(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】光学フィルムスタック、可変光源装置、及び顔感知モジュール
(51)【国際特許分類】
G06V 40/16 20220101AFI20230612BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230612BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G06V40/16 A
G02B5/18
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2021166854
(22)【出願日】2021-10-11
(62)【分割の表示】P 2020010041の分割
【原出願日】2020-01-24
【審査請求日】2021-10-11
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506084058
【氏名又は名称】奇景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】顏 裕峰
(72)【発明者】
【氏名】呂 引棟
(72)【発明者】
【氏名】莊 智宇
(72)【発明者】
【氏名】郭 漢▲い▼
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0266465(US,A1)
【文献】特表2013-505472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0101381(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0296522(US,A1)
【文献】特開2008-009224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/16
G06T 1/00
G02F 1/13
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折光学素子(DOE)と、
前記DOE上に配置される第1の検知回路層と、
前記DOEの傍に配置され、第1の透明基板、前記第1の透明基板上に配置される第2の検知回路層、前記第1の透明基板の傍に配置される第2の透明基板、前記第2の透明基板上に配置される第3の検知回路層、及び前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板の間に配置される液晶層を備える、液晶可変分散体と、
前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層を電気的に接続および短絡させる導電構造と、
を備える光学フィルムスタック。
【請求項2】
前記DOEは、第1の貫通孔を有し、
前記第1の透明基板は、第2の貫通孔を有し、
前記第2の透明基板は、第3の貫通孔を有し、
前記第1の貫通孔、前記第2の貫通孔、及び前記第3の貫通孔は、互いに繋がっており、
前記導電構造は、前記第1の貫通孔、前記第2の貫通孔、及び前記第3の貫通孔の内部にある、
請求項1の光学フィルムスタック。
【請求項3】
前記DOEの端は、前記第1の透明基板の端と整列しておらず、
前記第1の透明基板の端は、前記第2の透明基板の端と整列しておらず、
前記導電構造は、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層と接触している、
請求項1の光学フィルムスタック。
【請求項4】
前記DOEの角は、前記第1の透明基板の角と整列しておらず、
前記第1の透明基板の角は、前記第2の透明基板の角と整列しておらず、
前記導電構造は、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層と接触している、
請求項1の光学フィルムスタック。
【請求項5】
絶縁フレームをさらに備え、
前記DOE及び前記液晶可変分散体は、それぞれ、前記絶縁フレームの2つの対向する面に配置され、
前記導電構造は、前記絶縁フレームによって固定され、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層に電気的に接続される、少なくとも1つの鉛フレームを備える、
請求項1の光学フィルムスタック。
【請求項6】
光ビームを照射するように構成される光源と、
光学フィルムスタックであって、前記光ビームの経路上に配置される回折光学素子(DOE)と、前記DOE上に配置される第1の検知回路層と、前記DOEの傍に配置され、前記光ビームの経路上に配置される液晶可変分散体であって、第1の透明基板、前記第1の透明基板上に配置される第2の検知回路層、前記第1の透明基板の傍に配置される第2の透明基板、前記第2の透明基板上に配置される第3の検知回路層、及び前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板の間に配置される液晶層を備える、液晶可変分散体と、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層を電気的に接続および短絡させる導電構造と、を備える光学フィルムスタックと、
を備える可変光源装置。
【請求項7】
前記DOEは、第1の貫通孔を有し、
前記第1の透明基板は、第2の貫通孔を有し、
前記第2の透明基板は、第3の貫通孔を有し、
前記第1の貫通孔、前記第2の貫通孔、及び前記第3の貫通孔は、互いに繋がっており、
前記導電構造は、前記第1の貫通孔、前記第2の貫通孔、及び前記第3の貫通孔の内部にある、
請求項6の可変光源装置。
【請求項8】
