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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】混合チャンバー及びハンドピース
(51)【国際特許分類】
   A61C 3/025 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
A61C3/025
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019552341
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2017081478
(87)【国際公開番号】W WO2018108622
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-08-07
(31)【優先権主張番号】102016124212.8
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511011229
【氏名又は名称】フェルトン・ホールディング・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Ferton Holding S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ドネ,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム,リゴレ
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02717476(US,A)
【文献】英国特許出願公告第01333155(GB,A)
【文献】特表2004-536661(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第01333155(GB,A)
【文献】特表2016-534776(JP,A)
【文献】特開2002-355260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/00-5/00;5/40-5/68;5/90-7/36;19/00-19/10
A61C 17/02
B24C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置、特に歯科用粉体噴射装置、のハンドピース用の混合チャンバーであって、
前記混合チャンバーは、第1流体流、特に液体流、のための第1供給ライン(10)を有し、
前記混合チャンバーは、第2流体流、特に粉体/空気の混合物、のための第2供給ライン(20)を有し、
前記2つの供給ライン(10;20)は、前記第2供給ラインの中心軸(M)に沿って少なくとも部分的に延伸され、
前記第2供給ライン(20)は、前記混合チャンバーの内側の、出口(22)において終端し、前記第2供給ライン(20)は、出口で終端する交換不可能なパイプ部分であり、
前記混合チャンバーは、前記混合チャンバーの内壁が前記中心軸の方向に向かって先細になる混合領域(50)を有し、その中で前記第1流体流は、前記出口(22)の後ろ側で前記第2流体流の方向に向けられ、
前記混合チャンバーは、加速領域(30)を有し、その中で前記第1供給ライン(10)は前記中心軸(M)に平行な所定の長さにわたって延伸され、
前記混合チャンバーは、前記出口(22)と前記混合領域(50)との間に配置された少なくとも1つの前部案内領域(40)と、前記混合領域(50)の後ろ側に配置されて壁が円筒形である少なくとも1つの後部案内領域(60)を有し、且つ前記第1供給ライン(10)は、加圧された第1流体流を前記混合領域(50)の方向へ向けるように適合された圧力ラインであり、
前記混合チャンバーは、ノズル開口部(14)を有し、ノズル開口部(14)の内径が0.9~1.7mmである、
上記混合チャンバー。
【請求項2】
前記加速領域(30)内の前記第1供給ライン(10)は、実質的に中空円筒形状を有する、請求項1に記載の混合チャンバー。
【請求項3】
前記第2供給ライン(20)は、パイプ部分(24)によって形成され、前記混合チャンバーのハウジング(1)は、前記パイプ部分(24)に、又はその上に、配置され、好ましくは差し込まれ、ている、請求項1又は2に記載の混合チャンバー。
【請求項4】
前記混合領域(50)は、前記中心軸(M)の方へ延びる、前記混合チャンバーの内壁(12)によって、特に円錐状に、形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合チャンバー。
【請求項5】
