(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】低電力から高電力への遷移モードを備える電力供給
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
H02M3/155 H
(21)【出願番号】P 2022055363
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2019520828の分割
【原出願日】2017-10-18
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ガンキアン ザン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァブハヴ ガーグ
(72)【発明者】
【氏名】シャオチュン ザオ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ ダブリュー ディー ペレイラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャヤラクシュミ デヴァラジャン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0187928(US,A1)
【文献】特開2011-109806(JP,A)
【文献】特開2015-171274(JP,A)
【文献】特開2014-003786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0200998(US,A1)
【文献】特開2016-106521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
電力段制御入力と電力段出力とを有する電力段と、
電流感知端子に結合される第1の入力と、前記電力段出力に結合される第2の入力と、第1の増幅出力とを有する第1の増幅器と、
前記第1の増幅器出力に結合される第1の制御入力と、前記電力段制御入力に結合される第1の制御信号出力とを有する第1の制御信号生成回路と、
前記第1の増幅器と前記第1の制御信号生成回路とに結合されるモード制御回路であって、
第1のモードにおいて、前記第1の増幅器と前記第1の制御信号生成回路とを活性化し、
第2のモードにおいて、前記第1の増幅器と前記第1の制御信号生成回路とを非活性化し、
前記第2のモードから前記第1のモードへの遷移期間の間に、前記第1の制御信号生成回路の第1の制御入力に第1の信号を提供し、前記第1の制御信号生成回路を活性化する、
ように構成される、前記モード制御回路と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の増幅器が、前記電流感知端子における第3の信号と前記電力段出力における第4の信号とに応答して前記第1の増幅器出力に第2の信号を出力するように構成され、
前記第1の制御信号生成回路が、前記第1の制御入力における前記第1の信号又は前記第2の信号に応答して前記第1の制御信号出力に第1の制御信号を出力するように構成される、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記第1の制御信号生成回路が、前記第1の信号又は前記第2の信号に応答して前記第1の制御信号のデューティーサイクルを設定するように更に構成される、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、
前記電力段出力に結合される第2の制御入力と、前記電力段制御入力に結合される第2の制御信号出力とを有する第2の制御信号生成回路であって、前記電力段出力における前記第4の信号に応答して前記第2の制御信号出力に第2の制御信号を出力するように構成される、前記第2の制御信号生成回路を更に含み、
前記モード制御回路が、前記第2のモードにおいて前記第2の制御信号生成回路を活性化し、前記第1のモードにおいて前記第2の制御信号生成回路を非活性化するように更に構成される、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記第4の信号が前記電力段出力における電流を表わす、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記モード制御回路が、前記第1の増幅器の第1の入力と第2の入力との間に結合されるスイッチを含み、
前記モード制御回路が、
前記第1のモードにおいて前記スイッチを非活性化し、前記遷移期間の間に前記スイッチを活性化し、
前記スイッチを活性化することに応答して前記第1の制御入力に前記第1の信号を提供する、
ように更に構成される、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記第1の信号が、シミュレートされた電流誤差信号を表わす、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記モード制御回路が、
プルチャージ出力を有するプリチャージ回路であって、前記プリチャージ出力に前記第1の信号を出力するように構成される、前記プリチャージ回路と、
前記第1の制御入力と前記プリチャージ出力との間に結合されるスイッチと、
を含み、
前記モード制御回路が、前記遷移期間の間に前記スイッチを活性化し、前記第1のモードにおいて前記スイッチを非活性化するように更に構成される、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記第1の信号が、前記第1の制御入力におけるシミュレートされた電圧誤差信号を表わす、装置。
