フィルター層72が無かったとすると、内側フィルター部材68を通って吹き出す冷媒ガスによって、オイルが飛散され、冷媒ガスに再び混入しうる。外側フィルター層72は、このようなオイルの再飛散と冷媒ガスへの再混入を抑制することができる。
【0047】
外側フィルター層72は、冷媒ガスに通気性を有しオイルに浸透性を有する例えば合成樹脂製の多孔質膜であってもよい。多孔質膜は、多孔質材料のフィルムまたはシートであってもよい。このようにしても、外側フィルター層72は、冷媒ガス流れによるオイルの再飛散と冷媒ガスへの再混入を抑制することができる。
【0048】
ただし、後述するように、外側フィルター層72は、パンチングメタルなどの多孔板ではない。また、フィルターエレメント46においては、多孔板が、例えば内筒部材66のように外側フィルター層72の内側には配置されうるが、外側フィルター層72の外側には配置されない。
【0049】
フィルター押さえ部材60は、外側フィルター層72に外側から接触するワイヤ状の部材である。フィルター押さえ部材60は、外側フィルター層72を外側から押さえ、外側フィルター層72を保持する。フィルター押さえ部材60の一端は、上部蓋体62に接続され、他端は、下部蓋体64に接続されている。
【0050】
フィルター押さえ部材60は、例えば、ピアノ線または金属ワイヤで形成されている。あるいは、フィルター押さえ部材60は、金属製には限られない。フィルター押さえ部材60は、オイルを吸収しうる例えば合成樹脂製またはその他の繊維材料で形成されてもよい。
【0051】
フィルター押さえ部材60は、らせん状である。フィルター押さえ部材60は、上部蓋体62から下部蓋体64へと外側フィルター層72の外面に沿ってらせん状に延び、外側フィルター層72に巻き付けられている。このようにして、フィルター押さえ部材60は、外側フィルター層72の外面で斜めに延びている。フィルター押さえ部材60にオイルが付着したとしても、フィルター押さえ部材60に沿って下方に流れ落ちやすい。フィルター押さえ部材60上にオイルが溜まることが抑制され、外側フィルター層72から出る冷媒ガス流れによるオイルの再飛散と冷媒ガスへの再混入を抑制することができる。
【0052】
一例として、フィルター押さえ部材60は、フィルターエレメント46の長手方向単位長さ(例えば100mm)あたりのらせん巻き数が、多くとも5回(例えば、1~3回)であってもよい。
【0053】
このようにすれば、フィルター押さえ部材60によって覆われる外側フィルター層72の表面積が十分に小さくなる(すなわち冷媒ガス出口面74の面積が十分に大きくなる)。仮に、パンチングメタルのように多数の小孔を有する多孔板が、外側フィルター層72に代えて、または外側フィルター層72の外側に追加して、フィルターエレメント46に設置されていたとすると、それら小孔で冷媒ガス流速が増加されうる。小孔の下縁の板厚部分にオイルが付着していた場合、流速が増加された冷媒ガスは、このオイルを飛散させうる。飛散されたオイルは、冷媒ガスに再び混入しうる。しかしながら、実施の形態によれば、冷媒ガス出口面74の面積が十分に大きいので、冷媒ガスの流速の局所的な増加は起こりにくく、オイルの再飛散と冷媒ガスへの再混入を抑制することができる。また、冷媒ガスが通過できる面積が大きくなるので、冷媒ガスに生じる圧力損失が低減される。
【0054】
フィルター押さえ部材60のらせんの角度(例えば、水平面、すなわちオイルセパレータ20の中心軸に垂直な平面に対する角度)は、適宜選択されうる。らせんの角度が小さければ(たとえば45度より小さければ)、らせんの巻き数が増えるので、フィルター押さえ部材60を外側フィルター層72にしっかりと巻き付け、外側フィルター層72を保持できる。らせんの角度が大きければ(たとえば45度より大きければ)、らせんの巻き数が減るので、冷媒ガス出口面74の面積を大きくすることができる。この場合、外側フィルター層72をより確実に保持するために、複数本(例えば2~3本)のフィルター押さえ部材60が設けられ、例えば周方向に等間隔に配置されてもよい。
【0055】
外側フィルター層72の冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の外面(すなわち上部蓋体62と下部蓋体64との間の筒状の表面)のうち、フィルター押さえ部材60で覆われていない領域にあたる。冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の表面積の大部分、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%を占める。言い換えると、外側フィルター層72は、例えば、その表面積の多くとも20%、多くとも15%、多くとも10%、多くとも5%、または多くとも2%がフィルター押さえ部材60によって覆われている。
【0056】
このようにすれば、外側フィルター層72は、冷媒ガス流れによるオイルの再飛散と冷媒ガスへの再混入を抑制することができる。また、冷媒ガスが通過できる面積が大きくなるので、冷媒ガスに生じる圧力損失が低減される。一般に、典型的なパンチングメタルの開孔率が最大で約75%であり、そのため、冷媒ガス出口面74が外側フィルター層72の表面積に占める比率は、75%より大きくてもよい。
【0057】
また、外側フィルター層72の表面積のうち冷媒ガス出口面74が占める比率は、例えば、100%未満、99.5%未満、99%未満、98.5%未満、または98%未満であってもよい。一例として、一般に入手しやすい針金がフィルター押さえ部材60として使用されると、冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の表面積の例えば99.2%~98%を占める。また、直径0.1mmのピアノ線がフィルター押さえ部材60として使用されると、冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の表面積の例えば約99.99%を占める。なお、言い換えると、外側フィルター層72の表面積のうちフィルター押さえ部材60によって覆われる面積の比率は、例えば、多くとも2%、多くとも1.5%、多くとも1%、多くとも0.5%、または多くとも0.01%であってもよい。
