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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20230612BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20230612BHJP
   F21V 25/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
F21V23/00 160
F21S8/04 110
F21V25/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019128989
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2021015693
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴留 和幸
(72)【発明者】
【氏名】熊王 光
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162504(JP,A)
【文献】特開2016-186885(JP,A)
【文献】特開2010-153215(JP,A)
【文献】特開2014-179172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21S 8/04
F21V 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯装置を備える本体ユニットと、
光源を備え、前記本体ユニットに取り付けられるカバー部と、
一方の端部が前記本体ユニットに取り付けられ、他方の端部が前記カバー部に取り付けられる吊り具と、
一方の端部が前記点灯装置に接続され、他方の端部が前記光源に接続される電線と、
前記電線と前記吊り具とを束ねる結束部材と、を備え、
前記電線は、
前記吊り具に沿って引き回され
前記結束部材は、
前記電線と前記吊り具とを長手方向に相対移動自在に束ねる、照明器具。
【請求項2】
前記結束部材は、
可撓性を有する筒状部材である、請求項に記載の照明器具。
【請求項3】
点灯装置を備える本体ユニットと、
光源を備え、前記本体ユニットに取り付けられるカバー部と、
一方の端部が前記本体ユニットに取り付けられ、他方の端部が前記カバー部に取り付けられる吊り具と、
一方の端部が前記点灯装置に接続され、他方の端部が前記光源に接続される電線と、
前記電線と前記吊り具とを束ねる結束部材と、を備え、
前記電線は、
前記吊り具に沿って引き回され
前記結束部材は、
可撓性を有する筒状部材である、照明器具。
【請求項4】
前記吊り具は、
線状の本体部と、前記本体部の両端に前記本体ユニット又は前記カバー部に取り付けられる係合部材と、を備える、請求項1~3の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記吊り具は、
可撓性を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記電線は、
前記吊り具よりも長い、請求項1~の何れか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、特にカバー部と本体ユニットとを接続する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、天井等に取り付けられた本体に、光源を備える光源ユニットを取り付けて設置される照明器具が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の照明器具は、本体が備える点灯装置と光源ユニットが備える光源とを電気的に接続する電線に張力がかかることを防止するために、本体と光源ユニットとを繋ぐワイヤーを備える。
【0003】
特許文献1に記載の照明器具を天井に取り付ける際は、先ず本体から光源ユニットを外した状態で、商用電源が接続された本体を天井に固定し、本体にバッテリを取り付ける。次に、ワイヤーの一端を本体に取り付け、ワイヤーの他端を光源ユニットに取り付ける。そして、電線で点灯装置と光源とを電気的に接続し、光源ユニットを本体に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-162504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の照明器具は、本体から光源ユニットを吊り下げる吊り具であるワイヤーと、点灯装置と光源とを電気的に接続する電線とがそれぞれ独立している。