【請求項10】
請求項7に記載の装置であって、
前記モード制御回路が、前記遷移期間の間に前記プリチャージ回路を活性化し、前記第1のモードにおいて前記プリチャージ回路を非活性化するように更に構成される、装置。
【請求項11】
請求項8に記載の装置であって、
前記プルチャージ回路が、前記電流感知端子に結合されるプリチャージ入力を更に有し、
前記プリチャージ回路が、前記電流感知端子における第2の信号に応答して前記第1の信号を生成するように更に構成される、装置。
【請求項12】
請求項8に記載の装置であって、
前記プリチャージ回路が、前記電力段出力に結合されるプリチャージ入力を更に有し、
前記プリチャージ回路が、前記電力段出力における第2の信号に応答して前記第1の信号を生成するように更に構成される、装置。
【請求項13】
請求項8に記載の装置であって、
前記電力段が電力段入力を更に有し、
前記電力段が、前記電力段入力における第3の信号と前記第1の制御入力における第1の制御信号とに応答して前記電力段出力に第2の信号を出力するように構成される、装置。
【請求項14】
請求項8に記載の装置であって、
前記プリチャージ回路が、前記電力段のスイッチング周波数と前記装置の温度との少なくとも1つに基づいて前記第1の信号を生成するように更に構成される、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置であって、
基準端子に結合される第3の入力と、前記電力段出力に結合される第4の入力と、前記第1の増幅器の第1の入力に結合される第2の増幅器出力とを有する第2の増幅器であって、前記基準端子における基準信号と前記電力段出力における第3の信号とに応答して前記第2の増幅器出力に第2の信号を出力するように構成される、前記第2の増幅器を更に含み、
前記第1の増幅器が、前記第2の信号と前記電流感知端子における第5の信号とに応答して前記第1の増幅器出力に第4の信号を出力するように構成され、
前記モード制御回路が、前記第1のモードにおいて前記第2の増幅器を活性化し、前記第2のモードにおいて前記第2の増幅器を非活性化するように更に構成される、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記電力段出力に結合される分圧器入力と、前記第2の増幅器の第4の入力に結合される分圧器出力とを有する抵抗分圧器を更に含む、装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置であって、
前記第2の増幅器の第3の入力と第4の入力との間に結合される第1のスイッチと、
前記第2の増幅器の第4の入力と前記電力段出力との間に結合される第2のスイッチと、
を更に含み、
前記モード制御回路が、
前記第1にモードにおいて前記第1のスイッチを非活性化して前記第2のスイッチを活性化し、
前記遷移期間の間に前記第1のスイッチを活性化して前記第2のスイッチを非活性化する、
ように更に構成される、装置。
【請求項18】
方法であって、
第1のモードにおいて、
増幅器と第1の制御信号生成器を活性化し、
前記増幅器の第1の入力において電流感知端子から第1の信号を受信し、
前記増幅器の第2の入力において電力段の出力から第2の信号を受信し、
前記第1の信号と前記第2の信号とに応答して前記増幅器によって第2の信号を生成し、
前記第1の制御信号生成器の第1の制御入力に前記第3の信号を提供することによって第1の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号を前記電力段に提供することによって前記電力段の出力において前記第2の信号を調整することと、
第2のモードにおいて、前記増幅器と前記第1の制御信号生成器を非活性化することと、
前記第2のモードから前記第1のモードへの遷移期間において、
モード制御器から前記第1の制御信号生成器に第4の信号を提供し、
前記第1の制御信号生成器を活性化することと、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第2のモードにおいて、
第2の制御信号生成器を活性化し、
前記第2の制御信号生成器に前記第2の信号を提供することによって第2の制御信号を生成し、
前記第2の制御信号生成器から前記電力段に前記第2の制御信号を提供することによって前記電力段の出力において前記第2の信号を調整すること、
を更に含む、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記モード制御器から前記第1の制御信号生成器に前記第4の信号を提供することが、前記増幅器の第1の入力と第2の入力との間に結合されるスイッチを活性化することを含む、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
前記モード制御器から前記第1の制御信号生成器に前記第4の信号を提供することが、
前記第4の信号を生成するためにプリチャージ回路を活性化することと、
前記プリチャージ回路と前記第1の制御入力との間に結合されるスイッチを活性化することによって前記プリチャージ回路から前記第1の制御入力に前記第4の信号を送信することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電力供給に関し、更に特定して言えば、低電力から高電力への遷移モードを備える電力供給に関連する。
【背景技術】
【0002】
