(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】表示パネル、表示装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230612BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/00 366
(21)【出願番号】P 2019547966
(86)(22)【出願日】2018-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2018125194
(87)【国際公開番号】W WO2019205709
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】201810385999.4
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲ダ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 陶然
(72)【発明者】
【氏名】莫 再隆
(72)【発明者】
【氏名】▲廖▼ 文▲駿▼
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0372017(US,A1)
【文献】特開2018-022156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0053792(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0035283(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域及び前記表示領域を取り囲む周辺領域を備える表示パネルであって、
前記表示領域にはアレイ状に配置された画素ユニットが設置され、
前記画素ユニットは画素駆動回路を備え、
前記周辺領域には、少なくとも1つの画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子に接続されるクラック検出線が設置され
、
前記画素駆動回路は、前記リセット信号端子を有するリセット回路と、前記リセット回路に接続される発光回路とを備え、
前記リセット回路は、前記クラック検出線からクラック検出信号を受信して前記発光回路を発光させることができるように配置される表示パネル。
【請求項2】
前記画素駆動回路は、前記発光回路を駆動して発光させるための駆動電流を制御するように配置される駆動回路を更に備える請求項
1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記クラック検出線が前記表示領域を取り囲んで設置される請求項1
又は2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記クラック検出線は蛇行配線部分を備える請求項
3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記周辺領域の異なる領域には、異なる画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子にそれぞれに接続される複数本の前記クラック検出線が設置される請求項
3に記載の表示パネル。
【請求項6】
少なくとも1行の画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子はいずれも、前記クラック検出線に接続される第1のリセット信号線に接続される請求項1-
5のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項7】
前記クラック検出線は、前記表示領域を離れる第1の部分と前記表示領域に近い第2の部分とを備え、前記第1の部分と前記第2の部分が互いに平行し、前記第1のリセット信号線が前記クラック検出線の第2の部分に接続される請求項
6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記表示領域では、前記クラック検出線に電気的に接続される前記少なくとも1行の画素ユニット以外に、各行の画素ユニットに対応して第2のリセット信号線が設置され、且つ前記第2のリセット信号線が本行の画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子に接続される請求項
6に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記クラック検出線は前記周辺領域のボンディング領域側に設置されたクラック検出端子を備え、前記クラック検出端子はクラック検出信号を受信するように配置され、
前記第1のリセット信号線は前記第2のリセット信号線よりも前記クラック検出端子に近い請求項
8に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記第2のリセット信号線に接続されるリセット共通線を更に備える請求項
9に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記リセット共通線が前記クラック検出端子に接続される請求項
10に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記クラック検出線が前記画素駆動回路の駆動トランジスタのゲート金属層又はソース
/ドレイン金属層に設置される請求項1-
11のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項13】
請求項1-
12のいずれかに記載の表示パネルを備える表示装置。
【請求項14】
請求項1-
12のいずれかに記載の表示パネル用の検出方法であって、
前記クラック検出線を介して、前記少なくとも1つの画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子にクラック検出信号を提供するステップと、
前記表示パネルに表示過程で暗線が存在するか否かを観察するステップとを含む検出方法。
【請求項15】
前記表示パネルが第1のリセット信号線を備える場合に、前記第1のリセット信号線に接続されない画素ユニットのリセット信号端子に前記クラック検出信号を提供するステップを更に含む請求項
14に記載の検出方法。
【請求項16】
前記画素駆動回路が前記リセット信号端子を有するリセット回路と、前記リセット回路に接続される発光回路とを備える場合に、リセット制御信号を提供して前記リセット回路をオンにし、前記リセット回路を介して前記発光回路に前記クラック検出信号を提供するステップを更に含む請求項
14に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2018年4月26日に提出された中国特許出願第201810385999.4号の優先権を主張し、ここで、上記中国特許出願に開示されている内容の全体を本願の一部として援用する。
【0002】