前記DOEの端は、前記第1の透明基板の端と整列しておらず、
前記第1の透明基板の端は、前記第2の透明基板の端と整列しておらず、
前記導電構造は、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層と接触している、
請求項6の可変光源装置。
【請求項9】
前記DOEの角は、前記第1の透明基板の角と整列しておらず、
前記第1の透明基板の角は、前記第2の透明基板の角と整列しておらず、
前記導電構造は、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層と接触している、
請求項6の可変光源装置。
【請求項10】
絶縁フレームをさらに備え、
前記DOE及び前記液晶可変分散体は、それぞれ、前記絶縁フレームの2つの対向する面に配置され、
前記導電構造は、前記絶縁フレームによって固定され、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層に電気的に接続される、少なくとも1つの鉛フレームを備える、
請求項6の可変光源装置。
【請求項11】
前記光源は、レーザー照射体である、請求項6から10のいずれか1つの可変光源装置。
【請求項12】
可変光源装置であって、
光ビームを照射するように構成される光源と、
光学フィルムスタックであって、前記光ビームの経路上に配置される回折光学素子(DOE)と、前記DOE上に配置される第1の検知回路層と、前記DOEの傍に配置され、前記光ビームの経路上に配置される液晶可変分散体であって、第1の透明基板、前記第1の透明基板上に配置される第2の検知回路層、前記第1の透明基板の傍に配置される第2の透明基板、前記第2の透明基板上に配置される第3の検知回路層、及び前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板の間に配置される液晶層を備える、液晶可変分散体と、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層を電気的に接続および短絡させる導電構造と、を備える光学フィルムスタックと、を備える可変光源装置と、
前記可変光源装置の隣に配置され、前記光学フィルムスタックからの前記光ビームが反射することによって形成される反射光を感知するように構成されるカメラと、
を備える顔感知モジュール。
【請求項13】
前記DOEは、第1の貫通孔を有し、
前記第1の透明基板は、第2の貫通孔を有し、
前記第2の透明基板は、第3の貫通孔を有し、
前記第1の貫通孔、前記第2の貫通孔、及び前記第3の貫通孔は、互いに繋がっており、
前記導電構造は、前記第1の貫通孔、前記第2の貫通孔、及び前記第3の貫通孔の内部にある、
請求項12の顔感知モジュール。
【請求項14】
前記DOEの端は、前記第1の透明基板の端と整列しておらず、
前記第1の透明基板の端は、前記第2の透明基板の端と整列しておらず、
前記導電構造は、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層と接触している、
請求項12の顔感知モジュール。
【請求項15】
前記DOEの角は、前記第1の透明基板の角と整列しておらず、
前記第1の透明基板の角は、前記第2の透明基板の角と整列しておらず、
前記導電構造は、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層と接触している、
請求項12の顔感知モジュール。
【請求項16】
絶縁フレームをさらに備え、
前記DOE及び前記液晶可変分散体は、それぞれ、前記絶縁フレームの2つの対向する面に配置され、
前記導電構造は、前記絶縁フレームによって固定され、前記第1の検知回路層、前記第2の検知回路層、及び前記第3の検知回路層に電気的に接続される、少なくとも1つの鉛フレームを備える、
請求項12の顔感知モジュール。
【請求項17】
前記光源は、レーザー照射体である、請求項12から16のいずれか一項の顔感知モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学フィルムスタック、可変光源装置、及び顔感知モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
固体レーザーは、例えば、顔認識装置の光源及びオートフォーカスカメラ等の検知のための光源として動作するポータブル電子装置として広く使用されている。顔認識装置の光源は、構造化光を照射し、それにより、顔に光パターンが形成され、これは、固体レーザー源からのレーザービームの経路上に配置され、レーザービームを複数のサブビームに分割する回折光学素子(DOE)を適用することにより実現可能である。
【0003】
光源が平常に動作するのであれば、安全性の問題はない。しかしながら、DOE、若しくは光源のガラスが破損している場合、又は光源の上若しくは内部に水滴が落ちた場合、レーザービームの経路は変化し、安全性の問題を引き起こしかねない。例えば、レーザービームのエネルギーは、いくつかの位置に集中し、ユーザの眼を損傷させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、安全検知機能を有する光学フィルムスタックを対象とする。
【0005】
本開示は、安全検知機能を有する可変光源装置を対象とする。
【0006】
