(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】マイクロ画素ディスプレイからの偏光発光及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20230612BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20230612BHJP
H01S 5/02255 20210101ALI20230612BHJP
H01L 33/16 20100101ALI20230612BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20230612BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
H01L33/48
H01S5/40
H01S5/02255
H01L33/16
H01L33/32
G09F9/33
(21)【出願番号】P 2019529479
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(86)【国際出願番号】 US2017063508
(87)【国際公開番号】W WO2018102311
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-18
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507349503
【氏名又は名称】オステンド・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】エル-ゴロウリー,フセイン・エス
(72)【発明者】
【氏名】デミル,ナタリー
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-541248(JP,A)
【文献】特開2011-176045(JP,A)
【文献】特開2005-328042(JP,A)
【文献】特開2009-123969(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0095080(KR,A)
【文献】特開2008-258561(JP,A)
【文献】特表2010-512301(JP,A)
【文献】特開2011-146575(JP,A)
【文献】特開2008-218645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0349427(US,A1)
【文献】Ting Zhi, et al.,Polarized Emission From InGaN/GaN Single Nanorod Light-Emitting Diode,IEEE PHTONICS TECHNOLOGY LETTERs,IEEE,2016年02月25日,28,721-724,(Date of publication December 17, 2015; Date of current version February 25, 2016)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01S 5/00-5/50
G09F 9/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色偏光発光画素の二次元配列を含む多色電子発光型ディスプレイデバイスであって、各多色発光画素は:
無極性又は半極性III族窒化物材料系から製造する複数の発光層であって、各発光層は、偏光の発生のために少なくとも1層のエピ層での圧縮又は引張り歪みによる面内歪みの非対称性を有し、各発光層は、異なる色を発光するためのもので、多色画素の配列内で隣接する多色画素から各多色画素を電気的及び光学的に分離する垂直側壁の格子を用いて、垂直方向に積層される、発光層;
前記発光層に、エッチングした反射側壁空洞を形成し、光学的に結合して、前記発光層によって生成した偏光を、前記発光層の積層体の第1面から垂直方向に発光する複数の垂直導波路;
前記発光層の積層体の前記第1面に対向する第2面によって、デジタル半導体構造体上に積層する、発光層の積層体;及び
前記デジタル半導体構造体にある複数のデジタル半導体回路であって、各デジタル半導体回路を、前記垂直側壁内に埋設した垂直相互接続子によって、前記発光層に電気的に結合して、各前記発光層のオン/オフ状態を別々に制御する、デジタル半導体回路
を含む、多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記デジタル半導体構造体を、外部電源から各画素の色毎に、制御信号及びパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)ビットを収容する画素配列ビットフィールドを受信して、各前記発光層のオン/オフ状態を別々に制御するように、電気的に結合する、請求項1に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記デジタル半導体構造体を、光変調映像ビットストリームを受信するように、電気的に結合し、前記デジタル半導体構造体は、多色マイクロ画素配列用PWMビットフィールドを生成するのに必要なロジック機能を更に含み、各前
記発光層のオン/オフ状態を別々に制御する、請求項1に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記
発光層の少なくとも1層を、極性面又は半極性面それぞれに沿ったエピタキシャル成長方向を有する、
前記無極性又は半極性のIII族窒化物材料系から製造し、それにより
前記偏光を、
前記少なくとも1層のエピ層での圧縮又は引張り歪みにより、前記発光
層から発光する、
請求項1に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記多色電子発光型ディスプレイデバイスを、前記複数の発光
層のオン-オフ状態を独立的に制御するように構成したシリコンベースの相補型金属酸化膜半導体(Si-CMOS)構造体に接合すると共に、電気的に結合する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記
発光層の少なくとも1層を、(100)LiAlO
2基板材料を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1層を、r面Al
2O
3基板材料を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1層を、m面Al
2O
3基板材料を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1層を、六方晶系多形のSiC基板材料を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1層を、スピネル((100)、(110)、MgAl
2O
4)面基板材料を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1層を、ミスカットを含む(001)Si基板材料を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1層を、7°のミスカットを含む(001)Si基板材料を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1層を、GaN基板材料のバルクm面、a面又は半極性面を使用して、無極性又は半極性配向で成長させる半導体材料から製造する、請求項4に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記
