(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ワイヤーベースのスクリーンフィルターを製造するシステムおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
B01D 39/10 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
B01D39/10
(21)【出願番号】P 2020540238
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 US2018053297
(87)【国際公開番号】W WO2019067832
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-24
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520108556
【氏名又は名称】アクセプタンス グループ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AQSEPTENCE GROUP,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エクホルム、マイケル リチャード
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0125980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/10
B01D 24/00ー37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤー間の制御されたスロット幅を有するスクリーンフィルターを製造するように構成されたスクリーンフィルター製造装置であって、
フレームと、
前記フレームに対して回転し、複数の支持ロッドを保持するように構成されたツールヘッドと、
前記フレームに動作可能に結合され、ワイヤーを配設するように構成されたワイヤー送給ホイール
であって、前記ワイヤーのワイヤー幅は、前記ワイヤー送給ホイールから前記ワイヤーを配設する間、かつ前記スクリーンフィルターを形成するために前記ワイヤーを前記複数の支持ロッドに巻き付けて溶接する前に、連続的に測定される、前記ワイヤー送給ホイールと、
制御システムであって、
連続的に測定された前記ワイヤー幅と、製造される前記スクリーンフィルターの前記スロット幅に関する1つまたは複数の
追加パラメータ
との両方を監視
することであって、前記制御システムは、前記連続的に測定されたワイヤー幅に関する第1の所定の範囲及び第2の所定の範囲を含む、前記監視すること、
前記スクリーンフィルターの製造中に測定されたスロット幅の少なくとも99.7%が、前記スクリーンフィルターの製造中に測定された平均スロット幅の3標準偏差内に入るように、前記複数の支持ロッドの周りに前記ワイヤーを巻き付けることを可能にするように構成された1つまたは複数のプロセス制御調整を実施する
ことであって、前記第1の所定の範囲に対応する第1の組のプロセス制御調整と、前記第2の所定の範囲に対応する第2の組のプロセス制御調整と、を含む前記1つまたは複数のプロセス制御調整を実施すること、
を実行するように構成された
前記制御システムと、を備え
、
前記制御システムは、前記連続的に測定されたワイヤー幅が前記第2の所定の範囲外である場合、前記スクリーンフィルターの製造について警告し且つ該製造を停止する、スクリーンフィルター製造装置。
【請求項2】
前記連続的に測定されたワイヤー幅及び前記スロット幅に関する監視された1つまたは複数の
追記パラメータを表示するように構成されたディスプレイをさらに備える請求項1に記載のスクリーンフィルター製造装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数のプロセス制御調整が、
前記連続的に測定されたワイヤー幅または前記スロット幅に関する監視された1つまたは複数の
追記パラメータに応じて変更される、請求項1に記載のスクリーンフィルター製造装置。
【請求項4】
前記連続的に測定されたワイヤー幅および前記スロット幅に関する1つまたは複数の
追加パラメータの監視から導出された情報が、フィードバックループで前記1つまたは複数のプロセス制御調整の実施において使用される、請求項1に記載のスクリーンフィルター製造装置。
【請求項5】
前記スクリーンフィルターの品質に関する
監視された前記1つまたは複数の
追加パラメータは、前記スロット幅と
、ワイヤーピッチと、前記フレームに対する前記ツールヘッドの前進速度と、電気溶接電流の大きさと、前記ワイヤー送給ホイールによって影響を受ける前記ワイヤーの張力および前記フレームに対する前記ツールヘッドの回転のうちの少なくとも一方と、前記フレームに対する前記ツールヘッドおよび前記ワイヤー送給ホイールのうちの少なくとも一方の直線位置と、前記フレームに対する前記ツールヘッドの回転位置と、前記ツールヘッドに対する前記ワイヤー送給ホイールの位置と、のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のスクリーンフィルター製造装置。