そのため、光源ユニット及び点灯装置に電線を接続する際、吊り具を本体及び光源ユニットに接続した後に、電線を点灯装置及び光源に接続する必要があり、照明器具を設置する作業に手間がかかっていた。また、吊り具と電線とが独立しているため、光源ユニットを本体に取り付ける際に、光源ユニットと本体との間に電線を挟み込むおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためのものであり、電線の設置作業の手間を軽減し、電線の挟み込みを抑制する照明器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明器具は、点灯装置を備える本体ユニットと、光源を備え、前記本体ユニットに取り付けられるカバー部と、一方の端部が前記本体ユニットに取り付けられ、他方の端部が前記カバー部に取り付けられる吊り具と、一方の端部が前記点灯装置に接続され、他方の端部が前記光源に接続される電線と、前記電線と前記吊り具とを束ねる結束部材と、を備え、前記電線は、前記吊り具に沿って引き回され、前記結束部材は、前記電線と前記吊り具とを長手方向に相対移動自在に束ねる
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吊り具に電線が沿うように引き回されることにより、吊り具を本体ユニット及びカバー部のそれぞれに接続すると、電線の一端は、本体ユニット側に位置し、電線の他端は、カバー部側に位置する。これにより、電線の端部が点灯装置又は光源の接続箇所の近くに位置するようになり、容易に電線を接続することができ、電線を設置する手間が軽減される。また、吊り具と電線とを一体の部材として扱えるため、電線の挟み込みを防ぐことができ、安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明器具1aを示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明器具1aを示す分解斜視図である。
図3図2のカバー組立体10の分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係る照明器具1aのカバー組立体10を本体ユニット60から外した状態の斜視図である。
図5】実施の形態1に係る照明器具1aの断面図である。
図6図5の光源部20周辺の拡大図である。
図7】実施の形態1に係る照明器具1aの光源部20の周辺の比較例の断面構造の説明図である。
図8】実施の形態1に係る照明器具1aの光源部20の周辺の断面構造の一例の説明図である。
図9】実施の形態1に係る照明器具1aの光軸Lに垂直な断面構造の説明図である。
図10】実施の形態1に係る照明器具1aのガイド金具12の変形例である。
図11】実施の形態1に係る照明器具1aのカバー組立体10と本体ユニット60とを接続する接続ユニット70の模式図である。
図12】実施の形態1に係る照明器具1aの接続ユニット70の変形例を示す模式図である。
図13】実施の形態1に係る照明器具1aの変形例である照明器具101aの斜視図である。
図14図13の照明器具101aを構成する本体ユニット160の分解斜視図である。
図15図13の照明器具101aを構成するカバー組立体110の分解斜視図である。
図16図13の照明器具101aの本体ユニット160からカバー組立体110を取り外した状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態における照明装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。更に、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
<照明器具1a>
図1は、実施の形態1に係る照明器具1aを示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る照明器具1aを示す分解斜視図である。図3は、図2のカバー組立体10の分解斜視図である。照明器具1aは、略円筒形状に形成された筐体50を備える。筐体50の天面80側の部分が、天井等の被取付部に防水パッキン90を介して取り付けられる。筐体50の底面は、カバー前面部11となっており、光源5(図6参照)からの光線が出射される部分である。
【0012】
図2に示されるように、照明器具1aは、天井等の被取付部に固定される。照明器具1aは、カバー組立体10と、点灯装置30と、本体ユニット60と、を備える。カバー組立体10は、カバー部10aに光源部20を固定して形成される。本体ユニット60は、本体構造部60aに電源端子台40が固定され、さらに点灯装置30が取り付けられる。本体構造部60aは、天面80を有し、被取付部に固定される部分である。また、照明器具1aのカバー部10aは、表示口15が複数形成されている。表示口15は、外部信号を受信する部分である。
【0013】