前記混合領域(50)の前記内壁(12)は、前記混合チャンバーの断面に対して、約0°~80°の範囲内の、角度(α)を有する、請求項4に記載の混合チャンバー。
【請求項6】
前記前部案内領域(40)は、約0.8mmまでの長さ(L40)を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の混合チャンバー。
【請求項7】
前記前部案内領域(40)は、約1.2~2.7mmの直径(D40)を有する、請求項6に記載の混合チャンバー。
【請求項8】
前記後部案内領域(60)は、約0.3~1.2mmの長さ(L60)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の混合チャンバー。
【請求項9】
前記ノズル開口部(14)のノズル直径(D14)は、前記加速領域(30)の直径(D30)の約30~70%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の混合チャンバー。
【請求項10】
前記前部案内領域(40)、前記混合領域(50)、及び/又は前記後部案内領域(60)は、少なくとも1つの、特に半径方向に配置された、入口(16)を有する、請求項7~9のいずれか1項に記載の混合チャンバー。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の混合チャンバーを有する歯科用粉体噴射装置用のハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、特に歯科用粉体噴射装置のハンドピース用の混合チャンバー、及び歯科用粉体噴射装置用のハンドピースに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の歯の表面を洗浄するための粉体噴射又は研磨用噴射装置に関しては、治療中の粉塵発生の問題がある。歯の洗浄に使用される粉体は、それに対応する洗浄効果を達成するために、歯の表面に衝突する非常に細かい粒子からなるが、同時に治療中に向きを変更して治療ゾーンに堆積する。この問題を解決するために、研磨用粉体流(特に粉体/空気流)が、水流と混合され、水流を旋回させ、又は水流で包み込まれることが従来技術から知られている。粉体/空気の混合物が歯に当たる前にそれを水で包み込み、しかしその後、粉体が口から洗い流されうるように水と混合することは有利である。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2004/0202980号明細書は、歯科用洗浄装置用のハンドピースを開示しており、このハンドピース内には洗浄液用のチャンバーが存在し、これは空気噴流と共に歯の表面に施与することができる。しかし、そのような「混合物」の洗浄効果は、洗浄用噴流の運動エネルギーが十分に高くないために比較的低い。粉体は溶液(懸濁液)中にのみ存在する。
【0004】
米国特許第5,094,615号明細書は、ハンドピース内で水と研磨媒体とが混合される混合チャンバーを有するハンドピースを開示している。ここでもまた、研磨媒体(粉体結晶)は水流との早期の混合によってその運動エネルギーの多くを失うために、洗浄効果はかなり低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、医療用装置(特に歯科用粉体噴射装置)のハンドピース用の混合チャンバー、及び歯科用粉体吹付け装置用のハンドピースを提供することであり、それらは、上記の欠陥を取り除き、かつ効果的かつできるだけ埃の少ない、細くて薄い洗浄用噴流を用意する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の混合チャンバー及び請求項12に記載のハンドピースによって解決される。さらなる利点及び特徴は、従属請求項、並びに本記載及び添付の図面からもたらされる。
【0007】
本発明によれば、医療装置、特に歯科用粉体又は研磨剤噴射装置、のハンドピース用の混合チャンバーは、第1流体流、特に液体流、のための第1供給ラインと、第2流体流、特に粉体/空気の混合物、のための第2供給ラインとを有し、これら供給ラインは、少なくとも部分的に中心軸に沿って延伸され、上記第2供給ラインは混合チャンバーの内側、出口において終端し、上記混合チャンバーは混合領域を有し、上記混合領域において、上記第1流体の流れは、(流れの方向に対して)出口のすぐ後又は出口の後ろ側で上記第2流体の流れの方向に向けられ、上記混合チャンバーは加速領域を有し、上記加速領域において、上記第1供給ラインは、所定の長さ、好ましくは少なくとも3mm、にわたって上記第2供給ラインの上記中心軸に実質的に平行に延びている。上記混合チャンバーにとって、適切に成形された内壁によって上記第1供給ラインを形成することは望ましい。上記第1供給ラインは、上記混合領域又は任意の既存の案内領域を形成し、一方、上記第2供給ラインは、上記混合チャンバーの内側、上記出口において終端する。この出口は「内側ノズル」とも呼ばれる。上記第1供給ライン又は混合チャンバーの上記端部は「外側ノズル」と呼ばれうる。
