(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】インスタンス重み付けを伴うランダムフォレストを使用するマルチパラメトリックMRIにおける前立腺がんの検出、およびホリスティックネスト型ネットワークを用いたディープラーニングによるMR前立腺セグメント化
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230612BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230612BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230612BHJP
G06T 7/10 20170101ALI20230612BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 382
G06T1/00 290C
G06T7/00 612
G06T7/00 350B
G06T7/10
A61B5/055 ZDM
(21)【出願番号】P 2019545291
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018019249
(87)【国際公開番号】W WO2018156778
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-18
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508285606
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ネイサン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ツェハイ, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】サマーズ, ロナルド エム.
(72)【発明者】
【氏名】タークベイ, バリス
(72)【発明者】
【氏名】グリア, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ルイダ
(72)【発明者】
【氏名】ロス, ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】マコーリフ, マシュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガウアー, ソニア
(72)【発明者】
【氏名】マータン, フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】チョイケ, ピーター
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0238158(US,A1)
【文献】特開2016-073679(JP,A)
【文献】LITJENS Geert et al.,Computer-Aided Detection of Prostate Cancer in MRI,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2014年,Vol.33, No.5,p.1083 - 1092
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G06T 1/00
G06T 7/00
G06T 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺がんの確率画像を、前立腺がんの指標とする方法であって、
前立腺のマルチパラメトリック磁気共鳴イメージング(mpMRI)データを受信することと、
前記mpMRIデータに適用されるピクセル様のランダムフォレスト機械学習を使用して、前記mpMRIデータから、前記前立腺がんの確率画像を生成することと
を含み、前記前立腺がんの確率画像が、前記前立腺
がんの可能性のある生検部位
についての確率スコアを示し、
各前記前立腺がんの可能性のある生検部位についての前記確率スコアが、前記前立腺がんの可能性のある生検部位ががんについて陽性である予測確率を示し、前記mpMRIデータから前記前立腺がんの確率画像を生成することが、辺縁域および移行域に特化した特徴として、
前記前立腺がんの各可能性のある生検部位から移行域までの符号付きユークリッド距離を使用することを含む、方法。
【請求項2】
mpMRIデータが、T2W画像、ADC画像、およびB2000 MRI画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記mpMRIデータから前記前立腺がんの確率画像を生成することが、インスタンスレベルの重み付けを使用することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ピクセル様のランダムフォレストが、手描きの輪郭、標的化された生検、および正常な事例を含む、複数の種類のアノテーションに対して訓練される、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ピクセル様のランダムフォレスト機械学習を使用して、前記mpMRIデータから、前立腺がんの確率画像を生成することが、ハラリックのテクスチャー特徴を使用することを含む、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ピクセル様のランダムフォレスト機械学習を使用して、前記mpMRIデータから、前立腺がんの確率画像を生成することが、前記mpMRIデータに適用される強度特徴を使用することを含む、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
AutoContextを使用
して前記mpMRIデータからの前記前立腺がんの確率画像を生成することをさらに含む、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の方法を行うように構成される、システム。
【請求項9】
コンピューティングシステムによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の方法を行わせることができる、コンピューター実行可能命令を含む、コンピューター可読記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年2月22日に出願された米国仮特許出願第62/462,256号の利益を主張し、この出願全体が、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
政府援助の陳述
本発明は、課題番号1Z01 CL040004のもと、国立衛生研究所臨床センターおよび国立がん研究所による政府援助により行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、前立腺がんのコンピューター支援診断(CAD)システム、たとえば、マルチパラメトリックMRI(mpMRI)スキャンにおける生検部位を推薦することができるシステム、ならびにMR前立腺セグメント化技術に関する。
【背景技術】
【0004】
前立腺がんは、世界で6番目に一般的ながんである。前立腺がんを診断するために広く使用されている方法は、前立腺全体にわたって10~12個の位置で、前立腺をランダムに生検することを伴う。これらのランダムな性質に起因して、生検は、臨床的に有意な病変部を見逃す可能性があり、偽陰性となるか、またはがんが不適切に低く評価されるかのいずれかの結果となる場合がある。前立腺がんの偶発的所見もまた、頻繁にあり、過剰診断および過剰処置をもたらす可能性がある。より最近では、マルチパラメトリックMRI(mpMRI)が、前立腺がんを検出するための最も正確なイメージング技法であることが示されている。mpMRIにより導かれる生検は、臨床的に有意な前立腺がんに対する感度が改善され、同時に、過剰診断が制限される。
【0005】
正確な治療法計画および自動化された前立腺がん診断アルゴリズムを補助するためには、T2強調(T2w)前立腺MR画像のセグメント化が、重要である。これは、多数の既存および開発中の臨床適用において、重要な役割を果たす。たとえば、前立腺がん処置のための放射線療法の計画は、イメージングデータ(ほとんどが、MRおよびCTである)における前立腺の正確な描出を必要とし得る。現在の実施では、これは、典型的に、軸方向図、矢状面図、冠状面図、または異なる図の組み合わせのいずれかを使用して、スライスごとに前立腺の輪郭処理を手作業で行うことによって達成されている。この手作業での輪郭処理は、労働集約的であり、観察者間および観察者内での相違が生じやすい。3D MR画像に基づく正確かつ自動的な前立腺のセグメント化により、効率、再現性、および手作業でのセグメント化を行うオペレーター間での不一致またはバイアスの排除など、多数の利益がもたらされるであろうとみられる。しかしながら、前立腺MR画像の強度分布の不均一さ、ならびに前立腺の内部および周囲における複雑な解剖学的構造に起因して、自動化されたセグメント化は、困難となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な前立腺のコンピューター支援診断(CAD)システムおよび方法が、本明細書において開示され、そのうちのいくつかは、ランダムフォレスト分類器を用いて、前立腺がんを検出する。例示的なシステムは、T2W画像、ADC画像、およびb-2000画像の3つのイメージングシーケンスから抽出される、空間的特徴、強度特徴、およびテクスチャー特徴の組み合わせを使用して、前立腺内部の個々のピクセルを、がんの可能性のある部位として分類する。ランダムフォレスト訓練は、小さながん性病変部および大きながん性病変部、ならびに小さな前立腺バックグラウンドおよび大きな前立腺バックグラウンドの同等な処置のために、インスタンスレベルの重み付けを考慮する。2つの他のアプローチもまた含まれ得るが、それらは、シーケンス特異的なパターンをより良好に使用することを意図した、AutoContextパイプラインに基づく。一方のパイプラインは、個々のシーケンスにランダムフォレストを使用するが、他方は、この研究に記載される画像フィルターを使用して、確率マップのような画像を生成する。2分割交差検証の5つの並べ替えを使用して、全体的ながんの検出およびグリーソングレード特異的な検出の性能を評価した。受信者操作特性(ROC)曲線およびグリーソングレード特異的自由応答ROC(FROC)曲線を、ランダムフォレストおよび他の2つの方法について、プロットした。これらを、同じデータで評価したこれまでに公開されているサポートベクターマシン(SVM)に基づくCADアプローチと比較した。
【0007】
ランダムフォレストを使用したパイプラインは、0.93のAUCを達成し、偽陽性率20%で検出率が91%であり、グリーソンが7以上のFROC分析では、患者1人当たりの平均偽陽性数14で、対応する検出率が91%であった。これは、0.86のAUCを有し、偽陽性率20%で検出率が81%であり、グリーソンが7以上のFROC分析では、患者1人当たりの平均偽陽性値19で対応する検出率が92%である、SVMに基づくアプローチと同程度である。ランダムフォレストとSVM方法とを対比して、JAFROC2を使用して、グリーソンが7以上のFROC曲線について、有意性を確立した。ランダムフォレストの性能は、10回の実験のうち9回において、SVMとは統計学的に有意に異なっていた。AutoContextに基づく方法は、ランダムフォレストとは統計学的に異ならなかったが、画像フィルタリングバージョンは、性能がより安定しており、データセット内のグリーソンが10の病変部3つについて、性能が高かった。
【0008】
ランダムフォレスト、特徴、サンプリング戦略、およびインスタンスレベルの重み付けは、SVMと比較して、前立腺がんの検出性能を改善するのに役立ち得る。単純な画像フィルタリング技法を使用して前立腺がんの可能性がある領域を強調する、第1の段階の検出器は、それぞれのシーケンスにおけるアノテーションの可視性および曖昧さに起因して、学習に基づくアプローチを使用することよりも、学習の安定性にいくらか役立ち得る。これらの制限は、画像フィルタリングアプローチでは存在しない。
【0009】
磁気共鳴画像(MRI)における、前立腺の正確な自動的セグメント化のための方法およびシステムもまた、本明細書に開示されるが、これは、前立腺の解剖学的構造が高度に変動性であることに起因して、困難なタスクである。ノイズ、および前立腺境界部周辺の組織の同様のシグナル強度などのアーチファクトにより、従来的なセグメント化方法では、高い精度を達成することが阻害される。開示される技術では、本発明者らは、前立腺のセグメント化のためのパッチに基づくディープラーニング法およびホリスティックな(画像から画像への)ディープラーニング法の両方について、説明する。本発明者らは、まず、パッチに基づくコンボリューションネットワークを開示するが、これは、初期化を与えられて前立腺の輪郭を緻密化することを目的としている。次に、本発明者らは、ホリスティックネスト型エッジ検出を全コンボリューションネットワークと統合することによって、端部から端部へ(end-to-end)の前立腺のセグメント化のための方法を開示する。ホリスティックネスト型ネットワーク(HNN)は、階層表示を自動的に学習し、これにより、前立腺境界部の検出が改善され得る。定量的評価を、5分割交差検証において、250人の患者のMRIスキャンに対して行う。