本開示は、安全検知機能を有する顔感知モジュールを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施の形態によれば、DOEと、第1の検知回路層と、液晶可変拡散体と、導電構造と、を備える光学フィルムスタックが提供される。第1の検知回路層は、DOE上に配置される。液晶可変拡散体は、DOEの傍に配置され、第1の透明基板と、第2の検知回路層と、第2の透明基板と、第3の検知回路層と、液晶層と、を備える。第2の検知回路層は、第1の透明基板上に配置される。第2の透明基板は、第1の透明基板の傍に配置される。第3の検知回路層は、第2の透明基板上に配置される。液晶層は、第1の透明基板及び第2の透明基板の間に配置される。導電構造は、第1の検知回路層、第2の検知回路層、及び第3の検知回路層を電気的に接続する。
【0008】
本開示の実施の形態によれば、光源と、上記の光学フィルムスタックと、を備えた可変光源装置が提供される。光源は、光ビームを照射するように構成される。DOEは、光ビームの経路上に配置される。液晶可変拡散体は、光ビームの経路上に配置される。
【0009】
本開示の実施の形態によれば、可変光源装置と、カメラと、を備える顔感知モジュールが提供される。カメラは、可変光源装置の隣に配置され、光学フィルムスタックからの光ビームが顔に反射されることによって形成される反射光を感知するように構成される。
【発明の効果】
【0010】
光学フィルムスタックにおいて、本開示の実施の形態に係る可変光源装置及び顔感知モジュールは、DOE、第1の透明基板、及び第2の透明基板にそれぞれ配置された第1の検知回路層、第2の検知回路層、及び第3の検知回路層を電気的に接続するように導電材料が適用されるため、DOE、第1の透明基板、及び第2の透明基板のいずれかの1つの破損若しくは損傷、又はそれらの上に存在する水滴を検知することができる。結果として、安全検知機能が達成可能である。
【0011】
付される図面は、本開示へのさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の実施の形態を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するために供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る、顔感知モジュールの概略断面図である。
【0013】
【0014】
【
図3】
図3A及び
図3Bは、本開示の別の実施の形態に係る、光学フィルムスタックの組み立てプロセスを示す概略斜視図である。
【0015】
【
図4】
図4は、本開示の別の実施の形態に係る、光学フィルムスタックの組み立てプロセスを示す概略斜視図である。
【0016】
【
図5】
図5Aから5Fは、本開示の別の実施の形態に係る、光学フィルムスタックの組み立てプロセスを示す概略斜視図である。
【0017】
【
図6】
図6は、
図5Aから
図5Fに示される組み立てプロセスによって製造される光学フィルムスタック、及びその断面を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の好ましい実施の形態が、付される図面に示される例を参照して詳細に説明される。可能な限り、図及び説明において、同じ参照番号が同じ又は同様の部分を参照するために用いられる。
【0019】
図1は、本開示の実施の形態に係る、顔感知モジュールの概略断面図である。
図2A、
図2B、及び
図2Cは、
図1の光学フィルムスタックの組み立てプロセスを示す概略斜視図である。
図1及び
図2Aから2Cを参照すると、本実施の形態の顔感知モジュール100は、可変光源装置105と、カメラ120と、を備える。可変光源装置105は、光源130と、光学フィルムスタック200と、を備える。光源130は、光ビーム132を照射するように構成される。本実施の形態において、光源130は、レーザー照射体、例えば、レーザーダイオード、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)、又は端面発光レーザーであり、光ビーム132は、レーザービームである。
【0020】
光学フィルムスタック200は、回折光学素子(DOE)210と、第1の検知回路層212と、液晶可変分散体220と、(
図2Cに示されるような)導電構造230と、を備える。DOE210は、光ビーム132の経路上に配置される。第1の検知回路層212は、DOE210上に配置される。液晶可変分散体220は、DOE210の傍、光ビーム132の経路上に配置される。液晶可変分散体220は、第1の透明基板222と、第2の検知回路層221と、第2の透明基板224と、第3の検知回路層223と、液晶層225と、を備える。第2の検知回路層221は、第1の透明基板222上に配置される。第2の透明基板224は、第1の透明基板222の傍に配置される。第3の検知回路層223は、第2の透明基板224上に配置される。液晶層225は、第1の透明基板222及び第2の透明基板224の間に配置される。導電構造230は、第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223を電気的に接続する。
【0021】
本実施の形態において、DOE210は、光源130からの光ビーム132を回折させて、光ビーム132を構造化光とするように構成される。液晶可変分散体220の液晶層225は、透明状態と分散状態とを交替可能である。液晶層225が透明状態になった場合、構造化光は、液晶可変分散体220を通り、液晶可変分散体220から出る光ビーム132は、構造化光であり、これは、ユーザの顔50に照射され、顔50上に光パターンを形成する。一方で、液晶層225が分散状態になった場合、構造化光は、液晶層225によって分散されて投光照明を形成し、液晶可変分散体220から出る光ビーム132は、投光照明であり、これは、顔50に均一に照射され、顔50上に均一な照明を提供する。
【0022】
