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特許7293406コリネバクテリウム属菌株およびその培養物を含む胃腸疾患予防、治療または改善用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】コリネバクテリウム属菌株およびその培養物を含む胃腸疾患予防、治療または改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/16 20160101AFI20230612BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230612BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20230612BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A23K10/16
A23L33/135
A61K35/74 A
A61P31/04 171
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021574298
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 KR2020007169
(87)【国際公開番号】W WO2020251208
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0071007
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン‐ス
(72)【発明者】
【氏名】イ,ナホム
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ヨン・ギ
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-525951(JP,A)
【文献】特開2007-195543(JP,A)
【文献】特開2013-146247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0147522(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
A23L 5/40 - 5/49
A23L 31/00 - 33/29
A61K 35/00 - 36/068
A61P 1/00 - 43/00
A61K 31/00 - 31/327
C12N 1/00 - 7/08
C12P 1/00 - 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含み、
ここで、前記コリネバクテリウム属菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、および、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)からなるグループから選択される1種以上である、胃腸疾患の予防または改善用飼料組成物。
【請求項2】
前記コリネバクテリウム属菌株は加熱殺菌菌体である、請求項1に記載の飼料組成物。
【請求項3】
前記培養物は、コリネバクテリウム属菌株を培地で培養した発酵物である、請求項1又は2に記載の飼料組成物。
【請求項4】
前記培地はトレオニン生産用培地である、請求項に記載の飼料組成物。
【請求項5】
前記トレオニンを60~80重量%で含む、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の飼料組成物。
【請求項6】
前記コリネバクテリウム属菌株およびその培養物は、乾燥された形態で含まれる、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の飼料組成物。
【請求項7】
前記胃腸疾患は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染によることである、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の飼料組成物。
【請求項8】
前記胃腸疾患は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、消化性潰瘍、および胃ガンからなる群より選択された1種以上である、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の飼料組成物。
【請求項9】
前記トレオニンは、
(1)前記コリネバクテリウム属菌株、その培養物、またはこれら全てに含まれるか、
(2)別途に添加されるか、
(3)前記コリネバクテリウム属菌株、その培養物、またはこれら全てに含まれ、ここに追加的に添加されたものである、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の飼料組成物。
【請求項10】
コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含み、
ここで、前記コリネバクテリウム属菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、および、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)からなるグループから選択される1種以上である、胃腸疾患予防または治療用薬学的組成物。
【請求項11】
コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含み、
ここで、前記コリネバクテリウム属菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、および、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)からなるグループから選択される1種以上である、胃腸疾患予防または改善用食品組成物。
【請求項12】
コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含み、
ここで、前記コリネバクテリウム属菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、および、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)からなるグループから選択される1種以上である、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)に対する抗菌用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、コリネバクテリウム属菌株、その培養物、およびトレオニンを含む胃腸疾患予防、治療、または改善用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
胃病変において胃潰瘍は最も大きな発病率を占めており、全畜種で世界共通的に発病している。胃潰瘍の発病率は畜産産業の発達と共に増加しており、食欲減少による成長率下落と共に、苦痛を伴った症状で動物福祉的な側面から胃潰瘍発生防止に対する努力が強化されている。
【0003】
トレオニン(Threonine、Thr)は、腸上皮保護物質であるムチン(mucine)を構成する主要アミノ酸(Amino acid、AA)である。ムチンタンパク質はタンパク質の吸収を促進すると同時に、胃液のような強酸性の消化液から消化器官を保護して腸健康維持のために重要な役割を果たす。実際に、飼料内Thr処理が子豚(piglet)においてムチン合成を助けて腸健康を改善させると報告されている(非特許文献1)。
【0004】
飼料または食品用Thrの生産は微生物による発酵方法によって生産され、この時、主に使用される微生物の種類としては大腸菌(Escherichia coli、E.coli)とコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum、C.glutamicum)などがある。同一なAAを生産するにもかかわらず、この二つの菌株はそれぞれグラム陰性菌とグラム陽性菌に区分される。グラム陰性菌とグラム陽性菌の両方とも細胞壁はペプチドグリカン(peptidoglycan、PG)からなっている。しかし、グラム陰性菌の場合、PG以外に脂肪タンパク質(lipoprotein)、タンパク質(protein)からなる脂質多糖類(Lipopolysaccharide、LPS)層が追加的に存在し、このLPS層には体性抗原(O抗原)であるLipid Aがあって毒性を示す特性がある。したがって、製薬業界では発熱性(pyrogenicity)、致死性(lethality)、シュワルツマン反応性(Schwartzman reactivity)、補助剤活性度(adjuvant activity)およびマクロファージ活性(macrophage activation)のような有害な生物学的活性で非経口剤から内毒素を除去するのが必須的である(非特許文献2)。
【0005】
最近、飼料添加物の経済的な効用性による高度精製過程の単純化(または省略)による顆粒型(granule type)の飼料用アミノ酸の生産は必然的に発酵に使用されたバクテリアが死菌(heat killed)形態で製品に混入される。いくつかの研究は代表的なグラム陽性菌である乳酸菌(Lactic acid bacteria)死菌体が酸と熱に対する強い耐性で環境に安定的であり、高度濃縮が可能であって取り扱い容易である点、そして腸内定着した有益菌のエサとして用いられて乳酸菌特有の免疫強化活性を増強させることが報告されている(非特許文献3)。
【0006】
このような背景下に、本出願者らは胃腸疾患の予防および治療に効果がある薬学的組成物を開発するために鋭意努力した結果、コリネバクテリウム属菌株、その培養物、およびトレオニンを含む組成物が胃腸疾患の予防、治療および改善に効果があるのを確認して本出願を完成した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Law G.(2000) Threonine requirement and the effect of threonine on gut mucin characteristics in piglets receiving intragastric nutrition。 Master thesis of university of Alberta。1-143。
【文献】Miyamoto T., Okono S. and Kasai N(2009) Inactivation of Escherichia coli endotoxin by soft hydrothermal processing。 Applied and Environmental Microbiology、75(15)、5058-5063。
【文献】Lee I.H.(2018) 動物用抗菌剤と代替剤をめぐる最新動向。Pig & Consulting、4、70-73。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、胃腸疾患予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0009】
本出願は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、胃腸疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0010】
本出願は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、胃腸疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0011】
本出願は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、ヘリコバクター・ピロリに対する抗菌用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一様相は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、胃腸疾患の予防、改善、または治療用組成物を提供することができる。
【0013】
本出願で、“予防”とは一例による組成物の投与によって疾患の発病を抑制または遅延させる全ての行為を意味し、“治療”とは一例による組成物の投与によって疾患の疑いおよび発病個体の症状が好転するか有利に変更される全ての行為を意味し、“改善”とは、一例による組成物の投与で疾患が治療される状態に係るパラメータ、例えば症状の程度を少なくとも減少させる全ての行為を意味することができる。前記疾患は胃腸疾患を意味することができる。
【0014】
一様相は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、胃腸疾患予防または改善用飼料組成物を提供することができる。
【0015】
本出願で、“コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.、Coryne sp.)菌株”は全てのコリネバクテリウム属菌株を含むことができる。コリネバクテリウム属菌株は例えば、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・クルジラクティス(Corynebacterium crudilactis)、コリネバクテリウム・デセルティ(Corynebacterium deserti)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・カルーナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・スタティオニス(Corynebacterium stationis)、コリネバクテリウム・シングラレ(Corynebacterium singulare)、コリネバクテリウム・ハロトレランス(Corynebacterium halotolerans)、コリネバクテリウム・ストリアトゥム(Corynebacterium striatum)、コリネバクテリウム・ポルーティソリ(Corynebacterium pollutisoli)、コリネバクテリウム・イミタンス(Corynebacterium imitans)、コリネバクテリウム・テスツジノリス(Corynebacterium testudinoris)、および/またはコリネバクテリウム・フラベスセンス(Corynebacterium flavescens)であってもよく、さらに具体的に、コリネバクテリウム・グルタミクム、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス、またはその組み合わせ(コリネバクテリウム・グルタミクムおよびコリネバクテリウム・アンモニアゲネス)であってもよい。
