(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230612BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230612BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20230612BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230612BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/01 560
G06F3/0488
G06F3/044 B
G06F3/03 400F
(21)【出願番号】P 2022097987
(22)【出願日】2022-06-17
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山▲ざき▼ 充弘
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-067618(JP,A)
【文献】特開2019-066960(JP,A)
【文献】特開2014-222488(JP,A)
【文献】特開2014-112357(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078523(WO,A1)
【文献】特開平6-332609(JP,A)
【文献】中国実用新案第214670510(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041- 3/047
G06F 3/01
G06F 3/048- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生器を有するペンと、
表示部と、
前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部と、
前記画面上に接触している前記ペンが傾いている前記画面上の方向を示すペン角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部が検出した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した前記振動波形信号により前記振動発生器を振動させるペン振動制御部と
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記ペン振動制御部は、
前記ペン角度が示す方向に対する前記移動方向を示す方位角に基づいて、前記振動波形信号を生成する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ペン振動制御部は、
予め設定した角度の異なる複数の基準方位角のそれぞれに対応した基準振動波形情報と、前記方位角とに基づいて、前記振動波形信号を生成する
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ペン振動制御部は、
前記方位角に応じて、複数の前記基準振動波形情報のそれぞれの振幅を変更した合成処理を実行して、前記振動波形信号を生成する
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記ペン振動制御部は、
予め設定した角度の異なる複数の基準方位角のそれぞれに対応したフィルタ係数のセットと、前記方位角とに基づいて、前記振動波形信号の基準となるベース波形信号をフィルタ処理して、前記振動波形信号を生成する
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ペン振動制御部は、
前記方位角に応じて、前記振動波形信号の基準となるベース波形信号の振幅を変更して、前記振動波形信号を生成する
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ペン振動制御部は、
前記画面上に接触する前記ペンの接触圧力と、前記ペンの移動速度とに応じて、前記振動波形信号の振幅を変更する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記表示部、前記タッチセンサ部、前記角度検出部、及び前記ペン振動制御部を備える情報処理装置を備え、
前記情報処理装置は、前記振動波形信号を前記ペンに送信し、
前記振動発生器は、前記情報処理装置から受信した前記振動波形信号に基づいて振動する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記表示部、前記タッチセンサ部、及び前記角度検出部を備える情報処理装置を備え、
前記ペンは、前記振動発生器、及び前記ペン振動制御部を備え、
前記情報処理装置は、前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とを前記ペンに送信し、
前記ペン振動制御部は、前記情報処理装置から受信した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
表示部と、
振動発生器を有するペンの前記表示部の画面上における接触位置を検出するタッチセンサ部と、
前記画面上に接触している前記ペンが傾いている前記画面上の方向を示すペン角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部が検出した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した前記振動波形信号により前記振動発生器を振動させるペン振動制御部と
を備える情報処理装置。
【請求項11】
振動発生器を有するペンと、表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部とを備える情報処理システムの制御方法であって、
角度検出部が、前記画面上に接触している前記ペンが傾いている前記画面上の方向を示すペン角度を検出するステップ、
ペン振動制御部が、前記角度検出部が検出した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した前記振動波形信号により前記振動発生器を振動させるステップと
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペンによる手書き入力が可能なタブレット端末などの情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような情報処理装置では、例えば、タッチスクリーンの画面に、ペンを接触させて移動することで、手書き入力によるペンの移動軌跡などの入力情報を取得可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術では、スタイラスペンなどペンを、画面に接触させて移動することにより、文字入力や描画を行うため、本物の紙と筆記具とを用いた場合とは書き心地や質感が異なり、使い勝手が悪いという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる情報処理システム、情報処理装置、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、振動発生器を有するペンと、表