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特許7293022ガス透過セル、ガス透過度測定方法、及びガス透過度測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ガス透過セル、ガス透過度測定方法、及びガス透過度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/08 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
G01N15/08 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019134586
(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公開番号】P2021018164
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390000686
【氏名又は名称】株式会社住化分析センター
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】行嶋 史郎
(72)【発明者】
【氏名】高萩 寿
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-003029(JP,A)
【文献】特開2013-124967(JP,A)
【文献】特開2014-122830(JP,A)
【文献】特表2017-502255(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135292(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/081855(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体に含まれる標的成分の試料に対する透過度を測定するガス透過セルであって、
平板状であり、第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し上記試料をシール材によって固定する試料固定治具と、
上記開口部を上記第1面側から包囲する凹部を有し、当該凹部の内側に検出ガスを供給する検出チャンバーと、を備え、
上記試料固定治具は、上記第1面で上記凹部を塞ぎ、上記検出チャンバーに着脱可能に取り付けられ、
上記試料が、上記開口部を閉塞し、かつ上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するようにして、上記シール材を介して上記試料固定治具に固定される、ガス透過セル。
【請求項2】
気体に含まれる標的成分の試料に対する透過度を測定するガス透過セルであって、
第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し、上記開口部を閉塞し、かつ上記試料が上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するように上記試料をシール材によって固定する試料固定治具と、
上記開口部を上記第1面側から包囲する凹部を有し、当該凹部の内側に検出ガスを供給する検出チャンバーと、
上記開口部の内側、第1面側、及び第2面側の何れかに上記試料を固定するための試料固定補助部材と、を備え
上記試料固定治具は、上記検出チャンバーに着脱可能に取り付けられる、ガス透過セル。
【請求項3】
気体に含まれる標的成分の試料に対する透過度を測定するガス透過セルであって、
第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し、上記開口部を閉塞し、かつ上記試料が上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するように上記試料をシール材によって固定する試料固定治具と、
上記開口部を上記第1面側から包囲する凹部を有し、当該凹部の内側に検出ガスを供給する検出チャンバーと、を備え、
上記試料固定治具は、上記検出チャンバーに着脱可能に取り付けられ、
上記試料固定治具は、上記第1面側における上記開口部の外周縁を囲うように切り出された段差部を有し、当該段差部に上記シール材を充填し、当該シール材を介して上記試料を固定する、ガス透過セル。
【請求項4】
上記開口部の内側、第1面側、及び第2面側の何れかに上記試料を固定するための試料固定補助部材をさらに備える、請求項1または3に記載のガス透過セル。
【請求項5】
上記試料固定治具は、上記第1面側における上記開口部の外周縁を囲うように切り出された段差部を有し、当該段差部に上記シール材を充填し、当該シール材を介して上記試料を固定する、請求項1または2に記載のガス透過セル。
【請求項6】
上記気体を供給する供給チャンバーをさらに備え、
当該供給チャンバーは、その内側に上記気体が供給される供給凹部を有し、
当該供給チャンバーは、上記第2面側から上記開口部を包囲し、かつ当該供給凹部を閉塞するようにして着脱可能に取り付けられる、請求項1~の何れか1項に記載のガス透過セル。
