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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】リフト装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/28 20060101AFI20230612BHJP
   B66F 7/08 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B66F7/28 A
B66F7/08 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019074041
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020172355
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [大会名] 第1回チャレンジカップ京都 [公開日] 平成30年5月12日~13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137960
【氏名又は名称】株式会社メイキコウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 守淑
(72)【発明者】
【氏名】奥平 直也
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0088975(US,A1)
【文献】特開昭51-104759(JP,A)
【文献】特開2004-123264(JP,A)
【文献】特開2001-089084(JP,A)
【文献】特開平11-013239(JP,A)
【文献】実開平04-122513(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/00- 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降台と該昇降台を昇降させる昇降駆動部を有する昇降装置を複数組備え、前記複数の昇降台の下動端高さは相互に同じ高さとされ、リフト高さが相互に異なる構成とされ
前記複数組の昇降装置を個別にリフトアップして移動するための移動ハンドルと、前記複数組の昇降装置を一括して移動させるための移動台車を備えたリフト装置。
【請求項2】
請求項1記載のリフト装置であって、左右に並列配置された3組の昇降装置を備え、中央の第1昇降装置の昇降台のリフト高さが最も高いリフト装置。
【請求項3】
請求項2記載のリフト装置であって、中央の第1昇降装置に対して左側の第2昇降装置が右側の第3昇降装置よりも前記昇降台のリフト高さが高く設定されたリフト装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載したリフト装置であって、前記複数の昇降台は、それぞれ車椅子を搭載可能な面積を有するリフト装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載したリフト装置であって、前記複数組の昇降装置に個別の垂れ幕を設け、前記昇降台の上昇により各垂れ幕が上方へ展張されて、各昇降台に関する情報が表示されるリフト装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載したリフト装置であって、前記昇降駆動部は、油圧シリンダにより一対のX字形のリフトアームを上下に伸縮して前記昇降台を昇降させる構成としたリフト装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば昇降式の表彰台として利用できるリフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスポーツ競技大会の表彰式に用いられる表彰台は、第1位から第3位までを対象とする場合には、通常第1位が中央で最も高く、第2位が第1位の向かって左側で2番目に高く、第3位が第1位の向って右側で第2位と同等若しくは最も低い高さに設定されている。下記の特許文献に開示されているように表彰台では、第1位から第3位の床面からの高さは高中低の3段階に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3203376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表彰台では、何れの順位でも床面から一定高さに固定されているため、例えば車椅子に着座したまま登壇しようとすると、予めスロープを用意する必要があり、スロープがない場合には車椅子ごと台まで持ち上げる介助者が必要になっていた。
