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特許7293016車両用の装置及び車両用のコンポーネントを分解する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】車両用の装置及び車両用のコンポーネントを分解する方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/34 20110101AFI20230612BHJP
   B60R 21/0136 20060101ALI20230612BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B60R21/34
B60R21/0136 310
B60R21/0134 310
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019131837
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2020011720
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10 2018 211 919.8
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ フライエンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ カミル
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-160074(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189140(WO,A1)
【文献】特開2006-219119(JP,A)
【文献】特開2009-234462(JP,A)
【文献】特開2016-107647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/34
B60R 21/00-21/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用の装置(105)であって、
前記装置(105)は、
前記車両(100)用のコンポーネント(110)と、
起動信号(120)に応答して前記コンポーネント(110)の分解を引き起こすように構成された爆発ユニット(115)と、
を備え
前記コンポーネント(110)は、ケーシング(305)と、前記ケーシング(305)内に配置され、センサビームを送信する送信ユニット(310)と、前記ケーシング(305)内に配置され、前記センサビームを偏向する鏡(315)と、を含み、
前記爆発ユニット(115)は、分解時に前記ケーシング(305)を少なくとも2つの部分に分解するように構成されている、
ことを特徴とする装置(105)。
【請求項2】
前記コンポーネント(110)は、前記車両(100)の外側ボディ部に配置可能であり又は外側ボディ部であるように構成されている、
請求項1に記載の装置(105)。
【請求項3】
前記コンポーネント(110)は、環境検出ユニット又は照明ユニットである、
請求項1又は2に記載の装置(105)。
【請求項4】
前記コンポーネント(110)は、車両構造部である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置(105)。
【請求項5】
前記爆発ユニット(115)は、パイロ技術による爆発カプセル(125)を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置(105)。
【請求項6】
前記爆発ユニット(115)は、前記車両(100)の前記コンポーネント(110)に固定されている、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置(105)。
【請求項7】
前記装置(105)は、前記コンポーネント(110)の構成要素を分解まで遮蔽しておくように構成された遮蔽ユニット(330)を含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置(105)。
【請求項8】
前記装置(105)は、分解後に前記コンポーネント(110)の個別部分を捕捉するように構成された捕捉ユニット(335)を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置(105)。
【請求項9】
前記車両(100)に現時点で作用している及び/又は作用することが予測される衝突作用(135)に応じて前記起動信号(120)を供給するように構成された供給ユニット(130)を含む、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の装置(105)。
【請求項10】
車両(100)用のコンポーネント(110)と、起動信号(120)に応答して前記コンポーネント(110)の分解を引き起こすように構成された爆発ユニット(115)と、を備える、車両(100)用の装置(105)における前記コンポーネント(110)を分解する方法(400)であって、
