(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】インターα阻害剤タンパク質を定量化する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20230612BHJP
A61K 38/57 20060101ALI20230612BHJP
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A61P 1/04 20060101ALI20230612BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230612BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230612BHJP
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A61P 43/00 20060101ALI20230612BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G01N33/543 501A
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A61P29/00 101
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A61P35/04
A61P37/02
A61P43/00 111
G01N33/53 D
G01N33/53 U
G01N33/543 541B
G01N33/543 541Z
G01N33/543 545A
G01N33/543 575
(21)【出願番号】P 2019558662
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 US2018029436
(87)【国際公開番号】W WO2018200722
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-23
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519379190
【氏名又は名称】プロテラ バイオロジックス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヨウ-ピン
(72)【発明者】
【氏名】スペロ,デニス
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-101047(JP,A)
【文献】特表2010-515668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0110774(US,A1)
【文献】特開2004-208604(JP,A)
【文献】Hanno Teiwes,A Paper-Based Lateral Flow Device for the Detection of IαIP via ELISA,Open Access Master's Theses,2014年,Paper 363,https://digitalcommons.uri.edu/theses/363 ; DOI: 10.23860/thesis-teiwes-hanno-2014
【文献】Suzhen Zhang,Constitutive Expression of Inter-α-inhibitor (IαI) Family Proteins and Tumor Necrosis Factor-stimulated Gene-6 (TSG-6) by Human Amniotic Membrane Epithelial and Stromal Cells Supporting Formation of the Heavy Chain-Hyaluronan (HC-HA) Complex,THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,2012年04月06日,Vol.287 No.15,Page.12433-12444
【文献】Jean-Philippe SALIER,The inter-α-inhibitor family: from structure to regulation,Biochem J,1996年,Vol.35,Page.1-9
【文献】YONG WOON BAEK,Inter-α Inhibitor Proteins in Infants and Decreased Levels in Neonatal Sepsis,The Journal of Pediatrics,2003年,Vol.143, No.1,pp.11-15
【文献】AP Evan,Renal inter-α-trypsin inhibitor heavy chain 3 increases in calcium oxalate stone-forming patients,Kidney International,2007年09月26日,Vol.72,Page.1503-1511
【文献】Jeannette Bourguignon,Immunohistochemical Distribution of Inter-α-trypsin Inhibitor Chains in Normal and Malignant Human Lung Tissue,J Histochem Cytochem,1999年,Vol.47,Page.1625-1632
【文献】Yafei Huang,Effects of Age and Amyloid Deposition on Aβ Dynamics in the Human Central Nervous System,Arch Neurol,2011年09月12日,Vol.69 No.1,Page.51-58
【文献】C. Mizon,Development of an enzyme-linked immunosorbent assay for human plasma inter-α-trypsin inhibitor(ITI) using specific antibodies each of the H1 and H2 heavy chains,Journal of immunological Methods,1996年,Vol.190,Page.61-70
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
G01N 33/53
A61K 38/57
A61K 45/00
A61P 1/00
A61P 1/04
A61P 1/16
A61P 1/18
A61P 3/10
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A61P 9/14
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A61P 11/02
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A61P 29/00
A61P 15/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来のサンプル中の
インタクトインターα阻害剤タンパク質(IAIP)を定量化する方法であって:
a)前記サンプルを結合剤と接触させて
IAIP-結合剤複合体
を生成することであって、
前記結合剤は
、支持体に結合され
、且つ、ビクニンに特異的に結合する抗体を含む、
前記生成することと;
b)前記
IAIP-結合剤複合体
を検出剤と接触させること
であって、
前記検出剤は、IAIPの重鎖の少なくとも1つに結合するIAIPリガンドを含み、
前記IAIPリガンドは、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、
前記接触させることと;
c)前記
IAIP-結合剤複合体
に結合した前記検出剤の量を検出することと、を含み、
前記
インタクトIAIPはビクニンと、H1、H2、及びH3からなる群から選択される少なくとも1つの
IAIP
の重鎖とを含み、
それによって前記サンプル中の前記インタクトIAIPが定量化される、
前記方法。
【請求項2】
a)、b)又はc)の少なくとも1つが、pH
7.0~
3.5で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記pHが
5.0~
3.5である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記pHが
4.0である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
a)の前に、二価カチオンをサンプルに添加することを更に含み、前記二価カチオンは、Ca
2+、Mg
2+、Mn
2+、又はFe
2+である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象がヒト対象である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記IAIPリガンドが、ヘパリン、ヒアルロン酸、又はヒストンである、請求項1
に記載の方法
。
【請求項8】
前記IAIPリガンドが、ヘパリンである、請求項
7に記載の方法
。
【請求項9】
前記検出剤が、
標識を更に含み、前記標識が、ビオチン、金ナノ粒子、磁粒子、ラテックス粒子、酵素、酵素基質、蛍光染料、発光化合物、又は放射標識である
、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項10】
前記標識が酵素であり、前記酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項
9に記載の方法
。
【請求項11】
前記標識が、金ナノ粒子を含む、請求項
9に記載の方法
。
【請求項12】
前記検出剤が、ビオチンと、ストレプトアビジン又はアビジンとを含む、請求項
9~
11のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項13】
前記サンプルが、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、羊水、間質液、卵胞液、腹水、気管支肺胞洗浄液、母乳、痰、リンパ液、胆汁、又は組織ホモジネートである、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項14】
前記サンプルが、血液、脳脊髄液、気管支肺胞洗浄液、滑液、又は痰である、請求項
13に記載の方法
。
【請求項15】
前記サンプルが血液である、請求項
14に記載の方法
。
【請求項16】
前記
サンプルが血漿又は血清である、請求項
13に記載の方法
。
【請求項17】
前記標識が金ナノ粒子であり、前記IAIPリガンドがヘパリンである、請求項
9に記載の方法
。
【請求項18】
前記支持体が、プレート、粒子、ナノ粒子、樹脂、膜、バイオチップ、容器、試験片(test strip)、又はビーズである、請求項1~
17のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項19】
前記支持体が試験片である、請求項
18に記載の方法
。
【請求項20】
前記支持体が試験片であり、前記検出剤が、前記サンプルの添加の前、後、又は同時に、試験片に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
サンプル中の
インタクトIAIPを定量化するためのキットであって、
支持体、
ビクニンに特異的に結合する抗体を含む
IAIP結合剤であって、支持体に結合している
IAIP結合剤、
標識と、H1、H2、及びH3からなる群から選択される少なくとも1つの
IAIP
の重鎖に結合するIAIPリガンドとを含む
IAIP検出剤
であって、
前記IAIPリガンドは、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、前記IAIP検出剤、
並びに
前記サンプル中の
IAIPを定量化するための説明書、を含み、
前記
インタクトIAIPはビクニンと、H1、H2、及びH3からなる群から選択される少なくとも1つのIAIPの重鎖とを含む、
前記キット。
【請求項22】
以下の1つ以上:洗浄緩衝液、ブロッキング剤、前記標識検出のための基質、を更に含む、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記IAIPリガンドが、ヘパリン、ヒアルロン酸、又はヒストンである、請求項21に記載のキット。
【請求項24】
前記IAIPリガンドが、ヘパリンである、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記標識が、ビオチン、金ナノ粒子、磁粒子、ラテックス粒子、酵素、酵素基質、蛍光染料、発光化合物、又は放射標識である、請求項21~24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
前記標識が酵素であり、前記酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記標識が、金ナノ粒子を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
前記検出剤が、ビオチンと、ストレプトアビジン又はアビジンとを含む、請求項25~27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
前記サンプルが、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、羊水、間質液、卵胞液、腹水、気管支肺胞洗浄液、母乳、痰、リンパ液、胆汁、又は組織ホモジネートである、請求項21~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
前記サンプルが、血液、脳脊髄液、気管支肺胞洗浄液、滑液、又は痰である、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記サンプルが血液である、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記サンプルが血漿又は血清である、請求項29に記載のキット。
【請求項33】
前記標識が金ナノ粒子であり、前記IAIPリガンドがヘパリンである、請求項25に記載のキット。
【請求項34】
前記支持体が、プレート、粒子、ナノ粒子、樹脂、膜、バイオチップ、容器、試験片(test strip)、又はビーズである、請求項21~33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項35】
前記支持体が試験片である、請求項34に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
IAIP(インターα阻害剤タンパク質)は、全ての哺乳動物の血中を高濃度で循環する、天然に存在する免疫調節性血漿タンパク質のファミリーである。IAIPは、主に肝臓で産生され、血液中に放出され、サブユニット(ビクニン)は尿中に排泄される。IAIPは、炎症の調節に重要な役割を果たす。これらは、感染、外傷及び傷害に起因する重篤な炎症に対して広範な保護効果を有し、重要なことに、IAIPの保護効果は、原因微生物因子又はトリガーから独立している。このファミリーのメンバーは、グリコサミノグリカンによって共有結合した重鎖及び軽鎖ポリペプチドのサブユニットから構成されている。IAIPはインビボでは、2つの重鎖(H1及びH2)と1つの軽鎖(L)から構成される250kDaの分子であるインターα阻害剤(IαI)と、1つの重鎖(H3)と1つの軽鎖(L)から構成される125kDaの分子であるプレα阻害剤(PαI)として見出され得る。
【背景技術】
【0002】
身体が、傷害又は感染の間に誘導されるもの等の炎症シグナルを発生すると、IAIPは組織に輸送され、炎症部位に直接到達する。IAIPの重鎖は、炎症カスケードの一部であるタンパク質に結合することによって抗炎症応答を増強する。又、重鎖が切断されると、それに結合したGAG(2つのクニッツドメインのために「ビクニン」と名付けられた)を有する軽鎖が放出され、軽鎖のセリンプロテアーゼ阻害活性が活性化される。ビクニンは、トリプシン、エラスターゼ、プラスミン、カテプシンG及びフリン等のセリンプロテアーゼの活性を阻害する。IAIPは複数の機序を介して抗炎症作用を発揮する。これらは、補体及び細胞外ヒストン(損傷信号)等の炎症を増幅するタンパク質と結合し、それにより炎症過程を減弱させることが示されている。重鎖を介して、IAIPは細胞外マトリクス(ECM)タンパク質に結合でき、インビトロ及びインビボモデルの両方で傷害後の肺上皮修復を促進することが示されている。IAIPは又、TNF-α及びIL-6等の炎症性サイトカインを下方調節することが複数のインビボモデルにおいて示されている。ビクニン欠損(そのため、IAIPが不足している)マウスは、細胞接着の炎症性マーカーであるVCAM-1及びICAM-1を減少させたことが示されている。
【0003】
健常人では、血中の循環IAIPの量は比較的高い(400~800mg/Lの範囲)。しかしながら、IAIPレベルは新生児及び成人患者における全身性炎症/敗血症の間に急速に低下し(Baek YW、et al.J Pediatr.2003;143:11~15;Lim YP et al.J Infect Dis.2003;188:919-926及びOpal SM、et al.Crit Care Med.2007;35:387-392)、IAIPレベルの低下は疾患進行と強く相関することが示されている。疾患がより進行し、重篤な段階に進むにつれて、IAIPレベルは急激に低下し、IAIPが、臨床医が疾患の進行を監視し、重症肺炎、敗血症及び関連する臓器損傷、NEC、創傷治癒、やけど、癌、脳卒中、アルツハイマー病、てんかん等のような重篤な炎症性疾病等の疾病のための情報に基づいた治療決定を行う際に、予後及びセラノスティックスのマーカーとして臨床的有用性を有することを示唆する。
【0004】
標準化競合IAIPイムノアッセイを用いて、細菌及びウイルス感染後の全身性炎症を有する患者からの血液サンプル中のIAIPが測定されている。競合IAIPイムノアッセイは、軽鎖のみを検出するIAIPの測定値を提供し、従って、インタクトIAIP及び切断ビクニンの両方がこのアッセイにおいて検出される。競合アッセイは、その抗炎症性及び組織修復特性にとって非常に重要であるIAIPの他の重要な部分;即ち重鎖とグリコサミノグリカンを検出しない。このように、競合的IAIPイムノアッセイは、患者サンプルにおける活性IAIPの評価において制限を有する。IAIPが生体の保護的な自然免疫防御の重要な構成要素であり、予後バイオマーカーとしての利用可能性を考えると、IAIPを定量的に測定するための改良された方法が必要である。理想的なアッセイは、完全な分子を捕捉するために軽鎖及び重鎖サブユニットの両方を測定するであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、IAIP(例えば、インタクトIAIP、IAIPの重鎖、又はIAIPのグリコサミノグリカン(GAG))に結合し及びIAIPを検出する薬剤による直接検出を介して、対象由来のサンプル中のIAIPを定量化する方法を提供する。定量化の方法は、対象を評価、診断、処置若しくは監視するために、又は対象における疾患の重症度若しくは治療有効性を評価するために用いることができる。本発明は又、本明細書に記載する方法に従ってIAIPを定量化するために使用することができるキットを特徴とする。
【0006】
第1の態様において、サンプルを結合剤と接触させてIAIP結合剤複合体を生成することであって、結合剤は支持体に結合される、生成することと;b)IAIP結合剤複合体を検出剤と接触させることと;c)IAIP結合剤複合体に結合した検出剤の量を検出して、サンプル中のIAIPを定量化することによる、対象由来のサンプル中のインターα阻害剤タンパク質(IAIP)を定量化する方法を特徴とする。
【0007】
いくつかの実施形態において、IAIPはインタクトIAIPである。
【0008】
いくつかの実施形態において、結合剤は、IAIPに結合するIAIPリガンドである。いくつかの態様において、結合剤は、IAIPに特異的に結合する抗体である。
【0009】
いくつかの実施形態において、検出剤は、IAIPリガンドであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出剤は、IAIPリガンド検出剤(例えば、IAIPリガンド)に結合する抗体を更に含む。いくつかの実施形態において、検出剤は、IAIPに特異的に結合する抗体である。例えば、特定の実施形態では、結合剤は、IAIPに特異的に結合する抗体(例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31)であり、検出剤は、IAIPに結合するIAIPリガンド(例えば、ヘパリン、ヒアルロン酸、エンドドキシン(LPS)、又はヒストン)であるか、又はそれを含む。別の実施形態では、結合剤は、IAIPに結合するIAIPリガンド(例えば、ヘパリン、ヒアルロン酸、LPS、又はヒストン)であり、検出剤は、IAIPに特異的に結合する抗体(例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31)である。
【0010】
いくつかの実施形態において、IAIPは、IAIP-IAIPリガンド複合体中に存在する。
【0011】
いくつかの実施形態において、結合剤は、IAIPに結合するIAIPリガンドである。いくつかの実施形態において、IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPリガンドは、結合剤とは異なる。いくつかの実施形態において、結合剤は、IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPリガンドに結合する抗体である。いくつかの実施形態において、結合剤は、IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPに特異的に結合する抗体である。
【0012】
いくつかの実施形態において、検出剤は、IAIPに結合するIAIPリガンドを含む。いくつかの実施形態において、検出剤は、IAIPリガンド検出剤に結合する抗体を更に含む。いくつかの実施形態において、IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPリガンドは、IAIPリガンド検出剤とは異なる。いくつかの実施形態において、検出剤は、IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPリガンドに結合する抗体である。いくつかの実施形態において、検出剤は、IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPに特異的に結合する抗体である。
【0013】
いくつかの実施形態において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗体はMAb 69.26又はMAb 69.31である。
【0014】
いくつかの実施形態において、IAIPリガンドは、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、補体成分は、C1q、C2、C3、C4、C5、C6、C8、プロパージン、又は因子Dである。
【0015】
いくつかの実施形態において、検出剤は、標識を含む。いくつかの実施形態において、標識は、ビオチン、酵素、酵素基質、放射標識、発光化合物、コロイド金、粒子、又は蛍光染料である。
【0016】
いくつかの実施形態において、支持体は、プレート、粒子、ナノ粒子、樹脂、膜、バイオチップ、容器、試験片、又はビーズである。
【0017】
いくつかの実施形態において、方法は更に、ステップa)とb)の間に洗浄ステップを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、方法は更に、ステップb)とc)の間に洗浄ステップを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法は更に、ステップa)又はステップb)に先立ってブロッキングステップを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、ステップa)及び/又はb)における接触は、pH約7.0~約3.5で行われる。いくつかの実施形態において、pHは約5.0~約3.5である。いくつかの実施形態において、pHは約4.0である。
【0021】
いくつかの実施形態において、サンプルは流体である。いくつかの実施形態において、流体は血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、羊水、間質液、卵胞液、腹水、気管支肺胞洗浄液、母乳、痰、リンパ液、胆汁、又は組織ホモジネートである。
【0022】
いくつかの実施形態において、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態において、対象は、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有すると特定されている。いくつかの実施形態において、対象は、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有すると特定されていない。いくつかの実施形態において、方法は、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又はその危険性を有するとして診断される前、診断された後、又は診断と同時に行われる。いくつかの実施形態において、方法は、対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置と実質的に同時に行われる。いくつかの実施形態において、方法は、対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置に先立って行われる。いくつかの実施形態において、方法は、対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置の後に行われる。
【0023】
いくつかの実施形態において、炎症性疾病又は状態は、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、外傷、傷害、卒中、急性炎症性疾病、SIRS、急性肺傷害、ARDS、肺炎、壊死性腸炎、急性膵炎、腎疾病、急性腎臓傷害、肝臓傷害、急性循環不全、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、手術誘導炎症、腫瘍誘導炎症、多発性硬化症、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血、細菌感染症、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技、組織虚血、関節リウマチ、髄膜炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患からなる群から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態において、感染症は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含むエスケリキア(Escherichia)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス(Pseudomonas)種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasteurella)種、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌を原因とする。
【0025】
いくつかの実施形態において、対象は、新生児、小児、青少年、又は成人である。
【0026】
いくつかの実施形態において、方法は、1年毎に1回以上行われる。いくつかの実施形態において、方法は、1カ月毎に1回以上行われる。いくつかの実施形態において、方法は、1週間毎に1回以上行われる。いくつかの実施形態において、方法は、1日毎に1回以上行われる。いくつかの実施形態において、方法は、1時間毎に1回以上行われる。
【0027】
いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも5回、又は少なくとも10回行われる。
【0028】
いくつかの実施形態において、方法は更に、IAIP又は治療薬を含む処置を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、200μg/mL以下のIAIP濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象由来のサンプルは、参照サンプルと比較して、IAIP-IAIPリガンド複合体の高いレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、方法は、IAIP及び治療薬を対象に投与することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、治療薬は、抗生剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗炎症剤、抗癌剤、抗凝固剤、免疫調節剤、気管支拡張剤、補体阻害剤、昇圧剤、鎮静剤、又は人工呼吸からなる群から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも1日間病気である。いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも1週間病気である。いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも1か月間病気である。いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも1年間病気である。
