(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20230612BHJP
E05B 5/02 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
E04F19/08 101K
E04F19/08 101L
E05B5/02 D
(21)【出願番号】P 2021567093
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2020044178
(87)【国際公開番号】W WO2021131488
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2019236795
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 恒也
(72)【発明者】
【氏名】大野 達司
(72)【発明者】
【氏名】大野 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】岩本 博之
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-185449(JP,A)
【文献】特開2016-089561(JP,A)
【文献】実開昭61-020665(JP,U)
【文献】特開2015-206198(JP,A)
【文献】特開平03-197767(JP,A)
【文献】実開昭60-102373(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E05B 5/02
E05C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形平板状とされ、第1方向第1端部が開口を区画する四周縁部の第1縁部側に回転自在に保持され、第1方向第2端部に、前記第1縁部に対向する第2縁部側に設けられた被係止部に係止される係止部が設けられており、
前記係止部は、前記第1方向第2端部と前記第2縁部との隙間に差し込まれた治具によって前記被係止部に対する係止状態を解除する際に操作される操作部と、前記係止状態で前記隙間から突出しない非突出位置とされる一方、解除状態で該隙間から表面側に向けて突出した突出位置とされる摘み部と、を備え
、前記操作部及び前記摘み部を含む前記係止部は、前記第1方向及び蓋体厚さ方向に直交する第2方向略中央部に設けられていることを特徴とする蓋体。
【請求項2】
請求項1において、
前記係止部は、前記第1方向第2端部に固定されたベース部に対して
前記第2方向に沿ってスライド自在に、かつ前記第1方向に沿う軸回りに回転自在に保持され、当該係止部の前記軸回りの回転を伴い前記摘み部が前記突出位置とされる構成とされており、
前記ベース部は、前記係止部が係止位置と解除手前位置との間を
前記第2方向にスライドされる際には前記軸回りの回転を抑止する一方、解除位置とされた前記係止部の前記軸回りの回転を許容する構成とされていることを特徴とする蓋体。
【請求項3】
請求項2において、
前記ベース部には、前記係止部が前記解除手前位置から前記解除位置にスライドされる際に該係止部に設けられた被当接部に当接され、前記摘み部を突出させる側に回転させるガイド部が設けられていることを特徴とする蓋体。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記ベース部には、前記摘み部が前記突出位置から前記非突出位置に変位する際に、前記係止部に設けられた被当接部に当接され、前記非突出位置の手前位置において前記係止部の該非突出位置側への回転を制動する制動部が設けられていることを特徴とする蓋体。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項において、
前記操作部には、前記係止部が係止位置において当該蓋体の厚さ方向一方側となる表面側において開口し、かつ前記第1方向に貫通する受入凹所が設けられ、該受入凹所の
前記第2方向両側を区画する両側壁部には、前記係止部が係止位置において当該蓋体の厚さ方向に延び、互いに向き合う方向に開口する受入溝が設けられていることを特徴とする蓋体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
発泡樹脂系または繊維系の基材を含み、方形平板状とされた蓋本体と、該蓋本体の
前記第1方向第2端部に沿って
前記第2方向に延びるように設けられ、前記係止部を有した補強部と、を備えていることを特徴とする蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を開閉する蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、点検口や種々の開口を開閉する蓋体が知られている。このような蓋体の一側端部表面には、施錠装置を解錠する際や開閉の際に操作される操作部が設けられている場合があるが、目立ち易くなるという問題があった。
例えば、下記特許文献1には、任意の1辺を開閉中心として点検開口部を開閉する蓋体を備えた蓋施錠装置が開示されている。また、点検開口部周囲に、この蓋体の開閉自由端部に設けられた被施錠部を保持する施錠器が設置される構成とされている。また、この施錠器に、蓋体と点検開口部との間の隙間を介して挿入された開錠具によって開錠操作される開錠レバー部を設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された蓋体では、開錠された蓋体を開放させる際には、蓋体の端部等を把持して行う必要があり、更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、見栄えの向上が可能でありながらも、開閉操作性を向上し得る蓋体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る蓋体は、方形平板状とされ、第1方向第1端部が開口を区画する四周縁部の第1縁部側に回転自在に保持され、第1方向第2端部に、前記第1縁部に対向する第2縁部側に設けられた被係止部に係止される係止部が設けられており、前記係止部は、前記第1方向第2端部と前記第2縁部との隙間に差し込まれた治具によって前記被係止部に対する係止状態を解除する際に操作される操作部と、前記係止状態で前記隙間から突出しない非突出位置とされる一方、解除状態で該隙間から表面側に向けて突出した突出位置とされる摘み部と、を備え、前記操作部及び前記摘み部を含む前記係止部は、前記第1方向及び蓋体厚さ方向に直交する第2方向略中央部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る蓋体は、上述のような構成としたことで、見栄えの向上が可能でありながらも、開閉操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る蓋体の一例を模式的に示し、(a)は、概略平面図、(b)は、一部破断概略側面図である。
【
図2】(a)は、同蓋体を設置した状態を模式的に示す一部破断概略平面図、(b)は、
図6(a)におけるX1-X1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【
図3】
図2(a)に対応させた一部破断概略平面図である。
【
図4】(a)、(b)は、
図2(a)におけるX2-X2線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【
図5】(a)は、
図2(a)におけるZ部に対応させた一部破断概略分解斜視図、(b)は、同蓋体が備える係止部の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図6】(a)は、
図2(a)におけるZ部に対応させた一部破断概略平面図、(b)は、同係止部の一例を模式的に示す概略底面図、(c)は、(b)におけるX3-X3線矢視に対応させた概略縦断面図である。
【
図7】同蓋体を模式的に示す一部を省略した一部破断概略分解平面図である。
【
図8】(a)~(c)は、
図2(a)におけるZ部に対応させた一部破断概略斜視図である。
【
図9】(a)~(c)は、
図6(a)におけるY-Y線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【
図10】
図6(a)におけるX1-X1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【
図11】
図2(a)におけるZ部に対応させた一部破断概略斜視図である。
【
図12】
図6(a)におけるX1-X1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、本実施形態に係る蓋体を設置した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1~
図12は、本実施形態に係る蓋体の一例を模式的に示す図である。
【0010】
本実施形態に係る蓋体2は、
図1(a)、(b)に示すように、方形平板状とされ、開口6(
