(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】半導体ウェハの洗浄システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 643D
H01L21/304 642E
H01L21/304 642A
(21)【出願番号】P 2020526910
(86)(22)【出願日】2017-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2017111016
(87)【国際公開番号】W WO2019095127
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン フゥイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン フーファ
(72)【発明者】
【氏名】チェン フーピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン シー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン シャオイェン
(72)【発明者】
【氏名】ジン イーヌォ
(72)【発明者】
【氏名】ジャ ヂャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェ リァンヂー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー シュエジュン
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/173588(WO,A1)
【文献】特開2010-287841(JP,A)
【文献】特開2012-081430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパターン構造要素を有する半導体ウェハの洗浄中における損傷を制御するシステムであって、
洗浄プロセス中に半導体ウェハを一時的に拘束するためのウェハホルダと、
前記半導体ウェハの表面に洗浄液を供給するための注入口と、
第1の周波数及び第1の電力レベルの第1の所定期間と、第2の周波数及び第2の電力レベルの第2の所定期間との交互で動作するように構成されており、前記洗浄液に音波エネルギーを与える音波発生器であって、前記第1の所定期間及び前記第2の所定期間が互いに連続するように繋がるようにし、前記洗浄液中における気泡サイズを、前記第1の所定期間中には音波エネルギーによって増大させ、前記第2の所定期間中には減少させる音波発生器と、
前記第1および第2の周波数と、前記第1および第2の電力レベルと、前記第1および第2の所定期間と、前記音波発生器による前記第1および第2の所定期間の交替回数とを提供するようにプログラムされたコントローラとを備えており、
前記第1及び第2の所定期間、前記第1及び第2の電力レベル、並びに、前記第1及び第2の周波数のうちの少なくとも1つが、前記音波エネルギーの付与の結果としての損傷した前記パターン構造要素の割合がゼロよりも大きい所定閾値よりも小さくなるように決定され、
半導体ウェハにおけるビアホール、トレンチ又は凹部空間の体積に対する総気泡体積の比が第1所定値まで増加した後に、電力が前記第2の所定期間にわたって前記第2の周波数及び前記第2の電力レベルに設定され、半導体ウェハにおけるビアホール、トレンチ又は凹部空間の体積に対する総気泡体積の比が第2所定値まで減少した後に、電力が前記第1の所定期間にわたって前記第1の周波数及び前記第1の電力レベルに設定されたシステム。
【請求項2】
前記ウェハホルダが回転チャックである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ウェハホルダが洗浄タンク内に浸漬されたカセットである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記注入口がノズルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記音波発生器に結合された音波トランスデューサをさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記音波トランスデューサは、前記半導体ウェハ上にギャップを隔てて配置されており、前記ギャップが洗浄プロセス中に前記洗浄液で満たされる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ギャップが、前記洗浄プロセスの間に変化する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記音波トランスデューサは、前記注入口に接続されており、前記注入口を流れる前記洗浄液に音波エネルギーを与える、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記洗浄液が、化学溶液、脱イオン水、及び前記
化学溶液と前記脱イオン水の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の電力レベルが0である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の周波数が前記第2の周波数に等しく、且つ、両方の前記周波数がそれぞれの期間において一定のままでありつつ、前記第1の電力レベルが前記第2の電力レベルよりも高く、且つ、両方の前記電力レベルがそれぞれの期間において一定のままである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の周波数が前記第2の周波数よりも高く、且つ、両方の前記周波数がそれぞれの期間において一定のままでありつつ、前記第1の電力レベルが前記第2の電力レベルよりも高く、且つ、両方の前記電力レベルがそれぞれの期間において一定のままである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の周波数が前記第2の周波数よりも低く、且つ、両方の前記周波数がそれぞれの期間において一定のままでありつつ、前記第1の電力レベルが前記第2の電力レベルと等しく、且つ、両方の前記電力レベルがそれぞれの期間において一定のままである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の周波数が前記第2の周波数よりも低く、且つ、両方の前記周波数がそれぞれの期間において一定のままでありつつ、前記第1の電力レベルが前記第2の電力レベルよりも高く、且つ、両方の前記電力レベルがそれぞれの期間において一定のままである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の周波数が前記第2の周波数よりも低く、且つ、両方の前記周波数がそれぞれの期間において一定のままでありつつ、前記第1の電力レベルが前記第2の電力レベルよりも低く、且つ、両方の前記電力レベルがそれぞれの期間において一定のままである、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の電力レベルが、前記第1の所定期間中に増加する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の電力レベルが、前記第1の所定期間中に減少する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の電力レベルが、前記第1の所定期間中に増加も減少もする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の周波数が実質的に0近傍であり、前記第2の電力レベルが前記第2の所定期間において正の一定値である、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の周波数が実質的に0近傍であり、前記第2の電力レベルが前記第2の所定期間において負の一定値である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の所定期間における前記音波トランスデューサからの音波と、前記第2の所定期間における前記音波トランスデューサからの音波とが、逆位相である、請求項
5~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の所定期間が、前記第1の周波数のサイクル周期の2,000倍よりも短い、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
内破温度をT
i、洗浄液の温度をT
0、1回の圧縮を経ることによる温度上昇幅をΔT、1回の膨張を経ることによる温度下降幅をδT、前記第1の周波数をf
1として、前記第1の所定期間が((T
i-T
0-ΔT)/(ΔT-δT)+1)/f
1よりも短い、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、高い値から低い値に変化する、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、低い値から高い値に変化する、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、低い値から高い値に変化してから前記低い値に復帰する、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、高い値から低い値に変化してから前記高い値に復帰する、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さいとして、前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、最初にf
1、そしてf
3、最後にf
4となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さいとして、前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、最初にf
4、そしてf
3、最後にf
1となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さいとして、前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、最初にf
1、そしてf
4、最後にf
3となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さいとして、前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、最初にf
3、そしてf
4、最後にf
1となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さいとして、前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、最初にf
3、そしてf
1、最後にf
4となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さいとして、前記第1の周波数が、前記第1の所定期間において、最初にf
4、そしてf
1、最後にf
3とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
前記音波発生器の出力を検出するために前記音波発生器に結合された検出回路をさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記検出回路が、入力信号を減衰させるための電圧減衰回路を含んでいる、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記検出回路が、信号を第1の波形から第2の波形へと変換するための整形回路を含んでいる、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の波形が正弦波であり、前記第2の波形が矩形波である、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記検出回路は、入力信号の振幅を検出して基準値と比較するための振幅検出回路を含み、前記検出回路は、前記検出された振幅が前記基準値を超えているときに、アラーム信号を生成させ、前記音波発生器をオフにさせる、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記基準値が、デジタル-アナログ変換器(DAC)によって生成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記検出回路は、前記第1の所定期間を検出して所定値と比較し、前記第1の所定期間が前記所定値を超えているときに、アラーム信号を生成させ、前記音波発生器をオフにさせる、請求項34に記載のシステム。
【請求項41】
前記検出回路は、前記第2の所定期間を検出して所定値と比較し、前記第2の所定期間が前記所定値未満であるときに、アラーム信号を生成させ、前記音波発生器をオフにさせる、請求項34に記載のシステム。
【請求項42】
前記半導体ウェハにおける前記パターン構造への損傷を検査することによって、前記洗浄液中における気泡の内破を回避するように、前記第1の所定期間が実験によって決定された、請求項1に記載のシステム。
【請求項43】
