(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】目標酸化レベルを有する離散カーボンナノチューブを用いた遮蔽調合物及びその調合方法
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20230612BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20230612BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230612BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20230612BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20230612BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230612BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20230612BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20230612BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20230612BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20230612BHJP
C01G 49/08 20060101ALI20230612BHJP
C01B 32/168 20170101ALI20230612BHJP
【FI】
H05K9/00 X
C08L21/00
C08L101/00
C08L63/00
C08L75/04
C08K3/04
C08K3/08
C09D17/00
C09C3/06
C09C3/08
C01G49/08 A
C01B32/168
(21)【出願番号】P 2020520131
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 US2018055395
(87)【国際公開番号】W WO2019075191
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-11
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513322888
【氏名又は名称】モレキュラー レバー デザイン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ボスニヤック,クライヴ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スウォッガー,カート ダブリュ.
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-526433(JP,A)
【文献】特開2017-137232(JP,A)
【文献】特表2014-523613(JP,A)
【文献】特表2017-506254(JP,A)
【文献】特表2014-501290(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1971780(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
C08L 21/00
C08L 101/00
C08L 63/00
C08L 75/04
C08K 3/04
C08K 3/08
C09D 17/00
C09C 3/06
C09C 3/08
C01G 49/08
C01B 32/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の離散カーボンナノチューブ並びに少なくとも1つの磁性金属及び/又はその合金を備える電磁遮蔽組成物であって、
前記離散カーボンナノチューブが内部表面及び外部表面を備え、
前記内部表面が内部表面酸化種含量を有し、
前記外部表面が外部表面酸化種含量を有し、
前記内部表面酸化種含量が前記外部表面酸化種含量から少なくとも20%、最大100%異な
り、前記離散カーボンナノチューブが約10~約500の平均アスペクト比を有し、前記少なくとも1つの磁性金属及び/又はその合金が70ナノメートル未満を粒径を有する、前記電磁遮蔽組成物。
【請求項2】
前記内部表面酸化種含量がカーボンナノチューブの重量に対して約0.01~約0.8パーセント未満を含み、前記外部表面酸化種含量がカーボンナノチューブの重量に対して約1.2~約3パーセントより多くを含む、請求項1に記載の電磁遮蔽組成物。
【請求項3】
前記磁性金属及び/又はその合金は、鉄、クロミウム、アルミニウム、ウラニウム、プラチナ、銅、コバルト、リチウム、ニッケル、ネオジム及びサマリウムからなる群から選択される、請求項1に記載の電磁遮蔽組成物。
【請求項4】
前記磁性金属及び/又はその合金が、金属酸化物及び/又は合金酸化物からなる、請求項1に記載の電磁遮蔽組成物。
【請求項5】
前記離散カーボンナノチューブが、複数の開口端チューブを備える、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記複数の離散カーボンナノチューブが、複数の開口端チューブを備える、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記内部表面酸化種含量が、前記外部表面酸化種含量未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記内部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して3重量パーセントまでである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記外部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して約1~約6重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記内部表面酸化種含量及び前記外部表面酸化種含量の合計が、カーボンナノチューブの重量に対して約1~約9重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記内部表面酸化と前記外部表面酸化の差が、少なくとも約0.2重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸化種が、
カルボン酸、フェノール、アルデヒド、ケトン、エーテル結合物、及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記内部表面及び前記外部表面の合計酸化種含量が、カーボンナノチューブの約1重量%~15重量%
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
自由流動粒子の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも1つのゴムとさらに混合された請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、少なくとも1つの熱可塑性エラストマー、又はその組合せをさらに備える請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、エポキシ、ポリウレタン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つの熱硬化性ポリマーをさらに備える請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
複数の離散カーボンナノチューブ並びに少なくとも1つの磁性金属及び/又はその合金を備える、汚染地下水を処理するのに有用な組成物であって、
前記離散カーボンナノチューブが、
内部表面及び外部表面であって、前記内部表面が内部表面酸化種含量を有し、前記外部表面が外部表面酸化種含量を有する、前記内部表面及び外部表面と、
前記複数の離散カーボンナノチューブの少なくとも一部分の前記内部表面又は前記外部表面に付着する少なくとも1つの分解分子と
を備え
、前記内部表面酸化種含量が前記外部表面酸化種含量から少なくとも20%、最大100%異なり、前記離散カーボンナノチューブが約10~約500の平均アスペクト比を有し、前記少なくとも1つの磁性金属及び/又はその合金が70ナノメートル未満の粒径を有する、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年6月20日出願の米国特許出願番号13/164456号及びその分割出願、2011年8月9日出願の米国特許出願番号13/140029号及びその分割出願並びに2017年4月7日出願の米国特許出願番号15/482304号に関し、それらの各々の開示が参照によりここに取り込まれる。本願は、2017年10月11日出願の米国仮特許出願番号62/571101号の優先権を主張し、その開示が参照によりここに取り込まれる。
【0002】
本発明は、金属酸化物及び/又は可塑剤などでの目標酸化レベル及び/又は含量を有する離散カーボンナノチューブ(discrete carbon nanotubes)の新規な組成物を用いる遮蔽調合物及びその調合方法に関する。遮蔽調合物は、電磁及び無線周波数遮蔽の用途を含む。
【背景技術】
【0003】