【0032】
いくつかの実施形態において、方法は:a)対象の健康状態を評価し;b)対象の健康状態を監視し;c)炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又はその危険性を有するとして対象を診断し;d)対象に投与された処置の有効性を評価し;又はe)対象における疾病の重症度を評価するためのものである。
【0033】
いくつかの実施形態において、方法は更に、サンプル中に検出されるIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の量を、正常な対象由来のサンプル中に見出されるIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の量又はカットオフ値と比較することを含む。いくつかの実施形態において、正常な対象由来のサンプル中のIAIPの量よりも、又はカットオフ値に対して、低いサンプル中のIAIPの量は、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す。いくつかの実施形態において、正常な対象由来のサンプル中のIAIP-IAIPリガンド複合体の量よりも、又はカットオフ値に対して、高いサンプル中のIAIP-IAIPリガンド複合体の量は、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す。いくつかの実施形態において、正常な対象由来のサンプル中のIAIPの量、又はカットオフ値は、>250μg/mLである。いくつかの実施形態において、正常な対象由来のサンプル中のIAIPの量は、約260~約540μg/mLである。
【0034】
いくつかの実施形態において、対象が250μg/mL以下のIAIP濃度を有するという決定は、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する高い危険性を有し、又は病的状態及び/若しくは死亡の高い危険性を有すると診断されることを示す。
【0035】
いくつかの実施形態において、対象は、200~300μg/mLのIAIP濃度を有する。別の実施形態では、方法は、少なくとも年に1回、少なくとも年に2回、少なくとも月に1回、少なくとも週に1回、少なくとも1日1回、又は少なくとも1時間に1回行われる。
【0036】
いくつかの実施形態において、対象は、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を以前に有していた。
【0037】
いくつかの実施形態において、方法は、処置に先立って、及び/又は処置の過程中に1回以上行われる。いくつかの実施形態において、方法は、処置の開始後、及び/又は処置の終局後に行われる。いくつかの実施形態において、処置は、対象におけるIAIPの濃度が、対象におけるIAIPの以前の測定値と比較して増大している場合、及び/又は対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の濃度が、対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の以前の測定値と比較して低下している場合、有効であると決定される。いくつかの実施形態において、処置は、IAIPの濃度が、対象におけるIAIPの以前の測定値と比較して、対象において低下し又は一定のままである場合、及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の濃度が、対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の以前の測定値と比較して、対象において増加し又は一定のままである場合、無効であると決定される。いくつかの実施形態において、方法は更に、処置を修正又は変更することを含む。
【0038】
第2の態様において、治療的有効量のIAIP及び/又は抗生剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗炎症剤、抗癌剤、抗凝固剤、免疫調節剤、気管支拡張剤、補体阻害剤、昇圧剤、鎮静剤、若しくは人工呼吸からなる群から選択される治療薬を対象に投与することによる、炎症性疾病又は感染症を有し又は発症する危険性を有する対象(例えば、新生児、小児、青少年、又は成人等のヒト)の処置方法を特徴とし、ここで対象は、第1の態様の方法に従って、処置が必要であると決定されている。
【0039】
いくつかの実施形態において、炎症性疾病又は状態は、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、外傷、傷害、卒中、急性炎症性疾病、SIRS、急性肺傷害、ARDS、肺炎、壊死性腸炎、急性膵炎、腎疾病、急性腎臓傷害、肝臓傷害、急性循環不全、手術誘導炎症、腫瘍誘導炎症、多発性硬化症、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血、細菌感染症、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技、組織虚血、関節リウマチ、髄膜炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患からなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態において、感染症は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含むエスケリキア(Escherichia)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス(Pseudomonas)種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasturella)種、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌を原因とする。
【0041】
第3の態様において、サンプル中のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体を定量化するためのキットを特徴とし、ここでキットは、IAIP結合剤及びIAIP検出剤、並びに場合により、以下の1つ以上を含む:洗浄緩衝液、ブロッキング剤、標識検出のための基質、及びサンプル中のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体のレベルを定量化するための説明書。キットの構成要素の1つ以上は、チューブ若しくはバイアル等の容器内に提供され、及び/又は使用の準備が整った形態にあり得る(例えば、キットの支持体(例えば、プレート又は試験片)への適用。
【0042】
いくつかの実施形態において、結合剤は、支持体に固定化されている。
【0043】
いくつかの実施形態において、検出剤は、標識されている。
【0044】
いくつかの実施形態において、IAIP結合剤は、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンドである。
【0045】
いくつかの実施形態において、キットは更に、IAIPリガンド結合剤を含む。いくつかの実施形態において、IAIPリガンド結合剤は、IAIPリガンドに結合する抗体である。
【0046】
いくつかの実施形態において、IAIP検出剤は、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンドである。
【0047】
いくつかの実施形態において、キットは更に、IAIPリガンド検出剤を含む。いくつかの実施形態において、IAIPリガンド検出剤は、IAIPリガンドに特異的に結合する抗体である。
【0048】
いくつかの実施形態において、IAIP特異的抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体はMAb 69.26又はMAb 69.31である。
【0049】
いくつかの実施形態において、支持体は、プレート、樹脂、容器、膜、バイオチップ、粒子、ナノ粒子、試験片、又はビーズである。
【0050】
いくつかの実施形態において、標識は、酵素、酵素基質、ビオチン、粒子、蛍光染料、発光化合物、又は放射標識である。
【0051】
いくつかの実施形態において、IAIPリガンドは、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される。
【0052】
定義
本明細書で使用される用語「約」は、記載される値の10%以上又は以下である値を指す。例えば、用語「約5nM」は、4.5nM~5.5nMの範囲を示す。
【0053】
本明細書で使用される「投与」は、任意の有効な経路によって、対象に治療薬(例えば、IAIP)を提供又は与えることを指す。例示的な投与経路は、下記にて本明細書に記載される。
【0054】
本明細書で使用される用語「抗体」(Ab)は、特定の抗原に特異的に結合する、又は特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子を指し、少なくとも重鎖の可変ドメインを含み、通常、免疫グロブリンの少なくとも重鎖及び軽鎖の可変ドメインを含む。抗体及び抗原結合断片、変異体、又はそれらの誘導体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、又はキメラ抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二、三及び四特異的抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ)、単一ドメイン抗体(sdAb)、エピトープ結合断片、例えば、Fab、Fab’及びF(ab’)2、Fd、Fvs、単鎖Fvs(scFv)、rlgG、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VL又はVHドメインのいずれかを含む断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、及び抗イディオタイプ(抗-Id)抗体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗体分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスであり得る。更に、特に示さない限り、用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、インタクト分子、及び、標的タンパク質に特異的に結合できる抗体断片(例えば、Fab及びF(ab’)2断片等)の両方を含むことが意図される。Fab及びF(ab’)2断片はインタクト抗体のFc断片を欠き、動物の循環からより迅速に除去され、インタクト抗体よりも非特異的組織結合が少ない可能性がある。
【0055】
本明細書で使用される用語「抗原結合断片」は、標的抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって行うことができる。抗体断片は、Fab、F(ab’)2、scFv、SMIP、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、アプタマー、又はドメイン抗体であり得る。抗体の用語「抗原結合断片」に包含される結合断片の例としては:(i)Fab断片、VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VH及びVLドメインを含むdAb;(vi)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 341:544-546、1989);(vii)VH又はVLドメインからなるdAb;(viii)単離された相補性決定領域(CDR);並びに(ix)場合により合成リンカーによって連結され得る2つ以上の単離されたCDRの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更に、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別々の遺伝子によってコードされているが、それらは、組換え法を用いて、VL及びVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にするリンカーによって連結され得る(単鎖Fv(scFv)として既知;例えば、Bird et al.,Science 242:423-426、1988、及びHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883、1988参照)。これらの抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を用いて得ることができ、断片は、インタクト抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングすることができる。抗原結合断片は、組換えDNA技術、インタクト免疫グロブリンの酵素的若しくは化学的切断によって、又は、いくつかの実施形態では、当該技術分野で既知の化学的ペプチド合成手順によって作製することができる。
【0056】
本明細書で使用される用語「インターα阻害剤タンパク質」又は「IAIP」は、構造的に関連した免疫調節性タンパク質のファミリーにおける大きい多成分糖タンパク質を指す。IAIPは、好中球エラスターゼ、プラスミン、トリプシン、キモトリプシン、グランザイムK、前タンパク質転換酵素、フリン、カテプシンG、及びアクロシンを含む一連のプロテアーゼの阻害において重要であることが示されている。IAIPは、補体、細胞外ヒストン、及び凝固因子への結合及び不活化等のセリンプロテアーゼ阻害活性に加えて、TNF-a及びIL-6等の炎症誘発性サイトカインの下方調節、VCAM及びICAM等の接着因子の下方調節、並びにNFkBの下方調節等、広範な抗炎症機構を発揮する。IAIPは又、重鎖がマトリックスタンパク質に移されて細胞の移動及び増殖を促進する組織の保護及び修復の促進にも重要である。ヒト血漿中で、IAIPは比較的高濃度(400~800μg/L)で検出される。他の阻害剤分子とは異なり、この阻害剤のファミリーは、一般に、コンドロイチン硫酸鎖により共有結合したポリペプチド鎖の組み合わせ(軽鎖及び重鎖)を含む。IAIPの重鎖(H1、H2、及びH3)は、ヒアルロン酸(HA)結合タンパク質とも称される。ヒト血漿中に見出されるIAIPの主な形態は、2つの重鎖(H1及びH2)及び1つの軽鎖(L)を含むインターα-阻害剤(IαI)と、1つの重鎖(H3)及び1つの軽鎖(L)を含むプレα-阻害剤(PαI)である。別のIAIPは、血漿及び組織セリンプロテアーゼを広く阻害することが既知の、グリコサミノグリカンに結合した軽鎖(2つのクニッツドメインを有するビクニン(バイクニッツ(bi-Kunitz)阻害剤)とも称される)である。別のIAIPは、ビクニンに結合することなく血中を循環する重鎖関連分子H4である。更なる別のIAIPは、重鎖関連分子H5である。血漿画分中に存在するIαI及びPαIは、約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有する。
【0057】
本明細書で使用される用語「IAIPリガンド」は、インビボ又はインビトロでIAIPに結合する分子又はその断片(例えば、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、マトリクス細胞タンパク質(例えば、ビトロネクチン、フィブロネクチン、テネイシンC、ラミニン、アグリカン)、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、凝固因子(例えば、因子IX及び因子XIIIa)、補体成分、Ca2+等の二価カチオン、及び組織トランスグルタミナーゼ)を指す。IAIPリガンドは、ドメイン構造に基づいて、IAIPに結合することが予想される分子(例えば、IAIP重鎖のフォン・ヴィルブランド因子Aドメインに結合するであろうRGDドメインを有するタンパク質)も含む。本明細書に記載される方法で使用されるIAIPリガンドは、IAIPの重鎖、IAIP複合体、又はIAIPのGAGに結合するリガンド(例えば、ビクニンのみには結合しないリガンド)を含む。
【0058】
本明細書で使用される用語「IAIP特異的抗体」又は「IAIPに特異的に結合する抗体」は、IAIPに結合可能であり、かついずれの他のタンパク質にも特異的に結合しない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、例えば重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、又はそれらの任意の一部分を含む任意のタンパク質又はペプチド含有分子を指す。IAIPに特異的に結合する抗体は、IAIPに結合し、背景シグナル又はノイズの少なくとも2倍、より典型的には、背景の10~100倍のシグナルを提供するであろう。
【0059】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、任意の真核生物、原核生物、又はファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体を指し、それが産生される方法ではない。
【0060】
本明細書で使用される「医薬組成物」又は「医薬製剤」は、疾病の緩和、処置又は予防において薬理学的活性又は他の直接効果を有する組成物若しくは製剤、及び/又はその完成された剤形若しくは製剤である。組成物は、例えば、ヒト使用が指示されている(例えば、F.D.A.及び/又はE.M.A.により公布されたもの等の医薬又は生物学的ガイドラインに従って)。
【0061】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容され得る」は、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答、及び他の問題のある合併症を伴わない、理想的な利益/危険性の比に相当する、対象、例えば哺乳動物(例えば、ヒト)の組織と接触されるのに好適な化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指す。
【0062】
本明細書で使用される表現「発症する可能性を低減する」は、本明細書に記載される特定の疾病、症候群若しくは状態(例えば、炎症性疾病又は感染症等の本明細書に記載する状態)が疑われる、若しくはさもなければその危険性を有する、又は現在の疾病、症候群若しくは状態の程度若しくは重症度が増大する危険性を有する患者(例えば、ヒト)、例えば、重症市中感染肺炎(sCAP)に進行する危険性を有する市中感染肺炎(CAP)を有する患者の予防的処置を指す。
【0063】
本明細書で使用される用語「参照」は、試験サンプル中のパラメータとの比較目的で使用されるサンプル又は標準のパラメータ(例えば、タンパク質レベル、濃度、核酸発現レベル、及び遺伝子コピー数)を指す。例えば、参照サンプルは、健常人(例えば、炎症性疾病又は感染症を有さない個人)から得ることができる。参照レベルは、1つ以上の参照サンプルから決定した分析物(例えば、タンパク質(例えば、IAIP)、核酸、炭水化物等)の発現又は濃度のレベル(又はその平均)であり得る。例えば、参照は、複数の個人(例えば、健常人、又は炎症性疾病若しくは感染症を有さない個人)間の分析物(例えば、IAIP)の平均レベル(例えば、平均レベル又は中央レベル)であり得る。他の場合、参照レベルは、例えば、別様に決定された、例えば実験的アッセイにより決定された分析物のレベル又は濃度に基づく所定の閾値レベルであり得る。
【0064】
本明細書で使用される用語「サンプル」は、対象(例えば、ヒト等の哺乳動物)から単離された標本(例えば、血液、血液成分(例えば、血清又は血漿)、尿、唾液、羊水、肺洗浄液(lung lavage)、脳脊髄液、組織(例えば、組織生検又は組織ホモジネート)、膵液、滑液、及び細胞)を指す。
【0065】
本明細書で使用される表現「特異的に結合する」は、タンパク質及び他の生物学的分子の異質集団における分析物(例えば、IAIP等のタンパク質)の存在の決定要因である結合反応を指す。分析物は、例えば、抗体又はその抗原結合断片によって認識される抗原であり得る。測定するべき分析物と結合剤(例えば、抗体若しくは抗原結合断片又はリガンド)との間の特異的結合は、100nM未満のKDを示す。例えば、抗原(例えば、IAIP)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、100nMまで(例えば、1pM~100nM)のKDで抗原に結合する。特定の抗原又はそのエピトープ(例えば、IAIP)に対する特異的結合を示さない抗体又はその抗原結合断片は、特定の抗原又はそのエピトープに対して100nMを超える(例えば、500nM、1μM、100μM、500μM、又は1mMを超える)KDを示す。多様なイムノアッセイフォーマットを使用して、特定のタンパク質又は炭水化物と特異的な免疫反応性を有する抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質又は炭水化物と特異的な免疫反応性を有する抗体を選択するのに日常的に使用されている。特異的な免疫反応性の決定に使用できるイムノアッセイフォーマット及び条件の説明に関しては、Harlow & Lane、Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、New York(1988)及びHarlow & Lane、Using Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、New York(1999)を参照されたい。
【0066】
本明細書で使用される用語「敗血症」は、感染症に対する全身応答(本明細書で「感染性敗血症」と称する)又は急性組織傷害及び自然免疫活性化に関連した非感染性プロセス(本明細書で「無菌炎症」又は「無菌敗血症」と交換可能に称される)を指し、これは組織損傷、臓器不全、及び死をもたらし得る。感染性敗血症は、細菌、ウイルス、真菌、又は寄生虫(例えば、原生動物寄生虫)等の他の微生物を原因とする感染症によりもたらされ得る。無菌敗血症は、出血性ショック、多発外傷、膵炎、移植片拒絶、自己免疫性疾病、無機化合物、結晶、化学物質、又は虚血/再灌流の後に起こり得、既知の感染症の存在に関連するものではない。
【0067】
本明細書で使用される用語「対象」は、ヒト、又は、霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ネコ若しくはイヌ等の非ヒト哺乳動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物を指す。対象は、患者であり得る。
【0068】
本明細書で使用される用語「処置する」は、疾病及び/又はそれに関連する症状を軽減し又は回復させることを指す。疾患又は状態の処置は、疾患又はそれに関連する症状が完全に排除される必要はないことが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】
図1は、循環(例えば、血中)IAIP(IaI及びPaI)及び例えば尿中に排泄された遊離軽鎖(LC、ビクニン)の構造を概略的に示す。IAIPの重鎖及び軽鎖は、グリコサミノグリカン(GAG)によって一意に結合している。
【
図2A】
図2Aは、競合IAIP ELISAアッセイを概略的に示す。このアッセイでは、精製IAIPがマルチウェルプレート等の支持体に固定化され、次いでIAIPに指向される生物学的サンプル及び標識された抗体(例えば、MAb 69.26)が精製IAIPに加えられる。
【
図2B】
図2Bは、競合IAIP ELISAアッセイにより生成されたデータの標準曲線を示すグラフである。このアッセイは、サンプル中のIAIPと、固定化された精製IAIPとの間の競合抗体結合に基づいたIAIPの間接的測定を提供する。より低いシグナルは、サンプル中のより高い量のIAIPを示す。
【
図3A】
図3Aは、標識されたIAIPリガンド(例えば、ビオチン化ヘパリン又はLPS)を使用する「サンドイッチ型」ELISAと、前記ELISAを用いて生成された例示的な標準曲線を概略的に示す。このアッセイのバージョンでは、IAIPに特異的な抗体(例えば、MAb 69.26)が、マルチウェルプレート等の支持体に固定化され、次いで生物学的サンプルが、固定化された抗体を含む支持体に添加される。IAIPがサンプル中に存在する場合、IAIPは抗体に結合した後、標識IAIPリガンドの添加により検出されるであろう。
【
図3B】
図3Bは、各々、ヘパリン-IAIP及びエンドドキシン(LPS)-IAIPサンドイッチ型ELISAに関する標準曲線を示すグラフである。このアッセイは、IAIP濃度の直接測定を提供し、シグナルの増大はサンプル中のIAIPのより高い濃度を示す。
【
図3C】
図3Cは、各々、ヘパリン-IAIP及びエンドドキシン(LPS)-IAIPサンドイッチ型ELISAに関する標準曲線を示すグラフである。このアッセイは、IAIP濃度の直接測定を提供し、シグナルの増大はサンプル中のIAIPのより高い濃度を示す。
【
図4】
図4は、
図2Aに示した競合ELISAを用いて得られたIAIP濃度の測定値を示すグラフである。IAIPは、入院中の連続日に重症市中感染肺炎(sCAP)を有する患者由来の血漿サンプル中で測定され、正常な対照対象におけるIAIPレベルと比較した。競合ELISAは、sCAPを有する患者において250μg/mL、健康な対照において330μg/mLの平均IAIP濃度を提供し、0、1、及び3日目に、sCAPを有する対象と健康な対照とのIAIPレベルの間に有意差が見出された。
【
図5】
図5は、
図3Aに示した「サンドイッチ型」リガンド-IAIP ELISAを用いて得られたIAIP濃度の測定値を示すグラフである。
図5に示す結果は、ヘパリンをIAIPリガンドとして使用して生成された。
図4の競合ELISAを用いて評価されたものと同じサンプルを、このアッセイを用いて測定した。ヘパリン-IAIP ELISAは、sCAPを有する患者において125~150μg/mL、健康な対照において422μg/mLの平均IAIP濃度を提供し、全時点で競合ELISAで観察された差よりも統計的に有意な、sCAPを有する対象と健康な対照とのIAIPレベルの間の差が見出された。
【
図6】
図6は、
図3Aに示した「サンドイッチ型」リガンド-IAIP ELISAを用いて得られたIAIP濃度の測定値を示すグラフである。
図6に示す結果は、LPSをIAIPリガンドとして使用して生成された。
図4の競合ELISA及び
図5のヘパリン-IAIP ELISAを用いて評価されたものと同じサンプルを、このアッセイを用いて測定した。LPS-IAIP ELISAは、sCAP有する患者において118~145μg/mL、健康な対照において338μg/mLの平均IAIP濃度を提供し、全時点で競合ELISAで観察された差よりも統計的に有意な、sCAPを有する対象と健康な対照とのIAIPレベルの間の差が見出された。LPS-IAIP ELISAは、感度の増大、及びsCAPを有する対象と健康な対照とのIAIPレベルの間のより測定可能な差の観点から、ヘパリン-IAIP ELISAと同等に行われた。
【
図7】
図7は、IAIPに対するヘパリン及びIAIP特異的抗体(MAb 69.26)の結合を示す一連のブロットである。中央のブロットに示すように、ビオチン化ヘパリンは精製IAIP(250kDa IαI及び125kDa PαI)に結合したが、IAIP軽鎖、ビクニン、又は陰性対照ヒト血清アルブミンに結合しなかった。対照的に、MAb 69.26は、精製IAIP及びビクニンの両方に結合した。これらのデータは、ヘパリンがIAIPの重鎖に結合し、このことは、ヘパリン-IAIP ELISAにおいて、循環するインタクトIAIPのより正確な測定値をもたらし得ることを示唆する。
【
図8A】
図8A~8Cは、
図2Aに示した競合ELISA及び
図3Aに示した「サンドイッチ型」リガンド-IAIP ELISAを用いて得られたIAIP濃度の測定値を示す一連のグラフである。IAIPは、重篤な肺炎、重篤な敗血症を有する患者、正常な対照対象由来の血漿サンプル中で測定した。下記に示す各グラフは、IAIP濃度の平均±SEM及び試験した患者サンプルの数(括弧内)である。
図8Aに示すように、競合ELISAは、重篤な肺炎を有する患者において246μg/mL、重篤な敗血症を有する患者において250μg/mL、及び健康な対照において330μg/mLの平均IAIP濃度を提供し、重篤な肺炎を有する対象と健康な対照とのIAIPレベルの間に有意差を見出したが、重篤な敗血症を有する対象と健康な対照との間には見出さなかった。
【
図8B】
図8A~8Cは、
図2Aに示した競合ELISA及び
図3Aに示した「サンドイッチ型」リガンド-IAIP ELISAを用いて得られたIAIP濃度の測定値を示す一連のグラフである。IAIPは、重篤な肺炎、重篤な敗血症を有する患者、正常な対照対象由来の血漿サンプル中で測定した。下記に示す各グラフは、IAIP濃度の平均±SEM及び試験した患者サンプルの数(括弧内)である。
図8Bに示すように、LPS-IAIP ELISAは、重篤な肺炎を有する患者において141μg/mL、重篤な敗血症を有する患者において150μg/mL、及び健康な対照において338μg/mLの平均IAIP濃度を提供し、重篤な肺炎又は重篤な敗血症を有する対象と健康な対照とのIAIPレベルの間の有意差を見出した。
【
図8C】