実験による前記決定は、前記第1及び第2の周波数並びに前記第1及び第2の電力レベルを一定値に維持すると共に、前記第2の所定期間を前記第1の所定期間よりも著しく長い一定値に維持しつつ、互いに異なる洗浄プロセスにおける前記第1の所定期間の値として異なる値を選択することを含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
洗浄中の前記半導体ウェハにおける前記パターン構造への損傷が生じないような限定された気泡の内破を許容するように、前記第1の所定期間が実験によって決定された、請求項1に記載のシステム。
【請求項45】
実験による前記決定は、前記第1及び第2の周波数並びに前記第1及び第2の電力レベルを一定値に維持すると共に、前記第2の所定期間を前記第1の所定期間よりも著しく長い一定値に維持しつつ、互いに異なる洗浄プロセスにおける前記第1の所定期間の値として異なる値を選択することを含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記洗浄液における気泡内部の温度が所定温度まで低下可能となるように、前記第2の所定期間が実験によって決定された、請求項1に記載のシステム。
【請求項47】
前記所定温度が実質的に室温近傍である、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記半導体ウェハにおける前記パターン構造への損傷を検査することによって、前記洗浄液中における気泡の内破を回避するように、前記第1の周波数及び前記第1の電力レベルが実験によって決定された、請求項1に記載のシステム。
【請求項49】
洗浄中の前記半導体ウェハにおける前記パターン構造への損傷が生じないような限定された気泡の内破を許容するように、前記第1の周波数及び前記第1の電力レベルが実験によって決定された、請求項1に記載のシステム。
【請求項50】
前記洗浄液における気泡内部の温度が所定温度まで低下可能となるように、前記第2の周波数及び前記第2の電力レベルが実験によって決定された、請求項1に記載のシステム。
【請求項51】
前記所定温度が実質的に室温近傍である、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記半導体ウェハへの損傷を検査することによって、前記交替回数が実験によって決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項53】
前記音波エネルギーを付与することによる洗浄効果によって生じる歩留まり向上が、前記音波エネルギーを付与することによる損傷によって生じる歩留まり低下よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハの洗浄に関し、より詳細には、制御された音波エネルギーを使用する湿式洗浄方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、トランジスタ及び相互接続要素を製造する一連の処理工程を用いて半導体ウェハ上に製造又は作製される。これらのトランジスタは、従来、2次元的に構成されているが、最近では、FinFETトランジスタなどのように3次元的に構成されている。相互接続要素は、絶縁材料中に形成された導電性(例えば金属)のトレンチ、ビアホールなどを含む。
【0003】
これらのトランジスタ及び相互接続素子を形成する際に、半導体ウェハには複数のマスキング、エッチング、及び堆積プロセスが施されて、半導体デバイスのための所望の構造が形成される。特に、複数のマスキング及びプラズマエッチング工程を行うことによって、半導体ウェハの誘電層に、finFETトランジスタのフィン及び相互接続要素のトレンチやビアホールとして機能する凹部領域を形成することができる。ポストエッチング又はフォトレジストアッシングによって、フィン構造及び/又はトレンチやビアホールにある粒子及び異物を除去するためには、湿式洗浄工程が必要である。しかし、化学薬品による湿式洗浄は、側壁損失をもたらし得る。特にデバイス製造ノードが14nm又は16nmさらにそれ以上に縮小したとき、フィン、トレンチ及びビアホールの側壁損失は、臨界寸法を維持する上で危機的事態である。側壁損失を低減又は削減するには、中程度の又は希釈された化学薬品、又は、場合によっては脱イオン水のみを使用することが重要となる。しかし、通常、中程度の又は希釈された化学薬品や脱イオン水では、フィン構造及び/又はトレンチやビアホール内の粒子を効率的に除去できない。したがって、これらの粒子を効率的に除去するには、例えば超音波(ultra sonic)又は高周波超音波(mega sonic)エネルギーなどで生成された機械的な力が必要である。超音波又は高周波超音波は、洗浄中にウェハ構造に機械的な力を加えるための気泡キャビテーションを発生させる。
【0004】
しかしながら、キャビテーションは、無秩序な現象である。キャビテーション気泡の発生及びその崩壊が生じることは、多くの物理パラメータの影響を受ける。トランジットキャビテーション又はマイクロジェットなどの激しいキャビテーションは、パターン構造(フィン、トレンチ及びビアホール)を損傷させる可能性がある。従来の超音波又は高周波超音波洗浄プロセスにおいては、電力が十分に高い場合、例えば、5-10ワットよりも大きい場合にのみ、顕著な粒子除去効率(PRE)が得られる。しかしながら、電力が約2ワットを超える場合には、顕著なウェハ損傷が発生し始める。したがって、大きな損傷を引き起こすことなく、ウェハを効率的に洗浄することができるような電力の窓領域を見つけることは困難である。すなわち、安定した又は制御されたキャビテーションを維持することは、パターン構造から異物粒子を効率的に除去することを可能としつつ音波機械力を損傷限界未満に制御するために、重要な役割を果たす。
【0005】
したがって、ウェハの洗浄プロセス中に超音波又は高周波超音波デバイスによって生成される気泡キャビテーションを制御するためのシステム及び方法であって、ウェハ上のパターン構造を損傷させることなく、微細な異物粒子を効率的に除去することができるシステム及び方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
ここに開示された半導体ウェハの洗浄システムは、洗浄プロセス中に半導体ウェハを一時的に拘束するためのウェハホルダと、半導体ウェハの表面に洗浄液を供給するための注入口と、第1の所定設定値の第1の所定期間と、第2の所定設定値の第2の所定期間との交互で動作するように構成された音波発生器と、前記音波発生器による、第1及び第2の所定設定値と、第1および第2の所定期間と、第1および第2の所定設定値の交替回数とを決定するようにプログラムされたコントローラとを備えている。洗浄液内の気泡キャビテーションは、第1の所定期間において増加し、第2の所定期間において減少する。第1の所定期間及び第2の所定期間は、互いに連続するように繋がっている。そのため、洗浄液中の気泡を、各第1の所定期間での洗浄後に十分に冷却することができ、半導体ウェハの損傷を回避することができる。
【0007】
以下の実施形態の詳細な説明を考慮して、他の態様、特徴及び技術が当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付した本明細書の一部を構成する図面は、本開示のいくつかの態様を説明するために含まれている。本開示のより明確な概念、及び本開示を提供されるシステムの構成要素及び動作のより明確な概念は、図面に示される例示的な、したがって非限定的な実施形態を参照することによって、より容易に明らかになるであろう。ここで、同じ参照符号(2つ以上の図面にある場合)は、同じ要素を示す。本開示は、以下に提示される説明と組み合わせて、これらの図面のうちの一又は複数を参照することによって、よりよく理解され得る。なお、図面に示された特徴は必ずしも縮尺通りに描かれていないことに留意すべきである。
【0009】
【
図1A】本発明の一実施形態による超音波又は高周波超音波デバイスを使用するウェハ洗浄装置を示す図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による超音波又は高周波超音波デバイスを使用するウェハ洗浄装置を示す図である。
【
図2A】超音波又は高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2B】超音波又は高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2C】超音波又は高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2D】超音波又は高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2E】超音波又は高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2F】超音波又は高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2G】超音波又は高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図3】ウェハ洗浄プロセス中における気泡内破を示す図である。
【
図4A】ウェハ洗浄プロセスにおいてウェハ上のパターン構造に損傷を与えるトランジットキャビテーションを示す図である。
【
図4B】ウェハ洗浄プロセスにおいてウェハ上のパターン構造に損傷を与えるトランジットキャビテーションを示す図である。
【
図5A】音波ウェハ洗浄プロセスにおいて気泡内部の熱エネルギーの変化を示す図である。
【
図5B】音波ウェハ洗浄プロセスにおいて気泡内部の熱エネルギーの変化を示す図である。
【
図5C】音波ウェハ洗浄プロセスにおいて気泡内部の熱エネルギーの変化を示す図である。
【
図6A】最終的にマイクロジェットが発生する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図6B】最終的にマイクロジェットが発生する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図6C】最終的にマイクロジェットが発生する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図7A】本発明の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図7B】本発明の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図7C】本発明の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図7D】本発明の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図7E】本発明の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図8A】本発明の別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図8B】本発明の別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図8C】本発明の別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図8D】本発明の別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図9A】本発明のさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図9B】本発明のさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図9C】本発明のさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図9D】本発明のさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図10A】本発明のまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図10B】本発明のまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図10C】本発明のまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図11A】本発明のまたさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図11B】本発明のまたさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図12A】本発明のさらにまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図12B】本発明のさらにまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図13A】本発明のさらなる別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図13B】本発明のさらなる別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図14A】本発明のまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図14B】本発明のまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図15A】音波ウェハ洗浄プロセスにおいてウェハ上のパターン構造に損傷を与える安定したキャビテーションを示す図である。