前記コンポーネント(110)は、ケーシング(305)と、前記ケーシング(305)内に配置され、センサビームを送信する送信ユニット(310)と、前記ケーシング(305)内に配置され、前記センサビームを偏向する鏡(315)と、を含み、前記爆発ユニット(115)は、分解時に前記ケーシング(305)を少なくとも2つの部分に分解するように構成されている、方法(400)において、
前記車両(100)に作用する衝突作用(135)を示す起動信号(120)を読み込むステップ(405)と、
前記起動信号(120)の読み込みに応じて、爆発ユニット(115)を用いて、前記コンポーネント(110)の分解を引き起こすステップ(410)と、
を含む、方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、各独立請求項の上位概念に記載した装置又は方法を基礎とする。
【背景技術】
【0002】
車両は、車両表面又は車両内の潜在的な衝突領域に配置され得る車両コンポーネント、例えば、センサシステム又はボディ構成要素を含み得る。車両と他の交通加入者又は障害物との衝突の際には、こうした車両コンポーネントが損傷を受け又は障害を発生することがあり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の開示
こうした背景を前提として、ここで提案するアプローチによって、各主請求項による、車両用の装置及び車両用のコンポーネントを分解する方法が提案される。各従属請求項に記載した措置によって、独立請求項に記載した装置の有利な実施形態及び改善形態が得られる。
【0004】
ここでのアプローチにより、車両の衝突時に衝突によって発生する障害を低減することが可能な装置が提案される。このことに関して、車両のコンポーネントは、コンポーネントの分解により、有利には、車両又は衝突対象物における障害、例えば他の交通加入者における障害を回避又は防止するために、場合により、小さな複数の部分に分解することができる。コンポーネントの分解により、有利には、分解したコンポーネントの例えば重量、幾何学形状、寸法又は組み込み位置に起因して、分解を行わない場合に発生する損傷を、最小化又は防止することができ、このため、交通安全性を高め、衝突時のコストを低減することができる。
【0005】
車両用の装置が提案される。当該装置は、車両用のコンポーネント及び爆発ユニットを含む。爆発ユニットは、起動信号に応答してコンポーネントの分解を引き起こすように構成されている。
【0006】
車両とは、自動車、例えば、乗用車、バス、商用車若しくは貨物、又は、人員を輸送する輸送車両であると理解することができる。車両は、自動運転モードを有する車両、即ち、運転者なしで走行可能な車両として、例えば自律運転する自動車の形態において構成することが可能である。装置は、爆発ユニットを含むコンポーネントと理解することができる。ここで、コンポーネントとは、既に車両において使用されているモジュールであってよい。装置は、車両用のコンポーネントとして、例えばLiDAR環境センサ又はレーダセンサなどのセンサシステムを含むことができる。代替的に、装置が、コンポーネントとして例えば、ヘッドランプケーシングなどの車両部分を含んでもよく、又は、コンポーネントがバンパなどの車両ボディ部であってもよい。また、装置は、起動信号に応答して複数のコンポーネントを分解するように構成することが可能であり、又は、車両が複数のコンポーネントを分解する複数の装置を含んでもよい。爆発ユニットは、コンポーネントを複数の小さな部分に分解するように構成することが可能である。この場合、当該分解は、コンポーネントが複数の部分へ分解され、その大きさ及びその重量に関して車両の衝突時の障害が最小化されるように、設定することができる。起動信号は、例えば、他車両、交通加入者又は障害物との衝突の際に起こって車両に作用する衝突作用を示すことができる。また、起動信号は、例えば、車両のセンサユニットが検出した切迫している衝突に基づいて、障害を最小化すべく衝突前に既に分解を指示するために、未来に切迫している衝突作用を示すこともできる。起動信号は、電気信号又は無線信号であってよい。さらに、起動信号は、センサユニットを使用して検出された信号をシミュレートすることが可能である。起動信号は、コンポーネントの分解のための爆発ユニットを駆動するように構成することが可能である。
【0007】
組み付けられた状態において、コンポーネントは、車両の、外部対象物との衝突を起こし得る領域に配置することが可能である。例えば、コンポーネントは、車両の外側ボディ部であってよく、又は、車両の外側ボディ部に配置されるように構成可能及び/又は形成可能である。こうしたコンポーネントについては、車両の動作安全性を高めるために、分解が特に有意義であり得る。
【0008】