スイッチングモード電力供給(SMPS)は、効率的に電力を変換するためスイッチングレギュレータを組み込む電子的電力供給である。SMPSは、DC又はAC源から、オートモーティブ電子機器などのDC負荷へ電力を搬送する一方で、電圧及び電流特性を変換する。線形電力供給とは異なり、SMPSは、低放散、フルオン、及びフルオフ状態間で継続的に切り替え、高放散遷移において消費する時間が非常に短く、無駄になるエネルギーが最小化される。電圧レギュレーションは、オン対オフ時間の比を変えることによって達成される。これに対し、線形電力供給は、電力を継続的に消散させることによって出力電圧をレギュレートする。この一層高い電力変換効率は、SMPSの重要な利点である。
【0003】
SMPSに関する一般的な問題点は、コントローラは、負荷電流に関わらず固定量の電力を消費するので、負荷電流が低いとき電力効率が非常に低い点である。この場合に効率を改善するため、通常の(高電力)フィードバックループにおける機能ブロックをシャットダウンさせるために、低電力モードオペレーションが付加され得る一方で、シンプルで低電流のコントローラでレギュレートされた出力を保つ。低電力モードは、負荷電流が低いとき通常のコントローラの電力消費をなくすのを助ける。しかし、低電力モードから高電力モードへの遷移は、2つのモードのハンドオーバーがスムーズではない場合、出力電圧オーバーシュート又はディップ(dip)を起こし得る。
【発明の概要】
【0004】
例示の一つは、スイッチング電源を含む。スイッチング電源は、電力段、フィードバックループ、及びシミュレートされたフィードバック誤差生成器を含む。電力段は、スイッチング信号に応答して出力信号を提供する。フィードバックループは、出力信号を監視し、出力信号をレギュレートするためにスイッチング信号を調節するためフィードバック誤差信号を提供する。シミュレートされたフィードバック誤差生成器は、フィードバックループがフィードバック誤差信号を提供するために充分な時間を有するまで、スイッチング電源の低電力モードから高電力モードへの遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差信号を一時的に提供する。
【0005】
別の例が、スイッチング電源のための出力信号を提供するための方法を含む。この方法は、スイッチング信号に応答して出力信号を生成すること、出力信号を継続的にレギュレートするためにスイッチング信号を調節するため出力信号に関連付けられるフィードバック誤差信号を提供すること、低電力モードの間、フィードバック信号をディセーブルすること、低電力モードの間、低電力スイッチング信号を電力段に供給すること、及び、フィードバック信号に関連する回路要素がフィードバック信号の提供に遷移するまで、スイッチング電源の低電力モードから高電力モードへの遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差信号を一時的に提供することを含む。
【0006】
別の例が、別のスイッチング電源を含む。スイッチング電源は、電圧ループ増幅器、電流ループ増幅器、プリチャージ電圧生成器、及び電流感知要素を含む。電圧ループ増幅器は、高電力モードの間、スイッチング電源により生成される電圧誤差の量を示す電圧誤差振幅電圧を提供する。電流ループ増幅器は、高電力モードの間、スイッチング電源により生成される電流誤差の量を示す電流誤差振幅電圧を提供する。プリチャージ電圧生成器は、スイッチング電源の低電力モード及び高電力モード間の遷移期間の間、プリチャージ電圧を決定し、それを電流ループ増幅器の出力に印加し、ここで、高電力モードへの遷移が、遷移期間の間印加されるプリチャージ電圧をディセーブルする。プリチャージ電圧生成器の出力におけるスイッチは、遷移期間から高電力モードに変わるときプリチャージ生成器を電流ループ増幅器の出力から切り替え可能に切断する。電流感知要素は、低電力モード及び高電力モード間の遷移期間の間、電流振幅電圧を電圧ループ増幅器の出力に印加し、ここで、高電力モードへの遷移が、遷移期間の間電流感知要素により印加される電流振幅電圧をディセーブルする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】システムの低電力モードから高電力モードへスムーズに遷移するためのシステムの一例を図示する。
【0008】
【
図2】回路の低電力モードから高電力モードへスムーズに遷移するための例示の回路を図示する。
【0009】
【
図3】
図2に示す回路の例示のタイミング図を図示する。
【0010】
【
図4】
図1及び2に示すシステム及び回路の低電力モードから高電力モードへスムーズに遷移するための方法の一例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本記載は、スイッチング電源、及びスイッチング電源(SMPS)の低電力モードから高電力モードにスムーズに遷移する方法に関連する。本記載は、低電力モードから高電力モードへのSMPS遷移の間、出力電圧オーバーシュート及びディップを避ける。一例において、スイッチング電源は、電力段、フィードバックループ、低電力モードコントローラ、及び、シミュレートされたフィードバック誤差生成器を含む。電力段要素は、スイッチング信号に応答して出力信号を提供する。フィードバックループは、出力信号を監視し、出力信号をレギュレートするためにスイッチング信号のデューティサイクルを調節するためフィードバック誤差信号を提供する。低電力モードコントローラは、低電力モードの間、フィードバックループをディセーブルし、低電力モードの間、スイッチング信号を電力段要素に一時的に供給する。シミュレートされたフィードバック誤差生成器は、スイッチング電源の低電力モードから高電力モードへの遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差信号を一時的に提供し、ここで、低電力モードコントローラは、遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差生成器をイネーブルする。
