(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】毛細管駆動流体システムにおいて流体を混合するための装置
(51)【国際特許分類】
B01F 25/40 20220101AFI20230612BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230612BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20230612BHJP
G01N 1/38 20060101ALI20230612BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20230612BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230612BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B01F25/40
G01N37/00 101
G01N35/08 A
G01N1/38
B01F23/40
B01F35/71
B01J19/00 321
(21)【出願番号】P 2020511384
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2018073362
(87)【国際公開番号】W WO2019043106
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-01
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519155413
【氏名又は名称】ミダイアグノスティクス・エヌブイ
【氏名又は名称原語表記】miDiagnostics NV
【住所又は居所原語表記】Gaston Geenslaan 1, B-3001 Heverlee, Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、レイ
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-527337(JP,A)
【文献】特開2008-126177(JP,A)
【文献】特開2016-097353(JP,A)
【文献】国際公開第2007/049559(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F21/00-25/90、35/00-35/96
B01J10/00-12/02
B01J14/00-19/32
G01N1/00-1/44
G01N35/00-37/00
B81B1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合するための毛細管駆動流体システムにおける装置(100)であって、該装置は、混合チャンバ(110)と、前記混合チャンバ(110)に流体連通され、毛細管圧(CP1)を有する毛細管ポンプ(CP)とを備え、
前記混合チャンバ(110)は、主チャンバ(120)と1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とを含み、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)の各々とは、それぞれの構造体(124a、124b)によって分離され、各構造体(124a、124b)は、少なくとも1つの開口部(126a、126b)を備え、前記少なくとも1つ
の開口部(126a、126b)は、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)との間の流体連通を可能にし、かつ使用中に前記主チャンバ(120)内の毛細管圧(CP3)よりも大きい毛細管圧(CP2)を前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)内に生成するよう構成されており、
前記混合チャンバ(110)は、それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を介して、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とを第1の流体で満たすべく、前記第1の流体を受け取るように構成されており、
前記毛細管ポンプ(CP)は、前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130
a、130b)とが前記第1の流体で満たされた後に、前記主チャンバ(120)から流体を引き込むように構成されており、
前記毛細管ポンプ(CP)は、前記主チャンバ(120)の前記毛細管圧(CP3)と、各それぞれの構造体(124a、124b)の前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)内の前記毛細管圧(CP2)との間である前記毛細管圧(CP1)で動作するように構成され、前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)ではなく前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされるようになっており、
前記混合チャンバ(110)は、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に、前記主チャンバ(120)を第2の流体で満たすべく前記第2の流体を受け取るように構成され、前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)内の前記第1の流体と、前記主チャンバ(120)内の前記第2の流体とが、それぞれの前記構造体(124a、124b)の前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を通して混合することを可能にするようになっている、
装置。
【請求項2】
各構造体(124a、124b)は複数の開口部(126a、126b)を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各構造体(124a、124b)は複数のピラー(128a、128b)を備え、前記複数の開口部(126a、126b)は前記複数のピラー(128a、128b)間に形成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各構造体(124a、124b)の前記複数のピラー(128a、128b)は、互いからある距離(W)で等距離に配置され、前記複数の開口部(126a、126b)内の前記毛細管圧(CP2)は、前記距離(W)に依存する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記混合チャンバ(110)は長手方向(D)に延在し、前記主チャンバ(120)は前記混合チャンバ(110)の全長に沿って前記長手方向(D)に延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記主チャンバ(120)は、その中に形成された前記毛細管圧(CP3)
が一定になるように、前記長手方向(D)に沿っ
て均一な断面(S)を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記混合チャンバ(110)は、長手方向(D)に延在し、前記混合チャンバ(110)は、少なくとも1つの開口部(126a、126b)を含むそれぞれの構造体(124a、124b)によって各々が前記主チャンバ(120)から分離された2つの内部チャンバ(130a、130b)を備え、前記2つの内部チャンバ(130a、130b)は、前記混合チャンバ(110)の対向する長手方向側面に沿って配列されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を介して、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とを前記第1の流体で満たすように前記第1の流体を前記混合チャンバ(110)に提供するように構成されている第1のリザーバ(R1)であって、前記第1の流体を保持するための第1のリザーバ(R1)と、
前記第1のリザーバ(R1)と流体連通する第1の端部と、前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)の中へ開口する第2の端部とを有する第1のチャネル(C1a、C1b)と、をさらに備え、