【0016】
一例で、前記コリネバクテリウム属菌株は、トレオニン生産能があるものであり得る。本出願で、トレオニン生産能があるということは、当該微生物が培地で培養される時、微生物内および/または前記培地にトレオニンを生産および蓄積する能力を示すことを意味する。
【0017】
一例による胃腸疾患の予防、改善、または治療用組成物がコリネバクテリウム・グルタミクムを含む場合、コリネバクテリウム・グルタミクム以外の他の種類のコリネバクテリウム属菌株(例えば、コリネバクテリウム・エフィシエンス)を含む組成物より(1)胃腸疾患の予防、改善、または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能が優れる。
【0018】
一例による胃腸疾患の予防、改善、または治療用組成物がコリネバクテリウム・アンモニアゲネスを含む場合、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス以外の他の種類のコリネバクテリウム属菌株(例えば、コリネバクテリウム・エフィシエンス)を含む組成物より(1)胃腸疾患の予防、改善、または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能が優れる。
【0019】
一例による胃腸疾患の予防、改善、または治療用組成物がコリネバクテリウム・グルタミクムおよびコリネバクテリウム・アンモニアゲネスを含む場合、コリネバクテリウム・グルタミクムおよびコリネバクテリウム・アンモニアゲネス以外の他の種類のコリネバクテリウム属菌株(例えば、コリネバクテリウム・エフィシエンス)を含む組成物より(1)胃腸疾患の予防、改善、または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能が優れる。
【0020】
一例で、前記組成物が抗ヘリコバクター・ピロリ効能が優れているということは、ヘリコバクター・ピロリ菌株に対して抗菌活性が優れるかヘリコバクター・ピロリによって感染された細胞(例えば、胃粘膜細胞)の細胞死滅を防止する活性に優れているのを意味することができる。
【0021】
前記コリネバクテリウム属菌株は培養液中に培養培地を除去して濃縮された菌体を意味することができ、培養物から濃縮された菌体のみを回収するために遠心分離および/または濾過過程を経ることができる。
【0022】
一例で、前記コリネバクテリウム属菌株は死菌体の形態で含まれてもよい。本出願で、“死菌体”とは、生菌の反対になる概念であって発酵を通じて得られた生菌と代謝産物を熱処理などによって菌の成長が起こらないようにした形態を意味する。死菌体は、細胞質(cytoplasm)、細胞壁(cell wall)、バクテリオシン(bacteriocin)などの抗菌活性物質、多糖類(polysaccharide)、および/または有機酸などを含むことができる。
【0023】
一例によって死菌体を含む組成物は生菌を含む組成物より下記の(1)~(6)からなる群より選択された1種以上の特徴を有することができる。
【0024】
(1)耐酸性優秀;
(2)耐熱性優秀;
(3)高濃度に濃縮が可能;
(4)安定性優秀;
(5)取り扱いおよび保管容易;および
(6)腸内有益菌のエサとして利用可能。
【0025】
前記コリネバクテリウム属菌株はチンダルおよび/または熱処理によって死菌化できる。一例で、前記コリネバクテリウム属菌株およびその培養物を滅菌した培養液は菌株の死菌体を含む。例えば、前記熱処理は、60~130℃の温度で3~30分間行われることであり得る。また、前記熱処理は、1回~10回の超高温殺菌(ultra high temperature sterilization)オートクレーブ(autoclave)、および/または熱風乾燥で行うことができる。前記超高温殺菌は110℃~130℃の温度で3.0~10.0秒間行われることであってもよく、例えば、100℃で1.0秒~10秒間2回、121℃で1.0~10.0秒間1回行われることであってもよく、前記オートクレーブは120~125℃、または121℃で10分~30分、15分~25分、または20分間行うことであってもよく、前記熱風乾燥は60~70℃の温度で行われることであってもよい。
【0026】
一具体例で、コリネバクテリウム属菌株の死菌体、コリネバクテリウム属菌株の培養物、およびトレオニンを含む組成物がインビトロおよび/またはインビボ上で(1)胃腸疾患の予防または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効果に優れるのを確認した。
【0027】
一例による組成物は、前記コリネバクテリウム属菌株(または菌株の死菌体)を20~40OD(波長(wave length) 560~565nm)、25~35OD(波長 560~565nm)、または30OD濃度(波長 560~565nm)で含むことができる。
【0028】
一例による組成物は、前記コリネバクテリウム属菌株(または菌株の死菌体)を20~40OD(波長 560~565nm)、25~35OD(波長 560~565nm)、または30OD濃度(波長 560~565nm)で1~100g/L、5~100g/L、10~100g/L、15~100g/L、20~100g/L、21~100g/L、1~80g/L、5~80g/L、10~80g/L、15~80g/L、20~80g/L、21~80g/L、1~60g/L、5~60g/L、10~60g/L、15~60g/L、20~60g/L、21~60g/L、1~50g/L、5~50g/L、10~50g/L、15~50/L、20~50g/L、21~50g/L、1~30g/L、5~30g/L、10~30g/L、15~30g/L、20~30g/L、21~30g/L、1~25g/L、5~25g/L、10~25g/L、15~25g/L、20~25g/L、または21~25g/Lずつ含むことができる。
【0029】
一例による組成物は、前記コリネバクテリウム属菌株(または菌株の死菌体)を1~100g/L、5~100g/L、10~100g/L、15~100g/L、20~100g/L、21~100g/L、1~80g/L、5~80g/L、10~80g/L、15~80g/L、20~80g/L、21~80g/L、1~60g/L、5~60g/L、10~60g/L、15~60g/L、20~60g/L、21~60g/L、1~50g/L、5~50g/L、10~50g/L、15~50g/L、20~50g/L、21~50g/L、1~30g/L、5~30g/L、10~30g/L、15~30gL、20~30g/L、21~30g/L、1~25g/L、5~25g/L、10~25g/L、15~25g/L、20~25g/L、または21~25g/L濃度で含むことができる。
【0030】
一例による組成物は、前記コリネバクテリウム属菌株(または菌株の死菌体)を0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~5重量%、0.1~4重量%、0.1~3.5重量%、0.1~3重量%、0.1~1重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~5重量%、1~4重量%、1~3.5重量%、1~3重量%、2~10重量%、2~8重量%、2~5重量%、2~4重量%、2~3.5重量%、2~3重量%、3~10重量%、3~8重量%、3~5重量%、3~4重量%、3~3.5重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、3.5~5重量%、または3.5~4重量%の含量で含むことができる。
【0031】
一例で、前記コリネバクテリウム属菌株は前記菌株の培養物に含まれたものであり得る。
【0032】
前記“培養物”は前記コリネバクテリウム属菌株を培養した後に得られた産物を意味し、発酵物を含むことができる。一例で、前記培養物は、コリネバクテリウム属菌株を培地で培養した発酵物であり得る。前記“発酵物”は、微生物を用いた有機物質の酵素的または代謝的分解の結果物を意味する。本出願で、“発酵”は、微生物を用いた有機物質の酵素的または代謝的分解を含む全ての活性または過程中の腐敗反応ではないことを意味することができる。
【0033】
前記培養物(または発酵物)はコリネバクテリウム属菌株の全体培養物、その希釈液、濃縮物、乾燥物、凍結乾燥物、破砕物、および/または分画物などであってもよく、前記濃縮物は前記培養物を遠心分離または蒸発させて得ることができ、前記乾燥物を前記培養物を乾燥機などを用いて乾燥して得ることができ、前記凍結乾燥物は前記培養物を凍結乾燥機などを用いて凍結乾燥して得ることができ、破砕物は前記菌株または培養物を物理的にまたは超音波処理して得ることができ、前記分画物は前記培養物、破砕物などを遠心分離、クロマトグラフィーなどの方法に適用して得ることができる。
【0034】
前記培養物または発酵物は固状(固体、例えば、乾燥物)、液状(液体)、または流動状であり得るが、これで制限されない。
【0035】
一例で、前記培養物は、コリネバクテリウム属菌株を一定期間培養して得られた培養された菌株、その代謝物、および/または余分の栄養分などを含む全体培地を意味することができる。
【0036】
一例で、前記培養物は、コリネバクテリウム属菌株を培地で培養した発酵物から菌株(菌体)および/またはトレオニンを除いた残りの成分を意味するものであり得る。
一例で、前記培養物は、コリネバクテリウム属菌株が除去または除去されていないものであり得る。
【0037】
一例で、前記培養物は、コリネバクテリウム属菌株を培地で培養した培養液から菌株を除去した培養液(または培養物)であり得る。前記菌株を除去した培養液(または培養物)は無細胞(cell free)培養液(または培養物)であるか死菌体を含む培養液であってもよく、例えば、ろ過、遠心分離して菌株を除去した濾液(遠心分離した上澄液)、および/または死菌体を含む培養液(または培養液の乾燥物)であってもよい。
【0038】
一例による組成物は、前記培養物(または発酵物)を1~80重量%、5~80重量%、10~80重量%、15~80重量%、20~80重量%、23~80重量%、25~80重量%、1~60重量%、5~60重量%、10~60重量%、15~60重量%、20~60重量%、23~60重量%、25~60重量%、1~50重量%、5~50重量%、10~50重量%、15~50重量%、20~50重量%、23~50重量%、25~50重量%、1~40重量%、5~40重量%、10~40重量%、15~40重量%、20~40重量%、23~40重量%、25~40重量%、1~30重量%、5~30重量%、10~30重量%、15~30重量%、20~30重量%、23~30重量%、25~30重量%、1~25重量%、5~25重量%、10~25重量%、15~25重量%、20~25重量%、または23~25重量%で含むことができる。一例によれば、前記範囲外の含量で培養物を含む組成物より前記範囲で培養物を含む組成物は(1)胃腸疾患の予防または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能に優れる。
【0039】
前記培養物はコリネバクテリウム属菌株を含むことができ、培養物内のコリネバクテリウム属菌株を0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~5重量%、0.1~4重量%、0.1~3.5重量%、0.1~3重量%、0.1~1重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~5重量%、1~4重量%、1~3.5重量%、1~3重量%、2~10重量%、2~8重量%、2~5重量%、2~4重量%、2~3.5重量%、2~3重量%、3~10重量%、3~8重量%、3~5重量%、3~4重量%、3~3.5重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、3.5~5重量%、または3.5~4重量%の含量で含むことができる。
【0040】
一例で、コリネバクテリウム属菌株およびその培養物は、コリネバクテリウム属菌株を培地で一定期間培養して得られた製造した培養物を熱処理(または滅菌(例えば、オートクレーブまたは熱風乾燥))したりして得られたコリネバクテリウム属菌株の死菌体が含まれている培養物であり得る。
【0041】
本出願で、“培養”は、微生物を適当に人工的に調節した環境条件で生育させる一連の行為を意味する。前記培養は、当業界に知られた任意の培養条件および培養方法を使用することができる。例えば、前記培養は、公知された回分式培養方法、連続式培養方法、流加式培養方法、バッチ工程または注入バッチまたは繰り返し注入バッチ工程(fed batch or repeated fed batch process)で連続式に行うことができる。この時、培養条件は、特にこれに制限されないが、塩基性化合物(例:水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア)または酸性化合物(例:リン酸または硫酸)を使用して適正pH(例えば、pH5~9、pH6~8、またはpH6.8)を調節することができる。一例で、脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を使用して気泡生成を抑制することができ/できるか、酸素または酸素-含有ガス混合物を培養物に導入させて好気性条件を維持することができる。
【0042】