図8A~8Cは、
図2Aに示した競合ELISA及び
図3Aに示した「サンドイッチ型」リガンド-IAIP ELISAを用いて得られたIAIP濃度の測定値を示す一連のグラフである。IAIPは、重篤な肺炎、重篤な敗血症を有する患者、正常な対照対象由来の血漿サンプル中で測定した。下記に示す各グラフは、IAIP濃度の平均±SEM及び試験した患者サンプルの数(括弧内)である。
図8Cに示すように、ヘパリン-IAIP ELISAは、重篤な肺炎を有する患者において145μg/mL、重篤な敗血症を有する患者において193μg/mL、及び健康な対照において422μg/mLの平均IAIP濃度を提供し、重篤な肺炎又は重篤な敗血症を有する対象と健康な対照とのIAIPレベルの間の有意差を見出した。LPS-IAIP ELISAは、感度の増大を有する点でヘパリン-IAIP ELISAと同等に行われ、競合ELISAと比較してより統計的に有意な結果を提供した。
【
図9】
図9は、固定化された血漿由来IAIP、ウシ血清アルブミン(BSA)、及びIAIP特異的抗体MAb 69.26のIgGに対するビオチン化LPSの結合を示すヒストグラムである。LPSはIAIPに対する相当の結合を示し、MAb 69.26には殆ど~全く結合せず、陰性対照として機能した。注目すべきことに、LPSはIAIP軽鎖、ビクニンに対する結合を示さなかった。これは、IAIPの重鎖がLPSに対する結合を促進し得ることを示す。
【
図10】
図10は、LPS、BSA、IAIP特異的抗体MAb 69.26のIgG、及び無脂肪粉乳に対するビオチン化IAIPの結合を示すヒストグラムである。予想通り、IAIPはMAb 69.26及びLPSに結合し、BSA及び無脂肪粉乳には最小限の結合を示した。これらのデータは、
図9の結果を確証する。
【
図11】
図11は、LPS、BSA、及びIAIP特異的抗体MAb 69.26のIgGに対するビオチン化IAIPの結合に対するpHの効果を示すヒストグラムである。これらのデータは、IAIPがpH5で最も強くLPSに結合し、pH6及びpH7では結合が低下し、pH8以上又はpH4以下では殆ど又は全く結合しないことを示す。対照的に、IAIPはpH5~pH9でMAb 69.26のIgGに結合したが、pH4以下では結合しなかった。以前の実験におけるように、IAIPはBSAに結合しなかった。
【
図12】
図12は、LPS、BSA、及びIAIP特異的抗体MAb 69.26のIgGに対するビオチン化IAIPの結合に対する塩(NaCl)濃度の効果を示すヒストグラムである。これらのデータは、LPS及びMAb 69.26の両方に対するIAIPの結合が塩による影響を受けなかったことを示し、強力かつ特異的な結合を示す。試験したいずれの塩濃度でもBSAに対する結合は観察されなかった。
【
図13】
図13は、LPS、BSA、及びIAIP特異的抗体MAb 69.26のIgGに対するビオチン化IAIPの結合に対する非イオン性洗剤NP-40の効果を示すヒストグラムである。LPSに対するIAIPの結合は0.05% NP-40の添加により向上し、1% NP-40の存在下で尚観察され、強力な結合相互作用が示された。試験したいずれのNP-40濃度でもBSAに対する結合は観察されなかった。
【
図14】
図14は、LPS、BSA、及びIAIP特異的抗体MAb 69.26のIgGに対するビオチン化IAIPの結合に対する非イオン性洗剤Tween-20の効果を示すヒストグラムである。LPSに対するIAIPの結合は、0.05% Tween-20の添加により向上し、1% Tween-20の存在下で尚観察され、強力な結合相互作用が示された。試験したいずれのTween-20濃度でもBSAに対する結合は観察されなかった。
【
図15A-15B】
図15A~15Bは、初期症状におけるNEC(n=14)及びSIP(n=13)を有する乳児と、性別、体重及び妊娠期間一致健康対照(n=26)との血液IAIPレベル(
図15A)及びCRP(
図15B)を示すヒストグラムである。IAIPレベルの低下は、証明されたNECを有する乳児(平均±SD:139±21ug/mL)に見出された一方、健康な対照(276±110ug/mL)又はSIPを有する乳児(319±72ug/mL)におけるレベルは、有意により高かった(p<0.05及びp<0.005)。対照的に、SIPを有する乳児と対照におけるIAIPの間に統計的有意差はなかった(p>0.4)。CRPレベルが試験された際、SIP、NEC及び対照群の間で有意差は見出されなかった(p>0.05)。
【
図16A】
図16A~16Bは、NEC乳児におけるIAIP及びCRPのROC曲線を示すグラフである。IAIPレベルの予測値は、感度100%、特異性88.2%、PPV 41%及びNPV 100%であり(
図16A)、感度100%、特異性64.7%、PPV 18%及びNPV 98%のCRP(
図16B)と比較して優れている。
【
図16B】
図16A~16Bは、NEC乳児におけるIAIP及びCRPのROC曲線を示すグラフである。IAIPレベルの予測値は、感度100%、特異性88.2%、PPV 41%及びNPV 100%であり(
図16A)、感度100%、特異性64.7%、PPV 18%及びNPV 98%のCRP(
図16B)と比較して優れている。
【
図17】
図17は、NEC(n=8)及びSIP(n=9)を有する乳児における血漿IAIPレベルの長期的研究の結果を示すグラフである。疾病症状の発症の前後に血液を連続的に採取した。IAIPレベルの有意差は、疾患発症前にSIPとNECの両方の乳児群で見出されなかったが(p値>0.6)、NECの乳児のIAIPレベルは、発症後10日までSIPの乳児のレベル(p<0.04)と比較して有意に低かった。
【
図18】
図18は、側方流動イムノアッセイに基づくIAIP迅速試験の概略図である。
【
図19】
図19は、ESEQuantリーダーを用いた迅速IAIP試験の標準曲線を示すグラフである。各点の値を合計13の独立解析の平均+SDとしてプロットした。迅速試験標準曲線は,17.5~1100μg/mLの範囲のIAIPレベルの血漿サンプルに適している。
【
図20A】
図20A~20Cは、ESEQuantリーダー、Detektリーダー、iCalQリーダーを用いるIAIP迅速試験によって得られた結果と、確立された競合ELISAフォーマットによって得られた結果との間の相関を示す一連のグラフである。
【
図20B】
図20A~20Cは、ESEQuantリーダー、Detektリーダー、iCalQリーダーを用いるIAIP迅速試験によって得られた結果と、確立された競合ELISAフォーマットによって得られた結果との間の相関を示す一連のグラフである。
【
図20C】
図20A~20Cは、ESEQuantリーダー、Detektリーダー、iCalQリーダーを用いるIAIP迅速試験によって得られた結果と、確立された競合ELISAフォーマットによって得られた結果との間の相関を示す一連のグラフである。
【
図21A】
図21A~21Bは、ヒアルロン酸を96ウェルプレート上に固定化してIAIPを捕捉し、ビオチン結合MAb 69.26(ヒトIAIPに対するモノクローナル抗体)を用いてIAIPを検出する「サンドイッチ型」ELISAを用いたIAIPの定量化を示す一連のグラフである。このアッセイは、ウェル当たり50ng、100ng又は200ngのヒアルロン酸を用いて、ヒト血漿(
図21A)及び精製IAIP(
図21B)の両方の系列希釈におけるIAIPを定量化するために使用することができる。
【
図21B】
図21A~21Bは、ヒアルロン酸を96ウェルプレート上に固定化してIAIPを捕捉し、ビオチン結合MAb 69.26(ヒトIAIPに対するモノクローナル抗体)を用いてIAIPを検出する「サンドイッチ型」ELISAを用いたIAIPの定量化を示す一連のグラフである。このアッセイは、ウェル当たり50ng、100ng又は200ngのヒアルロン酸を用いて、ヒト血漿(
図21A)及び精製IAIP(
図21B)の両方の系列希釈におけるIAIPを定量化するために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0070】
サンプル中のIAIPの量を測定するために使用できる試薬(例えば、サンプル中のIAIPに直接結合する試薬、例えばIAIPリガンド、又はIAIPに結合したIAIPリガンドに結合する試薬)を使用して、サンプル(例えば、血液サンプル等の対象由来のサンプル)中のIAIP濃度を測定する方法を特徴とする。試薬は、検出可能な標識を用いて測定することができる。方法は、炎症性疾患若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有する対象を特定するため、対象の健康状態又は対象における疾患重症度を決定するため、及び治療薬(例えば、IAIP、又は炎症性疾患若しくは状態又は感染症を治療するための薬剤)を投与された対象における状態(例えば、炎症性疾患若しくは状態又は感染症)の処置を監視するために使用され得る。
【0071】
IAIPの定量化のためのアッセイ
対象から収集したサンプル中のIAIPの定量化方法を提供する。IAIPを検出する従来の方法は、サンプル中のIAIP濃度の間接的測定を提供する抗体ベースの競合ELISAに依存していた。この方法は、インタクトIAIP複合体(例えば、1つ以上の重鎖(H1-H5)及び軽鎖、ビクニンを含むIAIP)及びビクニン単独の両方を検出する。対照的に、本明細書に記載される方法は、IAIP重鎖、インタクトIAIP複合体の重鎖及び軽鎖、又はIAIP複合体のGAGに結合するが、ビクニン単独には結合しないことによって、サンプル中のIAIPを直接検出する試薬(例えば、IAIPリガンド)を使用する。
【0072】
理論に束縛されることを望まないが、本明細書に記載されるIAIPリガンドベースのアッセイは、IAIP重鎖又はインタクトIAIP複合体の検出により、競合ELISAよりも高い感度及び頑強性を示す。本方法は、切断又は分解されたIAIP軽鎖を検出する抗体ベースのアッセイと比較してサンプル中の機能的IAIPの量の改善された読み出しを提供する。
【0073】
本明細書に記載される方法は、例えば、抗体等のIAIP特異的薬剤を使用した、例えば、基質(例えば、固体支持体、例えば、プレート、樹脂、粒子、容器、膜、又はビーズ)上に補足されたIAIPを検出するためのIAIPリガンドの使用、続くIAIP特異的抗体を用いた検出のための、IAIPを補足するIAIPリガンドの使用、及び続く第2の、異なるIAIPリガンドを用いた検出のための、IAIPを補足するIAIPリガンドの使用を含む。
【0074】
サンプル中のインタクトIAIPの検出に使用できる第1の方法は、支持体に付着され、サンプル中のIAIPの補足に使用されるIAIP結合剤(例えば、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンド)を含む。次いで、IAIP結合剤と複合体を形成しているIAIPに結合するIAIP検出剤(例えば、IAIPリガンド又はIAIP特異的抗体)が添加される。次いで、例えば、IAIP検出剤に直接付着し、又はIAIP検出剤に結合する試薬に付着した標識の存在を検出することにより、IAIP濃度が定量化され得る。
【0075】
サンプル中のIAIPの量の検出に使用できる第2の方法は、インビボで形成され、サンプル中に存在するIAIP-IAIPリガンド複合体の検出を含む。この方法も又、支持体に付着した結合剤の使用から開始する。結合剤は、IAIP又はIAIPリガンドのいずれかに結合し得る。次いで、検出剤が添加され、検出剤はIAIP-IAIPリガンド複合体の他の成分に結合する(例えば、結合剤がIAIPに指向される場合、検出剤はIAIPリガンドに指向され、逆に、結合剤がIAIPリガンドに指向される場合、検出剤はIAIPに指向される)。次いで、例えば、検出剤に直接又は間接的に不着した標識の存在を検出することにより、IAIPの濃度が測定され得る。
【0076】
方法及び方法ステップに使用される試薬は、下記に詳細に説明される。
【0077】
IAIPリガンド
本明細書に記載される方法で使用されるIAIPリガンドは、1つ以上のIAIP重鎖、IAIP重鎖及び軽鎖、ビクニン(例えば、インタクトIAIP)、又はIAIPのGAG(例えば、インタクトIAIPのGAG)に結合するリガンドを含む。インタクトIAIPは、少なくとも1つのIAIP重鎖(H1、H2、H3、H4、及び/又はH5)及びIAIP軽鎖(ビクニン)を含む複合体である。例えば、エンドドキシン(リポ多糖、LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、テネイシンC、ラミニン、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、凝固タンパク質(例えば、因子IX及び因子XIIIa)、補体タンパク質(例えば、C1q、C2、C3、C4、C5、C6、C8、プロパージン、及び因子D)、二価カチオン(例えば、Ca2+)、及び組織トランスグルタミナーゼを含む、IAIP又はインタクトIAIPの重鎖に結合する任意のリガンドを、本明細書に記載される方法に使用することができる。IAIPリガンドは、当該技術分野で既知の標準的な技術に従って標識され得る(例えば、1つ以上の、下記に詳細する検出可能な標識を使用して)。
【0078】
IAIP抗体
IAIPに特異的に結合する抗体は、本明細書に記載される方法における結合剤又は検出剤として使用することができる。IAIPに特異的に結合する抗体は、IAIP以外のいずれのタンパク質にも特異的に結合しない抗体又はその抗原結合断片である(例えば、IAIP特異的抗体と非-IAIPタンパク質との相互作用は、背景に類似したシグナルを生じる)。IAIPに特異的に結合する抗体は、IAIPの重鎖、IAIPの軽鎖、又は両方、又はIAIPのGAGに結合することができる。抗体は、IAIPの重鎖又は重鎖及び軽鎖を含むインタクトIAIPに結合することが好ましい。抗体は、ヒトIAIP、又は他の哺乳動物(例えば、非-ヒト霊長類、雌牛、豚、羊、山羊、猫、犬、ラット、マウス、兎、モルモット、又はIAIPを発現する任意の他の非-ヒト哺乳動物)由来のIAIPに対して生じ得る。IAIPに特異的に結合する抗体は、ヒトIAIPのみに結合し得、又はヒト及び他の哺乳動物由来のIAIPに結合することが可能であり得る。抗体は、IAIPを用いて抗体を生成するのに一般に使用される動物(例えば、兎、モルモット、ラット、マウス、羊、ロバ、山羊、ハムスター、及び鶏)の免疫化により産生され得る。IAIP特異的抗体は、ポリクローナル(例えば、PAb R16、PAb R20、PAb R21)、モノクローナル(例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31)、キメラ、又は組換えであり得る。
【0079】
標識
本明細書に記載される方法におけるIAIPの濃度を検出するための標識は、IAIPリガンド、IAIP特異的抗体、又は本明細書に記載される他の試薬に付着し又はコンジュゲートされ得る。IAIPリガンド、IAIPリガンド特異的抗体、及び/又はIAIP特異的抗体の検出に好適な標識としては、ビオチン、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファタゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ及びカタラーゼ)、酵素基質、放射標識(例えば、放射性同位元素)、発光化合物、粒子(例えば、コロイド金(例えば、金ナノ粒子)、磁粒子、又はラテックス粒子)及び蛍光染料が挙げられる。次いで、標識は、直接評価され得(例えば、蛍光染料のイメージング、放射能の検出、又は粒子の検出を介して)、酵素-コンジュゲート化アビジン又はストレプトアビジン(例えば、ビオチン検出のためにAP又はHRPにコンジュゲートされたアビジン又はストレプトアビジン)の使用を介して、及び/又は基質の使用を介して、そして、例えば、分光光度計、蛍光光度計、ルミノメーター、又は液体シンチレーションカウンターを含む既知の方法及び装置によって可視化され得る。基質は、発色性(例えば、AP検出のためのPNPP;又はHRP検出のためのABTS、OPD、若しくはTMB)、化学発光性、又は蛍光性であり得る。基質は、放射能の検出のための液体シンチレーターも含む。当該技術分野で既知の標準的な検出方法を用いて、本明細書に記載される標識を検出することができる。
【0080】
サンプル
本明細書に記載される方法は、対象(例えば、ヒト対象)由来のサンプルを使用して行うことができる。好適なサンプルは、流体サンプルを含む。例えば、IAIPは、対象(例えば、炎症性疾病若しくは敗血症等の状態を有する対象、又は炎症性疾病若しくは敗血症等の状態を発症する危険性を有する対象)由来の血液又は血漿のサンプル中で測定され得る。本明細書に記載される方法は、尿、脳脊髄液、滑液、羊水、間質液、卵胞液、腹水、気管支肺胞洗浄液、母乳、痰、リンパ液、及び胆汁等の他の体液のサンプルを使用して行うこともできる。対象由来の組織サンプル(例えば、生検)を適切な緩衝液中でホモジナイズして、これらの方法を用いたIAIPの定量化のための「流体」を形成することができる。
【0081】
アッセイに使用するサンプルの容積は、行うアッセイ(例えば、ELISA、側方流動イムノアッセイ、又は他のアッセイ)及び支持体(例えば、プレート、膜、試験片、又は他の支持体)のタイプに応じて変動するであろう。使用するサンプルの容積は、約1μL~約500μL(例えば、側方流動イムノアッセイ等のアッセイの場合、約1μL~約150μL、例えば、1μL~約30μL、又はELISA等のアッセイの場合、約50μL~約200μL)であり得る。サンプルは、アッセイで使用する前に、結合剤又は検出剤に対する結合を妨害しないであろう緩衝液(例えば、水、PBS、又はアッセイの方法に使用される緩衝液)で希釈され得、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:15、1:20、1:100以上に希釈され得る。
【0082】
インタクトIAIPの検出方法
第1のIAIP定量化アッセイは、IAIPを含むサンプルをIAIP結合剤(例えば、IAIPに特異的に結合する抗体又はIAIPリガンド)と接触させて、IAIP-結合剤複合体を形成することを含む。IAIP結合剤は、支持体(例えば、固体支持体)に付着され得る。好適な支持体としては、プレート(例えば、マルチウェルプレート)、粒子(例えば、磁気粒子、ナノ粒子、磁気ナノ粒子)、バイオチップ、樹脂、膜(例えば、ニトロセルロース膜、PVDF膜)、容器(例えば、チューブ)、試験片(例えば、セルロース、ガラス繊維、ニトロセルロース)、及びビーズ(例えば、タンパク質A又はタンパク質Gビーズ、磁気ビーズ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ)が挙げられる。支持体は、好ましくは、1回以上洗浄されて(例えば、TBS、TBS-T、PBS、又はPBS-T等の緩衝液を使用して)、IAIP結合剤と結合しない材料を除去することが可能である。
【0083】
次いで、IAIP-結合剤複合体をIAIP検出剤(例えば、IAIPリガンド又はIAIPに特異的に結合する抗体)と接触させる。IAIP検出剤は、標識(例えば、上述した標識の1つ以上)とコンジュゲートされ得、次いでこれは既知の検出方法を用いて検出され得る。あるいは、IAIP検出剤は、標識を使用することなく直接検出されてもよい。IAIP検出剤の添加後、追加の洗浄ステップ(例えば、1つ以上の)を行って非結合検出剤を除去してもよい。
【0084】
次いで、IAIPは、コンジュゲート化標識又は付着検出剤(例えば、酵素活性又は蛍光)からのシグナルに基づいて、当該技術分野で既知の標準技術を用いて測定され得る。酵素が標識として使用される場合、基質が添加されてシグナル(例えば、色変化)を生成し得、シグナルの検出に好適な装置、例えば分光光度計により読み取られ得る。シグナル(例えば、吸光度又は蛍光)を、既知のIAIP濃度を有する標準に対してプロットして標準曲線を確立し得、又は既知の参照濃度と比較し得る。サンプル中の未知の濃度を、確立された標準曲線又は参照濃度値に基づいて計算及び決定し得る。
【0085】
サンプルをIAIP結合剤に添加する前に、ブロッキングステップを行って非特異的結合を防止又は低減してもよい。本明細書に記載される方法で使用されるブロッキング剤としては、中でも例えば、乳、BSA、カゼイン、ゼラチン(例えば、魚ゼラチン)、及び血清(例えば、山羊血清、ロバ血清、馬血清、ウシ胎児血清)が挙げられる。
【0086】
方法ステップは、pH7.0~3.5(例えば、pH5.0~pH3.5、例えば、pH4.0)で行うことができる。例えば、結合ステップ及び検出ステップのいずれか又は両方は、pH7.0~3.5(例えば、pH5.0~pH3.5、例えば、pH4.0)で行うことができる。IAIP結合剤は、pH7.0~3.5(例えば、pH5.0~pH3.5、例えば、pH4.0)の緩衝液中で調製することができ、及び/又はIAIP検出剤(例えば、IAIPリガンド)は、pH7.0~3.5(例えば、pH5.0~pH3.5、例えば、pH4.0)の緩衝液中で調製することができる。IAIPの検出を改善するために、低いpH緩衝液(例えば、pH5.0以下、例えば、pH4.0)を使用することができる。
【0087】
又、アッセイ中にIAIPを安定化するために、二価カチオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Fe2+等)を、IAIP結合剤と接触させる前若しくは間にサンプルに添加し、及び/又は、結合剤-IAIP複合体と接触させる前若しくは間に、検出剤を含む緩衝液に添加してもよい。二価カチオンは、1μM~1M(例えば、100μM~100mM、1mM~10mM)の濃度で提供され得る。
【0088】
a)IAIP特異的抗体結合剤及びIAIPリガンド検出剤
本明細書に記載される方法の一例では、IAIP結合剤は、IAIPに特異的に結合する抗体(例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31)であり、検出剤は、標識されたIAIPリガンド(例えば、ヘパリン、ヒアルロン酸、又はLPS)である。あるいは、リガンドは標識されず、IAIPリガンドに特異的な標識抗体を使用して検出されてもよく、又は非標識リガンドはIAIPリガンドに特異的な非標識抗体を使用して検出されてもよく、これは次いで標識2次抗体(例えば、IAIPリガンドに特異的であるがIAIP抗体には結合しない抗体に結合する標識2次抗体、例えば、IAIP抗体及びIAIPリガンド抗体は、異なる宿主種から産生される)を使用して検出される。リガンドが非標識であり、標識リガンド特異的抗体、又はリガンド特異的抗体及び標識2次抗体の使用により検出される場合、各抗体とのインキュベーションの前及び/又は後に、追加の洗浄ステップが行われ得る。
【0089】
b)IAIPリガンド結合剤及びIAIP特異的抗体検出剤
本明細書に記載される方法の別の例では、IAIP結合剤は、IAIPリガンド(例えば、ヘパリン、ヒアルロン酸、又はLPS)であり、検出剤は、IAIPに特異的な抗体(例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31)である。この例では、IAIPに特異的な抗体は、標識に直接コンジュゲートされてもよく、又は抗体は、IAIP特異的抗体に結合する標識2次抗体を使用して検出されてもよい。標識2次抗体が使用される場合、2次抗体とのインキュベーション後に洗浄ステップが行われて、IAIP測定に先立って非特異的シグナルを最小限にし得る。
【0090】
c)IAIPリガンド結合剤及びIAIPリガンド検出剤
本明細書に記載される方法の第3の例では、結合剤はIAIPリガンド(例えば、ヒアルロン酸)であり、検出剤は、IAIPの異なる領域に結合する標識されたIAIPリガンド(例えば、ヘパリン、ヒアルロン酸、又はLPS)である。この方法は、IAIPの同じ領域に結合しない任意の2つのIAIPリガンドを用いて行われ得る(例えば、2つのIAIPリガンドIAIPに対する結合に関して競合しない、又は、当該2つのIAIPリガンドに関して、IAIPリガンドのうちの1つの結合が、IAIPに対する第2のIAIPリガンドの結合を立体的に妨害しない)。IAIP検出剤として作用するリガンドは、非標識であってもよく、検出剤として作用するIAIPリガンドに特異的な標識抗体を使用して検出され、又は当該リガンドは、検出剤として作用するIAIPリガンドに特異的な非標識抗体に結合する標識2次抗体によって検出されてもよい。検出剤として作用するIAIPリガンドの検出に標識抗体が使用される場合、各抗体とのインキュベーションの前及び/又は後に、追加の洗浄ステップを行い得る。
【0091】
d)IAIP特異的抗体結合剤及びIAIP特異的抗体検出剤
本明細書に記載される方法の第4の例では、結合剤はIAIP特異的抗体であり、検出剤は標識IAIP特異的抗体である。この例では、IAIP特異的抗体の少なくとも1つは、インタクトIAIP又は少なくとも1つの重鎖を含むIAIPのいずれかに結合することが可能である(例えば、抗体は、少なくとも1つのIAIP重鎖が存在しない限りビクニンに結合せず、例えば、抗体は、ビクニンを欠く切断又は分解したIAIPに結合しない)。又、アッセイで使用される2つのIAIP特異的抗体は、IAIPの異なるエピトープに結合する(例えば、抗体は、IAIPの結合に関して競合しない)。2つのIAIP特異的抗体が異なる宿主種を使用して産生された場合、検出剤として使用されるIAIP特異的抗体は、非標識であり得、標識2次抗体を使用して検出される。標識2次抗体が使用される場合、標識2次抗体のインキュベーションの前及び/又は後に、追加の洗浄ステップを行い得る。
【0092】
e)迅速側方流動イムノアッセイ(LFIA)を用いるIAIPの定量化
第5の例で、本明細書に記載される方法は、側方流動イムノアッセイベースの試験を用いて行うことができる。この例では、少量のサンプル(例えば、1~30μL、例えば、15μL)を試験片(例えば、セルロース、ガラス繊維、又はニトロセルロース)に非希釈形態又は希釈形態で(例えば、例えば、緩衝液(例えば、PBS)又は水で1:2、1:5、1:10、1:20、1:100以上希釈する)適用し得、次いで緩衝液を加えて、試験片を通してサンプルを押し出す。試験片は、サンプル中のIAIPに結合するIAIP結合剤(例えば、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンド)を含む。IAIPはIAIP検出剤(例えば、標識IAIP特異的抗体又は標識IAIPリガンド)を使用して検出することができ、当該IAIP検出剤は、サンプルの添加の前、後、又は同時に、試験片に添加され得る。試験片は、IAIP検出剤に付着した標識の定量化のための適切なリーダー(例えば、中でも携帯型卓フローリーダー、ハンドル付きのPDAベースのリーダー、又はスマートフォン/タブレットベースのリーダー)を使用して読み出され得る。結合剤と検出剤との組み合わせは、本明細書に概略するパラメータに基づいて選択され得る。このアッセイは、迅速に(例えば、15分以下、例えば15、10、又は7分間以下で)行われ、少量のサンプルの定量的かつ迅速な測定を提供することができる。
【0093】
天然に存在するIAIP-IAIPリガンド複合体の検出
天然に存在するIAIP-IAIPリガンド複合体(例えば、対象(例えば、ヒト対象)内でインビボで形成され、対象由来のサンプル中に存在するIAIP-IAIPリガンド複合体)を検出する方法も提供する。この方法は、サンプル(例えば、血漿、血清、血液、肺胞洗浄液、脳脊髄液、痰、尿又は他の体液等の流体サンプル)を結合剤、例えば、支持体(例えば、固体支持体)に付着された結合剤と接触させることを含む。結合剤は、IAIP結合剤(例えば、IAIPに特異的に結合する抗体、例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31、又はIAIPリガンド)であってもよく、又は結合剤は、関心対象のIAIPに特異的に結合する抗体リガンド(例えば、インビボでIAIP-IAIPリガンド複合体を形成したことが疑われるIAIPリガンド)であってもよい。好適な支持体としては、プレート(例えば、マルチウェルプレート)、粒子(例えば、磁気粒子、ナノ粒子、磁気ナノ粒子)、バイオチップ、樹脂、容器(例えば、チューブ)、膜(例えば、ニトロセルロース膜、PVDF膜)、試験片(例えば、セルロース、ガラス繊維、又はニトロセルロース)及びビーズ(例えば、タンパク質A又はタンパク質Gビーズ、磁気ビーズ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ)が挙げられる。支持体は、好ましくは、1回以上洗浄されて(例えば、TBS、TBS-T、PBS、又はPBS-T等の緩衝液を使用して)、結合剤に結合しない材料を除去することが可能である。
【0094】
アッセイで使用される結合剤がIAIP結合剤(例えば、IAIPに特異的に結合する抗体、例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31、又はIAIPリガンド)の場合、IAIP-IAIPリガンド複合体は、関心対象のIAIPリガンドに対して指向される抗体である検出剤を使用して、抗体をIAIP複合体-結合剤複合体と接触させることにより検出され得る。アッセイで使用される結合剤が、関心対象のIAIPに特異的に結合する抗体リガンドの場合、IAIP-IAIPリガンド複合体は、IAIPに特異的に結合する検出剤(例えば、IAIPに特異的に結合する抗体、例えば、MAb 69.26又はMAb 69.31、又は異なるIAIPリガンド)を使用して、検出剤をIAIP複合体-結合剤複合体と接触させることにより検出され得る。
【0095】
洗浄ステップ(例えば、1回以上の)は、検出剤とのインキュベーション後に行うことができる。又、サンプルをIAIP又はIAIPリガンド結合剤に添加する前に、ブロッキングステップを行って非特異的結合を防止又は低減してもよい。本明細書に記載される方法で使用されるブロッキング剤としては、中でも、例えば、乳、BSA、カゼイン、ゼラチン(例えば、魚ゼラチン)、及び血清(例えば、山羊血清、ロバ血清、馬血清、ウシ胎児血清)が挙げられる。
