(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ディスプレイアセンブリ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230612BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230612BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230612BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20230612BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20230612BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G09F9/00 312
G09F9/00 346D
G09F9/00 350Z
H04M1/02 C
H05K5/00 A
H05K5/02 V
(21)【出願番号】P 2022038242
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】堀内 茂浩
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0163231(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0350081(US,A1)
【文献】特開2019-159313(JP,A)
【文献】特開2017-111437(JP,A)
【文献】特開2021-196760(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0021570(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0307396(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064466(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0338294(US,A1)
【文献】特開2020-126109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G06F1/00
1/16-1/18
G09F9/00-9/46
H04M1/02-1/23
H04N5/64-5/655
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K5/00-5/06
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイアセンブリであって、
可撓性を有するシート状に形成され、アクティブ領域及び非アクティブ領域を含むディスプレイボディと、
前記ディスプレイボディの裏面側に配置され
、前記ディスプレイボディを支持する
第1面と、該第1面の裏面である第2面とを有するプレートと、
前記ディスプレイボディの表示制御を行う制御基板と、
前記ディスプレイボディと前記制御基板とを接続する配線と、
を備え、
前記ディスプレイボディは、前記非アクティブ領域の一部を延長した延長部と、該延長部の途中に設けられ、前記プレートの端面を回り込むように折り返された折返し部と、を有し、
前記配線は、前記延長部の端部に接続されることで、前記延長部と該配線との接続部が前記プレートの
前記第2面側に配置され
たものであって、
前記プレートは、前記端面と前記第2面との角部に形成された面取り状の傾斜面を有し、
前記接続部は、前記傾斜面に固定されている
ことを特徴とするディスプレイアセンブリ。
【請求項2】
ディスプレイアセンブリであって、
可撓性を有するシート状に形成され、アクティブ領域及び非アクティブ領域を含むディスプレイボディと、
前記ディスプレイボディの裏面側に配置され
、前記ディスプレイボディを支持する
第1面と、該第1面の裏面である第2面とを有するプレートと、
前記ディスプレイボディの表示制御を行う制御基板と、
前記ディスプレイボディと前記制御基板とを接続する配線と、
を備え、
前記ディスプレイボディは、前記非アクティブ領域の一部を延長した延長部と、該延長部の途中に設けられ、前記プレートの端面を回り込むように折り返された折返し部と、を有し、
前記配線は、前記延長部の端部に接続されることで、前記延長部と該配線との接続部が前記プレートの
前記第2面側に配置され
たものであって、
前記プレートは、前記端面と前記第2面との角部に形成された面取り状の傾斜面を有し、
前記ディスプレイボディは、前記延長部の前記端部が前記傾斜面に固定されている
ことを特徴とするディスプレイアセンブリ。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のディスプレイアセンブリであって、
前記制御基板は、前記プレートの前記第2面に支持されている
ことを特徴とするディスプレイアセンブリ。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のディスプレイアセンブリであって、
前記配線は、前記延長部の幅方向に沿って並んだ複数のフレキシブル基板で構成され、
