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特許7293042荷電粒子ビーム照射装置および荷電粒子ビーム照射方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム照射装置および荷電粒子ビーム照射方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 1/093 20060101AFI20230612BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20230612BHJP
   G21K 5/04 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G21K1/093 S
A61N5/10 H
A61N5/10 J
G21K5/04 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019150424
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021032611
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 茂貴
(72)【発明者】
【氏名】折笠 朝文
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】吉行 健
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-083344(JP,A)
【文献】特開2007-260222(JP,A)
【文献】特開平09-199296(JP,A)
【文献】特開2017-009389(JP,A)
【文献】特開平4-328237(JP,A)
【文献】特開2015-154933(JP,A)
【文献】特開昭62-150802(JP,A)
【文献】米国特許第05682412(US,A)
【文献】韓国登録特許第1974425(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 1/00-3/00
G21K 5/00-7/00
A61N 5/00-5/10
H05H 3/00ー15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームの進行方向に直交する直交方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる磁場を発生させる走査電磁石のコイルと、
前記コイルを支持し、外部が真空状態ではなく、かつ内部の空気が吸引されることで前記内部が真空状態にされて前記荷電粒子ビームが通過する筒状を成す特定構造体と、
を備え、
前記特定構造体は、円筒形状を成す複数の部材で構成されており、前記複数の部材が、合成樹脂または非磁性材料で形成され、かつ前記荷電粒子ビームの通過空間を中心軸として同心円状を成すように配置されている、
荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項2】
前記特定構造体の前記コイルが配置される部分に設けられ、前記コイルを冷却する冷却媒体が流れる流路を備える、
請求項1に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項3】
前記コイルが前記流路を流れる前記冷却媒体に含浸される、
請求項2に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項4】
前記特定構造体は、
前記進行方向に直交する第1直交方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる磁場を発生させる第1走査電磁石の第1コイルが外面に配置される第1構造部材と、
前記第1構造部材の外側に配置され、前記進行方向および前記第1直交方向に直交する第2直交方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる磁場を発生させる第2走査電磁石の第2コイルが外面に配置される第2構造部材と、
を備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項5】
少なくとも2つの前記第1コイルが前記第1構造部材を挟んで前記第1直交方向に並んで配置され、
少なくとも2つの前記第2コイルが前記第2構造部材を挟んで前記第2直交方向に並んで配置され、
前記第2構造部材が前記第2直交方向に沿って互いに離れるように分割可能となっている、