【0008】
上記混合チャンバー又は上記混合チャンバーのハウジングは、様々な実施形態に従って、金属、セラミック、及び/又はプラスチックで作ることができ、例えばここで、上記内壁の形状又は輪郭は、鋳造されることができ、且つ必要ならば、例えば、穴あけ、又はフライス削り、又は三次元印刷によって、再加工又は直接に製造されうる。好ましい実施形態によれば、上記中心軸は、特に上記混合チャンバーの回転軸である。上記混合チャンバーは、上記第2供給ラインを含むか又は形成することができるが、上記第2供給ラインはまた、上記混合チャンバー又はそのハウジングの中に又は上に又は逆に、対応して配置される別個の構成要素でありうる。1実施形態によれば、上記混合チャンバー/ハウジングは、例えば交換可能であり、異なる寸法の混合チャンバーを、使用される粉体の種類に適合させること、例えば、ねじ込まれるか又は差し込まれるハンドピース上に配置されることを可能にする。
【0009】
好ましい実施形態によれば、水が上記液体流/第1流体流として使用される。上記混合チャンバーの有利な実施形態のよって、非常に小さい粒径、例えば25μmより小さい、約12μmまでの、又はさらに小さい粒径を有する粉体もまた(歯洗浄用)粉体として使用されうる。上記加速領域を設けることは、上記液体流の運動エネルギーを増大させるか又は維持するので、特に有利であることが証明されている。エネルギーの豊富な第1流体流は、上記混合領域を介して第2流体流の方向に又はその上に導かれる。ここで、上記加速領域に起因して、第1流体流自体が高いエネルギーレベルを有するので、上記第1流体流は、第2流体流から如何なるエネルギーも抽出しない。言い換えれば、第1流体流は、第2流体流を「減速」させず、その結果は、膨張しないか又は上記混合チャンバーを出た後にわずかに膨張するだけの理想的な洗浄用噴流となる。従来技術から、例えば、2つの流れを混ぜる即ち混合するためにベンチュリ効果を用いることが知られている。これは、エネルギーが、2つの流体流のうちの少なくとも一方から抜き出されるという欠点を有する。その結果は、結果として生じる洗浄用噴流(それは第1及び第2流体流を含む)が、より少ないエネルギーを有し、特に組成が変動することである。このような洗浄用噴流は低速であるので、上記混合チャンバーを出た後に急速に膨張し、強い粉塵の発生又は歯のより正確さの劣る処置をもたらす。好ましい実施形態において、上記加速領域が、特に混合チャンバーの形状と関連して少なくとも3mm、4mm、5mm以上の最小長さを有することは、第1流体流が第2流体流と上記混合チャンバー内において出会うとき、第1流体流は減速されるのではなく、それを理想的に形成又は混合するか、又はその周囲にシェルを形成することを引き起こす。その結果、非常に細い又は細かい洗浄用噴流が得られ、それは、ほこりの発生を大幅に減らし、非常に精密な作業を可能にする。第1流体流は、第2流体流を優先的に包んでいる。
【0010】
2つの流体流の速度は、異なる実施形態においては互いに一致させられ、そのことは、第1流体流の速度が第2流体流の速度よりも早い場合に、用いられる粉体の種類に依存するが、有利でありうる。
【0011】
第1供給ラインは、加圧された第1流体流を上記混合領域の方向に向けるように適合されているところの圧力ラインであることが望ましい。一般的な圧力範囲は、例えば、約0~2バールの範囲である。結果として、上記第1流体流の速度もまた、圧力レベルによって制御及び調整されうる。上記第2流体流もまた加圧下にあり、これは特に、例えば約1.5~5.5バールの範囲の空気圧を指す。
【0012】
好ましい実施形態によれば、上記加速領域内の上記第1供給ラインは本質的に、中空円筒の形状を有する。言い換えれば、上記第1供給ラインは、第2供給ラインを好都合に取り囲む/包む。それに対応して、上記加速領域の上記第1供給ラインは、内径と外径を有し、それによって上記第1供給ラインの上記外径は、上記混合チャンバーの内壁によって形成される。様々な実施形態において、上記加速領域における上記第1供給ラインの上記外径は、例えば、約1.2~2.7mmの範囲内、好都合には約1.4~2.5mmの範囲内、好ましくは約1.4~2mmの範囲内である。上記内径は、約0.8~1.5mmの範囲内、好ましくは約0.9~1.4mmの範囲内、特に好ましくは約1~1.3mmの範囲内である。
【0013】
