(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】産業用カメラシステムの照明を制御する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G03B 15/05 20210101AFI20230612BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20230612BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20230612BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20230612BHJP
G03B 15/00 20210101ALN20230612BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B15/03 W
H04N23/56
H04N23/66
G03B15/00 U
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019132394
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】10 2018 119 182.0
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515183311
【氏名又は名称】バスラー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】BASLER AG
【住所又は居所原語表記】An der Strusbek 60-62 22926 Ahrensburg DE
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】クゼラナウスキ クリストフ
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-160083(JP,A)
【文献】特開2013-195644(JP,A)
【文献】特開2015-191000(JP,A)
【文献】特開2005-000631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0098225(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103713447(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/05
G03B 15/03
H04N 23/56
H04N 23/66
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用画像撮影システムにおける照明を制御する産業用カメラ(231)
用の装置であって、
・ 前記産業用カメラに配置され、前記産業用カメラ(231)の複数の画像撮影パラメータと、
前記産業用カメラ(231)から離れて配置された照明制御デバイス(220)設定用の複数の照明パラメータとを設定するように構成された操作インタフェース(212)と、
・ 前記産業用カメラに配置され、直接接続回線(200)を前記照明制御デバイス(220)に接続するように構成され、前記照明パラメータを前記照明制御デバイス(220)に伝送するための通信インタフェースと、
を備え
、
前記通信インタフェースは、前記照明制御デバイス(220)から前記産業用カメラ(231)へのフィードバックを含む双方向通信用に設定され、
前記通信インタフェースは、前記照明制御デバイス(220)の自動検出用のシグナリング、前記産業用カメラ(231)と前記照明制御デバイス(220)との自動パラメータ設定、単純なパルス操作、および/または前記産業用カメラ(231)による照明制御の引き継ぎのために用いられる、
装置。
【請求項2】
前記照明パラメータは、前記照明の明度、フラッシュ期間、および待ち時間、の少なくとも1つを設定するために用いられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記照明制御デバイス(220)からの前記フィードバックは、照明デバイス(221~22n)を備える
照明システムの構成を含む、請求項
1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記産業用カメラ(231)は、組込みビジョンシステム用のカメラモジュールを備える、請求項1から
3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記操作インタフェース(212)は、GenICam準拠のインタフェースを含む、請求項1から
4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記接続回線(200)は、バイナリ情報の伝送用に適用される、請求項1から
5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記通信インタフェースは、照明デバイス(221~22n)の光パラメータ、エラー、および照明状態の少なくとも1つを前記産業用カメラ(231)にフィードバックするために用いられる、請求項
