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特許7293203一体化された電子機器を備えた陰圧創傷治療装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】一体化された電子機器を備えた陰圧創傷治療装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20230612BHJP
   A61M 27/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A61F13/02 345
A61M27/00
A61F13/02 310D
A61F13/02 310Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020514168
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018074701
(87)【国際公開番号】W WO2019053106
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】62/558,267
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】1718070.4
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ジェスロ・ハリソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ケルビー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ウィリアム・ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・リー・スチュワード
(72)【発明者】
【氏名】グラント・ウエスト
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/174048(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0174304(US,A1)
【文献】特表2009-506878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0202711(US,A1)
【文献】特表2016-508396(JP,A)
【文献】特表2015-516197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/02
A61M27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・近位側創傷対向面および遠位面を含む創傷接触層であって、前記近位側創傷対向面が創傷と接触して位置付けられるように構成される、創傷接触層と、
・前記創傷接触層上の少なくとも一つの吸収層と、
・前記創傷接触層と少なくとも一つの前記吸収層とを覆い、それらの上でシールを形成するよう構成されたカバー層と、
・電子組立品であって、
-陰圧源を備える電子ユニットと、
-ハウジングであって、
プレートと、
可撓性フィルムと、
前記可撓性フィルムと一体的でありかつ多孔性材料を備える窓と、を備える、
ハウジングと、
を備え、
-前記電子ユニットが、前記可撓性フィルムおよび前記プレート内で囲まれる、
電子組立品と、
を備え、
少なくとも一つの前記吸収層と前記カバー層とが、前記電子組立品を受容するよう構成されたくぼみを備え、
少なくとも一つの前記吸収層が、前記電子組立品の前記窓と流体連通するよう構成される、創傷被覆材装置。
【請求項2】
前記窓が、流体が前記電子組立品に入るのを防止するように構成された疎水性材料を備える、請求項1に記載の創傷被覆材装置。
【請求項3】
前記窓が細菌フィルタを備える、請求項1または2に記載の創傷被覆材装置。
【請求項4】
前記電子ユニットが、
前記陰圧源の出口上に位置付けられた出口または排気機構であって、前記陰圧源から排出される空気を排出するよう構成されたベント開口部を備える出口または排気機構と、
可撓性回路基板であって、センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの一以上を備える、可撓性回路基板と、
をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項5】
前記可撓性回路基板の前記通気孔が、前記出口または排気機構の前記ベント開口部と流体連通するように構成される、請求項4に記載の創傷被覆材装置。
【請求項6】
前記可撓性回路基板の前記通気孔および前記出口または排気機構の前記ベント開口部が、抗菌膜および/または逆止弁を備える、請求項5に記載の創傷被覆材装置。
【請求項7】
前記可撓性回路基板の前記センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの前記一以上を覆ように構成された電子ラベルをさらに備える、請求項4に記載の創傷被覆材装置。
【請求項8】
前記プレートが、前記可撓性回路基板の前記センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの前記一以上を覆うように構成された電子ラベルを備える、請求項4に記載の創傷被覆材装置。
【請求項9】
前記創傷被覆材装置が、近位側創傷対向面と遠位面とを備える透過層をさらに備え、
前記透過層が、前記創傷接触層の前記遠位面の上に位置付けられる、請求項1~のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項10】
少なくとも一つの前記吸収層が、
近位側創傷対向面と遠位面とを備える第一吸収層であって、前記透過層の前記遠位面上に位置付けられた第一吸収層と、
近位側創傷対向面と遠位面とを備える第二吸収層であって、前記第一吸収層の前記遠位面上に位置付けられた第二吸収層と、
を備える、請求項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項11】
・近位側創傷対向面および遠位面を含む創傷接触層であって、前記近位側創傷対向面が創傷と接触して位置付けられるように構成される創傷接触層と、
・前記創傷接触層上の少なくとも一つの吸収層と、
・前記創傷接触層と少なくとも一つの前記吸収層とを覆い、それらの上でシールを形成するよう構成されたカバー層と、
・電子組立品であって、
-陰圧源と、創傷滲出液が前記陰圧源に入るのを防止するように構成された入口保護機構とを備える電子ユニットと、
-ハウジングであって、
*プレートと、
*開口部を備える可撓性フィルムであって、
前記電子ユニットが、前記可撓性フィルムおよび前記プレート内に囲まれ、
前記入口保護機構が、前記可撓性フィルムの前記開口部の周囲密封により取り付けられる、可撓性フィルムと、
を備える、ハウジングと、
を備える、電子組立品と、
を備え、
少なくとも一つの前記吸収層と前記カバー層とが、前記電子組立品を受容するよう構成されたくぼみを備え、少なくとも一つの前記吸収層が、前記電子ユニットの前記入口保護機構と流体連通するよう構成される、創傷被覆材装置。
【請求項12】
前記入口保護機構が疎水性材料を備える、請求項11に記載の創傷被覆材装置。
【請求項13】
前記電子ユニットが、
前記陰圧源の出口上に位置付けられた出口または排気機構であって、前記陰圧源から排出される空気を排出するよう構成されたベント開口部を備える出口または排気機構と、
可撓性回路基板であって、センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの一以上を備える可撓性回路基板と、
をさらに備える、請求項11または12に記載の創傷被覆材装置。
【請求項14】
前記可撓性回路基板の前記通気孔が、前記出口または排気機構の前記ベント開口部と流体連通するように構成される、請求項13に記載の創傷被覆材装置。
【請求項15】
前記可撓性回路基板の前記通気孔および前記出口または排気機構の前記ベント開口部が、抗菌膜および/または逆止弁を備える、請求項14に記載の創傷被覆材装置。
【請求項16】
前記可撓性回路基板の前記センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの前記一以上を覆ように構成された電子ラベルをさらに備える、請求項13に記載の創傷被覆材装置。
【請求項17】
前記プレートが、前記可撓性回路基板の前記センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの前記一以上を覆うように構成された電子ラベルを備える、請求項13に記載の創傷被覆材装置。
【請求項18】
前記創傷被覆材装置が、近位側創傷対向面と遠位面とを備える透過層をさらに備え、
前記透過層が、前記創傷接触層の前記遠位面の上に位置付けられる、請求項1117のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項19】
少なくとも一つの前記吸収層が、
近位側創傷対向面と遠位面とを備える第一吸収層であって、前記透過層の前記遠位面上に位置付けられた、第一吸収層と、
近位側創傷対向面と遠位面とを備える第二吸収層であって、前記第一吸収層の前記遠位面上に位置付けられた、第二吸収層と、
を備える、請求項18に記載の創傷被覆材装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月13日に出願された米国仮出願第62/558,267号と、2017年11月1日に出願された英国出願第1718070.4号の優先権を主張するものであり、これらはその全体が参照によって本明細書に援用され、本開示の一部を成す。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、例えば、陰圧創傷療法と組み合わせて被覆材を使用する、創傷を治療する装置、システム、及び方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放または慢性創傷の治療は、当該技術分野で周知である。現在当該技術分野で知られている陰圧創傷療法(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧の源(真空ポンプなど)を被覆に接続することと、を伴う。このような陰圧は、創傷部位における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカインおよび/またはバクテリアを含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進すると考えられている。しかしながら、治療の便益を完全に実現するには、NPWTのさらなる改良が必要とされる。
【0004】
NPWTシステムに役立つ、多くの異なるタイプの創傷被覆材が知られている。さまざまな種類の創傷被覆材には、さまざまな種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、Smith&Nephew社製のPICO被覆材であり、これは、裏当て層の下に超吸収層を含み、NPWTによって創傷を治療するためのキャニスターレスシステムをもたらしている。創傷被覆材は、一本の管に接続する吸引ポートに対して封止されてもよく、その吸引ポートは、被覆材から流体を吸い出し、および/または、ポンプから創傷被覆材に陰圧を伝達するのに使用されうる。
【0005】
上述の被覆材のような、陰圧を使用した従来の被覆材は、創傷被覆材から離れた場所に位置する陰圧源を具備してきた。創傷被覆材から離れて配置された陰圧源は、ユーザ又はその他のポンプサポート機構によって保持されるか、又は、ユーザ又はその他のポンプサポート機構に取り付けられなければならない。さらに、管材又はコネクタで、離れた陰圧源を創傷被覆材に接続することが求められる。離れたポンプ及び管材は、患者の衣類の中に隠したり、取り付けたりするには取り扱いにくく、困難な場合がある。創傷被覆材の位置によっては、離れたポンプ及び管材を快適かつ便利に位置させるのが難しい場合がある。動作時、創傷滲出液が被覆材内に染み込む場合があり、創傷からの水分によって電子構成要素を被覆材内へ取り込むことが困難となっている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、創傷治療のための装置および方法に関する。本明細書に記載の創傷治療装置のうちのいくつかは、創傷に陰圧をかけるための陰圧源又はポンプシステムを含む。また、創傷治療装置は、本明細書に記載の陰圧源およびポンプアセンブリと組み合わせて使用され得る創傷被覆材を含み得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材及び陰圧源が、創傷被覆材及び陰圧源を同時に患者の創傷に適用する、不可欠な、又は一体化した創傷被覆材構造の一部であるよう、陰圧源が創傷被覆材装置内に組み込まれる。陰圧源及び/又は電子構成要素は、創傷被覆材の創傷接触層とカバー層との間に配置され得る。電子組立品は、可撓性フィルムによって少なくとも部分的に形成される保護エンクロージャに組み込むことができ、可撓性フィルムは、多孔性材料の窓を有することができる。これらの、及び、本明細書に記載のその他の実施形態は、陰圧源及び/又は電子構成要素を創傷被覆材内に組み込むことに関する特定の問題点を克服することに関する。
【0007】
一実施形態によれば、創傷被覆材装置は、創傷に面する近位面および遠位面を備える創傷接触層であって、創傷に面する近位面が創傷に接触して位置付けられるよう構成される創傷接触層と、創傷接触層の上の少なくとも一つの吸収層と、創傷接触層および少なくとも一つの吸収層を被覆し、シールを形成するよう構成されたカバー層と、電子組立品とを備えうる。電子組立品は、陰圧源と、プレートを含むハウジングと、可撓性のフィルムと、多孔性材料を含む窓とを備える電子ユニットを備えることができ、電子ユニットが可撓性フィルムおよびプレート内に囲まれ、少なくとも一つの吸収層およびカバー層が、電子組立品を受けるように構成されたくぼみを備え、少なくとも一つの吸収層が、電子組立品の窓と流体連通するように構成される。