【請求項6】
前記制御システムが、前記スクリーンフィルター全体にわたって測定されたスロット幅を含むレポートを生成するようにさらに構成される、請求項1に記載のスクリーンフィルター製造装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数のプロセス制御調整は、ワイヤーピッチと、電気溶接電流の大きさと、ワイヤー送給ホイールによって影響を受けるワイヤーの張力および前記フレームに対する前記ツールヘッドの回転のうちの少なくとも一方と、前記フレームに対する前記ツールヘッドおよびワイヤー送給ホイールのうちの少なくとも一方の直線位置と、前記フレームに対する前記ツールヘッドおよびワイヤー送給ホイールのうちの少なくとも一方の横方向移動速度、前記フレームに対する前記ツールヘッドの回転位置、前記フレームに対する前記ツールヘッドの回転速度、および前記ツールヘッドに対する前記ワイヤー送給ホイールの位置のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のスクリーンフィルター製造装置。
【請求項8】
スクリーンフィルターの製造方法であって、
ある長さのワイヤーのワイヤー幅を、前記ワイヤーがワイヤー送給ホイールから配設されるとき、かつ前記ワイヤーが複数の支持ロッドの周りに巻き付けられる前に、連続的に測定すること、
測定された前記ワイヤー幅を第1の所定の範囲および第2の所定の範囲と比較すること、
前記ある長さのワイヤーが
前記複数の支持ロッドの周りに巻き付けられるように、ツールヘッドを回転させること、
前記ある長さのワイヤーを前記複数の支持ロッドに溶接すること、
前記ある長さのワイヤーが前記複数の支持ロッドの周りに巻き付けられる場合に、スクリーンフィルターの性能に関連する
1つまたは複数の追加パラメータ
であって、前記ある長さのワイヤーを前記複数の支持ロッドに溶接する間または溶接した後の前記1つまたは複数の追加パラメータを監視すること、
前記測定されたワイヤー幅または監視された前記
1つまたは複数の追加パラメータが所望の範囲から外れた場合に製造特性を調整すること
であって、該調整することは、前記第1の所定の範囲に対応する第1の組のプロセス制御調整と、前記第2の所定の範囲に対応する第2の組のプロセス制御調整と、を含む、前記製造特性を調整すること、
前記測定されたワイヤー幅が前記第2の所定の範囲外である場合、製造について警告し且つ該製造を停止すること、を備える製造方法。
【請求項9】
前記スクリーンフィルターの製造中
の前記測定されたワイヤー幅および前記監視された
1つまたは複数の追加パラメータを記憶すること、をさらに備える請求項
8に記載の製造方法。
【請求項10】
製造中に記憶された
前記測定されたワイヤー幅および前記監視された
1つまたは複数の追加パラメータを含むスクリーンフィルターの製造に関するレポートを生成すること、をさらに備える請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記
監視された1つまたは複数の追加パラメータは、スロット幅またはワイヤー整列を含む、請求項
8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記製造特性は、ワイヤーピッチと、電気溶接電流の大きさと、ワイヤー送給ホイールによって影響を受けるワイヤーの張力およびフレームに対するツールヘッドの回転のうちの少なくとも一方と、フレームに対するツールヘッドおよびワイヤー送給ホイールのうちの少なくとも一方の直線位置と、フレームに対するツールヘッドおよびワイヤー送給ホイールのうちの少なくとも一方の横方向移動速度と、フレームに対するツールヘッドの回転位置と、フレームに対するツールヘッドの回転速度と、ツールヘッドに対するワイヤー送給ホイールの位置と、のうちの1つまたは複数を含む、請求項
8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体流から固体物質を分離するワイヤーベースのスクリーンフィルターを製造するスクリーンフィルター製造装置に関する。より具体的には、本開示は、1つまたは複数のパラメータを監視し、ワイヤー間のより均一なスロット幅に寄与するように1つまたは複数のプロセス制御調整を実施するように構成される制御システムを有するスクリーンフィルター製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接されたワイヤーから製造されたスクリーンは、20世紀初頭以来、さまざまな目的で利用されてきた。最も一般的な用途の1つは、液体から固体を除去する液体分離装置またはフィルターとして、または気体から固体または浮遊液体を除去する気体分離装置としてであった。代表的な液体は、淡水または塩水、ならびに種々の産業において見出される種々の水性および非水性液体処理の流れを含むことができる。最近では、建築物や公共建築物の外観に独特の美観を与えるために、建築部材としてもワイヤーベースのスクリーンが利用されている。特定の用途にかかわらず、製造技術は、これらの用途のそれぞれにおけるスクリーンについて同様である。