図4は、実施の形態1に係る照明器具1aのカバー組立体10を本体ユニット60から外した状態の斜視図である。照明器具1aは、カバー組立体10と本体ユニット60とを接続する接続ユニット70を備える。接続ユニット70は、天井等に固定された本体ユニット60からカバー組立体10を吊り下げられるように接続する吊り具71及び吊り具71に沿って引き回される電線31を備える。吊り具71と電線31とは、結束部材74により一体に取り扱えるようになっている。吊り具71は、両端に係合部材73を備え、一端が本体構造部60aの係止部63に取り付けられており、他端がカバー組立体10に取り付けられている。吊り具71は、カバー組立体10を本体ユニット60から吊り下げた状態で支持し、電線31に荷重が掛からないようにできる。
【0014】
<カバー組立体10>
図3に示されるように、カバー組立体10は、カバー部10aと、光源部20と、放熱板27と、を備える。カバー部10aは、有底筒形状であり、筒部の内側に本体ユニット60に固定される電源端子台40及び点灯装置30、並びに当該カバー部10aに固定された光源部20を収納する。カバー部10aは、本体構造部60aと共に照明器具1aの筐体50の一部を構成している。カバー部10aは、有底筒形状の底部に相当するカバー前面部11と、筒部に相当するカバー側面部13とを有する。カバー部10aは、カバー側面部13の内側の面にガイド金具12が固定されている。カバー部10aは、有底筒形状の底面10e(図6参照)を形成するカバー前面部11に、光学制御部材21を露出させる出射口14が形成されている。カバー部10aのカバー前面部11の内部側の面である底面10eに光源部20及びパッキン22が固定される。また、カバー部10aの底面10eには信号受信部(図示せず)及びモニタパッキン23が固定される。光源部20、パッキン22、信号受信部、及びモニタパッキン23は、カバー前面部11と放熱板27との間に挟まれ、押圧されて固定される。なお、パッキン22は、レンズパッキンとも称する。
【0015】
<光源部20>
図5は、実施の形態1に係る照明器具1aの断面図である。図5は、光源5から射出される光線の光軸Lに沿った照明器具1aの断面構造を示している。図6は、図5の光源部20周辺の拡大図である。光源部20は、光源5及び光学制御部材21が取り付けられるホルダ9を備える。光源部20は、放熱板27が取り付けられ、放熱板27を介してカバー部10aの底面にビス10-3により固定される。光学制御部材21は、例えばレンズであり、光源5から出射される光線の進む方向及び範囲を制御する部材である。光学制御部材21は、中央部に光源5から光線が射出される方向、即ち光軸L方向に突出する光学制御部21aと、光学制御部21aから外側に向かって張り出して形成される鍔部21bと、を備える。鍔部21bは、L字リブ9bによりホルダ9に固定される。なお、光軸Lは、光源5が射出する光線の中心軸であり、実施の形態1においては、照明器具1aの中心軸と一致している。つまり、光軸Lは、カバー部10aのカバー側面部13が形成する筒体の中心軸と一致している。以下の説明において、照明器具1aの中心軸及びカバー側面部13が形成する筒体の中心軸の代わりに光軸Lを用いて構造を説明する場合がある。
【0016】
光源部20のホルダ9は、放熱板27に係合部9aを係合させて固定されている。放熱板27は、ビス10-3によりカバー前面部11側に引き寄せるようにして、カバー部10aの内部に固定されている。光源部20及びパッキン22は、放熱板27とカバー部10aのカバー前面部11との間に挟まれ、押圧されて固定されている。なお、ビス10-3は、カバー前面部11と放熱板27との間に配置されたねじパッキン10-4を貫通して、放熱板27に螺合している。ねじパッキン10-4は、カバー前面部11と放熱板27との間において圧縮されるため、筐体50の内部の気密性及び防水性が向上する。
【0017】
<光源部20の周辺部の構造>
図3及び図6に示される様に、光源部20とカバー前面部11との間にはパッキン22が配置され、パッキン22は、光学制御部材21と出射口14との間に生じる隙間を塞ぎ、筐体50の内部の防水性及び気密性を向上させるものである。また、パッキン22は、環状に形成されており、光学制御部材21の突出部である光学制御部21aの周囲を包囲する様に配置されている。換言すると、環状のパッキン22は、光軸Lを中心として光学制御部材21の光学制御部21aの外側を包囲している。
【0018】
<光源部20の周辺部の構造>