【請求項7】
上記試料固定治具は、上記検出チャンバーおよび上記供給チャンバーの少なくとも1つに治具固定部材によって固定される、請求項に記載のガス透過セル。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載のガス透過セルに上記気体を供給し、上記試料を透過して上記検出チャンバーに達した上記標的成分を検出する検出工程を含む、ガス透過度測定方法。
【請求項9】
上記試料は樹脂部材と薄膜部材との組合せであり、
上記薄膜部材は、不連続な部分を有しており、上記樹脂部材より低い上記標的成分の透過度を有しており、
上記樹脂部材は、上記薄膜部材の上記不連続な部分を補って、上記薄膜部材とともに上記試料固定治具における上記第1面側と第2面側との両面に対して露出されており、
上記不連続な部分は上記薄膜部材を貫通する孔である、請求項に記載のガス透過度測定方法。
【請求項10】
気体に含まれる標的成分の試料に対する透過度を測定するガス透過度測定方法であって、
第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し、上記開口部を閉塞し、かつ上記試料が上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するように上記試料をシール材によって固定する試料固定治具と、
上記開口部を上記第1面側から包囲する凹部を有し、当該凹部の内側に検出ガスを供給する検出チャンバーと、を備え、
上記試料固定治具は、上記検出チャンバーに着脱可能に取り付けられる、ガス透過セルに上記気体を供給し、上記試料を透過して上記検出チャンバーに達した上記標的成分を検出する検出工程を含み、
上記試料は樹脂部材と薄膜部材との組合せであり、
上記薄膜部材は、不連続な部分を有しており、上記樹脂部材より低い上記標的成分の透過度を有しており、
上記樹脂部材は、上記薄膜部材の上記不連続な部分を補って、上記薄膜部材とともに上記試料固定治具における上記第1面側と第2面側との両面に対して露出されており、
上記不連続な部分は上記薄膜部材を貫通する孔である、ガス透過度測定方法。
【請求項11】
上記シール材のガス透過度に対する上記樹脂部材のガス透過度は10以上である、請求項9または10に記載のガス透過度測定方法。
【請求項12】
上記シール材のガス透過度が上記樹脂部材のガス透過度以下であるとき、上記シール材の遅れ時間が上記樹脂部材の遅れ時間の2倍以上になるように上記シール材は設けられ、
上記遅れ時間は以下の式(1)を満たす、請求項9~11のいずれか一項に記載のガス透過度測定方法。
θ=L/6D・・・(1)
[式(1)中、θは遅れ時間、Lは接着長さ、Dはガス拡散係数を示す。]
【請求項13】
請求項1~のいずれか一項に記載のガス透過セルと、
上記気体から上記試料を透過して上記検出チャンバーに達した標的成分を検出する検出部と、を備えているガス透過度測定装置。
【請求項14】
請求項1~のいずれか一項に記載のガス透過セルに着脱可能に取り付けられる試料固定治具であって、第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し、上記開口部を閉塞し、かつ上記試料が上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するように上記試料を固定する、試料固定治具と、
上記試料を試料固定治具に固定するための上記シール材と、を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス透過セル、ガス透過度測定方法、及びガス透過度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電化製品や食品または薬品用パッケージ等において、電化製品やパッケージを構成するフィルム等の材料のシール部(封止部)からのガス透過評価のニーズが高まっている。例えば、特許文献1には、薄膜材料と樹脂部を組み合わせた試料を用いたガス透過度の測定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-134143号公報(2013年7月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な大きさや形状の試料のシール部(封止部)を形成する樹脂部材の測定のニーズが高まっており、当該樹脂部材のガス透過度の測定方法の開発が望まれている。
【0005】