【0003】
固体/液体分離の文脈において、ワイヤーベースのスクリーンフィルターのための1つのよくある用途は、取水システムの一部分である。これらの取水システムは、典型的には、水体内に沈められた位置から水体に隣接するエンドユーザまで水を輸送するように適合されたインレットパイプを使用する。インレットパイプは、水体内に沈められ、インレットパイプの端部は、典型的には、特定の大きさの水中のゴミや水生生物がインレットパイプに入るのを阻止するように構成されたインテークフィルターアセンブリに結合される。取水システムは、典型的には、製造プラント、都市、灌漑システム、及び河川、湖、又は塩水の水域のような水域に隣接して配置された発電施設のようなエンドユーザに水を供給するために使用される。エンドユーザは、井戸を掘ったり、または地方自治体から水を購入したりする代わりに、このタイプのシステムを使用することができる。さらに、これらのシステムの使用は、エンドユーザの場所、例えば、地方自治体の供給源からの水及び/又はポンプを作動させるための電力が容易に利用できない遠隔地によって決定することができる。これらの集水システムは、様々な条件に適応し、効率的かつ経済的に水を供給する能力を有する。
【0004】
多くの取水システムにおいて、インレットパイプは、粒子状物質が取水システムに入るのを防止するためにワイヤーベースのスクリーンを組み込んだ取水フィルターアセンブリを含む。その堅牢な強度のために、ワイヤーベースのスクリーンは、インテークフィルターアセンブリの寿命を延ばすために、インテークフィルターアセンブリを繰り返し洗浄、逆洗浄、または洗い流すことを可能にする。このようにして、従来のバッグ、カートリッジ、セラミック、中空繊維、およびメンブレンフィルターなどの他のタイプのインテークフィルターに共通する栓、交換、および廃棄に関連するコストを回避することができる。これらの同様の利点は、産業プロセスにおけるワイヤーベースのスクリーンの使用にも適用され、プロセスの稼働時間の増加及び製造コストの低減をもたらすことができる。
【0005】
ワイヤーベースのスクリーンにおける現在の技術状態は、多くの処理上の利点を提供するが、スクリーンの一貫性を改善し且つ生産の無駄を減らすために、製造技術をさらに改善することが有利であろう。特に、隣接するワイヤー間のギャップ幅のばらつきが低減されるように、構成中のばらつきが低減されたワイヤーベースのスクリーンの製造を提供する技術を開発することが有利であろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、スクリーンフィルターがギャップ開口部よりも大きい所望の粒子サイズを超える粒子状物質を対象とするおよび/または除去することができるように、ギャップ幅の一貫性のより高いレベルを有するスクリーンフィルターを製造するように構成されたスクリーンフィルター製造装置を提供する。本開示の一実施形態は、スクリーンフィルター製造装置であって、フレームと、フレームに対して回転し、複数の支持ロッドを保持するように構成されたツールヘッドと、フレームに動作可能に結合され、ワイヤーを配設するように構成されたワイヤー送給ホイールと、スロット幅に関する1つまたは複数のパラメータを監視し、スクリーンフィルター製造中に測定されたスロット幅の少なくとも99.7%が、スクリーンフィルター製造中に測定された平均スロット幅の3標準偏差内に入るように、複数の支持ロッドの周りにワイヤーを巻き付けることを可能にするように構成された1つまたは複数のプロセス制御調整を実施するように構成された制御システムと、を含むスクリーンフィルター製造装置を提供する。
【0007】
上記した概要は、本明細書の主題の例示された各実施形態またはすべての実装を説明することを意図したものではない。以下の図面および詳細な説明は、様々な実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書の主題は、添付の図面に関連して様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
【
図1】本開示の実施形態によるスクリーンフィルターを示す斜視端面図である。
【
図2】
図1のスクリーンフィルターを示す端面図である。
【
図3】本開示の実施形態によるスクリーンフィルターを示す部分断面図である。
【
図4A】本開示の実施形態による円筒体の形態のワイヤーのらせん状巻き付けを示す部分側面図である。
【
図4B】本開示の実施形態による円筒体の形態のワイヤーのらせん状巻き付けを示す部分斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態によるスクリーンフィルター製造装置を示す概略図である。