本開示の実施例は表示パネル、表示装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLED)表示製品では、薄膜パッケージプロセス(TFE)が広く使用されており、該パッケージプロセスに発生する可能性がある典型的なパッケージ不良はパッケージ漏れであり、それにより、有機発光材料が外部の水蒸気と接触し、有機発光材料の故障をもたらす。パッケージ漏れの根本的な原因は膜層にクラックが出現するため、パッケージ薄膜の割れをもたらすことである。
【0004】
電気的検出段階では、わずかな膜層クラックが発生するが、パッケージ薄膜に明らかなクラックが生じない場合、表示パネルが点灯するときに表示不良が発生しない。しかし、長期間の使用又は高温信頼性試験の後、わずかな膜層クラックが成長して、劣化する可能性があり、それにより、有機発光材料の故障、さらに表示パネルの廃棄のリスクがある可能性があり、従って、電気的検出段階では、さらなる材料の浪費を回避するために、膜層クラックがある製品をタイムリに選び出す必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示領域及び前記表示領域を取り囲む周辺領域を備える表示パネルを提供し、前記表示領域にはアレイ状に配置された画素ユニットが設置され、前記画素ユニットは画素駆動回路を備え、前記周辺領域には、少なくとも1つの画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子に接続されるクラック検出線が設置される。
【0006】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記画素駆動回路は、前記リセット信号端子を有するリセット回路と、前記リセット回路に接続される発光回路とを備え、前記リセット回路は、前記クラック検出線からクラック検出信号を受信して前記発光回路を発光させることができるように配置される。
【0007】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記画素駆動回路は、前記発光回路を駆動して発光させるための駆動電流を制御するように配置される駆動回路を更に備える。
【0008】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記クラック検出線が前記表示領域を取り囲んで設置される。
【0009】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記クラック検出線は蛇行配線部分を備える。
【0010】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記周辺領域の異なる領域には、異なる画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子にそれぞれに接続される複数本の前記クラック検出線が設置される。
【0011】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、少なくとも1行の画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子はいずれも、前記クラック検出線に接続される第1のリセット信号線に接続される。
【0012】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記クラック検出線は、前記表示領域を離れる第1の部分と前記表示領域に近い第2の部分とを備え、前記第1の部分と前記第2の部分が互いに平行し、前記第1のリセット信号線が前記クラック検出線の第2の部分に接続される。
【0013】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記表示領域では、前記クラック検出線に電気的に接続される前記少なくとも1行の画素ユニット以外に、各行の画素ユニットに対応して第2のリセット信号線が設置され、且つ前記第2のリセット信号線が本行の画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子に接続される。
【0014】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記クラック検出線は前記周辺領域のボンディング領域側に設置されたクラック検出端子を備え、前記クラック検出端子はクラック検出信号を受信するように配置され、前記第1のリセット信号線は前記第2のリセット信号線よりも前記クラック検出端子に近い。
【0015】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルは、前記第2のリセット信号線に接続されるリセット共通線を更に備える。
【0016】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記リセット共通線が前記クラック検出端子に接続される。
【0017】
たとえば、本開示の一実施例に係る表示パネルにおいて、前記クラック検出線が前記画素駆動回路の駆動トランジスタのゲート金属層又はソース/ドレイン金属層に設置される。
【0018】
本開示の少なくとも1つの実施例は、本開示の実施例に係る表示パネルを備える表示装置を更に提供する。
【0019】
本開示の少なくとも1つの実施例は、本開示の実施例に係る表示パネル用の検出方法を更に提供し、前記クラック検出線を介して、前記少なくとも1つの画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子にクラック検出信号を提供するステップと、前記表示パネルに表示過程で暗線が存在するか否かを観察するステップとを含む。
【0020】
たとえば、本開示の一実施例に係る検出方法は、前記表示パネルが第1のリセット信号線を備える場合に、前記第1のリセット信号線に接続されない画素ユニットのリセット信号端子に前記クラック検出信号を提供するステップを更に含む。
【0021】
たとえば、本開示の一実施例に係る検出方法は、前記画素駆動回路が前記リセット信号端子を有するリセット回路と、前記リセット回路に接続される発光回路とを備える場合に、リセット制御信号を提供して前記リセット回路をオンにし、前記リセット回路を介して前記発光回路に前記クラック検出信号を提供するステップを更に含む。
本開示の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下では実施例の図面を簡単に説明し、明らかに、以下に記述される図面は本開示のいくつかの実施例のみに関するものであり、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】クラック検出線が一部のデータ線に接続される表示パネルの模式図である。
【
図2】データ書き込み段階の画素駆動回路の模式図である。
【
図3】電気的検出段階でクラック検出暗線が発生する模式図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施例に係る表示パネルの模式
図1である。
【
図5】本開示のいくつかの実施例に係る表示パネルの模式
図2である。
【