発光層の少なくとも1層を、c面GaNの横方向エピタキシャル成長の1つ又は複数のファセット側壁を含む基板上に成長させた非c面配向III族窒化物材料系から製造し
、発光した光におい
て光学的偏光異方性
を誘起する、
請求項1に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記
発光層の少なくとも1層を、c面配向GaN材料系のエピ層から製造し、該層では、異方性歪みをc面GaNで誘起し、それにより前記発光
層から発光した光における光学的偏光が、前記c面配向GaN材料系のエピ層の少なくとも1層上での圧縮又は引張り歪みにより、発生する、
請求項1に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項16】
異方性歪みを、前記c面配向GaN材料系のエピ層の少なくとも1層に歪みを導入することによって、前記c面GaNで誘起する、請求項15に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項17】
異方性歪みを、A面サファイア上で前記c面配向GaN材料系のエピ層を成長させることによって、前記c面GaNで誘起する、請求項16に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記c面GaNにおける異方性歪みを、AlリッチのAlN/Al
xGa
1-xN量子井戸又はAl
xGa
1-xN歪み層によって補正する、請求項16に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項19】
異方性歪みを、c面GaN上で成長させたナノ構造体によって、前記c面GaNで誘起する、請求項16に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記ナノ構造体は、光子結晶、金属ナノ粒子、楕円形ナノロッド又はナノ格子の中の少なくとも1つを含む、請求項19に記載の多色電子発光型ディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年12月1日付で出願した米国仮特許出願第62/429,033号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、LEDやレーザダイオード構造体等の固体発光器に関する。特に、本発明は、III族窒化物材料の固有な結晶学的特性を利用し、それにより偏光を、発光構造体から発光する、III族窒化物材料から製造する固体発光構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
固体発光器は、今日の市販電子ディスプレイシステムの最先端にある。多くのディスプレイシステムは、ディスプレイ要素上の「オン」画素と「オフ」画素との間で高いコントラスト比を得るために偏光特性を利用している。非偏光を使用するのに、かかるディスプレイシステムは、複数の偏光子と偏光光学素子を組み込む必要があり、ディスプレイシステムが、より大きく、より複雑で、エネルギ効率が低く、高価になってしまう。III族窒化物の材料系は、特定の偏光状態に好都合な材料における結晶面を選択することによって、III族窒化物材料から発光する光の偏光状態を結晶学的に調整する方法を提供する。これにより、固体発光系を、最小量の発光技術作業(engineering)で製造可能にし、固体発光系を、電力消費量や設計に関して、根本的に効率化できる。
【0004】
特定の市販LEDは、III族窒化物材料系を利用している。深紫外線から近赤外線の発光波長に及ぶバンドギャップが大きい、AlGaInN材料系は、その出力が、全可視電磁波スペクトルをカバーするため、電子ディスプレイにとって魅力的な材料系である。既存のディスプレイ技術で使用するGaNのLEDの殆どは、ウルツ鉱型GaNの極性(0001)c面上に成長させる。しかしながら、GaNの非基底面は、伝統的なc面GaNに対して顕著な利点及び異なる光学的特性を提供する。不所望には、c面GaNの多重量子井戸内部の偏光に関する電界により、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE:quantum confined Stark effect)が、低エネルギ再結合遷移を生じさせ、ピーク発光波長における特徴的なブルーシフトが、電流密度が増大するにつれて、観測される(非特許文献1)。c面成長に関する別の不所望な結果としては、高電流密度で発生する効率低下(efficiency droop)がある(非特許文献2)。
【0005】
最初の高品質な無電極成長材料の1つが、2000年に、非特許文献3によって、GaNのm面に関して報告された。このGaNの無極性面は、c面とで90°の角度を形成し、半極性面は、0°~90°の中間の角度を形成する。また、半極性面は、ミラー-ブラヴェ指数則(Miller-Bravis indexing convention)における非ゼロのh、k又はi指数だけでなく、非ゼロのl指数を有する面である。極性面、無極性面、及び半極性面を含むGaN六方晶材料の様々な結晶面を、
図1に示す。
【0006】
GaNの基底c面とは異なり、無極性面及び半極性面では、電気ベクトルの方向に依存する不平等な光子放出を示す、即ち;c軸に垂直な光(E⊥c)と、c軸に平行な光(E||c)は、不平等である。歪みを含むウルツ鉱型半導体に対する有効質量ハミルトニアンを導出した、非特許文献4を使用して、非特許文献5は、ウルツ鉱型GaNの光学利得に関する異方性についての論理的研究を構築でき、この異方性が、異方性価電子帯によって引き起こされることを示した。数学的に、彼らは、価電子帯に対する6x6全ハミルトニアン(full 6x6 Hamiltonian)から求めた平均運動量行列要素を使用して、価電子帯の因子(factor)が不平等なため、該因子は、異方性に寄与するはずであることを示した。GaNの価電子帯は、主にN2p状態からなり、波動ベクトルk=0(Γポイント)であるブリユアンゾーンの中心で、原子のpx及びpy特性を有する価電子帯は、縮退しており、pzは、低エネルギにあり、その結果、スピン軌道相互作用について考慮することなく、価電子帯を2つに分裂する(結晶場分裂△crとして知られる)。スピン軌道相互作用は、px及びpy特性を有する状態をそれ以上縮退させず、c面配向に対して重い正孔帯(HH)と軽い正孔帯(LH)を形成する。伝導帯最小値付近のエネルギバンド特性は、そこでの状態が、全方向で対称的であるN及びGaのs軌道特性から主に成るため、この種の分裂には影響を受けない。
【0007】
c面(x-y面内に入る)の価電子帯に対する波動関数(基礎状態)を、非特許文献6によって、以下のように定義する。
【0008】
【0009】
上記式から、HH及びLH帯が、(|X±iY〉)の混合であり、等方的な二軸の歪み(歪み成分ε
xx=ε
yyの場合)を有するc面配向では、光学的偏光異方性が全くないことが明らかである。しかしながら、無極性及び半極性の結晶配向に関して、歪みは、もはや等方的ではない。一例として、m面を使用した際に、GaNの結晶場は、p関数の軸をc軸に沿って固定する程十分強力であることが、非特許文献7によって、示された。c面配向における元の混合状態を、これ以上維持せず、次に、状態は、|X〉状及び|Y〉状になる(非特許文献8)。InGaN/GaN井戸の、例えば、圧縮、二軸性、異方的歪みを有するm面上の成長では、z方向へのエネルギ(c軸、c軸の|Z〉状態を、E
v3と呼ぶ)は、|Y〉状態のE
v2より高く上昇する。|X〉状態のE
