(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】制御・監視信号伝送システムの子局特定方式
(51)【国際特許分類】
H04L 61/5046 20220101AFI20230612BHJP
H04L 61/5092 20220101ALI20230612BHJP
【FI】
H04L61/5046
H04L61/5092
(21)【出願番号】P 2019152500
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】501194514
【氏名又は名称】株式会社 エニイワイヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】濱中 淳一
(72)【発明者】
【氏名】井谷 一夫
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161055(WO,A1)
【文献】特開2001-217852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御側装置と共通の伝送線を介して伝送同期方式によりデータの授受を行う子局の複数を備え、伝送手順の中に、前記子局に対するIO制御データと前記子局によって重畳されるIO監視データとで構成されるIOデータ領域と異なる管理データ領域が設けられた制御・監視信号伝送システムにおいて、
前記子局毎に所定個数の数値の中の一つが一次仮アドレスとして設定され、
前記制御側装置から、前記一次仮アドレスとして設定される可能性のある全数値が前記管理データ領域を介して順次指定され、前記子局に対する問い合わせが実行される問い合せ工程と、
前記指定された数値が前記一次仮アドレスと一致する前記子局からの前記管理データ領域を介した前記問い合わせに対する返信に基づき、前記一次仮アドレスの重複の有無が判定される重複判定工程と、
重複の無い前記一次仮アドレスに所定の固有値を付加した二次仮アドレスが生成され、前記二次仮アドレスを構成する前記一次仮アドレスが設定された前記子局に前記管理データ領域を介して前記二次仮アドレスが設定される二次仮アドレス設定工程と、
重複の有る前記一次仮アドレスが設定された前記子局に前記一次仮アドレスが再設定される一次仮アドレス再設定工程が、前記一次仮アドレスの重複が無くなるまで繰り返され、
前記二次仮アドレスを構成する前記固有値は、前記一次仮アドレスが再設定される毎に異なる値とされ、
前記子局毎に異なる前記二次仮アドレスが設定された後、前記管理データ領域を介し前記二次仮アドレスが順次指定され、指定された前記二次仮アドレスと自局に設定された前記二次仮アドレスの一致した前記子局から、前記管理データ領域を介して、前記子局を特定できる子局特定情報に関連付けされ前記子局に予め設定されたラベルが前記制御側装置に送信され
前記子局毎に異なる前記二次仮アドレスが設定された後、前記子局の各々に割り当てる前記IOデータ領域におけるデータ領域の前記IOデータ領域における開始位置を示す数値表現の正アドレスが、前記管理データ領域を介し前記二次仮アドレスを利用して前記子局の各々に設定され、前記ラベルに対応付けされることを特徴とする子局特定方式。
【請求項2】
前記子局特定情報は、前記子局が設置された場所を特定する場所情報、前記子局の入出力種別、および前記子局の使用目的のいずれか、または、二つ以上の組合せである請求項1に記載の子局特定方式。
【請求項3】
前記子局毎に異なる前記二次仮アドレスが設定された後、前記子局毎に異なる固有識別子が、前記管理データ領域を介し前記二次仮アドレスを利用して前記子局の各々に設定され、前記ラベルに対応付けされる請求項1又は2に記載の子局特定方式。
【請求項4】
前記子局に、初期状態として任意のデータが入力されていないことを示すブランクラベルが設定され、前記制御側装置に送信された前記ラベルが前記ブランクラベルのとき、前記ブランクラベルを送信した前記子局に前記ラベルが再設定される請求項1、2又は3に記載の子局特定方式。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御側に設けられた親局と被制御側に設けられた複数の子局との間の信号線を省配線化し、共通の伝送線で接続し、伝送クロックで同期させるなどの伝送同期方式によりデータの伝送を行う制御・監視信号伝送システムにおいて、制御側装置から離れて設置された複数の子局の中から対象となる子局を特定する方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御部と、複数の出力部と入力部、或いは複数の被制御装置を備える制御システムにおいて、配線の数を減らす、所謂省配線化が広く実施されている。そして、その省配線化の一般的な手法として、複数の出力部と入力部、或いは被制御装置から延出される信号線の各々を制御部に直接繋ぐパラレル接続に代えて、パラレル信号とシリアル信号の変換機能を備えた親局と複数の子局を、制御部と複数の出力部と入力部、或いは複数の被制御装置にそれぞれ接続し、親局と複数の子局との間で共通データ信号線を介してシリアル信号によりデータ授受を行う方式が広く採用されている。
【0003】