非円形供給部又は混合チャンバー断面の場合に、出口での第2供給部の内壁、即ち内側ノズルと、前部案内領域の(特に端部出口)の内壁、即ち外側ノズルとの間の距離(前方からノズル内を見たは)、0.1mm~0.4mm、好ましくは約0.2mmである。本発明の理解によれば、これらの値は、非円形ノズル及び平均して一定でない距離に対して、又はパイプ若しくはノズル部分の重要部分に対して有効である。円形ラインの断面(即ちノズル)の内径の好ましい値は、次の通りである。第2ライン(即ち内側のノズル)においては、最小0.5mm、最大0.9mm、好ましくは0.65mmであり、前部案内領域(即ち外側ノズル)においては:最小0.85mm、最大1.5mm、好ましくは1.05mmであり、特に好ましくは、内側ノズルが0.65mmを有する場合である。非円形ライン断面の場合、内側ノズルの好ましい領域は、約0.19~0.65mm、好ましくは約0.33mmであり、外側ノズルについては、約0.56~1.77mm、好ましくは約0.86mmである。
【0014】
好ましい実施形態において、上記第2供給ラインはパイプ部分によって形成されている。上記第2供給ラインが別個の構成要素でありうることは既に述べられている。上述されたように、上記第2供給ラインは、混合チャンバー又はそのハウジングが混合チャンバー上に又は混合チャンバーに(例えばプラグインで)配置されうるように構成されている。したがって、上記混合チャンバーは、パイプ部分へ又はハンドピースのハウジングへ取り付けられうる又は差し込まれうる取り付け具の一種のとして理解することもできる。上記第2供給ラインの内径は、好ましくは丸い、特に円形、又は出口の直径、即ち内側ノズルの直径は、様々な実施形態によって、約0.5mm~0.9mm、好ましくは0.65mmの範囲である。
【0015】
1実施形態によれば、上記加速領域における上記第1供給ラインからの上述の中空円筒形状は、混合チャンバーが対応する第2供給ライン上に若しくは対応する第2供給ラインへ、又は上記ハンドピースのハウジング上若しくは上記ハンドピースのハウジングへ差し込まれ、ねじ止めなどされるという事実によって形成される。ここで、上記第2供給ラインの外壁は、上記第1供給ラインの内径を形成する。
【0016】
この点で、上記加速領域内の上記第1供給ラインが、上記第2供給ラインを完全に取り囲む必要のないことに言及されるべきである。上記第1供給ラインはまた、上記第2供給ラインの周りに配置された多数の軸方向チャネルによって形成されうる。このチャネルは例えば、丸い又は角形の断面を有しうる。上記チャネルはまた、上記第2供給ラインの周りに区分的に延伸されうる。
【0017】
上記混合領域は、上記混合チャンバーの内壁が中心軸の方向に向かって、特に円錐状に、先細になるという事実に好適であるように形成される。
【0018】
好ましい実施形態によれば、上記混合領域の内壁は、上記混合チャンバーの断面に対して、約0~80°の範囲内、好ましくは約0~30°の範囲内の角度を有する。この断面は、次に、中心軸がそれに対して垂直である上記混合チャンバーの平面を画定する。上記中心軸に沿って測定した上記混合領域の長さは、様々な実施形態によれば、例えば、約0.1~0.5mmの範囲内である。用語「先細にされ」は、上記内壁が先細にされてはいるが真直ぐであることを意味する。上記内壁はまた、上記混合領域において凸状又は凹状の形状を有しうる。必要ならば、上記2つの流体流の混合に影響を与えるために、上記混合領域の円周方向に波状又は鋸歯状の形状を与えることも可能である。この技術の標的とされた使用によって、上記中心軸に関して対称でない、又は上記中心軸と本質的に平行に上記混合チャンバーから出ることのない(例えば上記中心軸に対して傾斜し又は斜めに)洗浄用噴流を発生させることが可能である。これは、特定の治療状態、例えば到達しにくい場所に到達するために有利でありうる。
【0019】
1実施形態によれば、いくつかの、例えば2つ又は3つの混合領域が設けられ、それらは前後に配置され、混合領域から混合領域への角度は好ましくは減少する。代わりに、「最後の」混合領域はまた、より均一な混合を可能にするようにより大きな角度を有することができる。
【0020】
1実施形態によれば、上記ハンドピースに関する、上記第1及び第2供給ライン、又は上記混合チャンバーは、例えば、非対称又は傾斜された洗浄用噴流が積極的に偏向させられうるよう、互いに対して回転/位置決めされることが可能である。
【0021】
1実施形態によれば、上記混合チャンバーは、端部出口と混合領域との間に配置された少なくとも1つの前部案内領域を有し、上記前部案内領域は、異なる実施形態により0~0.5mmの長さを有する。
【0022】
上記前部案内領域はまた、上記混合チャンバーの内壁によって形成され、上記加速領域内の上記第1供給ラインの外径に好ましくは対応するところの直径を有する。代替的又は追加的に、いくつかの(例えば2つか3つの)前部案内領域を設けることが可能であり得、それぞれ直径の減少又は拡大を(例えば約10~20%の範囲で)引き起こす。必要ならば、このようにして上記第1流体流からのエネルギーは、上記混合領域の上流で特異的に劣化されうるか、又は乱流が生成されて上記洗浄用噴流の形成に影響を及ぼしうる。この点において、上記前部案内領域は、幾何学的及びその機能の観点からも混合領域に対応しうる。