請求項4に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項6】
前記第1構造部材の前記第1コイルが配置される部分に設けられ、前記第1コイルを冷却する冷却媒体が流れる第1流路と、
前記第2構造部材の前記第2コイルが配置される部分に設けられ、前記第2コイルを冷却する冷却媒体が流れる第2流路と、
を備える、
請求項4または請求項5に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項7】
前記第1構造部材と前記第2構造部材との間に設けられ、前記第1コイルが配置される空間を確保するスペーサ部材を備える、
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項8】
前記特定構造体の内面がシームレス面となっている、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項9】
前記特定構造体は、前記進行方向に従って内径が大きくなる形状となっている、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項10】
前記コイルは、リッツ線を巻き回して形成されたものである、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項11】
走査電磁石のコイルにより荷電粒子ビームの進行方向に直交する直交方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる磁場を発生させるステップと、
前記コイルを支持し、外部が真空状態ではなく、かつ筒状を成す特定構造体の内部の空気が吸引されることで前記内部が真空状態にされて前記荷電粒子ビームが通過するステップと、
を含
前記特定構造体は、円筒形状を成す複数の部材で構成されており、前記複数の部材が、合成樹脂または非磁性材料で形成され、かつ前記荷電粒子ビームの通過空間を中心軸として同心円状を成すように配置されている、
荷電粒子ビーム照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、荷電粒子ビーム照射装置および荷電粒子ビーム照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の癌などの患部に重粒子線などの荷電粒子ビームを照射する治療方法がある。この治療方法では、ビーム発生装置で生成した荷電粒子ビームを、ビーム加速装置で加速するとともにビーム輸送装置により治療室まで輸送する。そして、治療室にてビーム照射装置から患部に向けて荷電粒子ビームを照射する。荷電粒子ビームは、空気との散乱で失われてしまうため、患者の直前まで内部が真空状態に維持された真空ダクトを用いて輸送される。この荷電粒子ビームの照射方法の1つとして、細く絞ったスポットビームを照射目標である患部の立体形状に合わせて3次元的に塗り潰すように照射するスキャニング法がある。このスキャニング法の場合、荷電粒子ビームの進行方向に対する照射位置は、ビームエネルギーの調整で制御される。また、荷電粒子ビームの進行方向に対する垂直な面内の照射位置は、走査電磁石で荷電粒子ビームを偏向することで制御される。走査電磁石は、水平方向の制御用の走査電磁石と垂直方向の制御用の走査電磁石との2組で構成される。それぞれの電磁石は、直列または並列に配置され、荷電粒子ビームを進行方向に直交する2方向に走査する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-196140号公報
【文献】特開2018-20163号公報
【文献】特開2016-83344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な部位および大きさの異なる患部に照射するため、照射可能な領域(照射野)は広く確保することが望ましい。この照射野を広く確保するためには、走査電磁石のコイルを荷電粒子ビームに近接させて磁場強度を上げることが望ましい。しかしながら、走査電磁石のコイルを荷電粒子ビームに近接させるために、走査電磁石のコイルの口径を小さくすると、真空ダクトと干渉してしまうおそれがある。また、走査電磁石のコイルと真空ダクトとの干渉を防ぐために、患者に近接する側の真空ダクトを排除または短くしてしまうと、荷電粒子ビームが空気と散乱し、出力が低下または失われるおそれがある。
