(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】三相3線式配電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20230612BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20230612BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/14
H02J3/46
(21)【出願番号】P 2019144247
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121429
【氏名又は名称】宇野 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】小枝 浩文
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 真
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046537(JP,A)
【文献】特開平10-309038(JP,A)
【文献】特開2015-056996(JP,A)
【文献】特開2015-076383(JP,A)
【文献】特許第6526305(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/14
H02J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統の三相3線式の電力を利用して、三相交流が送られる三相負荷部と単相交流が送られる単相負荷部とに配電するための三相3線式配電システムであって、
前記電力を前記三相負荷部に供給する三相配電部と、
当該三相配電部にスイッチ要素を介して接続され前記電力の一部を前記単相負荷部に供給する単相配電部と、
前記スイッチ要素の開閉を制御する制御機器と、
を備え、
更に、前記単相配電部は、前記スイッチ要素よりも前記単相負荷部側に、当該単相負荷部に電力を供給する蓄電池を備え
、
前記スイッチ要素は、前記三相負荷部の使用電力量が規定値を超えたときに開状態に切り換えられることを特徴とする三相3線式配電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧の電気の供給を受ける店舗、小規模事務所等において、系統の電力を三相交流電力が供給される三相負荷部と単相交流電力が供給される単相負荷部とに配電する三相3線式配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
契約電力が50kW未満の低圧電力を受ける店舗、飲食店、小規模事務所、小規模工場等においては、電力会社からの電力は室内の照明器具等に使用されるとともに、業務用エアコン、大型冷蔵庫、工作機械等にも使用されている。ここで、特許文献1にも記載されているように、照明器具等の電灯系の小さな負荷に対しては、単相3線式の100Vあるいは200Vの交流電源が使用され、
図5(a)に示すように、系統10からの単相3線式の電力は、電力計11、契約ブレーカ12、保安ブレーカ13を通して、単相交流が使用される単相負荷部38に供給される。一方、電動機が使用される業務用エアコン等の動力系の大きな負荷に対しては電気エネルギが大きいことから、三相3線式の200Vの電源が使用され、
図5(b)に示すように、系統10からの三相3線式の電力は、電力計11、契約ブレーカ12、保安ブレーカ13を通して、三相交流が使用される三相負荷部21に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、低圧受電の店舗等においては、用途、使用機器の種類に応じて、単相3線式及び三相3線式の2種類の電力が使用されている。これに伴い、電力会社に支払われる電気料金も電灯系と動力系との2種類が設定されている。
【0005】
