(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】医療用装置送達のための解放可能なノット
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20230612BHJP
【FI】
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2021510853
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018049053
(87)【国際公開番号】W WO2020046364
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-03-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ミルトン シー.ケイトー
(72)【発明者】
【氏名】カール アール.チョン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-502107(JP,A)
【文献】米国特許第06302891(US,B1)
【文献】特表2000-503559(JP,A)
【文献】特表2011-516202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端及び後端を有しているカテーテル、
前記カテーテルの前端の近くに配置されている埋植式医療用装置、
作動ラインに加えられた力に応じて、前記埋植式医療用装置の送達中に、前記埋植式医療用装置を操縦するように構成された、前記作動ライン、
前記作動ラインを通して配置された前記埋植式医療用装置の一部分に連結されかつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成された、テザー、並びに
第3のループが第2のループを通して配置され、前記第2のループが第1のループを通して配置されるようにして、前記第1のループ、前記第2のループ、及び前記第3のループを形成している前記テザーの一部分を含んでおり、かつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている、解放可能なノット、
を備えている、送達システム
であって、
前記第3のループを通って配置されて前記解放可能なノットを形成している前記テザーの一部によって形成されている、第4のループを更に含み、前記第1のループは、前記テザーの第1の折り畳みによって形成され、前記第2のループは、前記テザーの第2の折り畳みによって形成され、前記第3のループは、前記テザーの第3の折り畳みによって形成され、前記第4のループは、前記テザーの第4の折り畳みによって形成されており、
前記解放可能なノットは、前記テザーの両端に加えられた張力に応じて解放されるように構成されている、送達システム。
【請求項2】
前端及び後端を有しているカテーテル、
前記カテーテルの前端の近くに配置されている埋植式医療用装置、
作動ラインに加えられた力に応じて、前記埋植式医療用装置の送達中に、前記埋植式医療用装置を操縦するように構成された、前記作動ライン、
前記作動ラインを通して配置された前記埋植式医療用装置の一部分に連結されかつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成された、テザー、並びに
第3のループが第2のループを通して配置され、前記第2のループが第1のループを通して配置されるようにして、前記第1のループ、前記第2のループ、及び前記第3のループを形成している前記テザーの一部分を含んでおり、かつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている、解放可能なノット、
を備えている、送達システムであって、
前記第3のループを通って配置されて前記解放可能なノットを形成している前記テザーの一部によって形成されている、第4のループを更に含み、前記第1のループは、前記テザーの第1の折り畳みによって形成され、前記第2のループは、前記テザーの第2の折り畳みによって形成され、前記第3のループは、前記テザーの第3の折り畳みによって形成され、前記第4のループは、前記テザーの第4の折り畳みによって形成されており、
前記テザーの第1の端部は、前記第1のループを通って配置されており、前記テザーの第2の端部は、前記第4のループを通って配置されており、前記解放可能なノットは、前記テザーの前記第2の端部に加えられた張力に応じて解放されるように構成されている、送達システム。
【請求項3】
作動ラインを埋植式医療用装置に隣接して配置すること、
前記作動ラインのアイレットを通してテザーを進ませ、前記テザーを前記埋植式医療用装置に連結すること、並びに
第3のループが第2のループを通して配置され、前記第2のループが第1のループを通して配置されている、前記第1のループ、前記第2のループ、及び前記第3のループを形成している、前記テザーの一部分を含んでおり、かつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている、解放可能なノットを形成すること、ここで、前記作動ラインは、作動ラインに加えられた力に応じて、前記埋植式医療用装置の送達中に、前記埋植式医療用装置を操縦するように構成されている、
を含んでいる、
作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結する方法
であって、
解放可能なノットを視覚的に検査することにより、前記解放可能なノットが前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結していることを検証し、かつ前記解放可能なノットが結び目の構成を維持できず、前記解放可能なノットが少なくとも部分的に解放されることが、視覚的な検査に不合格となることを更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の解剖学的空間(例えば、血管)を処置するための医療用装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、解剖学的空間内での正確な展開を可能にする埋植式医療用装置プロテーゼを含む方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