カーボンナノチューブは、単一壁(シングルウォール)、二重壁(ダブルウォール)及び多壁(マルチウォール)といったチューブにおける壁面数によって分類され得る。カーボンナノチューブは、現在では、基板に付着した集塊ナノチューブボール、バンドル又はフォレストとして製造される。弾性、熱可塑性、熱硬化性ポリマー複合体における補強剤としてのカーボンナノチューブの使用は、カーボンナノチューブが高い有用性を有すると予測される領域である。しかし、これらの用途でのカーボンナノチューブの利用は、個片化されたカーボンナノチューブを確実に生成することが一般にできないこと及び個片化されたカーボンナノチューブをポリマーマトリクスに分散させる能力のために阻害されてきた。Bosnyakらは、種々の特許出願(例えば、米国特許出願公開第2012-0183770A1号及び米国特許出願公開第2011-0294013A1号)において、酸化及び剪断力の程良くかつ実質的に同時での使用により、標準的には内部表面及び外部表面に略同じ酸化レベルでナノチューブの内部表面及び外部表面の双方を酸化し、離散カーボンナノチューブを作製し、個々又は離散チューブが得られる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、これらの先のBosnyakらの出願及び開示とは異なる。本発明は、チューブ壁の外部及び/又は内部における目標とする又は選択的な酸化レベル及び/又は含量を有する離散個片化カーボンナノチューブの組成を説明する。そのような新規なカーボンナノチューブは、チューブ内部表面の酸化をほとんど乃至全く有することはなく、すなわち、チューブ内部表面と外部表面の間の酸化の量及び/又は種類を異ならせる。これらの新しい離散チューブは、可塑剤を含む多数の用途で有用であり、そして、それらは機械的、電気的及び熱的な特性の向上のために弾性的、熱可塑的及び熱硬化的な複合体の合成及び調合における添加物として使用され得る。
【0005】
他の有用な用途は、電磁干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)遮蔽用途を含む。現在、電子産業には、デバイスが1GHz~14GHzの周波数範囲で動作してデータ搬送の高い需要に追従していくことを要する多くの開発がある。電磁干渉(EMI)は、電気回路に影響し、又はその逆となる外部源による外乱である。電磁遮蔽は、電子回路に干渉する電磁放射の透過を低減する処理である。EMI遮蔽効果(SE)は、デシベル(dB)で計測され、パワーの減衰として表現され得る。
SE=10log(Pi/Pt)
Piは入来パワーであり、Ptは透過パワーである。SEは、入来電磁波の反射、吸収及び多重反射の3つの過程の合計である。放射の反射は、移動電荷キャリア(電子及び/又は正孔)が電磁界と相互作用することに起因する。吸収は、電磁界と相互作用する電気又は磁気ダイポールを材料が有することを要件とする。多重反射は、放射が2以上の反射界面を横断する場合に発生する。
【0006】
金属は、放射の反射に起因するそれらの高いEMI遮蔽効果のために知られているが、それらの重量、熱トラップ性及び腐食の可能性のために携帯電話などの用途には良い材料ではない。薄い金属コーティングも多くの場合に反射するが、多数の回路が相互に近接する状態では、クロストークによる問題が生じ得る。ますます優先されるのは、反射ではなく吸収するEMI遮蔽材料に対するものである。エンクロージャとしてのカーボンベースのポリマー複合体は、メタルフレーク又は繊維によって増強され得る何らかの遮蔽能力とともに軽量、高強度な複合体として最も有望である。しかし、これらの不連続位相の金属/カーボンファイバベースの複合体では、周波数が2GHzを超えて増加すると、~-10dB/cmの値が一般的であるような遮蔽効果が急速に減少し、これらの複合体も比較的小さな吸収特性しか有さない。電子部品が複雑さ及び微細さを増すにつれて、金属エンクロージャを介して遮蔽することが一層難しくなる。
【0007】
一般に、鉄、クロミウム、アルミニウム、ウラニウム、プラチナ、銅、コバルト、リチウム及びニッケルのような金属は、本質的に磁性である。ネオジム、サマリウムなどのある希土類金属は、非常に強い永久磁石のための合金を形成し得る。それらの金属化合物及び合金も、場合によっては種々の金属とともに、本質的に磁性である。酸化化合物の例について、マグネタイトFe3O4の形成は、Fe2++2Fe3++8OH-→2Fe3O4+4H2Oを介して起こる。酸化鉄Fe3O4マグネタイトのような約1マイクロメートルを超える直径の磁性粒子が、高配合で、例えば、シリコーン又はアクリル媒体中に70重量%より高い配合で用いられる。これらは、約6GHz以上で良好な吸収特性を有し、標準的には25GHzにおいて-150dB/cmに達するが、標準的には4g/mlより高い密度、及び低い強度又は引裂き抵抗となる。取扱い性が低いため、破砕なしに取扱い性を与えるためにプラスチックシートがそれらの表面上で使用されることが多い。したがって、向上した取扱い性を生じさせる良好な強度又は引裂き抵抗を有する、より広いブロードバンド(2~50GHz)高吸収材料に対する大きな満たされていないニーズがある。
【0008】
この周波数範囲に限定されないが、6GHz未満の周波数における磁性粒子の吸収特性の更なる改善が、超常磁性が観察されるような所定の直径未満の粒子で予想される。超常磁性材料は非常に小さいので、それらは1つの磁性ドメインのみからなる。この理由のため、それらは、同じ組成であるが複数の磁性ドメインからなるマイクロメートル以上の直径の粒子と比較して、これらの複数のドメインは外部電磁界だけでなく相互にも干渉するので、外部電磁界からのエネルギーを吸収することに一層影響されやすいものと考えられる。超常磁性を呈する標準的な粒径は、70ナノメートル未満である。ただし、これらのナノスケールの粒子は、それらの素粒子状態において分散することが非常に難しいことが多く、より大きなスケールの集塊が複合体の強度の低下をもたらすことが多い。したがって、これに限定されないが、シリコーンなどの室温におけるホスト液マトリクス、又はこれに限定されないが、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーなどの室温における固体マトリクスにおいて、約70ナノメートル未満の直径の磁性素粒子の向上した分散に対するニーズがある。
【0009】
本発明の一実施形態は、複数の離散カーボンナノチューブ並びに少なくとも1つの磁性金属及び/又はその合金を備える電磁遮蔽組成物であり、離散カーボンナノチューブは内部表面及び外部表面を備え、各表面は、内部表面酸化種含量(interior surface oxidized species content)及び外部表面酸化種含量(exterior surface oxidized species content)を有し、内部表面酸化種含量は外部表面酸化種含量から少なくとも20%、最大100%異なり、好ましくは、内部表面酸化種含量は外部表面酸化種含量未満である。
【0010】
内部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して3重量パーセントまで、好ましくはカーボンナノチューブの重量に対して約0.01~約3重量パーセント、より好ましくは約0.01~約2重量パーセントであり、最も好ましくは約0.01~約0.8重量パーセントであり得る。特に好ましい内部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して0~約0.01重量パーセントである。
【0011】
外部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して約1~約6重量パーセント、好ましくはカーボンナノチューブの重量に対して約1~約4重量パーセント、より好ましくは約1~約2重量パーセントであり得る。これは、複数のナノチューブの総重量に対して所与の複数のナノチューブについての外部酸化種含量を比較することによって測定される。
【0012】
内部表面酸化種含量及び外部表面酸化種含量の合計が、カーボンナノチューブの重量に対して約1~約9重量パーセントであり得る。
【0013】
発明の他の実施形態は、複数の離散カーボンナノチューブ並びに少なくとも1つの磁性金属及び/又はその合金を備える電磁遮蔽組成物あり、離散カーボンナノチューブは内部表面及び外部表面を備え、各表面は内部表面酸化種含量及び外部表面酸化種含量を有し、内部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約0.01~約0.8パーセント未満であり、外部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約1.2~約3パーセントより多い。
【0014】
上記のいずれかの組成物の実施形態の離散カーボンナノチューブは、好ましくは複数の開口端チューブを備え、より好ましくは複数の離散カーボンナノチューブは複数の開口端チューブを備える。上記いずれかの組成物の実施形態の離散カーボンナノチューブは、内部表面の酸化と外部表面の酸化の差が少なくとも約0.2重量パーセントである場合に特に好ましい。
【0015】
ここに記載する組成物は、イオン移動物として使用され得る。イオン性、幾らか非イオン性の化合物、疎水性又は親水性化合物を含む、このイオン移動効果を示す化合物/薬剤/化学物質の種々の種又はクラスが使用され得る。
【0016】
ここに開示される新たなカーボンナノチューブ並びに少なくとも1つの磁性金属及び/又はその合金はまた、地下水改質に有用である。
【0017】
ここに開示される用途の全てにおいて、磁性金属及び/又はその合金は、鉄、クロミウム、アルミニウム、ウラニウム、プラチナ、銅、コバルト、リチウム、ニッケル、ネオジム及びサマリウムからなる群から選択される。磁性金属及び/又はその合金は、好ましくは酸化金属及び/又は酸化合金からなる。
【0018】
組成物は新規な離散目標酸化カーボンナノチューブを備え、センサにおける又はセンサとしての成分としても使用され得る。
【0019】
ここに開示される組成物は、薬剤送達若しくは徐放調合における又は薬剤送達若しくは徐放調合としての成分としても使用され得る。
【0020】
ある実施形態では、ここに開示される組成物は、ペイロード分子送達、薬剤送達若しくは徐放調合において又はペイロード分子送達、薬剤送達若しくは徐放調合としての成分として使用され得る。特に、小分子治療薬、ペプチド、核酸又はその組合せを含む種々の薬剤は、ナノチューブに配合され、特定の位置に送達され得る。離散カーボンナノチューブは、細胞膜非透過性であり、又は細胞膜を横断して細胞の内部へ細胞膜を通過させにくい小分子/ペプチド/核酸を補助するのに使用され得る。小分子/ペプチド/核酸が細胞膜を横断すると、それは非常に影響が大きくなり得る。小分子は、ここでは、約500ダルトン以下の分子量を有するものと定義される。
【0021】
アポトーシス促進性ペプチドKLAKLAKは細胞膜非透過性であるものとして知られる。そのペプチドを離散カーボンナノチューブに配合することによって、KLAKLAKはLNCaPヒト前立腺癌の細胞膜を横断してアポトーシスをトリガーすることができる。KLAKLAK-離散カーボンナノチューブ構築物は、100%までの目標LNCaPヒト前立腺癌細胞のアポトーシスをもたらし得る。離散カーボンナノチューブはまた、広範な他の細胞腫の細胞膜にわたって他の小分子/ペプチド/核酸を送達するのに有用であり得る。離散カーボンナノチューブは、高い配合効率を有するように配置されることによって大量の薬剤又はペプチドの送達を可能とし得る。ある事例では、細胞膜を横断するこの移動は、移動を補助し又は可能とする標的化又は透過部分を要することなく達成され得る。他の事例では、離散カーボンナノチューブは、薬剤又は小分子/ペプチド/核酸が特定の標的に向かう方向を補助するために、標的化部分(例えば、ペプチド、化学リガンド、抗体)で接合され得る。離散カーボンナノチューブは、単独でも充分に許容され、独立してアポトーシスをトリガーしない。