図3参照)を開閉する構成とされている。本実施形態では、この蓋体2は、天井に設けられる点検口を構成する開口6を開閉する点検口用パネルを構成する。
本実施形態では、
図3に示すように、開口6を、複数枚の天井パネル2Aによって区画した構成としている。この開口6は、開口方向となる上下方向(パネル厚さ方向)に見て略方形状とされている。この開口6は、上下方向に直交する第1方向に間隔を空けて設けられた2枚の天井パネル2A,2Aと、上下方向及び第1方向に直交する第2方向に間隔を空けて設けられた2枚の天井パネル2A,2Aと、によって四周が囲まれるようにして区画されている。
【0011】
この開口6を区画する四周縁部の第1方向一方側となる第1縁部7は、第1方向一方側の天井パネル2Aの第1方向他方側となる第2端部4Aによって構成されている。また、この四周縁部の第1方向他方側となる第2縁部8は、第1方向他方側の天井パネル2Aの第1方向一方側となる第1端部3Aによって構成されている。また、この四周縁部の第2方向両側縁部は、第2方向両側の天井パネル2A,2Aの互いに対向状に配された第2方向の端部としての被保持端部5A,5Aによって構成されている。
これら天井パネル2Aは、第1方向に延びる長尺状で第2方向に間隔を空けて平行状に配設される天井下地を構成する野縁9,9に保持される。
【0012】
野縁9は、木造の野縁でもよいが、本実施形態では、強磁性体からなる鋼製とされている。このような野縁9としては、軽鉄材からなり、いわゆる軽天下地(鋼製天井下地)を構成するものでもよい。また、この野縁9は、上向きに開口する溝形鋼状(チャンネル状)とされたものでもよく、また、両側壁上端に折り返されるように形成されたリップ部を設けた構成とされたものでもよい。また、野縁9は、複数本が第2方向に略等間隔を空けて(略等ピッチで)平行状に配設されて天井下地構造を構成する。
また、鋼製天井下地としては、第2方向に延びる長尺状で第1方向に略等間隔を空けて(略等ピッチで)平行状に配設される鋼製の野縁受によって野縁9を支持する構成とされたものでもよい。野縁受としては、横向きに開口する溝形鋼状(チャンネル状)とされたものでもよく、適宜、公知のクリップを介して野縁9を支持する構成とされたものでもよい。また、鋼製天井下地としては、長手方向に隣接される野縁9,9同士を接合する野縁ジョイントや、長手方向に隣接される野縁受同士を接合する野縁受ジョイントを備えたものでもよい。また、鋼製天井下地としては、野縁受を吊り下げ支持するハンガーや、このハンガーの挿通孔に挿通されてナットで固定される吊ボルト等を備えたものでもよい。
【0013】
本実施形態に係る蓋体2は、天井パネル2Aとによって天井パネル装置1を構成するものであってもよい。また、蓋体2及び天井パネル2Aは、住居やオフィス等の比較的に小型の建物の天井として施工されるものでもよく、体育館やホール、ショッピングモール、工場、学校等の比較的に大型の各種の建物の天井として施工されるものでもよい。
これら蓋体2及び天井パネル2Aは、単位面積(1m2)当たりの質量が2.0kg以下とされたものでもよく、好ましくは、1.0kg以下とされたものでもよく、より好ましくは、0.78kg以下とされたものでもよい。また、これら蓋体2及び天井パネル2Aの単位面積(1m2)当たりの質量は、蓋体2及び天井パネル2A並びに野縁9等の天井下地を含む天井構造体の1m2当たりの質量が2.0kg以下となるように適宜の質量としてもよい。
また、これら蓋体2及び天井パネル2Aは、方形平板状の蓋本体10及びパネル本体10Aを備えている。本実施形態では、蓋体2の蓋本体10と天井パネル2Aのパネル本体10Aとを、同様の構成としている。つまり、蓋本体10とパネル本体10Aとは、同寸同形状で同様の層構成とされている。このような構成とすれば、点検口用パネルを構成する蓋体2の蓋本体10と天井パネル2Aのパネル本体10Aとが同様の外観を呈し、蓋体2を目立ち難くすることができる。
【0014】
これら蓋本体10及びパネル本体10Aは、平面視して(厚さ方向に見て)、略方形状とされている。蓋本体10及びパネル本体10Aは、平面視して略長方形状とされたものでもよいが、図例では、略正方形状とされたものとしている。また、蓋本体10及びパネル本体10Aの平面視した状態における大きさは、取扱性や施工性等の観点から適宜の大きさとしてもよく、例えば、1辺の長さが0.3m以上とされたものでもよく、2.0m以下とされたものでもよい。また、略正方形状とされた蓋本体10及びパネル本体10Aにおいては、1辺の長さが0.4m以上、1.5m以下とされたものでもよく、0.9m~1.2m程度とされたものでもよい。また、略長方形状とされた蓋本体10及びパネル本体10Aにおいては、短辺の長さが0.3m以上で、長辺の長さが2.0m以下とされたものでもよい。また、蓋本体10及びパネル本体10Aの厚さは、層構成等にもよるが、例えば、3.0mm~15.0mm程度としてもよい。
【0015】
また、蓋本体10及びパネル本体10Aは、石膏ボードやけい酸カルシウム板等でもよいが、本実施形態では、
図2(b)に示すように、発泡樹脂系または繊維系の基材11を含んだ構成とされている。このような構成とすれば、蓋本体10やパネル本体10Aを木質系ボードや石膏ボード等としたものと比べて、軽量化を図ることができる。
発泡樹脂系の基材11としては、ポリウレタン樹脂やポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂組成物から形成されたものが例示される。繊維系の基材11としては、グラスウールやロックウール等の鉱物繊維から形成されたものが例示される。図例では、基材11を発泡樹脂層としている。この基材11は、蓋本体10及びパネル本体10Aの大部分を占め、例えば、厚さが蓋本体10及びパネル本体10Aの厚さの80%~99%程度であってもよい。
また、蓋本体10及びパネル本体10Aは、基材11の室内側となる厚さ方向一方側に、表面層12を設けた構成とされている。この表面層12としては、難燃層を含むものでもよい。
【0016】
上記のような難燃層としては、蓋体2及び天井パネル2Aが建築基準法において定められた不燃材料等に必要な性能に関する技術的基準を満たすように適宜の構成とされたものでもよい。例えば、蓋体2及び天井パネル2Aが技術的基準における「難燃材料」の基準を満たすように構成されたものでもよく、好ましくは、「準不燃材料」の基準を満たすように構成されたものでもよく、より好ましくは、「不燃材料」の基準を満たすように構成されたものでもよい。また、例えば、難燃層としては、薄シート状とされた箔状のアルミシートでもよい。
また、表面層12に、ガラス繊維等の強化繊維を含む補強層を設けた構成としてもよい。この補強層としては、ガラスクロス等の強化繊維シートでもよく、また、強化繊維シートに樹脂が含浸されたガラス繊維強化樹脂層等の繊維強化樹脂層であってもよい。また、表面層12の下方側(室内側)に向く表面(室内側面)は、化粧シートの貼着や、印刷、塗装等の適宜の表面化粧処理が施された化粧面であってもよく、または、適宜の化粧シートが貼着される下地面であってもよい。
【0017】
また、蓋本体10及びパネル本体10Aは、基材11の裏面側(天井下地側)に補強層13を積層した構成とされている。このような構成とすれば、上記のような基材11によって軽量化を図りながらも裏面側の補強層13によって垂れを抑制することができる。この補強層13としては、上記同様、ガラスクロス等の強化繊維シートでもよく、また、強化繊維シートに樹脂が含浸されたガラス繊維強化樹脂層等の繊維強化樹脂層であってもよい。
また、蓋本体10及びパネル本体10Aは、基材11の四周の側端面に端面層を設けた構成とされている。この端面層は、表面層12と同様の構成とされたものでもよい。また、この端面層は、表面層12から一連状に設けられたものでもよく、エッジシート状に別途に設けられたものでもよい。また、図例では、第1方向及び第2方向に隣接される蓋本体10及びパネル本体10Aの端面間に、目透かし状の隙間を設けた例を示している(
図2(a)、(b)及び
図4(a)参照)。この隙間は、1mm~15mm程度であってもよい。
【0018】
蓋体2は、
図2(a)及び
図4(a)、(b)に示すように、第1方向の第1端部3が開口6を区画する第1縁部7側に回転自在に保持される。本実施形態では、蓋体2の第1端部3に、第1縁部7を構成する天井パネル2Aの第2端部4Aに設けられた被引掛部23Aに対して着脱自在に引っ掛け保持される引掛部16を設けた構成とされている。また、各天井パネル2Aの第1端部3Aにも、第1方向に隣接する天井パネル2Aの第2端部4Aに設けられた被引掛部23Aに対して着脱自在に引っ掛け保持される、後記する蓋体2と同様の引掛部16が設けられている。
また、蓋体2の第1方向の第2端部4には、
図2(a)、(b)に示すように、開口6を区画する第2縁部8側に設けられた被係止部44に係止される係止部30が設けられている。
【0019】