【0010】
開示される技術の前述およびその他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明から、さらに明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、3つのシーケンス(下段)および輪郭のアノテーション(上段)の例を示す。ここで、青色は、前立腺全体のセグメント化であり、緑色は、移行域(transition zone)のセグメント化であり、赤色は、がん性病変部である。
【0012】
【
図2】
図2は、ランダムフォレストを使用した前立腺のコンピューター支援診断(CAD)の方法を図示する。
【0013】
【
図3】
図3は、2分割交差検証の5つの並べ替えに実行した3つのCADシステムの平均の試験ROC曲線を示す。SVM曲線(「Kwakら」)は、同一の試験データに実行したが、分割(fold)のうちのいずれでも訓練していない。対応する影付きの領域は、すべての試験分割にわたる検出率の95%信頼区間である。
【0014】
【
図4】
図4は、2分割交差検証の5つの並べ替えに実行した3つのCADシステムの平均の試験FROC曲線を示す。SVM曲線(「Kwakら」)は、同一の試験データに実行したが、分割のうちのいずれでも訓練していない。対応する影付きの領域は、すべての試験分割にわたる検出率の95%信頼区間である。
【0015】
【
図5】
図5は、グリーソン3+4、4+3、またはそれよりも高いがん性病変部の検出の平均FROC曲線を示す。SVM曲線(「Kwakら」)は、同一の試験データに実行したが、分割のうちのいずれでも訓練していない。対応する影付きの領域は、すべての試験分割にわたる検出率の95%信頼区間である。
【0016】
【
図6】
図6は、2分割交差検証の5つの並べ替えにわたる平均の試験FROC曲線であり、ランダムフォレスト(フォレスト)、フィルターに基づくAutoContext(フィルター)、およびランダムフォレストに基づくAutoContext(AutoContext)について、グリーソングレードに関してプロットしたものを示す。ランダムフォレストは、グリーソンが7の病変部およびグリーソンが10で苦戦し、一方でフィルターおよびAutoContextのアプローチは、グリーソンが7で苦戦する。
【0017】
【
図7】
図7は、入力画像、アノテーション、および本明細書において開示されるCADシステムに基づく前立腺CAD確率マップ、ならびにSVMシステムからのもの(「Jin Taeら」)の、3つの例(段)を示す。「アノテーション」の列における赤色の領域は、手描きのがん性病変部のアノテーションである。「確率マップ」の列における赤色の領域は、予測されるがんの確率がより高いことを示し、一方で、緑色および青色は、予測されるがんの確率が低いことを示す。1段目は、左側の頂点から中央の辺縁域にがん性病変部を有する74歳の患者の例である(グリーソンが9)。2段目は、右側の中央から基底部の前方移行域にがん性病変部を有する63歳の患者を示す(グリーソンが7)。最後に、3段目は、左側の頂点から中央の前方移行域にがん性病変部を有する49歳の患者を示す(グリーソンが7)。
【0018】
【
図8】
図8は、3種類のアノテーションのサンプリング戦略を図示する。赤色の領域は、陽性(がん)の例に対応し、一方で、緑色の領域は、陰性(正常)の例に対応する。「輪郭」の画像における青色の領域は、3mmのバンドを表し、ここは、陽性の例も陰性の例もサンプリングされない。生検点を用いて作業する場合には、陰性の例はサンプリングされない。
【0019】
【
図9】
図9は、顕著な偽陽性を有する3つの事例(段)を示す。上段は、辺縁域に多数の偽陽性があり、CADの解釈がさらに困難となっている、67歳の前立腺を示す(病変部指数は、グリーソンスコア7でIを示す)。2段目は、正中基底部に沿って偽陽性を有し、病変部3および4の腫瘍量が過小推定されている、別の67歳の前立腺を示す(病変部指数は、グリーソンスコア7で3を示す)。3段目は、前立腺の右側方および移行域にいくつかの偽陽性を有する、65歳の前立腺を示す(病変部指数は、グリーソンスコア7でIを示す)。
【0020】
【
図10】
図10は、偽陰性または過小推定された腫瘍量を有する3つの事例を示す。上段は、移行域において病変部1が過小推定された50歳の前立腺を示す(病変部指数は、グリーソンスコア7で1を示す)。2段目は、病変部2および4が完全に見逃された64歳の前立腺を示す(病変部指数は、グリーソンスコア7で2を示す)。3段目は、移行域の病変部が完全に見逃された65歳の前立腺を示す(病変部指数は、グリーソンスコア7で1を示す)。3段目のB2000画像は、がんの徴候を示さないが、ADC画像およびT2W画像は、がんの可能性のある部位を示す低強度の領域を示している。
【0021】
【
図11】
図11は、Alex-netのパッチ生成およびVOI輪郭の予測を図示する。Alex-netのパッチ生成およびVOI輪郭の予測。(a)法線に沿ったパッチ。(b)確率マップ。(c)確率マップからの最終的な輪郭。
【0022】
【
図12】
図12は、Alex-netのDCNNアーキテクチャーを図示する。
【0023】
【0024】
【0025】
【
図15】
図15は、強化型HNNモデルの訓練プロセスを図示する。
【0026】
【
図16】
図16は、MR前立腺画像の前処理ステップの例を図示する:(a)512×512の寸法のもともとの3D MR画像スライス。(b)上部、下部、左側、および右側から25%の領域を除去した後の、クロッピングした画像。(c)HNN訓練の前に、メジアン+IQRスケーリングを適用して、MR画像スライスを生成。(d)CEDを、メジアン+IQRスケーリング後に画像に適用する。(e)MR画像およびCED画像の両方の対応する前立腺2値マスク。(f)クロッピング後のもともとのMR画像のヒストグラム。(g)0~1000の範囲の強度スケーリング範囲でメジアン+IQRを適用し、最終的に[0,255]に再スケーリングして、訓練のためにPNG画像形式に当てはめた後のヒストグラム。前処理ステップの後に、2値マスクペアを有する、メジアン+IQRスケーリングにより生成されたMR画像スライスおよびCED画像スライスを、一緒に混合して、単一のHNNモデルを訓練する。
【0027】
【0028】
【
図18】
図18は、強化型HNNモデルの試験プロセスを図示する。
【0029】
【
図19】
図19は、強化型HNNモデルから予測された確率マップを示す:(a)MRIスライス。(b)MRI確率マップ。(c)CEDスライス。(d)CED確率マップ。(e)最終的なVOI輪郭。
【0030】
【
図20】
図20は、強化型HNNモデルのセグメント化結果の例を示す:グラウンドトゥルース(緑色)、セグメント化(赤色)。性能が最も良好な事例(a)、DSCスコアが平均に近い2つの事例(b、c)、および最も悪い事例(d)。
【0031】
【
図21】
図21は、Alex-netのCNNを用いた試験事例の予測を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
前立腺がんを診断するために広く使用されている方法は、前立腺全体にわたって複数の位置で、前立腺をランダムに生検することを伴う。これらのランダムな性質に起因して、生検は、臨床的に有意な病変部を見逃す可能性があり、偽陰性となるか、またはがんが不適切に低く評価されるかのいずれかの結果となる場合がある。前立腺がんの偶発的所見もまた、頻繁にあり、過剰診断および過剰処置をもたらす可能性がある。マルチパラメトリック磁気共鳴イメージング(mpMRI)は、前立腺がんを検出するための正確なイメージング技法であることが示されている。mpMRIにより導かれる生検は、臨床的に有意な前立腺がんに対する感度が改善され、同時に、過剰診断が制限され得る。前立腺がんのコンピューター支援診断(CAD)は、感度をさらに増加させ得る。CADシステムにより、mpMRIにおいて利用可能なたくさんの画像を迅速に解釈することができ、経験の少ない放射線科医を補助することができる。mpMRI単独での感度は、81%程になり得る。
【0033】
本明細書に開示される技術は、生検部位を推薦することを目的とした前立腺がんCADシステムを含む。開示されるCADシステムは、学習に基づく方法、すなわち、ランダムフォレストを利用することができ、T2W画像、ADC画像、およびB2000 MRI画像から確率画像を生成することができる。確率画像は、次いで、前立腺リーダーによって、視覚化され得る。本出願の特徴は、AutoContext検出パイプラインの使用、サンプル重み付け戦略、および様々な品質の様々な種類のグラウンドトゥルース情報の使用を含む。本発明者らは、開示されるCADを、224個の患者スキャンのデータセットにおいて検証し、同じデータセットに対するこれまでに公開されているCAD操作での性能と比較する。
【0034】
一部の前立腺がんCADシステムは、T2W画像およびB2000画像に適用されるローカル2値パターン特徴を有するサポートベクターマシン(SVM)を使用して、ピクセルが、がんの可能性が高いかまたはそうでないかを予測する。例示的なSVMシステムを、生検結果が記録されている264人の患者のコホートに対して、訓練した。別の例示的な前立腺CADシステムには、ボクセル様の分類アプローチおよび病変部セグメント化アルゴリズムが含まれる。この例で使用される分類器としては、線形判別分類器、GentleBoost、およびランダムフォレストが挙げられ、T2W画像、ADC画像、B800画像、および動的コントラスト強調(DCE)画像が使用される。考慮される特徴には、ピクセル強度、前立腺内での相対位置、テクスチャー、ブロブネス(blobness)、および薬物動態ヒューリスティクスが含まれる。別の例示的なシステムでは、前立腺がん候補を、マルチスケールのヘッセに基づくブロブネスフィルターを使用して、ADCから抽出し、次いで、これらの候補を、LDA分類器を使用して、T1W、T2W、DCE、ADC、およびKtransからコンピューティングした統計学に基づく特徴により、さらに分類した。学習タスクは、わずかに異なるが、さらに別の例示的なアプローチでは、強度統計およびハラリックのテクスチャー特徴を用いて、様々な分類器を使用してMR画像からグリーソンスコアを分類する。一部のそのようなシステムは、SMOTEを使用して、サンプルの不均衡に対処する。
【0035】
本明細書において開示される技術は、様々な点で、たとえば、ラベルの不均衡に対処するため、ならびに小さながん性病変部と大きながん性病変部との間での公平な処置、および小さな前立腺と大きな前立腺との間での公平な処置のために、インスタンスレベルの重み付けを使用することが、他のCADシステムとは異なり得る。これは、オーバーサンプリング技法を用いてサンプル不均衡に対処する、1つのアプローチである。さらに、本明細書において開示されるシステムは、手描きの輪郭、標的化された生検、および正常な事例など、複数の種類のアノテーションを使用することができ、また、これらの種類のアノテーションのそれぞれに対して、サンプリング戦略を利用することができる。さらに、開示される技術は、移行域距離を特徴として使用して、モデルが辺縁域および移行域に特化するように補助することができる。これは、前立腺の境界部までの距離を考慮するだけの距離特徴よりも、強力であり得る。
【0036】
本明細書において開示される技術の研究は、3種類のアノテーションを伴う、224件の患者事例を組み込んでいた。これらには、手描きのがん性病変部の輪郭を有する事例が53件、正常な事例が24件、およびMRI-TRUSの融合により標的化された生検の事例が147件含まれる。すべての事例には、追加として、市販のアルゴリズムによって生成される、前立腺および移行域の自動的なセグメント化が含まれ、経験豊富な放射線科医による何らかの手作業による補正を伴う。がん病変部の輪郭は、これらの事例について、経験豊富な放射線科医がmpMRIおよび生検結果を調べることによって、T2W画像に描かれた。がん性病変部に手作業により輪郭処理を行うのに必要な専門技術および時間は、一般的に、法外なものであり、他の利用可能な情報の使用を動機付ける。生検結果は、数が多く、容易に利用可能である。これらは、MRI-TRUSの融合を使用して、前立腺における疑わしい領域を標的化するため、信頼性があると想定される。
【0037】
生検ニードルを制御する人的エラーおよび画像登録の問題などの要因に起因して、MRI-TRUSの融合による生検は、不正確さを有し得るが、これはごくわずかである。手描きの輪郭を有する53人の患者を含め、生検結果が記録されている合計200人の患者が、存在していた。これらの患者のそれぞれにおいて、生検部位は、生検手順の前に、経験豊富な放射線科医によって、mpMRIから戦略的に選択された。これらの生検部位のうち、287個が良性であり、123個がグリーソンが6またはそれよりも高かった。グリーソングレードの表および域の内訳を、以下の表1に提供する。残りの24件の正常な事例は、経験豊富な放射線科医によってmpMRIで調べたが、視認できる疑わしい病変部を有さないとみなされた。この研究では、
図9および10において全組織標本組織病理学(wholemount histopathology)と比較する目的で、mpMRIおよび前立腺摘出術を受けた継続前立腺がん患者(合計179人)から選択した、6つの試験事例をさらに考慮した。