【0022】
ペプチド、小分子及び核酸並びに他の薬剤は、ファンデルワールス結合、イオン結合又は共有結合を介して離散カーボンナノチューブの外部に付着され得る。記載されるように、酸化のレベルは、所与の薬剤又は小分子/ペプチド/核酸に対する特定の相互作用を促進するために制御され得る。ある事例では、充分に小さな薬剤又はペプチドは、離散カーボンナノチューブの内部に局所化し得る。離散カーボンナノチューブの内部を充填するための処理は、室温以下を含む多くの温度域で起こり得る。ある事例では、離散カーボンナノチューブは、小分子薬剤及び大分子薬剤の双方でわずか60分間だけ満充填されればよい。
【0023】
ペイロード分子が、薬剤分子、放射性トレーサー分子、放射線療法分子、診断イメージング分子、蛍光トレーサー分子、タンパク質分子及びその組合せからなる群から選択され得る。
【0024】
ここに開示される離散官能化カーボンナノチューブに共有的又は非共有的に結合され得るペイロード分子の例示の種類は、これに限定されないが、プロトンポンプ阻害薬、H2-受容体拮抗薬、細胞保護剤、プロスタグランジン類似体、ベータ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、強心性配糖体、抗不整脈薬、抗狭心症薬、血管収縮薬、血管拡張薬、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、アルファ遮断薬、抗凝集剤、抗血小板薬、線維素溶解薬、脂質低下薬、スタチン、睡眠剤、抗精神病薬、抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、鎮吐薬、抗痙攣薬、抗不安薬、バルビツール酸、興奮剤、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、ドーパミン拮抗薬、抗ヒスタミン薬、コリン作動薬、抗コリン薬、吐薬、カンナビノイド、5-HT拮抗薬、NSAID、オピオイド、気管支拡張薬、抗アレルギー薬、粘液溶解薬、コルチコステロイド、ベータ受容体拮抗剤、抗コリン薬、ステロイド、アンドロゲン、抗アンドロゲン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、抗甲状腺薬、バソプレシン類似体、抗生物質、抗菌薬、抗結核薬、抗マラリア薬、抗ウイルス薬、抗原虫薬、放射線防護体、化学療法剤、細胞増殖抑制薬、及びパクリタクセルなどの細胞傷害性薬剤を含み得る。
【0025】
ここに開示される組成物を備えるバッテリも有用である。そのようなバッテリは、リチウム、ニッケルカドミウム又は鉛酸タイプを含む。
【0026】
ここに開示される組成物を備える調合物は、エポキシ、ポリウレタン又はエラストマーをさらに備え得る。そのような調合物は、分散した形態をとり得る。調合物はまた、ナノプレート構造を含み得る。
【0027】
組成物は、少なくとも1つの内部表面と接触する少なくとも1つの疎水性材料をさらに備え得る。
【0028】
本発明は、複数の離散カーボンナノチューブ及び可塑剤を備える組成物に関し、離散カーボンナノチューブは10~約500のアスペクト比を有し、カーボンナノチューブはそれらの最外壁面において酸化種で官能化される。離散カーボンナノチューブは、内部表面及び外部表面を備え、各表面は内部表面酸化種含量及び外部表面酸化種含量を有し、内部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約0.01~約0.8パーセント未満であり、外部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約1.2~約3パーセントより多い。酸化種は、カルボキシル酸、フェノール、又はその組合せからなり得る。
【0029】
組成物は、ジカルボキシル/トリカルボキシルエステル、トリメリテート、アジペート、セバケート、マレイン酸エステル(maleate)、グリコール及びポリエーテル、高分子可塑剤、バイオ系可塑剤並びにその混合物からなる群から選択された可塑剤をさらに備え得る。組成物は、ナフテン油、パラフィン油、パラベン油、芳香油、植物油、種子油及びその混合物からなる群から選択されるプロセスオイルを含む可塑剤を備え得る。
【0030】
組成物は、これに限定されないが、ザイレン、ペンタン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、エチルアセテート、エーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、ブチルアセテートブタノール、ベンゼン又はその混合物からなる水非混和性溶剤の群から選択された可塑剤をさらに備え得る。
【0031】
さらに他の実施形態では、組成物は、シリカ、ナノ-クレイ、カーボンブラック、グラフェン、ガラスファイバ及びその混合物からなる群から選択された無機フィラーをさらに備える。
【0032】
他の実施形態では、組成物は、自由流動粒子の形態にある。
【0033】
他の実施形態では、組成物は複数の離散カーボンナノチューブ及び可塑剤を備え、離散カーボンナノチューブは約10重量パーセント~約90重量パーセント、好ましくは10重量パーセント~40重量パーセント、最も好ましくは10重量パーセント~20重量パーセントを構成する。
【0034】
他の実施形態は、可塑剤における離散カーボンナノチューブを備える組成物を形成する処理(プロセス)であって、a)約10~約500の平均アスペクト比及び約1~約15重量%の酸化種含量合計レベルを有する複数の離散カーボンナノチューブを選択するステップと、b)離散カーボンナノチューブを約1重量%~約10重量%のナノチューブ濃度で水性媒体(水)に懸濁して水性媒体/ナノチューブスラリーを形成するステップと、c)カーボンナノチューブ/水性媒体(例えば、水)スラリーを少なくとも1つの可塑剤と約30℃~約100℃の温度で、カーボンナノチューブが水から可塑剤に移動するのに充分な時間にわたって混合して、湿潤ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、e)湿潤カーボンナノチューブ/可塑剤混合物から水を分離して乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、f)約40℃~約120℃で乾燥することによって乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物から残留水を除去して無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップとを備える。
【0035】
他の実施形態は、少なくとも1つのゴムとさらに混合された可塑剤における離散カーボンナノチューブの組成物である。ゴムは、天然又は合成ゴムであればよく、好ましくは、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブダジエン及びスチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-イソプレンゴム、エチレン、プロピレンジエンゴム、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステル-ポリエーテル、水素化及び非水素化ニトリルゴム、ハロゲン変性エラストマー、フッ素エラストマー、並びにその組合せからなる群から選択される。
【0036】
他の実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー又は少なくとも1つの熱可塑性エラストマーとさらに混合された可塑剤における離散カーボンナノチューブの組成物である。熱可塑性物は、これに限定されないが、アクリル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、メタクリル、フェノール、ポリプロピレン、ポリオレフィンプラストマー及びエラストマーなどのポリオレフィン、EPDM、並びにエチレン、プロピレン及び官能性モノマーのコポリマーから選択され得る。
【0037】
さらに他の実施形態は、少なくとも1つの熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ又はポリウレタンとさらに混合された可塑剤における離散カーボンナノチューブの組成物である。熱硬化性ポリマーは、これに限定されないが、エポキシ、ポリウレタン又は不飽和ポリエステル樹脂から選択され得る。
【0038】
本開示及びその効果のより完全な理解のために、開示の具体的な実施形態を説明する以下の記載に対してここで参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、洗浄処理中のFe
3O
4粒子の上部における不浄水のUVスペクトルを示す。
【
図2】
図2は、ナノチューブに付着した粒子を示すマイクログラフを示す。
【
図3】
図3は、MR有り及び無しの4個のポリカーボネート組成物のEMI遮蔽効果を示す。
【
図4-5A】
図4は、5、10及び15%のMRを有するNBR化合物の減衰を示す。
図5Aは、5%のMRを有するNBR化合物におけるパワー透過率、反射率及び吸収率を示す。
【
図5B-5C】
図5Bは、10%のMRを有するNBR化合物におけるパワー透過率、反射率及び吸収率を示す。
図5Cは、15%のMRを有するNBR化合物におけるパワー透過率、反射率及び吸収率を示す。
【
図6-7】
図6は、エアプロトコルにおけるFe
3O
4ナノ粒子のTGAを示す。
図7は、エアプロトコルにおけるMRのTGAを示す。
【
図8-9】
図8は、エアプロトコルにおける70/30重量比サンプルにおけるMR/Fe
3O
4のTGAを示す。
図9は、エアプロトコルにおける50/50重量比サンプルにおけるMR/Fe
3O
4のTGAを示す。
【
図10-11】
図10は、エアプロトコルにおける25/75重量比サンプルにおけるMR/Fe
3O
4のTGAを示す。
図11は、エアプロトコルにおける10/90重量比サンプルにおけるMR/Fe
3O