ここで、電気料金は、基本料金、電力量料金等を加算して算出され、このうち基本料金は、一般に、単相3線式の電力の場合、三相3線式の電力に比べて安価である一方、電気料金のうちの電力量料金は、単相3線式の電力の場合、三相3線式の電力に比べて割高となっている。このため、電力の使用量によっては、単相負荷部に対しても系統から三相3線式の電力を供給することで電気料金を低減することが考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、三相3線式の電力と単相3線式の電力とが使用される店舗、小規模事務所等において、三相3線式の電力を利用することにより電気料金を低減できる三相3線式配電システムの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る三相3線式配電システムは、系統の三相3線式の電力を利用して、三相交流が送られる三相負荷部と単相交流が送られる単相負荷部とに配電するためのものであって、前記電力を前記三相負荷部に供給する三相配電部と、当該三相配電部にスイッチ要素を介して接続され、前記電力の一部を前記単相負荷部に供給する単相配電部と、前記スイッチ要素の開閉を制御する制御機器と、を備え、更に、前記単相配電部は、前記スイッチ要素よりも前記単相負荷部側に、当該単相負荷部に電力を供給する蓄電池を備えている。
【0008】
加えて、請求項1に係る三相3線式配電システムは、スイッチ要素が、三相負荷部の使用電力量が規定値を超えたときに開状態に切り換えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、系統の三相3線式の電力を三相負荷部に加えて単相負荷部にも利用する。このため、電気料金は、三相3線式の電気料金に一本化して契約できるとともに、三相3線式の電力量料金は、従来単相負荷部に利用していた単相3線式の電力量料金より一般に安価であることから、単相負荷部に係る電力量料金を低減でき、更に全体としての電気料金を低減することが可能となる。
【0010】
また、三相配電部及び単相配電部において系統から供給される電力に余力が生じたときは、その余力の電力は単相配電部の蓄電池に蓄えられ、蓄電された電力が必要時に単相負荷部に放出される。このため、蓄電池に蓄電された電力を単相負荷部に利用することにより、その分系統から買電する電力量を減らすことができる。その結果、これによっても電気料金を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態の三相3線式配電システムを示す電気回路図であり、切換開閉器がONの状態を示す。
【
図2】
図1の三相3線式配電システムを示す電気回路図であり、切換開閉器がOFFの状態を示す。
【
図3】本発明の第二実施形態の三相3線式配電システムを示す電気回路図であり、切換開閉器がONの状態を示す。
【
図4】
図3の三相3線式配電システムを示す電気回路図であり、切換開閉器がOFFの状態を示す。
【
図5】従来の電力使用の構成を示す電気回路図であり、(a)は単相3線式の交流の場合を示し、(b)は三相3線式の交流の場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の三相3線式配電システムを図に基づいて説明する。本実施形態では、店舗、飲食店において、三相3線式の電力が動力系の三相負荷部である業務用エアコンに使用されるとともに、単相3線式の電力が電灯系の単相負荷部である室内照明器具に使用される場合の配電システムを例示する。
【0013】
〈第一実施形態〉
図1及び
図2に示す三相3線式配電システム1は、系統10の三相3線式の電力を利用して、三相交流が送られる三相負荷部21と単相交流が送られる単相負荷部38とに配電するための配電システムであって、電力を三相負荷部21に供給する三相配電部20と、三相配電部20にスイッチ要素としての切換開閉器31を介して接続され系統10の三相3線式の電力の一部を単相負荷部38に供給する単相配電部30と、切換開閉器31の開閉を制御する制御機器35と、を備え、更に、単相配電部30は、切換開閉器31よりも単相負荷部38側に、単相負荷部38に電力を供給する蓄電池34を備えている。切換開閉器31は、三相負荷部21の使用電力量に応じて開閉する。
【0014】
ここで、三相交流は、3系統の単相交流を電流または電圧の位相を互いにずらして組み合わせた交流である。三相交流は、主に交流電動機の駆動に用いられ、いわゆる動力負荷に使用される。単相交流は、照明器具などのいわゆる電灯負荷に用いられ、比較的小さな電気器具に電気を送る際に使用される。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0015】
図1及び