図6に示される様に、カバー部10aの出射口14の周囲は、カバー部10aの外側に向かって突出して形成されている。つまり、カバー部10aの内部から見ると、有底筒形状のカバー部10aの底面10eは、周囲の面10bよりも光線が出射される方向に向かって凹んだパッキン配置面10cを備える。パッキン配置面10cは、出射口14の周囲に環状に形成されている。また、パッキン配置面10cとその周囲の面10bとの間には、光軸Lに沿った方向に延びる接続面10dが形成されている。図6に示される断面形状において、パッキン22は、出射口14の周囲にL字形状に形成されている。そして、パッキン22は、パッキン配置面10cと接続面10dとに沿うように配置されている。
【0019】
<パッキン22>
パッキン22は、少なくとも内周部が厚く形成されている。パッキン22の内周部22aは、パッキン配置面10cと光学制御部材21との間で形成される隙間を塞ぐことができる厚みを備えている。つまり、パッキン22の内周部22aの厚み寸法は、パッキン配置面10cから光学制御部材21までの距離よりも大きい。図6においては、パッキン22の内周部22aは、圧縮されていない自然状態が示されているが、実際は、少なくとも図6において光学制御部材21と重なっている部分は、圧縮され又は変形する。
【0020】
光軸Lに沿った方向において、パッキン22の内周部22aのうち光学制御部材21とパッキン配置面10cとの間に挟まれている厚肉部分22bは、圧縮される。また、パッキン22の内周部22aの内周側先端部22cは、光学制御部材21の形状に沿って変形する。パッキン22の内周部22aは、内周側に向かうに従い光軸Lに沿った方向の厚さ寸法が小さくなるように形成されている。図6に示されているパッキン22のパッキン配置面10c側の面は、内周側の先端に到るまで平坦に形成されている。そして、パッキン22の光学制御部材21側を向いている面は、内周側に向かうに従いパッキン配置面10c側に傾斜する傾斜面22fを有する。
【0021】
パッキン22の内周部22aの厚肉部分22bは、圧縮され、図6における垂直方向に縮み、水平方向には膨らむ。すると、厚肉部分22bより内周側に位置する内周側先端部22cは、厚肉部分22bの変形の影響を受けて、内周側に移動する。このとき、内周側先端部22cは、光学制御部21a側に移動し、光学制御部21aに当接し変形する。内周側先端部22cは、光学制御部材21側の面に傾斜面22fを備えており、肉厚が内周側に向かって薄くなるように形成されている。そのため、内周側先端部22cは、出射口14からのはみ出しが抑制される。内周側先端部22cは、光学制御部材21の形状に沿って変形する。そのため、パッキン22と光学制御部材21との間に隙間が生じるのを抑制できる。また、パッキン22は、出射口14からのはみ出しが抑制されることにより、光学制御部材21から出射される光の光学特性を悪化させることがなく、照明器具1aの美観を悪化させることがない。
【0022】
また、パッキン22の外周部22dの光軸Lに沿った方向の寸法は、光軸Lに沿った方向におけるカバー部10aのパッキン配置面10cからその周囲の面10bまでの距離よりも大きくなるように形成されている。パッキン22の外周部22dは、光源部20の一部であるホルダ9とパッキン配置面10cとの間に挟まれて位置しており、圧縮されている。これにより、パッキン22は、照明器具1aの内部の気密性及び防水性を向上させることができる。
【0023】
また、パッキン22の内周部22aと外周部22dとの間は、接続部22eにより接続されている。パッキン22の接続部22eは、光軸Lに沿った方向における厚さ寸法が内周部22a及び外周部22dよりも小さく形成されている。従って、パッキン22の内周部22aと外周部22dとのそれぞれは、圧縮されるが、その変形の影響を互いに及ぼしにくい構造となっている。
【0024】
<比較例>
図7は、実施の形態1に係る照明器具1aの光源部20の周辺の比較例の断面構造の説明図である。図7(a)は、光源部20をカバー部10aのカバー前面部11に固定する前の状態を示している。図7(b)は、光源部20をカバー部10aのカバー前面部11に固定した状態を示している。図7(a)に示されている様に、比較例におけるパッキン122は、内周部122aが均一の厚さで形成されている。そして、図7(b)に示されている様に、パッキン122が圧縮された状態においては、内周部122aが内周側に向かって変形し、一部が出射口14からはみ出す。パッキン122は、内周部122aの一部又は全部が出射口14からはみ出すように変形する。そのため、照明器具1aの比較例においては、パッキン122とパッキン配置面10cとの間、又はパッキン122と光学制御部材21との間に部分的に隙間が生じる場合がある。これにより、照明器具1aの比較例においては、気密性及び防水性が低下するおそれがある。
【0025】
<パッキン22の変形例>