血管系の疾患は、ますます一般的になっている。血管系の処置は、血管系の蛇行した性質及び複雑さのために困難であり得る。例えば、大動脈解離は、一般に、大動脈弁根又はその近くで始まり、上行大動脈及び大動脈弓に続き、下行大動脈の上部にも影響を及ぼし得る。疾患の状態において埋植される医療用装置は、大動脈解離、動脈瘤、及び血管系の他の疾患の処置のために使用され得る。
【0003】
大動脈(又は他の蛇行血管)に沿って疾患を修復し、またそこから延びる枝を修復するための医療用装置、システム及び方法を提供することが、依然として望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一つの例(「実施例1」)によれば、送達システムは、埋植式医療用装置、前記埋植式医療用装置の送達中に、前記埋植式医療用装置を操縦するように構成された、作動ライン、前記作動ラインを通して配置された前記埋植式医療用装置の一部分に連結されかつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成された、テザー、並びに第3のループが第2のループを通して配置され、前記第2のループが第1のループを通して配置されるようにして、前記第1のループ、前記第2のループ、及び前記第3のループを形成している前記テザーの一部分を含んでおり、かつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている、解放可能なノット、を備えている。
【0005】
別の例(「実施例2」)によれば、実施例1の送達システムに付加的に、前記第1のループは、前記テザーの第1の折り畳みの重なり部分で連結された前記テザーの前記第1の折り畳みによって形成されたアイレットである。
【0006】
別の例(「実施例3」)によれば、実施例2の送達システムに付加的に、前記第2のループは、前記テザーの第2の折り畳みによって形成され、前記第3のループは、前記テザーの第3の折り畳みによって形成されている。
【0007】
別の例(「実施例4」)によれば、実施例1~3のいずれか1つの送達システムに付加的に、前記解放可能なノットが、前記テザーの一端に加えられた張力に応じて解放されるように構成されている。
【0008】
別の例(「実施例5」)によれば、実施例1の送達システムに付加的に、システムはまた、前記第3のループを通って配置されて前記解放可能なノットを形成している前記テザーの一部によって形成されている、第4のループを更に含み、前記第1のループは、前記テザーの第1の折り畳みによって形成され、前記第2のループは、前記テザーの第2の折り畳みによって形成され、前記第3のループは、前記テザーの第3の折り畳みによって形成され、前記第4のループは、前記テザーの第4の折り畳みによって形成されている。
【0009】
別の例(「実施例6」)によれば、実施例5の送達システムに付加的に、前記解放可能なノットは、前記テザーの両端に加えられた張力に応じて解放されるように構成されている。
【0010】
別の実施例(「実施例7」)によれば、実施例5の送達システムに付加的に、前記テザーの第1の端部は、前記第1のループを通って配置されており、前記テザーの第2の端部は、前記第4のループを通って配置されており、前記解放可能なノットは、前記テザーの前記第2の端部に加えられた張力に応じて解放されるように構成されている。
【0011】
別の例(「実施例8」)によれば、実施例1~7のいずれか1つの送達システムに付加的に、前記解放可能なノットは、前記テザーに張力を加えることなく、前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている。
【0012】
別の例(「実施例9」)によれば、実施例1~8のいずれか1つの送達システムに付加的に、前記解放可能なノットは、前記作動ラインに加えられる力に応じて、前記作動ラインと前記埋植式医療用装置との間の分離に抵抗するように構成される。
【0013】
一例(「実施例10」)によれば、埋植式医療用装置に作動ラインを連結させる方法は、作動ラインを埋植式医療用装置に隣接して配置すること、前記作動ラインのアイレットを通してテザーを進ませ、前記テザーを前記埋植式医療用装置に連結すること、並びに第3のループが第2のループを通して配置され、前記第2のループが第1のループを通して配置されている、前記第1のループ、前記第2のループ、及び前記第3のループを形成している、前記テザーの一部分を含んでおり、かつ前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている、解放可能なノットを形成すること、を含んでいる。
【0014】
別の例(「実施例11」)によれば、実施例10の方法に付加的に、この方法はまた、解放可能なノットを視覚的に検査することにより、前記解放可能なノットが前記作動ラインを前記埋植式医療用装置に連結していることを検証し、かつ前記解放可能なノットが結び目の構成を維持できず、前記解放可能なノットが少なくとも部分的に解放されることが、視覚的な検査に不合格となることを更に含む。
【0015】
別の例(「実施例12」)によれば、実施例10~11のいずれか1つの方法に付加的に、前記解放可能なノットを形成することは、前記テザーの第1の折り畳みを形成すること、及び前記テザーの前記第1の折り畳みの重なり部分で前記テザーを連結することを含む。
【0016】
別の例(「実施例13」)によれば、実施例10~12のいずれか1つの方法に付加的に、解放可能なノットを形成することは、第3のループを通して配置されたテザーの一部で第4のループを形成することを含み、前記第1のループは、前記テザーの第1の折り畳みによって形成され、前記第2のループは、前記テザーの第2の折り畳みによって形成され、前記第3のループは、前記テザーの第3の折り畳みによって形成され、前記第4のループは、前記テザーの第4の折り畳みによって形成される。
【0017】
別の例(「実施例14」)によれば、実施例10~11のいずれか1つの方法に付加的に、この方法はまた、前記テザーの一端又は両端に張力を加えることによって前記解放可能なノットを解放することを更に含む。
【0018】
別の例(「実施例15」)によれば、実施例10~14のいずれか1つの方法に付加的に、前記解放可能なノットは、前記作動ラインに加えられる力に応じて、前記作動ラインと前記埋植式医療用装置との間の分離に抵抗するように構成される。
【0019】