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部と、前記画面上に接触している前記ペンが傾いている前記画面上の方向を示すペン角度を検出する角度検出部と、前記角度検出部が検出した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した前記振動波形信号により前記振動発生器を振動させるペン振動制御部とを備える情報処理システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記ペン振動制御部は、前記ペン角度が示す方向に対する前記移動方向を示す方位角に基づいて、前記振動波形信号を生成するようにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記ペン振動制御部は、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角のそれぞれに対応した基準振動波形情報と、前記方位角とに基づいて、前記振動波形信号を生成するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記ペン振動制御部は、前記方位角に応じて、複数の前記基準振動波形情報のそれぞれの振幅を変更した合成処理を実行して、前記振動波形信号を生成するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記ペン振動制御部は、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角のそれぞれに対応したフィルタ係数のセットと、前記方位角とに基づいて、前記振動波形信号の基準となるベース波形信号をフィルタ処理して、前記振動波形信号を生成するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記ペン振動制御部は、前記方位角に応じて、前記振動波形信号の基準となるベース波形信号の振幅を変更して、前記振動波形信号を生成するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記ペン振動制御部は、前記画面上に接触する前記ペンの接触圧力と、前記ペンの移動速度とに応じて、前記振動波形信号の振幅を変更するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記表示部、前記タッチセンサ部、前記角度検出部、及び前記ペン振動制御部を備える情報処理装置を備え、前記情報処理装置は、前記振動波形信号を前記ペンに送信し、前記振動発生器は、前記情報処理装置から受信した前記振動波形信号に基づいて振動するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記表示部、前記タッチセンサ部、及び前記角度検出部を備える情報処理装置を備え、前記ペンは、前記振動発生器、及び前記ペン振動制御部を備え、前記情報処理装置は、前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とを前記ペンに送信し、前記ペン振動制御部は、前記情報処理装置から受信した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様は、表示部と、振動発生器を有するペンの前記表示部の画面上における接触位置を検出するタッチセンサ部と、前記画面上に接触している前記ペンが傾いている前記画面上の方向を示すペン角度を検出する角度検出部と、前記角度検出部が検出した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した前記振動波形信号により前記振動発生器を振動させるペン振動制御部とを備える情報処理装置である。
【0016】
また、本発明の一態様は、振動発生器を有するペンと、表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部とを備える情報処理システムの制御方法であって、角度検出部が、前記画面上に接触している前記ペンが傾いている前記画面上の方向を示すペン角度を検出するステップ、ペン振動制御部が、前記角度検出部が検出した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した前記振動波形信号により前記振動発生器を振動させるステップとを含む制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様によれば、ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施形態による情報処理システムの一例を示す外観図である。
【
図2】第1の実施形態による情報処理システムの主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態による情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態におけるペン角度の一例を説明する図である。
【
図5】第1の実施形態における方位角の一例を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態における基準波形情報記憶部のデータ例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態における合成テーブル記憶部のデータ例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態における振動波形信号の生成処理の一例を説明する図である。
【
図9】第1の実施形態によるタブレット端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態による情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】第2の実施形態におけるフィルタ情報記憶部のデータ例を示す図である。
【
図12】第2の実施形態における振動波形信号の生成処理の一例を説明する図である。
【
図13】第2の実施形態によるタブレット端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第3の実施形態による情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】第3の実施形態における振動波形信号の生成処理の一例を説明する図である。
【
図16】第3の実施形態における振動波形信号の生成処理の一例を説明する図である。
【
図17】第4の実施形態による情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態による情報処理システム、情報処理装置、及び制御方法について、図面を参照して説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による情報処理システム100の一例を示す外観図である。
図1に示すように、情報処理システム100は、タブレット端末1と、ペン30とを備える。なお、本実施形態において、情報処理装置の一例として、タブレット端末1について説明する。
【0021】
タブレット端末1は、筐体CS1の片方の主面に、タッチスクリーン20が設置されており、ペン30を用いて、例えば、メモ帳、描画などのアプリケーションプログラムを実行させる。