【0008】
上記の段落または他の実施形態に記載の創傷被覆材装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。窓は、流体が電子組立品に入るのを防止するように構成された疎水性材料を含むことができる。窓は細菌フィルタを含むことができる。電子ユニットは、陰圧源の出口上に位置付けられた出口または排気機構をさらに備えることができ、出口または排気機構が、陰圧源から排出される空気を排出するように構成されたベント開口部と、可撓性回路基板とを含み、可撓性回路基板は、センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータのうちの一つまたは複数を含む。可撓性回路基板の通気孔は、出口または排気機構のベント開口部と流体連通するように構成されうる。可撓性回路基板の通気孔および出口または排気機構のベント開口部は、抗菌膜および/または逆止弁を含むことができる。創傷被覆材装置は、可撓性回路基板の一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆い、それらとの通信を提供するように構成された電子ラベルをさらに備えうる。プレートは、可撓性回路基板の一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆うように構成された電子ラベルを備えることができる。電子ユニットは、一つまたは複数の電源を備えうる。創傷被覆材は、創傷に面する近位面および遠位面を含む透過層をさらに含むことができ、透過層は創傷接触層の遠位面の上に位置付けられる。少なくとも一つの吸収層は、創傷に面する近位面および遠位面を含む第一吸収層と、創傷に面する近位面および遠位面を含む第二吸収層とを備え、第一吸収層は、透過層の遠位面上に位置付けられ、第二吸収層は、第一吸収層の遠位面上に位置付けられる。
【0009】
別の実施形態によると、創傷被覆材装置は創傷被覆材を含みうる。創傷被覆材は、吸収材料を含むことができ、電子ユニットが陰圧源を備え、電子ユニットが創傷被覆材内に一体化され、且つ、可撓性フィルムによって少なくとも部分的に封入され、可撓性フィルムが多孔性材料を含む窓を含み、窓は、吸収材料と陰圧源との間の流体連通を許容するように構成される。
【0010】
別の実施形態によると、創傷被覆材装置は、創傷に面する近位面および遠位面を含む創傷接触層であって、創傷に面する近位面が創傷と接触して位置付けられるように構成される創傷接触層と、創傷接触層の上の少なくとも一つの吸収層と、創傷接触層と少なくとも一つの吸収層を覆い、それらの上でシールを形成するよう構成されたカバー層と、電子組立品であって、陰圧源を備える電子ユニットと、創傷滲出液が陰圧源に入るのを防止するように構成された入口保護機構とを備える電子組立品と、プレートと、開口部を備える可撓性フィルムと、を備えるハウジングと、を備え、電子ユニットが、可撓性フィルムおよびプレート内で囲まれ、入口保護機構が可撓性フィルムの開口部に密封され、少なくとも一つの吸収層とカバー層が、電子組立品を受容するよう構成されたくぼみを備え、少なくとも一つの吸収層が、電子組立品の入口保護機構流体連通するよう構成される。
【0011】
上記の段落または他の実施形態に記載の創傷被覆材装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。入口保護機構は、疎水性材料を含むことができる。電子ユニットは、陰圧源の出口上に位置付けられた出口または排気機構をさらに備えることができ、出口または排気機構が、陰圧源から排出される空気を排出するように構成されたベント開口部と、可撓性回路基板とを含み、可撓性回路基板は、センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータのうちの一つまたは複数を含む。可撓性回路基板の通気孔は、出口または排気機構のベント開口部と流体連通するように構成されうる。可撓性回路基板の通気孔および出口または排気機構のベント開口部は、抗菌膜および/または逆止弁を含むことができる。創傷被覆材装置は、可撓性回路基板の一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆い、それらとの通信を提供するように構成された電子ラベルをさらに備えうる。プレートは、可撓性回路基板の一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆うように構成された電子ラベルを備えることができる。電子ユニットは、一つまたは複数の電源を備えうる。創傷被覆材は、創傷に面する近位面および遠位面を含む透過層をさらに含むことができ、透過層は創傷接触層の遠位面の上に位置付けられる。少なくとも一つの吸収層は、創傷に面する近位面および遠位面を含む第一吸収層と、創傷に面する近位面および遠位面を含む第二吸収層とを備え、第一吸収層は、透過層の遠位面上に位置付けられ、第二吸収層は、第一吸収層の遠位面上に位置付けられる。
【0012】
別の実施形態によると、創傷被覆材装置は、吸収材料と、電子ユニットであって、陰圧源と、創傷滲出液が陰圧源に入るのを防止するように構成された入口保護機構とを備え、創傷被覆材内に一体化され、可撓性フィルムによって少なくとも部分的に封入されており、可撓性フィルムが開口部を備える電子ユニットとを備える創傷被覆材を備え、入口保護機構が可撓性フィルムの開口部に密封され、可撓性フィルムの開口部が吸収材料と陰圧源との間の流体連通を許可するよう構成される。
【0013】
以下に開示されるポンプの実施形態のいずれも、および、陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特徴、構成要素、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、陰圧源および/またはその他の電子構成要素を創傷被覆材内に組み込んだ創傷被覆材を示す。
図1B図1Bは、陰圧源および/またはその他の電子構成要素を創傷被覆材内に組み込んだ創傷被覆材を示す。
図1C図1Cは、陰圧源および/またはその他の電子構成要素を創傷被覆材内に組み込んだ創傷被覆材を示す。
図2図2Aおよび図2Bは、創傷被覆材に組み込まれた電子ユニットの実施形態を図示する。
図3A図3Aは、創傷被覆材内に電子構成要素を組み込んだ創傷被覆材層の一実施形態を図示する。
図3B図3Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。
図3C図3Cは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態の上面図を図示する。
図4A図4Aは、中で電子ユニットを囲む電子組立品のハウジングの実施形態を図示する。
図4B図4Bは、中で電子ユニットを囲む電子組立品のハウジングの実施形態を図示する。
図5A図5Aは、創傷被覆材層の開口部内に位置付けられた電子組立品の実施形態を図示する。
図5B図5Bは、創傷被覆材層の開口部内に位置付けられた電子組立品の実施形態を図示する。
図6図6は、ハウジング内で電子ユニットを囲う電子組立品の実施形態の分解斜視図である。
図7A図7Aは、図6の電子組立品の底面斜視図を図示する。
図7B図7Bは、電子組立品の、創傷に面する下側面の実施形態を示す。
図7C図7Cは、電子組立品の、創傷に面する下側面の実施形態を示す。
図7D図7Dは、電子組立品の、創傷に面する下側面の実施形態を示す。
図7E図7Eは、図6の電子組立品の上部斜視図を図示する。
図7F図7Fは、電子組立品の上面の実施形態を示す。
図7G図7Gは、電子組立品の上面の実施形態を示す。
図7H図7Hは、電子ユニットの可撓性回路基板の上面の実施形態を図示する。
図7I図7Iは、電子組立品の実施形態の側面図を図示する。
図8図8は、電子組立品と併用される創傷被覆材の創傷被覆材層の実施形態を図示する。
図9A図9Aは、被覆材層内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の実施形態を図示する。
図9B図9Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。
図10-1】図10A図10Cは、電子組立品を組み込む創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。
図10-2】図10Dおよび図10Eは、電子組立品を組み込む創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に開示された実施形態は、陰圧源および創傷被覆材構成要素および装置を含む、減圧によって創傷を治療する装置および方法に関する。創傷に重ね、パッキングする材料を含む装置および構成要素があれば、本明細書では集合的に被覆材として称される場合がある。
【0016】
本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)治療システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減しうる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援しうる。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0018】
本明細書に使用する通り、減圧または陰圧レベル、例えば-XmmHg、は、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当しうる、通常の周囲の気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。さらに、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgとすることができる。これらの圧力は、760mmHgでありうる、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間でありうる。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用されうる。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給されうる。
【0020】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながりうる。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、陰圧は、例えば正弦波、方形波を使用して、および/または、一つまたは複数の患者の生理的指標(例えば、心拍)と同期して、経時的に変化させられうる。前述に関するさらなる開示を見出すことができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0021】
2012年7月12日に出願されると共に2013年1月17日に国際特許公開第2013/007973A2号として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する国際特許出願第GB2012/000587号は、本書に組み込まれ、本明細書の一部であるとみなされる出願であり、これは、本明細書に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして使用され得る、実施形態、製造方法、及び、創傷被覆材の構成要素と創傷治療装置に関する。さらに、また、本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2013年5月22日に出願されると共に2013年11月28日に国際公開2013/175306として公開された「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」と題する国際出願番号PCT/IB2013/001469と、2015年1月30日に出願され、米国公開番号第2015/0216733号として公開され、2015年8月6日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国特許出願第14/418874号と、2015年1月30日に出願され、米国公開番号第2015/0190286号として公開され、2015年7月9日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国特許出願第14/418908号と、2015年3月13日に出願された米国特許出願第14/658,068号と、2015年7月2日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国出願第2015/0182677号とに開示された実施形態と組み合わせたり加えたりして使用されてもよく、それらは、それらの全体が参照によってここに組み込まれる。本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2011年4月21日に出願されると共に米国特許公開第2011/0282309号として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」と題する米国出願第13/092,042号に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられてもよく、それは、その全体が参照によってここに組み込まれ、それは、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材構成要素と原理、及び創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含んでいる。
【0022】