一実施形態によれば、車両のコンポーネントは、環境検出ユニット又は照明ユニットであってよい。環境検出ユニットとして、コンポーネントは、例えば、センサケーシング、及び、LiDARセンサ、レーダセンサ、又は、モノカメラ若しくはステレオカメラを含むことができる。照明ユニットとして、コンポーネントは、例えば、ヘッドランプケーシング及び少なくとも1つの光源を含むことができる。環境検出ユニット及び照明ユニットは、車両の車両外縁部に配置することが可能である。起動信号に応答して環境検出ユニット又は照明ユニットを分解することにより、有利には、コンポーネントの機能に基づく組み込み位置及びコンポーネントの形状にもかかわらず、車両での障害、及び、付加的若しくは代替的に衝突相手方の障害の最小化を達成することができる。
【0009】
また、一実施形態によれば、コンポーネントは、車両構造部であってもよい。車両構造部は、例えば、衝突の際にわずかに撓む車両部分、例えばバンパ、サイド部材若しくはクロス部材又は他のボディコンポーネントであってよい。当該実施形態も、衝突時の障害の最小化に関して利点を提供する。
【0010】
爆発ユニットは、一実施形態によれば、少なくとも1つの、パイロ技術による爆発カプセルを含むことができる。コンポーネントのパイロ技術的分解を行うために、爆発カプセルは火工品を含み得る。爆発カプセルは、コンポーネントの領域に配置することが可能である。爆発ユニットは、複数の爆発カプセルを含むことができる。爆発ユニットは、コンポーネントの分解のために、起動信号に応答して少なくとも1つの爆発カプセルを起動し、パイロ技術作用を発生させるように構成することが可能である。有利には、このようにして、コンポーネントの分解を、特に簡単かつ低コストに実現することができる。
【0011】
また、一実施形態による爆発ユニットは、車両のコンポーネントに固定することが可能である。爆発ユニットが爆発カプセルを含む場合、例えば、爆発カプセルは、コンポーネント、例えば当該コンポーネントのケーシングに固定することが可能である。爆発ユニットが例えば複数の爆発カプセルを含む場合、コンポーネントの均等な分解のために、複数の爆発カプセルを均等な間隔でコンポーネントの周囲に配置し、当該コンポーネントに固定することができる。代替的に、例えばコンポーネントを種々の大きさの部分に分解するために、複数の爆発カプセルを不規則にコンポーネント上に分散配置することもできる。有利には、コンポーネントへの爆発ユニットの固定は、省スペースで実現することができ、特に効率的なコンポーネントの分解が可能となる。
【0012】
装置は、一実施形態によれば、遮蔽ユニットを含むこともできる。遮蔽ユニットは、コンポーネントの構成要素を分解まで遮蔽しておくように構成することが可能である。従って、有利には、遮蔽ユニットにより、コンポーネントの構成要素は分解まで保護することが可能である。これに関して、遮蔽ユニットは、例えば、コンポーネントの構成要素の周囲に配置された保護セルであってよい。遮蔽ユニットは、分解の際にコンポーネントの構成要素を例えば再使用することが可能となるように遮蔽する、分解不能なユニットとして構成することが可能である。これにより、有利には、特に重要な又は高価な構成要素を分解まで遮蔽して、コストを低減することができる。コンポーネントが例えばLiDARセンサを含む環境検出ユニットである場合、遮蔽ユニットは、構成要素としての、例えば環境検出ユニットの検出器及びレーザモジュールを遮蔽するように構成することが可能である。
【0013】
さらに、装置は、一実施形態によれば、捕捉ユニットを含むことができる。捕捉ユニットは、分解後にコンポーネントの個別部分を捕捉するように構成することが可能である。捕捉ユニットは、例えば、捕捉ネットとして構成することが可能である。捕捉ユニットは、例えば、コンポーネント全体を包囲し、分解後にコンポーネントの全ての個別部分を捕捉するように構成することが可能である。捕捉ユニットに捕捉されたコンポーネントの個別部分は、これによりフレキシブルな物体となり得るので、こうして、分解により、障害の最小化を達成することが可能である。同時に、捕捉ユニットは、有利には、分解後のコンポーネントの個別部分をグループ化することができ、重要な個別部分の検出及び再使用が容易となる。ここで、さらには、将来世代のコンポーネントコンセプトを改善する目的で、例えば他の固定技術又はコンポーネントの他の幾何学形状を計算するために、分解したコンポーネントの事後分析も可能である。
【0014】
コンポーネントは、一実施形態によれば、ケーシングと、当該ケーシング内に配置され、センサビームを送信する送信ユニットと、任意選択肢としての、ケーシング内に配置され、センサビームを偏向する鏡と、を含むことができる。爆発ユニットは、分解時にケーシングを少なくとも2つの部分に分解するように構成することが可能である。コンポーネントは、例えば環境検出ユニットであってよい。ケーシングは、環境検出ユニットを完全に又は部分的に取り囲むことができる。ケーシングは、コンポーネントの外側カバーであってもよい。送信ユニットは、レーザ及び検出器セルであってもよい。センサビームは、レーザビームであってもよい。鏡は、回転軸線を中心として回転する鏡であってもよい。爆発ユニットは、コンポーネントの上述した構成要素の全てを個別部分に分解するように、又は、特に構成要素が例えば遮蔽ユニットによって遮蔽されている場合には、上述した構成要素のいずれか、例えばレーザ及び検出器セルを分解しないように、構成することが可能である。