前記第1のチャネル(C1a、C1b)は、毛細管力を使用して前記第1のリザーバ(R1)から流体を引き込むように構成され、それによって、それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を介して前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とに前記第1の流体を提供する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記毛細管ポンプ(CP)は、前記第1のチャネル(C1a、C1b)の前記第1の端部において前記第1のチャネル(C1a、C1b)と流体連通し、前記毛細管ポンプ(CP)は、前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)、それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)、及び前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)が前記第1の流体で満たされた後に、前記第1のチャネル(C1a、C1b)を介して前記主チャンバ(120)から流体を引き込むように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記主チャンバ(120)への前記第1の流体の到達時間と前記第1のリザーバ(R1)から前記毛細管ポンプ(CP)への前記第1の流体の到達時間との間に時間遅延を導入するように構成された流れ抵抗器(R)を更に備え、
前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130
a、130b)とが前記第1の流体で満たされた後に、前記毛細管ポンプ(CP)が前記主チャンバ(120)から流体を引き込み始めるようになっている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に前記主チャンバ(120)を前記第2の流体で満たすように前記第2の流体を前記主チャンバ(120)に提供するように構成されている第2のリザーバ(R2)であって、前記第2の流体を保持するための第2のリザーバ(R2)と、
前記第2のリザーバ(R2)に流体連通された第2のチャネル(C2)と、をさらに備え、
前記第2のチャネル(C2)は、前記第1のチャネル(C1a、C1b)の前記第2の端部に流体連通された第1の一方向弁(V1)で終端し、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に、前記主チャンバ(120)を前記第2の流体で満たすべく流体を前記主チャンバ(120)に提供するために、前記第2のチャネル(C2)が毛細管力を使用して前記第2のリザーバ(R2)から流体を引き込むように構成されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のチャネル(C1a、C1b)は、前記第1の端部を備える第1の部分(C1a)と、前記第2の端部を備える第2の部分(C1b)とを備え、前記第1の部分(C1a)と前記第2の部分(C1b)とは、第2の一方向弁(V2)を介して互いに流体連通され、前記第2の一方向弁(V2)は、前記毛細管ポンプ(CP)によって前記第2の一方向弁(V2)の前記第1の流体を空にされたときに、流体が前記第2の部分(C1b)から前記第1の部分(C1a)に流れるのを防止するように構成されている、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
第2のチャネル(C2)が第3の弁(V3)を更に備え、前記第3の弁(V3)は、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に前記第2の流体を前記主チャンバ(120)に提供することを可能にするべく、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に開くように構成されている、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
第1のチャネル(C1a、C1b)が前記主チャンバ(120)の第1の端部で前記主チャンバ(120)の中へ開口し、前記主チャンバ(120)は、前記主チャンバ(120)の第1の端部に対向する第2の端部に通気孔(AV)を更に備え、前記通気孔は、前記主チャンバ(120)と周囲との間のガス交換を可能にするように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の装置を備える、診断デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、毛細管駆動流体システムにおいて流体を混合するための装置に関する。具体的には、本開示は、所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合するための装置に関する。本発明は更に、この装置を備える診断デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体は、小さい、通常サブミリメートルのスケールに幾何学的に制約された流体の挙動、正確な制御、及び操作を処理する。マイクロ流体に基づく技術は、例えば、インクジェットプリンタヘッド、DNAチップ中で、及びラボオンチップ技術内で使用される。マイクロ流体の用途では、流体は通常、移動、混合、分離されるか、又は別の方法で処理される。多くの用途では、受動的な流体制御が使用される。これは、サブミリメートル管内で生じる毛細管力を利用することによって実現され得る。いわゆる毛細管駆動流体システムを注意深く設計することによって、流体の制御及び操作を行うことが可能であり得る。
【0003】
毛細管駆動流体システムは、検出などのアッセイオペレーション、並びに試料前処理及び試料調製を1つのチップ上で統合するのに有用であり得る。そのような用途では、試料流体を希釈するように試料流体を緩衝流体と混合するなど、2種類以上の流体を正確に混合することがしばしば重要である。2つの流体を混合するための単純なアプローチは、単純なT字接合体を使用することであり、接合部で2つの流体を合流させ、続いて混合することを可能にする。しかしながら、毛細管駆動流体システムでは、2つの流体がそのようなT字接合体で混合するとき、混合比は、流体の粘度に依存する。血液及び血漿などのバイオ流体試料の粘度は、異なる個体間で変動するため、毛細管駆動流体システムによる当該流体の正確な混合は、困難であり得る。よって、所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と正確に混合することを可能にする、毛細管駆動流体システムにおける改良された装置が必要である。
【発明の概要】
【0004】
例示的な実施形態は、毛細管駆動流体システムにおいて所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合することを可能にする装置を提供する。装置は、当初空の混合チャンバを第1の流体で満たすことを可能にする。次いで、装置は、混合チャンバ内に空の空間を形成するように、混合チャンバから第1の流体の所定の部分を空にすることを可能にする。次いで、装置は、混合チャンバの空の空間を第2の流体で満たすことを可能にし、それによって、所定の体積の第1の流体が所定の体積の第2の流体と経時的に混合することを可能にする。この装置は、純粋に受動的な毛細管駆動流体構成要素を使用して、即ち能動的な構成要素なしで実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
上記の、並びに追加の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して、本明細書に記載の実施形態の以下の例示的かつ非限定的である詳細な説明を通してよりよく理解され、ここで、同じ参照番号は、同様の要素に対して使用される。
【
図1a】
図1aは、本開示の実施形態による毛細管駆動流体システムにおける装置の概略回路図を示す。
【
図1b】
図1bは、
図1aの切断線1b-1bに沿った、
図1aの装置の混合チャンバの断面図を示す。
【
図2a】
図2aは、混合チャンバが第1の流体で満たされているときの
図1aの装置を図示する。
【
図2b】
図2bは、
図2aの切断線2b-2bに沿った、
図2aの装置の混合チャンバの断面図を示す。
【
図3a】
図3aは、混合チャンバの主チャンバが第1の流体を空にされたときの
図1aの装置を図示する。
【
図3b】
図3bは、
図3aの切断線3b-3bに沿った、