1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記産業用カメラ(231)による画像撮影の明度の制御は、前記通信インタフェースを介して前記照明の明度を制御することによっても行われる、請求項1から
7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
産業用画像撮影システムにおける照明を制御する方法であって、
・
産業用カメラ(231)の操作インタフェース(212)において、前記
産業用カメラ(231)の複数の画像撮影パラメータと、前記
産業用カメラ(231)から離れて配置された照明制御デバイス(220)設定用の複数の照明パラメータとを設定することと、
・ 前記
産業用カメラ(231)に配置され、前記
産業用カメラ(231)と前記照明制御デバイス(220)との間に直接接続回線(200)を有する通信インタフェースを介して、前記照明パラメータを前記照明制御デバイス(220)に伝送することと、
・ 前記照明制御デバイス(220)から
前記産業用カメラ(231)へのフィードバックを含む双方向通信用に前記通信インタフェースを設定することと、
・ 前記通信インタフェースを、前記照明制御デバイス(220)の自動検出用のシグナリング、前記産業用カメラ(231)と前記照明制御デバイス(220)との自動パラメータ設定、単純なパルス操作、および/または前記産業用カメラ(231)による照明制御の引き継ぎのために用いることと、
を含む方法。
【請求項10】
データキャリアに格納され、コンピュータデバイスによって実行されると、前記コンピュータデバイスに請求項
9に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、産業用カメラシステムの照明を制御する装置及び方法に関する。
【0002】
産業用カメラシステム(いわゆるマシンビジョンシステムすなわちMVシステム)の効果は、そのようなシステムの照明を含む多数の要素ひとつひとつによる相互作用に基づく。例として、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)による照明制御がそのようなシステムに導入されることが増えている。照明強度を最適化する必要があり、画像カメラと照明装置との間のシーケンスを正確にトリガする必要がある各画像処理システムにおいて、LED照明制御は不可欠な要素である。これは例えば、パルス制御またはフラッシュ制御(照明装置のスイッチオン期間がカメラおよび被写体と同期化される)、オーバーフラッシュ制御(所定の短い時間の間に照明装置からの光強度を高める)、定電流供給制御(安定性の高い定電流供給により照明が実行される)、マルチ照明システムの制御(単一トリガおよび複数トリガの強度制御および/または高速同期が実行される)、または照明システムパラメータのリモート設定が有利である場合のリモート制御によるシステムの構成変更(例えば、システム設定時の効果的な設定のため)の場合に当てはまる。
【0003】
LED照明装置は12Vまたは24Vの照明装置として構成されることが多いが、そのようなLEDは半導体素子であり、電圧ではなくその中を流れる電流が強度に直接的に影響する。ほとんどのLED製造業者は、効果的な電流制御を実行するべきであると指摘している。一般的に、LEDデータシートによると、LED電圧のきわめて小さい変化によりLED電流が大きく変化し、LED電流の大きな変化により出力光強度が大きく変化する。したがってLED制御では、出力光強度を安定させて正確に制御できるようにするために、電圧ではなく電流が制御される。このため、電流制御によってLED光の出力を正確に制御することができ、例えば、光の出力を増大させるための照明装置のオーバーフラッシュ制御が可能になり、ユーザにとってさらに有利になる。
【0004】
LED技術および材料科学は、近年めざましく発展している。新たなLEDは明度および光強度がより高いため、以前は白熱電球やその他の照明技術のみが用いられていたような用途にも用いることができる。したがって、新しい高出力のLED用に相応の強力な制御が必要とされる。
【0005】
照明制御は通常、パルス操作と連続操作とを操作モードとして用いる。連続操作では、照明は連続的にスイッチオンされる。設定する必要があるパラメータは照明強度のみであるため、これは最も容易な操作モードである。オーバーフラッシュは許可されない。パルス操作では、照明は要求に応じてのみスイッチオンされる。光パルスが必要になると、カメラから照明制御へと送られうるトリガ信号を制御が受信する。ここで、トリガ信号と出力パルスとの間の遅延、パルス長、およびパルス強度を構成可能にしてもよい。
【0006】
必要な強度パラメータ(用いるLED照明装置などの電流の名目値など)は一般的に、ユーザにより入力される。これは、ハードウェアユーザインタフェース、ウェブページベースのインターネットインタフェース、または照明制御デバイス(照明コントローラ)の構成またはアプリケーションプログラムによって実行してもよい。また、ファームウェア機能など、顧客固有の制御機能を設けてもよい。例として、各トリガイベントにおいて、異なる強度を有するパルスのシーケンスを異なる照明チャネルで出力してもよい。この場合、シーケンスの長さ、様々な強度、およびチャネルごとのパルス幅を構成可能である。
【0007】
