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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】電磁界プローブ用マーカー
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
G01R29/08 D
G01R29/08 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021178819
(22)【出願日】2021-11-01
(65)【公開番号】P2023067506
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2021-11-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年8月30日にサンプルを出荷
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 康夫
(72)【発明者】
【氏名】渕野 遼
(72)【発明者】
【氏名】葛川 大毅
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-46589(JP,U)
【文献】特開2010-175351(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002466(WO,A1)
【文献】特開2016-132835(JP,A)
【文献】特開2002-331796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁界可視化装置の電磁界プローブの位置を示すための電磁界プローブ用マーカーであって、
本体部と、
前記電磁界プローブに対して前記本体部を着脱するためのクリップ部と、
前記電磁界可視化装置の撮像装置に撮像され、その撮像画像上での目印とされる標識部とを備え、
前記標識部の寸法は、前記撮像装置の撮像範囲に応じて設定され、
撮像範囲に応じてユーザによって交換することができることを特徴とする電磁界プローブ用マーカー。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁界プローブ用マーカーにおいて、
前記電磁界プローブに対して前記本体部を位置決めする位置決め部を備えることを特徴とする電磁界プローブ用マーカー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電磁界プローブ用マーカーにおいて、
前記電磁界プローブは、既製品であることを特徴とする電磁界プローブ用マーカー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の電磁界プローブ用マーカーにおいて、
前記標識部は、V字状の板体で構成されていることを特徴とする電磁界プローブ用マーカー。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1つに記載の電磁界プローブ用マーカーにおいて、
前記標識部は、球体で構成されていることを特徴とする電磁界プローブ用マーカー。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1つに記載の電磁界プローブ用マーカーにおいて、
前記標識部は、球体と円環体とで構成されていることを特徴とする電磁界プローブ用マーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁界プローブ用マーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、評価対象物が発する電磁波ノイズを検出して可視化する電磁界可視化装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の電磁界可視化装置は、電磁界プローブと、スペクトラムアナライザと、撮像装置と、PC(パーソナルコンピュータ)と、表示装置とを備えている。電磁界プローブは、評価対象物が発する電磁波ノイズを検出するために設けられている。スペクトラムアナライザは、電磁界プローブにより検出される電磁波ノイズの周波数特性を測定するように構成されている。撮像装置は、評価対象物を撮像するとともに、その評価対象物上で走査される電磁界プローブを撮像するために設けられている。PCは、スペクトラムアナライザおよび撮像装置からの入力に基づいて、評価対象物の電磁波ノイズの発生状況を表示装置に表示させるように構成されている。
【0004】
電磁界プローブは、円環状のループアンテナを有する。ループアンテナには、撮像画像上での目印とされるループ閉塞体(電磁界プローブ用マーカー)が設けられている。
【0005】
また、電磁波ノイズ解析対象の信号であるターゲット信号とプローブ信号とをそれぞれ検出して、プローブ信号のターゲット信号におけるパワースペクトルの割合を算出する信号源推定装置も知られている(たとえば、特許文献2参照)。この信号源推定装置においても、プローブ信号を検出する円環状のループアンテナが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-96860号公報