液晶可変分散体220は、また、液晶層225の各2つの対向する面上にそれぞれ配置される2つの電極層を備えてよく、それにより、2つの電極層間に電圧差を印加することによって液晶層225の状態を交替させる。さらに、液晶可変分散体220は、また、液晶層225の2つの対向する面にそれぞれ接触する2つの配列層を備えてよく、それにより、液晶層225の液晶分子の初期配列を制御する。
【0023】
第1の検知回路層212は、DOE210の表面に分布する感知ワイヤを有する。DOE210が破損又は損傷した場合、感知ワイヤが破損しており、第1の検知回路層212の静電容量が変化し、それにより、DOE210の破損又は損傷を検知することができる。同様に、第2の検知回路層221は、第1の透明基板222の表面に分布された感知ワイヤを有し、それにより、第2の検知回路層221の静電容量の変化を検知することにより第1の透明基板222の破損又は損傷を検知することができる。さらに、第3の検知回路層223は、第2の透明基板224の表面に分布された感知ワイヤを有し、それにより、第3の検知回路層223の静電容量の変化を検知することにより第2の透明基板224の破損又は損傷を検知することができる。また、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224のいずれかに水滴が存在する場合、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224の総静電容量が変化し、それにより、可変光源装置105の上又は内部に存在する水滴を検知することができる。
【0024】
カメラ120は、可変光源装置105の隣に配置され、光学フィルムスタック200からの光ビーム132を顔50が反射することによって形成される反射光52を感知するように構成される。結果として、カメラ120に結合されたプロセッサ120は、カメラ120によって検知される顔50の画像に応じて顔50を認識可能である。
【0025】
本実施の形態の光学フィルムスタック200、可変光源装置105、及び顔感知モジュール100において、導電構造230が、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224上にそれぞれ配置された第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223を電気的に接続するように構成されるため、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224のいずれかの破損若しくは損傷、又はその上に存在する水滴を検知可能である。結果として、安全検知機能を達成することができる。
【0026】
本実施の形態において、DOE210は、少なくとも1つの第1の貫通孔211を有し、第1の透明基板222は、第2の貫通孔226を有し、第2の透明基板224は、第3の貫通孔227を有する。第1の貫通孔211、第2の貫通孔226、及び第3の貫通孔227は、互いに繋がっている。導電構造230は、第1の貫通孔211、第2の貫通孔226、及び第3の貫通孔227の内部にある。
【0027】
光学フィルムスタック200を組み立てる場合、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224は、それぞれ、第1の貫通孔211、第2の貫通孔226、及び第3の貫通孔227が開けられ、
図2AはDOE210及び第1の貫通孔211を例示する。次に、金属層213が、第1の貫通孔211、第2の貫通孔226、及び第3の貫通孔227の内壁に塗布され、
図2Bは金属層213が第1の貫通孔211の内壁に塗布されることを示す例示である。本実施の形態において、金属層213は、例えば、金層である。その後、
図2Cを参照すると、DOE210は、例えば光学透明樹脂である透明のりによって液晶可変分散体220に接着される。その後、金属のり、例えば、銀のり、が第1の貫通孔211、第2の貫通孔226、及び第3の貫通孔227に充填され、それにより、第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223が互いに電気的に接続される。本実施の形態において、第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223は、酸化インジウムスズ又は任意の別の好適な透明導電材料から作られてよい。
【0028】
図3A及び3Bは、本開示の別の実施の形態に係る、光学フィルムスタックの組み立てプロセスを示す概略斜視図である。
図3A及び3Bを参照すると、本実施の形態の光学フィルムスタック200aは、
図2Cの光学フィルムスタック200と同様であり、主な違いは以下の通りである。最初に、
図3Aを参照すると、光学フィルムスタック200を組み立てる場合、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224は、DOE210の端が第1の透明基板222の端と整列せず、第1の透明基板222の端が第2の透明基板224の端と整列しないように、共に接着される。結果として、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224が接着された後、第2の透明基板224は、第2の検知回路層221の端を露出させ、第1の透明基板222は、第1の検知回路層212の端を露出させる。
【0029】
その後、
図3Bを参照すると、金属のり、例えば銀のりがDOE210の端、第1の透明基板222の端、及び第2の透明基板224の端に適用されて導電構造230aが形成され、これは、第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223と接触している。例えば、導電構造230aは、第1の検知回路層212及び第2の検知回路層221の端、並びに第3の検知回路層223の上表面の端と接触している。