図3aの装置の混合チャンバの断面図を示す。
【
図4a】
図4aは、主チャンバが第2の流体で満たされたときの
図1aの装置を図示する。
【
図4b】
図4bは、
図4aの切断線4b-4bに沿った、
図4aの装置の混合チャンバの断面図を示す。
【
図5a】
図5aは、第1及び第2の流体が混合されたときの
図1aの装置を図示する。
【
図5b】
図5bは、
図5aの切断線5b-5bに沿った、
図5aの装置の混合チャンバの断面図を示す。
【
図6】
図6は、第1及び第2の流体を混合するための装置を使用するときに取られる一連の動作を開示するフローチャートを示す。
【詳細な説明】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題を少なくとも部分的に解決することであり、特に、所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合するための毛細管駆動流体システムにおける構装置成を提供することである。
【0007】
第1の態様によれば、所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合するための毛細管駆動流体システムにおける装置が提供され、この装置は、
主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとを含む混合チャンバと、ここで、主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバの各々とは、主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとの間の流体連通を可能にし、かつ使用中に主チャンバ内の毛細管圧よりも大きい毛細管圧を少なくとも1つの開口部内に生成するよう配置された少なくとも1つの開口部を各々含むそれぞれの構造によって分離され、
混合チャンバは、それぞれの少なくとも1つの開口部を介して、主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとを第1の流体で満たすように第1の流体を受け取るよう配置され、
混合チャンバの主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとが第1の流体で満たされた後に、主チャンバから流体を引き込むよう配置された毛細管ポンプと、ここで、毛細管ポンプは、1つ又は複数の内部チャンバではなく主チャンバが第1の流体を空にされるように、主チャンバの毛細管圧と、各それぞれの構造の少なくとも1つの開口部内の毛細管圧との間である毛細管圧で動作するよう配置され、
混合チャンバは、1つ又は複数の内部チャンバ内の第1の流体と、主チャンバ内の第2の流体とが、それぞれの構造の少なくとも1つの開口部を通して混合することを可能にするように、主チャンバが第1の流体を空にされた後に、主チャンバを第2の流体で満たすように、第2の流体を受け取るよう配置される、
を含む。
【0008】
この装置は、第1及び第2の流体の粘度とは無関係に、所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合することを可能にするため、有利である。これは、それぞれの流体を正確に計量するように、それぞれ、第1及び第2の流体で所定の体積を順次満たすことによって達成される。所定の第1及び第2の体積が混合チャンバの別個の部分を構成するため、第1及び第2の流体が混合チャンバに搬送されると、混合プロセスが開始される。言い換えれば、混合プロセスは、第1及び第2の流体の巨視的な動きが止まった後に開始され、混合に対する粘度の影響をほとんど又は全くもたらさない。混合は、主チャンバを1つ又は複数の内部チャンバから分離する構造によって画定された開口部を通して行われ得る。混合は、拡散によるもの、又は外的な力によって液体界面を乱す能動的な混合によるもの、又は両方であり得る。この装置のさらなる利点は、混合チャンバが、その中で行われる診断を可能にするよう配置され得ることであり得る。したがって、混合チャンバは、測定チャンバ又は検出チャンバであり得る。したがって、第1及び第2の流体を計量、混合、および測定するために、本質的に同じ装置が使用され得る。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、各構造は、複数の開口部を画定する。多数の開口部は、主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとの間の界面の有効断面積を増加させ、それによって、複数の開口部を通して第1及び第2の流体のより速い混合を可能にするため、有利であり得る。
【0010】
構造は、多くの異なる形態をとることができる。例えば、構造の各々は、主チャンバを内部チャンバのうちの1つから分離する壁であってもよく、壁は、主チャンバを内部チャンバに流体連通する開口部、即ち穴を画定する。したがって、構造はふるいであってもよい。あるいは、構造は格子であってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、各構造は複数のピラーを備え、複数の開口部は複数のピラー間に形成される。ピラーは、エッチング技術によって適切に実現されることができ、したがって、穿孔などのような他の種類の開口部にとって有益であり得る。ピラーは、有利なことに、構造と主チャンバとの間の交差部においてピラー間の開口部の鋭い角部を画定するような矩形断面を有することができる。鋭い角部は、空気/液体界面の位置を、開口部に対してより良好に画定された状態に保つことを可能にし得る。これは、主チャンバを空にしている間に混合チャンバ内に残る第1の流体の体積のより正確な制御を可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、各構造の複数のピラーは、互いからある距離で等距離に配置され、複数の開口部内の毛細管圧は、当該距離に依存する。当業者によって容易に理解されるように、毛細管圧は、ピラー間に形成された少なくとも1つの開口部の高さにも依存する。いくつかの実施形態では、混合チャンバは均一な高さを有する。これは、ピラー間に形成された開口部の高さが、主チャンバの高さ及び1つ又は複数の内部チャンバの高さに等しいことを意味する。あるいは、混合チャンバの高さは、異なる領域で異なってもよい。例えば、主チャンバの高さは、少なくとも1つの開口部の高さよりも高くてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、混合チャンバは長手方向に延在し、主チャンバは混合チャンバの全長に沿って当該長手方向に延在する。これは、主チャンバ内の毛細管力が主チャンバを完全に満たし、同時に、少なくとも1つの開口部内の毛細管力が内部チャンバを満たすことを可能にするため、有利であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、主チャンバは、その中に形成された毛細管圧が実質的に一定になるように、長手方向に沿って実質的に均一な断面を有する。これは、装置内で使用される毛細管圧の全範囲を減少させることを可能にするため、有利であり得る。混合チャンバの対向する長手方向側面に沿って配列された2つの内部チャンバを有する実施形態では、均一な断面を使用することのさらなる利点は、第1の流体と第2の流体との間の開口部を介したより効率的な混合であり得る。より効率的な混合は、それぞれの構造間の距離が一定であり、したがって、長手方向に沿った主チャンバにわたる一定の拡散長を可能にすることから生じる。あるいは、主チャンバは、長手方向に沿って不均一な断面を有するように設計され得る。このような場合、主チャンバ内の毛細管圧は、長手方向に沿ったメニスカスの(又は空気-液体界面)の位置に応じて変化する。言い換えれば、主チャンバ内の毛細管圧は、毛細管圧の範囲を画定し得る。主チャンバ内の毛細管圧の範囲が、開口部内の毛細管圧を超えて延在せず、毛細管ポンプの毛細管圧を下回らない限り、装置は依然として意図されたように動作することができる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、混合チャンバは長手方向に延在し、混合チャンバは、少なくとも1つの開口部を含むそれぞれの構造によって各々が主チャンバから分離された2つの内部チャンバを備え、2つの内部チャンバは、混合チャンバの対向する長手方向側面に沿って配列される。このようにして、主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとの間の界面は、可能な限り大きく作られ、それによって、1つ又は複数の開口部を通る第1及び第2の流体のより速い混合を可能にする。更に、混合チャンバの対向する長手方向側面に沿って配列された2つの内部チャンバの使用は、混合チャンバが主チャンバの一方の側面に沿って延在する1つの内部チャンバのみを備える場合と比較して、拡散距離を2分の1に低減することを可能にする。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、装置は、