【0005】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、荷電粒子ビームの空気による散乱を抑制しつつ、照射野を広く確保することができる荷電粒子ビーム照射技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る荷電粒子ビーム照射装置は、荷電粒子ビームの進行方向に直交する直交方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる磁場を発生させる走査電磁石のコイルと、前記コイルを支持し、外部が真空状態ではなく、かつ内部の空気が吸引されることで前記内部が真空状態にされて前記荷電粒子ビームが通過する筒状を成す特定構造体と、を備え、前記特定構造体は、円筒形状を成す複数の部材で構成されており、前記複数の部材が、合成樹脂または非磁性材料で形成され、かつ前記荷電粒子ビームの通過空間を中心軸として同心円状を成すように配置されている
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態により、荷電粒子ビームの空気による散乱を抑制しつつ、照射野を広く確保することができる荷電粒子ビーム照射技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の荷電粒子ビーム照射装置の構成を示す概念図。
図2】特定構造体を示す断面図。
図3】第2構造部材および第3構造部材を分割した状態を示す断面図。
図4】第1コイルを示す平面図。
図5】第1コイルを示す側面図。
図6】第1コイルおよび第2コイルを示す平面図。
図7】第1コイルおよび第2コイルを示す側面図。
図8】冷却媒体循環装置の構成を示す概念図。
図9】荷電粒子ビーム照射方法を示すフローチャート。
図10】変形例の特定構造体を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、荷電粒子ビーム照射装置および荷電粒子ビーム照射方法の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1の符号1は、本実施形態の荷電粒子ビーム照射装置である。この荷電粒子ビーム照射装置1は、荷電粒子、例えば、負パイ中間子、陽子、ヘリウムイオン、炭素イオン、ネオンイオン、シリコンイオン、またはアルゴンイオンを粒子ビーム源とする照射装置(照射システム)である。荷電粒子ビーム照射装置1は、例えば、荷電粒子ビームBを患者の患部Pに照射して治療を行う治療装置として用いられる。患部Pとは、例えば、がんなどの病巣組織である。
【0011】
特に、炭素イオンなどの重粒子を用いた治療技術は、重粒子線がん治療技術などとも称される。がん病巣(患部P)を炭素イオンがピンポイントで狙い撃ちし、がん病巣にダメージを与えながら、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能とされる。なお、粒子線とは、放射線のなかでも電子より重いものと定義され、陽子線、重粒子線などが含まれる。このうち重粒子線は、ヘリウム原子より重いものと定義される。重粒子線を用いるがん治療では、従来のエックス線、ガンマ線、陽子線を用いたがん治療と比較して、患者の体の表面では放射線量が弱く、がん病巣において放射線量がピークになる特性を有している。そのため、照射回数と副作用を少なくすることができ、治療期間をより短くすることができる。
【0012】
このような治療装置には、患者が配置される治療室を構成する回転ガントリを備えるものがある。患者を固定した状態で、回転ガントリを回転させることで、患者に対して粒子線の照射方向を変更することができる。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の荷電粒子ビーム照射装置1は、ビーム発生装置2とビーム加速装置3とビーム輸送装置4とビーム走査装置5と真空ダクト6と真空ポンプ7と位置モニタ8と線量モニタ9と制御装置10と電源11とを備える。
【0014】
ビーム発生装置2は、荷電粒子ビームBを発生させる装置である。ビーム発生装置2としては、例えば、電磁波またはレーザーなどを用いて生成したイオンを引き出す装置などがある。
【0015】
ビーム加速装置3は、荷電粒子ビームBを所定のエネルギーに加速する装置である。このビーム加速装置3は、例えば、前段加速装置と後段加速装置の2段で構成される。前段加速装置として線形加速器(ドリフトチューブリニアックDTLまたは高周波四重極型線形加速器RFQ)、後段加速装置としてシンクロトロンまたはサイクロトロンで構成されるものがある。
【0016】
このビーム加速装置3は、荷電粒子ビームBを電場によって加速する高周波加速空洞、ビームを安定的に誘導する偏向装置(二極電磁石)、ビーム集束・発散装置(四極電磁石)、ビーム軌道補正装置(ステアリング電磁石)などで構成される。なお、ビーム加速装置3は、真空ダクト6を構成する筒状の配管の一部を含んでも良い。
【0017】