4のTGAを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明では、ここで開示される本実施形態の完全な理解を与えるように、具体的な量、サイズなどのような特定の詳細を説明する。ただし、本開示がそのような具体的詳細なしに実施され得ることは当業者には明らかとなる。多くの場合において、そのような詳細が本開示の完全な理解を得るのに必要ではなく、関連する技術における当業者の技術の範囲内である限りは、そのような考察などに関する詳細は省略されている。
【0041】
ここで使用される用語のほとんどは当業者に認識可能となるものであるが、明示的に定義されない場合、用語は当業者によって現在受け入れられている意味を適用するものとして解釈されるべきであることが理解されるべきである。用語の構成が無意味又は実質的に無意味となる場合、定義はWebster辞書、第三版、2009年から採用されるべきである。定義及び/又は解釈は、関連するか否かを問わず、他の特許出願、特許、公開公報から組み込まれるべきではない。
【0042】
本開示の官能化カーボンナノチューブとは、一般的に、上述したカーボンナノチューブのタイプのいずれかの化学変性物をいう。そのような変性物は、ナノチューブ端、側壁又はその両方を含み得る。化学変性物は、これに限定されないが、共有結合、イオン結合、化学吸着、インターカレーション、界面活性剤相互作用、ポリマーラッピング、切削、溶解、及びその組合せを含み得る。ある実施形態では、カーボンナノチューブは、剥離前、剥離間及び剥離後に官能化され得る。
【0043】
種々の実施形態において、アスペクト比が約10~約500、好ましくは、約40~約200、全体(合計)酸化レベルが約1重量パーセント~約15重量パーセント、好ましくは、約1重量パーセント~約10重量パーセント、より好ましくは、約1重量パーセント~約5重量パーセント、より好ましくは、約1重量パーセント~約3重量パーセントの単一壁、二重壁又は多壁のカーボンナノチューブを備える複数のカーボンナノチューブが開示される。酸化レベルは、カーボンナノチューブに共有結合される酸化種の重量あたりの量として定義される。カーボンナノチューブにおける酸化種のパーセント重量の測定のための温度比重測定法は、約7~15mgの乾燥酸化カーボンナノチューブを採用し、乾燥窒素雰囲気において100℃から700℃にかけて5℃/分で加熱することを含む。200℃から600℃までのパーセント重量消失は、酸化種のパーセント重量消失として捉えられる。酸化種はまた、特に波長範囲1730~1680cm-1においてフーリエ変換赤外分光分析FTIRを用いて定量化され得る。
【0044】
カーボンナノチューブは、カルボン酸又は誘導性のカルボニル含有種を備える酸化種を有し得るものであり、基本的には離散した個々のナノチューブであり、全体として絡み合ってはいない。通常、酸化及び剪断の処理を完了した後の離散カーボンナノチューブの量が大部分(すなわち、複数)であり、チューブの残余が何らかの形態で部分的に絡まったままである状態で、離散カーボンナノチューブの70、80、90又はさらには99パーセントに達し得る。離散個片化チューブへのナノチューブの完全な変換(すなわち、100パーセント)が、最も好ましい。誘導性のカルボニル種は、フェノール、ケトン、第四アミン、アミド、エステル、アシルハロゲン、一価金属塩などを含み得るものであり、チューブの内部表面と外部表面の間で変わり得る。
【0045】
例えば、酸の一種がチューブ外部表面を酸化するのに使用され、水洗浄及び誘導剪断が続き、それによりチューブを分断及び分離することができる。所望の場合、実質的に内部チューブ壁酸化がない(すなわち、ゼロの)形成された離散チューブは、異なる酸化剤で、又はチューブの外部壁面に使用されたのと同じ酸化剤で異なる濃度でさらに酸化されてもよく、異なる量-及び/又は異なる種類-の内部及び表面酸化となる。
【0046】
鉄、アルミニウム又はコバルトのような金属触媒を用いる完成品のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ内に結合又はトラップされた大量の触媒を5重量パーセント以上保持することができる。これらの残留金属は、腐食の高まりのために電子デバイスとしてのそのような用途では有害となり、又はエラストマー複合体を硬化する際に加硫処理を阻害し得る。またさらに、これらの二価又は多価金属イオンは、カーボンナノチューブにおけるカルボン酸基と結合し、後続の分散処理においてカーボンナノチューブの離散化を阻害し得る。他の実施形態では、酸化カーボンナノチューブは、100万あたり約10000部(ppm)未満、好ましくは100万あたり約5000部未満の残留金属濃度を備える。金属は、エネルギー分散型X線分光分析又は温度比重測定法を用いて便宜的に測定され得る。
【0047】
可塑剤における離散カーボンナノチューブの組成物は、機械的特性、温度及び電気導電性を向上する様々な化合物及び複合体に対する添加剤として使用され得る。一例は、向上した摩耗耐性、引裂き強度及び熱導電性を有する封止剤、噴出防止装置及びドリルモータのようなオイル分野の用途においてゴム部品を作製するのに使用されるゴム化合物における添加剤としてのものである。他の例は、タイヤ、封止剤及び振動ダンパーを作製するのに使用されるゴム化合物における添加剤としてのものである。適切な可塑剤を選択することによって、添加剤は、熱可塑剤、熱硬化剤及び複合体における合成及び調合において利用性を有する。
【0048】
製造されたカーボンナノチューブは、バンドル又は絡まった集塊の形態であり、CNano Technology、Nanocyl、Arkema、及びKumho Petrochemicalなどの異なるソースから取得されて離散カーボンナノチューブを作製することができる。酸性溶液、好ましくは、約60重量%よりも高い濃度、より好ましくは65%以上の硝酸濃度の硝酸溶液がカーボンナノチューブを調製するのに使用され得る。その開示が参照によりここに取り込まれる米国特許出願公開2012-0183770A1及び米国特許出願公開2011-0294013A1に開示されるような混合酸系(例えば、硝酸及び硫酸)が、完成したバンドル又は絡まった状態のカーボンナノチューブから離散酸化カーボンナノチューブを生成するのに使用され得る。
【0049】
目標酸化(targeted oxidation)を有する離散カーボンナノチューブを生成する概略プロセス
0.5重量%~5重量%、好ましくは3重量%のカーボンナノチューブの混合物が、CNanoグレードFlotube9000カーボンナノチューブ及び65%の硝酸で調製される。攪拌しながら、酸及びカーボンナノチューブの混合物が、70~90℃に2~4時間加熱される。そして、形成された酸化カーボンナノチューブは、酸混合物から単離される。これに限定されないが、遠心分離、濾過、圧搾、デカンテーション及び他の固体-液体分離技術を含む幾つかの方法が、酸化カーボンナノチューブを単離するのに使用され得る。そして、酸化カーボンナノチューブを水、好ましくは、脱イオン水などの水性媒体でpH3~4まで洗浄することによって残留酸が除去される。そして、カーボンナノチューブは、0.5重量%~4重量%、好ましくは1.5重量%の濃度で水において懸濁される。溶液は、106~108ジュール/m3のエネルギー密度を生成する能力のある処理機器で剪断(乱流)及び/又はキャビテーションによって生成された集中的に破壊的な力を受ける。この仕様を満たす機器は、これに限定されないが、超音波処理器、キャビテーター、機械的ホモジナイザー、圧力ホモジナイザー及びマイクロフルイダイザーを含む(表1)。1つのそのようなホモジナイザーは、米国特許第756953号に示され、その開示が参照によりここに取り込まれる。剪断処理後、酸化カーボンナノチューブは、離散及び個片化カーボンナノチューブとなる。通常、絡まった状態の未処理のカーボンナノチューブ及び完成したカーボンナノチューブの所与の開始量に基づいて、チューブの少数、通常はチューブのごく少数が絡まったまま又は完全には個片化されない状態で、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約95%及び最大100%の複数の離散酸化カーボンナノチューブがこの処理プロセスからもたらされる。
【0050】
離散カーボンナノチューブを生成するための他の例示のプロセスは、以下の通りである。0.5重量%~5重量%、好ましくは3重量%のカーボンナノチューブの混合物が、CNano Flotube9000グレードのカーボンナノチューブ並びに3重量部の硫酸(97%の硫酸及び3%の水)及び1重量部の硝酸(65~70%の硝酸)からなる酸混合物で調製される。混合物は、3~4時間攪拌しつつ室温に維持される。そして、形成された酸化カーボンナノチューブは、酸混合物から単離される。これに限定されないが、遠心分離、濾過、圧搾、デカンテーション及び他の固体-液体分離技術を含む幾つかの方法が、酸化カーボンナノチューブを単離するのに使用され得る。そして、酸化カーボンナノチューブを水、好ましくは、脱イオン水などの水性媒体でpH3~4まで洗浄することによって酸が除去される。そして、酸化カーボンナノチューブは、0.5重量%~4重量%、好ましくは1.5重量%の濃度で水において懸濁される。溶液は、106~108ジュール/m3のエネルギー密度を生成する能力のある処理機器で剪断(乱流)及び/又はキャビテーションによって生成された集中的に破壊的な力を受ける。この仕様を満たす機器は、これに限定されないが、超音波処理器、キャビテーター、機械的ホモジナイザー、圧力ホモジナイザー及びマイクロフルイダイザーを含む(表1)。剪断及び/又はキャビテーション処理後、酸化カーボンナノチューブは、酸化離散カーボンナノチューブとなる。通常、絡まった状態の未処理のカーボンナノチューブ及び完成したカーボンナノチューブの所与の開始量に基づいて、チューブの少数、通常はチューブのごく少数が絡まったまま又は完全には個片化されない状態で、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約95%及び最大100%の複数の離散酸化カーボンナノチューブがこのプロセスからもたらされる。
【0051】
実施例1:MWCNT-3時間(oMWCNT-3)として絡まった状態の酸化カーボンナノチューブ
100ミリリットルの64%超の硝酸が、85℃に加熱される。その酸に、3グラムの未処理の多壁カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)が添加される。未処理のチューブは、ウールの絡まったボールの形態を有する。溶液が3時間85℃に維持されつつ、酸とカーボンナノチューブの混合物が混合され、「oMWCNT-3」とされる。反応期間の終了時に、oMWCNT-3は、酸を除去するように濾過され、逆浸透(RO)水でpH3~4まで洗浄される。酸処理後、カーボンナノチューブは、絡まったボールのままである。チューブは、60℃で一定重量となるまで乾燥される。