【0005】
本発明は、車椅子のまま楽に登壇できる表彰台として好適に利用できるリフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴は、昇降台と昇降台を昇降させる昇降駆動部を有する昇降装置を複数組備え、複数組の昇降装置における各昇降台の下動端高さは相互に同じ高さとされ、リフト高さが相互に異なる構成とされたリフト装置である。
【0007】
上記の特徴によれば、複数の昇降台をそれぞれ床面に沿った高さに下降させることで、例えば車椅子ごと各昇降台上へ楽に移動することができる。各昇降台が相互に異なるリフト高さに上昇されることで、当該リフト装置を例えばスポーツ競技大会における車椅子使用者の表彰台として好適に利用することができる。
【0008】
また、上記の特徴によれば、上記車椅子使用者の表彰台の他、例えば複数種類の車両を搭載して異なる高さにリフトアップして展示する段違い展示台装置として利用することができる。
【0009】
本開示の他の特徴は、左右に並列配置された3組の昇降装置を備え、中央の第1昇降装置の昇降台のリフト高さが最も高いリフト装置である。
【0010】
上記の特徴によれば、3人の表彰者のうち、中央の昇降台に登壇した表彰者が例えば第1位であることが示され、順位をリフト高さで区別することができる。これにより、3つの昇降台が異なる高さに上昇されることで、第1位、第2位及び第3位の車椅子使用者の表彰台として利用することができる。
【0011】
本開示の他の特徴は、中央の第1昇降装置に対して左側の第2昇降装置が右側の第3昇降装置よりも昇降台のリフト高さが高く設定されたリフト装置である。
【0012】
上記の特徴によれば、中央の昇降台を第1位とし、その左側を第2位、右側を第3位とする表彰台として利用することができる。
【0013】
本開示の他の特徴は、複数の昇降台は、それぞれ車椅子を搭載可能な面積を有するリフト装置である。
【0014】
上記の特徴によれば、車椅子使用者は車椅子ごと昇降台に登壇して表彰を受けることができる。これにより当該リフト装置を、パラリンピック等の障がい者のスポーツ競技大会において車椅子利用者の表彰台として好適に活用することができる。
【0015】
本開示の他の特徴は、複数組の昇降装置に個別の垂れ幕を設け、昇降台の上昇により各垂れ幕が上方へ展張されて、各昇降台に関する情報が表示されるリフト装置である。
【0016】
上記の特徴によれば、各垂れ幕に優勝、準優勝等の情報を表示することにより、当該リフト装置の表彰台としての機能を高めることができ、ひいては当該リフト装置の意外性若しくは付加価値を高めることができる。
【0017】
本開示の他の特徴は、昇降駆動部は、油圧シリンダにより一対のX字形のリフトアームを上下に伸縮して昇降台を昇降させる構成としたリフト装置である。
【0018】
上記の特徴によれば、当該リフト装置を女性や子供であってもスイッチ操作のみで楽に動作させることができる。油圧シリンダを駆動源とすることから、油圧発生源として油圧ポンプを用意することで、当該リフト装置を例えば表彰台として室内外で利用することができる。
【0019】
本開示の他の特徴は、複数組の昇降装置を個別にリフトアップして移動するための移動ハンドルと、複数組の昇降装置を一括して移動させるための移動台車を備えたリフト装置である。
【0020】
上記の特徴によれば、当該リフト装置の設置、撤収作業及び移設作業を迅速かつ楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るリフト装置の全体斜視図である。本実施形態では、リフト装置をスポーツ競技大会の表彰台として利用した状態を示している。
図2】3組の昇降装置の正面図である。本図では、中央の昇降台が最も高く、右側の昇降台が最も低い位置まで上昇させた状態を示している。本図では、車椅子の着座者の図示が省略されている。
図3】3組の昇降装置の正面図である。本図では、各組の昇降台が同じ高さまで下降された状態を示している。本図では、車椅子の着座者の図示が省略されている。
図4】3組の昇降装置の平面図である。
図5】昇降装置の左側面図である。本図では、上昇された昇降台が二点鎖線で示されている。また、本図では、車椅子の着座者と介護者が併せて示されている。
図6】昇降装置の左側面図である。本図では、昇降台が上昇された状態が示されている。本図では、車椅子の着座者の図示が省略されている。
図7】昇降装置の左側面図である。本図では、昇降台が下降端まで下降された状態を示している。
図8】リフトアップした昇降装置の左側面図である。本図では、移動ハンドルをセットした状態を示している。