被覆材に組み込まれる電子機器を備えた創傷被覆材に関連する、本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題するPCT特許公開第EP2017/055225号に記載された実施形態と組み合わせたりまたそれに加えたりして用いられてもよく、それは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれ、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材構成要素と原理、及び創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、陰圧源(ポンプ等)及び、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、TNPシステムのいくつか又はすべてのその他の構成要素は、創傷被覆材と一体になり得る。創傷被覆材は、本明細書に記載される様々な材料層を含み得、2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題された、国際特許出願EP2017/055225号にさらに詳細に記載される。材料層は、創傷接触層、一つまたは複数の吸収層、一つまたは複数の透過層またはスペーサ層、および一つまたは複数の吸収層および透過層またはスペーサ層を覆う裏当て層またはカバー層を含み得る。創傷被覆材は、創傷の上に配置され、ポンプおよび/または創傷被覆材内のカバー層の下に含まれるその他の電子構成要素で創傷に封止される。いくつかの実施形態では、被覆材はすべての創傷被覆材要素(ポンプを含む)があらかじめ取り付けられ、単一のユニットに一体化された、単一の物品として提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層の周辺は、図1A図1Cに図示するように、すべての創傷被覆材要素を囲むカバー層の周辺に取り付けられ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ポンプおよび/またはその他の電子構成要素が依然として、患者に適用される単一の物品であるように、ポンプおよび/またはその他の電子構成要素は、吸収層および/または透過層に隣接して、またはそれらの隣に配置されるよう構成され得る。いくつかの実施形態では、ポンプおよび/またはその他の電子機器が創傷部位から離れて配置されうる。図1A図1Cは、陰圧源および/またはその他の電子構成要素を創傷被覆材内に組み込んだ創傷被覆材を示す。図1A図1Cは、ポンプおよび/またはその他の電子機器が創傷部位から離れて位置決めされた創傷被覆材100を図示する。創傷被覆材は、電子機器エリア161と、吸収エリア160とを含み得る。被覆材は、創傷接触層110(図1A図1Bには図示なし)、および接触層とその他の被覆材の層の上に配置された透湿性フィルムまたはカバー層113を含み得る。創傷被覆材層及び、電子機器エリアと吸収エリアの構成要素は、図1Aから図1A図1Cに示すように、一つの連続したカバー層113によって覆われ得る。
【0025】
被覆材は、創傷接触層110と、透過層111と、吸収層112と、創傷接触層、透過層、吸収層、又はその他の被覆材の層の上に配置された透湿性フィルム113またはカバー層113とを含み得る。創傷接触層は、創傷に接触するように構成され得る。創傷接触層は接着剤を、被覆材を周りの皮膚に固定するため、患者に対向する側に具備するか、又は、創傷接触層をカバー層又は被覆材のその他の層に固定するため、上側に具備し得る。動作時、創傷接触層は、滲出液が創傷に戻るのを阻止又は実質的に防止しつつ、創傷から滲出液を取り除きやすくするよう、一方向流をもたらすように構成され得る。
【0026】
創傷接触層110は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、又は、例えばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、又は超音波プロセスを介すか、又はその他のいくつかの方法でパーフォレートされた、あるいは別の方法で液体及び気体が透過するようにしたその他の柔軟性のある層であってもよい。創傷接触層110は、下面と上面とを有する。パーフォレーションは、創傷接触層110において貫通穴を含み、それによって流体が層110を通って流れることが可能となるのが好ましい。創傷接触層110は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。パーフォレーションは、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さいことが好ましい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。一部の構成では、創傷接触層110は、陰圧を創傷に維持するために、吸収パッドの周りに気密シールをも作り出しながら、被覆材100全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。
【0027】
創傷接触層110の一部実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、感低圧性接着剤が創傷被覆材100の下面に設けられ得、感高圧性接着剤が創傷接触層の上面に設けられ得る。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であり得る感圧接着剤は、創傷接触層の両面上、もしくは任意で選択された片面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層が利用されるとき、それが創傷被覆材100を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けとなり得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを含んでもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するのを助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全3層は共に孔加工されていてもよい。
【0028】
多孔性材料の層111は、創傷接触層110の上方に配置されうる。本明細書で使用されるように、用語多孔性材料、スペーサ、及び/又は、透過層は、被覆材内で、創傷エリア全体において陰圧を分配するよう構成された材料の層を言及するのに交換可能に使用され得る。この多孔質層または透過層111により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層111によって、吸収層が相当量の滲出液を吸収しても創傷エリアの上に陰圧を伝えるよう、外気チャネル(open air channel)が確実に維持され得ることが好ましい。層111は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層111は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用されうる。
【0029】
透過層は、創傷部位の上に陰圧を分配し、創傷被覆材内へ創傷滲出液及び流体を輸送しやすくするよう支援する。いくつかの実施形態では、透過層は、三次元(3D)繊維から少なくとも部分的に形成されうる。
【0030】
いくつかの実施形態では、透過層111は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、編まれたポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサ布層を備える。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用されうる。
【0031】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用されうることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0032】
間隔を空けた層のフィラメント数のこの差は、透過層全体の水分の流れを制御するのに役立つ。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層112が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得るカバー層113に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0033】
好ましくは、透過層111を横切る(すなわち、最上スペーサ層と底面スペーサ層との間に形成されたチャネル領域に垂直な)液体流を改善するために、3D繊維が、透過層の親水機能に干渉することがある、従来使用されている鉱物油、脂肪、又はろうのようなあらゆる工業製品を除去する一助となるように乾燥洗浄剤(ペルクロロエチレン等であるがそれに限定されない)によって、処理され得る。いくつかの実施形態では、続いて、3Dスペーサ布が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0034】
さらに、創傷から吸引された滲出液を吸収及び保持するための吸収層(層112等)が利用され得る。いくつかの実施形態では、超吸収材が、吸収層112に使用され得る。いくつかの実施形態では、吸収体は、形状設定された超吸収層形態を具備する。
【0035】
吸収材料の層112は、透過層111の上に提供される。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意で超吸収材料を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。いくつかの実施形態では、層111もまた、流体をカバー層113の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0036】
吸収層112の材料はまた、創傷被覆材内に収集された液体が被覆材内で自由に流れるのを防止し得、好ましくは、収集されたいかなる液体も被覆材内に含むよう作用する。吸収層112はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層の領域における凝集を防止するのを補助する。吸収材料の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層112は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層112は、超吸収粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。好適な実施形態では、合成物は、風成(airlaid)の、熱結合合成物である。
【0037】
いくつかの実施形態では、吸収層112は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収材料を有する、不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材料に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0038】
電子機器エリアの創傷被覆材層及び吸収層は、一つの連続したカバー層または裏当て層113によって覆われ得る。本明細書に使用されるように、用語カバー層及び/又は裏当て層は、下にある被覆材層を覆い、創傷接触層及び/又は創傷周りの皮膚に封止するよう構成された、被覆材内の材料の層を言及するのに互換可能に使用され得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、ガスの通過を可能にしつつも、創傷から取り除かれた液体の滲出液及びその他の液体が通過するのを防止する透湿性材を具備し得る。
【0039】
カバー層113は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させるのが好ましく、創傷被覆材100の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の側面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であってもよい、カバー層113は、気体に対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、カバー層113と創傷部位との間に作られる。カバー層113は、例えば接着技術又は溶接技術を介して、被覆材の周囲の境界領域内において、創傷接触層110に対して封止され、境界領域に空気が吸い込まれないようにするのが好ましい。カバー層113によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。カバー層113は、二つの層、すなわちポリウレタンフィルムとこのフィルム上に広げられた接着パターンとを含むのが好ましい。ポリウレタンフィルムは透湿性であるのが好ましく、かつ、濡れると水透過速度が高くなる材料から製造され得る。いくつかの実施形態では、カバー層の透湿性は、カバー層が濡れると高くなる。濡れたカバー層の透湿性は、乾いたカバー層の透湿性の最大約十倍であってもよい。
【0040】
電子機器エリア161は、陰圧源(ポンプ等)及び、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、創傷被覆材と一体になり得るTNPシステムのいくつか又はすべてのその他の構成要素を具備し得る。例えば、電子機器エリア161は、図1Aおよび図1Bに示すように、ボタンまたはスイッチ114を含み得る。ボタン又はスイッチ114は、ポンプを動作させる(例えば、ポンプをオン/オフする)ために使用され得る。
【0041】