それぞれの少なくとも1つの開口部を介して、主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとを第1の流体で満たすように第1の流体を混合チャンバに提供するよう配置されており、かつ第1の流体を保持するための第1のリザーバと、
第1のリザーバと流体連通する第1の端部と、混合チャンバの主チャンバの中へ開口する第2の端部とを有する第1のチャネルと、を更に備え、第1のチャネルは、毛細管力を使用して第1のリザーバから流体を引き込むよう配置され、それによって、それぞれの少なくとも1つの開口部を介して主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとに第1の流体を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、毛細管ポンプは、その第1の端部において第1のチャネルと流体連通し、毛細管ポンプは、混合チャンバの主チャンバ、それぞれの少なくとも1つの開口部、及び1つ又は複数の内部チャンバが第1の流体で満たされた後に、第1のチャネルを介して主チャンバから流体を引き込むよう配置される。これは、装置を単純化することが可能であるため、有利であり得る。毛細管ポンプを第1のチャネルに連通させることは、第1の流体を混合チャンバに提供し、その後、第1の流体を混合チャンバの主チャンバから空にするのと同じマイクロ流体チャネルを使用することを可能にする。毛細管ポンプは、混合チャンバの主チャンバから除去された第1の流体だけでなく、第1のリザーバ内に残っている第1の流体も収容するよう配置され得る。これは、例えば、第2の流体を主チャンバに提供するステップ中など、プロセスの後の段階で、流体が第1のリザーバを離れて混合チャンバに入るリスクを低減し得る。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、装置は、混合チャンバの主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとが第1の流体で満たされた後に、毛細管ポンプが主チャンバから流体を引き込み始めるように、主チャンバへの第1の流体の到達時間と第1のリザーバから毛細管ポンプへの第1の流体の到達時間との間に時間遅延を導入するよう配置された流れ抵抗器を更に備える。これは、主チャンバを空にすることの開始を能動的に制御する必要性を排除する装置を更に簡略化するため、有利であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、装置は、
主チャンバが第1の流体を空にされた後に主チャンバを第2の流体で満たすように第2の流体を主チャンバに提供するよう配置されており、かつ第2の流体を保持するための第2のリザーバと、
第2のリザーバに流体連通された第2のチャネルと、を更に備え、ここで、第2のチャネルは、主チャンバが第1の流体を空にされた後に、主チャンバを第2の流体で満たすように流体を主チャンバに提供するために、第2のチャネルが毛細管力を使用して第2のリザーバから流体を引き込むよう配置されるように、第1のチャネルの第2の端部に流体連通された第1の一方向弁で終端する。これは、混合チャンバへの同じ入口を使用して、第2の流体を混合チャンバに提供することを可能にするため、有利であり得る。これは、装置を単純化するのに更に役立つ。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、第1のチャネルは、第1の端部を備える第1の部分と、第2の端部を備える第2の部分とを備え、第1及び第2の部分は、第2の弁が毛細管ポンプによって第1の流体を空にされたときに、流体が第2の部分から第1の部分に流れるのを防止するよう配置された第2の一方向弁を介して互いに流体連通される。第2の一方向弁は、流体が混合チャンバを第1及び第2の流体で満たすステップ中に、意図せずに誤った方向に出たり入ったりするリスクを低減することを可能にする。具体的には、第1の流体が毛細管ポンプによって主チャンバから除去され、第2の流体が第2のチャネルによって第1のチャネルの第2の部分に提供されると、第2の流体が第2の一方向弁を通って入り、意図せずに毛細管ポンプに送り込まれることが防止される。代わりに、第2の流体は、以前に除去された第1の流体と置換するために、混合チャンバの主チャンバ内に押し込まれる。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、第2のチャネルは、主チャンバが第1の流体を空にされた後に第2の流体を主チャンバに提供することを可能にするように、主チャンバが第1の流体を空にされた後に開くよう配置された第3の弁を更に備える。第3の弁は、第2のリザーバへの第2の流体の投与の時間をとる必要なく、第2の流体を主チャンバに提供する時間を制御することを可能にするため、有利であり得る。したがって、第3の弁は、第2のリザーバを常に満たすことを可能にし、第3の弁によって流体の流出を適切に制御する。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、第1のチャネルは、その第1の端部で主チャンバの中へ開口し、主チャンバは、主チャンバの第2の対向する端部に通気孔を更に備え、通気孔は、主チャンバと周囲との間のガス交換を可能にするよう配置される。通気孔は、流体が主チャンバに入って主チャンバを満たしているとき、閉じ込められた空気を除去することを可能にするため、有利であり得る。同様に、1つ又は複数の内部チャンバはまた、通気孔に連通され得るか、若しくは、代替的又は追加的には、流体が内部チャンバに入るために少なくとも1つの開口部を通って駆動されるときに内部チャンバから逃げる空気を提供するための別個の通気孔を備え得る。通気孔は更に、第2の端部で混合チャンバからの流れを制御する弁として作用し得る。例えば、弁は、混合された流体を装置の毛細管駆動流体システムの下流で更に処理するために送るように、第1及び第2の流体が混合チャンバ内で混合されたときに開くよう制御され得る。
【0023】
第2の態様によれば、第1の態様による装置を備える診断デバイスが提供される。診断デバイスは、例えば、第1及び第2の流体の一方又は両方に基づいて試験を行うよう配置されたラボオンチップデバイスであり得る。
【0024】
第2の態様は、概して、第1の態様と同じ特徴及び利点を有し得る。本発明の概念は、特に明記しない限り、特徴のすべての可能な組合せに関することに更に留意されたい。
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供され、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝える。
【0026】
本明細書の実施形態は、上記の例に限定されない。さまざまな代替、修正、及び同等のものが使用される。したがって、本開示は、本明細書に記載の特定の形態に限定されるべきではない。本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、上記以外の他の実施形態も特許請求の範囲内で同様に可能である。
【0027】
「流体」という用語は、マイクロ流体システムを通して毛細管力によって駆動されることができる液相の物質として解釈されるべきである。そのようなシステムでは、流体は、システムを通って流れるように流体を駆動するように、毛細管圧が形成される液体/空気界面を形成する。
【0028】
「毛細管圧」という用語は、本明細書で使用される場合、装置の一部に割り当てられ、装置の当該部分を通って駆動される流体に生じる毛細管圧として解釈されるべきである。異なる流体は、システムの同一の部分において異なる毛細管圧を生じさせることができると理解される。関連する用語「毛細管力」は、流体とチャネル又は導管の固体壁との間の力として解釈されるべきであり、当該力は、他の要因の中でも、表面張力に関連する。当技術分野で周知のように、毛細管圧は、当該毛細管力に関連し得る。
【0029】