【0022】
タッチスクリーン20は、表示部21と、タッチセンサ部22とを備え、表示部21は、表示画面DFに各種情報を表示する。
タッチセンサ部22は、表示部21に重ねて配置されており、ペン30が、表示部21の表示画面DFに接触することを検出するとともに、ペン30の接触位置を検出する。また、タッチセンサ部22は、ペン30の表示画面DFに接した際のペン30の角度を示すペン角度を検出可能である。ここでのペン角度は、画面DF上に接触しているペン30が傾いている画面DF上の方向を示す。
なお、タッチスクリーン20、表示部21、及びタッチセンサ部22の詳細については、後述する。
【0023】
次に、
図2を参照して、情報処理システム100の主要なハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態による情報処理システム100の主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0024】
図2に示すように、情報処理システム100は、タブレット端末1とペン30とを備える。また、タブレット端末1は、プロセッサ11と、メインメモリ12と、フラッシュメモリ13と、タッチスクリーン20と、周辺デバイス23と、オーディオシステム24と、マイク25と、スピーカ26と、ベースバンドチップ27と、無線部28と、無線通信部29とを備える。
【0025】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むアプリケーションプロセッサである。プロセッサ11は、タブレット端末1の全体を制御する。
【0026】
メインメモリ12は、プロセッサ11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS(Operating System:オペレーティングシステム)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(アプリケーションソフトウェア)、等が含まれる。
【0027】
フラッシュメモリ13は、例えば、フラッシュEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)であり、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションということがある)、及び各種データを記憶する。
【0028】
表示部21は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであり、プロセッサ11から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0029】
タッチセンサ部22は、表示部21の画面上におけるペン30の操作媒体の位置と、ペン30の画面上への接触と、ペン角度を検出する。タッチセンサ部22は、例えば、30が備える共振回路LC1を利用して、表示部21の画面に対して所定の距離以内に接近したことを検出し、非接触で、画面上におけるペン30の位置を検出可能である。また、タッチセンサ部22は、ペン30の共振回路LC1を利用することで、ペン30の角度を示すペン角度を検出可能である。
タッチセンサ部22は、接触検出部221と、ペン検出部222とを備える。
【0030】
接触検出部221は、例えば、静電容量式のタッチセンサであり、表示部21の画面DFに接触したペン30などを検出するとともに、ペン30が接触している位置を検出する。また、接触検出部221は、画面DFに接触しているペン30の接触圧力を検出する。
【0031】
ペン検出部222は、例えば、電磁誘導方式のタッチセンサであり、ペン30の共振回路LC1を利用して、非接触により、ペン30の表示部21の画面上の位置を検出する。ペン検出部222は、例えば、ペン30が表示部21の表示画面DFに接した際のペン角度を検出可能である。なお、ペン角度の詳細については後述する。
【0032】
周辺デバイス23は、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)モジュール、GPS(Global Positioning System)モジュール、及び加速度センサなどのセンサ類、等である。
【0033】
オーディオシステム24は、例えば、オーディオIC(Integrated Circuit)であり、音データの入力、記録、再生、出力を行う。オーディオシステム24には、例えば、マイク25と、スピーカ26とが接続されている。オーディオシステム24は、例えば、マイク25が収音した音データを、プロセッサ11又はベースバンドチップ27に出力する。また、オーディオシステム24は、例えば、プロセッサ11又はベースバンドチップ27から取得した音データを音信号に変換して、スピーカ26に出力する。
【0034】
マイク25は、タブレット端末1の周辺の音を収音する。マイク25は、例えば、他の端末と音声融和する際に、利用者の音声等の音を収音する。
スピーカ26は、タブレット端末1の外部に、各種音を出力する。スピーカ26は、例えば、他の端末と音声融和する際に、他の端末から受信した音を出力(放音)する。
【0035】
ベースバンドチップ27は、例えば、4G(第4世代移動通信システム)や5G(第4世代移動通信システム)などの無線通信を制御する専用ICである。ベースバンドチップ27は、例えば、無線部28を用いて受信した音声データを、オーディオシステム24を介して、スピーカ26に出力させる。また、ベースバンドチップ27は、例えば、マイク25から収音した音データを、オーディオシステム24を介して取得し、無線部28を用いて、移動通信システムにより出力させる。また、ベースバンドチップ27は、移動通信システムによるデータ通信の入出力データを、プロセッサ11との間でデータ通信する。
【0036】
無線部28は、移動通信システムによる無線通信を行うための、アンテナを含む無線通信デバイスである。
無線通信部29は、例えば、Bluetooth(登録商標)モジュールであり、ペン30との間で無線通信を行う。無線通信部29は、例えば、後述する振動波形信号を、ペン30に送信する。
【0037】
ペン30は、ペン形状の操作媒体であり、例えば、タッチペン、スタイラスペンなどである。ペン30は、共振回路LC1と、振動発生器31と、無線通信部32と、MCU33とを備える。ペン30は、共振回路LC1のコイルへの電磁誘導により、表示部21の画面上におけるペン30の位置やペン角度で検出可能に構成されている。
【0038】
振動発生器31は、例えば、ピエゾ素子などの圧電振動子を用いて振動を発生する発生器である。振動発生器31は、ペン30を使用する際の振動を発生するとともに、ペン30の使用音を発生するスピーカであってもよい。振動発生器31は、後述するMCU33から供給される振動波形信号により、振動を発生する。
【0039】
無線通信部29は、例えば、Bluetooth(登録商標)モジュールであり、タブレット端末1とペンとの間で無線通信を行う。無線通信部29は、タブレット端末1から、例えば、振動波形信号を受信し、受信した振動波形信号をMCU33に供給する。
【0040】
MCU(Micro Controller Unit)33は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、I/O関連などを備え、ペン30を統括的に制御する。MCU33は、無線通信部29が受信した振動波形信号を、振動発生器31に供給して、振動波形信号に基づく振動(又は音)を振動発生器31に発生させる。