吸収エリア160は、吸収材料112を具備し得、創傷部位の上に配置され得る。電子機器エリア161は、吸収エリア160から横にずらして配置すること等によって、創傷部位から離れて配置され得る。図1A図1Cに示すように、電子機器エリア161は、吸収エリア160に隣接し、且つ、その吸収エリア160と流体連通して配置され得る。いくつかの実施形態では、電子機器エリア161及び吸収エリア160はそれぞれ、長方形状であってよく、互いに隣接して配置され得る。図1Cでは、電子機器エリア161はエリア「A」として記述され、九州エリア160はエリア「B」として記述されている。いくつかの実施形態では、図1Cに図示するように、電子構成要素150は、吸収材料112の凹部または切欠部内に位置付けられうるが、吸収エリアの側部から離れて配置され得る。図1Cにおける創傷被覆材層の断面図に示すように、吸収材料112は、電子構成要素150の両側に位置付けられ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、被覆材材料の追加層は、電子機器エリア161、吸収エリア160、又はその両エリア内に具備され得る。いくつかの実施形態では、被覆材は、創傷接触層110の上方、および被覆材のカバー層113の下方に配置された一つまたは複数の透過層またはスペーサ層および/または一つまたは複数の吸収層を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、被覆材の電子機器エリア161は、電子構成要素150を備え得る。いくつかの実施形態では、被覆材の電子機器エリア161は、透過材料またはスペーサ材料および/または吸収材料の一つ又は複数の層を含み得、および電子構成要素150は、透過材料またはスペーサ材料および/または吸収材料の一つまたは複数の層内に埋め込まれ得る。透過材料または吸収材料の層は、崩壊を防止するための構造をもたらしつつ、電子構成要素150を内部に埋め込むためのくぼみまたは切り欠き部を有し得る。電子構成要素150は、ポンプ、電源、コントローラ、および/または電子機器パッケージを含み得る。
【0044】
ポンプ排出口は、ポンプから被覆材の外側へ空気を排出するよう設けられ得る。ポンプ排出口は、電子機器エリア161および被覆材の外部と連通し得る。
【0045】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。さらに、層は、皮膚または創傷に最も近い層の側面または表面と称される創傷に面する近位面と、皮膚または創傷から最も遠い層の側面または面と称される遠位面を有し得る。
【0046】
図1A図1Cは、ポンプおよび/または創傷被覆材内のその他の電子構成要素を組み込み、吸収層からオフセットする、創傷被覆材装置を図示する。いくつかの実施形態では、図1Cに示すように、吸収エリア160は、創傷接触層110の上方に配置された透過層111を含む。吸収層112は、透過層111の上方に提供され得る。いくつかの実施形態では、電子機器エリア161は、電子ユニット(図2A図2Bに示す)を含み得る。いくつかの実施形態では、電子ユニットは創傷接触層の上に直接提供される。他の実施形態では、電子ユニットは、被覆材の創傷接触層110の上方に位置するウィッキング材料、吸収材料、または透過材料の層の上方に配置され得る。例えば、図1Cに示すように、電子ユニット150は、透過層111の上に配置され得る。いくつかの実施形態では、透過層111は、電子ユニット150および吸収材料112の下に延在する材料の単一の層であり得る。従って、いくつかの実施形態では、透過層111は、吸収エリア160および電子機器エリア161を通して連続的に延在する。代替的実施形態では、電子ユニットの下方の透過層は、吸収材料112の下方の透過層とは異なる透過層とすることができる。図1A~1Cに示すように、透過層111、吸収材料112、および電子ユニット150は、創傷接触層110の周囲に封止するカバー層113で被覆し得る。
【0047】
電子機器エリア161は、被覆材のカバー層113の下方に位置する電子ユニット150を含み得る。いくつかの実施形態では、電子ユニットは、電子機器を囲むことによって陰圧源および電子構成要素を取り囲むまたは封入するために、材料によって囲まれ得る。いくつかの実施形態では、この材料はケーシングとすることができる。いくつかの実施形態では、電子ユニットは、例えば、本明細書に記載の疎水性コーティングなどの保護コーティングによって封入または囲まれ得る。電子ユニットは吸収エリア160の被覆材層と接触し得、カバー層113によって被覆され得る。本明細書で使用される場合、電子ユニットは、創傷に最も近い下方または創傷に面する面、および創傷被覆材が創傷の上に置かれた時に創傷から最も遠い反対側の上面を含む。
【0048】
図1Cは、被覆材内に電子ユニット150を組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、電子サブ組立品または電子ユニット150は、図1Cに示す通り、被覆材の一方の端部に向かって、吸収層112の開口部または穴に埋め込まれ得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、吸収体構成要素及び電子機器構成要素は、重なり合っているが、ずらされていてもよい。例えば、電子機器エリアの一部分が吸収エリア、例えば超吸収層に重なり合っていてもよいが、電子機器エリアが完全に吸収エリアの上にあるわけではない。そのため、電子機器エリアの一部分が吸収エリアからずらされてもよい。被覆材層および電子構成要素は、最下層の下に位置付けられた創傷接触層110において、吸収層112および電子機器150の上方に位置付けられたカバー層113で取り囲まれ得る。創傷接触層110およびカバー層113は、被覆材構成要素を取り囲む周辺部で封止され得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、吸収材料、および/または電子ユニットと直接、物理的に接触し得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、例えば、電子構成要素(例えば、スイッチおよび/または排出口)を収容するために穴または開口部が使用される領域で、電子ユニットおよび/またはケーシングの一部に封止され得る。
【0050】
図2A図2Bは、創傷被覆材に組み込まれ得る電子ユニット267の実施形態を図示する。図2Aは、電子ユニットの上面図を図示する。図2Bは、電子ユニットの底面又は創傷に面する面を図示する。電子ユニット267は、ポンプ272および一つまたは複数の電池268を含みうる。電子ユニット267は、ポンプ272および/または電池268と電気的に通信するよう構成された可撓性回路基板276を含みうる。
【0051】
図2Aに示すように、電子ユニット267は、ユニットの上面上に単一のボタンまたはスイッチ265を含み得る。単一のボタンまたはスイッチ265は、オン/オフボタンまたはスイッチとして使用され、ポンプおよび/または電子構成要素の動作を停止および開始し得る。スイッチ265は、ポンプの上に位置するように構成されたドーム型スイッチとし得る。スイッチは被覆材内に置かれているため、カバー層はスイッチの周りまたはその上に簡単に封止され得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、スイッチの上方に配置された開口部または穴を有し得る。カバー層は、スイッチ265の外周に封止されて創傷カバー下の陰圧を維持し得る。スイッチは、電子ユニットの任意の表面上に配置し得、ポンプと電気的に接続し得る。
【0052】
電子ユニット267はまた、ポンプから排出される空気を排出するために、可撓性回路基板上に一つまたは複数のベントまたは排出開口部264を含みうる。図2Bに示すように、ポンプ出口排気機構274は、ポンプ272の出口に取り付けられうる。ベントまたは排気開口部264は、ポンプの出口に位置付けられ、且つ、可撓性回路基板の下側面に延びるポンプ排気機構274と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板上の排気ベント264は、被覆材の上面と連通し、ポンプの排気が電子ユニットから排気されることを可能にする。いくつかの実施形態では、排気機構274は、ポンプの出口端部に取り付けられ得、ポンプの向きから90度の角度でポンプから延長して、可撓性回路基板の底面と連通し得る。いくつかの実施形態では、排出機構274は、抗菌膜および逆止弁を含み得る。いくつかの実施形態では、排出ベント264は、抗菌膜および逆止弁を含み得る。ポンプから排出された空気は、ポンプ出口および排気機構274を通過し得る。いくつかの実施形態では、カバー層113は、排気ベント264および/または膜の上方に位置する開口部または穴を含み得る。カバー層113は、排出口264の外周に封止され得、創傷カバー113下の陰圧を維持し得る。いくつかの実施形態では、排出された空気は、カバー層のガス透過性材料または透湿性材料を通して排出され得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、排出口の上に開口部または穴を含む必要はなく、排出された空気はカバー層を通して排出される。いくつかの実施形態では、ポンプ出口機構274は、図2Bに示すようにポンプの周りに嵌合するように形成されたカスタム部品とし得る。電子ユニット267は、図2Cに示すように、吸収エリアに最も近い電子ユニットの部分上に位置し、ポンプ272の入口と整列されたポンプ入口保護機構280を含み得る。ポンプ入口保護機構280は、ポンプ入口と被覆材の吸収エリアまたは吸収層との間に位置付けられる。ポンプ入口保護機構280は、疎水性材料で形成され、流体がポンプ272に入るのを防止し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、電子ユニットの上面は、ポンプの状態および/または被覆材内の圧力レベルを示すための一つまたは複数のインジケータ266を含み得る。インジケータは、小さなLED灯またはインジケータ上の被覆材構成要素か被覆材構成要素の貫通孔を通して見えるその他の光源とし得る。インジケータは、緑、黄、赤、橙、またはその他任意の色であり得る。例えば、一つの緑の灯および一つの橙の灯の二つの灯があり得る。緑の灯は、装置が適切に作動しており、橙の灯は、ポンプ(例えば、被覆材の漏れ、被覆材の飽和レベル、および/または低バッテリー状態)に何らかの問題があることを示し得る。
【0054】
図2Aおよび図2Bは、電子ユニット267の実施形態を図示する。電子ユニット267は、ポンプ272およびポンプ272およびその他の電子機器に電力供給するための一つまたは複数のバッテリー268またはその他の電源を含み得る。ポンプは、約27ボルト、または約30ボルトで動作し得る。二つのバッテリーは、単一のバッテリーで可能なよりもより効率的な電圧増加(6V~30V)を許容し得る。
【0055】
バッテリー268は、可撓性回路基板276と電気的に通信し得る。いくつかの実施形態では、一つまたは複数のバッテリー接続は、可撓性回路基板276の表面に接続される。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板はその中にその他の電子機器を有し得る。可撓性回路基板は、例えば、限定するものでないが、一つまたは複数の圧力センサ、温度センサ、光学センサおよび/またはカメラ、および/または飽和インジケータを含む様々なセンサを有し得る。
【0056】
こうした実施形態では、電子ユニット267の構成要素は、被覆材の流体から電子機器を保護するための保護コーティングを含み得る。コーティングは、電子ユニット267と被覆材の吸収材料との間の流体分離の手段を提供し得る。コーティングは、シリコンコーティングまたはポリウレタンコーティングを含むがこれに限定されない疎水性コーティングとし得る。いくつかの実施形態では、電子ユニット267は、本明細書でより詳細に説明するように、保護ハウジングまたはエンクロージャ内に封入されうる。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、入口上の流体からポンプを保護するために使用し得、ポンプ出口機構は、流体が出口に流入するのから保護する逆止弁を含み得、これは2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題された国際特許出願第EP2017/055225号、および2017年4月26日に出願された「WOUND DRESSINGS AND METHODS OF USE WITH INTEGRATED NEGATIVE PRESSURE SOURCE HAVING A FLUID INGRESS INHIBITION COMPONENT」と題された国際特許出願第EP2017/059883号に関連してより詳細に説明され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、流体侵入を阻止する構成要素とすることができる。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、ガス(例えば、空気)は通過させるが、液体(例えば、創傷滲出液)の通過は阻止することができる。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、創傷被覆材の内部とポンプとの間に複数の流路を提供する多孔性構造であってもよい。複数の流路は、ポンプの閉塞(例えば、創傷滲出液から)を阻止することができる。いくつかの実施形態では、構成要素は、創傷滲出液を弾く疎水性材料から成るか、またはそれで覆われてもよく、それによって構成要素内に、最終的にはポンプ内に、流体が浸入するのを阻止する。
【0057】