【表1】
【0038】
mpMRI画像を、3T MRスキャナ(Achieva-TX、Philips Medical Systems、Best、NL)を使用し、32チャネルのSENSE心臓コイルの前半分(In vivo、Philips Healthcare、Gainesville、FL)および直腸内コイル(BPX-30、Medrad、Indianola、PA)を使用して、取得した。検査前の腸への準備は必要なかった。それぞれの直腸内コイルのバルーンを、およそ45mlのパーフルオロカーボン(Fluorinert FC-770、3M、St.Paul、MN)で膨張させて、空気により誘導される感受性関連のイメージングアーチファクトを低減させた。エコー時間、反復時間、および断面厚さをそれぞれ4434ミリ秒、120ミリ秒、および3mmとして、T2W画像を取得した。5つの等間隔なb値(0~750)で、標準的なDWIを取得し、b=2000で、高b値のDWIを取得した。
【0039】
一実施形態によると、例示的な前立腺CADシステムは、3種類のアノテーションに対して訓練された、ピクセル様のランダムフォレストに基づく。この例では、CADは、13種類のハラリックのテクスチャー特徴、T2W画像、ADC画像、およびB2000画像に適用される4種類の強度特徴、ならびに移行域までの符号付きユークリッド距離を利用する。AutoContextに基づくCADの2つの他の構成もまた、一部の実施形態において使用することができる。これらのCADシステムは、さらに、それぞれのシーケンスからの確率マップに4種類の強度特徴を使用する。表2は、これらの3つのシステムにおいて使用される特徴の一覧を提供する。
【表2】
【0040】
ハラリックのテクスチャー特徴は、テクスチャーを特徴付けようとする、同時生起行列(co-occurrence matrix)においてコンピューティングされる統計である。ハラリックのテクスチャー特徴は、身体全体にわたる様々な構造において、病変部を特徴付けるのに使用することができる。ハラリックの特徴は、T2W画像、ADC画像、および動的コントラスト強調(DCE)画像において、がん性および非がん性の前立腺病変部を区別することができ、また同じシーケンスにおいて、異なるグリーソングレードの前立腺がんを区別することができる。テクスチャーを特徴付け、前立腺組織を区別する能力のために、それらは、開示される技術において有用となっている。
【0041】
ランダムフォレストは、ランダム決定ツリーの集合を含む。ランダムフォレストによる予測は、その構成要素であるランダムツリーの予測の平均を含み得る。ランダムフォレストは、ランダムなデータサブセットに対してランダムツリーを個別に訓練することによって、訓練することができる。それぞれのランダムツリーは、決定ツリーと同様の様式で訓練することができるが、ランダムな特徴サブセットを使用して、最適な決定を判定することができることを除く。決定の最適性は、情報利得(Information Gain)によって判定することができる。
【0042】
AutoContextは、分類器のシーケンスを使用して、コンピュータービジョンタスクにおける分類精度を改善する。連続的な分類器は、前の分類器によって生成された確率マップを、画像特徴に対する補助的な特徴として使用する。確率マップは、画像において相対的に顕著な構造を強調し、学習タスクを相対的に単純にすることができる。本明細書において開示される技術は、T2W画像、ADC画像、およびB2000画像に対して独立して生成される確率マップを、たとえば、分類器に対する特徴として使用し、分類器が、次いで、最終的な確率マップを生成する。これは、他のシーケンスに存在し得る任意の同時のパターンを相関付けることなく、任意のシーケンス特異的なパターンを特定することに役立ち得る。しかしながら、最終的な分類器は、依然として、同時の交差シーケンスパターンを過剰適合する可能性がある。
【0043】
2つのAutoContext CADパイプラインを、本明細書において開示される技術と併せて調べた。第1のものは、ハラリックの特徴、強度特徴、および符号付き距離特徴を使用して、ランダムフォレストをそれぞれ個別のシーケンスに適用して、シーケンス特異的な確率マップを生成し、第2のものは、単純な画像フィルタリングを使用して、それぞれのシーケンスの疑似確率マップを生成する。これらの確率マップを、次いで、画像特徴とともに、ランダムフォレストに対する補助的な特徴として使用して、最終的な確率マップを生成することができる。第2の構成における画像フィルターは、画像から前立腺強度平均を差し引き、次いで、シーケンスに応じて、0よりも低いかまたは0よりも高い強度を有する場合に(T2W、ADCの場合は0よりも高く、B2000の場合は0よりも低い)、結果として得られるピクセルを0に設定する。これは、T2W画像およびADC画像において視認できる病変部が、正常な前立腺組織よりも相対的に低い強度を有し、B2000において視認できる病変部が、相対的に高い強度を有する傾向にあるという観察に従っている。このフィルター規則は、したがって、それぞれのシーケンスにおいて単純ながん分類器のように挙動する。
【0044】
いくつかの種類の訓練アノテーション、たとえば、手描きの輪郭、標的化された生検結果、および正常な事例(3つの例として)を使用して、ランダムフォレストを訓練することができる。ランダムフォレストのそれぞれのツリーは、アノテーションの種類に関係なく、多くの均一なランダムにサンプリングされた患者の事例(たとえば、1つの例において20個)で、訓練され得る。ツリーを訓練するために使用される陽性値(positive)および陰性値(negative)は、以下の通りにサンプリングすることができる。
1.輪郭:
手描きのがん性病変部の内側に発生するピクセルは、陽性の例とみなす。任意の手描きのがん性病変部から3mmまたはそれよりも遠くに離れているピクセルは、陰性の例とみなす。
2.標的化された生検結果:
任意の生検点(良性であるかないかには関係なく)の5mm以内のピクセルは、陽性とみなす。これらの生検は、MRI-TRUSの融合アプローチにより標的化されたため、病変部は、放射線科医には異常に見えたはずである。CADの課題は、放射線科医が生検部位を選択するのを模倣することである。選択された半径は、病変部が、約10mmの平均直径を有するという観察に従っている。標的化された病変部の範囲は、生検自体からは既知ではないため、陰性値はサンプリングされないことに留意することが重要である。他の疑わしい病変部は、生検されなかったため、陰性値をサンプリングすることが危険となる可能性もあり得る。
3.正常な前立腺の事例:
正常な前立腺の内部のすべてのピクセルは、陰性の例とみなす。
【0045】
3つのサンプリング戦略を、
図8に示す。このサンプリングスキームは、いくつかの様式で不均衡であり、これにより、学習に基づく方法がバイアスを受け得る。陽性および陰性の数が揃っておらず、前立腺および病変部の体積が、患者によって変動し、特定の病変部および前立腺が過小表示または過大表示されている可能性がある。この研究におけるランダムフォレストは、これらの潜在的なバイアスの源に対処するために、重み付けした訓練例を用いて訓練することができる。重み付けした訓練例を用いて作業するために、決定ツリー情報利得関数を、以下に定義するように修正することができ、
【数1】
ここで、Xは、分割する訓練例のセット(特徴ベクトルx、重みw、およびクラスラベルy)であり、fは、特徴であり、tは、訓練例セットを分割する閾値であり、H(p)は、純度関数であり、pは、確率ベクトルであり、W(X)は、所与の訓練例の重みを合計する関数である。これらは、すべて、
【数2】
として示される。
【0046】
このランダムフォレストにおいて使用される純度関数(purity function)は、ジニ指数(Gini index)である。この重み付けした利得は、分類および回帰ツリーCARTにおいて使用される従来的な利得関数の一般化であり、ハードカウント(hard count)が、重みの合計で置き換えられる。重みがすべて1である場合、これは、CART利得関数に縮小される。
【0047】
手描きの輪郭の事例におけるがん性病変部の重みは、1/病変部体積となり、一方で、生検は、3/(500*pi)となり、その逆数は、半径5mmの球体の体積に対応する。手描きの輪郭の事例の陰性例は、1/正常な前立腺組織の体積および正常な事例の場合における1/前立腺の体積となる。陰性の重みは、次いで、陽性の重みと同じ合計を有するようにスケーリングされる。これにより、あらゆるサイズの病変部が、確実に同等に処置され、陽性値および陰性値が、確実に同等に処置される。
【0048】
ランダムフォレストCADおよび2つのAutoContext方法を、訓練し、224人の患者に対して、2分割交差検証の5つの並べ替えで評価した(それぞれの並べ替えについて、112人が訓練および112人が試験)。前立腺は左右対称であるため、画像、輪郭、および生検点を、y軸を中心に反転することによって、データを増強した。これにより、訓練セットのサイズが有効に2倍となる。輪郭、標的化された生検結果、および正常な事例を用いた事例を、すべて、独立して2分割に分割し、次いで、これを連結して、すべての患者にわたる2分割を形成した。これにより、ほぼ同じ数の3種類のアノテーションが、それぞれの分割で確実に使用される。3つのシステムは、さらに、同じ試験データで評価したが訓練していない類似のCADシステムと比較した。
【0049】
性能を、平均した受信者操作特性(ROC)曲線およびグリーソングレード特異的自由応答ROC曲線(FROC)の形態で測定した。ランダムフォレストCADおよびSVM CAD FROC曲線との間で有意性を、JAFROC2を使用して測定した。
【0050】
グリーソングレードの高い病変部の数が限られていたため、本発明者らは、訓練および試験の両方において、それぞれのグリーソングレードの病変部の数を最大化させるように、2分割交差検証を考慮する。本発明者らは、すべてが、もともとのデータセットのランダムな並べ替えから得られた、5つの2分割交差検証セットを形成した。これは、一般化を良好に示しながら、分析のために様々なグリーソングレードの試験病変部を多数残すことに役立つ。
【0051】
ROC分析を、3Dで実施した。確率画像は、3D体積として捉え、手描きの2Dの輪郭を重ねて、3Dがん体積を画定した。がん体積におけるCAD確率スコアの90パーセンタイルが、確率の閾値を超えた場合、これは、真陽性であるとみなす。換言すると、がん体積のうちの少なくとも10%が、比較的高い確率を有する場合、CADは、がん性病変部を検出したと称される。偽陽性は、正常な事例および手描きの輪郭の事例について、前立腺を3mm×3mm×3mmの立方体のセルに分割し、真陽性と同時に発生しない、それぞれのセルにおけるCAD確率スコアの90パーセンタイルを評価することによって、コンピューティングされた。このバックグラウンドの粗い処置により、前立腺リーダー(prostate reader)が有効に無視するであろう小さな検出が排除される。加えて、セルは、通常、偽陽性として計数されるがん体積から少なくとも3mm離れている。これは、アノテーションにおける人的エラーが考慮されることを意味する。
【0052】
ROC分析と同様に、FROC分析も、3Dで実施した。FROC分析は、輪郭の事例も含む、生検結果を用いた事例でのみ評価してもよい。グリーソングレードに対する性能を定量化することが、目的である。グリーソングレードは、通常、病理学における2つの最も優勢なパターンを示す2つの数で表され、この研究では、6~10の範囲となるこれらの2つの数の合計を使用する。3つのFROC曲線を生成して、CAD性能を定量化した:使用可能(actionable)、グリーソンが7以上、およびグリーソン特異的曲線。これは、
図5、6、および7において確認することができる。
【0053】
この研究におけるすべての生検は、標的化されたものであり、それらが良性であったとしても陽性として処置される。すべての標的化された生検は、放射線科医が、mpMRIに基づいて、これらの生検部位を疑わしいとみなしたため、使用可能と称される。優れた放射線科医の最良の判断を模倣し、mpMRIのみに基づいて生検部位を推薦することが、開示されるCADシステムの目的である。
【0054】
FROCは、3つのステップで生成される。まず、3D非最大抑制(NMS、non-maximum suppression)を、生の3D CAD確率マップにコンピューティングする。NMSは、10mm×10mm×10mmのウインドウを使用し、小さな点セットおよび対応する確率が生成される。これらは、確率マップにおける極大値をおおまかに反映している。次いで、一方の頂点群が、グラウンドトゥルース生検位置であり、他方の群が、NMS検出である、2部グラフを構築する。検出とグラウンドトゥルースが、10mmまたはそれ未満離れている場合、エッジを、それらの間に配置する。重み付けした最大マッチングを、検出およびグラウンドトゥルースのペアを見出すために、グラフにコンピューティングする。それぞれのエッジの重みは、以下の関数を使用して、グリーソングレードおよび確率に基づいてコンピューティングする。
w(g,p)=p×1.5g-6