図8は、実施の形態1に係る照明器具1aの光源部20の周辺の断面構造の一例の説明図である。図8(a)は、光源部20をカバー部10aのカバー前面部11に固定する前の状態を示している。図8(b)は、光源部20をカバー部10aのカバー前面部11に固定した状態を示している。図8(a)に示される様に、パッキン22の内周部22aは、内周側に向かうに従い厚さ寸法が徐々に小さくなるように形成されている。つまり、パッキン22の内周部22aは、傾斜面22fを有している。図8(a)に示されているパッキン22の傾斜面22fは、パッキン配置面10c側を向いた傾斜面となっている。このようなパッキン22であっても、内周部22aの内周側先端部22cが内周側に向かうに従い薄くなるように形成されている。そのため、図8(b)に示される様に、パッキン22の内周部22aは、圧縮して変形した際に出射口14から内周部22aの一部がはみ出すのを抑制することができる。
【0026】
<本体ユニット60>
図2に示されている様に、本体ユニット60は、光軸Lに沿った方向に有底筒形状の本体構造部60aを備える。本体構造部60aは、有底筒形状の開口をカバー部10a側に向けている。本体構造部60aは、一方の面が被取付部に固定され、他方の面にカバー部10aが取り付けられる。カバー部10aは、本体ユニット60の他方の面側を覆う様に本体構造部60aに取り付けられる。なお、本体構造部60aの側面を構成する筒部60bは、カバー部10aと比較して短い。本体構造部60aの筒部60bの内側には、カバー部10a側に向かって突出するカバー部取付部材61aが設置されている。カバー部取付部材61aは、2箇所設置されており、本体構造部60aの中央部に固定される点灯装置30を挟むように一対配置されている。
【0027】
カバー部取付部材61aは、光軸Lに垂直な断面形状がコの字形に形成されている。また、カバー部取付部材61aのカバー部10a側の先端は、カバー部10aの底面10eに平行に設けられた取付面61bが形成されている。取付面61bにはねじ穴61cが形成されている。
【0028】
カバー部取付部材61aの先端に形成された取付面61bとカバー部10aの底面10eとは、ねじ10-1で締結される。取付面61bとカバー部10aの底面10eとの間には、ねじパッキンが挟まれ、ねじ10-1は、ねじパッキンを通して取付面61bに形成されたねじ穴61cに螺合する。この構成により、カバー部10aは、本体ユニット60側に引き寄せられて固定される。
【0029】
<ガイド金具12>
図9は、実施の形態1に係る照明器具1aの光軸Lに垂直な断面構造の説明図である。図9は、図5のB-B部の断面を示している。図9の断面において、カバー部取付部材61aは、ガイド金具12と組み合わされている。カバー部取付部材61aは、一方の面が開放された略直方体に形成されており、断面形状が外側に向かって開放されているコの字形になっている。また、ガイド金具12は、カバー部10aの内周面に沿った板状の接合部12aの両端からカバー部10aの内側に向かって延びる板状の2つのガイド部12bを備える。つまり、ガイド金具12も、図9に示される断面においてカバー部10aの内側に向かって開放されているコの字形になっている。ガイド部12bは、2つの側面部61dが位置する側から、カバー部取付部材61aを外側から挟むように位置している。
【0030】
ガイド金具12のガイド部12bとカバー部取付部材61aの2つの側面部61dとは、照明器具1aが組立てられた状態において、若干の隙間を持って位置している。この構成により、カバー部10aは、本体ユニット60の光軸L周りにおける回転方向位置が決まる。また、ガイド金具12とカバー部取付部材61aとは、光軸L方向、つまりカバー部10aを本体ユニット60に取り付ける方向に沿って摺動自在に嵌合している。そのため、カバー部10aは、本体ユニット60に対し回転方向の位置決めがされた状態で、本体ユニット60に取り付け可能な位置まで容易に案内される。
【0031】
図2に示される様に、ガイド金具12は、本体ユニット60側の端部において2つのガイド部12b同士の間隔が広く、カバー部10aの底面10e側において2つのガイド部12b同士の間隔が狭くなるように形成されている。つまり、ガイド部12bの内側面12cは、光軸Lに対し傾斜している。また、ガイド金具12は、カバー部10aの開口部16に近く、本体ユニット60とは当接しない位置に配置される。このように構成されることにより、カバー部10aと本体ユニット60とが組み合わされるときにガイド金具12がカバー部取付部材61aに案内される。そのため、カバー部10aと本体ユニット60との位置合わせが容易であり、照明器具1aは、組み立てが容易である。
【0032】
カバー部10aの外側からガイド金具12の位置を目視で確認することは難しい。特に、カバー部10aを持ち上げ、天井に取り付けられた本体ユニット60に取り付ける場合は、更にガイド金具12の位置の確認が困難となる。これを解決するために、カバー部10aのカバー側面部13の外側面にガイド金具12の位置を示すマーキングを表示してもよい。マーキングは、例えばプレス等で刻印されてもよいし、シール貼付により設けてもよい。