一例で、培養温度は20~45℃、25~40℃、30~40℃、30~35℃、または35~40℃であってもよく、培養条件は100~500rpm、150~300rpm、150~250rpm、または200rpmであってもよく、培養時間(期間)は1~160時間、10~100時間、12~72時間、24~72時間、30~60時間、40~50時間、45~50時間、または48時間であってもよい。培養期間は有用物質(例えば、L-トレオニン、トレオニン、トレオニン、Threonine)が所望の生産量が得られるまで続いてもよい。一例で、培養は前記範囲の培養温度で前記範囲の培養時間行うことができる。
【0043】
培養に使用される培地は適切な方式で特定菌株の要件を充足しなければならず、当業者は公知された内容により適切に使用することができる。一例によれば、コリネバクテリウム属菌株を培養するための培地は公知された文献(例えば、Manual of Methods for General Bacteriology. American Society for Bacteriology. Washington D.C., USA, 1981)を参照することができるが、これに制限されるわけではない。
【0044】
前記コリネバクテリウム属菌株を培養するためには適当な炭素源、窒素源、アミノ酸、ビタミンなどを含む通常の培地内で嫌気性条件下で温度、pHなどを調節しながら適切な方式で特定菌株の生存要件を充足させることができる。前記培地で使用できる炭素源としては炭素供給源としては糖および炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、モラセス、デンプンおよびセルロース)、油脂および脂肪(例えば、大豆油、ヒマワリ油、落花生油、およびヤシ油)、脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸)、アルコール(例えば、グリセロールおよびエタノール)および有機酸(例えば、酢酸)などを個別的に使用するかまたは混合して使用することができるが、これに制限されるわけではない。窒素供給源としては窒素-含有有機化合物(例:ペプトン、酵母抽出液、肉汁、麦芽抽出液、とうもろこし浸漬液、大豆粕粉およびウレア)、または無機化合物(例:硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウム)などを個別的に使用するかまたは混合して使用することができるが、これに制限されるわけではない。リン供給源としてリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、これに相応するナトリウム含有塩などを個別的に使用するかまたは混合して使用することができるが、これに制限されるわけではない。また、培養培地は成長に必要なその他の金属塩(例えば、硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄)を含むことができ/できるかアミノ酸およびビタミンのような必須成長物質を含むことができるが、これに制限されるわけではない。
【0045】
一例で、前記培地はトレオニン生産用培地(例えば、no.435培地)であってもよく、前記コリネバクテリウム属菌株、およびその培養物はコリネバクテリウム属菌株をトレオニン生産用培地で培養した培養物であってもよく、トレオニンは培養培地中に排出されるか、細胞中に含まれていてもよい。
【0046】
一例で、前記コリネバクテリウム属菌株および/またはその(前記コリネバクテリウム属菌注)培養物はトレオニンを含むことができる。
【0047】
一例で、前記コリネバクテリウム属菌株および/またはその培養物は、トレオニンを含まないものであってもよい。
【0048】
本出願で、“トレオニン(Threonine、Thr)”、“トレオニン”はヒドロキシ-α-アミノ酸であって体内で生成されない必須アミノ酸の一つであって化学式HOCCH(NH)CH(OH)CHのアミノ酸を意味する。前記トレオニンは、光学異性質体L型(L-型トレオニン(L-Threonine、L-Thr))、D型、またはその組み合わせであり得る。トレオニンは必須アミノ酸であって腸上皮保護物質であるムチン(mucine)を構成し、不足すれば成長停止、体重減少を起こすことがある。
【0049】
一例により、コリネバクテリウム属菌株、その培養物、および/またはトレオニンを混合した場合に上昇的に優れた(1)胃腸疾患の予防または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能を示すことができる。
【0050】
一例による組成物は、トレオニンを50~90重量%、50~85重量%、50~80重量%、50~75重量%、50~70重量%、55~90重量%、55~85重量%、55~80重量%、55~75重量%、55~70重量%、60~90重量%、60~85重量%、60~80重量%、60~75重量%、60~70重量%、65~90重量%、65~85重量%、65~80重量%、65~75重量%、65~70重量%、70~90重量%、70~85重量%、70~80重量%、70~75重量%、または70重量%で含むことができる。前記範囲外の含量でトレオニンを含む組成物より前記範囲でトレオニンを含む組成物は(1)胃腸疾患の予防または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能に優れる。
【0051】
前記トレオニンは、商業的に利用可能なものであるか抽出法、発酵法、酵素法、および/または合成法などを使用して生産されたものであり得る。例えば、コリネ型菌株を用いてトレオニンが含まれている発酵物を得た後に精製して得られるか、トレオニン生合成経路を通じて生合成されるか、および/または化学的に合成されたものであり得る。
【0052】
前記トレオニンは、一例による組成物に(1)前記コリネバクテリウム属菌株および/またはその培養物に含まれるか(2)前記コリネバクテリウム属菌株および/またはその培養物に含まれない形態で追加的に含まれるかまたは(3)その組み合わせ(例えば、組成物に含まれるコリネバクテリウム属菌株およびその培養物がトレオニンを含み、その外に追加的にトレオニンを含む)であり得る。
【0053】
一例による組成物に含まれるトレオニンは、
(1)前記コリネバクテリウム属菌株、その培養物、またはこれら全て(菌株および培養物)に含まれるか;
(2)別途に添加されるか;
(3)前記コリネバクテリウム属菌株、その培養物、またはこれら全て(菌株および培養物)に含まれ、ここに追加的に(別途に)添加されたものであり得る。
【0054】
前記でトレオニンが別途に添加されたことは、菌株および/または培養物に含まれているトレオニン以外に精製されたトレオニンを追加的に添加したことを意味することができる。
【0055】
前記トレオニンはその形態が粉末および/または顆粒であり得る。顆粒型トレオニンの場合、100~1000μmまたは200~1000μmの粒度を有することができる。
一例による組成物は、前記コリネバクテリウム属菌株0.1~5重量部、前記培養物10~90重量部、および前記トレオニン10~80重量部を含むことができる。具体的に、菌株0.2~5重量部、培養物12~88重量部、およびトレオニン10.5~78重量部、菌株0.3~5重量部、培養物13~87重量部、およびトレオニン11~77重量部、菌株0.4~5重量部、培養物14~86重量部、およびトレオニン11.5~76重量部、菌株0.5~5重量部、培養物15~85重量部、およびトレオニン12~75重量部、菌株0.6~5重量部、培養物16~84重量部、およびトレオニン12.5~74重量部、菌株0.7~5重量部、培養物17~83重量部、およびトレオニン13~73重量部、菌株0.8~5重量部、培養物18~82重量部、およびトレオニン13.5~72重量部、菌株0.9~5重量部、培養物19~81重量部、およびトレオニン14~71重量部、菌株0.9~4重量部、培養物20~80重量部、およびトレオニン14~70重量部、菌株1~4重量部、培養物21~79重量部、およびトレオニン14~69重量部、菌株1~3重量部、培養物22~78重量部、およびトレオニン14~68重量部で含むことができる。
【0056】
一例による組成物で、前記菌株およびその培養物とトレオニンの重量比(菌株およびその培養物の重量:トレオニンの重量)は、1:0.1~1:10、1:0.1~1:5、1:0.1~1:3、1:0.2~1:10、1:0.2~1:5、1:0.2~1:3、1:0.5~1:10、1:0.5~1:5、1:0.5~1:3、1:1~1:10、1:1~1:5、1:1~1:3、1:3~1:10、1:3~1:5、または1:3であってもよい。
【0057】
一例による組成物は、リグニンスルホン酸塩を追加的に含むことができる。一例による組成物がリグニンスルホン酸塩を追加的に含めば、(1)胃腸疾患の予防または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能が優れることになり得る。
【0058】
一例による組成物は、組成物に含まれるトレオニン含量を調節するために、リグニンスルホン酸カルシウム(Calcium lignosulfonate)を追加的に含むことができる。一例によれば、組成物はリグニンスルホン酸カルシウムを0.1~50重量%、0.1~30重量%、0.1~25重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、0.1~7重量%、1~50重量%、1~30重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、1~7重量%、3~50重量%、3~30重量%、3~25重量%、3~20重量%、3~15重量%、3~10重量%、3~7重量%、5~50重量%、5~30重量%、5~25重量%、5~20重量%、5~15重量%、5~10重量%、5~7重量%、6.5~50重量%、6.5~30重量%、6.5~25重量%、6.5~20重量%、6.5~15重量%、6.5~10重量%、または6.5~7重量%で含むことができる。
【0059】
一例で、組成物は、前記コリネバクテリウム属菌株、およびその培養物を乾燥された形態(例えば、‘コリネバクテリウム属菌株およびその培養物’の乾燥物)で含むことができる。前記乾燥物はコリネバクテリウム属菌株およびその培養物を乾燥して製造することができ、前記乾燥物はトレオニンを含むことができる。一例で、前記乾燥は、真空乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、常温通風乾燥、薄膜乾燥、および/または真空乾燥からなる群より選択された1種以上の方法で行うことであり得る。
【0060】
一例で、組成物は、前記コリネバクテリウム属菌株、その培養物、およびトレオニンを乾燥された形態(例えば、トレオニンを含む‘コリネバクテリウム属菌株およびその培養物’の乾燥物)で含むことができる。
【0061】
一例による組成物の剤形はオイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液形態であるかエキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤またはゲル(例えば、ハイドロゲル)形態であってもよく、分散剤または安定化剤を追加的に含むことができる。
【0062】
一具体例による組成物はコリネバクテリウム属菌株およびその培養物(発酵物)を乾燥させて製造することができ、この組成物にはトレオニン、コリネバクテリウム属菌株(例えば、死菌体の形態の菌注)、およびトレオニンと菌株以外の培養物の成分を含むことができる。一例でコリネバクテリウム属菌株およびその培養物を乾燥させて製造した一例による組成物は顆粒型であってもよく、これは精製された粉末型のトレオニンより(1)胃腸疾患の予防または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能に優れるものであり得る。
【0063】
本出願で、“顆粒(granule)”とは粉末が凝集されて30~150倍の大きな粒子を形成した状態を意味し、“顆粒化”とは原料が顆粒状態になるように工程などを処理して誘導することを意味することができる。一例で、前記コリネバクテリウム属菌株、その培養物、および/またはトレオニンを含む組成物を乾燥する過程で組成物が顆粒形態を示すことができる。
【0064】
一例で、前記胃腸疾患は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染によるものであり得る。
【0065】
一例で、前記胃腸疾患は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、消化性潰瘍、および胃ガンからなる群より選択された1種以上のものであり得る。
【0066】
前記胃炎は胃内壁の炎症が発生した状態を意味し、前記胃潰瘍は胃腸で粘膜を保護する防御因子と粘膜損傷を誘発する攻撃因子の均衡が崩れるにつれて発生することがある。胃潰瘍の原因と見られる前記攻撃因子は、胃酸、各種消火酵素、胆汁、服用した薬物、アルコール、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の感染、非ステロイド消炎剤服用、喫煙などがある。
【0067】
一例による組成物を飼料組成物として使用する場合、市販される飼料組成物に一例による組成物を添加した形態の飼料組成物の形態として製造できる。一例による組成物が使用できる飼料は粉末またはペレット剤形、または液状剤形であるのが好ましいが、これに制限されるわけではない。また、飼料に添加される本出願の組成物の添加量は特別な制限を要するものではない。
【0068】
本出願で、“飼料”は、動物が食べ、摂取し、消化させるためのまたはこれに適当な任意の天然または人工規定食、一食食などまたは前記一食食の成分を意味することができる。
【0069】
前記飼料の種類は特に制限されず、当該技術分野で通常使用される飼料を使用することができる。前記飼料の非制限的な例としては、穀物類、根果類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、製薬副産物類、油脂類、デンプン類、ウリ類または穀物副産物類などのような植物性飼料;タンパク質類、無機物類、油脂類、鉱物性類、油脂類、単細胞タンパク質類、動物性プランクトン類または飲食物などのような動物性飼料が挙げられる。これらは単独で使用されるか2種以上を混合して使用できる。
【0070】
一例による組成物を含む飼料を給与することができる個体(動物)は特に制限はないが、哺乳類、魚類、甲殻類および/または貝殻類であってもよく、例えば、豚、牛、馬、ヤギ、鹿、羊、鶏、鴨、ガチョウ、七面鳥、犬、猫、ウサギ、魚であってもよい。