ところが、多数の子局が接続され省配線化されたシステムにおいては、子局から送信されるデータの内容によっては、子局とのデータの送受信が正常であること、すなわち、子局がシステムにおいて生存していることを制御部側で確認できない場合がある。例えば、センサ検出が有ったことを示すデータのみが送信され、センサ検出が無いときには何らのデータも送信されない場合には、データを受信しない状態が続いている原因が、センサ検出の無いことによるものなのか、子局が生存していないことによるものなのか、制御部側で判別することができず、子局の生存を確認できなかった。そして、そのような場合には、制御部から遠く離れている子局を各々チェックする必要があり、多くの工数や時間を要する問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は、特許第4933686号公報において、子局とのデータの送受信に不具合を引き起こす原因の一つとなっている伝送ラインの断線を制御部側で検出することができる伝送ライン断線検出方式を提案している。この伝送ライン断線検出方式では、伝送信号に設けられた管理データ領域に親局から出力される管理制御データ(比較用データ)で任意の子局のアドレスが指定され、自局アドレスが指定された子局からは管理監視データとして自局アドレスデータ(個別特定データ)が管理データ領域に出力され、制御側では個別特定データと比較用データの比較照合結果に基づいて断線の有無が判断される。
【0005】
なお、子局とのデータの送受信に不具合を引き起こす原因としては、伝送ラインの断線の他に、子局の故障や電源供給不良などを挙げることができるが、いずれの場合であっても、自局アドレスの指定に対する個別特定データの出力は不可能となる。従って、上記伝送ライン断線検出方式によれば、子局の生存を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
伝送信号の省配線化に用いられる子局は、一般的に、EthernetのMACアドレスのような装置固有の識別子を有さない。そこで、親局と複数の子局との間で共通データ信号線を介してシリアル信号によりデータ授受を行う方式では、複数の子局の各々に伝送信号のデータ領域を割り当て、その自局に割り当てられたデータ領域のタイミングを得るための数値表現のアドレスが各子局に設定される。そして、複数の子局の各々が自局に割り当てられたデータ領域において親局とデータを授受することにより、複数の子局の送受信の衝突を防止している。
【0008】
しかしながら、数値表現のアドレスは、子局の設置された位置や入出力種別、或いは用途など、子局の特性を示すものではない。そのため、子局の生存を確認した結果、不具合の生じている子局に設定されたアドレスが判明しても、その子局を特定することができなかった。そして、修理や交換などの対応措置をとるためには、子局が設置されている現場で対象となる子局を特定する作業が必要となり、対応措置に時間や手間を要していた。
【0009】
また、子局に不具合が生じた場合に限られず、正常に動作している子局に対する作業、例えば、点検や設定変更を行う場合であっても、作業対象となるアドレスが付与された子局を、子局が設置されている現場で特定する作業が必要となり、そのための時間や手間を要していた。
【0010】
更に、伝送同期方式によりデータの伝送を行う制御・監視信号伝送システムを利用したシステムを構築するためには、システムを構成する装置等とのデータの授受のために、システムの構築のための作業(配線など)では本来不要であった、数値表現のアドレスを装置等に割り振る作業が必要となった。そして、このアドレスを割り振る作業では、子局の特性と無関係の数値で表現されるアドレスを意識した計算や設定が必要となり、間違いが生じやすく、時間や手間を要し、間違いが生じた場合には、その発見や修正が極めて難しかった。
【0011】
そこで、本発明は、伝送同期方式によりデータの伝送を行う制御・監視信号伝送システムに関する、人が介在する作業において、数値表現のアドレスを意識することなく子局を簡単に特定できる子局特定方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る子局特定方式では、制御側装置と共通の伝送線を介して伝送同期方式によりデータの授受を行う子局の複数を備え、伝送手順の中に、前記子局に対するIO制御データと前記子局によって重畳されるIO監視データとで構成されるIOデータ領域と異なる管理データ領域が設けられた制御・監視信号伝送システムにおいて、前記子局毎に所定個数の数値の中の一つが一次仮アドレスとして設定され、問い合せ工程と、重複判定工程と、二次仮アドレス設定工程と、一次仮アドレス再設定工程が、前記一次仮アドレスの重複が無くなるまで繰り返される。
【0013】
前記問合せ工程では、前記制御側装置から、一次仮アドレスとして設定される可能性のある全数値が前記管理データ領域を介して順次指定され、前記子局に対する問い合わせが実行される。
【0014】
前記重複判定工程では、前記指定された数値が前記一次仮アドレスと一致する前記子局からの前記管理データ領域を介した返信に基づき、前記一次仮アドレスの重複の有無が判定される。
【0015】
前記二次仮アドレス設定工程では、重複の無い前記一次仮アドレスに所定の固有値を付加した二次仮アドレスが生成され、前記二次仮アドレスを構成する前記一次仮アドレスが設定された前記子局に前記管理データ領域を介して前記二次仮アドレスが設定される。
【0016】
前記一次仮アドレス再設定工程では、重複の有る前記一次仮アドレスが設定された前記子局に前記一次仮アドレスが再設定される。
【0017】
前記二次仮アドレスを構成する固有値は、前記一次仮アドレスが再設定される毎に異なる値とされ、前記子局毎に異なる前記二次仮アドレスが設定される。
【0018】
そして、子局毎に異なる前記二次仮アドレスが設定された後、前記管理データ領域を介し前記二次仮アドレスが順次指定され、指定された前記二次仮アドレスと自局に設定された前記二次仮アドレスの一致した前記子局から、前記管理データ領域を介して、前記子局を特定できる子局特定情報に関連付けされ前記子局に予め設定されたラベルが前記制御側装置に送信される。
【0019】