【0041】
次に、
図3を参照して、本実施形態による情報処理システム100の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態による情報処理システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
図3に示すように、情報処理システム100は、タブレット端末1とペン30とを備え、タブレット端末1は、制御部10と、タッチスクリーン20と、記憶部40と、無線通信部29とを備える。
【0043】
タッチスクリーン20は、表示部21と、タッチセンサ部22とを備える。
タッチセンサ部22は、ペン角度検出部220を備える。
【0044】
ペン角度検出部220(角度検出部の一例)は、例えば、ペン検出部222により実現され、ペン30の共振回路LC1と、ペン検出部222の電磁誘導機能とを利用して、ペン30が画面上に接触した際のペンの角度であるペン角度を検出する。ここで、
図4を参照して、ペン角度について説明する。
【0045】
図4は、本実施形態におけるペン角度の一例を説明する図である。
図4に示すように、ペン角度検出部220が検出するペン角度θ1は、画面DF上に接触しているペン30が傾いている画面DF上の方向を示す角度である。ペン角度θ1は、例えば、タブレット端末1の表示画面DFの短手方向をX軸方向、長手方向をY軸方向とした場合の基準となる方位(例えば、Y軸方向)からのXY平面におけるペン30の角度を示している。
ペン角度検出部220は、
図4に示すようなペン角度θ1を検出して、制御部10に出力する。
【0046】
なお、本実施形態による情報処理システム100では、上述したペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに基づく方位角に応じて、振動波形信号を変更する。
ここで、一旦、
図5を参照して、本実施形態の方位角について説明する。
【0047】
図5は、本実施形態における方位角θ3の一例を説明する図である。
図5は、画面DFを真上から見た状態を示しており、
図5において、描画線LN1は、ペン30の移動軌跡を示し、移動方向MD1は、ペン30の移動方向を示している。
【0048】
方位角θ3は、ペン角度θ1が示す方向に対する移動方向MD1を示す。
図5に示す例では、画面DFの基準方向であるY軸方向に対する移動方向MD1の角度θ2とすると、方位角θ3は、下記の式(1)に示すように、角度θ2からペン角度θ1を減算した角度の絶対値となる。
【0049】
方位角θ3=ABS(移動方向の角度θ2-ペン角度θ1) ・・・ (1)
なお、方位角θ3は、0度~180度の劣角である。
【0050】
図3の説明に戻り、記憶部40は、例えば、メインメモリ12又はフラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、基準波形情報記憶部41と、合成テーブル記憶部42とを備える。
【0051】
基準波形情報記憶部41は、フラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角(例えば、0度、45度、90度、135度、180度)のそれぞれに対応した基準振動波形情報を記憶する。ここで、基準方位角は、予め設定した基準となる方位角θ3である。また、基準振動波形情報は、実際に基準方位角における実物の筆記具(ペン、等)と紙とによる筆記具の振動波形をサンプリングした波形情報である。基準波形情報記憶部41は、基準方位角と、基準振動波形情報とを対応付けて記憶する。ここで、
図6を参照して、基準波形情報記憶部41のデータ例について説明する。
【0052】
図6は、本実施形態における基準波形情報記憶部41のデータ例を示す図である。
図6に示すように、基準波形情報記憶部41は、基準方位角と、基準振動波形情報とを対応付けて記憶する。
【0053】
図6に示す例では、基準方位角が“0度”の場合に、基準振動波形情報が、“0度用基準波形情報”であることを示し、基準方位角が“45度”の場合に、基準振動波形情報が、“45度用基準波形情報”であることを示している。また、基準方位角が“90度”の場合に、基準振動波形情報が、“90度用基準波形情報”であることを示し、基準方位角が“135度”の場合に、基準振動波形情報が、“135度用基準波形情報”であることを示している。また、基準方位角が“180度”の場合に、基準振動波形情報が、“180度用基準波形情報”であることを示している。
【0054】
再び、
図3の説明に戻り、合成テーブル記憶部42は、フラッシュメモリ13により実現される記憶部である。合成テーブル記憶部42は、後述する方位角θ3に応じた基準波形情報の合成のためのテーブル情報を記憶する。ここで、
図7を参照して、合成テーブル記憶部42のデータ例について説明する。
【0055】
図7は、本実施形態における合成テーブル記憶部42のデータ例を示す図である。
図7に示すように、合成テーブル記憶部42は、方位角と基準振動波形の合成ボリュームとを対応付けた合成テーブルを記憶する。
図7において、基準振動波形の合成ボリュームは、0度、45度、90度、135度、及び180度の基準振動波形情報を合成する際のボリューム情報(%)を示している。
【0056】
例えば、方位角が“0度”の場合に、0度用基準波形情報を“100”(%)で、45度用基準波形情報~180度用基準波形情報を“0”(%)で合成することを示している。また、方位角が“10度”の場合に、0度用基準波形情報を“77.8”(%)で、45度用基準波形情報を“22.2”(%)で、90度用基準波形情報~180度用基準波形情報を“0”(%)で合成することを示している。
【0057】
再び、
図3の説明に戻り、制御部10は、例えば、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、OS(例えば、Android(登録商標)など)に基づく各種処理を実行する。制御部10は、入力処理部101と、表示処理部102と、ペン振動制御部110とを備える。
【0058】
入力処理部101は、プロセッサ11により実現される機能部である。入力処理部101は、例えば、タッチセンサ部22による入力を制御するデバイスドライバであり、タッチセンサ部22の入力によって、表示部21の画面DF上におけるペン30の位置や接触を検出する。入力処理部101は、検出したペン30の位置情報(位置座標)、等をOSに出力する。また、入力処理部101は、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1を取得して、例えば、OSを介してペン振動制御部110に出力する。
【0059】
表示処理部102は、プロセッサ11により実現される機能部である。表示処理部102、入力処理部101を介して検出したペン30の位置情報に基づいて、ペン30の移動軌跡を表示部21に表示させる。
【0060】
ペン振動制御部110は、プロセッサ11により実現される機能部である。ペン振動制御部110は、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した振動波形信号によりペン30の振動発生器31を振動させる。ペン振動制御部110は、ペン角度θ1が示す方向に対する移動方向を示す方位角θ3に基づいて、振動波形信号を生成する。ペン振動制御部110は、生成した振動波形信号を無線通信部29を介して、ペン30に送信して、振動発生器31を振動させる。