各フレキシブル基板と前記延長部との接続部のそれぞれが、前記プレートの第2面側に配置されている
ことを特徴とするディスプレイアセンブリ。
【請求項5】
電子機器であって、
筐体部材と、
前記筐体部材に支持されたディスプレイアセンブリと、
を備え、
前記ディスプレイアセンブリは、
可撓性を有するシート状に形成され、アクティブ領域及び非アクティブ領域を含むディスプレイボディと、
前記筐体部材に固定されて前記ディスプレイボディの裏面側に配置され
、前記ディスプレイボディを支持する
第1面と、該第1面の裏面である第2面とを有するプレートと、
前記ディスプレイボディの表示制御を行う制御基板と、
前記ディスプレイボディと前記制御基板とを接続する配線と、
を備え、
前記ディスプレイボディは、前記非アクティブ領域の一部を延長した延長部と、該延長部の途中に設けられ、前記プレートの端面を回り込むように折り返された折返し部と、を有し、
前記配線は、前記延長部の端部に接続されることで、前記延長部と該配線との接続部が前記プレートの
前記第2面側に配置され
たものであって、
前記配線は、前記ディスプレイアセンブリの前記延長部の幅方向に沿って互いに隙間を設けて並んだ複数のフレキシブル基板で構成され、
前記筐体部材は、前記プレートの前記第2面と対向する支持面を有し、
前記プレートの前記第2面には、前記隙間を通して起立し、前記支持面に固定される突出部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項
5に記載の電子機器であって、
前記筐体部材は、前記ディスプレイアセンブリの側方で起立する立壁と、前記プレートの裏面側に配置される背面プレートと、を有し、
前記ディスプレイアセンブリは、前記ディスプレイボディの表面に積層された表面シートを有し、
さらに、前記立壁と前記ディスプレイアセンブリとの間に跨るように設けられ、前記立壁及び前記表面シートに粘着固定されたベゼル部材を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項
5又は6に記載の電子機器であって、
前記フレキシブル基板が3枚以上設けられることで、前記隙間が複数設けられ、
前記プレートの前記第2面には、さらに、複数の前記隙間のうち、前記突出部が設けられた隙間とは異なる隙間を通して起立し、前記支持面に当接する脚部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項
5~
7のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記筐体部材は、
プレート状に形成された第1筐体部材と、
プレート状に形成され、前記第1筐体部材と隣接する第2筐体部材と、を有し、
前記プレートは、第1筐体部材に支持された第1プレートと、前記第2筐体部材に支持された第2プレートと、を有し、
さらに、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互い
の面方向
が左右に並
んで配置される第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置を備え、
前記ディスプレイボディは、前記第1プレート及び前記第2プレートに亘って延在すると共に、前記折返し部が前記第1プレート又は前記第2プレートの端面を回り込むように設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイアセンブリ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ディスプレイの制御基板をディスプレイボディに対してフレキシブル基板を用いて接続した構成を備えるディスプレイアセンブリを提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、ディスプレイボディと制御基板とを接続する配線であるフレキシブル基板を折り曲げてディスプレイボディ及びその裏面を支持するプレートの端面を通過させて制御基板に接続している。
【0005】
このため、この構成では、ディスプレイアセンブリの表面に非アクティブ領域の全体が配置される。その結果、この構成では、ディスプレイの周囲を囲むベゼル部材の幅を太くせざるを得ず、外観品質の点で改善の余地があった。
【0006】
さらに、この構成では、ディスプレイボディとフレキシブル基板との接続部であるACFボンディングがディスプレイの表面に配置される。このため、ベゼル部材は、ACFボンディング上に粘着固定されていた。その結果、この構成では、メンテナンス等でディスプレイを取り外す際、ベゼル部材を剥離するとACFボンディングが破壊されてしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ベゼル幅を抑制でき、さらにメンテナンス時に配線の接続部が破壊されることを防止できるディスプレイアセンブリ及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係るディスプレイアセンブリは、可撓性を有するシート状に形成され、アクティブ領域及び非アクティブ領域を含むディスプレイボディと、前記ディスプレイボディの裏面側に配置され、第1面で前記ディスプレイボディを支持するプレートと、前記ディスプレイボディの表示制御を行う制御基板と、前記ディスプレイボディと前記制御基板とを接続する配線と、を備え、前記ディスプレイボディは、前記非アクティブ領域の一部を延長した延長部と、該延長部の途中に設けられ、前記プレートの端面を回り込むように折り返された折返し部と、を有し、前記配線は、前記延長部の端部に接続されることで、前記延長部と該配線との接続部が前記プレートの第2面側に配置されている。