別の例(「実施例16」)によれば、送達システムは、埋植式医療用装置、アイレットを有するライン、及び前記埋植式医療用装置に連結され、前記ラインの前記アイレットを通って配置され、前記ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されたテザーであって、第3のループが第2のループを通って配置され、前記第2のループが第1のループを通って配置されるようにして、前記第1のループ、前記第2のループ、及び前記第3のループを有している、前記テザーの一部を有しており、前記ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている、前記テザー、を有している。
【0020】
別の例(「実施例17」)によれば、実施例16の送達システムに付加的に、前記解放可能なノットは、前記ラインに加えられた力に応じて、前記ラインと前記埋植式医療装置との間の分離に抵抗するように構成されている。
【0021】
別の例(「実施例18」)によれば、実施例16の送達システムに付加的に、前記解放可能なノットは、前記テザーに張力を加えることなく、前記ラインを前記埋植式医療用装置に連結するように構成されている。
【0022】
別の例(「実施例19」)によれば、実施例16の送達システムに付加的に、前記テザーは、前記テザーの一端又は両端に張力を加えることによってこれらの前記ループを解放するように構成されている。
【0023】
別の例(「実施例20」)によれば、実施例16の送達システムに付加的に、システムはまた、前記第3のループを通して配置されている前記テザーの一部によって形成されている第4のループを更に含んでおり、前記第1のループは、前記テザーの第1の折り畳みによって形成されており、前記第2のループは、前記テザーの第2の折り畳みによって形成されており、前記第3のループは、前記テザーの第3の折り畳みによって形成されており、前記第4のループは、前記テザーの第4の折り畳みによって形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を例示し、説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【
図1】
図1は、一つの実施形態に係る、埋植式医療用装置及び作動ラインを示す。
【
図2A-D】
図2A~
図2Dは、一つの実施形態に係る、例示的なテザー、及びテザーの一部分を有する解放可能なノットを形成する工程を示す。
【
図3A-E】
図3A~3Eは、一つの実施形態に係る、もう一つの例示的なテザー、及びテザーの一部分を有する解放可能なノットを形成する工程を示す。
【
図4A-F】
図4A~4Fは、一つの実施形態に係る、もう一つの例示的なテザー、及びテザーの一部分を有する解放可能なノットを形成する工程を示す。
【
図5A-E】
図5A~5Eは、本開示の様々な態様に係る、標的位置に対する拡張可能な装置の角度付けの側面図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0025】
当業者は、本開示の様々な態様が意図された機能を実行するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現され得ることを容易に理解するのであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張されている場合があり、その点に関して、図面は、限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0026】
本開示の様々な態様は、血管系の処置に使用され得る埋植式医療用装置を含む装置、システム、及び方法に向けられる。埋植式医療用装置は、送達システムを使用して血管系に送達される。加えて、本明細書に記載されている埋植式医療用装置は、実質的に円筒形であってもよく、分岐部を含んでいてもよく、または様々な特徴のいずれかを有していてもよい。更に、埋植式医療用装置は、埋植式医療用装置が埋植される血管系に適合するように構成されてもよく、最小侵襲性の手順を使用して(例えば、経カテーテル技術を介して)埋植式医療用装置の送達を容易にすることができるように低プロファイルであってよく、血管系に埋植された後に生じる力及び他の応力に耐えることができてよい。
【0027】
送達システムは、血管系内に配置するために埋植式医療用装置を位置決め及び/又は操縦するように構成されてもよい。埋植式医療用装置を位置決め及び/又は操縦するために、送達システムは、ユーザがラインに力を加えることに応じて埋植式医療用装置の位置を変化させるラインを含んでもよい。ラインは(例えば、埋植式医療用装置が送達され、位置決めされた後に、血管系への外傷を回避するために、ラインの除去を可能にするために)埋植式医療用装置に解放可能に連結されてもよい。以下で更に詳細に議論されるように、テザーは、ラインを埋植式医療用装置に解放可能に連結するために使用され得る。テザーは、容易に製造可能でありかつ適切な展開を容易にする、解放可能なノットに形成されてもよい。本明細書で論じる解放可能なノットは、解放中にラインとの絡み合いを回避する。他の例において、テザーはまた、他のラインを埋植式医療用装置に解放可能に連結するために使用されてもよい。
【0028】
図1は、本開示の様々な態様に係る、埋植式医療用装置100及びライン102を示す。埋植式医療用装置100は、患者の血管系内の標的位置への埋植式医療用装置100の送達のために、送達システムに解放可能に連結される。送達システムは、前端106及び後端(
図1には図示せず)を含むカテーテル104を含み得る。埋植式医療用装置100は、カテーテル104の前端106の近くに配置されてもよい。カテーテル104は、埋植式医療用装置100の管腔を通って、埋植式医療用装置100の近位端108に向かって、かつそれを越えて延びることができる。カテーテル104はまた、先端106に先端(図示せず)を含んでもよい。
図1に示すように、埋植式医療用装置100は、ステント成分及びグラフト成分を含むが、埋植式医療用装置は、ステント、グラフト、分岐型埋植式医療用装置、及び心臓弁等を含む様々な形態をとることができる。
【0029】
埋植式医療用装置100は、近位端108、遠位端110、及びそれらの間に延在する流動管腔を含む。埋植式医療用装置100の近位端108は、患者の血管系内の標的位置に最も近い、埋植式医療用装置100の端部と見なすことができる。ライン102は、1つ又は複数の位置で埋植式医療用装置100に連結されてもよい。
図1に示されるように、ライン102は、埋植式医療用装置100の近位端108に隣接して、または近くに取り付けられ、送達システムの利用者がアクセス可能である。
【0030】
図示されるように、ライン102は、少なくとも1つのテザー112を介して埋植式医療用装置100に連結される。テザー112は、ライン102を埋植式医療用装置100に連結するために、埋植式医療用装置100の一部を通り、ライン102を通って、配置されてもよい。場合によっては、