【0052】
実施例2:MWCNT-6時間(oMWCNT-6)として絡まった状態の酸化カーボンナノチューブ
100ミリリットルの64%超の硝酸が、85℃に加熱される。その酸に、3グラムの未処理の多壁カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)が添加される。未処理のチューブは、ウールの絡まったボールの形態を有する。溶液が6時間85℃に維持されつつ、酸とカーボンナノチューブの混合物が混合され、「oMWCNT-6」とされる。反応期間の終了時に、oMWCNT-6が、酸を除去するように濾過され、逆浸透(RO)水でpH3~4まで洗浄される。酸処理後、カーボンナノチューブは、絡まったボールのままである。チューブは、60℃で一定重量となるまで乾燥される。
【0053】
実施例3:離散カーボンナノチューブ-酸化最外壁(out-dMWCNT)
容器内で922キログラムの64%の硝酸が83℃に加熱される。その酸に、20キログラムの未処理の多壁カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)が添加される。混合物は、混合されて83℃に3時間維持される。3時間後、その酸が濾過によって除去され、カーボンナノチューブはRO水でpH3~4まで洗浄される。酸処理後、カーボンナノチューブは、少しの開口端を有する絡まったボールのままである。チューブの外部が酸化されて様々な酸化種を形成する一方で、ナノチューブの内部は酸に対してほとんど露出せず、したがってほとんど酸化しない。そして、酸化カーボンナノチューブは、RO水に1.5重量%の濃度で懸濁される。RO水及び酸化した絡まったナノチューブの溶液は、106~108ジュール/m3のエネルギー密度を生成する能力のある処理機器で剪断(乱流)及び/又はキャビテーションによって生成された集中的に破壊的な力を受ける。結果として得られるサンプルは、外壁が酸化されていること及び離散として「d」を表す「out-dMWCNT」とされる。この剪断を満たす機器は、これに限定されないが、超音波処理器、キャビテーター、機械的ホモジナイザー、圧力ホモジナイザー及びマイクロフルイダイザーを含む(表1)。剪断及び/又はキャビテーション処理は、通常は炭素の6員環であるCNT構造における特に欠陥での破断に起因して端部のチューブ破断及び開口をもたらす機械的手段によって酸化カーボンナノチューブを解いて離散化する。欠陥は、チューブにおける炭素の6員環ではない箇所で起こる。水中でこれが行われると、離散カーボンナノチューブの内部表面で酸化は起こらない。
【0054】
実施例4:離散カーボンナノチューブ-酸化外壁及び内壁(out/in-dMWCNT)
離散カーボンナノチューブの内部を酸化するために、3グラムのout-dMWCNTが、85℃に加熱された64%の硝酸に添加される。溶液が、混合されて3時間定温に維持された。この時間中、硝酸が、カーボンナノチューブの内部表面を酸化する。3時間の終了時に、チューブが濾過されて酸を除去してから、RO水でpH3~4まで洗浄される。このサンプルは、外壁及び内壁の双方の酸化及び離散として「d」を表す「out/in-dMWCNT」とされる。
【0055】
カーボンナノチューブのサンプルの酸化は、温度比重測定分析法を用いて測定される。この例では、TA Instruments Q50 Thermogravimetric Analyzer(TGA)が使用される。乾燥されたカーボンナノチューブのサンプルは、振動ボールミルを用いて粉砕される。TGAのタールプラチナパンの中に、7~15mgの粉砕されたカーボンナノチューブが添加される。計測プロトコルは、以下の通りである。窒素環境において、残留水の除去を可能とするように、室温から100℃まで10℃/分の速度で昇温され、この温度で45分間保持される。次に、700℃まで5℃/分の速度で昇温される。この処理中、重量パーセントの変化が、温度及び時間の関数として記録される。全ての値は、100℃の等温線中に残留水除去に関連するいずれかの変化について正規化される。カーボンナノチューブの酸素の重量パーセント(%Ox)は、200℃での重量パーセントの変化から600℃での重量パーセントの変化を減算することによって求められる。
【0056】
比較表(以下の表2)は、外部のみにおいて(バッチ1、バッチ2及びバッチ3)又は外部及び内部の双方において(バッチ4)酸化されたカーボンナノチューブの異なるバッチの酸化のレベルを示す。バッチ1(上記実施例1において作製されるoMWCNT-3)は、バッチが絡まった形態のままである場合にのみ外部において酸化される絡まった状態のカーボンナノチューブのバッチである(表2、1列目)。バッチ2(上記実施例2において作製されるoMWCNT-6)も、バッチが絡まった形態のままである場合にのみ外部において酸化される絡まった状態のカーボンナノチューブのバッチである(表2、2列目)。バッチ1の平均酸化率(2.04%Ox)及びバッチ2の平均酸化率(2.06%Ox)は、実質的に同じである。バッチ1(酸への3時間曝露)とバッチ2(酸への6時間曝露)の差はバッチ2ではカーボンナノチューブが2倍の時間で酸に曝露されたことであるので、これは、酸への更なる曝露はカーボンナノチューブの表面の酸化量を増加させないことを示す。
【0057】
バッチ3(上記実施例3において作製されるOut-dMWCNT)は、バッチは絡まった形態のままであった場合にのみ外部において酸化された絡まった状態のカーボンナノチューブのバッチである(表2、3列目)。そして、バッチ3は、更なる酸化なしにカーボンナノチューブの離散バッチとされた。バッチ3は、絡まった状態のカーボンナノチューブを離散ナノチューブにする酸化への影響についての対照サンプルとして作用する。バッチ3は、実質的にバッチ1及びバッチ2と同じ平均酸化レベル(1.99%Ox)を示す。したがって、バッチ3は、カーボンナノチューブを解してそれらを水中で離散されることによって内部を酸化することなくチューブの端部が開口されることを示す。
【0058】
最後に、バッチ4(ここにおける本実施例4において作製されるOut/In-dMWCNT)は、バッチは絡まった形態のままであった場合に外部において酸化され、その後にバッチがカーボンナノチューブの離散バッチとされた後に再度酸化される絡まった状態のカーボンナノチューブのバッチである(表2、4列目)。離散カーボンナノチューブは開口端とされるので、バッチ4では、酸がチューブの内部に入り、内部表面を酸化する。バッチ4は、バッチ1、バッチ2及びバッチ3と比較して大幅に上昇した平均酸化レベル(2.39%Ox)を示す。バッチ4における平均酸化レベルの大幅な上昇は、カーボンナノチューブのそれらの内部表面における更なる酸化を表す。したがって、バッチ4に対する平均酸化レベル(2.39%Ox)は、バッチ3の平均酸化レベル(1.99%Ox)よりも約20%高い。以下の表2において、酸化の平均値が、チューブの4つのバッチについての複製において示される。酸化率は、バッチ1、バッチ2及びバッチ3に対する標準偏差内にある。
【0059】
【表1】
Engineering Aspects of Food Emulsification and Homogenization、ed.M.Rayner及びP.Dejmek、CRC Press、New York 2015年から抜粋
【0060】
【表2】
NM=計測せず
*%は、内部酸化表面と外部酸化表面の差(バッチ4vバッチ3)=(((外部%酸化)-(内部%酸化))÷(外部%酸化))×100
【0061】
可塑剤において離散カーボンナノチューブを備える組成物を形成する例示のプロセスは、まず約10~約500の平均アスペクト比及び約1~約15重量%の酸化種含量の合計レベルを有する複数の離散カーボンナノチューブを選択することである。そして、離散カーボンナノチューブは、ナノチューブ水スラリーを形成するように約1重量%~約10重量%のナノチューブ濃度で、水中で剪断機を用いて懸濁される。そして、スラリーは、少なくとも1つの可塑剤と約30℃~約100℃の温度で、カーボンナノチューブが水から可塑剤に移動して水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するのに充分な時間にわたって混合される。混合物は、70%~約99.9%の水を含み得る。水の大部分は、濾過、デカンテーション、又は機械的分離の他の手段によって混合物から分離される。濾過された材料は、約50%~約10%の水を含有し得る。そして、濾過された材料が約40℃~約120℃の温度で乾燥されて3重量%未満の水、最も好ましくは0.5重量%未満の水、用途によっては0重量%の水の無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成する。
【0062】
実施例5
実施例3におけるように外壁のみが酸化された水中の離散カーボンナノチューブの濃縮物は、脱イオン水中で2重量%に希釈される。スラリーは、オーバーヘッド撹拌機によって400rpmで撹拌しつつ40℃に加熱される。離散カーボンナノチューブの各グラムについて、Sigma Aldrich社の4グラムのTOTM(トリオクチルトリメリテート)が、撹拌混合物に添加される。混合物は、4時間にわたって750rpmで撹拌されるとともに40℃に維持される。この時間中、浄水を底部に残して油脂及び離散カーボンナノチューブが浮上する。これが起こると、水は濾過によってTOTM/カーボンナノチューブ混合物から分離される。TOTM及び離散カーボンナノチューブは、残留水が除去されるまで強制空気対流式オーブンにおいて70℃で乾燥される。流動性粉末がもたらされる。離散カーボンナノチューブの濃度は、温度比重測定手段によって測定され、20%の離散カーボンナノチューブ及び80%のTOTMであることが分かった。
【0063】
実施例6
20%の離散カーボンナノチューブ及び80%のTOTM(トリオクチルトリメリテート)を含む実施例5の離散カーボンナノチューブ及び可塑剤組成物が、窒素ゴム調合物に、100樹脂当たり2部(phr)及び100樹脂あたり3部(phr)の濃度で添加される(表3)。化合物の油脂濃度が、本発明の組成物からの追加の油脂を補償するように調整される。そして、化合物は、試験用にプラークとなるように硬化される。強制引裂き試験が、Instron社の張力計を用いて実行される。強制引裂きサンプルは、ダイを用いてパンチ抜きされ、1/2インチ長の標本中心ノッチを有する1.5インチ×1インチ×1インチの長方形となり、長手寸法に垂直にスライスされる。標本は、ノッチから等距離に担持され、Instronによって引っ張られる。剪断引張力及び応力が記録され、引張力ゼロから最終的な故障までの応力-引張力曲線以下の面積が計測される。この面積は、合計引裂きエネルギーである。表4における結果は、引裂き強度の増加が離散カーボンナノチューブに与えられることを示す。