【0009】
本発明の第2態様に係る電子機器は、筐体部材と、前記筐体部材に支持されたディスプレイアセンブリと、を備え、前記ディスプレイアセンブリは、可撓性を有するシート状に形成され、アクティブ領域及び非アクティブ領域を含むディスプレイボディと、前記筐体部材に固定されて前記ディスプレイボディの裏面側に配置され、第1面で前記ディスプレイボディを支持するプレートと、前記ディスプレイボディの表示制御を行う制御基板と、前記ディスプレイボディと前記制御基板とを接続する配線と、を備え、前記ディスプレイボディは、前記非アクティブ領域の一部を延長した延長部と、該延長部の途中に設けられ、前記プレートの端面を回り込むように折り返された折返し部と、を有し、前記配線は、前記延長部の端部に接続されることで、前記延長部と該配線との接続部が前記プレートの第2面側に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、ベゼル幅を抑制でき、さらにメンテナンス時に配線の接続部が破壊されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、ディスプレイアセンブリの模式的な底面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すディスプレイアセンブリの一部を拡大した平面図である。
【
図6】
図6は、
図4中のVI-VI線に沿う模式的な断面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すディスプレイアセンブリの要部を拡大した側面断面図である。
【
図8】
図8は、
図4中のVIII-VIII線に沿う模式的な断面図である。
【
図9】
図9は、
図4中のIX-IX線に沿う模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るディスプレイアセンブリ及び電子機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0014】
図1~
図3に示すように、電子機器10は、第1筐体部材12A及び第2筐体部材12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイアセンブリ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、スマートフォン又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0015】
各筐体部材12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。第1筐体部材12Aは、第1フレーム部材17Aと、第1背面プレート18Aとを備える。第1フレーム部材17Aは、第2筐体部材12Bと隣接する縁部17Aa以外の3辺に立壁19Aを形成した矩形の枠状部材である。第1背面プレート18Aは、第1フレーム部材17Aの裏面開口を閉じるプレート状部材である(
図6も参照)。同様に、第2筐体部材12Bは、第1筐体部材12Aと隣接する縁部17Ba以外の3辺に立壁19Bを形成した第2フレーム部材17Bと、第2フレーム部材17Bの裏面開口を閉じる第2背面プレート18Bとを備える。フレーム部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイアセンブリ16で閉じられる。
【0016】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。
【0017】
ヒンジ装置14は、筐体部材12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、
図1に示す0度姿勢で形成される縁部17Aa,17Ba間の隙間を隠す背表紙としても機能する。ディスプレイアセンブリ16は、筐体部材12A,12B間に亘って延在している。
【0018】
以下、電子機器10について、筐体部材12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する縁部17Aa,17Baに沿う方向をY方向、筐体部材12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。また、筐体部材12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(
図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(
図2参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼ぶことができ、例えば筐体部材12A,12Bの互いの面方向が直交した状態が90度姿勢となる。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じ得る。