したがって、制御可能な照明を備える従来の産業用カメラシステムは、主に3つの個別のシステム構成要素(カメラ、照明制御、および照明デバイス)によって動作する。これらの構成要素は異なる会社製であり、別々のユーザインタフェースを介してパラメータを設定することで互いに適応させる必要がある。これらの構成要素はユーザ側で、例えば対応する固有のウェブインタフェースを介して、構成し適応させる必要がある。これはかなり煩雑であり、ユーザの特定用途のために産業用カメラシステムを設定する際にかなりの労力を要する。
【0008】
したがって、本発明の目的は、産業用画像記録システムの照明制御の操作性を改善することである。
【0009】
本発明によると、この目的は、請求項1による装置、請求項11による方法、および請求項13によるコンピュータプログラムにより達成される。
【0010】
したがって、照明制御デバイスとの直接通信インタフェースを用いることにより、カメラパラメータの設定に加えて照明パラメータの設定にもカメラユーザインタフェースを用いることができる。これにより、産業用カメラに1つのユーザインタフェースのみ直接配置すればよくなる。したがって、用いる必要があるのは1つのソフトウェアインタフェースのみであるため、産業用画像撮影システム(MVシステム)全体の初期設定と操作がきわめて容易になる。また、直接通信インタフェースにより、産業用カメラと照明制御デバイスとの間に必要なケーブルまたはネットワーク接続の数を削減できる。さらに、通信インタフェースを介した双方向データ伝送の場合、照明制御デバイスから産業用カメラへフィードバックを実行してもよい。これにより、照明ステータス、すなわち動作状態、エラー状態、温度などをフィードバックして、カメラユーザインタフェースにおいてユーザに示すことができる。
【0011】
第1の有利な態様によると、前記産業用カメラは組込みビジョンシステムのためのカメラモジュールを備えてもよく、および/または前記ユーザインタフェースはGenICam準拠のインタフェースを含んでもよい。
【0012】
第2の有利な態様によると、前記接続回線はバイナリ情報を伝送するように適用されてもよい。
【0013】
第3の有利な態様によると、前記通信インタフェースは、前記照明制御デバイスの自動検出用のシグナリング、前記産業用カメラと前記照明制御デバイスとの自動パラメータ設定、単純なパルス操作、および/または前記産業用カメラによる前記照明制御の引き継ぎのために用いてもよい。
【0014】
第4の有利な態様によると、前記通信インタフェースは、光パラメータ、エラー、および照明状態、の少なくとも1つを照明デバイスから前記産業用カメラへとフィードバックするために用いてもよい。
【0015】
第5の有利な態様によると、前記照明の明度は、前記産業用カメラにより画像撮影の明度を制御するために前記通信インタフェースを介して制御されてもよい。
【0016】
前述の目的を達成するために提案される装置の構成要素は、個別に実装されても、またはディスクリート回路、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit:ASIC)、またはプログラマブル回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))として共に実装されてもよい。具体的には、産業用カメラは、拡張されたインタフェース機能を有する中心的要素としてFPGAを備えてもよい。また、方法クレームのステップは、その実行のためにマイクロコントローラのプロセッサを制御するソフトウェアプログラムまたはソフトウェアルーチンとして実装されてもよい。
【0017】
図面を参照し、好ましい実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
図1は、対応する自律制御インタフェースを備える照明制御の模式ブロック図である。
図2は、第1の実施形態によるカメラ側制御インタフェースを備える照明システムの模式ブロック図である。
図3は、第2の実施形態による照明制御を備える産業用画像撮影システムの一例である。
【0018】
以下の実施形態において、産業用カメラシステムの照明制御に対する改善された操作の概念を提示する。まず、出願人による開発の実際の内容に関する概要を示す。
【0019】
産業用カメラシステムの操作性は、標準化されたネットワークおよび通信アーキテクチャにより向上している。例として、カメラのインタフェース標準は「Gigabit-Ethernet for Machine Vision(GigE Vision)」標準によって定められている。この標準では、カメラとパーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)との間の通信に信頼性が高く手頃な価格のイーサネット(登録商標)ネットワーク技術を用いる。この点において、GigE Visionは、標準的なギガビットイーサネット回線を介したカメラとPC間の画像および制御信号の伝送に、オープンフレームワークを提供している。ケーブル長に関する利点に加えて、GigE Visionはデータセキュリティも向上させる。また、すべてのカメラに対するカメラ制御の汎用インタフェースが「Generic Interface for Camera(GenICam)」標準によって作成されている。このインタフェースはカメラのインタフェースや特性に左右されない。このインタフェースは、GigE、Camera Link、USBなどの様々な伝送媒体に用いることができる。その目的は、製造業者固有のソフトウェアを必要とすることなく、カメラ自体がどの機能が利用可能であるかをシステムに通知し、構成および画像供給に対する一意のアクセスを確保することである。したがって、産業用カメラのインタフェース技術(GigE VisionやCamera Linkなど)を、ユーザアプリケーションのプログラミングインタフェース(Application Programming Interface:API)から分離することができる。