【
図15B】音波ウェハ洗浄プロセスにおいてウェハ上のパターン構造に損傷を与える安定したキャビテーションを示す図である。
【
図15C】音波ウェハ洗浄プロセスにおいてウェハ上のパターン構造に損傷を与える安定したキャビテーションを示す図である。
【
図15D】本発明の一実施形態による代替的なウェハ洗浄プロセスを示すフローチャートである。
【
図16A】本発明の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図16B】本発明の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図16C】本発明の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図17】本発明の別の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図18A】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18B】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18C】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18D】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18E】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18F】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18G】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18H】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18I】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図18J】半導体ウェハのビアホール又はトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
【
図19A】音波エネルギーに応じた気泡体積の変化を示す図である。
【
図19B】音波エネルギーに応じた気泡体積の変化を示す図である。
【
図19C】音波エネルギーに応じた気泡体積の変化を示す図である。
【
図19D】音波エネルギーに応じた気泡体積の変化を示す図である。
【
図20A】本発明の一実施形態による高いアスペクト比のビアホール及びトレンチといったパターン構造要素を効果的に洗浄する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図20B】本発明の一実施形態による高いアスペクト比のビアホール及びトレンチといったパターン構造要素を効果的に洗浄する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図20C】本発明の一実施形態による高いアスペクト比のビアホール及びトレンチといったパターン構造要素を効果的に洗浄する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図20D】本発明の一実施形態による高いアスペクト比のビアホール及びトレンチといったパターン構造要素を効果的に洗浄する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図21A】本発明の一実施形態による別の洗浄プロセスを示す図である。
【
図21B】本発明の一実施形態による別の洗浄プロセスを示す図である。
【
図21C】本発明の一実施形態による別の洗浄プロセスを示す図である。
【
図22A】本発明の別の一実施形態による音波エネルギーを用いたウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図22B】本発明の別の一実施形態による音波エネルギーを用いたウェハ洗浄プロセスを示す図である。
【
図23】本発明の一実施形態による
図7-22に示されたウェハ洗浄プロセスを実行するためのウェハ洗浄装置の一例を示す図である。
【
図24】本発明の一実施形態による
図7-22に示されたウェハ洗浄プロセスを実行するための別のウェハ洗浄装置の断面図である。
【
図25】本発明の一実施形態による音波エネルギーを採用したウェハ洗浄プロセスの動作パラメータをモニタリングするための制御システムを示す図である。
【
図26】本発明の一実施形態による
図25に示す検出システムのブロック図である。
【
図27】本発明の別の一実施形態による
図25に示す検出システムのブロック図である。
【
図28A】本発明の一実施形態による
図26に示す電圧減衰回路の例を示す図である。
【
図28B】本発明の一実施形態による
図26に示す電圧減衰回路の例を示す図である。
【
図28C】本発明の一実施形態による
図26に示す電圧減衰回路の例を示す図である。
【
図29A】本発明の一実施形態による
図26に示す整形回路の例を示す図である。
【
図29B】本発明の一実施形態による
図26に示す整形回路の例を示す図である。
【
図29C】本発明の一実施形態による
図26に示す整形回路の例を示す図である。
【
図31】ホストコンピュータが音波電源を停止した後で、音波電源が数回振動している様子を示す図である。
【
図32A】本発明の一実施形態による
図27に示す振幅検出回路の例を示す図である。
【
図32B】本発明の一実施形態による
図27に示す振幅検出回路の例を示す図である。
【
図32C】本発明の一実施形態による
図27に示す振幅検出回路の例を示す図である。
【
図33】本発明の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示すフローチャートである。
【
図34】本発明の別の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様は、音波エネルギーを用いた半導体ウェハ洗浄における気泡キャビテーションの制御に関する。以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1A及び
図1Bは、本発明の一実施形態による超音波または高周波超音波装置を使用するウェハ洗浄装置を示す図である。
図1Aは、ウェハ1010を保持するウェハチャック1014と、ウェハチャック1014を駆動する回転駆動モジュール1016と、ウェハ1010の表面に洗浄液1032を供給するノズル1012とを含むウェハ洗浄装置の断面図である。洗浄液1032は、洗浄化学物質又は脱イオン水であってよい。また、ウェハ洗浄装置は、ウェハ1010の上方に配置された超音波又は高周波超音波デバイス1003を含む。そして、ウェハ1010の回転及びノズル1012からの洗浄液1032の一定の流れに伴って、ウェハ1010と音波デバイス1003との間に、厚さdの洗浄液1032の膜が維持される。超音波又は高周波超音波デバイス1003は、清浄液と接触する共振器1008に音響的に結合された圧電トランスデューサ1004をさらに含んでいる。圧電トランスデューサ1004は電気的に励起されて振動し、共振器1008は洗浄液1032に高周波音波エネルギーを伝達する。高周波音響エネルギーによって発生した気泡のキャビテーションは、ウェハ1010の表面にある異物、すなわち汚染物質を振動させ、そこから除去させる。
【0012】
再び
図1Aを参照すると、ウェハ洗浄装置はアーム1007も含んでいる。アーム1007は、音波デバイス1003を垂直方向Zに移動させることによって液膜厚さdを変化させるために、音波デバイス1003に結合されている。垂直駆動モジュール1006は、アーム1007を垂直方向に移動させる。垂直駆動モジュール1006及び回転駆動モジュール1016の両方は、制御装置1088によって制御される。
【0013】
図1Aに示すウェハ洗浄装置の平面図である
図1Bに示すように、音波デバイス1003は、ウェハ1010の小さな領域のみを覆っている。したがって、ウェハ1010は、その全体にわたって均一な音波エネルギーを受け取るために回転しなければならない。
図1A及び
図1Bには1つの音波デバイス1003だけが示されているが、他の実施形態では、複数の音波デバイスが同時にまた間欠的に用いられてもよい。同様に、2個以上のノズル1012が、洗浄液1032をより均一に吹き付けるために使用されてもよい。
【0014】
図2A~
図2Gは、超音波または高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
図2Aは三角形又はパイ形状を示し、
図2Bは矩形を示し、
図2Cは八角形を示し、
図2Dは楕円形を示し、
図2Eは半円形状を示し、
図2Fは1/4円形状を示し、
図2Gは真円形状を示している。これらの形状の各々における音波トランスデューサが、
図1に示す音波デバイス1003の圧電トランスデューサ1004の代わりに使用されてもよい。
【0015】
図3は、ウェハ洗浄プロセス中における気泡の内破を示す図である。気泡3012の形状は、音波エネルギーが気泡3012に印加されるにつれて、球状Aからリンゴ形状Gへと徐々に圧縮される。最終的に、気泡3012は、内破状態Iに達し、マイクロジェットを形成する。
図4A及び
図4Bに示すように、マイクロジェットは非常に猛烈な(数千気圧及び数千℃に達することもある)、特にパターン構造要素のサイズtが70nm以下に収縮すると、半導体ウェハ4010上の微細パターン構造4034に損傷を与えうる。
【0016】
図4A及び
図4Bは、ウェハ洗浄プロセスにおいてウェハ上のパターン構造に損傷を与えるトランジットキャビテーションを示す図である。
図4Aに示すように、気泡4040、4042及び4044は、半導体ウェハ4010にあるパターン構造4034の上方における音波キャビテーションによって形成される。パターン構造4034は、これらに限定されるものではないが、フィン、ビアホール、トレンチ等を含む、洗浄される必要がある複数の要素を含む。気泡4044は、数1000気圧及び数1000℃に達する非常に猛烈なマイクロジェットとなる。
図4Bに示すように、マイクロジェットが発生すると、パターン構造4034の一部が吹き飛ばされる。このような損傷は、70nm以下のデバイス要素サイズを有するウェハに対してより深刻である。
【0017】
図5A~
図5Cは、ウェハ洗浄プロセスにおいて気泡5016内部の熱エネルギーの変化を示す図である。気泡5016に音波正圧が作用すると、気泡5016は、
図5Aに示すように、その体積を減少させる。この体積が収縮する過程で、音波圧力P
Mが気泡5016に作用し、機械的仕事が気泡5016内にて熱エネルギーに変換される。したがって、気泡5016内部の気体及び/又は蒸気の温度Tは、
図5Bに示すように、増加する。様々なパラメータ間の関係は、次の式によって表すことができる。
【0018】
p0v0/T0=pv/T (1)
【0019】
ここで、p0は圧縮前の気泡内の圧力、v0は圧縮前の気泡5016の初期体積、T0は圧縮前の気泡内部の気体の温度であり、pは圧縮中における気泡内部の圧力、vは圧縮中における気泡の体積、Tは圧縮中における気泡内部の気体の温度である。
【0020】
計算を単純化するために、圧縮中には気体の温度が変化しない、又は、圧縮が非常にゆっくりで、気泡周辺の液体によって温度上昇が相殺されると仮定する。この場合、一回の気泡圧縮(体積N単位から体積1単位、つまり圧縮比=N)中における、音波圧力P
Mによる機械的仕事w
mは以下のように表すことができる。
【数1】
【0021】
ここで、Sはシリンダの断面積、X0はシリンダの長さ、p0は圧縮前におけるシリンダ内部の気体圧力である。上記式(2)では、圧縮中における温度上昇要因を考慮していないため、気泡内の実際の圧力は温度上昇のためにより高くなる。したがって、音波圧力による実際の機械的仕事は、式(2)によって計算されるものよりも大きくなる。
【0022】
音波圧力による機械的仕事の一部が、気泡内部の高圧気体及び/又は蒸気の熱エネルギー及び部分的に機械的エネルギーに変換され、その熱エネルギーは気泡内部の温度上昇に完全に寄与する(気泡の周囲の液体分子にエネルギーが移らない)と仮定し、さらに、気泡内部の気体の質量が圧縮の前後で一定のままであると仮定すると、気泡の1回の圧縮を経ることによる温度上昇ΔTは、以下の式によって表すことができる。
【0023】
ΔT=Q/(mc)=βwm/(mc)=βSx0p0ln(x0)/(mc) (3)
【0024】
上記式で、Qは機械的仕事から変換された熱エネルギーであり、βは音波圧力によるトータルの機械的作用に対する熱エネルギーの比であり、mは気泡内部の気体の質量であり、cは気体比熱係数である。β=0.65、S=1E-12m2、x0=1000μm=1E-3m(圧縮比N=1000)、p0=1kg/cm2=1E4kg/m2、m=8.9E-17kg(水素ガスの場合)、c=9.9E3J/(kg0k)を上記式(3)に代入すると、ΔT=50.9℃となる。
【0025】
図5Bに示すように、気泡が最小サイズの1ミクロンに達したとき、最初の圧縮後の気泡内の気体温度T