【0033】
カバー部10aを取り付ける際は、カバー部10aのマーキングをカバー部取付部材61aの先端に合わせながら、カバー部10aを本体ユニット60に向けて押し上げていく。これにより、ガイド金具12の位置をカバー部10aの開口部16側から覗き込んだり、ガイド金具12を触ってガイド金具12の位置を確認することなしに容易にカバー部10aと本体ユニット60の位置合わせが可能となる。
【0034】
図10は、実施の形態1に係る照明器具1aのガイド金具12の変形例である。ガイド金具12は、断面形状においてコの字形に形成されているカバー部取付部材61aの内側面に沿って案内されるように構成されていても良い。つまり、カバー部取付部材61aは、ガイド金具12を案内する溝部62を備え、ガイド部12dが溝部62の内側に位置するようにガイド金具12と嵌合する。このとき、カバー部取付部材61aの先端に設けられている取付面61bは、光軸Lが位置する方向に延びる様に形成される。つまり、取付面61bは、光軸Lに沿った方向の視点、溝部62よりも光軸L側に位置している。なお、実施の形態1において、光軸Lに沿った方向の視点は、照明器具1a又はカバー部10aの中心軸方向の視点と同じである。これにより、カバー部取付部材61aは、先端側から溝部62にガイド金具12を導入できる様に構成されている。また、2つのガイド部12b同士の間隔は、カバー部10aの開口部16側が狭く、カバー部10aの底面10e側が広くなるように形成されると良い。
【0035】
<接続ユニット70>
図11は、実施の形態1に係る照明器具1aのカバー組立体10と本体ユニット60とを接続する接続ユニット70の模式図である。接続ユニット70は、吊り具71と電線31とを組み合わせて構成される。吊り具71は、線状の部材である本体部72の両端に係合部材73がそれぞれ固定されている。本体部72は、例えばワイヤー、チェーン、又は紐等で構成されている。本体部72は、少なくともカバー組立体10を吊り下げたときに破損しない程度の強度を有している。
【0036】
電線31は、本体ユニット60に設けられた点灯装置30とカバー組立体10に設けられた光源5とを電気的に接続するものである。電線31は、吊り具71にカバー組立体10が接続され、吊り下げられた状態において、両端部に設けられたコネクタ32及び33をそれぞれ点灯装置30又は光源部20に接続される。そのため、電線31は、少なくとも吊り具71の長さよりも長い。また、電線31は、少なくとも、点灯装置30のコネクタ接続部から光源部20のコネクタ接続部までの距離よりも長い。この構成により、カバー組立体10が本体ユニット60から吊り下がった状態においては、吊り具71にカバー組立体10の荷重が掛かり、電線31に張力が掛かることがないため、電線31を保護することができる。また、電線31が吊り具71よりも長く、コネクタ32及び33を接続する際に、コネクタ32及び33が設けられている端部を自由に動かすことができるため、点灯装置30と光源5とを電気的に接続する作業が容易になる。
【0037】
吊り具71と電線31とは、結束部材74により束ねられている。図11においては、チューブ状の1つの結束部材74により、吊り具71及び電線31の長手方向の中央部分が束ねられている。つまり、チューブ状の結束部材74の両端から吊り具71及び電線31の両端部が突出している。これにより、吊り具71と電線31とは、一体の部材として取り扱うことができるため、本体ユニット60にカバー組立体10を取り付ける作業において、電線31を本体ユニット60とカバー組立体10との間に挟み込むのを抑制することができる。また、吊り具71を本体ユニット60及びカバー組立体10に取り付けた状態において、電線31のコネクタ32は、点灯装置30の近傍に位置し、コネクタ33は、光源部20の近傍に位置することになる。そのため、コネクタ32及び33を点灯装置30又は光源部20に接続する作業が容易になる。さらに、吊り具71に結び目を設けてチューブ状の結束部材74が吊り具71から抜け落ちないように構成しても良い。
【0038】
結束部材74は、吊り具71及び電線31が互いに長手方向に相対移動自在になるように、吊り具71及び電線31を束ねていても良い。これにより、作業者は、電線31の端部の結束部材74から突出した部分の長さを調整することができるため、コネクタ32又は33を点灯装置30又は光源部20に接続する作業が容易になる。
【0039】
チューブ状の結束部材74は、可撓性を有する材料により構成される。例えば、結束部材74は、樹脂製又はゴム製のチューブにより構成される。結束部材74が可撓性を有することにより、カバー組立体10が本体ユニット60に取り付けられた状態において、接続ユニット70を容易に筐体50の内部に収めることができる。また、結束部材74は、絶縁材料により構成されることにより、吊り具71と照明器具1aの内部の電気部品との間でショート等の不具合を抑制することができる。