【文献】特開2021-039074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本出願人が製造販売する既製品であるペン型電磁界プローブにおいて、電磁界プローブ用マーカーの標識部を撮像画像上で適切に識別させることについて改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、撮像画像上で標識部を適切に識別させることが可能な電磁界プローブ用マーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による電磁界プローブ用マーカーは、電磁界可視化装置の電磁界プローブの位置を示すためのものであり、本体部と、電磁界プローブに対して本体部を着脱するためのクリップ部と、電磁界可視化装置の撮像装置に撮像され、その撮像画像上での目印とされる標識部とを備える。標識部の寸法は、撮像装置の撮像範囲に応じて設定される。電磁界プローブ用マーカーは、撮像範囲に応じてユーザによって交換することができる。
【0010】
このように、標識部の寸法が撮像装置の撮像範囲に応じて設定されることにより、撮像画像上で標識部を適切に識別させることができる。
【0011】
上記電磁界プローブ用マーカーにおいて、電磁界プローブに対して本体部を位置決めする位置決め部を備えていてもよい。
【0012】
上記電磁界プローブ用マーカーにおいて、電磁界プローブは、既製品であってもよい。
【0013】
上記電磁界プローブ用マーカーにおいて、標識部は、V字状の板体で構成されていてもよい。
【0014】
上記電磁界プローブ用マーカーにおいて、標識部は、球体で構成されていてもよい。
【0015】
上記電磁界プローブ用マーカーにおいて、標識部は、球体と円環体とで構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電磁界プローブ用マーカーによれば、撮像画像上で標識部を適切に識別させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電磁界プローブ用マーカーが適用される電磁界可視化装置を説明するためのブロック図である。
図2】第1実施形態の電磁界プローブ用マーカーが電磁界プローブに取り付けられた状態を示した側面図である。
図3図2の電磁界プローブ用マーカーを示した斜視図である。
図4図2の電磁界プローブ用マーカーを別の角度から示した斜視図である。
図5】第2実施形態の電磁界プローブ用マーカーが電磁界プローブに取り付けられた状態を示した側面図である。
図6図5の電磁界プローブ用マーカーを示した斜視図である。
図7図5の電磁界プローブ用マーカーを別の角度から示した斜視図である。
図8】第3実施形態の電磁界プローブ用マーカーが電磁界プローブに取り付けられた状態を示した側面図である。
図9】第3実施形態の電磁界プローブ用マーカーが電磁界プローブに取り付けられた状態を示した平面図である。
図10図8の電磁界プローブ用マーカーを示した斜視図である。
図11図8の電磁界プローブ用マーカーを別の角度から示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
(第1実施形態)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による電磁界プローブ用マーカー(以下、単に「マーカー」という)10が適用される電磁界可視化装置100の概略について説明する。
【0020】
電磁界可視化装置100は、評価対象物150が発する電磁波ノイズを検出して可視化するように構成されている。電磁界可視化装置100は、図1に示すように、電磁界プローブ101と、アンテナ102と、信号源推定装置103と、撮像装置104と、PC(パーソナルコンピュータ)105と、表示装置106とを備えている。
【0021】
電磁界プローブ101、アンテナ102および信号源推定装置103は、評価対象物150(図2参照)が発する電磁波ノイズを検出するために設けられている。電磁界プローブ101およびアンテナ102は、信号源推定装置103と接続されている。なお、評価対象物150は、たとえば電子回路基板である。
【0022】
電磁界プローブ101は、作業者またはロボットにより評価対象物150上で走査されるようになっている。電磁界プローブ101は、プローブ信号を検出するように構成されている。アンテナ102は、たとえば所定の位置に固定され、ターゲット信号を検出するように構成されている。ターゲット信号は、評価対象物150が発する信号であり、評価対象物150におけるノイズ源のノイズ信号が含まれている。信号源推定装置103は、電磁界プローブ101からのプローブ信号とアンテナ102からのターゲット信号とに基づいて、ターゲット信号に占めるノイズ信号の割合を算出するように構成されている。すなわち、プローブ信号は、ターゲット信号に占めるノイズ信号の割合を算出するためのものである。
【0023】
ここで、電磁界プローブ101は、本出願人が製造販売する既製品である。電磁界プローブ101は、図2に示すように、ペン型であり、先端にセンサ部101aが設けられ、基端に接続部101bが設けられている。接続部101bにはケーブル(図示省略)が接続され、そのケーブルにより電磁界プローブ101が信号源推定装置103と接続されている。
【0024】
また、電磁界プローブ101には、スライド式のカバー101cが設けられている。カバー101cは、電磁界プローブ101の不使用時にセンサ部101aを覆うとともに、電磁界プローブ101の使用時に基端側に移動されてセンサ部101aを露出させるように構成されている。なお、電磁界プローブ101の使用時には、カバー101cがフランジ101dに当接されている。フランジ101dは、外側に張り出すように形成され、カバー101cの基端側へのスライド移動を規制するストッパとして機能する。