1は以下の通り計算される。
【0026】
T1=T0+ΔT=20℃+50.9℃=70.9℃ (4)
【0027】
このような高温下では、気泡周辺の液体分子には蒸発するものもある。その後、音波圧力が負になり、気泡サイズが拡大し始める。この逆プロセスでは、圧力P
Gを有する高温気体及び/又は蒸気が、周囲の液体表面に仕事をすることになる。同時に
図5Cに示すように、音波圧力P
Mが、気泡を膨張方向に引っ張るため、負の音波圧力P
Mも周囲の液体に部分的に仕事をする。これらの作用が協働する結果、気泡内部の熱エネルギーが完全に放出されたり機械的エネルギーに変換されたりすることができないため、元の気体温度T
0又は液体温度にまで気泡内部の気体の温度を冷却することができない。キャビテーションの第1サイクルの後、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度T
2は、
図6Bに示すように、T
0とT
1の間のいずれかとなる。ここで、T
2を以下のように表すことができる。
T
2=T
1-δT=T
0+ΔT-δT (5)
ここで、δTは気泡が一回膨張した後の温度低下幅であり、δTはΔΔTより小さい。
気泡キャビテーションの第2サイクルが最小気泡サイズに達すると、気泡内の気体及び/又は蒸気の温度T
3は、以下の通りとなる。
T
3=T
2+ΔT=T
0+ΔT-δT+ΔT=T
0+2ΔT-δT (6)
気泡キャビテーションの第2サイクルが終了すると、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度T
4は、以下のようになる。
T
4=T
3-δT=T
0+2ΔT-δT-δT=T
0+2ΔT-2δT (7)
同様に、気泡キャビテーションのn番目のサイクルが最小気泡サイズに達したとき、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度T
2n-1は、以下の通りである。
T
2n-1=T
0+nΔT-(n-1)δT (8)
【0028】
気泡キャビテーションのn番目サイクルが終了すると、気泡内の気体及び/又は蒸気の温度T2nは、以下のようになる。
T2n=T0+nΔT-nδT=T0+n(ΔT-δT) (9)
式(8)から、内破サイクル数niは以下のように表すことができる。
ni=(Ti-T0-ΔT)/(ΔT-δT)+1 (10)
式(10)から、内破時間τiは以下のように表すことができる。
τi=nit1=t1((Ti-T0-ΔT)/(ΔT-δT)+1)
=ni/f1=((Ti-T0-ΔT)/(ΔT-δT)+1)/f1 (11)
ここで、t1はサイクル周期であり、f1は超音波/高周波超音波の周波数である。
【0029】
式(10)及び(11)により、内破サイクル数n
i及び内破時間τ
iを計算することができる。T
i=3000℃、ΔT=50.9℃、T
0=20℃、f
1=500KHz、1MHz、2MHzと仮定したときにおける、内破サイクル数n
i、内破時間τ
i、及び、(ΔT-δT)の計算された関係を表1に示す。
【表1】
【0030】
図6A~
図6Cは、マイクロジェットが最終的に発生し、処理パラメータが式(1)~(11)に従う場合における、音波ウェハ洗浄プロセスを示す。
図6Aに示すように、洗浄液中に気泡キャビテーションを発生させるために、音波デバイスに電力(P)が連続的に供給される。気泡キャビテーションのサイクル数nが増加するにつれて、気体及び/又は蒸気の温度は、
図6Bに示されるように増加する。そのため、気泡表面のより多くの分子が、気泡6082の内部へ向かって蒸発し、その結果、
図6Cに示すように、時間の経過と共にそのサイズが増加する。最終的に、圧縮中における気泡6082内の温度は、内破温度T
iに達し(通常、T
iは数1000℃程度と高くなる)、
図6Cに示すように、激しいマイクロジェット6080が発生する。したがって、洗浄中におけるウェハのパターン構造の損傷を回避するために、安定したキャビテーションが維持されなければならず、気泡の内破つまりマイクロジェットは回避されなければならない。
【0031】
図7A~
図7Eは、本発明の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
図7Aは、洗浄液中に気泡キャビテーションを発生させるために、音波デバイスに間欠的に供給される電源出力の波形を示す。
図7Bは、キャビテーションの各サイクルに対応する温度曲線を示す。
図7Cは、キャビテーションの各サイクル中に、期間τ
1においては気泡サイズが増加し、期間τ
2において電力供給が終了したときに減少することを示している。
【0032】
本発明の第1の実施形態による気泡内破を回避するための詳細な処理の複数工程が、
図7Dに示されている。この処理は、超音波又は高周波超音波デバイスを洗浄中のウェハの上面近傍に配置する工程7010から始まる。工程7020において、化学物質又は気体がドープされた水のいずれかである洗浄液をウェハ上に導入し、ウェハと音波デバイスとの間のギャップを洗浄液で満たす。工程7030において、チャックによって保持されたウェハの回転又は振動を開始させる。工程7040において、周波数f
1及び電力レベルP1を有する電源を、音波デバイスに印加する。工程7050において、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が内破温度T
iに達するか、又は期間τ
1が式(11)によって計算される時間τ
iに達する前に、電源出力を0とする。すると、洗浄液の温度が気体温度よりもはるかに低いため、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が低下し始める。工程7060において、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が室温T
0まで低下した後、又は持続時間がτ
2に達した後(期間τ
2の間、電源出力は0とされる)、電源出力を、周波数f
1及び電力レベルP1に復帰させる。工程7070において、ウェハの清浄度を検査する。そして、ウェハが所望の程度までまだ清浄になっていない場合、工程7010から工程7060までを繰り返す。代替的には、清浄度の検査をサイクル毎に行わなくてもよい。実用されるサイクルの数を、サンプルウェハを使用して予め実験によって決定してもよい。
【0033】
再び
図7Dを参照すると、工程7050において、気泡の内破を回避するために、期間τ
1は式(11)を用いて計算されるτ
iよりも短くなければならない。工程7060において、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度は、室温又は洗浄液温度まで冷却される必要がない。むしろ、それは、室温又は洗浄液温度よりも高い温度であることができる。好ましくは、この温度は、内破温度T
iよりも十分に低い。
【0034】
式(8)及び(9)によれば、(ΔT-δT)が分かっている場合には、内破時間τiを計算することができる。しかし、通常、(ΔT-δT)は、計算することができず、容易に直接的な測定をすることができない。一方において、τiは実験によって決定することができる。
【0035】
図7Eは、内破時間τ
iを実験によって決定するための処理を示すフローチャートである。まず、工程7210において、5つの異なる期間τ
1を、表1に基づいて実験計画法(DOE)条件として例示的に選択する。工程7220において、期間τ
2を、選択された期間τ
1の少なくとも10倍、第1のスクリーニング試験では好ましくは100倍長い時間に設定する。工程7230において、電力レベルをP
0に固定し、上記の5つのDOE条件で、同じ特定パターン構造を有する5つの異なるウェハを別々に洗浄する。ここで、P
0は
図6Aに示すような連続モード(非パルスモード)を行うと、パターン構造が確実に損傷する電力レベルである。工程7240において、5枚のウェハの損傷状態を、電子顕微鏡(SEM)又はAMAT SEMビジョン又はHitachi IS3000のようなウェハパターン損傷調査ツールによって検査する。これにより、内破時間τ
iを特定の範囲に狭めることができる。損傷したパターン構造要素のパーセンテージは、SEMによって検査された損傷したパターン構造要素の総数を、パターン構造要素の総数で除算することによって計算することができる。損傷したパターン構造要素のパーセンテージを決定するその他の方法が存在してもよい。例えば、損傷したパターン構造要素の割合の指標として、最終的なウェハ歩留まりが使用されてもよい。
【0036】
上記の工程7210~7240を繰り返すことにより、内破時間τiの範囲を狭くすることができる。内破時間τiを取得した後、期間τ1を、安全マージンのために0.5*τiより小さい値に設定してもよい。以下の段落は、そのような実験の例を記載している。
【0037】
パターン構造が55nmのポリシリコンゲートラインによって形成されると仮定すると、超音波周波数は1MHzであり、この超音波は、ウェハ内及びウェハからウェハへの均一なエネルギー付与量を達成するために、ギャップ発振モード(PCT出願番号PCT/CN2008/073471号の明細書に開示されている)で動作するProsys社によって製造された超音波/高周波超音波デバイスによって生成される。他の実験パラメータおよび最終的なパターン損傷データを以下の表2にまとめる。
【表2】
【0038】
実験では、τ1=2ms(2000サイクル)の場合、上述の音波洗浄プロセスによって、55nmの要素サイズを有するパターン構造に対して1216個の損傷部位が発生する。τ1=0.1ms(100サイクル)の場合、音波洗浄プロセスによって、同じパターン構造に対してゼロ(0)個の損傷部位が発生する。したがって、内破時間τiは、0.1msから2msの間の値である。よりτ1の範囲を狭くした追加の試験によって、τiの範囲をより狭くすることができる。
【0039】
上記の実験では、サイクル数は、超音波又は高周波超音波のパワー密度及び周波数に依存しており、パワー密度が大きいほどサイクル数が少なく、周波数が低いほどサイクル数が少ない。上記の実験から、超音波又は高周波超音波のパワー密度が0.1ワット/cm2より大きく、超音波又は高周波超音波の周波数が1MHz以下である場合、損傷のないサイクル数は2,000より小さいと予測することができる。周波数が1MHzより大きな範囲に上昇するか、電力密度が0.1watts/cm2未満になれば、サイクル数が上昇することが予測される。
【0040】
期間τ1を取得した後、上記したのと同様のDOE法に基づいて、期間τ2を実験によって取得することができる。この場合、τ1は所定の値に固定され、パターン構造に損傷が観察されるまで、各DOEを行う際にτ2を徐々に短くする。期間τ2が短くなるにつれて、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が十分に低下できず、気泡内部の気体及び/又は蒸気の平均温度が徐々に増加し、最終的には気泡の内破を引き起こす。この内破を引き起こす時間を、臨界冷却時間τcという。臨界冷却時間τcを知ることによって、安全マージンをとって期間τ2を2*τcよりも大きい値に設定することができる。
【0041】
したがって、洗浄プロセスの複数のパラメータは、音波エネルギーを付与することによる洗浄効果によって生じる歩留まり向上が、前記音波エネルギーを付与することによる損傷によって生じる歩留まり低下よりも大きくなるように決定されてもよい。損傷率についての所定の閾値が、例えば顧客によって指定されてもよい。洗浄プロセスのパラメータは、損傷の割合が所定の閾値よりも小さく、又は実質的に0若しくは0丁度となるように決定されてもよい。所定の閾値は、例えば、10%、5%、2%又は1%であってよい。損傷率は、ウェハ製造の最終歩留まりが、洗浄プロセスによって引き起こされるいかなる損傷の影響も実質的に受けない場合、実質的に0である。換言すれば、洗浄プロセスによって引き起こされる損傷は、製造プロセス全体の観点から許容可能である。損傷率は、上述のように、電子顕微鏡を使用してサンプルウェハを検査することによって決定することができる。
【0042】
図8A~
図8Dは、本発明の別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。この音波ウェハ洗浄プロセスでは、電源Pの振幅を、
図7A及び
図7Dの工程7040のように一定のレベルP1に維持するのではなく、時間とともに変化させるが、その他の面では
図7A~7Dに示したものと同じままである。一実施形態では、
図8Aに示すように、電源の振幅Pが、期間τ
1の間に増大する。別の実施形態では、
図8Bに示すように、電源振幅Pが、期間τ
1の間に減少する。さらに別の実施形態では、
図8Cに示すように、電源振幅Pが、期間τ
1の最初に減少し、その後、増加する。
図8Dに示す実施形態では、電源振幅Pが、期間τ
1の最初に増加し、その後、減少する。
【0043】
図9A~
図9Dは、本発明のさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。この音波ウェハ洗浄プロセスでは、電源の周波数を、
図7A及び
図7Dの工程7040のように一定値f
1に維持するのではなく、時間とともに変化させるが、その他の面では
図7A~7Dに示したものと同じままである。一実施形態では、
図9Aに示すように、電源の周波数が、期間τ
1の最初にf
1で、次にf
3となる。ここでf
1はf
3よりも高い周波数である。
図9Bに示すように、一実施形態では、電源の周波数が、期間τ