ビーム輸送装置4は、ビーム加速装置3にて加速された荷電粒子ビームBを被照射物である患者の患部Pに向けて輸送する装置である。偏向装置、ビーム集束・発散装置、ビーム軌道補正装置で構成される。なお、ビーム輸送装置4は、真空ダクト6を構成する筒状の配管の一部を含んでも良い。
【0018】
ビーム走査装置5は、ビーム輸送装置4の下流に設けられる。このビーム走査装置5は、ビーム輸送装置4を通過し、特定のエネルギーを有する荷電粒子ビームBが、患者の患部Pの設定された照射野Fに正しく入射するように、荷電粒子ビームBの軌道を調整する。さらに、患部Pにおける荷電粒子ビームBの照射位置および照射線量を監視する。
【0019】
真空ダクト6は、複数の筒状の配管が一体的に接続され、その内部が真空状態に維持され、荷電粒子ビームBの通過経路となる装置である。真空ダクト6の内部空間に荷電粒子ビームBを通過させることで、荷電粒子ビームBと空気との散乱によるビームロスを抑制している。この真空ダクト6は、ビーム発生装置2からビーム走査装置5まで続いている。
【0020】
真空ポンプ7は、真空ダクト6の内部の空気を吸引する。そして、真空ダクト6の内部が真空状態に保持される。
【0021】
ビーム走査装置5の荷電粒子ビームBの出口側には、位置モニタ8および線量モニタ9が設けられている。位置モニタ8は、ビーム走査装置5を通過して患部Pに向かって出力される荷電粒子ビームBの位置を検出する。そして、患部Pにおける荷電粒子ビームBの入射位置の指標となる指標信号を出力する。線量モニタ9は、ビーム走査装置5を通過して患部Pに向かって出力される荷電粒子ビームBの強度または線量を検出し、これに応じた電気信号を出力する。
【0022】
制御装置10は、荷電粒子ビーム照射装置1を制御する。主に、ビーム発生装置2とビーム加速装置3とビーム輸送装置4とビーム走査装置5とを制御する。例えば、位置モニタ8および線量モニタ9の検出信号に基づいて、ビーム走査装置5を制御し、荷電粒子ビームBの軌道を調整する制御を行う。
【0023】
電源11は、ビーム発生装置2とビーム加速装置3とビーム輸送装置4とビーム走査装置5とに電力を供給する。なお、その他の機器に電力を供給しても良い。
【0024】
ビーム走査装置5には、荷電粒子ビームBの入口側の端部に真空ダクト6が接続される。そして、ビーム走査装置5の内部には、この真空ダクト6を構成する部材とは別部材であって、ビーム走査装置5と一体的に設けられた真空部12が設けられている。この真空部12に荷電粒子ビームBの通過空間T(図2参照)が形成されている。
【0025】
なお、真空ポンプ7により真空ダクト6の内部の空気が吸引されることで、真空部12も真空状態に保持される。ビーム走査装置5において、荷電粒子ビームBの出口側の端部は、ポリイミドの膜で塞がれている。この膜により荷電粒子ビームBを通過可能な状態で真空部12を真空状態に保持できる。
【0026】
次に、ビーム走査装置5について図2から図8を用いて詳細に説明する。なお、図2から図8において、荷電粒子ビームBの進行方向をZ軸方向とし、荷電粒子ビームBの進行方向に直交する第1直交方向をX軸方向(水平方向)とし、荷電粒子ビームBの進行方向および第1直交方向の双方に直交する第2直交方向をY軸方向(垂直方向)として説明する。
【0027】
図2に示すように、ビーム走査装置5は、荷電粒子ビームBをX軸方向に偏向させる磁場を発生させる第1走査電磁石13と、荷電粒子ビームBをY軸方向に偏向させる磁場を発生させる第2走査電磁石14とを備える。
【0028】
ビーム走査装置5が固定的に配置される場合には、第1走査電磁石13が水平走査電磁石と称されるとともに、第2走査電磁石14が垂直走査電磁石と称されることがある。なお、ビーム走査装置5が回転ガントリに配置される場合には、回転ガントリの回転とともにビーム走査装置5の向きが変わるため、X軸方向と水平方向、または、Y軸方向と垂直方向が必ずしも一致しないことがある。
【0029】
第1走査電磁石13は、励磁電流値を制御することで荷電粒子ビームBの第1直交方向(X軸方向)の軌道調整を行う複数の第1コイル15を備える。これらの第1コイル15は、第1直交方向に荷電粒子ビームBを偏向させる磁場を発生させる。
【0030】
第2走査電磁石14は、励磁電流値を制御することで荷電粒子ビームBの第2直交方向(Y軸方向)の軌道調整を行う複数の第2コイル16を備える。これらの第2コイル16は、第2直交方向に荷電粒子ビームBを偏向させる磁場を発生させる。
【0031】
なお、電源11(図1参照)は、第1走査電磁石13が備える第1コイル15と、第2走査電磁石14が備える第2コイル16に対して、荷電粒子ビームBの走査に必要な励磁電流を供給する。
【0032】