【0030】
図4は、本開示の別の実施の形態に係る、光学フィルムスタックの組み立てプロセスを示す概略斜視図である。
図4を参照すると、本実施の形態の組み立てプロセスは、
図3A及び3Bの組み立てプロセスと同様であり、主な違いは以下の通りである。本実施の形態において、光学フィルムスタックを組み立てる場合、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224は、異なる程度の面取りがなされてよく、それにより、DOE210の少なくとも1つの角は、第1の透明基板222の対応する角と整列せず、第1の透明基板222の対応する角は、第2の透明基板224の対応する角と整列しない。結果として、本実施の形態において、DOE210、第1の透明基板222、及び第2の透明基板224が接着された後、第2の透明基板224は、第2の検知回路層221の少なくとも1つの角を露出させ、第1の透明基板222は、第1の検知回路層212の対応する角を露出させる。
【0031】
その後、金属のり、例えば銀のりがDOE210の角、第1の透明基板222の角、及び第2の透明基板224の角に適用されて導電構造230aが形成され、これは、第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223と接触している。例えば、導電構造230aは、第1の検知回路層212及び第2の検知回路層221の露出した角、並びに第3の検知回路層223の上表面の角と接触している。
【0032】
図5Aから5Fは、本開示の別の実施の形態に係る、光学フィルムスタックの組み立てプロセスを示す概略斜視図であり、
図6は、
図5Aから
図5Fに示される組み立てプロセスによって製造される光学フィルムスタック、及びその断面を示す部分斜視図である。
図5Aから5F及び
図6を参照すると、本実施の形態の光学フィルムスタック200bは、
図2Cの光学フィルムスタック200と同様であり、主な違いは以下の通りである。本実施の形態において、光学フィルムスタック200bは、さらに、絶縁フレーム234を備えており、DOE210及び液晶可変分散体220は、それぞれ、絶縁フレーム234の2つの対向する面に配置される。導電構造230bは、絶縁フレーム234によって固定され、第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223に電気的に接続される、少なくとも1つの鉛フレームを備える。本実施の形態において、鉛フレーム及び絶縁フレーム234は、インサート成形法によって作られ、鉛フレームの一部は、絶縁フレーム234に覆われている。
【0033】
本実施の形態において、
図5Aを参照すると、光学フィルムスタック200bを組み立てる場合、金属のり(例えば、銀のり)が鉛フレームのパッド232に適用され、紫外線(UV)のりが絶縁フレーム234の片側に適用される。その後、
図5Bを参照すると、液晶可変分散体220は、UVのり233によって絶縁フレーム234上に組み立てられ、第2の検知回路層221は、金属のりによってパッド232に電気的に接続される。その後、UVのりは硬化される。次に、
図5Cを参照すると、金属のり(例えば、銀のり)が鉛フレーム及び第3の検知回路層223上に適用され、それにより、鉛フレーム及び第3の検知回路層223を電気的に接続する。その後、
図5Dを参照すると、絶縁フレーム234はひっくり返され、UVのりが絶縁フレーム234のもう一方の側に適用される。その後、
図5Eを参照すると、DOE210が絶縁フレーム234上に組み立てられる。その後、
図5Fを参照すると、金属のり(例えば、銀のり)が第1の検知回路層212及び鉛フレーム上に適用され、それにより、第1の検知回路層212は、金属のりによって鉛フレームと電気的に接続され、光学フィルムスタック200bの組み立てが完了する。その後、鉛フレーム及び導電構造230bの金属のりは、第1の検知回路層212、第2の検知回路層221、及び第3の検知回路層223を電気的に接続する。
【0034】
本開示の実施の形態の光学フィルムスタック、可変光源装置、及び顔感知モジュールにおいて、導電構造が、DOE、第1の透明基板、及び第2の透明基板にそれぞれ配置された第1の検知回路層、第2の検知回路層、及び第3の検知回路層を電気的に接続するように適用されるため、DOE上のいずれか、第1の透明基板、又は第2の透明基板の破損又は損傷、及びその上に存在する水滴を検知することができる。結果として、安全検知機能が達成される。
【0035】
本開示の構造に様々な変更及び変形を本開示の範囲及び精神から逸脱せずに行うことができる点、当業者にとって明らかである。上述に鑑み、本開示は、以下の請求の範囲及びその同等の範囲にある限り、本開示の変更及び変形を含む。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示の光学フィルムスタック、可変光源装置、及び顔感知モジュールは、顔感知機能を有するポータブル電子装置又は任意の別の電子装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
50 顔
52 反射光
100 顔感知モジュール
105 可変光源装置
120 カメラ
130 光源
132 光ビーム
200、200a、200b 光学フィルムスタック
210 回折光学素子
211 第1の貫通孔
212 第1の検知回路層
213 金属層
220 液晶可変分散体
221 第2の検知回路層
222 第1の透明基板
223 第3の検知回路層
224 第2の透明基板
225 液晶層
226 第2の貫通孔
227 第3の貫通孔
230、230a、230b 導電構造
232 パッド
233 UVのり
234 絶縁フレーム
235 金属のり