ここで、gおよびpは、それぞれ、グリーソングレードおよび検出確率である。良性の生検は、この分析では、グリーソングレードg=0を使用する。これは、いくつかの検出が、1つを上回るグラウンドトゥルースに割り当てられ得る曖昧さを解決することを意図している。この重み付け関数は、確率の高い検出が、グリーソングレードの高い生検部位とペアリングされることを優先する。この段階では、単集合頂点を、FROC分析における偽陽性として計数する。これらの頂点は、任意のグラウンドトゥルースから10mmよりも遠い検出を表す。最後に、マルチスケールのブロブ類似性を、検出の軸方向図に沿ってコンピューティングする。ブロブは、検出を中心とした確率マップの軸方向図において、ガウスカーネルをローカルパッチにコンボリューションすることによって、測定される。パッチは、ガウスカーネルと同じサイズであり、そのため、この操作は、単一の値だけをもたらす。3つのスケールのガウスカーネルを考慮し、次いで、最大のコンボリューションを、検出の最終的な確率として使用する。したがって、局所的にはブロブに見える可能性が高い検出は、ブロブに見えないものよりも高い確率を有する。これらの残りの検出および確率を、次いで、検出率の判定に使用する。
【0055】
第1の段階においてランダムフォレスト検出器を使用したパイプラインは、ROC分析について、0.93のAUCを達成し、検出率が89%であり、20%の偽陽性率であった。これは、グリーソンが7以上であるFROC分析において、92%の検出率および患者1人当たりの平均偽陽性値13に対応する。画像フィルターに基づく検出器は、ROC曲線では、同様の0.93のAUCを達成し、同じ偽陽性率で91%の検出率であったが、グリーソンが7以上のFROC分析では、同じ閾値で対応する91%の検出率および患者1人当たりの平均偽陽性数13を達成した。いずれの方法も、確率マップ特徴を使用しない方法と同程度である。確率マップ特徴が欠如したランダムフォレストは、0.93のAUCを達成し、同じ偽陽性率で検出率が91%であり、グリーソンが7以上のFROC分析では、対応する検出率は90%であり、患者1人当たりの平均偽陽性数は14であった。SVMアプローチは、ROC分析では、0.86のAUCを有し、偽陽性率20%で検出率81%であり、グリーソンが7以上のFROC分析では、対応する検出率が92%であり、患者1人当たりの平均偽陽性値が19であった。4つすべてのROC曲線を、
図3に示す。
図4、5、および6は、使用可能、グリーソンが7以上、および固定のグリーソングレードの検出のためのFROC曲線を示す。フィルターに基づく方法のみが考慮される。なぜならそれは、ROC分析において、すべての方法の中で最も優れた性能であるからである。フィルターに基づくCADとSVM方法とを対比して、JAFROC2を使用して、グリーソンが7以上のFROC曲線について、有意性を確立した。ランダムフォレストの性能は、10回の実験のうち9回において、統計学的に有意に異なっていた。
【0056】
ランダムフォレストによって選択される、CADにおいて使用される特徴の頻度のヒストグラムを、コンピューティングした。ランダムフォレストによって最も選択される上位5つの特徴は、移行域までの符号付き距離、T2W平均およびメジアン、B2000メジアン、ならびにADCメジアンであった。距離マップ特徴は、T2W平均よりも選択される可能性が2倍高く、移行域と辺縁域との間の区別を行うのに特に有用である。ハラリックの特徴は、選択される頻度は低いが、39個すべてが、ランダムフォレストによって一貫して選択される。
【0057】
図7は、ランダムフォレストおよびこれまでのCADによる様々なシーケンス、アノテーション、およびCAD確率マップを示す。
図9および10は、ランダムフォレストCADの失敗様式を示しており、
図9では、顕著な偽陽性が示され、
図10では、見逃したがん性病変部が示される。これらの図に示されている事例は、全組織標本組織病理学を用いた試験事例であり、この研究における実験で考慮している訓練セットにも試験セットにも含まれていなかった。
【0058】
図8は、訓練中に、CADによって用いられる3つのサンプリング戦略を示す。これらは、上記に説明されている。
【0059】
3つのランダムフォレストCADシステムは、同様の性能であった。フィルターに基づくCADは、信頼領域がわずかに狭かった。このCADはまた、異なる訓練セットでの性能の変動が少ないため、他のCADシステムよりも一貫性があった。AutoContextおよびランダムフォレストのCADシステムの変動は、より大きかったが、AutoContextは、安定性に関しては、ランダムフォレストよりも悪かった。フィルターに基づく方法の性能の安定性は、第1段階における病変部の検出がより良好であることに起因し得る。フィルターに基づくアプローチは、アノテーションを使用することなく、直接的に、それぞれのシーケンスにおける相対的に低いかまたは高い強度の領域を強調しようとする。すべての病変部がすべてのシーケンスにおいて視認できるわけではないため、アノテーションは、mpMRIにおいて問題となり得る。したがって、特定のシーケンスの学習タスクは、アノテーションが、視認できない病変部を参照する可能性があるため、さらに困難となっている。
【0060】
3つすべてのCADは、SVMに基づく方法よりも性能が優れている。これは、異なる特徴、異なるシーケンス(SVMに基づく方法は、ADCを使用しない)、異なる分類器、および異なるアノテーションの使用の組み合わせに起因し得る。SVMに基づく方法は、訓練データに、生検のみを使用する。データセットは、包含および排除の基準を使用して、特定の基準を満たし、曖昧さを低減するように、選択した。この選択は、結果として得られるモデルを、特定の種類の前立腺がん構成に偏らせる可能性がある。対照的に、この研究では、すべての利用可能な訓練データを、3つの異なる形態で使用して、一般化可能性を改善している。結果として、この研究は、一般に、SVMに基づく方法のCADよりも性能が優れている。そのような性能の差異を説明することができる、他のアルゴリズムによる差異が存在する。異なる分類器および異なる特徴を使用することの他に、1つの注目すべき差異には、SVMに基づく方法における移行域情報の欠如がある。この特徴は、移行域および辺縁域に特化した規則を学習するのに特に有用である。
【0061】
この研究における3つのCADは、生検部位の推薦(良性または悪性にかかわらず)に関して、SVMに基づく方法よりも性能が優れている。疑わしい使用可能な部位を推薦する性能は、グリーソンが7以上の病変部の生検部位を推薦する性能よりも劣っている。紛らわしいことに、
図6では、すべてのCADが、グリーソンが6の場合には、グリーソンが7の場合よりもわずかに優れた性能であることが示されている。グリーソン6に対する比較的良好な性能はまた、疑わしい病変部が良性であるとわかったことにより、
図4における比較的悪い性能を説明することも意味する。
【0062】
グリーソンが7の病変部は、ランダムフォレストCADシステムにとっては問題である。これは、
図7において確認することができ、ここで、3つすべてのCADシステムは、SVMに基づく方法と同程度の性能である。これは、主として、CADが、グリーソンが7の移行域病変部を見逃すことに起因する。1つの可能性のある説明としては、一部の移行域病変部は、線維筋性支質と誤認され得ることである。いずれの構造も、比較的低い強度などの類似性が共通している。別の可能性のある説明としては、幾何学的特徴に対するCADの感度である。移行域のセグメント化不良により、CADが、移行域病変部を見逃すことが生じ得る。移行域距離特徴は、mm単位でもある。これは、異常なほどに大きいかまたは小さい前立腺では問題となり得る。この特定の問題に対する可能性のある解決策は、距離特徴を正規化することである。この研究において説明されているCADシステムは、依然として、交差シーケンスパターンの過剰適合の危険性がある。高b値の画像ではがんの徴候をほとんどまたはまったく示さないが、T2W画像およびADC画像の一方または両方においては顕著ながん性の外観を有する、いくつかの偽陰性事例が、観察されている。これらの種類の画像を用いたより大きな訓練セットは、CADシステムがより良好に一般化するのに役立ち得る。AutoContextに基づくCADの事例では、これらのCADは、依然として訓練セットにおける同時パターンを学習しやすいので、所定の決定融合規則を使用することが、よりロバストであり得る。
【0063】
特徴が選択される頻度により、その相対的な重要性が、示される。距離マップ特徴の頻繁な選択は、解剖学的知識の付加価値を示す。一般に、域のうちのいずれか1つに見出される病変部は、類似の強度特性を有するが、2つの異なる領域の周囲のバックグラウンドは、視覚的に異なる。T2W画像、ADC画像、およびB2000画像におけるがん性病変部の低強度または高強度の外観は、画像シーケンスからの強度特徴の頻繁な選択と一貫している。個々のハラリックの特徴は、比較的低い頻度で選択されるが、すべてのテクスチャー特徴の全体的な選択パターンにおいて一貫性があり、これは、これらがすべて、前立腺CADに同等に関連していることを示す。ハラリックのテクスチャー特徴は、がん性および非がん性の前立腺組織の間、ならびに異なるグリーソングレードのがん性組織の間での区別を行うことが示されているため、これは、驚くべき発見である。
【0064】
この研究では、3つの形態の前立腺CADシステムを導入したが、そのうちの第1のものは、特徴に移行域を使用し、AutoContext、および様々な品質の3種類のアノテーションを使用する。CADシステムは、体積に関係なく、すべてのがん性病変部および正常な前立腺組織の公平な処置のために、インスタンスレベルの重み付けを使用する、サンプル不均衡の戦略を用いる。本明細書に提示される3つの前立腺CADシステムは、すべてが、フィルターに基づくCADと同様の性能であったが、後者が、わずかに一貫性が高い性能を示す。3つすべてのCADシステムは、同じ評価手法下において、同じデータセットでは、SVMに基づく方法よりも性能が有意に優れている。
【0065】
ホリスティックネスト型ネットワークを用いたディープラーニングによるMR前立腺セグメント化
正確な治療法計画および自動化された前立腺がん診断アルゴリズムを補助するためには、T2強調(T2w)前立腺MR画像のセグメント化が、重要である。これは、多数の既存および開発中の臨床適用において、重要な役割を果たす。たとえば、前立腺がん処置のための放射線療法の計画は、イメージングデータ(ほとんどが、MRおよびCTである)における前立腺の正確な描出を必要とし得る。現在の実施では、これは、典型的に、軸方向図、矢状面図、冠状面図、または異なる図の組み合わせのいずれかを使用して、スライスごとに前立腺の輪郭処理を手作業で行うことによって達成されている。この手作業での輪郭処理は、労働集約的であり、観察者間および観察者内での相違が生じやすい。3D MR画像に基づく正確かつ自動的な前立腺のセグメント化により、効率、再現性、および手作業でのセグメント化を行うオペレーター間での不一致またはバイアスの排除など、多数の利益がもたらされるであろうとみられる。しかしながら、前立腺MR画像の強度分布の不均一さ、ならびに前立腺の内部および周囲における複雑な解剖学的構造に起因して、自動化されたセグメント化は、困難となっている。
【0066】
MR画像の自動的前立腺セグメント化のいくつかの方法は、アトラス、形状、および機械学習モデルに焦点を当てている。1つの例は、アトラスマッチングに基づく自動的セグメント化方法を含む。アトラスは、前立腺MR画像および対応する事前にラベル付けした2値画像のセットからなる。非剛体レジストレーション(non-rigid registration)を使用して、患者の画像をアトラス画像とともに登録する。最もマッチングするアトラス画像が選択され、セグメント化は、結果として得られる変形ラベル画像および多数決規則による閾値の平均である。形状に基づくモデルもまた、MRI前立腺セグメント化において使用することができる。別の例は、初期化のための正規化された勾配磁場交差相関(gradient field cross-correlation)に基づく、自動化セグメント化モデル、およびグラフ検索に基づく緻密化フレームワークを含む。別の例は、形状の伝播のためにハールウェーブレット変換の近似係数からのテクスチャー特徴、およびアクティブアピアランスモデル(AAM、Active Appearance Model)を使用して、前立腺をセグメント化する。別の方法は、従来的なAAMモデルを、強度および勾配情報を含めるように拡張し、レベルセットを使用して、マルチ特徴のランドマークフリーのフレームワークにより、形状統計モデル情報を捕捉した。
【0067】
多数のアプローチを、特徴に基づく機械学習において使用することができる。1つの例としては、マルチスペクトルのMRイメージング、たとえば、T1画像、T2画像、およびプロトン密度強調画像を訓練するための方法が挙げられ、パラメトリック分類器および非パラメトリック分類器、それぞれ、二次ベイズ(Baysian-quadratic)およびk最近傍(KNN)を使用して、前立腺をセグメント化する。別の例では、MR画像における前立腺の自動化検出を可能にする、SVMに基づくアルゴリズムを使用する。この方法は、3D MRI体積に対するSVM 2値分類を利用する。自動的に生成された3D特徴、たとえば、構造テンソルのメジアン、勾配、異方性、および固有値を使用して、セグメント化のための分類2値マスクを生成することができる。
【0068】