電子ユニット267は、ポンプと二つのバッテリーとの間の一つまたは複数のスリット、溝またはくぼみ271を含む。スリット、溝またはくぼみ271は、電子ユニット267が柔軟に創傷の形状に適合することを可能にし得る。ユニット267は、電子ユニット267の三つのセグメントを形成する二つの平行なスリット、溝またはくぼみ271を有し得る。ユニット267のスリット、溝またはくぼみ271は、ヒンジ箇所またはそのヒンジ箇所での電子ユニットの柔軟性を可能にする間隙を作る。ポンプ排気ベント264、スイッチ265、およびインジケータ266は、電子ユニット267の頂面上に示される。図示したように、電子ユニット267の一つの実施形態は、ユニットを、例えば一つはバッテリーを含み、一つはポンプを収容し、一つは別のバッテリーを収容する、三つの領域またはパネルに分離するための二つのヒンジ箇所を有する。いくつかの実施形態では、スリット、溝またはくぼみは、被覆材の吸収エリアを通る被覆材の電子機器エリアを通る被覆材の長さに沿って延在する被覆材の長手方向軸と平行に延在する。
【0058】
図3Aは、創傷被覆材内に電子構成要素を組み込んだ創傷被覆材層の一実施形態を図示する。図3Aは、創傷に接触するように構成された創傷接触層310を有する創傷被覆材を図示する。創傷接触層310は、図1A図1Cを参照して説明した創傷接触層と類似した材料であってもよく、それと類似した機能を有してもよい。透過層またはスペーサ層311が、創傷接触層の上に提供される。透過層またはスペーサ層311は、図1A図1Cを参照して説明した透過層またはスペーサ層と類似した材料であってもよく、それと類似した機能を有してもよい。透過層311は、創傷部位上に陰圧を送り、分配することを支援し得る。
【0059】
開口部を備えた吸収材料351の第一層は、透過層311の上に提供され得る。第一開口部を備えた吸収層351は、一つまたは複数の開口部329を含み得る。いくつかの実施形態では、開口部329は、その中に電子ユニット350が嵌合するような寸法および形状とされ得る。第一開口部を備えた吸収層351は、電子機器エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされ得、吸収エリア内には延在しない。いくつかの実施形態では、開口部329は、電子ユニット350の個々の構成要素が嵌合するような寸法および形状とされ得る。
【0060】
第二開口部を備えた吸収層322は、第一吸収層351の上に提供され得る。いくつかの実施形態では、第二吸収層322は一つまたは複数の開口部328を含む。第二吸収層322は、電子機器エリアおよび吸収エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされ得る。いくつかの実施形態では、開口部328は、電子ユニット350の個々の構成要素が嵌合するような寸法および形状とされ得る。第一吸収層351および第二吸収層322は、図1A図1Cを参照して説明した吸収層と類似した材料であってもよく、それと類似した機能を有してもよい。
【0061】
電子ユニット350は、第一吸収材料351および第二吸収材料322の開口部328および329に位置付けられ得る。電子ユニット350は、図2A図2Bを参照して説明した電子ユニットと類似していてもよい。電子ユニット350は、ポンプ327、電源326、およびプリント基板381を含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ327は、ポンプ入口機構710および出口機構382を含み得る。いくつかの実施形態では、プリント基板381は、本明細書に記載されるスイッチ、センサ、およびLEDを含むがこれに限定されない電子機器を含み得る。いくつかの実施形態では、回路基板381は、本明細書でより詳細に説明する通り、出口機構382における一つまたは複数の排気ベント(図示せず)上に位置付けられる一つまたは複数の穴を含み得る。
【0062】
オーバーレイ層317は、電子構成要素350および吸収層322の上に提供され得る。いくつかの実施形態では、オーバーレイ層317は、本明細書に記載の吸収材料および/または透過材料の一つまたは複数の層とし得る。いくつかの実施形態では、オーバーレイ層317は、透過材料および吸収材料の下層の周辺に重なり、境界を越える適合材料を含み得る。いくつかの実施形態では、オーバーレイ層317は、被覆材層の端部の周りの輪郭を減少させることによって、創傷被覆材層の端部を軟化させ得る。オーバーレイ層317は、カバー層が下の被覆材層を覆って密封されると、カバー層が下層によって穿孔されることから保護できる。オーバーレイ層317は、下方に位置する電子ユニット350の少なくとも一部分へのアクセスを可能にする開口部371を含み得る。
【0063】
カバー層又は裏当て層313は、オーバーレイ層317の上に配置され得る。カバー層又は裏当て層313は、図1A図1Cを参照して説明したカバー層又は裏当て層と類似した材料であってもよく、それと類似した機能を有してもよい。いくつかの実施形態では、オーバーレイ層317が使用されないときは、カバー層または裏当て層313が、吸収層322および/または電子構成要素350の上方に提供され得る。カバー層313は、オーバーレイ層317、吸収層322および351、電子構成要素350、および透過層311を取り囲む周縁領域において、創傷接触層310に対して封止を形成し得る。いくつかの実施形態では、カバー層313は、被覆材構成要素が創傷に適用されるとき、その被覆材構成要素周りで形成及び成型する、柔軟性のある材料のシートであり得る。他の実施形態では、図3Aに示す通り、カバー層313は、被覆材構成要素周りに嵌合するようあらかじめ形成され、又は、あらかじめ成型された材料であり得る。本明細書に使用されるように、用語カバー層及び裏当て層は、被覆材層を覆ように構成された、被覆材内の材料の層に言及するのに互換可能に使用され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、カバー層または裏当て層313は、開口部372を含み得る。開口部372は、オーバーレイ層317の開口部371の少なくとも一部分の上に位置付けられて、下方に位置する電子ユニット350の少なくとも一部分へのアクセスを可能とし得る。いくつかの実施形態では、開口部371および372は、ポンプ排出口のスイッチおよび/または通気孔へのアクセスを可能とし得る。
【0065】
ラベル341は、開口部371および372の上に提供され、電子構成要素350の露出した部分の上に位置付けられ得る。ラベルは、通気孔342、インジケータ部分344、および/またはスイッチカバー343を含み得る。インジケータ部分344は、ラベル341の下の、プリント基板381上の一つまたは複数のインジケータまたはLEDの上に配置するための穴または透明領域344を含み得る。穴または透明領域344は、インジケータまたはLEDがラベル341を通して見えるようにし得る。いくつかの実施形態では、スイッチカバー343は、プリント基板381上のスイッチの上に位置付けられたドーム型カバーを含み得る。いくつかの実施形態では、ラベル341は、スイッチカバー343のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。いくつかの実施形態では、スイッチカバー343のエンボス加工が施された特徴は、装置の偶発的な起動または停止を防止し得る。いくつかの実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー343は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。ラベルの通気孔342は、ポンプ出口機構からの排気がラベルを通過し、創傷被覆材を出て大気中に排出することを可能とし得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、ラベルは、カバー層または裏当て層313の上に位置付けられ得る。ラベルはカバー層に密封して、創傷の上でシールを形成しうる。他の実施形態では、ラベル341は、オーバーレイ層371の上およびカバー層または裏当て層313の下に位置付けられ得る。こうした実施形態では、カバー層313は、ラベル341の一つまたは複数の構成要素の上に一つまたは複数の開口部を有し得る。例えば、カバー層313は、通気孔342、インジケータ部分344、および/またはスイッチカバー343の上に開口部を有し得る。
【0067】
図3Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。被覆材300は、複数の材料層および電子組立品350を含む。創傷被覆材300は、図1A図1Cを参照して説明した通り、創傷に適用されるように意図された電子機器および吸収エリアまたは被覆材エリア360を含む電子機器エリア361を含み得る。
【0068】
本明細書に記載される通り、一つまたは複数の材料層は、電子機器エリア361および被覆材エリア360の両方に延在し得る。被覆材300は、図3Bに図示する通り、創傷接触層310、透過層311、吸収層322および351、オーバーレイ層317、およびカバーまたは裏当て層313を含み得る。吸収層322および351は、本明細書で説明した電子組立品350の構成要素を受けるためのくぼみまたは切り欠き部を含み得る。いくつかの実施形態では、図3Bに示すように、小さな開口部を備える吸収層351は、大きな開口部を備える吸収層322の上に位置付けられうる。その他の実施形態では、図3Aに示すように、小さな開口部を備える吸収層351は、大きな開口部を備える吸収層322の下に位置付けられうる。
【0069】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ層317および/またはカバー層313は、電子組立品350のスイッチおよび/またはインジケータ上に位置付けられた切り抜き部または開口部を含み得る。ラベルまたはカバー341は、電子組立品350の少なくとも一部分およびオーバーレイ層317および/またはカバー層313の任意の切り欠き部を覆うように位置付けられ得る。ラベルまたはカバー341は、図3Aを参照して前述した通り、ラベルまたはカバー341と類似していてもよい。
【0070】
使用前に、被覆材は、創傷接触層の底面に接着された送達層345を含み得る。送達層345は、創傷接触層310の底面上の接着剤または開口部を覆い得る。いくつかの実施形態では、送達層345は、被覆材に支持を提供でき、滅菌および患者の創傷および皮膚の上に被覆材を適切に配置することを補助し得る。送達層345は、被覆材300を患者の創傷および皮膚に適用する前に、ユーザが送達層345を創傷接触層310から分離するために使用し得るハンドル346を含み得る。
【0071】
図3Cは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態の上面図を図示する。
【0072】
図3Cは、オーバーレイ層317および下にある被覆材および電子機器構成要素を覆うカバー層313および電子機器カバー341を示す。カバー層313は、創傷接触層310の周辺領域において、創傷接触層310に封止し得る。いくつかの実施形態では、ラベルまたは電子機器カバー341は、カバー層313の上に位置付けられ得る。その他の実施形態では、カバー層313は、電子機器カバー341の上に封止し得る。いくつかの実施形態では、カバー層313は、スイッチおよび/またはポンプ出口ベントの上に位置付けられたカバー層313の一つまたは複数の穴を含み得る。いくつかの実施形態では、カバー層313は、図3Cに示すように、カバーまたはラベル341のスイッチカバー343、視覚インジケータ344、および/またはポンプ出口ベント342の上に位置付けられた単一の穴を含み得る。いくつかの実施形態では、ラベルは、スイッチカバー343のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。いくつかの実施形態では、スイッチカバー343のエンボス加工が施された特徴は、装置の偶発的な起動または停止を防止し得る。いくつかの実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー343は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。
【0073】
視覚インジケータ344は、陰圧源の動作および/または創傷に適用される陰圧のレベルの表示を提供し得る。いくつかの実施形態では、視覚インジケータは、一つまたは複数の光源またはLEDを含み得る。いくつかの実施形態では、視覚インジケータ光源は点灯して状態または状態の変化を示す。いくつかの実施形態では、光源は、状態を示す特定の配列および/または色を点灯し得る。例えば、いくつかの実施形態では、光源は、点滅して装置が適切に動作していることをユーザに通知し得る。いくつかの実施形態では、光源は自動で定期的に点滅し得、および/または光源はスイッチまたは他のボタンによって作動し点灯して状態を示し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、スイッチは押されておよび/または押し下げられて、被覆材および電子機器の電源を入れおよび切る。いくつかの実施形態では、スイッチが起動されると、ポンプおよび関連付けられたカラーLED、例えば、緑色のLEDを使用して、被覆材および組み込まれた陰圧源が作動中であることを確認し得る。いくつかの実施形態では、ポンプおよび被覆材の動作中、ポンプおよび被覆材は、例えば、橙色のLEDなどのカラーLEDで示される故障状態に入り得る。
【0075】
電子組立品
本明細書に記載の創傷被覆材は、埋め込まれた電子組立品を利用して、被覆材の下に陰圧を生成することができる。しかし、電子機器を腐食させるだろう創傷滲出液またはその他の体液から組立品を保護することが重要でありうる。また、電気および電子構成要素から患者を保護することが重要でありうる。電子組立品は、必要な陰圧差を生成するために、空気を被覆材から引き込み、外気に排出するポンプを組み込むことができる。そのため、電子組立品を保護し、電子組立品および被覆材と、被覆材を取り囲む外気との間で流体連通を可能にすることが困難である場合がある。例えば、組立品を完全に封入し、埋め込むことにより、被覆材および外気からポンプへの空気が移動するのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に前述されている通り、電子組立品の電子構成要素は、部分封入、埋め込み、および/または、適合する被覆によって外気から保護されうる。いくつかの実施形態では、電子構成要素を埋め込むことは、衝撃や振動への抵抗、水分の除去、および/または、腐食剤の除去のため、固体またはゼラチン状の化合物で完全に電子組立品を充填するプロセスを含みうる。