v1も、増大した歪みから上昇するが、既に他の2状態より高く、そのため最も高いエネルギ価電子帯として相対的な位置を維持し、|Y〉状態は、m軸に沿った引張り歪みにより、低くなる。この議論の概要を、
図2に示す。
【0010】
GaNの成長が、c軸(z方向)に沿って指向する場合、電界成分(Ex及びEy)は、常に、c軸と直交し、電子が価電子帯へ放射状に遷移するため、電界成分の偏光状態に全く違いがなく、その結果、発光した光は、一様に非偏光化する。しかしながら、GaNの成長が、無極性面又は半極性面に沿って指向すると(再び、一例としてm面を取り上げると)、電界成分Ezは、今度は、c軸に平行となる一方で、Eyは、c軸と直交し、放射遷移確率がより低く、Ev3(|Z〉状態)を好むE||cと比べて、E⊥cに関して放射遷移確率は、一層高く、Ev1(|X〉状態)を好む。従って、2つの異なる偏光状態が、発光で利用可能である。サンプルにおける偏光量を物理的に定量化するために、その偏光比、ρを、以下の式で定義する。
【0011】
【0012】
式中、I⊥(I||)は、c軸に垂直な(平行な)偏光状態での光の強度であり、ディスプレイ技術におけるコントラスト比のために最大値の限界を決定する。偏光の度合いは、量子閉じ込めによるpz価電子帯の状態が混合するために、単一性(unity)から、常に逸脱するであろう(非特許文献9)。この作用についての更に徹底した論説は、非特許文献10に見られる。
【0013】
21世紀前半のディスプレイ技術の急伸は、様々なディスプレイ製品の幅広い商業化を齎した。最も一般的なディスプレイシステムの1つは、液晶ディスプレイ(「LCD:liquid crystal display」)である。よくある種類のLCDは、捩れネマチック液晶ディスプレイである。このディスプレイは、均質な境界条件だが、2つの好適な配向方向を、互いに対して90°回転させた状態で提供する、2電極面を有することによって、機能する。無電界時に、デバイスの厚さを横断するネマチック相の均等に捩られた領域を、得られる。薄液膜に垂直な電界を提供すると、液晶分子の誘電異方性が、該液晶分子を回転させたり、電界方向に整列させたりする。電界を切ると、分子は、元の状態に復帰する。
【0014】
LCDにおける画像コントラストを、両電極の表面付近での光学偏光子を利用して、反射光によって達成する。下側LCD基板を、高反射率のために下面にミラー加工(mirrored)する。非偏光化した光は、デバイスの先端から入り、上部の配向方向に平行に偏光する。電極が、「オフ」状態にあれば、光は、デバイスを通り進み、液晶分子が90°捩れながら、配向した後に、偏光が起こる。次に、光は、下部偏光子から反射面へと通過し、下部偏光子を通り跳ね返り、液晶分子を通り再び、配向を反転し、上部偏光子によって妨害されずに、通過する。従って、観察者らは、最初にデバイスに入る環境光を見ているため、この「オフ」状態は、観察者には明るく見える。「オン」状態に対しては、ここでも光は上部偏光子に入るが、今度は、電極を作動し、液晶分子を、基板と垂直に整列させる。従って、偏光方向の回転が全く起こらないため、如何なる光も下部偏光子を通過して、観察者へと反射して戻らない。この場合、「オン」状態は、観察者には暗く見える。この「オフ」と「オン」状態は、ディスプレイに対する許容可能な画像コントラストを生じさせる。
【0015】
3つの、主要な小さな形状因子(small form factor)の電子ディスプレイ構造体は、何らかの形で反射技術を利用している;オン/オフ位置に移動する切替可能ミラー(特許文献1)及び走査ミラーで操作するレーザビーム(特許文献2)は、其々、ある種の光源をMEMSデバイスと一体化する必要がある;LCoS(liquid crystal on silicon)は、CMOSの反射層を組み込み(特許文献3及び特許文献4)、其々、全システム用の偏光源を必要とする;アクティブマトリクスOLED及びLED;低複雑度を誇りながら、反射により発生するゴーストイメージを排除するのに更なる偏光子要素から利益を得られる(特許文献5及び特許文献6)。
【0016】
多数の従来技術のディスプレイデバイスは、ディスプレイで使用する偏光を発生させるために、更なる偏光要素を利用する。デバイスの活性領域から発光した後に光の電界を変形させる余計な物体は、一般的な解決方法である。本発明に関連する用途の例として、外部偏光層、位相板を使用する又は使用しない独立型偏光分離膜、周期格子構造体、及び偏光ビームスプリッタ等が挙げられるが、これらに限定されない(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12及び特許文献13)。
【0017】
具体的には、特許文献14では、構造体上に更なる半導体層として成長させる偏光制御層として、複数の金属ナノワイヤを使用する。従来技術の一例、特許文献15では、格子構造を組み込むことによって、偏光を発光する半導体チップを利用して、所望する放射成分を選択的に増強し、その結果どの偏光状態で発光するかを選択する。にもかかわらず、これは、偏光発光を起こすために、更なる要素を半導体チップ上に載置したままであり、上記従来技術は、実際にどのように偏光技術をディスプレイ製品に組み込むかについては全く言及していない。
【0018】
マイクロLEDディスプレイ用に半導体材料の様々な結晶面を利用して、選択的な偏光状態を得る体系的な方法について記載している従来技術は、全く確認されていない。
【0019】
新規な発光型撮像素子(imager)が、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22で開示されており、これら各特許を、本明細書に参照として完全に援用するものとし、該発光型撮像素子は、電磁放射の可視スペクトルを効率的に生成できるマイクロ半導体発光型ディスプレイデバイスである。開示された発光型撮像素子の使用法を、一般的な固体照明装置に容易に適用できるが、かかるデバイスのディスプレイ用途は、既に達成されている。この発光型「量子光子撮像素子」(QPI:Quantum Photonic Imager)発光型ディスプレイデバイスは、III族窒化物半導体デバイスの活性領域から光子を放出し、発光した光を自由空間に伝播する。「QPI」は、本発明の譲受人である、Ostendo Technologies,Inc.の登録商標である。各画素が、異なる色の固体LED又はレーザ発光器の積層体から発光するQPI撮像素子に加えて、単一画素の役割を果たす複数の固体LED又はレーザ発光器と並設して配置する異なる色の固体LED又はレーザ発光器から発光する撮像素子が、知られている。本発明のかかるデバイスは、一般的に発光型ディスプレイデバイスと呼ばれている。更に、本発明を、DLPやLCOS等、多くの種類の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator、マイクロディスプレイ)用光源を作製するのに使用できるだけでなく、LCD用バックライト光源としても使用できる。
【0020】
以下の記述では、同じ参照番号を、異なる図面中でも、同じ要素に使用する。詳細な構成や要素等の本明細書で定義する事項は、例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために、提供される。しかしながら、本発明を、これらの具体的に定義した事項なしでも実施できる。また、周知の機能又は構成については、不必要な詳細で本発明を曖昧にしかねないため、詳述しない。本発明を理解して、本発明を実際にどのように実行し得るかを見るために、次に、本発明の実施形態について、非限定的な例だけとして、添付図を参照して、記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】米国特許第5,083,857号