また、ペン振動制御部110は、方位角生成部111と、振動波形信号生成部112とを備える。
【0061】
方位角生成部111は、プロセッサ11により実現される機能部であり、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1と、ペン30の移動方向を示す角度θ2とに基づいて、
図5に示すように、方位角θ3を生成する。ペン振動制御部110は、具体的に、上述した式(1)により、方位角θ3を生成する。
【0062】
振動波形信号生成部112は、プロセッサ11により実現される機能部であり、方位角θ3に基づいて、振動波形信号を生成する。振動波形信号生成部112は、基準波形情報記憶部41が記憶する各基準方位角に対応する基準振動波形情報と、方位角θ3とに基づいて、振動波形信号を生成する。
【0063】
具体的に、振動波形信号生成部112は、各基準方位角に対応する基準振動波形情報と、合成テーブル記憶部42から取得した方位角θ3に対応する各基準振動波形の合成ボリューム(%)とに基づいて、各基準方位角に対応する基準振動波形情報を合成して、振動波形信号を生成する。ここで、
図8を参照して、本実施形態による振動波形信号の生成処理の詳細について説明する。
【0064】
図8は、本実施形態における振動波形信号の生成処理の一例を説明する図である。
ここでは、
図8に示す振動波形信号の生成処理の等価回路を用いて、ペン振動制御部110による振動波形信号の生成処理を説明する。
【0065】
図8において、0度用基準波形情報~180度用基準波形情報は、基準波形情報記憶部41が記憶する各基準方位角に対応する基準振動波形情報である。また、方位角θ3は、方位角生成部111によって、ペン角度θ1と移動方向の角度θ2とに基づいて生成された方位角であり、振動波形信号生成部112は、方位角θ3に基づいて、ボリュームの制御信号を生成する。すなわち、振動波形信号生成部112は、方位角θ3に対応する基準振動波形の合成ボリュームのパラメータを、合成テーブル記憶部42から取得し、当該合成ボリュームのパラメータを制御信号として出力する。
【0066】
振動波形信号生成部112は、例えば、方位角θ3が、10度である場合には、0度用基準波形情報を0.778倍し、45度用基準波形情報を0.222倍し、その他の基準振動波形情報を0倍して、加算して、ボリュームを調整した各基準振動波形情報を合成する。ここで、合成して生成した信号を合成信号とする。
【0067】
また、振動波形信号生成部112は、ペン30の画面DFへの接触圧力であるペン圧力と、ペン30の移動速度とに応じて、合成信号のボリュームを調整して、振動波形信号を出力する。振動波形信号生成部112は、例えば、ペン圧力が大きい程、ボリューム(振幅)が大きくなるように調整する。また、振動波形信号生成部112は、例えば、移動速度が大きい程、ボリューム(振幅)が大きくなるように調整する。
【0068】
このように、振動波形信号生成部112は、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角のそれぞれに対応した基準振動波形情報と、方位角θ3とに基づいて、振動波形信号を生成する。具体的に、振動波形信号生成部112は、方位角θ3に応じて、複数の基準振動波形情報(0度用基準波形情報~180度用基準波形情報)のそれぞれの振幅(ボリューム)を変更した合成処理を実行して、振動波形信号を生成する。
【0069】
ペン制御部50は、例えば、MCU33により実現される機能部であり、無線通信部32を介してタブレット端末1から受信した振動波形信号を、振動発生器31に送信して、ペン30を振動させる。
【0070】
次に、図面を参照して、本実施形態による情報処理システム100の動作について説明する。
図9は、本実施形態によるタブレット端末1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0071】
図9に示すように、タブレット端末1は、まず、画面DFにペン30が接触しているか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、制御部10のペン振動制御部110は、タッチセンサ部22の検出情報に基づいて、画面DFにペン30が接触しているか否かを判定する。ペン振動制御部110は、画面DFにペン30が接触している場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、ペン振動制御部110は、画面DFにペン30が接触していない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0072】
ステップS102において、ペン振動制御部110は、ペン座標データとペン角度θ1とを検出する。ペン振動制御部110は、入力処理部101を介して、接触検出部221及びペン検出部222により、ペン座標データ(ペン30の位置座標)を検出するとともに、ペン角度検出部220により、ペン角度θ1を検出する。
【0073】
次に、ペン振動制御部110は、ペン30の移動方向を検出する(ステップS103)。ペン振動制御部110は、例えば、過去のペン座標データと現在のペン座標データとに基づいて、ペン30の移動方向を検出する。
【0074】
次に、ペン振動制御部110は、ペン角度θ1と移動方向とから方位角θ3を算出する(ステップS104)。すなわち、ペン振動制御部110の方位角生成部111は、ペン角度θ1と、ペン30の移動方向を示す角度θ2とに基づいて、
図5に示すように、方位角θ3を生成する。ここで、方位角生成部111は、上述した式(1)を用いて、方位角θ3を算出する。
【0075】
次に、ペン振動制御部110は、方位角θ3に基づいて基準振動波形情報を合成して、振動波形信号を生成する(ステップS105)。ペン振動制御部110の振動波形信号生成部112は、上述した
図8に示すように、基準波形情報記憶部41が記憶する各基準方位角に対応する基準振動波形情報を、合成テーブル記憶部42から取得した方位角θ3に対応する合成ボリュームのパラメータにより、ボリュームを変更して合成して、振動波形信号を生成する。
【0076】
次に、ペン振動制御部110は、振動波形信号をペン30に送信して、ペン30の振動発生器31を振動させる(ステップS106)。ペン振動制御部110は、振動波形信号を無線通信部29を介して、ペン30に送信し、ペン30の振動発生器31を振動させる。ステップS106の処理後に、ペン振動制御部110は、処理をステップS101に戻す。
【0077】
以上説明したように、本実施形態による情報処理システム100は、ペン30と、表示部21と、タッチセンサ部22と、ペン角度検出部220(角度検出部)と、ペン振動制御部110とを備える。ペン30は、振動発生器31を有する。タッチセンサ部22は、表示部21の画面DF上におけるペン30の接触位置を検出する。ペン角度検出部220は、画面DF上に接触しているペン30が傾いている画面DF上の方向を示すペン角度θ1を検出する。ペン振動制御部110は、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した振動波形信号により振動発生器31を振動させる。