【0071】
前記飼料組成物は、賦形剤、希釈剤、添加剤をさらに含むことができる。前記飼料組成物は前記構成成分以外にも動物の成長促進に有効な成分、栄養成分、栄養補助成分、保存安定性を高める成分、被覆剤成分、疾病予防などのためのアミノ酸剤、ビタミン剤、酵素剤、非蛋白態窒素化合物、珪酸塩剤、緩衝剤、抽出剤、生菌剤;アミラーゼ、リパーゼなどの酵素;L-アスコルビン酸、塩化コリン、イノシトールなどのビタミン;塩化カリウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、リン酸塩類などのミネラル;リシン、アラニン、メチオニンなどのアミノ酸;フマル酸、酪酸、乳酸などの有機酸またはその塩;ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化剤、プロピオン酸カルシウムなどのカビ防止剤;レシチン、グリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤;および/または色素などを含むことができる。前記に記述されていなくても一例による飼料組成物は通常の技術者に予想できる範囲内の他のその他の栄養成分を追加的に含むことができる。
【0072】
他の様相は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、胃腸疾患予防または治療用薬学的組成物を提供することができる。一例による予防または治療用薬学的組成物に含まれるコリネバクテリウム属菌株、その培養物、トレオニン、および/または胃腸疾患については前記胃腸疾患予防または改善用飼料組成物について説明した通りである。
【0073】
一例による薬学的組成物は薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤または希釈剤を追加的に含むことができる。具体的に、前記薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤および滅菌注射用水の形態に剤形化して使用できる。前記薬学的組成物に含むことができる担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油が挙げられる。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。経口投与のための固状製剤には錠剤、丸剤、散剤(粉末剤)、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固状製剤は前記組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムスチレート、タルクのような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤としては懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当し、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。非経口投与のための製剤には滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0074】
一例による薬学的組成物は薬剤学的に有効な量で投与でき、本出願で、“薬剤学的に有効な量”とは医学的治療または予防に適用可能な合理的な受益/危険比率で疾患を治療または予防するに十分な量を意味し、有効容量水準は疾患の重症度、薬物の活性、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、使用された本出願組成物の投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、使用された本出願の組成物と配合または同時使用される薬物を含む要素およびその他の医学分野によく知られた要素により決定できる。一例による薬学的組成物は、個別治療剤として投与するか他の治療剤と併用して投与でき、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与できる。そして、単一または多重投与できる。前記要素を全て考慮して副作用なく最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与するのが重要である。
【0075】
一例による薬学組成物の投与量は例えば、哺乳動物に一日間約0.0001~100mg/kg、具体的に0.001~10mg/kgで投与することができる。本出願の薬学組成物の投与頻度は特にこれに制限されないが、1日1回投与するかまたは容量を分割して数回投与することができる。前記投与量はいかなる面でも本出願の範囲を制限するのではない。
【0076】
一例による薬学的組成物は目的組織に到達できる限り投与方法には制限がない。例えば、関節腔内注射、経口投与、動脈注射、静脈注射または経皮注射などが含まれる。また、前記薬学的組成物は、活性物質が標的細胞に移動できる任意の装置によって投与できる。
他の様相は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、胃腸疾患予防または改善用食品組成物を提供することができる。胃腸疾患予防または改善用食品組成物に含まれるコリネバクテリウム属菌株、その培養物、トレオニン、および/または胃腸疾患については胃腸疾患予防または改善用飼料組成物で説明した通りである。
【0077】
前記食品は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、健康機能(性)食品および健康食品などがあり、通常の意味での食品を全て含む。
【0078】
前記健康機能(性)食品(functional food)とは、特定保健用食品(food for special health use、FoSHU)と同一な用語であって、栄養供給以外にも生体調節機能が効率的に現れるように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。ここで、“機能(性)”とは、人体の構造および機能に対して栄養素を調節するか生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。本出願の食品は、当業界で通常使用される方法によって製造可能であり、前記製造時には当業界で通常添加する原料および成分を添加して製造することができる。また、前記食品の剤形も食品と認定される剤形であれば制限なく製造できる。本出願の食品用組成物は多様な形態の剤形に製造でき、一般薬品とは異なり食品を原料にして薬品の長期服用時発生することがある副作用などがないという長所があり、携帯性に優れて、本出願の食品は胃潰瘍の予防または改善の効果を増進させるための補助剤として摂取が可能である。
【0079】
前記健康食品(health food)は一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)は健康補助目的の食品を意味する。場合によって、健康機能食品、健康食品、健康補助食品の用語は混用できる。
【0080】
具体的に、前記健康機能食品は一例による組成物を飲料、お茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加するか、カプセル化、粉末化、懸濁液などに製造した食品であって、これを摂取する場合、健康上特定の効果をもたらすものを意味するが、一般薬品とは異なり食品を原料にして薬品の長期服用時発生することがある副作用がないという長所がある。
【0081】
一例による食品組成物は、日常的に摂取することが可能であるため、胃腸疾患の予防または改善に対して高い効果を期待することができるので、非常に有用に使用できる。
前記食品組成物は生理学的に許容可能な担体を追加的に含むことができ、担体の種類は特に制限されず当該技術分野で通常使用される担体であればいずれも使用することができる。
【0082】
また、前記食品組成物は、食品組成物に通常使用されて匂い、味、視覚などを向上させることができる追加成分を含むことができる。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、クロム(Cr)などのミネラルを含むことができる。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。
【0083】
また、前記食品組成物は、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(さらし粉と高度さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSGグルタミン酸ナトリウムなど)、甘味料(ズルチン、チクロ、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨脹剤(明礬、D-酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を含むことができる。前記添加物は食品の種類によって選別されて適切な量で使用できる。
【0084】
一例による組成物はそのまま添加するか他の食品または食品成分と共に使用でき、通常の方法によって適切に使用できる。有効成分の混合量はその使用目的(予防、健康または治療的処置)によって適するように決定できる。一般に、食品または飲料の製造時に本出願の食品組成物は食品または飲料に対して50重量部以下、具体的に20重量部以下の量で添加できる。しかし、健康および衛生を目的で長期間摂取する場合には前記範囲以下の含量を含むことができ、安全性面で何らの問題もないため有効成分は前記範囲以上の量でも使用できる。
【0085】
前記食品組成物の一例として健康飲料組成物として使用でき、この場合、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。前述の天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド;マルトース、スクロースのようなジサッカライド;デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド;キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールであり得る。甘味剤は、タウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤;サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。前記天然炭水化物の比率は、本出願の健康飲料組成物100mL当り一般に約0.01~0.04g、具体的に約0.02~0.03gであり得る。
【0086】
前記以外に健康飲料組成物は様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコールまたは炭酸化剤などを含有することができる。その他に天然果物ジュース、果物ジュース飲料、または野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は独立的にまたは混合して使用することができる。このような添加剤の比率はそんなに重要ではないが、本出願の健康飲料組成物100重量部当り0.01~0.1重量部の範囲で選択されるのが一般的である。
一例による食品組成物は胃腸疾患の予防または改善効果を示すことができれば多様な重量%で含むことができるが、例えば、一例による組成物を食品組成物の総重量に対して0.00001~100重量%、0.01~80重量%、または10~50重量%で含むことができるが、これに制限されない。
【0087】
一例によるコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む組成物は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori、H.pylori)増殖抑制、ヘリコバクター・ピロリによって誘導された、炎症、酸化ストレス、血管成長、および/または細胞自己死滅を抑制することによって胃腸疾患(例えば、胃潰瘍)を予防、治療、または改善するものであり得る。
【0088】
一例によるコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む組成物は、粘液合成および分泌促進、組織再生促進、胃粘膜損傷抑制、組織再生促進、酸化ストレス抑制、胃粘膜細胞細胞自己死滅抑制、および/または炎症抑制することによって胃腸疾患を予防、治療、または改善するものであり得る。
【0089】
一例による組成物でコリネバクテリウム属菌株含有有無;コリネバクテリウム属菌株が死菌体として含まれるかどうか;コリネバクテリウム属菌株の種類;培養物を含むかどうか;トレオニンを含むかどうか;および/またはコリネバクテリウム属菌株、その培養物とトレオニンの組み合わせ有無などによって(1)胃腸疾患の予防または治療効果および/または(2)抗ヘリコバクター・ピロリ効能に差があるのを確認し、一例による組成物が最も優れた効果を示すことを確認した。
【0090】
他の様相は、前記胃腸疾患の予防、改善、または治療用組成物(飼料組成物、食品組成物、または薬学的組成物)を個体(患者)に投与する段階を含む胃腸疾患の予防、改善または治療方法を提供することができる。飼料組成物、食品組成物、薬学的組成物、および胃腸疾患に関することは前述の通りである。
【0091】
一例によれば、前記胃腸疾患の予防、改善、または治療方法は、投与する段階以前に前記胃腸疾患の予防、改善、または治療を必要とする個体(患者)を確認(選別)する段階を追加的に含むことができる。
【0092】
本出願で、“個体”とは、胃腸疾患が発病したか発病する可能性があるヒトを含む全ての動物を意味することができる。
【0093】
前記胃腸疾患の予防または治療方法が適用される対象個体は胃腸疾患が発病したか発病可能な人間を含む哺乳動物であってもよく、例えば、豚、牛、馬、ヤギ、鹿、羊、鶏、鴨、ガチョウ、七面鳥、犬、猫、および/またはであり得る。
【0094】