図2に示すように、ビーム走査装置5は、コイル15,16を支持し、かつ内部が真空状態にされて荷電粒子ビームBが通過する円筒形状を成す特定構造体17を備える。
【0033】
特定構造体17は、最も内側に配置される第1構造部材18と、この第1構造部材18の外側に配置される第2構造部材19と、この第2構造部材19の外側に配置される第3構造部材20とを備える。
【0034】
第1走査電磁石13の第1コイル15は、第1構造部材18の外面に配置される。また、第2走査電磁石14の第2コイル16は、第2構造部材19の外面に配置される。なお、第3構造部材20は、特定構造体17の外殻を形成している。
【0035】
さらに、特定構造体17は、第1構造部材18と第2構造部材19との間に設けられ、第1コイル15が配置される空間を確保する第1スペーサ部材21と、第2構造部材19と第3構造部材20との間に設けられ、第2コイル16が配置される空間を確保する第2スペーサ部材22とを備える。
【0036】
特定構造体17を構成するこれらの部材18~22は、それぞれが円筒形状(中空形状)を成すように形成されている。また、荷電粒子ビームBの通過空間Tを中心軸Cとして同心円状(同軸)を成すように配置されている。
【0037】
これらの部材18~22は、合成樹脂または非磁性材料で形成されている。本実施形態では、渦電流が生じない材料、例えば、非磁性金属、FRP(Fiber-Reinforced Plastic)などが用いられている。このようにすれば、特定構造体17に渦電流が生じないようになり、渦電流による影響を荷電粒子ビームBに与えずに済む。
【0038】
第1構造部材18の内部には真空部12が設けられている。この真空部12に荷電粒子ビームBの通過空間Tが確保される。なお、第1構造部材18は、一体成形により形成された部材となっている。つまり、第1構造部材18の全体に亘って接続部分および組み合わせ部分などが無いように製造される。
【0039】
この第1構造部材18(特定構造体17)における真空部12を形成する内面全体は、継ぎ目のない所謂シームレス面となっている。つまり、第1構造部材18の内周面は、その周方向および長手方向(荷電粒子ビームBの進行方向)の全体に亘って一体的な平滑面となっている。このようにすれば、特定構造体17の内部の真空部12の気密性を高めて真空状態にすることができる。
【0040】
なお、第1構造部材18の内周面は、一体的であれば良く、その内周面に、凸部、凹部、または段部があっても良い。また、第1スペーサ部材21についても、一体的に形成された部材であっても良い。さらに、第1構造部材18と第1スペーサ部材21とが一体的に形成されても良い。
【0041】
第1走査電磁石13は、第1構造部材18の上方側(図2の紙面上側)に配置される3つの第1コイル15のグループと、第1構造部材18の下方側(図2の紙面下側)に配置される3つの第1コイル15のグループとを備える。これら第1コイル15のグループが上下一対を成している。つまり、第1コイル15のグループ同士が第1構造部材18を挟んで第1直交方向(Y軸方向)に並んで配置されている。
【0042】
第2走査電磁石14は、第2構造部材19の右方側(図2の紙面右側)に配置される3つの第2コイル16のグループと、第2構造部材19の左方側(図2の紙面左側)に配置される3つの第2コイル16のグループとを備える。これら第2コイル16のグループが左右一対を成している。つまり、第2コイル16のグループ同士が第2構造部材19を挟んで第2直交方向(X軸方向)に並んで配置されている。
【0043】
図3に示すように、第2構造部材19と第2スペーサ部材22と第3構造部材20とが、第2直交方向(X軸方向)に沿って互いに離れるように分割可能となっている。このようにすれば、特定構造体17およびコイル15,16の組み立て作業または分解作業が行い易くなる。例えば、第1構造部材18の外周側から第1コイル15などを設置する作業が行い易くなる。従って、簡便に走査電磁石13,14の組み立て可能となり、製作性が向上する。
【0044】
本実施形態では、第2構造部材19と第2スペーサ部材22と第3構造部材20とのそれぞれが、第2直交方向における中央部を境界として、2つに分割可能となっている。つまり、第2構造部材19と第2スペーサ部材22と第3構造部材20とのそれぞれが、第1直交方向に平行な分割面を有する。なお、第2構造部材19と第2スペーサ部材22と第3構造部材20とのぞれぞれは、分割されたもの同士を樹脂(接着剤)などで接着した構造となっている。また、第1構造部材18は、第2構造部材19のような分割面を有していない構造となっている。
【0045】