【0078】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、ペン30のペン角度θ1と移動方向に応じて、ペン30の振動が変化するため、ペン入力における書き心地及び質感の違和感を低減し、リアルな書き心地及び質感を実現できる。よって、本実施形態による情報処理システム100は、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態では、ペン振動制御部110は、ペン角度θ1が示す方向に対する移動方向を示す方位角θ3に基づいて、振動波形信号を生成する。
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、方位角θ3を利用することで、よりリアルな書き心地及び質感を実現できる。
【0080】
また、本実施形態では、ペン振動制御部110は、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角(例えば、0度、45度、90度、135度、180度)のそれぞれに対応した基準振動波形情報と、方位角θ3とに基づいて、振動波形信号を生成する。基準振動波形情報は、例えば、各基準方位角で、実際に測定(サンプリング)した振動波形情報である。
【0081】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、複数の基準方位角(例えば、0度、45度、90度、135度、180度)のそれぞれに対応した基準振動波形情報を用いて、振動波形信号を生成することにより、方位角θ3に応じて、より現実に近いリアルな振動波形信号を生成することができる。
【0082】
また、本実施形態では、方位角に応じて、複数の基準振動波形情報のそれぞれの振幅(例えば、ボリューム)を変更した合成処理を実行して、振動波形信号を生成する。
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、基準振動波形情報の振幅(例えば、ボリューム)を変更した合成処理という簡易な手法により、より現実に近いリアルな振動波形信号を生成することができる。
【0083】
また、本実施形態では、ペン振動制御部110は、画面DF上に接触するペン30の接触圧力と、ペン30の移動速度とに応じて、振動波形信号の振幅(例えば、ボリューム)を変更するようにしてもよい。ペン振動制御部110は、例えばb、接触圧力が高い程、振動波形信号の振幅(例えば、ボリューム)を高く変更し、移動速度が速い程、動波形信号の振幅(例えば、ボリューム)を高く変更する。
【0084】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、ペン30の接触圧力及び移動速度に応じて、ペン30の振動を変更することができるため、さらに現実に近いリアルなペン30の書き心地及び質感を実現できる。
【0085】
また、本実施形態による情報処理システム100は、表示部21、タッチセンサ部22、ペン角度検出部220、及びペン振動制御部110を備えるタブレット端末1(情報処理装置)を備える。タブレット端末1(情報処理装置)は、振動波形信号をペン30に送信し、振動発生器31は、タブレット端末1(情報処理装置)から受信した振動波形信号に基づいて振動する。
【0086】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、タブレット端末1が、ペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した振動波形信号をペン30に送信して、振動発生器31を振動させるため、効率良く振動波形信号を生成することができる。
【0087】
また、本実施形態によるタブレット端末1(情報処理装置)は、表示部21と、タッチセンサ部22と、ペン角度検出部220(角度検出部)と、ペン振動制御部110とを備える。タッチセンサ部22は、振動発生器31を有するペン30の表示部21の画面DF上における接触位置を検出する。ペン角度検出部220は、画面DF上に接触しているペン30が傾いている画面DF上の方向を示すペン角度θ1を検出する。ペン振動制御部110は、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した振動波形信号により振動発生器31を振動させる。
【0088】
これにより、本実施形態によるタブレット端末1(情報処理装置)は、上述した情報処理システム100と同様の効果を奏し、ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態による制御方法は、振動発生器31を有するペン30と、表示部21と、表示部21の画面DF上におけるペン30の接触位置を検出するタッチセンサ部22とを備える情報処理システム100の制御方法であって、ペン角度検出ステップと、ペン振動制御ステップとを含む。ペン角度検出ステップにおいて、ペン角度検出部220(角度検出部)が、画面DF上に接触しているペン30が傾いている画面DF上の方向を示すペン角度θ1を検出する。ペン振動制御ステップにおいて、ペン振動制御部110が、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した振動波形信号により振動発生器31を振動させる。
【0090】
これにより、本実施形態による制御方法は、上述した情報処理システム100及びタブレット端末1と同様の効果を奏し、ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0091】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による情報処理システム100a及びタブレット端末1aについて説明する。
本実施形態では、振動波形信号の生成処理が異なる変形例について説明する。本実施形態による情報処理システム100aでは、アダプテットフィルタ処理により、振動波形信号を生成する。
【0092】
図10は、第2の実施形態による情報処理システム100aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように、情報処理システム100aは、タブレット端末1aとペン30とを備え、タブレット端末1aは、制御部10aと、タッチスクリーン20と、記憶部40aと、無線通信部29とを備える。
【0093】
なお、本実施形態による情報処理システム100aの外観図及びハードウェア構成は、上述した
図1及び
図2に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、
図10において、上述した
図3と同一の構成には同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0094】
記憶部40aは、例えば、メインメモリ12又はフラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、ベース波形記憶部43と、フィルタ情報記憶部44と、処理テーブル記憶部45とを備える。
【0095】
ベース波形記憶部43は、フラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、本実施形態の振動波形信号の生成に使用するベース波形信号を記憶する。本実施形態では、ベース波形信号をフィルタ処理することで、振動波形信号が生成される。
【0096】