【0019】
図3に示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、ヒンジ本体20と、サポートプレート22A,22Bと、複数のリンクアーム24A,24Bとを有する。
【0020】
ヒンジ本体20は、筐体部材12A,12Bの縁部17Aa,17Baを跨ぐ位置に設けられ、縁部17Aa,17Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。ヒンジ本体20は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。ヒンジ本体20には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸が支持されている。一方のヒンジ軸にはY方向に並んだ複数のリンクアーム24Aが軸支され、他方のヒンジ軸にはY方向に並んだ複数のリンクアーム24Bが軸支されている。各リンクアーム24Aは、第1フレーム部材17Aに固定されたブラケットに軸支される。各リンクアーム24Bは、第2フレーム部材17Bに固定されたブラケットに軸支される。
【0021】
これによりヒンジ本体20は、筐体部材12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ本体20内には、筐体部材12A,12B間の回動動作を同期させるギヤ機構や、筐体部材12A,12B間の回動動作に所定の回動トルクを付与するトルク機構等も設けられている。ヒンジ本体20の外面には、化粧カバーとなる背表紙部品26が取り付けられている(
図1参照)。
【0022】
サポートプレート22A,22Bは、アルミニウム等の金属材料で形成され、Y方向に延在するプレートであり、左右対称形状である。サポートプレート22A,22Bは、リンクアーム24A,24Bが軸支されたブラケットに対して軸支されて揺動可能である。サポートプレート22A,22Bは、180度姿勢時にヒンジ本体20の左右に並び、その表面がヒンジ本体20の表面と同一平面上に配置される。これによりヒンジ装置14は、180度姿勢時に後述するディスプレイ積層体18の折曲領域R3(
図2参照)を支持することができる。
【0023】
次に、ディスプレイアセンブリ16の構成を説明する。
【0024】
図4は、ディスプレイアセンブリ16の模式的な底面図である。
図5は、
図4に示すディスプレイアセンブリ16の一部を拡大した平面図である。
図5は、制御基板32を第1プレート30Aに固定する前の状態を示している。
図6、
図8、及び
図9は、それぞれ
図4中のVI-VI線、VIII-VIII線、及びIX-IX線に沿う模式的な断面図である。
図6~
図8は、ディスプレイアセンブリ16を筐体部材12A,12Bに取り付けた状態での電子機器10の一部を拡大した側面断面図を示している。
図7は、
図6に示すディスプレイアセンブリ16の要部を拡大した側面断面図である。
【0025】
図3及び
図4に示すように、ディスプレイアセンブリ16は、ディスプレイ積層体28と、第1プレート30A及び第2プレート30Bと、制御基板32と、配線34~37と、を備える。
【0026】
ディスプレイ積層体28は、全体として可撓性を有するシート状に形成されている。
図1に示す0度姿勢において、筐体部材12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれて互いに積層された状態となる。この際、ディスプレイ積層体28は、
図2に示す第1筐体部材12A側の第1領域R1と第2筐体部材12B側の第2領域R2とが対向するように配置され、領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。
図2及び
図3に示す180度姿勢において、筐体部材12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ積層体28は、領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す。
【0027】
図6~
図9に示すように、ディスプレイ積層体28は、ディスプレイボディ40と、表面シート41と、裏面シート42とを積層したものである。
【0028】
ディスプレイボディ40は、例えばプラスチック有機発光ダイオード(POLED:Plastic Organic Electro-Luminescence Diode)である。ディスプレイボディ40は、アクティブ領域RAと、アクティブ領域RAの周囲に設けられた非アクティブ領域RIとを含む(
図5及び
図6参照)。アクティブ領域RAは、画像を表示する領域であり、マトリックス状に配列された画素が配置される。非アクティブ領域RIは、画像を表示しない領域であり、アクティブ領域RAの周囲を囲むように設けられる。非アクティブ領域RIは、例えば配線34~37に接続される配線や端子、駆動回路等が配置される。
【0029】
表面シート41は、ディスプレイボディ40の表面40aに積層されている。表面シート41は、例えばアンチグレア機能、アンチリフレクト機能、及びアンチフィンガープリント機能を有する機能性フィルムの下に、偏光フィルムを積層したシートである。本実施形態のディスプレイ積層体28は、タッチパネル式であるが、タッチパネル式でなくてもよい。
