(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】同軸光照射装置
(51)【国際特許分類】
G03B 15/02 20210101AFI20230612BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20230612BHJP
G02B 3/06 20060101ALI20230612BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230612BHJP
【FI】
G03B15/02 G
G01N21/84 E
G02B3/06
G03B15/00 T
G03B15/02 J
(21)【出願番号】P 2019213378
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】吉村 憲久
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-003113(JP,A)
【文献】特開2008-305504(JP,A)
【文献】特開平11-339297(JP,A)
【文献】特開2019-113466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/02
G01N 21/84
G02B 3/06
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、ワークの各点からの光を観測する観測軸上に斜めに配置され、前記光源部から射出された光を反射して前記観測軸と同じ方向からワークに照射するビームスプリッタとを備えた同軸光照射装置であって、
前記ビームスプリッタに起因してワークの像の各点に生じる非点収差を補正する補正板をさらに備え、該補正板が、観測軸上に配置された、平板を一方向にのみ弧状に湾曲させた形状をなす透明なものであ
り、
前記観測軸方向をZ方向、Z方向と垂直な方向であってビームスプリッタが斜めに傾いた線状に見える方向をX方向、前記Z方向及びX方向と互いに垂直な方向をY方向としたとき、
前記補正板が、X方向から視たとき、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークとは逆側に凸となるように配置されている、又は、前記補正板が、Y方向から視たとき、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークに向かって凸となるように配置されていることを特徴とする同軸光照射装置。
【請求項2】
前記補正板の表面である凸面とその反対側の面である凹面とが円弧状に湾曲しており、その曲率が略等しい請求項
1記載の同軸光照射装置。
【請求項3】
前記補正板が、ワーク観測に用いられるカメラ等の観測手段の画角範囲をカバーする大きさのものである請求項
1又は2記載の同軸光照射装置。
【請求項4】
ワークの観測軸上に斜めに配置されたビームスプリッタを備え、該ビームスプリッタを介してワークの各点から反射される光を観測できるように構成した光学装置であって、
前記ビームスプリッタに起因してワークの像の各点に生じる非点収差を補正する補正板をさらに備え、該補正板が、観測軸上に配置された、平板を一方向にのみ弧状に湾曲させた形状をなす透明なものであ
り、
前記観測軸方向をZ方向、Z方向と垂直な方向であってビームスプリッタが斜めに傾いた線状に見える方向をX方向、前記Z方向及びX方向と互いに垂直な方向をY方向としたとき、
前記補正板が、X方向から視たとき、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークとは逆側に凸となるように配置されている、又は、前記補正板が、Y方向から視たとき、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークに向かって凸となるように配置されていることを特徴とする光学装置。
【請求項5】
光源から光が射出される光照射ステップと、
前記光源から射出された光を、ワークの各点からの光を観測する観測軸上に斜めに配置されたビームスプリッタによって反射して、前記観測軸と同じ方向からワークに照射する反射ステップとを備える光照射方法であって、
前記ビームスプリッタに起因して生じる非点収差を、観測軸上に配置された、平板を一方向にのみ弧状に湾曲させた形状をなす透明な補正板で補正する非点収差補正ステップとを備え、
前記観測軸方向をZ方向、Z方向と垂直な方向であってビームスプリッタが斜めに傾いた線状に見える方向をX方向、前記Z方向及びX方向と互いに垂直な方向をY方向としたとき、
前記補正板が、X方向から視たとき、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークとは逆側に凸となるように配置されている、又は、前記補正板が、Y方向から視たとき、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークに向かって凸となるように配置されていることを特徴とする光照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを検査等するために観測する方向と同方向から、当該ワークに光を照射することができる同軸光照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の同軸光照射装置は、検査用カメラの光軸(以下、観測軸ともいう。)上に、例えば45°の斜めの角度で設けられたハーフミラーと、観測軸の側方に設けたLED等を用いた光源部を有しており、光源部からの検査光がハーフミラーで反射して、観測軸と同じ方向からワークに当たるように構成されている。