【
図6】本開示によるスクリーンフィルター製造装置の代替の実施形態を示す概略図である。
【
図7】本開示の実施形態による製造中にスクリーンフィルターのスロット幅を動的に監視および制御するプロセスフロー図である。
【
図8】本開示の実施形態による
図7のプロセスを実行する製造装置の概略図である。
【
図9】本開示の一実施形態によるスクリーンフィルターの円筒形本体の長さに沿った監視されるスロット幅の正規分布を示すベル曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々な実施形態は、様々な修正および代替形態に従うが、その詳細は、図面において例として示されており、詳細に説明される。しかしながら、特許請求の範囲に係る発明を、説明される特定の実施形態に限定する意図ではないことを理解されたい。反対に、その意図は、特許請求の範囲によって定義される主題の趣旨および範囲内にあるすべての修正、均等物、および代替物を包含することである。
【0010】
図1および
図2を参照すると、本開示の実施形態によるスクリーンフィルター(screen filter)100が示されている。一実施形態では、スクリーンフィルター100は、円筒形本体101を想定するように製造することができる。あるいは、スクリーンフィルター100は、フラットスクリーン(flat screen)を想定するように製造することができ、それにより、2つ以上のフラットスクリーンを動作可能に結合して、他の幾何学的構成を想定することができる。スクリーンフィルター100は、典型的には、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅ニッケル合金などを含む適切な金属材料および合金から製造される。材料の選択は、ろ過する流体との互換性特性に依存するか、または他のプロセス変数に基づくことができる。例えばPVCを含む他の非金属材料であって、同様のギャップ幅および精度を有する同様の幾何学形状での製造を可能にする特性を有するものも、本開示の潜在的な実施形態において使用することができる。
【0011】
一実施形態では、スクリーンフィルター100は、複数の支持ロッド(support rod)102を含み得る。複数の支持ロッド102は、等間隔で配置され、スクリーンフィルター100の長手軸104に対して平行に配置され得る。
図2に最もよく示されているように、各支持ロッド102は、内側表面106と外側表面108とを含み、その間に支持ロッド高さ140を規定することができる。ある長さの連続するワイヤー110は、ワイヤー110が各接触点112で外側表面108に取り付けられるように、複数の支持ロッド102の周りに巻き付けられる。ワイヤーは、複数の支持ロッド102の周りに連続的に巻き付けられて、らせん状に巻き付けられるので、円筒形本体101が、概して、スクリーンフィルター100に対して画定される。
【0012】
図3を参照すると、本開示の実施形態によるスクリーンフィルター100の断面図が示されている。一実施形態では、ワイヤー110は、業界では一般にVee-Wire(登録商標)と呼称され、三角形の断面120を有する。三角形の断面120を有するワイヤー110が好ましいが、当技術分野で知られている他の従来のワイヤープロファイルの使用も考えられる。図示されるように、ワイヤー110は、接触点112で支持ロッド102に取り付けられた第1の頂点122を有し得る。第1の頂点122は、電気抵抗溶接、超音波接合、または当技術分野で公知の他の融着/取り付け方法などの適切な技術を使用して、支持ロッド102に動作可能に結合されることができる。各接触点112で溶接が完了すると、侵入深さ123が、ワイヤー110および/または支持ロッド102において規定される。
【0013】
第1の頂点122の反対側には、第2の頂点126と第3の頂点128との間に規定されたワイヤー幅114を有する露出されるワイヤー表面124がある。第2の頂点126および第3の頂点128はそれぞれ、コーナー半径130を規定し得る。一対のレリーフ表面(relief surface)132a、132bは、第1の頂点122と第2および第3の頂点126、128との間にそれぞれ延在され得る。ワイヤーの高さ136は、第1の頂点122と露出されるワイヤー表面124との間に規定され得る。ワイヤー110が支持ロッド102に動作可能に結合されると、全体的なスクリーン高さ138は、概して、内側表面106と露出されるワイヤー表面124との間に規定される。スクリーン高さ138は、概して、ワイヤー高さ136と支持ロッド高さ140の合計から、侵入深さ123を引いたものに相当する。支持ロッド102の周りのワイヤー110のらせん状の巻き付けおよび溶接によって、隣接するワイヤー110a、110bの繰り返しパターンが得られる。
【0014】