図6】本開示のいくつかの実施例に係る別の表示パネルの模式図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施例に係る更に別の表示パネルの模式図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施例に係る更に別の表示パネルの模式図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施例に係る更に別の表示パネルの模式図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施例に係るまた更に別の表示パネルの模式図である。
【
図11】クラック検出時の画素駆動回路の模式図である。
【
図14】本開示のいくつかの実施例に係る表示パネルのクラック検出のシミュレーション結果
図1である。
【
図15】本開示のいくつかの実施例に係る表示パネルのクラック検出のシミュレーション結果
図2である。
【
図16】本開示のいくつかの実施例に係る表示装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下では本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明瞭で、完全に説明する。勿論、説明される実施例は本開示の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。説明される本開示の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得る全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0024】
さらに定義しない限り、本開示で使用されている技術用語又は科学用語は当業者が理解できる通常の意味を有する。本開示で使用されている「第1」、「第2」及び類似する用語は、順序、数量又は重要性を示すものではなく、単に異なる構成要素を区別するためのものである。同様に、「1つ」、「一」又は「該」等の類似する用語は、数量を限定するものではなく、少なくとも1つが存在することを意味する。「備える」又は「含む」等の類似する用語は、「備える」又は「含む」の前に記載される要素又は部材が、「備える」又は「含む」の後に挙げられる要素又は部材及びそれらと同等のものをカバーし、他の要素又は部材を排除しないことを意味する。「接続」又は「連結」等の類似する用語は、物理的又は機械的接続に限定されず、直接的又は間接的接続にかかわらず、電気的接続も含む。「上」、「下」、「左」、「右」等は、単に相対的な位置関係を示すために用いられ、説明される対象の絶対位置が変化すると、該相対的な位置関係も対応して変化する可能性がある。
【0025】
図1に示すように、表示パネル10において、表示領域100及び表示領域100を取り囲む周辺領域200を備え、表示領域100にはアレイ状に配置された画素ユニット110が設置され、周辺領域は、各種のリードの敷設、駆動チップのボンディング、及び表示パネルの密封の実現等に用いられる。画素ユニット110は画素駆動回路を備え、たとえば、
図2に示される7T1C(すなわち7つのトランジスタT1~T7及び1つの蓄積コンデンサC1)の画素駆動回路のような各種の適切なタイプを使用することができる。
【0026】
図1に示される表示パネル10において、周辺領域200には、表示パネル10の一部のデータ線DLに接続されるクラック検出線300が設置される(
図1では、2本のデータ線DLがクラック検出線300に接続されることのみが例示的に示される)。
図2に示される画素駆動回路を例とし、表示駆動を行うときに、たとえば、データ書き込み段階では、データ書き込みトランジスタT2及びスイッチングトランジスタT3は、走査信号端子GATEが受信した走査信号に基づいてオンになり、データ信号Vdataはデータ線を介してデータ信号端子DATAから入力され、次にデータ書き込みトランジスタT2、第2のノードN2、駆動トランジスタT1、第3のノードN3及びスイッチングトランジスタT3を経て第1のノードN1に書き込まれて、蓄積コンデンサC1に蓄積され、且つこの段階では、発光制御トランジスタT5及びT6は、発光制御端子EM1及びEM2が受信した発光制御信号に基づいてオフ状態にあり、それにより、発光素子D1の発光を回避する。発光段階では、発光制御トランジスタT5及びT6はオンになり、第1の電圧端子VDDから提供された第1の電圧Vddが駆動トランジスタT1のソースに印加され、且つ駆動トランジスタT1はデータ信号Vdataに基づいて発光素子D1を駆動して対応する階調で表示させる。具体的には、第1の電圧端子VDDから第2の電圧端子VSSへ、且つ駆動トランジスタT1及び発光素子D1に流れる駆動電流はI=K*(Vdata-Vdd)
2であり、ここでKは定数値であり、これから分かるように、第1の電圧Vddが変化しない場合に、駆動電流Iの大きさ(すなわち発光素子D1の輝度)がデータ信号Vdataに直接関連する。また、リセットトランジスタT5及びT7は、リセット端子RST1及びRST2が受信したリセット制御信号に基づいて、リセット信号端子VINTから第1のノードN1及び第4のノードN4にリセット電圧をそれぞれ印加し、それにより画素駆動回路を初期化することができる。
【0027】
図1に示すように、クラック検出を行うときに、クラック検出信号(たとえばデータ信号Vdata)はクラック検出線300の一端から入力され、クラック検出線300を介して伝送されて該クラック検出線300に接続されるデータ線DLに到着し、それにより該データ線DLに接続される画素ユニット110を駆動して発光させる。同時に、クラック検出線300に接続されないデータ線DL(図示せず)も該クラック検出信号と同じデータ信号を受信し、それにより該データ線DLに接続される画素ユニット110を駆動して発光させる。周辺領域200に膜層クラックが発生し且つクラック検出線300にクラックが発生すると、クラック検出線300の抵抗が大きくなり、それによりクラック検出線300に接続されるデータ線DL上のデータ信号Vdataの書き込みが不十分になり、たとえば、信号の書き込みがなく又はデータ信号の電圧振幅値が低下するため、クラック検出線300に接続される2列の画素ユニット110は発光するときに他の列の画素ユニットに比べて、複数本の輝線又は暗線が発生し、それによりクラック検出を実現することができる。
【0028】
しかしながら、表示製品が続々と更新されることに伴って、その解像度がますます高くなり、狭額縁に対する要求もますます高くなる。狭額縁の表示製品では、データ線DLは片側スイッチしか使用できず、電気的検出段階ではクラック検出線をオフにすることができない。電気的検出のときに、表示パネルの全ての画素ユニットを点灯して検出する必要があり、クラック検出線自体に電圧降下(IR Drop)があるため、クラック検出線に接続される画素ユニットは低階調点灯のときにクラック検出輝線(又は暗線)(PCD-X-Line)が発生しやすい。