【0096】
検出剤が抗体(例えば、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンド特異的抗体)の場合、検出剤は標識(例えば、上述した標識)に直接コンジュゲートされてもよく、又は検出剤は、アッセイで使用される任意の他の抗体に結合しない標識2次抗体(例えば、抗体の場合、結合剤)を添加することにより可視化されてもよい。
【0097】
検出剤が、リガンド(例えば、IAIPリガンド、例えばアッセイにて検出されるものとは異なるIAIPリガンド等)の場合、検出剤は標識(例えば、上述した標識)に直接コンジュゲートされてもよく、又は標識されたリガンド特異的抗体を使用して検出され、この標識リガンド特異的抗体は、次いで検出される。あるいは、検出剤は、非標識リガンド特異的抗体と、アッセイに使用される任意の他の抗体に結合しない標識2次抗体(例えば、抗体の場合、結合剤)とを使用して検出され得る。検出剤が非標識であり、追加の試薬(例えば、標識1次又は2次抗体)が使用される場合、追加の試薬とのインキュベーション後に1回以上の洗浄ステップを行って、非特異的シグナルを最小限にし得る。標識は、上述したものと同じ基質及びイメージング方法を使用した、IAIP-IAIPリガンド複合体の濃度の測定に使用され得る。サンプルからのシグナルを、既知の濃度のIAIP-IAIPリガンド複合体を有するサンプルで測定されたシグナルと比較し得る(例えば、標準曲線を確立するために)。サンプルにおける未知の濃度は、確立された標準曲線に基づいて、又は既知の参照濃度値に基づいて計算することができる。
【0098】
IAIP-IAIPリガンド複合体中のIAIPリガンドのアイデンティティが未知の場合、IAIPに特異的に結合する抗体(例えば、インタクトIAIP及び/又はIAIP重鎖に結合する抗体)を結合剤として使用して方法を行うことができる。次いで、異なるIAIPリガンドに特異的な標識2次抗体を添加し、標識2次抗体とのインキュベーション後に洗浄し、標識からのシグナルを検出してIAIP-IAIPリガンド複合体中のIAIPリガンドのアイデンティティを決定することにより、検出ステップを行うことができる。標識抗体は、IAIPリガンドの特定に関して個々に添加及び評価されてもよく、又は、異なる標識が各抗体に付着若しくはコンジュゲートされる場合(例えば、異なる蛍光染料)、同時に添加されてもよい。一旦IAIPリガンドが特定されたら、サンプル中のIAIP-IAIPリガンド複合体の量を本明細書に記載される通りに定量化することができる。
【0099】
アッセイで補足されたIAIPの定量化
IAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体は、標準曲線の形成に使用される既知の量のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体を含むサンプルと共に、関心対象のサンプルを使用して本明細書に記載される検出方法を行うことにより定量化することができる。対象由来のサンプルは、サンプル中のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体の濃度が測定できるように、既知の量のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体と同時に測定されてもよい。対象由来のサンプル中の濃度を、対照集団、例えば健康な対照において同じアッセイを用いて測定したIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体の平均濃度と比較して、サンプル中のIAIPの濃度が正常範囲内、又は疾病対照に含まれるか否かを決定し、サンプル中のIAIPの濃度が疾病状態の範囲内に含まれるか否かを決定することができる。
【0100】
対象由来のサンプル中のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体の濃度は又、試験サンプル及び対照サンプルの両方におけるIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体を、本明細書に記載される方法を用いて同時に測定することにより、健康な対照におけるIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体の濃度と比較することができる。対照サンプルは、同じ原材料に由来するものを含む(例えば、試験サンプル及び対照サンプルの両方は、同じ体液又は同じ組織タイプに由来する)。同じ原材料に由来することに加えて、試験サンプル及び対照サンプルは、同じ年齢及び/又は同じ性別の対象から収集して、対象間の可能な変動を最小限にすることもできる。IAIP濃度が対象と健康な対照との間で直接比較される場合、健康な対照と比較した対象におけるIAIP濃度の25%位以上の低下は、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示すであろう。
【0101】
あるいは、対象由来のサンプル中のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体の濃度は、既知の状態(例えば、健康な状態又は疾病状態)下のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体の濃度に関する所定のカットオフ値と比較してもよい。カットオフ値は、正常な対象又は疾病対象の集団から決定した、IAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体の平均濃度であり得る。
【0102】
本明細書に記載される方法を用いて、健康な対照対象は、血漿中に400±140μg/mL IAIPを有することが見出されているが、より高い濃度も健康な対象で観察されている。重篤な炎症性疾病を有する対象は、約200μg/mL未満のIAIPの平均濃度を有することが見出されている。約250μg/mLのIAIP濃度を使用して、疾病又は状態(例えば、炎症性疾病若しくは状態又は感染症)を有し又は発症する危険性を有するとして対象を分類することができる。次いでこの分類を用いて対象に処置又は更なる診断試験を推奨することができる。中~低いIAIPレベル(例えば、300~200μg/mL)を有する対象は、IAIPレベルが一定であるか又は変化しているか(例えば、増大又は低下している)を決定する経時的な反復試験(例えば、週に1回、月に2回、月に1回、2カ月に1回、年に3回、又は2年に1回)から利益を受けることができ、それは、これらのレベルが、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を発症する危険性、炎症性疾病若しくは状態又は感染症の存在を示すことができ、又は対象に関する正常なベースラインレベルを表し得るためである。
【0103】
IAIP及びIAIP-IAIPリガンド複合体検出アッセイを用いた疾病状態又は疾病の危険性の決定方法
本明細書に記載されるIAIP及びIAIP-IAIPリガンド複合体検出方法は、多様な対象、例えば疾病又は状態(例えば、炎症性疾病若しくは状態又は感染症(例えば、細菌感染症))を有する、又は有することが疑われる対象のIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の測定に使用することができる。例えば、対象における疾病若しくは状態の存在、又は対象が疾病若しくは状態を発症している若しくは発症しうる危険性の診断、又は疾病若しくは状態の発症若しくは分析に関する対象のモニタリングのために、そのような対象におけるIAIP及びIAIP-IAIPリガンド複合体のレベルを、上記のアッセイのいずれかを用いて評価することができる。
【0104】
例えば、アッセイ方法を用いて診断又は監視できる炎症性疾病又は状態としては、例えば、急性炎症性疾病、敗血症、敗血性ショック、全身炎症性応答症候群(SIRS)、外傷及び/又は傷害(例えば、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技)、卒中(例えば、虚血性卒中、出血性卒中)、急性肺傷害、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺炎(例えば、重篤な肺炎、重症又は非重症:市中感染肺炎、院内感染肺炎、ナーシングホーム感染肺炎)、壊死性腸炎、急性膵炎、腎疾病(例えば、急性腎臓傷害、肝臓傷害、急性循環不全)、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、手術誘導炎症、膿瘍関連の炎症、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血(例えば、新生児低酸素性虚血性脳傷害又は低酸素性虚血性脳症)、組織虚血(例えば、骨格筋、平滑筋、心筋、脳、皮膚間葉組織、結合組織、胃腸組織、又は骨の虚血)、関節リウマチ、髄膜炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患(例えば、インフルエンザ又はウイルス感染、例えば、デング熱又はウエストナイル熱)が挙げられる。
【0105】
例えば、アッセイ方法を用いて診断又は監視できる感染症としては、例えば、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含む大腸菌類種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)、及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasteurella)種、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌による感染症が挙げられる。
【0106】
本明細書に記載されるアッセイは、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を発症する危険性を有する対象におけるIAIPレベルの測定に使用することができる。危険性因子としては、免疫抑制、免疫不全(例えば、免疫無防備状態の対象)、高齢、やけど(例えば、熱傷)、外傷、手術、異物、癌、早産(例えば、未熟に生まれた新生児)、肥満症、及びメタボリック症候群が挙げられる。
【0107】
本明細書に記載される方法は、日常的な診断の一部として、又は健康の一般的評価として行うことができる。
【0108】
疾病状態又は疾病の危険性の診断
本明細書に記載されるアッセイは、従来の診断方法と共に用いて、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有するか否かを決定することができる。アッセイを用いて得られたIAIP測定値は、患者がIAIP又は抗炎症薬若しくは抗感染療法を用いた処置の候補、又はIAIPの投与に対する応答が予測される候補であるか否かを決定するのに使用することができる(例えば、低いIAIPレベルを有する患者は、IAIPを用いて処置することができ、及び/又はIAIPを用いた処置に都合よく応答し得る)。IAIPの測定に続いて、適当と思われる場合(例えば、IAIPレベルが低い、例えば、健康な対象の正常なIAIPレベルと見なされるものより少なくとも25%低い、又はIAIPレベルが200μg/mL未満である場合)、対象へのIAIP、抗炎症薬又は抗感染療法の投与を行ってもよい。
【0109】
対象由来のサンプル中のIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の測定は、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有するか否かの決定に使用することができる。方法は、上述した方法の1つを用いてIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体のレベルを測定し、そのレベルを対照値(例えば、健康な患者由来の参照サンプル、又は明らかに健康な患者の集団の測定値から得た平均値)と比較することを含む。健康な対照と比較して低い対象におけるIAIPのレベル(例えば、対照と比較して25%、30%、40%、50%以上低い対象におけるレベル)又は約250μg/mL以下のIAIP濃度は、対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す。健康な対照と比較して高い対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体のレベル(例えば、対照と比較して5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%以上高いレベル)は、対象が炎症性疾病又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す。
【0110】
天然に存在するIAIP-IAIPリガンド複合体中のIAIPに結合したリガンドの特定は又、対象が有し又は発症する危険性を有する炎症性疾病又は感染症のタイプの洞察を提供し得る。例えば、対象由来のサンプル中の高いIAIP-LPS複合体のレベルの検出は、対象が感染症(例えば、細菌感染症)を有し又は発症する危険性を有することを示し得、対象由来のサンプル中の高いIAIP-ヒストン複合体のレベルの検出は、対象が急性全身炎症性疾病(例えば、敗血症又は卒中)を有し又は発症する危険性を有することを示し得る。そのような測定値を使用して、特定の炎症性疾病又は感染症を有する対象を診断し、又は治療法若しくは処置過程を推奨することができる。
【0111】
疾病の重症度
本明細書に記載される方法は又、疾病の重症度の評価に使用することができる。本明細書に記載されるアッセイを用いて測定して、約200μg/mLよりも低いIAIP濃度を有する対象は、重篤な炎症若しくは感染症を有し若しくは発症する高い危険性を有し、又はより高い病的状態及び/若しくは死亡の危険性を有するとして分類することができる。あるいは、本明細書に記載されるアッセイを用いて高いIAIP-IAIPリガンド複合体レベルを有する対象(例えば健康な対照又は既知の参照濃度値よりも10%、20%、30%、40%、50%以上高いIAIP-IAIPリガンド複合体、例えばIAIP-LPS複合体のレベルを有する対象)は、重篤な炎症若しくは感染症を有し若しくは発症する高い危険性を有し、又はより高い病的状態及び/若しくは死亡の危険性を有するとして分類することができる。一旦重症度が評価されたら、対応する処置過程を推奨することができる。重篤な炎症を示すIAIP濃度を有する対象は、IAIP濃度が炎症性疾病又は状態を有し又は発症する中等度の又は低い危険性を示す対象よりも、より高頻度又はより積極的な処置に関して選択され得る。本明細書に記載されるアッセイを用いてインタクトIAIPを測定することができ、従ってそれらを使用して、重篤な状態を検出し、適切な治療的応答の必要性を評価することができる。
【0112】
モニタリング
炎症性疾病若しくは状態若しくは感染症を以前に有し、又はそれを発症する危険性を有する対象(例えば、遺伝的素因を有する対象、疾病又は感染症を有する他に暴露されている対象、又は上述した危険性因子のいずれかを有する対象)は、本明細書に記載される方法を用いて監視することができる。監視は又、特に対象が炎症又は感染症の明らかな症状を示さない場合、中~低いIAIPレベル(例えば、300~200μg/mL)を有する対象、及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の僅かに高いレベルを有する対象(例えば、健康な対照又は既知の参照濃度値と比較して1%、5%、又は10%高いIAIP-LPS複合体等のIAIP-IAIPリガンド複合体のレベルを有する対象)に関する好適なアプローチであり得る。IAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の測定値は、規則的な間隔(例えば、年に1回、年に2回、3カ月に1回、1カ月に1回、2カ月に1回、又は週に1回)で行って、IAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体レベルが一定であるか又は変化しているかを決定することができる。IAIPレベルの増大、及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体のレベルの低下は、改善を示し、監視及び/又は処置の停止に繋がり得る。IAIPレベルの低下、及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体のレベルの増大は、回復中の対象における再発、又は炎症性疾病若しくは感染症の発症若しくは悪化を示し得、診断試験(例えば、より高頻度の)及び処置の開始又は増加又は変化に繋がり得る。
【0113】
処置の有効性
本明細書に記載される方法は、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を処置されている対象(例えば、抗生物質、抗炎症剤、抗感染性薬剤、又はIAIPを用いて)における処置の有効性の評価にも使用することができる。IAIPレベルは、処置の開始に先立って又は後に測定してもよく、次いで処置中に継続して測定してもよい(例えば、1日1回、週に1回、2週間に1回、月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、又は年に2回)。処置過程中のIAIPレベルの増大(例えば、以前の測定値に対して1%、5%、10%、20%、30%以上の増大)は、改善を示し、処置の有効性を示すが、一定のIAIPレベル又はIAIPの低下(例えば、変化を示さない又は以前の測定値に対して1%、5%、10%、20%、30%以上の低下を示す1つ以上の測定値)は、改善の欠如を示し、処置過程が修正又は変更される必要があることを示唆する(例えば、用量若しくは頻度又は両方の増大、異なる治療法への変更、又は追加の治療薬を含むという修正)。
【0114】
IAIPの測定の代わりに又はそれに加えて、IAIP-IAIPリガンド複合体(例えば、IAIP-LPS)の検出は、炎症性疾病又は感染症の処置又は危険性の低下のための治療法による処置の有効性の評価に用いることができる。方法は、治療法を受けている対象におけるバイオマーカーとして、IAIP-IAIPリガンド複合体のレベルを測定することを含み、当該レベルは、処置の開始に先立って又は後に、次いで処置中に継続して測定されてもよい(例えば、1日1回、週に1回、2週間に1回、月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、又は年に2回)。IAIP-IAIPリガンド複合体のレベルは、対照値のレベル(例えば、健康な患者からの参照サンプル、又は対照対象(例えば、健康な患者)の集団の測定値から得た平均値)と、又は対象から取得した以前の測定値と比較してもよい。IAIP-IAIPリガンド複合体のレベルの「正常なレベル」に向かう低下又は処置中の後の時点での低下(例えば、以前の測定値に対して1%、5%、10%、20%、30%以上の低下)は、治療法が有効であることを示すであろう。IAIP-IAIPリガンド複合体のレベルの増大(例えば、以前の測定値又は「正常なレベル」に対して1%、5%、10%、20%、30%以上の増大)は、処置が無効であり、修正を必要とすることを示すであろう(例えば、より高い用量、より頻繁な投与、若しくは両方、又は異なる治療法又は併用療法)。
【0115】
処置の方法
本発明は又、本明細書に記載される診断方法に従って必要性を有すると決定された対象(例えば、ヒト)(例えば、参照と比較して又は以前の測定値と比較して、IAIP-IAIPリガンド複合体の低いレベル及び/又は高いIAIPレベルを有する対象)における、炎症性疾病若しくは状態又は感染症(例えば、重篤な感染症)を処置、予防、又はその発症の危険性を低減する方法を特徴とする。対象は、疾病若しくは状態及び/又はIAIPに適切な標準治療で処置することができる。対象は、新生児、小児、青少年、又は成人であってもよい。
【0116】
必要とする対象へのIAIP又は他の治療薬の投与に先立って、IAIP濃度を対象由来のサンプル中で本明細書に記載される方法に従って測定し得る。IAIPレベルの測定の代替として又はそれに加えて、方法は、IAIPの投与に先立ってIAIP-IAIPリガンド複合体を検出することを含み得る。例えば、方法は、細菌感染症(例えば、グラム陰性菌感染症)を有し又はそれが疑われる対象においてIAIP-LPS複合体を検出し、及び/又は対象由来のサンプル中のIAIP濃度を測定し、IAIPを対象に投与する(例えば、健康な対照又は参照値と比較して増大したIAIP-LPS複合体のレベル(例えば、健康な対照のレベルの1%、5%、10%、20%、30%以上高いIAIP-LPS複合体のレベルを有する対象にIAIPを投与する)、又は全身炎症若しくはショック症候群の危険性を有する対象(例えば、健康な対照よりも少なくとも25%低いIAIPレベルを有する対象)にIAIPを投与することを含み得る。
【0117】
IAIP又はIAIPを含む組成物は、それを必要とする対象(例えば、1つ以上の本明細書に記載される方法を用いることによって決定された)に投与され得る。IAIPで処置され得る対象は、感染症(例えば、グラム陰性菌感染症)を有する対象、又は感染症を発症する高い危険性を有する対象(例えば、免疫抑制、免疫不全(例えば、免疫無防備状態である対象)、高齢、やけど(例えば、熱傷)、外傷、手術、異物、癌、最近の出生(recent birth)(例えば、新生児)、早産(例えば、未熟に生まれた新生児)、肥満症、及びメタボリック症候群を含む1つ以上の危険因子を有する対象)を含む。感染症は、感染しているグラム陰性菌からのリポ多糖(LPS)分子の放出により引き起こされるエンドドキシンを原因とし得る。グラム陰性菌による重篤な感染症は、重篤な全身炎症、敗血症、ショック症候群、及び死をもたらし得る。本明細書に示すように、IAIPはLPSに結合し、従って、IAIPの投与は、グラム陰性菌で感染した対象を処置して、LPS誘導による細胞傷害性を低減又は予防するのに用いることができる。
【0118】
IAIPを用いた処置に好適な感染症は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含む大腸菌類種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)、及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasteurella)種 including、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌による感染症を含む。
【0119】
(例えば、1つ以上の本明細書に記載される方法を用いることにより)処置の必要性を有すると決定され、又はそのような決定後にIAIPで処置できると決定された対象は、急性炎症性疾病、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、全身炎症性応答症候群(SIRS)、外傷/傷害(例えば、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技)、卒中(例えば、虚血性卒中、出血性卒中)、急性肺傷害、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺炎(例えば、重篤な肺炎、重症又は非重症:市中感染肺炎、院内感染肺炎、ナーシングホーム感染肺炎)、壊死性腸炎、急性膵炎、急性腎臓傷害を含む腎疾病、肝臓傷害、急性循環不全、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、手術誘導炎症、膿瘍関連の炎症、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血(例えば、新生児低酸素性虚血性脳傷害又は低酸素性虚血性脳症)、組織虚血(例えば、骨格筋、平滑筋、心筋、脳、皮膚間葉組織、結合組織、胃腸組織、又は骨の虚血)、関節リウマチ、髄膜炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患(例えば、インフルエンザ又はウイルス感染、例えば、デング熱又はウエストナイル熱)等の炎症性疾病又は状態を有し又は発症する危険性を有する対象;低いIAIPレベル(例えば、250、225、200、175、150μg/mL以下のIAIPレベル)を有する対象、及び疾病関連のIAIP-IAIPリガンド複合体(例えば、IAIP-LPS又はIAIP-ヒストン)の増大したレベルを有する対象も含む。
【0120】
投与
IAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)、又はそのようなタンパク質及び薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤、又は担体を含む組成物は、本明細書に記載される診断方法に従って必要性を有すると決定された、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有する対象(例えば、参照と比較して又は以前の測定値と比較して、IAIP-IAIPリガンド複合体の低いレベル及び/又は高いIAIPレベルを有する対象)(例えば、ヒト)に、例えば、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、鼻腔内に、頬側に、舌下に、鼻腔内に、経口投与より、吸入、坐薬、直腸内に、経腟により、又は注射によるものを含む、任意の好適な経路により投与され得る。注射による投与は、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、真皮内、皮内、筋内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、硝子体内、及び頭蓋内注射を含む。患者が入院している場合、好ましい投与方法は、静脈内注射によるものである。
【0121】
IAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)又はそのようなタンパク質を含む組成物は、1、2、3、4、5、6、8、12、又は24時間毎に1回以上;1、2、3、4、5、又は6日毎に1回以上;又は1、2、3、又は4週間毎に1回以上、対象に投与され得る。他の場合、IAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)又はそのようなタンパク質を含む組成物は、連続注入として投与される。
【0122】
本発明の組成物で使用されるIAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)は、例えば、当該技術分野で既知の方法によりヒト血漿及び血液から得ることができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,139,641号参照)。
【0123】
詳細には、IAIPは、80%~100%(例えば、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%)の純度で天然源(例えば、血液)から得られ、本発明の組成物の調製に使用することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,932,365号参照)。本発明の組成物で使用されるIAIPは又、精製中、低pH条件(例えば、pH約4.0以下、例えば、約pH3.6以下の洗浄緩衝液)に暴露され得る(米国特許第9,139,641号に記載されているように)。
【0124】
組成物は、任意の好適なIAIP、例えば、IαI、PαI、重鎖、軽鎖、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、組成物は、IαI、PαI、及び/又はビクニンを含み得る。いくつかの場合、組成物はIαI及びPαIを含み得る。重鎖はH1、H2、H3、H4、又はH5であり得る。軽鎖はビクニンであり得る。
【0125】
組成物中のIAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)の比率又は濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多数の因子に応じて変動し得る。IAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)は、生理学的比率で組成物中に存在し得る。生理学的比率は、例えば、健康な人若しくは動物に見出される比率、及び/又はヒト血漿中に自然に現れるIαI及びPαIの比であり得る。生理学的比率は、典型的には約60%~約80% IαI及び約20%~約40% PαIである。
【0126】
IAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)又はその組成物は、例えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、7.5、又は10時間を超える半減期を有し得る。IAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)又はその組成物は、約5時間を超える半減期、又は好ましくは約10時間を超える半減期を有し得る。例えば、対象に経時的に投与するのに必要な用量が低下するため、より長い半減期が好ましい。
【0127】
投与量
