(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】半導体クリーニングシステム及び半導体清浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230612BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20230612BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
H01L21/304 648E
H01L21/304 648A
H01L21/304 648L
B08B3/02 A
B08B3/02 C
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020042293
(22)【出願日】2020-03-11
(62)【分割の表示】P 2018088788の分割
【原出願日】2012-06-23
【審査請求日】2020-04-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2011-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506000944
【氏名又は名称】ディーエムエス ダイナミック マイクロシステムズ セミコンダクター イクイップメント ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】DMS Dynamic Micro Systems Semiconductor Equipment GmbH
【住所又は居所原語表記】Im Wiesengrund 17, 78315 Radolfzell, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【氏名又は名称】高橋 佳大
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ レープシュトック
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】棚田 一也
【審判官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0319730(US,A1)
【文献】特開2008-96652(JP,A)
【文献】特開平10-247674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00-3/14
H01L 21/027
H01L 21/30
H01L 21/46
H01L 21/67-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンポーネントと、該第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするためのシステムにおいて、
前記システムは、
前記第1のコンポーネントをクリーニングするように機能する第1のチャンバと、
前記第2のコンポーネントをクリーニングするように機能する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバと接続されている第1のステーションとを含み、
前記第1のステーションは、前記第1のコンポーネントを前記第1のステーションから前記第1のチャンバへと搬送し、且つ、前記第2のコンポーネントを前記第1のステーションから前記第2のチャンバへと搬送するように機能する第1のロボット機構を含み、
前記第1のコンポーネント及び前記第2のコンポーネントはそれぞれ、蓋及びボディを含み、
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバはそれぞれ、前記蓋をクリーニングするように機能する第1の蓋チャンバと、前記ボディをクリーニングするように機能する第1のボディチャンバとを含み、
前記第1のチャンバは第1の入口及び第1の出口を含み、前記第2のチャンバは第2の入口及び第2の出口を含み、前記第1のステーションは前記第1の入口及び前記第2の入口と接続されており、
前記システムは更に、
前記第1の出口及び前記第2の出口と接続されている第2のステーションを含み、
前記第2のステーションは、前記第1のコンポーネントを前記第1のチャンバから前記第2のステーションへと搬送し、且つ、前記第2のコンポーネントを前記第2のチャンバから前記第2のステーションへと搬送するように機能する第2のロボット機構を含み、
汚い環境を有する前記第1のステーションは、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバによって、清浄な環境を有する前記第2のステーションから隔離されており、
前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントを1つに組み立てるためのアセンブリステーションが、前記第2のステーションを介して前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと接続されており、
前記アセンブリステーションは、前記第2のステーションと同程度の清浄な環境、または、それよりも更に清浄な環境を有している、
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
更に、クリーニング後に前記第1のコンポーネント及び前記第2のコンポーネントの脱ガスを実現するように機能する、一つ又は複数の第3のチャンバを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1のコンポーネントと、該第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするための方法において、
ワークピースの前記第1のコンポーネントを第1のステーションから第1のチャンバへと搬送するステップと、
前記ワークピースの第2のコンポーネントを前記第1のステーションから第2のチャンバへと搬送するステップと、
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバにおいて、前記第1のコンポーネント及び前記第2のコンポーネントをクリーニングするステップとを備えており、
前記第1のコンポーネント及び前記第2のコンポーネントはそれぞれ、蓋及びボディを含み、
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバはそれぞれ、前記蓋をクリーニングするように機能する第1の蓋チャンバと、前記ボディをクリーニングするように機能する第1のボディチャンバとを含み、
前記第1のチャンバは第1の入口及び第1の出口を含み、
前記第2のチャンバは第2の入口及び第2の出口を含み、
前記第1のコンポーネントは、前記第1のステーションから前記第1の入口を介して前記第1のチャンバへと搬送され、
前記第2のコンポーネントは、前記第1のステーションから前記第2の入口を介して前記第2のチャンバへと搬送され、
前記方法は更に、
前記第1のコンポーネントを、前記第1のチャンバから前記第1の出口を介して第2のステーションへと搬送するステップと、
前記第2のコンポーネントを、前記第2のチャンバから前記第2の出口を介して前記第2のステーションへと搬送するステップとを備えており、
汚い環境を有する前記第1のステーションは、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバによって、清浄な環境を有する前記第2のステーションから隔離されており、
前記方法は更に、
前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントを1つに組み立てるためのアセンブリステーションに、前記第2のステーションから前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントを搬送するステップを含み、
前記アセンブリステーションは、前記第2のステーションを介して前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと接続されており、前記第2のステーションと同程度の清浄な環境、または、それよりも更に清浄な環境を有している、
ことを特徴とする、方法。
【請求項4】
更に、クリーニング後に、前記第1のコンポーネント及び前記第2のコンポーネントの脱ガスのため
の一つ又は複数の第3のチャンバに、該第1のコンポーネント及び該第2のコンポーネントを搬送するステップを備えている、請求項
3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年6月23日に出願された、「Semiconductor cleaner systems and methods」と題する、米国仮特許出願第61/500,608号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体コンポーネントの製造には、粒子、不純物又は異物の管理のような清浄度が要求される。それらの微粒子の存在によって、処理されるウェハ内での優良なデバイスの歩留まりに影響を及ぼす可能性がある。従って、それらのウェハの搬送は一般的に、特殊な搬送容器、例えばカセット、キャリア又はトレイ、また同様に、FOUP(Front Opening Unified Pod)、FOSB(Front-Opening Shipping Box)、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド又はボックスを含む、閉鎖可能又はシーリング可能な容器又はボックスにおいて実施される。FOUPは一般的に、ウェハを支持するために、対向する二つの長手側の面に櫛状のガイド部を有している。カバーがなければ、FOUPは、矩形の表面領域を備えているポット状の基本形状を有している中空の容器である。ウェハの他に、レチクルもレチクルキャリアに保管され、このレチクルキャリアはレチクルストッカに保管される。レチクルキャリアは、必要に応じてマスク露光のためにリソグラフィツールへと搬送される。
【0003】
FOUP及びレチクルキャリアは、半導体ウェハの処理において要求される、清浄度の基準を維持するために、必要に応じてクリーニングされなければならない。クリーニングプロセスを特殊なクリーニング及び乾燥機器において実施することができる。清浄度に対する要求が高まるにつれ、その清浄度に対する高まった要求と共に、現在の半導体工場におけるクリーニングサイクルの回数も増加している。例えば、或るウェハに起因する汚染を隣接するウェハが被ることを防止するために、FOUPは使用の度にクリーニングされることが望ましい。
【0004】
従って、FOUPの完全なクリーニングに必要とされる時間を短縮することが所望される。更には、特に増加したクリーニングサイクルの観点から、クリーニングに関する消費量を可能な限り小さく維持することも所望される。他方では、現在の半導体工場の清浄度に関する要求を満たすために、クリーニングは極めて徹底的なものでなければならない。
【0005】
発明の概要
一つの実施の形態においては、本発明はクリーニングシステムに関し、またキャリアのようなワークピースをクリーニングするためのプロセスに関する。クリーニングシステムは、別個の汚い環境及び清浄な環境の内の少なくとも一つと、二重容器キャリアの種々のコンポーネントのための別個のクリーニングチャンバと、同一のロボットハンドラを使用して種々のコンポーネントのピックアンドプレイスを行うためのグリッパアームと、異なる位置において異なるコンポーネントを保持するためのグリッパアームと、外側容器のための水平方向スピンクリーニング及び乾燥部と、熱水及び熱風(70℃)クリーニングプロセス部と、乾燥のための熱風ノズルを用いた内側容器のクリーニングのための垂直方向ノズル及びラスタ化メガソニックノズルと、種々のコンポーネントの脱ガスを行う、例えば、一方は内側容器のため、他方は外側容器のための、パージガスを用いる高真空(例えば<10-6トル)の別個の真空汚染除去チャンバと、真空チャンバ内のヒータ及びガスモニタ(例えばRGAセンサ)と、パージガスアセンブリステーションと、パージガス充填及び排出ステーションとを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】クリーニングされるべきEUVレチクルキャリアの例示的な構成を示す。
【
図2】本発明の一つの実施の形態による、クリーニングシステムの例示的な構成を示す。
【
図3A】本発明の一つの実施の形態による、クリーニングシステムの構成を示す。
【
図3B】本発明の一つの実施の形態による、クリーニングシステムの構成を示す。
【