本出願で、“投与”はある適切な方法で対象個体に前記胃腸疾患の予防、改善、または治療用組成物を導入することを意味し、投与経路は目的組織に到達できる限り経口または非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉、腹腔内または局所適用)の多様な経路を通じて投与できる。
【0095】
前記予防、改善、または治療方法は、一例による飼料組成物、食品組成物、または薬学組成物を(薬学的)有効量で投与することであり得る。適した総1日使用量は正しい医学的判断範囲内で処置によって決定でき、1回または数回に分けて投与することができる。しかし、特定個体(患者)に対する具体的な治療的有効量は達成しようとする反応の種類と程度、場合によって異なる製剤が使用されるかどうかをはじめとする具体的組成物、個体(患者)の年令、体重、一般健康状態、性別および食餌、投与時間、投与経路および組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共に使用されるか同時使用される薬物をはじめとする多様な因子と医薬分野によく知られた類似因子によって異なって適用することができる。
【0096】
他の様相は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、その培養物、およびトレオニンを含む、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)に対する抗菌用組成物を提供することができる。前記ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)に対する抗菌用組成物に含まれるコリネバクテリウム属菌株、その培養物、トレオニン、および/または胃腸疾患については胃腸疾患予防または治療用薬学的組成物で説明した通りである。
【0097】
一例によりコリネバクテリウム属菌株、その培養物、およびトレオニンを組み合わせれば、ヘリコバクター・ピロリに対する抗菌効果が上昇的に優れるようになり得る。
【0098】
他の様相はコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株、およびその培養物、を含む、胃腸疾患の予防、改善、または治療用組成物を提供することができ、前記菌株および培養物はトレオニンを含むものであり得る。
【0099】
他の様相はコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株およびその培養物(発酵物)を含む胃腸疾患予防、改善、または治療のための有効成分製造用組成物を提供することができ、前記コリネバクテリウム属菌株または前記培養物(発酵物)はトレオニンを含むまたは含有するものであり得る。
【0100】
前記胃腸疾患予防または治療のための有効成分製造用組成物は組成物全体重量に対して、前記コリネバクテリウム属菌株0.1~5重量部、前記発酵物10~90重量部、および前記トレオニン10~80重量部を含むことができる。具体的に、組成物全体重量に対して菌株0.2~5重量部、発酵物12~88重量部、およびトレオニン10.5~78重量部、菌株0.3~5重量部、発酵物13~87重量部、およびトレオニン11~77重量部、菌株0.4~5重量部、発酵物14~86重量部、およびトレオニン11.5~76重量部、菌株0.5~5重量部、発酵物15~85重量部、およびトレオニン12~75重量部、菌株0.6~5重量部、発酵物16~84重量部、およびトレオニン12.5~74重量部、菌株0.7~5重量部、発酵物17~83重量部、およびトレオニン13~73重量部、菌株0.8~5重量部、発酵物18~82重量部、およびトレオニン13.5~72重量部、菌株0.9~5重量部、発酵物19~81重量部、およびトレオニン14~71重量部、菌株0.9~4重量部、発酵物20~80重量部、およびトレオニン14~70重量部、菌株1~4重量部、発酵物21~79重量部、およびトレオニン14~69重量部、菌株1~3重量部、発酵物22~78重量部、およびトレオニン14~68重量部で含むことができるが、これで制限されない。
【0101】
前記胃腸疾患予防または治療のための有効成分製造用組成物は前記トレオニン含量を調節するために、リグニンスルホン酸カルシウム(Calcium lignosulfonate)を追加的に含むことができる。前記リグニンスルホン酸カルシウムは前記組成物全体重量に対して、0.1~50重量%、0.1~30重量%、0.1~25重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、0.1~7重量%、1~50重量%、1~30重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、1~7重量%、3~50重量%、3~30重量%、3~25重量%、3~20重量%、3~15重量%、3~10重量%、3~7重量%、5~50重量%、5~30重量%、5~25重量%、5~20重量%、5~15重量%、5~10重量%、5~7重量%、6.5~50重量%、6.5~30重量%、6.5~25重量%、6.5~20重量%、6.5~15重量%、6.5~10重量%、6.5~7重量%、0.1~18重量%、0.1~16重量%、0.1~14重量%、0.1~13重量%、0.1~12重量%、0.1~11重量%、0.1~9重量%、0.1~8重量%、または0.1~7重量%で含まれてもよいが、これで制限されるわけではなく、組成物内トレオニンが目的とする含量に到達するように制限なく添加することができる。
【0102】
他の様相は、前記胃腸疾患予防または治療のための有効成分製造用組成物を含む胃腸疾患予防または治療用薬学組成物を提供することができる。
【0103】
他の様相は、胃腸疾患予防または治療のための有効成分製造用組成物を含む胃腸疾患予防または改善用食品組成物を提供することができる。
【0104】
他の様相は、胃腸疾患予防または治療のための有効成分製造用組成物を含む胃腸疾患予防または改善用飼料組成物を提供することができる。
【0105】
他の様相は、前記顆粒型のコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株およびその培養物(発酵物)を含む胃腸疾患予防または治療のための有効成分製造用組成物を有効性分として含む胃腸疾患治療用製剤を提供する。
【0106】
前記コリネバクテリウム属菌株およびその発酵物、胃腸疾患、予防、改善、および治療については前述の通りである。
【0107】
本出願で、“製剤”とは医薬品の本質に変化を与えず主に物理的操作、例えば粉砕、混合、練り、浸出(しみ出させること)または蒸発などによって調製、保存または使用に便利であり、また治療効果を十分に発揮するように加工することを言い、またこれによって製造された製品も製剤(medicinal preparation)と称している(化学大辞典、2001年5月20日、セファ編集部)。
【0108】
前記製剤を製造するために製剤化する場合に使用する添加剤、即ち、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、希釈剤または賦形剤については前述の通りであり、経口投与のための固状製剤およびこれに含まれる添加剤、経口投与のための液状製剤およびこれに含まれる添加剤または非経口投与のための製剤およびこれに添加される添加剤については前述の通りである。
【0109】
前記製剤は固状剤形、液状剤形または流動状剤形であり得るが、これで制限されず、胃潰瘍の予防、治療および改善効果を示す剤形であれば制限なく適用することができる。
前記剤形については前述の通りである。
【0110】
他の様相は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株およびその培養物を乾燥する段階を含む、(1)胃腸疾患の予防、改善、または治療効果;および/または(2)ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)に対する抗菌効果を有する有効成分の製造方法を提供することができる。
【0111】
前記コリネバクテリウム属菌株およびその培養物については前述の通りである。
【0112】
一例で、前記乾燥する段階は、真空乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、常温通風乾燥、薄膜乾燥、および/または真空乾燥からなる群より選択された1種以上の方法で行うことであり得る。
【0113】
一例で、前記乾燥する段階は、コリネバクテリウム属菌株およびその培養物にトレオニンを別途に添加した組成物を乾燥することであり得る。
【0114】
一例で、前記有効成分の製造方法は、前記乾燥する段階後に製造された乾燥物にトレオニンを別途に追加する段階を追加的に含むことができる。
【発明の効果】
【0115】
本出願による組成物は細胞実験で抗ヘリコバクター・ピロリ効能および動物実験で胃潰瘍改善効能、胃粘液合成効能などに優れることが確認されたところ、胃腸疾患の予防および治療用薬学組成物、胃腸疾患改善用食品または飼料用組成物に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1】グループ1~8のH.pylori菌株に対する抗菌活性を示す。
図2a】H.pylori菌株を用いて6時間100 MOIで感染させたRGM1細胞にグループ1~8を処理時、炎症媒介因子の発現を測定した結果を示す。具体的に、図2aはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるCox-2 mRNA発現変化を示し、図2bはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるiNOSのタンパク質発現変化を示し、図2cはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるリン酸化されたNF-κB p65タンパク質発現変化を示す。GAPDHおよびベータ-アクチン(β-actin)はそれぞれmRNAおよびタンパク質の内部対照群(internal control)として使用された。図2a~図6bでN(左側から一番目の列)は陰性対照群(H.pylori無処理RGM1細胞)を示し、H.p(左側から二番目の列)は陽性対照群(H.pylori感染したRGM1細胞)を示し、グループ1~8はH.pylori感染したRGM1細胞にグループ1~8の組成物が処理された細胞での結果を示す。
図2b】H.pylori菌株を用いて6時間100 MOIで感染させたRGM1細胞にグループ1~8を処理時、炎症媒介因子の発現を測定した結果を示す。具体的に、図2aはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるCox-2 mRNA発現変化を示し、図2bはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるiNOSのタンパク質発現変化を示し、図2cはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるリン酸化されたNF-κB p65タンパク質発現変化を示す。GAPDHおよびβ-アクチンはそれぞれmRNAおよびタンパク質の内部対照群(internal control)として使用された。図2a~図6bでN(左側から一番目の列)は陰性対照群(H.pylori無処理RGM1細胞)を示し、H.p(左側から二番目の列)は陽性対照群(H.pylori感染したRGM1細胞)を示し、グループ1~8はH.pylori感染したRGM1細胞にグループ1~8の組成物が処理された細胞での結果を示す。
図2c】H.pylori菌株を用いて6時間100 MOIで感染させたRGM1細胞にグループ1~8を処理時、炎症媒介因子の発現を測定した結果を示す。具体的に、図2aはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるCox-2 mRNA発現変化を示し、図2bはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるiNOSのタンパク質発現変化を示し、図2cはH.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるリン酸化されたNF-κB p65タンパク質発現変化を示す。GAPDHおよびβ-アクチンはそれぞれmRNAおよびタンパク質の内部対照群(internal control)として使用された。図2a~図6bでN(左側から一番目の列)は陰性対照群(H.pylori無処理RGM1細胞)を示し、H.p(左側から二番目の列)は陽性対照群(H.pylori感染したRGM1細胞)を示し、グループ1~8はH.pylori感染したRGM1細胞にグループ1~8の組成物が処理された細胞での結果を示す。
図3a】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理による酸化ストレス関連タンパク質(HIF-1a)の発現変化を示す。β-アクチンは内部対照群として使用された。
図3b】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理による細胞内活性酸素の濃度変化を測定した結果(DCF増減結果)を示す。
図4a】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるHO-1 mRNAの発現変化を示す。
図4b】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるGST(pi)およびHO-1タンパク質発現変化を示す。GAPDHおよびβ-アクチンは内部対照群として使用された。
図5a】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理による細胞自己死滅阻害効能を示す。具体的に、図5aは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるBax、およびBcl-2タンパク質の発現変化を示し、β-アクチンは内部対照群として使用された。図5bは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるアポトーシス変化(TUNEL染色結果)を示す。