図4A~4Bを参照すると、明瞭性を向上させるために、円筒形本体101の形態のワイヤー110のらせん状の巻き付けの一部分が、支持ロッドなしで示されている。円筒形本体101を形成する際、ワイヤー110は、測定可能なスロット幅(slot width)118を有するスロットを画定するように、任意のピッチ116で複数の支持ロッド102の周りに巻き付けられることができる。
図3に最もよく示されているように、スロット幅118は、隣接するワイヤー110a、110bの対向するコーナー半径130の間に規定され、一方、ピッチは、隣接するワイヤー110a、110bの同じコーナー半径130の間に規定され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、スロット幅118が支持ロッド102に近接して規定されるように、露出したワイヤー表面124が支持ロッド102に固定され、円筒形本体101の中心に向かって内側を向くように、ワイヤー110の支持ロッド102への取り付けを「逆」にすることが望ましい場合がある。さらに、スクリーンフィルター100の全体的なサイズ、例えば、円筒形本体101の所望の直径および/または長さに依存して、ワイヤー110は、複数の支持ロッド102の周りのワイヤー110のらせん状巻き付けが連続するように、一緒に結合されるワイヤー110のさらに2つの長さまたはスプールを含み得る。いくつかの実施形態では、円筒形本体101は、切断され、剪断され、またはそうでなければ、フラットスクリーンまたは他の代替スクリーン形状に再び形成されることができる。さらに、スクリーンフィルター100は、スクリーンフィルター100を取り付けること及び所望の用途を補助するために、例えば、リング、継手、バー、および他の同様の装置のような付加的な取り付けまたはフレーム要素を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ワイヤー110のピッチ116および/または侵入深さ123は、製造中に変化されて、より均一なスロット幅118を達成することができる。例えば、一実施形態では、1つ以上の品質管理測定値は、製造プロセス中に取得され、隣接するワイヤー110a、110bの制御および位置決め、および/またはワイヤー110の支持ロッド102への取り付けにおいてフィードバックを提供するように使用されて、円筒形本体101内のスロット幅118に沿った最大偏差を低減することができる。従って、本開示のスクリーンフィルター100は、概して、スロット幅118が円筒形本体101の長さに沿って隣接するワイヤー110a、110bの各々の間で均一かつ一貫して規定されるように製造される。いくつかの実施形態において、測定可能なスロット幅118における一貫性は、スクリーンフィルター100が10μm以下の粒子サイズを有する粒子状物質を除去するために確実に使用されるようなものであり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の支持ロッド102に対するワイヤー110の「傾斜(tilt)」を変更することが望ましい場合がある。このような状況では、ワイヤー110の隣接するラップ(wrap)の間の露出したワイヤー表面124は、意図的に同じ平面内には存在せず、支持ロッド102の平面に平行でもない。場合によっては、ワイヤー110の隣接するラップの間の露出したワイヤー表面124は、平行配向で存在する。スクリーンフィルター100の特定の構成に応じて、ワイヤー110の「傾斜」は、単一のスクリーンフィルター100の構成全体にわたって意図的に変化されてもよいことが理解されよう。
【0018】
図5を参照すると、本開示の一実施形態による、スクリーンフィルター100を製造するように構成されたスクリーンフィルター製造装置200が示されている。スクリーンフィルター製造装置200は、フレーム202と、複数の支持ロッド102を保持し、製造プロセス中にワイヤー110が複数の支持ロッド102の周りに巻き付けられるときにフレーム202に対して回転するように構成されたツールヘッド(tooling head)204と、を含み得る。一実施形態では、ツールヘッド204の回転は、モータ206によって、直接的に、または機械歯車アセンブリ208を介して、動力を供給されることができる。ツールヘッド202は、テールストック・ベアリング・アセンブリ(tailstock bearing assembly)210によって反対側の端部で支持され得る。
【0019】