図3C】本発明の一つの実施の形態による、クリーニングシステムの構成を示す。
【
図4A】本発明の一つの実施の形態による、汚い環境及び清浄な環境に関する、例示的なフローの構成を示す。
【
図4B】本発明の一つの実施の形態による、汚い環境及び清浄な環境に関する、例示的なフローの構成を示す。
【
図5A】本発明の一つの実施の形態による、クリーニングチャンバをパージするための例示的な構成を示す。
【
図5B】本発明の一つの実施の形態による、クリーニングチャンバをパージするための例示的な構成を示す。
【
図6A】本発明の一つの実施の形態による、別個の汚い環境及び清浄な環境を使用して対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図6B】本発明の一つの実施の形態による、別個の汚い環境及び清浄な環境を使用して対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図7】本発明の一つの実施の形態による、別個の汚い環境及び清浄な環境を使用するクリーニングプロセスの別の実施例が示されている。
【
図8A】本発明の一つの実施の形態による、対象物の種々のコンポーネントのための、例示的な別個のクリーニングチャンバを示す。
【
図8B】本発明の一つの実施の形態による、対象物の種々のコンポーネントのための、例示的な別個のクリーニングチャンバを示す。
【
図9】本発明の一つの実施の形態による、対象物の種々のコンポーネントのための別個のクリーニングチャンバを使用する、例示的なクリーニングシステムを示す。
【
図10A】本発明の一つの実施の形態による、別個のクリーニングチャンバを使用して対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図10B】本発明の一つの実施の形態による、別個のクリーニングチャンバを使用して対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図11】本発明の一つの実施の形態による、別個のクリーニングチャンバを使用して対象物を個別にクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図12A】本発明の一つの実施の形態による、例示的なロボットグリッパを示す。
【
図12B】本発明の一つの実施の形態による、例示的なロボットグリッパを示す。
【
図13A】本発明の一つの実施の形態による、グリッパアームの例示的な把持構成を示す。
【
図13B】本発明の一つの実施の形態による、グリッパアームの例示的な把持構成を示す。
【
図13C】本発明の一つの実施の形態による、グリッパアームの例示的な把持構成を示す。
【
図14A】本発明の一つの実施の形態による、本発明のグリッパアームを使用して対象物を把持するための例示的なフローチャートを示す。
【
図14B】本発明の一つの実施の形態による、本発明のグリッパアームを使用して対象物を把持するための例示的なフローチャートを示す。
【
図15】本発明の一つの実施の形態による、別個のクリーニングチャンバを使用して対象物を個別にクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図16A】本発明の一つの実施の形態による、対象物の例示的なクリーニングシーケンスを示す。
【
図16B】本発明の一つの実施の形態による、対象物の例示的なクリーニングシーケンスを示す。
【
図16C】本発明の一つの実施の形態による、対象物の例示的なクリーニングシーケンスを示す。
【
図17A】本発明の一つの実施の形態による、対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図17B】本発明の一つの実施の形態による、対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図18A】本発明の一つの実施の形態による、超音波液体スプレー又はメガソニック液体スプレーを使用する、例示的なクリーニングチャンバを示す。
【
図18B】本発明の一つの実施の形態による、超音波液体スプレー又はメガソニック液体スプレーを使用する、例示的なクリーニングチャンバを示す。
【
図18C】本発明の一つの実施の形態による、超音波液体スプレー又はメガソニック液体スプレーを使用する、例示的なクリーニングチャンバを示す。
【
図19A】本発明の一つの実施の形態による、超音波液体スプレー又はメガソニック液体スプレーを使用する、例示的なクリーニングチャンバを示す。
【
図19B】本発明の一つの実施の形態による、超音波液体スプレー又はメガソニック液体スプレーを使用する、例示的なクリーニングチャンバを示す。
【
図20A】本発明の一つの実施の形態による、対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図20B】本発明の一つの実施の形態による、対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートを示す。
【
図21A】本発明の一つの実施の形態による、例示的な汚染除去チャンバを示す。
【
図21B】本発明の一つの実施の形態による、別の例示的な汚染除去チャンバを示す。
【
図22A】本発明の一つの実施の形態による、対象物を汚染除去するための例示的なフローチャートを示す。
【
図22B】本発明の一つの実施の形態による、対象物を汚染除去するための例示的なフローチャートを示す。
【
図23A】本発明の一つの実施の形態による、例示的なアセンブリステーション及び例示的な組み立てプロセスを示す。
【
図23B】本発明の一つの実施の形態による、例示的なアセンブリステーション及び例示的な組み立てプロセスを示す。
【
図24A】本発明の一つの実施の形態による、対象物を組み立てるための例示的なフローチャートを示す。
【
図24B】本発明の一つの実施の形態による、対象物を組み立てるための例示的なフローチャートを示す。
【
図25】本発明の一つの実施の形態による、パージノズルを有している搬送及び/又は保管ステーションを例示的に示す。
【
図26A】本発明の幾つか実施の形態による、クリーナの実施例を示す。
【
図26B】本発明の幾つか実施の形態による、クリーナの実施例を示す。
【
図27】本発明の幾つか実施の形態による、ハイブリッド型クリーニングシステムの実施例を示す。
【
図28】本発明の幾つか実施の形態による、クリーニングシステムの実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、対象物、例えば半導体ワークピース容器及びレチクルキャリアの統合型クリーニングのための方法及び装置に関する。クリーニングプロセスは液体クリーニング、乾燥及び真空式汚染除去を含むことができる。
【0008】
クリーニング方法は、粒子及び/又は汚染物、例えば有機金属、無機金属、自然酸化物及び粒子状物質を除去し、また露落ちを除去するように実施される。クリーニングは、半導体製品、例えばカセット、FOUP、ホルダ、キャリア等にとって決定的な必要条件となり得る。クリーニングプロセスにおいては、数ミクロンからサブミクロンのレベルまでの範囲の粒子の除去、並びに微量汚染物(金属又は鉄)の削減が、半導体クリーニング産業の関心事の一部となっている。
【0009】
クリーニングプロセスは最小限の液体残留物での対象物の効果的なクリーニングを提供することができ、それによって後続の乾燥プロセスを支援することができる。例えば、クリーニングされるべき製品は最小限の液だめで、例えば水平な表面又は垂直な表面に位置決めされる。更に、潜在的な液だめ個所では、何らかの溜まった液体を吹き飛ばし、液体残留物の最小化及び乾燥プロセスの補助が支援されるようにガスノズルを配置することができる。ガスノズルは有利には窒素又は除菌空気を供給するが、しかしながら液体又は空気を含む液体も供給することができる。一つの態様においては、ガスノズルはクリーニング動作を実行し、また液体ノズルは溜まった液体を除去することができる。
【0010】
一つの実施の形態においては、本発明は、超紫外線(EUV)レチクルキャリアのような高レベル清浄度製品のためのクリーニングプロセス及びクリーニングシステムに関する。以下では、EUVレチクルキャリアを例として説明するが、しかしながら本発明はこれに限定されることはなく、例えば低微粒子汚染物及び低ガス発生成分のような厳密な清浄度が要求される他の対象物に対しても適用することができる。
【0011】
図1には、クリーニングされるべきEUVレチクルキャリア79の例示的な構成が示されている。EUVレチクル70は典型的には、内側容器と外側容器との間の空間77に窒素が含まれている、二重容器キャリア79内に保管される。内側容器は典型的には金属から成り、上部蓋71と、それと対を成す下部支持部72とから構成されている。外側容器は典型的には低ガス発生ポリマーから成り、上部蓋73と、それと対を成す下部支持部74とから構成されている。両容器はオペレータ又は自動搬送システムによる保持のための把手を有することができる。把手75は外側容器の上部蓋73に対して示されている。外側容器の支持部74は、レチクルキャリアの内部容積77に対する窒素パージを可能にするための導入部を有することができる。
【0012】
二重容器EUVレチクルキャリアは、半導体処理に関する清浄度の高いレベルを表す一例であり、そこではレチクルが汚染防止のために二つのレベルで保管されている。更に、二つのレベル間の容積には、バクテリアの成長を回避するために、又は外側容器から内側容器にガス発生粒子が付着することを防止するために、窒素がパージされる。従って、そのようなクリーニングされる対象物のためのクリーニングシステムは、クリーニングが行われた後の清浄度の所望のレベルを維持するために改善された機能を必要とする。
【0013】
一つの実施の形態においては、本発明は、クリーニング前の汚い環境とクリーニング後の清浄な環境の隔離に関する。この隔離は、例えば、クリーニングされた対象物が汚い環境における汚染物によって汚染されることを防止することによって、クリーニングされた後の対象物の清浄度を維持することができる。以下の記述において、「汚い」という語句は「清浄な」という語句との関係を表すために使用され、余り清浄ではない環境を表すことを意図している。例えば、日常の運転操作に関しては例えばクリーニングが必要とされないが、半導体プロセスにおいて要求される清浄度レベルに関しては、それが必要とされる対象物は汚れていると考えられる。対象物が汚い状態にある場合、クリーニング後に以前に比べて清浄である対象物は清浄である。
【0014】
一つの実施の形態においては、クリーニングシステムが、隔離されている汚い環境と清浄な環境を連通させるための、別個の入口ポート及び出口ポートを備えている、一つ又は複数のクリーニングチャンバを含んでいる。例えば、クリーニングチャンバは、クリーニングされるべき対象物を受け入れるために、汚い環境と接続されている入口ポートを有している。クリーニングチャンバは、そのクリーニングチャンバにおいてクリーニングされた後に対象物を清浄な環境へと搬送するために、清浄な環境と接続されている出口ポートを有している。従って、クリーニングチャンバによってクリーニングシステムは入口側の汚い環境と出口側の清浄な環境とに分けられる。クリーニングチャンバの入口ポート及び出口ポートは、汚い環境と清浄な環境との間の相互汚染を防止するために同期されている。例えば、汚い環境における汚い空気が清浄な環境に侵入することを防止するために、一つの時点においては一つのポートしか開放されない。一つの実施の形態においては、クリーニングチャンバは、清浄な環境へと続く出口ポートが開放される前に、パージガス(清浄な圧縮空気又は窒素)でクリーニングされる。更に、汚い環境へと続く入口ポートが開放される前に、クリーニングチャンバ内に正圧を発生させることができ、従って、汚い環境からの汚い空気のあらゆる逆流を最小限にすることができる。清浄な環境へと続く出口ポートが開放される前に、クリーニングチャンバ内に負圧を発生させることができ、従って、清浄な環境への汚い空気の何らかの逆流を最小限にすることができる。
【0015】
一つの実施の形態においては、種々の投入ポートを使用することができる。例えば、入口側の投入ポートは、クリーニングされるべき対象物を受け入れるために、汚い環境において使用される。別個の出口側の取り出しポートは、クリーニングされた対象物を送り出すために、清浄な環境において使用される。更に、種々のロボット処理システムを使用することができる。例えば、汚いロボットは汚い環境において使用され、また別個の清浄なロボットは清浄な環境において使用される。
【0016】