図2において、系統10からは三相3線式の200Vの交流電力が出力される。系統10側には、 系統10からの電力を計測する電力計11、契約値150Aで作動する契約ブレーカ12及び上限値150Aで作動する保安ブレーカ13が設けられている。系統10からの電力は、電力計11によって計測された後、契約ブレーカ12及び保安ブレーカ13を経て負荷側に出力される。契約ブレーカ12は契約値以上の電流が流れると、ブレーカが落ちて通電が遮断される。保安ブレーカ13は、漏電を防止し、安全を確保するためのものであり、上限値以上の電流が流れると、ブレーカが落ちて通電が遮断される。保安ブレーカ13を流れた三相3線式の200Vの交流電力は、業務用エアコンなどの三相負荷部21に供給される。保安ブレーカ13から三相負荷部21に至る間は三相配電部20を構成している。
【0016】
一方で、保安ブレーカ13と三相負荷部21との間には電気回路が分岐しており、系統10からの電力は照明器具等の単相負荷部38にも供給されている。分岐箇所から単相負荷部38に至る間は単相配電部30を構成している。単相配電部30において分岐箇所からの最初の位置にはスイッチ要素としての切換開閉器31が設けられている。切換開閉器31は、系統10からの交流の入力をON(接続状態)とOFF(遮断状態)とに切り換える。切換開閉器31がONの状態のときは、系統10側からの交流は、三相配電部20を通して三相負荷部21に流される他、単相配電部30を通して単相負荷部38にも流される。切換開閉器31がOFFの状態のときは、系統10側からの交流は、単相負荷部38側への通電が遮断され、三相負荷部21のみに流される。切換開閉器31は、別途に設けられた制御機器35により開閉が制御される。
【0017】
分岐回路の切換開閉器31より単相負荷部38側にはAC/DCコンバータ32が設けられており、AC/DCコンバータ32は交流を直流に変換する。更に、AC/DCコンバータ32より単相負荷部38側には一旦直流に変換された電流を再度交流に戻すDC/ACインバータ33が設けられている。このようにAC/DCコンバータ32及びDC/ACインバータ33を設けたのは直流が入出する後述の蓄電池34を単相配電部30に設置するためである。
【0018】
AC/DCコンバータ32とDC/ACインバータ33との間には蓄電池34が設置されている。蓄電池34は、系統10から三相負荷部21に供給される三相3線式の電力の一部である余剰分が分岐により単相配電部30側に回されてきた分の一部を受け入れて蓄電し単相負荷部38に給電するためのものであり、AC/DCコンバータ32で変換された直流の一部を充電し、単相負荷部38側に放電する。蓄電池34の蓄電量は、例えば150Aの電流を単相負荷部38に2時間供給できる程度の容量を備えたものが用いられている。
【0019】
蓄電池34より単相負荷部38側に設けられたDC/ACインバータ33は、AC/DCコンバータ32から流れてきた直流及び蓄電池34から放電された直流を単相3線式の100Vあるいは200Vの交流に変換する。DC/ACインバータ33と単相負荷部38との間には保安ブレーカ37が設置されている。
【0020】
切換開閉器31の周辺には制御機器35が設置されており、制御機器35は、三相負荷部21の使用電力量を計測する機能を一体に備えていて、それにより計測された使用電力量に応じて切換開閉器31の開閉制御を行なっている。すなわち、制御機器35は、三相負荷部21の使用電力量が規定値を超えたとき、切換開閉器31をOFFの遮断状態に切り換える。すると、系統10側からの電力は三相配電部20のみに入力される。規定値は、電力の需要家毎の使用状態により異なるが、各需要家の使用状態に即して、例えば定格150Aの90%の電力量に設定される。一方、制御機器35は、規定値以上にあった三相負荷部21の使用電力量が規定値より低下したときには、切換開閉器31をONの接続状態に切り換える。三相負荷部21の使用電力量が規定値より小さいとき、あるいは、規定値以上にあった三相負荷部21の使用電力量が規定値より低下したときは、系統10側からの電力は単相配電部30にも供給され、一部は蓄電池34にも入力される。なお、規定値以上にあった三相負荷部21の使用電力量がその後に低下して切換開閉器31がONの接続状態に切り換わるときの値としては前記規定値と異なる値を設定してもよい。
【0021】
蓄電池34の周辺にはBMU(バッテリモニタリングユニット)36が設けられており、BMU(バッテリモニタリングユニット)36は蓄電池34の残容量、温度等の情報を取得し、その情報を表示する。