また、本実施形態では、蓋体2は、第2方向両側端部としての被保持端部5,5が野縁9,9に保持される構成とされている。また、本実施形態では、蓋体2の第2方向両側の被保持端部5,5の裏面側に、野縁9,9の被吸着部に吸着される磁石15,15を設けた構成としている。このような構成とすれば、第1端部3の引掛部16を、第1方向に隣接される天井パネル2Aの被引掛部23Aに引っ掛け、第2方向両側の被保持端部5,5の磁石15,15を、各野縁9,9の被吸着部に吸着させて蓋体2を取り付ける(閉鎖する)、または仮固定することができる。これにより、本実施形態のように、蓋体2を、天井パネル2Aと同様な大判状とした場合にも、この蓋体2を容易に設置することができる。また、各天井パネル2Aの第2方向両側端部としての被保持端部5A,5Aの裏面側にも、蓋体2と同様、野縁9,9の被吸着部に吸着される磁石15,15が設けられている。
【0020】
磁石15は、
図1(a)に示すように、被保持端部5に第1方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、5箇所)に設けられている。この磁石15は、第2方向両側の野縁9,9に対する吸着によって当該蓋体2の保持(仮保持)が可能な構成とされていてもよい。また、この磁石15としては、比較的に磁力の大きいネオジム磁石であってもよい。この磁石15の大きさや設置個数等は、蓋体2の保持性(仮保持性)の観点や、蓋体2の第1方向途中部位の垂れを抑制する観点、軽量化を図る観点等から適宜の大きさや設置個数等としてもよい。
また、図例では、この磁石15を、これを保持する保持部材14を介して被保持端部5に固定した例を示している。この保持部材14としては、合成樹脂系材料から形成された樹脂成形品とされ、磁石15が直接的に野縁9に当接しないように磁石15を保持する構成とされたものでもよい。また、この保持部材14は、適宜の接着剤や粘着材、ねじ等の固着具によって被保持端部5に固定されるものでもよい。
【0021】
なお、磁石15としては、このような保持部材14を介して被保持端部5に固定されたものに限られず、被保持端部5に直接的に固定されたものや埋込状に保持されたものであってもよい。
また、この磁石15の磁力によって吸着する野縁9の被吸着部は、上記のように野縁9を強磁性体からなるものとした場合には、野縁9の下面(室内側面)全体となる。なお、このような態様に代えて、非磁性体からなる野縁9の下面側に付設状または埋込状に適宜のシート状磁石やシート状強磁性体等を被吸着部として設けた構成等としてもよい。また、蓋体2の第2方向両側の被保持端部5,5を野縁9,9に保持させる被保持部としては、このような磁石15に代えて、または加えて、面ファスナーや粘着材等であってもよく、更には、このような被保持部を設けていない構成としてもよい。
【0022】
蓋体2の引掛部16は、
図1(a)に示すように、本実施形態では、第1端部3に第2方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、4箇所)に設けられている。これら引掛部16は、互いに同様の構成とされているので、以下では、一つの引掛部16を例にとって説明する。
この引掛部16は、
図1(a)、(b)に示すように、蓋本体10の第1端部3から第1方向外側に向けて延出する延出部の延出方向先端部に、室内側に向けて屈曲し更に第1方向内側に折り返されるように形成されたフック状部17を備えている。また、引掛部16は、
図4(a)に示すように、蓋本体10の第1端部3に固定される固定片部16aを備えている(
図6(a)も参照)。この固定片部16aは、第1端部3の裏面において開口する切込部から蓋本体10の層内に差し込まれる構成とされている。また、第1端部3には、第1端部3の裏面に沿うように配され、固定片部16aとによって蓋本体10の裏面側層(被挟持層)13aを挟み込むように保持する保持片部18が設けられている。図例では、この保持片部18を、固定片部16aとは別体的に設けた例を示している。また、この保持片部18を貫通させたねじ等の固着具を固定片部16aに止着した構成としている。このような構成とすれば、固定片部16aと保持片部18との間に被挟持層13aを挟み込んだ状態で、固定片部16aに止着した固着具によって引掛部16を第1端部3に言わば機械的に固定することができる。
【0023】
被挟持層13aは、蓋本体10の裏面側の補強層13によって構成されていてもよい。なお、この被挟持層13aには基材11の一部が含まれていてもよい。また、図例では、第1方向に延びる固定片部16aを、第2方向に延びる切込部を介して蓋本体10の層内に差し込んだ例を示しているが、このような態様に限られない。また、図例では、固定片部16aが蓋本体10の裏面から突出しないように、蓋本体10の裏面側に固定片部16aを受け入れる凹み部を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。
また、固定片部16aに、固着具の軸部が止着される止着孔を設けていてもよい。このような止着孔としては、固着具の軸部がねじ合わされる雌ねじ孔でもよく、固着具の軸部がねじ込まれる下孔でもよい。また、保持片部18に、固着具の軸部が挿通される挿通孔を設けていてもよい。また、図例では、保持片部18を、略円板状とした例を示しているが、このような態様に限られない。また、引掛部16を蓋本体10に対して固定する態様としては、このような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0024】
引掛部16の延出部は、固定片部16aの第1方向外側端部に一連状に設けられている。この延出部は、固定片部16aの第1方向外側端部から上方側(野縁9側)に向けて立ち上がるように設けられた立上片部の上端部から第1方向外側に向けて延びるように設けられている。
フック状部17は、その先端が第1方向内側に向くように設けられている。このフック状部17は、最下端となる先端が蓋本体10の裏面よりも僅かに上方側(野縁9側)に位置するように設けられている。また、図例では、このフック状部17を、第2方向に見て、略U字状とした例を示しているが、単一の屈折部を有した略V字状とされたものや、複数の屈折部を有したような形状等としてもよい。なお、この引掛部16は、適宜、プレスや折曲加工等によって一連状に形成されたものでもよい。また、引掛部16は、適宜の金属系材料から形成されたものでもよい。
【0025】
また、この蓋体2の引掛部16が引っ掛けられる被引掛部23Aは、天井パネル2Aの第2端部4Aに第2方向に延びるように設けられ、第2方向両端側部位が野縁9,9に固着具によって固定される補強部20Aに設けられている。このような構成とすれば、開口6を区画する第1縁部7を構成する天井パネル2Aの第2端部4Aを、補強部20Aによって補強することができ、野縁9,9間に架け渡される天井パネル2Aの第2端部4A側部位の垂れを抑制することができる。また、この天井パネル2Aの第2端部4Aの第2方向両端側部位を、補強部20Aを介して固着具によって両側の野縁9,9に固定することができ、固定強度を向上させることができる。また、このように野縁9,9に固定された天井パネル2Aの補強部20Aに対して蓋体2の引掛部16を引掛保持させることができ、蓋体2の第1端部3側を安定的に保持させることができる。この補強部20Aは、開口6を区画する第1縁部7を構成する天井パネル2Aのみならず、他の天井パネル2Aの第2端部4Aにも設けられている。
【0026】
補強部20Aは、
図3及び
図4(a)に示すように、第2方向に長尺状とされ、第2端部4Aの裏面に沿わせられるベース板状部21Aと、このベース板状部21Aに設けられ、当該補強部20Aをパネル本体10Aに取り付ける取付部22Aと、を備えている。
ベース板状部21Aは、パネル本体10Aの第2方向の概ね全体に亘って設けられ、パネル本体10Aの厚さ方向に厚さ方向を沿わせた板状とされている。本実施形態では、このベース板状部21Aをパネル本体10Aの第2方向の全体に亘って設けた構成としている。また、図例では、このベース板状部21Aに、第2方向に間隔を空けて第2方向に長径状の複数の長孔を設けた例を示している。また、ベース板状部21Aにおける長孔が設けられた部位よりも第1方向外側において第2端部4Aの端面から突出する部位は、第1方向に隣接するパネル本体10Aと蓋本体10との間に形成される隙間の底側を区画するように配される構成とされている。なお、第2方向に隣接するパネル本体10Aと蓋本体10との間に形成される隙間の底側には、野縁9の下面が配され、該隙間の底側を区画する構成とされている。
【0027】
取付部22Aは、ベース板状部21Aの第1方向内側端部から第1方向内側に向けて延出するように一連状に設けられ、ベース板状部21Aと同厚さの片部状とされている。本実施形態では、この取付部22Aを、取付具19を介して第2端部4Aに固定した構成としている。また、図例では、取付部22A及び取付具19を、ベース板状部21Aの長手方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、3箇所)に設けた例を示している。
取付具19は、第2端部4Aの裏面において開口する切込部からパネル本体10Aの層内に差し込まれる差込片部19aを備えた構成とされている。取付部22Aは、第2端部4Aの裏面に沿うように配され、差込片部19aとによってパネル本体10Aの裏面側層(被挟持層)13aを挟み込むように保持する構成とされている。また、図例では、取付具19に、差込片部19aとによって取付部22Aを挟むように保持する保持片部19bを設けた構成としている。この保持片部19b及び取付部22Aを貫通させたねじ等の固着具を差込片部19aに止着した構成としている。このような構成とすれば、上記と概ね同様、補強部20Aを第2端部4Aに言わば機械的に固定することができる。