【0040】
図4に示される様に、吊り具71の長さは、カバー組立体10が本体ユニット60から吊り下げられた状態において、カバー部10aの内部に作業者の手が挿入出来る程度の長さにすると良い。これにより、照明器具1aの設置時又は内部部品の交換時において、作業者は、吊り具71及び電線31の接続を外すことなく作業ができる。
【0041】
図12は、実施の形態1に係る照明器具1aの接続ユニット70の変形例を示す模式図である。変形例の接続ユニット70は、結束部材74の代わりに結束部材75を2箇所設けている。結束部材75は、帯状の部材の両端同士を固定して、電線31と吊り具71の本体部72とを結束している。この構成によれば、結束部材75の電線31及び吊り具71を覆う部分が小さいため、接続ユニット70を照明器具1aの内部に収める際に、折りたたみ易いという利点がある。
【0042】
<照明器具1aの効果>
以上のように、実施の形態1に係る照明器具1aによれば、点灯装置30を備える本体ユニット60と、光源5を備え、本体ユニット60に取り付けられるカバー部10aと、一方の端部が本体ユニット60に取り付けられ、他方の端部がカバー部10aに取り付けられる吊り具71と、一方の端部が点灯装置30に接続され、他方の端部が光源5に接続される電線31と、を備える。そして、電線31は、吊り具に沿って引き回される。また、吊り具71は、可撓性を有する。さらに、電線31と吊り具71とを束ねる結束部材74を更に備える。
これらの構成により、吊り具71と電線31とは、一体の部材として取り扱うことができ、本体ユニット60にカバー部10aを取り付けるときに電線31の挟み込みを抑制することができる。また、作業者は、電線31を照明器具1a内に収める作業も容易に実施できる。
【0043】
また、吊り具71は、線状の本体部72と、本体部72の両端に本体ユニット60又はカバー部10aに取り付けられる係合部材73と、を備えることにより、吊り具71を本体ユニット60及びカバー部10aに取り付ける作業が容易になる。係合部材73は、フック状の金具等により構成される。
【0044】
また、電線31は、吊り具71よりも長い。そのため、電線31にカバー組立体10の荷重が掛からず、電線31が保護される。
【0045】
結束部材74は、電線31と吊り具71とを長手方向に相対移動自在に束ねる。これにより、電線31の端部の長さの調整が可能となり、作業者は、点灯装置30又は光源部20へのコネクタ32及び33の接続作業が容易に行える。
【0046】
また、結束部材74は、可撓性を有する筒状部材である。これにより、吊り具71と電線31とを一体に束ねることができ、作業者は取り扱いが容易になる。また、結束部材74は、照明器具1aの内部において、電気部品と金属製の吊り具71との絶縁距離を確保することができる。
【0047】
また、実施の形態1に係る照明器具1aは、光源5が設けられているカバー部10aと、一方の面が被取付部に取り付けられ他方の面が開口された本体ユニット60と、本体ユニット60の他方の面側に突出して設けられ、先端にカバー部10aが固定されるカバー部取付部材61aと、を備える。カバー部10aは、筒状のカバー側面部13と、光源5からの光が射出される出射口14を備える底面10eと、を備える。カバー部10aは、カバー側面部13の中心軸に沿って本体ユニット60の他方の面を覆うように本体ユニット60に取り付けられる。カバー側面部13は、内周面に固定されたカバー部10aの内側に向かって突出するガイド金具12を備える。ガイド金具12は、カバー部取付部材61aに嵌合し、カバー側面部13の中心軸に沿った方向に摺動自在に構成されている。
このように構成されていることにより、カバー部10aは、本体ユニット60に対し光軸Lを中心とした回転方向の位置決めを容易に行うことができる。よって、カバー組立体10と本体ユニット60との間を接続する電線31がねじれるのを抑制することができるため、照明器具1aは、電線31の断線及び接続不良を抑制することができる。また、照明器具1aは、吊り具71と電線31とが一体化している接続ユニット70を更に備えており、ガイド金具12と接続ユニット70との位置関係が決まっているため、組み立て時に電線31を照明器具1a内の所望の位置に配置し易い。
【0048】
また、ガイド金具12は、カバー側面部13の中心軸に垂直な断面において、カバー側面部13の内側面からカバー部10aの内側に向かって延びる2つのガイド部12bを備える。そして、カバー部取付部材61aは、2つのガイド部12bの間に位置する。
また、2つのガイド部12bの間隔は、本体ユニット60側が広く、底面10e側が狭い。