【文献】米国特許第6,245,590号
【文献】米国特許第7,396,130号
【文献】米国特許出願第2004/0125283号
【文献】米国特許第5,952,789号
【文献】米国特許第9,159,700号
【文献】米国特許第8,125,579号
【文献】米国特許第6,960,010号
【文献】米国特許第8,767,145号
【文献】米国特許第7,781,962号
【文献】米国特許第号7,325,957号
【文献】米国特許第7,854,514号
【文献】米国特許出願第2005/0088084号
【文献】米国特許出願第2008/0054283号
【文献】国際特許公開第WO2012140257号
【文献】米国特許第7,623,560号
【文献】米国特許第7,767,479号
【文献】米国特許第7,829,902号
【文献】米国特許第8,049,231号
【文献】米国特許第8,243,770号
【文献】米国特許第8,098,265号
【文献】米国特許第8,567,960号
【文献】米国特許第8,728,938号
【文献】米国特許第9,443,727号
【文献】米国特許第8,629,065号
【文献】米国特許第8,673,074号
【文献】米国特許第9,023,673号
【文献】米国特許第8,992,684号
【文献】米国特許第9,306,116号
【文献】米国特許第8,912,017号
【文献】米国特許第9,416,464号
【文献】米国特許第8,647,435号
【文献】米国特許出願第2011/0188528号
【文献】米国特許出願第2014/0349427号
【非特許文献】
【0022】
【文献】T. Takeuchi, S. Sota, M. Katsuragawa, M. Komori, H. Takeuchi, H. Amano, and I. Akasaki, “Quantum-confined Stark effect due to piezoelectric fields in GaInN strained quantum wells,” Japanese Journal of Applied Physics 36, L382-L385 (1997)
【文献】Y. C. Shen, G. O. Mueller, S. Watanabe, N. F. Gardner, A. Munkholm, and M. R. Krames, “Auger recombination in InGaN measured by photoluminescence,” Applied Physics Letters, 91, 141101 (2007)
【文献】Waltereit, O. Brandt, A. Trampert, H. T. Grahn, J. Menniger, M. Ramsteiner, M. Reiche, and K. H. Ploog, “Nitride semiconductors free of electrostatic fields for efficient white light-emitting diodes,” Nature 406, 865 (2000)
【文献】S. L Chuang and C. S. Chang, “k-p method for strained wurtzite semiconductors,” Physical Review B, 54, 2491-2504 (1996)
【文献】J. B. Jeon, B. C. Lee, Yu. M. Sirencko, K. W. Kim, and M. A. Littlejohn, “Strain effects on optical gain in wurtzite GaN,” Journal of Applied Physics, 82, 386-391 (1997)
【文献】S. L Chuang and C. S. Chang, “k-p method for strained wurtzite semiconductors,” Physical Review B, 54, 2491-2504 (1996)
【文献】K. Domen, K. Horino, A. Kuramata, and T. Tanahashi, “Analysis of polarization anisotropy along the c axis in the photoluminescence of wurtzite GaN,” Applied Physics Letters, 71, 1996-1998 (1997)
【文献】S. L Chuang and C. S. Chang, “k-p method for strained wurtzite semiconductors,” Physical Review B, 54, 2491-2504 (1996)
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【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】GaN結晶構造における様々な結晶面について表している。
【
図2】GaNの六方晶に対する座標系で、z軸は、c面に垂直に取られ、y軸は、m面に垂直に取られ、x軸は、a面に垂直に取られて、これを示しており、m面に対するГ点での3価電子帯の相対的な配置を示しており、E
v2が、最低エネルギを有する(E
v3ではなく)。
【
図3】
図3Aは、c面からの発光を示す従来技術の量子光子撮像素子(QPI)発光型ディスプレイデバイスの発光面を含む多色画素の図を示す。
図3Bは、<0001>方向からの発光を示す従来技術の量子光子撮像素子(QPI)発光型ディスプレイデバイスの発光面を含む多色画素の図を示す。
【
図4】
図4A、
図4Bは、無極性m面からの発光を示す本発明の量子光子撮像素子(QPI)発光型ディスプレイデバイスの発光面を含む多色画素の図を示す。
図4Cは、<1010>方向からの発光を示す本発明の量子光子撮像素子(QPI)発光型ディスプレイデバイスの発光面を含む多色画素の図を示す。
【
図5】
図5A、
図5B、
図5Cは、本発明の偏光発光量子光子撮像素子(QPI)発光型ディスプレイデバイスで使用するための様々な多色画素コンタクトパッドを示す。
図5Dは、X、Yと共通コンタクトを示す本発明の好適な実施形態の断面図を示す。
【
図6】本発明の偏光発光量子光子撮像素子(QPI)発光型ディスプレイデバイスの機能ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上述したQPI発光型ディスプレイデバイスは、後述する例示的な実施形態で言及する、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22の発光マイクロスケール画素配列のほんの一例である。しかしながら、図説したQPI発光型ディスプレイデバイスは、本発明で使用し得る、及び本発明によって製造し得る発光デバイスの種類の単なる例であると理解されるべきであり、その中の幾つかを前述した。従って、以下の記述では、QPI発光型ディスプレイデバイスに対する言及は、開示した実施形態における特定を目的としており、本発明の特許文献16を限定するためではないと理解されるべきである。
【0025】
図3A及び
図3Bは、従来技術のQPI発光型ディスプレイデバイス又はQPI撮像素子の、断面図及びc面としての発光面を示しており、
図4A~
図4Cは、本発明の好適な実施形態における、側面図及びm面としての発光面を示している。本発明は、QPI発光型ディスプレイデバイス又はQPI撮像素子等の発光型ディスプレイデバイスが、非偏光又は直線偏光を発光する光子を放出可能にする。
【0026】
図4A~