【0028】
取付具19の差込片部19aの差込方向先端部は、差込片部19aを厚さ方向に見て先細り状とされている(
図7参照)。また、この取付具19の保持片部19bには、上方側(野縁9側)に向けて立ち上がるように設けられた把持部が設けられている。
また、この取付具19の差込片部19aと保持片部19bとは、これらの間に取付部22A及び被挟持層13aの挿入が可能なように、折曲等によって一連状に形成されたものであってもよい。また、差込片部19aに、固着具の軸部が止着される止着孔を設けていてもよい。このような止着孔としては、上記同様、固着具の軸部がねじ合わされる雌ねじ孔でもよく、固着具の軸部がねじ込まれる下孔でもよい。また、保持片部19b及び取付部22Aに、固着具の軸部が挿通される挿通孔を設けていてもよい。また、補強部20Aをパネル本体10Aに対して固定する態様としては、このような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0029】
この補強部20Aの被引掛部23Aは、第1方向に隣接される蓋体2の第1端部3を第2端部4よりも上方側に位置させた状態で、蓋体2のフック状部17の引っ掛け保持が可能な構成とされている。このような構成とすれば、既施工の天井パネル2Aの被引掛部23Aに対して、第1端部3側を上方側にして下方側から蓋体2のフック状部17を引っ掛け、この蓋体2を保持させることができる。これにより、高所で水平状に保持した状態で水平移動させる必要があるようなものと比べて、取付性を向上させることができる。また、このように第1端部3側が保持された状態から第1端部3側を支点として回転させるようにして第2端部4側を上昇させて後記する被係止部44に係止部30を係止させることができる。特に、本実施形態では、上述のように被保持端部5,5に磁石15,15を設けた構成としているので、第1端部3側を保持させた状態から第2端部4側を上昇させれば、被保持端部5,5の磁石15,15によって蓋体2を野縁9,9に対して容易に保持(仮保持)させることができる。
【0030】
この補強部20Aには、パネル本体10Aの第2端部4Aの裏面側から第1方向外側に向けて突出し、野縁9に固定され、下方側に第1方向に隣接される蓋体2が配される固定片部24Aが設けられている。このような構成とすれば、第2端部4Aから第1方向外側に向けて突出した固定片部24Aを介して室内側(下方側)から野縁9に向けて固着具を止着して天井パネル2Aを野縁9に固定することができる。また、このように固定片部24Aを介して野縁9に固定された天井パネル2Aの第2端部4Aの被引掛部23Aに対して第1方向に隣接される蓋体2の第1端部3の引掛部16を引っ掛けることができる。また、固定片部24Aを、パネル本体10Aの裏面側から第1方向外側に突出させた構成としているので、第1方向に隣接される蓋体2が設置された状態では、この蓋体2によって固着具を表面側から目立ち難くすることができる。
【0031】
この固定片部24Aにおける野縁9に当接される当接面と磁石15(本実施形態では、保持部材14)における野縁9に当接される当接面とは、略同一平面状とされている。また、この固定片部24Aは、当該固定片部24Aの下方側に配される第1方向に隣接される蓋体2(蓋本体10)の裏面との間に当該固定片部24Aを野縁9に固定する固着具の頭部の軸方向に沿う寸法以上の隙間が形成されるように設けられている。この固定片部24Aは、第2端部4Aの端面から突出するように設けられたベース板状部21Aの先端部から上方側(野縁9側)に向けて立ち上がるように設けられた立上片部の上端部から第1方向外側に向けて延びるように設けられている。また、この固定片部24Aは、補強部20Aの全長に亘って設けられている。この固定片部24Aの長手方向(第2方向)両端部には、補強部20Aを両側の野縁9,9に固定する固着具が挿通される挿通孔24Aa,24Aaが設けられている。また、これら挿通孔24Aa,24Aaを、第2方向に長径状の長孔としている。また、図例では、この固定片部24Aに、第2方向に間隔を空けて第2方向に長径状の複数の長孔を設けた例を示している。
【0032】
被引掛部23Aは、
図4(a)、(b)に示すように、第2端部4Aの端面から突出するように設けられたベース板状部21Aの先端部に設けられている。この被引掛部23Aは、第1方向に厚さ方向を沿わせた板状とされ、ベース板状部21Aから上方側(野縁9側)に向けて立ち上がるように設けられている。この被引掛部23Aの突出寸法は、引掛部16のフック状部17の引っ掛け保持が可能なように適宜の寸法とされている。図例では、上記した立上片部の一部を、被引掛部23Aとしている。また、この立上片部の上端部及び固定片部24Aの立上片部側部位に、引掛部16のフック状部17が挿通される挿通孔25Aを設けた構成としている。この挿通孔25A及び被引掛部23Aの第2方向に沿う寸法は、引掛部16の第2方向に沿う寸法よりも大とされている。また、挿通孔25A及び被引掛部23Aは、引掛部16に応じた位置となるように、パネル本体10Aの第2端部4Aに沿って第2方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、4箇所)に設けられている(
図3参照)。なお、補強部20Aは、適宜の金属系材料からプレスや折曲加工等によって一連状に形成されたものでもよい。また、蓋体2の第1端部3を、開口6を区画する第1縁部7を構成する天井パネル2Aの第2端部4Aに対して回転自在にかつ着脱自在に保持させる態様としては、上記したような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。また、蓋体2の第1端部3を天井パネル2Aの第2端部4Aに対して着脱自在に保持させた態様に代えて、蝶番等の連結部材によって着脱不能に保持させた態様等としてもよい。
【0033】
蓋体2の係止部30は、
図9及び
図10に示すように、第2端部4と開口6を区画する第2縁部8との隙間に差し込まれた治具49によって被係止部44に対する係止状態を解除する際に操作される操作部34を備えている。また、係止部30は、係止状態で隙間から突出しない非突出位置とされる一方、解除状態で隙間から表面側に向けて突出した突出位置とされる摘み部36を備えている。このような構成とすれば、係止状態では、操作部34や摘み部36が表面側に突出することがなく、これらを目立ち難くすることができ、見栄えを向上させることができる。また、解除状態で隙間から表面側に向けて突出した突出位置とされる摘み部36を把持して係止状態が解除されて開放可能とされた蓋体2を開放させることができる。また、蓋体2を閉鎖させる際にも摘み部36を把持して閉鎖させることができるので、開閉操作性を向上させることができる。これにより、蓋体2の蓋本体10が軽量化を図るために上述のような層構成とされていて指等の押圧によって表面に凹み等が生じ易い構成とされている場合にも、摘み部36を把持して開閉操作がなされることで、表面の意匠低下を抑制することができる。
【0034】
また、係止部30は、本実施形態では、
図1(a)に示すように、蓋本体10の第2端部4に沿って第2方向に延びるように設けられた補強部20に設けられている。このような構成とすれば、蓋本体10の軽量化を図りながらも、蓋本体10の第2端部4側を補強することができ、操作部34を操作する際や摘み部36を把持して開閉する際における蓋本体10の変形等を抑制することができる。また、本実施形態では、第2方向に長尺状とされた補強部20の長手方向略中央部に、一つの係止部30を設けた構成としている。
補強部20は、上記した天井パネル2Aの補強部20Aと概ね同様、
図1(b)及び
図7に示すように、第2方向に長尺状とされ、第2端部4の裏面に沿わせられるベース板状部21と、このベース板状部21に設けられ、当該補強部20を蓋本体10に取り付ける取付部22と、を備えている。
【0035】
ベース板状部21は、上記同様、蓋本体10の第2方向の概ね全体に亘って設けられ、蓋本体10の厚さ方向に厚さ方向を沿わせた板状とされている。本実施形態では、このベース板状部21を蓋本体10の第2方向の全体に亘って設けた構成としている。なお、蓋本体10及びパネル本体10Aの第2方向の概ね全体に亘って設けられる補強部20,20Aとしては、蓋本体10及びパネル本体10Aの第2方向に沿う寸法の7/10以上の長さとされたものでもよい。また、図例では、上記同様、ベース板状部21に、第2方向に間隔を空けて第2方向に長径状の複数の長孔を設けた例を示している。
【0036】
また、このベース板状部21の第1方向外側端部には、下方側(室内側)に向けて垂れ下がり、蓋本体10の第2端部4の端面に沿うように配される端面覆い片部23が一連状に設けられている。つまり、このベース板状部21には、天井パネル2Aの補強部20Aとは異なり、第2端部4の端面から第1方向外側に向けて突出するような部位が設けられていない。このような端面覆い片部23を設けた構成とすれば、補強部20の強度を向上させることができる。また、第2端部4と第2縁部8との隙間に差し込まれる治具49によって蓋本体10が傷付けられるようなことを抑制することができる。