本明細書に記載される診断方法に従って必要性を有すると決定された、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有する対象(例えば、参照と比較して又は以前の測定値と比較して、IAIP-IAIPリガンド複合体の低いレベル及び/又は高いIAIPレベルを有する対象)に対する投与のための薬学的に許容され得る本発明の組成物は、IAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)を当該技術分野で既知の投与量で含む(例えば、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,932,365号、国際特許出願公開第2009154695号、及び米国特許出願公開第2009/0190194号参照)。例えば、本発明の組成物は、約1mg/kg~50mg/kgの範囲の投与量、好ましくは10mg/kg~30mg/kgの投与量で投与され得る。用量は、1、2、3、4、5、6、8、12若しくは24時間毎、1、2、3、4、5若しくは6日毎、又は1、2、3若しくは4週間毎に1回以上、又は必要に応じて投与され得る。上記に挙げた用量よりも低い又は高い用量が有利であり得る。任意の特定の対象に対する特定の投与量及び処置レジメンは、使用する特定の組成物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬物の組み合わせ、疾病の重症度及び過程(例えば、患者の状態及び/又は症状)、疾病に対する対象の素質、及び医療従事者(例えば、医師)の処置の判断を含む様々な因子に依存するであろう。IAIPは、担体材料と組み合わされて単一の剤形を生成し得る。
【0128】
症状の改善に基づいて又は本明細書に記載されるようなIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の測定値により評価して、患者の状態の改善後、必要に応じて、IAIP組成物又は併用療法の維持用量を投与し得る。続いて、投与量又は投与頻度、又は両方を、症状の低下の関数として、改善した状態が保持されるレベルに低下させ得る。症状が所望のレベルに軽減され、又はIAIPが増大し、及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体が所望のレベルに低下した際、処置を終了し得る。しかしながら、対象は疾病症状の任意の再発、又はIAIPレベルの低下に基づいて、長期間の断続的な処置を必要とし得る。状態の改善は又、患者由来の生物学的サンプル(例えば、血液(例えば、全血、血漿又は血清)、気管支肺胞洗浄液(BALF)、痰、尿、脳脊髄液(CSF)、又は組織ホモジネート(例えば、肝臓生検のホモジネート)中のIαIpのレベルに基づいて判断し得る。生物学的サンプル中のIαIp及び/又はIAIP-IAIP複合体のレベルは、本明細書に記載されるアッセイの1つ以上を用いて決定することができる。
【0129】
製剤
本発明は、本明細書に記載される診断方法に従って必要性を有すると決定された、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有する対象(例えば、本明細書に記載される方法を用いて測定して、低いIAIPレベル、及び/又は高いIAIP-IAIPリガンド複合体、例えばIAIP-LPS複合体レベルを有すると見出された対象)に対するIAIPの投与方法を提供する。方法は、IAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)、IAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)及び薬学的に許容され得る賦形剤、担体若しくは希釈剤を含む組成物、又は、本明細書に記載されるような、2次処置と組み合わせたそのような組成物の投与を含む。組成物は、固体又は液体として処方され得る。組成物は、本明細書に記載されるものを含む任意の好適な手段による投与のために処方され得る。
【0130】
投与のためのIAIPの注射用形態が特に好ましい。IAIP及びそれを含む組成物は、静脈内、腹腔内、皮下、皮内、筋内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、皮内、硝子体内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技術のために処方され得る。医薬組成物は、例えば、無菌注射用水性又は油性縣濁液としての無菌注射用製剤の形態であり得る。この縣濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤(例えば、TWEEN(登録商標)80等)及び懸濁剤を使用して、当該技術分野で既知の技術に従って処方され得る。無菌注射用製剤は又、無毒の非経口的に許容され得る希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は縣濁液であってもよい。
【0131】
組成物は又、カプセル剤、錠剤、丸剤、乳剤及び水性縣濁剤、分散剤及び液剤を含むがこれらに限定されない、任意の経口的に許容され得る剤形で、経口投与用に処方されてもよい。錠剤等の固体組成物を調製するために、IAIPは医薬賦形剤と共に混合されて、均質混合物を含む固体プレ製剤組成物を形成し得る。次いで、この固体プレ製剤は、例えば、1mg/kg~約50mg/kgのIAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)を含む、上述したタイプの単位剤形に更に分割され得る。固体プレ製剤は、約10mg/kg~30mg/kgのIAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)を含み得る。本発明の錠剤又は丸剤は、被覆され、又は別様に配合されて、長期作用の利点を提供する剤形を提供することができる。
【0132】
組成物が経口投与用、又は注射による投与用に組み込まれ得る液体形態は、水溶液、好適には風味付けされたシロップ剤、水性又は油性縣濁液、及び、綿実油、ゴマ油、ヤシ油、又はピーナッツ油等の食用油を有する風味付けされた乳剤、並びにエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルを含む。
【0133】
吸入又は通気用の組成物は、薬学的に許容され得る水性又は有機溶媒中の溶液及び縣濁液、又はそれらの混合物、並びに粉末を含む。液体又は固体組成物は、本明細書に記載される及び/又は当該技術分野で既知のように、好適な薬学的に許容され得る賦形剤を含み得る。組成物は、局部又は全身効果のために経口又は経鼻呼吸経路により投与され得る。組成物は、不活性ガスの使用により噴霧されてもよい。
【0134】
組成物の局所投与は、所望の処置が局所適用によって容易に接近可能な範囲又は器官を含む場合に有用である。皮膚への局所適用のために、組成物は、担体中に懸濁又は溶解した活性成分を含む好適な軟膏を用いて処方される必要がある。あるいは、医薬組成物は、担体中に懸濁又は溶解した活性成分を含む好適なローション又はクリームと、好適な乳化剤を用いて処方され得る。
【0135】
医薬組成物は又、直腸投与用の坐薬の形態で投与されてもよい。この組成物は、本発明の組成物を、室温で固体であるが、直腸温度で液体であり、従って直腸内で融解して活性成分を放出する好適な非刺激性賦形剤と共に混合することにより調製され得る。局所経皮パッチも本発明に含まれる。
【0136】
対象に投与される組成物は、上述した医薬組成物の1つ以上の形態にあり得る。これらの組成物は、従来の滅菌技術により滅菌され得、又は無菌濾過され得る。水性溶液は、そのままで使用用に包装され、又は凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥製剤は、投与に先立って無菌水性担体と組み合わされる。
【0137】
他の送達システムは、時間放出、遅延放出又は徐放送達システムを含み得る。そのようなシステムは、本発明の組成物の反復投与を避けることができ、対象及び医師に対する利便性を増大させる。多数のタイプの放出送達システムが入手可能であり、当業者に既知である。それらは、(米国特許第3,773,919号;欧州特許第58,481号、欧州特許第133,988号、Sidman、K.R.et al.,Biopolymers 22:547-556、及びLanger、R.et al.,J.Biomed.Mater.Res.15:267-277;Langer、R.Chem.Tech.12:98-105)に記載されているもの等のポリマーベースのシステムを含む。徐放組成物の他の例としては、成形物品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態の半透過性ポリマーマトリクスが挙げられる。送達システムは:脂質;ヒドロゲル放出システム;サイラスティックシステム;ペプチドベースのシステム;ワックスコーティング;従来の結合剤及び賦形剤を使用した圧縮錠剤;部分的に融合したインプラント等の非ポリマーシステムも含む。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかであろう(例えば、米国特許第4,452,775号、米国特許第4,667,014号、米国特許第4,748,034号及び米国特許第5,239,660号、米国特許第3,832,253号、及び米国特許第3,854,480号参照)。
【0138】
医薬品の処方方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Niazi、Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations(Second Edition)、CRC Press 2009は、液体、無菌、圧縮、半圧縮及びOTC形態の製剤開発を記載している。経皮及び粘膜送達、リンパ系送達、ナノ粒子、制御放出システム、セラノスティクス、タンパク質及びペプチド薬物、及び生物製剤送達は、Wang et al.,Drug Delivery:Principles and Application(Second Edition)、Wiley 2016に記載され;ペプチド及びタンパク質薬剤の製剤及び送達は、例えば、Banga、Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation、Processing、and Delivery Systems(Third Edition)、CRC Press 2015に記載されている。
【0139】
併用療法
本発明の方法は、第2の処置(例えば、スタンドアローン療法として、又はIAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)若しくはその組成物に加えて)を、炎症性疾病又は状態(例えば、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、SIRS、外傷/傷害(例えば、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技)、卒中(例えば、虚血性卒中、出血性卒中)、急性肺傷害、ARDS、肺炎(例えば、重篤な肺炎、重症又は非重症:市中感染肺炎、院内感染肺炎、ナーシングホーム感染肺炎)、壊死性腸炎、急性膵炎、急性腎臓傷害を含む腎疾病、肝臓傷害、急性循環不全、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、手術誘導炎症、膿瘍関連の炎症、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血、組織虚血、関節リウマチ、髄膜炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患)又は感染症(例えば、細菌感染症)の処置のために投与又は共投与することも含む。例えば、第2の処置は、対象が細菌感染症有し又は発症する危険性を有する場合に抗生剤、対象がウイルス感染症(例えば、デング熱又はウエストナイル熱)を有し又は発症する危険性を有する場合に抗ウイルス剤、対象が真菌感染症を有し又は発症する危険性を有する場合に抗真菌剤、対象が寄生虫感染症を有し又は発症する危険性を有する場合に抗寄生虫薬、対象が本明細書に記載される炎症性疾病又は状態を有し又は発症する危険性を有する場合に抗炎症剤、対象が癌又は癌転移を有し又は発症する危険性を有する場合に抗癌剤、対象が卒中又は心筋梗塞を有し又は発症する危険性を有する場合に抗凝血剤、対象が癌又は自己免疫性疾病若しくは状態(例えば、炎症性腸疾患又は関節リウマチ)を有する場合に免疫調節剤、及び対象が急性肺傷害、ARDS、又は肺炎を有し又は発症する危険性を有する場合に気管支拡張剤、補体阻害剤、昇圧剤、鎮静剤、又は人工呼吸を投与することを含み得る。
【0140】
方法がIAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)、又はIAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)及び薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤又は担体を含む組成物と、1つ以上の第2の処置薬剤との組み合わせを投与することを含む場合、各薬剤は、単剤療法レジメンで通常投与される投与量の約1~100%、より好ましくは約5~95%の投与量レベルで存在する。第2の処置の薬剤は、多用量レジメンの一部として、IAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)又はその組成物とは別個に投与されてもよい。IAIP及び第2の処置の薬剤は、同時に、又は任意の順序で連続して投与されてもよい。あるいは、第2の処置の薬剤は、例えば、単一の組成物中でIAIP(例えば、IαI及び/又はPαI)と共に混合された単一の剤形の一部であってもよい。
【0141】
IAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)と組み合わせて投与され得る薬剤としては、ジデオキシヌクレオシド、例えばジドブジン(AZT)、2’,3’-ジデオキシイノシン(ddI)及び2’,3’-ジデオキシシチジン(ddC)、ラミブジン(3TC)、スタブジン(d4T)、及びTRIZIVIR(アバカビル+ジドブジン+ラミブジン);非ヌクレオシド、例えば、エファビレンツ(DMP-266、DuPont Pharmaceuticals/Bristol Myers Squibb)、ネビラピン(Boehringer Ingleheim)、及びデラビリジン(delaviridine)(Pharmacia-Upjohn);Ro 3-3335及びRo 24-7429等のTAT拮抗薬;プロテアーゼ阻害剤、例えば、フューリン阻害剤、インジナビル(Merck)、リトナビル(Abbott)、サキナビル(Hoffmann LaRoche)、ネルフィナビル(Agouron Pharmaceuticals)、141 W94(Glaxo-Wellcome)、アタザナビル(Bristol Myers Squibb)、アンプレナビル(GlaxoSmithKline)、ホスアンプレナビル(GlaxoSmithKline)、チプラナビル(Boehringer Ingleheim)、KALETRA(ロピナビル+リトナビル、Abbott)、及び9-(2-ヒドロキシエトキシメチル)グアニン(アシクロビル)等の他の薬剤;インターフェロン、例えば、α-インターフェロン、インターロイキンII、及びホスホノギ酸(Foscarnet);又は侵入阻害剤、例えば、T20(エンフビルチド、Roche/Trimeris)又はUK-427,857(Pfizer)、レバミソール又はサイモシン、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ゲフィチニブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、アセトアミノフェン、ミソニダゾール、アミホスチン、タムスロシン、フェナゾピリジン、オンダンセトロン、グラニセトロン、アロセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、プロクロルペラジン、トリメトベンズアミド、アプレピタント、アトロピンを伴うジフェノキシラート、及び/又はロペラミド;並びに抗凝血剤、例えば、抗トロンビンIII及び活性化タンパク質Cが挙げられる。
【0142】
IAIP(例えば、Iαl及び/又はPαI)と組み合わせて投与され得る追加の例示的な薬剤としては、下記に説明するそれらの組成物が挙げられる。
【0143】
抗生剤
対象が細菌感染症(例えば、壊死性腸炎又はグラム陰性菌感染症)を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、細菌感染症の処置に使用される抗生剤を含み得る。抗生剤の非限定的な例としては、アモキシシリン、ペニシリン、ドキシサイクリン、クラリスロマイシン、ベンジルペニシリン、アジスロマイシン、ダプトマイシン、リネゾリド、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン、マクロライド、セファロスポリン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、セフロキシム、アモキシリン-クラブラン酸カリウム、エリスロマイシン、スルファメトキサゾール-トリメトプリム、ドキシサイクリン一水和物、セフェピム、アンピシリン、セフポドキシム、セフトリアキソン、セファゾリン、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、メロペネム、ピペラシリン-タゾバクタム、アミカシン、エリスロマイシンステアリン酸塩、右旋糖中のセフェピム、ドキシサイクリンhyclate、アンピシリン-スルバクタム、セフタジジム、ゲミフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、イミペナム-シラスタチン(cilastatin)、セフォキシチン、セフジトレンピボキシル、エルタペネム、ドキシサイクリン-ベンゾイル過酸化物、アンピシリン-スルバクタム、メロペネム、セフロキシム、セフォテタン、ピペラシリン-タゾバクタム、広範囲のフルオロキノロン(例えば、マイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumoniae)又はクラミドフィラ・ニューモニア(Chlamydophila pneumoniae)等の異型細菌を原因とする肺炎の処置に使用され得る)、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0144】
抗ウイルス剤
対象がウイルス感染(例えば、デング熱又はウエストナイル熱)を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、ウイルス感染の処置に使用される抗ウイルス剤を含み得る。抗ウイルス剤の非限定的な例としては、ザナミビル、オセルタミビル、ペラミビル、リバビリン、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、シドホビル、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0145】
抗真菌剤
対象が真菌感染症を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、真菌感染症の処置に使用される抗真菌剤を含み得る。抗真菌剤の非限定的な例としては、アンホテリシン、カスポファンギン、ボリコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0146】
抗寄生虫薬
対象が寄生虫感染症を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、寄生虫感染症(例えば、寄生虫原生動物感染症の処置に使用される抗寄生虫薬を含み得る。抗寄生虫薬の非限定的な例としては、ニタゾキサニド、メラルソプロール、エフロルニチン、メトロニダゾール、チニダゾール、ミルテホシン、メベンダゾール、ピランテルパモ酸塩、チアベンダゾール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン、アルベンダゾール、プラジカンテル、リファンピン、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0147】
抗炎症剤
対象が本明細書に記載される炎症性疾病又は状態を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、炎症の処置又は軽減に使用される抗炎症剤を含み得る。抗炎症剤の非限定的な例としては、コルチコステロイド、スタチン、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、グルココルチコイド、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0148】
気管支拡張剤
対象が急性肺傷害、ARDS、又は肺炎を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、気管支筋肉を弛緩させて気道を拡大し、肺に空気を通すのに使用される気管支拡張剤を含み得る。気管支拡張剤の非限定的な例としては、β2作動薬、キサンチン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、ムスカリン性受容体拮抗薬、イプラトロピウム、オキシトロピウム、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン、サルブタモール、イソプロテレノール、アルブテロール、レバルブレロール(levalburerol)、ピルブテロール、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール、ホルモテロール、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0149】
昇圧剤
対象が急性肺傷害、ARDS、肺炎、又は外傷/傷害(例えば、創傷、やけど、又は外科手技)を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、血管収縮を引き起こし及び/又は血圧を増大させる昇圧剤を含み得る。昇圧剤の非限定的な例としては、エピネフリン、イソプロテレノール、フェにレフリン、ノルエピネフリン、ドブタミン、エフェドリン、ドロキシドパ、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0150】
鎮静剤
第2の処置は、鎮静剤を含み得る。鎮静剤の非限定的な例としては、プロポフォール、ディプリバン、モルヒネ、フェンタニル、ミダゾラム、ロラゼパム、プレシード(precede)、インフモルフ(infumorph)、デクスメデトミジン、アルフェンタニル、及び当該技術分野で既知のその他が挙げられる。
【0151】
補体阻害剤
対象が急性肺傷害、ARDS、又は肺炎を有し又は発症する危険性を有する場合、第2の処置は、補体活性化の阻害剤を含み得る。組成物は、C1、C2、C3(例えば、C3a及びC3b)、C4(例えば、C4b)、C5(例えば、C5a及びC5b)、C6、C7、C8、C9、膜攻撃複合体、B因子、D因子、MASP-1、及びMASP-2、又はそれらの断片等の1つ以上の補体成分の活性化を阻害し得る。補体阻害剤は、C1-INH及びRhucin/rhC11NH等のプロテアーゼ阻害剤、sCR1/TP10、CAB-2/MLN-2222等の可溶性補体制御因子、エクリズマブ/SOLIRIS(登録商標)、ペキセリズムナ(Pexelizumna)、オファツムマブ等の治療的抗体、コンプスタチン等の補体成分阻害剤、PMX-53及びrhMBL等の受容体拮抗薬を含み得る。
【0152】
キット
本発明は又、患者(例えば、新生児、小児、青少年又は成人等のヒト患者)由来のサンプル(例えば、流体サンプル)中のIAIPの測定で使用されるキットを特徴とする。キットは、以下の1つ以上を含み得る:支持体(例えば、プレート(例えば、マルチウェルプレート))、粒子(例えば、磁気ビーズ、例えば、ナノ粒子、磁気ナノ粒子)、バイオチップ、樹脂、容器(例えば、チューブ)、膜(例えば、ニトロセルロース膜、PVDF膜)、試験片(例えば、セルロース、ガラス繊維、又はニトロセルロース)又は固定化されたIAIP結合剤(例えば、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンド)を含むビーズ(例えば、タンパク質A又はタンパク質Gビーズ、磁気ビーズ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ))、標識されたIAIP検出剤(例えば、IAIPリガンド又はIAIP特異的抗体)、洗浄緩衝液、ブロッキング剤、標識検出のための基質、希釈薬剤、及び検出アッセイを行うための説明書。結合剤及び検出剤は、容器内に提供されてもよく、又は結合剤は支持体に予め付着されて提供されてもよい(例えば、結合剤はプレート又は試験片に既に付着されている)。
【0153】
本発明は又、患者由来のサンプル(例えば、流体サンプル)中のIAIP-IAIPリガンドの測定で使用されるキットを特徴とする。キットは、以下の1つ以上を含み得る:支持体(例えば、プレート(例えば、マルチウェルプレート))、粒子(例えば、磁気粒子、例えば、ナノ粒子、磁気ナノ粒子)、バイオチップ、樹脂、容器(例えば、チューブ)、膜(例えば、ニトロセルロース膜、PVDF膜)、試験片(例えば、セルロース、ガラス繊維、又はニトロセルロース)又は固定化された結合剤(例えば、IAIP特異的抗体、異なるIAIPリガンド、又はIAIPに特異的に結合する抗体リガンド)を含むビーズ(例えば、タンパク質A又はタンパク質Gビーズ、磁気ビーズ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ))、標識された検出剤(例えば、異なるIAIPリガンド、IAIP特異的抗体、又はIAIPに特異的に結合する抗体リガンド)、洗浄緩衝液、ブロッキング剤、標識検出のための基質、膨張剤、及び検出アッセイを行うための説明書。結合剤及び検出剤は容器内に提供されてもよく、又は結合剤は支持体に予め付着されていてもよい(例えば、結合剤は、プレート又は試験片に既に付着されていてもよい)。
【実施例】
【0154】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を更に説明するために提供され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない;それらの例示的な性質、当業者に既知の他の手順、方法論、又は技術を代替的に使用できることが理解されるであろう。
【0155】
実施例1:ヘパリン-IAIPアッセイ
ビオチン化ヘパリンの調製
ヘパリン(ヘパリンナトリウム注射USP、Sagent Pharmaceuticals、Cat#NDC 25021-400-30)をビオチンヒドラジド試薬(ApExBIO、Cat#A87007)を使用して製造業者の説明書に従ってビオチンとコンジュゲートした。手短には、1000IUヘパリン溶液を、以前にpH4.7の0.1M MES緩衝液中のDMSOに溶解した0.25mg架橋剤試薬EDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-3エチルカルボジイミド塩酸塩、Alfa Aesar Cat#A10807)及び0.5mMビオチンヒドラジドと混合し、室温で3時間穏やかに混合した。非コンジュゲート化ビオチン及び緩衝液交換を、5kDaカットオフフィルター膜(Millipore)を有するAmicon Ultra遠心フィルター装置上で限外濾過により行った。d-H2O中での希釈後、ビオチン化ヘパリンはアッセイで使用される準備が整った。
【0156】
「サンドイッチ型」ヘパリン-IAIP ELISA
ヒトIAIPの軽鎖に対する精製マウスモノクローナル抗体(MAb 69.26)を、96ウェルマイクロプレート(Immulon 600、Greiner BioOne)上に200ng/ウェルで32℃で2時間固定化した。5%無脂肪粉乳で1時間ブロッキングし、TBS-T(TBS+0.05% Tween 20)で洗浄した後、未知のサンプル及び既知のIAIP標準をTBS+0.1% Tween 20中で希釈し、マイクロプレートに加えた(最終容積50uL/ウェル)。サンプル及び段階希釈IAIP標準溶液を32℃で1時間インキュベートした。マイクロプレートをTBS-Tで数回洗浄した後、ビオチン化ヘパリンを20mM酢酸+25mM NaCl、pH4.0(1:2500)を含む緩衝液中で希釈し、ウェル当たり50μLを加えた。ビオチン化ヘパリンを32℃で30分間インキュベートし、次いでマイクロプレートをTBS-Tを使用して少なくとも3回洗浄した。最終的に、1:5000(50uL/ウェル)に希釈したHRP-コンジュゲート化ストレプトアビジン(Pierce)をマイクロプレートに加えた。洗浄後、50μLの基質TMBを加え(Neogen Enhanced K-Blue TMB基質)、50μL 1M HClを加えることにより反応を停止し、分光光度計(Molecular Devices)で450nM波長で色変化を読み取った。4点ロジスティック回帰(SoftMax Proソフトウエア、Molecular Devices)を用いて標準曲線を生成し、
図3Bに示すように、最大IAIP濃度2.0μg/mLから連続2倍希釈で0.03125μg/mLまでの7点曲線をプロットした。未知のサンプルのIAIP濃度を、生成した標準曲線に基づいて計算した。
【0157】
実施例2:LPS-IAIPアッセイ
ビオチン化エンドドキシン/LPS(リポ多糖)の調製:
大腸菌(Escherichia coli)055:B5(Sigma Catalog # L2280)由来のリポ多糖(LPS/エンドドキシン)を、ビオチンヒドラジド試薬(ApExBIO、Cat#A87007)を使用して、製造業者の説明書に従って、又ヘパリンで使用したプロトコルと同様に、ビオチンで標識した。10mgのLPSを0.1M MES緩衝液中で再構成し、2.5mMビオチン-ヒドラジド及び2.5mg EDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-3エチルカルボジイミド塩酸塩、Alfa Aesar Cat#A10807)を室温で3時間穏やかに混合した。非コンジュゲート化LPSの除去及び緩衝液交換を、5kDaカットオフフィルター膜(Millipore)を有するAmicon Ultra遠心フィルター上での限外濾過により行った。d-H2O中で希釈した後、ビオチン化LPSは、アッセイで使用される準備が整った。