図1に示されるように、少なくとも1つのテザー112は、埋植式医療用装置100の近位端108の近く又はそれに隣接して、埋植式医療用装置100を通って配置される。少なくとも1つのテザー112は、
図1に示すように、単一のテザーであってもよい。
【0031】
いくつかの例において、埋植式医療用装置100は、埋植式医療用装置100の表面(例えば、外面)に取り付けられた、又は連結された、パッチ114を含んでもよい。パッチ114は、埋植式医療用装置100の表面とグラフト材料との間に管腔を形成するグラフト材料の層を含むことができる。テザー112は、パッチ114を通って配置されて、ライン102を埋植式医療用装置100に連結してよい。
【0032】
場合によっては、ライン102は、埋植式医療用装置100をその送達中に操縦するように構成された作動ライン102である。作動ライン102は、送達システムを操作するユーザが作動ライン102に力を加え、埋植式医療用装置100を双方向に(例えば、患者の血管系内の標的位置に対して近位及び遠位に)操縦し得るように、柱強度を含み得る。例えば、作動ライン102は、テザー112の剛性よりも大きい剛性を有していてよい。作動ライン102の剛性及び/又は作動ライン102が埋込型医療用装置100に連結される位置は、患者の血管系内の標的位置に対して埋込型医療用装置100を展開及び配置することを容易にし得る。例えば、埋植式医療用装置100は、少なくとも1つの変曲点を有する曲率を有する蛇行血管で展開するように構成されてもよい。場合によっては、作動ライン102は、埋植式医療用装置100の送達中に、蛇行血管の湾曲における変曲点に対してほぼ垂直に、埋植式医療用装置100の近位端108を維持するように構成される。
【0033】
作動ライン102は、埋植式医療用装置100が患者の血管系内の標的位置に配置され、展開された後に、埋植式医療用装置100から切り離され、又は解放されて、患者から除去されてもよい。場合によっては、テザー112は、作動ライン102が埋植式医療用装置100から解放されるか、又は切り離された後に、埋植式医療用装置100に連結されたままであるか、または通されたままであるように構成される。作動ライン102は、テザー112がそれを通して配置されるアイレット又は開口部を、遠位端に含むことができる。更に、テザー112は、生体吸収性材料から形成され得、この生体吸収性材料は、溶解して、埋植式医療用装置100から作動ライン102を解放し、又は切り離す。他の例において、テザー112は、埋植式医療用装置100から作動ライン102を切り離すために、取り外されるか、又はほどかれるように構成される。
【0034】
図2A~
図2Dは、一つの実施形態に係る、例示的なテザー、及びテザーの一部分を有する解放可能なノットを形成する工程を示す。
図1を参照して上記で詳細に説明したように、テザー112は、埋植式医療用装置の一部に連結され、かつライン(例えば、作動ライン)を通って配置されて、ラインを埋植式医療用装置に連結する。
図2A~
図2Dに示される工程を通した進行によって示されるように、テザー112は、解放可能なノットを形成し、これは、
図2Dに完成した形態で示される。テザー112は、解放可能なノット200の形成において、複数のループを含む。
【0035】
場合によっては、
図2Aに示すように、テザー112は、第1のループ202を含む。第1のループ202は、テザー112の第1の折り畳みの重なり部分204で連結されるテザー112の第1の折り畳みによって形成されるアイレットであり得る。テザー112は、熱を加えてテザー112をそれ自体に連結させて、第1のループ202を形成することによって、互いに連結されてもよい。テザー112は、ライン及び埋植式医療用装置を通って進まされ、又は配置され、ラインを埋植域医療用装置に連結する。説明を容易にするために、要素206は、ラインの一方及び埋植式医療用装置を表し、要素208は、他方のライン及び埋植式医療用装置を表す。場合によっては、要素206は、パッチ(
図1に示される)又は埋植式医療用装置の穴であってもよく、かつ要素208は、ラインのアイレットであってよい。
【0036】
図2Bに示されるように、テザー112は、要素206及び要素208の周りに配置される。場合によっては、テザー112は、要素206(
図1に示すパッチ)を通り、ラインのアイレットを通って配置される。要素206及び要素208を通って、又はその周りに配置された後、テザー112は、
図2Cに示されるように、第2のループ210を形成するように折り畳まれ得る。次いで、テザー112の第2のループ210は、テザー112の第1のループ202を通って配置される。
【0037】
更に、
図2Dに示されるように、テザー112の第3の折り畳みは、第3のループ212を形成し得る。続いて、第3のループ212は、第2のループ210を通って配置される。したがって、第3のループ212は、第2のループ210を通って配置され、第2のループ210は、第1のループ202を通って配置されて、
図2Dに示されるような解放可能なノット200を形成する。この構成において、解放可能なノット200は、作動ラインを埋植式医療用装置に連結するように構成される。
【0038】
上述のようにテザー112の複数のループが形成され、配置された後、テザー112の端部214、216に張力を加えて、解放可能なノット200を締め付けることができる。解放可能なノット200を解放し、又はほどくために、端部214、216の一方に張力を加えることができる。
【0039】
上述の方法で解放可能なノット200を形成することは、製造可能であり得る。場合によっては、解放可能なノット200は、手で形成され又は結ばれる。解放可能なノット200を形成する工程は、比較的に単純である(例えば、テザー112における多数ではない、最小限のクロスオーバー又はループの形成)。更に、解放可能なノット200を製造又は形成する際に、解放可能なノット200が適切に形成されているかどうかを判定すべきである。解放可能なノット200は、解放可能なノット200が埋植式医療用装置にラインを連結するときに、適切に形成される。上述の方法で解放可能なノット200を形成することはまた、解放可能なノット200が適切に形成されているかどうかを示すことによって、製造可能性を容易にすることができる。このようにして、解放可能なノット200は、非効率的に形成され得ない。例えば、解放可能なノット200を形成する工程に従わない場合、解放可能なノット200は、ノット構成(例えば、