図9】リフトアップした昇降装置に対して移動ハンドルを上方へ傾動させて結合した状態を示している。
図10】3組の昇降装置を移動台車に搭載した状態を示す平面図である。
図11】3組の昇降装置を移動台車に搭載した状態を示す正面図である。
図12】移動台車の平面図である。本図は、展開状態を示している。
図13】折り畳んだ状態の移動台車の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態を図1図13に基づいて説明する。図1図4に示すように本実施形態に係るリフト装置1は、第1昇降装置11と第2昇降装置12と第3昇降装置13との合計3組の昇降装置11,12,13を備えている。図1図4に示すように、3組の昇降装置11,12,13は、左右横並び状態に並列配置されている。第1昇降装置11が中央に配置され、左側に第2昇降装置12が配置され、右側に第3昇降装置13が配置されている。
【0023】
3組の昇降装置11,12,13を備えた本実施形態のリフト装置1は、図1に示すように例えばスポーツ競技大会の表彰台として利用される。図1には、中央の第1昇降装置11に、第1位の表彰者H1が車椅子C1に着座したまま登壇し、左側の第2昇降装置12に、第2位の表彰者H2が車椅子C2に着座したまま登壇し、右側の第3昇降装置13に、第3位の表彰者H3が車椅子C3に着座したまま登壇した状態が示されている。本実施形態では、表彰者H1,H2,H3が車椅子C1,C2,C3の着座者である場合を例示する。
【0024】
3組の昇降装置11,12,13は、昇降台11a,12a,13aと基台11b,12b,13bと昇降駆動部20を備えている。3つの昇降台11a,12a,13aは、それぞれ車椅子C1,C2,C3ごと搭乗可能な面積の平板形を有している。各昇降装置11,12,13は、昇降駆動部20の動作により、昇降台11a,12a,13aが基台11b,12b,13bに対して平行に昇降される構成を備えている。
【0025】
3組の昇降装置11,12,13における各昇降駆動部20は同じ構成を備えている。以下、第1昇降装置11の昇降駆動部20について説明する。図6に示すように昇降駆動部20は、左右一対のX字形のリフトアーム21と、リフトアーム21を上下に伸縮させる駆動源としての油圧シリンダ22を備えている。リフトアーム21は、アウタアーム21aとインナアーム21bがアーム支軸21cを介してX字形に結合されたもので、アウタアーム21aとインナアーム21bが相互に上下に回動可能に結合された構成を備えている。
【0026】
左右一対の各リフトアーム21において、アウタアーム21aの後部側は、昇降台11a(12a,13a)の後側下面に沿って転動可能に支持されている。図6では、転動方向が矢印で示されている。インナアーム21bの後部側は、基台11b(12b,13b)の後側上面に沿って転動可能に支持されている。左右一対の各リフトアーム21において、アウタアーム21aの前部側は、基台11b(12b,13b)の前側上面に上下に回動可能に結合されている。インナアーム21bの前部側は、昇降台11a(12a,13a)の前側下面に上下に回動可能に結合されている。
【0027】
左右一対のリフトアーム21において、アウタアーム21aとインナアーム21bとの間に、一対の油圧シリンダ22が介装されている。
【0028】
アーム支軸21cよりも前側においてアウタアーム21aとインナアーム21bにはそれぞれガイド部21d,21eが設けられている。左右一対の油圧シリンダ22のロッド先端は、それぞれ1本の作動アーム23に結合されている。作動アーム23の両端部には、それぞれ2つの作動ローラ24が回転可能に支持されている。2つの作動ローラ24の一方がガイド部21dの上面に押圧され、他方がガイド部21eの下面に押圧されている。
【0029】
左右の油圧シリンダ22が伸長側に作動すると、左右の作動ローラ24がガイド部21d,21e間に挟み込まれた状態で前方へ変位することで、アウタアーム21aとインナアーム21bがアーム支軸21cを中心にしてそれぞれ上方(起立側)へ回動して、リフトアーム21が上方へ伸長する。左右一対のリフトアーム21が一体で上方へ伸長することにより、昇降台11a(12a,13a)が平行に上昇する。
【0030】
左右の油圧シリンダ22が縮小側に作動すると、アウタアーム21aとインナアーム21bがアーム支軸21cを中心にしてそれぞれ下方(倒伏側)へ回動して、リフトアーム21が下方へ縮小する。左右一対のリフトアーム21が一体で下方へ縮小することにより、昇降台11a(12a,13a)が主としてその自重により平行に下降する。
【0031】