【0015】
一実施形態によれば、装置はまた、供給ユニットを含むことができる。当該供給ユニットは、車両に現時点で作用している衝突作用及び/又は作用することが予測される衝突作用に応じて起動信号を供給するように構成することが可能である。即ち、車両に作用する衝突作用とは、未来に起こり得る衝突作用又は現時点で起こっている衝突作用又は既に起こった衝突作用であると理解することができる。供給ユニットは、現時点で作用している衝突作用又は作用することが予測される衝突作用を識別するために、センサを含むことができ、又は、相応のセンサに結合することができ、又は、相応のセンサから供給される情報を受信することができる。付加的に又は代替的に、供給ユニットは、コンポーネント、例えば環境検出ユニットであってよい。また、供給ユニットは、コンポーネントの分解のために爆発ユニットを駆動するように構成された制御機器であってもよい。有利には、起動信号は、このように、車両センサシステム、例えば内部に組み付けられた慣性センサシステムに基づいて、起動待ち時間の最小化のために準備することが可能である。起動信号の供給は、高速で接近する対象物の識別に基づいて、また、付加的又は代替的に車両の自速が大きい場合に行うことができ、これにより、起動信号は、有利には、切迫している衝突の前に供給することが可能である。こうして、例えば環境センサが高速で接近する対象物を検出した場合、いわば「予測起動」が可能となり、分解のための時間的利点が得られる。
【0016】
さらに、車両用のコンポーネントを分解する方法が提案される。当該方法は、読み込みのステップ及び反応のステップを含む。読み込みのステップにおいては、車両に作用する衝突作用を示す起動信号が読み込まれる。反応のステップにおいては、起動信号の読み込みに応じて、爆発ユニットを用いて、コンポーネントの分解が引き起こされる。
【0017】
当該方法は、例えば、ソフトウェア若しくはハードウェアとして、又は、ソフトウェア及びハードウェアの混合形態において、例えば制御機器内に構成することが可能である。
【0018】
ここで提案するアプローチの各実施例を図示し、以下の説明において詳細に説明する。図面には、以下のことが示されている。
【0019】
本発明の方法の有利な一実施形態においては、反応のステップの前に、コンポーネントの準備のステップが行われる。
【0020】
当該ステップにおいては、コンポーネントは、アクティブ状態から準備状態へ移行される。
【0021】
アクティブ状態においては、コンポーネントは、意図されているそのタスクに対応して機能する。検出ユニットを含む環境センサにおいては、このことは、例えば、検出ユニットが環境の検出を可能とするように構成されることを意味し得る。
【0022】
準備状態においては、意図されているタスクは、コンポーネントによって実行不能であり、又は、限定的にしか実行可能とならない。検出ユニットを含む環境センサにおいては、このことは、例えば、検出ユニットが遮蔽ユニットによって保護され、このため、検出ユニットによる環境の検出が行われないように又は限定的にしか行われないように構成されることを意味し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施例による装置を備えた車両の概略図である。
図2】一実施例による装置を備えた車両の概略図である。
図3】一実施例による装置の概略図である。
図4】一実施例による、車両用のコンポーネントを分解する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好適な各実施例の以下の説明においては、種々の図面に示した、同様の機能を有する構成要素に同一又は同様の参照番号を使用し、これらの構成要素の繰り返しての説明は省略する。
【0025】
図1には、一実施例による装置105を備えた車両100の概略図が示されている。装置105は、車両100用のコンポーネント110と爆発ユニット115とを含む。爆発ユニット115は、起動信号120に応答して、コンポーネント110の分解を引き起こすように構成されている。一実施例によれば、起動信号120は、車両100に作用する衝突作用135の検出に応じて供給される信号を示している。ここで、起動信号120は、一実施例によれば、特に衝突作用135が装置105の組み付け位置で起こった場合又は予測される場合に供給される。
【0026】
例示的に、装置105が車両100のフロントバンパに組み付けられた装置105として示されている。他の可能な組み込み位置には、例えば車両100のリアバンパ又はドア領域、特に発生し得る衝突の直接の影響領域にある位置が含まれる。
【0027】
コンポーネント110は、一実施例によれば、環境検出ユニット又は照明ユニットである。別の一実施例によれば、コンポーネント110は、車両構造部である。
【0028】
爆発ユニット115は、ここに図示している実施例によれば、パイロ技術による爆発カプセル125を含む。任意選択肢として、爆発ユニット115はさらに、ここに図示しているように、コンポーネント110に直接に固定されており、例えば接着されている。この場合、起動信号120が、爆発カプセル125の爆発を引き起こすように構成されている。