【0012】
従来、低電力モードから高電力モードへの遷移は、目標電圧を満たす電圧を生成する際にSMPSが整定するための時間量を要し、フィードバックループは、SMPSにより生成される電圧における誤差を監視及び補正するために用いられている。低電力モードからの遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差スイッチング信号をスイッチング電源に印加することにより、SMPSは、実質的に目標電圧において高電力モードを始め得、これは、目標電圧を満たす電圧を生成する際にSMPSが整定するために必要とされる時間量を実質的に軽減する。そのため、シミュレートされたフィードバック誤差生成器をSMPSに付加することは、低電力モードから高電力モードへの遷移をスムーズにする。
【0013】
図1は、システム100の低電力モードから高電力モードへスムーズに遷移するためのシステム100の一例を図示する。一例において、システム100は、スイッチング電源(SMPS)である。システム100は、システム出力V
OUT及びフィードバックループ120に結合される電力段116要素と、電力段116及びV
OUTに結合される低電力モードコントローラ118と、フィードバックループ120に結合されるシミュレートされたフィードバック誤差生成器114とを含む。フィードバックループ120は更に、低電力モードコントローラ118に結合される。
【0014】
システム100は、入力直流(DC)電圧を、V
OUTにおいて利用可能な適切な出力DC電圧に変換する。システム100は、V
OUTにおけるこのような目標出力DC電圧に到達するようにデューティサイクルを改変する。V
OUTにおけるこのような電圧は、目標の事前指定された電圧に実質的にマッチングするようにシステム100により維持され得る。一例において、システム100は、デューティサイクルを改変することによりV
OUTにおける目標の事前指定された電流を維持する。システム100は、低電力モード及び高電力モードで動作し、また、低電力モードと高電力モードとの間の遷移期間の間動作する。低電力モードの間、システム100の殆どがディセーブルされ、システム100の残りの構成要素が、
図2を参照して更に詳細に記載される高電力モードの間利用可能である電力よりも少量の電力を生成する。高電力モードの間、システム100全体は、目標出力DC電圧V
OUTを生成するためにアクティブにされる。低電力モードから高電力モードへの遷移期間の間、システム100は、システム100にV
OUTにおける目標電圧要件を満たす電圧を生成する高電力モードを始めさせるために、シミュレートされたフィードバック誤差信号を決定して印加し、システム100のための目標の事前指定された電圧V
OUTで整定するために必要とされる従来の時間を実質的に低減し、それにより、従来、高電力モードに変わった後に起こる、V
OUTにおけるオーバーシュート及びアンダーシュートを実質的に低減する。
【0015】
シミュレートされたフィードバック誤差生成器114は、VOUTにおいて存在する電圧誤差の量を表すシミュレートされた電圧誤差振幅(VEA)信号を生成する。一例において、シミュレートされたフィードバック誤差生成器114は、VOUTに存在する電流誤差の量を表すシミュレートされた電流誤差振幅(CEA)信号を生成する。VEA信号及びCEA信号は、フィードバックループ120に、高電力モードとなるために適切なスタート点を与えるために、システム100内の強制均衡状態を生成する。システム100の低電力モードコントローラ118が低電力モードから高電力モードへの遷移をアクティブにするとき、システム100は、遷移期間を始める。遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差生成器114は、シミュレートされたVEA信号を決定し、VOUTが高電力モードにおいてシステム100により生成される前に、このような信号をフィードバックループ120に印加する。そのため、フィードバックループ120は、VOUTにおいてたとえ任意の誤差が存在する前でも、遷移期間の間印加される開始誤差信号を有し、このような開始誤差信号が、目標VOUTを生成するためのフィードバックループ120を設定する。その後、高電力モードへのシステム100の遷移の間、シミュレートされたフィードバック誤差生成器114はディセーブルされ、フィードバックループ120の標準のフィードバック機能は、目標VOUTを維持することを引き継ぐ。
【0016】
シミュレートされたフィードバック誤差生成器114は、従来は説明(account for)できなかった、システム100内の変数を説明する。例えば、シミュレートされたフィードバック誤差生成器114は、シミュレートされた電圧誤差振幅(VEA)信号及びシミュレートされた電流誤差振幅(CEA)信号に対する変化となる、システム100内の電力、電圧、及び温度における変動を説明する。同様に、シミュレートされたフィードバック誤差生成器114は、システム100内で用いられている特定の変調器のスイッチング周波数における変動、システム100内の構成要素のための製造変動、種々の入力電圧VREF、VIN、VDDなどにおける変動を説明する。シミュレートされたフィードバック誤差生成器114は、フィードバックループ120において実質的にゼロ誤差を備える高電力モードを開始するシステム100となる、シミュレートされたVEA信号及びシミュレートされたCEA信号に対する変化となる、システム100内の任意の変動を説明する。