【0023】
上記前部案内領域の長さは、1実施形態に従って調整されうる。これは、さまざまな粉体及びそれらの飛翔特性に対する目的とされた反応を可能にする。調節可能性を得るために、上記混合チャンバー/第1供給ラインは、例えば対応するネジによって、上記第2供給ラインに対して中心軸に沿って移動又は回転させられることができ、長さはそれに対応して調節されうる。
【0024】
好ましい実施形態によれば、上記混合チャンバーは、上記混合領域の後ろ側に配置された少なくとも1つの後部案内領域を有し、上記後部案内領域は、例えば、0.3~1.2mm、好ましくは0.5~1mmの長さを有する。上記後部案内領域(そこでは、上記洗浄用噴流がすでに混合されているか又は形成/成形されている)において、上記後部案内領域の長さにわたって「沈静化される」ことができ、その結果、出た後でさえも広がったり開いたりしない細い噴流が生成される。上記後部案内領域の壁は、好ましくは本質的に円筒形であるが、それが上記混合チャンバーを出る前に再び洗浄用噴流を形成するように円錐形、先細にされ又は広げられていてもよい。1実施形態によれば、混合チャンバーは、2以上の後部案内領域を有し、前後に配置された後部案内領域の直径は、案内領域から別の案内領域へ、例えば、約10~20%減少又は増加させうる。特に案内領域(最終的に上記ノズル開口部を形成するか又はそれを取り囲む)において、必要に応じて洗浄用噴流の形状が依然として特に影響されうる対応する内部形状を提供することも可能である。例えば、上記第1及び第2流体流の包み込み/混合をさらに強化するために、軸方向に延びる溝を設けることが有利であることが実証されている。上記後部案内領域は、それに応じて洗浄用噴流を偏向させるために、上記中心軸に対して角度をなすことができる。そのような偏向された洗浄用噴流の利点は、特に回転混合チャンバーに関して既に述べられている。
【0025】
上記後部案内領域は、上記出口での上記第2ラインの明確な通路、すなわち内側ノズルの明確な通路と等しいかそれよりも大きい明確な通路を有することは有利である。言い換えれば、上記後部案内領域の中心軸に垂直な断面の表面は、上記内側ノズルのそれよりも大きい。対応する複数の表面の比は、1以上であるが、1:10以下、好ましくは約1:2.5であるべきである。例えば、上記内側ノズルは好ましくは0.65mmの直径を有し、上記外側ノズルは1.05mmの直径を有する。
【0026】
上記混合チャンバーは好都合にはノズル開口部を有し、ノズル直径は上記加速領域の(外)直径の約30~70%である。これは、出てくる洗浄用噴流が出口でもそのコンパクトな形状を維持することを保証する。好ましい実施形態において、上記ノズル開口部の直径は、約0.9~1.7mm、特に約1.1~1.5mm、特に約1.1~1.3mmである。同様のことが、後部案内部分の(最小)直径についても適用される。
【0027】
1実施形態によれば、上記前部案内領域、上記混合領域、及び/又は上記後部案内領域は、少なくとも1つの、特に半径方向に配置された入口又は開口部/孔を有する。この入口は、流体、例えば空気又は水、をさらに供給又は吸引することを意図されている。例えば、周囲の空気でもよいが、代わりに、圧縮された空気/水又は(追加の)粉体/空気の混合物を供給するために対応する圧力ホースに接続することも可能である。
【0028】
好ましい実施形態において、上記混合チャンバーは、0.5mmまでの長さを有する前部案内領域を有し、それは混合領域を越えて約0.5~1mmの長さを有する後部案内領域に融合する。上記混合チャンバーの断面に対する上記混合領域の内壁の傾斜は、約0~30°の範囲内である。上記混合チャンバーのその内壁によって形成された内径は、上記加速領域及び上記前部案内範囲において約1.4~2mmの範囲を有する。上記後部案内領域の直径は、上記ノズル開口部と同様に、約1.4~2mmの範囲内にある。これは、実際の洗浄機能を有する粉体/空気の混合物が、水噴流と混合されたときにエネルギーを全く失わず、いわゆる「乱されない」ことを保証する。さらに、記載された幾何学的形状は、粉体/空気の混合物を水流(第1流体流)と正確に混合し、特に包み込むことを可能にし、これは粉塵の発生を首尾よく防止する。
【0029】
本願のノズル形状は非常にコンパクトである。出口と端部出口との間の距離、即ち内側ノズルと外側ノズルとの間の距離は非常に小さく、約1~8mm、好ましくは約2~4mmである。上記ノズル直径の比、即ち上記内側ノズルの直径と上記外側ノズルの直径の比もまた小さく、有利には約2:1~1:1、好ましくは約1.5:1である。結果として、上記外側ノズル又は上記混合チャンバーの壁及び上記後部案内領域は、粉体粒子によって衝突されないか、又はそれらによってわずかに衝突されるだけであり、従来技術のように早く摩耗することはない。