「混合」は、何らかの方法で流体間の混合に寄与する全てのプロセスを包含するように広く解釈されるべきである。そのようなプロセスは、ブラウン運動及び分子拡散などのマイクロスケールであり得るが、異なる領域間の巨視的体積の流体の輸送などのマクロスケールであってもよい。「能動的な混合」という用語は、さらなる成分及び/又は追加のエネルギーをシステムに加えることによって開始及び/又は維持される混合プロセスとして解釈されるべきである。
【0030】
ここで、それぞれ、装置を上面図で示し、装置の混合チャンバを側面図で示す、
図1a及び
図1bを参照して、装置を詳細に説明する。第1の流体を第2の流体と混合するために使用されるときの異なる時間位置における混合チャンバを図示する
図2a、
図2b~
図5a、
図5bも参照する。
図2a、
図2b~
図5a、
図5bのそれぞれに対応するステップを開示するフローチャートを示す
図6も参照する。
【0031】
図1a及び
図1bは、本開示の例示的な実施形態による毛細管駆動流体システムにおける装置100を示す。この装置は、所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合することに向けられる。第1の及び第2の流体とは、例えば、それぞれ、塩溶液などの緩衝液、及び血液であり得る。装置100は、例えば、半導体チップ、プラスチックチップ、又は半導体/プラスチック複合チップなどのチップ上に実装され得る。装置の構成要素は、例えば、そのようなチップ上のエッチングされた構造に対応し得る。チップは、例えば、試料流体に対して診断試験を行うために、ラボオンチップ用途のための診断デバイスに使用され得る。チップは、スタンドアロンチップとして、又は分析のために診断デバイスの嵌合部に挿入されるカートリッジとして使用され得る。
【0032】
この装置は、本明細書では主チャンバ120と呼ばれる第1のチャンバと、本明細書では内部チャンバ130a、130bと呼ばれる1つ又は複数の第2のチャンバとを含む混合チャンバ110を備える。内部チャンバ130a、130bは、流体が主チャンバ120を介して1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bにのみ出入りすることができるように、主チャンバ120に対して配置される。内部チャンバ130a、130bの数は、異なる実施形態では異なり得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つの内部チャンバのみが存在するが、一方図示された実施形態では、混合チャンバは2つの内部チャンバ130a、130bを有する。1よりも多くの内部チャンバを有する理由は、主チャンバ120と1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bとの間の液体界面を、これが2つの流体を混合させる時間を短縮するため、増加させることであり得る。
【0033】
主チャンバと1つ又は複数の内部チャンバとは、様々な方法で混合チャンバ内に配列されてもよい。例えば、
図1aの混合チャンバ110を左部分と右部分とに分離し、主チャンバを左部分に、および内部チャンバを右部分に配列することが原理的に可能である。しかしながら、この場合も、混合時間を低減するという理由から、主チャンバ120と1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bとの間の界面を可能な限り大きくするように、主チャンバ120及び1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bを配置することが有利である。更に、均質な混合物を達成するために流体中の分子などの成分が拡散又は移動する必要がある距離を最小限にするよう混合チャンバ110を設計しかつその中に主チャンバ120及び1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bを配置することは、これが混合時間にも影響を及ぼし得るため、有利である。図示された実施形態では、これは、混合チャンバ110を細長い形状を有するように設計することによって達成され、即ち、混合チャンバ110は長手方向Dに延在する。例えば、混合チャンバ110はチャネルであってもよい。更に、主チャンバ120は、混合チャンバ110の全長に沿って当該長手方向Dに延在し、2つの内部チャンバ130a、130bは、混合チャンバ110の対向する長手方向側面に沿って配列される。これは、主チャンバ120と2つの内部チャンバ130a、130bとの間に大きな界面を提供し、同時に、それぞれ主チャンバと2つの内部チャンバとによって保持される流体中の成分が、均一な混合物を達成するために拡散又は移動する必要のある距離が小さくなる。
【0034】
主チャンバ120は、その中に形成された毛細管圧CP3が実質的に一定になるように、長手方向Dに沿って実質的に均一な断面Sを有する。主チャンバ120は、マイクロ流体チャネルとして作用するため、その中で毛細管の流れを駆動することを可能にし得る。毛細管圧CP3は、即ち、主チャンバ120の断面Sの面積の関数に関係するだろう。断面Sは、それぞれ、主チャンバの幅及び高さに依存する。装置のいくつかの例示的な実施形態では、混合チャンバの高さは実質的に一定であってもよく、そのような実施形態では、主チャンバ内の毛細管圧と開口部との間の相対差は、それぞれ、断面Sの幅及びピラー間の距離Wに依存するだろう。
【0035】
主チャンバ120及び1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bの各々は、それぞれの構造124a、124bによって分離され、各々が、主チャンバ120と1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bとの間の流体連通を可能にする少なくとも1つの開口部126a、126bを画定する。例示的な実施形態では、各構造124a、124bは、複数の開口部126a、126bを画定する。開口部126a、126bは、主チャンバ120内の毛細管圧CP3よりも大きい毛細管圧CP2を、少なくとも1つの開口部126a、126b内に生成するよう配置される。毛細管圧CP2は、少なくとも1つの開口部126a、126bの面積に関連する。したがって、主チャンバ120内の毛細管圧CP3よりも大きい少なくとも1つの開口部126a、126b内の毛細管圧を達成するために、少なくとも1つの開口部126a、126bの各々の面積は、主チャンバ120の断面Sの面積よりも(著しく)小さくなければならない。長方形の断面Sと、長方形の断面Sと同じ高さを有する長方形の開口部126a、126bとを仮定すると、毛細管圧CP3とCP2との間の関係は、断面Sの幅(即ち、主チャンバ120の幅)と開口部126a、126bの幅とによって画定される。
【0036】
構造124a、124bは、それらが少なくとも1つの開口部126a、126bを画定するように機能する限り、多くの異なる形態をとることができ、その寸法は、主チャンバ120内の毛細管圧CP3よりも大きい毛細管圧CP2を生成するように機能する。図示された実施形態では、各構造124a、124bは、混合チャンバ110の底面から直角に延在するピラー128a、128bの列の形態である。したがって、各構造124a、124bは、複数のピラー128a、128bを備え、複数の開口部126a、126bは、複数のピラー128a、128bの間に形成される。各構造124a、124bの複数のピラー128a、128bは、互いに距離Wで等距離に配置され、複数の開口部126a、126b内の毛細管圧CP2は、当該距離Wに依存する。したがって、ピラー間の距離Wは、開口部幅Wでもある。
【0037】
ピラー128a、128bは、矩形の基部を有し得る。これは、内部チャンバ130a、130bによって保持される流体と主チャンバ120によって保持される流体との間の液体界面の明確に画定された位置をもたらし得る。したがって、図示のように、少なくとも1つの開口部126a、126bの各開口部は、毛細管圧CP2を確立するのに十分な長さのチャネルを形成するのに適した開口部幅W及び開口部長さLを有する。当業者が理解するように、少なくとも1つの開口部126a、126b及びピラー128a、128bの寸法は、用途に応じて異なり得る。長さLは、例えば、結果として得られるピラー128a、128bが脆弱になり過ぎないように設計され得る。複数のピラー128a、128bは、各構造124a、124bと主チャンバ120との間の交差部において、ピラー128a、128b間の複数の開口部126a、126bの鋭い角部を画定するように、矩形の断面を有する。鋭い角部は、空気/液体界面の位置を開口部126a、126bに対してより良好に画定された状態に保つことを可能にし得る。これは、主チャンバ120を空にする間に混合チャンバ110内に残る第1の流体の体積のより正確な制御を可能にする。