図3に示すように、該クラック検出輝線(又は暗線)は表示不良と見なされ、それにより誤検出が発生する。また、複数の表示パネルに対してクラック検出試験を行い、結果が表1に示され、クラック評価を行うときに、パッケージ漏れのリスクが存在している表示パネルのクラック検出線の抵抗変化量Rsは10KΩレベルであるが、10KΩレベルの抵抗変化量による電流差異が人間の目で識別可能な輝度の差異に達することができず、たとえば、表1における番号3、4、5の表示パネルに示すように、クラックが存在するが検出されず、検出の漏れをもたらし、後続のプロセス段階に影響を及ぼす。たとえば、表1における番号6、7の表示パネルに示すように、クラック検出線の抵抗変化量Rsが1MΩレベルに達するときに、クラックを正常に検出できる。
【0029】
【0030】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示領域及び表示領域を取り囲む周辺領域を備える表示パネルを提供し、表示領域にはアレイ状に配置された画素ユニットが設置され、画素ユニットは画素駆動回路を備え、周辺領域には、少なくとも1つの画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子に接続されるクラック検出線が設置される。
【0031】
本開示の少なくとも1つの実施例は、上記表示パネルに対応する表示装置及び検出方法を更に提供する。
【0032】
本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネル、表示装置及び検出方法は、電気的検出段階ではクラック検出線上の電圧降下による輝度への影響を低減させることができるとともに、周辺領域のクラックの検出率を向上させることができる。
【0033】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例及びその例を詳細に説明する。
【0034】
本開示の少なくとも1つの実施例は表示パネル10を提供し、
図4に示すように、該表示パネル10は、表示領域100及び表示領域100を取り囲む周辺領域200を備え、表示領域100にはアレイ状に配置された画素ユニット110が設置され、周辺領域は各種のリードの敷設、駆動チップのボンディング、及び表示パネルの密封の実現等に用いられる。なお、
図4では、一部の画素ユニット110のみが例示的に示され、図面における画素ユニットは、水平方向に行に配置され、垂直方向に列に配置される。たとえば、表示パネル10側に位置する周辺領域200は、ボンディング領域210を更に備え、該ボンディング領域210は、たとえば、フレキシブル回路基板のパッドのボンディングに用いることができ、以下の各実施例はいずれもこれと同じであり、繰り返し説明しない。
【0035】
たとえば、
図5に示すように、該表示パネル10において、画素ユニット110は画素駆動回路(図示せず)を備え、たとえば、画素駆動回路は
図11又は
図12に示される画素駆動回路を使用することができ、本開示の実施例はそれを含むが、それに限定されず、発光素子D1に駆動電流を提供できる限り、画素駆動回路は他の形態の回路構造を使用してもよい。たとえば、周辺領域200には、少なくとも1つの画素ユニット110の画素駆動回路のリセット信号端子VINTに接続されるクラック検出線300が設置される。
【0036】
たとえば、一例では、クラック検出線300は第1のリセット信号線400を介して画素ユニット110に接続される。本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、たとえば、各行の画素ユニット110に対応していずれも1本のリセット信号線が設置されてもよく、該リセット信号線が該行の画素ユニット110の画素駆動回路のリセット信号端子VINTに接続される。下記説明において、クラック検出線300に接続されるリセット信号線を第1のリセット信号線400と呼び、第1のリセット信号線400以外の他のリセット信号線を第2のリセット信号線500と呼び、以下の各実施例はこれと同じであり、繰り返し説明しない。
【0037】
たとえば、
図5に示される表示パネル10において、クラック検出線300のボンディング領域210に近い側にクラック検出端子PCDが設置され、クラック検出端子PCDによりクラック検出線300にクラック検出信号が印加される。たとえば、第1のリセット信号線400が表示パネル10のクラック検出端子PCDを離れる側に設置されてもよく、クラック検出信号がクラック検出線300を介して画素ユニット110に到着する前に、より多くの周辺領域200を通過することができ、それによりクラック検出線300はより多くの周辺領域200に存在するクラックを検出することができる。
【0038】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、表示パネル10の周辺領域200には、画素ユニット110の画素駆動回路のリセット信号端子VINTに接続されるクラック検出線300を設置することにより、画素駆動回路のリセット信号端子VINTを介して発光素子D1(
図11の矢印付きの破線で示される)の一端にクラック検出信号を印加することができ、それにより発光素子D1を駆動することができる。
【0039】
上記方式によって、たとえば、電気的検出段階では、リセット信号端子VINTに印加されるクラック検出信号はリセット信号Vintであってもよく、該リセット信号Vintはリセット段階のみで画素駆動回路を初期化し、上記から明らかなように、発光素子D1の最終駆動電流Iの大きさがデータ信号Vdataに関連し、従って、電気的検出段階では、クラック検出線300上の電圧降下による発光素子D1の輝度への影響を回避することができ、それによりクラック検出線300による誤検出率を低減させることができる。また、上記方式によって、たとえば、クラック検出を行うときに、リセット信号端子VINTに印加されるクラック検出信号は発光素子D1を直接点灯することができ(たとえば、この時に駆動トランジスタT1をオフに保持させる)、クラック評価を行うときに、パッケージ漏れのリスクが存在している表示パネルのクラック検出線の抵抗変化量Rsが10KΩレベルであり、10KΩレベルの抵抗変化量Rsが発光素子D1に流れる駆動電流Iを正常な状況に対して著しく変化させることができ、それにより、クラック検出線300にクラックが存在するか否かを検出することができ、すなわち、周辺領域のクラックの検出率を向上させることができる。
【0040】
なお、本開示のいくつかの実施例では、電気的検出段階でクラック検出を行うことができ、たとえば、他のタイプの検出がすべて完了した後にクラック検出を行ってもよく、または他のタイプの検出に割り込んで行ってもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0041】
たとえば、本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、画素駆動回路は
図11又は