本発明の一態様は、様々な形状の試料のガス透過度が測定可能なガス透過セルを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は下記の構成を採用することにより上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、気体に含まれる標的成分の試料に対する透過度を測定するガス透過セルであって、第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し、上記開口部を閉塞し、かつ上記試料が上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するように上記試料をシール材によって固定する試料固定治具と、上記開口部を上記第1面側から包囲する凹部を有し、当該凹部の内側に検出ガスを供給する検出チャンバーと、を備え、上記試料固定治具は、上記検出チャンバーに着脱可能に取り付けられる、ガス透過セルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、様々な形状の試料のガス透過度が測定可能なガス透過セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るガス透過度測定装置の一例を示す図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】本実施形態に係るガス透過セルの一例を示す部分拡大図である。
図4】本実施形態に係るガス透過セルの試料固定治具の変形例を示す図である。
図5】本実施形態に係るガス透過セルの一例を示す部分拡大図である。
図6】本実施形態に係るガス透過セルの一例を示す部分拡大図である。
図7】本実施形態に係るガス透過セルの一例を示す部分拡大図である。
図8】本実施形態に係るガス透過セルの一例を示す部分拡大図である。
図9】本実施形態に係るガス透過セルの一例を示す部分拡大図である。
図10】本実施形態に係るガス透過セルの一例を示す部分拡大図である。
図11】本実施形態に係るガス透過度測定装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<ガス透過度測定装置200>
以下、本発明の一実施形態について、図1を参照して以下に説明する。図1は、本実施形態に係るガス透過度測定装置200を示す概略図である。図1に示すように、ガス透過度測定装置200は、ガス透過セル100と検出部13とを備えている。なお、ガス透過度測定装置200は、ガス透過セル100を収納した状態において、図1における紙面上側に第1面1aと検出チャンバー6とが配置され、紙面下側に第2面1bと供給チャンバー2とが配置されているが、一実施形態に係るガス透過度測定装置では、ガス透過セルは、供給チャンバーと検出チャンバーとの間に試料固定治具が配置されていればよく、例えば、供給チャンバーが検出チャンバーに対して上側に配置されてもよく、試料固定治具を固定した状態で、検出チャンバーと供給チャンバーとが左右に並んで配置されていてもよい。
【0011】
〔ガス透過セル100〕
ガス透過セル100は、気体に含まれる標的成分の透過度を測定する試料10(第1基板10a、樹脂部材10b、および第2基板10c)を固定する。ガス透過セル100は、試料固定治具1と、供給チャンバー2と、検出チャンバー6と、を備える。試料10については後述する。
【0012】
(試料固定治具1)
図1に示すように、試料固定治具1は、第1面1a、第2面1b、および開口部1h(なお、開口部の内面を第3面1cとする)、を有する。試料固定治具1は、好ましくは、第1面1aと第2面1bとが互いに平行な平板状の治具(部材)であり、当該板状の治具の中心付近に第1面1aから第2面1bへと貫通する開口部が設けられ、第1面1aの周縁部分にて検出チャンバー6の凹部9の開口部を塞ぎ、第2面1bの周縁部分にて供給チャンバー2の供給凹部5の開口部を塞ぐ。試料固定治具1は検出チャンバー6に着脱可能に取り付けられている。試料固定治具1が検出チャンバー6から着脱可能であることにより、試料10の形状や大きさに応じて、試料固定治具1を取り換えればよく、試料専用の測定装置を準備する必要がない。試料固定治具1の材質には、試料よりもガス透過度の低い材質であればよく、例えば、金属およびセラミックス等が挙げられる。
【0013】
図1の例では、試料固定治具1は、第1面1aから第2面1bに貫通(連通)する開口部1hが設けられている。試料10は開口部1hを閉塞するように、試料固定治具1の第1面1a側に固定されている。ここで、試料10は、シール材18によって第1面1aに固定される。
【0014】
試料10における樹脂部材10bが第1面1a側(凹部9側)及び第2面1b側(供給凹部5側)の両面に対して露出するように、試料10がシール材18によって固定されている。試料10が試料固定治具1に固定されることによって、ガス透過セル100の供給凹部5(第1空間)と凹部9(第2空間)とが隔てられる。
【0015】
試料固定治具1は、試料10によって試料固定治具1の開口部1cを閉塞した状態において、その第2面1b側(供給凹部5側)及び第1面1a側(凹部9側)の両面に対して試料10の樹脂部材10bが露出するように固定されている。この状態において、ガス透過セル100は、試料固定治具1に固定されるガス透過セル100の供給凹部5と凹部9とが隔てられる。
【0016】
上記構成によって、試料固定治具1に固定された試料10は、第2面1b側(供給凹部5側)において、対象ガス(気体、第1ガス)に曝され、同時に第1面1a側(凹部9側)において、検出ガス(第2ガス)に曝されることが可能になる。
【0017】
(供給チャンバー2)
供給チャンバー(ガス供給室)2は、対象ガスが供給される供給凹部5を内側に備える。供給チャンバー2は、供給凹部5によって試料固定治具1の第2面1b側から開口部1hを包囲しつつ、供給凹部5の開口を試料固定治具1によって閉塞するように取り付けられる。