フィルタ情報記憶部44は、フラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角(例えば、0度、45度、90度、135度、180度)のそれぞれに対応したフィルタ情報を記憶する。
【0097】
ここで、フィルタ情報は、実際に基準方位角における実物の筆記具(ペン、等)と紙とによる筆記具の振動波形を再現するためのフィルタ情報であり、例えば、各周波数成分の係数パラメータであり、フィルタ係数のセットである。フィルタ情報は、実際に基準方位角における実物の筆記具(ペン、等)と紙とによる筆記具の振動波形を計測(サンプリング)した上で、解析(例えば、周波数解析)することにより得られる。
【0098】
フィルタ情報記憶部44は、基準方位角と、フィルタ情報とを対応付けて記憶する。ここで、
図11を参照して、フィルタ情報記憶部44のデータ例について説明する。
【0099】
図11は、本実施形態におけるフィルタ情報記憶部44のデータ例を示す図である。
図11に示すように、フィルタ情報記憶部44は、基準方位角と、フィルタ情報とを対応付けて記憶する。
【0100】
図11に示す例では、基準方位角が“0度”の場合に、フィルタ情報が、“0度用フィルタ情報”であることを示し、基準方位角が“45度”の場合に、フィルタ情報が、“45度用フィルタ情報”であることを示している。また、基準方位角が“90度”の場合に、フィルタ情報が、“90度用フィルタ情報”であることを示し、基準方位角が“135度”の場合に、フィルタ情報が、“135度用フィルタ情報”であることを示している。また、基準方位角が“180度”の場合に、フィルタ情報が、“180度用フィルタ情報”であることを示している。
【0101】
再び、
図10の説明に戻り、処理テーブル記憶部45は、フラッシュメモリ13により実現される記憶部である。処理テーブル記憶部45は、方位角θ3に応じたアダプテットフィルタ情報のためのテーブル情報を記憶する。処理テーブル記憶部45は
図7に示す合成テーブル記憶部42と同様に、方位角θ3に応じた各基準方位角のフィルタ情報の使用割合情報を記憶する。
【0102】
制御部10aは、例えば、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、OS(例えば、Android(登録商標)など)に基づく各種処理を実行する。制御部10aは、入力処理部101と、表示処理部102と、ペン振動制御部110aとを備える。
【0103】
ペン振動制御部110aは、プロセッサ11により実現される機能部である。ペン振動制御部110aは、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した振動波形信号によりペン30の振動発生器31を振動させる。ペン振動制御部110aは、方位角生成部111と、振動波形信号生成部112aとを備える。
【0104】
振動波形信号生成部112aは、プロセッサ11により実現される機能部であり、方位角θ3に基づいて、振動波形信号を生成する。振動波形信号生成部112aは、ベース波形記憶部43が記憶するベース波形信号と、フィルタ情報記憶部44が記憶する各基準方位角に対応するフィルタ情報と、方位角θ3とに基づいて、振動波形信号を生成する。
【0105】
具体的に、振動波形信号生成部112aは、各基準方位角に対応するフィルタ情報と、処理テーブル記憶部45から取得した方位角θ3に対応する各フィルタ情報の割合情報とに基づいて、ベース波形信号を各基準方位角に対応するフィルタ情報でフィルタ処理(アダプテットフィルタ処理)して、振動波形信号を生成する。ここで、
図12を参照して、本実施形態による振動波形信号の生成処理の詳細について説明する。
【0106】
図12は、本実施形態における振動波形信号の生成処理の一例を説明する図である。
ここでは、
図12に示す振動波形信号の生成処理の等価回路を用いて、ペン振動制御部110aによる振動波形信号の生成処理を説明する。
【0107】
図12において、0度用フィルタ情報~180度用フィルタ情報は、フィルタ情報記憶部44が記憶する各基準方位角に対応するフィルタ情報である。また、方位角θ3は、方位角生成部111によって、ペン角度θ1と移動方向の角度θ2とに基づいて生成された方位角であり、振動波形信号生成部112aは、方位角θ3に基づいて、各基準方位角に対するフィルタ処理の制御信号を生成する。すなわち、振動波形信号生成部112aは、方位角θ3に対応する各フィルタ情報の割合情報のパラメータを、処理テーブル記憶部45から取得し、当該各フィルタ情報の割合情報のパラメータを制御信号として出力する。
【0108】
振動波形信号生成部112aは、方位角θ3に対応する各フィルタ情報の割合情報のパラメータに基づいて、各フィルタ処理を選択的に実行して、フィルタ処理後の波形信号を生成する。
【0109】
また、振動波形信号生成部112aは、ペン30の画面DFへの接触圧力であるペン圧力と、ペン30の移動速度とに応じて、フィルタ処理後の波形信号のボリュームを調整して、振動波形信号を出力する。振動波形信号生成部112aは、例えば、ペン圧力が大きい程、ボリューム(振幅)が大きくなるように調整する。また、振動波形信号生成部112aは、例えば、移動速度が大きい程、ボリューム(振幅)が大きくなるように調整する。
【0110】
このように、振動波形信号生成部112aは、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角のそれぞれに対応したフィルタ係数のセット(フィルタ情報)と、方位角θ3とに基づいて、振動波形信号の基準となるベース波形信号をフィルタ処理して振動波形信号を生成する。具体的に、振動波形信号生成部112aは、方位角θ3に応じて、複数のフィルタ情報(0度用フィルタ情報~180度用フィルタ情報)のそれぞれの割合を変更して、フィルタ処理を実行して、振動波形信号を生成する。
【0111】
次に、図面を参照して、本実施形態による情報処理システム100aの動作について説明する。
図13は、本実施形態によるタブレット端末1aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0112】
図13において、ステップS201からステップS204までの処理は、上述した
図9に示すステップS101からステップS104までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
ステップS205において、ペン振動制御部110aは、方位角θ3に基づいてベース波形信号をフィルタ処理を実行して振動波形信号を生成する。ペン振動制御部110aの振動波形信号生成部112aは、上述した
図12に示すように、フィルタ情報記憶部44が記憶する各基準方位角に対応するフィルタ情報(フィルタ係数のセット)を、処理テーブル記憶部45から取得した方位角θ3に対応するフィルタ処理の割合のパラメータにより、ベース波形信号をフィルタ処理して、振動波形信号を生成する。
【0113】
次に、ペン振動制御部110aは、振動波形信号をペン30に送信して、ペン30の振動発生器31を振動させる(ステップS206)。ステップS206の処理後に、ペン振動制御部110aは、処理をステップS201に戻す。
【0114】
以上説明したように、本実施形態による情報処理システム100aは、ペン30と、表示部21と、タッチセンサ部22と、ペン角度検出部220(角度検出部)と、ペン振動制御部110aとを備える。ペン振動制御部110aは、予め設定した角度の異なる複数の基準方位角のそれぞれに対応したフィルタ係数のセットと、方位角θ3とに基づいて、振動波形信号の基準となるベース波形信号をフィルタ処理して、振動波形信号を生成する。