【0064】
【0065】
【0066】
実施例7
20%の離散カーボンナノチューブ及び80%のTOTM(トリオクチルトリメリテート)を含む実施例5の離散カーボンナノチューブ及び可塑剤組成物が、窒素ゴム調合物に、100樹脂当たり3部(phr)の濃度で添加される(表5)。化合物の油脂濃度は、本発明の組成物からの追加の油脂を補償して全ての調合物が等しい油脂濃度を有するように調整される。比較化合物が、未調整のカーボンナノチューブ(Flotube C9000、CNano)によって調製される(表5)。カーボンブラック含量が、計測硬度が3個のサンプルについて同じとなるように調整される。本発明の3phrCNTについての対照物に対するShore A硬度は67であり、3phr「As is」カーボンナノチューブ(C9000)については68である。強制引裂力が、実施例6に記載されるように計測される。本発明の離散カーボンナノチューブ及び油脂組成物(dCNT)は、絡まった状態のカーボンナノチューブ(C9000)及び対照物よりも高い合計引裂エネルギーを有する。絡まった状態のカーボンナノチューブC9000の引裂エネルギーは、対照物よりも悪い(表6)。
【0067】
【0068】
【0069】
ゴム化合物へのフィラーの添加は化合物の粘度を増加させることが当業者に知られている。予想に反して、実施例7からの離散カーボンナノチューブ及び油脂混合物の添加は粘度を増加させずに粘度を低下させた一方で、実施例7の絡まった状態のカーボンナノチューブ(C9000)は粘度を増加させた。粘度は、Mooney Rheometerを用いて125℃で計測される。計測される初期粘度は、化合物の処理性を表すものである。本発明の離散カーボンナノチューブを含有し、実施例7で説明した化合物は、対照物と等しいことが分かった一方で、絡まった状態のカーボンナノチューブ(C9000)を含有する化合物は、対照物よりも高いことが分かった(表7)。
【0070】
【0071】
開示される実施形態はまた、汚染された土壌、地下水及び/又は廃水を、パークロロエテン(PCE)、トリクロロエテン(TCE)、1,2-ジクロロエテン(DCE)、塩化ビニル及び/又はエタンのような任意の乾燥洗浄化合物及び関連の化合物の少なくとも一部分を処理、除去、変性、封鎖、標的標識化及び/又は切断することによって、処理及び/又は改質するのに有用な組成物に関し得る。実施形態はまた、油脂、有害又は無用な化学物質及び他の汚染物の少なくとも一部分を処理、除去、変性、封鎖、標的標識化及び/又は切断するのに有用な化合物に関し得る。開示される実施形態は、複数の離散カーボンナノチューブを備えてもよく、離散カーボンナノチューブは内部表面及び外部表面を備える。各表面は、内部表面酸化種含量及び/又は外部表面酸化種含量を備え得る。実施形態はまた、複数の離散カーボンナノチューブの内部表面又は外部表面のいずれかに付着した少なくとも1つの分解性又は化学的に活性の分子を備え得る。そのような実施形態は、既知の分解性及び/又は化学的に活性の分子を任意の汚染土壌、地下水及び/又は廃水の位置に送達するために使用され得る。
【0072】
使用材料
塩化第一鉄四水和物FeCl2・4H2O、Sigma Aldrich社、分析用
塩化第二鉄FeCl3、Sigma Aldrich社、分析用
水酸化ナトリウム(NaOH、10質量%溶液)
水酸化アンモニウム(NH4OH、30質量%溶液)
本発明の乾燥カーボンナノチューブ、酸化種の重量パーセントは、10℃/分の加熱速度で窒素におけるTGAを行い、200℃と600℃の間の重量消失を1.8%と計測することによって測定される。
湿潤ケークの形態における本発明のカーボンナノチューブ(水の93.7重量%)
Sigma Aldrich社のポリビニルピロリドン(PVP、平均分子量40000ダルトン)
Sigma Aldrich社のポリビニルピロリドン(高分子量PVP、平均分子量360000ダルトン)
比が0.2PVP:1MRの水性分散溶液(本発明の3重量%のカーボンナノチューブ、合計固体含量3.6重量%、下記段落の手順を参照)
帝人社のポリ(ビスフェノールAカーボネート)、溶融フローレート15
ジメチルシリコーン500cps、Gelesat社
脱イオン水
【0073】
溶液が、Eurostar60の制御及びアグレッシブローター設計によってIKAミキサーで撹拌された。pH及び温度が、Oakton社のpH5+ハンドヘルド計によってモニタリングされた。乾燥サンプルを顕微鏡検査用に微細粉末に粉砕し、それらの分散性を向上するように、ステンレス鋼ボール及びステンレス鋼バイアルからなる粉砕ミルであるWig-L-Bugが使用された。Wig-L-Bugが、バイアル内のボールが材料を粉末化するようにバイアルを素早く移動させる。必要なときに一層分散を向上するために、2種類の超音波処理器:数ミリメートルスケールにおける小さなスケールの音波処理に対してCrest Ultrasonic Heated Cleanerが使用され、より大きなスケールの音波処理に対してSonics Vibra-Cell505が使用された。
【0074】
HAAKE PolyLab OSが、高粘度で材料合成のためにローラーローターとともに採用される。シートを作製するために、材料は、25000psiのプラテン圧力下で5分間にわたって材料の融点に応じた設定温度で熱圧着を用いて圧縮される。
【0075】
走査型電子顕微鏡検査法SEM、走査型透過電子顕微鏡検査法STEM及びエネルギー分散型X線分光分析EDXのためにJEOL JSM-7100Fが利用される。顕微鏡検査用にこれらのシートを準備するために、薄片が、ガラス及びダイアモンドナイフを有するLEICA EM UC7ミクロトームを用いて切断される。Torbal ATS60水分分析器(簡易焼付け窯)が、水性混合物の固体含量を計測する。Rigaku MinFlexがX線回析XRDを測定し、熱重量分析TGAが、1センチメートルの経路長石英キュベットの200~100ナノメートルの範囲において、TA Q50及びAgilent8453ダイオードアレイUV/VIS分光光度計、型名G1103Aによって計測される紫外線UVスペクトルによって測定される。
【0076】
磁性材料及びカーボンナノチューブの重量フラクションが、サンプル(約10~20mg)の温度比重測定分析から便宜的に測定される。サンプルは、100℃で45分間保持されてから、100℃~800℃の空気中で10℃/分の加熱速度で分析が行われる。加熱期間中、Fe3O4までが約10.5%の重量消失を受けるが、本発明のカーボンナノチューブはそれらの重量の約99%を消失する。磁性粒子組成物を特徴付けるのにUV及びXRDスペクトルが使用され、SEM又はSTEMが粒子サイズを与える。
【0077】
EMI試験が、Agilent EX6アナログ信号生成器、導波路アダプタと同軸のアンリツ製MS2691Aスペクトルアナライザ及び50オーム終端のHP11692D2-18GB方向性カプラを用いて1.6~12GHzの周波数範囲において実行される。使用される導波路アダプタは、1.6~2.6、2.7~4、4.1~6、6.1~8及び8.1~12GHzの周波数範囲に対するものである。計測は、0.1GHz間隔で行われる。まずブランクスペクトルが取得され、その後に厚さ1~2mmの標本が2つの導波路アダプタ間に配置される。全ての計測は、25℃におけるものである。
【0078】
実施例1(EMI)-マグネタイトナノメートル径粒子の合成
まず0.79gのFeCl2・4H2Oが、200gの脱イオン水に室温で溶解される。アグレッシブな直径6cmのローターが取り付けられたオーバーヘッド撹拌機を用いて400rpmで1分間激しく撹拌した後、1.29gのFeCl3が添加され、サンプルがさらに1分間撹拌される。結果として得られる黄色い溶液は、0.06Mの鉄濃度、及び1.9と2.0の間のpHを有する。12.5gの10%水酸化ナトリウムが素早く、すなわち、約2秒未満で添加され、溶液は黒色となった。この例では水酸化ナトリウムが塩基として使用されるが、水酸化アンモニウムなどの他の塩基が約9~11の範囲のpHを与えるのに充分な量において採用され得る。塩基をサンプルに完全に混合するようにさらに1分間サンプルを激しく撹拌した後、確実にFe3O4への化学変換が完了するように緩やかな撹拌が1時間続けられる。最終pHは約9である。
【0079】
Fe3O4ナノ粒子はビーカーの底に沈殿させられ、上清がデカンテーション及びシリンジによって除去される。サンプルの上部にある水のpHが6.5~7.0となるまで液体の連続的な添加及び除去が行われる。そして、サンプルは、95℃で少なくとも12時間にわたって再循環空気炉内に置かれ、記録された収率は塩化鉄からマグネタイトへの変換に基づいて95%である。SEMは、粒径が直径約20~30ナノメートルであることを測定した。
【0080】
図1は、洗浄処理中のFe3O4粒子の上部にある不浄水のUVスペクトルを示す。
【0081】
実施例2(EMI)
実施例1(EMI)と同様であるが、添加される塩基の量は、最終pHが約11となるものである。粒子は直径約10~20ナノメートルであり、収率は約30重量%であった。
【0082】
実施例3(EMI)
実施例2(EMI)と同様であるが、温度は50℃に維持される。平均粒径は約40~50ナノメートルであり、収率は約30重量%であった。
【0083】
実施例4(EMI)
実施例2(EMI)と同様であるが、塩基は30分かけて徐々に添加される。平均粒径は、約40~50ナノメートルである。収率は、約30重量%である。
【0084】
実施例1~4(EMI)は、25℃の温度、塩基の急速な添加及び最終pH9程度がマグネタイトの(90重量%より高い)最大収率を与えるものであり、SEMが約20~30ナノメートルの平均粒径を与えることが分かることを示す。粒子のUV及びXRDスペクトルは、マグネタイト構造と一致する。
【0085】
磁性粒子を本発明のカーボンナノチューブに結合する実施例、及び磁性粒子の付着の程度に対する離散カーボンナノチューブにおける好適な酸化レベルの実施例
【0086】
実施例5~8(EMI)-MRと磁性粒子の重量比の影響を調べる