また、前記子局毎に異なる前記二次仮アドレスが設定された後、前記子局の各々に割り当てる前記IOデータ領域におけるデータ領域の前記IOデータ領域における開始位置を示す数値表現の正アドレスが、前記管理データ領域を介し前記二次仮アドレスを利用して前記子局の各々に設定され、前記ラベルに対応付けされる。
【0020】
前記子局特定情報は、前記子局が設置された場所を特定する場所情報、前記子局の入出力種別、および前記子局の使用目的のいずれか、または、二つ以上の組合せであってもよい。
【0021】
前記子局毎に異なる前記二次仮アドレスが設定された後、前記子局毎に異なる固有識別子が、前記管理データ領域を介し前記二次仮アドレスを利用して前記子局の各々に設定され、前記ラベルが前記固有識別子に対応付けされてもよい。
【0022】
前記子局に、初期状態として任意のデータが入力されていないことを示すブランクラベルが設定され、前記制御側装置に送信された前記ラベルが前記ブランクラベルのとき、前記ブランクラベルを送信した前記子局に前記ラベルが再設定されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る子局特定方法によれば、子局を特定できる子局特定情報に関連付けされ子局に予め設定されたラベルが制御側装置に集約されるため、制御側でラベルを利用して子局を特定することができる。従って、人が介在する作業において、数値表現のアドレスを意識することなく子局を簡単に特定することができる。
【0024】
また、子局の各々に割り当てるIOデータ領域におけるデータ領域のIOデータ領域における開始位置を示す数値表現の正アドレスがラベルに対応付けされることにより、子局の特性と無関係の数値で表現されるアドレスを意識した計算や設定が不要となる。すなわち、人が介在する作業において、数値表現のアドレスを意識することなく子局を簡単に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る子局位置特定方法が適用される制御・監視信号伝送システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【
図7】伝送クロック信号のタイムチャート図である。
【
図8】制御側装置にラベルが集約されるまでの処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~8を参照しながら、本発明に係る子局特定方式の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る子局特定方式が適用される制御・監視信号伝送システムの構成図である。この制御・監視信号伝送システムは、工場などの施設内に配置された多数の装置機器を制御部において集中制御するためのものである。
図1に示すように、制御部1および共通データ信号線DP、DN(以下、伝送線とする)に接続された親局2と、被制御側となる施設内に配置され伝送線に接続された入力子局4、出力子局5および入出力子局6の複数で構成される。なお、
図1においては、図示の便宜上、入力子局が一つ、出力子局が一つ、入出力子局が一つ示されているが、伝送線に接続される子局の種類や数に制限は無い。
【0027】
入力子局4が接続される入力部7、出力子局5が接続される出力部8および入出力子局6が接続される入出力部9は、被制御側となる施設内に配置された装置である。
【0028】
入力部7に相当するものとして、例えば、リードスイッチ、マイクロスイッチ、押釦スイッチ、光電スイッチ、その他各種センサを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
出力部8に相当するものとして、例えば、アクチュエータ、(ステッピング)モータ、ソレノイド、電磁弁、リレー、サイリスタ、ランプを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
入出力部9は、入力部7と出力部8の双方の機能を備える装置機器である。例えば、温調、タイマ、カウンタ等の装置機器で、親局2に対し情報を送信する機能と、親局2から送信されたデータに基づき出力動作を行う機能の双方を備えるものを挙げることができる。
【0031】
なお、入力部7は、入力子局4と一体化された入力部一体型子局70であってもよい。また、出力部8は、出力子局5と一体化された出力部一体型子局80であってもよい。
【0032】
制御部1は、演算処理機能を持つ管理判断手段11と入出力ユニット12を備える。管理判断手段11は、入出力ユニット12を介して親局2からデータを受け取り、内部に記憶されたプログラムに基づいて必要な演算処理を行う。
【0033】
<親局の構成>
親局2は、
図3に示すように、出力データ部21、管理データ部22、タイミング発生部23、親局出力部24、親局入力部25、入力データ部26、比較判断部27を備える。そして、伝送線に接続され、一連のパルス状信号である制御信号を伝送線に重畳するとともに、入力子局4、出力子局5および入出力子局6(以下、入力子局4、出力子局5および入出力子局6の全てが対象となる場合は、子局4、5、6とする)から伝送線に重畳された監視信号から抽出された監視データを制御部1の入出力ユニット12へ送出する。
【0034】
出力データ部21は、制御部1の出力ユニット11からの制御並列データ13をシリアルデータとして親局出力部24へ引き渡す。
【0035】
管理データ部22は、子局情報テーブルを記憶する不揮発性機能を持つ記憶手段29を備える。そして、制御部1から受けたデータと子局情報テーブルに基づき、後述の管理制御データ領域において子局への指示に必要となるデータをシリアルデータとして親局出力部24へ引き渡す。
【0036】
子局情報テーブルは、子局4、5、6の各々に割り当てるIOデータ領域におけるデータ領域の、IOデータ領域における開始位置を示す数値表現の正アドレスと、IOデータ領域を利用して得られない子局側の情報を伝送線に出力させる、子局4、5、6を指定するための固有識別子を含んでいる。