【0029】
車両100は、ここに図示している実施例によれば、供給ユニット130を含む。供給ユニット130は、車両に作用する衝突作用135に応じて起動信号120を供給するように構成されている。供給ユニット130は、任意選択肢として、装置105の部分としても構成され得る。付加的又は代替的に、一実施例によれば、コンポーネント110が供給ユニット130となる。供給ユニット130は、例えば、衝突作用135を検出するための適当なセンサシステム、即ち、例えば、センサシステムの少なくとも1つのセンサ信号を評価し、当該評価に基づいて起動信号120を供給する又は供給しないように構成された適当な評価ユニットを含む。こうした評価ユニットは、例えば車両100の制御機器内に組み付けられている。
【0030】
ここに図示している実施例によれば、爆発ユニット115は、起動信号120を読み込むように構成されている。さらに、爆発ユニットは、起動信号120の読み込みに応じてコンポーネント110の分解を引き起こすように構成されている。起動信号120は、例えば、爆発ユニット115の点火のための点火電流を供給する、又は、こうした点火電流の供給に作用する点火信号である。
【0031】
車両100と、他車両又は保護されていない交通加入者、例えば歩行者若しくは自転車走行者との衝突が発生すると、車両100のコンポーネント110、例えば車両外縁部のセンサは、爆発ユニット115によるコンポーネント110の分解により、その重量、その幾何学形状、その組み込み位置及び把持力にもかかわらず、小さな危険性しか有さなくなる。センサケーシングの強度、センサケーシングで喪失された補償領域、又は、斜方投射の意味において加速されたセンサ重量そのものも、適当な分解後には、より小さな潜在的危険源となる。装置105を使用して、有利には、車両100の衝突時に発生する障害が最小化され、同時に、保護されていない交通加入者、例えば歩行者のための従来の保護措置が拡張される。
【0032】
ここに図示している実施例によれば、爆発ユニット115のパイロ技術による爆発カプセル125を用いたコンポーネント110の分解が行われる。ここでは、爆発カプセル125として、例えばエアバッグ用又はシートベルト用に既に大量生産によって使用されているようなパイロ技術による爆発カプセルを使用することが可能である。コンポーネント110の分解により、保護されていない交通加入者との事故の際の潜在的障害の大幅な低減、及び、自車両又は事故相手方車両での障害の最小化が可能となる。例えばコンパクトなセンサケーシングの形態のコンポーネント110は、この場合、小さく軽い個別部分に分解され、従って、より小さな危険源となる。爆発カプセル125の起動は、起動信号120に応答して行われる。起動信号120は、車両100に作用する、衝突の際に潜在的に発生する衝突作用135を示し、又は、こうした衝突作用135の検出に応じて供給される。起動信号120は、任意選択肢としては、例えば車両100のエアバッグを起動するために加速度センサから供給される外部信号に基づく。付加的又は代替的に、起動信号120は、例えば、コンポーネント110が環境検出ユニットとして構成されている又は環境検出ユニットを含む場合、コンポーネント110から直接に供給される。例えば、起動信号120は、コンポーネント110の内部に組み付けられた慣性センサシステムにより供給される。これにより、起動待ち時間の最小化を達成することができる。起動信号120は、任意選択肢としては、対象物が高速で車両100に接近する場合、また、付加的又は代替的に、車両100の自速が大きく、当該車両100の前方に静止対象物が存在する場合に、供給される。これにより、衝突前に既に分解を導入することができ、このことが時間利得を意味するので、時間的利点が得られる。当該方法の一実施形態においては、潜在的に危険な組み込み位置に配置された全てのコンポーネント110、例えばセンサの分解を、遅くとも車両100の衝突発生時に行うことができ、これにより早期の保護機能が得られる。
【0033】
図2には、一実施例による装置105を備えた車両100の概略図が示されている。ここには、車両100における装置105の例示的な配置が示されており、装置105は、図1に即して説明した装置に類似している又は相当する。ここでの図示では、例示的に、車両100の車両フロント部における装置105の典型的な組み込み位置が示されている。付加的又は代替的に、装置105はまた、車両100の、爆発ユニットによって分解することが可能なコンポーネントの配置及び形状に応じて、サイド部、リア部内、例えばバンパ、サイドミラー内、フロントガラスの裏側又は車両100のルーフ上に配置することが可能である。現世代及び将来世代の自動車の自動化がさらに進めば、環境センサ、例えば、カメラシステム、レーダ、LiDAR、超音波センサシステム又はこれらに類似のものへの直接の依存も可能である。当該環境センサは、例えば、コンポーネントとして、例えばインサイドアウト構成により、ここで図示している装置105に組み込まれる。この場合、車両100への組み込みは、改善された検出条件に基づいて、当該図2に示されているように、特に車両100の外縁部に行うことができる。当該実施例によれば、例えば車両フロント部のバンパに組み込まれた装置105のコンポーネントは、部分的に車体から形成されている。また、移動手段、例えばシャトル又はロボットタクシーの分野、及び、任意選択肢として車両100当たり複数の環境センサを組み込む分野での開発に関連して、装置105の使用は、有利には、発生する障害の低減及び保護されていない交通加入者、例えば歩行者のための保護措置に関する。