複数の支持ロッド102は、プルリング(pull ring)214を介してツールヘッド204に動作可能に結合されることができ、その結果、プルリング214は、ワイヤー110が複数の支持ロッド102の周りに巻き付けられるときに、複数の支持ロッド102をスクリーンフィルター製造装置200を通じて引っ張るように構成される。ワイヤー110で巻き付けられる前に、複数の支持ロッド102は、ロッドホルダー(rod holder)216によって支持され得る。ワイヤー送給ホイール(wire feed wheel)218は、ツールヘッド204に近接して配置されることができ、ワイヤー110が複数の支持ロッド102に巻き付けられるときにワイヤーを配設するように構成されることができる。ワイヤー送給ガイド220は、製造中にワイヤー110を複数の支持ロッド102に対して位置決めするのをさらに補助することができる。いくつかの実施形態では、複数の支持ロッド102に対するワイヤー110の適切な侵入深さ123となるように、複数の支持ロッド102の周りに巻き付けられるときに、ワイヤー110の張力は、ワイヤー送給ホイール218を用いて制御され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、電流源222によって生成された電流はワイヤー110に適用されることができ、複数の支持ロッド102は、電気接地と電気的に連絡することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ワイヤー110に適用された電流は、ワイヤー110と支持ロッド102が接触したときに、ワイヤー110を複数の支持ロッド102のうちの1つに結合させ、それにより、ワイヤー110を支持ロッド102に融着又は溶着させる。いくつかの実施形態では、ワイヤー送給ガイド222に最も近い支持ロッド102のみが接地されて、最小の抵抗の明確な経路を確立することができる。いくつかの実施形態では、電流は、必要なときにのみ電流が適用されるように、オンとオフを交互にすることができる。いくつかの実施形態では、電流の大きさは、複数の支持ロッド102に対するワイヤー110の適切な侵入深さ123となるように、電流源222によって制御されることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ツールヘッド204は、フレーム202に対して回転軸に沿って横方向に移動するように構成されることができ、ワイヤー110が複数の支持ロッド102の周りに巻き付けられるときに、隣接するワイヤー110a、110bの間に適切なピッチ116を提供する。一実施形態では、回転ネジ212が、横方向の動きに影響を与えるために採用される。しかしながら、横方向の動きに影響を与えるために当技術分野で知られている他の機構を使用することも考えられる。一実施形態では、隣接するワイヤー110a、110bの間に所望のスロット幅118を達成するように、フレーム202に対するツールヘッド204の横方向の移動を制御することができる。さらに、一実施形態では、フレーム202に対するツールヘッド204の回転は、製造プロセス中に、支持ロッド102に対するワイヤー110の所望の侵入深さ123および/または隣接するワイヤー110a、110b間の所望のスロット幅118を達成するように制御されることができる。
【0022】
図6を参照すると、スクリーンフィルター製造装置200’の別の実施形態では、フレーム202に対してツールヘッド202を横方向に移動させるのではなく、ワイヤー送給ホイール218及びワイヤー送給ガイド220が、フレーム202に対して横方向に移動するように構成され得る。この実施形態では、製造プロセス中に、複数の支持ロッド102に対するワイヤー110の所望の侵入深さ123および/または隣接するワイヤー110a、110b間の所望のスロット幅118を達成するために、ツールヘッド204の回転、電流源222を用いた電流の大きさ、ワイヤー送給ホイール218を用いたワイヤー110の張力、およびワイヤー送給ホイール218およびワイヤー送給ガイド220の横方向位置のうちの少なくとも1つを制御することができる。
【0023】
再び
図5を参照すると、一実施形態では、スクリーンフィルター製造装置は、ディスプレイ226を有する制御システム224と、スロット幅に関する1つ以上のパラメータを監視するように構成された1つ以上のセンサに動作可能に結合され、それと通信するコンピュータ228と、1つ以上のセンサによって収集された情報またはデータを記憶するように構成された記憶ユニット230と、を含み得る。コンピュータ228は、概して、適切なプロセッサおよびオペレーティングシステムを含み、記憶ユニット230は、コンピュータプロセッサとインタフェースするのに適切なメモリを含む。
【0024】
図7を参照すると、スクリーンフィルター100の製造中にスロット幅118を動的に監視および制御するプロセス300が、本開示の一実施形態に従って示されている。302において、スクリーンフィルター製造装置200が初期化される。製造装置200には、スクリーンフィルター100の製造のために、適切な数の支持ロッド102およびワイヤー110が搭載されている。304において、製造装置200は、複数の支持ロッド102の周りにワイヤー110を巻き付けるためにツールヘッド204を回転させることによって、スクリーンフィルター100の製造を開始する。
【0025】