汚い環境と清浄な環境とで異なるレベルの清浄度を生じさせることができる。例えば、汚い環境はフィルタ層流を有することができる。清浄な環境は上げ床及びチラーを用いて改善された清浄度、例えば、フィルタリングされ再循環空気流又は再循環窒素流を有することができる。清浄な環境におけるフローの再循環は清浄なチャンバを外部雰囲気から隔離させることができ、従って、外部の空気に由来する、考えられるあらゆる汚染物を最小限にすることができる。チラーを再循環路内に設置することができ、これによって、空気流又は窒素流が冷却され、また空気分子の熱擾乱が防止される。
【0017】
更に、クリーニングチャンバの出口ポートとの接続部における天井及び床にある送風機によって形成される清浄なエアカーテンは更に、清浄な環境が汚い環境に場合によっては連接されることを阻止することができる。
【0018】
一つの実施の形態においては、清浄な環境へのアクセスを最小限にし、従って、清浄な環境を可能な限り清浄に維持するために、使用可能なコンポーネントが有利には汚い環境に配置される。
【0019】
図2には、本発明の一つの実施の形態による、クリーニングシステムの例示的な構成が示されている。クリーニングチャンバ14は汚い環境12を清浄な環境16から隔離する。汚いロボット12B及び入口側の投入ポート12Aは汚い環境12内に位置し、また、清浄なロボット16B及び出口側の取り出しポート16Aは清浄な環境16内に位置する。典型的なワークピースの流れでは、クリーニングされるべき対象物、例えばEUVレチクルキャリアは、矢印11によって表されているように、入口側の投入ポート12Aに投入され、続いて、汚いロボット12Bによって、矢印13によって表されているように、クリーニングチャンバ14へと搬送される。クリーニングチャンバ14においてクリーニングが行われた後に、クリーニングされた対象物は、清浄なロボット16Bによって、矢印15によって表されているように、出口側の取り出しポート16Aへと搬送され、そこにおいて矢印17によって表されているように、取り出される。クリーニングチャンバは別個の入口扉及び出口扉を有することができる。汚い対象物は汚い入口扉13から入室し、クリーニングされた対象物は清浄な出口扉15から退室する。更に、汚い環境と清浄な環境との間の相互汚染の防止を更に考慮することができる。例えば、清浄な対象物の搬送中に、清浄な環境からの層流を発生させるために比較的高い圧力を清浄な環境内に生じさせることができ、これにより汚い環境からの粒子の逆流が最小限にされる。更には、例えば、クリーニングチャンバの扉と連動させ、入口扉と出口扉が同時に開放されることを防止することによって、清浄な環境と汚い環境を隔離することができる。
【0020】
図3Aから
図3Cには、本発明の一つの実施の形態による、クリーニングシステムの種々の構成が示されている。
図3Aには、汚い環境22及び清浄な環境26が、入口側の投入ポート21及び出口側の取り出しポート27と共に相互に並んで配置されている。入口側の投入扉21Aは汚い対象物を入口側の投入ポート21に収容するために最初は開放されている。入口側の投入扉21Aの閉鎖後に、出口側の投入扉21Bが開かれ、汚い対象物を汚いロボットによってピックアップすることができる。出口側の投入扉21Bの閉鎖後に、入口側のチャンバ扉24Aが開かれ、汚い対象物をクリーニングチャンバ24へと搬送することができる。クリーニング後には、対象物を出口側のチャンバ扉24Bへと搬送することができ、この出口側のチャンバ扉24Bは、清浄なロボットによってクリーニングされた対象物をピックアップできるように開放される。クリーニングされた対象物は続いて出口側の取り出しポート27へと搬送され、更に、扉27B及び27Aを介して外部雰囲気へと搬送される。
【0021】
図3Bには、クリーニングチャンバ24が対向している入口扉24A及び出口扉24Bの二つの扉を有している別の構成が示されている。
図3Cには、クリーニングシステムが複数のクリーニングチャンバを有している別の構成が示されており、ここでは二つのクリーニングチャンバ24’及び24''が図示されている。汚い環境及び清浄な環境における直線状の各ガイド22B及び26Bによって、汚いロボット22A及び清浄なロボット26Aはそれぞれ異なるクリーニングチャンバ24’及び24''間を往復するように移動することができる。
【0022】
クリーニング前とクリーニング後の環境の隔離に付加的に、それらの環境を異なる清浄度に維持することができる。例えば、対象物が汚れている入口セクションでは、比較的汚い環境が発生していると考えられる。対象物のクリーニングが完了しており、従って比較的清浄である出口セクションでは、清浄な環境が発生していると考えられる。
【0023】
図4A及び
図4Bには、本発明の一つの実施の形態による、汚い環境及び清浄な環境に関する、例示的なフローの構成が示されている。
図4Aは、フィルタシステム32Aを通過する、汚い環境32における層流32Bを示す。電子装置31を汚い環境32内に設けることができ、この汚い環境には供給扉30を介してアクセスすることができる。清浄な環境36は再循環流36Bを有しており、この再循環流36Bは、上げ床37を通過して、チラー38に流入し、フィルタシステム36Aによって濾過される。閉じられた環境は清浄な環境36を外部雰囲気から隔離し、更に、清浄な環境の清浄度を改善する。二つの環境32及び36によってクリーニングチャンバ34が挟まれており、このクリーニングチャンバ34はパージガス導入部35A及びパージガス導出部35Bを有している。
【0024】
図4Bには、本発明の一つの実施の形態による、清浄な環境に関する、例示的なカーテンガス流が示されている。送風機システム39Cはクリーニングチャンバの出口ポートの前に配置されており、従って清浄な環境におけるフロー39Bが修正され、それによりカーテンフローが出口扉34Bにおいて形成される。このカーテンフローはクリーニングチャンバ34からのあらゆる逆流を最小限にすることができ、従って、清浄な環境とのあらゆる相互汚染を防止することができる。
【0025】
クリーニングシステムの入口セクション及び出口セクションに対して清浄度の異なるレベルを維持することの他に、セクション間が連通されている間にガスパージを提供し、セクション間の相互汚染を最小限にすることができる。例えば、二つのセクション間の扉が開放されている間に、清浄な環境から汚い環境への正圧又は正フローを発生させることができる。択一的に、清浄な環境から汚い環境への正圧も形成するために、汚い環境において負圧を発生させることもできる。
【0026】
図5A及び
図5Bには、本発明の一つの実施の形態による、クリーニングチャンバをパージするための例示的な構成が示されている。
図5Aにおいては、クリーニングチャンバ34が加圧されているか、又は、汚い環境32への入口扉が開放される前に、清浄ガス45Aがパージされる。入口扉が開放された後に、クリーニングチャンバ34から汚い環境32への正のフロー42を発生させることができ、従って、汚い環境からの逆流に由来するあらゆる汚染物を最小限にすることができる。クリーニングチャンバ34における圧力を汚い環境32における圧力に等しくすることができるか、又はそれより高くすることができる。
【0027】
図5Bにおいては、清浄な環境36への出口扉が開放される前に、清浄ガス導入部45A及び清浄ガス導出部45Bを用いて、クリーニングチャンバ34の排気が行われるか、又は、圧力が制御される。出口扉が開放された後に、清浄な環境36からクリーニングチャンバ34への正のフロー43を発生させることができ、従って、清浄な環境への逆流に起因するあらゆる相互汚染が最小限にされる。クリーニングチャンバ34における圧力を清浄な環境36における圧力に等しくすることができるか、又はそれより低くすることができる。
【0028】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、レチクルキャリアのようなワークピースをクリーニングするためのシステムに関する。システムは第1のステーションを含むことができ、この第1のステーションはワークピースを搬送するための第1のロボット機構を含んでいる。第1のステーションはクリーニングシステムの入口側のセクションであり、汚いワークピース、例えばクリーニングされなければならないワークピースを収容するために構成することができる。システムは第2のステーションを含むことができ、この第2のステーションはワークピースを搬送するための第2のロボット機構を含んでいる。第2のステーションはクリーニングシステムの出口側のセクションであり、清浄なワークピース、例えばクリーニングシステムによってクリーニングされたワークピースを収容するために構成することができる。システムはチャンバを含むことができ、このチャンバはワークピースをクリーニングするように機能する。チャンバは入口を有することができ、この入口はワークピースを第1のロボット機構によって第1のステーションからチャンバへと搬送できるように機能する。チャンバは出口を有することができ、この出口はワークピースを第2のロボット機構によってチャンバから第2のステーションへと搬送できるように機能する。チャンバはクリーニング用液体を供給するための液体ノズルと、乾燥ガスを供給するための乾燥ノズルと、ワークピースを加熱するための、オプションとしてのヒータとを有することができる。第2のステーションを第1のステーションから隔離することができる。一般的に、第1のステーション及び第2のステーションによってクリーニングチャンバは挟まれており、従って、それら二つのステーションは相互に隔離されている。幾つかの実施の形態においては、第1のステーション及び第2のステーションはクリーニングシステムの運転中にも隔離されている。例えば、クリーニングチャンバが第1のステーション及び第2のステーションそれぞれに対して開放されているときには、第1のステーション及び第2のステーションを隔離するようにクリーニングチャンバを構成することができる。第2のステーションに面している扉が開放されると、第1のステーションに面している扉を閉鎖することができ、従って第1のステーションと第2のステーションが隔離される。第2のステーションの環境は第1のステーションの環境よりも清浄である。第1のステーションは汚いワークピースを収容し、また第2のステーションは清浄なワークピースを収容するので、第2のステーションを第1のステーションよりも清浄に保つことはワークピースの清浄度に関して有益であると考えられる。例えば、第1のステーションは外部雰囲気へと案内されるフィルタ層流を含む。第2のステーションは、より清浄な雰囲気を維持することができる上げ床及びチラーと共にフィルタ再循環ガス流を含んでいる。システムはチャンバの出口においてカーテンフローを発生させる機構を含むことができる。
【0029】
幾つかの実施の形態においては、クリーニングシステムは、複数のワークピースをクリーニングするための複数のチャンバを有することができる。例えば、ワークピースの第1のコンポーネントをクリーニングするために第1のチャンバを使用することができ、またワークピースの第2のコンポーネントをクリーニングするために第2のチャンバを使用することができる。システムは、チャンバへと搬送されるべきワークピースを収容するための、第1のステーションと接続されている入口側の投入ポートを含むことができる。システムは、チャンバからのワークピースを収容するための、第2のステーションと接続されている出口側の投入ポートを含むことができる。幾つかの実施の形態においては、第1のステーションと第2のステーションを隔離するために、チャンバの入口と出口は同時には開放されず、それにより第1のステーションが第2のステーションから隔離される。システムは、入口が開放されている間の第2のステーションからチャンバへのフロー、又は、出口が開放されている間のチャンバから第1のステーションへのフローを発生させる機構を含むことができる。
【0030】
対象物が例えば(汚い)入口ポートから(クリーニングのための)クリーニングチャンバ、続いて(清浄な)出口ポートへと搬送される間に、クリーニングされた対象物の再汚染を最小限にするために複数の条件を設定することができる。
【0031】
図6A及び
図6Bには、本発明の一つの実施の形態による、別個の汚い環境と清浄な環境とを使用して対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートが示されている。
図6Aにおいては、オペレーション50により、クリーニングチャンバと繋がっている、異なる清浄度レベルを有する二つの環境が発生される。オペレーション51により、クリーニングされるべき対象物が比較的汚い環境からクリーニングチャンバへと搬送され、続いて比較的清浄な環境へと搬送され、その際、クリーニングされた対象物は相互汚染を防止するために比較的汚い環境から隔離されている。
【0032】