前立腺MR画像からの自動的セグメント化にディープラーニングアーキテクチャーを適用することは、新しい活発な研究分野である。1つの方法として、独立部分空間分析(independent subspace analysis)を使用して、教師なしの様式で、MR画像から前立腺の自動的セグメント化に最も有効な特徴を学習する、ディープラーニングフレームワークが挙げられる。別の方法としては、深層特徴学習(deep feature learning)をスパースパッチマッチング(sparse patch matching)と統一することによる、変形可能な自動的セグメント化方法が挙げられる。別の方法としては、軸方向画像をモデル化し、Dice係数目標関数を用いて訓練を最適化するための、3D体積深層コンボリューションニューラルネットワーク(3D volumetric deep convolutional neural network)(CNN)が挙げられる。これは、V-NetまたはU-netのモデル、3Dに基づくコンボリューションおよびデコンボリューションアーキテクチャーを利用して、3D階層特徴を学習する。さらに別の方法では、左右対称の残差ネット層ブロックを、3Dコンボリューションおよびデコンボリューションアーキテクチャーに組み込むことによって、3D V-netまたはU-netモデルが拡張される。
【0069】
本明細書において開示される一部の方法およびシステムは、強化型ホリスティックネスト型ネットワーク(HNN)モデルを含み、これは、前立腺のT2 MR画像の著しい変動性に対処することができる、完全に自動的な前立腺セグメント化アルゴリズムであり得る。この技術の特徴の中でもとりわけ、顕著性エッジマップを利用して、前立腺MR画像の豊富な階層特徴を、ホリスティックに学習する、単純かつ有効な自動的前立腺セグメント化アルゴリズムがある。強化型HNNモデルは、コヒーレンス強化拡散(coherence enhanced diffusion)(CED)画像およびT2 MR画像を混合したもので訓練することができ、試験中に、CED画像およびT2 MR画像から予測される確率マップを融合することができる。強化型モデルは、前立腺MR画像のセグメント化に対してロバストであり、有用かつ有望なセグメント化結果が得られる。
【0070】
本発明者らは、前立腺境界部を緻密化するために、Alex-netの深層CNN(DCNN)モデルを調査した。アトラスに基づくアクティブアピアランスモデル(AAM)は、セグメント化パイプラインの第1の階層として機能し、前立腺のおおまかな境界部の推定を提供することによって、ディープラーニングモデルを初期化することができる。次いで、緻密化プロセスを、第2の階層において、アトラスに基づくAAMモデルから生成されたおおまかな境界部に適用することができる。これは、2Dパッチに基づくピクセル分類アプローチであり、これにより、ローカルパッチから中央ピクセルが予測される。
【0071】
DCNN緻密化モデルにより、前立腺境界部の法線に沿って、64×64のパッチが生成される。本発明者らは、
図11aに示されるように、それぞれの境界点から、法線(青色の線)を生成する。それぞれの正方形パッチを、正方形の側面をX軸およびY軸に平行にして、トレース点の中心に置く。境界点の中心に置かれた赤色の正方形パッチが、陽性(赤色ボックス)クラスを表す。それぞれの境界点の法線を、陰性パッチおよび定義されていないパッチのトレースパスとして使用する。内側および外側の両方の方向に20ピクセル分、法線に沿って延ばし、指定された距離の制約内に入るパッチを収集する。法線の2つの端点上の緑色の正方形パッチは、陰性パッチとして分類される。それらの間のピンク色の正方形パッチは、定義されていないパッチとして分類される。
図11aは、単一の法線から生成された64×64のパッチを示す。
【0072】
第1の階層のAAMセグメント化モデルにより、おおまかな前立腺の境界部を初期化した後、深層CNN分類器を適用して、試験している境界部周辺のラベル付けされていない64×64のパッチを分類する。試験画像パッチを、輪郭の法線から生成する(
図11a)。それぞれの画像パッチは、パッチの正方形が、X軸およびY軸に平行に配向された状態で、法線に沿って、点の中心に置く。試験の間に、すべてのパッチを、訓練した深層CNNモデルによって分類して、エネルギー確率マップを生成する。
図11bは、法線に沿ったピクセルに基づく確率マップを示す。赤色のバンドは、前立腺境界部の高確率候補点を示す。青色および黄色のバンドは、低エネルギーの候補点を表す。最終的な輪郭(
図11c)を、最も高い尤度を有する確率マップから抽出する。単純なトレースアルゴリズムにより、それぞれの法線上で、確率マップから最も高い尤度点を探し出し、B-スプラインをこれらの点に適合させて、最終的な境界部が得られる。
【0073】
DCNNの全体的なアーキテクチャーを、
図12に示す。コンボリューションフィルターのいくつかの層を、カスケードにして、パッチからパッチへの様式で、イメージングデータから画像特徴をコンピューティングすることができる。ネットワーク全体が、1つの一次ネットワークストリームとして実行される。このアーキテクチャーは、最大値プーリング層(max-pooling layer)が間に挟まれたコンボリューション層、ドロップアウト層(drop-out layer)、全結合層(fully connected layer)、およびソフトマックス層(softmax layer)を含む。この最後の全結合層は、2方向ソフトマックスにフィードされ、これにより、「境界部」または「非境界部」の画像パッチの確率に対応する2つのクラスラベルにわたる分布が得られる。Alex-netは、訓練および試験が、固定サイズのパッチ、たとえば、64×64のパッチに制約される、第1世代のディープラーニングモデルである。アーキテクチャー全体を、複数の順方向伝播および逆方向伝播の単一のパスとして考えることができる。訓練フェーズで使用されているパッチの数をおおまかに推測するために、250個の画像があるとして、1)それぞれの訓練分割(5分割交差検証)が、200個の画像を含む。2)それぞれの画像が、前立腺を示すおよそ15個のVOI輪郭を有する。3)それぞれの輪郭が、128個の点を有する。4)パッチが、それぞれの法線に沿って、40ピクセルでトレースされる。この単純なパッチ収集機序により、1つのAlex-netのディープラーニングモデルを訓練するために、1500万個を上回るパッチ(陽性、陰性、および非ラベル)が、容易に作製される。これらの1500万個のパッチを用いて、Alex-netにおける最後3つの全結合層(
図12)が、訓練中に、膨大な量のパラメーター空間を生成する。過剰適合も、容易に発生し得る。モデルを、実現可能なパラメーター空間で訓練するために、本発明者らは、法線の中心点と端点との間のパッチを破棄して(
図11a、ピンク色のボックス、非ラベル)、過剰適合を克服し、訓練パッチのサイズを100万程度まで低減する。本発明者らは、100万個のパッチを、直接的にAlex-netのアーキテクチャーで訓練した。いずれのデータ増強(すなわち、回転、反転)も、訓練プロセスでは行われない。GPU加速により、試験中のCNNの効率的な訓練および迅速な実行が補助され得る。
【0074】
一部の方法では、本発明者らは、セグメント化のために、HNNアーキテクチャーを使用して、前立腺内部の画像ラベル付けマップを学習する。HNNモデルは、第2世代のディープラーニングモデルを表す。この種類のコンボリューションニューラルネットワーク(CNN)アーキテクチャーは、ホリスティックネスト型エッジ検出(HED)に関連しており、この検出は、ディープスーパービジョン(deep supervision)を全コンボリューションネットワークと組み合わせて、エッジおよびオブジェクトの境界部を効率的に学習し、オブジェクト検出において問題となっている曖昧さの問題を解決する。これを使用して、自然の画像において、エッジおよびオブジェクトの境界部を検出することができる。HNNアーキテクチャーは、医療用イメージングドメインにおける意味画像セグメント化に対処するために、生ピクセルを使用し(pixel-in)、ラベルを除外する(label-out)一般的なマッピング関数から、深層階層表示を学習することができる。HNNは、以下の少なくとも2つの問題に対処することができる:(1)ピクセルごとのラベル付けコストを使用して、画像全体を、端部から端部へ、たとえば、ホリスティックに、訓練し、予測すること、ならびに(2)それぞれのコンボリューション層での補助的なコスト関数を介して、深層画像特徴のマルチスケールおよびマルチレベルでの学習を組み込むこと。HNNは、画像から画像またはピクセルからピクセルへの予測マップを、任意の入力された生画像から、そのアノテーションされたラベル付けマップにコンピューティングし、全コンボリューションニューラルネットワークおよびディープスーパービジョン型ネットを構築する。ピクセルごとのラベル付けコスト関数により、HNNが、たった数千個のアノテーションされた画像ペアを使用して効率的に訓練され得ることが、可能となる。これにより、器官のセグメント化における空間的曖昧さを解決するために重要な、豊富な階層特徴表示および内容の自動的な学習が可能となる。
【0075】
Alex-netのDCNNモデルとは対照的に、ホリスティックネスト型ネット(HNN)は、端部から端部へのエッジ検出システムを強調し、追加のディープスーパービジョンを有する全コンボリューションニューラルネットワークを含み得る。本発明者らは、Berkeleyセグメント化データセットおよびベンチマーク(BSDS 500)に使用されたHNNアーキテクチャーおよびハイパーパラメーター設定を利用した。本発明者らの訓練のためのネットワーク構造は、BSDSのものと同じであり得る。前立腺のHNNセグメント化モデルを、前立腺訓練画像を使用して、BSDS 500から微調整した。本発明者らは、HNNを、BSDS 500のパラメーターで訓練するときに行ったように、前立腺マスクを微調整するためにVGG重み(ImageNet VGGモデル)を使用した。HNNネットワークは、複数のサイド出力を有する、単一ストリームの深層ネットワークを含み(
図13)、サイド出力は、それぞれのコンボリューション層の後に挿入されている。このアーキテクチャーは、1、2、4、8、および16のストライドを有する5つの段階からなる。サイド出力層は、シグモイド活性化を有する1チャネル出力の1×1のコンボリューション層である。HNNの出力は、サイド出力の平面サイズが小さくなり、受容視野サイズ(receptive field size)が大きくなる、マルチスケールかつマルチレベルのものである。それぞれのサイド出力により、対応するエッジマップが異なるスケールレベルで生成され、
図13に示されるように、1つの重み付けされた融合層が、マルチスケールから出力を組み合わせる方法を自動的に学習するために、付加される。付加された融合層は、最終的な出力確率マップを生成するために、サイド出力の重み付け平均をコンピューティングする。サイド出力の様々なスケールレベルに起因して、すべてのサイド出力の確率マップは、融合前に共一次内挿法(bilinear interpolation)によって、もともとの入力画像サイズのサイズにアップサンプリングされる。ネットワーク全体が、複数のエラー伝播パス(破線)で訓練される。交差マルチスケールにより、特に、ネットワークの上位レベルにおいて、訓練されたネットワークは、非常に大きな構造エッジを学習することおよび低いシグナルエッジを見逃すことに、重度に偏らされる。失われた弱いエッジを補い、ディープスーパービジョンとしての役割を果たすために、サイド出力層のそれぞれで、グラウンドトゥルースが使用される。本発明者らは、対応するコンボリューション層の後に、それぞれのサイド出力層で行われるディープスーパービジョンを図示するために、エラー逆伝播パス(
図13における赤色の破線)を強調する。融合された層もまた、融合されたエラー(
図13における青色の破線)を、それぞれのコンボリューション層に逆伝播する。
【0076】
訓練フェーズにおける前立腺のセグメント化のためのHNNネットワークを公式化するために、本発明者らは、訓練データセットを、S={(X
i,Y
i),i=1,…,n}として示し、ここで、X
iは、i
thの入力生画像を指し、Y
iは、i
thの入力画像の対応するグラウンドトゥルースラベルを示し、Y
i∈{0,1}は、対応するX
iの前立腺内部マップの2値グラウンドトゥルースマスクを示す。ネットワークは、内部予測マップが生成され得るこれらの画像ペアから、特徴を学習することができる。標準的なCNN層に加えて、HNNネットワークは、
図13に示されるように、M個のサイド出力層を有し、ここで、それぞれのサイド出力層は、対応する重みw=(w
(1),…w
(M))を有する分類器として機能する。すべての標準的なネットワーク層パラメーターは、Wとして示される。M個のサイド出力層の目標関数は、
【数3】
であり、ここで、L
sideは、訓練画像ペアXおよびYにおいてすべてのピクセルにわたってコンピューティングされたサイド出力の画像レベルの損失関数を示す。グラウンドトゥルースデータにおける非ラベルのピクセルに対する重度のバイアスに起因して、陽性クラスと陰性クラスとの間で自動的に損失の均衡をはかるために、ピクセルごとのクラス均衡重みβが、導入される。クラス間で均衡された交差エントロピーの損失関数を、上述の等式において、画像の空間的寸法に対して反復するjを用いて使用することができる。
【数4】
ここで、βは、単純に、|Y
-|/|Y|および1-β=|Y
+|/|Y|であり、|Y
-|および|Y