【0018】
対象ガスとして、測定の対象となる標的成分を含む気体が挙げられる。対象ガスの例として、水蒸気、酸素、窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素等の無機系ガス;メタン等の有機系ガス;等が挙げられる。
【0019】
供給凹部5には、気体を供給する第1供給口3と、気体を排出する第1排気口4とが設けられている。第1供給口3と第1排気口4はそれぞれ、供給凹部5の下部に設けられていても、側部に設けられていてもよい。また、第1供給口3と第1排気口4はそれぞれ、一つであっても複数であってもよい。
【0020】
図1の例では、供給凹部5の第1供給口3から矢印12aの方向に対象ガスが供給されて、供給凹部5中に対象ガスが充填される。そして、供給凹部5の第1排気口4から矢印12bの方向に対象ガスが排気される。このとき、供給凹部5の内側において、試料固定治具1の第2面1b側に露出している試料10が対象ガスに曝される。図1の例では、ここで、対象ガスが矢印12cの方向に供給される。
【0021】
(検出チャンバー6)
検出チャンバー(検出ガス室)6は、試料固定治具1の第1面1a側から、開口部を包囲する凹部9を含む。検出チャンバー6の凹部9は、試料10を挟んで供給凹部5に対向する位置に設けられる。検出チャンバー6の凹部9の内側に検出ガスが供給される。このとき、検出チャンバー6の凹部9の内側において、試料固定治具1の第1面1a側に露出している試料10が検出ガスに曝される。
【0022】
検出ガスには、対象ガスおよび対象ガスに含まれる標的成分を検出部に運ぶキャリアガスが挙げられる。キャリアガスは、測定の対象となる標的成分を含む対象ガスに対して不活性であれば特に限定されない。キャリアガスの例として、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素等のガスが挙げられる。また、一実施形態に係るガス透過セルを備えるガス透過度測定装置では、凹部9に検出ガスを充填することに代えて、凹部9内を真空状態にして、ガス透過度の評価を行ってもよい。
【0023】
検出チャンバー6の凹部9には、検出ガスを供給する第2供給口7と、検出ガスを排出する第2排気口8とが設けられている。第2供給口7と第2排気口8はそれぞれ、検出チャンバー6の凹部9の上部に設けられていても、側部に設けられていてもよい。また、第2供給口7と第2排気口8はそれぞれ、一つであっても複数であってもよい。
【0024】
図1の例では、凹部9の第2供給口7から矢印12eの方向に検出ガスが供給されて、凹部9中に検出ガスが充填される。そして、凹部9の第2排気口8から矢印12fの方向に検出ガスが排気される。第2排気口8は、ガス透過度測定装置200の検出部に接続されている。図1の例では、矢印12cの方向に供給され、試料10を透過した対象ガスが矢印12dの方向に到達し、検出ガスと共に第2排気口8を経由して、検出部13に達する。
【0025】
〔試料10〕
図2は、図1の部分拡大図である。図2の例では、試料10は、薄膜部材である第1基板10aと、樹脂部材10bと、薄膜部材である第2基板10cとを備えている。第2基板10cは、不連続な部分を有する。すなわち、第2基板10cは、第2基板10cを貫通する孔10hを有する。試料10において、第1基板10aと、樹脂部材10bと、第2基板10cとはこの順で積層されてなり、第2基板10cは孔10hを囲い、樹脂部材10bは、第1基板10aと第2基板10cとの隙間を封止している。このように、第1基板10aと樹脂部材10bとの隙間を樹脂部材10bによって封止することで、第1基板10aと樹脂部材10bと第2基板10cとのそれぞれが、試料固定治具1における第1面1a側と第2面側1bとの両面に対して露出されている。
【0026】
(薄膜部材)
本実施形態に係るガス透過度測定方法に使用され得る薄膜部材(第1基板10aおよび第2基板10c)は、後述する樹脂部材10bを構成する樹脂より低いガス透過度を示す公知の材料によって形成されている基材であり得る。例えば、薄膜部材である第1基板10aおよび第2基板10cが樹脂材料である場合、樹脂部材10bのガス透過度は第1基板10aの10倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。これにより、ガス透過面積が大きい第1基板10aを備える試料であっても、好適に樹脂部材10bのガス透過度を測定することができる。
【0027】
薄膜部材は、樹脂部材のガス透過度に応じた種々の材料であり得る。薄膜部材は、製品の包装および保護、ならびに製品における部品の被覆などに使用される薄膜を構成している種々の材料であることが好ましい。第1基板10aと第2基板10cの材質は同じであっても異なっていてもよい。
【0028】
樹脂部材10bのガス透過度の測定の点で、第1基板10aと第2基板10cの標的成分の透過度は、樹脂部材10bの標的成分の透過度よりも大きく下回ることが好ましい。
【0029】