【0020】
前述の標準を用いることで、照明制御の構成要素(例えば、コントローラ)と制御デバイス(例えば、パーソナルコンピュータ(PC))との間の直接通信により、産業用カメラシステムのユーザビリティを向上することができる。
【0021】
図1は、照明制御の模式ブロック図である。ここでは、例えば標準的なインタフェースを用いることができる。1つの産業用カメラシステム内の照明制御との統合用にアプリケーションインタフェース111を備える制御デバイス110(例えば、PC、ラップトップなど)が、例えば、任意のデータ接続リンク100(例えば、GigE Visionやイーサネット/IPなどのデータ通信ネットワーク)を介して照明制御デバイス(例えば、照明コントローラ)120に接続されている。これによりユーザは、制御デバイス110と、例えばアプリケーションインタフェース111のユーザインタフェースとを用いて、照明制御デバイス120に接続された光源121~12n(例えば、LED照明装置)の構成および/またはステータス監視を行ってもよい。照明制御デバイス120と光源121~12nとの間の電流供給およびデータ交換は、別々の回線接続で行ってもよい。
【0022】
また、産業用カメラ131の構成および/または画像撮影の制御は、制御デバイス110の対応するカメラインタフェース(例えば、GenICam、GigE Vision)112によって行ってもよい。ここでカメラは、例えば、照明制御を画像トリガに同期させるトリガ信号を、トリガ回線Tを介して照明制御デバイス120に発行してもよい。
【0023】
このように、照明制御を産業用カメラシステムに統合することができ、これによってユーザが光源121~12nを構成し、それらの状態を制御デバイス110を用いて監視することができる。例として、ユーザは、複数のカメラを含む産業用カメラシステム全体のタイミング制御と、照明のパルス操作とを、同じ制御デバイス110で設定してもよい。
【0024】
しかしながら、これには、照明制御デバイス120の制御とパラメータ設定は固有のアプリケーションインタフェース111を介して行わなければならず、照明制御デバイス120から産業用カメラ131への直接フィードバックは不可である、という欠点がある。
【0025】
実施形態によると、産業用カメラと照明制御デバイスとの間に新たなデジタル通信の選択肢が設けられ、単一のカメラ側ユーザインタフェースを介してMVシステム全体の設定およびパラメータ設定が可能になる。これによりユーザは、例えば、(ウェブベースの)カメラ設定を介して照明パラメータ(明度、フラッシュ期間、待ち時間など)を事前に設定してもよく、任意で双方向通信の場合に照明制御デバイスからフィードバック情報を受信してもよい。
【0026】
図2は、第1の実施形態による照明制御を備えるMVシステムの模式ブロック図である。
【0027】
図2によると、MVシステムは産業用カメラ231(例えば、GenICam準拠の有線MVカメラ)を備える。産業用カメラ231は、カメラ操作インタフェース212(例えば、GenICam、GigE Vision)を介して制御デバイス210(例えば、PC、ラップトップなど)によって制御およびパラメータ設定することができる。産業用カメラ231は、例えば、一般的なMV標準を満たしGenICamに準拠する、組込みビジョンシステム用のカメラモジュールであってもよい。様々な形式の組込みビジョンシステムを用いることができる。
【0028】
あるいは、産業用カメラ231は、シングルボードコンピュータ(Single Board Computer:SBC)でカメラおよび画像撮影を構成するためのプログラミングインタフェース(Application Programming Interface:API))によってカメラ操作インタフェース212を介して接続されるか、または低電圧差動信号方式(Low Voltage Differential Signalling:LVDS)に基づくデータ伝送を介して、システムオンチップ(System-on-Chip:SoC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array:FPGA)に直接接続されてもよい。これにより、産業用カメラ231を、例えば、携帯医療機器、自動ライセンスプレート検出用システム、産業用検査ソリューション、ステレオカメラまたはコードリーダなどの複数の組込みビジョンソリューションに用いることができる。
【0029】
カメラ操作インタフェース212は、ネットワークを介するインタフェース(例えば、GenICam準拠のカメラ操作インタフェース)であってもよい。カメラ操作インタフェース212は、好ましくは産業用カメラ231の筐体に直接接続されてもよく、これにより適切なプラグ要素を介して接続ケーブルを接続できる。GigE Vision、USB3 Vision、CoaxPress、およびCamera Linkは広く用いられている最新技術であり、カメラ操作インタフェース212と、標準に準拠した構成要素および機器とを互換にする。これらの技術はそれぞれ特定の要件、とりわけ帯域幅、マルチカメラ構成、またはケーブル長に関する要件を満たしている。また、用途の分野に応じてFireWireやUSB2.0などの旧来の技術を採用してもよい。