【0017】
電力段116は、低電力モード及び高電力モードの間、システム100のための電力を生成する。このような低電力モードは、高電力モードの間必要とされるよりも、VOUTにおいて必要とする電力が少ない。電力段116は、低電力モードの間、電力段116に、VOUTにおいて目標電力を維持させるデューティサイクルを有する信号で変調される。低電力モードコントローラ118は、そのような変調される信号を電力段116に提供する。システム100が低電力モードから高電力モードに遷移するとき、低電力モードコントローラ118は、システム100に、VOUTにおいて高電力を生成させるため、電力段116をアクティブにする。低電力モードコントローラ118は、低電力モードコントローラ118に、低電力モードの間VOUTにおいて電圧を生成するために用いられるデューティサイクルを改変させるために、低電力モードの間、VOUTから電圧信号を受信する。一例において、低電力モードコントローラ118は、低電力モードコントローラ118に、低電力モードの間VOUTにおいて電流を生成するために用いられるデューティサイクルを改変させるため、低電力モードの間、VOUTから電流信号を受信する。
【0018】
一つの特定の例において、自動車の電子機器に電力を供給するための電源としてシステム100を用いることができる。自動車が駆動され、イグニションがオンであるとき、自動車の電子機器のほとんどは、アクティブであり、電力を消費する。自動車がイグニションオフで駐車されるとき、自動車の電子機器のほとんどは必要とされず、そのため、パワーダウンされる。しかし、自動車が駐車され、イグニションオフになるときでも、小数の自動車の電子機器はアクティブのままである。そのため、システム100は、自動車がイグニションオフで駐車されるとき低電力モードで、また、イグニションがオンにされ、自動車の電子機器のほとんどがアクティブであるとき高電力モードで動作する。イグニションがオン状態に変わるとき、電子機器は、この低電力モードから高電力モードに遷移する。上述したように、従来、このような変更は、事前指定された目標電圧及び電流にシステム100が制定するための時間を要する。例示のシステム100は、自動車の低電力モードから高電力モードへの遷移が成されるとき、このような遅延を実質的に緩和する。
【0019】
図2は、回路200の低電力モードから高電力モードへの遷移をスムーズにするための例示の回路200を図示する。本明細書において用いられるように、回路という用語は、増幅器及びコンパレータなど、回路機能を行う能動及び/又は受動要素の集まりを含み得る。また、例えば、回路という用語は、全ての回路要素が共通基板上に製造される集積回路を含み得る。
【0020】
回路200は、電圧ループ増幅器216への入力として基準電圧VREFを受け取る。電圧ループ増幅器216は、電圧ループ240内の電圧誤差の量を表す電圧誤差振幅(VEA)信号を生成する。電圧ループ増幅器216は、2つの入力端子間に結合されるスイッチS2を有する。電圧フィードバックループ240の一部として、スイッチS1が、VREF入力とは反対の電圧ループ増幅器216の入力端子に結合される。スイッチS1は、抵抗器212と抵抗器214との間の電圧フィードバックループ240に結合され、抵抗器212及び抵抗器214は分圧器を形成する。電圧ループ増幅器216の出力が、電圧ループ増幅器216の出力における最小基準電圧であるVminと、電圧ループ増幅器216の出力における最大基準電圧であるVmaxとの間の、電圧ループ増幅器216の出力電圧をクランプする電圧クランプ222に結合される。コンデンサ244が、電圧ループ増幅器216の出力に結合される抵抗器242に結合され、コンデンサ244及び抵抗器242は、電圧ループ補償を提供する。
【0021】
電流ループ増幅器220が、電圧ループ増幅器216の出力に結合される。電流ループ増幅器220は、電流ループ248内の電流誤差の量を表す電流誤差振幅(CEA)信号を生成する。電流ループ増幅器は、2つの入力端子間に結合されるスイッチを有する。電流ループ増幅器220の一方の端子が、電圧ループ増幅器216の出力に結合され、電流ループ増幅器220の他方の端子が、電流フィードバックループ248内の電流感知218に結合される。電流感知218はまた、プリチャージ電圧生成器238に結合される。コンデンサ246が抵抗器250に結合され、コンデンサ246及び抵抗器250が電流ループ補償を提供するように、抵抗器250は電流ループ増幅器220の出力に結合される。コンデンサ232がV
OUTに結合される。
図1において示されるフィードバックループ120は、電圧フィードバックループ240、電流フィードバックループ248、又は、電圧フィードバックループ240及び電流フィードバックループ248の両方を含み得る。
【0022】