【0076】
エンクロージャまたはハウジング内に位置付けられた電子ユニットを含む電子組立品を、図4Aに図示したように使用して、創傷被覆材に組み込むことができる。ハウジング内で囲まれた電子ユニットは、図2Aおよび図2Bを参照して記載した電子ユニットと類似していてもよいが、電子ユニットはエンクロージャまたはハウジング内に配置されうる。電子ユニットが中で囲まれているハウジングは、被覆材内に配置することができる。図4Aおよび図4Bは、ハウジング内で電子ユニット403を囲む電子組立品400の実施形態を図示する。
【0077】
図4Aおよび図4Bに図示するように、電子組立品400のハウジングは、電子ユニット403を中で囲むプレート401および可撓性フィルム402を含みうる。電子ユニット403は、ポンプ405と、入口保護機構410(図4Bに示す)と、ポンプ排気機構406と、電源407と、可撓性回路基板409とを含みうる。いくつかの実施形態では、電子ユニット403およびポンプ405は、入口保護機構410なしで使用できる。可撓性フィルム402は、溶接(熱溶接)または接着剤接合によってプレート401に取り付けられて、電子構成要素の周りに流体密封シールおよびエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム402は、熱溶接、接着材接着、超音波溶接、RF溶接、またはその他任意の取付けまたは接着技術によって、プレートの周囲でプレートに取り付けることができる。
【0078】
可撓性フィルム402は、可撓性プラスチック高分子フィルムであってよい。いくつかの実施形態では、電子機器周りを確定する任意の材料可撓性の高分子フィルムまたは任意の可撓性材料から可撓性フィルム402を形成することができる。可撓性フィルムは、構成要素を中に保護して絶縁しながら、順応性および柔軟性を維持できる。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム402は、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、メチル化ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの一つまたは複数といった、可撓性の、または伸縮性のある材料から形成されうる。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム402をポリウレタンから形成することができる。
【0079】
プレート401は、プラスチックポリマープレートであってもよい。いくつかの実施形態では、プレートは、創傷に適用されると、被覆材の動きまたは屈曲に順応性をもたせることができる可撓性の材料であってもよい。いくつかの実施形態では、プレートは、図3A図3Cを参照しながら説明したラベルの構成要素と一体化していてもよい。他の実施形態では、ラベルは、プレート401の上面に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。
【0080】
可撓性フィルム402およびプレート401は、電子ユニット403を被覆材内の流体から保護するために耐水であってもよい。いくつかの実施形態では、組立品の柔軟性を制限しないように、可撓性フィルム402を適切にサイズ決めすることができる。いくつかの実施形態では、フィルム402の特性に応じて、電子組立品400は、組立品の柔軟性を維持する機能を支援するよう、熱成形されるか、または真空形成されてもよい。いくつかの実施形態では、電子ユニット403は、電子ユニット403が内部で動かないように、ハウジング内のプレート401に接合または接着されうる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ハウジングは一つまたは複数の窓404を含みうる。窓404は、気体が通過できる多孔性フィルムまたは膜であってもよい。窓404は、疎水性フィルムまたは膜であってもよい。いくつかの実施形態では、窓404の疎水性の性質は、創傷流体をはじくことができ、流体の漏れが電子組立品400に流れ込むのを防止することができる。いくつかの実施形態では、窓404は細菌フィルタを含みうる。いくつかの実施形態では、窓404は、細菌フィルタとして作用し、体液から外気へ細菌が放出されるのを防止することができる多孔性を有しうる。窓404はまた、外気から創傷部位へ細菌が侵入するのを防止することができる。
【0082】
電子組立品400は、それを通って空気が移動するには十分に大きなエリアを提供する、一つまたは複数の窓404またはより大きな窓404を有してもよく、よって、膜全体の圧力降下を最小化し、そのため、システムの電力消費量が圧力差を達成する。いくつかの実施形態では、図4Aおよび図4Bに図示するように、電子組立品400は、小さいエリアを有するいくつかの窓を含みうる。その他の実施形態では、電子組立品は、単一の大きなエリアを有する窓を含みうる。
【0083】
図4Aおよび図4Bに図示した電子組立品400は、被覆材が患者の身体に適用されると、被覆材内からの空気が、窓404を通過し、ポンプ405上の矢印によって示される方向に押し出されうるように、創傷被覆材内に組み込まれうる。ポンプから排気された空気は、ポンプ排気機構406を通ってポンプ組立品から外に通り抜け、プレート401内の開口部またはベント408を通って電子組立品400のハウジングから排気または換気することができる。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板409は、排気機構406とプレート401との間に位置付けられうる。また、可撓性回路基板409は、図2Aおよび図2Bを参照して記載したように、排気機構の排気孔と整列した開口部またはベントを含みうる。排気機構406の通気孔または開口部、可撓性回路基板409、およびプレート401は、互いに整列して密封されうる。このシールは、ポンプの排気が、プレート401内のベント408を通して電子組立品400から排出されることを確実にしうる。その他の実施形態では、電子ユニット403の排気機構406は、気密シールでプレート401上に配置され、プレート401に直接接合されてもよい。
【0084】
プレート401の上面(図4Aおよび図4Bには図示せず)は、図3A図3Cを参照しながら記載したラベルと類似したラベルを含んでもよい。その他の実施形態では、プレート401の上側は、プレート401内の図3A図3Cを参照しながら説明した、ラベルの構成要素を統合することができる。こうした実施形態では、別個のラベルは必要とされない。例えば、通気孔に加えて、プレート401は、本明細書に記載のインジケータ部分および/またはスイッチカバーを含みうる。
【0085】
いくつかの実施形態では、電子組立品400は、図3A図3Cを参照して説明した電子ユニットと同じ方法で創傷被覆材内に埋め込まれうる。被覆材は、被覆材内に一つまたは複数の吸収層を有することができ、吸収層は、電子組立品を中に受けるための単一の開口部またはくぼみを有することができる。いくつかの実施形態では、図3A図3Cを参照しながら説明した電子ユニットと類似したオーバーレイ層の下に電子組立品を位置決めすることができる。このような実施形態では、オーバーレイ層は、プレート401の上面の少なくとも一部分へのアクセスを可能にする開口部を含むだろう。
【0086】
電子組立品400が被覆材の範囲内に位置付けられる時、図3A~3Cを参照して説明した電子ユニットと類似した創傷カバーおよびオーバーレイ層の下に位置することができる。その他の実施形態では、オーバーレイ層は使用されず、電子組立品400が、カバー層または裏当て層の下に直接位置付けられる。
【0087】
カバー層または裏当て層は、プレート401の上面の一部分、ほとんど、またはすべてを露出させる開口部を含みうる。カバー層の開口部は、プレート401の少なくとも一部分の上に位置付けられて、カバー層の下に位置づけられたプレート401の少なくとも一部分へのアクセスを可能とし得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、プレート401のラベルまたは頂面の一つまたは複数の構成要素の上に複数の開口部を有しうる。例えば、カバー層は、通気孔、インジケータ部分、および/またはスイッチカバーの上に開口部を有し得る。その他の実施形態では、カバー層は、通気孔、インジケータ部分、および/または、スイッチカバーを含むがこれらに限定されない、プレート401のラベルまたは上面の一つまたは複数の構成要素の上に単一の開口部を有することができる。
【0088】
別個のラベルを使用する場合、カバー層の上または下に、図3A図3Cを参照しながら説明したように、プレート401の被覆材および露出した部分に適用させることができる。
【0089】
図5Aおよび図5Bは、創傷被覆材層510の開口部内に位置付けられた電子組立品500の実施形態を図示する。図5Aおよび図5Bに示すように、被覆材510は、図1A図1Cおよび図3A図3Cを参照しながら説明した、対応する構成要素と類似した吸収エリア560および電子機器エリア561を含むことができる。被覆材は、図1A図1Cおよび図3A図3Cを参照しながら説明した層に類似した、一つまたは複数の被覆材層を有することができる。被覆材層は、電子組立品を受けるための単一の開口部またはくぼみを有することができる。
【0090】
図1A図1Cおよび図3A図3Cに示すように、創傷被覆材510は、創傷接触層、透過層、および一つまたは複数の吸収層から形成されうる。一つまたは複数の吸収層は、電子組立品500を受ける単一の開口部を有しうる。透過層および一つまたは複数の吸収材料は、図1A図1Cを参照して説明した創傷接触層の周囲に封止するカバー層513で被覆されうる。図5Aおよび図5Bに図示した通り、オーバーレイ層は使用されない。一つまたは複数の吸収層の開口部は、カバー層513の開口部520と整列することができる。
【0091】
図5Aは、被覆材510の電子機器エリア561に位置する電子組立品500の上面図を示す。図5Aは、電子組立品500が被覆材のくぼみ内に位置付けられた被覆材510のカバー層513を図示する。カバー層の下の創傷被覆材の他の層は示されていない。電子組立品500は、図4Aおよび図4Bを参照して説明した電子組立品と類似していてもよい。電子組立品500は、プレート501および可撓性フィルム502を含むハウジング内に封入された電子ユニットを含みうる。図5Aに示すプレート501は、一つまたは複数のベント542、一つまたは複数のインジケータ部分544、および/または、ボタンまたはスイッチ543を含むラベルの特徴を含み得る。図5Bは、被覆材510の電子機器エリア561から取り外された電子組立品500の実施形態を図示する。電子組立品500は、窓が上向きの状態で、上下逆に示されている。
【0092】
電子組立品は、被覆材510が創傷の上に位置付けられた場合に、電子組立品500の創傷に面する側面上に位置付けられた第一側面を有しうる。図示したように、可撓性フィルム502および窓504は、被覆材が創傷の上に位置付けられたとき、被覆材層と接触して、創傷に面する、電子組立品500の創傷に面する第一側面を形成しうる。電子組立品500は、第一側面に対向する第二側面を有しうる。プレート501は電子組立品の第二側面を形成することができ、被覆材が創傷の上に位置付けられたときに外部と接触することができる。
【0093】
図5Bに示すように、可撓性フィルム502は、窓504を有しうる。図5Aに示すように、電子組立品500が創傷被覆材上またはその中に位置付けられたとき、窓504は、創傷被覆材内の層と流体連通し、電子組立品が被覆材510の下に陰圧を生成するのを可能にする。
【0094】
図6は、ハウジング内に電子ユニットを囲む電子組立品600の実施形態を図示する。図6に示すように、電子組立品600のハウジングは、電子ユニット603を中に囲むプレート601および可撓性フィルム602を含み得る。電子ユニット603は、ポンプ605と、入口保護機構610と、ポンプ排気機構606と、電源607と、可撓性回路基板609とを含みうる。
【0095】
ポンプ排気機構606は、ポンプ排気機構406に類似していてもよい。しかし、ポンプ排気機構606およびポンプ605は、拡張ケーシング616内に置くことができる。
【0096】
可撓性フィルム602は、溶接(熱溶接)または接着剤接合によってプレート601に取り付けられて、電子構成要素周りに流体密封シールおよびエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム602は、熱溶接、接着材接着、超音波溶接、RF溶接、またはその他任意の取付けまたは接着技術によって、プレートの周囲でプレートに取り付けることができる。
【0097】
可撓性フィルム602は、可撓性プラスチック高分子フィルムであってよい。いくつかの実施形態では、電子機器周りを確定する任意の材料可撓性の高分子フィルムまたは任意の可撓性材料からフィルム602を形成することができる。可撓性フィルムは、構成要素を中に保護して絶縁しながら、順応性および柔軟性を維持できる。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム602は、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、メチル化ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの一つまたは複数といった、可撓性の、または伸縮性のある材料から形成されうる。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム602をポリウレタンから形成することができる。
【0098】