基台11b(12b,13b)の前部には、各昇降駆動部20の油圧発生源としての油圧ポンプ25と主として左右の油圧シリンダ22の動作制御を行う制御部26が配置されている。3組の昇降装置11,12,13は、昇降台11a,12a,13aのリフト量(昇降高さ)が異なっている。3組の昇降装置11,12,13の昇降台11a,12a,13aの下動端高さは図3に示すように同じ高さに設定されているが、上動端高さ(リフト高さL1,L2,L3)は図1,2に示すように異なる高さに設定されている。図1,2に示すように、中央の第1昇降装置11の昇降台11aのリフト高さL1が最も大きく、右側の第3昇降装置13の昇降台13aのリフト高さL3が最も小さく設定されている(L1>L2>L3)。第1~第3昇降装置11,12,13のリフト高さL1,L2,L3が異なるように制御部26で油圧ポンプ25及び油圧シリンダ22の動作制御がなされる。
【0032】
図5に示すように同じ高さの下動端高さに昇降台11a,12a,13aが位置する状態で第1位~第3位の表彰者H1,H2,H3がそれぞれ車椅子C1,C2,C3に乗車したまま昇降台11a,12a,13aに登壇する。図5に示すように車椅子C1,C2,C3ごと登壇する際には、各表彰者H1,H2,H3の介護者H4が手助けすることができる。表彰者H1,H2,H3の登壇後、昇降台11a,12a,13aのリフト動作が同時に開始される。中央の昇降台11aが最も高いリフト高さL1まで上昇されて第1位の表彰者H1が最も高くリフトされる。左側の昇降台12aが2番目に高いリフト高さL2まで上昇されて第2位の表彰者H2が2番目に高くリフトされる。右側の昇降台13aが最も低いリフト高さL3まで上昇されて第3位の表彰者H3が最も低い高さにリフトされる。係るリフト状態で3人の表彰者H1,H2,H3の表彰式がなされる。
【0033】
油圧ポンプ25と制御部26は、昇降台11a(12a,13a)の前部に設けた一段高い段差カバー27で覆われている。一段高い段差カバー27は昇降台11a(12a,13a)と一体で昇降して、車椅子C1,C2,C3の前方への転落を防止する車止めとして機能する。
【0034】
昇降台11a(12a,13a)の前部には、巻き取り式のスクリーン(垂れ幕)14が取り付けられている。スクリーン14の先端部は、基台11b(12b,13b)の前部に結合されている。このため、スクリーン14は、昇降台11a(12a,13a)が上昇すると引き出されて、昇降台11a(12a,13a)と基台11b(12b,13b)との間に展張される。図1に示すように第1昇降装置11のスクリーン14には、第1位の表示がなされ、第2昇降装置12のスクリーン14には第2位の表示がなされ、第3昇降装置13のスクリーン14には第3位の表示がなされている。昇降台11a(12a,13a)が上昇すると各スクリーン14が引き出されて、第1位から第3位の順位が自動的に表示される。また、昇降台11a(12a,13a)が上昇して基台11b(12b,13b)との間にスクリーン14が展張されることで、少なくとも前方からは昇降駆動部20が見えないよう遮蔽されることで、当該リフト装置1の表彰台としての見栄えがよくなっている。
【0035】
各昇降台11a,12a,13aの左右側部には、転落防止用の柵板15が設けられている。各昇降台11a,12a,13aの後部には、後方への転落を防止するための車止め板16が設けられている。図4に示すように車止め板16は、各昇降台11a,12a,13aについて、それぞれ左右一対に設けられている。左右一対の車止め板16により、車椅子C1,C2,C3の左右車輪の脱落を確実に防止することができる。
【0036】
左右の車止め板16は、上下に傾動可能に設けられている。図6に示すように上方へ傾動させてその前端部を上方へ変位させることで、車椅子C1,C2,C3の後退を規制する車止めとして機能させることができる。これに対して、図7に示すように下方へ傾動させてその前端部を昇降台11a,12a,13aに当接させた状態とすることにより、当該車止め板16を車椅子C1,C2,C3を床面Fと昇降台11a,12a,13aとの間の移動を容易にするための補助スロープ板として機能させることができる。
【0037】
なお、図7に示すように補助スロープ板として機能させる場合には、当該昇降装置11,12,13の後方に大形のスロープ17を用いることができる。車止め板16は、昇降台11a,12a,13aとスロープ17との間に掛け渡されて補助スロープ板として機能する。
【0038】