図4および図5に示すように、平面視において、最も小型の第1コイル15の周囲を、中型の第1コイル15が囲み、さらにその周囲を大型の第1コイル15が囲んでいる。これらの3つで1グループを成す第1コイル15は、第1構造部材18の外面に沿って設けられた鞍型形状を成している。それぞれの第1コイル15に励磁電流を流すことにより、X軸方向に荷電粒子ビームBを偏向させるための磁場を発生させることができる。
【0046】
図6および図7に示すように、側面視において、最も小型の第2コイル16の周囲を、中型の第2コイル16が囲み、さらにその周囲を大型の第2コイル16が囲んでいる。これらの3つで1グループを成す第2コイル16は、第2構造部材19の外面に沿って設けられた鞍型形状を成している。それぞれの第2コイル16に励磁電流を流すことにより、Y軸方向に荷電粒子ビームBを偏向させるための磁場を発生させることができる。
【0047】
第1走査電磁石13の第1コイル15のグループと、第2走査電磁石14の第2コイル16のグループとが、特定構造体17の長手方向において同じ位置に配置される。このようにすれば、特定構造体17の長手方向に短寸なビーム走査装置5を形成することができる。つまり、第1コイル15と第2コイル16とを特定構造体17を用いてコンパクトに配置することができる。
【0048】
ビーム走査装置5では、様々な部位および大きさの異なる患部Pに照射するため、照射野Fは広く確保することが望ましい。この照射野Fを広くするためには、それぞれのコイル15,16を荷電粒子ビームBに近接させ、磁場強度を上げることが望ましい。一方、従来技術では、接近させ過ぎると真空ダクト6とコイル15,16を支持する部材とが干渉してしまう。
【0049】
本実施形態では、走査電磁石13,14の内径側に位置している特定構造体17の内面がシームレスとなっているため、その内径側を真空状態にすることが可能となっている。また、ビーム走査装置5の内部の真空ダクト6を排し、ビーム走査装置5と真空部12とを一体化することで、コイル15,16を荷電粒子ビームBの通過空間Tに近接させることができる。さらに、真空部12が患部Pの近傍まで設けられるため、荷電粒子ビームBと空気との散乱によるビームロスを抑制することが可能となる。
【0050】
次に、コイル15,16の冷却態様について詳述する。図2に示すように、特定構造体17の内部には、第1コイル15を冷却する冷却媒体Mが流れる第1流路23と、第2コイル16を冷却する冷却媒体Mが流れる第2流路24とが形成されている。
【0051】
第1流路23および第2流路24は、トンネル形状を成している。第1コイル15および第2コイル16は、環状を成す部材であるため、これらのコイル15,16に沿って流路23,24が設けられている。なお、第1流路23および第2流路24の少なくとも一部は、特定構造体17の長手方向に沿って延びている。
【0052】
第1流路23は、特定構造体17における第1コイル15が配置される部分に設けられている。つまり、第1流路23の内部に第1コイル15が配置されている。第1構造部材18の外面および第2構造部材19の内面には、第1流路23を構成する凹部(溝)が形成されている。
【0053】
第1スペーサ部材21には、第1流路23を構成するスリットが形成されている。このようにすれば、第1構造部材18と第2構造部材19との間に第1コイルが配置される空間(第1流路23)を確保することができる。また、第1流路23の内部に第1コイル15を配置させた状態で支持することができる。
【0054】
第2流路24は、特定構造体17における第2コイル16が配置される部分に設けられている。つまり、第2流路24の内部に第2コイル16が配置されている。第2構造部材19の外面および第3構造部材20の内面には、第2流路24を構成する凹部(溝)が形成されている。
【0055】
第2スペーサ部材22には、第2流路24を構成するスリットが形成されている。このようにすれば、第2構造部材19と第3構造部材20との間に第2コイルが配置される空間(第2流路24)を確保することができる。また、第2流路24の内部に第2コイル16を配置させた状態で支持することができる。
【0056】
本実施形態では、流路23,24が特定構造体17のコイルが配置される部分に設けられるため、コイル15,16を荷電粒子ビームBの通過空間Tに近接させた状態でコイル15,16を冷却することができる。また、第1走査電磁石13と第2走査電磁石14と冷却媒体Mが流れる流路23,24とをコンパクトに配置することができる。
【0057】
図8に示すように、ビーム走査装置5は、流路23,24に冷却媒体Mを循環させるための冷却媒体循環装置としてのチラー25を備える。冷却媒体Mは、流路23,24の一方の端部から導入され、他方の端部から排出される。
【0058】