図5b】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理による細胞自己死滅阻害効能を示す。具体的に、図5aは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるBax、およびBcl-2タンパク質の発現変化を示し、β-アクチンは内部対照群として使用された。図5bは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるアポトーシス変化(TUNEL染色結果)を示す。
図6a】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理による血管生成および粘膜増殖成長因子の変化結果を示す。図6aは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるTGF-βおよびVEGFタンパク質の発現変化を示し、β-アクチンは内部対照群として使用された。図6bは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるβ-カテニン(β-catenin)タンパク質の発現変化を示し、ラミンB(Lamin B)は内部対照群として使用された。
図6b】H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理による血管生成および粘膜増殖成長因子の変化結果を示す。図6aは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるTGF-βおよびVEGFタンパク質の発現変化を示し、β-アクチンは内部対照群として使用された。図6bは、H.pylori菌株に感染したRGM1細胞でグループ1~8処理によるβ-カテニンタンパク質の発現変化を示し、ラミンBは内部対照群として使用された。
図7a】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与によるSRMD(ストレス関連粘膜疾患(stress-related mucosal disease))改善効能を示す。具体的に、図7aは、各実験群の胃に対する病理学的写真を示し、右側二列の写真はx40倍率で表示された。図7bは、WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による(A)病変点数(gross lesion index:左側上段グラフ)、(B)炎症;病理的点数(Inflammation;pathologic score:右側上段グラフ)、(C)潰瘍/びらん;病理的点数(Ulcer/erosin;pathologic score:左側下段グラフ)、(D)再生;病理的点数(Regeneration;pathologic score:右側下段グラフ)を示す。図7a~図10でグループ1-4は表5の動物実験群1-4を意味する。
図7b】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与によるSRMD(ストレス関連粘膜疾患)改善効能を示す。具体的に、図7aは、各実験群の胃に対する病理学的写真を示し、右側二列の写真は×40倍率で表示された。図7bは、WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による(A)病変点数(gross lesion index:左側上段グラフ)、(B)炎症;病理的点数(Inflammation;pathologic score:右側上段グラフ)、(C)潰瘍/びらん;病理的点数(Ulcer/erosin;pathologic score:左側下段グラフ)、(D)再生;病理的点数(Regeneration;pathologic score:右側下段グラフ)を示す。図7a~図10でグループ1-4は表5の動物実験群1-4を意味する。
図8a】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による炎症、血管新生およびシグナル伝達の変化を示す。(A)図8aは動物実験群1-4でiNOS、TNF-αおよびIFN-γ mRNAの発現変化を示し、図8bは動物実験群1-4でPDGF mRNAの発現変化を示し、図8cは動物実験群1-4でp-IκBαのタンパク質発現変化を示し、図8dは動物実験群1-4でp-ERKおよびp-JNKのタンパク質変化を示す。GAPDHおよびβ-アクチンはそれぞれmRNAおよびタンパク質の内部対照群として使用された。
図8b】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による炎症、血管新生およびシグナル伝達の変化を示す。(A)図8aは動物実験群1-4でiNOS、TNF-αおよびIFN-γ mRNAの発現変化を示し、図8bは動物実験群1-4でPDGF mRNAの発現変化を示し、図8cは動物実験群1-4でp-IκBαのタンパク質発現変化を示し、図8dは動物実験群1-4でp-ERKおよびp-JNKのタンパク質変化を示す。GAPDHおよびβ-アクチンはそれぞれmRNAおよびタンパク質の内部対照群として使用された。
図8c】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による炎症、血管新生およびシグナル伝達の変化を示す。(A)図8aは動物実験群1-4でiNOS、TNF-αおよびIFN-γ mRNAの発現変化を示し、図8bは動物実験群1-4でPDGF mRNAの発現変化を示し、図8cは動物実験群1-4でp-IκBαのタンパク質発現変化を示し、図8dは動物実験群1-4でp-ERKおよびp-JNKのタンパク質変化を示す。GAPDHおよびβ-アクチンはそれぞれmRNAおよびタンパク質の内部対照群として使用された。
図8d】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による炎症、血管新生およびシグナル伝達の変化を示す。(A)図8aは動物実験群1-4でiNOS、TNF-αおよびIFN-γ mRNAの発現変化を示し、図8bは動物実験群1-4でPDGF mRNAの発現変化を示し、図8cは動物実験群1-4でp-IκBαのタンパク質発現変化を示し、図8dは動物実験群1-4でp-ERKおよびp-JNKのタンパク質変化を示す。GAPDHおよびβ-アクチンはそれぞれmRNAおよびタンパク質の内部対照群として使用された。
図9a】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による細胞自己死滅、細胞周期の変化を示す結果である。具体的に、図9aは動物実験群1-4で胃の粘膜のSRMD領域で細胞自己死滅水準を示すTUNEL分析結果であり、図9bはPARP-1、Bcl-2、Bax、切断型カスパーゼ-8(Cleaved caspase-8)および切断型カスパーゼ-3(Cleaved caspase-3)のタンパク質発現変化を示し、図9cはCDK4およびサイクリン(Cyclin D1)のタンパク質発現変化を示す。β-アクチンは内部対照群として使用された。
図9b】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による細胞自己死滅、細胞周期の変化を示す結果である。具体的に、図9aは動物実験群1-4で胃の粘膜のSRMD領域で細胞自己死滅水準を示すTUNEL分析結果であり、図9bはPARP-1、Bcl-2、Bax、切断型カスパーゼ-8および切断型カスパーゼ-3のタンパク質発現変化を示し、図9cはCDK4および サイクリンD1のタンパク質発現変化を示す。β-アクチンは内部対照群として使用された。
図9c】WIRSモデル動物実験群で一例による組成物の投与による細胞自己死滅、細胞周期の変化を示す結果である。具体的に、図9aは動物実験群1-4で胃の粘膜のSRMD領域で細胞自己死滅水準を示すTUNEL分析結果であり、図9bはPARP-1、Bcl-2、Bax、切断型カスパーゼ-8および切断型カスパーゼ-3のタンパク質発現変化を示し、図9cはCDK4および サイクリンD1のタンパク質発現変化を示す。β-アクチンは内部対照群として使用された。
図10】動物実験群1-4の胃の組織でのムチン(Mucin)含量を示す。
図11】多様な重量%のトレオニンを含むサンプルを投与したWIRSラットの胃に対する病理学的写真を示す。図11のサンプル1~5の組成および含量は表4に記載した。
【発明を実施するための形態】
【0117】
以下、本出願の理解を助けるために実施例を挙げて詳細に説明する。但し、下記の実施例は本出願の内容を例示するものに過ぎず、本出願の範囲が下記実施例に限定されるのではない。本出願の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本出願をより完全に説明するために提供させるものである。
【実施例
【0118】
実施例1.コリネバクテリウム属菌株含有組成物および細胞感染
【0119】
実施例1-1.コリネバクテリウム属菌株含有組成物製造
コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株を含有する菌株組成物の抗ヘリコバクター、細胞自己死滅抑制および細胞保護効能とコリネバクテリウム属菌株間の効能差を検証するためにグループ1~グループ8の組成物を製造した。
コリネバクテリウム・グルタミクム(C.glutamicum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(C.ammoniagenes)、およびコリネバクテリウム・エフィシエンス(C.efficiens)の野生型菌株をCJ第一製糖 BIO R&D Center(Blossom park)から提供を受けて使用し、前記菌株をそれぞれトレオニン生産用ブロス(broth)に接種して35℃で48時間200rpmで培養した。トレオニン生産用ブロスの成分および含量は下記表1に記載した。
【0120】
【表1】
【0121】
グループ1はコリネバクテリウム・グルタミクムを前記条件で培養して製造した発酵ブロスを遠心分離して菌体を除去した発酵ブロスの上澄液を含み、グループ2はトレオニンを100g/Lの濃度で含むバッファー(Tris-HCl)である。グループ3~5は前記条件で菌株を培養して製造した発酵ブロスを遠心分離して菌体を収集し、収集した菌体をバッファー(Tris-HCl)に懸濁して製造した。グループ6~8は前記条件で各菌株を培養した発酵ブロスであって、各菌株および各菌株を前記培地で培養した培養物(表2では‘発酵ブロスの上澄液’と記載する)を含む。グループ3~8の組成物は各菌株を30OD(波長 562nm)濃度で含み、オートクレーブ(autoclave)を通じて死菌体形態で菌株を含む。
【0122】
グループ1~8は全てトレオニンを含み、各菌株(死菌体形態で含む)または培養物内にトレオニンを含むグループが存在するので、菌株および/または培養物内のトレオニン含量を測定してグループ1~8での最終トレオニン濃度が100g/Lになるように追加的にトレオニン(CJ BIO菌株を通じて生産されたトレオニン;純度>99%)を添加した。
【0123】
各グループの成分は下記表2に記載した。表2でグループ1およびグループ6の‘発酵ブロスの上澄液’は‘C.glutamicum菌株’を前記条件で培養して製造した培養物から菌体を除去したものを意味し、グループ7および8の発酵ブロスの上澄液はそれぞれ‘C.ammoniagenes菌株’および‘C.efficiens菌株’を前記条件で培養して製造した培養物から菌体を除去したものを意味する。
【0124】
【表2】
【0125】
下記実施例2~7および図1図6bに記載されたグループ1-8は、前記表2のグループ1-8を意味する。
【0126】
実施例1-2.ラット胃粘膜細胞株培養
正常ラットの胃粘膜細胞株であるRGM1細胞は10%のウシ胎仔血清(fetal bovine serum)が含まれているDMEM(ダルベッコ改変必須培地(Dulbecco´s modified essential medium))とHam F12混合培地で37℃細胞培養器(95% air、5% CO)で培養した。前記RGM1細胞株は日本Tsukuba大学のMatsui教授によって樹立され、同意(consent)後に使用された。
【0127】
実施例1-3.H.pylori菌株および細胞感染
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori;H.pylori)菌株(cytotoxin-associated gene A[CagA]+strain、NCTC 11637)はATCC(American Type Culture Collection、Rockville、MD)から購入した。H.pylori菌株は5%仔ウシ血清(bovine calf serum)と抗生剤が添加されたブルセラ液体培地(Brucella broth)で1×10CFU/ml(OD 600=1)になるまで10% CO条件で振盪培養した。
【0128】
100:1の感染多重度(multiplicity of infection、MOI)(以下、100 MOI)でRGM1細胞をH.pylori菌株に6時間感染させた。
【0129】
実施例2.in vitroでコリネバクテリウム属含有菌株組成物の抗ヘリコバクター効能検定
寒天拡散法(Disc diffusion assay)を使用して血液寒天プレート(blood agar plate)でH.pyloriの成長抑制効能、即ち、抗ヘリコバクター効能を測定した。具体的に、精製された水にTSA(トリプチケースソイ寒天培地(Trypticase Soy Agar))40g/Lを溶かした後、オートクレーブ(121℃、20分)した。約50℃程度に冷ました後、5%羊血液(sheep blood)を添加した後、抗生剤{トリメトプリム(trimethoprim)(5mg/L)、ポリミキシンB(polymyxin B)(2500U/L)、バンコマイシン(vancomycin)(10mg/L)}を添加した。滅菌されたプレートに前記培地を20~25mlずつ分注した後、4℃で保管した。
【0130】
製造した血液寒天プレートにH.pylori菌株液200μlを分注して塗抹した後、滅菌されたディスクペーパーを載せ、前記実施例1-1で製造したグループ1~8の組成物40μlずつをそれぞれディスクペーパーに吸収させ、37℃のCOインキュベータで48時間培養した後、ディスク周囲の生育阻止環の直径を測定して図1に示した。(グループ1の結果はグラフに表示していない)図1で‘未処置(Non-treated)’はH.pyloriに感染していないRGM1細胞を意味する。