【0025】
撮像装置104は、評価対象物150を撮像するとともに、その評価対象物150上で走査される電磁界プローブ101を撮像するために設けられている。撮像装置104の撮像画像は、PC105で画像処理されて電磁界プローブ101の位置を特定するために用いられる。すなわち、撮像装置104の撮像画像は、電磁界プローブ101によるプローブ信号の検出位置を特定するために用いられる。撮像装置104は、電磁界プローブ101に装着された後述するマーカー10を撮像するように構成されている。
【0026】
たとえば、撮像装置104は、評価対象物150を上方から撮像するために、評価対象物150が載置される載置台(図示省略)の上方に設置されている。この撮像装置104は、評価対象物150の大きさに応じて撮像範囲を調整可能に構成されている。このため、撮像範囲が広い場合には、撮像範囲が狭い場合に比べて、撮像装置104の撮像画像の分解能が低くなる。
【0027】
PC105には、信号源推定装置103、撮像装置104および表示装置106が接続されている。PC105は、信号源推定装置103および撮像装置104からの入力に基づいて、評価対象物150の電磁波ノイズの発生状況を表示装置106に表示させるように構成されている。
【0028】
-マーカー-
次に、図2図4を参照して、第1実施形態のマーカー10について説明する。
【0029】
マーカー10は、図2に示すように、電磁界プローブ101の位置を示すためのものであり、電磁界プローブ101に着脱可能に構成されている。マーカー10は、本体部11と、クリップ部12と、位置決め部13と、標識部14とを備えている。たとえば、マーカー10は樹脂成型品であり、本体部11、クリップ部12、位置決め部13および標識部14が一体的に形成されている。
【0030】
本体部11は、図3および図4に示すように、長方形の平板状に形成されている。本体部11の一方面には、クリップ部12が形成されている。本体部11の長手方向の一方端部には、位置決め部13が形成され、本体部11の長手方向の他方端部には、標識部14が形成されている。
【0031】
クリップ部12は、電磁界プローブ101に対して本体部11を着脱するために設けられている。クリップ部12は、スナップリング状であり、電磁界プローブ101のカバー101cを保持可能に構成されている。クリップ部12は、本体部11の長手方向に間隔を隔てて複数(たとえば3つ)設けられている。各クリップ部12は、本体部11の短手方向の両端部から延びる一対の弧状アーム12aと、弧状アーム12aの先端に形成された爪部12bとを有する。爪部12bは、弧状アーム12aから内側に突出するように形成されている。
【0032】
位置決め部13は、電磁界プローブ101に対して本体部11を位置決めするために設けられている。位置決め部13は、本体部11の長手方向に延びるアーム13aと、アーム13aの先端に形成された爪部13bとを有する。爪部13bは、本体部11の一方面側に突出するように形成され、電磁界プローブ101のフランジ101dと係合可能に構成されている。
【0033】
標識部14は、撮像装置104(図1参照)に撮像され、その撮像画像上での目印とされるものである。標識部14は、V字状の板体で構成されており、屈曲部14aを有する。屈曲部14aは、本体部11の短手方向に延びるように形成されている。このため、標識部14の表面は、屈曲部14aに対して一方側に配置される第1面14bと、屈曲部14aに対して他方側に配置される第2面14cとを有する。なお、標識部14の裏面側には、三角形のリブ14d(図4参照)が形成されている。
【0034】
このようなマーカー10では、図2に示すように、クリップ部12がカバー101cに嵌め合わされることにより、マーカー10が電磁界プローブ101に取り付けられている。また、位置決め部13がフランジ101dに係合されることにより、電磁界プローブ101に対してマーカー10が位置決めされている。このとき、カバー101cがフランジ101dに当接されている。なお、クリップ部12がカバー101cを保持しているため、カバー101cが先端側に移動されないようになっている。
【0035】
そして、電磁界プローブ101にマーカー10が装着された状態で、電磁界プローブ101が評価対象物150上で走査される。そのとき、電磁界プローブ101によるプローブ信号の検出が行われるとともに、撮像装置104の撮像画像上での標識部14を用いた位置の算出が行われる。
【0036】
ここで、電磁界プローブ101が走査されるときには、図2に示すような予め設定された検出姿勢で走査される。この検出姿勢では、電磁界プローブ101が鉛直方向に対して傾斜されており、センサ部101aと屈曲部14aとが同一の鉛直線上に配置されている。すなわち、検出姿勢では、センサ部101aを通過する鉛直線に対して第1面14bおよび第2面14cが対称に配置されている。これにより、標識部14に対するセンサ部101aの位置を把握することが可能である。また、電磁界プローブ101が走査されているときに、屈曲部14aの延長方向(本体部11の短手方向)と交差する面内で電磁界プローブ101が検出姿勢から傾いた場合には、第1面14bおよび第2面14cでの反射光の態様が変化するため、検出姿勢からの変動を検知することが可能である。
【0037】
また、標識部14の寸法は、撮像装置104の撮像範囲に応じて設定されている。このため、たとえば、撮像装置104の撮像範囲が広い場合には、標識部14の寸法が大きいマーカー10が用いられ、撮像装置104の撮像範囲が狭い場合には、標識部14の寸法が小さいマーカー10が用いられるようになっている。すなわち、標識部14の寸法(第1面14bおよび第2面14cの面積)が異なる複数のマーカー10が準備されており、撮像装置104の撮像範囲に応じて適したマーカー10が利用される。