【0003】
ところが、厚みのあるハーフミラーが斜めに配置されているため、
図11に示すように、例えばXZ平面を進む物体光とYZ平面を進む物体光とで、結像位置が観測軸方向(Z方向)にはdだけずれることになる。結像位置がずれる理由は、同図下部の拡大図に示すように、XZ平面を進む物体光と、YZ平面を進む物体光とで、ハーフミラーを通過する際に屈折によって平行にずれる距離がそれぞれ違うためである。そしてその違いが非点収差となってカメラでの検査精度を悪化させる。
【0004】
なお、XZ平面とは、観測軸をZ軸、ハーフミラーが斜めに傾いた線状に見える方向と平行でZ軸と直交する軸をX軸、前記Z軸及びX軸と互いに直交する軸をY軸としたときに、X軸とZ軸で形成される平面のことである。また、YZ平面とは、Y軸とZ軸で形成される平面のことである。
【0005】
そこで、従来は、特許文献1に示すように、ハーフミラーと同様な材質と大きさを有する透明平板状の補正板を、ハーフミラーとは観測軸回りに90度回転させた姿勢で直列に配置し、この補正板によって、ハーフミラーで生じる非点収差をキャンセルしている(
図12参照)。
【0006】
しかしながら、このような構成では、同軸光照射装置が、特に観測軸方向に大きくなってしまい、カメラをワークに接近させることができなくなるという不具合が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる不具合に鑑みてなされたものであって、ハーフミラーなどの厚みを有したビームスプリッタによる非点収差を打ち消して観測精度を向上させながらも、コンパクトに構成可能な同軸光照射装置を提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る同軸光照射装置は、光源部と、ワークを観測する観測軸上に斜めに配置され、前記光源部から射出された光を反射して前記観測軸と同じ方向からワークに照射するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタに起因して生じる非点収差を補正する補正板を備えており、該補正板が、観測軸上に配置された、平板を一方向にのみ弧状に湾曲させた形状をなす透明なものであることを特徴とするものである。
【0010】
このような構成によれば、補正板の観測軸方向の長さを、背景技術で述べた平板状のものと比べて大幅に短縮できる。そのため、非点収差を補正できることはもちろんのこと、ワークと観測手段との間の距離を接近させることができるので、観測精度の飛躍的な向上を図れるし、同軸光照射装置自体のコンパクト化も促進できる。
【0011】
より具体的な補正板の配置位置及び配置姿勢としては、前記観測軸方向をZ方向、Z方向と垂直な方向であってビームスプリッタが斜めに傾いた線状に見える方向をX方向、前記Z方向及びX方向と互いに垂直な方向をY方向としたとき、前記補正板が、X方向から視た場合に、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークとは逆側に凸となるように配置されたものを挙げることができる。
【0012】
前記補正板が、Y方向から視た場合に、弧状に湾曲してみえ、かつ、ワークに向かって凸となるように配置されていてもよい。
【0013】
補正板はそのパワーが0となるものが最も好ましく、そのためには、前記補正板の表面である凸面とその反対側の面である凹面とが互いに円弧状に湾曲しており、その曲率が略等しくしておくことが好適である。
【0014】
具体的な実施態様としては、前記補正板が、ワーク観測に用いられるカメラ等の観測手段の画角範囲をカバーする大きさのものを挙げることができる。
【0015】
本発明は、ワークの観測軸上に斜めに配置されたビームスプリッタを備え、該ビームスプリッタを介してワークを観測できるように構成した光学装置にも適用可能である。すなわち、前記ビームスプリッタに起因して生じる非点収差を補正する補正板をさらに備え、該補正板が、観測軸上に配置された、平板を一方向にのみ弧状に湾曲させた形状をなす透明なものであればよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、補正板の観測軸方向の長さを、背景技術で述べた平板状のものと比べて大幅に短縮できる。そのため、非点収差を補正できることはもちろんのこと、ワークと観測手段との間の距離を接近させることができるので、観測精度の飛躍的な向上を図れるし、装置のコンパクト化も促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における同軸光照射装置の斜視図。
【
図2】同実施形態における同軸光照射装置の断面図。
【
図3】同実施形態における同軸光照射装置の内部構造を示す模式的斜視図。
【
図4】同実施形態の同軸光照射装置においてXZ平面及びYZ平面での物体光の進路を示す模式的端面図。
【
図5】カメラのレンズそのものの実力値を示すシミュレーションデータ。