この端面覆い片部23は、第1方向に厚さ方向を沿わせた板状とされている。この端面覆い片部23は、少なくとも係止部30が設けられた部位を含む近傍部位に亘って設けられていてもよく、ベース板状部21の概ね全体に亘って設けられていてもよい。なお、図例では、端面覆い片部23の下端を蓋本体10の室内側面よりも僅かに上方側に位置させたような例を示しているが、このような態様に限られない。
【0037】
取付部22は、上記同様、ベース板状部21の第1方向内側端部から第1方向内側に向けて延出するように一連状に設けられ、ベース板状部21と同厚さの片部状とされている。この取付部22は、
図2(b)及び
図7に示すように、上記同様な取付具19を介して第2端部4に固定されている。このような構成とすれば、上記と概ね同様、補強部20を第2端部4に言わば機械的に固定することができる。
また、上記同様、取付部22及び取付具19を、ベース板状部21の長手方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、3箇所)に設けた例を示している。また、これら複数の取付部22及び取付具19のうちの一つを、係止部30が設けられた略中央部位に設けた構成としている。なお、補強部20を蓋本体10に対して固定する態様としては、このような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。また、この補強部20は、適宜の金属系材料からプレスや折曲加工等によって一連状に形成されたものでもよい。
【0038】
係止部30は、
図5(a)及び
図9に示すように、第2端部4に固定されたベース部25に対して第2方向に沿ってスライド自在に、かつ第1方向に沿う軸(支持軸)27回りに回転自在に保持されている。この係止部30は、当該係止部30の支持軸27回りの回転を伴い摘み部36が突出位置とされる構成とされている。ベース部25は、係止部30が係止位置と解除手前位置との間を第2方向にスライドされる際には支持軸27回りの回転を抑止する一方、解除位置とされた係止部30の支持軸27回りの回転を許容する構成とされている。このような構成とすれば、係止部30は、第2端部4に固定されたベース部25に対して支持軸27回りの回転を抑止された状態で係止位置と解除手前位置との間を第2方向にスライド自在に保持されることとなる。これにより、係止部30が係止位置と解除手前位置との間をスライドされる際には、摘み部36が非突出位置であるので摘み部36を目立ち難くすることができる。また、係止部30を解除位置とし、係止部30を支持軸27回りに回転させて摘み部36を突出位置とすれば、この摘み部36を把持して蓋体2を開放させることができる。また、例えば、蓋体2厚さ方向に押込み操作することで開錠されるものと比べて、操作部34を操作する治具49の差込寸法を効果的に小さくすることができ、治具49の他部材への干渉等を抑制することができる。
【0039】
ベース部25は、
図5(a)及び
図7に示すように、第2方向に長尺状とされている。このベース部25は、補強部20のベース板状部21上に載置状態で固定されている(
図2(b)及び
図9等も参照)。また、このベース部25の長手方向両端部には、当該ベース部25を補強部20に固定する固着具の止着部26,26が設けられている。ベース部25は、これら長手方向両側の止着部26,26を含んで蓋体厚さ方向に厚さ方向を沿わせた略板状とされている。図例では、これら止着部26,26に、固着具の軸部が止着される雌ねじ穴や下穴等の止着穴を蓋体厚さ方向に開口させるように設けた例を示している。補強部20には、これら止着部26,26上に重ね合わせられるように配されるベース固定片部24,24が設けられている。これらベース固定片部24,24は、ベース板状部21の第1方向内側端部から上方側(野縁9側)に向けて立ち上がるように設けられた立上片部の上端部から第1方向外側に向けて延出するように設けられている。また、これらベース固定片部24,24に、止着部26,26の止着穴に応じた位置となるように固着具の軸部が挿通される挿通孔を設けた構成としている。
【0040】
このベース部25は、補強部20のベース板状部21上に固定された状態で、
図2(b)に示すように、第1方向外側面が補強部20の端面覆い片部23の表面と略同一平面状となるように設けられている(
図11も参照)。
また、このベース部25には、
図5(a)及び
図7に示すように、係止部30を回転自在に保持する支持軸27が設けられている。この支持軸27は、ベース部25の長手方向略中央部に位置し、第1方向外側に向けて突出するように設けられている。また、この支持軸27は、略板状とされたベース部25の長手方向略中央部の第1方向内側部位から上方側(野縁9側)に向けて突出するように設けられた部位に設けられている。
【0041】
また、このベース部25には、本実施形態では、
図9に示すように、係止部30が解除手前位置から解除位置にスライドされる際に係止部30に設けられた被当接部31aに当接され、摘み部36を突出させる側に回転させるガイド部29が設けられている。このような構成とすれば、係止部30を解除手前位置から解除位置にスライドさせれば、ベース部25のガイド部29のガイド作用によって摘み部36が突出する側に係止部30が回転され、摘み部36の突出位置側への回転操作性を向上させることができる。本実施形態では、このガイド部29は、摘み部36が突出位置から非突出位置に変位する際に、係止部30に設けられた被当接部31aに当接され、非突出位置の手前位置において係止部30の非突出位置側への回転を制動する制動部としても機能する。このような構成とすれば、非突出位置側に変位される摘み部36が制動され、この制動に抗して摘み部36を非突出位置に変位させる必要が生じる。これにより、摘み部36の非突出位置側への回転が不十分でガイド部29に制動された位置では摘み部36が突出することとなる。この結果、作業者に対して摘み部36が非突出位置となっていないこと、つまり、係止部30が係止位置となっていないことを認識させることができる。つまりは、作業者に作業未完状態であることを認識させることができ、係止部30を係止側に操作することを促すことができる。なお、ガイド部29及び被当接部31aの具体的構成については、後述する。
【0042】
係止部30は、
図8(a)及び
図9(a)に示すように、係止状態で第2方向に長尺状とされ、
図8(c)、
図9(c)及び
図10に示すように、解除状態で蓋体厚さ方向に長尺状とされている。この係止部30は、第1方向に厚さ方向を沿わせた概ね板状とされている。本実施形態では、この係止部30に、ベース部25に設けられた支持軸27が挿通される軸挿通孔32を第1方向に貫通させて設けた構成としている。また、この軸挿通孔32を、係止部30が係止状態で第2方向に長尺な長孔状としている。つまり、係止部30は、ベース部25の支持軸27が挿通された軸挿通孔32の長径方向に沿って、ベース部25に対して係止位置と解除手前位置との間を第2方向にスライド自在とされている。この係止部30の軸挿通孔32の長径方向一方側端部に支持軸27が位置した状態が係止部30の係止位置(摘み部36の非突出位置)とされる。一方、この係止部30の軸挿通孔32の長径方向他方側端部に支持軸27が位置した状態が係止部30の解除位置(摘み部36の突出位置)とされる。なお、このような態様に代えて、係止部30側に軸を設け、ベース部25側に軸挿通孔を設けた構成等としてもよい。
【0043】
この係止部30の軸挿通孔32は、係止状態で第2方向に長尺状とされた係止部30の長手方向略中央部に設けられている。この係止部30とベース部25とは、軸挿通孔32を介して支持軸27に止着されたねじ等の固着具39によって互いの第1方向への移動が規制された状態で連結されている。図例では、軸挿通孔32の第1方向内側を第1方向外側よりも小径状として軸挿通孔32の軸方向途中部位に第1方向外側に向く段底部を設け、この段底部を、固着具39の頭部の鍔状部と支持軸27の基端部とによって挟み込んだような構成とした例を示している。なお、係止部30とベース部25とを第1方向に移動不能に連結する態様としては、このような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0044】
また、この係止部30には、
図5及び
図9に示すように、係止位置と解除手前位置との間をスライドする際に、ベース部25に設けられた支持面部28に当接されて回転が規制される被支持面部31が設けられている。ベース部25の支持面部28は、上方側(野縁9側)に向くように、かつ支持軸27の下方側(室内側)において第2方向に延びるように設けられている。図例では、この支持面部28を、上記のように略板状とされたベース部25の第1方向外側部位に上方側及び第1方向外側に向けて開口するように設けられた凹所の底面とした例を示している。換言すれば、ベース部25に、係止部30の被支持面部31が設けられた部位を受け入れる凹所を形成するように、ベース部25の第1方向外側部位を他の部位よりも薄くした構成としている。