薄膜部材の材料の例としては、ガラス、金属、石英、サファイア、シリコンおよびこれらの混合物が挙げられる。上記材料として使用し得る金属は、アルミニウム、銅および鉄から選択される。上記材料は、これらの金属の2つ以上を用いた合金、またはこれらの金属の1つ以上と無機元素とを用いた合金であり得る。金属のみを用いた合金としては、ステンレス鋼および黄銅(真鍮)などが挙げられる。無機元素と組み合わせた合金としては、鋼鉄およびステンレス鋼などが挙げられる。また、薄膜部材は、樹脂及び樹脂に対して、例えば金属や金属酸化物等を成膜した薄膜部材であってもよい。ここでは、薄膜部材を構成する材料としての代表例を示しているに過ぎず、上述のように、薄膜部材を構成する材料は、樹脂部材が示すガス透過度に応じた種々の材料であり得る。また、薄膜部材の厚さは、0.5~2mm程度であり得る。
【0030】
(樹脂部材10b)
樹脂部材10bを構成する樹脂は、製品における部品の保護などにおいて薄膜部材と組み合わせて使用される従来公知の樹脂である。当該樹脂は固形の樹脂または液状の樹脂であり得る。固形の樹脂は、所望の形状を有している封止材として薄膜部材に対して直接に貼り付けられ得るか、または溶剤に溶解させて塗布した後に乾燥させて所望の封止材として形成され得る。液状の樹脂は、薄膜部材に塗布された後にエネルギー(光または熱)を受けて硬化する樹脂である。当該樹脂の具体例としては、アクリル樹脂を主成分とする紫外線硬化性樹脂、シール用ゴム材およびシリコーン系シーリング材などが挙げられる。
【0031】
図2の例は、試料10の第1基板10aと第2基板10cはそれぞれ1つであり、第1基板10aと第2基板10cとの間に樹脂部材10bが2つ設けられている。ガス透過セル100の容積に応じて、第1基板10a、樹脂部材10bおよび第2基板10cの数を適宜選択することができる。
【0032】
第2基板10cの下面(試料固定治具1との対向面)は、シール材18によって試料固定治具1に固定される。第2基板10cの下面全体を試料固定治具1に固定してもよいし、第2基板10cの下面の一部を試料固定治具1に固定してもよい。樹脂部材10bは第1基板10aと第2基板10cの間に形成される。
【0033】
(シール材18)
試料10の樹脂部材のガス透過度を評価できれば、シール材18の材質や大きさ等は特に限定されない。シール材18の例として、粘着テープ、粘着シート、接着剤等のシール剤;パッキン;およびグリース;等が挙げられる。試料10の樹脂部材10bのガス透過度を精度よく評価できる点で、シール材のガス透過度に対する、試料10の樹脂部材10bのガス透過度は10以上であることが好ましい。なお、ここで、第1基板10aおよび第2基板10cのガス透過度は、樹脂部材10bのガス透過度は第1基板10aの10倍以上であり得ることはすでに説明した通りである。
【0034】
また、試料10の樹脂部材10bのガス透過度を精度よく評価できる点で、シール材18のガス透過度が試料10の樹脂部材10bのガス透過度以下であるとき、シール材18の遅れ時間が樹脂部材10bの遅れ時間の2倍以上になるようにシール材18を設けることが好ましい。遅れ時間はガス透過度が定常状態になるまでの遅れ時間であり、以下の式(1)から算出される。
θ=L/6D・・・(1)
[式(1)中、θは遅れ時間、Lは接着長さ、Dはガス拡散係数を示す。]
シール材18の接着長さとは、環状に充填または塗布されたシール材18における環の幅を示す。図2の18Lと18Lとの合計は、シール材18における環の外周辺に対する内接円の直径と、当該環の内周辺に対する内接円の直径との差として求められる。同じく、樹脂部材10bの接着長さとは、環状である樹脂部材10bにおける環の幅を示す。図2の10Lと10Lとの合計は、樹脂部材10bにおける環の外周辺に対する内接円の直径と、当該環の内周辺に対する内接円の直径との差として求められる。なお、ここで、シール材18及び樹脂部材10bの上面視における外周辺及び内周辺の形状は、円形状であってもよく、多角形状であってもよい。
【0035】
〔検出部13〕
検出部(検出器)13は、試料を透過して検出チャンバー6に達した標的成分を検出する。すなわち、検出部13は、供給凹部5から試料を透過して凹部9に達した対象ガス(目的ガス)を検出する。検出部13としては、キャリアガスによって運ばれる対象ガスを検出できるものであればよく、検出対象に応じて公知の検出手段を適宜選択すればよい。例えば、目的ガスとして水蒸気を検出する場合には、公知の水分計を検出部13として用いることができる。その他、検出部には、例えば、大気圧イオン化質量分析計、質量分析計、酸素濃度計、露点計、ガスセンサー、検知管、及び赤外吸収分光計等の検出装置を挙げることができる。検出部は、さらに、検出ガスに含まれる標的成分を採取するためのガス捕集キットを備え、ガス捕集キットにより捕集した標的成分をGC-MS(ガスクロマトグラフィー-質量分析)、HPLC(高速(高圧)液体クロマトグラフィー)、及びIC(イオンクロマトグラフィー)によって検出してもよい。
【0036】