【0131】
図1に示されているように、グループ6および7で生育阻止環の直径数値が無処理群に比べて有意的に高くてグループ6および7が有意な抗ヘリコバクター活性を有することを確認した。
【0132】
また、以後実験に使用するグループ1-8の適正濃度を導出しようとした。
【0133】
前記実施例1-1で製造したグループ1~8の組成物を1/4、1/40、または1/100に希釈した希釈液をそれぞれ40μlずつH.pyloriに処理し、細胞生存率を測定した。1/4の希釈濃度では多数のグループで0.5以下の生存率を示し、1/100の希釈濃度ではグループ間の明確な結果差がなかったので、グループ1に比べて有意的な結果差が現れる1/40の希釈液を以後実験に使用した。
【0134】
実施例3.コリネバクテリウム属菌株含有組成物による炎症媒介因子(mediator)とこれを転写するNF-κBの変化検定
前記実施例1-3の方法のようにH.pyloriに感染した(100 MOI)RGM1細胞を6時間1/40濃度に希釈したグループ1~8の組成物40μlでそれぞれ処理した。その後、前記組成物が処理されたRGM1細胞で、炎症媒介因子であるCox-2 mRNAの発現量をRT-PCT(Reverse transcription PCR)分析を通じて確認し、その結果を図2aに示した。
【0135】
具体的に、RNAはTRIzol(Gibco BRL、Rockville、MD)を用いて抽出し、抽出されたRNAはモロニーマウス白血病ウイルス(moloney murine leukemia virus)逆転写酵素(Perkin Elmer、Morrisville、NC)を用いてcDNAに合成した。PCR分析に使用されたそれぞれのプライマーの塩基配列は下記表3に示し、内部標準(internal standard)としてグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase、GAPDH)を使用した。
【0136】
【表3】
【0137】
また、前記組成物が処理されたRGM1細胞で、iNOSタンパク質の発現量およびこれを転写するNF-κB p65リン酸化の増減有無をウエスタンブロット分析を通じて確認し、その結果を図2bおよび図2cに示した。
【0138】
具体的に、組成物が処理されて培養された細胞をPBS(phosphate buffered saline)溶液で洗浄した後、細胞溶解バッファー(cell lysis buffer、150mM NaCl、0.5% Triton X-100、50mM tris-HCl、pH7.4、25mM NaF、20mM ethyleneglycol-bis(βN’-tetraacetic acid、1mM dithiothreitol、1mM NaVO、Protease Inhibitor Cocktail tablet[Boehringer、Manneim、Germany])で溶解させてタンパク質溶解物(protein lysate)を製造した。これをSDS-PAGE(sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis)で電気泳動した後、展開させたタンパク質をPVDFメンブレン(Gelman Sciences、Ann Arbor、MI)に移してそれぞれの1次抗体(primary antibody)と2次抗体(secondary antibody)で反応させた後、化学発光システム(chemoluminescence system)を用いて分析した。
【0139】
図2aに示されているように、正常RGM1細胞(N)に比べてH.pyloriに感染したRGM1細胞(H.p)でCox-2のmRNAは有意に増加され、H.pylori感染によって増加されたCox-2のmRNA発現がグループ6の組成物添加によって最も有意に減少された。
【0140】
図2bおよび図2cに示されているように、H.pylori感染によってiNOSタンパク質発現およびこれを転写するNF-κB p65のリン酸化は有意に増加されたが、H.pylori感染によって増加されたiNOSタンパク質の発現およびNF-κB p65のリン酸化がグループ6の組成物添加によって最も有意に減少された。前記結果から一例による組成物がヘリコバクター菌株による炎症媒介経路を調節することが分かった。
【0141】
実施例4.in vitroでコリネバクテリウム属含有菌株組成物による酸化ストレス(oxidative stress)弱化効能検定
前記実施例1-3の方法のようにH.pyloriに感染した(100MOI)RGM1細胞を1/40濃度に希釈したグループ1~8の組成物40μlでそれぞれ6時間処理した。その後、前記実施例3と類似の方法でウエスタンブロットを行って、酸化ストレスに関連したHIF-1αの発現量変化を測定してその結果を図3aに示した。
【0142】
図3aに示されているように、ヘリコバクター・ピロリ感染によって有意にHIF-1a増加され、グループ6および7でHIF-1a発現が顕著に減少された。
【0143】
また、細胞内活性酸素の濃度変化を測定するためにDCF-DAプローブを活用したDCF増強反応を共焦点映像機(confocal imager)で分析した。非蛍光物質であるDCF-DA(2’,7’-dichlorofluorescein diacetate)は細胞内過酸化物(peroxides)存在時、活性酸素種(ROS)によって酸化されて緑色の蛍光を帯びるようになるので、特定波長で蛍光強さ程度として活性酸素種の量を直接定量することができる。具体的に、24ウェルプレート(24 well plate)に5×10個/ウェルにRGM-1細胞(H.pylori無処理RGM1細胞;またはH.pyloriに感染した(100MOI)RGM1細胞(実施例1-3)を分注し37℃細胞培養器(95% air、5% CO)で一晩培養後、グループ1~8の組成物をそれぞれ一定時間処理した。DMEMで細胞を洗浄した後、10μg/ml DCF-DA(2’,7’-dichlorofluorescein diacetate、Sigma-Aldrich Co., St Louis、MO)を培地に添加してインキュベータで30分間培養した。培養後、4℃のPBSで洗浄した細胞を蛍光顕微鏡で観察および撮影してその結果を図3bに示した。
【0144】
図3bに示されているように、ヘリコバクター・ピロリ感染後に増加されたDCF-DAの蛍光強さはグループ1、3、6、および8処理群で統計的に有意に減少され(P<0.05)、グループ6処理群でその減少程度が最も大きいこと(P<0.01)を確認した。前記結果から一例による組成物によってヘリコバクター菌株による酸化ストレスや低酸素応答(hypoxia response)を即刻対処することができるのが分かった。
【0145】
実施例5.in vitroでコリネバクテリウム属含有菌株組成物によるヘリコバクター・ピロリ連関抗酸化媒介細胞保護効能検定
前記実施例1-3の方法のようにH.pyloriに感染した(100MOI)RGM1細胞に6時間1/40濃度に希釈したグループ1~8の組成物40μlをそれぞれ処理した。その後、代表的な細胞保護因子(cytoprotective factor)である抗酸化機能のHO-1 mRNAの発現変化を実施例3による方法(PCR)で分析して図4aに示し、HO-1およびGST(glutathione-s-transferase(pi))タンパク質発現変化を実施例3による方法(ウエスタンブロット分析)と類似に分析して図4bに示した。
【0146】
その結果、図4aおよび図4bのように対照群ではヘリコバクター・ピロリ感染後、HO-1 mRNAおよびタンパク質発現の有意な減少が観察され、グループ6~8処理群で減少されたHO-1発現が顕著に増加され、その中でもグループ6処理群でHO-1の発現が最も顕著に増加された。また図4bに示されているように、グループ6および7でGST(pi)発現が顕著に減少され、その中でもグループ6処理群でGST(pi)発現が最も有意に減少された。
【0147】
前記結果から、一例による組成物はヘリコバクター菌株に対してHO-1反応に主に基づく抗酸化作用および細胞保護効能を示すことが分かった。
【0148】
実施例6.in vitroでコリネバクテリウム属含有菌株組成物によるヘリコバクター・ピロリ連関細胞自己死滅阻害効能検定
前記実施例1-3の方法のようにH.pyloriに感染した(100MOI)RGM1細胞を6時間1/40濃度に希釈したグループ1~8の組成物40μlでそれぞれ処理した。その後、実施例3の方法と類似に、ウエスタンブロットを通じてBcl-2およびBaxの発現量を確認してその結果を図5aに示し、TUNEL染色でアポトーシス(細胞死滅)を分析してその結果を図5bに示した。具体的に、TUNEL染色は細胞をLab-Tek chamber slideに1×10個/chamberで分注した後、37℃細胞培養器(95% air、5% CO)で培養した。その後、それぞれの試薬を一定時間処理した後、アポトーシス検出キット(apoptosis detection kit、Oncogene Research Products、Cambridge、MA)を使用して製造会社の実験方法のとおり行った。培養液を除去してPBS溶液で3回洗浄後、4% PFA(paraformaldehyde)を添加し常温で20分間固定した。PBSで再び2回洗浄後、0.1% Triton X-100を4℃で5分間処置しTdT(terminal deoxynucleotidyl transferase)とヌクレオチド混合物(nucleotide mixture)を混合して製造した溶液で37℃で光遮断した後に60分間反応させた。PBSで洗浄した後、蛍光顕微鏡で細胞自滅死を観察した。
【0149】
図5aに示されているようにH.pyloriに感染した細胞(H.p)でBcl-2の発現減少とBaxの発現増加を観察することができ、グループ6~8処理群で顕著に増加されたBax発現が減少し、減少したBcl-2の発現が増加したのを確認することができ、その中でもグループ6処理群で効果が最も優れていた。
【0150】
ヘリコバクター・ピロリ感染は細胞死滅の有意な増加によって粘膜損傷および潰瘍を誘発すると知られており、図5bに示されているようにTUNEL染色結果でもヘリコバクター・ピロリ感染によって統計的に有意なアポトーシス(apoptosis)の増加が観察されたが(P<0.01)、グループ6~8処理群で顕著にアポトーシスが減少され、その中でもグループ6処理群で最もアポトーシスが減少された。
【0151】
実施例7.in vitroでコリネバクテリウム属含有菌株組成物によるヘリコバクター・ピロリ連関細胞成長、血管成長、そして増殖因子の変化検定
前記実施例1-3の方法のようにH.pyloriに感染した(100MOI)RGM1細胞を6時間1/40濃度に希釈したグループ1~8の組成物40μlでそれぞれ処理した。その後、実施例3の方法と類似に、ウエスタンブロットでTGF-βおよびVEGFの変化を分析してその結果を図6aに示した。
【0152】
その結果、図6aに示されているようにヘリコバクター感染後増加されたTGF-βおよびVEGFは無分別な粘膜増殖や癌性炎症を助長するようになるのに反して、グループ6~8処理群でTGF-βおよびVEGFの発現を有意味に減少させ、特にグループ6処理群で最もTGF-βおよびVEGFの発現が減少された。これから一例による組成物はヘリコバクター・ピロリ感染による諸般炎症や癌化を緩和させることができる結果を示した。
【0153】
また、ヘリコバクター・ピロリが感染された細胞でnuclear fractionを活用してβ-カテニンの核移入(nuclear transfer)をウエスタンブロットで確認しその結果を図6bに示した。図6bに示されているように、ヘリコバクター・ピロリの感染によって増加されたβ-カテニンの核移入(nuclear transfer)をグループ6の処理によって顕著に阻害させることができるのを確認した。
【0154】
前記実施例1~7の全ての実験値はT検定(T-test)を通じた方法で統計検証し、p<0.05以上である場合を統計的に有意であると定義した。
【0155】
実施例8.トレオニンを含むサンプルの製造
C.glutamicum野生型菌株(CJ第一製糖 BIO R&D Center(Blossom park))をトレオニン生産用ブロス(表1)に接種して、35℃、200rpm条件で48時間培養して製造した発酵ブロス(Fermentation broth)を精製および結晶化してサンプル1を製造した。サンプル1は粉末形態の精製されたトレオニンを99重量%以上含んでいる。
【0156】
C.glutamicumをトレオニン生産用培地で培養して得られた発酵ブロス(C.glutamicum含む)を直接乾燥(60~70℃で熱風乾燥)してサンプル2を製造した。また、C.glutamicumを前記条件で培養して得られた発酵ブロスに多様な含量でリグニンスルホン酸カルシウム(calcium-lignosulfonate、Aladdin industrial Co.、Shanghai、Chana)を添加し、リグニンスルホン酸カルシウムが添加された発酵ブロス(C.glutamicum含む)を乾燥して(60~70℃で熱風乾燥)、サンプル3~5を製造した。サンプル2~5は熱風乾燥を通じてC.glutamicumを死菌体の形態で含んでいる。
【0157】
サンプル2~5は約200~1000μmの粒度を有する顆粒形態に製造された。サンプル1~5の構成成分および含量は表4に記載した。表4で、Thr(重量%)、リグニンスルホン酸カルシウム(重量%)、および残り発酵物成分(C.glutamicum菌体含む)(重量%)は前記発酵ブロスを乾燥して製造された乾燥物内の重量%を意味し、乾燥物中発酵物はC.glutamicum菌株を含む。また、発酵物内含まれるC.glutamicum菌株の含量を表4に記載した。
【0158】
【表4】
【0159】
実施例9.SRMD(ストレス関連粘膜疾患)のためのWIRS(水浸耐性ストレス(Water immersion-restraint stress))モデル準備
総110匹のSDラットをCharles River(Osaka、Japan)から購入して動物施設に保管した。実験動物はAAALAC International Animal Care Policiesによって公認動物施設で取り扱われた。動物はWIRS露出される24時間前に絶食させ、水は自由に摂取することができるようにした。各グループの10匹のマウスをWIRS用ケージに入れて6時間水に浸した。