【0045】
係止部30の被支持面部31は、係止状態で下方側(室内側)に向くように、かつ軸挿通孔32の下方側において第2方向に延びるように設けられている。また、この被支持面部31は、係止部30の第1方向内側に向く面から第1方向内側に向けて突出するように、かつ軸挿通孔32を囲むように設けられた突部の外周面によって構成されている。この被支持面部31と支持面部28とが対面されて互いに略平行状に配された状態では、ベース部25に対する係止部30の支持軸27回りの回転が抑止される。また、係止部30には、
図9(c)及び
図10に示すように、摘み部36が突出位置とされた状態で、ベース部25の支持面部28に対面されて支持軸27に対する係止部30の下方側への移動を抑止するストッパー面31bが設けられている。このストッパー面31bは、被支持面部31の第2方向他方側(軸挿通孔32の長径方向他方側)に連なるように設けられ、摘み部36が非突出位置で第2方向他方側を向き、かつ摘み部36が突出位置で下方側を向くように設けられている。被支持面部31とストッパー面31bとの境界部は、係止部30が解除状態において摘み部36が非突出位置と突出位置との間を変位可能なように突湾曲面状とされている。このストッパー面31bは、突出位置とされた摘み部36の非突出側とは異なる側への変位を抑止する構成とされている。
【0046】
また、本実施形態では、被支持面部31に連なるように被当接部31aを設けた構成としている。被当接部31aは、被支持面部31の第2方向一方側(軸挿通孔32の長径方向一方側)に連なるように設けられ、突湾曲面状とされている。
ベース部25のガイド部29は、
図9(b)の二点鎖線にて示すように、解除手前位置の係止部30の被当接部31aに当接するように設けられている。このガイド部29は、支持面部28の第2方向一方側(軸挿通孔32の長径方向一方側)に位置するように設けられている(
図5(a)等も参照)。また、このガイド部29の上面は、解除手前位置から解除側に係止部30が移動する際に、被当接部31aを上昇させるように支持面部28よりも上方側に位置し、かつ支持面部28から離れるに従い上るように傾斜する傾斜面状とされている。
また、このガイド部29は、支持面部28との間に隙間を隔てて設けられ、上記したベース部25の凹所の第2方向一方側を区画する内側壁から第2方向他方側に向けて突出するように片持ち片部状に設けられている。このガイド部29は、被当接部31aの当接によって僅かに弾性変形される構成とされている。
【0047】
上記のような構成により、係止部30を解除手前位置から解除側に移動させれば、
図9(b)の実線にて示すように、係止部30の被当接部31aがガイド部29に乗り上げるようにして上方側に変位する。また、この被当接部31aの上方側への変位を伴って摘み部36が非突出位置から突出側となる下方側に変位する(
図8(a)、(b)も参照)。これにより、後記する摘み部36が蓋本体10の室内側に向く表面よりも室内側に突出し、摘み部36を手指等で引出可能となる。
一方、摘み部36を突出側から非突出側へ変位させる際には、
図9(b)の実線にて示すように、非突出位置の手前位置において係止部30の被当接部31aがガイド部29に当接し、非突出側への変位が制動される。この状態では、上記同様、摘み部36が蓋本体10の室内側に向く表面よりも室内側に突出した状態とされる。この状態から摘み部36を押し込むようにして上方側に変位させれば、被当接部31aが当接されたガイド部29の弾性変形及びガイド作用を伴って係止部30が解除位置から解除手前位置に変位し、摘み部36が非突出位置とされる。
【0048】
また、本実施形態では、
図9(a)に示すように、係止部30には、係止位置とされた係止部30の解除側への移動を抑制する第1移動抑制部32aが設けられている。このような構成とすれば、係止位置とされた係止部30の解除側への移動を抑制することができる。また、この第1移動抑制部32aは、係止部30を解除側から係止位置に移動させる際に節度感(クリック感)を付与する節度感付与部としても機能する。このような構成とすれば、係止部30を解除側から係止位置に移動させる際に節度感を付与することができ、係止部30が係止位置となったことを作業者に認識させることができる。図例では、第1移動抑制部32aを、軸挿通孔32の長径方向一方側部位の互いに対向する孔内周面から互いに対向方向に突出し、支持軸27の外周面に当接される突部とした例を示している(
図5(b)も参照)。これら第1移動抑制部32a,32a間の内径は、支持軸27の外径よりも僅かに大とされていてもよい。
【0049】
係止部30が係止位置では、ベース部25の支持軸27が第1移動抑制部32a,32aに当接されて支持軸27に対する係止部30の解除側への移動が規制される。この係止位置から係止部30を解除側に移動させるように作業者が操作すれば、支持軸27が第1移動抑制部32a,32aを相対的に乗り越えるようにして係止部30の解除側への移動が可能とされている。
一方、解除側から係止位置に向けて係止部30を移動させるように作業者が操作すれば、支持軸27が第1移動抑制部32a,32aを相対的に乗り越えるようにして係止部30の係止位置への移動が可能とされている。このように支持軸27が第1移動抑制部32a,32aを相対的に乗り越える際に節度感が付与される。なお、係止位置とされた係止部30の解除側への移動を抑制する第1移動抑制部32aとしては、上記したような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0050】
また、本実施形態では、
図9(b)、(c)に示すように、係止部30には、解除位置とされた係止部30の係止側への移動を抑制する第2移動抑制部32bが設けられている。このような構成とすれば、解除位置とされた係止部30の係止側への移動を抑制することができる。また、この第2移動抑制部32bは、係止部30を解除手前位置から解除位置に移動させる際に節度感(クリック感)を付与する節度感付与部としても機能する。このような構成とすれば、係止部30を解除手前位置から解除位置に移動させる際に節度感を付与することができ、係止部30が解除位置となったことを作業者に認識させることができる。また、この第2移動抑制部32bは、上記したガイド部29と協働して非突出位置の手前位置において係止部30の非突出位置側への回転を制動する制動部としても機能する。図例では、上記と概ね同様、第2移動抑制部32bを、軸挿通孔32の長径方向他方側部位の互いに対向する孔内周面から互いに対向方向に突出し、支持軸27の外周面に当接される突部とした例を示している(
図5(b)も参照)。これら第2移動抑制部32b,32b間の内径は、上記同様、支持軸27の外径よりも僅かに大とされていてもよい。
【0051】
係止部30が解除位置では、ベース部25の支持軸27が第2移動抑制部32b,32bに当接されて支持軸27に対する係止部30の係止側への移動が規制される。この解除位置から係止部30を係止側に移動させるように作業者が操作すれば、支持軸27が第2移動抑制部32b,32bを相対的に乗り越えるようにして係止部30の係止側への移動が可能とされている。また、この際、上記した被当接部31aが当接されたガイド部29の弾性変形及びガイド作用を伴って係止部30が解除位置から係止側に移動される。
一方、係止側から解除位置に向けて係止部30を移動させるように作業者が操作すれば、支持軸27が第2移動抑制部32b,32bを相対的に乗り越えるようにして係止部30の解除位置への移動が可能とされている。この際、上記したガイド部29への被当接部31aの当接を伴って摘み部36が突出側に変位される。また、このように支持軸27が第2移動抑制部32b,32bを相対的に乗り越える際に節度感が付与される。なお、解除位置とされた係止部30の係止側への移動を抑制する第2移動抑制部32bとしては、上記したような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0052】
係止部30の操作部34は、
図9(a)に示すように、係止部30が係止位置において下方側から差し込まれた治具49によって操作可能とされている。本実施形態では、
図5に示すように、この操作部34に、係止部30が係止位置において当該蓋体2の厚さ方向一方側となる表面側において開口し、かつ第1方向に貫通する受入凹所35を設けた構成としている。このような構成とすれば、係止位置とされた係止部30の受入凹所35に治具49を差し込んで係止部30を第2方向にスライドさせることができる。また、この受入凹所35を第1方向に貫通させているので、操作部34の第1方向への薄型化を図ることができる。また、
図6(b)に示すように、この受入凹所35の第2方向両側を区画する両側壁部に、係止部30が係止位置において当該蓋体2の厚さ方向に延び、互いに向き合う方向に開口する受入溝35b,35bを設けた構成としている。このような構成とすれば、上記のように薄型化を図りながらも、受入溝35bに治具49の側部を係合させることができ、係止部30をスライドさせる際における受入凹所35からの治具49の脱離等を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、