+|は、それぞれ、陰性および陽性のグラウンドトゥルースセットを示す。βが、それぞれの訓練画像について独立してコンピューティングされる、対照的な方法では、本発明者らは、訓練セット全体にコンピューティングされる一定の均衡重みを使用する。これは、一部の訓練スライス、すなわち、頂点および基底部での前立腺におけるスライスが、まったく陽性クラスを有さない可能性があり、さもなければ、損失関数で無視されてしまうためである。クラス確率
【数5】
は、シグモイド関数σ(.)を使用して、それぞれのピクセルjにおける活性化値でコンピューティングされる。前立腺内部マップ予測
【数6】
は、それぞれのサイド出力層において取得することができ、ここで、
【数7】
は、サイド出力層mの活性化である。最終的には、重み付けした融合層を、訓練中に同時に学習することができるネットワークに付加する。融合層における損失関数は、
【数8】
であり、ここで、
【数9】
であり、h=(h
1,…,h
m)が、融合重みである。Dist(.)は、融合された予測とグラウンドトゥルースラベルマップとの間の距離尺度である。交差エントロピー損失を、全体的なHNN損失関数として使用し、これは、標準的な確率的勾配降下法(stochastic gradient descent)および逆伝播により、最小化される。
L
HNN(W,w,h)=argmin(L
side(W,w)+L
fuse(W,W,h))
試験フェーズの間に、新しい画像Xを用いて、前立腺の2値マスク予測マップ
【数10】
が、サイド出力層および重み付けした融合層の両方から生成される。HNNは、ネットワークによって生成されるエッジマップを示す。
【数11】
HED予測の後に、
【数12】
層により生成された確率マップを使用して、最終的な輪郭を探す。1つの複雑でないアプローチは、HNNモデルを、
図13に示されるように、前立腺のセグメント化に直接的に適用することである。基本的には、本発明者らは、3D MR画像から、2Dスライスを抽出する。対応する2D画像スライスおよび2値マスク(グラウンドトゥルースから生成)のペアが、訓練セットを構成する。試験フェーズの間に、2Dスライスが、3D MR画像から抽出され、訓練したHNNモデルに対して実行して、予測確率マップが生成される。オブジェクトを識別するモルフォロジー演算を、確率マップに対して実行して、小さなノイズ領域を除去し、前立腺を表す最も大きな領域を探す。モルフォロジーフィルターにより、確率マップから前立腺の形状の2値マスクが生成され、マスクが最終的なVOI輪郭に変換される。確率マップと融合された試験画像を、
図14に示す。
【0077】
HNNモデルを、2D 512×512の前立腺画像に直接的に適用することは、単純かつ有効なアプローチである。これは、前立腺の内部および外部の解剖学的構造について、画像特徴を、ホリスティックに学習することができる。しかしながら、いくつかの問題により、この単純なアプローチに新しい懸念が生じる:1)512×512の2D画像は、豊富な解剖学上の情報、特に、前立腺領域の外側の構造を含んでいる。大規模な前立腺外部領域の意味学習が、必要となり得る。2)前立腺MR画像の不均一な強度分布は、HNNモデルのセグメント化性能に影響を及ぼし得る。前立腺境界部は、強度変動の場合に強化する必要があり得る。3)2D MR画像を単独で、単一のHNNモデルで訓練することは、十分である場合もあるが、十分でない場合もある。
【0078】
一部の実施形態では、強化型HNNモデルは、上述の問題に対処するために、いくつかの主要な構成ブロックで構成されている。
図15は、訓練フェーズにおける強化型HNNモデルの概略的なパイプラインの図を示す:1)MR画像を、512×512ピクセルのもともとのサイズからクロッピングして、前立腺の腺全体に焦点を当てたより小さな領域にし、もともとの画像の上部、下部、左側、および右側からピクセルの25%を除去する。2)メジアンおよび四分位数間範囲(IQR)を適用して、クロッピングした画像の強度範囲を、0~1000の間でスケーリングし、次いで、[0,255]の間で再スケーリングする。IQRは、上位四分位数と下位四分位数との間の差である。IQRを、拡がりのよりロバストな尺度であると考えることができ、メジアンは、同様に、中心部の傾向のよりロバストな尺度であると考えることができる。この前処理ステップにおいて、メジアンおよびIQRのスケーリングは、
【数13】
として計算され、ここで、Iは、分類後のクロッピングした3D画像全体の強度セットであり、I
xyzは、ボクセル強度である。メジアンおよびIQRのスケーリングは、前立腺強度変動問題に対処するためのヒストグラム等化に対する代替的な役割を果たす。3)MR画像単独について、ノイズおよび低コントラストの領域は、大きなアーチファクトに寄与する。結果として、いくつかのエッジ境界部が失われるか、または周囲の組織と混ざってしまう可能性がある。本発明者らは、コヒーレンス強化拡散(CED)フィルターを適用して、境界部が強調された特徴画像を得る。CEDは、比較的薄い線形構造をフィルタリングして、グレーレベルのエッジ境界部を強調し、これが、HNNモデルが、意味特徴を効率的に学習することを補助し得る。4)クロッピングしたCED画像およびMR画像を、対応する2値マスクと混合して、単一のHNNモデルを訓練し、これにより、DCNNアーキテクチャーが、ニューラルネットワークにおいて、CED画像とMR画像との間で内部相関を構築することが可能となる。全体的な画像の前処理ステップを、
図16a~16gに示す。
【0079】
開示される強化型HNNアーキテクチャーを、
図17に図示する。HNNモデルの入力は、前処理後の、MRI画像スライスおよびCED画像スライスを対応する2値マスクと混合したものである。それぞれのMRIスライスおよびCEDスライスは、1つの対応する2値マスクを共有しており、画像スライスと2値マスクのペアが2つ形成される。それぞれのペアは、スタンドアロン型である。それぞれの訓練分割(5分割交差検証、200個の画像)において、数千個の独立したMRIおよびCEDのペアが、一緒に(ペアで)混合されて、訓練セットが構築される。HNNアーキテクチャーは、依然として、マルチ特徴(マルチモダリティ)の画像ペアを扱う能力が拡張された、スタンドアロン型モデルとして機能する。HNNアーキテクチャーは、MRI画像およびCED画像の両方から、深層表示を意味的に学習することができ、2つの画像特徴と対応するグラウンドトゥルースマップとの間の内部CNNネットワークを構築することができる。HNNは、それぞれのサイド出力層から、ディープスーパービジョンとして作用するグラウンドトゥルース2値マスクペアと同時に、ピクセルごとの前立腺確率マップペア(MRIおよびCED)を生成する。本発明者らが、単一のスタンドアロン型HNNモデルを用いて異なる画像特徴を訓練しようと試みたのは、これが初めてである。これまでの研究で、本発明者らは、既に、HNNモデルをCT画像における膵臓のセグメント化およびリンパ節の検出に適用していた。いずれの方法も、内部2値マスクおよびエッジ境界部2値マスクを、HNNモデルで独立して訓練していた。試験フェーズの間に、2つのHNNモデルにより生成した内部確率マップおよびエッジ境界部確率マップを、ランダムフォレストモデルで集め、最終的なセグメント化が緻密化される。本発明者らのこれまでの研究と比較して、開示される強化型HNNモデルは、異なる画像特徴(またはモダリティ)を利用して、単一のHNNモデルを訓練し、これにより、可能性として、意味画像のセグメント化タスク、すなわち、MRI前立腺セグメント化の信頼性が改善され得る。開示されるモデルは、HNNアーキテクチャーに、訓練フェーズにおいて、異なる特徴にわたって適切な重みおよびバイアスを自然に学習させる。訓練したネットワークが収束すると、本発明者らは、経験的に、5番目の層のサイド出力が、前立腺の形状に非常に近似していることを見出し、これにより、融合層の出力は些細なものとなる。しかしながら、融合層の出力は、依然として、確率マップを生成するために使用することができる。試験フェーズの間に、本発明者らは、5番目の層のMRIおよびCEDのサイド出力から生成された確率マップを単純に統合し、最終的な前立腺境界部を直接的に生成することができる。したがって、2D MR画像を、単一のHNNモデルにより単独で訓練するモルフォロジーの後処理ステップは、最終的には排除することができる。
【0080】
図18は、試験フェーズにおける、完全に自動化された前立腺セグメント化パイプラインを示す。第1には、試験画像を、より小さな画像にクロッピングし、画像境界部から25%のピクセルが低減される。第2には、メジアン+IQRのスケーリングおよびCED強化フィルターにより、対応するMRI画像スライスおよびCED 2D画像スライスを生成する。第3には、MRIスライスおよびCEDスライスを、訓練したHNNモデルに対して実行して、確率マップを、HNNの5番目の層のサイド出力から同時に生成する。第4には、生成されたマップを、もともとの画像空間に変換する。最後に、2つの確率マップを統合し、閾値処理して2値マスクにし、2値マスクから最終的なVOI輪郭を作製する。
【0081】
図19(a)および(c)は、メジアン+IQRのスケーリングおよび[0,255]の間の範囲での再スケーリング後のクロッピングしたMRIスライスおよびCEDスライスを示す。
図19(b)および(d)は、訓練したHNNモデルの5番目の層から予測された確率マップである。
図19(e)は、2つの確率マップを組み合わせ、次いで、最も大きな構成要素を単純に閾値処理して2値マスクにし、それを最終的な境界部に変換することによって生成された、最終的な前立腺のVOI輪郭である。
【0082】
開示される強化型HNNモデルは、試験フェーズにおいて、複雑なMRI前立腺形状の変動を効果的に捕捉することができる。画像をクロッピングするステップにより、前立腺ではない領域を破棄し、HNNアーキテクチャーに、グラウンドトゥルースマップからより微細な詳細を学習させる。前立腺内部2値マスクは、前立腺境界部を描出するための主要な中程度のレベルの手がかりである。CEDスライスおよびMRIスライスを、内部グラウンドトゥルースマップと組み合わせ、単一のHNNモデルで訓練することは、意味画像セグメント化タスクにとって有益であり得る。訓練フェーズの間に、HNNモデルは、異なる画像特徴(またはモダリティ)にわたって、内部相関CNNネットワークを自然に構築することができる。強化型HNNモデルにより、MRI前立腺セグメント化の全体的な性能を高めることができる。
【0083】
開示される強化型HNNモデルを、250個のMR画像データセットを用いて評価するが、これらは、National Cancer Institute、Molecular Imaging Branchから提供されている。MR画像は、3.0 Tの全身MRIシステムから取得する。前立腺全体のT2強調MR画像は、スキャン解像度0.2734×0.2734×3.0mm3、視野140mm、画像スライス寸法512×512で、軸方向面で取得した。前立腺の中心が、MRIスキャンの焦点である。すべての画像は、直腸内コイルを使用して取得するが、これは、前立腺のイメージングに日常的に使用されている。前立腺の形状および外観は、様々な患者間で大きく変動してしまう。がんを有する患者と有さない患者では、前立腺の形状に広範な変動があり、これには、前立腺肥大およびECE(被膜浸潤)に関連する変動性が組み込まれる。しかしながら、本発明者らの事例では、著しい前立腺の境界部の歪みを引き起こしたECEの例は少なかった。被膜の関与の影響は、本発明者らのセグメント化アルゴリズムの精度への影響がわずかな因子である。250件の事例のすべての中で、ほぼすべての前立腺が異常な所見を有するが、これは、主として、BPH(良性前立腺過形成)に起因し、このためにすべての前立腺の見た目の違いが引き起こされる。本発明者らの集団では、ほとんどの事例にがんが含まれるが、前立腺の被膜ががんによって、それゆえセグメント化によって、影響を受けることは一般的ではない。それぞれの画像を、対応する前立腺のVOI輪郭を有する1人の患者に関連付けられている。至適基準の輪郭VOIは、優れた手作業によるセグメント化から得られ、これは、放射線科医によって作製され、検証される。これらのVOIは、評価のグラウンドトゥルースと考えられる。軸方向のT2W MR画像を、経験豊富な尿生殖器放射線科医によって、研究に基づくセグメント化ソフトウェアを使用して、面積測定によるアプローチ(軸方向図での前立腺のスライス様の輪郭処理)において手作業でセグメント化した。これらのセグメント化は、すべて、患者が臨床的に読み取られているときに行われる。
【0084】
得られた250個の画像を用いて、本発明者らの実験を、200個の画像が訓練用、その他の50個の画像が5分割交差検証での試験用の割合で、実行する。それぞれの分割を、互いに独立した1つのディープラーニングモデルで訓練する。3回の実験を、それぞれの分割に行って、最終的なセグメント化されたVOI輪郭を、2値マスクに基づく比較において、グラウンドトゥルースVOI輪郭により評価する。
【0085】