図6Bにおいては、オペレーション54により、クリーニングされるべき対象物が汚い環境へと運ばれる。オペレーション55により、対象物が汚い環境からクリーニングチャンバへと搬送される。オペレーション56により、対象物がクリーニングチャンバにおいてクリーニングされる。オペレーション57により、クリーニングされた対象物がクリーニングチャンバから清浄な環境へと搬送され、その際、清浄な環境は相互汚染を防止するために汚い環境から隔離されている。オペレーション58により、クリーニングされた対象物が清浄な環境の外に運び出される。
【0033】
図7には、本発明の一つの実施の形態による、別個の汚い環境と清浄な環境とを使用する、別の例示的なクリーニングプロセスが示されている。
図7においては、オペレーション60により、クリーニングされるべき対象物を収容するための汚い環境と、クリーニングされた後の対象物を収容するための清浄な環境とが発生され、それら二つの環境は対象物をクリーニングするためのクリーニングチャンバに繋がっている。オペレーション61により、汚染物を低減するために、汚い環境において層流が形成される。オペレーション62により、クリーニングされるべき対象物が汚い環境へと運ばれる。オペレーション63により、クリーニングチャンバが隔離され、汚い環境からの逆流を最小限にするために、汚い環境に対して開放される前にクリーニングチャンバが加圧される。オペレーション64により、クリーニングされるべき対象物が汚い環境からクリーニングチャンバへと搬送される。オペレーション65により、対象物がクリーニングチャンバにおいてクリーニングされる。オペレーション66により、汚染物を低減するために、清浄な環境において再循環流が形成される。オペレーション67により、清浄な環境における再循環流が冷却される、及び/又は、汚染物を低減するためにクリーニングチャンバの前にフローカーテンが形成される。オペレーション68により、クリーニングチャンバが隔離され、クリーニングチャンバからの逆流を最小限にするために、清浄な環境に対して開放される前にクリーニングチャンバ内の圧力が低下される。オペレーション69により、クリーニングされた対象物がクリーニングチャンバから清浄な環境へと搬送される。
【0034】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、ワークピースをクリーニングするための方法に関する。本方法は、クリーニングチャンバの入口を介して、第1のステーションからチャンバへとワークピースを搬送するステップを備えることができる。本方法は、クリーニングチャンバにおいてワークピースをクリーニングするステップを備えることができる。本方法は、チャンバの出口を介して、チャンバから第2のステーションへとワークピースを搬送するステップを含むことができる。第2のステーションは第1のステーションから隔離されている。第2のステーションの環境は第1のステーションの環境よりも清浄である。
【0035】
幾つかの実施の形態においては、本方法は更に、第1のステーションへと搬送されるべきワークピースを入口側の投入ポートに投入するステップを備えることができる。また本方法は、ワークピースを第2のステーションから出口側の投入ポートに取り出すステップを備えることができる。また本方法は、ワークピースを第1のステーションからチャンバへと搬送する前に、チャンバの出口を閉鎖するステップを備えることができる。また本方法は、第1のステーションからチャンバへとワークピースを搬送するためにチャンバの入口を開放する前に、チャンバを加圧するステップを備えることができる。また本方法は、チャンバから第2のステーションへとワークピースを搬送する前に、チャンバの入口を閉鎖するステップを備えることができる。また本方法は、チャンバから第2のステーションへとワークピースを搬送するためにチャンバの出口を開放する前に、チャンバ内の圧力を低下させるステップを備えることができる。また本方法は、第2のステーションにおいて再循環ガス流を形成するステップを備えることができる。また本方法は、第2のステーションの環境を冷却するステップを備えることができる。また本方法は、チャンバの出口においてカーテンフローを形成するステップを備えることができる。
【0036】
幾つかの実施の形態においては、本方法は、クリーニングチャンバと繋がっている、異なる清浄度レベルを有している二つの環境を発生させるステップと、クリーニングのために、比較的汚い環境からクリーニングチャンバへとワークピースを搬送するステップと、クリーニングチャンバから比較的清浄な環境へとワークピースを搬送するステップとを備えることができ、二つの環境はワークピースの搬送中に相互に隔離されている。
【0037】
上記においては、汚い環境及び清浄な環境の二つの環境の間のクリーニングチャンバについて説明した。しかしながら、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明を、入口側の汚い環境を出口側の清浄な環境から隔離することによって生じる清浄度のレベルを要求する、チャンバのあらゆる処理にも同様に適用することができる。
【0038】
更に、クリーニングシステム及びワークピースのクリーニング方法は、別の段落において説明した特徴のような他の特徴も備えることができる。例えば、それらの特徴には、別個のクリーニングチャンバ、同一のロボットハンドラを使用して種々のコンポーネントのピックアンドプレイスを行うためのグリッパアーム、異なる位置において異なるコンポーネントを保持するためのグリッパアーム、外側容器のための水平方向スピンクリーニング及び乾燥部、熱水及び熱風クリーニングプロセス、乾燥のための熱風ノズルを用いるクリーニングのための垂直方向ノズル及びラスタ化メガソニックノズル、種々のコンポーネントの脱ガスのための真空汚染除去チャンバ、並びに、パージガス充填及び排出ステーションが含まれる。
【0039】
一つの実施の形態においては、本発明は、一つの対象物の異なるコンポーネントのための別個のクリーニングチャンバに関する。この分離によって、クリーニングプロセス中の比較的汚いコンポーネントによる比較的清浄なコンポーネントの汚染を防止することができる。例えば、二重容器EUVレチクルキャリアの内側コンテナは対応する外側コンテナよりも清浄である。何故ならば、内側コンテナは、外側容器と不活性ガス雰囲気の両方によって保護されるように設計されているからである。従って、外側容器コンポーネント及び内側容器コンポーネントのための別個のクリーニングチャンバは、例えば内側のコンポーネントと外側のコンポーネントとが一緒にクリーニングされる場合には、クリーニング中の外側容器による内側容器の汚染を最小限にすることができる。
【0040】
一つの実施の形態においては、クリーニングチャンバの数は清浄度のレベルに基づき決定されている。例えば、二重容器キャリアは清浄度に対する二つのレベル、即ち、外側容器に対する比較的汚いレベルと内側容器に対する比較的清浄なレベルとを有することができる。従って、二つの別個のクリーニングチャンバを使用することができる。第1のクリーニングチャンバは、外側容器の上部蓋及び下部支持部を含む二重容器キャリアの外側容器をクリーニングするために使用される。第2のクリーニングチャンバは、内側容器の上部蓋及び下部支持部を含む二重容器キャリアの内側容器をクリーニングするために使用される。
【0041】
一つの実施の形態においては、清浄度のレベルを更に細分化することができる。例えば、容器の上部蓋及び下部支持部は汚染の異なるレベルを生じさせる可能性があるので、外側容器及び内側容器のそれぞれに対して二つの清浄度レベルが設定することにより、清浄度の四つのレベルを設定することができる。従って四つの別個のクリーニングチャンバを使用することができる。第1のクリーニングチャンバ及び第2のクリーニングチャンバは、二重容器キャリアの外側容器の上部蓋及び下部支持部をそれぞれクリーニングするために使用される。第3のクリーニングチャンバ及び第4のクリーニングチャンバは、二重容器キャリアの内側容器の上部蓋及び下部支持部をそれぞれクリーニングするために使用される。
【0042】
一つの実施の形態においては、対象物の各コンポーネントが別個のクリーニングチャンバにおいて個別にクリーニングされる。例えば、二重容器キャリアを四つの別個のクリーニングチャンバにおいてクリーニングすることができる。つまり、外側容器の上部蓋、外側容器の下部支持部、内側容器の上部蓋及び内側容器の下部支持部の各々に対して、それぞれ一つのクリーニングチャンバが使用される。
【0043】
図8A及び
図8Bには、本発明の一つの実施の形態による、対象物の種々のコンポーネントのための、例示的な別個のクリーニングチャンバが示されている。
図8Aにおいては、対象物の種々のコンポーネント、例えば二重容器キャリア80の四つのコンポーネント80Aから80Dをクリーニングするために、四つの異なるクリーニングチャンバ83Aから83Dが相互に並んで配置されている。キャリア80は投入ステーション81に投入され、続いてコンポーネントが、グリッパアーム82Bを有しているロボット82Aによって搬送ステーション82にピックアップされる。ロボット82Aは、例えば直線状のガイド82Cによって、複数のクリーニングチャンバ83Aから83Dの間を走行することができる。
【0044】
図8Bにおいては、クリーニングチャンバ83Aから83Dが入口側の汚い環境82を出口側の清浄な環境86から隔離し、従って、クリーニングされるべき対象物に関する清浄度の付加的なレベルが提供される。二重容器キャリア80のような対象物が入口側の投入ステーション81に投入され、ロボット82Aによって汚い環境82へと搬送される。この汚い環境82から、個別にクリーニングされるべきキャリア80のコンポーネントが、種々のクリーニングチャンバ83Aから83Dに置かれる。クリーニングが行われた後には、清浄なロボット86Aが清浄な環境86、ひいては出口側の送り出しステーション87へのコンポーネントのピックアップアンドプレイスを行う。
【0045】
図9には、本発明の一つの実施の形態による、対象物の種々のコンポーネントのための別個のクリーニングチャンバを使用する、例示的なクリーニングシステムが示されている。二重容器キャリア80のような対象物が入口側の投入ステーション91に投入され、ロボットによって汚い環境92へと搬送される。その汚い環境92から、個別にクリーニングされるべきキャリア80のコンポーネントが、種々のクリーニングチャンバ93に置かれる。クリーニングが行われた後には、清浄なロボットがコンポーネントをピックアップし、清浄な環境96へと運ぶ。オプションとして、それらのコンポーネントをアセンブリステーション98において組み立てる前にコンポーネントの脱ガスを行うために、脱ガスチャンバ95A及び95Bを設けることができる。組み立てが行われた後には、組み立てられたキャリアは出口側の送り出しステーション97へと送り出される。
【0046】
一つの実施の形態においては、本発明は、クリーニングが行われた後にコンポーネントの汚染除去を行うための別個の脱ガスチャンバ95A及び95Bに関する。四つの脱ガスチャンバを使用することができる。有利には二つの脱ガスチャンバが使用される。つまり、一方は内側容器のコンポーネントに対して使用され、他方は外側容器のコンポーネントに対して使用される。脱ガス汚染除去のために、二つの脱ガスチャンバを、内側容器及び外側容器の異なる部品のための四つのクリーニングチャンバと組み合わせて使用することによって、清浄度の複数のレベルを達成することができる。脱ガスチャンバに関しては後段において詳細に説明する。
【0047】
一つの実施の形態においては、本発明は、各コンポーネントのクリーニング並びに脱ガスがそれぞれ行われた後に、それらのコンポーネントを一つに組み立てるためのアセンブリステーション98に関する。アセンブリステーションは有利には、清浄な環境96と同程度の清浄な環境、又は、それよりも更に清浄な環境を有している。例えば、アセンブリステーションを窒素で充填し、キャリア内部の容積を窒素で満たし、従って、潜在的な酸化の原因となる何らかの酸素又はバクテリアの成長を阻止することが保証される。アセンブリステーションに関しては後段において詳細に説明する。
【0048】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするためのシステムに関する。第1のコンポーネントはポリマー材料から成る外側のボックスであり、また蓋及びボディを含んでいる。第2のコンポーネントは金属材料から成る内側のボックスであり、また蓋及びボディを含んでいる。システムは、第1のコンポーネントをクリーニングするように機能する第1のチャンバと、第2のコンポーネントをクリーニングするように機能する第2のチャンバと、第1のチャンバ及び第2のチャンバと接続されている第1のステーションとを含むことができ、第1のステーションは、第1のコンポーネントを第1のステーションから第1のチャンバへと搬送し、また第2のコンポーネントを第1のステーションから第2のチャンバへと搬送するように機能する第1のロボット機構を含んでいる。
【0049】