図4Cは、本発明の好適な実施形態を、一例として、限定としてではなく、示し、複数の固体発光層の積層体を含むQPI発光型ディスプレイデバイスの画素構造体を説明しており、該固体発光層は、シリコンベースの相補型金属酸化膜半導体(Si-CMOS)構造体の上に発光構造体を含み、該Si-CMOS構造体は、該画素構造体の複数の固体発光層其々のオン-オフ状態を独立的に制御するのに使用する回路を含む。QPI発光型ディスプレイデバイスの画素の表面寸法は、通常、画素ピッチが1ミクロン~5ミクロン、又は5ミクロン以上のマイクロスケールである。QPI発光型ディスプレイデバイス自体は、一次元又は二次元配列のかかる画素から構成してもよく、QPI発光型ディスプレイデバイスのマイクロ画素の配列を形成する行列数に関して、ユーザが所望する画素解像度を可能にする。
【0027】
本発明は、デイスプレイコミュニティにおける、様々な状態の偏光した可視光を発光するように調整できる光源に対するニーズを満たす。軽量、小さい形状因子、及び低消費電力は、メーカが、消費者市場に対する、特に人間のウェアラブル装置に対するディスプレイシステムを設計する際に、認識する主な問題である。数例を挙げると、眼鏡、ゴーグル、リストバンド、腕時計、又は医療装置モニタ等のアイテムは、全て、シームレスに製品に統合し、エンドユーザの用途に混乱を生じさせない偏光ディスプレイから利益を得られる。そのために、本発明は、偏光源のQPI発光型ディスプレイデバイスへの統合を、ディスプレイシステムを不所望に大きくする又は同数の出力光子に対してより高い電源入力を要求する外部ハードウェアを必要とせずに、可能にする。
【0028】
本発明の好適な実施形態では、多色電子発光型ディスプレイデバイスを提供し、該デバイスは、多色偏光発光画素構造体の二次元配列を含み、各多色発光画素は、無極性又は半極性III族窒化物材料系から製造する複数の発光構造体を含む。発光構造体を、其々が異なる色の光を発光するように構成してもよく、多色画素の配列内で隣接する多色画素から各多色画素を電気的及び光学的に分離する垂直側壁の格子を用いて、垂直方向に積層する。複数の垂直導波路を、発光構造体と光学的に結合して、発光構造体によって生成した偏光を、発光構造体の積層体の第1面から垂直方向に発光する。発光構造体の積層体を、発光構造体の積層体の第1面に対向する第2面上にあるデジタル半導体構造体上に積層する。複数のデジタル半導体回路を、デジタル半導体構造体内に設け、各回路を、例えば、所謂外界と接続するために、メッキした貫通ビア又はデジタル半導体構造体の側面にあるメッキした相互接続子を用いて、デジタル半導体構造体の周囲から、又はデジタル半導体構造体の底部から制御信号を受信するように、電気的に結合する。デジタル半導体構造体にある複数のデジタル半導体回路を、垂直側壁内に埋設した垂直相互接続子によって、多色発光構造体と電気的に結合させて、各多色発光構造体のオン/オフ状態を別々に制御する。
【0029】
従来技術のQPI発光型ディスプレイデバイスは、更なる光学要素の必要性を排除したスタンドアロンの発光型ディスプレイである。そうしたデバイスに組み込むのは、多色光子要素の層であり、この特定の場合では、有色の非偏光を発光するGaN又は他のIII-V若しくはII-VI半導体材料の層である。画素制御ロジックのバックボーンは、QPI発光型ディスプレイデバイスシステムを形成するように纏めて接合したデジタル半導体構造体である。該デジタル半導体構造体は、電力及び制御信号を、積層した光子半導体構造体に提供するデジタル駆動ロジック回路を含んでもよい。本発明は、様々な用途に対して固有の偏光発光能力を導入する手段を組み込むことによって、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22に記載されたQPIデバイス構造体、又は他のマイクロLED半導体配列上に拡張できる。
【0030】
QPI発光型ディスプレイデバイスの光子構造は、半導体材料の1層又は複数の個別層から成る。AlInGaN/GaN材料系のQPI発光型ディスプレイデバイスの例では、c面を、MBE、MOCVD、又はHVPE等の成長技術によって、サファイア基板上にヘテロエピタキシャル成長させる。サファイア(Al2O3)、六方晶系多形のSiC、GaAs、Si、スピネル(MgAl2O4)、非晶質シリカ(SiO2)、LiGaO2、LiAlO2、及びZnOを含むが、これらに限定しない他の基板材料を、使用してもよい。ごく最近では、バルクGaN基板は、光子デバイスに対する有望な結果を示しているが、高価格や入手可能性が、依然として障害となっている(非特許文献11及び非特許文献12)が、それにもかかわらず、基板材料として組み込むことがある。最適な基板材料は、AlN又はGaNのドープ層、次にn-GaN:Si、その後、所望する層の発光波長に応じた様々なインジウム濃度を有する固定数のInGaN/GaN多重量子井戸(MQW:multi-quantum well)、次に、AlGaN電子阻止層、最後に、p-GaN:Mgを伴う。次に、この光子構造を、画素配列にパターン化し、コンタクトを、QPI発光型ディスプレイデバイスを形成するために加える。本発明を実装するために、QPI発光型ディスプレイデバイスの光子層(GaN/InGaN等)の成長方向を、後述のように考える。
【0031】
GaNを成長するのに使用する基板の配向、特に原子位置及び界面化学は、エピタキシャル成長処理中に合体する主要な結晶面に影響を与える。1970年代の半ばから、GaN材料系に関する様々な基板及び配向についての安定成長面及び好適な成長方向を特定する研究が、行われた。これらの研究の大部分は、Al2O3バルク結晶が容易に入手可能であり、半導体エピタクシに既に使用されていたために、サファイアに集中した(非特許文献13)。例えば、c面及びa面のサファイア基板では、平滑なc面GaN及びAlNを作製できる(非特許文献14)。Ga面c面ウルツ鉱型GaNが、この材料系において平面薄膜を成長させるのに好適な成長面であることは、確実に定着している。しかしながら、(100)LiAlO2(非特許文献15)、r面Al2O3(非特許文献16)、6H-SiC(非特許文献17)等の基板を利用する高品質な無極性及び半極性膜、ごく最近では、c面の相対面に同程度の出力を有するLED成長構造が達成されると、バルクm面及びa面GaNが、勢いを増した(非特許文献18)。かかる無極性及び半極性膜の実施例及び用途については、例えば、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、及び特許文献33及び特許文献34に開示されており、各特許は、例示した出願の譲受人である、本出願人のOstendo Technologies,Inc.に譲受され、各特許は、全体として、参照により本明細書に援用される。
【0032】
本発明は、QPI発光型ディスプレイデバイスで見られるような光子層の、光出力を、AlInGaN材料系の非c面の配向に有利に働く基板上で半導体材料の成長を実行することによって、促進する。本発明は、非基底面、極性又は半極性のGaNを利用することによって、従来技術の発光型ディスプレイデバイスのランダムな偏光状態という性質の制限を解消する。QPI発光型ディスプレイデバイス等の偏光発光型マイクロLEDディスプレイを製造する際にこの方法を利用するために、新規なピクセル化処理を開示して、異なる結晶配向により生じる化学構造及び表面結合分子に対応し、QPI発光型ディスプレイデバイスにおける開示した直線偏光の光源を、既存のデバイスに対する破壊的技術にする。本発明のQPI発光型ディスプレイデバイスの図説した光子層(複数可)を、最終的な配向として無極性又は半極性面を成長及び形成するのに役に立つ方法で、成長させる。無極性又は半極性配向で成長するのに使用できる基板は、(100)LiAlO2、r面Al2O3、m面Al2O3、六方晶系多形のSiC、様々なスピネル((100)、(110)、MgAl2O4)面、ミスカット(例えば、7°)を有する(001)Si基板、GaNのバルクm面、a面又は半極性面を含むが、これらに限定されない。加えて、c面GaNの横方向エピタキシャル成長のファセット側壁を、非c面配向用基板として使用できる。これらの様々な基板は、III族窒化物材料系における非c面配向を作製し、発光する光において光学的偏光異方性を誘起する。