【0037】
子局4、5、6の正アドレスおよび固有識別子は、後述のように、乱数に基づいて設定される一次仮アドレスに所定の固有値を付加した二次仮アドレスが全ての子局4、5、6に設定された後、その二次仮アドレスを使用し、全ての子局4,5、6に設定される。そして、管理データ部22では、後述する手順によって、二次仮アドレステーブルが作成され記憶される。
【0038】
タイミング発生部23は、発振回路(OSC)31とタイミング発生手段32からなり、発振回路(OSC)31を基にタイミング発生手段32が、このシステムのタイミングクロックを生成し親局出力部24及び親局入力部25に引き渡す。
【0039】
親局出力部24は、制御データ発生手段33とラインドライバ34からなる。制御データ発生手段33が、出力データ部21から受けたデータと、タイミング発生部23から受けたタイミングクロックに基づき、ラインドライバ34を介して伝送線に一連のパルス状信号として伝送信号を重畳する。
【0040】
伝送手順は、
図6に示すように、伝送信号のスタート信号STと次のスタート信号STの間の、IOデータ領域、そして管理データ領域と続く1フレームサイクルであり、複数のパルス信号が連なって構成される。スタート信号STは、パルス信号の時間幅より長く、伝送信号から伝送クロック信号を生成するための閾値Vst(この実施例では18V)より高い電位レベルとなっている。
【0041】
伝送信号を構成するパルス信号は、
図7に示すように、閾値Vstより高い電源電圧レベルの電源電圧エリアと、閾値Vstよりも低い電位レベルの低電位エリアで構成される。
【0042】
電源電圧エリアは伝送クロック信号に相当し、この実施形態では+24Vとされている。なお、電源電圧レベルに制限はなく、使用環境や使用状態に応じて適宜決めることができる。負電源であってもよい。
【0043】
また、この実施形態では、電源電圧エリアが1周期の後半と、低電位エリアが1周期の前半とされているが、その順番に制限はなく、これらの順番を逆にしてもよい。電源電圧レベルを負電源とする場合も同様である。なお、この実施形態での低電位エリアは、負電源の場合、電源電圧エリアに対し高電位のエリアとなる。
【0044】
低電位エリアの幅は、制御信号のデータを表すものとなっている。そして、低電位エリアの幅が制御データとして制御データ領域を構成し、その制御データ領域は、
図6におけるIOデータ領域及び管理データ領域の上段に相当するものとなっている。なお、管理データ領域における制御データ領域は、以下、管理制御データ領域とする。
【0045】
この実施形態では、伝送信号を構成するパルス信号の1周期をt0とした時、伝送信号を構成するパルス信号のパルス幅(3/4)t0が論理データ“1”を表し、パルス幅(1/4)t0が論理データ“0”を表している。ただし、制御部1から入力される制御データの値に応じたものであれば、その長さに制限はなく適宜に決めればよい。
【0046】
低電位エリアには、また、電流信号が重畳され、この電流信号の有無により監視信号のデータを表すものとなっている。そして、低電位エリアに重畳される電流が監視データとして監視データ領域を構成し、その監視データ領域は、
図6におけるIOデータ領域及び管理データ領域の下段に相当するものとなっている。なお、管理データ領域における監視データ領域は、以下、管理監視データ領域とする。
【0047】
この実施形態では、10mAより小さい電流信号が論理データ“0”を表し、10mAより大きい電流信号が論理データ“1”を表している。
【0048】
管理制御データ領域には、子局4、5、6に対して情報を要求する等の指示をなす第一管理制御データISTo、および、子局4、5、6毎に設定された固有識別子を指定する第二管理制御データIDXoが、親局2から入力される。また、管理監視データ領域には、第二管理制御データIDXoで指定された子局4、5、6から第一管理制御データISToに対応する第一管理監視データSTi及び第二管理監視データIDXiが入力される。更に、管理監視データ領域には、第二管理制御データIDXoで自局の固有識別子が指定された子局4、5、6から、生存確認用監視データRiが入力される。
【0049】
親局入力部25は監視信号検出手段35と監視データ抽出手段36で構成される。監視信号検出手段35は、子局4、6、7から伝送線に重畳された監視信号を検出する。
【0050】
監視データ抽出手段36は、監視信号検出手段35における監視信号の検出結果に基づき、対応するデータ値を入力データ部26に引き渡す。この実施形態では、監視信号が検出された場合には論理データ“1”を、監視信号が検出されなかった場合には論理データ“0”を、入力データ部26に引き渡す。
【0051】
また、監視データ抽出手段36は、後述するアドレス設定時において、管理監視データ領域に重畳された管理監視データを比較判断部27に引き渡す。そして、比較判断部27は、後述する、元数と比較照合用データを用いた比較照合を行い、一致または不一致の判断結果を管理データ部22に引き渡す。
【0052】
入力データ部26は、監視データ抽出手段36から受け取った直列の入力データを並列(パラレル)データに変換し、IO監視データおよび管理監視データとして制御部1の入力ユニット12へ送出する。
【0053】
<入力子局の構成>
入力子局4は、
図3に示すように、伝送受信手段41、管理制御データ抽出手段42、アドレス抽出手段43、プロファイルデータ記憶手段44、管理監視データ送信手段45、入力手段46、IO監視データ送信手段47、管理制御指示判定手段48、アドレス設定処理手段49および通信手段58を有する子局入力部40を備える。また、子局入力部40と伝送線の間に配置される子局ラインレシーバ51および子局ラインドライバ52を備える。