【
図6】同実施形態の同軸光照射装置において補正板によって非点収差が抑制されたことを示すシミュレーションデータ。
【
図7】従来の同軸光照射装置において非点収差が存在することを示すシミュレーションデータ。
【
図8】本発明の他の実施形態の同軸光照射装置において、XZ平面及びYZ平面での物体光の進路を示す模式的端面図。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態の同軸光照射装置において、XZ平面及びYZ平面での物体光の進路を示す模式的端面図。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態の同軸光照射装置において、XZ平面及びYZ平面での物体光の進路を示す模式的端面図。
【
図11】補正板を挿入しない従来の同軸光照射装置において、XZ平面及びYZ平面での物体光の進路を示す模式的端面図。
【
図12】従来の補正板を挿入した同軸光照射装置において、XZ平面及びYZ平面での物体光の進路を示す模式的端面図。
【
図13】非点収差を小さくできる原理を説明するための原理説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0019】
この実施形態に係る同軸光照射装置100は、
図1~
図3に示すように、筐体1と、この筐体1内に設けられたビームスプリッタの一種であるハーフミラー2及び光源部3とを備えている。
【0020】
筐体1は、
図1、
図2に示すように、例えば直方体状をなすものであり、その互いに対向する壁面の一方にはカメラ窓11が設けられているとともに、他方には光射出口12が設けられている。そして、前記光射出口12を観測又は検査対象たるワークW側に配置し、前記カメラ窓11に観測手段であるカメラ200を臨むように配置することによって、前記カメラ窓11から光射出口12を介して、ワークWを観測・撮像できるように構成されている。
【0021】
なお、以下では、カメラ200の光軸を観測軸ないしZ軸という。
【0022】
ハーフミラー2は、
図2に示すように、一定厚みを有した矩形平板状をなすものであり、その板面が観測軸と45°の角度をなして交差するように、カメラ窓11及び光射出口12との間に配置されている。
【0023】
光源部3は、
図2に示すように、矩形平板状をなすプリント基板31と、このプリント基板31上に敷設した複数のLED32とからなる面発光タイプのものである。このプリント基板31は、ハーフミラー2の側方に、観測軸と平行に配設してある。
【0024】
このようにして、LED32から出た検査光が、ハーフミラー2に当たって反射し、光射出口12を通過して、カメラ200による観測方向と同方向からワークWに照射されるように構成されている。なお、
図2の符号4は、光源部3とハーフミラー2との間に設けられている拡散板である。
【0025】
しかして、この実施形態では、
図3及び
図4に示すように、ハーフミラー2とカメラ窓11との間の観測軸上に、光を透過する透明な補正板5が設けられている。
【0026】
この補正板5は、ワークWで反射して生じる物体光が、ハーフミラー2を通過する際に生じる非点収差を主として小さくするためのものであって、ここでは、一方向にのみ円弧状に湾曲する、概略部分円筒状をなすものである。
【0027】
しかして、補正板5の湾曲径を小さくするか、厚みを大きくするか、もしくは屈折率を大きくすることによって、打ち消すことのできる非点収差は大きくなるし、逆にすれば、打ち消すことのできる非点収差は小さくなる。したがって、この実施形態では、打ち消すべき非点収差の大きさに加え、補正板5を配置できるスペースに収めることや、カメラ200の画角のカバーをできることなどをパラメータとして、補正板5の湾曲径、厚み、屈折率等が設定されている。
【0028】
さらに説明すれば、この補正板5は、正確には部分円筒形ではなく、凸面5aの湾曲径と凹面5bの湾曲径とを可及的に等しくして、横断面でいえば中央が最も厚く、両端部が最も薄いメニスカス形状となるようにしたものである。そして、この構成によって、補正板5によるレンズパワー(焦点距離の逆数)が0となるようにしてある。レンズパワーが大きいと、そのことによって収差が生じ得るからである。
【0029】
なお、ここでいう「レンズパワーが0」とは、正確に0ではなくともよく、本実施形態による効果、すなわち収差の軽減による観測精度の向上という所望の効果が奏される範囲内であればよい。例えば、補正板5が部分円筒形であっても、レンズパワーは少し生じるが、求める効果の度合いによっては、これも「レンズパワーが0」とみなせる。ちなみに本実施形態でのレンズパワーが0」とは、-0.1(1/m)≦PW≦0.1(1/m)の範囲である。ここでPWはレンズパワーを、mは単位でメートルを示す。
【0030】
次に、この補正板5の配置姿勢であるが、
図3、
図4に示すように、X方向から視た場合に、弧状に湾曲し、かつ、カメラ窓11に向かって凸となる姿勢にして、Z軸(観測軸)上に配置してある。また、その凸面5a及び凹面5bの湾曲中心(円弧中心)が、X方向から視てZ軸(観測軸)上にあるようにしてある。
【0031】
ここでZ方向とは前記観測軸方向である。X方向とは、Z方向と垂直な方向であってハーフミラー2が斜めに傾いた線状に見える方向である。Y方向とはZ方向及びX方向と互いに垂直な方向である。