【0038】
-効果-
第1実施形態では、上記のように、標識部14の寸法が撮像装置104の撮像範囲に応じて設定されている。たとえば、撮像範囲が広い場合に標識部14が大きいマーカー10を用いるとともに、撮像範囲が狭い場合に標識部14が小さいマーカー10を用いることにより、撮像画像上で標識部14を適切に識別させることができる。つまり、撮像範囲が広く、撮像画像の分解能が低い場合には、標識部14が大きいマーカー10を用いることにより、撮像画像上で標識部14を適切に識別させることができる。
【0039】
また、第1実施形態では、クリップ部12が設けられることによって、電磁界プローブ101に対してマーカー10を容易に着脱することができるので、撮像範囲に応じてマーカー10を容易に交換することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、位置決め部13が設けられることによって、電磁界プローブ101に対してマーカー10を位置決めすることができる。
【0041】
また、第1実施形態では、標識部14がV字状の板体で構成されることによって、予め設定された検出姿勢からの変動を検知することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、図5図7を参照して、第2実施形態のマーカー20について説明する。
【0043】
マーカー20は、図5に示すように、電磁界プローブ101の位置を示すためのものであり、電磁界プローブ101に着脱可能に構成されている。マーカー20は、本体部21と、クリップ部22と、位置決め部23と、標識部24とを備えている。たとえば、マーカー20は樹脂成型品であり、本体部21、クリップ部22、位置決め部23および標識部24が一体的に形成されている。
【0044】
本体部21は、図6および図7に示すように、長方形の平板状に形成されている。本体部21の一方面には、クリップ部22が形成されている。本体部21の長手方向の一方端部には、位置決め部23が形成されている。本体部21の長手方向の他方端部側には、他方面に標識部24が形成されている。クリップ部22および位置決め部23は、それぞれ、上記したクリップ部12および位置決め部13と同様に構成されている。標識部24は、撮像装置104(図1参照)に撮像され、その撮像画像上での目印とされるものである。標識部24は、球体で構成されている。
【0045】
このようなマーカー20では、図5に示すように、クリップ部22がカバー101cに嵌め合わされることにより、マーカー20が電磁界プローブ101に取り付けられている。また、位置決め部23がフランジ101dに係合されることにより、電磁界プローブ101に対してマーカー20が位置決めされている。このとき、カバー101cがフランジ101dに当接されている。なお、クリップ部22がカバー101cを保持しているため、カバー101cが先端側に移動されないようになっている。
【0046】
そして、電磁界プローブ101にマーカー20が装着された状態で、電磁界プローブ101が評価対象物150上で走査される。そのとき、電磁界プローブ101によるプローブ信号の検出が行われるとともに、撮像装置104の撮像画像上での標識部24を用いた位置の算出が行われる。
【0047】
ここで、電磁界プローブ101が走査されるときには、図5に示すような予め設定された検出姿勢で走査される。この検出姿勢では、電磁界プローブ101が鉛直方向に対して傾斜されており、センサ部101aと球状の標識部24の中心とが同一の鉛直線上に配置されている。これにより、標識部24に対するセンサ部101aの位置を把握することが可能である。
【0048】
また、標識部24の寸法は、撮像装置104の撮像範囲に応じて設定されている。このため、たとえば、撮像装置104の撮像範囲が広い場合には、標識部24の寸法が大きいマーカー20が用いられ、撮像装置104の撮像範囲が狭い場合には、標識部24の寸法が小さいマーカー20が用いられるようになっている。すなわち、標識部24の寸法(直径)が異なる複数のマーカー20が準備されており、撮像装置104の撮像範囲に応じて適したマーカー20が利用される。
【0049】
-効果-
第2実施形態では、上記のように、標識部24の寸法が撮像装置104の撮像範囲に応じて設定されている。たとえば、撮像範囲が広い場合に標識部24が大きいマーカー20を用いるとともに、撮像範囲が狭い場合に標識部24が小さいマーカー20を用いることにより、撮像画像上で標識部24を適切に識別させることができる。つまり、撮像範囲が広く、撮像画像の分解能が低い場合には、標識部24が大きいマーカー20を用いることにより、撮像画像上で標識部24を適切に識別させることができる。
【0050】
また、第2実施形態では、クリップ部22が設けられることによって、電磁界プローブ101に対してマーカー20を容易に着脱することができるので、撮像範囲に応じてマーカー20を容易に交換することができる。
【0051】
また、第2実施形態では、位置決め部23が設けられることによって、電磁界プローブ101に対してマーカー20を位置決めすることができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、図8図11を参照して、第3実施形態のマーカー30について説明する。
【0053】