特定構造体17における荷電粒子ビームBの出口側の端部には、流路23,24に冷却媒体Mを導入させるための導入用フランジ26が取り付けられる。特定構造体17における荷電粒子ビームBの入口側の端部には、流路23,24から冷却媒体Mを排出させるための排出用フランジ27が取り付けられる。
【0059】
チラー25から導出される冷却媒体Mは、ストレーナー28を介して導入用フランジ26から流路23,24に導入される。そして、流路23,24から排出用フランジ27を介して排出された冷却媒体Mが再びチラー25に戻る。この冷却媒体Mの循環によりコイル15,16が冷却される。
【0060】
本実施形態では、冷却媒体Mとして水を例示する。なお、冷却媒体Mは、その他の液体または気体であっても良い。第1構造部材18(特定構造体17)における真空部12を形成する内面全体は、継ぎ目のない所謂シームレス面となっているため、真空部12が真空状態になっても、真空部12に冷却媒体Mが漏れ出すことがない。
【0061】
また、コイル15,16が流路23,24を流れる冷却媒体Mに含浸される。このようにすれば、コイル15,16が冷却媒体Mに直接接触されるため、コイル15,16を効率的に冷却させることができる。
【0062】
本実施形態のコイル15,16は、リッツ線を巻き回して形成されたものである。なお、リッツ線とは、エナメルなどの絶縁材で絶縁された細い導体を複数本撚り合わせて構成された線材である。このようにすれば、コイル15,16に渦電流が生じ難くなり、渦電流による影響を荷電粒子ビームBに与えないようにできる。また、コイル15,16の表面積を増大させることができるため、コイル15,16が冷却媒体Mに含浸されたときに、冷却効率を向上させることができる。
【0063】
従来、加速器用磁石に用いられるコイルには、一般にホローコンダクターと呼ばれる一辺が数ミリ程度の矩形断面で中空の導体が用いられている。このホローコンダクターの中心部には、冷却水を通水することが可能となっている。このホローコンダクターを用いた場合には、荷電粒子ビームBを走査するためにホローコンダクターに流れる電流値を変化させると、自身が発生した磁場によってホローコンダクター内に渦電流が発生し、磁場が乱れてしまう。
【0064】
本実施形態では、コイル15,16の線材としてリッツ線を用いることにより、細い導体(素線)内を流れる渦電流のループが小さくなるため、磁場が乱れてしまうことがなく、磁場精度が向上する。
【0065】
なお、ホローコンダクターのような冷却配管の周囲にリッツ線を配置した場合を仮定すると、細い素線と冷却配管とが接触された部分のみから熱伝導が成される。ここで、巻きほぐれなどに起因して、素線と冷却配管との間に接触が不十分な箇所があった場合に、異常な温度上昇を引き起こし、焼損のリスクが発生する。そこで、本実施形態では、特定構造体17の内部に設けられる流路23,24に冷却媒体Mを流し、リッツ線のコイル15,16を冷却媒体Mに浸漬させることで、全ての素線を冷却媒体Mに接触させることができる。このようにすれば、冷却不備を抑制できる。なお、リッツ線を樹脂に含浸させて、その外表面に冷却媒体Mを接触させる間接冷却としても良い。
【0066】
次に、荷電粒子ビーム照射装置1が実行する荷電粒子ビーム照射方法について図9のフローチャートを用いて説明する。この荷電粒子ビーム照射装置1の動作によって受動的に生じる作用を含めて説明する。なお、前述の図1から図8を適宜参照する。
【0067】
図9に示すように、まず、ステップS11において、制御装置10は、真空ダクト制御処理を実行する。ここで、制御装置10は、真空ポンプ7を制御して真空ダクト6の内部を真空状態に保持する。なお、特定構造体17の真空部12の内部も真空状態に保持される。
【0068】
次のステップS12において、制御装置10は、ビーム発生制御処理を実行する。ここで、制御装置10は、ビーム発生装置2を制御して荷電粒子ビームBを発生させる。発生した荷電粒子ビームBは、真空ダクト6に沿って移動される。
【0069】
次のステップS13において、制御装置10は、ビーム加速制御処理を実行する。ここで、制御装置10は、ビーム加速装置3を制御して荷電粒子ビームBを所定のエネルギーに加速する。
【0070】
次のステップS14において、制御装置10は、ビーム輸送制御処理を実行する。ここで、制御装置10は、ビーム輸送装置4を制御して荷電粒子ビームBを患者の患部Pまで輸送する。
【0071】
次のステップS15において、制御装置10は、ビーム走査制御処理を実行する。ここで、制御装置10は、ビーム走査装置5を制御して荷電粒子ビームBの軌道を調整する。この制御装置10は、走査電磁石13,14のコイル15,16により磁場を発生させる。
【0072】