【0032】
このような構成によれば、
図4に示すように、例えばYZ平面を進む物体光B2は、ハーフミラー2を透過する際に、XZ平面を進む物体光B1よりも結像位置が遠くなるところ、当該物体光は、前記補正板5を透過する際には、その逆の作用を受けるので、ハーフミラー2で生じるXZ平面とYZ平面の結像位置のズレが、補正板5によってキャンセルされる。
なお、
図4では、煩雑を避けるため、物体光B1、B2がハーフミラー2や補正板5を通過する際の屈折を省略している。
そのため、結像位置のズレをキャンセルできる理由がわかりにくいのでその原理を、
図13を参照して、定性的に説明する。
図13は、XZ平面を進む物体光B1とYZ平面を進む物体光B2とを同じ平面上に記載したものである。
ハーフミラー2を通過する際にXZ平面を進む物体光B1が屈折によってずれる距離と、YZ平面を進む物体光B2が屈折によってずれる距離とが異なり、その結果、ハーフミラー2を通過し、補正板5に入射する前においては、Z方向の同一位置において、物体光B1の光径R1よりも物体光B2の光径R2の方が小さくなる。
しかして、この実施形態によれば、補正板5が挿入してあり、この補正板5での屈折によって、両者の光径差がほぼキャンセルされ、補正板5を出た後の物体光B1の光径R1’と物体光B2の光径R2’とがほぼ等しくなる。
【0033】
その結果、非点収差が抑制され、補正板5のないものと比べ、カメラ200による観測精度を向上させることが可能になる。
もっとも、同図に示すように、物体光B1の中心軸はZ軸上にある一方、物体光B2の中心軸はZ軸からややずれるが、そのずれによる影響は、後述する実証データから明らかなように微小である。
【0034】
【0035】
図5は、ハーフミラーなどを介在させない、カメラのみでワークを撮像したときの結像位置を示すシミュレーションデータである。
そして、
図6が、補正板5を入れたときの結像位置を示すシミュレーションデータ、
図7がハーフミラー2だけの場合の結像位置を示すシミュレーションデータである。ハーフミラー2だけで生じていた結像位置のずれ(
図7参照)が、補正板5を入れた場合には解消されて(
図6参照)、カメラのみでワークを撮像したときに近づいており、非点収差が補正されていることがわかる。
【0036】
また、この補正板5は、部分円筒状であるため、背景技術で述べた平板状のものと比べて、観測軸方向の長さを大幅に短縮できる。そのため、ワークWとカメラ200(観測手段)との間の距離を接近させることができ、この点においても観測精度の向上を図れるし、同軸光照射装置100のコンパクト化にも寄与し得る。
【0037】
さらに、補正板5のパワーが実質的に0となるようにしてあるので、補正板5の取付位置や取付姿勢が多少ずれても、補正板5による非点収差補正作用にはほとんど影響がでない。したがって、補正板5についてはシビアな組み立て精度を必要とせず、製造工程に大きな負担がかかることもない。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。
【0039】
例えば、補正板5を設ける位置や姿勢は上記実施形態以外にも考えられる。その例を
図8~
図10に示す。
【0040】
図8は、補正板5の姿勢はそのままにして、その位置をハーフミラー2と光射出口12との間の観測軸上に設定したものである。
【0041】
図9、
図10は、補正板5の凹凸面5b、5aを逆にし、かつ、観測軸を中心に90°回転させた姿勢にしたものである。すなわち、Y方向から視て、補正板5が湾曲してみえる姿勢に設定したものである。補正板5の位置は、観測軸上であってハーフミラー2とカメラ窓11との間(
図9)、又は、観測軸上であってハーフミラー2と光射出口12との間(
図10)に設定すればよい。
このような構造でも同様の効果を奏し得る。
【0042】
前記実施形態では、補正板5が、凸面5aの湾曲径と凹面5bの湾曲径とを可及的に等しくして、横断面でいえば中央が最も厚く、両端部が最も薄いメニスカス形状のものであったが、等厚の部分円筒形でもよいし、逆に中央が最も薄く、両端部が最も厚いものでも構わない。要するに概略部分円筒形状であればよく、レンズパワーが0であればよい。なお、ここでいう「レンズパワーが0」とは、前述したように、実際には、-0.1(1/m)≦PW≦0.1(1/m)の範囲のことである。ここで、PWはレンズパワー、mは単位でメートルを示す。
【0043】
光源部3は、LED32に限られないし、面発光タイプのものにも限られない。
【0044】
観測手段はカメラに限られず、肉眼でもよい。ハーフミラーのみならず、他のタイプのビームスプリッタにも適用可能であるし、その配置角度は45°に限られず、30°、60°など、他の角度にも設定可能である。
【0045】
また、本発明は、同軸光照射装置にも限られない。すなわち、斜めに配置した平板状ハーフミラー(あるいは透明板)を介して対象物を観測する構成を有した光学装置において、前述した補正板を適用しても構わない。このことによって、観測精度の向上及びコンパクト化という同様の効果を奏し得る。
【0046】
その他、本発明は前記図示例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
100・・・同軸光照射装置
W・・・ワーク
200・・・観測手段(カメラ)
2・・・ハーフミラー
3・・・光源部
5・・・補正板