図12に示される画素駆動回路を使用することができ、たとえば、該画素駆動回路は、リセット信号端子VINTを有するリセット回路120とリセット回路120に接続された発光回路130とを備え、リセット回路120はクラック検出線300からクラック検出信号を受信して発光回路130を発光させることができるように配置される。たとえば、クラック検出を行うときに、駆動回路140をオフに制御し且つリセット回路120をオンに制御し、それによりリセット信号端子VINTに印加されたクラック検出信号は発光回路130を直接駆動して発光させることができ、このため、発光回路130の輝度に基づいてクラック検出線300にクラック等の不良が存在するか否か、すなわち、表示パネル10の周辺領域200にクラック等の不良が存在するか否かを判断することができる。
【0042】
たとえば、
図11及び
図12に示すように、リセット回路120は第7のトランジスタT7及び第7のトランジスタT7の一極に接続されるリセット信号端子VINTとして実装することができ、発光回路130は発光素子D1として実装することができる。なお、発光素子D1は有機発光ダイオード(OLED)又は量子ドット発光ダイオード(PLED)を使用することができ、且つ該OLEDは様々なタイプ(ボトムエミッション型、トップエミッション型等)であってもよく、需要に応じて赤光、緑光、青光等を発光することができ、本開示の実施例はそれを含むが、それに限定されない。
【0043】
たとえば、
図11及び
図12に示すように、画素駆動回路は、発光回路130を駆動して発光させるための駆動電流Iを制御するように配置される駆動回路140を更に備える。たとえば、電気的検出を行うときに、駆動回路140をオンに制御し、駆動回路140はデータ信号Vdataの大きさに基づいて発光回路130を駆動して発光させることができ、たとえば、それぞれ低階調と高階調の点灯テストを行う。クラック検出を行うときに、駆動回路140をオフに制御し、それにより、駆動回路140からの駆動電流がなくなり、対応してクラック検出信号が直接的にリセット回路120を介して発光回路130を駆動して発光させることができる。たとえば、
図11及び
図12に示すように、駆動回路140は第1のトランジスタT1として実装することができる。
【0044】
たとえば、
図11及び
図12に示される画素駆動回路では、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第5のトランジスタT5、第6のトランジスタT6、及び蓄積コンデンサC1を更に備えてもよい。第2のトランジスタT2のゲートが走査信号端子GATEに接続されてゲート走査信号を受信し、第3のトランジスタT3のゲートがゲート走査信号端子GATEに接続されてゲート走査信号を受信し、第4のトランジスタT4のゲートが第1のリセット端子RST1に接続されて第1のリセット制御信号を受信し、第5のトランジスタT5のゲートが第1の発光制御端子EM1に接続されて第1の発光制御信号を受信し、第6のトランジスタT6のゲートが第2の発光制御端子EM2に接続されて第2の発光制御信号を受信し、蓄積コンデンサC1がデータ信号Vdata及び第1のトランジスタT1の閾値電圧Vthを蓄積するように配置される。なお、
図11及び
図12に示される第1のノードN1、第2のノードN2、第3のノードN3及び第4のノードN4は実際に存在する部材を表すものではなく、回路図の関連する電気的接続の接合点を表す。
【0045】
たとえば、初期化段階では、第1のリセット端子RST1が第1のリセット制御信号を受信して、第4のトランジスタT4をオンに制御し、それにより第1のノードN1すなわち第1のトランジスタT1のゲートを初期化することができる。データ書き込み段階では、走査信号端子GATEがゲート走査信号を受信して、第2のトランジスタT2及び第3のトランジスタT3をオンに制御し、それにより第2のトランジスタT2、第1のトランジスタT1及び第3のトランジスタT3を介して第1のノードN1にデータ信号Vdataを書き込み、且つ蓄積コンデンサC1に蓄積することができる。リセット段階では、第2のリセット端子RST2が第2のリセット制御信号を受信して、第7のトランジスタT7をオンに制御し、それにより第4のノードN4(すなわち発光素子D1の陽極端子又は陰極端子)をリセットすることができる。発光段階では、第1の発光制御端子EM1が第1の発光制御信号を受信して、第5のトランジスタT5をオンに制御し、第2の発光制御端子EM2が第2の発光制御信号を受信して、第6のトランジスタT6をオンに制御し、それにより発光素子D1を駆動して発光させることができる。
【0046】
また、
図11に示される画素駆動回路はいずれもP型トランジスタを使用し、発光素子D1は駆動トランジスタT1の電流出力端子と第2の電圧端子VSS(たとえば、低電圧端子)との間に位置し、リセット回路120は発光素子D1の陽極端子に接続され、
図12に示される画素駆動回路はいずれもN型トランジスタを使用し、発光素子D1は駆動トランジスタT1の電流入力端子と第1の電圧端子VDD(たとえば、高電圧端子)との間に位置し、リセット回路120は発光素子D1の陰極端子に接続される。
【0047】
本開示の実施例の表示パネルの画素ユニットは、
図11及び
図12に示される画素駆動回路を含むが、それに限定されず、たとえば画素駆動回路は、P型トランジスタとN型トランジスタを組み合わせて使用してもよく、補償回路等を含んでも含まなくてもよく、それはリセット信号端子を有するリセット回路とリセット回路に接続される発光回路とを備え、該リセット回路が発光回路の一方の極に電気的に接続され、発光回路の他方の極が電圧端子に接続され、従って、該リセット回路は、たとえばクラック検出線からクラック検出信号を受信して該発光回路を発光させることができ、それによりクラック検出を行うことができる。
【0048】
本開示の実施例に係る表示パネル10において、クラック検出線300は少なくとも部分的に表示領域100を取り囲んで設置され、たとえば基本的に表示領域100を完全に取り囲んで設置される。
【0049】
たとえば、一例では、
図6に示すように、表示パネル10の周辺領域200には、表示領域100の左右両側にそれぞれ2回巻き付けられる1本のクラック検出線300が設置されてもよい。たとえば、クラック検出線300のボンディング領域210に近い側にクラック検出端子PCDが設置され、クラック検出端子PCDを介してクラック検出信号を印加することができる。たとえば、
図6に示される例では、第1のリセット信号線400が表示パネル10のクラック検出端子PCDに近い側に設置されてもよく、クラック検出信号がクラック検出線300を介して画素ユニット110に到着する前に、より多くの周辺領域200を通過することができ、それによりクラック検出線300はより多くの周辺領域200に存在する可能性があるクラックを検出することができ、従って、周辺領域のクラックの検出率を向上させることができる。
【0050】
たとえば、別の例では、
図7に示すように、表示パネル10の周辺領域200には、2本のクラック検出線300が設置されてもよく、該2本のクラック検出線300は表示パネル10側に交差するが絶縁し、それにより各本のクラック検出線300はいずれも表示パネル10を一周取り囲むことができる。同様に、
図7に示される例では、第1のリセット信号線400が表示パネル10のクラック検出端子PCDに近い側に設置されてもよく、クラック検出信号がクラック検出線300を介して画素ユニット110に到着する前に、より多くの周辺領域200を通過することができ、それによりクラック検出線300はより多くの周辺領域200に存在する可能性があるクラックを検出することができ、従って、周辺領域のクラックの検出率を向上させることができる。