【0022】
次に、このように構成された本実施形態の三相3線式配電システム1における電力の流れを説明する。
電力の使用中、制御機器35は、三相負荷部21の使用電力量を監視し、切換開閉器31の切り換えを制御している。
【0023】
今、三相負荷部21での使用電力量が規定値以下であって切換開閉器31がONの状態にあるとすると、系統10からの三相3線式の電力は、
図1に示すように、三相3線式の配線からなる三相配電部20を通して三相負荷部21に供給されるとともに、分岐する単相3線式の配線からなる単相配電部30にも送られる。系統10側から三相配電部20に送出された三相3線式の交流の電力は、そのまま直接に三相負荷部21に供給されて使用される。
【0024】
一方、系統10側から単相配電部30に送出された三相3線式の交流の電力は、切換開閉器31を経てAC/DCコンバータ32に送られ、ここで直流に変換される。直流に変換された電力は、DC/ACインバータ33により再度単相3線式の交流に変換され、保安ブレーカ37を通して単相負荷部38に送出される。これとともに、AC/DCコンバータ32で直流に変換された電力の一部は、蓄電池34にも送られてここに蓄電される。ここで蓄電された電力は、蓄電池34の残容量に応じてDC/ACインバータ33を介して単相負荷部38側に放電される。
【0025】
ここで、AC/DCコンバータ32から送出された直流が蓄電池34に送られて充電される割合は、単相負荷部38で必要とされる要求量や蓄電池34の残容量によって自然と変化する。また、一旦蓄電池34に蓄えられた後に放電される量も同様に、単相負荷部38の要求量や蓄電池34の残容量によって自然と変化する。すなわち、これらの蓄電池34への充放電量は、単相負荷部38の要求量や蓄電池34の残容量に応じて常に変動するとともに、特別の制御手段を要することなく、一連の電力の流れにおいて自然に変化する。
【0026】
AC/DCコンバータ32で変換されて直接単相負荷部38側に流れる直流、及び蓄電池34から放電された直流は、DC/ACインバータ33に入力されて単相3線式の交流に変換され、保安ブレーカ37を通って単相負荷部38に供給される。
【0027】
一方、三相負荷部21に供給される電力量は、通常は、大幅に少なく定格150Aの10%程度であることが多いが、ときに、三相負荷部21での電力供給の需要が高まって三相負荷部21に供給される電力量が規定値を超えることがあり、そのときは、
図2に示すように、制御機器35により切換開閉器31はOFFの状態に切り換えられ、それにより、系統10からの交流は切換開閉器31で遮断される。以後は、系統10からの三相3線式の交流の電力は、三相配電部20のみに配電され、単相負荷部38への電力は蓄電池34から放電される電力のみによって賄われる。
【0028】
次に、本実施形態の三相3線式配電システム1の作用を説明する。
本発明は、系統10の三相3線式の電力を、三相配電部20を通して三相負荷部21に供給することに加え、途中から分岐している単相配電部30を通して単相負荷部38にも供給している。これにより、電気料金は、三相3線式の電気料金に一本化して契約できるとともに、単相配電部30にも三相3線式の電気料金が適用される。ここで、電気料金のうちの電力量料金は、一般に、三相3線式の電力の方が単相3線式の電力より安価である。このため、単相負荷部38の電力量料金は、従来、単相配電部30で単相3線式の電力を使用していた場合に比べて安価になるので、全体としての電気料金を低減することも可能となる。
【0029】
また、三相負荷部21及び単相負荷部38で使用される電力は常に変動するところ、三相配電部20及び単相配電部30において系統10から供給される電力に余力が生じたときは、その余力の電力は蓄電池34に蓄えられ、必要時には単相負荷部38側に放出される。これにより、蓄電池34に蓄電された電力を単相負荷部38に利用することにより、その分系統10から買電する電力量は減少する。その結果、これによっても電気料金は低減される。
【0030】
〈第二実施形態〉
次に、第二実施形態の三相3線式配電システムを
図3及び
図4に基づいて説明する。
第二実施形態の三相3線式配電システム2は、第一実施形態の三相3線式配電システム1と比較して、切換開閉器31の開閉条件のみが異なる。