図2Dに示されるような)を維持せず、テザー112は、少なくとも部分的に解放される。その結果、解放可能なノット200を視覚的に検査して、解放可能なノット200が作動ラインを埋植式医療用装置に効果的に連結することを確認することは、解放可能なノット200がノット構成を維持しているか、またはそうしないかを判定することを含む。
【0040】
更に、解放可能なノット200は、テザー112に張力を加えることなく、作動ラインを埋植式医療装置に連結するように構成される。解放可能なノット200が形成された後、解放可能なノット200をノット構成(例えば、
図2Dに示すような)に保持するために張力を加える必要はない。テザー112の端部216は、使用がテザー112の端部216に張力を加えるか、又はテザー112の端部216に連結された展開ハンドルの一部を作動させることができるように、展開ハンドル(図示せず)又はカテーテルの近位部分(例えば、
図1を参照して上述したような)に連結することができる。
【0041】
図1を参照して上述したように、ライン(作動ライン)は、作動ラインに加えられた力に応じて、埋植式医療用装置を操縦できてよい。場合によっては、埋植式医療用装置を双方向に(例えば、患者の血管系内の標的位置に対して近位および遠位に)操縦するために、力が作動ラインに印加されてもよい。解放可能なノット200は、操縦中に、埋植式医療用装置に連結されたラインを維持するためにノット構成を維持するように構成される。
場合によっては、解放可能なノット200は、作動ラインに印加される力に応じて、(作動)ラインと埋植式医療用装置との間の分離に抵抗するように構成される。(
図1を参照して上述したように)埋植式医療用装置が患者の血管系に整列された後、テザー112は、テザー112の端部216に張力を加えることによって、第2及び第3のループ210、212を第1のループ202から解放するように構成される。
【0042】
図3A~Eは、一つの実施形態に係る、もう一つの例示的なテザー112、及びテザー112の一部と共に解放可能なノット300を形成する工程を示す。
図1を参照して上記で詳細に説明したように、テザー112は、埋植式医療用装置の一部に連結され、ライン(例えば、作動ライン)を通って配置されて、ラインを埋植式医療用装置に連結する。
図3A~
図3Eに示される工程を通って進行することが示されるように、テザー112は、解放可能なノット300を形成し、これは、
図3Eに完成した形態で示される。
【0043】
場合によっては、
図3Aに示すように、テザー112は、第1のループ202を含む。第1のループ202は、テザー112の第1の折り畳みによって形成されてもよい。テザー112は、ライン及び埋植式医療用装置を通って進み又は配置され、ラインを埋植式医療用装置に連結する。
図2A~
図2Dの図解と同様に、要素206は、ラインの一方及び埋植式医療用装置を表し、要素208は、他方のライン及び埋植式医療用装置を表す。場合によっては、要素206は、パッチ(
図1に示される)であってもよいし、埋植式医療用装置の穴であってもよく、要素208は、ラインのアイレットであってもよい。テザー112は、要素206及び要素208の周りに配置される。場合によっては、テザー112は、要素206(
図1に示すパッチ)を通り、ラインのアイレットを通って配置される。要素206及び要素208を通って、又はその周りに配置された後、テザー112は、
図3Bに示されるように、第2のループ210を形成するように折り畳まれ得る。次いで、テザー112の第2のループ210は、テザー112の第1のループ202を通って配置される。
【0044】
図3Cは、第2のループ210を形成する際のテザー112のための経路を示す。
図2Cに示されるように、折り畳まれたテザー112の両方の部分は、第2のループ210を形成するために使用される。更に、
図3A~Eに示されるように、テザー112によって形成されるループの各々は、折り畳まれたテザー112の両方の部分を含む。例えば、
図3Dに示すように、テザー112の第3の折り畳みは、第3のループ212を形成することができる。次に、第3のループ212は、第2のループ210を通って配置される。続いて、第3のループ212は、第2のループ210を通って配置される。
図3Eに示されるように、テザー112の第4の折り畳みは、第4のループ316を形成し得る。次に、第4のループ316は、第3のループ212を通って配置される。
【0045】
第4のループ316が第3のループ212を通って配置された後、テザー112の端部214、216に張力を加えて、解放可能なノット300を締め付けて完成させることができる。解放可能なノット300を解放し、又はほどくために、端部214、216の両方に張力を加えることができる。解放可能なノット300が形成された後、解放可能なノット300をノット構成(例えば、
図3Eに示すような)に保持するために張力を加える必要はない。端部214、216の一方又は両方は、使用がテザー112の端部214、216の一方に張力を加えるか、又はテザー112の端部214、216の一方に連結された展開ハンドルの一部を作動させることができるように、展開ハンドル(図示せず)又はカテーテルの近位部分(例えば、
図1を参照して上述したよう)に連結することができる。
【0046】
上述の方法で解放可能なノット300を形成することは、製造可能であり得る。解放可能なノット300を形成する工程は、比較的に単純である(例えば、テザー112における多数ではない、最小限のクロスオーバー又はループの形成)。更に、解放可能なノット300を製造又は形成する際に、解放可能なノット300が適切に形成されているかどうかを判定すべきである。解放可能なノット300は、解放可能なノット300が埋植式医療用装置にラインを連結することができるときに、適切に形成される。その結果、解放可能なノット200を視覚的に検査して、解放可能なノット300が作動ラインを埋植式医療用装置に効果的に連結することを確認することは、解放可能なノット200がノット構成を維持しているか、またはそうしないかを判定することを含む。
【0047】
図1を参照して上述したように、ライン(作動ライン)は、作動ラインに加えられた力に応じて、埋植式医療用装置を操縦することができてよい。場合によっては、埋植式医療用装置を双方向に(例えば、患者の血管系内の標的位置に対して近位および遠位に)操縦するために、力が作動ラインに印加されてもよい。解放可能なノット300は、操縦中に埋植式医療用装置に連結されたラインを維持するためにノット構成を維持するように構成される。場合によっては、解放可能なノット300は、作動ラインに加えられる力に応じて、(作動)ラインと埋植式医療用装置との間の分離に抵抗するように構成される。(