1の最初にf
3で、その後にf
1へと高くなる。
図9Cに示すように、一実施形態では、電源の周波数が、期間τ
1の間にf
3からf
1に変化し、次いで、f
3に戻る。
図9Dに示すように、一実施形態では、電源の周波数が、期間τ
1の間にf
1からf
3に変化し、次いで、f
1に戻る。
【0044】
図9Cに示す洗浄プロセスと同様に、一実施形態では、電源周波数は、期間τ
1においてまずf
1に設定され、その後f
3に設定され、最後にf
4に設定される。ここで、f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さい。
【0045】
さらに、
図9Cに示す洗浄プロセスと同様に、一実施形態では、電源周波数は、期間τ
1においてまずf
4に設定され、その後f
3に設定され、最後にf
1に設定される。ここで、f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さい。
【0046】
さらに、
図9Cに示す洗浄プロセスと同様に、一実施形態では、電源周波数は、期間τ
1においてまずf
1に設定され、その後f
4に設定され、最後にf
3に設定される。ここで、f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さい。
【0047】
さらに、
図9Cに示す洗浄プロセスと同様に、一実施形態では、電源周波数は、期間τ
1においてまずf
3に設定され、その後f
4に設定され、最後にf
1に設定される。ここで、f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さい。
【0048】
さらに、
図9Cに示す洗浄プロセスと同様に、一実施形態では、電源周波数は、期間τ
1においてまずf
3に設定され、その後f
1に設定され、最後にf
4に設定される。ここで、f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さい。
【0049】
さらに、
図9Cに示す洗浄プロセスと同様に、一実施形態では、電源周波数は、期間τ
1においてまずf
4に設定され、その後f
1に設定され、最後にf
3に設定される。ここで、f
4がf
3より小さく、f
3がf
1より小さい。
【0050】
図10A~
図10Cは、本発明のまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。
図10Aを参照すると、
図7Aに示される洗浄プロセスと同様に、期間τ
1において、電力レベルP1及び周波数f
1を有する電源が、音波デバイスに印加される。しかし、期間τ
2において、電力を、
図7Aに示すように0に落とすのではなく、レベルP2まで低下させる。したがって、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度は、
図10Bに示すように、T
0+ΔT
2まで低下する。
【0051】
図10Cは、
図10A及び
図10Bに示されるウェハ洗浄プロセスの処理を示すフローチャートである。工程10010において、超音波又は高周波超音波デバイスを、洗浄中のウェハの上面近傍に配置する。工程10020において、化学物質又は気体がドープされた水のいずれかである洗浄液をウェハ上に導入し、ウェハと音波デバイスとの間のギャップを洗浄液で満たす。工程10030において、ウェハを保持するチャックを、洗浄プロセスのために回転させ始める。工程10040において、周波数f
1及び電力レベルP1を有する電源を、音波デバイスに印加する。工程10050において、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が内破温度T
iに達するか、又は期間τ
1が式(11)によって計算される期間τ
iに達する前に、周波数をf
1に維持しつつ、電力レベルをP2に下げる。工程10060において、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が室温T
0近傍まで低下した後、又は持続時間がτ
2に達した後、電力レベルをP1に復帰させる。工程10070において、ウェハの清浄度を検査する。そして、ウェハが所望の程度までまだ清浄になっていない場合、工程10010から工程10060までを繰り返す。代替的には、清浄度の検査をサイクル毎に行わなくてもよい。実用されるサイクルの数を、サンプルウェハを使用して予め実験によって決定してもよい。
【0052】
図11A~
図11Bは、本発明のまたさらに別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。この音波ウェハ洗浄プロセスは、
図10A~
図10Cに示されたものと同様であり、相違点は、工程10050のみである。
図11A及び
図11Bに示すウェハ洗浄プロセスでは、電源周波数をf
1に維持する代わりに、期間τ
2の間、周波数をf
2に低下させる。気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度を室温T
0近傍まで低下させられるように、電力レベルP2は、P1よりも十分に小さく、好ましくは1/5又は1/10であるべきである。
【0053】
図12A~
図12Bは、本発明のさらにまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。本洗浄プロセスと
図10A~
図10Cに示すものとの間の差は、工程10050のみである。本ウェハ洗浄工程では、期間τ
2における電力レベルP2をP1と実質的に同じとしつつ、電源周波数をf
2に高める。
【0054】
図13A~
図13Bは、本発明のさらなる別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。本洗浄プロセスと
図10A~
図10Cに示すものとの間の差は、工程10050のみである。本ウェハ洗浄工程では、期間τ
2における電力レベルをP1からP2へと低下させつつ、電源周波数をf
2に高める。
【0055】
図14A~
図14Bは、本発明のまた別の一実施形態による音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。本洗浄プロセスと
図10A~
図10Cに示すものとの間の差は、工程10050のみである。本ウェハ洗浄工程では、期間τ
2における電力レベルをP1からP2へと増大させつつ、電源周波数をf
1からf
2に高める。周波数f
2はf
1よりも高いために音波エネルギーは気泡をそれほど強く加熱しないので、電力レベルP2は、P1よりわずかに高くてもよいが、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が
図14Bに示すように期間τ
2の間に減少することを確実にするためには、高すぎてはならない。
【0056】
図15A~15Cは、音波ウェハ洗浄プロセスにおいてウェハ上のパターン構造に損傷を与える安定したキャビテーションを示す図である。
図15Aに示すように、ウェハ15010上には、間隔Wを有するパターン構造15034が形成されている。キャビテーションプロセスで形成されたいくつかの気泡15046は、パターン構造15034の間隙中にある。
図15Bに示すように、気泡キャビテーションが継続するにつれて、気泡15048内の気体及び/又は蒸気の温度が上昇し、気泡15048のサイズが増大する。気泡15048の大きさが間隔Wよりも大きくなると、
図15Cに示すように、気泡キャビテーションの膨張力によって、パターン構造15034を損傷させる可能性がある。したがって、新しいウェハ洗浄プロセスが必要とされる。
【0057】
図15Cに示された気泡膨張によって引き起こされる損傷部位は、
図4Bに示された気泡内破による損傷部位よりも小さくてよい。例えば、気泡の膨張は、100nmのオーダーの損傷部位をもたらす可能性があり、一方で気泡の内破は、1μmのオーダーのより大きな損傷部位をもたらす場合がある。
【0058】
図15Dは、本発明の一実施形態による代替的なウェハ洗浄プロセスを示すフローチャートである。代替のウェハ洗浄プロセスは、超音波又は高周波超音波デバイスを、洗浄中のウェハの上面近傍に配置する工程15210から始まる。工程15020において、化学物質又は気体がドープされた水のいずれかである洗浄液をウェハ上に導入し、ウェハと音波デバイスとの間のギャップを洗浄液で満たす。工程15230において、チャックによって保持されたウェハの回転又は振動を開始させる。工程15240において、周波数f
1及び電力レベルP1を有する電源を、音波デバイスに印加する。工程15250において、気泡のサイズが間隔Wの値に達する前に、電源出力を0とする。すると、洗浄液の温度が気体温度よりもはるかに低いため、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が低下し始める。工程15260において、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が室温T
0まで低下した後、又は持続時間がτ
2に達した後(期間τ
2の間、電源出力は0とされる)、電源出力を、周波数f
1及び電力レベルP1に復帰させる。工程15270において、ウェハの清浄度を検査する。そして、ウェハが所望の程度までまだ清浄になっていない場合、工程15210から工程15260までを繰り返す。代替的には、清浄度の検査をサイクル毎に行わなくてもよい。実用されるサイクルの数を、サンプルウェハを使用して予め実験によって決定してもよい。
【0059】
再び
図15Dを参照すると、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度は、室温T
0まで冷却される必要がないが、好ましくは、内破温度T
iよりはるかに低い温度に冷却されるべきである。工程15250では、気泡の膨張力がパターン構造15034を破損又は損傷しない限り、気泡の大きさをパターン構造15034の間隔Wより若干大きくすることができる。
【0060】
再び
図15Dを参照すると、工程15240の持続時間は、
図7Eに示す手順から、τ
1として実験によって取得することができる。いくつかの実施形態では、
図7-14に示すウェハ洗浄プロセスを、
図15に示すウェハ洗浄プロセスと組み合わせることができる。
【0061】
図16A~
図16Cは、本発明の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示す図である。このウェハ洗浄プロセスは、
図7Dの工程7050を除いて、
図7A~
図7Eに示したものと同様である。このウェハ洗浄プロセスでは、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が、内破温度T
iに達するか、又は持続時間τ
1が式(11)によって計算されるτ
iに達する前に、電源出力を、
図16Aに示される正のDC値又は
図16B及び16Cに示される負のDC値に設定する。その結果、洗浄液の温度が気体及び/又は蒸気の温度よりもはるかに低いため、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が低下し始める。いくつかの実施形態では、正又は負のいずれのDC出力の振幅についても、洗浄液中の気泡キャビテーションを生成するための期間τ
1に印加される電力レベルP1の振幅よりも大きくても(図示せず)、等しくても(
図16A及び
図16B参照)、小さくても(
図16C参照)よい。
【0062】
図17は、本発明の別の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示す図である。このウェハ洗浄プロセスはまた、
図7Dの工程7050を除いて、
図7A~
図7Eに示すものと同様である。 このウェハ洗浄工程は、期間τ
1に印加されるのと同じ周波数f
1を維持しつつ、電源出力の位相を反転させ、その結果、気泡キャビテーションを迅速に停止させることができる。その結果、洗浄液の温度が気体及び/又は蒸気の温度よりもはるかに低いため、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が低下し始める。
【0063】
再び
図17を参照すると、期間τ
2における電力レベルは、P2であり、これは、それぞれ異なる実施形態において、期間τ
1における電力レベルであるP1より大きい、P1に等しい、又は、P1より小さいものであってよい。一実施形態では、期間τ
2における電源周波数は、位相が反転されていれば、f
1とは異なるものであってよい。いくつかの実施形態では、超音波又は高周波超音波電源の周波数f
1は、0.1MHzから10MHzまでの間である。
【0064】
図18A~18Jは、半導体ウェハのビアホールまたはトレンチ内における新鮮な洗浄液の循環を向上させる気泡キャビテーション制御を示す図である。
図18Aは、ウェハ18010内に形成された複数のビアホール18034の断面図である。ここで、ビアホール開口の直径をW1として示している。音波エネルギーによってビアホール18034内に生成された気泡18012は、残留物及びそこからの粒子などの不純物の除去を促進する。
図18Bは、
図18Aに示されたビアホールの平面図である。
【0065】
図18Cは、ウェハ18010内に形成された複数のトレンチ18036の断面図である。同様に、音波エネルギーによってトレンチ18036内に生成された気泡18012は、残留物及びそこからの粒子などの不純物の除去を促進する。
図18Dは、