パルス幅変調(PWM)変調器224が、PWMコンパレータ226に結合されて、バックランプ変調信号を提供し、及びPWMコンパレータ228に結合されて、ブーストランプ変調信号をする。他の例において、ランプ生成器224は鋸波信号を生成する。PWMコンパレータ226及び228は、電流ループ増幅器220の出力に結合される。プリチャージ電圧生成器238は、電流ループ増幅器220の出力に結合される。電流ループ増幅器220は、誤差信号をPWMコンパレータ226及び228に出力し、このような誤差信号は、VOUTにおいて目標電圧及び目標電流を生成するため、回路200のデューティサイクルを設定する。プリチャージ電圧生成器238及びランプ生成器224は、入力電圧VDDに結合される。PWMコンパレータ226及び228の出力は、電力段236回路要素に結合され、電力段236の出力は、高電力モード及び低電力モード両方でVOUTにおいて目標電圧及び電流を生成する。インダクタ252が、電力段236の第1及び第2の段間に結合される。電力段236は、回路200を低電力モードから高電力モードに遷移させ、低電力モードの間、低電力モードコントローラ230から一時的に受信される変調信号を介して、低電力モードにおいて目標電圧及び電流を生成する。高電力モードにあるとき、電力段236は、PWMコンパレータ226及び228により生成されるパルス電圧により駆動され、対応する電圧をVOUTにおいて利用可能とする。プリチャージ電圧生成器238、ランプ生成器224、及び電力段236は、入力電圧VINに結合され、VINからの電力がVOUTに送られる。
【0023】
電力段236は、第1の段及び第2の段を含む。電力段236の第1の段は、並列のバッファ要素258及びインバータ260を含み、いずれもPWMコンパレータ226の出力に結合される。バッファ要素258及びインバータ260の出力が、それぞれ、電界効果トランジスタ(FET)262及び264に結合される。FET262及び264は、インダクタ252に結合される。電力段236の第2段は、並列のバッファ要素254及びインバータ256を含み、いずれもPWMコンパレータ228の出力に結合される。バッファ要素254及びインバータ256の出力が、それぞれ、FET266及び268に結合される。FET266は更に、VOUT及び電流フィードバックループ248に結合され、FET268は、インダクタ252及び電流フィードバックループ248に結合される。一例において、電力段236は、バックモード及びブーストモード両方をサポートし、VINは出力電圧VOUTより低い場合も高い場合もある。バックモードにあるとき、要素228、254、256、266、及び268は、例示の回路200によりアクティブにされず、ブーストモードでは、要素226、258、260、262、及び264は、例示の回路200によりアクティブにされない。
【0024】
低電力モードの間、回路200の全ての構成要素は、電力段236及び低電力モードコントローラ230を除いて電力がオフにされる。低電力モードコントローラ230は、電力段236のデューティサイクルを設定するため低電力モードで動作する変調器を含む。低電力モードにおけるこのようなデューティサイクルは、低電力モードコントローラ230がVOUTから受け取るフィードバックに基づく。低電力モードの間、スイッチS1は開かれ、スイッチS2、S3、及びS4は閉じられる。低電力モードの間スイッチS2及びS3を閉じることで、それぞれ、ループ増幅器216及び220の入力が短絡される。このような短絡は、ループ増幅器216及び220が高電力モードにおいて用いられ始めるとき、ループ増幅器216及び220に対して均衡状態を確立する利点を提供する。高電力モードへの遷移の瞬間において、電圧ループ240及び電流ループ248に、それぞれ、VOUTにおいて適切な電圧及び電流を維持させるため、スイッチS2及びS3が開かれる。
【0025】
開かれたスイッチS1は、電圧ループ240からの電圧が、低電力モードの間、電圧ループ増幅器216に印加されないようにする。開かれたスイッチS4が、プリチャージ電圧生成器238が、高電力モードの間、プリチャージ電圧PRECHARGEを電流ループ増幅器220の出力に印加しないようにする。回路200の低電力モードと高電力モードとの間の遷移期間の間、スイッチS4は閉じられる。スイッチS4を閉じることは、プリチャージ電圧生成器238に、電流ループ増幅器の出力におけるシミュレートされた電圧フィードバック誤差信号を印加させる。このようなシミュレートされた電圧フィードバック誤差信号は、遷移期間から高電力モードに変わる際のPWMコンパレータ226及び228に対するスタートデューティサイクルを設定する。そのため、回路200は、低電力モードの間電力がオフにされていた回路200の構成要素に電力供給することにより高電力モードを始め、プリチャージ電圧生成器238により生成されるプリチャージ電圧に基づいて、実質的にゼロ誤差でVOUTに対する目標電圧にマッチングする電圧をVOUTに生成することを開始する。
【0026】
一例において、回路200は、シミュレートされた電流フィードバック誤差信号CSENSE電圧を印加することを除いて、プリチャージ電圧生成器238に対して記載されるものに類似する機能を実施するために、電流ループ248内電流感知218を用いる。電流感知218、及び電圧ループ増幅器220の出力VEAは、同相電圧にクランプされる。このようなシミュレートされた電流フィードバック誤差信号は、遷移期間から高電力モードに変わる際にPWMコンパレータ226及び228に対してスタートデューティサイクルを設定する。そのため、回路200は、低電力モードの間電力がオフにされていた回路200の構成要素に対して電力供給することにより高電力モードを始め、電流感知218により生成されるCSENSE電圧に基づいて、実質的にゼロ誤差でVOUTに対する目標電流にマッチングする電流をVOUTに生成することを開始し、VOUTに対する目標電流においてその回路が整定するために必要とされる時間を実質的に低減する。高電力モードの始めにおいてVOUTの目標電圧を設定することが重要である回路200の応用例において、プリチャージ電圧生成器238は、電流感知218からの支援なしに用いられ得る。同様に、高電力モードの始めにおけるVOUTにおける目標電流を設定することが重要である回路200の応用例において、電流感知218は、プリチャージ電圧生成器238からの支援なしに用いられ得る。高電力モードの始めにおいてVOUTにおける目標電圧及び電流を設定することが重要である回路200の応用例において、電流感知218及びプリチャージ電圧生成器238が両方用いられ得る。一例において、プリチャージ電圧生成器238は、回路200に電圧ループ増幅器220を駆動する電流感知218がないときVOUTに対してより小さな遷移精度で動作し得る。電流感知218は、電流ループを動作させるために電圧ループ増幅器220を駆動する。