【0054】
なお、この実施例の入力子局4は、内部回路としてマイクロコンピュータ・コントロール・ユニットであるMCUを備えており、このMCUが子局入力部40として機能するものとなっている。
【0055】
処理において必要となる演算や記憶は、このMCUの備えるCPU、RAM及びROMを使用して実行されるが、子局入力部40を構成する上記各手段のそれぞれの処理におけるCPU、RAM及びROMとの関係は、説明の便宜上、図示を省略するものとする。
【0056】
伝送受信手段41は、伝送線に伝送される伝送信号を、子局ラインレシーバ51を介して受け、これを管理制御データ抽出手段42、アドレス抽出手段43および管理監視データ送信手段45に引き渡す。
【0057】
管理制御データ抽出手段42は、伝送信号の管理制御データ領域から管理制御データを抽出する。そして、第二管理制御データIDXoが、プロファイルデータ記憶手段44に記憶されている自局の固有識別子と一致する場合、第一管理制御データISToを管理制御指示判定手段48に引き渡すとともに、生存確認用監視データRiとなるデータ(この実施形態では論理データ“1”)を管理監視データ送信手段45に引き渡す。
【0058】
アドレス抽出手段43では、伝送クロック信号の始まりを示すスタート信号STが終了となるタイミング(この実施形態では立ち下がり)を起点として伝送信号を構成するパルス信号のカウントが行われる。なお、このカウント値がプロファイルデータ記憶手段44で設定された自局アドレス(正アドレス)データと一致するタイミングは、伝送信号の自局に割り当てられたデータ領域が開始するタイミング(以下、「自局領域開始タイミング」とする)となる。
【0059】
自局領域開始タイミングを得たアドレス抽出手段43は、自局領域の期間、IO監視データ送信手段47を有効にする。
【0060】
プロファイルデータ記憶手段44は、入出力の種別や制御・監視データ領域の占有点数(占有アドレス)など、自局の装置特性を示すプロファイルデータを記憶する。また、プロファイルデータ記憶手段44は、一次仮アドレス、二次仮アドレス、固有識別子、および、後述するラベルも記憶する。
【0061】
管理監視データ送信手段45は、スタート信号STが終了となるタイミング(この実施形態では立ち下がり)を起点として、伝送信号を構成するパルス信号をカウントし、管理データ領域のタイミングを得る。そして、管理監視データとして出力すべきデータが引き渡された場合は、子局ラインドライバ52を介して管理監視信号として伝送線に出力する。
【0062】
この実施形態では、後述の一次仮アドレス確認処理において、アドレス設定処理手段49から比較判断データとその元数が引き渡される。また、後述のプロファイルデータ送信処理では、プロファイルデータ記憶手段44から自局のプロファイルデータが引き渡される。更に、自局に設定された固有識別子が指定された場合は、管理制御データ抽出手段42から生存確認用監視データRiとなるデータが引き渡される。なお、アドレス設定が終了した後の常態において親局2から何等かの応答が要求された場合は、管理制御指示判定手段48から管理制御の目的に応じたデータが引き渡される。
【0063】
入力手段46は、入力部7からの入力に基づくデータをIO監視データ送信手段47に引き渡す。
【0064】
IO監視データ送信手段47は、アドレス抽出手段43により有効とされた場合に、入力手段46から引き渡されたデータを、子局ラインドライバ52を介して伝送線に監視信号として出力する。監視信号は、伝送手順のIO監視データ領域に重畳される。
【0065】
管理制御指示判定手段48は、管理制御データ抽出手段42から引き渡された第一管理制御データISToに基づき、適切な出力処理を実行する。この実施形態では、一次仮アドレス生成処理、および一次仮アドレス確認処理を実行するための指示信号をアドレス設定処理手段49に出力する。また、二次仮アドレス確定処理、正アドレス確定処理、および固有識別子設定処理を実行する場合は、第一管理制御データISToに含まれる自局宛てデータをプロファイルデータ記憶手段44に引き渡す。更に、プロファイルデータ送信処理を実行する場合は、データ送信を指示する信号をプロファイルデータ記憶手段44に出力する。
【0066】
<一次仮アドレス生成処理>
図4に示すように、アドレス設定処理手段49は、アドレス生成手段53、比較判断データ生成手段54、および乱数発生手段55で構成されている。そして、管理制御指示判定手段48において一次仮アドレス生成処理の実行が選択された場合は、アドレス生成手段53に指示信号が出力される。アドレス生成手段53では、乱数発生手段55から引き渡される乱数に基づいて所定個数の数値の中の一つが一次仮アドレスとして選定される。選定された一次仮アドレスは、プロファイルデータ記憶手段44に引き渡され記憶される。なお、プロファイルデータ記憶手段44に記憶された一次仮アドレスは、管理制御データ抽出手段42からの求めに応じ管理制御データ抽出手段42に引き渡される。
【0067】
<一次仮アドレス確認処理>
管理制御指示判定手段48において一次仮アドレス確認処理の実行が選択された場合、比較判断データ生成手段54に指示信号が出力される。比較判断データ生成手段54では、乱数発生手段55から引き渡される乱数に基づいて所定個数の数値の中の一つが元数として選定される。また、比較判断データ生成手段54では、元数を予め決められた規則に従って変換した比較照合用データが生成される。そして、元数と比較照合用データが管理監視データ送信手段45に引き渡される。
【0068】
<二次仮アドレス確定処理>