【0030】
カメラ操作インタフェース212のプログラミングインタフェースでは、任意のモデルの産業用カメラおよびオペレーティングシステムを修正することなく、既存のプログラムコードを用いてもよい。ここで、関連するソフトウェアパッケージは一般的に、開発プログラムセット(ソフトウェア開発キット(Software Development Kit:SDK))と、コンピュータシステム(例えば、Windows(登録商標) PC、Linux(登録商標) PC、またはMac-PC)による産業用カメラ231の操作を可能にするドライバおよびツールとで構成される。このソフトウェアパッケージは、すべてのオペレーティングシステム(Windows、Linux x86、Linux ARM、OS Xなど)およびすべてのインタフェースと標準(GigE Vision、USB3 Vision、IEEE1394、Camera Link、BCON for LVDSなど)に適切であってもよく、サポートされる複数のプログラミング言語(C、C++、C#、VB.Netなど)で一般的なカメラアプリケーション用のプログラミング例を多数含んでいてもよい。
【0031】
また、
図2によるMVシステムは、複数の照明デバイス(例えば、LED照明装置)221~22nを制御およびパラメータ設定する照明制御デバイス(例えば、照明コントローラ)220を備える。照明制御デバイス220は、直接接続回線200を介して産業用カメラ231に接続されてもよい。照明制御デバイス220は照明を制御する役割を担い、照明システムと別個であっても統合されていてもよい。
【0032】
第1の実施形態によると、カメラの一部ではない照明制御デバイス220を、カメラ操作インタフェース212を介して部分的または完全にパラメータ設定または制御することができてもよい。したがって、照明制御デバイス220から画像処理制御デバイス(制御デバイス210など)への接続は不要である。産業用カメラ231と照明制御デバイス220との直接通信は、例えば、バイナリ情報伝送用回線200(例えば、
図1に示すトリガ回線T)によって行われる。これにより、カメラ操作インタフェース212を介して照明を操作することができる。産業用カメラ231がなんらかの方法でトリガ信号を照明制御デバイス220に出力する場合、その目的に使用される回線が接続回線200として使用されてもよく、産業用カメラ231と照明制御デバイス220との間でデータおよび命令を交換することができる。これにより、照明制御デバイス220の操作(例えば、電流強度、フラッシュ期間などの設定)をカメラ操作インタフェース212を介して行ってもよい。その場合、対応する操作要素(例えば、GenICamノード)をカメラ操作インタフェース212に統合してもよい。
【0033】
照明制御デバイス220は、別個の筐体に、または照明モジュールに設けられる。照明制御デバイス220は、産業用カメラ231との通信を実行し、照明デバイス221~22nのドライバステージを駆動するマイクロコントローラを備えてもよい。
【0034】
第2の実施形態によると、産業用カメラ231と外部照明制御デバイス220との間に双方向インタフェースを設定してもよい。このインタフェースを介して、ユーザは、カメラ操作インタフェース212によって照明制御デバイス220および照明を制御および/または調整してもよく、例えば照明デバイス221~22nを備える照明システムの構成に関する、フィードバック情報を受信してもよい。したがって産業用カメラ231と照明制御デバイスとの間の双方向インタフェースは、1つのカメラ側ユーザインタフェース、すなわちカメラ操作インタフェース212のみを介した照明制御デバイス220および産業用カメラ231のパラメータ設定と制御とを可能にする。この場合、カメラ側ユーザインタフェースがGenICam標準をサポートしていてもよい。これによりユーザは、例えば、カメラ操作インタフェース212を介して照明パラメータ(明度、フラッシュ期間、待ち時間など)を設定したり、それぞれ問い合わせたりしてもよい。
【0035】
また、産業用カメラ231と照明制御デバイス220との間における双方向インタフェースへの直接接続回線200は、産業用カメラ231による接続された照明制御デバイス220の自動検出、および/または、産業用カメラ231と照明制御デバイス220との自動パラメータ設定、ならびに任意で産業用カメラ231による制御の引き継ぎ、のためのデータ交換に使用してもよい。これにより、光パラメータ(例えば、タイプ指定、最大電流など)を、例えば照明制御デバイス220または各照明デバイス221~22nから産業用カメラ231へと転送してもよい。自動検出は、例えば事前定義信号(信号シーケンス、データパターン、データシーケンスなど)を介して行われてもよい。この場合、産業用カメラ231は接続回線200を監視し、事前定義信号を検出すると制御の引き継ぎを要求し、照明制御デバイス220から正しい応答を受信すると制御を引き継ぐ。このようなカメラの自動パラメータ設定により、照明の時間シーケンスとライトのスイッチオンが自動的に最適に調整されるため、パルス式照明の利用がユーザにとって大幅に単純になりうる。パルス式照明により、ライトにおける熱生成が少なくなることで光強度が強くなり、同時に寿命も長くなる。