【0051】
たとえば、別の例では、
図8に示すように、本開示の実施例に係る表示パネル10において、クラック検出線300は蛇行配線部分310を更に備えてもよく、該蛇行配線部分310は、たとえばS字状、Z字状又は弓字状等である。たとえば、
図8に示される例では、クラック検出線300の左右両側にそれぞれ1つの蛇行配線部分310を備え、本開示の実施例はそれを含むが、それに限定されない。たとえば、クラック検出線300はより多くの蛇行配線部分310を備えてもよく、本開示はこれを限定しない。
【0052】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、蛇行配線部分310を設置することにより、クラック検出線300が設置されるときにより多くの周辺領域200を通過することができ、それによりクラック検出線300はより多くの周辺領域200に存在する可能性があるクラックを検出することができ、従って、周辺領域のクラックの検出率を向上させることができる。
【0053】
たとえば、本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、周辺領域200の異なる領域には、異なる画素ユニット110の画素駆動回路のリセット信号端子VINTにそれぞれに接続される複数本のクラック検出線300が設置される。たとえば、
図9に示される例では、周辺領域200の左右両側にそれぞれ1本のクラック検出線300が設置され、且つこの2本のクラック検出線300が異なる画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子VINTにそれぞれに接続され、たとえば、異なる行の画素ユニットの画素駆動回路のリセット信号端子VINTにそれぞれに接続され、すなわち、この2本のクラック検出線300が異なる第1のリセット信号線400にそれぞれに接続される。たとえば、左側のクラック検出線300にクラックが存在する場合、クラック検出を行うときに、左側のクラック検出線300に接続される画素ユニットは、第2のリセット信号線500に接続される他の画素ユニットに比べて暗線として表示され(下記を参照)、同様に、右側のクラック検出線300にクラックが存在する場合、クラック検出を行うときに、右側のクラック検出線300に接続される画素ユニットは、第2のリセット信号線500に接続される他の画素ユニットに比べて暗線として表示され、それにより領域別のクラック検出を実現することができる。
【0054】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、周辺領域200の異なる領域に複数本のクラック検出線300を設置することにより、該複数本のクラック検出線300はそれぞれ周辺領域200の異なる領域にクラックが存在するか否かを検出することができ、それによりクラックが存在する場合にクラックが位置する領域を迅速に位置決めすることができる。
【0055】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、少なくとも1行の画素ユニット110の画素駆動回路のリセット信号端子VINTがいずれも第1のリセット信号線400に接続され、第1のリセット信号線400がクラック検出線300に直接接続され、クラック検出信号がクラック検出線300を介して第1のリセット信号線400に印加され、そのため、第1のリセット信号線400の電圧がクラック検出線300の影響を受ける。たとえば、
図10に示される例では、3本の第1のリセット信号線400が設置され、各本のリセット信号線400がいずれも該行の画素ユニット110の画素駆動回路のリセット信号端子VINTに接続される(明瞭に示すために、
図10に画素ユニット110を図示しない)。たとえば、この3本の第1のリセット信号線400が隣接して設置されてもよく、すなわち、この3本の第1のリセット信号線400がそれぞれ隣接する行の画素ユニット110に接続され、たとえば、隣接する行の画素ユニット110の緑のサブ画素ユニットに接続され、本開示の実施例はそれを含むが、それに限定されず、たとえば、隣接する行の画素ユニット110の赤のサブ画素ユニット又は青のサブ画素ユニット等の他色のサブ画素ユニットに接続されてもよい。
【0056】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、第1のリセット信号線400が少なくとも1行における画素ユニット110に接続され、且つ第1のリセット信号線400がクラック検出線300に接続され、このような方式によって、クラック検出線300にクラックが発生する場合、クラック検出線300に接続される画素ユニット110に発光時に1本の暗線を形成することができ、それにより、直接観察する方式で該表示パネル10にクラックが存在するか否かを検出することができる。また、複数本の第1のリセット信号線400が設置され、且つ該複数本の第1のリセット信号線400がそれぞれ隣接する行の画素ユニット110に接続されることにより、クラック検出線300にクラックが発生する場合、クラック検出線300に接続される複数の隣接する行の画素ユニット110に発光時に隣接する複数本の暗線を形成することができ、それにより、表示パネルに表示過程で暗線が存在するか否かを観察するときに効率を向上させることができる。
【0057】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、たとえば、
図6、7、8、9及び10に示される例では、第1のリセット信号線400がクラック検出線300の表示領域100に近い部分に接続され、たとえば表示領域100に最も近い部分に接続される。たとえば、
図10に示される表示パネル10において、クラック検出線300が表示領域100の左右両側にそれぞれ2回巻き付けられ、その場合にクラック検出線300は、表示領域を離れる外側の第1の部分(301)及び表示領域100に近い内側の第2の部分302を備え(
図7を参照)、該第1の部分301と第2の部分302が互いに平行し、第1のリセット信号線400がクラック検出線300の表示領域100に近い第2の部分に接続される。第1のリセット信号線400をクラック検出線300に接続するときに穴を開ける必要がある可能性があるため、クラック検出線300の表示領域100を離れる第1の部分は表示パネル10のエッジに近く、第1のリセット信号線400がクラック検出線300の表示領域100を離れる第1の部分に接続される場合、接続位置にクラックが発生しやすく、それにより、表示パネル10の歩留まりに影響を与え、従って、第1のリセット信号線400がクラック検出線300の表示領域100に近い第2の部分に接続されることにより、両者間の接続品質を改善して、検出正確性を向上させることができる。
【0058】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、