各昇降装置11(12,13)の基台11b(12b、13b)には、左右一対の前輪18と左右一対の後輪19が設けられている。前輪18と後輪19は、基台11b(12b、13b)の下面より上方の格納位置と、下面から突き出して当該昇降装置11(12,13)の自重を受ける突っ張り位置となる取り出し位置との間を移動可能に設けられている。図7は前輪18と後輪19の格納状態を示し、図8は、前輪18と後輪19の取り出し状態を示している。前輪18と後輪19の取り出し、格納操作は人手により行うことができる。
【0039】
前輪18と後輪19を下方へ取り出して昇降装置11(12,13)を床面Fから浮き上がらせることができる。前輪18と後輪19を取り出して床面Fから浮き上がらせることにより、当該昇降装置11(12,13)を容易に移動させることができるようになる。移動操作には、移動ハンドル30を用いることができる。長尺棒形の移動ハンドル30の先端には、1つの引き掛け突起31と2つの車輪32が備えられている。2つの車輪32は同径で、相互に接近して同軸に配置されている。後輪19を取り出して基台11b(12b、13b)の後部側を床面Fから浮き上がらせた状態として、移動ハンドル30の先端側を基台11b(12b、13b)の後部側と床面Fとの間に進入させる。この進入状態で図9に示すように移動ハンドル30を移動操作して、引き掛け突起31を基台11b(12b、13b)の後部に設けた引き掛け孔11cに引き掛ける。図10に示すように、引き掛け孔11cは、基台11b(12b,13b)の後部の左右方向中央の1箇所に設けられている。
【0040】
その後に、図9に示すように後輪19を上方へ格納することにより、引き掛け突起31を引き掛け孔11cに引き掛けて車輪32を床面Fに接地させた状態とすることができる。こうして移動ハンドル30を基台11b(12b,13b)の後部に連結させた状態で、移動ハンドル30を把持して前後左右に押し引き操作することで、昇降装置11(12,13)を楽に移動させることができる。図9に示すように移動操作は、昇降装置11(12,13)の左右の前輪18と移動ハンドル30の車輪32を床面Fに接地させて行われる。このため、移動ハンドル30の向きを左右に変更することで、車輪間が狭い2つの車輪32が相互に逆回転して、昇降装置11(12,13)の移動方向についての旋回操作を限られたスペース内において楽に行うことができる。
【0041】
図8,9に示すように昇降装置11(12,13)を移動させる際であって、スロープ17の不使用時にはスロープ17を昇降台11a(12a,13a)上に乗せ掛けておくことができる。なお、図8,9によく示されるようにスロープ17の前部には、基台11b(12b,13b)に対して引き掛ける引き掛け凹部17aが設けられている。引き掛け凹部17aを基台11b(12b,13b)の後部に引き掛けておくことにより、車椅子C1,C2,C3の昇降台11a(12a,13a)への乗降の際におけるスロープ17の位置ずれが防止される。
【0042】
3組の昇降装置11,12,13は、上記したように1つの移動ハンドル30を用いて個別に移動操作することができるとともに、専用の移動台車35を用いることにより一括して移動させることができる。図12には、移動台車35が単独で示されている。移動台車35は、それぞれ矩形に枠組みされた2つの大フレーム36,37と1つの小フレーム38を備えている。2つの大フレーム36,37は1つの小フレーム38よりも左右幅が大きくなっている。2つの大フレーム36,37と1つの小フレーム38の前後幅は一致している。
【0043】
2つの大フレーム36,37と1つの小フレーム38は、ヒンジ35aを介して折り畳み可能に結合されている。図12は、移動台車35を展開した状態を示し、図13は移動台車35を折り畳んだ状態を示している。2つのヒンジ35aを介して左右に横並びに結合された2つの大フレーム36,37の左側に、2つのヒンジ35aを介して小フレーム38が折り畳み可能に結合されている。
【0044】
図13に示すように小フレーム38を大フレーム36の上側へ折り畳み、その後大フレーム37が小フレーム38の上側に折り畳まれることで、当該移動台車35を3つに折り畳んでコンパクトな状態で搬送し、収納しておくことができる。図13中白抜き矢印で示すように、左側の大フレーム37を上方へ展開し、その後小フレーム38を上方へ展開することで、折り畳んだ移動台車35を図12に示す使用状態に展開することができる。
【0045】
図12に示すように中央の大フレーム36に合計6個の車輪39が取り付けられている。右側の大フレーム37に合計4個の車輪39が取り付けられている。左側の小フレーム38に2個の車輪39が取り付けられている。左右に横並び状態の3組の昇降装置11,12,13をそれぞれ前輪18と後輪19を下方へ取り出して床面Fから浮き上がらせた状態(図8に示す状態)とすることで、移動台車35を展開させた状態で3組の昇降装置11,12,13の下方へ進入させることができる。移動台車35は、前輪18と後輪19との間を左右方向に移動させて進入させることができる。