ガス透過度測定装置200は、ガス透過セル100を備えている。ガス透過度測定装置200は、その内部にガス透過セル100を収納した状態において、試料10を透過した対象ガス(目的ガス)を検出部13により検出し、試料の目的ガスに対する透過度を測定する。ガス透過度測定装置200は、ガス透過セル100を収納した状態において、供給凹部5及び凹部9の内側の温度および湿度等を調製する調整部(不図示)を備えていてもよい。
【0037】
ガス透過度測定装置200によれば、ガス透過セル100において、試料の形状や大きさに応じて、試料固定治具を取り換えればよく、試料専用の測定装置を準備する必要がない。したがって、汎用性が高い。
【0038】
ガス透過度測定装置200は、第2面1b側から開口部1cを包囲する供給凹部5を開放するように、供給チャンバー2と、試料を固定した試料固定治具1を固定した検出チャンバー6との少なくとも一方を移動させるための移動部(不図示)を備えていてもよい。移動部を備えることによって、試料に負荷を加えながら試料のガス透過度を測定するときに、ガス透過セルから供給チャンバーを容易に取り外し易い。
【0039】
<ガス透過度測定方法>
本実施形態に係るガス透過度測定方法は、ガス透過セル100を用いて、供給凹部5から試料を透過して凹部9に達した気体を検出する検出工程を含む。ガス透過セル100を用いることによって、様々な形状の試料のシール部(封止部)を形成する樹脂部材のガス透過度の測定を行うことができる。従って、本発明の一実施形態に係るガス透過セル100を用いて、ガス透過度を測定する方法も、本発明の範疇である。
【0040】
試料10を試料固定治具1に固定することによって、供給凹部5と凹部9とが隔てられる。試料固定治具1の第1面1aは凹部9と接し、第2面1bは供給凹部5と接する。供給凹部5に導入された気体が樹脂部材10bを透過し、透過した気体を検出部13で測定することによって、樹脂部材10bのガス透過度、樹脂部材10bと第1基板10aとの界面におけるガス透過度、および樹脂部材10bと第2基板10cとの界面におけるガス透過度を測定することができる。図1の例では、気体が矢印12cの方向に供給され、樹脂部材10bを透過した気体が矢印12dの方向に達する。そして、第2排気口8を経由して、検出部13に達する。
【0041】
<試料固定治具における変形例>
本実施形態に係るガス透過セルの試料固定治具の変形例について、図3~6を参照して以下に説明する。図3は、試料固定補助部材14を備える試料固定治具1を示す概略図である。図4は、試料固定治具11を示す概略図である。図5と6は、試料10(第1基板10a、樹脂部材10b、第2基板10c)が固定された試料固定治具11を示す概略図である。
【0042】
(試料固定補助部材14を備える試料固定治具1)
図3の例は、第2基板10cの上面(第1基板10aとの対向面)の周縁部分に試料固定補助部材14を設けられている。試料固定補助部材14は、試料固定治具の第1面~第3面側の何れかに試料を固定する。試料固定補助部材14の例として、パッキン、金属板等の板、ボルト等が挙げられる。試料固定補助部材14を用いることによって、試料を試料固定治具により強固に固定することができる。
【0043】
また、図3の例において、試料固定補助部材14は環状構造を有しており、の一端が第2基板10cの上面に設けられ、もう一端が補助部材固定具15によって試料固定治具1に固定されている。補助部材固定具15の例として、ボルト等が挙げられる。第2基板10cの上面と試料固定補助部材14の下面との間にシール材18bを設けてもよい。第2基板10cの下面と試料固定治具1の上面とを固定するシール材18aとシール材18bの材質は同じであっても異なっていてもよい。
【0044】
(試料固定治具11)
図4の例において、試料固定治具11は、第1面11j側における開口部11hの外周縁を囲うように切り出された段差部11iを有する。段差部11iは、段差面11dと下段面11eを有する。試料固定治具11は、3段以上の複数段構造であってもよい。
【0045】
試料固定治具11の第1面11jは凹部9側に露出し、第2面11kは供給凹部5側に露出する。
【0046】
図5の例において、シール材18は下段面11e上に設けられている。すなわち、シール材18は段差部11iに充填されている。試料固定治具11に段差部を設けられることによって、試料の少なくとも一部がシール材を介して試料固定治具11内に固定されるため、当該試料がガス透過セルにおける検出チャンバーと干渉することを防ぐことができる。また、シール材18の充填するための位置決めや、充填量の目安となるガイドとして段差部11iを利用することもできる。
【0047】
図6の例は、図5に示す試料10の試料固定治具11への固定において、第2基板10cの上面(第1基板10aとの対向面)の両端に試料固定補助部材14をさらに設けている。試料固定補助部材14は、補助部材固定具15によって試料固定治具11の第1面11jに固定される。第2基板10cの上面と試料固定補助部材14との間にシール材18bを設けてもよい。
【0048】
〔試料における変形例〕
本実施形態に係るガス透過セルに固定される試料の変形例について、図7~10を参考して以下に説明する。図7および8は、試料20が固定された試料固定治具1を示す概略図である。図9および10は、試料20が固定された試料固定治具11を示す概略図である。
【0049】
(試料20)