幾つかの実施の形態においては、第1のコンポーネントが蓋及びボディを含んでおり、第1のチャンバは蓋とボディの両方をクリーニングするように機能する。第1のコンポーネントは蓋及びボディを含むことができ、また第1のチャンバは蓋をクリーニングするように機能する第1の蓋チャンバと、ボディをクリーニングするように機能する第1のボディチャンバとを含むことができる。第2のコンポーネントは蓋及びボディを含むことができ、第2のチャンバは蓋とボディの両方をクリーニングするように機能する。第2のコンポーネントは蓋及びボディを含むことができ、また第2のチャンバは蓋をクリーニングするように機能する第2の蓋チャンバと、ボディをクリーニングするように機能する第2のボディチャンバとを含むことができる。第1のチャンバは第1の入口及び第1の出口を含むことができ、第2のチャンバは第2の入口及び第2の出口を含むことができ、第1のステーションは第1の入口及び第2の入口と接続されており、システムは更に第2のステーションを含むことができ、この第2のステーションは第1の出口及び第2の出口と接続されており、第2のステーションは第2のロボット機構を含むことができ、第2のロボット機構は第1のコンポーネントを第1のチャンバから第2のステーションへと搬送し、また第2のコンポーネントを第2のチャンバから第2のステーションへと搬送するように機能する。第1のステーションを第2のステーションから隔離することができる。システムは更に、ワークピースを収容するための第1のステーションと接続されている投入ポートを含んでおり、また、クリーニング後に第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントの脱ガスを行うことができように機能する、一つ又は複数の第3のチャンバを含み、更に、クリーニング後に第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを組み立てることができるように機能する第4のチャンバを含んでいる。
【0050】
図10A及び
図10Bには、本発明の一つの実施の形態による、別個のクリーニングチャンバを使用して対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートが示されている。
図10Aにおいては、オペレーション100により、複数のコンポーネント、例えば二重容器キャリアを含んでいる、クリーニングされるべき対象物が収容される。オペレーション101により、対象物が個々のコンポーネントに分解される。例えば、二重容器キャリアを外側容器と内側容器に分解することができる。択一的に、二重容器キャリアを外側容器の蓋及び支持部並びに内側容器の蓋及び支持部に分解することができる。オペレーション102により、個々のコンポーネントがクリーニングのために別個のクリーニングチャンバへと搬送される。オペレーション103により、クリーニングされた個々のコンポーネントが、有利には清浄度を保つために清浄な雰囲気において組み立てられる。従って、アセンブリステーションは有利には、清浄度レベルを維持するために複数のクリーニングチャンバと統合されている。
【0051】
図10Bに基づき、別個の複数のクリーニングチャンバを用いて実施される別個の複数の環境について説明する。オペレーション104により、複数のコンポーネントから成る対象物が汚い環境へと運ばれる。オペレーション105により、個々のコンポーネントへの分解が行われ、相互汚染を防止するために、それらのコンポーネントが汚い環境から、クリーニングされるべき個々のクリーニングチャンバへと別個に搬送される。オペレーション106により、クリーニングされたコンポーネントがクリーニングチャンバから清浄な環境へと搬送され、この際、清浄な環境は相互汚染を防止するために汚い環境から隔離されている。オペレーション107により、クリーニングされたコンポーネントの条件が整えられる。例えば、クリーニングされたコンポーネントに真空汚染除去を実施し、コンポーネント内に閉じ込められたガスを除去することができる。オペレーション108によりクリーニングされた個々のコンポーネントが組み立てられる。
【0052】
図11には、本発明の一つの実施の形態による、別個のクリーニングチャンバを使用して対象物を個別にクリーニングするための例示的なフローチャートが示されている。オペレーション110により、汚い環境と清浄な環境とが形成され、それら二つの環境は複数のクリーニングチャンバに繋がっている。オペレーション111により、二重容器キャリアが汚い環境へと運ばれる。ここで、二重容器キャリアは、上部内側容器及び下部内側容器並びに上部外部容器及び下部外側容器から成る。オペレーション112により、二重容器キャリアが個々のコンポーネントに分解される。オペレーション113により、個々のコンポーネントがクリーニングのために別個のクリーニングチャンバへと搬送される。オペレーション114により、個々のコンポーネントが個々のクリーニングチャンバにおいてクリーニングされる。オペレーション115により、個々のコンポーネントがクリーニングチャンバから清浄な環境へと搬送される。オペレーション116により、複数の別個の脱ガスチャンバにおいて個々のコンポーネントの脱ガスが行われる。オペレーション117により、外側容器の内部に不活性ガスが充填されながら、クリーニングされた個々のコンポーネントが組み立てられて、二重容器キャリアが形成される。
【0053】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするための方法に関する。この方法は、ワークピースの第1のコンポーネントを第1のステーションから第1のチャンバへと搬送するステップと、ワークピースの第2のコンポーネントを第1のステーションから第2のチャンバへと搬送するステップと、第1のチャンバ及び第2のチャンバにおいて第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントをクリーニングするステップとを備えることができる。
【0054】
幾つかの実施の形態においては、この方法は更に、第1の出口を介して第1のコンポーネントを第1のチャンバから第2のステーションへと搬送するステップと、第2の出口を介して第2のコンポーネントを第2のチャンバから第2のステーションへと搬送するステップと、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントの脱ガスを行い第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを搬送するステップと、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントが組み立てられるように機能する第4のチャンバに第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを搬送するステップとを備えることができる。
【0055】
更に、クリーニングシステム及びワークピースのクリーニング方法は、別の段落において説明した特徴のような他の特徴も備えることができる。例えば、それらの特徴には、別個の環境、同一のロボットハンドラを使用して種々のコンポーネントのピックアンドプレイスを行うためのグリッパアーム、異なる位置において異なるコンポーネントを保持するためのグリッパアーム、外側容器のための水平方向スピンクリーニング及び乾燥、熱水及び熱風クリーニングプロセス、乾燥のための熱風ノズルを用いたクリーニングのための垂直方向ノズル及びラスタ化メガソニックノズル、種々のコンポーネントのための脱ガスを行う真空汚染除去チャンバ、並びに、パージガス充填及び排出ステーションが含まれる。
【0056】
一つの実施の形態においては、本発明は、クリーニングされるべき対象物を処理するためのロボットアームに関する。ロボットハンドラを一つ使用するだけで、対象物の全てのコンポーネントを処理することができる。択一的に、複数のロボットハンドラを使用することもできる。一つの実施の形態においては、二重容器キャリアの種々異なる大きさの全てのコンポーネントを処理するために、調整可能なグリッパアームを備えているグリッパハンドラが使用される。例えば、外側容器は内側容器よりも大きいので、グリッパアームは外側容器を処理するために伸長することができ、また内側容器を処理するために短縮することができる。従って、対象物の種々異なるコンポーネントの全てを処理するために、複数のグリッパアームを有している単一のロボットを使用することができる。
【0057】
一つの実施の形態においては、更に、異なる清浄度レベルを有している異なるコンポーネントがロボットハンドラの異なる部分と接触することによって、対象物のコンポーネント間の相互汚染を回避するために、ロボットハンドラを設計することができる。例えば、グリッパアームはそのグリッパアームの異なる位置において異なるコンポーネントを把持する。グリッパアームの上部部分を、外側容器部分を支持するために使用することができる。グリッパアームの中央部分を、内側容器部分を支持するために使用することができる。
【0058】
一つの実施の形態においては、ロボットハンドラは更に、粒子の発生を最小限にするために設計されている。例えば、グリッパアームは、粒子を発生させる可能性がある摩擦を最小限にするために、最小限の力でコンポーネントを把持するよう制御される。空気式の制御の代わりに、フィードバックセンサを用いるか、又はフィードバックセンサを用いない、モータによる制御でもって、キャリアコンポーネントを保持する際にグリッパアームによって形成される力を制御することもできる。
【0059】
図12A及び
図12Bには、本発明の一つの実施の形態による、例示的なロボットグリッパが示されている。ロボットグリッパは、ハンドラ120と接続されている二つのグリッパアーム121A及び121Bを含んでいる。モータのような移動機構126は、矢印127によって表されているように、グリッパアームを移動させることができ、それにより、異なるサイズの対象物を収容するためにグリッパアームのグリップが広げられるか、又は狭められる。モータは、把持されるべき対象物におけるグリッパアームからの力を制御するためのコントローラコンポーネント、例えば電流センサ(モータ内に取り付けられている、図示せず)又は圧力センサ125A/125Bを有することができる。オプションとして、摩擦に起因する粒子の発生を更に低減するために、インサート122A/122Bを含ませることができる。
【0060】
図13Aから
図13Cには、本発明の一つの実施の形態による、グリッパアームの例示的な把持構成が示されている。
図13Aにおいては、グリッパアーム121が内側容器のコンポーネント130(例えば上部蓋)を、グリッパアームインサート122の中央部分131から支承している。コンポーネント130の凹部137と嵌合させることによってコンポーネント130をロックするためにピン135を使用することができる(
図13Cを参照されたい)。
図13Bにおいては、グリッパアーム121が外側容器のコンポーネント132(例えば上部蓋)を、グリッパアームインサート122の上部部分133から支承している。コンポーネントの凹部と嵌合させることによってコンポーネント133をロックするためにピン135を使用することができる(図示せず、但し
図13Cに類似する)。従ってグリッパアームは、異なる位置(中央部分131及び上部部分133)において対象物の異なるコンポーネントを把持し、それにより、異なるレベルの清浄度を有している種々のコンポーネント間の相互汚染を最小限にすることができる。他の構成、例えばインサートの下部からコンポーネントを支承するグリッパアームか、又は、インサートを用いずにグリッパアームによって直接的にコンポーネントを支承するグリッパアームを使用することができる。
【0061】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースを保持するためのロボットハンドラに関する。ロボットハンドラはハンドルを含むことができ、ハンドルは二つのアームを含み、二つのアーム間の距離は第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを支承するために調整可能であり、またロボットハンドラは二つのアーム間の距離を調整するために二つのアームと接続されている機構を含み、各アームは第1のコンポーネントを把持するための第1の部分と、第2のコンポーネントを把持するための第2の部分とを含み、第1の部分及び第2の部分はアームの異なる位置に設けられている。
【0062】