【0160】
WIRS処理8時間前に前記実施例8で製造されたサンプル1~サンプル5を同一なトレオニンが投与(0.15重量%/食餌)されるようにラットに経口投与し、WIRSを6時間適用後に動物を犠牲にさせて胃を摘出し、切開および内容物を除去して、胃腸内面の写真を撮ってこれを図11に示した。図11に示されているように、ラットの胃組織を肉眼で見てみた結果、WIRS誘発群(図11で2番目行)で胃出血が発生し、サンプル1<サンプル5<サンプル4<サンプル3またはサンプル2の順に胃出血程度が減少したの(胃潰瘍治療効果に優れること)を確認することができた。
【0161】
一方、以後実験は下記表5に表されているように4個の動物実験群に分けて実施した。食塩水の経口投与以後、何らの処理もしていない無処理群(陽性対照群、動物実験群1)、6時間WIRSを適用したWIRSグループ(陰性対照群、動物実験群2)、WIRS処理8時間以前にサンプル1(実施例8で製造)が0.15重量%含まれている飼料(動物実験群3)とサンプル3(実施例8で製造)が0.21重量%含まれている飼料(動物実験群4)をそれぞれ30mg/kg bodyで経口処理した動物実験群に分けた。動物実験群3と4の飼料内L-Thr(L型-トレオニン)含量は0.15重量%/食餌で同一に設定した。
【0162】
【表5】
【0163】
全ての実験動物(ラット)は、WIRS6時間後、高い服用量の麻酔剤(チオペンタールナトリウム(thiopental sodium)、50mg/kg)で犠牲になった。
下記実施例10~12に記載された動物実験群1-4は前記表5の動物実験群1-4を意味し、図7a~図10でグループ1-4は表5の動物実験群1-4を意味する。
【0164】
実施例10.SRMD(ストレス関連粘膜疾患)改善効能検定
前記実施例9で犠牲になったラットの胃を切開してさらに大きな曲率(curvature)に沿って開放した後、冷たいPBS溶液で洗浄した。拡大写真を通じてびらん(erosions)または潰瘍(ulcers)の数と大きさを決定した後、解剖学的観察のために半分を解剖した。切除された胃はプラスチックシートの上に広げ10%緩衝ホルマリンに4時間固定させてパラフィンティッシュスライド製作に使用され、残り半分は分子生物学的観察のために液体窒素タンクに保管した。また、粘膜の均質液(mucosal homogenate)は同一動物実験群を混合して保管した。
【0165】
顕微鏡を用いて肉眼で胃試料を観察し(図7a)、対照群および各実験群(動物実験群1-4)で病変点数、炎症;病理的点数、潰瘍/びらん;病理的点数、再生;病理的点数を計算して図7bに示した。図7aに示されているように、びらん、出血および潰瘍のようなSRMDの有意な発生が全ての動物実験群2のラットで現れたが、動物実験群3または動物実験群4でSRMDが有意に改善された。図7bに示されているように、病変点数(gross lesion index)、炎症;病理的点数(Inflammation;pathologic score)、潰瘍/びらん;病理的点数(Ulcer/erosin;pathologic score)、再生;病理的点数(Regeneration;pathologic score)は動物実験群3および4で有意に(p<0.05)改善され、特に動物実験群4の病変点数は動物実験群3に比べて有意に低く、再生;病理的点数は動物実験群3より有意に改善された。
【0166】
実施例11.抗炎症効能検定
SRMDは虚血-再かん流(ischemic-reperfusion)損傷と病理生理学的に関連しているため動物実験群1~4でPDGF(platelet-derived growth factor)を含む血管新生(angiogenisis)成長因子のmRNA発現と炎症媒介因子であるiNOS、TNF-α、IFN-γ、およびPDGFのmRNA発現を測定しその結果を図8aおよび図8bに示した。
【0167】
具体的に、総RNAはRNeasy Miniキット(Qiagen Korea、Seoul、Korea)を使用して抽出した。炎症性サイトカインおよび媒介因子の発現測定に使用されたプライマーを下記表6に示した。増幅はPerkin-Elmer GeneAmp PCR System 2400を使用して10×反応緩衝液(Promega Korea、Seoul、Korea)、1.5mM/L MgCl、200mM/Lデオキシヌクレオチドトリホスフェート(dNTP)、各プライマー1mM/LおよびTaq DNA重合酵素(Taq DNAポリメラーゼ、Promega)2.5unitを用いて分析した。各サイクルは95℃で1分間変性、55℃で45分間アニーリング(annealing)、72℃で45秒間増幅から構成された。
【0168】
【表6】
【0169】
また、各動物実験群1-4でp-IκBα、p-ERKおよびp-JNKのタンパク質水準を測定して図8cおよび図8dに示した。具体的に、タンパク質水準を測定するためのウエスタンブロットを行うために、採集された胃粘膜(Gastric mucosa)を2mM EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)、0.5mM EGTA(ethylene glycol tetraacetic acid)、300mMスクロース(sucrose)および2mM PMSF(phenylmethylsulfonyl fluoride)を含有するice-cold 20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で組織均質機(tissue homogenator)で均質化させた。30μgのタンパク質を8%SDS-PAGE(sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis)ゲルで電気泳動した後、セミドライトランスファーシステム(Semidry transfer system、Hoefer、Holliston、MA、USA)を使用してPVDF(polyvinylidene fluoride)膜に移した。非特異的結合は5%脱脂粉乳(non-fat dry milk)で培養して防止した。膜を4℃で1次抗体の500倍希釈液と共に一晩恒温培養した後、1:1000に希釈したHRP(horseradish peroxidase)結合-2次抗体として培養した。ECL検出キット(ECL detection kit、Amersham Biosciences Korea、Seoul、Korea)を用いて免疫複合体を検出しX-rayフィルムに自動放射線照射した。ウエスタンブロットに使用した抗体は次の通りである。β-アクチン、iNOS(nitric oxide synthase)、COX-2(cyclooxygenase)、P-JNK(phosphor-JNK)、P-ERK(phosphor-ERK)、Bcl-2(B-cell lymphoma 2)、Bax(B-cell lymphoma-2-associated X-protein)、および サイクリンD1抗体はSanta Cruz Biotechnolgy(Santa Cruz、CA)から購入した。p-IκBα(phosphorylated inhibitor of kappa B alpha)、p-STAT3(phosphorylated signal transducer and activator of transcription 3)、PARP(poly(ADP-ribose)polymerase)、CDK4(cyclin-dependent kinase 4)、およびCDK2(cyclin dependent kinase 2)はCell Signaling Technology(Beverly、MA)から購入した。HO-1(A heme oxygenase-1)抗体はEnzo life Sciences(Farmingdale、NY)から購入した。
【0170】
図8aに示されているように、動物実験群2(WIRS誘導されたSRMD)でiNOS、TNF-α、インターフェロンガンマ (IFN-γ)のmRNA発現が有意に増加したが、増加された炎症媒介因子(iNOS、TNF-α、IFN-γ)の発現は動物実験群3または動物実験群4で有意に減少し(P<0.01またはP<0.05、図8a)、TNF-αおよびiFN-γの発現は特に動物実験群4で動物実験群3より有意的に減少した(P<0.05、図8a)。
【0171】
図8bに示されているように、血管新生成長因子であるPDGFの発現は動物実験群2で有意に増加したが、動物実験群3または動物実験群4で有意に減少し(P<0.01、図8b)、特に動物実験群4でその減少程度がさらに高かった。
【0172】
図8cに示されているように、p-IκBαの発現量をタンパク質水準で測定した結果、動物実験群2でWIRSによってp-IκBαの発現が有意に減少し、p-IκBαの発現減少はNF-κBの転写的活性化に関連している。反面、動物実験群4で減少されたp-IκBαの発現が有意に増加し(P<0.01、図8c)、動物実験群3よりp-IκBαの発現が有意に増加し(P<0.01、図8c)、p-IκBαの発現の増加はNF-kBのレドックス阻害(redox inhibition)を誘発する。
【0173】
一方、局所貧血および炎症に関連するシグナル伝達に関連して図8dに示されているように、動物実験群2で、p-ERKおよびp-JNK活性化が現れ、動物実験群4で前記シグナル伝達は全部非活性化されたが、動物実験群3で部分的に非活性化された(P<0.01)。
【0174】
実施例12.胃粘膜保護効能検定
びらんまたは潰瘍を起こすSRMDは当該領域で増加されたアポトーシス、即ち、細胞自己死滅を示すので、動物実験群による胃粘膜上のアポトーシスを測定した。具体的に、TdT FragEL DNA分裂検出キット(TdT FragEL DNA fragmentation detection kit、Oncogene Research Products、Cambridge、MA)およびTUNEL(Terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated nick end labeling)方法を用いて細胞自己死滅を視覚化した。各実験群でアポトーシスが大量発生する領域(apoptotic hot spot)を探してAI(アポトーシス指数(apoptotic index))を測定するために、TUNEL-免疫染色部分(terminal deoxynucleotidyl transferase mediated dUTP nick-end labeling(TUNEL)-immunostained section)を100倍拡大してスキャンした。その後、400フィールドでTUNEL-陽性細胞の数を計数してAIを記録した。腐食性または潰瘍性病変を含む切片で少なくとも5個のホットスポットを無作為に選択して平均係数を決定し、図9aにその結果を示し、結果は総細胞数の平均百分率で表示された。図9aに示されているように、アポトーシス(細胞自己死滅)は動物実験群2で動物実験群1より有意的に増加され、増加されたアポトーシス水準が動物実験群2に比べて動物実験群3と動物実験群4で有意に減少され(P<0.01、図9a)、動物実験群3に比べて動物実験群4で有意的に低い水準に観察された(P<0.01、図9a)。
【0175】
TUNEL結果を検証するために、細胞自己死滅防止タンパク質であるBcl-2および細胞自己死滅を誘導する切断型PARP(cleaved PARP)、Bax、切断型カスパーゼ-8、切断型カスパーゼ-3発現に対して前記実施例11の方法のようにウエスタンブロット分析を行ってその結果を図9bに示した。
【0176】
図9bに示されているように、動物実験群2でPARP分裂、Bax、切断型カスパーゼ-8、および切断型カスパーゼ-3発現は有意に増加し、増加されたPARP分裂、Bax、切断型カスパーゼ-8、および切断型カスパーゼ-3発現が動物実験群3および4で有意に減少し、動物実験群3に比べて特に動物実験群4で有意的に低い水準に観察された。一方、細胞自己死滅防止タンパク質であるBcl-2発現は動物実験群4で有意に増加した(図9b)。
【0177】
細胞周期(cell cycle)関連遺伝子であるCDK4、 サイクリンD1の活性を実施例11による方法でタンパク質水準で確認してその結果を図9cに示した。図9cに示されているように、CDK4および サイクリンD1の発現は動物実験群2で有意に増加され(P<0.01)、増加されたCDK4および サイクリンD1の発現は動物実験群3および4で有意に減少された。特に、動物実験群3より動物実験群4でCDK4と サイクリンD1の発現が有意的に低かった(図9c、P<0.01~0.05)。
【0178】
動物実験群1~4の胃組織でPAS染色を通じてムチン(Mucin)含量を確認してその結果を図10に示した。図10に示されているように、動物実験群2で有意に低い水準の胃粘液(gastric mucin)が観察され(P<0.01)、胃粘液の発現は動物実験群3および4で有意に保存され、動物実験群3より4で粘液発現が有意的に高かった(P<0.01)。
【0179】
前記のような結果からWIRSは粘膜完全性(mucosal integrity)を威嚇したが、一例による組成物(サンプル)の前処理によってこのような威嚇が緩和されることが分かった。
【0180】
前記実施例8~11の結果は平均±SDで表される。データは一元分散分析(ANOVA)によって分析され、グループ間の統計的有意性はDuncanの多重範囲テストによって決定された。統計的有意性はP<0.05で収斂した。
【0181】
以上の説明から、本願の属する技術分野の当業者は本願がその技術的な思想や必須的特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施できるというのを理解することができるはずである。これに関連して、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり限定的なものではないと理解しなければならない。本願の範囲は前記詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図10
図11
【配列表】
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