【0027】
プリチャージ電圧生成器238は、VPRE_CHARGE=f(VIN>VDD,FSW,Process、Temperature)式1の関数としてプリチャージ電圧を決定し、ここで、VINは、電力段236のための供給電圧であり、VDDは、プリチャージ電圧生成器238及びランプ生成器224に印加される電圧であり、FSWは、ランプ生成器224のスイッチング周波数であり、Processは、回路200の製造変動を説明するためにプリチャージ電圧生成器238にプログラムされた定数であり、Temperatureは、遷移期間の間の回路200の温度である。プリチャージ電圧生成器238及びランプ生成器224により生成される電圧はVDDに依存せず、ここで、VDDに対する変動はVOUTに影響を与えず、FSW、Process、及びTemperatureに対しても同じことが言える。一例において、デフォルトTemperatureは、プリチャージ電圧を決定するために用いられ得、回路200に対するデフォルトTemperatureは、回路200が閾値温度を下回るとき用いられる。
【0028】
プリチャージ電圧生成器238は、式、
VPRE_CHARGE=((VOUT+k1×VCSENSE)×VPWM_RAMP)/VIN 式2
に従って、電流ループ増幅器220の出力CEAにおいて印加されるプリチャージ電圧を決定し、ここで、
Ramp Gain=VPWM_RAMP/VIN 式3
であり、ここで、VOUTは、回路200の出力電圧VOUTであり、k1は、プリチャージ電圧生成器238の電流利得であり、VCSENSEは電流感知218により生成される電圧である。VINは、電力段236、プリチャージ電圧生成器238、及びランプ生成器224に印加される共通電圧である。VPWM_RAMPは、ランプ生成器224により生成される、バックランプ電圧(BU_RAMP)又はブーストランプ電圧(BO_RAMP)である。ランプ生成器224のモード(バック又はブースト)に応じて、電力段236が、このようなモードに関連付するPWMコンパレータ226及び228の一方により駆動される。Ramp Gainは、ランプ生成器の複製を用いて生成される固定利得を用いる代わりに、ランプ生成器224のバックレギュレータに対するスイッチングの周波数、抵抗、及び静電容量を追跡する。一例において、k1は、プリチャージ電圧生成器238により生成される電圧が少し高くなるように適切な値に設定され、そのため、デューティサイクルが、電力段236において生じる任意の電圧損失に対してVOUTにおいて補償するために少し高くされる。
【0029】
プリチャージ電圧生成器238は、式、
VPRE_CHARGE=((VREF×k2+k1×ICSENSE)×(VPWM_RAMP)/VIN 式4
に従って、電流ループ増幅器220の出力CEAにおいて印加されるプリチャージ電圧を決定する。ここで、k2は、抵抗器212及び214により生成されるVOUT対VFB分圧器の比であり、VOUT=VFB×k2=VREF×k2で、高電力モードの間、VOUTを設定する。VREF×k2は、回路200のVOUT、及び、VOUTをセットアップする、フィードバック抵抗器212及び214における任意の変動を追跡する。Rは、アクティブにされるときの電界効果トランジスタ(FET)254の抵抗である。電流感知218により生成される電圧は、VCSENSE=R×ICSENSEに等しく、ICSENSEは、電流感知218により生成される電圧VCSENSEを生成するためのベースとして電流フィードバックループ248から電流感知218により感知される電流である。kl×R×ICSENSEは、回路200に取り付けられる負荷が軽いか重いかに依存して適切なCEA電圧を計算するため、FET266の抵抗RDSONを追跡する。電流感知218の出力は、式4を計算するベースとしてプリチャージ電圧生成器238に結合される。従って、このような結合により、回路は、出力電流が高であるとき、一層低いVOUT電圧になることを実質的に避けることができ、これにより、VPRE_CHARGEを増大させることによりVOUT電圧降下の補償が可能となる。
BUCKモードにおけるVOUTの一例:
VOUT=VPRE_CHARGE/VPWM_RAMP×VIN-VDROP
=((VREF×k2+k1×R×ICSENSE)×(VPWM_RAMP)/VIN
×VIN/VPWM_RAMP-VDROP
=VREF×k2+k1×R×ICSENSE-VDROP
ここで、VREF×k2は、理想的なVOUT目標電圧であり、VDROPは電力段抵抗に起因する電圧損失であり、k1は、k1×R×ICSENSE-VDROP=0であるように選択され、VOUT=VREF×k2である。従って、VOUTは、遷移の間、予期される値にある。
【0030】
図3は、
図2に示す回路200の例示のタイミング
図300を図示する。タイミング