【0033】
本発明の別の実施形態は、GaNのc面における異方的歪みの導入である。また、これは、GaNエピ層上の圧縮又は引張り歪みにより、光学的偏光も発生可能にする。
【0034】
例示のQPI発光型ディスプレイデバイスの画素を含む複数の固体発光層の積層体(
図4A~
図4C参照)内の各層を、異なる色の波長を発光するように設計し、その結果、QPI画素を、そのSi-CMOSを通して、複数の色の所望する組合せ;例えば、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)を、同じ画素開口から発光するように制御可能にして、選択したRGB発光波長の選択した色座標に基づいて、所望する色域をカバーする。
【0035】
図4A~
図4Cで示した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの構造に関する好適な実施形態の製造工程は、以下の段落に記載するステップを含む。この工程は、無極性m面又は<1010>方向から発光するようにエピタキシャル成長させた半導体発光光子ウエハの最上面上にQPI画素配列を形成することで開始する。この工程を、本明細書では、ピクセル化と呼ぶが、該工程は、幅及び深さで約1ミクロンの、画素側壁のエッチングを伴い、半導体リソグラフィ及びエッチング処理を使用して、半導体発光材料のヘテロ接合ダイオード構造体を通して延在させる。エッチングした画素配列側壁を、酸化シリコン又は窒化シリコン薄層のどちらかで、半導体成膜処理を使用して、不動態化し、次に、例えば、アルミニウム(Al)等の反射金属の薄層でコーティングする。次に、画素側壁を、例えば、ニッケル等の金属で、半導体金属蒸着処理を使用して、充填する。ピクセル化パターンを、偏光光子ウエハの最上面に処理した後に、位置合せマークをウエハ上に加えて、その後の処理中にエッチングした画素パターンの位置合せを助ける。
【0036】
同じ最上面のピクセル化工程を、複数の偏光発光半導体の発光光子ウエハ上で実行してもよく、各ウエハは、異なる波長の偏光発光、例えば、465nm(B)、525nm(G)及び625nm(R)を有する。これらの3最上面を処理した偏光発光半導体の発光光子ウエハを、次に、以下の段落で記載するように、重ねて、積層体に接合して、偏光発光RGBのQPI発光型ディスプレイデバイスを形成してもよい。
【0037】
偏光発光半導体の発光光子ウエハの最上面をピクセル化した後に、
図5A~
図5Cで示した上面コンタクト金属パターンの1つを、電子ビーム蒸着等の半導体金属蒸着技術を使用して、形成した各画素配列上に、蒸着する。
図5Aで示したコンタクト金属パターンを、青色(B)偏光発光光子ウエハに使用してもよく、
図5Bで示したコンタクト金属パターンを、緑色(G)及び赤色(R)偏光発光光子ウエハの上面に使用してもよい。蒸着コンタクト金属を、好適には、例えば、Ti/Alの、薄い金属積層体とし、該積層体は、オームコンタクトを、B、G及びR偏光光子ウエハのインジウム窒化ガリウム(InGaN)ヘテロ接合ダイオード半導体の発光構造と共に、形成する。
【0038】
コンタクト層の蒸着後、B、G及びR偏光発光光子ウエハの上面を、更に処理して、画素の側壁を、半導体エピタキシャル層を通して形成するが、該処理は、画素の側壁のエッチング、不動態化、次に、金属化及び金属の充填蒸着を含む。このステップは、画素の側壁を、導電性にすると共に、光学的に遮断させ、反射的にする。また、画素の側壁のこれらの特徴は、隣接する画素間の光クロストークも防止し、生成した光を形成した画素の反射側壁空洞内に閉じ込め、電気的な相互接続ビアとして、電気信号を、画素の上面コンタクトだけでなく、上面に積層した光子層の画素コンタクトにも導くよう機能する。
【0039】
図4A~
図4Cに示した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイス構造体を製造するための好適な実施形態では、ガラスウエハ(図示せず)を、基板として使用してもよく、該基板上に、多層画素配列構造を積層し、次に、ガラスウエハ上に積層した多層画素配列構造と同じ画素コンタクトパターンを含むように処理したSi-CMOSウエハの上面に接合する。
【0040】
偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイス構造体を製造するための更なる好適な実施形態では、Si-CMOSを基板として使用し、該基板の上に、多層画素配列構造を積層し、次にピクセル化した多層ウエハを、ガラスのカバーウエハに接合する。上記2実施形態のどちらでも、処理ステップは、同様であり、一番目に挙げた実施形態を、一実施例として、限定としてではなく使用して、偏光発光QPIディスプレイ製造工程の残りのステップについて記載する。
【0041】
図5A~
図5Cは、従来の半導体及びリソグラフィと金属蒸着を使用して、ピクセル化したB、G及びR光子ウエハの上面に蒸着した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスのマイクロ画素の金属コンタクト層に使用する3つの異なる金属コンタクトパターンを示している。コンタクト開口部の直径、高さ及び間隔を、偏光発光QPI画素から発光した光を抽出するためのユーザ定義の光導波路を形成するように、選択する場合、
図5Aに示した画素コンタクトパターンを、ピクセル化したB光子ウエハの上面で使用して、コリメート(例えば、±17°)から準ランバーシアン(quasi-Lambertian)(例えば、±45°)画素の偏光発光を生成してもよい。
図5Bで示した画素コンタクトパターンを、ピクセル化したB光子ウエハの上面で使用して、偏光発光QPI画素から、ランバーシアン発光を生成する。また、
図5Bに示した画素コンタクトパターンを、ピクセル化したG及びR光子ウエハ上で使用して、偏光発光QPI画素構造体の下層から上層へ最大光伝達を可能にする。
【0042】
偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイス画素構造体のまた更なる好適な実施形態を、
図4Aに示すが、ガラスのカバーウエハを、最初に、画素サイズのマイクロ光学要素又はマイクロレンズの配列を、偏光発光QPI画素配列パターンと一致するパターンにするように処理する。画素サイズのマイクロ光学マイクロレンズ要素を有するガラスのカバーウエハを、その上に偏光発光QPI多層積層体を形成する基板として使用する場合、結果的に得られる画素配列は、画素配列の色及び輝度を変調するのに加えて、画素の発光方向を変調するという更なる能力;直視用だけでなく着用型ニアアイディスプレイ用に光照射野を変調可能にする能力を有する。
【0043】
B偏光発光光子ウエハの上面を、ピクセル化し、該上面のコンタクト層を蒸着した後、次に、該ウエハを、ガラスのカバーウエハに、画素サイズのマイクロ光学マイクロレンズ要素を組み込んで、又は組み込まずに、例えば、融着等の半導体接合技術を用いて、接合する。次に、エピタキシャル成長サファイアウエハを、既知の半導体レーザリフトオフ(LLO:laser lift off)技術を用いて、剥離し、構造体を、薄くして、エピタキシャル成長GaNバッファを除去し、形成した画素の側壁内に包囲したB半導体偏光発光ヘテロ接合ダイオード構造を含む薄層(<2ミクロン)を残す。ピクセル化したB偏光発光光子ウエハの裏面を露出した状態で、
