(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】洗浄料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20230612BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230612BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230612BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/81
A61K8/73
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2019124504
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】小田 泰裕
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222868(JP,A)
【文献】特開平10-168499(JP,A)
【文献】All-in-One Cleansing Foam,ID 3622295,Mintel GNPD[online],2015年12月,[検索日2022.08.22],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K36/00
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(C)を含有する半固形状ペースト状洗浄料組成物。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
(C)(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマ
ー
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、高級脂肪酸塩を基剤とするものは、洗浄力に優れ、泡立ちが良く、さっぱりとした感触があるため、洗顔料や全身洗浄料等に用いられている。しかし、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に、肌が、かさつき、つっぱるといった問題が生じている。また、通常高級脂肪酸塩の場合、脂肪酸の鎖長が短いほど、起泡性が良好だが泡質が劣る傾向に、脂肪酸の鎖長が長いと、泡質は良好だが起泡性が劣る傾向にある。
また、高級脂肪酸塩を主体とする洗浄料組成物において、せん断や経時でバルク粘度(硬度)が低下する場合があった。
そこで、長鎖の高級脂肪酸塩における経時安定性を改良するために、メタクリル酸とエチルアクリレートとの架橋コポリマーのエマルションを併用すること(特許文献1参照)等が検討されているが、泡量、泡質、経時安定性のすべてを満足させるものは得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、高級脂肪酸塩を基剤とするにもかかわらず、泡量、泡質、経時安定性に優れた洗浄料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記(A)~(C)を含有する半固形状洗浄料組成物を提供する。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
(C)エーテル化度1.0以上のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマーから選択される1種又は2種以上
【発明の効果】
【0006】
本発明の洗浄料組成物は、泡量、泡質が良好で、かつ経時安定性が良好でバルクが液だれしにくいという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
本発明で用いる成分(A)高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、炭素数8~24、特に10~22のものが好ましい。これらの脂肪酸の中でも直鎖飽和脂肪酸を用いることが、好ましい。好ましいものの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、還元ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸などが挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、泡立ち、安全性、安定性の面から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましく、特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸を主成分とすることがさらに好ましい。これらの高級脂肪酸と塩を形成するアルカリ剤としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパンジオールなどのアルカノールアミン塩、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。これらのうち、特にカリウム、アルギニンが好ましい。
【0009】
また、これらの高級脂肪酸塩は、必ずしも脂肪酸塩として洗浄料組成物に配合する必要はなく、上記高級脂肪酸と塩基とをそれぞれ別個に添加し、組成物中で脂肪酸塩を形成させてもよい。
【0010】
成分(A)は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。成分(A)の配合量は本発明の効果の点から、洗浄料組成物全量に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が最も好ましく、75質量%以下が好ましく、65質量%以下がさらに好ましく、55質量%以下が最も好ましい。また、成分(A)の配合量は本発明の効果の点から、洗浄料組成物全量に対し、5~75質量%が好ましく、10~65質量%がさらに好ましく、15~55質量%が最も好ましい。
【0011】
本発明で用いる成分(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルの共重合体が好ましく、アクリル酸と炭素数8~30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルとの共重合体がより好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体がさらに好ましい。
具体的には、例えば、ペムレンTR-1、ペムレンTR-2、カーボポールEDT2020、カーボポール1382、カーボポール SC-500、Carbopol SC-200、カーボポール ULTREZ-21(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)、アクペック HV-701EDR(住友精化社製)などの市販品を使用することができる。
【0012】
成分(B)は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。成分(B)の配合量は本発明の効果の点から、洗浄料組成物全量に対し、0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の配合量は本発明の効果の点から、洗浄料組成物全量に対し、0.02~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がさらに好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(C)は、エーテル化度1.0以上のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマーから選択される1種又は2種以上である。
【0014】
エーテル化度1.0以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムは、通常洗浄料組成物に配合し得るものであれば特に限定されない。かかるエーテル化度1.0以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、市販のCMC1330、CMC1350、CMC1380、CMC1390(以上ダイセルファインケム社製)が例示される。
【0015】
(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマーは、洗浄料組成物に配合し得るものであれば特に限定されず、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー粉体を配合することができ、また水性媒体に分散させた(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー分散体を用いることができる。(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー粉体として、市販のテクポリマーACX-806C、テクポリマーACX-1502C、テクポリマーACP-8C(以上積水化成品工業社製)、Makibeads SP-10(大東化成社製)等が例示される。また(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー分散体としては、ニカゾールMH-6010、ニカゾールTS-620(以上日本カーバイド社製)、COVACRYL MT-10(センシエント・テクノロジーズ・ジャパン社製)、ダイトゾール5000SJ(大東化成社製)等が例示される。
【0016】
成分(C)は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。成分(C)の配合量は本発明の効果の点から、洗浄料組成物全量に対し、0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の配合量は本発明の効果の点から、洗浄料組成物全量に対し、0.02~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がさらに好ましい。
【0017】
なお、本発明においては、本発明の効果が損なわれない限り、成分(B)、成分(C)以外の高分子も配合することができる。
【0018】
このような高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース及びシリコーンレジン等が挙げられる。
【0019】
本発明においては、親油型モノステアリン酸グリセリルを配合することができる。親油型モノステアリン酸グリセリルは通常の洗浄料に配合し得るものであれば特に限定されない。市販の親油型モノステアリン酸グリセリルとしては、Estol 1474(ユニケマ社製)、ポエムV-200、ポエムP-200、リケマールS-200(以上理研ビタミン社製)、NIKKOL MGSシリーズ(日光ケミカルズ社製)、モノグリMB(日油社製)、エキセル 84(花王社製)、カデナックス GS-90(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、モンテックスA(日本活性剤社製)等を挙げることができる。
【0020】
本発明においては、多価アルコールを配合することができる。多価アルコールとしては通常洗浄料に配合し得るものであれば特に限定されない。多価アルコールとしては、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール等が例示される。
【0021】
本発明の洗浄料組成物には、上述の成分の他に、通常の洗浄料分野等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、精製水、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0022】
本発明の洗浄料組成物は、常法により製造され、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ジェル状、軟膏状等の剤型とすることができる。本発明の効果の点から、適度な粘性を有する液状若しくはペースト状の剤型をとることが好ましい。また本発明の洗浄料組成物は、皮膚洗浄料、毛髪洗浄料として使用することができ、特に皮膚洗浄料として使用することが好ましい。
【実施例】
【0023】
以下に本発明について実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。なお、配合量は、特に指定しない限り質量%を意味する。
【0024】
本発明の実施例及び比較例の評価方法は下記のとおりである。
【0025】
(使用感評価)泡量、泡質
専門パネラー2名により、顔での使用テストを行い、表の洗浄料の泡量、泡質、について、それぞれ絶対評価を行った。評価結果を下記の基準を用いて合議により判定した。
<評価結果>
◎:非常に良い
○:良い
△:少し悪い
×:悪い
(経時安定性評価: 液だれ評価方法)
バルク100gを100mL シリンジに入れ、10回往復させることによりせん断をかけ、その前後、および経時(1か月後)の硬度を測定した。
<評価結果>
◎:硬度低下が認められない
○:硬度低下がわずか10%未満である
△:硬度低下が認められる
×:明確な硬度低下が認められる
【0026】
表1、2に、本発明の実施例及び比較例にかかる洗浄料の処方を示す。洗浄料は定法に従い調製し、評価に供した。
【0027】