図300は、イネーブル信号「EN」に対するロジック遷移、低電力モードイネーブル信号「LPM_EN」、低電力モードリリース信号「LPM_RELEASE」、スイッチS1のためのスイッチング信号、及びスイッチS2、S3、及びS4のためのスイッチング信号を図示する。
【0031】
時間T1の前に、236、230、252及び232を除いて、全てオフにされ、システムは低電力モードにある。時間T1において、ENは、PWMコンパレータ226及び228、及びランプ生成器224及び216、222、220、218、238をアクティブにするため高に向かう。また、時間T1において、プリチャージ電圧生成器238及び電流感知218は、目標VEA、CSENSE、及びCEA電圧に向かってランプアップする。PWMコンパレータ226及び228は、T1において、回路200により生成されている電力を、高電力モードで生成される目標電力に向けてランプアップさせ始める。
【0032】
時間T2において、電圧VEA、CSENSE、及びCEA電圧の全てがそれらの目標値で整定するときLPM_RELEASEが低に向かう。また、T2において、回路200を高電力モードにおくため、スイッチS1が閉じられ、スイッチS2、S3、及びS4が開かれる。電流ループ248及び電圧ループ240は、目標電圧及び目標電流レベルにおけるVOUTにおいて電力を維持する制御を引き継ぐ。
【0033】
時間T3において、回路200の低電力モードをディセーブルするためにLPM_ENが低に向かい、これは、プリチャージ電圧生成器238及び低電力モードコントローラ230をディセーブルする。T3において、回路200は、遷移期間を完了し、高電力モードで動作する。
【0034】
上述の構造的及び上述した機能的特徴を考慮して、例示の実施例の種々の態様に従った方法が
図4を参照して記載されている。説明を簡潔にするため、
図4の方法は、順次実行するように示され説明されたが、例示の実施例は、例示される順に限定されず、幾つかの態様が異なる順で、及び/又は本明細書において示され記載される他の態様と同時に生じ得る。また、或る方法を実装するために図示した全ての特徴が必要とされるわけではない。例示の実施例の一態様に従った。また、説明を簡潔にするため、
図4の方法は、(たとえ本明細書において記載されていない場合でも)付加的な機能的特徴を含み得、
図4は、本願において例示される例を参照して説明される。
【0035】
図4は、
図1及び
図2に示すシステム100及び回路200の低電力モードから高電力モードへスムーズに遷移するための方法400の一例を図示する。402において、方法400は出力信号を提供する。電力段116及び236は、スイッチング信号に応答して出力信号を提供する。電力段116及び236は、低電力モードコントローラ118及び230からスイッチング信号を受信する。404において、方法400は、出力信号を監視する。出力信号、V
OUTにおける電圧及び/又は電流は、フィードバックループ120で監視される。上述したように、フィードバックループ120は、電圧フィードバックループ240、電流フィードバックループ248、又は電圧フィードバックループ240及び電流フィードバックループ248の両方を含み得る。
【0036】
406において、方法400は、フィードバック誤差信号を提供する。フィードバックループ120は、出力信号VOUTレギュレートするためデューティサイクルを調節するために用いられるフィードバック誤差信号を提供する。フィードバック誤差信号は、VOUTにおいて利用可能な電圧における誤差の量を表す電圧フィードバック誤差、及び、高電力モードの間、VOUTにおいて生成される電流における誤差の量を表す電流フィードバック誤差のうち少なくとも一つを含む。408において、方法400はフィードバックループ120をディセーブルする。低電力モードコントローラ118は、低電力モードの間、フィードバックループ120、240、及び248をディセーブルする。従って、フィードバックループ120、240、及び248により生成されるフィードバック誤差信号は、低電力モードにおいてディセーブルされる。
【0037】
410に進み、方法400は、スイッチング信号を一時的に供給する。低電力モードコントローラ118及び230は、低電力モードの間、スイッチング信号を電力段116に一時的に供給する。412において、方法400は、シミュレートされたフィードバック誤差信号を一時的に提供する。シミュレートされたフィードバック誤差生成器114、電流感知218、及びプリチャージ電圧生成器238は、低電力モードからの遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差信号をスイッチング電源に提供し、低電力モードコントローラ118は、フィードバック誤差信号に関連する回路要素が遷移してフィードバック誤差信号の提供に戻るまで、遷移期間の間、シミュレートされたフィードバック誤差生成器114、電流感知218、及びプリチャージ電圧生成器238をイネーブルする。
【0038】
414において、方法400は、フィードバック誤差信号の生成に切り替わる。高電力モードにおいて、電流ループ増幅器220は、フィードバック誤差信号を生成するためアクティブにされる。その後、416において、方法400は、低電力モードコントローラ118、及びシミュレートされたフィードバック誤差生成器114、電流感知218、及びプリチャージ電圧生成器238により生成されるシミュレートされたフィードバック誤差信号をディセーブルする。
【0039】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。