306において、製造中に、スクリーンフィルター100またはその構成要素の品質に関する1つまたは複数のパラメータが、検知されるかまたは監視される。一実施形態では、スクリーンフィルター100の品質に関するパラメータは、(1)ワイヤー幅114、(2)ピッチ116、(3)スロット幅118、(4)前進速度(rate of advance)(例えば、フレーム202に対するツールヘッド202及び/又はワイヤー送給ホイール218の横方向移動)、(5)溶接エネルギーの大きさ(例えば、電流源222を用いて供給される電流)、(6)溶接圧力(例えば、ワイヤー送給ホイール218によって影響を受けるワイヤー110の張力及び/又はフレーム202に対するツールヘッド204の回転)、(7)フレーム202に対するツールヘッド204および/またはワイヤー送給ホイール218の直線位置(linear position)、(8)フレーム202に対するツールヘッド204の回転位置、(9)ワイヤー位置(例えば、ツールヘッド204に対するワイヤー送給ホイール218の位置)、および(10)必要に応じて他のパラメータのうちの少なくとも1つを含む。308において、上記測定されたパラメータのうちの1つまたは複数が、表示され得る。一実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、継続的に監視され得る。別の実施形態では、1つまたは複数のパラメータが監視される頻度は、統計データ、または1つまたは複数のパラメータの監視からの以前の測定値に基づくことができる。310において、検知された1つまたは複数のパラメータが記録される。
【0026】
312において、製造プロセスが完了しているかどうかについて問い合わせされる(queried)。製造プロセスが完了していない場合、ステップ314において、スロット幅118が適切なサイズであるかどうか、および/または隣接するワイヤー110a、110bのワイヤー表面124が一直線上にあるかどうかについて問い合わせされる。スロット幅118が適切なサイズでない、および/または隣接するワイヤー110a、110bのワイヤー表面124が一直線上にないと判定された場合、ステップ316において、1つ以上のプロセス制御調整が、製造装置200に対して行われる。一実施形態では、上記したプロセス制御調整は、(1)ピッチ216、(2)溶接エネルギーの大きさ(例えば、電流源222を用いて供給される電流)、(3)溶接圧力(例えば、ワイヤー送給ホイール218によって影響を受けるワイヤー110の張力及び/又はフレーム202に対するツールヘッド204の回転)、(4)フレーム202に対するツールヘッド204および/またはワイヤー送給ホイール218の直線位置(linear position)、(5)前進速度(例えば、フレーム202に対するツールヘッド202及び/又はワイヤー送給ホイール218の横方向移動の速度)、(6)フレーム202に対するツールヘッド204の回転位置、(7)回転速度(例えば、フレーム202に対するツールヘッド204の回転速度)、(9)ワイヤー位置(例えば、ツールヘッド204に対するワイヤー送給ホイール218の位置)、および(10)必要に応じて他のプロセス制御調整のうちの一つを含む。プロセス制御調整に続いて、306において、スクリーンフィルター100またはその構成要素の品質に関する1つまたは複数のパラメータが再び検知または監視され、プロセスが継続する。
【0027】
代替的に、ステップ314において、スロット幅118が適切なサイズであると決定され、及び/又は隣接するワイヤー124a、110bのワイヤー表面110が一直線上にある場合、ステップ318において、プロセス制御調整は行われず、プロセスは、スクリーンフィルター100の品質に関する1つ以上のパラメータを検知するステップ306に進む。
【0028】
312において、製造プロセスが完了したと判定された場合、320において、スクリーンフィルター100の製造が停止される。322において、動作306中に収集された検知されたパラメータおよび/または他のデータは、任意選択的にメモリに格納されることができる。324において、任意選択的に、動作306中に収集された検知されたパラメータおよび/または他のデータが利用されて、レポートを生成することができる。
【0029】
本教示の方法で使用される個々のステップは、その教示が実施可能である限り、任意の順序でおよび/または同時に実行されてもよいことが理解されるべきである。さらに、本教示の装置および方法は、その教示が実施可能である限り、説明された実施形態の任意の数またはすべてを含むことができることを理解されたい。
【0030】
図8を参照すると、本開示の一実施形態による、プロセス300を実行する製造装置200の概略図が示される。プロセス300の間、複数の支持ロッド102に対するワイヤー110の所望の侵入深さ123および/または隣接するワイヤー110a、110b間の所望のスロット幅118を達成するため、製造装置200は、プロセス300によって規定されたフィードバックループを利用して、スクリーンフィルター100の品質に関する1つまたは複数のパラメータを検知し、ツールヘッド204の回転、電流源222を用いた電流の大きさ、ワイヤー送給ホイール218を用いたワイヤー110の張力、および/またはツールヘッド204および/またはワイヤー送給ホイール218およびワイヤー送給ガイド220の横方向の位置のうちの少なくとも1つの制御に影響を与える。