プレート601は、プラスチックポリマープレートであってもよい。いくつかの実施形態では、プレートは、創傷に適用されると、被覆材の動きまたは屈曲に順応性をもたせることができる可撓性の材料であってもよい。いくつかの実施形態では、プレートは、図3A図3Cを参照しながら説明したラベルの構成要素と一体化していてもよい。他の実施形態では、ラベルは、プレート601の上面に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム602が可撓性回路基板および/または電子ユニットの周りでプレートおよび/またはラベルの外周に密封することができるように、プレートおよび/またはラベルは、可撓性回路基板および/または電子ユニットより大きい表面エリアを有することができる。
【0099】
可撓性フィルム602およびプレート601は、電子ユニット603を被覆材内の流体から保護するために耐水であってもよい。いくつかの実施形態では、組立品の柔軟性を制限しないように、可撓性フィルム602を適切にサイズ決めすることができる。いくつかの実施形態では、フィルム602の特性に応じて、電子組立品600は、組立品の柔軟性を維持する機能を支援するよう、熱成形されるか、または真空形成されてもよい。いくつかの実施形態では、電子ユニット603は、電子ユニット603が内部で動かないように、ハウジング内のプレート601に接合または接着されうる。
【0100】
いくつかの実施形態では、可撓性フィルム603は、開口部611を含みうる。開口部611により、入口保護機構610が創傷被覆材の吸収層および/または透過層と流体連通することが可能となりうる。可撓性フィルム603の開口部611の周囲は、溶接(熱溶接)または接着剤接合によって入口保護機構610に密封または取り付けられて、入口保護機構610の周りに流体密封シールおよびエンクロージャを形成し、電子構成要素603が被覆材内の流体から保護された状態に保つのを可能にする。いくつかの実施形態では、可撓性フィルム602は、熱溶接、接着材接合、超音波溶接、RF溶接、またはその他任意の取付けまたは接着技術によって、入口保護機構610の周囲で入口保護機構610に取り付けることができる。入口保護機構610は、創傷からの、および、創傷被覆材の吸収エリア660から収集された創傷滲出液または液体が、電子組立品600のポンプおよび/または電子構成要素に入るのを防止することができる。
【0101】
図6に図示した電子組立品600は、被覆材が患者の身体に適用されると、本明細書に記載されるように、被覆材内からの空気が、入口保護機構610を通過し、ケーシング616および可撓性回路基板609の開口部と流体連通するポンプ排気機構606に向かって、送り出されうるように、創傷被覆材内に組み込まれうる。
【0102】
いくつかの実施形態では、ケーシング616は、ポンプ排気機構606から排気された空気が通過できる開口部またはベントを含みうる。ポンプから排気された空気は、ポンプ排気機構606およびケーシング616を通ってポンプ組立品から外に通り抜け、プレート601内の開口部またはベントを通って電子組立品600のハウジングから排気または換気することができる。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板609は、排気機構606とプレート601との間に位置付けられうる。また、可撓性回路基板409は、図2Aおよび図2Bを参照して記載したように、排気機構の排気孔と整列した開口部またはベントを含みうる。排気機構606の通気孔または開口部、ケーシング616、可撓性回路基板609、およびプレート601は、互いに整列して密封されうる。このシールは、ポンプの排気が、プレート601内のベントを通して電子組立品600から排出されることを確実にしうる。その他の実施形態では、電子ユニット603の排気機構606は、気密シールでプレート601上に配置され、プレート601に直接接合されてもよい。
【0103】
プレート601の上面(図6には図示せず)は、図3A図3Cを参照しながら記載したラベルと類似したラベルを含んでもよい。その他の実施形態では、プレート601の上側は、プレート601内の図3A図3Cを参照しながら説明した、ラベルの構成要素を統合することができる。こうした実施形態では、別個のラベルは必要とされない。例えば、通気孔に加えて、プレート601は、本明細書に記載のインジケータ部分および/またはスイッチカバーを含みうる。
【0104】
図7A図7Dは、電子組立品700の、創傷に面する下側面を示す。図7A図7Dは、図6に関連して本明細書に記載された、可撓性フィルム702の外部に密封されたポンプ入口保護機構710を含む電子組立品の実施形態を図示する。
【0105】
図7E図7Gは、電子組立品700のプレート701の上面を示す。プレートの上面は、オン/オフスイッチまたはボタンカバー743、インジケータ部分744、および/または通気孔742を含むことができる。オン/オフスイッチカバーまたはボタン743、インジケータ部分744、および/または通気孔342は、図3A図3C図4Aおよび図4B図5Aおよび図5Bを参照して記載されたスイッチカバーまたはボタンおよびインジケータ部分と類似していてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、図7E図7F、および図7Gに示すように、スイッチまたはボタンカバー743は、本明細書に記載の電子構成要素の可撓性回路基板の上に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、プレートは、スイッチカバー743のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。いくつかの実施形態では、スイッチカバー743のエンボス加工が施された特徴は、装置の偶発的な起動または停止を防止し得る。いくつかの実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー743は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、図7E図7F、および図7Gに示すように、インジケータ部分は、創傷被覆材および電子機器の状態を示す視覚的記号または文字を含みうる。例えば、図7E図7F、および図7Gに示すように、一つのインジケータ部分は「OK」と読むことができる。「OK」というインジケータ部分に関連付けられたLEDまたは光源が点灯すると、ユーザに、被覆材または電子機器が正常に機能しているという表示が与えられる。インジケータ部分は、例えば、図7E図7Gに示す記号と類似した注意記号といった記号を有してもよい。インジケータ部分の注意記号に関連付けられたLEDまたは光源が点灯すると、ユーザに、被覆材または電子機器が正しく機能していない、および/または、漏れがある可能性がある、という表示が与えられる。
【0108】
プレートの通気孔742は、ポンプ出口機構からの排気がプレートを通過し、創傷被覆材を出て大気中に排出することを可能とし得る。
【0109】
図7Hは、電子ユニットの可撓性回路基板の上面の実施形態を図示する。可撓性回路基板の上面は、図7Hに図示され、本明細書でより詳細に記載されるように、光またはLEDインジケータ762、スイッチ、またはボタン763、およびベント開口部764を含みうる。
【0110】
図7Iは、電子組立品700の実施形態の側面図を図示し、ポンプ入口保護機構710が見える。
【0111】
図5Aおよび図5Bに示され、本明細書でより詳細に記載されるように、ポンプ入口保護機構710がフィルム702から延在し、フィルム702に密封されている電子組立品700は、カバー層513および吸収層(図示せず)の開口部520内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、図5Aおよび図5Bに示され、本明細書の図9Aおよび図9Bを参照しながらより詳細に記載されるように、電子組立品700の周囲は、カバー層513の開口部520の外周の上面に密封されうる。いくつかの実施形態では、電子組立品700は、シーラントガスケット、接着剤、熱溶接、接着材接合、超音波溶接、RF溶接、またはその他任意の付着または接着技術を用いて、カバー層513に封止される。いくつかの実施形態では、電子組立品700は、カバー層513に永久的に密封されてもよく、被覆材を破壊することなくカバー層から取り外すことはできない。
【0112】
いくつかの実施形態では、電子組立品700は、単一被覆材で利用され、被覆材と共に処分されてもよい。その他の実施形態では、電子組立品700は一連の被覆材で利用できる。
【0113】
創傷被覆材内に組み込まれた電子組立品
図8は、本明細書に記載の電子構成要素および/または電子組立品を組み込んで使用されうる創傷被覆材の創傷被覆材層の実施形態を図示する。図8の被覆材層および構成要素は、図3Aに記載の被覆材層および構成要素と類似していてもよい。しかしながら、図8に図示する創傷被覆材は、図4Aおよび図4B図5Aおよび図5B図6および図7A図7Iを参照して記載した電子組立品400、500、600、700に類似した電子部品内で囲まれた電子構成要素および陰圧源を組み込むことができる。図8は、創傷に接触するように構成された創傷接触層810を有する創傷被覆材を図示する。透過層またはスペーサ層811が、創傷接触層の上に提供される。透過層811は、創傷部位上に陰圧を送り、分配することを支援し得る。
【0114】
開口部を備えた吸収材料851の第一層は、透過層811の上に提供され得る。第一開口部を備えた吸収層851は、一つまたは複数の開口部829を含み得る。いくつかの実施形態では、開口部829は、その中に電子組立品および/または電子ユニットが嵌合するような寸法および形状とされ得る。第一開口部を備えた吸収層851は、電子機器エリア861の寸法に合わせた寸法および形状とされ得、吸収エリア860内には延在しない。いくつかの実施形態では、図4A図7Iを参照して説明したプレートおよびフィルムから形成される電子組立品に嵌合するように、開口部829を形成し、サイズ決めしてもよい。
【0115】
第二開口部を備えた吸収層822は、第一吸収層851の上に提供され得る。いくつかの実施形態では、第二吸収層822は一つまたは複数の開口部828を含む。第二吸収層822は、電子機器エリア861および吸収エリア860の寸法に合わせた寸法および形状とされ得る。いくつかの実施形態では、図4A図7Iを参照して説明したプレートおよびフィルムから形成される電子組立品に嵌合するように、開口部828を形成し、サイズ決めしてもよい。
【0116】
カバー層又は裏当て層813は、吸収材料822の上に配置され得る。カバー層813は、吸収層822および851および透過層811を取り囲む周縁領域において、創傷接触層810に対して封止を形成し得る。いくつかの実施形態では、カバー層813は、被覆材構成要素が創傷に適用されるとき、その被覆材構成要素周りで形成及び成型する、柔軟性のある材料のシートであり得る。他の実施形態では、カバー層813は、被覆材構成要素周りに嵌合するようあらかじめ形成され、又は、あらかじめ成型された材料であり得る。本明細書に使用されるように、用語カバー層及び裏当て層は、被覆材層を覆ように構成された、被覆材内の材料の層に言及するのに互換可能に使用され得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、カバー層または裏当て層813は、開口部872を含み得る。開口部372は、吸収層822の開口部828の少なくとも一部分の上に位置付けられて、下に位置付けられた吸収層822および851、透過層811、創傷接触層810の少なくとも一部分へのアクセスおよび流体連通を可能にしうる。創傷接触層、透過層、および/または、吸収層は、任意の層とすることができ、創傷被覆材は、これらの層のいずれも有さずに形成することができる。
【0118】
電子組立品は、第一吸収材料851および第二吸収材料822およびカバー層813の開口部828、829、872に位置付けられ得る。電子組立品は、図4A図5B図6、および図7A図7Iを参照して説明したように、ポンプ、電源、およびプリント回路基板を含みうる。
【0119】
使用前に、被覆材は、創傷接触層の底面に接着された一つまたは複数の送達層846を含み得る。送達層846は、創傷接触層810の底面上の接着剤または開口部を覆い得る。いくつかの実施形態では、送達層846は、被覆材に支持を提供でき、滅菌および患者の創傷および皮膚の上に被覆材を適切に配置することを補助し得る。送達層846は、被覆材を患者の創傷および皮膚に適用する前に、ユーザが送達層846を創傷接触層810から分離するために使用し得るハンドルを含み得る。
【0120】
図9Aは、被覆材層990内に電子組立品900を組み込んだ創傷被覆材の実施形態を図示する。電子組立品900は、カバー層の開口部872、および、第一および第二吸収層の開口部829および828内に提供されうる。いくつかの実施形態では、電子組立品900は、カバー層の開口部872の外周に密封することができる。
【0121】
電子組立品900は、図6および図7A図7Iに記載されるように、フィルムから延在し、フィルムに密封されるポンプ入口保護機構を含みうる。電子組立品900は、図9Aに示すように、カバー層および吸収層の開口部872、829、828内に位置付けられうる。いくつかの実施形態では、図9Aに示されるように、電子組立品900の周囲は、カバー層の開口部872の外周の上面に密封されうる。いくつかの実施形態では、電子組立品700は、シーラントガスケット、接着剤、熱溶接、接着材接合、超音波溶接、RF溶接、またはその他任意の付着または接着技術を用いて、カバー層813に封止される。いくつかの実施形態では、電子組立品900は、カバー層813に永久的に密封されてもよく、被覆材を破壊することなくカバー層から取り外すことはできない。
【0122】
いくつかの実施形態では、電子組立品900は、単一被覆材で利用され、被覆材と共に処分されてもよい。その他の実施形態では、電子組立品900は一連の被覆材で利用または再利用(例えば、滅菌後)できる。