図10に示すように、クラック検出線300に電気的に接続される少なくとも1行の画素ユニット以外に、各行の画素ユニットに対応して第2のリセット信号線500が設置され、第2のリセット信号線500がリセット信号Vintを受信し、且つ第2のリセット信号線500が本行の画素ユニット110の画素駆動回路のリセット信号端子VINTに接続され、動作を表示するときに画素駆動回路の発光素子をリセットすること、及びクラック検出を行うときに、それに接続される画素駆動回路のリセット信号端子にクラック検出信号と同じ電圧信号を印加して、その中の発光素子を駆動して発光させることに用いられる。
【0059】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、
図10に示すように、第2のリセット信号線500に接続され、クラック検出端子PCDに接続されるリセット共通線600を更に備えてもよい。このような方式によって、クラック検出端子PCDを介してクラック検出線300にクラック検出信号を印加するときに、リセット共通線600及び第2のリセット信号線500を介して該クラック検出信号を第2のリセット信号線500に接続される画素ユニット110に伝送することができる。
【0060】
たとえば、
図10に示すように、クラック検出線300は、周辺領域200のボンディング領域210側に設置されたクラック検出端子PCDを備え、クラック検出端子PCDがクラック検出信号を受信するように配置され、第1のリセット信号線400が第2のリセット信号線500よりもクラック検出端子PCDに近く、たとえばプローブがクラック検出端子PCDに接触する方式でクラック検出信号を印加することができる。このような方式によって、クラック検出信号がクラック検出線300を介して画素ユニット110に到着する前に、より多くの周辺領域200を通過することができ、それによりクラック検出線300はより多くの周辺領域200に存在する可能性があるクラックを検出することができ、従って、周辺領域のクラックの検出率を向上させることができる。
【0061】
別の例では、リセット共通線600が第2のリセット信号線500に接続されるが、クラック検出端子PCDに接続されず、単独に設置された共通電圧信号端子(図示せず)に接続される。クラック検出を行うときに、クラック検出端子PCDが印加したクラック検出信号と該共通電圧信号端子が印加した信号とは同じである。
【0062】
本開示のいくつかの実施例に係る表示パネル10において、クラック検出線300が表示パネルの回路構造層のある金属層に設置され、たとえば画素駆動回路の駆動トランジスタのゲート金属層(すなわち、ゲートが位置する金属パターン層)又はソース/ドレイン金属層(すなわち、ソース/ドレインが位置する金属パターン層)等に設置され、すなわち、駆動トランジスタのゲート又はソース/ドレインと同一の金属薄膜及び同一のパターニングプロセスによって形成され、たとえば、クラック検出線300の材料は、金属Mo又はMo合金、金属アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属を使用することができる。本開示の実施例は上記層に形成され又は上記材料で形成されることに限定されない。
【0063】
以下、
図10に示される表示パネル10を例とし、
図11に示される画素駆動回路を参照してクラック検出の作動過程を説明する。
【0064】
電気的検出段階では、表示パネル10の画素ユニット110を全て点灯してテストする必要があり、たとえば、それぞれ低階調と高階調のデータ信号Vdataの駆動で点灯テストを行う。たとえば、リセット段階では、クラック検出端子PCDを介してリセット信号Vintを印加し、該リセット信号Vintがクラック検出線300及びリセット共通線600を介してそれぞれ第1のリセット信号線400及び第2のリセット信号線500に伝送され、次に第1のリセット信号線400及び第2のリセット信号線500を介して対応する行の画素ユニット110に伝送される。各画素ユニット110の画素駆動回路において、たとえば、
図11に示すように、リセット信号Vintがリセット信号端子VINTを介して画素駆動回路に印加され、それにより対応するリセット操作を完了する。たとえば、データ書き込み段階では、データ信号Vdataがデータ信号端子DATAから入力され、第2のトランジスタT2、駆動トランジスタT1及びスイッチングトランジスタT3を経て第1のノードN1に書き込まれ、且つ蓄積コンデンサC1に蓄積され、発光段階では、第1の電圧端子VDDから提供された第1の電圧Vddが駆動トランジスタT1のソースに印加され、且つ駆動トランジスタT1はデータ信号Vdataに基づいて発光素子D1を駆動して対応する階調で表示させる。具体的には、第1の電圧端子VDDから第2の電圧端子VSSへ、且つ駆動トランジスタT1及び発光素子D1に流れる駆動電流はI=K*(Vdata-Vdd)
2であり、Kが定数値であり、第1の電圧Vddが変化しない場合に、駆動電流Iの大きさがデータ信号Vdataに直接関連する。
【0065】
電気的検出段階では、リセット信号Vintがリセット段階のみで画素駆動回路を初期化し、上記から明らかなように、発光素子D1の最終駆動電流Iの大きさがデータ信号Vdataに関連するので、電気的検出段階ではクラック検出線300上の電圧降下による発光素子D1の輝度への影響を回避することができ、それによりクラック検出線による誤検出率を低減させることができる。たとえば、
図14に示されるシミュレーション結果図において、横軸が時間を表し、縦軸が発光素子D1に流れる駆動電流Iを表し、図中の実線が低階調のデータ信号Vdataの駆動で、且つクラック検出線300の抵抗変化量Rsが1Ω及び1MΩである場合の駆動電流Iを表し、図中の破線が高階調のデータ信号Vdataの駆動で、且つクラック検出線300の抵抗変化量Rsが1Ω及び1MΩである場合の駆動電流Iを表す。
図14から分かるように、低階調または高階調のデータ信号Vdataの駆動にかかわらず、クラック検出線300に電圧降下又はクラックが存在することにより抵抗変化量Rsが1MΩになる場合でも、発光素子D1に流れる駆動電流Iの変化が1nAより小さい、すなわち、発光素子D1の輝度がほとんど影響を受けず、それによりクラック検出線による誤検出率を低減させることができる。
【0066】
クラック検出を行うときに、クラック検出端子PCDを介してクラック検出信号を印加し、該クラック検出信号がクラック検出線300及びリセット共通線600を介してそれぞれ第1のリセット信号線400及び第2のリセット信号線500に伝送され、次に第1のリセット信号線400及び第2のリセット信号線500を介して対応する行の画素ユニット110に伝送される。各画素ユニット110の画素駆動回路において、たとえば、
図11に示すように、駆動回路140をオフにし、リセット回路120をオンにし、且つ該実施例では、クラック検出信号が高レベル信号(第2の電圧端子VSSより高い)であり、発光回路130の両端に順方向電圧差が生じ、それによりリセット信号端子VINTに印加されたクラック検出信号が発光回路130を直接駆動して発光させることができ、このため、発光回路130の輝度に基づいてクラック検出線300にクラックが存在するか否か、すなわち表示パネル10の周辺領域200にクラックが存在するか否かを判断することができる。たとえば、該高レベル信号は、発光素子D1に127階調(階調範囲が0~255)の光を発光させる電圧信号として選択されてもよい。たとえば、