それぞれの実験の訓練プロセスを簡略的に説明する。1)Alex-netモデル:2D 64×64のパッチ(陽性および陰性)を、節2.1に記載されるように、200個の画像から、法線に沿って収集する。X軸およびY軸に平行に配向した生成された100万個のパッチを使用して、1つのAlex-netのディープラーニングモデルを訓練する。2)HNN_mriモデル:およそ5000個の2D MR画像スライスおよび対応するVOI 2値マスクのペアを使用して、1つのHNNモデルを訓練する。これらの画像ペアは、前立腺特異的HNNモデルを生成するように、BSDS 500アーキテクチャーおよびハイパーパラメーター設定で、微調整されている。3)HNN_mri_cedモデル:前処理ステップの後に、およそ10000個の2D MR画像スライスおよび2値マスクのペア、ならびに2D CEDおよび2値マスクのペアを、一緒に混合して(ペアで)、1つのスタンドアロン型HNNモデルを訓練する。試験フェーズの間に、残りの50個の画像(それぞれの分割における)を、それぞれの訓練したモデルに対して実行して、確率マップを生成する。それぞれの方法について、本発明者らは、確率マップからVOI輪郭を抽出するために、異なる戦略を使用する。1)Alex-netのアプローチ:本発明者らは、法線に沿って最も高い確率点を特定し、B-スプラインを使用して、最終的なVOI輪郭をなめらかにする。2)HNN-mriスタンドアロン型モデル:本発明者らは、確率マップから最も大きな領域をフィルタリングするために、オブジェクトを特定するモルフォロジー演算(morphology with identity object operation)を利用し、それを最終的なVOIに変換する。3)HNN_mri_cedマルチ特徴スタンドアロン型モデル:本発明者らは、5番目のサイド出力層から、確率マップを直接的に閾値処理して、最終的なVOI輪郭を生成する。性能の評価は、最終的なVOI輪郭を2値マスクに変換することによる、2値マスクに基づく比較である。
【0086】
セグメント化性能(表3)を、(1)Dice類似性係数(DSC)、(2)Jaccard(IoU)、(3)ハウスドルフ距離(HDRFDST、mm)、および(4)平均の最小表面間距離(AVGDIST、mm)を用いて評価した。すべてのメトリクス(metrics)は、距離に基づく尺度の外れ値を回避するために、任意の端部輪郭をトリミングすることもデータを[5%,95%]の確率区間にクロッピングすることもなしに、計算する。マスクに基づく性能の尺度は、セグメント化評価ツールを使用して、グラウンドトゥルースおよびセグメント化したマスクを比較する。開示されるディープラーニングモデル間での性能の差の統計学的有意性は、ウィルコクソン符号順位検定を使用して、DSC、IoU、およびHDRFDSTに関して、p値をコンピューティングすることによって、判定する。MRI単独でのHNNモデルは、平均DSCを81.03%から86.86%に上昇させ(p<0.001)、平均IoUを68.57%から77.48%に上昇させ(p<0.001)、これは、輪郭の緻密化に使用されるAlex-netのディープラーニングモデルに対する有意な改善である。強化型HNNモデル(MRI+CED)は、さらに、DSCおよびIoUの両方において、セグメント化性能を、HNN MRIスタンドアロン型モデルから3%(p<0.001)向上させる。これらの結果により、単一のHNNモデルを異なる画像特徴(またはモダリティ)にわたって訓練することが、意味画像セグメント化の信頼性を本質的に改善し得ることが示される。MRI前立腺セグメント化の場合、強化型HNNモデルは、試験フェーズにおいて、複雑な前立腺形状の変動を捕捉することができる。強化型モデルはまた、13.52±7.87mmのハウスドルフ距離(p<0.001)を達成し、これは、HNN MRI+CEDが、HNN MRI単独よりも、また最悪の場合でもAAM Alex-netモデルよりも、ロバストであることを示す。
【表3】
【0087】
患者事例の数例を、
図20に示す。緑色は、グラウンドトゥルースを示し、赤色は、強化型HNNモデルのセグメント化結果を示す。
図20はまた、それぞれの患者について、本発明者らのモデルが生成した表面と、グラウンドトゥルース表面との間で重複している3D表面を図示する。知覚的に、開示される方法は、最良、正常、および最悪の事例から、有望なセグメント化結果を示す。認識できる体積の差および高いハウスドルフ距離は、主として、頂点および基底部の誤った輪郭が寄与している。全体として、開示される強化型HNNモデルは、他の医療用イメージングセグメント化タスクに高度に一般化可能であり得る。
【0088】
第1のAAM+Alex-netの方法は、2つの主要な構成ブロックから構成されていた。第1の構成ブロックは、StegmannらのAAMモデルを、Java(登録商標)を用いてMIPAVに実装していた。従来的なAAMスタンドアロン型モデルは、形状の変動を捕捉するために、多数の画像およびVOIが必要であった。単一のAAMモデルを多数の画像テクスチャーおよびVOIで訓練することは、実際には、不規則な形状および不安定なセグメント化を生成することが常である。本発明者らは、比較的類似する画像およびVOIの形状が、PCAモデルにおいて、より高い数の固有値で確実に訓練され得るように、部分群によるアトラスに基づくAAM訓練を実装した。アトラスによる網羅的な検索アルゴリズムは、形状およびテクスチャーの変動を捕捉する多数の群を生成する。このアトラスに基づくAAM戦略により、セグメント化エラーを低減することができる。AAMモデルが、最初のVOI輪郭を生成した後に、本発明者らは、パッチに基づくAlex-netのディープラーニングモデルを適用して、境界部を緻密化する。修正された線形単位を、標準的なニューロンモデルの代わりのニューロンモデルとして使用する:f(x)=tanh(x)およびf(x)=(1-e-x)-1。それぞれの訓練分割について、本発明者らは、訓練セットにランダムサンプリングを適用し、これにより、訓練セットを、ランダムな訓練サブセットおよび試験サブセットに分ける。しかしながら、本発明者らは、訓練の前に、1Mパッチにランダムな初期化を適用しなかった。
【0089】
CNNネットワークが前立腺境界部をどの程度良好に学習したかを定性的に評価するために、
図21により、1つの試験事例に対する「陽性」および「陰性」の画像パッチのランダムなサブセットに対する典型的な分類確率を示す。前立腺境界部の中心に置かれているそれぞれのパッチ(「陽性」)、および境界部から外れているもの(「陰性」)の確率を、示す。正しいグラウンドトゥルースラベルを、それぞれの画像パッチの下に記述する。最も高いCNN確率を有するカテゴリを、上位バーとして示し、正しく分類されている場合はピンク色、誤って分類されている場合には紫色で示す。データ増強を用いて、本発明者らは、それぞれのパッチを、90度、180度、および270度回転させ、それぞれのパッチを、X軸およびY軸で反転させる。このアプローチは、訓練時間および試験時間を低下させ、Diceスコアおよびハウスドルフ距離のいずれにおいても改善をもたらさない。本発明者らは、生成されたパッチを使用して、Alex-netのディープラーニングモデルを、いずれのデータ増強もなしに直接的に訓練した。
【0090】
第2のHNN_mriスタンドアロン型方法について、本発明者らは、HED実装(C++およびPython)を、基本のHNNアーキテクチャーとして利用した。この方法は、FCNおよびDSNに加えて、最新のCaffeライブラリおよびビルドを使用して実装した。本発明者らは、同じHNNアーキテクチャーおよびBSDS 500のハイパーパラメーター設定を利用した。また、本発明者らは、HNNを、BSDS 500で訓練するときに、前立腺マスクの微調整に、VGG重みを使用した。ハイパーパラメーター(値を選択)には、バッチサイズ(1)、学習率(10e-7)、モメンタム(0.9)、重み減衰(0.0002)、訓練反復回数(30000、10000回の反復の後は、学習率を10で除す)が含まれる。本発明者らはまた、MIPAV Java(登録商標)ルーチンを実装して、HNN予測の後に確率マップからの画像処理およびVOI抽出を扱った。最初に確率マップに適用される閾値フィルター[240,255]は、融合層サイド出力から生成されたものであり、これを、[0,1]から[0,255]にスケーリングする。次いで、オブジェクトを特定するモルフォロジー演算(MIPAV)を、フラッド値1で、フラッドに適用し、すべての可能性のある領域を埋め、前立腺を表す最も大きな領域をフィルタリングする。最後に、2D領域マスクをVOI輪郭に変換する。
【0091】
第3のAlex_mri_ced単一スタンドアロン型HNN方法については、本発明者らは、第2の方法におけるスタンドアロン型HNNモデルを何の修正もなしに単純に使用し、HNN予測後に、前処理ステップ、マルチ特徴(マルチモダリティ)画像I/O、およびデュアル確率マップ内挿法を扱うために、MIPAVにJava(登録商標)ラッパーを実装した。本発明者らがモデルを訓練したときに、マルチ特徴の画像ペア(MRIおよびCED 2Dのスライスと、2値マスク)を、単一のスタンドアロン型HNNアーキテクチャーにフィードし、ネットワークに、マルチ特徴画像間での深層表示を自然に構築させた。コヒーレンス強化拡散(CED)フィルターを、以下のパラメーターで、MIPAVに実装した:誘導スケール(0.5)、ガウススケール(2.0)、反復回数(50)、25D(真)。HNN予測が、5番目のサイド出力層からMRIおよびCEDの確率マップを生成した後、本発明者らは、2つのマップを融合して1つにし、単純に閾値フィルター[240,255]を適用して、最も大きな領域のマスクを構築し、それを最終的なVOI輪郭に変換した。
【0092】
AAM+Alex-netの方法では、1つのAAMモデルを訓練するためのおよその経過時間は、それぞれの分割において200個の画像について、約2時間である。パッチに基づくAlex-netのディープラーニングモデルを訓練するためには、単一Titan Z GPUで、たった1つのモデルを訓練するのに約5日間かかる。いったん訓練すると、それぞれの試験画像に対する平均実行時間は、次のようになる:AAMモデルは、初期VOI輪郭を生成するのに3分間かかる。初期輪郭からのパッチの生成、Alex-netモデルから確率マップを予測すること、およびマップを最終的なVOI輪郭に変換することを合わせると、約5分間かかる。したがって、それぞれの試験画像の完全な処理時間は、約8分間である。
【0093】
HNN_mriスタンドアロン型モデルでの訓練は、単一NVIDIA Titan Z GPUで約2日間かかる。典型的な試験画像(512×512×26)については、HNNモデルが、確率を生成するのにかかるのは2秒間よりも短く、Java(登録商標)ルーチンが確率マップを最終的なVOIに変換するのにかかるのは1秒間である。それぞれの試験画像の全セグメント化時間は、3秒間であり、これは、AAM+Alex-netの方法よりも著しく速い。
【0094】
HNN_mri_cedの方法は、前処理および後処理のステップを扱うのに余分な時間がかかる。CEDフィルターは、時間がかかるステップであり、それぞれの画像がCED画像を生成するのに約30秒間かかる。それぞれの分割からのMRIおよびCEDのペアに基づいて、HNNモデルを訓練するのには、単一Titan Zカードで2.5日間かかる。それぞれの試験画像が最終的なVOI輪郭を生成するための全処理時間は、約2分間である。
【0095】
開示される強化型HNNモデルは、MRI前立腺セグメント化に対する性能が非常に良好であり、5分割交差検証において平均DSC(89.77%±3.29%)が報告されている。表4は、本発明者らの方法と、選択された他の方法とのおおまかな比較を示す。定性的なデータは、本発明者らの方法が、頂点および基底部において何らかの誤った輪郭をトリミングすること、すなわち、5%またはα=0.95で端部輪郭をトリミングすることを伴わずに、比較的信頼できるMRI前立腺セグメント化が得られることを示す。
【表4】
【0096】
測定した実行時間により、HNNに基づく2つの方法が、訓練フェーズおよび試験フェーズの両方において、パッチに基づくAlex-netの方法よりも性能が優れていることが明らかとなった。これは、主として、Alex-netのアーキテクチャーによるコンボリューションの際に作製される巨大なパラメーター空間に起因する。マルチスケールおよびマルチレベルのHNNアーキテクチャーは、VGGNet 16からの全結合層の除去およびサイド出力層での置き換えのために、Alex-netの対応物よりも速く収束する。強化型HNN_mri_cedモデルは、画像の前処理および後処理ステップを行うのに余分な時間がかかるが、マルチ特徴の訓練および予測の機序は、HNN_mriスタンドアロン型モデルから、セグメント化性能を3%向上させる。したがって、開示される強化型HNNモデルは、処理時間およびセグメント化性能の両方の点で、Alex_netモデルよりも良好な選択肢である。
【0097】
Alex-netは、訓練および試験が、固定サイズのパッチ、たとえば、64×64のパッチに制約される、第1世代のディープラーニングモデルである。Alex-netのDCNNモデルは、自動的特徴学習、マルチスケールコンボリューション、および異なるレベルの視覚認知の強調に焦点を当てている。しかしながら、フィードバックは、通常、中間層を通じて逆伝播されるため、隠れ層で生成されるマルチスケールの応答は、意味が少ない。パッチからピクセルおよびパッチからパッチへの戦略は、訓練および予測の効率を著しく低下させる。Alex-netのいくつかの欠点としては、次のものがある:1)巨大なパラメーター空間が、最後3つの全結合層から作製され、これにより、訓練性能が低下し、単一のグラフィックカードで訓練されるパッチの数が制限される。2)不均衡なパッチラベル付けにより、Alex-netモデルは、容易に過剰適合が起こる。3)それぞれのパッチ(64×64)は、パッチ自体の内部の階層関係を維持するようにコンボリューションされる。訓練フェーズの間のパッチ間の前後関係または相関関係に関する情報は存在しない。