【0030】
本発明はまた、本発明による混合チャンバーを有する歯科用粉体噴射装置用のハンドピースに関する。上記混合チャンバーに関連して既に述べられた利点及び特徴は、同様に且つ対応して当てはまり、その逆も当てはまる。
【0031】
さらなる利点及び特徴は、添付された図面の参照を伴う、本発明による混合チャンバーの好ましい実施形態の以下の説明からもたらされる。個々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による混合チャンバーの好ましい形態の断面図である。
図2a】混合チャンバーの別のタイプの断面図である。
図2b】混合チャンバーのまた別のタイプの断面図である。
図3】2つの後部案内領域を有する混合チャンバーの1形態の断面図である。
図4】径方向の入口を有する混合チャンバーの1形態の正面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、内壁12を含むハウジング1を有する混合チャンバーの好ましい1実施形態を示す。混合チャンバーは、中心軸Mに沿って少なくとも3mmの長さL30を持つ加速領域30を有する。混合チャンバーは、少なくとも3mmの長さL30を有する。この加速領域30において、本質的に中空の円筒形状第1供給ライン10は、第2供給ライン20の周りに延伸されている。第2供給ライン20は、出口22で終端するパイプ部分又は管状部分24によって形成されている。これは内側ノズルである。中心軸Mに沿って、長さL50を有する混合領域50がさらに形成されており、これは、混合チャンバーの内壁12が、上記中心軸に垂直である第1供給ライン10の断面に対して角度αで延伸されるという事実によって形成される。この角度は、好ましい実施形態によれば、おおよそ0°~30°の範囲内である。
【0034】
混合領域50と加速部分30との間には、好ましい実施形態において、約0~0.5mmである長さL40を有する前部案内領域40がある。混合領域50の後ろ側には、長さL60の後部案内領域60が形成され、それは端部出口又は外側ノズル開口部14を形成し、そこを通って洗浄用噴流が最終的に混合チャンバーを出る。外側ノズル開口部14は、例えば約1.1~1.5mmの範囲、好ましくは約1.1~1.3mmの範囲のノズル直径D14を有する。加速領域30における第1供給ケーブル10の直径D30又は前部案内領域40の直径D40は、好ましい実施形態において約1.4~2.5mmの範囲内、特に好ましい実施形態においては約1.4~2mmの範囲内にある。
【0035】
図2aは、混合チャンバーの別の形態を示す。特有の特徴として、混合領域50がここで明らかにされ、それは第1流体流を中心軸Mの方向に向けるように構成され、内壁12は真直ぐではなく、ほぼ弓形/凸状である。第2供給ライン20は、2つの前部案内領域40及び40’が形成されるように配置される。2つの案内領域40及び40’は異なる直径を有し、したがってそれを越えることで第1流体流の流動エネルギーが具体的に除去されうるところの肩部を形成する。
【0036】
図2bは、凸形状の混合領域50を有する混合チャンバーのさらに別の実施形態を示す。特有の特徴として、肩が混合領域50と後部案内領域60との間に形成される。ここでは、第2供給ラインの配置は示されていない。しかし、第2供給ラインがどのように配置されているかに応じて、前部案内領域又はその寸法が影響を受け得ることが明らかになった。
【0037】
図3は、第1後部案内領域60と第2後部案内領域60’とを有する混合チャンバーの1実施形態を示す。第2後部案内領域60’の特有の特徴は、本質的に波形の内側輪郭である。
【0038】
図4は、混合チャンバーの正面図及びその線分A-Aにおける断面図を示し、この混合チャンバーは、混合領域50内に径方向に延伸される複数の入口/開口部16を有している。
【0039】
図2a、図2b、図3、及び図4の明示的に言及されていない特徴は、図1から知られている特徴に対応し、したがって再度は言及されない。
【符号の説明】
【0040】
1 ハウジング
10 第1供給ライン
12 内壁
14 外側ノズル開口部
16 開口部/入口
20 第2供給ライン
22 出口/内側ノズル
24 パイプ/管状部分
30 加速領域
40 前部案内領域
50 混合領域
60、60’ 後部案内領域
L30 加速領域の長さ
L40 前部案内領域の長さ
L50 混合領域の長さ
L60 後部案内領域の長さ
D30 加速領域の直径
D14 外側ノズル開口部直径
D40 前部案内領域の直径
D60 後部案内領域の直径
M 中心軸
α 角度
図1
図2a
図2b
図3
図4