試料20は、立体形状を有し、シール部(封止部)を形成する樹脂部材を備える。試料20の例として、有機ELデバイスおよび太陽電池等の電化製品、食品または医薬の包装容器等が挙げられる。試料20の樹脂部材の透過度を測定することによって、実施の使用における状態を正確に評価することができる。例えば、有機ELデバイスおよび太陽電池等の電化製品に用いられる小型部品が試料として挙げられる。ガス透過度測定を行うこときにおいて、小型部品の大きさに応じた開口径を有する開口部が設けられた試料固定治具を選択し、当該試料固定治具にシール材を介して小型部品を固定することで、供給チャンバー及び検出チャンバーを変更することなく、小型部品のガス透過性を測定することができる。よって、試料である小型部品の最外径(最外辺の内接円の径でも有り得る)が、例えば、10cm以下の試料であっても、好適に試料固定治具に固定することができる。
【0050】
図7の例は、試料20がシール材18cによって、試料固定治具1の第1面1aに固定されている。試料20は開口部1hを覆うように試料固定治具1に固定され、ガス透過セル100の供給凹部5と凹部9とが隔てられる。供給凹部5に導入された第1ガスが試料20を透過し、試料20を透過した第1ガスを検出部13で測定することによって、例えば試料20のシール部(封止部)を形成する樹脂部材のガス透過度を測定することができる。
【0051】
図8の例は、試料固定治具1を使用し、試料20の上面(試料固定治具との対向面と反対側の面)の両端に試料固定補助部材24を設ける。試料固定補助部材24は、補助部材固定具25によって試料固定治具1に固定される。試料20の上面と試料固定補助部材24の下面(試料20との対向面)との間にシール材18fを設けてもよい。
【0052】
図9の例は、試料20がシール材18dによって、試料固定治具11に固定されている。シール材18dは試料固定治具11の段差部11i内に設けられることによって、試料20の少なくとも一部が試料固定治具11内に固定される。
【0053】
図10の例は、試料固定治具11を使用し、試料20の上面(試料固定治具との対向面と反対側の面)の両端に試料固定補助部材24を設ける。試料固定補助部材24は、補助部材固定具25によって試料固定治具1に固定される。試料20の上面と試料固定補助部材24の下面(試料20との対向面)との間にシール材18fを設けてもよい。
【0054】
〔変形例に係るガス透過セル〕
試料固定治具1は、供給チャンバー2および検出チャンバー6それぞれと、気密性を有して固定されていればよい。例えば、図11の例では、供給チャンバー2の周縁部分および検出チャンバー6の周縁部分において、複数の治具固定部材17によって、試料固定治具1が固定されている。
【0055】
図11の例は、2つの治具固定部材17は、供給チャンバー2の外部から供給凹部5の側壁部を貫通し、供給チャンバー2と試料固定治具1とを固定するボルトであり得る。また、2つの治具固定部材17は、検出チャンバー6における凹部9の側壁部を貫通し、検出チャンバー6と試料固定治具1とを固定するボルトであり得る。ボルト以外の治具固定部材の例として、例えば、クランプ等が挙げられる。治具固定部材17で試料固定治具1を固定することにより、簡便かつ高い気密性で供給チャンバー2および検出チャンバー6に固定することができる。
【0056】
<別の実施形態に係るガス透過度測定方法>
なお、一実施形態に係るガス透過度測定方法は、上述の実施形態に限定されない。例えば、別の本実施形態に係るガス透過度測定方法では、検出工程において、試料に負荷を加えつつ、検出チャンバー6内に達した標的成分を測定してもよい。
【0057】
図8に示すように、別の実施形態に係るガス透過度測定方法では、ガス透過度測定装置200内において、ガス透過セル100における供給チャンバー2が取り外されている(開放されている)。これにより、ガス透過セル100に固定されている試料10の、第1面1a側に露出している部分に負荷を与えることができる。負荷の例として、トルクの変更;振動、傷、光、熱等の付与;塩水、有機溶媒、熱水、腐食性液体等の液体の浸漬;氷、金属等の固体の接触;等が挙げられる。
【0058】
すなわち、別の本実施形態に係るガス透過度測定方法では、検出工程において試料10
に負荷を加えつつ、検出チャンバー6内に達した標的成分を測定することによって、様々な環境条件下での試料の多段階評価が可能である。例えば、試料に負荷を与えることに伴う形状変化に伴うガス透過度の変化を測定することができる。
【0059】
〔さらに別の実施形態に係るガス透過度測定方法〕
本実施形態に係るガス透過度測定方法は、検出工程の他の工程を含んでいてもよい。他の工程として、バックグラウンド測定工程等が挙げられる。
【0060】
(バックグラウンド測定工程)
バックグラウンド測定工程は、試料を気体に曝露する前に、試料を第1面1a側及び第2面側の両面に対して検出ガスに曝露し、検出チャンバー6内に供給される検出ガスに含まれる標的成分の量を測定する。バックグラウンド測定工程を行うことによって、ガス透過測定の精度が向上する。
【0061】
<キット>