図6(c)に示すように、受入凹所35の底側を区画する底壁部にも受入溝35aを設けた構成としている。このような構成とすれば、底側の受入溝35aに治具49の先端を係合させることができ、係止部30をスライドさせる際における受入凹所35からの治具49の脱離等をより効果的に抑制することができる。
この受入凹所35は、係止部30が係止状態で下方側を向く操作側面33において開口し、係止部30を厚さ方向(第1方向)に貫通するように設けられている。図例では、この受入凹所35を、軸挿通孔32よりも摘み部36側に設けた例を示している。また、この受入凹所35を、係止部30の厚さ方向に見て、略方形状とした例を示している。
底側の受入溝35aは、係止部30の長手方向に延びるように設けられ、溝長手方向に見て略V字溝状とされている。両側壁部の受入溝35b,35bは、溝長手方向に見て略V字溝状とされている。なお、この操作部34を構成する受入凹所35に差し込まれる治具49としては、マイナスドライバーであってもよい。また、操作部34及びこれを構成する受入凹所35としては、上記したような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0054】
操作側面33は、
図1(b)及び
図2(b)に示すように、係止部30が係止状態で蓋本体10の室内側を向く表面と略同一平面状となるように設けられている。本実施形態では、この操作側面33に、
図6(b)に示すように、操作部34を解除側及び係止側に操作する際の目安となる標示部を設けている。図例では、解除側への矢印と「O」マークとを解除側標示部として設け、係止側への矢印と「C」マークとを係止側標示部として設けた例を示している。
係止部30の摘み部36は、非突出位置では、蓋本体10の表面よりも下方側に突出しないように配される。一方、摘み部36は、
図10及び
図11に示すように、突出位置では、蓋本体10の表面よりも下方側に突出し、把持可能となる。この摘み部36は、係止部30が係止状態で軸挿通孔32の第2方向他方側に位置し、かつ第2方向他方側に向けて延びるように設けられている。また、この摘み部36は、非突出位置においてベース部25の第1方向外側に沿うように配され、ベース部25の第1方向外側において非突出位置と突出位置との間を変位する構成とされている。この摘み部36の突出位置における突出寸法や非突出位置における上下方向に沿う寸法は、突出位置において把持し易いように適宜の寸法としてもよい。なお、摘み部36としては、上記したような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0055】
また、本実施形態では、
図11に示すように、この摘み部36の厚さ方向(第1方向)一方面に、摘み部36を突出側及び非突出側に変位させる際の目安となる標示部を設けている。図例では、突出側及び非突出側への両矢印を標示部として設け、更に、「O」マークを突出側標示部として設け、「C」マークを非突出側標示部として設けた例を示している。
また、
図5に示すように、この摘み部36に、後記する被係止部44を受け入れる係止凹所37を設けた構成としている。この係止凹所37は、係止部30が係止状態で第2方向他方側(係止部30の長手方向外側)に向けて開口し、かつ摘み部36を厚さ方向に貫通するように設けられている。また、この係止凹所37は、係止部30の長手方向に長尺なスリット状とされている。また、この係止凹所37の開口側部位の両壁を、開口側に向かうに従い拡開状としている。また、この係止凹所37を区画する両壁のうち係止状態で上方側を向く側壁を区画する部位を、下方側を向く側壁を区画する部位よりも係止部30の長手方向外側に向けて突出させた構成としている。上記のように解除手前位置から解除位置に係止部30がスライドされた際に、この係止凹所37の係止状態で上方側を向く側壁を区画する部位の先端部が突出し手掛部となる。
【0056】
また、本実施形態では、係止部30に、
図10~
図12に示すように、摘み部36が突出位置において、摘み部36の突出側とは異なる側となる蓋本体10の厚さ方向他方側に向けて突出する挿入ガイド部38を設けた構成としている。この挿入ガイド部38は、係止部30が係止状態で軸挿通孔32の第2方向一方側に位置し、かつ第2方向一方側に向けて延びるように設けられている。また、この挿入ガイド部38の先端部は、突出状態で第2方向に見て先側に向かうに従い先細り状とされている。また、この挿入ガイド部38の先端部に連なる基端側(軸挿通孔32側)の第1方向内側に向く面は、基端側に向かうに従い第1方向外側に向けて傾斜する傾斜面状とされている。
この係止部30が係止される被係止部44は、蓋体2が閉鎖され、係止部30が係止状態で、係止凹所37に差し込まれて蓋体2の開放側への移動を抑止する。また、係止部30が係止状態で、挿入ガイド部38も被係止部44上に対面配置されて係止される。
【0057】
本実施形態では、
図2(a)及び
図3に示すように、この被係止部44を、第1方向に延びる長尺状で第2方向に間隔を空けて平行状に配設される一対の天井下地を構成する野縁9,9に架け渡されるように配される桟状部材40に設けた構成としている。このような構成とすれば、被係止部44を、一対の野縁9,9の間に設けることができ、被係止部44を野縁9,9に設けたようなものと比べて、蓋体2の第2端部4の中央側部位の垂れ下がりを抑制することができる。また、本実施形態では、この桟状部材40に、蓋体2の第2端部4に第1端部3Aが対向するように配される天井パネル2Aの第1端部3Aに設けられた引掛部16が引っ掛けられる被引掛部43を設けた構成としている(
図1(a)及び
図6(a)も参照)。このような構成とすれば、桟状部材40を、蓋体2の第1方向に隣接される天井パネル2Aの第1端部3Aを保持する保持部材としても機能させることができる。この桟状部材40は、蓋体2及び天井パネル2Aとによって天井パネル装置1を構成するものであってもよい。
【0058】
この桟状部材40は、第2方向に長尺状とされている。この桟状部材40は、
図1に示すように、蓋体2の第2端部4に保持された状態で、野縁9,9に固定される。本実施形態では、この桟状部材40に、
図1(b)及び
図6(a)に示すように、蓋体2の補強部20を吸着する磁石48を設けた構成としている。このような構成とすれば、磁石48によって桟状部材40を蓋体2の第2端部4により強固に保持させることができる。また、蓋体2を閉鎖させる際に、野縁9,9間に架け渡されるように配された桟状部材40に対して蓋体2の第2端部4を仮保持させることもできる。
被係止部44は、
図1(b)及び
図9に示すように、桟状部材40が蓋体2に保持された状態で、蓋体2の補強部20のベース板状部21上に積層されるように配される板状部によって構成されている。この被係止部44は、蓋体厚さ方向に厚さ方向を沿わせた板状とされ、蓋体2に保持された状態で、蓋本体10の第2端部4の裏面側から第1方向外側に向けて延出するように配される。また、この被係止部44は、桟状部材40の全長に亘って設けられている。また、この被係止部44は、その下面に、
図2(b)及び
図12に示すように、蓋体2の第1方向に隣接される天井パネル2Aの第1端部3Aの裏面が近接対面または当接されるように配される構成とされている。この被係止部44は、第1方向に隣接するパネル本体10Aと蓋本体10との間に形成される隙間の底側を区画するように配される構成とされている。
【0059】
また、桟状部材40には、
図5(a)及び
図7に示すように、被係止部44の第1方向蓋体側端部から上方側に向けて立ち上がる立上片部と、この立上片部の上端部から第1方向蓋体側に向けて延出する延出片部46とが、桟状部材40の全長に亘って設けられている。
本実施形態では、この延出片部46の下方側に磁石48を設けた構成としている。また、延出片部46の第1方向蓋体側端部に下方側に向けて垂れ下がる垂下片部を設け、この垂下片部及び上記した立上片部に、磁石48を受け入れるように保持する磁石受入凹所47を構成する開口を設けた構成としている(
図8(a)及び
図9(a)参照)。また、垂下片部の開口を立上片部の開口よりも小とし、立上片部の開口の第1方向反蓋体側に、磁石48の抜止ストッパー44cを被係止部44から切起状に設けた例を示している。この磁石48は、蓋体2の第2端部4の仮保持が可能な構成とされていてもよく、また、桟状部材40の長手方向に間隔を空けて複数箇所に設けられていてもよい。また、この磁石48は、上記同様、ネオジム磁石であってもよい。また、この磁石48を保持する態様としては、上記したような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。また、図例では、延出片部46に、第2方向に間隔を空けて第2方向に長径状の複数の長孔を設けた例を示している。
【0060】
また、桟状部材40には、蓋体2の第2端部4の端面(本実施形態では、端面覆い片部23)に当接される位置決め片部44bが設けられている(