図5Bで示した画素配列の裏面コンタクトパターンを、例えば、Ti/Alの、薄い金属積層体として、半導体金属蒸着技術を用いて、蒸着する。
【0044】
本明細書では、用語「処理中QPIウエハ(in-process QPI wafer)」は、その時点までの処理で積層した複数の層を組み込んだ被処理多層積層ウエハを指す。かかる用語を使用するとき、処理中QPIウエハの上面は、従って、図説したように、最後に接合した層の裏面になる。
【0045】
ピクセル化したB光子層の裏面となる、処理中QPIウエハの上面を、次に、画素の配列側壁と整列する電気コンタクトビアを組み込む接合用仲介層を蒸着するように処理する。接合用仲介層は、例えば、プラズマ支援化学気相蒸着(PECVD:plasma-assisted chemical vapor deposition)等の従来の半導体蒸着技術を用いて蒸着する酸化ケイ素又は窒化ケイ素のどちらかの薄層である。接合用仲介層を蒸着した後に、処理中QPIウエハ表面を、他のウエハの上面と接合するのに十分な表面平坦レベルに平坦化して、偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの多層積層体を形成する。
【0046】
処理中QPIウエハの上面は、接合用仲介層を加えた状態でB層の裏面となり、該裏面を次に、G光子ウエハ上面に接合するように処理する。これを、ピクセル化したG光子ウエハを、例えば、融着等の半導体接合処理を使用してQPI処理中ウエハの上面に整列接合することを使用して、完成する。
【0047】
ピクセル化したG光子ウエハを処理中QPIウエハに接合した状態で、G偏光発光光子ウエハのエピタキシャル成長サファイアウエハを、通常、半導体レーザリフトオフ(LLO)技術を用いて、剥離(リフトオフ)し、構造を、薄くして、エピタキシャル成長GaNバッファを除去し、形成した画素の側壁内に包囲したG半導体偏光発光ヘテロ接合ダイオード構造を含む薄層(<2ミクロン)のみを残す。ピクセル化したG光子ウエハの裏面を露出した状態で、
図5Bの画素配列裏面コンタクトパターンを、薄い金属積層体、例えば、Ti/Alを、半導体金属蒸着技術を使用して、蒸着する。
【0048】
ピクセル化したG光子層の裏面となる、処理中NCP-QPIウエハの上面を、次に、画素の配列側壁と位置合せした電気コンタクトビアを組み込む接合用仲介層を蒸着するように処理する。接合用仲介層は、例えば、プラズマ支援化学気相蒸着(PECVD)等の従来の半導体蒸着技術を用いて蒸着する酸化ケイ素又は窒化ケイ素のどちらかの薄層である。接合用仲介層を蒸着した後に、処理中QPIウエハ表面を、他のウエハの上面と接合するのに十分な表面平坦レベルに平坦化して、偏光発光QPIデバイスの多層積層体を形成する。
【0049】
処理中QPIウエハの上面は、接合仲介層を加えた状態のG層の裏面となり、該上面を次に、R光子ウエハ上面に接合するように処理する。これを、ピクセル化したR光子ウエハを、例えば、融着等の半導体接合処理を使用してQPI処理中ウエハの上面に整列接合することを使用して、完成する。
【0050】
ピクセル化したR光子ウエハを処理中QPIウエハに接合した状態で、次に、R偏光発光光子ウエハのエピタキシャル成長サファイアウエハを、通常、半導体レーザリフトオフ(LLO)技術を用いて、剥離(リフトオフ)し、構造を、薄くして、エピタキシャル成長GaNバッファを除去し、形成した画素の側壁内に包囲したR半導体偏光発光ヘテロ接合ダイオード構造を含む薄層(<2ミクロン)のみを残す。ピクセル化したR光子ウエハの裏面を露出した状態で、
図5Cの画素配列裏面コンタクトパターンを、薄い金属積層体、例えば、Ti/Alを、半導体金属蒸着技術を使用して、蒸着する。
【0051】
図5Cに示すように、QPI処理中ウエハの上面には、1画素当り3つのコンタクトビア;画素のR光子層の固有なコンタクトである中心コンタクトビア、画素のB光子層の固有なコンタクトであるx側壁コンタクトビア、及び画素のG光子層の固有なコンタクトであるy側壁コンタクトビアがある。画素配列全体に共通のコンタクト;即ち、B、G及びR光子層の上面に加える3中間コンタクト層を、偏光発光QPIダイの周縁部に延在する共通のコンタクトレールとして形成し、該レールを、処理中QPIウエハを含む各偏光発光QPIダイの周辺境界にリングを形成する一組の共通コンタクトビアに接続する。
【0052】
その結果、処理中QPIウエハ上面は、マイクロスケールのコンタクトビアの配列から成り、画素中心ビアは、画素配列のR光子層の固有なコンタクトであり、x側壁コンタクトビアは、画素配列のB励起光子層の固有なコンタクトであり、y側壁コンタクトビアは、画素配列のG発光光子層の固有なコンタクトであり、各QPIダイの周辺境界にあるマイクロビアのリングは、QPI多重発光層積層体を含む画素配列の3光子層全ての共通コンタクトを提供する処理中QPIウエハを含む。
【0053】
図5Dで示すように、Si-CMOSウエハを含む各QPI発光型ディスプレイデバイスのダイの上面は、前段落で記載した処理中QPIウエハのマイクロビア配列のパターンと合致するパターンを有するマイクロビア配列を含む。Si-CMOSウエハを、例えば、融着等の半導体接合技術を使用して、処理中QPI発光型ディスプレイデバイスウエハに位置合せし、接合すると、接合界面マイクロビア配列は、偏光多色偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの複数の光子層の画素配列の固有なコンタクト間で電気コンタクトを提供すると共に、QPI発光型ディスプレイデバイスウエハを含む各ダイの周囲境界に共通のコンタクトリングを提供する。
【0054】
以前に、GaNのc面における異方的歪みの導入が、GaNエピ層上の圧縮又は引張り歪みにより、光学的偏光を発生可能にすると述べた。特に、層の少なくとも1層を、c面配向GaN材料系のエピ層から製造し、そこで異方性歪みをc面GaNで誘起する場合、発光構造体から発光した光における光学的偏光は、GaNエピ層の少なくとも1層上での圧縮又は引張り歪み(歪み成分εxx≠εyy)により、発生する。この影響を得る1つの方法は、故意にGaN層に歪みを導入することである。A面サファイア上でGaNを成長させることで、かかる歪みだけでなく、AlリッチのAlN/AlxGa1-xN量子井戸又はAlxGa1-xN歪み補正層が生じる。この場合、Alリッチの量子井戸、歪み補正層は、偏光発光構造体の一体層になるであろう。c面上で成長したナノ構造体は、偏光発光を実現する別の方法である。例としては、光子結晶、金属ナノ粒子、楕円形ナノロッド及びナノ格子が挙げられる。また、楕円形ナノロッド及びナノ格子の場合、面内歪みの非対称性は、偏光の発生によるものと考えられる。
【0055】
図6は、多色偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの機能ブロック図を示す。
図6は、QPI発光型ディスプレイデバイスの多色マイクロ画素配列を、該デバイスのSi-COMSの制御ロジックによって駆動することについて示している。また、
図6は、2つの可能なインタフェースを用いたQPIのSi-CMOS制御ロジックに対する2つの可能な実施形態を示している。第1実施形態((A)より上)では、QPIのSi-CMOS制御ロジックの機能は、多色の、マイクロ画素配列のドライバだけを含み、この場合、QPI発光型ディスプレイデバイスは、外部電源から各画素の色毎に、制御信号及びパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)ビットを収容する画素配列ビットフィールドを受信する。第2実施形態((B))より上)では、QPIのSi-CMOS制御ロジックの機能は、更に、多色マイクロ画素配列に対するPWMビットフィールドを生成するのに必要なロジック機能を含んでもよい。