図18Cに示されたトレンチ18036の平面図である。
【0066】
ビアホール18034、トレンチ18036又は別の凹部領域といったパターン構成要素の中に含まれ得る気泡の最大量によって、飽和点Rsを定義する。気泡の量が飽和点Rsを超えると、洗浄液が気泡によって遮断され、ビアホール18034又はトレンチ18036の側壁の底部に到達しにくくなり、洗浄性能が悪影響を受けることになる。気泡の量が飽和点Rs未満であると、ビアホール18034又はトレンチ18036といったパターン構成要素の内側で洗浄液に十分な有効性があり、良好な洗浄性能を得ることができる。
【0067】
飽和点未満では、ビアホール又はトレンチすなわち凹部空間VVTRの体積に対する総気泡体積VBの比Rは、以下の通りである。
R=VB/VVTR<Rs
そして、飽和点Rsにおける比Rは以下の通りである。
R=VB/VVTR<Rs
ビアホール18034、トレンチ18036又は他の凹部空間といったパターン構成要素における全気泡の体積は、以下の通りである。
VB=N*VB
ここで、Nは、パターン構成要素内の気泡の数であり、VBは、単一の気泡の平均体積である。
【0068】
図18E~
図18Hに示されるように、超音波又は高周波超音波エネルギーが洗浄液に印加されたとき、気泡18012のサイズはある程度の体積まで徐々に膨張し、これにより、ビアホール又はトレンチすなわち凹部空間V
VTRの体積に対する総気泡体積V
Bの比Rは、飽和点R
s近傍又はそれよりも大きくなる。膨張した気泡18012は、ビアホール又はトレンチにおける洗浄液の入れ替え及び不純物除去の経路を遮断する。このような場合、音響エネルギーがビアホール又はトレンチに効率的に移動してそれらの底部及び側壁に達することができず、粒子、残渣及び他の不純物18048は、ビアホール又はトレンチ内にトラップされる。これは、臨界寸法W1がより小さくなる高度な半導体プロセスで容易に発生し得る。
【0069】
図18I~
図18Jに示されるように、超音波又は高周波超音波エネルギーによる気泡18012のサイズ拡大は限界内であり、ビアホール、トレンチ又は凹部空間V
VTRの体積に対する総気泡体積V
Bの比Rは、飽和点R
sよりもはるかに低い。新鮮な洗浄液18047は、パターン構造要素内部の小さな気泡キャビテーションのために、ビアホール又はトレンチ内で自由に循環し、その結果、例えば、残留物及び粒子のような不純物18048は、パターン構造要素から容易に押し出されて良好な洗浄性能が得られる。
【0070】
ビアホール又はトレンチといったパターン構造要素における気泡の総体積は気泡の数及びサイズによって決定されるので、キャビテーションによる気泡サイズの膨張を制御することは、高アスペクト比のパターン構造要素を有するウェハの洗浄性能にとって重要である。
【0071】
図19A~19Dは、音波エネルギーに応じた気泡体積の変化を示す図である。キャビテーションの第1のサイクル中、気泡の体積は、正の音波パワーサイクルを経てV
0からV
1に圧縮され、それから負の音波パワーサイクルを経てV
2まで膨張する。しかし、V
2に対応する気泡の温度T
2は、V
0に対応する温度T
0よりも高くなるので、
図19Bに示すように、体積V
2は体積V
0よりも大きくなる。この体積増加は、気泡を取り囲む液体分子がより高い温度下で蒸発することによって引き起こされる。同様に、2回目の圧縮後の気泡の体積V
3は、
図19Bに示されるように、V
1とV
2の間のいずれかの値となる。V
1、V
2及びV
3を以下のように表すことができる。
V
1=V
0-ΔV (12)
V
2=V
1+δV (13)
V
3=V
2-ΔV=V
1+δV-ΔV=V
0-ΔV+δV-ΔV=V
0+δV-2ΔV (14)
【0072】
ここで、ΔVは、超音波/高周波超音波によって生成される正圧による1回の圧縮を経ることによる気泡の体積圧縮量であり、δVは、超音波/高周波超音波によって生成される負圧による1回の膨張を経ることによる気泡の体積増加量であり、(δV-ΔV)は、式(5)によって算出される1サイクルを経ることによる温度上昇(ΔT-δT)による体積増加量である。
【0073】
気泡キャビテーションの第2のサイクルを経ても、温度が上昇し続け、気泡がより大きなサイズまで膨張する。気泡内部の気体及び/又は蒸気の体積V4は、以下のようになる。
V4=V3+δV=V0+δV-2ΔV+δV=V0+2(δV-ΔV) (15)
3回目の圧縮後、気泡内部の気体及び/又は蒸気の体積V5は、以下のようになる。
V5=V4-ΔV=V0+2(δV-ΔV)-ΔV=V0+2δV-3ΔV (16)
【0074】
同様に、気泡キャビテーションのn番目のサイクルが最小気泡サイズに達したとき、気泡内部の気体及び/又は蒸気の体積V2n-1は、以下の通りである。
V2n-1=V0+(n-1)δV-nΔV=V0+(n-1)δV-nΔV (17)
【0075】
気泡キャビテーションのn番目サイクルが終了したとき、気泡内の気体及び/又は蒸気の体積V2nは、以下のようになる。
V2n=V0+n(δV-ΔV) (18)
【0076】
十分な物理的移動可能性を有する値又は飽和点未満となる所望の体積Viに気泡の体積を制限し、ビアホール、トレンチ、又はその他の凹部領域といったパターン構造要素での洗浄液入れ替えが遮断されるのを防止するために、サイクル数niは、次のように表すことができる。
ni=(Vi-V0-ΔV)/(δV-ΔV)+1(19)
【0077】
式(19)から、Viを達成するための所望の時間τiは、以下のように表すことができる。
τi=nit1=t1((Vi-V0-ΔV)/(δV-ΔV)+1)
=ni/f1=((Vi-V0-ΔT)/(δV-ΔV)+1)/f1 (20)
ここで、t1はサイクル周期であり、f1は超音波/高周波超音波の周波数である。したがって、気泡寸法がパターン構造要素の遮断レベルに達するのを防止するための所望のサイクル数ni及び所望の時間τiは、式(19)及び式(20)から計算することができる。
【0078】
気泡キャビテーションのサイクル数nが増加すると、気泡内部の気体及び/又は蒸気の温度が上昇し、そのため気泡表面のより多くの分子が気泡内部へと蒸発することに留意されたい。したがって、気泡19082のサイズは、さらに増加することになって、式(18)によって計算される値よりも大きくなる。動作中において、気泡サイズは、以下に開示される実験方法によって決定されるので、温度上昇に起因した気泡内部表面への液体又は水の蒸発によって影響される気泡の大きさは、ここでは、理論的な詳細を議論しない。平均単一気泡体積が増加するにつれて、
図19Dに示すように、ビアホール、トレンチ、又は他の凹部空間の体積V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rは、R
0から連続的に増加する。
【0079】
気泡体積が増加するにつれて、気泡の直径は、最終的には、
図18A及び
図18Bに示すビアホール18034又は
図18C及び
図18Dに示すトレンチ18036のパターン構造要素W1と同じサイズ又は同じオーダーのサイズに達することになる。そして、特にアスペクト比(深さ/幅)が3以上の場合、ビアホール18034及びトレンチ18036の内部の気泡は、超音波/高周波超音波エネルギーがこれら底部へとさらに入らないように遮断する。したがって、そのような深いビアホール又はトレンチの底部の汚染物質又は粒子は、効果的に除去又は洗浄することができない。そこで、ビアホール又はトレンチのパターン構造要素における洗浄液の入れ替え経路を遮断するような臨界的寸法まで気泡が成長するのを防止するための、新しい洗浄処理が提案される。
【0080】
図20A~
図20Dは、本発明の一実施形態による高いアスペクト比のビアホール及びトレンチといったパターン構造要素を効果的に洗浄する音波ウェハ洗浄プロセスを示す図である。このウェハ洗浄プロセスは、音波エネルギーによるキャビテーションにおける気泡のサイズを制限する。
図20Aは、期間τ
1においては電力レベルがP1とされ、期間τ
2においてはオフにされる電源出力の波形を示している。
図20Bは、キャビテーションの各サイクルに対応する気泡体積曲線を示している。
図20Cは、キャビテーションの各サイクルにおける気泡サイズが膨張する様子を示している。
図20Dは、ビアホール、トレンチ、又は他の凹部空間の体積V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rの曲線を示している。
【0081】
R=VB/VVTR=Nvb/VVTR
上記の式によると、平均単一気泡体積が、期間τ1において、所定のサイクル数nを経て音波キャビテーションによって膨張する場合、ビアホール、トレンチ、又は他の凹部空間の体積VVTRに対する総気泡体積VBの比Rは、R0からRnまで増加する。そして、Rnは、以下のように、飽和点Rs未満に制御される。
Rn=VB/VVTR=Nvb/VVTR<Rs
そして、平均単一気泡体積が期間τ2における冷却プロセスにおいて元のサイズに戻る場合、ビアホール、トレンチ又は他の凹部空間VVTRの体積に対する総気泡体積VBの比Rは、RnからR0へ減少する。
【0082】
再び
図20Bを参照すると、気泡は、期間τ
1において洗浄液に印加される超音波/高周波超音波パワーで大体積Vnに膨張する。この状態では、物質移動の経路が部分的に遮断される。そして、新鮮な洗浄液が、ビアホール又はトレンチの底部及び側壁へと十分に流れ込むことができない。その間、ビアホール及びトレンチにトラップされた粒子、残渣及び他の不純物を、効率的に除去することができない。しかし、この状態は、
図20Aに示すように、期間τ
2において気泡を冷却するために超高/高周波超音波電力がオフにされたとき、気泡が収縮する次の状態へと遷移する。この冷却状態では、新鮮な洗浄液がビアホール及びトレンチの中に流入することによって、その底部及び側壁を洗浄することが可能である。次のサイクルで超音波/高周波超音波電力が再びオンにされると、粒子、残留物、及び他の不純物は、気泡体積の増加によって発生する引っ張り力によって、ビアホール及びトレンチから除去され得る。超音波/高周波超音波を用いた洗浄プロセスにおいて2つの状態が交互になるとき、ウェハ基板上のビアホール、トレンチ、及び他の凹部領域の高アスペクト比のパターン構造要素を効果的に洗浄することができる。
【0083】
期間τ2における冷却状態は、この洗浄工程において重要な役割を果たす。また、気泡の大きさを制限するためには、条件(τ1<τi)が望ましい。以下の方法では、冷却状態の間に気泡サイズを収縮させるための期間τ2と、経路遮断サイズまでに気泡膨張を制限するための期間τ1とを実験的に決定することができる。この実験は、化学液と結合された超音波/高周波超音波デバイスを用いて実施され、トレース可能な残留物が存在するビアホール及びトレンチといった小さなパターン構造要素を有するパターン加工された基板を洗浄し、洗浄性能を評価する。
【0084】
第1のステップは、パターン構造要素を遮断するのに十分な長さのτ1を選択することであり、これは、式(20)に基づいてτiを計算することであってもよい。第2のステップは、DOEを実行するための複数の異なる期間τ2を選択することである。期間τ2の選択は、最初のスクリーンテストでは、τ1の少なくとも10倍であり、好ましくは、100倍である。第3のステップは、期間1及び電力P0を固定し、特定のパターン構造を有する基板を個別に洗浄することを、少なくとも5つの条件下で実行することである。ここで、P0は、連続モード(非パルスモード)で動作しているときに、基板上のビアホール又はトレンチのパターン構造要素が確実に洗浄されない電力である。第4のステップは、SEM又はEDXなどの素子分析ツールによって、上記5つの基板のビアホール又はトレンチのパターン構造要素内のトレース可能な残留物の状態を検査することである。上記の第1のステップから第4のステップまでを数回繰り返すことで、ビアホール又はトレンチのパターン構造要素内のトレース可能な残留物が観察されるまで、期間τ2を徐々に短くすることができる。期間τ2が短くなるにつれて、気泡の体積は十分に縮小することができず、これによって、パターン構造要素が徐々に遮断され、洗浄性能に影響を及ぼす。この期間を、臨界冷却期間τcと称する。臨界冷却期間τcが得られた後、安全マージンを確保するために、期間τ2を2τcより大きい値とする。
【0085】
より詳細な例を以下に示す。第1のステップは、表3に示されるように、実験計画法(DOE)条件として、τ
10,2τ
10,4τ
10、8τ
10,16τ
10、32τ
10、64τ
10、128τ
10、256τ
10、512τ
10のような10個の異なる期間τ
1選択することである。第2のステップは、表3に示すように、最初のスクリーンテストにおいて、512τ
10の少なくとも10倍、好ましくは20倍の期間τ
2を選択することである。第3のステップは、電力P
0を固定して、上記の10個の条件の下で、特定のパターン構造を有する基板を個別に洗浄することである。ここで、P
0は、連続モード(非パルスモード)で動作しているときに、基板上のビアホール又はトレンチのパターン構造要素が確実に洗浄されない電力である。第4のステップは、表3に示す条件を使用して、プラズマエッチング後にビアホール又はトレンチのパターン構造要素を有する10個の基板を処理することである。プラズマエッチング後の基板を選択する理由は、エッチングプロセス中に生成されたポリマーが、トレンチ及びビアホールの側壁上に形成されているからである。ビアホールの底部又は側壁上に形成されたこれらのポリマーは、従来の方法によって除去することが困難である。次のステップは、基板の断面における、10個の基板上のビアホール又はトレンチのパターン構造要素の洗浄状態を、SEMによって検査することである。得られたデータを以下の表3に示す。表3から、洗浄効果が、τ