幾つかの実施の形態においては、上記の機構はモータを含むことができる。第1の部分はアームの中央部分を含むことができる。第2の部分はアームの上部部分又は下部部分を含むことができる。ロボットハンドラは更に、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントに作用する力を制御するためのフィードバックセンサを含むことができる。ロボットハンドラはアームと接続されているインサートを含むことができ、第1の部分はインサートの中央部分を含んでいる。ロボットハンドラはアームと接続されているインサートを含むことができ、第2の部分はインサートの上部部分又は下部部分を含んでいる。ロボットハンドラは、第1のコンポーネント又は第2のコンポーネントにおける凹部と嵌合させるためのピンを含むことができる。
【0063】
図14A及び
図14Bには、本発明の一つの実施の形態による、本発明のグリッパアームを使用して対象物を把持するための例示的なフローチャートが示されている。
図14Aにおいては、オペレーション140により、作業対象物を包囲するためにグリッパアームが開かれる。オペレーション141により、作業対象物を保持するためにグリッパアームが閉じられる。オプションとして、オペレーション142により、グリッパアームにおける力が検出される。オペレーション143により、接触に起因する粒子の発生を最小限にするために、グリッパアームの力が制御される。
【0064】
図14Bにおいては、オペレーション144により、複数の別個のコンポーネントを含んでいる対象物が提供される。オペレーション145により、対象物のコンポーネントを包囲するためにグリッパアームが開かれる。オペレーション146により、グリッパアームが移動され、グリッパアームの所望の位置において対象物コンポーネントと接触され、グリッパアームの位置は対象物のコンポーネント間の相互汚染を最小限にするために選択される。オペレーション147により、対象物コンポーネントを保持するためにグリッパアームが閉じられる。
【0065】
図15には、本発明の一つの実施の形態による、別個のクリーニングチャンバを使用して対象物を個別にクリーニングするための例示的なフローチャートが示されている。オペレーション150により、グリッパアームが移動され、グリッパアームの第1の位置において外側容器の上部部分と接触される。オペレーション151により、外側容器の上部部分が第1のプロセスチャンバへと搬送される。オペレーション152により、グリッパアームが移動され、グリッパアームの第2の位置において内側容器の上部部分と接触される。オペレーション153により、内側容器の上部部分が第2のプロセスチャンバへと搬送される。オペレーション154により、グリッパアームが移動され、グリッパアームの第2の位置において内側容器の下部部分と接触される。オペレーション155により、内側容器の下部部分が第3のプロセスチャンバへと搬送される。オペレーション156により、グリッパアームが移動され、グリッパアームの第1の位置において外側容器の下部部分と接触される。オペレーション157により、外側容器の下部部分が第4のプロセスチャンバへと搬送される。
【0066】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースを搬送するための方法に関する。本方法は、第1のコンポーネントを包囲するために二つのグリッパアーム間の第1の距離を拡大するステップと、グリッパアームにおける第1の部分において第1のコンポーネントを把持するステップと、第1のコンポーネントを第1の目的地へと搬送するステップと、第2のコンポーネントを包囲するために二つのグリッパアーム間の第2の距離を拡大するステップと、グリッパアームにおける第2の部分において第2のコンポーネントを把持するステップと、第2のコンポーネントを第2の目的地へと搬送するステップとを備えることができ、第1の部分及び第2の部分はアーム上の異なる位置に設けられている。
【0067】
幾つかの実施の形態においては、上記の拡大と把持をモータによって実施することができる。本方法は更に、第1のコンポーネント又は第2のコンポーネントにおける凹部とアームにおけるピンを嵌合させるステップを備えることができる。
【0068】
幾つかの実施の形態においては、第2のコンポーネントを包囲する第1のコンポーネントを有しているワークピースの搬送にロボットハンドラを使用することができる。ロボットハンドラを、本明細書に記載されている他の構成においても使用することができる。
【0069】
一つの実施の形態においては、本発明は、一つの対象物の種々のコンポーネントをクリーニングするための種々異なるクリーニングチャンバに関する。対象物をクリーニングするために、複数の液体ノズルを対象物表面へと配向させることができる。液体ノズルは、クリーニング用液体、すすぎ液(例えばDI水)、また、対象物の洗浄及び汚染除去のために作成された他の化学的な液体、例えば界面活性剤又は金属除去剤の混合物を供給することができる。超音波ノズル又はメガソニックノズルは、クリーニング能力を改善するために、エネルギ物質の液体を供給することができる。液体の量は、例えば、キャリアガス(例えば窒素、空気又は不活性ガス)と共に微細液滴及びエアロゾルガス気泡を噴霧することにより、綿密に制御することができる。液体ノズルは、ガス、例えば窒素又は除菌空気、若しくは、ガス/液体混合物を供給するように構成することができる。迅速に蒸発する液体、例えば沸点が低く且つ蒸気圧が高いアルコールを使用することができる。例えば蒸発による迅速な乾燥を支援するために、高温キャリアガス及び高温液体を利用することができる。更には、液体残留物及び液体デッドスポットが生じない良好な排水によって液体を除去できるように、チャンバ及び対象物の位置を設計することができる。更には、高速な排気及び低チャンバ圧力によって、例えば液体クリーニングサイクル中に乾燥ガスをパージすることによって、及び/又は、クリーニングチャンバ内部の真空圧力を維持することによって、液体蒸気を除去することができる。
【0070】
ノズルが表面と重畳するように設計することができ、その場合、完全なクリーニングを保証するために表面が完全に覆われる。ノズルは例えば適切なクリーニング力を有するために、小角フローを提供することができる。衝撃角度はより強い力を生じさせるために表面に対して垂直であるか、又は、より高い表面被覆度を生じさせるために表面に沿っている。一つの態様においては、クリーニングされるべき対象物は半導体容器であり、従って、汚染物は微粒子又は金属汚染物である傾向があり、また本発明は、より広いカバレージエリアのクリーニングの低衝撃角度及び中圧を有する、クリーニングノズルに関する。
【0071】
典型的なクリーニングプロセスにおいては、クリーニング用液体、例えば洗浄液が対象物、例えばレチクルキャリアコンポーネント上に噴霧される。添加剤、例えば界面活性剤、洗浄剤、又は、汚染物/金属除去剤を、例えば吸入又はポンピングによって水又は液体に添加することができる。汚染物/金属除去剤はキレート剤のような金属除去剤であって良い。界面活性剤の代わりに、高アルカリ性の洗浄剤を使用することができる。例えば、汚染物の除去を支援するためにUV光も付加することができる。クリーニング及び/又は汚染物除去が完了すると、対象物は続いてすすぎ液、例えばDI水の噴霧によってすすがれる。効果的なクリーニングのために、周期的なクリーニング/すすぎプロセスを実施することができる。クリーニング用液体をリサイクルのために収集することができる。
【0072】
一つの実施の形態においては、クリーニングプロセスは、後続の乾燥プロセスを促進するために、小さい液体滴を提供する。更には、そのような滴を更に小さい滴へと分割するために、パージガス又は液体スプレーを供給することができる。液体が集合した領域、例えば表面の底部においては、例えば液体を吹き飛ばすことによって集合した大きい液体を小さい粒子に砕くために、ガス又は液体スプレーを提供することができる。
【0073】
一つの実施の形態においては、液体残留物の除去の容易さに加えて、揮発性を高めるために液体を加熱することができる。更には、対象物及びプロセスチャンバも、例えばIRランプ又はUVランプによって加熱することができる。
【0074】
クリーニングチャンバにおいては、重力によって液体が流れ落ちることができるように、対象物を位置決めすることができる。表面張力によって溜まっている液体残留物の除去を支援するために、ガス流、例えばガスノズルが提供する窒素、除菌空気、液体又は空気を含む液体を対象物に向けることができることによって、液体クリーニングの後に、対象物を乾燥させることができる。例えば、上部ガスノズルを上面へと配向できること、また他のガスノズルを、液体残留物が溜まる可能性のある対象物の不規則な形状へと配向できることに加えて、底部ガスノズルを対象物の底部へと配向できる。付加的に、脱水も使用することができる。
【0075】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、ワークピースをクリーニングするためのシステムに関する。このシステムは、チャンバ、クリーニング用液体を供給するように機能する一つ又は複数の第1のノズル、メガソニック液体を供給するように機能する一つ又は複数の第2のノズル、乾燥ガスを供給するように機能する一つ又は複数の第3のノズル、第2のノズルを第1の方向へと移動させる第1の機構、並びに、ワークピースを第1の方向とは異なる第2の方向へと移動させる第2の機構を含むことができる。
【0076】
幾つかの実施の形態においては、第1の方向は水平方向であり、第2の方向は垂直方向である。第2のノズルをワークピースの一方の側からワークピースの反対の側へと周期的に移動させることができる。ワークピースを垂直方向に移動させることができる。第3のノズルを第1のノズルの上方に配置することができる。第2のノズルを第1のノズルと共に散在的に配置することができる。
【0077】
図16Aから
図16Cには、本発明の一つの実施の形態による、対象物の例示的なクリーニングシーケンスが示されている。
図16Aにおいては、二重容器キャリアの上部蓋のような対象物が、層流161の下で、汚い環境162からクリーニングチャンバ164へと搬送される。クリーニングチャンバは、例えば、清浄な環境へと続く扉が閉鎖されることによって、清浄な環境166から隔離されている。更に、パージガス163をクリーニングチャンバ164に供給し、汚い環境からクリーニングチャンバへの汚染物の逆流を防止することができる。
【0078】
図16Bにおいては、クリーニングチャンバが隔離されており、また液体及びガスノズル165は対象物をクリーニングするための液体及びガスを供給することができる。対象物を水平方向に配置することができ、またクリーニング及び乾燥プロセスを改善するために、対象物に対して回転クリーニング及び回転乾燥167を実施することができる。ノズル165は連続的に、例えば、先ずクリーニング用の液体を供給し、続けて乾燥のためのガスを供給するように機能することができる。高温液体及び高温ガスを使用することができる。クリーニング及び乾燥プロセスを支援する熱エネルギを供給するヒータを設けることができる。
【0079】
図16Cにおいては、出口扉が開放され、対象物が清浄な環境166へと運ばれる。例えば、清浄な環境への何らかの汚染物の逆流を防止するために、排気169によって、クリーニングチャンバ内に低圧を生じさせることができる。汚染物の逆流を更に最小にするためにカーテンガス168を使用することができる。
【0080】
図17A及び
図17Bには、本発明の一つの実施の形態による、対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートが示されている。
図17Aにおいては、オペレーション170により、クリーニングされるべき対象物が回転される。オペレーション171により、対象物が高温液体スプレーによってクリーニングされる。オペレーション172により、対象物が高温ガスによって乾燥される。オペレーション173により、相互汚染を防止するために、クリーニングチャンバ内の圧力が入口側の環境と等しくされる。
図17Bにおいては、オペレーション174により、二重容器キャリアの外側容器のコンポーネントが、入口側の環境からクリーニングチャンバへと搬送される。オペレーション175により、コンポーネントが高温液体スプレー及び高温ガス乾燥によって回転式にクリーニングされる。オペレーション176により、相互汚染を防止するために、クリーニングチャンバ内の圧力が出口側の環境と等しくされる。オペレーション177により、クリーニングされたコンポーネントがクリーニングチャンバから出口側の環境へと搬送される。
【0081】
一つの実施の形態においては、本発明は、高レベルの清浄度が要求されるコンポーネント、例えば二重容器キャリアの内側容器をクリーニングするための、新規のクリーニングチャンバ及びクリーニングプロセスに関する。クリーニングチャンバはラスタ化された超音波液体スプレー又はメガソニック液体スプレーを使用して、対象物をクリーニングする。一つの実施の形態においては、対象物が垂直方向に移動している間に、超音波ノズル又はメガソニックノズルが水平方向に移動し、従って、対象物の表面領域全体が超音波ノズル又はメガソニックノズルからのスプレーによって覆われる。更には、液体スプレーを事前クリーニングのために使用することができ、また乾燥ノズルを乾燥のために使用することができる。