または、ガイド金具12は、カバー側面部13の中心軸に垂直な断面において、カバー側面部13の内側面からカバー部10aの内側に向かって延びるガイド部12bを備える。そして、カバー部取付部材61aは、カバー側面部13の中心軸に垂直な断面において、カバー側面部13の内側面に向かって開放された溝部62を備える。ガイド部12bは、溝部62の内側に位置する。そして、カバー部取付部材61aは、先端にカバー部10aが固定される取付面61bを備える。そして、取付面61bは、カバー側面部13の中心軸方向の視点において、溝部62よりも中心軸側に位置する。
以上のように、ガイド金具12とカバー部取付部材61aとを用いたガイドは、必要に応じ、他の形態を取ることができる。つまり、照明器具1aは、カバー部10aとカバー部取付部材61aとの固定部の配置、内部の点灯装置30、又は光源部20の配置に応じてガイド金具12及びカバー部取付部材61aの形状を変更しても良い。
【0049】
また、カバー部10aは、外観面にガイド金具12の位置を示すマーキングを備えても良い。これにより、照明器具1aは、本体ユニット60とカバー部10aとの位置合わせが容易になり、組み立て作業性が向上する。
【0050】
<照明器具1aの変形例>
図13は、実施の形態1に係る照明器具1aの変形例である照明器具101aの斜視図である。図14は、図13の照明器具101aを構成する本体ユニット160の分解斜視図である。図15は、図13の照明器具101aを構成するカバー組立体110の分解斜視図である。照明器具1aの変形例である照明器具101aは、例えば天井などに埋め込む形式の照明器具であり、照明器具1aに対しカバー部110a及び本体ユニット160の構造が異なる。
【0051】
照明器具1aの変形例である照明器具101aの本体ユニット160は、照明器具1aの本体ユニット60を構成する本体構造部60aと異なり、深い有底筒形状になっている。これに伴い、カバー部110aを固定するカバー部取付部材161aは、L字形状の金具で構成されている。カバー部取付部材161aは、本体構造部160aの筒部の内側面に固定され、取付面161bを本体構造部160aの開口から突出させている。
【0052】
照明器具1aのカバー部10aは、筒体により点灯装置30を覆える程度に深い有底筒形状であったが、照明器具101aのカバー部110aは、浅い有底筒形状に形成されている。ただし、光源部20等のその他の部品をカバー部110aに固定する構造は、実施の形態1に係るカバー組立体10と同様である。変形例の照明器具101aにおいても、光源部20とカバー部110aとの間に配置されるパッキン22は、出射口14からのはみ出しが抑制されるため、照明器具101aの内部の気密性及び防水性を向上させることができる。
【0053】
照明器具101aは、照明器具1aと比較してカバー組立体110の内部構造が視認し易いため、組立てが容易であるという利点がある。なお、照明器具101aは、照明器具1aのカバー部10aに設けられているガイド金具12を備えていない。
【0054】
図16は、図13の照明器具101aの本体ユニット160からカバー組立体110を取り外した状態の側面図である。なお、図16において、本体ユニット160及びカバー組立体110の構造は、模式的に表示されている。接続ユニット70は、照明器具101aにも照明器具1aと同様に取り付けることができる。この構成を備えることにより、変形例の照明器具101aは、照明器具1aと同様の効果を得られる。
【符号の説明】
【0055】
1a 照明器具、5 光源、9 ホルダ、9a 係合部、9b L字リブ、10 カバー組立体、10-1 ねじ、10-3 ビス、10-4 ねじパッキン、10a カバー部、10b 面、10c パッキン配置面、10d 接続面、10e 底面、11 カバー前面部、12 ガイド金具、12a 接合部、12b ガイド部、12c 内側面、12d ガイド部、13 カバー側面部、14 出射口、15 表示口、16 開口部、20 光源部、21 光学制御部材、21a 光学制御部、21b 鍔部、22 パッキン、22a 内周部、22b 厚肉部分、22c 内周側先端部、22d 外周部、22e 接続部、22f 傾斜面、23 モニタパッキン、27 放熱板、30 点灯装置、31 電線、32 コネクタ、33 コネクタ、40 電源端子台、50 筐体、60 本体ユニット、60a 本体構造部、60b 筒部、61a カバー部取付部材、61b 取付面、61c ねじ穴、61d 側面部、62 溝部、63 係止部、70 接続ユニット、71 吊り具、72 本体部、73 係合部材、74 結束部材、75 結束部材、80 天面、90 防水パッキン、101a 照明器具、110 カバー組立体、110a カバー部、122 パッキン、122a 内周部、160 本体ユニット、160a 本体構造部、161a カバー部取付部材、161b 取付面、L 光軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図16