そして、特定構造体17の真空部12の内部を荷電粒子ビームBが通過するときに、コイル15,16により生じる磁場によって、荷電粒子ビームBが第1直交方向または第2直交方向に偏向される。このように、荷電粒子ビームBの軌道が制御されることで、荷電粒子ビームBが患者の患部Pの設定された照射野Fに正しく入射するようになる。
【0073】
本実施形態の制御装置10は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の荷電粒子ビーム照射方法は、プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
【0074】
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0075】
次に、変形例の特定構造体17Aについて説明する。図10に示すように、変形例の第1構造部材18Aは、荷電粒子ビームBの進行方向(Z軸方向)に従って直径が連続的に大きくなる形状となっている。なお、第1構造部材18Aの真空部12の内径(口径)についても、荷電粒子ビームBの進行方向(Z軸方向)に従って直径が連続的に大きくなっている。第1構造部材18Aの外面に沿って設けられる第1走査電磁石13Aの第1コイル15Aは、第1構造部材18Aの直径が大きくなるに連れて拡大される形状となっている。
【0076】
なお、図示は省略するが、変形例の第2構造部材19についても、荷電粒子ビームBの進行方向(Z軸方向)に従って直径が連続的に大きくなる形状となっている。第2コイル16についても、第2構造部材19の直径が大きくなるに連れて拡大される形状となっている。
【0077】
変形例では、荷電粒子ビームBが走査される前である特定構造体17Aの上流側において内径は小さくなっている。荷電粒子ビームBが走査されて広がった状態となる下流側では、ビーム軌道に沿って内径が大きくなっている。このようにすれば、特定構造体17Aの内面に荷電粒子ビームBに衝突させることなく、コイル15Aを近接させることが可能となり、照射野Fを広く確保することができる。つまり、荷電粒子ビームBの偏向の揺れ幅を大きくしても、荷電粒子ビームBが特定構造体17Aに干渉しないようにできる。
【0078】
なお、本実施形態では、第1走査電磁石13の第1コイル15を第1構造部材18の外面に配置し、第2走査電磁石14の第2コイル16を第2構造部材19の外面に配置しているが、その他の態様であっても良い。例えば、第2走査電磁石14の第2コイル16を第1構造部材18の外面に配置し、第1走査電磁石13の第1コイル15を第2構造部材19の外面に配置しても良い。
【0079】
なお、本実施形態において、第1走査電磁石13または第2走査電磁石14の外側にヨークを設けても良い。ヨークを設けることにより、荷電粒子ビームBに強い磁場を作用させられるとともに、外部に磁場が漏れるのを抑制することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、3つの第1コイル15のグループが上下一対を成し、3つの第2コイル16のグループが左右一対を成している。つまり、コイル15,16が3つずつ1グループを成しているが、その他の態様であっても良い。例えば、1つずつ、2つずつ、4つずつ、またはそれ以上の個数で1グループを成すようにコイル15,16を設けても良い。
【0081】
なお、本実施形態では、コイル15,16が、冷却媒体Mが流れる流路23,24に設けられているが、その他の態様であっても良い。例えば、コイル15,16が配置される部分と冷却媒体Mが流れる流路23,24とを別個に設けても良い。
【0082】
以上説明した実施形態によれば、コイルを支持し、かつ内部が真空状態にされて荷電粒子ビームが通過する筒状を成す特定構造体を備えることにより、荷電粒子ビームの空気による散乱を抑制しつつ、照射野を広く確保することができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
1…荷電粒子ビーム照射装置、2…ビーム発生装置、3…ビーム加速装置、4…ビーム輸送装置、5…ビーム走査装置、6…真空ダクト、7…真空ポンプ、8…位置モニタ、9…線量モニタ、10…制御装置、11…電源、12…真空部、13(13A)…第1走査電磁石、14…第2走査電磁石、15(15A)…第1コイル、16…第2コイル、17(17A)…特定構造体、18(18A)…第1構造部材、19…第2構造部材、20…第3構造部材、21…第1スペーサ部材、22…第2スペーサ部材、23…第1流路、24…第2流路、25…チラー、26…導入用フランジ、27…排出用フランジ、28…ストレーナー、B…荷電粒子ビーム、C…中心軸、F…照射野、M…冷却媒体、P…患部、T…通過空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10