【0034】
図3には、一実施例による装置105の概略図が示されている。ここで図示している装置105は、例えば図1に即して説明した装置の実施例である。コンポーネント110は、ここで図示している実施例によれば、ケーシング305と、当該ケーシング305内に配置され、送信ビームを送信する送信ユニット310と、当該ケーシング305内に配置され、センサビームを偏向する鏡315と、を含む。爆発ユニット115は、ケーシング305を少なくとも2つの部分に分解するように構成されている。
【0035】
ここで、爆発ユニット115は、例示的に、複数のパイロ技術による爆発カプセル125を含む。図示の爆発カプセル125は、起動時に、パイロカプセルの爆発反応を発生する。この場合、コンポーネント110は、例示的にLiDAR環境センサとして構成されており、対応して、送信ユニット310は、レーザ及び検出器セルとして構成されており、鏡315は回転軸線320を有する回転鏡として示されている。爆発カプセル125は、ケーシング305に配置されている。ケーシング305の各角部が例示的に爆発カプセル125を1つずつ有しており、また、鏡315の回転軸線320の領域、即ち、直方体状のケーシング305の、図示の各側面のうち2つの側面の長手軸線のほぼ中央にも、それぞれ1つずつ爆発カプセル125が配置されている。コンポーネント110の分解は、当該図3においては、コンポーネント110から放射状に出ている矢印325によって示されている。
【0036】
一実施例によれば、装置105は、遮蔽ユニット330を含む。遮蔽ユニット330は、コンポーネント110の分解までコンポーネント110の構成要素を遮蔽しておくように構成されている。ここで図示している実施例においては、コンポーネント110の構成要素として、送信ユニット310が遮蔽されている。遮蔽ユニット330は、保護セル及びコンポーネント110の構成要素を、例えば爆発ユニット115によるコンポーネント110の分解時に分解不能なように構成された構成要素ケーシングの形態において、形成している。コンポーネント110の構成要素全体の完全な破壊、場合により重要な、例えばここに図示しているセンサコンポーネントとしての送信ユニット310の完全な破壊を防止するために、遮蔽ユニット330、例えば「保護セル」は、重要なコンポーネントの周囲、ここに例示的に図示しているLiDAR環境センサのケースにおいては、検出器及びレーザモジュール310の周囲において、爆発過程に対する機械的保護を行うことができる。これにより、保護されているコンポーネント110の構成要素は、分解にいたらず、破壊されない。この場合、遮蔽ユニット330は保護すべき部分をグループ化して機械的に遮蔽する分解不能なユニットである。よって、コンポーネント110の構成要素の再使用も可能となる。
【0037】
また、ここで図示している装置105は、捕捉ユニット335を含む。捕捉ユニット335は、分解後のコンポーネント110の個別部分を捕捉するように構成されている。捕捉ユニット335は、任意選択肢として、捕捉ネットの形態において構成されている。こうした捕捉ネットは、コンポーネント110の全ての構成要素に対して上位のグループ化を可能にするために、ケーシング305全体の周囲に巻き付けることができる。捕捉ユニット335の捕捉ネット内の分解したコンポーネント110、ここに図示している実施例においては、分解したLiDAR環境センサユニットは、分解過程の後、よりフレキシブルな物体となり、良好な保護作用を満足し、ここで、捕捉ユニット335は、全ての構成要素305,310,315をまとめて有する。ここでは、重要な構成要素の検出及び再使用、並びに、将来世代のコンポーネント110の形成を改善する目的で、例えば他の固定技術及びコンポーネントの他の幾何学形状を計算するための、分解したコンポーネント110の事後分析が容易となるので、有利である。
【0038】
代替的に、分解時に発生する各部分が、保護すべき領域、例えば車両のキャビン又は機関室への侵入を防止することができるように、捕捉ユニット335をケーシング305の1つ又は複数の側面のみに配置してもよい。
【0039】
図4には、一実施例による、車両用のコンポーネントを分解する方法400のフローチャートが示されている。当該方法400は、読み込みのステップ405と反応のステップ410とを含む。読み込みのステップ405においては、車両に作用する衝突作用を示す起動信号が読み込まれる。反応のステップ410においては、起動信号の読み込みに応じて、コンポーネントの分解が引き起こされる。当該方法のステップ405,410は、先行の各図に即して説明した装置の各ユニットを使用して行うことができる。
図1
図2
図3
図4