1=32τ
10である基板#6において最良点となることが明らかとなった。つまり、最適な期間τ
1は32τ
10である。
【表3】
【0086】
ピークが見つからない場合、期間τ
1を見つけるために、上記の第1~第4のステップが、τ
1をより広い時間範囲として再び繰り返されてる。初期のτ
1を見つけた後、上述の第1及び第4のステップが、期間τ
1の範囲を狭くするために、より狭い時間範囲τ
1で再び繰り返される。期間τ
iを知った後、期間τ
2を512τ
2から清掃効果が減少し始める値まで減少させることによって、期間τ
2を最適化することができる。詳細な手順を、下記の表4に開示する。表4から、洗浄効果が、τ
2=256τ
10である基板#5において最良点に達するので、最適な期間τ
2は256τ
10である。
【表4】
【0087】
図21A~
図21Cは、本発明の一実施形態による別の洗浄プロセスを示す図である。本洗浄プロセスは、
図20A~
図20Dに示されたものと同様であり、キャビテーションが飽和点R
sに達した後でも、mτ
1の期間、現在の洗浄プロセスの電力がオンのままであるという点でのみ相違している。ここで、mは、0.1~100の任意の数、好ましくは2であり、これは、ビアホール及びトレンチの構造及び使用される洗浄液に依存する。そして、mの値は、
図20A~
図20Dに示される実施形態と同様の実験によって最適化される必要がある。
【0088】
図22A及び
図22Bは、本発明の別の一実施形態による音波エネルギーを用いたウェハ洗浄プロセスを示す図である。音波電力P1が洗浄液に印加される期間τ
1において、最初の気泡の温度が内破温度T
iに達したときに、気泡内破が生じ始め、次いで、T
iからTnへの温度上昇中(期間Δτの間)にもいくらかの気泡内破が生じ続ける。期間τ
2において音波出力をオフにした後、気泡の温度は、周囲の液体によってTnから元のT
0に冷却される。T
iは、ビアホール及びトレンチのパターン構造要素における気泡内破の温度閾値として決定されるものであり、これは、最初の気泡内破を引き起こす。
【0089】
熱伝達は、パターン構造要素内で正確に一様ではないので、温度がTiに達した後により多くの気泡が発生し続けることがある。気泡の内破強度は、気泡温度Tが増加するにつれて、ますます高くなる。しかしながら、気泡内破は、パターン構造に損傷をもたらすことになる内破強度より低くなるように制御されなければならない。気泡内破は、時間Δτの調整で温度Tnを温度Tdより低く制御することによって、制御することができる。ここで、Tnは、nサイクルの間に洗浄液に印加される音波電力に起因する気泡の最大温度であり、Tdは、パターン構造を損傷させる原因となる高強度(又は電力)における、ある量の気泡内破の蓄積物の温度である。本洗浄プロセスにおいて、気泡内破強度は、洗浄でパターン構造の損傷を引き起こすような過度に高い気泡内破強度となるのを回避しつつ、所望の洗浄性能及び効率を達成できるように、最初の気泡内破が開始した後の時間Δτを調整することで制御される。
【0090】
粒子除去効率(PRE)を高めるために、
図22A~
図22Bに示すように、超音波又は高周波超音波洗浄プロセスにおいてトランジットキャビテーション(transit cavitation)が制御されていることが望ましい。制御されたトランジットキャビテーションは、音波電源をτ
1より短い時間間隔で電力P1を有するものとし、次にτ
2より長い時間間隔で電力P
2を有するものとし、ウェハが洗浄されるまで上記工程を繰り返すことによって達成される。ここで、電力P
2は、0に等しいか、又は電力P1よりもはるかに小さく、τ
1は気泡内部の温度が臨界内破温度よりも高くなる時間間隔であり、τ
2は気泡内部の温度が臨界内破温度よりも低い温度に低下する時間間隔である。制御されたトランジットキャビテーションは、洗浄プロセスにおいて特定の気泡内破を伴うので、制御されたトランジットキャビテーションは、パターン構造の損傷を最小限に抑えて、より高いPRE(粒子除去効率)を提供することになる。臨界内破温度は、最初の気泡内破が生じる気泡内部の最低温度である。PREをさらに増大させるためには、気泡の温度をさらに上昇させる必要があり、したがって、期間τ
1をより長くすることが必要とされる。また、気泡の温度は、期間τ
2を短縮することによって上昇させることができる。
【0091】
内破レベルを制御するための別のパラメータとして、超音波又は高周波超音波の周波数がある。制御されたトランジットキャビテーションは、音波電源をτ1より短い時間間隔で周波数f1を有するものとし、次にτ2より長い時間間隔で周波数f2を有するものとし、ウェハが洗浄されるまで上記工程を繰り返すことによって達成される。ここで、f2はf1よりもはるかに高く、好ましくは2倍又は4倍である。通常、周波数が高いほど、内破レベル又は強度が低くなる。ここでも、τ1は、気泡内部の温度が臨界内破温度よりも高くなる時間間隔であり、τ2は、気泡内部の温度が臨界内破温度よりもはるかに低い温度まで低下する時間間隔である。制御されたトランジットキャビテーションは、パターン構造への損傷を最小限に抑えつつ、より高いPRE(粒子除去効率)を提供する。臨界内破温度は、最初の気泡内破が生じる気泡内部の最低温度である。PREをさらに増大させるためには、気泡の温度をさらに上昇させる必要があり、したがって、期間τ1をより長くすることが必要とされる。また、気泡の温度は、期間τ2を短縮することによって上昇させることができる。一般的に、本発明に開示する方法では、周波数0.1MHz~10MHzの超音波又は高周波超音波がウェハ洗浄プロセスに印加されてよい。
【0092】
図23は、本発明の一実施形態による
図7-22に示されたウェハ洗浄プロセスを実行するためのウェハ洗浄装置の一例を示す図である。このウェハ洗浄装置は、ウェハ23010を載置するためのウェハチャック23014を含んでいる。ウェハチャック23014は、回転駆動機構23016によって駆動される洗浄プロセスにおいて、ウェハ23010とともに回転する。また、ウェハ洗浄装置は、洗浄化学物質又は脱イオン水23060などの洗浄液をウェハ23010に供給するためのノズル23064を含んでいる。ノズル23064には、超音波又は高周波超音波エネルギーを洗浄液に付与するために、超音波又は高周波超音波デバイス23062が結合されている。超音波又は高周波超音波デバイス23062が発生させた超音波又は高周波超音波は、ノズル23064から洗浄液23060を経由してウェハ23010へと伝播する。
【0093】
図24は、本発明の一実施形態による
図7-22に示されたウェハ洗浄プロセスを実行するための別のウェハ洗浄装置の断面図である。このウェハ洗浄装置は、洗浄液24070の大部分を収容した洗浄タンク24074と、洗浄液24070中に浸漬された複数のウェハ24010を保持するウェハカセット24076とを含んでいる。また、ウェハ洗浄装置は、洗浄タンク24074の壁に取り付けられて、洗浄液に対して超音波又は高周波超音波エネルギーを付与する超音波又は高周波超音波デバイス24072をさらに含んでいる。洗浄プロセス中にウェハ24010が洗浄液24070中に浸漬されるように、洗浄タンク24074に洗浄液24070を充填するための少なくとも1つの注入口(図示せず)が設けられている。
【0094】
上記の実施形態では、もし電力レベル、周波数、パワーオン時間(τ1)及びパワーオフ時間(τ2)などの、音波電源の臨界プロセスパラメータの全てが、ウェハ洗浄プロセス中のリアルタイムモニタリングなしに電源コントローラに予め設定されているのであれば、ウェハ洗浄プロセスの間の何らかの異常条件のために依然としてパターン構造の損傷が生じ得る。したがって、音波電源の稼働状態をリアルタイムでモニタリングする装置及び方法が必要となる。パラメータが正常範囲内にない場合は、音波電源を停止して、アラーム信号が送信され報告されるべきである。
【0095】
図25は、本発明の一実施形態による音波エネルギーを採用したウェハ洗浄プロセスの動作パラメータをモニタリングするための制御システムを示す図である。この制御システムは、ホストコンピュータ25080、音波発生器25082、音波トランスデューサ1003、検出システム25086、及び、通信ケーブル25088を含んでいる。ホストコンピュータ25080は、電力設定P1、電源オン期間設定τ
1、電力設定P
2、電源オフ期間設定τ
2、周波数設定などの音波パラメータ設定、及び、電源投入コマンドなどの制御コマンドを音波発生器25082に送信する。これらのコマンドを受信後、音波発生器25082は音波波形を生成し、当該音波波形をウェハ1010を洗浄するための音波トランスデューサ1003に送信する。一方、ホストコンピュータ25080からのパラメータ設定と、音波発生器25082からの実際の出力とが、検出システム25086によって読み取られる。検出システム25086は、音波発生器25082からの実際の出力を、ホストコンピュータ25080からのパラメータ設定と比較する。比較結果は、通信ケーブル25088を介してホストコンピュータ25080に送信される。音波発生器25082の出力がホストコンピュータ25080によって送信されたパラメータ設定と異なる場合、検出システム25086は、アラーム信号をホストコンピュータ25080に送信する。アラーム信号を受信したホストコンピュータ25080は、音波発生器25082を停止してウェハ1010のパターン構造へのさらなる損傷を防止する。
【0096】
図26は、本発明の一実施形態による、
図25に示された検出システム25086のブロック図である。この検出システム25086は、例として、電圧減衰回路26090と、整形回路26092と、メインコントローラ26094と、通信回路26096と、電力回路26098とを含んでいる。メインコントローラ26094は、FPGAが実装されたものでよい。通信回路26096は、ホストコンピュータ25080とのインターフェースとして確立されている。通信回路26096は、ホストコンピュータ25080とのRS232/RS485シリアル通信を実行して、ホストコンピュータ25080からパラメータ設定を読み出し、ホストコンピュータ25080に比較結果を送信する。電源回路26098は、DC15Vを、全システムについて目標電圧であるDC1.2V、DC3.3V、DC5Vに変換するように設計されている。
【0097】
図27は、本発明の別の実施形態に係る検出システム25086のブロック図である。検出システム25086は、例として、電圧減衰回路26090と、振幅検出回路27092と、メインコントローラ26094と、通信回路26096と、電力回路26098とを含んでいる。
【0098】
図28A~
図28Cは、本発明の一実施形態による電圧減衰回路26090の例示的な実装形態を示す。音波発生器25082からの音波信号出力が最初に読み込まれたとき、振幅の値は
図28Bに示すように比較的高い値である。電圧減衰回路26090は、
図28Cに示すような波形の振幅値を低減するために、2つのオペアンプ28102及び28104を使用するように設計されている。電圧減衰回路26090の減衰率は、5~100の範囲に設定され、好ましくは20に設定されている。電圧の減衰は以下の式で表すことができる。
V
out=(R2/R1)*V
in
R1=200kであり、R2=R3=R4=10Kであると仮定すると、V
out=(R2/R1)*V
in=V
in/20である。
ここで、V
outは、電圧減衰回路26090が出力する振幅値であり、V
inは、電圧減衰回路26090に入力される振幅値であり、R1、R2、R3、R4は、2つのオペアンプ28102、28104の抵抗値である。
【0099】
図29A~
図29Cは、本発明の一実施形態による、
図26に示す整形回路26092の例を示す図である。再び
図26を参照すると、電圧減衰回路26090の出力は、整形回路26092に接続されている。電圧減衰回路26090から出力された波形が整形回路26092に入力されて、メインコントローラ(FPGA)26094によって処理できるように正弦波が矩形波に変換される。整形回路26092は、
図29Aに示すように、ウインドウコンパレータ29102と、ORゲート29104とを含んでいる。V
cal-<V
in<V
cal+であれば、V
out=0であり、そうでなければV
out=1である。ここで、V
cal-とV
cal+は二つの閾値であり、V
inは整形回路の入力値であり、V
outは整形回路の出力値である。電圧減衰回路2190を通過する波形は、
図29Bに示すような正弦波である。整形回路26092は、正弦波を
図29Cに示すような矩形波に変換する。
【0100】
図30A~
図30Cは、本発明の一実施形態による、
図26及び
図27のメインコントローラ26094の例示的な実装形態を示す。
図30Aに示すように、メインコントローラ26094は、パルス変換モジュール30102と、周期測定モジュール30104とを含んでいる。パルス変換モジュール30102は、
図30B及び
図30Cに示すように、期間τ
1のパルス信号をハイレベル信号に変換し、期間τ
2の間、ローレベル信号をそのままに維持する。
図30Aに示されたパルス変換モジュール30102の回路記号は、Clk_Sysが50MHzのクロック信号であり、Pulse_Inが入力信号であり、Pulse_Outが出力信号である。周期測定モジュール30104は、以下の式を用いたカウンタによって高レベル及び低レベルの持続時間を測定するのに使用される。