図1を参照して上述したように)埋植式医療用装置が患者の血管系に整列された後、テザー112は、テザー112の端部214、216に張力を加えることによって、第2及び第3のループ210、212を第1のループ202から解放するように構成される。
【0048】
図4A~Fは、一つの実施形態に係る、もう一つの例示的なテザー、及びテザーの部分を有する解放可能なノットを形成する工程を示す。
図1を参照して上記で詳細に説明したように、テザー112は、埋植式医療用装置の一部に連結され、ライン(例えば、作動ライン)を通って配置されて、ラインを埋植式医療用装置に連結する。
図4A~
図4Fに示される工程を通って進行することが示されるように、テザー112は、解放可能なノット400を形成し、これは、
図4Fに完成した形態で示される。以下で更に詳細に論じるように、テザー112は、複数のループ202、210、212、316によって解放可能なノット400を形成する。
【0049】
場合によっては、
図4Aに示すように、テザー112は、第1のループ202を含む。第1のループ202は、テザー112の第1の折り畳みによって形成されてもよい。テザー112は、ライン及び埋植式医療用装置を通って進み又は配置され、ラインを埋植式医療用装置に連結する。
図2A~D及び
図3A~Eの図解と同様に、要素206は、ラインの一方及び埋植式医療用装置を表し、かつ要素208は、他方のライン及び埋植式医療用装置を表す。場合によっては、要素206は、パッチ(
図1に示される)であってもよいし、埋植式医療用装置の穴であってもよく、要素208は、ラインのアイレットであってもよい。テザー112は、要素206及び要素208の周りに配置される。場合によっては、テザー112は、要素206(
図1に示すパッチ)を通り、ラインのアイレットを通って配置される。要素206及び要素208を通って、またはその周りに配置された後、テザー112は、
図4Bに示されるように、第2のループ210を形成するように折り畳まれ得る。次いで、テザー112の第2のループ210は、テザー112の第1のループ202を通って配置される。
図4Cは、第2のループ210を形成する際の、テザー112のための経路を示す。
図4Cに示されるように、折り畳まれたテザー112の両方の部分は、第2のループ210を形成するために使用される。テザー112によって形成される第1のループ202及び第2のループ210の各々は、折り畳まれたテザー112の両方の部分を含む。
図4Dに示されるように、第3のループ212を形成し得る、テザー112の第3の折り畳みは、テザー112の部分のうちの1つを含む。
図4Dに示されるように、テザー112の端部214は、第1のループ202を通って戻るように配置され、一方、テザー112の端部216は、第2のループ210を通って配置される第3のループ212を形成するように折り畳まれる。
【0050】
解放可能なノット400に形成された第3のループ212と同様に、テザー112の第4の折り畳みは、テザー112の端部216を含む第4のループ316を形成することができる。次に、第4のループ316は、
図4E-Fに示すように、第3のループ212を通って配置される。第4のループ316が第3のループ212を通って配置された後、テザー112の端部214、216に張力を加えて、解放可能なノット400を締め付けて完成させることができる。
【0051】
解放可能なノット400を解放し又はほどくために、端部216に張力を加えることができる。場合によっては、端部214は、解放可能なノット400が形成された後に切り取られてもよい。更に、端部216は、使用者がテザー112の端部216に張力を加えるか、又はテザー112の端部216に連結された展開ハンドルの一部を作動させることができるように、展開ハンドル(図示せず)又はカテーテルの近位部分(例えば、
図1を参照して上述したよう)に連結することができる。加えて、解放可能なノット400をノット構成(例えば、
図4Fに示すような)に保持するために張力を加える必要がない。
【0052】
上述の方法で解放可能なノット400を形成することは、製造可能であり得る。解放可能なノット400を形成する工程は、比較的に単純である(例えば、テザー112における多数ではない、最小限のクロスオーバー又はループの形成)。更に、解放可能なノット400を製造又は形成する際に、解放可能なノット400が適切に形成されているかどうかを判定すべきである。解放可能なノット400は、解放可能なノット400がラインを埋植式医療用装置に連結することができるときに、適切に形成される。その結果、解放可能なノット400が作動ラインを埋植式医療用装置に効果的に連結することを確認するために解放可能なノット200を視覚的に検査することは、解放可能なノット200が結び目構成を維持しているか、またはそうしないかを判定することを含む。
【0053】
図1を参照して上述したように、ライン(作動ライン)は、作動ラインに加えられた力に応じて、埋植式医療用装置を操縦することができる。解放可能なノット400は、操縦中に埋植式医療用装置に連結されたラインを維持するために結び目構成を維持するように構成される。場合によっては、解放可能なノット400は、作動ラインに加えられる力に応じて、(作動)ラインと埋植式医療用装置との間の分離に抵抗するように構成される。(
図1を参照して上述したように)埋植式医療用装置が患者の血管系に整列された後、テザー112は、テザー112の端部214、216の一方に張力を加えることによって、第2及び第3のループ210、212を第1のループ202から解放するように構成される。
【0054】
図5A~Eは、本開示の様々な態様に係る、標的位置500a~eに対する展開可能な装置のアングルの側面図を示す。
図5A~Eの各々は、本開示の様々な態様に一致する、展開可能な装置の先(または近位)端500a~eの側面プロファイルを示す。場合によっては、標的位置500a~eは、患者の蛇行血管にあってもよい。展開可能な装置が埋植される標的位置500a~eは、アングル(例えば、少なくとも1つの変曲点504a~eを有する湾曲)を有する可能性がある。目標位置500a-eは、角度付き腹部大動脈動脈(AAA)、神経動脈の下の健全な組織、又は他の蛇行血管であってもよい。本明細書で論じられる解放可能なノットは、埋植式医療用装置上の中点より遠位の(例えば、送達システムのオペレータにより近い)埋植式装置の中点近くの位置での作動ワイヤの作動を可能にする。
【0055】