【0098】
HNN_mriモデルは、ディープラーニングモデルの改良を表す。Alex-netのDCNNモデルとは対照的に、ホリスティックネスト型ネット(HNN)は、VGGNet 16上でディープスーパービジョンを用いた、全コンボリューションニューラルネットワークによって想起されたシステムである、端部から端部への検出システムを強調する。第1世代のAlex-netモデルよりも優れた利点としては、次のものが挙げられる:1)ピクセルごとのラベル付けコストを使用した、端部から端部への画像全体に対する訓練および予測。2)マルチ伝播損失を介したマルチスケールおよびマルチレベルの学習の組込み。3)任意の入力生画像からそのアノテーションされたラベル付けマップへの、画像から画像またはピクセルからピクセルへの予測マップのコンピューティング。4)階層特徴の学習の統合。5)HNNが、単一のストリームラインパス(steam line path)で、それぞれのスライスのセグメント化を生成し、多数のパッチのそれぞれのセグメント化を実行することなしに、処理時間を加速するという事実に起因した、Alex-netモデルよりもさらに高速な性能。
【0099】
強化型HNN_mri_cedモデルは、マルチ特徴(マルチモダリティ)を、単一のスタンドアロン型HNNモデルに組み入れる。単一のスタンドアロン型HNN_mriモデルによる3つの懸念に対処するために、強化型モデルは、1)大きな非前立腺領域を除去するクロッピングを利用し、HNN訓練をより正確かつ効率的にする。2)メジアン+IQRフィルターにより、MR画像を正規化して、大きな強度分布変動の問題を抑制する。3)CEDスライスおよびMRスライスを、単一のスタンドアロン型HNNアーキテクチャーにフィードして、HNNモデルに、マルチ特徴およびマルチスケールからの深層表示を自然に学習および構築させて、HNN予測の信頼性を強化する。
【0100】
結論として、本発明者らは、自動的MRI前立腺セグメント化のためのホリスティックな深層CNNアプローチを提示し、単一のHNNモデルによるマルチ特徴(MRI+CED、またはモダリティ)の訓練を利用し、予測されたMRIおよびCEDの確率マップを融合することによって、ロバストなセグメント化結果を生成する。これまでのAlex-netのディープラーニングアプローチは、典型的に、パッチに基づくシステムを使用しているが、これは、訓練および試験の両方が効率的でない場合があり、セグメント化の精度が限定されている。開示される強化型HNNモデルは、複数の画像特徴(またはモダリティ)にわたって、マルチスケールおよびマルチレベルの特徴学習を組み込むことができ、画像から画像の様式で、マルチスケールの出力を即座に生成し、融合する。強化型HNNモデルは、Alex-netのディープラーニングモデルから、セグメント化性能を、平均DSCにおいては9%、および平均IoUにおいては13%上昇しており、これは、セグメント化の精度を有意に改善する(p<0.001)。加えて、開示されるモデルは、他の文献のアプローチと比較して、最新の性能に近い。マルチ特徴(またはモダリティ)アプローチを有する強化型HNNモデルは、他の医療用イメージングセグメント化タスク、たとえば、関連する方法における器官または腫瘍に、一般化可能である。
【0101】
この説明の目的で、本開示の実施形態のある特定の態様、利点、および新規な特徴が、本明細書に記載されている。開示される方法、装置、およびシステムは、決して、制限として解釈されるものではない。代わりに、本開示は、様々な開示される実施形態のすべての新規で自明でない特徴および態様を、単独で、または互いの様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせで、対象としている。本方法、装置、およびシステムは、任意の特定の態様または特徴にも、それらの組み合わせにも制限されるものではなく、開示される実施形態が、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在することも、問題が解決されることも必要とするものでもない。
【0102】
本発明の特定の態様、実施形態、または例と併せて記載されている特徴、整数、特性、または群は、それらと不適合でない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態、または例に、適用可能であることを理解されたい。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のすべて、および/またはそのようにして開示されている任意の方法もしくはプロセスのステップのすべては、任意の組み合わせで組み合わせることができるが、そのような特徴および/またはステップのうちの少なくとも一部が、相互に排他的である場合の組み合わせは除く。本発明は、いずれの前述の実施形態の詳細にも制限されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示されている特徴の任意の新規なものもしくは任意の新規な組み合わせ、またはそのようにして開示されている任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規なものもしくは任意の新規な組み合わせに、及ぶ。
【0103】
開示される方法のうちの一部のものの操作は、便宜上の提示のために、具体的な順序で記載されているが、この説明様式は、特定の順序が特定の語法によって必要とされない限り、再配列を包含することを理解されたい。たとえば、順に説明されている操作は、一部の事例では、再配列されてもよく、または同時に行われてもよい。さらに、単純さの目的で、添付の図面は、開示される方法が、他の方法と併せて使用され得る様々な手法を、示していない場合がある。本明細書において使用されるとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「少なくとも1つの」という用語は、1つまたは複数の、指定された要素を包含する。すなわち、特定の要素が2つ存在する場合、これらの要素のうちの1つも存在し、したがって、「1つの」要素が存在する。「複数の(a plurality of)」および「複数の(plural)」という用語は、2つまたはそれよりも多くの、指定された要素を意味する。本明細書において使用されるとき、要素の一覧のうちの最後の2つの間で使用される「および/または」という用語は、列挙された要素のうちのいずれか1つまたは複数を意味する。たとえば、「A、B、および/またはC」という語句は、「A」、「B」、「C」、「AおよびB」、「AおよびC」、「BおよびC」、または「A、B、およびC」を意味する。本明細書において使用されるとき、「結合した」という用語は、一般に、物理的に、化学的に、電気的に、磁気的に、またはそれ以外の方法で結合または連結されていることを意味し、結合されているものの間の中間要素の存在が、特定の逆の語法では不在であることを除外するものではない。
【0104】
開示される技術の原理を適用することができる多数の可能性のある実施形態を考慮して、例示された実施形態が、例にすぎず、本開示の範囲を制限するものとして捉えられるものではないことを理解されたい。むしろ、本開示の範囲は、少なくとも、以下の特許請求の範囲ほどに広義である。したがって、これらの特許請求の範囲の範囲内のものすべてに関して特許請求がなされる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
前立腺のマルチパラメトリック磁気共鳴イメージング(mpMRI)データから、前立腺がんを検出する方法であって、システムが、
前立腺のmpMRIデータを受信することと、
前記mpMRIデータに適用されるピクセル様のランダムフォレスト機械学習を使用して、前記mpMRIデータから、前立腺がんの確率画像を生成することと、
前記前立腺がんの確率画像に基づいて、前記前立腺における可能性のある生検部位を判定することと
を含む、方法。
(項目2)
mpMRIデータが、T2W画像、ADC画像、およびB2000 MRI画像を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記mpMRIデータから前記前立腺がんの確率画像を生成することが、インスタンスレベルの重み付けを使用することを含む、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
前記mpMRIデータから前記前立腺がんの確率画像を生成することが、辺縁域および移行域に特化した特徴として、移行域までの符号付きユークリッド距離を使用することを含む、項目1~項目3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記ピクセル様のランダムフォレストが、手描きの輪郭、標的化された生検、および正常な事例を含む、複数の種類のアノテーションに対して訓練される、項目1~項目4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
ピクセル様のランダムフォレスト機械学習を使用して、前記mpMRIデータから、前立腺がんの確率画像を生成することが、ハラリックのテクスチャー特徴を使用することを含む、項目1~項目5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
ピクセル様のランダムフォレスト機械学習を使用して、前記mpMRIデータから、前立腺がんの確率画像を生成することが、前記mpMRIデータに適用される強度特徴を使用することを含む、項目1~項目6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
AutoContextを使用することをさらに含む、項目1~項目7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
項目1~項目8のいずれか一項に記載の方法を行うように構成される、システム。
(項目10)
コンピューティングシステムによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、項目1~項目8のいずれか一項に記載の方法を行わせることができる、コンピューター実行可能命令を含む、コンピューター可読記憶装置。
(項目11)
前立腺のMR画像のセグメント化の方法であって、
前立腺のMR画像を受信することと、
ホリスティックネスト型ネットワーク(HNN)によるディープラーニングを使用して、前記MR画像から、セグメント化された前立腺の画像を生成することと、
前記セグメント化された前立腺の画像を使用して、前記前立腺における可能性のあるがんを検出することと
を含む、方法。
(項目12)
前記MR画像が、前記前立腺のT2強調(T2w)MR画像である、項目11に記載の方法。
(項目13)
HNNによるディープラーニングを使用して、前記MR画像から、セグメント化された前立腺の画像を生成することが、独立部分空間分析を使用して、教師なしの様式で、最も有効な特徴を学習することを含む、項目11または項目12に記載の方法。
(項目14)
HNNによるディープラーニングを使用して、前記MR画像から、セグメント化された前立腺の画像を生成することが、深層特徴学習をスパースパッチマッチングと統一することを含む、項目11~項目13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
HNNによるディープラーニングを使用して、前記MR画像から、セグメント化された前立腺の画像を生成することが、3D体積深層コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)を使用して、軸方向画像をモデル化すること、およびDice係数目標関数により訓練を最適化することを含む、項目11~項目14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
HNNによるディープラーニングを使用して、前記MR画像から、セグメント化された前立腺の画像を生成することが、左右対称の残差ネット層ブロックを、3Dコンボリューションおよびデコンボリューションアーキテクチャーに組み込むことを含む、項目11~項目15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
HNNによるディープラーニングを使用して、前記MR画像から、セグメント化された前立腺の画像を生成することは、顕著性エッジマップを利用して、前立腺MR画像の豊富な階層特徴をホリスティックに学習することを含む、項目11~項目16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記HNNが、コヒーレンス強化拡散(CED)画像およびT2 MR画像を混合したもので訓練されており、CED画像およびT2 MR画像から予測される確率マップを融合することができる、項目17に記載の方法。
(項目19)
項目11~項目18のいずれか一項に記載の方法を行うように構成される、システム。
(項目20)
コンピューティングシステムによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、項目11~項目18のいずれか一項に記載の方法を行わせることができる、コンピューター実行可能命令を含む、コンピューター可読記憶装置。