管理制御指示判定手段48において二次仮アドレス確定処理の実行が選択された場合、プロファイルデータ記憶手段44に、自局宛てに送信された二次仮アドレスのデータが出力される。これを受けたプロファイルデータ記憶手段44では、引き渡されたデータが二次仮アドレスとして記憶される。なお、プロファイルデータ記憶手段44に記憶された二次仮アドレスは、管理制御データ抽出手段42からの求めに応じ管理制御データ抽出手段42に引き渡される。
【0069】
<プロファイルデータ出力処理>
管理制御指示判定手段48においてプロファイルデータ出力処理の実行が選択された場合、プロファイルデータ記憶手段44に、プロファイルデータの出力を指示する信号が出力される。これを受けたプロファイルデータ記憶手段44からは、プロファイルデータおよびラベルが管理監視データ送信手段45に引き渡される。
【0070】
<正アドレス確定処理>
管理制御指示判定手段48において正アドレス確定処理の実行が選択された場合、プロファイルデータ記憶手段44に、自局宛てに送信された正アドレスのデータが出力される。これを受けたプロファイルデータ記憶手段44では、引き渡されたデータが正アドレスとして記憶される。なお、正アドレスは、アドレス設定処理の終了後にシステム再起動若しくはそれに代わる手段によって有効とされる。そして、正アドレスが有効化された後、管理制御データ抽出手段42、および、アドレス抽出手段43からの求めに応じ、プロファイルデータ記憶手段44から要求のあった夫々の手段に正アドレスが引き渡される。
【0071】
<固有識別子確定処理>
管理制御指示判定手段48において固有識別子設定処理の実行が選択された場合、プロファイルデータ記憶手段44に、自局宛てに送信された固有識別子のデータが出力される。これを受けたプロファイルデータ記憶手段44では、引き渡されたデータが固有識別子として記憶される。なお、固有識別子は、アドレス設定処理の終了後にシステム再起動若しくはそれに代わる手段によって有効とされる。そして、固有識別子が有効化された後、管理制御データ抽出手段42からの求めに応じ、プロファイルデータ記憶手段44から管理制御データ抽出手段42に固有識別子が引き渡される。
【0072】
この実施形態において、乱数発生手段55は常時作動するものとなっているが、管理制御指示判定手段48から出力される指示信号により作動するものであっても良い。また、乱数発生のアルゴリズムは使用状況に最適なものを採用すればよい。
【0073】
管理制御指示判定手段48は、また、アドレス設定が終了した後の常態において親局2から何等かの応答が要求された場合は、管理制御の目的に応じたデータを管理監視データ送信手段45に引き渡す。
【0074】
通信手段58は、子局4と別体の外部端末59と通信接続され、外部端末59から設定データが引き渡された場合はこれをプロファイルデータ記憶手段44に引き渡す。プロファイルデータ記憶手段44は、通信手段58からデータが引き渡された場合、これを記憶する。
【0075】
通信手段58は、また、外部端末59からデータ引き渡しの要請があった場合は、プロファイルデータ記憶手段44から該当するデータを抽出し、これを外部端末59に引き渡す。通信手段58から外部端末59に引き渡されたデータは、外部端末59が備える表示部に表示される。
【0076】
この実施形態において、ラベルは、これら通信手段58および外部端末59を介し設定されるものとなっている。
【0077】
<出力子局の構成>
出力子局5は、
図5に示すように、伝送受信手段41、管理制御データ抽出手段42、アドレス抽出手段43、プロファイルデータ記憶手段44、管理監視データ送信手段45、管理制御指示判定手段48、アドレス設定処理手段49、IO制御データ抽出手段56、出力手段57および通信手段58を有する子局出力部50を備える。
【0078】
出力子局5も、また、前記入力子局4と同様、内部回路としてマイクロコンピュータ・コントロール・ユニットであるMCUを備えており、このMCUが子局出力部50として機能するものとなっている。そして、入力子局4のMCUと同様に、出力子局5の処理において必要となる演算や記憶は、このMCUの備えるCPU、RAMおよびROMを使用して実行されるものとなっている。
【0079】
処理において必要となる演算や記憶は、このMCUの備えるCPU、RAMおよびROMを使用して実行されるが、子局出力部50を構成する上記各手段のそれぞれの処理におけるCPU、RAMおよびROMとの関係は、説明の便宜上、図示を省略するものとする。また、
図5において、入力子局4と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
【0080】
出力子局5のアドレス抽出手段43は、自局領域の期間、IO制御データを抽出するタイミング信号をIO制御データ抽出手段56に引き渡す。
【0081】
IO制御データ抽出手段56は、アドレス抽出手段43から引き渡されたタイミング信号と伝送受信手段41から引き渡された伝送信号から、プロファイルデータ記憶手段44に記憶された自局アドレス(正アドレス)に送信されたIO制御データ値を抽出し、これを出力手段57に引き渡す。
【0082】
出力手段57は、アドレス抽出手段43から引き渡された制御データに基づいた情報を出力部8に出力し、出力部8を動作させ、或いは停止させる。
【0083】
<入出力子局の構成>
入出力子局6には、対応関係にある入力部7と出力部8の双方が接続されている。入出力子局6も、入力子局4および出力子局5と同様、内部回路としてマイクロコンピュータ・コントロール・ユニットであるMCUを備えており、このMCUが子局入出力部として機能するものとなっている。そして、入力子局4のMCUおよび出力子局5のMCUと同様に、入出力子局6の処理において必要となる演算や記憶は、このMCUの備えるCPU、RAMおよびROMを使用して実行されるものとなっている。
【0084】