図12参照)。このような構成とすれば、蓋体2と桟状部材40との第1方向に沿う位置合わせを容易に行うことができる。この位置決め片部44bは、被係止部44の下面から下方側に向けて突出するように設けられ、第1方向に厚さ方向を沿わせた板状とされている。この位置決め片部44bは、桟状部材40の長手方向に間隔を空けて複数箇所に設けられていてもよい。また、この位置決め片部44bは、被係止部44から切起状に設けられていてもよい。
【0061】
また、桟状部材40には、
図5(a)、
図6(a)及び
図7に示すように、ベース部25及び解除状態の係止部30が挿通されるようにしてこれらを受け入れる受入開口45が被係止部44の厚さ方向に貫通するように設けられている。この受入開口45は、桟状部材40の長手方向略中央部に設けられ、被係止部44の第1方向蓋体側部位、立上片部及び延出片部46の第1方向反蓋体側部位に亘って貫通するように形成されている。
この受入開口45は、
図11及び
図12に示すように、蓋本体10の裏面側(天井下地側)において突出状態とされた挿入ガイド部38の受入が可能とされている(
図8(c)も参照)。
また、この受入開口45は、第2方向に沿う寸法が係止状態の係止部30の第2方向に沿う寸法よりも小とされている。この受入開口45の第2方向一方側を区画する部位に、係止状態の係止部30の挿入ガイド部38が対面配置されて係止される。また、突出状態とされた挿入ガイド部38を受け入れた状態で、摘み部36を非突出側に変位させ、係止部30を係止位置とすれば、この受入開口45の第2方向他方側を区画する部位が係止部30の係止凹所37に差し込まれて係止される。
【0062】
また、本実施形態では、
図11及び
図12に示すように、この受入開口45の第1方向反蓋体側を区画する部位に、被係止部44の厚さ方向一方側となる下方側に向けて突出する突片部44aを設けた構成としている。この突片部44aは、蓋体2の第1方向に隣接される天井パネル2Aの第1端部3Aの端面に操作部34を操作する治具49や挿入ガイド部38の先端部が接触しないように、この端面を覆うように配される。このような構成とすれば、蓋体2の第1方向に隣接される天井パネル2Aの第1端部3Aの端面を保護することができる。この突片部44aは、板状とされた被係止部44に一連状に折曲形成されている。この突片部44aの突出寸法は、パネル本体10Aの厚さ寸法と略同寸法とされている。図例では、突片部44aの突出寸法を、被係止部44の下面にパネル本体10Aの裏面が当接された状態で突片部44aがパネル本体10Aの表面よりも僅かに下方側に突出するような寸法とした例を示しているが、このような態様に限られない。また、この突片部44aの第2方向に沿う寸法は、操作部34を操作する治具49の第2方向に沿う操作範囲に応じて適宜の寸法とすればよい。
【0063】
また、本実施形態では、
図5(a)、
図11及び
図12に示すように、この受入開口45の第1方向蓋体側を区画する部位に、被係止部44の厚さ方向他方側となる上方側に向けて突出する突片部46aを設けた構成としている。この突片部46aは、第2方向で、突出状態とされた挿入ガイド部38に応じた位置となるように設けられている。このような構成とすれば、挿入ガイド部38の先端部及び先端部基端側の形状を上記のような形状としたことも相俟って、受入開口45の第1方向蓋体側を区画する部位への挿入ガイド部38の先端部の引っ掛かりや引っ掛かりによる変形等を抑制することができる。この突片部46aは、板状とされた延出片部46に一連状に折曲形成されている。
【0064】
また、桟状部材40には、蓋体2に保持された状態で、蓋本体10の第2端部4の裏面側から第1方向外側(反蓋体側)に向けて突出し、野縁9に固定され、下方側に第1方向に隣接される天井パネル2Aが配される固定片部41が設けられている。このような構成とすれば、第2端部4から第1方向外側(反蓋体側)に向けて突出した固定片部41を介して室内側(下方側)から野縁9に向けて固着具を止着して蓋体2に保持された桟状部材40を野縁9に固定することができる。また、第1方向に隣接される天井パネル2Aが設置された状態では、この天井パネル2Aによって固着具を表面側から目立ち難くすることができる。
【0065】
この固定片部41は、当該固定片部41の下方側に配される第1方向に隣接される天井パネル2A(パネル本体10A)の裏面との間に当該固定片部41を野縁9に固定する固着具の頭部の軸方向に沿う寸法以上の隙間が形成されるように設けられている。また、この固定片部41は、桟状部材40の全長に亘って設けられている。この固定片部41は、上記したように板状とされた被係止部44の第1方向反蓋体側端部から上方側に向けて立ち上がるように設けられた立上片部を介して一連状に設けられている。
また、この固定片部41の長手方向(第2方向)両端部には、
図1(a)及び
図7に示すように、桟状部材40を両側の野縁9,9に固定する固着具が挿通される挿通孔41a,41aが設けられている。また、これら挿通孔41a,41aを、第2方向に長径状の長孔としている。また、図例では、この固定片部41に、第2方向に間隔を空けて第2方向に長径状の複数の長孔を設けた例を示している。
【0066】
被引掛部43は、上記した天井パネル2Aの被引掛部23Aと概ね同様、蓋体2の第1方向に隣接される天井パネル2Aの第1端部3Aを第2端部4Aよりも上方側に位置させた状態で、天井パネル2Aのフック状部17の引っ掛け保持が可能な構成とされている。
この被引掛部43は、被係止部44の第1方向反蓋体側端部から立ち上がるように設けられた立上片部の一部によって構成されている。また、この立上片部の上端部及び固定片部41の立上片部側部位に、引掛部16のフック状部17が挿通される挿通孔42を設けた構成としている。この挿通孔42及び被引掛部43の第2方向に沿う寸法は、
図6(a)に示すように、上記同様、引掛部16の第2方向に沿う寸法よりも大とされている。また、挿通孔42及び被引掛部43は、引掛部16に応じた位置となるように、桟状部材40の長手方向(蓋本体10の第2端部4に沿って第2方向)に間隔を空けて複数箇所(図例では、4箇所)に設けられている(
図1(a)参照)。なお、この桟状部材40は、適宜の金属系材料からプレスや折曲加工等によって一連状に形成されたものでもよい。また、係止部30が係止される被係止部44を構成する桟状部材40としては、上記したような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。また、被係止部44は、上記のような桟状部材40に設けられたものに限られず、天井下地や隣接する天井パネル2A側に設けられたものであってもよい。
【0067】
上記のような構成とされた蓋体2を設置する際には、桟状部材40を第2端部4に保持させ、係止部30を係止位置とした状態で、
図4(b)に示すように、第1端部3の引掛部16を、開口6を区画する第1縁部7側の被引掛部23Aに引っ掛けて保持させる。そして、
図4(a)に示すように、蓋体2を、第1端部3側を支点として回転させるようにして蓋体2の第2端部4側を上昇させて被保持端部5,5の磁石15,15を野縁9,9に吸着させて仮保持させる。また、桟状部材40の固定片部41を固着具によって野縁9,9に固定する。これにより、蓋体2が開口6を閉鎖した状態で設置される。このように設置された蓋体2を開放させる際には、
図8~
図10に示すように、係止部30を解除側にスライドさせて摘み部36を突出させ、この摘み部36を把持して開放するようにすればよい。また、開放された蓋体2を閉鎖させる際には、
図11及び
図12に示すように、突出位置とされた摘み部36を把持し第1端部3側を支点として蓋体2を回転させるようにして蓋体2の第2端部4側を上昇させる。これにより、被保持端部5,5の磁石15,15が野縁9,9に吸着され、また、補強部20が桟状部材40の磁石48に吸着されて仮保持される。このように仮保持された状態で、摘み部36を非突出側に変位させ、係止部30を係止側にスライドさせて係止位置とすれば、係止部30が被係止部44に対して係止される。
【0068】
なお、上記実施形態では、蓋体2を、天井に設けられる点検口を構成する開口6を開閉する点検口用パネルとした例を示しているが、壁や床、種々の収納部、その他、種々のケーシングや容器等に設けられる開口を開閉するものとしてもよい。この場合は、蓋本体10や係止部30に係止される被係止部44を適宜、必要に応じて変形するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、係止部30を、蓋本体10の第2端部4に沿って設けられた補強部20に設けた例を示しているが、このような態様に限られない。
また、上記実施形態では、蓋本体10を、発泡樹脂系または繊維系の基材11を含んだ構成とした例を示しているが、このような態様に限られない。上記実施形態に係る蓋体2の各部の構成は、上記したような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0069】
2 蓋体
3 第1端部(第1方向第1端部)
4 第2端部(第1方向第2端部)
10 蓋本体
11 基材
20 補強部
25 ベース部
27 支持軸(第1方向に沿う軸)
29 ガイド部(制動部)
30 係止部
31a 被当接部
34 操作部
35 受入凹所
35b 受入溝
36 摘み部
44 被係止部
6 開口
7 第1縁部
8 第2縁部
49 治具