【0082】
図18Aから
図18C並びに
図19A及び
図19Bには、本発明の一つの実施の形態による、超音波液体スプレー又はメガソニック液体スプレーが使用される、例示的なクリーニングチャンバが示されている。対象物が、有利にはクリーニングチャンバの上部部分から垂直方向において、クリーニングチャンバ184へと運ばれる。続いて対象物は、
図18Aから
図18C並びに19A及び
図19Bにおいて連続的に示されているように、下部部分へと搬送され、その後、緩慢に上部部分へと戻るように引き上げられる183。下部部分においては、液体ノズル181がクリーニングのために液体を対象物180に供給する。液体ノズル181は有利には対象物から距離を置いて設けられており、従って、対象物の表面では大きい領域181Aにわたるスプレーが行われる。超音波ノズル又はメガソニックノズル182は、対象物を緩慢に上昇させながら、対象物の上部部分をクリーニングし、また、ノズル182は連続的に対象物表面全体をクリーニングする。更に、超音波ノズル又はメガソニックノズルは水平方向191に移動し、従って、水平方向において対象物をクリーニングすることができる。超音波ノズル又はメガソニックノズルは有利には、効果的なクリーニングのために対象物に近接して配置されており、従って、対象物表面において小さい領域182Aにわたる噴霧が行われる。超音波ノズル又はメガソニックノズルの水平方向の移動191及び対象物の垂直方向の移動193を含むラスタ化された動作により、超音波スプレー又はメガソニックスプレーは対象物の表面全体を覆うことができ、これにより効果的なクリーニングプロセスが提供される。
【0083】
超音波ノズル又はメガソニックノズルの上方には複数の乾燥ノズル183が設けられており、それらの乾燥ノズル183は対象物を乾燥させ、また液体を吹き落とすために、下方の対象物へと向けられている。乾燥ノズル183を、下向き領域183Aが提供されるように配置することができる。高温液体及び高温ガスをヒータと共に使用することができる。液体スプレー、超音波スプレー又はメガソニックスプレー並びに乾燥スプレーの組み合わせにより、高いレベルの清浄度で対象物をクリーニングすることができる。
【0084】
図20A及び
図20Bには、本発明の一つの実施の形態による、対象物をクリーニングするための例示的なフローチャートが示されている。
図20Aにおいては、オペレーション200により、対象物が高温液体スプレーによってクリーニングされる。オペレーション201により、対象物がメガソニックスプレーによってラスタ状にクリーニングされる。オペレーション202により、対象物が高温ガスによって乾燥される。
図20Bにおいては、オペレーション203により、二重容器キャリアの内側容器のコンポーネントが、入口側の環境からクリーニングチャンバへと搬送される前に、相互汚染を防止するために、クリーニングチャンバにおける圧力が入口側の環境と等しくされる。オペレーション204により、コンポーネントが第1の方向において直線的に移動する。オペレーション205により、コンポーネントに高温液体が噴霧される。オペレーション206により、第2の方向に移動しながら、コンポーネントにメガソニック液体が噴霧される。オペレーション207により、コンポーネントが高温ガスによって乾燥される。オペレーション208により、クリーニングされたコンポーネントがクリーニングチャンバから出口側の環境へと搬送される前に、相互汚染を防止するために、クリーニングチャンバにおける圧力が出口側の環境と等しくされる。
【0085】
幾つかの実施の形態においては、ワークピースをクリーニングするための方法は、ワークピースをクリーニングチャンバに供給するステップと、ワークピースを第1の方向に移動させるステップと、ワークピースにクリーニング用液体を噴霧するステップと、ワークピースにメガソニック液体を噴霧するステップであって、メガソニック液体を第1の方向とは異なる第2の方向に移動させるステップと、ワークピースに乾燥ガスを噴霧するステップとを備えている。メガソニックノズルをワークピースの一方の側からワークピースの反対の側へと周期的に移動させることができる。乾燥ガスをクリーニング用液体及びメガソニック液体の上に噴霧することができる。クリーニング用液体をメガソニック液体と共に散在的に噴霧することができる。この方法は更に、ワークピースがクリーニングチャンバに搬送される前にクリーニングチャンバ内の圧力を一様にする、及び/又は、ワークピースがクリーニングチャンバの外に搬送される前にクリーニングチャンバ内の圧力を一様にするステップを備えている。
【0086】
一つの実施の形態においては、本発明は、クリーニング後にコンポーネントの汚染除去を行うための汚染除去チャンバに関する。汚染除去は、好ましくは例えば10-3トルを下回る、又は、有利には10-6トルを下回る高真空の真空チャンバを使用することができる。真空チャンバはコンポーネント内に閉じ込められたあらゆるガスを除去しながらコンポーネントの脱ガスを加速させることができる。
【0087】
ポンピングが効率的であり、且つ、ポンピング伝導が高い構成が提供されるように、真空チャンバを設計することができる。真空チャンバは更に、例えばIRヒータ又はチャンバ壁ヒータのような加熱機構を含むことができる。ヒータは40℃から90℃の間で、有利には約70℃に加熱することができる。加熱温度は材料に依存し、例えば100℃未満の低温はポリマー材料にとって好適であり、また100℃を上回る高温を金属に対して使用することができる。
【0088】
一つの実施の形態においては、脱ガス監視センサ、例えば、残留ガス分析器を、真空チャンバ内の汚染物の放出を測定するために設けることができ、この場合、脱ガス監視センサは汚染除去プロセスを監視するために使用することができる。
【0089】
一つの実施の形態においては、ガス発生汚染物によって残存しているあらゆる間隙を充填するために、不活性パージガス、例えば窒素ガスが真空チャンバの内部に供給される。汚染物の脱ガスを行い、続いて不活性ガスの充填を行いながら、加圧及び真空化を周期的に行うことができる。
【0090】
一つの実施の形態においては、高真空下でコンポーネントの汚染除去が行われた後に、チャンバが開放の前に窒素を用いて加圧され、コンポーネントの表面が窒素分子によって効率的にコーティングされ(また内層面が充填され)、それにより清浄度が改善され、また粒子の付着が防止される。
【0091】
図21Aには、本発明の一つの実施の形態による、例示的な汚染除去チャンバが示されている。真空チャンバ210は、その真空チャンバ210内に高真空を生じさせる真空ポンプ219、例えばターボポンプ又はクライオポンプと接続されている真空管路213を備えている。真空ポンプ管路を隔離するために遮断弁217Aを設けることができる。ヒータ212はチャンバ及びコンポーネント211A及び211Bを加熱するために真空チャンバ内に設けられている。ガス発生種を監視するためのRGAのようなセンサ215を含むこともできる。ガスモニタ、例えばセンサ215を隔離するために遮断弁217Bを設けることができる。パージガス214は、例えばコンポーネントが外部へと搬送される前の汚染物の逆流を防止するために、不活性雰囲気を真空チャンバに提供することができる。コンポーネントが十分なガスを発生させるものではない場合には、ガスモニタ215を汚染除去チャンバと直接的に接続して使用することができる。例えば、金属材料から成る内側のボックスに関しては、ガス発生汚染物はポリマー材料に比べて少ない。
【0092】
図21Bには、本発明の一つの実施の形態による、別の例示的な汚染除去チャンバが示されている。真空チャンバ210は、その真空チャンバ210内に高真空を生じさせる真空ポンプ219、例えばターボポンプ又はクライオポンプと接続されている真空管路213を備えている。真空ポンプ管路を隔離するために遮断弁217Aを設けることができる。ヒータ212はチャンバ及びコンポーネント211A及び211Bを加熱するために真空チャンバ内に設けられている。ガス発生種を監視するためのRGAのようなセンサ215を含むこともできる。ガスモニタ、例えばセンサ215を隔離するために、遮断弁217Bを設けることができる。パージガス214は、例えばコンポーネントが外部へと搬送される前の汚染物の逆流を防止するために、不活性雰囲気を真空チャンバに提供することができる。別の真空ポンプ219Aを、弁217Bとガスモニタ215との間に接続することができ、これによりガスモニタに関する真空レベルが維持される。差動弁218をガスモニタとチャンバとの間に含ませることができる。差動弁は、チャンバからガスモニタへのフローを制限するために、(管路の直径と比較して)小さい穴を有することができる(それにより、差動弁の伝導性は管路の伝導性よりも低い)。従って、コンポーネントから放出されてガスモニタへと到達する汚染物を制限することができる。コンポーネントが十分なガスを発生させるものである場合には、差動弁を介するガスモニタ215と汚染除去チャンバとの接続を使用することができる。例えば、ポリマー材料から成る外側のボックスに関しては、ガス発生汚染物が多くなると考えられ、ガスモニタへの到達が制限されていなければガスモニタを飽和させることができる。
【0093】
幾つかの実施の形態においては、ワークピースをクリーニングするためのシステムは、ワークピースをクリーニングするように機能動作する第1のチャンバと、クリーニングが行われた後にワークピースの脱ガスを行うための真空雰囲気を有する第2のチャンバと、第1のチャンバと第2のチャンバとの間でワークピースを搬送するためのロボット機構とを含むことができる。
【0094】
システムは更に、第2のチャンバと接続されている第1の真空ポンプと、第1の真空ポンプと第2のチャンバとの間に接続されている第1の遮断弁と、第2のチャンバと接続されているガスモニタと、ガスモニタと第2のチャンバとの間に接続されている第2の遮断弁と、ガスモニタと第2のチャンバとの接続されている差動弁と、差動弁と第2のチャンバとの間に接続されている第2の真空ポンプと、第2のチャンバにおいてワークピースを加熱するためのヒータと、不活性ガスを第2のチャンバに注入するためのノズルとを含むことができる。
【0095】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするためのシステムに関する。システムは、ワークピースの第1のコンポーネントの脱ガスを行うように機能する第1のチャンバと、第1の遮断弁を介して第1のチャンバと接続されている第1の真空ポンプと、第2の遮断弁及び差動弁を含むアセンブリを介して第2のチャンバと接続されている第1のガスモニタと、ガスモニタにおける真空雰囲気を維持するように機能する、第1のガスモニタとアセンブリとの間で流体が流れるように接続されている第2の真空ポンプと、ワークピースの第2のコンポーネントの脱ガスを行うように機能する第2のチャンバと、第3の遮断弁を介して第2のチャンバと接続されている第3の真空ポンプと、第4の遮断弁を介して第2のチャンバと接続されている第2のガスモニタとを含むことができる。
【0096】
システムは更に、第1のチャンバへと搬送される前に第1のコンポーネントをクリーニングするための第3のチャンバと、第2のチャンバへと搬送される前に第2のコンポーネントをクリーニングするための第4のチャンバと、第1のチャンバ又は第2のチャンバにおいてワークピースを加熱するためのヒータと、不活性ガスを第1のチャンバ又は第2のチャンバに注入するためのノズルとを含むことができる。
【0097】
図22A及び
図22Bには、本発明の一つの実施の形態による、対象物の汚染除去を行うための例示的なフローチャートが示されている。
図22Aにおいては、オペレーション220により、対象物がクリーニングされる。オペレーション221により、クリーニングされた対象物の脱ガスが行われる。オプションとして、オペレーション222により、不活性パージガスが注入される。オプションとして、オペレーション223により、対象物が加熱される。オプションとして、オペレーション224により、ガス発生種が監視される。オペレーション225により、対象物が運び出される前にチャンバが加圧される。
【0098】
一つの実施の形態においては、本発明は更に、脱ガスのために対象物のコンポーネントを分割することによる対象物の汚染除去プロセスに関する。
図22Bにおいては、オペレーション226により、二重容器キャリアのコンポーネントが別個にクリーニングされる。オペレーション227により、脱ガスプロセスに関して類似のコンポーネントがグループ分けされる。オペレーション228により、二重容器キャリアが組み立てられる。