【0030】
裏面シート42は、ディスプレイボディ40の裏面40bに積層されている。裏面シート42は、例えばステンレス等の金属シートに多数の孔部を形成したものである。裏面シート42は、ある程度張力を有し、ディスプレイボディ40が折り曲げされた際の曲率半径を設計仕様と同様に確保するためのものである。
図6~
図9は、図面の見易さを確保するため、シート41,42の断面ハッチングを省略している。
【0031】
図4~
図7に示すように、ディスプレイボディ40は、非アクティブ領域RIの一部を延長し、各面40a,40bに積層されたシート41,42よりも側方に突出させた延長部44を有する。延長部40cは、ディスプレイ積層体28の外周端面のうち、例えばY方向に沿って起立した第1フレーム部材17Aの立壁19Aに臨む端面28aから突出している。
【0032】
延長部44の端部44aは、配線34~37と接続されると共に、第1プレート30Aに固定される部分である。延長部44は、端部44aと端面28aとの途中に、円弧状に折り返された折返し部44bを有する。折返し部44bの外周面には、当該折返し部44bを保護するための保護層46が設けられている。保護層46は、例えばアクリル系等のレジンである。
【0033】
図3~
図7に示すように、プレート30A,30Bは、相互間にヒンジ装置14を挟んで左右に隙間を設けて配置され、それぞれの第1面30Aa,30Baでディスプレイ積層体28の裏面28bを支持する。ディスプレイ積層体28の裏面28bは、第1領域R1が第1プレート30Aの第1面30Aaに固定され、第2領域R2が第2プレート30Bの第1面30Baに固定される。領域R1,R2は、例えば両面テープ等の粘着材48を用いてプレート30A,30Bに固定される(
図6参照)。第1プレート30Aは、第1フレーム部材17Aに締結される。第2プレート30Bは、第2フレーム部材17Bに締結される。
【0034】
プレート30A,30Bは、ベースプレート50と、金属フレーム51とで構成されている。ベースプレート50は、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板である。金属フレーム51は、例えばマグネシウム合金等で形成され、ベースプレート50の裏面50aの外周縁部に固定されている。プレート30A,30Bは、炭素繊維強化樹脂板であるため、高い平面度の確保と、薄型化及び軽量化とが可能である。但し、炭素繊維強化樹脂板は、炭素繊維が外周端面(エッジ)から粉吹き状に脱落する懸念があり、また、形状加工やねじ加工等も難しい。そこで、プレート30A,30Bは、ベースプレート50の外周端面及び裏面50aの外縁部を囲むように金属フレーム51を接着剤等で固定している。
【0035】
第1プレート30Aは、傾斜面52を有する。傾斜面52は、ディスプレイ積層体28の端面28aに対応する端面30Abと、ディスプレイ積層体28を支持する第1面30Aaの裏面である第2面30Acとの角部に形成されている。より具体的には、傾斜面52は、端面30Abと第2面30Acとの間のエッジを面取りした形状を有し、端面30Abから第2面30Acに向かって次第に下方に傾斜した下向きの傾斜面である。本実施形態では、傾斜面52は、金属フレーム51のベースプレート50から外側に張り出した部分に形成している。
【0036】
ベースプレート50は、炭素繊維強化樹脂板ではなく、金属材料や樹脂材料で形成されてもよい。この場合、金属フレーム51は省略してもよく、傾斜面52や後述する突出部58及び脚部64はベースプレート50に設けるとよい。
【0037】
制御基板32は、ディスプレイボディ40での表示制御を行うためのプリント基板であり、各種の半導体チップが実装されている。
図4~
図6に示すように、制御基板32は、第1プレート30Aの第2面30Acに固定されている。
図6に示すように、本実施形態の制御基板32は、第2面30Acのうち、ベースプレート50の裏面50aに固定されているが、一部又は全部が金属フレーム51に固定されてもよい。制御基板32は、第1筐体部材12A又は第2筐体部材12Bの内部に搭載されたマザーボードとフレキシブル基板等を用いて接続される。
【0038】
図4~
図7に示すように、配線34~37は、それぞれフレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)で構成され、ディスプレイボディ40と制御基板32とを接続している。配線34~37は、ディスプレイボディ40の延長部44の幅方向であるY方向に沿って相互間に隙間Gを設けて並んでいる。
【0039】
配線34~37は、ディスプレイボディ40に対しては延長部44の端部44aに接続される。配線34~37とディスプレイボディ40との接続部54は、例えばACF(異方性導電膜)を用いた電気接続加工、いわゆるACFボンディングで構成される。配線34~37は、折返し部44bの先にある端部44aに接続されることで、第1プレート30Aの第2面30Ac側に隠されるように配置される。
【0040】
図6及び
図7に示すように、接続部54は、粘着材56を用いて第1プレート30Aの傾斜面52に固定される。本実施形態では、延長部44の端部44aが粘着材56を用いて傾斜面52に固定され、これにより接続部54が傾斜面52に固定される。
【0041】
図4及び