第一実施形態の三相3線式配電システム1の切換開閉器31の開閉制御は、三相負荷部21の使用電力量に応じて行なわれるのに対し、第二実施形態の三相3線式配電システム2の切換開閉器31の開閉制御は、蓄電池34の残容量に応じて行なわれる。
【0031】
図3及び
図4に示す第二実施形態の三相3線式配電システム2において、切換開閉器31の周辺に設置された制御機器35は、蓄電池34の残容量に応じて切換開閉器31の開閉制御を行なう。すなわち、制御機器35は、蓄電池34の残容量が下限値以下になると、切換開閉器31をONの接続状態に切り換える。一方、制御機器35は、蓄電池34の残容量が上限値を超えたとき、切換開閉器31をOFFの遮断状態に切り換える。
【0032】
制御機器35の周辺にはBMU(バッテリモニタリングユニット)36が設けられており、BMU(バッテリモニタリングユニット)36は蓄電池34の残容量、温度等の情報を取得し、その情報を表示する。
【0033】
この三相3線式配電システム2における電力の流れを説明する。
電力の使用中、制御機器35は、BMU(バッテリモニタリングユニット)36で取得される蓄電池34の残容量、温度等の情報を監視し、切換開閉器31の切り換えを制御している。
【0034】
今、BMU(バッテリモニタリングユニット)36で監視された蓄電池34の残量量が下限値に達して切換開閉器31がONの状態にあるとすると、第一実施形態の三相3線式配電システム1の場合と同様にして、系統10からの三相3線式の電力は、
図3に示すように、三相3線式の配線からなる三相配電部20を通して三相負荷部21に供給されるとともに、分岐する単相3線式の配線からなる単相配電部30にも送られ、一部は蓄電池34にも入力される。
【0035】
一方、BMU(バッテリモニタリングユニット)36の監視により、蓄電池34の残容量が上限値になると、制御機器35により切換開閉器31はOFFの状態に切り換えられ、OFFの状態に切り換えられると、第一実施形態の三相3線式配電システム1の場合と同様にして、系統10からの交流は切換開閉器31で遮断される。以後は、系統10からの三相3線式の交流の電力は、
図4に示すように、三相配電部20のみに配電され、単相負荷部38への電力は蓄電池34から放電される電力のみによって賄われる。
【0036】
ところで、上記第一実施形態において、制御機器35は、三相負荷部21の使用電力量を計測する機能を一体に備え、計測された使用電力量に応じて切換開閉器31の開閉制御を行なっているが、三相負荷部21の使用電力量の計測は、制御機器35とは別体に設けた計測器、計測手段により行なってもよい。
【0037】
また、上記各実施形態において、蓄電池34は、系統10から三相負荷部21に供給される三相3線式の電力の一部である余剰分を切換開閉器31を経て単相負荷部38に供給しその一部を入力することにより充電されるが、本発明を実施する場合には、これによる充電に加え、別途に、太陽光発電装置などの自家発電設備を設置し、この設備からも蓄電池34に充電するものとしてもよい。
【0038】
なお、上記実施形態のDC/ACインバータ33は、直流を単相3線式の交流に変換しているが、これに限られるものではなく、単相2線式の交流に変換するものであってもよい。この場合、単相負荷部38には100Vの電力が供給される。
【0039】
また、上記実施形態では、系統10側の契約ブレーカ12及び保安ブレーカ13の上限値として150Aが設定され、また、単相負荷部38側の保安ブレーカ37の上限値として150Aが設定されているが、本発明を実施する場合には、契約ブレーカ12等の上限値は、これらの電流値に限られないことは言うまでもない。
【0040】
加えて、上記実施形態では、店舗、飲食店において、三相3線式の電力が動力系の三相負荷部21である業務用エアコンに使用されるとともに、単相3線式の電力が電灯系の単相負荷部38である室内照明器具に使用される場合の配電システムを例示しているが、本発明の三相3線式配電システムは、他に、小規模事務所、小規模工場等において、三相3線式の電力が動力系の三相負荷部21である各種電動機、大型冷蔵庫、工作機械等に使用され、単相3線式の電力が電灯系の単相負荷部38であるパーソナルコンピュータのモニタ等に使用される場合にも同様に適用される。
【符号の説明】
【0041】
1、2 三相3線式配電システム 31 切換開閉器(スイッチ要素)
10 系統 34 蓄電池
20 三相配電部 35 制御機器
21 三相負荷部 38 単相負荷部
30 単相配電部