本実施形態に係るキットは、本発明の一実施形態に係るガス透過セルに取り付けることができる上記試料固定治具と、上記シール材と、を少なくとも含む。当該キットは、当該キットによって、様々な形状の試料のシール部(封止部)を形成する樹脂部材のガス透過度の測定を行うことができる。また、一実施形態に係るキットでは、試料の大きさに対応するように互いに異なる形状の開口部を備えた試料固定治具が複数含まれていてもよい。
【0062】
〔まとめ〕
本実施形態に係るガス透過セルは、気体に含まれる標的成分の試料に対する透過度を測定するガス透過セルであって、第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し、上記開口部を閉塞し、かつ上記試料が上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するように上記試料をシール材によって固定する試料固定治具と、上記開口部を上記第1面側から包囲する凹部を有し、当該凹部の内側に検出ガスを供給する検出チャンバー(検出ガス室)と、を備え、上記試料固定治具は、上記検出チャンバーに着脱可能に取り付けられる。
【0063】
本実施形態に係るガス透過セルは、上記開口部の内側、第1面側、及び第2面側の何れかに上記試料を固定するための試料固定補助部材をさらに備えてもよい。
【0064】
本実施形態に係るガス透過セルは、上記試料固定治具が、上記第1面側における上記開口部の外周縁を囲うように切り出された段差部を有し、当該段差部に上記シール材を充填し、当該シール材を介して上記試料を固定してもよい。
【0065】
本実施形態に係るガス透過セルは、上記気体を供給する供給チャンバー(ガス供給室)をさらに備え、当該供給チャンバーは、その内側に上記気体が供給される供給凹部を有し、当該供給チャンバーは、上記第2面側から上記開口部を包囲し、かつ当該供給凹部を閉塞するようにして着脱可能に取り付けられてもよい。
【0066】
本実施形態に係るガス透過セルは、上記試料固定治具が、上記検出チャンバーおよび上記供給チャンバーの少なくとも1つに治具固定部材によって固定される。
【0067】
また、本実施形態に係るガス透過度測定方法は、上記ガス透過セルに上記気体を供給し、上記試料を透過して上記検出チャンバーに達した上記標的成分を検出する検出工程を含む。
【0068】
また、本実施形態に係るガス透過度測定方法は、上記試料は樹脂部材を備えていてもよい。
【0069】
本実施形態に係るガス透過度測定方法において、上記試料は上記樹脂部材と薄膜部材との組合せであり、上記薄膜部材は、不連続な部分を有しており、上記樹脂部材より低い上記標的成分の透過度を有しており、上記樹脂部材は、上記薄膜部材の上記不連続な部分を補って、上記薄膜部材とともに上記試料固定治具における上記第1面側と第2面側との両面に対して露出されており、上記不連続な部分は上記薄膜部材を貫通する孔であってもよい。
【0070】
本実施形態に係るガス透過度測定方法は、上記シール材のガス透過度に対する上記樹脂部材のガス透過度が10以上であってもよい。
【0071】
本実施形態に係るガス透過度測定方法において、上記シール材のガス透過度が上記樹脂部材のガス透過度以下であるとき、上記シール材の遅れ時間が上記樹脂部材の遅れ時間の2倍以上になるように上記シール材は設けられ、上記遅れ時間は以下の式(1)を満たす、請求項6~8のいずれか一項に記載のガス透過度測定方法。
θ=L/6D・・・(1)
[式(1)中、θは遅れ時間、Lは接着長さ、Dはガス拡散係数を示す。]
【0072】
また、本実施形態に係るガス透過度測定装置は、上記ガス透過セルと、上記気体から上記試料を透過して上記検出チャンバーに達した標的成分を検出する検出部と、を備えている。
【0073】
また、本実施形態に係るキットは、上記ガス透過セルに着脱可能に取り付けられる試料固定治具であって、第1面及び第2面と、当該第1面から第2面に貫通する開口部とを有し、上記開口部を閉塞し、かつ上記試料が上記第1面側及び第2面側の両面に対して露出するように上記試料を固定する、試料固定治具と、上記試料を試料固定治具に固定するための上記シール材と、を含む。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、ガス透過度の測定を必要とする、食品、医薬、有機ELデバイス、太陽電池等の各分野において広範囲に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、11 試料固定治具
1h、11h 開口部
2 供給チャンバー(ガス供給室)
3 第1供給口
4 第1排気口
5 供給凹部
6 検出チャンバー(検出ガス室)
7 第2供給口
8 第2排気口
9 凹部
10、20 試料
10a 第1基板(薄膜部材)
10b 樹脂部材
10c 第2基板(薄膜部材)
10h 孔
1a、11j 第1面
11d 段差面
11e 下段面
1b、11k 第2面
1c、11l 第3面
12a~12f ガス
13 検出部
14、24 試料固定補助部材
15、25 補助部材固定具
17 治具固定部材
18、18a~18f シール材
100 ガス透過セル
200 ガス透過度測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11