【0158】
「サンドイッチ型」LPS-IAIP ELISA
上述したヘパリン-IAIPプロトコルと同様に、ヒトIAIPの軽鎖に対する精製マウスモノクローナル抗体(MAb 69.26)を、96ウェルマイクロプレート(Immulon 600、Greiner BioOne)上に50ng/ウェルで32℃で2時間固定化した。5%無脂肪粉乳で1時間ブロッキングし、TBS-T(TBS+0.05% Tween 20)で洗浄した後、未知のサンプル及び既知のIAIP標準をTBS+0.1% Tween 20中で希釈し、マイクロプレートに加えた(最終容積50uL/ウェル)。サンプル及び段階希釈IAIP標準溶液を32℃で1時間インキュベートした。マイクロプレートをTBS-Tで数回洗浄した後、ビオチン化LPSを20mM酢酸+25mM NaCl、pH4.0(1:32,000)を含む緩衝液中で希釈し、ウェル当たり50uLを加えた。ビオチン化LPSを32℃で30分間インキュベートし、次いでマイクロプレートをTBS-Tを使用して少なくとも3回洗浄した。最終的に、1:10,000(50μL/ウェル)に希釈したHRP-コンジュゲート化ストレプトアビジン(Pierce)をマイクロプレートに加えた。洗浄後、50μLの基質TMBを加え(Neogen Enhanced K-Blue TMB基質)、50μL 1M HClを加えることにより反応を停止し、分光光度計(Molecular Devices)で450nM波長で色変化を読み取った。4点ロジスティック回帰(SoftMax Proソフトウエア、Molecular Devices)を用いて標識曲線を生成し、
図3Cに示すように、最大IAIP濃度2.0μg/mLから連続2倍希釈で0.03125μg/mLまでの7点曲線をプロットした。
【0159】
実施例3:重症市中感染肺炎(sCAP)と診断された患者由来の血液サンプルの分析
Rhode Island Hospitalの集中治療室に入院しているsCAPの確定診断を有する患者から連続血液サンプルを収集した。16人の患者を本研究に登録し、0(ICU入室時)、1、3及び7日目に血漿を収集した。確立された競合ELISA(
図2A)及び両サンドイッチ型ELISAを用いて、ビオチン化ヘパリン又はビオチン化LPSを検出分子として使用して、IAIPのレベルを決定した(
図3A)。17~71歳の95人の健康な対照からの血液サンプル(健康な血液ドナーから得られ、Rhode Island Blood Centerから購入された)を、健康対照におけるIAIPレベルとsCAP患者で測定したレベルとの比較のために、この研究に含めた。結果を
図4、5及び6に示す。
【0160】
結果は、入院時及び疾患進行中(7日目まで)に、IAIPレベルが健康な対照と比較してsCAP患者で有意に低かったことを示す。従って、IAIPレベルは予後の評価と治療決定を行う際に医師を導くために使用できる。競合ELISAはsCAP患者のIAIPレベルの低下を示したが、ビオチン-コンジュゲート化ヘパリン及び/又はLPSを特異的結合リガンドとして使用した「サンドイッチ型」ELISAアッセイでは、より統計的に有意な結果が得られた(p値=0.0001、健康な対照と比較した0、1、3及び7日目のIAIPレベルの間)。ビオチン-コンジュゲート化ヘパリン及び/又はLPSを使用した「サンドイッチ型」ELISAアッセイでも、sCAP患者のIAIP濃度は低く、sCAP患者と健康な対照で測定したIAIP濃度の間に大きな差が生じた。これらのデータは、標識IAIPリガンドを使用する「サンドイッチ型」ELISAアッセイが、競合ELISAアッセイよりも感度が高く、潜在的に精度が高いことを示す。
【0161】
Rhode Island Hospitalの集中治療室に入院した敗血症を有する対象由来のサンプルを評価するためにも、同じアッセイを用いた。これらのアッセイは類似した結果をもたらした。正常な健康な対照のIAIP値は、競合ELISA(平均±SEM=328.9+6.34μg/mL)及び両LPS又はヘパリン-IAIPアッセイ(337.7±9.05及び421.8±14.47μg/mL)で類似しているが、肺炎及び敗血症群におけるIAIPのレベルは、競合ELISAで有意に高く、これは疾病群と健康な対照との間で低い統計的有意差をもたらし、又は統計的有意差がなかった(
図8A~8C)。
【0162】
実施例4:IAIPに対するヘパリンの結合の分析
IAIPに対するヘパリンの特異的結合の評価を、ウェスタンブロット分析を用いて行った。高度に精製したIAIP(1μg)、正常ヒト血漿(1μL)、精製ビクニン(注射用ウリナスタチン、Techpool、2μg)及び陰性対照としてのヒト血清アルブミン(HSA、2μg)を7.5% SDS-PAGEゲル上で分離し、ニトロセルロース膜に転写した。5%無脂肪粉乳でブロッキングした後、ニトロセルロース膜をビオチン-コンジュゲート化ヘパリン(TBS中1:500)と室温で一晩インキュベートした。TBS+0.05%Tweenで数回洗浄した後、HRP-コンジュゲート化ストレプトアビジン(1:15,000)を加え、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、基質金属増強DAB(Pierce)を加えて反応性バンドを可視化した。
【0163】
ビオチン-コンジュゲート化ヘパリンは、レーン2(
図7)に示すように、MAb 69.26(ヒトIAIPに対するモノクローナル抗体)と同様、精製IAIP(250kDa IαI及び125kDa PαI)に特異的に結合した。軽鎖(ビクニン)に結合したMAb 69.26(レーン3)とは対照的に、ビオチン-コンジュゲート化ヘパリンはIAIPの軽鎖に結合せず、ヘパリンが重鎖を介してIAIPに結合することが示唆された。IAIPの重鎖はヘパリンに特異的に結合しているようである。
【0164】
ヒト血漿中のビオチンコンジュゲート化ヘパリンによって複数の反応性タンパク質バンドが検出され(
図7、レーン1)、HSAへの結合は検出できなかった。
【0165】
更に、遊離ビクニンはヘパリン-IAIP又はLPS-IAIP ELISAでは検出されず、インタクト重鎖を有するIAIP複合体のみがヘパリン又はLPS-IAIP ELISAを用いて測定されることが示唆された。これらのデータは、ヘパリン及び/又はLPS(又はIAIPリガンド)を使用したサンドイッチ型ELISAが、競合IAIPアッセイ(
図2A)等の他の既知のIAIPアッセイと比較して精度及び頑健性を高めた対象(例えば、病的状態の対象)における循環IAIP複合体の評価を提供することを示す。
【0166】
実施例5:固定化された血漿由来IAIPに対するビオチン化LPSの結合
IAIPに対するLPSの直接結合をインビトロで研究するために、IAIP及び他の対照タンパク質(BSA=ウシ血清アルブミン;ビクニン(IAIPの軽鎖);並びにモノクローナル抗体MAb 69.26の精製IgG)を1000μg/ウェルで96ウェルマイクロプレート(Greiner Microlon 600)上に固定化し、無脂肪粉乳(TBS+0.1%Tween 20中5%)でブロッキングした。洗浄後、100μgビオチン化LPS(大腸菌(Escherichia coli)O55:B5由来のリポ多糖、Sigmaから購入、Cat# L2880)を各ウェルに加え、TBS+150mM CaCl
2緩衝液中で室温で1時間インキュベートした。TBS+0.1%Tweenで数回洗浄した後、HRP-コンジュゲート化ストレプトアビジンを加え、1時間インキュベートした。最終的に、TMB基質を加え、1M HCl溶液を加えることにより反応を停止した。色変化及び吸光度を450nMで分光測定により測定した。LPSに結合することが記載されているため(David SA、et al.,Innate Immunity 1995;2(2):99-106)陽性対照としての役割を果たしたBSA又はMAb 69.26のIgG(陰性対照)と比較して、IAIPに対するビオチン化LPS分子の有意な結合が見出された(
図9)。LPSはIAIPの軽鎖(ビクニン)に有意に結合せず、IAIPの重鎖がLPSに対する結合を促進することが示唆された。結合は又、グリコサミノグリカン鎖により介在され得る。
【0167】
実施例6:固定化LPSに対するビオチン化IAIPの結合
前の実験を逆にして、ビオチン化IAIP(4μg/ウェル)を加え、固定化LPS(100μg/ウェル)、BSA(2μg/ウェル)、陽性対照としてのMAb 69.26のIgG(2μg/ウェル)、及び陰性対照(ブランク)としての無脂肪粉乳(2μg/ウェル)に対して1時間固定化した。数回の洗浄後、HRP-コンジュゲート化ストレプトアビジンを加え、続いてTMB基質をマイクロプレートウェルに加えた。固定化LPSに対するビオチン化IAIPの有意な結合を検出した一方、固定化BSA又は無脂肪粉乳に対するIAIPの有意に低い結合が観察された(
図10)。この実験で陽性対象としての役割を果たしたMAb 69.26(ヒトIAIPに特異的なモノクローナル抗体)のIgGは、ビオチン化IAIPに強く結合した。
【0168】
実施例7:IAIP-LPS結合に対するpH効果の分析
IAIPとLPSの結合を更に特徴付けるために、同様の固相結合実験を行った。ビオチン化IAIPを様々なpH条件下で固定化LPS、MAb 69.26のIgG(陽性対照)、又はBSA(陰性対照)と共にインキュベートした。低pH溶液(pH3~6)には酢酸塩緩衝液(50mM)を用い、中性又は高pH溶液(pH7~9)を得るためにTris-HCl緩衝液(50mM)を用いた。ビオチン化IAIPはpH5で強く結合したが、pH3又は4では結合は観察されなかった(
図11)。pH5を超えて上昇したときにIAIPの結合の低下が観察された。IAIPのその特異的モノクローナル抗体MAb 69.26への結合は、pH7でピークに達したが、興味深いことに、pHをpH9まで上昇させても有意な変化はなかった。同様に、pH3及び4ではモノクローナル抗体へのIAIPの結合は無視できた。ビオチン化IAIPとBSAの間には結合は観察されなかった。結果は、IAIPとLPSの間の最適結合がpH4~7の範囲、特に約pH5で起こることを明らかに示唆する。
【0169】
実施例8:IAIP-LPS結合に対する塩濃度の効果の分析
ビオチン化IAIPとマイクロプレート上の固定化LPSとのインキュベーション中、増大する量の塩(NaCl)を緩衝液に加えることにより、塩濃度の効果を研究した。LPSに対するIAIPの結合は、塩濃度の増大に伴い減少したが、この減少は、塩濃度1200mMでも有意ではなく、LPSに対するIAIPの結合は、この実験で陽性対照として使用した、ヒトIAIPに対するモノクローナル抗体(MAb 69.26)に対するIAIPの特異的結合と同様に、比較的強く特異的であることが示唆された(
図12)。
【0170】
実施例9:IAIP-LPS結合に対する非イオン性洗剤(NP-40及びTween-20)の効果の分析
固定化LPSに対するビオチン化IAIPの結合に対する、増大する濃度の非イオン性洗剤ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP-40)(
図13)及びTween 20(
図14)の効果を研究するために、更なる検討を行った。0.05%(w/w)NP-40又はTween-20が、LPSに対するIAIPの結合反応に添加された場合、洗剤を添加しないTBS緩衝液単独と比較して、結合の増大が観察された。低い洗剤量は、LPSに対する結合を促進し得、LPS分子の脂質結合ドメインがこの相互作用に関与し得ることが示唆される。洗剤の量が1%まで増加された場合でも、殆どのIAIPが尚LPSに結合していたため、IAIPの結合は尚、比較的強く、インビトロでのIAIPとLPSの強い相互作用が示された。同様に、ビオチン化IAIPは高い特異性及び親和性でMAb 69.26に強く結合し、1%までの洗剤の添加は結合を有意に変化させなかった。対照的に、陰性対照(BSA)はIAIPに対する結合を示さなかった。
【0171】
実施例10:迅速側方流動イムノアッセイ(LFIA)を用いたIAIPの定量化
本明細書に記載される方法は、側方流動イムノアッセイ(LFIA)を用いたIAIPの迅速定量化に使用することができる。実施例1~3に記載し及び用いた「サンドイッチ型」IAIP ELISAを、重篤な炎症状態(例えば、新生児敗血症(NS)及び壊死性腸炎(NEC))の高い危険性を有する対象(例えば、乳児、青少年又は成人)の特定に使用できるLFIA、ポイントオブケア(POC)の、迅速な、信頼できる定量的及びユーザーフレンドリー試験に適合させることができる。LFIAは、a)20~700μg/ml IAIPの線形範囲を測定し;b)150μg/ml付近(例えば、約100~約200μg/mL)でIAIPレベルの高い精度を示し(例えば、<5%の可変性又は誤差);c)1時間以下(例えば、15分間以下、例えば10、7、又は5分間以下)で結果が得られ;及びd)血漿又は全血サンプルの少量のサンプル容積<150μL(例えば、150、100、75、50、25、15μL以下)を必要とすることができる。
【0172】
試験は、対象(例えば、未熟児、乳児、青少年又は成人)における調節不全炎症性応答の迅速な特定に使用することができる。早期の介入は、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を経験している患者の生存率を改善するのに重要であることが既知である。
【0173】
新生児において、例えば、早期介入プロトコルを適用する能力は、多くの場合、そのような状態(例えば、NS及びNEC)を重篤さが低い他の疾病から特定することの困難さにより制限される。IAIPの卓越した陰性予測値は、例えば、現在の試験では情報が得られなかった対象(例えば、乳児、青少年、又は成人)における抗生物質処置の早期終了のような、困難な決定を行うよう臨床医を導くことを助け得る。更に、治療的タンパク質として、IAIPは、臨床的に病気の対象(例えば、乳児、青少年、又は成人)に有益であり得、血液レベルは有用なセラノスティックマーカーの役割を果たして、医師がIAIP又は他の付属的治療薬との代替療法に関する情報に基づく決定を行うこと及び疾病進行を監視することを助け得る。
【0174】
短時間(例えば、15分以下)で読み取り可能な性格な定量的結果を有する単純な、ユーザーフレンドリーな携帯型装置を使用して、処置(例えば、抗生物質処置)の開始及び期間等の治療的決定に影響を与えるのに使用できる、IAIPに基づく迅速ポイントオブケア試験は、革新的であるだけでなく、病的状態及び死亡率の低減を助けるのに臨床的に有用である。
【0175】
LFIAは、対象由来のサンプルを試験片(例えば、セルロース、ガラス繊維、又はニトロセルロース)に加え、次いで緩衝液を使用してこれを試験片内に押し出すことを含む。試験片は、IAIP結合剤(例えば、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンド)を含む。標識された検出剤(例えば、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンド)は、サンプルの前、後、又は同時に試験片に加えられ、IAIPの迅速定量化のための標準方法を使用して可視化され得る。
【0176】
a)金-コンジュゲート化試薬:金ナノ粒子を、その優れたコロイド安定性により、(LFIA)フォーマットにおいて試薬を標識するのに使用し得る。ヒドラジドで機能化した金ナノ粒子の安定な製剤は、市販されている(Innova Bioscience)。通常、抗体は、検出剤としてのコロイド金に共有結合されるが、ヘパリン又はLPSは、InnovaCoat金ナノ粒子を使用して、それらの糖鎖を介して同様にコンジュゲート化され得る。LPS及びヘパリンの金コンジュゲーションは、小規模で行われ、それらの安定性及びLFIAにおける性能を試験することができる。
【0177】
b)LFIAの捕捉、検出、サンプル試薬及び条件の最適化:下記に説明する競合LFIA開発の経験を踏まえて、捕捉ライン上のMAb 69.26の調製及びコーティング条件、並びにブロッキング剤、界面活性剤及び炭水化物等の他の因子を、非特異的結合を低減し、フロー特性を改善するように選択し得る。干渉及び非特異的結合を低減する最適希釈因子及び好適な希釈剤も決定し得る。実験の多因子デザイン(DoE)を使用して以下のパラメータの相互作用を決定し得る:1)結合剤濃度、2)コーティングpH及び緩衝液タイプ(範囲=4~10)、3)コーティング持続時間及び4)ブロッキング剤のタイプ(例えば、ウシ血清アルブミン、魚ゼラチン等)。
【0178】
c)試験片構成要素、ハウジング及びリーダー:サンプルウェルを有するプラスチックカセット内に試験片を収容し、試験片の適切な範囲上に試験読み取り窓を配置し得る。様々な標準化された試験片の寸法構成を使用することができる。Detekt又はESEQuantリーダーに適合可能なもの等の好適なハウジングを選択し得る。サンプル及びコンジュゲートパッドの組成、並びにニトロセルロース膜の細孔サイズを、所望の毛細管現象速度を達成し、従って、検出試薬とのサンプルの反応時間を達成するように選択し得る。
【0179】
LFIA性能目標は、以下に記載するように、例えば、製剤及び試験ライン試薬のストライピング条件のためのプロセス、検出分子(例えば、LPS又はヘパリン)のコンジュゲーション方法、及び検出剤の滴定、並びにパッド及びウィックの最適材料及び寸法を変化させることにより最適化することができる:
【0180】
a.試験及び対照ラインの最適化。膜ストリッピング条件は、試験片の試験ライン(MAb 69.26)及び対照ライン(LPS-結合タンパク質又はヘパリン-結合タンパク質(例えば凝固因子IXに対する)の両方のために最適化することができる。LFIA膜の頑強な製造手順として、37℃で30分間の乾燥期間を用いて試験及び対照ラインを固定化し得る。多因子DoEを使用して、以下の膜ストリッピングパラメータの相互作用を決定し得る:1)結合剤濃度、2)pH及び緩衝液タイプ(範囲=pH4~10)、3)塩濃度及び4)ストライピング容積(1~3μL/試験片)及びインクジェット速度。初期の最適化研究から膜ストライピングの改善を組み込む。多因子DoEは、様々な濃度(0~1μg/試験片)のタンパク質ブロッカー、界面活性剤、炭水化物、及び、金粒子非特異的結合を低減し又は膜のフロー特性を改善し得る他の薬剤を共被覆する膜の有効性の決定にも使用することができる。本発明者らの固相結合研究に基づいて、LPS及びヘパリン結合は、5未満のpHでIAIPに対して有意により強かった。同様の条件をLFIAにおいて使用することができる。
【0181】
b.試験片パラメータの最適化。サンプルパッド及びコンジュゲートパッドの組成、並びにニトロセルロース膜の細孔サイズは、毛細管現象の速度、従ってサンプルと金検出試薬との反応時間に影響を与え得るため、所望の結果を達成するように選択することができる。本発明者らは、高流速NC(HF090、Millipore)が、感度及び結果までの時間に関して、設計仕様を満たすと判定した。DoEを使用して、アッセイ用のフィルター、並びにパッド及びウィック材料のタイプを評価することができる。同様に、サンプルパッド及びコンジュゲートパッドのサイズ及び形状を、所望の結果を達成するように調整することができる。
【0182】
サンプルパッドを:1)未希釈サンプルを受容し、2)非特異的結合を最小限にするのに必要なフォーミュラを提供し、及び3)全血サンプルを受容するように最適化し得る。下記に論じる競合IAIPプロトタイプ迅速試験は、希釈サンプル(1:5)を使用し、これは生のサンプル容積が試験片に進入する必要性を軽減し、非特異的結合課題を軽減するブロッキングタンパク質及び界面活性剤を含有した。製剤ベースのサンプルパッド(例えば、乾燥フォーミュラ)は、成分(例えば、タンパク質ブロッカー、界面活性剤等)及びそれらの濃度に関して開発することができる。干渉及び非特異的結合を効果的かつ高い信頼性で低減するのに使用できる、入手可能なイムノアッセイ添加物が存在する。候補薬剤のスクリーニング研究の次に多因子DoEを行って、例えば、ブロッキング剤の最適濃度を決定することができる。
【0183】
LPS及びヘパリンのコンジュゲーション技術は、金コロイド(ナノ粒子)及び染色ラテックス粒子ベースのコンジュゲーション技術との使用について評価することができる。
【0184】
c.血液分離濾過膜及びプラスチックハウジングカセット。乾燥サンプルパッドフォーミュラに加えて、赤血球細胞を排除するのに好適なインライン血液分離フィルター膜を全血サンプルのために操作し得る。目標は、プロセスを簡略化し、迅速試験フォーマットの試験を、特に例えば指の針から又は収集管を介して収集した全血に直接適用する際、ポイントオブケアにおける研究室外の適用のために、ユーザーフレンドリーとすることである。Vivid(商標)又はCytosep(商標)膜(Pall)又は他の製造業者(GE Lifesciences)等の、これら血液フィルターの多数のタイプが市販されており、LFIAに使用することができる。試験片のためのプラスチックハウジングの寸法は、リーダー(例えば、Detektリーダー)と共に使用するよう選択することができる。
【0185】
本発明者らは、ハンドヘルドDetekt(商標)リーダーモデルRDS-150 PRO(Detekt Biomedical、Austin、TX)がLFIAに使用できると判定した。迅速試験リーダーのためのDetektの光側方流動リーダー技術は、現在、食物及び飲料安全性試験、生物学的脅威の検出、環境モニタリング及び動物健康の商業的診断装置に使用されている。リーダーは、試験片を光学的に走査し、試験及び対照ラインシグナル強度を、プログラムされた較正アルゴリズムと比較するハンドヘルド装置である。シグナル統合ソフトウエアをIAIP用量-応答曲線を解釈するためにカスタマイズすることができ、このアルゴリズムはDetekt(商標)ユニットに常駐することができる。Vision Suite Pro開発者のキットソフトウエアプログラムを製造業者、Detekt Biomedical LLC in Austin、TXと連携して使用して、DetektリーダーによるIAIP試験片の解釈を統合することができる。IAIP結合曲線形状及び内部対照に基づくソフトウエアアルゴリズムを開発して以下の機能を実行することができる:a)試験ラインシグナル強度に対するIAIP結合曲線の形状の確立;b)試験片の実行の日々の変動の修正のための、おそらく対照ラインシグナルに基づく内部対照の確立、及びc)リーダーに組み込むための(例えば、バーコード走査を介した)キットロット固有の情報のためのソフトウエアの確立。
【0186】
開発及び最適化されたサンドイッチ型IAIP迅速試験の性能(上記及び本明細書に論じたパラメータによる)は、前臨床設定で評価することができる。LFIAカセットは、以下のように試験することができる:
【0187】
a)分析感度、報告範囲及び精度-可能なIAIP濃度範囲(25~800μg/mL)に及ぶ既知のIAIP濃度のサンプル/対照を、複数の操作者(N=3最小)により、複数の日に亘って(N=10)複数の反復で試験することができる。データを分析して、アッセイカットオフ点(150μg/mLに設定)の精度を含む、IAIP結合曲線の全スポットにおける精度を確立することができる。
【0188】
b)妨害物質-既知のIAIP濃度のサンプルプールを潜在的な妨害物質でスパイクして、用量回復に対する効果を決定することができる。Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)EP-07Aプロトコルを、参照に使用することができる。患者サンプル中で高い濃度にあることが見出され得る物質(例えばヘモグロビン、ビリルビン、ヒトIgG等)のストック溶液を、IAIPサンプル中にスパイクし、試験することができる。
【0189】
c)ユーザーの堅牢性評価-既知のIAIP濃度のサンプルプールを使用して、エンドユーザーにより生成される様々なシナリオ/エラーに対する試験片の堅牢性を検証することができる。試験されるパラメータには:1)追加される不正確なサンプル容積(+25%)、2)研究室の環境条件(温度65~85°F;湿度10~70%RH)及び3)不正確な試験片読み取り時間(+50~100%推奨)が含まれる。
【0190】
d)製品の保管期間安定性-IAIP試験キットを異なる温度レジメン(例えば、周囲及び37℃)下で保管し、既知のIAIP濃度のIAIP対照の組を使用して製造後の様々な間隔(>1年)で試験して、製品の安定性を決定することができる。
【0191】
e)予備的臨床サンプルにおける感度及び特異性-製品は、対象(例えば、NS及びNECが疑われ並びにそれらの診断が確認された乳児)由来の臨床サンプルを使用して試験することができる。
【0192】
観察的臨床試験にてIAIP迅速試験を評価するために、日常的な臨床評価及び管理を受けている対象(例えば炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又はその危険性を有する対象)からサンプルを収集することができる。同じ炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有する対象の、幅広い異質集団を看護する多数の施設からのデータの獲得を用いて、十分な数の対象を提供し、IAIPと疾病又は感染症との間に関連性を強化することができる。IAIPレベルをリアルタイムで提供できるポイントオブケアベッドサイド装置は、不必要な介入の使用、又は不必要な処置(例えば、抗生物質療法)の長期化の除去を補助することができ、入院の長さ/費用を低減することができる。
【0193】
IAIP LFIAは、以下のように、対象の臨床評価に使用することができる:
【0194】
1)血液サンプルの収集:サンプルは、様々な医療施設における炎症性疾病又は状態を有し又は発症する危険性を有する対象から収集することができる。年齢、体重、性別、及び研究室結果を含む全対象の臨床及び人口統計データを記録することができる。様々な時点(例えば、0、24、48、72時間)及び7d)で収集した同じ対象からの連続サンプルも、LFIAに使用することができる。LFIAを使用して、IAIPレベルが疾病の重症度及び進行に相関するか否か、IAIPレベルが危険性又は続く疾病を予測するか否か、及び対象がより重篤な疾病を発症するか又は以後の治療法を改善するか否かを決定することができる。
【0195】
2)検出力分析:炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有する対象の予備データ及び確立された研究を、サンプルサイズ見積もりに使用することができる。
【0196】
3)血液分析:収集した臨床血漿サンプルを研究バイアル内に移動し、標識し(非特定化)、試験まで凍結状態で保存することができる。IAIPレベルは室温で24時間、日常的な冷却臨床保存下で14日間まで、20℃で無制限に安定である。
【0197】
IAIPレベルは、比較研究のために、LFIA迅速IAIP試験及びサンドイッチ型IAIP ELISAを用いて分析することができる。IAIP迅速試験LFIAの概念実証の評価のために、本発明者らは、
図2Aに示すものと同様の競合LFIAを用いて測定するよう設計した試験片カセットを生成した。下記に記載する、このイムノアッセイフォーマットを使用して生成したデータは、サンドイッチ型フォーマット(
図3Aに示すものと同様の)に基づくLFIAも使用できることを確認する。競合LFIAを下記に記載する。
【0198】
新生児における敗血症及び全身炎症性応答症候群
集中治療における進歩は、対象の生存率の実質的な改善をもたらした(例えば、乳児、特に早産、非常に低出生体重(VLBW)(<1,500g)の乳児)。しかしながら、未熟児は、日和見感染症、並びに急性の重篤な状態新生児敗血症(NS)及び壊死性腸炎(NEC)に罹りやすい。最近の多施設検査では、21%までのVLBW乳児が遅発性の(生後>72時間)血液培養物により判明した敗血症の少なくとも1つの症状の発現に遭遇し、7%までのVLBWがNECを発症することが示唆されている。NS及びNECは、有害な神経発達転帰を含む重大な病的状態に関連し、NS(10~30%)及びNEC(16~42%)における比較的高い死亡率を有する。これらの新生児疾病の早期の前兆及び症状は、非特異的であり、目立たない場合が多く、気管支肺異形成症、未熟児の無呼吸、胃食道逆流、又は機能的腸管運動不全の悪化等の非感染性病因学に起因して容易に間違い得る。より憂慮すべきは両疾病における臨床的悪化が劇症的に進行して、臨床症状の数時間以内にショック、播種性血管内凝血、及び死をもたらし得ることである。重篤な疾病及び死に進行する患者の危険性について医師をおおまかに導く迅速試験は現在存在しない。
【0199】
NECの正確な原因は未だ明らかではないが、NEC病態形成は、感染病原体が腸管上皮層を横切って移動し、自然免疫防御を逃れ、続いて炎症及び組織壊死を引き起こす際にもたらされると広く考えられている。NS及びNECの両方は、全身炎症性応答に関連している。非特異的であり、初期段階では微妙なそれらの臨床症状は、非常に類似している。更に、NS及びNECは、多くの場合、同じ疾病症状の発現において共存する(例えば、症例-対照研究において、敗血症を有するNECは、NECの症例の3分の1に生じた)。迅速な抗菌剤処置と支持療法による迅速な医学的管理が両状態に対する標準治療である。このように、これらの潜在的に致死的な状態の危険性を最も早い機会に特定することは実際的かつ臨床的に重要である。
【0200】