図8に示すように、第1プレート30Aの第2面30Acには、その外周に沿って並ぶように、複数の突出部58が形成されている。突出部58は、第1プレート30Aの金属フレーム51に形成されて第2面30Acから突出しており、例えば円錐台形状を有する。各突出部58には、内周面に雌ねじを形成したねじ穴58aが設けられている。ねじ穴58aは、ねじ60が螺合される(
図8参照)。突出部58は、第1プレート30Aと同様に第2プレート30Bにも設けられる。そして、各フレーム部材17A,17Bは、各突出部58とオーバーラップする位置にそれぞれ孔部62aが貫通形成された支持面62を有する(
図8参照)。ねじ60は、孔部62aを通してねじ穴58aに螺合される。これにより各突出部58がフレーム部材17A,17Bと締結され、プレート30A,30Bがそれぞれフレーム部材17A,17Bに固定される。
【0042】
図4に示すように、突出部58は、配線35,36間の隙間Gにも配置されるとよい。
図8に示すように、この突出部58は、隣接する配線35,36間の隙間Gを通して起立し、第1フレーム部材17Aの支持面62に対してねじ60で締結される。これにより第1プレート30Aの端面30Abに沿う部分は、
図4に示すように、Y方向で両端の突出部58,58と、Y方向で略中央の隙間Gに設けた突出部58との3か所で締結される。
【0043】
図4及び
図9に示すように、第1プレート30Aの第2面30Acには、脚部64も設けられている。脚部64は、第1プレート30Aの金属フレーム51に形成されて第2面30Acから突出しており、例えば角錐台形状を有する。脚部64は、例えば一対設けられる。一方の脚部64は、配線34,35間の隙間Gを通して起立している。他方の脚部64は、配線36,37間の隙間Gを通して起立している。つまり脚部64は、突出部58が配置された配線35,36間の隙間Gと異なる隙間Gに配置される。これにより第1プレート30Aは、配線34~37が設置されず、且つ突出部58が配置されない残り2つの隙間Gに重なる部分が脚部64を用いて支持面62に支持される。
【0044】
これによりディスプレイアセンブリ16は、プレート30A,30Bを介してフレーム部材17A,17Bに支持される。ここで、本実施形態の電子機器10は、
図2及び
図3に示すように、ディスプレイアセンブリ16の表面16bの外周縁部を囲むベゼル部材66を備える。
【0045】
図6~
図9に示すように、ベゼル部材66は、ディスプレイアセンブリ16の側方で起立する立壁19A,19Bと、ディスプレイアセンブリ16の表面16bとの間に跨るように設けられ、両者間の隙間を覆い隠す。ベゼル部材66は、立壁19A,19Bの上端面68と、表面16bとにそれぞれ粘着材70で固定される。粘着材70は、例えば両面テープである。ベゼル部材66は、ディスプレイアセンブリ16に対しては、非アクティブ領域RIに位置する表面シート41の表面16bに固着される。
【0046】
以上のように、本実施形態のディスプレイアセンブリ16は、ディスプレイボディ40と、ディスプレイボディ40の裏面28b側に配置され、第1面30Aaでディスプレイボディ40を支持する第1プレート30Aと、ディスプレイボディ40の表示制御を行う制御基板32と、ディスプレイボディ40と制御基板32とを接続する配線34~37と、を備える。そして、ディスプレイボディ40は、非アクティブ領域RIの一部を延長した延長部44と、延長部44の途中に設けられ、第1プレート30Aの端面30Abを回り込むように折り返された折返し部44bと、を有する。また、配線34~37は、延長部44の端部44aに接続され、これにより延長部44と配線34~37との接続部54が第1プレート30Aの第2面30Ac側に配置されている。
【0047】
このように、ディスプレイアセンブリ16及びこれを備える電子機器10は、ディスプレイボディ40の非アクティブ領域RIの一部を延長した延長部44に折返し部44bを設けて第1プレート30Aの側部を回り込ませている。これによりディスプレイアセンブリ16は、非アクティブ領域RIの全体が表面16b側に配置され、さらにディスプレイボディ40と配線34~37との接続部54が表面16bに配置されることを回避できる。その結果、ディスプレイアセンブリ16及び電子機器10は、ディスプレイアセンブリ16の表面16bに固定されるベゼル部材66の幅寸法を抑制でき、外観品質を向上させることができる。
【0048】
しかも、電子機器10は、折返し部44bを有する延長部44の端部44aに配線34~37を接続し、両者間の接続部54を第1プレート30Aの第2面30Ac側に配置している。これによりベゼル部材66は、接続部54に粘着せず、ディスプレイアセンブリ16の表面16bに粘着することができる。従って、電子機器10は、例えばメンテナンス時にディスプレイアセンブリ16を取り外す際、ベゼル部材66の粘着材70を剥離しても接続部54が破壊されることがなく、メンテナンスの作業性もよい。また電子機器10は、ベゼル部材66を剥がしたディスプレイアセンブリ16をメンテナンス後に再利用することもでき、部品交換コストも削減できる。
【0049】
なお、本実施形態では、第1プレート30Aは、直接的にはディスプレイボディ40の裏面40bに積層された裏面シート42に固定され、間接的にディスプレイボディ40を支持している。しかしながら、例えば裏面シート42を省略した構成としてもよく、この場合はディスプレイボディ40を第1プレート30Aに直接的に固定すればよい。