図15に示されるシミュレーション結果図において、横軸が時間を表し、縦軸が発光素子D1に流れる駆動電流Iを表し、
図15はクラック検出線300の抵抗変化量Rsがそれぞれ1Ω、10KΩ及び50KΩである場合の駆動電流Iを示す。
図15から分かるように、クラック検出線300の抵抗変化量Rsが1Ωから10KΩに変化し又は50KΩに変化した場合、駆動電流Iが著しく変化し、変化したレベルが1μAであり、該駆動電流Iの変化により発光素子D1の輝度が著しく変化し、それにより第1のリセット信号線400に接続される画素ユニット行が第2のリセット信号線500に接続される他の画素ユニット行に比べて、たとえば、暗線として表示され、クラック検出を完了することができる。
【0067】
たとえば、一例では、クラック検出を行うときに、リセット信号端子VINTに印加されたクラック検出信号の電位が4.5Vであり、走査信号端子GATE、第1のリセット端子RST1、第2のリセット端子RST2、第1の発光制御端子EM1及び第2の発光制御端子EM2に印加された電位がいずれも-7Vであり、第1の電圧端子VDD、第2の電圧端子VSS及びデータ信号端子DATAに印加された電位がいずれも0Vである。第2のリセット端子RST2に印加された電位が-7Vであるため、リセット回路120がオンになり、第1のリセット端子RST1に印加された電位が-7Vであるため、第4のトランジスタT4がオンになり、また、クラック検出信号がリセット信号端子VINTを介して印加されるため、第1のノードN1の電位が4.5Vであり、第1のトランジスタT1すなわち駆動回路140がオフになる。
【0068】
たとえば、別の例では、
図12に示される画素駆動回路において、クラック検出を行うときに、クラック検出信号が低レベル信号(第1の電圧端子VDDより低い)であり、リセット信号端子VINTに印加されたクラック検出信号の電位が0Vであり、走査信号端子GATE、第1のリセット端子RST1、第2のリセット端子RST2、発光制御端子EM1及び発光制御端子EM2に印加された電位がいずれも7Vであり、第1の電圧端子VDDに印加された電位が4.5Vであり、第2の電圧端子VSS及びデータ信号端子DATAに印加された電位がいずれも-4Vであり、このため、発光素子D1の両端に順方向電圧差が生じ、発光素子D1が発光することができる。
【0069】
たとえば、別の例では、
図13に示すように、画素駆動回路が第7のトランジスタT7を備えない場合、クラック検出を行うときに、第4のトランジスタT4、第3のトランジスタT3及び第6のトランジスタT6をオンにしてもよく、それにより、
図13の矢印付き破線で示される導電経路を介して発光素子D1にクラック検出信号を印加して、クラック検出を完成することができる。
【0070】
なお、上記説明された印加信号の電位が例示的なものであり、本開示の実施例はそれを含むが、それに限定されず、画素駆動回路のリセット回路120をオンにし且つ駆動回路140をオフにすることができればよい。
【0071】
本開示のいくつかの実施例は表示装置1を更に提供し、
図16に示すように、該表示装置1は、本開示の実施例に係る表示パネル10を備える。表示パネル10の表示領域にはアレイ状に配置された画素ユニット110が設置される。
【0072】
たとえば、
図16に示すように、該表示装置1は、ゲート線GLを介して画素ユニット110に電気的に接続され、画素アレイにゲート走査信号を提供するためのゲート駆動回路20を更に備える。たとえば、該表示装置1は、データ線DLを介して画素ユニット110に電気的に接続され、画素アレイにデータ信号を提供するためのデータ駆動回路30を更に備える。
【0073】
なお、本開示のいくつかの実施例に係る表示装置1は、ディスプレイ、OLEDパネル、OLEDテレビ、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲータ等の表示機能を有する任意の製品又は部材であってもよい。
【0074】
本開示のいくつかの実施例に係る表示装置1の技術的効果については、上記実施例における表示パネル10の対応する説明を参照することができ、ここで繰り返し説明しない。
【0075】
本開示のいくつかの実施例は、本開示の実施例に係る表示パネル10及び表示パネル10を備える表示装置1に適用できる検出方法を更に提供する。たとえば、該検出方法は以下の操作を含む。
【0076】
ステップS100、クラック検出線を介して、画素ユニット110の前記クラック検出線に接続される画素駆動回路のリセット信号端子VINTにクラック検出信号を提供する。
【0077】
ステップS200、表示パネル10に表示過程で暗線が存在するか否かを観察する。
【0078】
たとえば、
図10に示される表示パネル10を例とし、ステップS100では、クラック検出線300を介してクラック検出信号を提供することができ、たとえば、クラック検出線300が第1のリセット信号線400を介して、画素ユニット110の前記クラック検出線に接続される画素駆動回路のリセット信号端子VINTに接続される。
【0079】
たとえば、表示パネル10が第1のリセット信号線400を備える場合、上記検出方法は、以下の操作を更に含む。
【0080】
ステップS300、第1のリセット信号線400に接続されない画素ユニット110のリセット信号端子VINTにクラック検出信号を提供する。
【0081】
たとえば、
図10に示される表示パネル10を例とし、ステップS300の操作は、第2のリセット信号線500に接続される画素ユニット110のリセット信号端子VINTにクラック検出信号を提供することである。たとえば、第2のリセット信号線500がリセット共通線600に接続され、それによりリセット共通線600を介してクラック検出信号を提供することができる。
【0082】
たとえば、画素駆動回路がリセット信号端子VINTを有するリセット回路120と、リセット回路120に接続される発光回路130とを備える場合に、上記検出方法は、以下の操作を更に含む。
【0083】
ステップS400、リセット制御信号を提供してリセット回路をオンにし、リセット回路を介して発光回路にクラック検出信号を提供する。
【0084】
たとえば、
図11に示される画素駆動回路を例とし、ステップS400では、リセット制御信号を提供してリセット回路120をオンにし、該リセット制御信号は第2のリセット端子RST2に印加されることができ、次にクラック検出信号はオンになったリセット回路120を介して発光回路130に提供される。
【0085】
なお、検出方法の詳細な説明及び技術的効果については、上記実施例におけるクラック検出の作動過程の対応する説明を参照することができ、ここで繰り返し説明しない。
【0086】
以上は、本開示の具体的な実施形態にすぎず、本開示の保護範囲はそれに限定されず、本開示の保護範囲は請求項の保護範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0087】
10 表示パネル
100 表示領域
110 画素ユニット
200 周辺領域
210 ボンディング領域
300 クラック検出線
400 第1のリセット信号線