【0099】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするための方法に関する。この方法は、ワークピースの第1のコンポーネントを第1のチャンバへと搬送するステップと、第1のチャンバ内の雰囲気をポンピングするステップと、差動弁を介して第1のチャンバを第1のガスモニタと接続するステップと、ワークピースの第2のコンポーネントを第2のチャンバへと搬送するステップと、第2のチャンバ内の雰囲気をポンピングするステップと、第2のチャンバを第2のガスモニタと直接的に接続するステップとを備えることができる。
【0100】
この方法は更に、第1のガスモニタからの信号が安定した後に、第1のチャンバを第1のガスモニタと直接的に接続するステップと、第1のチャンバ又は第2のチャンバにおけるガス状汚染物のレベルが所望のレベルに達した後にポンピングを停止するステップと、第1のチャンバへと搬送される前に第1のコンポーネントをクリーニングするステップと、第2のチャンバへと搬送される前に第2のコンポーネントをクリーニングするステップと、ポンピング中に不活性ガスを第1のチャンバ又は第2のチャンバに注入するステップと、ポンピング中に第1のチャンバ又は第2のチャンバにおいて第1のコンポーネント又は第2のコンポーネントを加熱するステップと、第1のコンポーネント又は第2のコンポーネントが第1のチャンバ又は第2のチャンバから運び出される前に、第1のチャンバ又は第2のチャンバを加圧するステップとを備えることができる。
【0101】
一つの実施の形態においては、本発明は、制御環境下で個別にクリーニングされたコンポーネントを組み立てるためのアセンブリステーション、有利には統合型アセンブリステーションに関する。高レベルの清浄度に関して、汚染物の潜在的な発生源に晒されることを回避することが考慮されるべきである。従って、個別にクリーニングされた後に、コンポーネントは清浄度のレベルを維持するために、例えば、外部雰囲気に晒されることによる内部容器の何らかの汚染を最小限にするために、清浄な環境下で組み立てられる。
【0102】
一つの実施の形態においては、アセンブリステーションに窒素が充填される。従って、搬送プロセスのために開放される前に窒素が充填された真空汚染除去チャンバからの搬送後には、コンポーネントが窒素の充填されているアセンブリステーションへと搬送される。従ってアセンブリステーションはクリーニング後のコンポーネントの清浄度を維持することができる。
【0103】
一つの実施の形態においては、本発明は、二重容器レチクルキャリアを組み立てるためのアセンブリステーションに関する。アセンブリステーションは、内側容器と外側容器との間に窒素がパージされた清浄な環境(有利には窒素環境)における組み立てプロセスを提供することができる。
【0104】
図23A及び
図23Bには、本発明の一つの実施の形態による、例示的なアセンブリステーション及び組み立てプロセスが示されている。組み立てられるべきコンポーネント231A/231B及び232A/232Bはアセンブリステーション230へと搬送される。このアセンブリステーション230は窒素パージガス導入部234を有している。下部支持部231Bが窒素ノズルに配置される。続いて下部支持部232B及び上部蓋232Aが下部支持部231Bに配置される。続いて上部蓋231Aがアセンブリステーションへと運ばれる。窒素ノズル235によって窒素を下部支持部231Bに供給しながら、上部蓋231Aが下部支持部231Bと組み立てられ、その際に、下部支持部231B及び上部蓋231Aによって形成される外側容器の内部容積に効果的に窒素がパージ及び供給される。アセンブリステーションは窒素雰囲気下、幾つかのケースにおいては有利には僅かな加圧下にあり、そのアセンブリステーションが開放されると、続いて、組み立てられたキャリアが外部へと搬送される。
【0105】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするためのシステムに関する。システムは、ワークピースの第1のコンポーネントをクリーニングするように機能する第1のチャンバと、ワークピースの第2のコンポーネントをクリーニングするように機能する第2のチャンバと、クリーニングが行われた後に第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを組み立てるように機能する第3のチャンバと、不活性ガスを第3のチャンバに供給するように機能する、第3のチャンバと接続されている第1のガス供給部と、不活性ガスを第1のコンポーネント又は第2のコンポーネントの内部に供給するように機能する、第3のチャンバと接続されている第2のガス供給部とを含むことができる。第2のガス供給部を、第1のコンポーネントの開口部と接続するために、第3のチャンバ内へと突出させることができる。
【0106】
図24A及び
図24Bには、本発明の一つの実施の形態による、対象物を組み立てるための例示的なフローチャートが示されている。
図24Aにおいては、オペレーション240により、対象物のコンポーネントがアセンブリチャンバへと運ばれる。オペレーション241により、アセンブリチャンバが不活性ガスでもって加圧される。オペレーション242により、不活性ガスを組み立てられた対象物の内部へと流しながら、コンポーネントが一つに組み立てられる。
【0107】
図24Bにおいては、オペレーション243により、不活性ガスがアセンブリチャンバへと流される。オペレーション244により、二重容器キャリアの外側容器の下部コンポーネントがアセンブリチャンバへと搬送され、下部コンポーネントが不活性ガスのノズルと接続される。オペレーション245により、内部容器の上部コンポーネント及び下部コンポーネントがアセンブリチャンバへと搬送され、外側容器の下部コンポーネントと接続される。オペレーション246により、二重容器キャリアの外側容器の上部コンポーネントがアセンブリチャンバへと搬送される。オペレーション247により、不活性ガスがノズルへと流される。オペレーション248により、外側容器の上部コンポーネントと外側容器の下部コンポーネントが組み立てられ、組み立てられた外側容器の内部に不活性ガスが充填される。
【0108】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするための方法に関する。本方法は、第1のコンポーネントをクリーニングするステップと、第2のコンポーネントをクリーニングするステップと、第1のコンポーネントをチャンバへと搬送するステップと、第2のコンポーネントをチャンバへと搬送するステップと、チャンバを不活性ガスでもって加圧するステップと、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを組み立て、組み立てられたワークピースを形成するステップとを備えることができる。第1のコンポーネントはチャンバの外側においてガス供給部と接続されている管路に配置される。本方法は更に、不活性ガスを管路へと流すステップを備えることができる。
【0109】
一つの実施の形態においては、本発明は、対象物内部の容積に窒素をパージする、クリーニングシステムのための充填ステーション及び排出ステーションに関する。キャリアの内側の対象物に関する清浄度のレベルを維持するために、内部容積には窒素のような不活性ガスが常にパージされる。従って本発明は、内部容積の一定のパージを保証する、搬送ステーション/保管ステーションに対する不活性ガスパージに関する。
【0110】
図25には、本発明の一つの実施の形態による、パージノズルを有している例示的な搬送ステーション及び/又は保管ステーションが示されている。二重容器キャリア250はステーション252内の窒素パージノズル254に配置される。窒素255を二重容器キャリア250の下部支持部へと供給する窒素ノズル234によって、外側容器の内部容積には常に新鮮な窒素がパージされる。
【0111】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、第1のコンポーネントと、その第1のコンポーネントによって包囲されている第2のコンポーネントとを含むワークピースをクリーニングするためのシステムに関する。システムは、ワークピースの第1のコンポーネントをクリーニングするように機能する第1のチャンバと、ワークピースの第2のコンポーネントをクリーニングするように機能する第2のチャンバと、組み立てられたワークピースを支持するように機能する第3のチャンバと、不活性ガスを組み立てられたワークピースの内部に供給するように機能する、第3のチャンバと接続されているガス供給部とを含むことができる。ガス供給部を、第1のコンポーネントの開口部と接続するために、第3のチャンバ内へと突出させることができる。
【0112】
幾つかの実施の形態においては、ワークピースをクリーニングするための方法は、第1のコンポーネントをクリーニングするステップと、第2のコンポーネントをクリーニングするステップと、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを組み立て、組み立てられたワークピースを形成するステップと、不活性ガスを組み立てられたワークピースの内部に流すステップとを備えることができる。第1のコンポーネントを、チャンバの外側においてガス供給部と接続されている管路に配置することができる。
【0113】
幾つかの実施の形態においては、本発明は、EUVキャリアのためのクリーニングシステムに関し、このクリーニングシステムは、(クリーニングされるべきキャリアのための)入口及び(クリーニングされたキャリアのための)出口のための別個の環境、別個の環境のためのフローダイナミクス、キャリアの異なる部品のための別個のクリーニングチャンバ、キャリアの異なる部品間の相互汚染を最小にするためのロボットハンドラ、ガス発生分子を除去するための脱ガス及び汚染除去チャンバ、並びに、パージガスをキャリアの内部に供給するためのパージステーションを含んでいる。
【0114】
単一スループットクリーニングシステム、二重スループットクリーニングシステム、ハイブリッド型クリーニングシステム及び低清浄クリーニングシステムを含む、種々の構成を使用することができる。
【0115】
図26A及び
図26Bには、本発明の幾つか実施の形態による、クリーナの実施例が示されている。
図26Aには標準的なクリーニングシステムが示されており、このクリーニングシステムは、クリーニングされるべきキャリアのための入口側の環境262、例えば、汚い又は清浄でない環境、複数のクリーニングチャンバ264Aから264C、クリーニングされたキャリアのための出口側の環境262、例えば清浄な環境、並びに、ガス発生分子を除去するための脱ガスチャンバ268を含んでいる。
【0116】
図26Bには、同一の入口側の環境261、二つのクリーニングセクション263Aから263C及び265Aから265C、二つの出口側の環境267及び269、並びに、二つの脱ガスチャンバ268を共有する、スループットが2倍にされたクリーニングシステムが示されている。クリーニングされるべきキャリアが入口側の環境261へと運ばれ、クリーニングチャンバセクションの内のいずれかへと搬送され、脱ガスが行われた後に出口側の環境267又は269へと運び出される。
【0117】
図27には、本発明の幾つか実施の形態による、ハイブリッド型クリーニングシステムの実施例が示されている。ハイブリッド型クリーニングシステムは、出口側の清浄な環境276と入口側の清浄でない環境272との間に配置されている複数のクリーニングチャンバ271Aから271C、並びに、同一の入口側の環境及び出口側の環境272を共有するクリーニングチャンバ273を含むことができる。従って、慣例のレチクルボックス、例えばレチクルSMIFポッドを入口側の環境272へと運び、クリーニングチャンバ273においてクリーニングし、同一の入口側の環境272へと運び出すことができる。EUVキャリアを入口側の環境272へと運び、別個のクリーニングチャンバ274Aから274Cにおいてクリーニングし、脱ガスチャンバ278において脱ガスが行われた後に出口側の環境276へと運び出すことができる。
【0118】
図28には、本発明の幾つか実施の形態による、クリーニングシステムの実施例が示されている。クリーニングシステムは、別個のクリーニングチャンバ284Aから284Cと共に、同一の入口側の環境及び出口側の環境281を利用することができる。EUVキャリアを入口側の環境281へと運び、別個のクリーニングチャンバ284Aから284Cにおいてクリーニングし、続いて、同一の環境281へと運び出し、脱ガスチャンバ288において脱ガスを行うことができる。共有環境281における汚染を回避するために、入口と出口を環境281の異なる位置に配置し、出口の位置から入口の位置へと層流を提供することが考慮されるべきである。