炎症性疾病又は感染症(例えば、NS及び/又はNEC)の早期かつ正確な特定のためのバイオマーカーは、従来の試験では情報が得られなかった対象(例えば、乳児)における抗生物質処置の初期の使用及び継続、又は早期の終了に関する困難な決定を医師が行う上で非常に有用であろう。残念ながら、臨床的に有用であり、又これらの困難な疾病の管理に有効な、広く利用可能なバイオマーカーは現在存在しない。最近、プロカルシトニン(PCT)は、下気道感染症及び敗血症を有する患者の抗生物質処置の管理を助けるバイオマーカーとして認められているが、このマーカーは、細菌感染症のみに特異的であり、ウイルス又は他の非細菌感染症を原因とする全身炎症性状態の検出には感度を有さない。更に、PCT試験の使用は、小児患者、特に生後数日間の未熟児において依然として議論の余地がある。従って、炎症性疾病プロセスの重症度に関する情報を提供する高感度のバイオマーカーは、炎症性疾病又は感染症(例えば、未熟児におけるNS及びNEC)の管理において臨床的に有用であろう。これは依然として大きな課題である。
【0201】
全身炎症及びより「局在性」の疾病(特発性腸管穿孔)を有する乳児の検出における、IAIPの予測値の他のマーカーとの比較試験
本発明者らは、IAIPが卓越した重症度のバイオマーカーであり、NECをより限局性の炎症性疾病、特発性腸管穿孔(SIP)と区別できることを確認する。IAIP試験は、SIPからNECを区別して診断する上でCRPよりも優れている。
【0202】
IAIPは、疾病の重症度、例えば、局部炎症性応答(SIP)、対、全身及び潜在的に重篤な炎症性応答(NEC及びNS)を識別することができる。本発明者らは、Providence、RIのWomen & Infants’ Hospitalの新生児敗血症(NS)、壊死性腸炎(NEC)及び特発性腸管穿孔(SIP)を疑われる95人の乳児(64人の女児及び31人の男児)からの血液サンプルを収集した。個々の各患者から入手可能な場合、連続サンプルも収集した。殆どの乳児は<30週の妊娠期間(23~31週の範囲)であり、1235グラムの平均出生体重を有した。これらの収集サンプルから、本発明者らは、証明されたNECを有する8人の乳児、SIPを有する9人の乳児及びNSを有する20人の乳児を得た。本発明者らは以前にIAIPアッセイをNSに関する陽性及び陰性予測値の決定に使用したため、本発明者らは、NEC等の全身炎症性疾病状態と、SIP等のより「局在的」及び限局的な壊死性疾病状態とにおけるIAIPレベルの予測値を評価した。本発明者らは、性別、体重及び妊娠期間一致対照に対する、これらの乳児におけるIAIP及び他の炎症性バイオマーカーC-反応性タンパク質(CRP)のレベルも比較した。ヒトIAIP(MAb 69.26)に対して特異的な単一のモノクローナル抗体を使用する競合ELISAを用いて血液IAIPのレベルを測定し、CRP ELISAキットを使用してCRPレベルを盲検的に分析した。健康な乳児(p<0.05)及びSIPを有する乳児(X線写真NECはない、p<0.005)と比較して、NECと診断された乳児(修正されたBellのステージII以上)において、IAIPレベルの有意な低下が見られた。しかしながら、SIPを有する乳児と健康な対照との間に有意差は見出されなかった。対照的に、NEC及びSIPを有する両方の乳児においてCRPのレベルの増大が見出されたが、この増大は統計的に有意ではなかった(p>0.05)(
図15A、15B参照)。更に、カットオフ値<4におけるCRPの受信者動作特性(ROC)は、感度100%、特異性64.7%、陽性予測値(PPV)18.7及び陰性予測値(NPV)100で0.65(p=0.01、95%CI;0.54~0.90)の曲線下面積(AUC)を生成し;一方、IAIPのROCは、カットオフ値<207mg/Lで堅牢なAUC0.98(p<0.0001、95% CI;0.84~0.99)を提供した。IAIPの予測値は、感度100%、特異性88.2%、PPV 41、及びNPV 100でCRPと比較して優れていた(
図16A、16B)。
【0203】
乳児由来の複数の連続サンプルは、NEC及びSIPの発症の前後に、数人の(全員ではない)乳児から入手可能であった。本発明者らは、更に、確立されたIAIP競合ELISAを用いてIAIPレベルを分析した。NECを有する乳児のIAIPレベルは、診断時及び処置の開始後、SIP患者に見出されるレベルと比較して有意に低かった(
図17)。これらは、残留する血液収集物からのみ入手可能な好都合なサンプルであった。これら結果は、IAIPレベルがNEC(NSに加えて)等の重篤な全身炎症性状態を高い感度及び特異性で特定する有用なバイオマーカーであることを示し、IAIPレベルは又、SIP患者において、比較的重篤な状態ではないNECを区別するように思われる。IAIP試験は、NEC(100%)及びNS(98%)の両方で卓越したNPVを示した。IAIP試験を用いて、従来の試験では情報が得られなかった乳児における早期停止等の、処置(例えば、抗生物質処置)決定を導くことができる。
【0204】
血液IAIPレベルを測定し、NS及びNECを検出する、IAIPのための定量的競合側方流動イムノアッセイ(LFIA)のプロトタイプ開発
a)試験フォーマット及びアッセイ構造の選択:側方流動イムノアッセイベースの試験を、IAIP迅速試験のフォーマットのために選択した(
図18参照)。LFIAは、1)少量のサンプル容積を使用する;2)特徴付けられた動態に従い、試験結果に迅速インターバルを提供する;3)分析的に高感度及び正確である;4)通常、装置の適切な性能を検証する内部対照を含む;5)よく特徴付けられた及び広く入手可能な原料から作製される;並びに6)試験片リーダーを使用して定量的に分析できるシグナルを生成する:ように設計されているため、迅速ポイントオブケアアッセイを開発する際に多数の利点を提供する。従って、LFIAは、IAIP迅速試験として、例えばポイントオブケア設定にて使用することができる。
【0205】
b)LFIAの捕捉、検出及びサンプル試薬、並びに条件の最適化:当初の尽力により、側方流動イムノアッセイの捕捉、検出、サンプル試薬及び条件の最適化によって、確立された競合IAIP ELISAを競合LFIAフォーマットに首尾よく取り入れることができた。本発明者らは、更に、用量応答曲線を確立し、又シグナルのタイミング、精度、及び迅速IAIPアッセイフォーマットの再現性を評価した。試験結果のリーダーベースのデータ分析を、Qiagen試験片リーダーを使用して採用した。これらの初期試験に続いて、本発明者らは、試験片及びアッセイ条件の最適化に進み、入手可能であり、かつ本発明者らの試験片に好適ないくつかの携帯型リーダーを試験した。
【0206】
c)精製IAIP及びIAIPに対するモノクローナル抗体(MAb 69.26):両方の試薬は、競合アッセイフォーマットで使用される重要な成分である。本発明者らは、高い収率及び高い純度をもたらす、ヒト血漿からIAIPを単離するための拡張可能なバイオプロセス方法を開発及び最適化した。抗体のインビトロでの大規模生産のために、ハイブリドーマ細胞を拡張可能なCELライン培養フラスコ(Integra Bioscience)内で増殖させた。親和性タンパク質クロマトグラフィーによりハイブリドーマ上清からIgGを単離した。
【0207】
d)試験片:試験片の複数のパイロットロットを調製し、選択されたフォーミュラは、ヒト血漿中のIAIPの定量的測定のための安定なプラットフォームである:1)サンプルパッド:緩衝液及び界面活性剤を有するセルロースパッド;2)コンジュゲートパッド:抗IAIP(MAb 69.26)金コンジュゲート及びウサギIgG金コンジュゲートを有するガラス繊維パッド(対照ライン);3)ニトロセルロース:試験されるIAIP及び試験される山羊-抗ウサギIgGを有する迅速流動(Millipore HF090)ニトロセルロース(試験ライン)(対照ライン末端ウィック:セルロースパッド(フォーミュラなし))。
【0208】
e)サンプル:少量の血漿(15μlの1:5希釈サンプル)を試験片に加えた後、115μlの追跡緩衝液を加えて試験片を通してサンプルを押し出した。追跡緩衝液は、最適化されていた:2mM Tris pH8.0+100mM NaCl+0.5% Brij+0.05% Tween 20+1.0%ウシ胎児血清。緩衝液にBrij界面活性剤を加えて、試験片の上流部分からのコンジュゲートの迅速除去を促進した
【0209】
f)実行時間:血漿サンプル又はIAIP標準物質(3つの異なる濃度で)で試験を実行し、次いで、サンプル添加から10、15、20、25、30、45及び60分後にQiagenリーダーにより定量化した。試験片は約7分で走り(即ち、ニトロセルロースは、無関係の金を除去していた)、その後の任意の時間に読み取ることができた。本発明者らは、15分後にシグナルは劇的に変化しないことを見出した。従って、本発明者らは、サンプルを添加した後、15分において試験片を均一に読み取った。
【0210】
g)標準物質及び対照:ELISA結果に基づいて既知のヒト血漿(Rhode Island Blood Center)を、標準物質及び内部標準対照として使用した。血漿を1% FCS含有緩衝液で希釈することにより、異なる用量を形成した。携帯型Qiagen試験リーダー(ESEQuant LFR)を使用して、本発明者らは、17.5~1100μg/mLの範囲の標準曲線を確立した(1:5サンプル希釈を用いて)。日々に亘る較正曲線の再現性は、一組の標準物質を1日のうちの異なる時間に、13回まで、5日間反復及び実行することにより試験した。結果を
図19に示す。値の各々の平均及びSDをプロットした。結果は、試験が5日間に亘って卓越した変異係数(15%未満のCV)で狭い広がりを示したことを示す。
【0211】
h)試験片リーダー及びソフトウエア:本発明者らのIAIP迅速試験は定量的であることが意図されるため、本発明者らは、試験片が生成するシグナルを捕捉するためにリーダーを注意深く選択した。様々なタイプの試験片リーダーが市販されている。リーダーの選択は、工学、人間工学、及びソフトウエアロバスト性等の特徴及び仕様に基づいていた。これは迅速試験の重要な部分であるため、本発明者らは、IAIP迅速試験片のための異なる技術及び特徴を有する3つの異なるリーダーを試験した:1)携帯型卓上側方流動リーダー(QiagenによるESEQuant LFR);2)PDAベースのハンドヘルドリーダーDetekt RDS 1500 Pro(Detekt Biomedical、Austin、TX)及び3)スマートフォン/タブレットベースのリーダーシステム(iCalqリーダー-iCalq、Salt Lake City、UT)。本発明者らは、試験した他のリーダーよりもDetektリーダーが5~700μg/mLの範囲のより良好な線形曲線を生じることを見出した。
【0212】
最適化アッセイのインター及びイントラ-アッセイ精度の決定
迅速試験のインターアッセイ精度特性を、収集した血液サンプル(n=6)を使用して、6日連続で反復して実行して決定した。続いて、結果を3つの異なる携帯型及びハンドヘルドリーダーを使用して読み取り、変異係数(CV)を個々の各サンプルから得た結果から計算した。ESEQuantリーダーを使用したIAIP迅速試験のCVは、4~16%の範囲であり、平均13%であったが、Detektリーダーは平均CV 10%(5~16%の範囲)を示し、iCalQスマートフォンベースのリーダーは、平均CV 16%(10~23%の範囲)をもたらした。Detektリーダーは、本発明者らが試験した他の2つのリーダーよりも低いCVを有し、より良好に働いた。試験のイントラ-アッセイ精度を評価するために、本発明者らは、8つの血漿サンプルを実行し、最適プロトコルに基づいてIAIPレベルを分析した。各サンプルから得られるシグナルを様々なリーダーで3回読み取り、確立された標準曲線に基づいてIAIP値を個別に計算した。続いて、三重の読み取りからCVを決定し、2~8%の範囲であることが見出され、試験した3つの全てのリーダーに関して5%の平均CVであった。
【0213】
乳児血漿における迅速アッセイの性能評価
Women & Infants’ Hospitalの乳児から収集したサンプルを使用して、本発明者らは、上述したIAIP試験片に関する最適条件に基づいて、IAIPの分析を行った。得られたシグナルを3つの独立したリーダーを使用して連続して読み取り、リーダーの各々の標準曲線に基づいて結果を計算した。迅速試験の結果を、確立された競合ELISAアッセイにより得られた結果と比較し、個々の各サンプルの値を、迅速試験の結果に対してプロットした(
図20A~20C)。結果は、6時間の競合ELISAと、ESEQuantリーダー(0.832の相関係数R2、n=311)及びDetektリーダー(R2=0.84、n=339)を使用して15分以内に生成した迅速競合LFIA試験結果との間で卓越した相関を示した。しかしながら、iCalQスマートフォンベースのリーダーは、特に高いレベルのIAIP(>600μg/ml)を含むサンプルにおいて、ELISA結果と比較的相当しない試験結果を生成した。
【0214】
要約すれば、本発明者らは、6時間の研究室ベースの競合ELISAを、血中の循環IAIP(10~800μg/mLの範囲)を正確に(ELISA結果と比較して相関係数R2>0.8)15分以内で測定することができ、許容可能なイントラ-及びインターアッセイ精度(20%未満のCV)を有するポイントオブケアIAIP迅速試験に転換することに成功した。本発明者らは、血液IAIPレベルが、高い感度(100%)及び高い特異性(88%)で、NSのみでなくNECの有用な予測的マーカーであることを確認した。IAIP試験は、NECの検出においてCRP試験よりも特異的であり、IAIPレベルはSIP患者からNECを区別するのにも有用である。
【0215】
競合アッセイをLFIAフォーマットに適合させることに成功したため、本発明者らは、本明細書に記載される「サンドイッチ型」IAIP ELISA(例えば、
図3Aに示すような)もLFIAフォーマットに適合させることができると予想する。IAIPの迅速定量化は、炎症性疾病若しくは状態又は感染症(例えば、敗血症、NEC、細菌感染症、又は他の疾病若しくは状態)を有し又は発症する危険性を有する対象(例えば、乳児、小児、青少年、又は成人等のヒト対象)の早期特定、及び最適治療法の適時開始をもたらし得る。
【0216】
実施例11:ヒアルロン酸-IAIP固体結合アッセイ
ヒアルロン酸、ナトリウム塩(Sigma-Aldrich)をdH2Oに溶解し(ストック濃度1mg/mL)、更にpH9.0で20mM NaHCO3/Na2CO3緩衝液中に希釈した。ウェル当たり50、100及び200ngヒアルロン酸を96ウェルマイクロプレート(Greiner BioOne、Microlon 600)上に37℃で120分間固定化した。pH7.3のTBS-T(20mM Tris緩衝生理食塩水溶液+0.05% Tween-20(v/v))中の5%無脂肪粉乳で37℃で60分間ブロッキングした後、TBS-Tで3回洗浄し、IAIP(TBS中のヒト血漿及び高純度IAIP)を含む段階希釈溶液をマイクロプレートに加え、37℃で60分間インキュベートした。地元の血液バンクから得た新鮮な凍結血漿の寒冷沈降によりヒト血漿を調製した。寒冷上清をこの実験に使用し、250μg/mLのIAIP濃度を有した。精製IAIPは、開始濃度1mg/mLであった。次いで、マイクロプレートをTBS-Tで3回洗浄し、TBS中の1:1000希釈のビオチン-コンジュゲート化MAb 69.26(ヒトIAIPに対するモノクローナル抗体)を加え、37℃で30分間インキュベートした。
【0217】
TBS-Tで3回の追加の洗浄後、TBS中で1:5000に希釈したセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)-コンジュゲート化ストレプトアビジン(Inova Bioscience)を加え、37℃で30分間インキュベートした。TBS-Tで3回洗浄した後、50μL Enhanced K-Blue TMB基質(Neogen)を各ウェルに加え、50μL 1M塩酸(HCl)を加えることにより反応を停止した。分光光度計(Molecular Devices SpectraMax Plusマイクロプレートリーダー)を使用して650nm波長で色変化を読み取り、ヒト血漿又は精製IAIPに関する標準曲線を、50、100及び200ng/ウェル固定化ヒアルロン酸でプロットした(
図21A、21B)。これらのデータは、ヒアルロン酸を使用してIAIP複合体分子を捕捉し、IAIPの軽鎖に特異的なモノクローナル抗体(例えば、MAb 69.26)を使用して捕捉IAIPを検出することにより、IAIPが生物学的混合物中で定量的に測定されることを示す。
図21A、21Bに示すように、標準曲線は、既知のIAIPの量を有する精製IAIP又はヒト血漿を使用して最適化及び確立することができる。その結果、このアッセイを用いて、生物学的対象由来のサンプル中の未知のIAIPの量を定量化することができる。実施例1及び2で用いた手法と同様に、IAIP特異的モノクローナル抗体を使用してIAIPを捕捉し、ビオチン-標識ヒアルロン酸を結合IAIPを検出するリガンドとして使用する、この方法に対する代替的アプローチを使用することができる。
【0218】
他の実施形態
上記明細書に記載されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許又は特許出願が、その全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。米国仮特許出願第62/490,003号及び同第62/614,333号は、その全体が本明細書に具体的に組み込まれる。本発明の記載された方法、医薬組成物及びキットの種々の改変及び変形は、請求項に係る発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者に明らかであろう。本開示は特定の実施形態に関連して説明されてきたが、本開示はさらなる修正が可能であり、特許請求の範囲に記載された本発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるであろう。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]対象由来のサンプル中のインターα阻害剤タンパク質(IAIP)を定量化する方法であって:
a)前記サンプルを結合剤と接触させてIAIP-結合剤複合体を生成することであって、前記結合剤は支持体に結合される、生成することと;
b)前記IAIP-結合剤複合体を検出剤と接触させることと;
c)前記IAIP-結合剤複合体に結合した前記検出剤の量を検出して、前記サンプル中のIAIPを定量化することと、を含む、方法。
[実施形態2]前記IAIPがインタクトIAIPである、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]前記結合剤が、IAIPに結合するIAIPリガンドである、実施形態1又は2に記載の方法。
[実施形態4]前記結合剤が、IAIPに特異的に結合する抗体である、実施形態1又は2に記載の方法。
[実施形態5]前記検出剤がIAIPリガンドを含む、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態6]前記検出剤が更に、前記IAIPリガンド検出剤に結合する抗体を含む、実施形態5に記載の方法。
[実施形態7]前記検出剤が、IAIPに特異的に結合する抗体である、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態8]前記IAIPがIAIP-IAIPリガンド複合体である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態9]前記結合剤が、IAIPに結合するIAIPリガンドである、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]前記IAIP-IAIPリガンド複合体の前記IAIPリガンドが前記結合剤とは異なる、実施形態9に記載の方法。
[実施形態11]前記結合剤が、前記IAIP-IAIPリガンド複合体の前記IAIPリガンドに結合する抗体である、実施形態8に記載の方法。
[実施形態12]前記結合剤が、前記IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPに特異的に結合する抗体である、実施形態8に記載の方法。
[実施形態13]前記検出剤が、IAIPに結合するIAIPリガンドを含む、実施形態8~12のいずれかに記載の方法。
[実施形態14]前記検出剤が、更に、前記IAIPリガンド検出剤に結合する抗体を含む、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]前記IAIP-IAIPリガンド複合体の前記IAIPリガンドが、前記IAIPリガンド検出剤とは異なる、実施形態13又は14に記載の方法。
[実施形態16]前記検出剤が、前記IAIP-IAIPリガンド複合体の前記IAIPリガンドに結合する抗体である、実施形態8~12のいずれかに記載の方法。
[実施形態17]前記検出剤が、前記IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPに特異的に結合する抗体である、実施形態8~12のいずれかに記載の方法。
[実施形態18]前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態4、6、7、11、12、14、16、及び17のいずれかに記載の方法。
[実施形態19]前記抗体がMAb 69.26又はMAb 69.31である、実施形態4、7、12、及び17のいずれかに記載の方法。
[実施形態20]前記IAIPリガンドが、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、実施形態3、5、6、及び8~17のいずれかに記載の方法。
[実施形態21]前記補体成分が、C1q、C2、C3、C4、C5、C6、C8、プロパージン、又は因子Dである、実施形態28に記載の方法。
[実施形態22]前記検出剤が標識を含む、実施形態1~21のいずれかに記載の方法。
[実施形態23]前記標識が、ビオチン、酵素、酵素基質、放射標識、発光化合物、コロイド金、粒子、又は蛍光染料である、実施形態22に記載の方法。
[実施形態24]前記支持体が、プレート、粒子、ナノ粒子、樹脂、膜、バイオチップ、容器、試験片、又はビーズである、実施形態1~23のいずれかに記載の方法。
[実施形態25]前記方法が更に、ステップb)とc)の間に洗浄ステップを含む、実施形態1~24のいずれかに記載の方法。
[実施形態26]前記方法が更に、ステップb)とc)の間に洗浄ステップを含む、実施形態1~25のいずれかに記載の方法。
[実施形態27]前記方法が更に、ステップa)又はステップb)に先立ってブロッキングステップを含む、実施形態1~26のいずれかに記載の方法。
[実施形態28]ステップa)及び/又はb)の前記接触させるステップが、pH約7.0~約3.5で行われる、実施形態1~27のいずれかに記載の方法。
[実施形態29]前記pHが約5.0~約3.5である、実施形態28に記載の方法。
[実施形態30]前記pHが約4.0である、実施形態29に記載の方法。
[実施形態31]前記サンプルが流体である、実施形態1~30のいずれかに記載の方法。
[実施形態32]前記流体が、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、羊水、間質液、卵胞液、腹水、気管支肺胞洗浄液、母乳、痰、リンパ液、胆汁、又は組織ホモジネートである、実施形態31に記載の方法。
[実施形態33]前記対象がヒト対象である、実施形態1~32のいずれかに記載の方法。
[実施形態34]前記対象が、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有すると特定されている、実施形態33に記載の方法。
[実施形態35]前記対象が、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有すると特定されていない、実施形態33に記載の方法。
[実施形態36]前記方法が、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又はその危険性を有するとして診断される前、診断された後、又は診断と同時に行われる、実施形態33に記載の方法。
[実施形態37]前記方法が、前記対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置と実質的に同時に行われる、実施形態33又は34に記載の方法。
[実施形態38]前記方法が、前記対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置に先立って行われる、実施形態33~36のいずれかに記載の方法。
[実施形態39]前記方法が、前記対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置の後に行われる、実施形態33又は34に記載の方法。
[実施形態40]前記炎症性疾病又は状態が、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、外傷、傷害、卒中、急性炎症性疾病、SIRS、急性肺傷害、ARDS、肺炎、壊死性腸炎、急性膵炎、腎疾病、急性腎臓傷害、肝臓傷害、急性循環不全、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、手術誘導炎症、腫瘍誘導炎症、多発性硬化症、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血、細菌感染症、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技、組織虚血、関節リウマチ、髄膜炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患からなる群から選択される、実施形態34~39のいずれかに記載の方法。
[実施形態41]前記感染症が、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含むエスケリキア(Escherichia)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス(Pseudomonas)種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasteurella)種、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌を原因とする、実施形態34~39のいずれかに記載の方法。
[実施形態42]前記対象が、新生児、小児、青少年、又は成人である、実施形態1~41のいずれかに記載の方法。
[実施形態43]前記方法が、1年毎に1回以上行われる、実施形態1~42のいずれかに記載の方法。
[実施形態44]前記方法が、1カ月毎に1回以上行われる、実施形態43に記載の方法。
[実施形態45]前記方法が、1週間毎に1回以上行われる、実施形態44に記載の方法。
[実施形態46]前記方法が、1日毎に1回以上行われる、実施形態45に記載の方法。
[実施形態47]前記方法が、1時間毎に1回以上行われる、実施形態46に記載の方法。
[実施形態48]前記方法が、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも5回、又は少なくとも10回行われる、実施形態1~47のいずれかに記載の方法。
[実施形態49]前記方法が、更に、IAIP又は治療薬を含む処置を前記対象に投与することを含む、実施形態1~48のいずれかに記載の方法。
[実施形態50]前記対象が、200μg/mL以下のIAIP濃度を有する、実施形態49に記載の方法。
[実施形態51]前記対象由来の前記サンプルが、参照サンプルと比較して、IAIP-IAIPリガンド複合体の高いレベルを有する、実施形態49に記載の方法。
[実施形態52]前記対象が、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有する、実施形態49~51のいずれかに記載の方法。
[実施形態53]前記方法が、IAIP及び治療薬を前記対象に投与することを含む、実施形態49~52のいずれかに記載の方法。
[実施形態54]前記治療薬が、抗生剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗炎症剤、抗癌剤、抗凝固剤、免疫調節剤、気管支拡張剤、補体阻害剤、昇圧剤、鎮静剤、又は人工呼吸からなる群から選択される、実施形態49~53のいずれかに記載の方法。
[実施形態55]前記対象が、少なくとも1日間病気である、実施形態1~54のいずれかに記載の方法。
[実施形態56]前記対象が、少なくとも1週間病気である、実施形態55に記載の方法。
[実施形態57]前記対象が、少なくとも1か月病気である、実施形態56に記載の方法。
[実施形態58]前記対象が、少なくとも1年間病気である、実施形態57に記載の方法。
[実施形態59]前記方法が:
a)前記対象の前記健康状態を評価し;
b)前記対象の前記健康状態を監視し;
c)炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又はその危険性を有するとして前記対象を診断し;
d)前記対象に投与された処置の有効性を評価し;又は
e)前記対象における疾病の重症度を評価する
ためのものである、実施形態1~58のいずれかに記載の方法。
[実施形態60]前記方法が、更に、前記サンプルに検出されるIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の前記量を、正常な対象由来のサンプル中に見出されるIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の前記量又はカットオフ値と比較することを含む、実施形態59に記載の方法。
[実施形態61]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIPの量よりも、又は前記カットオフ値に対して、低い前記サンプル中のIAIPの量は、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す、実施形態60に記載の方法。