【0050】
第1プレート30Aは、端面30Abと第2面30Acとの角部に形成された面取り状の傾斜面52を有する。そして、延長部44の端部44a及び接続部54は、この傾斜面52に固定している。従って、
図6~
図9から明らかなように、ディスプレイボディ40は、折返し部44bの曲率半径を過度に小さくすることなく、円滑に第1プレート30Aの第2面30Ac側に端部44aや接続部54を配置できる。このため、ディスプレイアセンブリ16は、ディスプレイボディ40を折り曲げた折返し部44bへの負荷を最小限に抑えることができ、この部分での断線等の不具合の発生を一層抑制できる。傾斜面52は省略されてもよい。つまり接続部54は、必ずしも傾斜面52に固定されていることを要しない。
【0051】
さらにディスプレイアセンブリ16は、制御基板32も第1プレート30Aの第2面30Acに固定している。このため、ディスプレイアセンブリ16は、制御基板32も含めた全体が一体化される。その結果、ディスプレイアセンブリ16は、電子機器10に搭載する際は、プレート30A,30Bを筐体部材12A,12Bに固定し、制御基板32をマザーボードに接続するだけで組付作業が完了するため、作業効率が向上する。
【0052】
第1プレート30Aの第2面30Acには、フレキシブル基板で構成された配線34~37間の隙間Gを通して起立し、第1筐体部材12Aの支持面62に固定される突出部58が設けられている。このため、第1プレート30Aは、第2面30Acの端面30Abに近い部分、つまり傾斜面52の大部分が配線34~37で塞がれてはいるが、この部分でも第1筐体部材12Aに対して確実に固定でき、がたつきや浮き上がりの発生を抑制できる。
【0053】
さらに、第1プレート30Aの第2面30Acには、複数の隙間Gのうち、突出部58が設けられた隙間Gとは異なる隙間Gを通して起立し、支持面62に当接する脚部64が設けられている。このため、第1プレート30Aは、配線34~37も突出部58が配置されない残りの隙間Gがフワフワした支持状態になることも抑制できる。脚部64に代えて突出部58を設けてもよいが、この場合は第1プレート30Aのねじ60の締結数が過剰になるため、部品点数、作業性及び重量等を考慮すると脚部64を設けた構成が好ましい。
【0054】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0055】
上記では、延長部44は、第1プレート30Aの端面30Abを回り込んでその裏面である第2面30Ac側に接続部54を配置した構成を例示したが、延長部44は第2プレート30B側に設けてもよい。この場合、傾斜面52、突出部58及び脚部64は、第2プレート30Bの縁部17Aa,17Ba側とは逆側の端面及びその周辺に設けるとよい。
【0056】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な電子機器10を例示したが、本発明は、同形の筐体部材同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体部材の左右縁部にそれぞれ小形の筐体部材を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体部材の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体部材を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体部材の左右一方の縁部に小形の筐体部材を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成に適用可能であり、筐体部材の連結数は4以上としてもよい。また、本発明は、このような折り畳み型の構成以外、例えば一枚板状の筐体構造を有する電子機器に適用することもでき、この場合は、ディスプレイ積層体の裏面を1枚のプレートに固定した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 電子機器
12A 第1筐体部材
12B 第2筐体部材
14 ヒンジ装置
16 ディスプレイアセンブリ
28 ディスプレイ積層体
30A 第1プレート
32 制御基板
34~37 配線
40 ディスプレイボディ
44 延長部
44b 折返し部
52 傾斜面
54 接続部
58 突出部
64 脚部
66 ベゼル部材
【要約】
【課題】ベゼル幅を抑制でき、さらにメンテナンス時に配線の接続部が破壊されることを防止する。
【解決手段】ディスプレイアセンブリは、可撓性を有するシート状に形成され、アクティブ領域及び非アクティブ領域を含むディスプレイボディと、前記ディスプレイボディの裏面側に配置され、第1面で前記ディスプレイボディを支持するプレートと、前記ディスプレイボディの表示制御を行う制御基板と、前記ディスプレイボディと前記制御基板とを接続する配線と、を備える。ディスプレイボディは、前記非アクティブ領域の一部を延長した延長部と、該延長部の途中に設けられ、前記プレートの端面を回り込むように折り返された折返し部と、を有し、前記配線は、前記延長部の端部に接続されることで、前記延長部と該配線との接続部が前記プレートの第2面側に配置されている。
【選択図】
図6