【0046】
図10,11に示すように、それぞれ昇降台11a,12a,13aを下動端高さに戻した状態の3組の昇降装置11,12,13の下方に移動台車35を進入させると、各昇降装置11(12,13)がそれぞれ4個の車輪39で前後左右に均等に受けられた状態となる。3組の昇降装置11,12,13がそれぞれ4個の車輪39で安定的に受けられた状態で移動台車35を移動操作することで、当該3組の昇降装置11,12,13(リフト装置1)を一括して搭載して同時に搬送することができる。
【0047】
以上のように構成したリフト装置1によれば、当該リフト装置1を、車椅子C1,C2,C3に乗車したままの3人の表彰者H1,H2,H3の表彰式を行うための表彰台として好適に利用することができる。
【0048】
これにより、例示したリフト装置1を例えばパラリンピック等の障がい者のスポーツ競技大会における車椅子利用者等の表彰式に好適に利用することができる。高さが固定された木枠形の一般的な表彰台では、そもそも健常者が対象であるため、車椅子利用者がそのまま登壇することができないため、別途スロープを必要とする。
【0049】
例示したリフト装置1は、健常者の表彰台としても利用できることは言うまでもなく、例えば複数種類の車両の重量物を搭載して異なる高さにリフトアップして展示する段違い展示台装置としても利用することができる。
【0050】
例示した昇降装置11,12,13は、昇降台11a,12a,13aが上昇すると
巻き取り式のスクリーン(垂れ幕)14が引き出されて、例えばスポーツ競技の優勝、準優勝等の順位に関する情報が表示される。これにより当該リフト装置1について、表彰台としての機能を高めることができ、また当該リフト装置1の動作の意外性を持たせることができる。
【0051】
例示したリフト装置1の昇降駆動部20は、油圧シリンダ22を駆動源とすることから女性や子供であってもリモコン操作のみで楽に動作させることができる。この場合、各昇降装置11,12,13について個別にリモコン操作を行うことで、昇降台11a,12a,13aを所定の高さまで上昇させる動作制御を個別に行う構成(個別制御)としてもよいし、一つのリモコン操作で昇降装置11,12,13を同時に動作させて昇降台11a,12a,13aをそれぞれ所定の高さまで同時に上昇させる動作制御を一括で行う構成(一括制御)としてもよい。
【0052】
また、例示したリフト装置1は、3組の昇降装置11,12,13を個別に移動操作するための移動ハンドル30と、3組の昇降装置11,12,13を一括して移動させるための移動台車35を備えていることから、当該リフト装置1の設置、撤収作業及び移設作業を迅速かつ楽に行うことができる。
【0053】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、3組の昇降装置11,12,13を備えるリフト装置1を例示したが、2組あるいは4組以上の昇降装置を横並びに並列させて異なる高さにリフトアップする構成としてもよい。
【0054】
また、油圧シリンダ22を駆動源とする昇降駆動部20を例示したが、電動モータを駆動源とする直動ねじ軸機構若しくはラック・ピニオン機構を用いて昇降台を昇降させる構成としてもよい。
【0055】
スクリーン14に表示する情報は、例示した順位に加えてあるいは代えて、表彰者の氏名、会社名、校名、あるいはスポーツ競技大会や商品展示会の名称若しくは商品名等に変更してもよい。
【符号の説明】
【0056】
H1…表彰者(第1位)
H2…表彰者(第2位)
H3…表彰者(第3位)
H4…介護者
C1,C2,C3…車椅子
F…床面
L1…第1昇降装置のリフト高さ
L2…第2昇降装置のリフト高さ
L3…第3昇降装置のリフト高さ
1…リフト装置
11…第1昇降装置
12…第2昇降装置
13…第3昇降装置
11a,12a,13a…昇降台
11b,12b,13b…基台
11c…引き掛け孔
14…スクリーン(垂れ幕)
15…柵板
16…車止め板
17…スロープ、17a…引き掛け凹部
18…前輪
19…後輪
20…昇降駆動部
21…リフトアーム
21a…アウタアーム、21b…インナアーム、21c…アーム支軸
21d,21e…ガイド部
22…油圧シリンダ
23…作動アーム
24…作動ローラ
25…油圧ポンプ
26…制御部
27…段差カバー
30…移動ハンドル
31…引き掛け突起
32…車輪
35…移動台車、35a…ヒンジ
36,37…大フレーム
38…小フレーム
39…車輪
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