【0038】
流体は、本明細書で以下に更に説明するように、混合チャンバ110の主チャンバ120にその第1の端部から入ることができる。主チャンバ110は、主チャンバ120の第第2の対向する端部に、通気孔AVを更に備える。通気孔AVは、空気が主チャンバ120内に閉じ込められることを回避し、かつ空気が主チャンバ120に入ることを可能にするように、主チャンバ120と周囲との間のガス交換を可能にするよう配置される。通気孔AVは、内部チャンバ130a、130bと周囲との間のガス交換を可能にするように更に配置される。したがって、通気孔AVは、混合チャンバ110が流体で満たされているときに混合チャンバ110から空気を除去することを可能にする。一般に、通気孔AVは、閉鎖システム、即ち混合チャンバ110からの開放孔であり得、それを外部に連通させる。通気孔AVは更に、第2の端部で混合チャンバ110からの流体の流出を制御する、毛細管トリガ弁などの弁であってもよい。
【0039】
装置100は、第1の流体を保持するための第1のリザーバR1を更に備える。第1のリザーバR1は、それぞれの少なくとも1つの開口部126a、126bを介して、主チャンバ120及び1つ又は複数の内部チャンバ130a、130bを第1の流体で満たすように、第1の流体を混合チャンバ110に提供するように更に配置される。混合チャンバ110を第1の流体で満たすことは、装置100を使用して第1及び第2の流体を混合するプロセスにおける第1のステップを構成する。第1の流体は、第1のチャネルC1a、C1bを用いて混合チャンバ110に提供される。第1のチャネルC1a、C1bは、毛細管力を使用して第1のリザーバR1から流体を引き込むよう配置される。第1のチャネルC1a、C1bは、第1のリザーバR1と流体連通する第1の端部と、混合チャンバ110の主チャンバ120の中へ開口する第2の端部とを有する。第1の流体は、主チャンバ120に提供され、次いで、主チャンバ120からそれぞれの開口部126a、126bを介して内部チャンバ130a、130bに更に提供される。したがって、第1の流体は、第1のチャネルC1a、C1b内に形成された毛細管力によって駆動され、第1のチャネルC1a、C1bを通って混合チャンバ110の主チャンバ120内に流れる。主チャンバ120に入ると、第1の流体は、主チャンバ120内に形成された毛細管力によって更に駆動される。主チャンバ120内の毛細管力は、主チャンバ120の毛細管圧CP3に関連する。
【0040】
図2a及び
図2bは、第1の流体で満たされたときの混合チャンバ110を示す。
図2a及び
図2bに示される状況は、
図6のフローチャートのステップS602が実行された時点で生じる。混合チャンバ110が第1の流体で完全に満たされると、混合チャンバ120内の流体の一部は、第1及び第2の流体を混合するプロセスにおける第2のステップの一部として除去される。流体の除去された部分は、主チャンバ120を占める流体であり、一方、流体の残りの部分は、内部チャンバ130a、130b及び少なくとも1つの開口部126a、126bを占める流体である。
【0041】
この目的のために、装置100は、毛細管ポンプCPを更に備える。毛細管ポンプCPは、混合チャンバ110の主チャンバ120と1つ又は複数の内部チャンバ130とが第1の流体で満たされた後に、主チャンバ120から流体を引き込むよう配置される。毛細管ポンプCPは、その第1の端部において第1のチャネルC1a、C1bと流体連通し、第1のチャネルC1a、C1bを介して主チャンバ120から流体を引き込むよう配置される。毛細管ポンプCPは、異なる方法で設計されてもよい。可能な最も単純な毛細管ポンプは、移動させる必要がある液体の体積を収容するのに十分な体積を有するマイクロチャネルである。しかしながら、しばしば、毛細管ポンプは、入力チャネルから分岐した複数の平行なチャネルを備えるように設計される。したがって、毛細管圧、ひいてはポンプ作用を増大させることができる。
【0042】
毛細管ポンプCPは、主チャンバ120の毛細管圧CP3と、各それぞれの構造124a、124bの少なくとも1つの開口部126a、126b内の毛細管圧CP2との間である毛細管圧CP1、即ち、CP3<CP1<CP2で動作するよう配置される。このように毛細管ポンプの動作圧力CP1を選択することは、主チャンバ120を空にするために主チャンバ120から流体を効率的に除去することを可能にし、同時に、内部チャンバ130a、130b及び少なくとも1つの開口部126a、126b内に存在する流体が混合チャンバ110から出るのを防止する。少なくとも1つの開口部126a、126b内の毛細管圧CP2が、主チャンバ120の毛細管圧CP3よりも大きく、かつ毛細管ポンプCPの毛細管圧CP1よりも大きい限り、流体は、内部チャンバ130a、130bを出るよう毛細管力によって駆動されない。代わりに、固定相液体/空気界面が、主チャンバ120に面する1つ又は複数の開口部126a、126bの縁部に形成される。したがって、第1の流体は、主チャンバ120が第1の流体を空にされた後、1つ又は複数の開口部126a、126b内にも存在することが理解される。よって、混合チャンバ内に保持される第1の流体の体積は、1つ又は複数の内部チャンバ130a、130b及び少なくとも1つの開口部126a、126bの体積の合計に等しい。これは、第1の流体が主チャンバ120から除去されたときの混合チャンバ110を示す
図3a及び
図3bに更に図示されている。
図3a及び
図3bに示される状況は、
図6のフローチャートのステップS604が実行された時点で生じる。
図3aでは、空気/液体の界面が直線で示されている。しかしながら、実際には、それは、表面張力と壁との相互作用の結果としてわずかな湾曲を有し、それにより開口部126a、126b内の流体の体積は、開口部126a、126bの体積よりもわずかに小さい。
【0043】
第1のチャネルC1a、C1b内の毛細管圧は通常、CP1未満であり、また好ましくはCP3以上である。これは、第1のチャネルC1a、C1bの断面積などの寸法を適切に選択することによって達成され得る。
【0044】
主チャンバ120を第1の流体から空にするステップは、混合チャンバ110が流体で完全に満たされるまで開始されないことが望ましい。この目的のために、装置100は、主チャンバ120への第1の流体の到着時間と、第1のリザーバR1から毛細管ポンプCPへの第1の流体の到着時間との間に時間遅延を導入するよう配置された流れ抵抗器Rを更に備え得る。これは、混合チャンバ110の主チャンバ120と1つ又は複数の内部チャンバ130とが第1の流体で満たされていない限り、毛細管ポンプCPが主チャンバ120から流体を引き込むことを開始しないことを確実にし得る。
【0045】
上記の説明から、流体は、始めに第1のリザーバR1から混合チャンバ110へ、次いで混合チャンバ110から毛細管ポンプCPへの2つの方法で、第1のチャネルC1a、C1bを通って輸送されることが理解される。しかしながら、流れに対する制御を追加するために、第1のチャネルC1a、C1bは、第2の一方向弁V2を備える。具体的には、第1のチャネルC1a、C1bは、第1の端部を備える第1の部分C1aと、第2の端部を備える第2の部分C1bとを備え、第1の部分C1a及び第2の部分C1bは、第2の一方向弁V2を介して互いに流体連通される。第2の一方向弁V2は、第2の弁V2が毛細管ポンプCPによって第1の流体を空にされたときに、流体が第2の部分C1bから第1の部分C1aに流れるのを防止するよう配置される。第2の一方向弁V2が以下で更に説明される。
【0046】
装置100は、主チャンバ120が第1の流体を空にされた後に主チャンバ120を第2の流体で満たすように第2の流体を主チャンバ120に提供するよう配置されており、かつ第2の流体を保持するための第2のリザーバR2を更に備える。
【0047】
第2の流体は、毛細管力を使用して第2のリザーバR2から流体を引き込むよう配置された第2のチャネルC2を用いて混合チャンバ110に提供される。第2のチャネルC2は、第2のリザーバR2に流体連通され、第1のチャネルC1a、C1bの第2の端部に流体連通された第1の一方向弁V1で終端する。第1のチャネルC1a、C1bは、主チャンバ120から第1の流体を空にするステップに続いて毛細管ポンプCPによって第1の流体が空にされているとき、第2の流体は、第1のチャネルC1a、C1bの第2の部分C1bを通って主チャンバ120に流れることが可能である。同時に、第2の流体が第2の一方向弁V2を通って入り、意図せずに毛細管ポンプCPに送り込まれることが防止される。代わりに、第2の流体は、以前に除去された第1の流体と置換するために、混合チャンバ110の主チャンバ120内に押し込まれる。
【0048】