実施例5、6及び8(EMI)について、2リットルの脱イオン水における一定量7.9gのFeCl2・4H2O及び12.9gのFeCl3が採用され、それは塩化鉄の100%の変換を想定して9.3gのFe3O4(マグネタイト)となる。手順は、まず室温で2000gの水に7.9gのFeCl2・4H2Oを溶解する。これを1分間激しく撹拌した後に、12.9gのFe3O4が添加され、サンプルがさらに1分間撹拌される。結果として得られる溶液は0.06Mの鉄濃度及び1.9と2.0の間のpHを有する。pHを1.97から9.16に増加させるように125gの10wt%NaOH溶液が添加される。NaOHをサンプルに完全に混合するようにサンプルを1分間以上激しく撹拌した後、サンプルは、Fe3O4への化学変換を完了するように1時間緩やかに撹拌される。1時間の撹拌の後、pHは8.8となり、サンプルは実施例1(EMI)に記載したように洗浄される。実施例7(EMI)は、同じ手順を有するが、材料の量が10分の1に縮小される。
【0087】
実施例5(EMI)
カーボンナノチューブ対マグネタイトの重量比は、65:35である。
【0088】
344.8gの湿潤ケーク(水の93.7%及びTGAによって測定される1.8重量%の酸化種を有するカーボンナノチューブ)及び1677gの水が、25℃で3リットルのステンレス鋼ビーカー内で10分間400rpmで撹拌される。さらに1分間激しく撹拌しつつ、7.9gのFeCl2・4H2Oに12.9gのFeCl3が続く。この瞬間のpHは、約1.8である。サンプルを激しく撹拌しながら約1分間以内に126グラムの10%水酸化ナトリウム溶液が添加され、その後に撹拌が約1時間にわたって緩やかに継続される。材料が、実施例1(EMI)におけるように洗浄及び乾燥される。TGA分析は、カーボンナノチューブ対マグネタイトの乾燥重量比を65:35と示した。
【0089】
実施例6(EMI)-カーボンナノチューブ対マグネタイトの重量比は47:53である。
実施例5(EMI)と同様であるが、147.6gの湿潤ケーク及び1862gの脱イオン水が用いられる。
【0090】
実施例7(EMI)-カーボンナノチューブ対マグネタイトの重量比は25:75である。
実施例5(EMI)と同様であるが、1/10の量の塩化鉄、4.90gの湿潤ケーク及び195.4gの脱イオン水が用いられる。
【0091】
実施例8(EMI)-カーボンナノチューブ対マグネタイトの重量比は10:90である。
実施例5(EMI)と同様であるが、16.3gの湿潤ケーク及び1985gの脱イオン水が用いられる。
【0092】
実施例9(EMI)-本発明のカーボンナノチューブと界面活性剤の使用
6.0グラム、平均分子量40000ダルトンのPVPが脱イオン水に添加され、PVPが完全に溶解されるまで激しく撹拌される。3分間にわたって激しく撹拌しつつ、476.2グラムの6.3%湿潤ケークが添加されてから、光学顕微鏡検査での溶液が良好な分散を示すまで溶液が音波処理される。音波処理中、溶液は、40℃を超えない。
【0093】
33.3gの0.2PVP:1MR溶液が167.87gの脱イオン水に添加され、10分間激しく撹拌される。0.15gのPVPが添加され、さらに5分間撹拌される。次に、0.86gのFeCl2・4H2Oが添加され、1分間撹拌され、1.40gのFeCl3の添加が続き、さらに1分間撹拌される。続いて、サンプルが、撹拌されつつ音波処理される。約40kJの音波処理の後、サンプル温度は56℃に達する。サンプルは、約1時間かけて31℃に冷却される。pHは1.7である。12.9gのNaOHが撹拌されつつ素早く添加され、pHは9.4に上昇する。緩やかな撹拌が1時間継続し、実施例1(EMI)について概説した洗浄手順が続く。Fe3O4粒子径は、約20ナノメートルである。収率は98%である。
【0094】
電子顕微鏡検査の結果によって実施例5~8(EMI)を比較すると、驚くことに、磁性粒子の重量フラクションが実施例5~8(EMI)で使用されるカーボンナノチューブのものを超えると、磁性粒子のクラスタが出現したことが分かった。カーボンナノチューブごとに付着した粒子の数は、実施例5~8(EMI)において約5~8である。一般に、長い直線のカーボンナノチューブは、屈曲した又は拠られたものよりも少ない粒子を有する。これは、カーボンナノチューブの最外部表面上の酸化種の量と、本発明のカーボンナノチューブの最外部表面に付着可能なナノ粒子の数との間に特定の関係があることを例証する。理論に拘泥することなく、チューブの長さに沿う屈曲又は撚りは壁面の欠陥によってもたらされること、及び欠陥はより多くの簡単な化学反応を可能として付着の部位となることが期待される。最外壁上の酸化物含量が高いほど、付着粒子の数が大きくなる。
【0095】
塩基の添加の前にポリビニルピロリドンを用いて塩化鉄混合物に均質に分散される本発明のカーボンナノチューブを有する実施例9(EMI)と実施例6(EMI)との比較は、
図2に示すように、電子顕微鏡検査によって、カーボンナノチューブに付着する粒子数の約5~8から約10への増加を明らかとした。これは、分散湿潤ケークを備えるカーボンナノチューブの少量の凝集剤の多孔性が非常に高く、これは塩化鉄又は塩基の移動を制限しないので、驚くべき結果である。
【0096】
EMI遮蔽についての実施例
図3は、EMI遮蔽効果が分散に影響されたことを示すMR有り及び無しのポリカーボネート組成物の4つ組成物のEMI遮蔽効果を示す。
【0097】
図4は、5、10及び15%のMRを有するNBR化合物の減衰を示す。
【0098】
図5A~Cは、5、10及び15%のMRを有するNBR組成物におけるパワー透過率、反射率及び吸収率を示す。理解できるように、周波数が高いほどMRの吸収率は高くなる。高い吸収率の発生における周波数は、増加するMRとともに減少する。反射パワーのピークの周波数は、MR含量から独立して約5~6GHzにある。
【0099】
図6~11は、Fe3O4ナノ粒子及び/又はMR組成物のTGAを示す。
【0100】
ペイロード分子の添加
薬剤物質の水溶性は、薬剤製品の予備処方検討において重要なパラメータである。幾つかの薬剤は、わずかに水溶性であり、調合及び用量投与についての課題をもたらす。分散を生成する有機溶剤又は油脂及び追加の界面活性剤が使用され得る。ペイロード分子が水性媒体に容易に溶解又は分散される場合、フィルタケークは乾燥される必要はない。ペイロード分子が水性媒体に容易に溶解又は分散されない場合、フィルタケークは、まず真空中で一定の重量となるまで80℃で乾燥される。液体媒体における所望の濃度でのペイロード分子が、離散カーボンナノチューブに添加され、チューブキャビティ内で数時間均一とされる。そして、厚さ約1mm未満のケークを形成するように混合物が濾過されてから、チューブ内に存在しない大量のペイロード溶液が高フローレート濾過によって除去される。濾過の速度は、ペイロード分子がチューブキャビティから拡散するのにわずかな時間しか許容されないように選択される。そして、フィルタケークにペイロード薬剤を加えたものは、バイオポリマー、アミノ酸、タンパク質又はペプチドのそのような水性溶液に大きな分子を付着することを望む場合に、追加の処理を受ける。
【0101】
実施例8
水中のナイアシンの濃度の関数としてのナイアシンのUV吸光度に対する較正曲線が測定された。溶液が、25mlの水において0.0578グラムの本発明の離散官能化カーボンナノチューブを0.0134グラムのナイアシンに混合することによって調製された(0.231グラムのナイアシン/1グラムのカーボンナノチューブ)。チューブが沈殿可能とされ、チューブ上の流体のアリコートが1時間毎に除去された。このアリコートのUV-vis吸収率が計測され、溶液中のナイアシンの結果として得られる量が記録された。水溶液中のナイアシンの量は、6時間後に安定した。最終サンプルが、混合から20時間後に得られた。溶液中に残るナイアシンの量と当初の量との差が、離散官能化カーボンナノチューブに関連するナイアシンの量として測定された。0.0746グラムのナイアシンがカーボンナノチューブの各グラムと対応付けられることが分かった。カーボンナノチューブによって吸収されるナイアシンの総量は、0.0043グラムであった。平均カーボンナノチューブ長が1000nm、外径が12nmであり、内径が5nmであるものとすると、チューブ内の利用可能な体積はカーボンナノチューブのグラムあたり0.093cm3である。ナイアシンの密度は1.473g/cm3であるので、チューブに適合し得るナイアシンの最大量は0.137グラムである。したがって、0.0746gのナイアシン/1gのCNTの量の計測吸収率は、チューブの内部に閉じ込められ得る。
【0102】
実施例9
ポリ(ビニルアルコール)PVOHは、非常に大きく(30kDa~70kDa)、カーボンナノチューブの内部に吸収され得ない。PVOHは、カーボンナノチューブの外部に結合及びラップするので、カーボンナノチューブに対する界面活性剤として使用される。この実験では、PVOHは、25mlの水において、0.0535gのカーボンナノチューブ及び0.0139gのナイアシン(1グラムのカーボンナノチューブに対して0.26グラムのナイアシン)の混合物に添加された。これが一晩維持された。実施例1のUV-vis技術を用いて、カーボンナノチューブに結合されたナイアシンの量は、実施例1における0.0746グラム未満の、カーボンナノチューブの1グラムあたり0.0561グラムのナイアシンであると測定された。吸収されたナイアシンの総量は0.003グラムであった。
【0103】
計算は、カーボンナノチューブ長が1000nm、外径が12nm及び内径が5nmであるものとして行われた。PVOHの密度が1.1g/cm3であり、カーボンナノチューブに対するPVOHの比率が1に対して0.23であったことを考慮すると、カーボンナノチューブ上のPVOHの平均層厚は0.6nmとなる。したがって、カーボンナノチューブをカプセル化し、チューブの表面にナイアシンを置換するのに充分なPVOHがあり、1グラムのカーボンナノチューブあたり計測量0.0561グラムのナイアシンがカーボンナノチューブの内部に存在する。
【0104】
他の実施例では、離散官能化カーボンナノチューブが、溶融物において又は溶液及び添加されたペイロード分子において高分子マトリクス、例えば、酸化ポリエチレン中に分散され得る。
【表8】
条件1は、短い平均長の狭い分布の実施例である。条件2は、短い平均長の広い分布の実施例である。条件3は、長い平均長及び広い分散の実施例である。
【0105】
チューブ長を測定するために、チューブのサンプルが、イソプロピルアルコールに希釈され、30分間音波処理される。そして、それがシリカウエハ上に蒸着され、SEMによって15kV及び20000倍で画像が撮られる。これらの画像は、異なる位置で撮られる。(SEMに含まれる)JEOLソフトウェアを利用して、最小2本の線が各画像に横断して引かれ、この線と交差するチューブの長さを計測する。