【0031】
したがって、例示的な一実施形態では、ワイヤー110のワイヤー幅114は、ワイヤー送給ホイール218から配設されるときに、製造装置200によって測定されることができる。ワイヤー幅114が平均ワイヤー幅114よりも小さいと判定された場合、1つまたは複数のプロセス制御調整を行うことができる。たとえば、フレーム202に対するツールヘッド204および/またはワイヤー送給ホイール218の直線位置が調整されて、より小さいワイヤー幅114を補償して適切なスロット幅118を達成し、溶接エネルギーの大きさ(例えば、電流源222を用いて供給される電流)が調整されて、適切な侵入深さ123を達成することができる。他のプロセス制御調整は、製造中にスクリーンフィルター100の所望の特性に作用するために、所望に応じて/必要に応じて行うことができる。
【0032】
一実施形態では、検知されたワイヤー幅114が第1の所定の範囲内にある場合、第1の組のプロセス制御調整を行うことができる。検知されたワイヤー幅114が第1の所定の範囲外であるが第2の所定の範囲内である場合、第1の組のプロセス制御調整と追加のプロセス制御調整を含む第2の組のプロセス制御調整を行うことができる。検知されたワイヤー幅114が第2の所定の範囲外である場合、製造装置200のオペレータは、ディスプレイの測定値を介して警告を受け取ることができ、適切な修正がなされるまでプロセス300が停止されることができる。
【0033】
図9を参照すると、本開示の一実施形態によるスクリーンフィルター100の円筒形本体101の長さに沿った監視されるスロット幅118の正規分布を示すベル曲線が示されている。図示のように、円筒形本体101の周りで測定されたスロット幅118の68%は、平均スロット幅118の1標準偏差以内であり、測定されたスロット幅118の95.5%は、平均スロット幅118の2標準偏差以内であり、および測定されたスロット幅118の99.7%は、平均スロット幅118の3標準偏差(three standard deviations)内にある。したがって、いくつかの実施形態では、測定されたスロット幅118の一貫性は、所望の粒子状物質を除去するためにスクリーンフィルター100を確実に使用できるようなものである。
【0034】
一実施形態では、動作322中に収集されたデータは、製造装置200によって分析されることができ、例えば、実験計画法(Design of Experiments : DOE)プロセスによって、異なるプロセス制御調整を連続的に修正するプロセスを通じて、製造装置200は、製造されるスクリーンフィルター100の特性を最適化することができる。
【0035】
本明細書では、システム、デバイス、および方法の様々な実施形態について説明した。これらの実施形態は、例としてのみ与えられ、特許請求の範囲に係る発明の範囲を限定することを意図しない。さらに、説明された実施形態の様々な特徴は、多くの追加の実施形態を生成するために様々な方法で組み合わされてもよいことが理解されるべきである。さらに、様々な材料、寸法、形状、構成、および位置などが開示された実施形態での使用について説明されたが、開示されたもの以外の他のものは、特許請求の範囲に係る発明の範囲を超えることなく利用され得る。
【0036】
関連分野の当業者は、本明細書の主題が、上記した任意の個々の実施形態に示されるよりも少ない特徴を含み得ることを認識するであろう。本明細書において説明される実施形態は、本明細書の主題の様々な特徴を組み合わせることができる方法の網羅的な提示を意図していない。したがって、実施形態は、特徴の相互に排他的な組み合わせではなく、むしろ、様々な実施形態は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施形態から選択された異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。さらに、一実施形態に関して説明された複数の要素は、別段の記載がない限り、そのような実施形態で説明されていない場合でも、他の実施形態で実装されることができる。
【0037】
従属請求項は、特許請求の範囲において1つ又は複数の他の請求項との特定の組合せを引用することができるが、他の実施態様は、従属請求項と他の各従属請求項の主題との組合せ又は1又は複数の特徴と他の従属又は独立請求項との組合せを含むこともできる。このような組合せは、特定の組合せが意図されていないことが記載されていない限り、本明細書において提案される。
【0038】
上記文献の参照による援用は、本明細書の明示的開示に反する主題が組み込まれないように制限される。上記文献の参照による援用は、さらに、文献に含まれる特許請求の範囲が参照により本明細書に組み込まれないように制限される。上記文献の参照による援用は、文献において提供される任意の定義が本明細書に明示的に含まれない限り、参照により本明細書に援用されないように、さらに限定される。