τ
1=Counter_H*20ns、τ
2=Counter_L*20ns
ここでCounter_Hは、高レベルの数であり、Counter_Lは低レベルの数である。
【0101】
メインコントローラ26094は、算出されたパワーオン時間と予め設定された期間τ1とを比較する。算出されたパワーオン時間が予め設定された期間τ1よりも長い場合、メインコントローラ26094は、ホストコンピュータ25080にアラーム信号を送出する。アラーム信号を受信したホストコンピュータ25080は、音波発生器25082を停止する。メインコントローラ26094は、算出されたパワーオフ時間と予め設定された期間τ2とを比較する。算出されたパワーオフ時間が予め設定された期間τ2よりも短い場合、メインコントローラ26094は、ホストコンピュータ25080にアラーム信号を送出する。アラーム信号を受信したホストコンピュータ25080は、音波発生器26082を停止する。一実施形態では、メインコントローラ26094としては、AlteraサイクロンIV FPGAモデル番号EP4CE22F17C6Nを使用して実装することができる。
【0102】
図31は、ホストコンピュータが音波電源を停止した後において、音波装置の特性のために音波電源が数回振動している様子を示す図である。パワーダウン後に音波発生器25082が数サイクル発振する期間τ
3は、メインコントローラ26094によって測定される。期間τ
3は実験によって求めることができる。したがって、周期的測定モジュール25104によって計算された時間をτとすると、実際のパワーオン時間はτ-τ
3に等しい。メインコントローラ26094は、算出されたパワーオン時間と予め設定された期間τ
1とを比較する。算出されたパワーオン時間が予め設定された期間τ
1よりも長い場合、メインコントローラ26094は、ホストコンピュータ25080にアラーム信号を送出する。
【0103】
図32A~
図32Cは、本発明の一実施形態による
図27に示す振幅検出回路27092の例を示す図である。振幅検出回路27092は、基準電圧発生回路と比較回路とを含んでいる。
図32Bに示すように、基準電圧発生回路は、
図27Cに示すように、メインコントローラ26094からのデジタル入力をアナログDC基準電圧V
ref+及びV
ref-に変換するD/A変換器32118を使用するように設計されている。比較回路は、ウィンドウコンパレータ32114及びANDゲート32116を使用して、電圧減衰回路26090からの出力である減衰された振幅V
inと、基準電圧V
ref+及びV
ref-とを比較するように設計されている。減衰振幅V
inが基準電圧V
ref+及び/又はV
ref-を超える場合、振幅検出回路27092は、アラーム信号をホストコンピュータ25080に送出する。アラーム信号を受信したホストコンピュータ25080は、音波発生器25082を停止してウェハ1010のパターン構造へのさらなる損傷を防止する。
【0104】
図33は、本発明の一実施形態に係るウェハ洗浄プロセスを示すフローチャートである。ウェハ洗浄プロセスは、ウェハと超音波/高周波超音波デバイスとの間の空間に洗浄液を付与する工程33010から始まる。工程33020において、超音波/高周波超音波電源を周波数f
1及び電力レベルP1に設定して、超音波/高周波超音波デバイスを駆動する。工程33030において、検出されたパワーオン時間を、予め設定された期間τ
1と比較する。検出されたパワーオン時間が期間τ
1よりも長い場合、電源を遮断し、さらにアラーム信号を送信する。工程33040において、洗浄液中の気泡キャビテーションがウェハ上のパターン構造を損傷させる前に、超音波/高周波超音波電源を出力0に設定する。工程33050では、気泡内部の温度があるレベルまで低下した後に、音波電源を周波数f
1及び電力レベルP1に復帰させる。工程33060において、検出されたパワーオフ時間を、予め設定された期間τ
2と比較する。検出されたパワーオフ時間が期間τ
2よりも短い場合、超音波/高周波超音波電源を遮断し、さらにアラーム信号を送信する。工程33070において、ウェハの清浄度を検査する。そして、ウェハが所望の程度までまだ清浄になっていない場合、工程33010から工程33060までを繰り返す。代替的には、清浄度の検査をサイクル毎に行わなくてもよい。実用されるサイクルの数を、サンプルウェハを使用して予め実験によって決定してもよい。
【0105】
図34は、本発明の別の一実施形態によるウェハ洗浄プロセスを示すフローチャートである。ウェハ洗浄プロセスは、ウェハと超音波/高周波超音波デバイスとの間の空間に洗浄液を付与する工程34010から始まる。工程34020において、超音波/高周波超音波電源が周波数f
1及び電力レベルP1に設定されて、超音波/高周波超音波デバイスを駆動する。工程34030において、音波出力の振幅を検出し、規定値と比較する。検出された振幅が規定値よりも大きい場合、電源を遮断し、さらにアラーム信号を送信する。工程34040において、洗浄液中の気泡キャビテーションがウェハ上のパターン構造を損傷させる前に、音波供給を出力0に設定する。工程31050では、気泡内部の温度があるレベルまで低下した後に、音波電源を周波数f
1及び電力レベルP1に復帰させる。工程34060において、ウェハの清浄度を検査し、そして、ウェハが所望の程度までまだ清浄になっていない場合、工程34010から工程34050までを繰り返す。代替的には、清浄度の検査をサイクル毎に行わなくてもよい。実用されるサイクルの数を、サンプルウェハを使用して予め実験によって決定してもよい。
【0106】
いくつかの例において、本開示の全体を通して様々な図に描写された複数のウェハ洗浄プロセスを、所望の洗浄結果を生成するために組み合わせることができる。一例として、
図34の工程34030の振幅検出は、
図33に示されたウェハ洗浄プロセスに組み込むことができる。別の例として、
図26の電圧減衰26090及び整形回路26092、並びに、
図27の振幅検出回路27092を、
図33及び
図34に示されたウェハ洗浄プロセスに適用することができる。
【0107】
本発明は、超音波/高周波超音波デバイスを用いて半導体基板を洗浄する装置を提供するものであり、チャックと、超音波/高周波超音波デバイスと、少なくとも一つのノズルと、超音波/高周波超音波電源と、ホストコンピュータと、検出システムとを備えている。チャックは、半導体基板を保持する。超音波/高周波超音波デバイスは、半導体基板に隣接して配置されている。少なくとも一つのノズルは、前記半導体基板上、及び、前記半導体基板と前記超音波/高周波超音波デバイスとの間のギャップに薬液を導入する。ホストコンピュータは、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に設定し、超音波/高周波超音波デバイスを駆動し、半導体基板上のパターン構造を液体内の気泡キャビテーションが破壊する前に、超音波/高周波超音波電源を出力ゼロに設定し、気泡内の温度が設定温度まで冷却された後、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に再び設定する。検出システムは、電力P1及び周波数f1におけるパワーオン時間及びパワーオフ時間を別々に検出し、電力P1及び周波数f1の検出されたパワーオン時間を予め設定された期間τ1と比較する。検出されたパワーオン時間が予め設定された期間τ1よりも長い場合、検出システムはアラーム信号をホストコンピュータに送信し、そして、ホストコンピュータはアラーム信号を受信し、超音波/高周波超音波電源をシャットダウンする。また、検出システムは、検出されたパワーオフ時間を予め設定された期間τ2と比較する。検出されたパワーオフ時間が予め設定された期間τ2よりも短い場合、検出システムはアラーム信号をホストコンピュータに送信し、そして、ホストコンピュータはアラーム信号を受信し、超音波/高周波超音波電源をシャットダウンする。
【0108】
一実施形態において、超音波/高周波超音波デバイスはさらにノズルと結合され、半導体基板に隣接して配置されており、超音波/高周波超音波デバイスのエネルギーは、ノズルから液柱(liquid column)を通して半導体基板に伝達される。
【0109】
本発明は、超音波/高周波超音波デバイスを用いて半導体基板を洗浄する別の装置を提供するものであり、チャックと、超音波/高周波超音波デバイスと、少なくとも一つのノズルと、超音波/高周波超音波電源と、ホストコンピュータと、検出システムとを備えている。チャックは、半導体基板を保持する。超音波/高周波超音波デバイスは、半導体基板に隣接して配置されている。少なくとも一つのノズルは、前記半導体基板上、及び、前記半導体基板と前記超音波/高周波超音波デバイスとの間のギャップに薬液を導入する。ホストコンピュータは、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に設定し、超音波/高周波超音波デバイスを駆動し、半導体基板上のパターン構造を液体内の気泡キャビテーションが破壊する前に、超音波/高周波超音波電源を出力ゼロに設定し、気泡内の温度が設定温度まで冷却された後、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に再び設定する。検出システムは、超音波/高周波超音波電源から出力される各波形の振幅を検出し、各波形の検出された振幅を規定値と比較する。任意の波形の検出された振幅が規定値より大きい場合、検出システムは、ホストコンピュータにアラーム信号を出力し、ホストコンピュータは、アラーム信号を受信して、超音波/高周波超音波電源を停止する。ここで、既定値は、通常の動作時の波形振幅よりも大きい値である。
【0110】
一実施形態において、超音波/高周波超音波デバイスはさらにノズルと結合され、半導体基板に隣接して配置されており、超音波/高周波超音波デバイスのエネルギーは、ノズルから液柱を通して半導体基板に伝達される。
【0111】
本発明は、超音波/高周波超音波デバイスを用いて半導体基板を洗浄する別の装置を提供するものであり、カセットと、タンクと、超音波/高周波超音波デバイスと、少なくとも一つの注入口と、超音波/高周波超音波電源と、ホストコンピュータと、検出システムとを備えている。カセットは、少なくとも一つの半導体基板を保持する。タンクはカセットを保持する。超音波/高周波超音波デバイスは、タンクの外壁に装着されている。少なくとも一つの注入口は、前記半導体基板を浸漬するためのタンク内に薬液を充填する。ホストコンピュータは、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に設定し、超音波/高周波超音波デバイスを駆動し、半導体基板上のパターン構造を液体内の気泡キャビテーションが破壊する前に、超音波/高周波超音波電源を出力ゼロに設定し、気泡内の温度が設定温度まで冷却された後、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に再び設定する。検出システムは、電力P1及び周波数f1におけるパワーオン時間及びパワーオフ時間を別々に検出し、電力P1及び周波数f1の検出されたパワーオン時間を予め設定された期間τ1と比較する。検出されたパワーオン時間が予め設定された期間τ1よりも長い場合、検出システムはアラーム信号をホストコンピュータに送信し、そして、ホストコンピュータはアラーム信号を受信し、超音波/高周波超音波電源をシャットダウンする。また、検出システムは、検出されたパワーオフ時間を予め設定された期間τ2と比較する。検出されたパワーオフ時間が予め設定された期間τ2よりも短い場合、検出システムはアラーム信号をホストコンピュータに送信し、そして、ホストコンピュータはアラーム信号を受信し、超音波/高周波超音波電源をシャットダウンする。
【0112】
本発明は、超音波/高周波超音波デバイスを用いて半導体基板を洗浄する別の装置を提供するものであり、カセットと、タンクと、超音波/高周波超音波デバイスと、少なくとも一つの注入口と、超音波/高周波超音波電源と、ホストコンピュータと、検出システムとを備えている。カセットは、少なくとも一つの半導体基板を保持する。タンクはカセットを保持する。超音波/高周波超音波デバイスは、タンクの外壁に装着されている。少なくとも一つの注入口は、前記半導体基板を浸漬するためのタンク内に薬液を充填する。ホストコンピュータは、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に設定し、超音波/高周波超音波デバイスを駆動し、半導体基板上のパターン構造を液体内の気泡キャビテーションが破壊する前に、超音波/高周波超音波電源を出力ゼロに設定し、気泡内の温度が設定温度まで冷却された後、超音波/高周波超音波電源を周波数f1及び電力P1に再び設定する。検出システムは、超音波/高周波超音波電源から出力される各波形の振幅を検出し、各波形の検出された振幅を規定値と比較する。いずれかの波形の検出された振幅が規定値より大きい場合、検出システムは、ホストコンピュータにアラーム信号を出力し、ホストコンピュータは、アラーム信号を受信して、超音波/高周波超音波電源を停止する。ここで、既定値は、通常の動作時の波形振幅よりも大きい値である。
【0113】
本開示は、その例示的な実施形態を参照して特に示され説明されているが、当業者は、特許請求の範囲の趣旨から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行い得ると理解するであろう。