【0106】
歪度は、確率分布の非対称性の計測値である。正の値は、分布ヒストグラムの右側の尾が左側よりも長いことを意味し、その逆も同様である。より多くの長いチューブを示す正の歪度が好ましい。ゼロの値は、平均値の両側における比較的均一な分布を意味する。尖度は、分布曲線の鋭さの計測値であり、正常な分布に概ね相対的である。歪度及び尖度の双方とも単位はない。
【0107】
以下の表は、離散カーボンナノチューブの代表値を示す。表9:直径(上記条件とは無関係)
直径平均値(nm*) 12.5
直径中央値(nm) 11.5
尖度 3.6
歪度 1.8
計算されたアスペクト比 34 39 58
(L/D)
*nm=ナノメートル
【0108】
フィルタケークの小サンプルが真空において100℃で4時間乾燥され、温度比重測定分析が窒素中で100℃から600℃にかけて加熱速度10℃/分で行われる。ファイバの酸化種の量は、200℃と600℃の間の重量消失として得られる。個々のチューブ(離散)の分散も、UV分光分析によって測定される。0.5重量%カーボンナノチューブの懸濁液を与えるように水が湿潤ケークに添加されてから、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが酸化カーボンナノチューブの質量の1.5倍の濃度で添加される。溶液が音波処理バスを用いて30分間音波処理されてから、2.5×10-5g/mlのカーボンナノチューブの濃度に希釈される。カーボンナノチューブは、少なくとも1.2吸収単位の500nmでのUV吸光度を与えることになる。
【0109】
組成物のフロー処理性の向上は、レオメータを用いて、例えば、フローに対する流体抵抗を計測し、その粘性挙動を測定する正しく定義された幾何学の同心円筒を利用して測定可能である。外部筒の相対回転によって組成物が流れる一方で、変形に対するその抵抗がカップの内壁に剪断応力をもたらし、Paの単位で計測される。
【0110】
実施形態
本願において開示される実施形態には、以下が含まれる。
【0111】
1.複数の離散カーボンナノチューブを備える組成物であって、前記離散カーボンナノチューブが内部表面及び外部表面を備え、各表面が内部表面酸化種含量及び外部表面酸化種含量を有し、前記内部表面酸化種含量が前記外部表面酸化種含量から少なくとも20%、最大100%異なる、組成物。
【0112】
2.前記内部表面酸化種含量が前記外部表面酸化種含量未満である、実施形態1の組成物。
【0113】
3.前記内部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して3重量パーセントまで、好ましくはカーボンナノチューブの重量に対して約0.01~約3重量パーセント、より好ましくは約0.01~約2重量パーセント、最も好ましくは約0.01~約0.8重量パーセントである、実施形態1の組成物。
【0114】
4.前記外部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して約1~約6重量パーセント、好ましくは約1~約4重量パーセント、より好ましくは約1~約2重量パーセントである、実施形態1の組成物。
【0115】
5.前記内部表面酸化種含量及び前記外部表面酸化種含量の合計が、カーボンナノチューブの重量に対して約1~約9重量パーセントである、実施形態1の組成物。
【0116】
6.複数の離散カーボンナノチューブを備える組成物あって、前記離散カーボンナノチューブは内部表面及び外部表面を備え、各表面が内部表面酸化種含量及び外部表面酸化種含量を有し、前記内部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約0.01~約0.8パーセント未満を含み、前記外部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約1.2~約3パーセントより多くを含む。
【0117】
7.前記離散カーボンナノチューブが、複数の開口端チューブを備える、実施形態6の組成物。
【0118】
8.前記複数の離散カーボンナノチューブが、複数の開口端チューブを備える、実施形態6の組成物。
【0119】
9.前記離散カーボンナノチューブが、複数の開口端チューブを備える、実施形態1の組成物。
【0120】
10.イオン移動体としての実施形態1の組成物の使用。
【0121】
11.地下水改質における標的化、離隔及び標識化剤としての実施形態1の組成物の使用。
【0122】
12.実施形態1又は実施形態6の組成物を備えるセンサ。
【0123】
13.実施形態1又は実施形態6の組成物を備える薬剤送達又は徐放調合。
【0124】
14.実施形態1又は実施形態6の組成物を備えるバッテリ。
【0125】
15.エポキシ、ポリウレタン又はエラストマーをさらに備える実施形態1又は実施形態6の組成物を備える調合物。
【0126】
16.少なくとも1つの内部表面と接触する少なくとも1つの疎水性材料をさらに備える実施形態1又は実施形態6の組成物。
【0127】
17.前記内部表面の酸化と前記外部表面の酸化の差が、少なくとも約0.2重量パーセントである、実施形態1又は実施形態6の組成物。
【0128】
18.前記離散カーボンナノチューブが約10~約500のアスペクト比を有し、前記カーボンナノチューブがカーボンナノチューブの約1~3重量パーセントの酸化レベルを有する、実施形態1又は実施形態6及び少なくとも1つの可塑剤の組成物。
【0129】
19.前記組成物が、約10重量パーセント~約90重量パーセント、好ましくは、約10重量パーセント~約40重量パーセントの離散カーボンナノチューブを備える、実施形態18の組成物。
【0130】
20.前記酸化種が、カルボン酸、フェノール、アルデヒド、ケトン、エーテル結合物、及びその組合せからなる群から選択される、実施形態18の組成物。
【0131】
21.前記内部表面及び前記外部表面の合計酸化種含量が、前記カーボンナノチューブの約1重量%~15重量%を構成する、実施形態18の組成物。
【0132】
22.前記可塑剤が、ジカルボキシル/トリカルボキシルエステル、トリメリテート、アジペート、セバケート、マレイン酸エステル、グリコール及びポリエーテル、高分子可塑剤、バイオ系可塑剤並びにその混合物からなる群から選択される、実施形態18の組成物。
【0133】
23.前記可塑剤が、ナフテン油、パラフィン油、パラベン油、芳香油、植物油、種子油及びその混合物からなる群から選択されるプロセスオイルである、実施形態18の組成物。
【0134】
24.前記カーボンナノチューブが離散されずに製造後の絡まった状態であることを除いて、同じ比の同じ元素を備える同一の組成物と略同じ又はそれ未満の粘度を有する実施形態23の組成物。
【0135】
25.前記可塑剤が、ザイレン、ペンタン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、エチルアセテート、エーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、ブチルアセテートブタノール、ベンゼン及びその混合物からなる群から選択される水非混和性溶剤である、実施形態18の組成物。
【0136】
26.シリカ、ナノ-クレイ、カーボンブラック、グラフェン、ガラスファイバ及びこれらの混合物からなる群から選択された無機フィラーをさらに備える実施形態18の組成物。
【0137】
27.自由流動粒子の形態の実施形態18の組成物。
【0138】
28.実施形態18の組成物を作製するプロセスであって、a)約10~約500の平均アスペクト比及び約1~約15重量%の酸化種含量合計レベルを有する複数の離散カーボンナノチューブを選択するステップと、b)前記離散カーボンナノチューブを約1重量%~約10重量%のナノチューブ濃度で水性媒体に懸濁して水性媒体/ナノチューブスラリーを形成するステップと、c)前記カーボンナノチューブ/水性媒体スラリーを少なくとも1つの可塑剤と約30℃~約100℃の温度で、前記カーボンナノチューブが水性媒体から前記可塑剤に移動するのに充分な時間にわたって混合して、湿潤ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、e)前記湿潤カーボンナノチューブ/可塑剤混合物から前記水性媒体を分離して乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、f)約40℃~約120℃で乾燥することによって前記乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物から残留水性媒体を除去して無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップとを備えるプロセス。
【0139】
29.前記組成物が、少なくとも1つのゴムとさらに混合される、実施形態18の組成物。
【0140】
30.前記ゴムが、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブダジエン及びスチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-イソプレンゴム、エチレン、プロピレンジエンゴム、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステル-ポリエーテル、水素化及び非水素化ニトリルゴム、ハロゲン変性エラストマー、フッ素エラストマー、並びにその組合せからなる群から選択される天然又は合成ゴムである、実施形態29の組成物。
【0141】
31.前記組成物が、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、少なくとも1つの熱可塑性エラストマー、又はその組合せをさらに備える実施形態18の組成物。
【0142】
32.前記組成物が、少なくとも1つの熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ又はポリウレタンをさらに備える実施形態18の組成物。
【0143】
33.複数の離散カーボンナノチューブを備える乾燥洗浄化合物を用いて、汚染された地下水を処理するのに有用な組成物であって、前記離散カーボンナノチューブが、内部表面及び外部表面であって、各表面が内部表面酸化種含量及び外部表面酸化種含量を有する、内部表面及び外部表面と、前記複数の離散カーボンナノチューブの前記内部表面又は前記外部表面に付着する少なくとも1つの分解分子とを備える、組成物。