【0036】
産業用カメラ231は、双方向インタフェースを介して照明制御デバイス220の接続を検出してもよいため、自身を自律的にパラメータ設定してもよい(例えば、バイナリ出力を正しく構成するなど)。産業用カメラ231および照明制御デバイス220の特性は既知であるため、例えば、タイミング(例えば、フラッシュ期間、待ち時間など)が適切な方法で自動的に設定されてもよい。
【0037】
また、産業用カメラ231は、現在の明度を制御するために照明時間とゲインを適応させるだけでなく、照明の明度を適応させてもよい。産業用カメラ231は実像の明度に関する情報を有しているため、この制御は産業用カメラ231において特に理にかなっている。
【0038】
さらに、照明制御デバイス220は照明のステータス(準備状態、温度、エラーなど)について産業用カメラに通知してもよく、産業用カメラはカメラ操作インタフェース212を介してユーザにその状態を示してもよい。
【0039】
加えて、照明デバイス221~22nから産業用カメラ231への障害および/またはステータスの応答は、対応するフラグ情報を提供することで行ってもよい。これにより、産業用カメラ231は唯一のエラーフィードバック源という効果がある。
【0040】
照明制御デバイス220は独自のトリガ入力も備えてもよい。このトリガ入力により、産業用カメラ231を介さずにライトをスイッチオン/オフしてもよい。また、照明制御デバイス220に出力を設けてもよく、この出力によってエラー状態を示してもよい。
【0041】
カメラ操作インタフェース212は、照明制御デバイス220の制御だけでなく、レンズを制御するさらなる制御デバイス(
図2に図示しない)にも用いてもよい。
【0042】
これらの拡張された操作およびフィードバックの選択肢により、照明の統合および操作が大幅に単純になる。具体的には、ユーザが統合または設定する必要があるのは1つのプログラミングインタフェースのみである。
【0043】
図3は、第3の実施形態による産業用画像撮影システムの例を示している。このシステムでは、第1または第2の実施形態による照明制御を用いてもよい。この画像撮影システムは、3つの照明装置321~323を備えるカメラベースの測定システムである。このシステムは、コンベアベルト300により供給されるディスク状物体310、312の寸法を測定し、表面の欠陥や不純物を検査する。3つの照明装置321~323は、検査対象であるディスク状物体310の4つの画像を撮影する産業用カメラ331のカメラ操作インタフェース(
図3に図示しない)を介して制御およびパラメータ設定される。
【0044】
画像撮影プロセスの制御は画像撮影制御デバイス(
図3に図示しない)によって行われる。画像撮影制御デバイスは、産業用カメラ331への直接インタフェースによって制御される。第1画像において、検査対象のディスク状物体310の寸法を測定するために3つの照明装置321~323すべてがスイッチオンされ、産業用カメラ331がトリガされる。第2画像において、表面の欠陥を特定するために第2照明装置322のみが半分の出力で駆動され、産業用カメラ331がトリガされる。第3画像において、不純物を特定するために第1照明装置321が低出力で駆動され、産業用カメラ331がトリガされる。最後に第4画像において、表面下の特性を特定するために第3照明装置323が半分の出力で駆動され、産業用カメラ331が再度トリガされる。
【0045】
産業用カメラ331のカメラ操作インタフェースを介してプログラムされた照明制御は、照明制御デバイスを介して画像撮影ごとに起動される。トリガごとに、選択された異なる照明装置321~323が駆動され、異なる照明特性により4つの画像が撮影される。次の検査対象の物体312が現われると、画像撮影シーケンスが繰り返される。
【0046】
要約すると、産業用画像撮影システムにおいて照明を制御する装置および方法について説明した。この装置は、産業用カメラの複数の画像撮影パラメータと、照明制御デバイス設定用の複数の照明パラメータとを設定するための操作インタフェースを備える。また、直接接続回線を照明制御デバイスに接続し、照明パラメータを照明制御デバイスに伝送するための通信インタフェースが提供される。この通信インタフェースは、好ましくは、照明制御デバイスから産業用カメラへのフィードバックを含む双方向通信用に設定してもよい。
【0047】
本発明は前述の実施形態に限定されないことに注意されたい。むしろ、以下の特許請求の範囲内で様々な変更を行うことが可能である。特に、本発明はカメラと照明制御デバイスとの間の特定のデータ通信や特定のタイプのインタフェースにも、特定のカメラ操作インタフェースにも限定されない。他のシリアルインタフェースやパラレルインタフェースも同様に用いてもよい。本発明は、カメラと、照明制御に適切な制御可能デバイスとの間のあらゆるデータ伝送に関して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】対応する自律制御インタフェースを備える照明制御の模式ブロック図である。
【
図2】第1の実施形態によるカメラ側制御インタフェースを備える照明システムの模式ブロック図である。
【
図3】第2の実施形態による照明制御を備える産業用画像撮影システムの一例である。