処理において必要となる演算や記憶は、このMCUの備えるCPU、RAMおよびROMを使用して実行されるが、子局入出力部を構成する上記各手段のそれぞれの処理におけるCPU、RAMおよびROMとの関係は、説明の便宜上、図示を省略するものとする。また、子局入出力部は、子局入力部40および子局出力部50の双方の構成を備えるものであるが、これら各構成は子局入力部40および子局出力部50と実質的に同じものであるため、図示およびその説明は省略する。
【0085】
次に、
図8を参照しながら、子局4、5、6のアドレス設定方法について説明する。
まず、親局2から全ての子局4、5、6に対し、ブロードキャストコマンドにより一次仮アドレス設定の指示がなされる。これを受けた子局4、5、6では、既述の一次仮アドレス生成処理が実行され、乱数に基づいて所定個数の数値の中から選定された一つが一次仮アドレスとして設定される。(
図8のステップ1)
【0086】
次に、親局2は、一次仮アドレスとして設定され得る所定個数の数値の全てを、管理制御データ領域を使用し順次指定する。(
図8のステップ2)これを受けた子局4、5、6では、自局に設定されている一次仮アドレスが親局2に指定された数値と一致する場合、既述の一次仮アドレス確認処理が実行される。そして、管理監視データ領域に、元数と比較照合用データが出力される。(
図8のステップ3)
【0087】
元数と比較照合用データを受けた親局2では、比較判断部27において、子局4、5、6と同様に元数を変換し比較照合用データを生成し、子局4、5、6から受けた比較照合用データと比較照合を行う。そして、両データが一致した場合は重複が無いことを示すデータが、比較判断部27から管理データ部22に引き渡される。(
図8のステップ3)
【0088】
重複の有る場合は、複数の子局4,5、6から異なる元数と異なる比較照合用データが送信され、親局2が受ける元数と比較照合用データは、これらが重畳されたものとなる。従って、親局2が受ける元数と比較照合用データには、所定の規則が成立せず、親局2の比較判断部27において生成される比較照合用データは、子局4、5、6から受けた比較照合用データと一致しない。すなわち、両データが一致しない場合は重複していることを意味する。そこで、両データが一致しない場合は、重複が有ることを示すデータが、比較判断部27から管理データ部22に引き渡される。(
図8のステップ3)
【0089】
なお、子局4、5、6の何れにも一次仮アドレスとして設定されていない数値が指定された場合、何れの子局4、5、6からも元数は送信されない。従って、この実施形態では、親局2で受けた元数が0の場合、その数値が一時仮アドレスとして設定されている子局4、5、6は存在しないと判断し、比較照合は実行されないものとされている。
【0090】
ただし、一次仮アドレスとして設定されている子局4、5、6の有無を判断する手法に制限はなく、使用状況に応じて、その他の手法を採用してもよい。例えば、子局4、5、6の管理制御データ抽出手段42は自局で決めた一次仮アドレスが指定された場合にも、生存確認用監視データRiとなるデータを管理監視データ送信手段45に引き渡すものとし、親局2では生存確認用監視データRiに基づき、その一次仮アドレスが設定された子局4、5、6の存在の有無を判断してもよい。
【0091】
親局2の管理データ部22は、重複が無い場合には、その一次仮アドレスに、一次仮アドレスの設定が1回目であることを示す固有値、例えば数値の1(3ビットアナログ表示の001)を加えた数値を、確定した二次仮アドレスとして、二次仮アドレステーブルに追加する。(
図8のステップ4)
【0092】
一次仮アドレスとして設定され得る所定個数の数値の全てについて、重複の有無の判定が終了したら、重複の無い一次仮アドレスに対し、二次仮アドレステーブルに追加された二次仮アドレスを伝送する。これを受けた子局4、5、6は、自局に設定されている一次仮アドレスが親局2に指定された数値と一致する場合、既述の仮アドレス確定処理が実行される。(
図8のステップ4)
【0093】
また、重複している一次仮アドレスに対し、一次仮アドレス再設定の指示がなされる。これを受けた子局4、5、6は、自局に設定されている一次仮アドレスが親局2に指定された数値と一致する場合、既述の一次仮アドレス生成処理が実行され、乱数に基づいて所定個数の数値の中から選定された一つが一次仮アドレスとして再設定される。(
図8のステップ5)
【0094】
先に設定された一次仮アドレスに重複のあった子局4、5、6において、一次仮アドレスが再設定されたら、再設定された一次仮アドレスについて、上記と同様の手順で重複の有無が判定される。そして、重複の無い一次仮アドレスが設定されている子局4、5、6については二次仮アドレスを確定し、重複の有る一次仮アドレスが設定されている子局4、5、6については、更に、一次仮アドレスが再設定され、重複の有無が判定される。
【0095】
なお、二次仮アドレスを確定するために用いられる固有値は、先の二次仮アドレス確定に用いられた固有値と異なる数値を採用する。例えば、2回目の一次仮アドレス設定で確定した場合は数値2(3ビットアナログ表示の010)を、3回目の乱数発生に基づき確定する場合は数値3(3ビットアナログ表示の011)を採用する。
【0096】
一次仮アドレス設定、アドレス重複有無の判定、および二次仮アドレス確定の処理は、一次仮アドレス設定の重複が確認されなくなるまで繰り替えされる。そして、重複して設定された一次仮アドレスが無くなったものと判定された場合、そのときの二次仮アドレスの確定をもって、全ての子局4、5、6に対し二次仮アドレスが設定された状態となる。(
図8のステップ6)
【0097】