[実施形態62]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIP-IAIPリガンド複合体の量よりも、又は前記カットオフ値に対して、高い前記サンプル中のIAIP-IAIPリガンド複合体の量は、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す、実施形態60に記載の方法。
[実施形態63]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIPの前記量、又は前記カットオフ値が、>250μg/mLである、実施形態60~62のいずれかに記載の方法。
[実施形態64]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIPの前記量が、約260~約540μg/mLである、実施形態63に記載の方法。
[実施形態65]前記対象が250μg/mL以下のIAIP濃度を有するという決定は、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する高い危険性を有し、又は病的状態及び/若しくは死亡の高い危険性を有すると診断されることを示す、実施形態1~64のいずれかに記載の方法。
[実施形態66]前記対象が、200~300μg/mLのIAIP濃度を有し、前記方法が、少なくとも年に1回行われる、実施形態60~65のいずれかに記載の方法。
[実施形態67]前記方法が、少なくとも年に2回行われる、実施形態66に記載の方法。
[実施形態68]前記方法が、少なくとも月に1回行われる、実施形態66に記載の方法。
[実施形態69]前記方法が、少なくとも週に1回行われる、実施形態66に記載の方法。
[実施形態70]前記方法が、少なくとも1日1回行われる、実施形態66に記載の方法。
[実施形態71]前記方法が、少なくとも1時間に1回行われる、実施形態66に記載の方法。
[実施形態72]前記対象が、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を以前に有していた、実施形態1~71のいずれかに記載の方法。
[実施形態73]前記方法が、前記処置に先立って、及び前記処置の過程中に1回以上行われる、実施形態49~54のいずれかに記載の方法。
[実施形態74]前記方法が、前記処置の開始後、及び/又は前記処置の終局後に行われる、実施形態49~73のいずれかに記載の方法。
[実施形態75]前記処置が、前記対象におけるIAIPの前記濃度が、前記対象におけるIAIPの以前の測定値と比較して増大している場合、及び/又は前記対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の前記濃度が、前記対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の以前の測定値と比較して低下している場合、有効であると決定される、実施形態49~74のいずれかに記載の方法。
[実施形態76]前記処置が、IAIPの前記濃度が、前記対象におけるIAIPの以前の測定値と比較して、前記対象において低下し又は一定のままである場合、及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の前記濃度が、前記対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の以前の測定値と比較して、前記対象において増加し又は一定のままである場合、無効であると決定される、実施形態49~74のいずれかに記載の方法。
[実施形態77]前記方法が、更に、前記処置を修正又は変更することを含む、実施形態76に記載の方法。
[実施形態78]炎症性疾病又は感染症を有し又は発症する危険性を有する対象の処置方法であって、前記対象が、実施形態1~77のいずれかに記載の方法に従って、処置が必要であると決定されており、前記方法が、前記対象治療的有効量のIAIP及び/又は抗生剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗炎症剤、抗癌剤、抗凝固剤、免疫調節剤、気管支拡張剤、補体阻害剤、昇圧剤、鎮静剤、若しくは人工呼吸からなる群から選択される治療薬を投与することを含む、方法。
[実施形態79]前記炎症性疾病又は状態が、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、外傷、傷害、卒中、急性炎症性疾病、SIRS、急性肺傷害、ARDS、肺炎、壊死性腸炎、急性膵炎、腎疾病、急性腎臓傷害、肝臓傷害、急性循環不全、手術誘導炎症、腫瘍誘導炎症、多発性硬化症、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血、細菌感染症、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技、組織虚血、関節リウマチ、髄膜炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患からなる群から選択される、実施形態78に記載の方法。
[実施形態80]前記感染症が、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含むエスケリキア(Escherichia)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス(Pseudomonas)種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasteurella)種、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌を原因とする、実施形態78に記載の方法。
[実施形態81]サンプル中のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体を定量化するためのキットであって、前記キットは、IAIP結合剤及びIAIP検出剤、並びに場合により、以下の1つ以上:洗浄緩衝液、ブロッキング剤、標識検出のための基質、及びサンプル中のIAIP又はIAIP-IAIPリガンド複合体のレベルを定量化するための説明書、を含む、キット。
[実施形態82]前記結合剤が、支持体上に固定化される、実施形態81に記載のキット。
[実施形態83]前記検出剤が標識されている、実施形態81又は82に記載のキット。
[実施形態84]前記IAIP結合剤が、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンドである、実施形態81~83のいずれかに記載のキット。
[実施形態85]前記キットが更にIAIPリガンド結合剤を含む、実施形態81~84のいずれかに記載のキット。
[実施形態86]前記IAIPリガンド結合剤が、IAIPリガンドに結合する抗体である、実施形態85に記載のキット。
[実施形態87]前記IAIP検出剤がIAIP特異的抗体又はIAIPリガンドである、実施形態81~86のいずれかに記載のキット。
[実施形態88]前記キットが更にIAIPリガンド検出剤を含む、実施形態81~87のいずれかに記載のキット。
[実施形態89]前記IAIPリガンド検出剤が、IAIPリガンドに特異的に結合する抗体である、実施形態88に記載のキット。
[実施形態90]前記IAIP特異的抗体がモノクローナル抗体である、実施形態84又は87に記載のキット。
[実施形態91]前記モノクローナル抗体がMAb 69.26又はMAb 69.31である、実施形態90に記載のキット。
[実施形態92]前記支持体が、プレート、樹脂、容器、膜、バイオチップ、粒子、ナノ粒子、試験片、又はビーズである、実施形態82~91のいずれかに記載のキット。
[実施形態93]前記標識が、酵素、酵素基質、ビオチン、粒子、蛍光染料、発光化合物、又は放射標識である、実施形態81~92のいずれかに記載のキット。
[実施形態94]前記IAIPリガンドが、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、実施形態84、86、87、88及び89のいずれかに記載のキット。
[実施形態95]前記結合剤が、IAIPに結合するIAIPリガンドである、実施形態1に記載の方法。
[実施形態96]前記結合剤が、IAIPに特異的に結合する抗体である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態97]前記検出剤がIAIPリガンドを含む、実施形態1、95又は96に記載の方法。
[実施形態98]前記検出剤が、前記IAIPリガンド検出剤に結合する抗体を更に含む、実施形態97に記載の方法。
[実施形態99]前記検出剤が、IAIPに特異的に結合する抗体である、実施形態1、95、又は96に記載の方法。
[実施形態100]前記検出剤が、IAIPに結合するIAIPリガンドを含む、実施形態8又は11に記載の方法。
[実施形態101]前記検出剤が、前記IAIPリガンド検出剤に結合する抗体を更に含む、実施形態100に記載の方法。
[実施形態102]前記IAIP-IAIPリガンド複合体の前記IAIPリガンドが、前記IAIPリガンド検出剤とは異なる、実施形態100に記載の方法。
[実施形態103]前記検出剤が、前記IAIP-IAIPリガンド複合体の前記IAIPリガンドに結合する抗体である、実施形態8、9又は12に記載の方法。
[実施形態104]前記検出剤が、前記IAIP-IAIPリガンド複合体のIAIPに特異的に結合する抗体である、実施形態8又は11に記載の方法。
[実施形態105]前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態96に記載の方法。
[実施形態106]前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態97に記載の方法。
[実施形態107]前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態99に記載の方法。
[実施形態108]前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態101に記載の方法。
[実施形態109]前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態103に記載の方法。
[実施形態110]前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態104に記載の方法。
[実施形態111]前記抗体がMAb 69.26又はMAb 69.31である、実施形態96に記載の方法。
[実施形態112]前記抗体がMAb 69.26又はMAb 69.31である、実施形態99に記載の方法。
[実施形態113]前記抗体がMAb 69.26又はMAb 69.31である、実施形態104に記載の方法。
[実施形態114]前記IAIPリガンドが、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、実施形態95に記載の方法。
[実施形態115]前記IAIPリガンドが、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、実施形態97に記載の方法。
[実施形態116]前記IAIPリガンドが、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、実施形態100に記載の方法。
[実施形態117]前記IAIPリガンドが、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、実施形態8に記載の方法。
[実施形態118]前記補体成分が、C1q、C2、C3、C4、C5、C6、C8、プロパージン、又は因子Dである、実施形態114~117のいずれかに記載の方法。
[実施形態119]前記検出剤が標識を含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態120]前記標識が、ビオチン、酵素、酵素基質、放射標識、発光化合物、コロイド金、粒子、又は蛍光染料である、実施形態119に記載の方法。
[実施形態121]前記支持体が、プレート、粒子、ナノ粒子、樹脂、膜、バイオチップ、容器、試験片、又はビーズである、実施形態1に記載の方法。
[実施形態122]前記方法が、更に、ステップa)とb)の間に洗浄ステップを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態123]前記方法が、更に、ステップb)とc)の間に洗浄ステップを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態124]前記方法が、更に、ステップa)又はステップb)に先立ってブロッキングステップを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態125]ステップa)及び/又はb)の前記接触させるステップが、pH約7.0~約3.5で行われる、実施形態1に記載の方法。
[実施形態126]前記pHが約5.0~約3.5である、実施形態125に記載の方法。
[実施形態127]前記pHが約4.0である、実施形態126に記載の方法。
[実施形態128]前記サンプルが流体である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態129]前記流体が、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、羊水、間質液、卵胞液、腹水、気管支肺胞洗浄液、母乳、痰、リンパ液、胆汁、又は組織ホモジネートである、実施形態128に記載の方法。
[実施形態130]前記対象がヒト対象である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態131]前記対象が、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有すると特定されている、実施形態130に記載の方法。
[実施形態132]前記対象が、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有すると特定されていない、実施形態130に記載の方法。
[実施形態133]前記方法が、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又はその危険性を有するとして診断される前、診断された後、又は診断と同時に行われる、実施形態130に記載の方法。
[実施形態134]前記方法が、前記対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置と実質的に同時に行われる、実施形態130に記載の方法。
[実施形態135]前記方法が、前記対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置に先立って行われる、実施形態130に記載の方法。
[実施形態136]前記方法が、前記対象の炎症性疾病若しくは状態又は感染症の処置後に行われる、実施形態130に記載の方法。
[実施形態137]前記炎症性疾病又は状態が、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、外傷、傷害、卒中、急性炎症性疾病、SIRS、急性肺傷害、ARDS、肺炎、壊死性腸炎、急性膵炎、腎疾病、急性腎臓傷害、肝臓傷害、急性循環不全、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、手術誘導炎症、腫瘍誘導炎症、多発性硬化症、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血、細菌感染症、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技、組織虚血、関節リウマチ、髄膜炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患からなる群から選択される、実施形態131に記載の方法。
[実施形態138]前記感染症が、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含むエスケリキア(Escherichia)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)、及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasteurella)種、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌を原因とする、実施形態131に記載の方法。
[実施形態139]前記対象が、新生児、小児、青少年、又は成人である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態140]前記方法が、1年毎に1回以上行われる、実施形態1に記載の方法。
[実施形態141]前記方法が、1カ月毎に1回以上行われる、実施形態140に記載の方法。
[実施形態142]前記方法が、1週間毎に1回以上行われる、実施形態141に記載の方法。
[実施形態143]前記方法が、1日毎に1回以上行われる、実施形態142に記載の方法。
[実施形態144]前記方法が、1時間毎に1回以上行われる、実施形態143に記載の方法。
[実施形態145]前記方法が、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも5回、又は少なくとも10回行われる、実施形態1に記載の方法。
[実施形態146]前記方法が、更に、IAIP又は治療薬を含む処置を前記対象に投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態147]前記対象が、200μg/mL以下のIAIP濃度を有する、実施形態146に記載の方法。
[実施形態148]前記対象由来の前記サンプルが、参照サンプルと比較して、IAIP-IAIPリガンド複合体の高いレベルを有する、実施形態146に記載の方法。
[実施形態149]前記対象が、炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有する、実施形態146に記載の方法。
[実施形態150]前記方法が、IAIP及び治療薬を前記対象に投与することを含む、実施形態146に記載の方法。
[実施形態151]前記治療薬が、抗生剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗炎症剤、抗癌剤、抗凝固剤、免疫調節剤、気管支拡張剤、補体阻害剤、昇圧剤、鎮静剤、又は人工呼吸からなる群から選択される、実施形態146又は150に記載の方法。
[実施形態152]前記対象が、少なくとも1日間病気である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態153]前記対象が、少なくとも1週間病気である、実施形態152に記載の方法。
[実施形態154]前記対象が、少なくとも1か月間病気である、実施形態153に記載の方法。
[実施形態155]前記対象が、少なくとも1年間病気である、実施形態154に記載の方法。
[実施形態156]前記方法が:
c)前記対象の前記健康状態を評価し;
d)前記対象の前記健康状態を監視し;
c)炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又はその危険性を有するとして前記対象を診断し;
d)前記対象に投与された処置の有効性を評価し;又は
e)前記対象における疾病の重症度を評価する
ためのものである、実施形態1に記載の方法。
[実施形態157]前記方法が、更に、前記サンプル中に検出されるIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の前記量を、正常な対象由来のサンプル中に見出されるIAIP及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の前記量又はカットオフ値と比較することを含む、実施形態156に記載の方法。
[実施形態158]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIPの量よりも、又は前記カットオフ値に対して、低い前記サンプル中のIAIPの量は、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す、実施形態157に記載の方法。
[実施形態159]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIP-IAIPリガンド複合体の量よりも、又は前記カットオフ値に対して、高い前記サンプル中のIAIP-IAIPリガンド複合体の量は、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する危険性を有することを示す、実施形態157に記載の方法。
[実施形態160]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIPの前記量、又は前記カットオフ値が、>250μg/mLである、実施形態157に記載の方法。
[実施形態161]前記正常な対象由来の前記サンプル中のIAIPの前記量が、約260~約540μg/mLである、実施形態160に記載の方法。
[実施形態162]前記対象が250μg/mL以下のIAIP濃度を有するという決定は、前記対象が炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有し又は発症する高い危険性を有し、又は病的状態及び/若しくは死亡の高い危険性を有すると診断されることを示す、実施形態1に記載の方法。
[実施形態163]前記対象が200~300μg/mLのIAIP濃度を有し、前記方法が少なくとも年に1回行われる、実施形態157に記載の方法。
[実施形態164]前記方法が少なくとも年に2回行われる、実施形態163に記載の方法。
[実施形態165]前記方法が少なくとも月に1回行われる、実施形態163に記載の方法。
[実施形態166]前記方法が少なくとも週に1回行われる、実施形態163に記載の方法。
[実施形態167]前記方法が少なくとも1日1回行われる、実施形態163に記載の方法。
[実施形態168]前記方法が少なくとも1時間に1回行われる、実施形態163に記載の方法。
[実施形態169]前記対象が、以前に炎症性疾病若しくは状態又は感染症を有した、実施形態1に記載の方法。
[実施形態170]前記方法が、前記処置に先立って、及び前記処置の過程中に1回以上行われる、実施形態146に記載の方法。
[実施形態171]前記方法が、前記処置の開始後、及び/又は前記処置の終局後に行われる、実施形態146に記載の方法。
[実施形態172]前記処置が、前記対象におけるIAIPの前記濃度が、前記対象におけるIAIPの以前の測定値と比較して増大している場合、及び/又は前記対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の前記濃度が、前記対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の以前の測定値と比較して低下している場合、有効であると決定される、実施形態146に記載の方法。
[実施形態173]前記処置が、IAIPの前記濃度が、前記対象におけるIAIPの以前の測定値と比較して、前記対象において低下し又は一定のままである場合、及び/又はIAIP-IAIPリガンド複合体の前記濃度が、前記対象におけるIAIP-IAIPリガンド複合体の以前の測定値と比較して、前記対象において増加し又は一定のままである場合、無効であると決定される、実施形態146に記載の方法。
[実施形態174]前記方法が、前記処置を修正又は変更することを更に含む、実施形態173に記載の方法。
[実施形態175]炎症性疾病又は感染症を有し又は発症する危険性を有する対象の処置方法であって、前記対象が、実施形態1の方法による処置が必要であると決定されており、前記方法が、IAIP及び/又は抗生剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗炎症剤、抗癌剤、抗凝固剤、免疫調節剤、気管支拡張剤、補体阻害剤、昇圧剤、鎮静剤、若しくは人工呼吸からなる群から選択される治療的有効量の治療薬を前記対象に投与することを含む、方法。
[実施形態176]前記炎症性疾病又は状態が、敗血症、敗血性ショック、無菌敗血症、外傷、傷害、卒中、急性炎症性疾病、SIRS、急性肺傷害、ARDS、肺炎、壊死性腸炎、急性膵炎、腎疾病、急性腎臓傷害、肝臓傷害、急性循環不全、手術誘導炎症、腫瘍誘導炎症、多発性硬化症、子癇前症、癌、癌転移、腫瘍浸潤、末梢血管疾病、1型又は2型糖尿病、アテローム硬化性心血管系疾病、間欠性跛行、重症虚血肢疾病、心筋梗塞、頸動脈閉塞、臍帯閉塞、低出生体重、早産、肺動脈弁閉鎖不全、末梢神経障害、低酸素性虚血、細菌感染症、創傷、やけど、断裂、挫傷、骨折、外科手技、組織虚血、関節リウマチ、髄膜炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、早期分娩、又は感染性疾患からなる群から選択される、実施形態175に記載の方法。
[実施形態177]前記感染症が、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア(Neisseria)種、ブランハメラ・カタラーリス(Branhamella catarrhalis)を含むブランハメラ(Branhamella)種、大腸菌(Escherichia coli)を含むエスケリキア(Escherichia)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス(Proteus)種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、鼻疽菌(Pseudomonas mallei)及び類鼻疽菌(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス(Pseudomonas)種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、赤痢菌(Shigella)種、セラチア(Serratia)種、アシネトバクター(Acinetobacter)種;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)を含むヘモフィルス(Haemophilus)種、ブルセラ(Brucella)種、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア(Yersinia)種、野兎病菌(Francisella tularensis)を含むフランシセラ(Francisella)種、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ(Pasteurella)種、コレラ菌(Vibrio cholerae)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種、メニンゴセプチカム(meningosepticum)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス(Bacteroides)種(口腔、咽頭の)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)を含むフソバクテリウム(Fusobacterium)種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバチルス(Streptobacillus)属、及び在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ(Legionella)種等のグラム陰性菌を原因とする、実施形態175に記載の方法。
[実施形態178]前記検出剤が標識されている、実施形態81に記載のキット。
[実施形態179]前記IAIP結合剤が、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンドである、実施形態81に記載のキット。
[実施形態180]前記キットが、更にIAIPリガンド結合剤を含む、実施形態81に記載のキット。
[実施形態181]前記IAIPリガンド結合剤が、IAIPリガンドに結合する抗体である、実施形態180に記載のキット。
[実施形態182]前記IAIP検出剤が、IAIP特異的抗体又はIAIPリガンドである、実施形態81に記載のキット。
[実施形態183]前記キットが、更にIAIPリガンド検出剤を含む、実施形態81に記載のキット。
[実施形態184]前記IAIPリガンド検出剤が、IAIPリガンドに特異的に結合する抗体である、実施形態183に記載のキット。
[実施形態185]前記IAIP特異的抗体がモノクローナル抗体である、実施形態179又は182に記載のキット。
[実施形態186]前記モノクローナル抗体が、MAb 69.26又はMAb 69.31である、実施形態185に記載のキット。
[実施形態187]前記支持体が、プレート、樹脂、容器、膜、バイオチップ、粒子、ナノ粒子、試験片、又はビーズである、実施形態82に記載のキット。
[実施形態188]前記標識が、酵素、酵素基質、ビオチン、粒子、蛍光染料、発光化合物、又は放射標識である、実施形態81に記載のキット。
[実施形態189]前記IAIPリガンドが、エンドドキシン(LPS)、ヘパリン、ヒストン、ヒアルロン酸、ラミニン、テネイシンC、アグリカン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、フォン・ヴィルブランド因子、ペントラキシン-3(PTX3)、TNF-刺激遺伝子-6(TSG-6)、因子IX、補体成分、因子XIIIa、及び組織トランスグルタミナーゼからなる群から選択される、実施形態179~184のいずれかに記載のキット。