【0123】
図9Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。被覆材は、複数の材料層および電子組立品900を含む。創傷被覆材は、図1A図1Cを参照して説明した通り、創傷に適用されるように意図された電子機器および吸収エリアまたは被覆材エリア960を含む電子機器エリア961を含み得る。
【0124】
本明細書に記載される通り、一つまたは複数の材料層は、電子機器エリア961および被覆材エリア960の両方に延在し得る。被覆材は、図9Bに図示する通り、創傷接触層810、透過層811、吸収層822および851、およびカバーまたは裏当て層813を含み得る。吸収層822および851およびカバー層813は、図9Aを参照して説明した電子組立品900の構成要素を受けるためのくぼみまたは切り欠き部を含み得る。いくつかの実施形態では、小さな開口部を備える吸収層851は、大きな開口部を備える吸収層822の上に位置付けられうる。その他の実施形態では、図9Aおよび図9Bに示すように、小さな開口部を備える吸収層851は、大きな開口部を備える吸収層922の下に位置付けられうる。
【0125】
いくつかの実施形態では、電子組立品900を被覆材層に挿入し、貼り付けてもよい。図9Aに図示するように、電子組立品を囲うフィルムの、創傷に面する下側面は、被覆材のカバー層813の上面に直接密封されてもよい。
【0126】
使用前に、被覆材は、創傷接触層810の底面に接着された送達層846を含み得る。送達層846は、創傷接触層810の底面上の接着剤または開口部を覆い得る。いくつかの実施形態では、送達層846は、被覆材に支持を提供でき、滅菌および患者の創傷および皮膚の上に被覆材を適切に配置することを補助し得る。送達層846は、被覆材を患者の創傷および皮膚に適用する前に、ユーザが送達層846を創傷接触層810から分離するために使用し得るハンドルを含み得る。
【0127】
図10A図10Eは、電子組立品を組み込む創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。電子組立品が埋め込まれた創傷被覆材は、様々なタイプの創傷に対応し、患者の身体の形状および輪郭に適合する任意の形状または寸法とし得る。例えば、電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、長方形、丸みのある長方形、正方形、T字型、またはその他任意の形状または設計を有し得る。創傷被覆材は、電子機器エリアおよび吸収エリアを通過する被覆材の全長を延在する長手方向軸に平行な長軸方向全長を有することができる。吸収エリアは、被覆材の長手方向軸に平行に延在する長手方向軸を有することができる。いくつかの実施形態では、被覆材は、長手方向軸に平行な、幅よりも長い全長を有する。電子組立品は、吸収エリアの長手方向軸に垂直な長手方向軸を有することができる。いくつかの実施形態では、電子組立品は、長手方向軸に平行な、幅よりも長い全長を有する。いくつかの実施形態では、創傷被覆材の吸収エリアは、図10A図10Cおよび図10Eに図示した吸収エリアの幅よりも大きい、吸収エリアの全長を含む、細長い長方形形状であってもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材の吸収エリアは、図10Dに図示した吸収エリアの幅に実質的に等しいか、または等しい吸収エリアの全長を含む、正方形形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、図1A図2Bおよび図5A図5Bを参照して図示した長方形または丸みのある長方形の形状であり得る。他の実施形態では、本明細書に記載の電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、図3A図3Cおよび図8図10Eを参照して図示したT字形状であり得る。
【0128】
(あらゆる添付資料、特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示される全ての特徴、および/またはそのように開示されるあらゆる方法もしくはプロセスの全てのステップは、そのような特徴および/またはステップのうち少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてよい。開示対象は、いかなる前述の実施形態の詳細にも制限されない。開示は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせ、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせに及ぶ。
【0129】
本開示に記載する実装に対するさまざまな変形は、当業者には容易に明らかとなってもよく、本明細書に定義する全体的な原理は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく、他の実装に適用され得る。それゆえ、開示は、本明細書に示す実装に限定することは意図していないが、本明細書に記載する原理および特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。開示の特定の実施形態は、以下に列挙する、または後に提示する請求項の組に網羅される。
[付記項1]
創傷被覆材装置であって、
創傷に面する近位面および遠位面を含む創傷接触層であって、前記近位の創傷に面する面が創傷と接触して位置付けられるように構成される創傷接触層と、
前記創傷接触層上の少なくとも一つの吸収層と、
前記創傷接触層と前記少なくとも一つの吸収層を覆い、それらの上でシールを形成するよう構成されたカバー層と、
電子組立品であって、
陰圧源を備える電子ユニットと、
ハウジングであって、
プレートと、
可撓性フィルムと、
多孔性材料を備える窓と、を備えるハウジングと、を備え、
前記電子ユニットが、前記可撓性フィルムおよび前記プレート内で囲まれる、電子組立品と、を備え
前記少なくとも一つの吸収層と前記カバー層が、前記電子組立品を受容するよう構成されたくぼみを備え、前記少なくとも一つの吸収層が、前記電子組立品の前記窓と流体連通するよう構成される、創傷被覆材装置。
[付記項2]
前記窓が、流体が前記電子組立品に入るのを防止するように構成された疎水性材料を備える、付記項1に記載の創傷被覆材装置。
[付記項3]
前記窓が細菌フィルタを備える、付記項1~2のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
[付記項4]
前記電子ユニットが、
前記陰圧源の出口上に位置付けられた出口または排気機構であって、前記陰圧源から排出される空気を排出するよう構成されたベント開口部を備える出口または排気機構と、
可撓性回路基板であって、センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの一つまたは複数を備える可撓性回路基板と、をさらに備える、付記項1~3のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
[付記項5]
前記可撓性回路基板の前記通気孔が、前記出口または排気機構の前記ベント開口部と流体連通するように構成された、付記項4に記載の創傷被覆材装置。
[付記項6]
前記可撓性回路基板の前記通気孔および前記出口または排気機構の前記ベント開口部が、抗菌膜および/または逆止弁を備える、付記項5に記載の創傷被覆材装置。
[付記項7]
前記可撓性回路基板の前記一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆い、それらとの通信を提供するように構成された電子ラベルをさらに備える、付記項4に記載の創傷被覆材装置。
[付記項8]
前記プレートが、前記可撓性回路基板の前記一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆うように構成された電子ラベルを備える、付記項4に記載の創傷被覆材装置。
[付記項9]
前記電子ユニットが一つまたは複数の電源を備える、付記項1~8のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
[付記項10]
前記創傷被覆材が、創傷に面する近位面と遠位面とを備える透過層をさらに備え、前記
透過層が前記創傷接触層の前記遠位面の上に位置付けられる、付記項1~9のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
[付記項11]
前記少なくとも一つの吸収層が、
創傷に面する近位面と遠位面とを備える第一吸収層であって、前記透過層の前記遠位面上に位置付けられた第一吸収層と、
創傷に面する近位面と遠位面とを備える第二吸収層であって、前記第一吸収層の前記遠位面上に位置付けられた第二吸収層と、を備える、付記項10に記載の創傷被覆材装置。
[付記項12]
創傷被覆材装置であって、
創傷被覆材であって、
吸収材料と、
陰圧源を備える電子ユニットであって、前記創傷被覆材内で一体化され、可撓性フィルムによって少なくとも部分的に封入された電子ユニットと、を備える創傷被覆材、を備え、
前記可撓性フィルムが、多孔性材料を備える窓を備え、
前記窓が、前記吸収材料と前記陰圧源との間の流体連通を許容するように構成される、創傷被覆材装置。
[付記項13]
創傷被覆材装置であって、
創傷に面する近位面および遠位面を含む創傷接触層であって、前記近位の創傷に面する面が創傷と接触して位置付けられるように構成される創傷接触層と、
前記創傷接触層上の少なくとも一つの吸収層と、
前記創傷接触層と前記少なくとも一つの吸収層を覆い、それらの上でシールを形成するよう構成されたカバー層と、
電子組立品であって、
陰圧源と、創傷滲出液が前記陰圧源に入るのを防止するように構成された入口保護機構とを備える電子ユニットと、
ハウジングであって、
プレートと、
開口部を備える可撓性フィルムであって、
前記電子ユニットが、前記可撓性フィルムおよび前記プレート内に囲まれ、
前記入口保護機構が、前記可撓性フィルムの前記開口部に密封される、可撓性フィルムと、を備える、ハウジングと、を備える、電子組立品と、を備え、
前記少なくとも一つの吸収層と前記カバー層が、前記電子組立品を受容するよう構成されたくぼみを備え、前記少なくとも一つの吸収層が、前記電子ユニットの前記入口保護機構と流体連通するよう構成される、創傷被覆材装置。
[付記項14]
前記入口保護機構が疎水性材料を備える、付記項13に記載の創傷被覆材装置。
[付記項15]
前記電子ユニットが、
前記陰圧源の出口上に位置付けられた出口または排気機構であって、前記陰圧源から排出される空気を排出するよう構成されたベント開口部を備える出口または排気機構と、
可撓性回路基板であって、センサ、スイッチ、通気孔、および/または、光もしくはLEDインジケータのうちの一つまたは複数を備える可撓性回路基板と、をさらに備える、付記項13~14のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
[付記項16]
前記可撓性回路基板の前記通気孔が、前記出口または排気機構の前記ベント開口部と流体連通するように構成された、付記項15に記載の創傷被覆材装置。
[付記項17]
前記可撓性回路基板の前記通気孔および前記出口または排気機構の前記ベント開口部が、抗菌膜および/または逆止弁を備える、付記項16に記載の創傷被覆材装置。
[付記項18]
前記可撓性回路基板の前記一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆い、それらとの通信を提供するように構成された電子ラベルをさらに備える、付記項15に記載の創傷被覆材装置。
[付記項19]
前記プレートが、前記可撓性回路基板の前記一つまたは複数のセンサ、スイッチ、通気孔、および/または、光またはLEDインジケータを覆うように構成された電子ラベルを備える、付記項15に記載の創傷被覆材装置。
[付記項20]
前記電子ユニットが一つまたは複数の電源を備える、付記項13~19に記載のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
[付記項21]
前記創傷被覆材が、創傷に面する近位面と遠位面とを備える透過層をさらに備え、前記透過層が前記創傷接触層の前記遠位面の上に位置付けられる、付記項13~20のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
[付記項22]
前記少なくとも一つの吸収層が、
創傷に面する近位面と遠位面とを備える第一吸収層であって、前記透過層の前記遠位面上に位置付けられた第一吸収層と、
創傷に面する近位面と遠位面とを備える第二吸収層であって、前記第一吸収層の前記遠位面上に位置付けられた第二吸収層と、を備える、付記項21に記載の創傷被覆材装置。
[付記項23]
創傷被覆材装置であって、
創傷被覆材であって、
吸収材料と、
陰圧源と、創傷滲出液が前記陰圧源に入るのを防止するように構成された入口保護機構とを備える電子ユニットであって、前記電子ユニットは前記創傷被覆材内で一体化され、可撓性フィルムによって少なくとも部分的に封入され、前記可撓性フィルムは開口部を含み、
前記入口保護機構が、前記可撓性フィルムの前記開口部に密封され、
前記可撓性フィルムの前記開口部が、前記吸収材料と前記陰圧源との間の流体連通を許容するように構成される電子ユニットと、を備える創傷被覆材、を備える、創傷被覆材装置。
[付記項24]
付記項1~23のいずれかに記載の創傷被覆材装置を使用または操作する方法。
[付記項25]
前述の説明に記載された特徴のうちの一つまたは複数を含む創傷被覆材装置。
[付記項26]
前述の説明に記載された一つまたは複数の特徴を含む創傷被覆材装置を使用または操作する方法。
[付記項27]
前述の説明に記載された特徴のうちの一つのまたは複数を含む電子組立品。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図8
図9A
図9B
図10-1】
図10-2】