【0056】
第2実施形態では、QPIのSi-CMOS制御ロジックは、該ロジックのインタフェースブロックを通して、光変調映像入力及び関連する制御データを含む直列ビットストリームを受信する。偏光多色発光QPI発光型ディスプレイデバイスのこの実施形態では、光変調映像ビットストリームを受信したSi-CMOS制御ロジックを、デガンマ線形化、色域変換、白色点調整、及びマイクロ画素配列に亘る色と輝度の均一性補正のために、色及び輝度制御ブロック(Color & Brightness Control block)によって、処理する。次に、色及び輝度制御ブロックのビットストリーム出力を、PWMビットフィールドに変換し、その後、QPIのSi-CMOS内に纏めて組み込んだ画素ドライバ配列にクロックさせる(clocked)。事実上、偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスのQPIのSi-CMOS制御ロジックに関する第2実施形態は、外部映像ストリーム処理支援を必要とせず、低電圧差動信号(LVDS:Low Voltage Differential Signaling)インタフェース又は同様のもの等の標準高速インタフェースで動作する。QPIのSi-CMOSに関する第2実施形態は、偏光発光QPI用途に対して、より低消費電力且つより小容積の態様(volumetric aspect)を可能にする。どちらの実施形態でも、外界への接続を、例えば、本明細書で既に記載したようにしてもよい。
【0057】
記載した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの主な利点の1つは、該デバイスの低消費電力であり、これを、複数の要因によって達成する:(1)該デバイスの光子層の高内部量子効率(IQE:internal quantum efficiency);(2)該デバイスの発光多重層から直接偏光した多色発光の高量子収量(QY:quantum yield)変換効率;(3)NPC-QPI画素光学キャビティの光閉じ込め作用による、該デバイスのV-B励振光の改善した光学的開口変換効率;(4)画素のBPF層、反射側壁及びコンタクトによって形成した光学サブキャビティの光閉じ込め作用による、該デバイスのV-B励振光の改善した変換効率;及び (5)HVS明順応視と合致するための画素のBPF層のスペクトル整形作用。
【0058】
記載した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの低消費電力により、該デバイスを、仮想及び拡張現実(AR/VR)用途のニアアイディスプレイ等、低消費電力で、小容積態様及び高輝度を必要とするディスプレイ用途において、極めて有効になる。本開示の複数の実施形態に関する以上の記載において、選択した波長(原色だけを示した)は、例示目的であり、本発明の同じ方法に従うこれら波長以外の選択も、本発明の範囲に入る。また、記載した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの低消費電力と組合せた発光マイクロスケール画素により、通常、マイクロスケール画素ピッチ、小容積態様及び低電力消費での高輝度を必要とし、且つ指向性変調マイクロ画素を必要とする光照射野ディスプレイ用途において極めて有効となる。勿論、これら2つのディスプレイ用途の組合せ;即ち、光照射野ニアアイAR/VRディスプレイは、本発明の偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの小容積、高輝度、光照射野変調及び低消費電力能力によって、実質的に利益を得る。
【0059】
本発明の偏光QPI発光型ディスプレイデバイス構造体に関する以前の記載で使用した発光波長値は、本発明の方法に関する実例である点に留意されたい。発光構造体に関する当業者は、どのように本発明の開示した方法を使用して、偏光発光を有する発光マイクロ画素空間光変調器を、異なる光波長の組を使用して異なる発光波長の組を生成するように、作製するかに気付くであろう。当業者は、偏光を発光する効率が高い多色マイクロ画素配列デバイスを作製するために、異なる設計パラメータを有する画素の反射側壁、反射コンタクト及び電気的な相互接続側壁によって作製した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイス構造体画素の光閉じ込めに関する開示した方法を、どのように使用するかに気付くであろう。
【0060】
偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの無極性及び半極性水晶配向は、半導体発光材料のInGaN/GaNヘテロ接合ダイオード構造のエピタキシャル成長において、インジウムの取込み比を高くできる点に更に注目されたい。こうした高いインジウム取込み比により、琥珀色(615nm)~赤色(625nm)の範囲で偏光した長波長の光を、優れたIQE及び飽和特性で発光でき、可視光スペクトルのフルスパンをカバーする多色発光を有する効率的な偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスを製造できる。これは、本開示で記載した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの重要な利点である、というのも、高取込み比ではインジウムが偏析してしまうために、極性結晶配向を使用して同様な結果を達成することは、周知の課題であるからである。
【0061】
更に、本開示で記載した発光型多色偏光発光QPIディスプレイ構造体の製造方法を、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22に記載された非偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの製造方法と組合せて、可視光スペクトルに亘り異なる発光波長での偏光及び非偏光発光を伴う多色発光QPI発光型ディスプレイデバイスの製造を可能にできる点に注目されたい。かかる光変調能力により、可視光スペクトルに亘る異なる発光波長で、発光マイクロ画素配列から偏光発光と非偏光発光の両方の発光から利益を享受する新たな種類のディスプレイが可能になる。
【0062】
また、本開示で記載した偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスの製造方法を、所望する発光波長を有する只一つの光子ウエハを使用して記載した製造工程を実行することによって、単一波長発光を有する偏光発光QPI発光型ディスプレイデバイスを作製するのに容易に使用できる点に注目することも重要である。
【0063】
当業者は、様々な変形及び変化を、付記した特許請求の範囲において定義した、及び付記した特許請求の範囲によって定義した本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の実施形態に適用し得ることを、容易に認識するであろう。当然ながら、前述した本発明の実施例は、単に例示目的であり、本発明は、本発明の精神又は本質的な特徴から逸脱せずに、他の特定の形態において具体化できる。開示した実施形態は、そのため、いかなる意味においても、制限と見なされるべきではない。本発明の範囲は、これまでの記述というよりは、付記した特許請求の範囲によって示され、本発明の均等物の意味及び範囲中に入る全ての変更例は、本発明に包含されるものとする。