第2のチャネルC2は、第2のチャネルC2内の第2の流体の流れを制御するよう配置された第3の弁V3を更に備えることができる。第3の弁V3は、主チャンバ120が第1の流体を空にされた後に開くように制御され得る。このようにして、第2の流体は、主チャンバ120が第1の流体を空にされた後にのみ、主チャンバ120に提供され得る。第3の弁は、トリガ流体が弁(図示せず)に到達するときに開くよう配置された毛細管トリガ弁であってもよい。あるいは、第3の弁V3は、例えば電気機械的作動などの代替手段によって作動されてもよい。
【0049】
主チャンバ120が第2のリザーバR2からの第2の流体で満たされた後、混合チャネル110は、したがって、再び流体で満たされる。しかしながら、今回は、混合チャンバ120は2つの流体を含む。第1のリザーバR1から最初に提供された第1の流体は、内部チャンバ130a、130b及び開口部126a、126bを占め、一方、これに続いて第2のリザーバR2から提供された第2の流体は、主チャンバ110を占める。これは、第1の流体及び第2の流体で満たされたときの混合チャンバ110を示す
図4a及び
図4bにおいて更に図示されている。
図4a及び
図4bに図示される状況は、
図6のフローチャートのステップS606が実行された時点で生じる。
【0050】
次いで、1つ又は複数の内部チャンバ130a、130b内の第1の流体と主チャンバ120内の第2の流体とは、それぞれ、構造124a、124bの少なくとも1つの開口部126を通して混合することが可能である。結果として生じる混合物は、所定の体積混合比、即ち、1つ又は複数の内部チャンバ130a、130b及び少なくとも1つの開口部126a、126bの体積の合計(即ち、第1の流体の体積)と、主チャンバ120の体積(即ち、第2の流体の体積)との比を有する。これは、第1の流体及び第2の流体の混合後の混合チャンバ110を示す
図5a及び
図5bにおいてされに図示されている。
図5a及び
図5bに図示される状況は、
図6のフローチャートのステップS608が実行された時点で生じる。
【0051】
この段階で、チャネルC1b及び第2のリザーバR2は通常、依然として第2の流体で満たされている。原理的には、チャネルC1b及び第2のリザーバR2内の第2の流体が、第2の流体に関して混合チャンバ110内の混合物を希釈し、それによって混合物を第2の流体で富化させることが起こり得る。しかしながら、長手方向Dに沿った分子拡散が十分に遅く、それにより混合チャンバ110内の流体とチャネルC1b内の第2の流体との間の界面領域が長手方向Dに限定される場合、この効果は無視できる。これは、アッセイ反応/検出が必要とするものよりも大きくなるように混合チャンバ110の容積を設計することによって達成することができ、したがって、界面における小さな体積は、反応/検出を妨げないだろう。あるいは、チャネルC1b内の余分な体積の第2の流体が混合体積と接触するのを停止するために、他の手段が使用され得る。例えば、混合チャンバをC1bチャネルから分離するために能動的な弁(例えば、機械弁)が使用されることができ、又はチャネルC1b内の第2の流体から混合チャンバ110を隔離するために(例えば、交差構造)、非混和性流体(例えば、油)が外圧によって導入されることができる。
【0052】
流体が、混合後、下流のさらなる反応のために混合チャンバ110から流出することを可能にされる用途の場合、混合された流体の体積の後に、通常は、第2の流体の体積が続く。しかし、混合された流体の体積が、次の反応に必要なものよりも大きい場合であっても、第2の流体の体積及びその混合された流体との界面は、反応を妨げないだろう。
【0053】
混合は、純粋に分子拡散に基づき得る。したがって、第1及び第2の流体が合流する大きな有効断面積を達成するために、構造内に多くの開口部を有することが有益であり得る。混合プロセスを加速するために、例えばAC電気浸透によって能動的な混合が達成され得る。
【0054】
上述の第1及び第2の一方向弁V1、V2は、一方向弁V1、V2が流体で満たされていないときに、流体が弁の輸送方向のうちの1つに沿って流れるのを防止するよう配置される。したがって、一方向弁V1、V2は、弁が流体で満たされている場合、両方向に沿って弁を通る流体の輸送を可能にし得る。
【0055】
したがって、第2の一方向弁V2は、毛細管ポンプCPを使用して主チャンバ110を空にするステップ中に、第1の流体が第2の部分C1bから第1の部分C1aに通過するのを妨げないことを理解されたい。第2の一方向弁V2は、弁が流体で満たされていないときに第2の部分C1bから第1の部分C1aへの輸送のみを防止する。このような状況は、主チャンバ120が空になった後に生じる。主チャンバ120を空にするステップ中に、空気は、通気孔AVを介して主チャンバ120内に吸引され、除去された流体の体積に連続的に置き換わる。第1の流体が主チャンバ120を出て第1のチャネルC1a、C1bに入ると、空気は、第1のチャネルC1a、C1bを占める第1の液体も置換し始める。液体/空気界面が第2の一方向弁V2に到達すると、弁は空気で満たされ、したがって、流体が後にその同じ方向に沿って弁を流れるのを防止することができる。よって、第1の流体が毛細管ポンプCPによって主チャンバ120から除去され、第2の流体が第2のチャネルC1によって第1のチャネルC1a、C2bの第2の部分C1bに提供されると、第2の流体は、第2の一方向弁V2を通って入り、意図せずに毛細管ポンプCPに送り込まれることが防止される。
【0056】
第1の一方向弁V1は、上述の第2の一方向弁V2と同様である。第1の一方向弁V1は、弁が流体で満たされていないとき、流体が第1のチャネルC1a、C1bから第2のチャネルC2に流れるのを防止するように配列される。したがって、第1の流体は、混合チャンバ110を満たすステップと、第1のチャネルC1a、C1bを介して主チャンバ120を空にする後続のステップとの間に、第2のチャネルC2に入ることが防止される。
【0057】
一方向弁V1、V2は、機械式、電気式、及び熱式弁などの任意の種類のマイクロ弁であってもよい。具体的には、一方向弁V1、V2は、突発的な幾何学的拡大に基づく毛細管弁であってもよい。そのような弁において、弁を通って第1の方向に沿って入る流体は、小さい断面を有する第1の弁チャネルから来てもよく、当該第1の弁チャネルは、第1の弁チャネルより大きい断面を有する第2の弁チャネルに連通する。流体の液体/空気界面が第1の弁チャネルと第2の弁チャネルとの間の移行部に到達したとき、毛細管圧の急激な低下により流体の動きが止まる。第2の対向する側に入る流体は、より大きい断面を有する第2の弁チャネルから、より小さい断面を有する第1の弁チャネルに入り、それによって、流体は、毛細管力によって、弁を通過させるように連続的に駆動されることが可能になる。第3の弁V3はまた、突発的な幾何学的拡張に基づく毛細管弁であってもよい。しかしながら、第3の弁V3は、例えば、主流体が第3の弁V3を通過することを可能にするための弁の開放をトリガするように、第3の弁V3が、トリガ流体として作用する第2の流体が第3の弁V3に入ることを可能にするためのさらなる入口を有するという点で、第1及び第2の一方向弁V1、V2とは異なり得る。
【0058】
本明細書に記載の実施形態は、上述の例に限定されない。さまざまな代替、修正、及び同等のものが使用され得る。例えば、さらなる弁が含まれてもよく、装置のタイミング制御を更に改善する。更に、代替のバルブ技術が使用され得る。したがって、本開示は、本明細書に記載の特定の形態に限定されるべきではない。本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、上述のもの以外の他の実施形態も特許請求の範囲内で等しく可能である。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 所定の体積混合比で第1の流体を第2の流体と混合するための毛細管駆動流体システムにおける装置(100)であって、該装置は、混合チャンバ(110)と毛細管ポンプ(CP)を備え、
前記混合チャンバ(110)は、主チャンバ(120)と1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とを含み、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)の各々とは、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)との間の流体連通を可能にし、かつ使用中に前記主チャンバ(120)内の毛細管圧(CP3)よりも大きい毛細管圧(CP2)を少なくとも1つの開口部(126a、126b)内に生成するよう配置された前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を各々含むそれぞれの構造(124a、124b)によって分離され、