【0058】
以上説明した構成によると、オイルを含有する冷媒ガスは、冷媒ガス導入管52を通じて、オイルセパレータ20の内側空洞50に導入される。冷媒ガスは、内側空洞50から、内筒部材66、内側フィルター部材68、フィルター保持部材70、外側フィルター層72の順に、フィルターエレメント46のフィルター積層体58を径方向外方に向かって放射状に流れる。冷媒ガスがフィルター積層体58を通過する際に、冷媒ガスに含まれているオイルが濾過されることによって冷媒ガスから分離され、オイルが分離された冷媒ガスが冷媒ガス出口面74から外側空洞48に流入する。そして、外側空洞48に導入された冷媒ガスは、冷媒ガス導出管54を通ってオイルセパレータ20から排出される。オイルは、戻りオイル管56を通じてオイルセパレータ20から排出される。
【0059】
実施の形態によると、外側フィルター層72の大部分の面積が冷媒ガス出口面74として外側空洞48に開放されている。これにより、外側フィルター層72から外側空洞48に出る冷媒ガスによるオイルの再飛散と冷媒ガスへの再混入を抑制することができる。よって、オイルセパレータ20からのオイル流出が低減される。
【0060】
アドゾーバ21へと流入するオイル量が低減されるので、アドゾーバ21の吸着材の寿命を延ばすことができ、吸着材の交換頻度を低減し、圧縮機12の運転コストを低減することができる。あるいは、アドゾーバ21に搭載する吸着材の量を減らすことができ、アドゾーバ21ひいては圧縮機12を小型化することができる。圧縮機12から冷媒ガスとともに流出するオイル量を低減することができるので、オイルによるコールドヘッド14の劣化や冷凍能力の低下も抑制される。
【0061】
図4から図8は、実施の形態に係るフィルター押さえ部材の他の種々の例を示す。フィルター押さえ部材60は、種々の形状をとることが可能である。図4から図8は、図3と同様に、フィルターエレメント46の側面図を概略的に示す。以下、実施の形態に係るフィルター押さえ部材の種々の例について、既述の実施の形態と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0062】
図4に示されるように、フィルター押さえ部材60は、外側フィルター層72に外側から接触する帯状の部材であってもよい。冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の表面積の少なくとも80%を占めてもよい。フィルター押さえ部材60は、らせん状であり、外側フィルター層72に巻き付けられている。ただし、フィルター押さえ部材60は、上部蓋体62および下部蓋体64に接続されていなくてもよい。
【0063】
図5に示されるように、フィルター押さえ部材60は、縦方向、すなわちフィルターエレメント46の軸方向に沿って延びる複数本(例えば2~4本)のワイヤ状部材であってもよい。フィルター押さえ部材60は、外側フィルター層72に外側から接触する。冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の表面積の少なくとも80%を占めてもよい。複数のワイヤ状部材は、例えば周方向に等間隔に配置され、それぞれが上部蓋体62および下部蓋体64に接続されていてもよい。
【0064】
図6に示されるように、フィルターエレメント46は、複数の蓋連結部材76を有してもよい。蓋連結部材76は、フィルターエレメント46の構造を補強するために、上部蓋体62と下部蓋体64を堅く結合する。蓋連結部材76は、例えばステンレスなど金属製の棒状部材であってもよい。蓋連結部材76はそれぞれ縦方向に延び、周方向に等間隔に配置されている。蓋連結部材76が、フィルター押さえ部材として利用される。蓋連結部材76の内面が外側フィルター層72の外面に押し当てられ、それにより、外側フィルター層72が保持される。冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の表面積の少なくとも80%を占めてもよい。
【0065】
図7に示されるように、フィルターエレメント46は、少なくとも1つのリング状のフィルター押さえ部材60を有してもよい。冷媒ガス出口面74は、外側フィルター層72の表面積の少なくとも80%を占めてもよい。フィルター押さえ部材60は、例えば、水平面、すなわちフィルターエレメント46の中心軸に垂直な平面に沿って配置され、外側フィルター層72に巻き付けられている。よって、フィルター押さえ部材60は、上部蓋体62および下部蓋体64に接続されていない。図示されるように、複数本のフィルター押さえ部材60が設けられてもよい。フィルター押さえ部材60は、水平面に対し斜めの平面に沿って配置され、外側フィルター層72に巻き付けられてもよい。
【0066】
図8に示されるように、フィルターエレメント46は、フィルター押さえ部材60を有していなくてもよい。外側フィルター層72は、接着剤78によってフィルター保持部材70及び/または内側フィルター部材68に接着されている。よって、接着剤78は、外側フィルター層72の内面をフィルター保持部材70及び/または内側フィルター部材68に接着する。そのため、外側フィルター層72の外面の全域(100%)が冷媒ガス出口面74として外側空洞48に露出されている。一例として、接着剤78は、らせん状に設けられていてもよい。あるいは、接着剤78は、ドット状のパターンを有してもよい。
【0067】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0068】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0069】
10 極低温冷凍機、 12 圧縮機、 20 オイルセパレータ、 44 オイルセパレータ容器、 46 フィルターエレメント、 48 外側空洞、 50 内側空洞、 60 フィルター押さえ部材、 68 内側フィルター部材、 70 フィルター保持部材、 72 外側フィルター層、 74 冷媒ガス出口面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8