マーカー30は、図8および図9に示すように、電磁界プローブ101の位置を示すためのものであり、電磁界プローブ101に着脱可能に構成されている。マーカー30は、本体部31と、クリップ部32と、位置決め部33と、標識部34とを備えている。たとえば、マーカー30は樹脂成型品であり、本体部31、クリップ部32、位置決め部33および標識部34が一体的に形成されている。
【0054】
本体部31は、図10および図11に示すように、長方形の平板状に形成されている。本体部31の一方面には、クリップ部32が形成されている。本体部31の長手方向の一方端部には、位置決め部33が形成されている。本体部31の他方面には、標識部34が形成されている。クリップ部32および位置決め部33は、それぞれ、上記したクリップ部12および位置決め部13と同様に構成されている。
【0055】
標識部34は、撮像装置104(図1参照)に撮像され、その撮像画像上での目印とされるものである。標識部34は、球体341と円環体342とで構成されている。球体341は、本体部31の長手方向の他方端部側に配置されている。円環体342は、本体部31の長手方向の中間部から延びる連結板部342aと、連結板部342aの先端に形成された円環板部342bとを有する。連結板部342aは、本体部31の他方端部側とのなす角が鋭角になるように傾斜されている。円環板部342bは、円形の開口を有し、その開口の直径が球体341の直径よりも大きくされている。
【0056】
このようなマーカー30では、図8に示すように、クリップ部32がカバー101cに嵌め合わされることにより、マーカー30が電磁界プローブ101に取り付けられている。また、位置決め部33がフランジ101dに係合されることにより、電磁界プローブ101に対してマーカー30が位置決めされている。このとき、カバー101cがフランジ101dに当接されている。なお、クリップ部32がカバー101cを保持しているため、カバー101cが先端側に移動されないようになっている。
【0057】
そして、電磁界プローブ101にマーカー30が装着された状態で、電磁界プローブ101が評価対象物150上で走査される。そのとき、電磁界プローブ101によるプローブ信号の検出が行われるとともに、撮像装置104の撮像画像上での標識部34を用いた位置の算出が行われる。
【0058】
ここで、電磁界プローブ101が走査されるときには、図8に示すような予め設定された検出姿勢で走査される。この検出姿勢では、電磁界プローブ101が鉛直方向に対して傾斜されるとともに、円環体342が水平に配置されており、センサ部101aと球体341の中心と円環板部342bの開口の中心とが同一の鉛直線上に配置されている。これにより、標識部34に対するセンサ部101aの位置を把握することが可能である。また、電磁界プローブ101が走査されているときに、電磁界プローブ101が検出姿勢から傾いた場合には、撮像画像上における円環板部342bに対する球体341の位置(平面的に見た場合の円環板部342bと球体341との隙間)が変化するため、検出姿勢からの変動を精度よく検知することが可能である。
【0059】
また、標識部34の寸法は、撮像装置104の撮像範囲に応じて設定されている。このため、たとえば、撮像装置104の撮像範囲が広い場合には、標識部34の寸法が大きいマーカー30が用いられ、撮像装置104の撮像範囲が狭い場合には、標識部34の寸法が小さいマーカー30が用いられるようになっている。すなわち、標識部34の寸法(球体341および円環板部342bの直径)が異なる複数のマーカー30が準備されており、撮像装置104の撮像範囲に応じて適したマーカー30が利用される。
【0060】
-効果-
第3実施形態では、上記のように、標識部34の寸法が撮像装置104の撮像範囲に応じて設定されている。たとえば、撮像範囲が広い場合に標識部34が大きいマーカー30を用いるとともに、撮像範囲が狭い場合に標識部34が小さいマーカー30を用いることにより、撮像画像上で標識部34を適切に識別させることができる。つまり、撮像範囲が広く、撮像画像の分解能が低い場合には、標識部34が大きいマーカー30を用いることにより、撮像画像上で標識部34を適切に識別させることができる。
【0061】
また、第3実施形態では、クリップ部32が設けられることによって、電磁界プローブ101に対してマーカー30を容易に着脱することができるので、撮像範囲に応じてマーカー30を容易に交換することができる。
【0062】
また、第3実施形態では、位置決め部33が設けられることによって、電磁界プローブ101に対してマーカー30を位置決めすることができる。
【0063】
また、第3実施形態では、標識部34が球体341と円環体342とで構成されることによって、予め設定された検出姿勢からの変動を精度よく検知することができる。
【0064】
(他の実施形態)
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、電磁界可視化装置の電磁界プローブの位置を示すためのマーカーに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10、20、30 マーカー(電磁界プローブ用マーカー)
11、21、31 本体部
12、22、32 クリップ部
13、23、33 位置決め部
14、24、34 標識部
100 電磁界可視化装置
101 電磁界プローブ
104 撮像装置
341 球体
342 円環体
図1
図2
図3
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図5
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図11