前記混合チャンバ(110)は、それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を介して、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とを前記第1の流体で満たすように、第1の流体を受け取るよう配置されており、
前記毛細管ポンプ(CP)は、前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130)とが前記第1の流体で満たされた後に、前記主チャンバ(120)から流体を引き込むよう配置されており、前記毛細管ポンプは、前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)ではなく前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされるように、前記主チャンバ(120)の前記毛細管圧(CP3)と、各それぞれの構造(124a、124b)の前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)内の前記毛細管圧(CP2)との間である毛細管圧(CP1)で動作するよう配置され、
前記混合チャンバ(110)は、前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)内の前記第1の流体と、前記主チャンバ(120)内の前記第2の流体とが、それぞれの前記構造(124a、124b)の前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を通して混合することを可能にするように、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に、前記主チャンバ(120)を前記第2の流体で満たすように第2の流体を受け取るよう配置されている、
装置。
[2] 各構造(124a、124b)は複数の開口部(126a、126b)を画定する、[1]に記載の装置。
[3] 各構造(124a、124b)は複数のピラー(128a、128b)を備え、前記複数の開口部(126a、126b)は前記複数のピラー(128a、128b)間に形成されている、[2]に記載の装置。
[4] 各構造(124a、124b)の前記複数のピラー(128、128b)は、互いからある距離(W)で等距離に配置され、前記複数の開口部(126a、126b)内の前記毛細管圧(CP2)は、前記距離(W)に依存する、[3]に記載の装置。
[5] 前記混合チャンバ(110)は長手方向(D)に延在し、前記主チャンバ(120)は前記混合チャンバ(110)の全長に沿って前記長手方向(D)に延在する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の装置。
[6] 前記主チャンバ(120)は、その中に形成された前記毛細管圧(CP3)が実質的に一定になるように、前記長手方向(D)に沿って実質的に均一な断面(S)を有する、[5]に記載の装置。
[7] 前記混合チャンバ(110)は、長手方向(D)に延在し、前記混合チャンバ(110)は、少なくとも1つの開口部(126a、126b)を含むそれぞれの構造(124a、124b)によって各々が前記主チャンバ(120)から分離された2つの内部チャンバ(130a、130b)を備え、前記2つの内部チャンバ(130a、130b)は、前記混合チャンバ(110)の対向する長手方向側面に沿って配列される、[1]~[6]のいずれか一項に記載の装置。
[8] それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を介して、前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とを前記第1の流体で満たすように前記第1の流体を前記混合チャンバ(110)に提供するよう配置されている第1のリザーバ(R1)であって、前記第1の流体を保持するための第1のリザーバ(R1)と、
前記第1のリザーバ(R1)と流体連通する第1の端部と、前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)の中へ開口する第2の端部とを有する第1のチャネル(C1a、C1b)と、ここで、前記第1のチャネル(C1a、C1b)は、毛細管力を使用して前記第1のリザーバ(R1)から流体を引き込むよう配置され、それによって、それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)を介して前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)とに前記第1の流体を提供するものであり、
を更に備える、[1]~[7]のいずれか一項に記載の装置。
[9] 前記毛細管ポンプ(CP)は、その前記第1の端部において前記第1のチャネル(C1a、C1b)と流体連通し、前記毛細管ポンプ(CP)は、前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)、それぞれの前記少なくとも1つの開口部(126a、126b)、及び前記1つ又は複数の内部チャンバ(130a、130b)が前記第1の流体で満たされた後に、前記第1のチャネル(C1a、C1b)を介して前記主チャンバ(120)から流体を引き込むよう配置されている、[8]に記載の装置。
[10] 前記装置は、前記混合チャンバ(110)の前記主チャンバ(120)と前記1つ又は複数の内部チャンバ(130)とが前記第1の流体で満たされた後に、前記毛細管ポンプ(CP)が前記主チャンバ(120)から流体を引き込み始めるように、前記主チャンバ(120)への前記第1の流体の到達時間と前記第1のリザーバ(R1)から前記毛細管ポンプ(CP)への前記第1の流体の到達時間との間に時間遅延を導入するよう配置された流れ抵抗器(R)を更に備える、[9]に記載の装置。
[11] 前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に前記主チャンバ(120)を前記第2の流体で満たすように前記第2の流体を前記主チャンバ(120)に提供するよう配置されている第2のリザーバ(R2)であって、前記第2の流体を保持するための第2のリザーバ(R2)と、
前記第2のリザーバ(R2)に流体連通された第2のチャネル(C2)と、ここで、前記第2のチャネル(C2)は、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に、前記主チャンバ(120)を前記第2の流体で満たすように流体を前記主チャンバ(120)に提供するために、前記第2のチャネル(C2)が毛細管力を使用して前記第2のリザーバ(R2)から流体を引き込むよう配置されるように、前記第1のチャネル(C1a、C1b)の前記第2の端部に流体連通された第1の一方向弁(V1)で終端するものであり、
を更に備える、[8]~[10]のいずれか一項に記載の装置。
[12] 前記第1のチャネル(C1a、C1b)は、前記第1の端部を備える第1の部分(C1a)と、前記第2の端部を備える第2の部分(C1b)とを備え、前記第1の部分(C1a)及び前記第2の部分(C1b)は、第2の一方向弁(V2)が前記毛細管ポンプ(CP)によって前記第1の流体を空にされたときに、流体が前記第2の部分(C1b)から前記第1の部分(C1a)に流れるのを防止するよう配置された前記第2の一方向弁(V2)を介して互いに流体連通される、[8]~[11]のいずれか一項に記載の装置。
[13] 第2のチャネル(C2)が、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に前記第2の流体を前記主チャンバ(120)に提供することを可能にするように、前記主チャンバ(120)が前記第1の流体を空にされた後に開くよう配置された第3の弁(V3)を更に備える、[8]~[12]のいずれか一項に記載の装置。
[14] 第1のチャネル(C1a、C1b)が、その第1の端部で前記主チャンバ(110)の中へ開口し、前記主チャンバ(120)は、前記主チャンバ(120)の第2の対向する端部に通気孔(AV)を更に備え、前記通気孔は、前記主チャンバ(120)と周囲との間のガス交換を可能にするよう配置される、[1]~[13]のいずれか一項に記載の装置。
[15] [1]~[14]のいずれか一項に記載の装置を備える、診断デバイス。