場合によっては、展開可能な装置の端部502a~eのうちの1つは、拡張可能な装置の送達中に、蛇行血管の湾曲における(例えば、健康な血管組織の)変曲点に対して垂直に展開されてもよい。非垂直性は、展開可能な装置が標的位置500a~eを密封する能力に悪影響を及ぼし得る。
図5Aは、変曲点504aに対して垂直に展開された先(又は近位)端502aを示す。場合によっては、展開可能な装置の垂直性は、装置の平坦性、アングル、及び回転整列の関数であってもよい。
図5Bは、標的位置500bの変曲点504bに対して角度が付けられた展開可能な装置の先(又は近位)端502bを示す。
図5Cは、標的位置500cの変曲点504cに対して回転された展開可能な装置の先(又は近位)端502cを示す。
図5Dは、標的位置500dの変曲点504bに対して変形した、展開可能な装置の先(又は近位)端502dを示す。
図5Eは、標的位置500eの変曲点504eに対して変形され、扁平状にされ、回転され、又は角度を付けられた、展開可能な装置の先(又は近位)端502eを示す。
【0056】
装置の展開及び性能は、展開中及び展開後に、展開可能な装置の端部のうちの1つを、標的位置500a-eに垂直に維持しながら(例えば、少なくとも1つの変曲点504a-eを有する容器の曲率)適切な位置に装置を操縦することによって、向上させることができる。本明細書で議論される作動ライン及びその配置は、(
図5Aに示されるように)展開中及び展開後に、展開可能な装置を垂直に維持することを容易にし、(
図5B~Eに示されるように)非垂直、角度付き、又は平坦な展開を軽減する。
【0057】
本明細書で論じるラインは、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、およびニチノール等の、金属材料、ポリマー材料、又は天然材料から形成することができる。更に、ラインは、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、SpectraTM、Dyneema PurityTM等)又はアラミド繊維(例えば、TechnoraTM等)等の高強度ポリマー繊維から形成することもできる。
【0058】
埋植式医療用装置及び/又はパッチのグラフト成分は、選択された身体管腔のグラフトとして使用するのに適し、本明細書で論じられるように、展開に抵抗性である任意の材料から作製されてもよい。グラフト成分は、同じ又は異なる材料から構成されてもよい。更に、グラフト成分は、同じ材料又は異なる材料であり得る材料の複数の層を含み得る。一つの実施形態において、前記材料が組み合わせて使用され、一緒に組み立てられて、グラフトを含むことができる。ステントグラフトに使用されるグラフト材料は、押出成形、コーティング、又はラップフィルムから形成され、又はその組み合わせであってよい。ポリマー、生分解性かつ天然の材料は、特定の用途に使用することができる。
【0059】
合成ポリマーの例としては、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、それらの混合物、ブレンド及びコポリマーが、グラフト材料として適切であるが、これらに限定されない。一つの実施形態では、前記グラフトは、DACRON(登録商標)及びMYLAR(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、並びにKEVLAR(登録商標)等のポリアラミド、共重合ヘキサフルオロプロピレン(TEFLON(登録商標)またはGORE-TEX(登録商標))を伴う又は伴わないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリフルオロカーボン、及び多孔質又は非多孔質ポリウレタンから作製される。もう一つの実施形態では、前記グラフトは、英国特許明細書番号1,355,373;1,506,432;1,506,432、若しくは1,506,432、又は米国特許番号3,953,566;4,187,390;4,187,390;若しくは5,276,276(これらの全体は、基準として援用される)に記載されている延伸フルオロカーボンポリマー(特にPTFE)材料を含む。好ましいフルオロポリマーの種類には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)及びペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)との共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー、該ホモポリマーとTFEとの共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)の共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、並びにポリフッ化ビニリデン(PVF)が含まれる。特に好ましいのは、血管プロテーゼにおけるその広範な使用のために、ePTFEである。もう一つの実施形態において、前記グラフトは、上記に列挙した前記材料の組み合わせを含む。もう一つの実施形態において、前記グラフトは、体液に対して実質的に不透過性である。前記実質的に不透過性のグラフトは、流体に対して実質的に不透過性である材料から作製することができるか、又は流体に対して実質的に不透過性であるように処理又は製造された、透過性材料から構成することができる(例えば、上記又は当技術分野で公知の異なるタイプの材料を層状化することによって)。もう一つの実施形態において、前記最外管は、ePTFEを含む。もう一つの実施形態において、前記最も内側の管は、ePTFEを含む。もう一つの実施形態において、前記最内管及び最外管は、巻かれて管となったePTFEフィルムを含む。もう一つの実施形態において、前記第2のステントは、本明細書に開示された、又は当技術分野で公知の材料のいずれかで覆われる。もう一つの実施形態において、第2のステントのカバーは、ePTFEを含む。
【0060】