全ての子局4、5、6に二次仮アドレスが設定された状態となったら、親局2は、全ての二次仮アドレスを順次指定し、全ての子局4、5、6の各々のプロファイルデータとラベルを収集する。そして、プロファイルデータとラベルを二次仮アドレスに関連づけてまとめた二次仮アドレステーブルが完成する(
図8のステップ7)
【0098】
二次仮アドレステーブルが完成したら、親局2の管理データ部22に記憶されている子局情報テーブルと二次仮アドレステーブルのプロファイルデータに基づき、全ての子局4、5、6に対し占有点数(占有アドレス)が反映された正アドレスが割り振られる。(
図8のステップ8)
【0099】
全ての子局4、5、6に割り振られた正アドレスは、二次仮アドレスを利用して親局2から全ての子局4、5、6に伝送を介して設定される。この実施形態では、管理制御データ領域を使用し、二次仮アドレスを順次指定するとともに、指定した二次仮アドレスに対応付けられる正アドレスが伝送される。これを受けた子局4、5、6は、自局に設定されている二次仮アドレスが親局2に指定された数値と一致する場合、既述の正アドレス確定処理が実行される。そして、子局4、5、6に正アドレスが設定される。(
図8のステップ9)
【0100】
全ての子局4、5、6に正アドレスが設定されたら、続いて固有識別子が設定される。固有識別子も、正アドレスと同様に、二次仮アドレスを利用して親局2から全ての子局4、5、6に伝送を介して設定される。この実施形態では、管理制御データ領域を使用し、二次仮アドレスを順次指定するとともに、指定した二次仮アドレスに対応付けられる固有識別子が伝送される。これを受けた子局4、5、6は、自局に設定されている二次仮アドレスが親局2に指定された数値と一致する場合、既述の固有識別子確定処理が実行される。そして、子局4、5、6に固有識別子が設定される。(
図8のステップ10)
【0101】
全ての子局4、5、6に設定された正アドレスおよび固有識別子は、設定値有効化処理により有効化される。(
図8のステップ11)この実施形態では、アドレス設定処理(
図8のステップ1~10)の終了後にシステムを再起動することで、正アドレスおよび固有識別子が有効化されるものとなっている。ただし、有効化手段に制限はなく、使用状況や設計状況に応じ適宜決めることができる。例えば、親局2から全ての子局4、5、6に対し、ブロードキャストコマンドを送信することとしてもよい。
【0102】
この実施形態において、正アドレスの割り振りは親局2の管理データ部22において実行されているが、正アドレスを割り振る手順に制限はない。例えば、子局情報テーブルが存在しない場合は、二次仮アドレステーブルに基づきシステム設計を考慮しながら、正アドレスを割り振ることにしてもよい。
【0103】
また、この実施形態の正アドレスは、子局4、5、6のプロファイルデータに基づき割り振られているが、ラベルを使用したプログラミングがなされている場合は、ラベルに基づき正アドレスを割り振ることとしてもよい。
【0104】
一次仮アドレスは、所定個数の数値の中の一つが設定されるものであれば、乱数に基づかないその他の手法を採用して設定してもよい。
【0105】
この実施形態によれば、制御側装置である親局2に集約されるラベルを利用して子局4、5、6を特定することができる。
【0106】
この実施形態では、自局に設定された固有識別子が指定された子局4、5、6から送信される生存確認用監視データRiを利用して子局4、5、6が生存していること、すなわち、異常の有無を検出し、生存していないものがあれば、その固有識別子が特定される。そして、固有識別子に対応付けされている二次仮アドレスを介してラベルが特定されるものとなっているが、固有識別子とラベルを直接対応付けることとしてもよい。
【0107】
ラベルは子局4、5、6を特定できる子局特定情報に関連付けされている。子局特定情報としては、子局4、5、6が設置された場所を特定する場所情報、子局4、5、6の入出力種別、および子局4、5、6の使用目的が挙げられる。そして、これら情報のいずれか、または、二つ以上の組合せとしてもよい。例えば、入出力種別として出力装置を意味する文字Oと、使用目的として照明装置を意味するLに、場所情報として設置された部屋の番号を組み合わせたOL1、OL2などとすることができる。
【0108】
ラベルは、アドレス設定処理の実行前に設定しておく必要があるが、その設定方法に制限はない。この実施形態のように、子局4、5、6と別体の外部端末59を用いることなく、子局4、5、6に入力操作器を設けそれにより設定してもよい。また、子局4、5、6を配置してから現場で設定してもよく、現場に配置する前に設定してもよい。なお、いずれの場合においても、ラベルの内容は視認可能な状態で子局4、5、6本体或いは子局4、5、6が配置された位置の近くに表示しておくことが好ましい。
【符号の説明】
【0109】
1 制御部
2 親局
4 入力子局
5 出力子局
6 入出力子局
7 入力部
8 出力部
9 入出力部
11 管理判断手段
12 入出力ユニット
21 出力データ部
22 管理データ部
23 タイミング発生部
24 親局出力部
25 親局入力部
26 入力データ部
27 比較判断部
29 記憶手段
31 発振回路(OSC)
32 タイミング発生手段
33 制御データ発生手段
34 ラインドライバ
35 監視信号検出手段
36 監視データ抽出手段
40 子局入力部
41 伝送受信手段
42 管理制御データ抽出手段
43 アドレス抽出手段
44 プロファイルデータ記憶手段
45 管理監視データ送信手段
46 入力手段
47 IO監視データ送信手段
48 管理制御指示判定手段
49 アドレス設定処理手段
50 子局出力部
51 子局ラインレシーバ
52 子局ラインドライバ
53 アドレス生成手段
54 比較判断データ生成手段
55 乱数発生手段
56 IO制御データ抽出手段
57 出力手段
58 通信手段
59 外部端末