グラフト材料の更なる例としては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン、1-ヒドロペンタフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソブチレン、フッ素化ポリ(エチレン-プロピレン共重合体(FPEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン)(PHFP)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体)(PVDF-TFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン共重合体)(PVDF-HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン共重合体)(PTFE-HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ビニルアルコール共重合体)(PTFE-VAL)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ビニルアセテート共重合体)(PTFE-VAC)、ポリ(テトラフルオロエチレン-プロペン共重合体)(PTFEP)、ポリ(テトラフルオロプロペン-ビニルアルコール共重合体)(PHFP-VAL)、ポリ(エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体)(PETFE)、ポリ(エチレン-ヘキサフルオロプロペン共重合体)(PEHFP)、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体)(PVDF-CTFE)、及びそれらの組み合わせ、並びに全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0063805号に記載されている追加のポリマー及びコポリマーを含む。追加のポリフルオロコポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)/ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む。
PAVEは、両方とも、その全体がすべての目的のために基準により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0198866号及び米国特許No.7,049,380に記載されているように、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、又はペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)であり得る。他のポリマー及び共重合体は、ポリラクチド、ポリカプロラクトン-グリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物;ポリ-アミノ酸;多糖;ポリホスファゼン;ポリ(エーテル-エステル)共重合体、例えばPEO-PLLA、又はそれらのブレンド、ポリジメチル-シオルキサン;ポリ(エチレン-ビンギルアセテート);アクリレートベースのポリマー又は共重合体、例えばポリ(ヒドロキシエチルメチルメタクリレート、ポリビニルピロリジノン;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化ポリマー;セルロースエステル、並びにその全体が参照により本明細書に援用される米国公開第2004/0063805号に記載の任意のポリマー及び共重合体を含む。
【0061】
グラフト成分は、本明細書中で議論されるように、少なくとも1つの略平坦な表面を有する、略平坦なリボン又はテープである連結部材を使用することによって、自己展開型ステント要素に取り付けられ得る。場合によっては、テープ部材は、接着剤でコーティングされた延伸PTFE(ePTFE)から作製される。接着剤は、熱可塑性接着剤であってもよい。場合によっては、熱可塑性接着剤は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)であってもよい。より具体的には、ePTFEのFEPコーティングされた側は、自己展開型ステント及びグラフト成分の外面に面し、かつ接触し、したがって、自己展開型ステントを、グラフト成分に取り付けることができる。ステントをグラフトに取り付ける材料及び方法は、Martinの米国特許第6,042,602号に記載されており、その全体が全ての目的のために基準により本明細書に組み込まれる。
【0062】
本明細書で論じるステント成分は、様々な生体適合性材料から製造することができる。
これらの材料は、316Lステンレス鋼、コバルト-クロム-ニッケル-モリブデン-鉄合金(「コバルト-クロム」)、L605、タンタル、ニチノール、又は他の生体適合性金属等の、他のコバルト合金を含むことができる。特定の例では、上記で詳細に論じたように、ステント(およびグラフト)は自己拡張型であってもよい。他の例では、プロテーゼはバルーン拡張可能であってもよい。
【0063】
本明細書で論じるステント構成要素は、適度に高い強度の材料、すなわち、応力を受けたときに塑性変形に抵抗する材料から構成することができる。一つの実施形態において、ステント成分は、ピンが配置されたマンドレルの周りに螺旋状に巻かれたラインを含み、螺旋状の巻き及び起伏を同時に形成することができる。他の構成も使用することができる。場合によっては、ステント構成要素は、超弾性合金から作製される。ニチノールのような超弾性合金がステントに使用される種々の開示がある。例えば、米国特許番号4,503,569(Dotter);4,512,338(Balkoet al.);4,990,155(Wilkoff);5,037,427(Haradaet al.);5,147,370(MacNamaraet al.);5,211,658(Clouse);及び5,221,261(Terminら)を参照されたい。
【0064】
ニチノール等の様々な金属超弾性合金の様々な材料は、ステント構成要素に使用するのに適している。材料の主な要件は、非常に薄いシートや小さな直径のラインに形成された場合でも、適切に弾力性を有することである。高い弾力性を生成するために物理的、化学的、及び他の方法で処理された種々のステンレス鋼は、コバルトクロム合金(例えば、ELGILOY(登録商標))、白金/タングステン合金、及び特に、概して「ニチノール」として知られるニッケル-チタン合金のような他の金属合金と同様に適切である。
【0065】
以上、本出願の発明を、一般的に、及び特定の実施形態に関して説明した。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形が実施形態においてなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、実施形態は添付の特許請求の技術的範囲及びその均等物の技術的範囲内に入る限り、本発明の修正及び変形を包含することが意図される。