【0115】
これにより、本実施形態による情報処理システム100aは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏し、ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0116】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による情報処理システム100b及びタブレット端末1bについて説明する。
本実施形態では、振動波形信号の生成処理が異なる変形例について説明する。本実施形態による情報処理システム100bでは、ベース波形信号のボリューム調整により、振動波形信号を生成する。
【0117】
図14は、第3の実施形態による情報処理システム100bの機能構成の一例を示すブロック図である。
図14に示すように、情報処理システム100bは、タブレット端末1bとペン30とを備え、タブレット端末1bは、制御部10bと、タッチスクリーン20と、記憶部40bと、無線通信部29とを備える。
【0118】
なお、本実施形態による情報処理システム100bの外観図及びハードウェア構成は、上述した
図1及び
図2に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、
図14において、上述した
図3と同一の構成には同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0119】
記憶部40bは、例えば、メインメモリ12又はフラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、ベース波形記憶部43と、ボリューム情報記憶部46とを備える。
【0120】
ボリューム情報記憶部46は、フラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、方位角θ3に応じて、ベース波形信号の振幅(ボリューム)を変更するための情報を記憶する。ボリューム情報記憶部46は、例えば、方位角θ3と、ボリューム情報とを対応付けて記憶する。ここで、ボリューム情報は、ベース波形信号の振幅(ボリューム)を変更するための情報の一例である。ボリューム情報は、方位角θ3が小さい程、振幅が小さくなるように、また、方位角θ3が大きい程、振幅が大きくなるように設定されている。
【0121】
制御部10bは、例えば、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、OS(例えば、Android(登録商標)など)に基づく各種処理を実行する。制御部10bは、入力処理部101と、表示処理部102と、ペン振動制御部110bとを備える。
【0122】
ペン振動制御部110bは、プロセッサ11により実現される機能部である。ペン振動制御部110bは、ペン角度検出部220が検出したペン角度θ1と、ペン30の移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した振動波形信号によりペン30の振動発生器31を振動させる。ペン振動制御部110bは、方位角生成部111と、振動波形信号生成部112bとを備える。
【0123】
振動波形信号生成部112bは、プロセッサ11により実現される機能部であり、方位角θ3に基づいて、振動波形信号を生成する。振動波形信号生成部112bは、ベース波形記憶部43が記憶するベース波形信号と、ボリューム情報記憶部46が記憶するボリューム情報と、方位角θ3とに基づいて、振動波形信号を生成する。
【0124】
具体的に、振動波形信号生成部112bは、ボリューム情報記憶部46から方位角θ3に対応するボリューム情報を取得し、ボリューム情報によりベース波形信号の振幅を変更して、振動波形信号を生成する。ここで、
図15を参照して、本実施形態による振動波形信号の生成処理の詳細について説明する。
【0125】
図15は、本実施形態における振動波形信号の生成処理の一例を説明する図である。
ここでは、
図15に示す振動波形信号の生成処理の等価回路を用いて、ペン振動制御部110bによる振動波形信号の生成処理を説明する。
【0126】
図15において、方位角θ3は、方位角生成部111によって、ペン角度θ1と移動方向の角度θ2とに基づいて生成された方位角であり、振動波形信号生成部112bは、方位角θ3に対応するボリュームの制御信号を生成する。すなわち、振動波形信号生成部112bは、方位角θ3に対応するボリューム情報を、ボリューム情報記憶部46から取得し、制御信号として出力する。
【0127】
振動波形信号生成部112bは、方位角θ3に対応するボリューム情報により、ベース波形信号のボリューム(振幅)を変更する。ここでは、振動波形信号生成部112bは、方位角θ3が大きい程、ボリューム(振幅)が大きくなるように変更する。
【0128】
また、振動波形信号生成部112bは、ペン30の画面DFへの接触圧力であるペン圧力と、ペン30の移動速度とに応じて、方位角θ3によりボリューム(振幅)を変更したベース波形信号のボリューム(振幅)をさらに調整して、振動波形信号を出力する。振動波形信号生成部112bは、例えば、ペン圧力が大きい程、ボリューム(振幅)が大きくなるように調整する。また、振動波形信号生成部112bは、例えば、移動速度が大きい程、ボリューム(振幅)が大きくなるように調整する。
このように、振動波形信号生成部112bは、方位角θ3に応じて、振動波形信号の基準となるベース波形信号の振幅を変更して、振動波形信号を生成する。
【0129】
次に、図面を参照して、本実施形態による情報処理システム100bの動作について説明する。
図16は、本実施形態によるタブレット端末1bの動作の一例を示すフローチャートである。
【0130】
図16において、ステップS301からステップS304までの処理は、上述した
図9に示すステップS101からステップS104までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
ステップS305において、ペン振動制御部110bは、方位角θ3に基づいてベース波形信号の振幅を変更して、振動波形信号を生成する。ペン振動制御部110bの振動波形信号生成部112bは、上述した
図15に示すように、ボリューム情報記憶部46が記憶する方位角θ3に対応するボリューム情報により、ベース波形信号の振幅(ボリューム)を変更して振動波形信号を生成する。
【0131】
次に、ペン振動制御部110bは、振動波形信号をペン30に送信して、ペン30の振動発生器31を振動させる(ステップS306)。ステップS306の処理後に、ペン振動制御部110bは、処理をステップS301に戻す。
【0132】
以上説明したように、本実施形態による情報処理システム100bは、ペン30と、表示部21と、タッチセンサ部22と、ペン角度検出部220(角度検出部)と、ペン振動制御部110bとを備える。ペン振動制御部110bは、方位角θ3に応じて、振動波形信号の基準となるベース波形信号の振幅を変更して、振動波形信号を生成する。
【0133】
これにより、本実施形態による情報処理システム100bは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏し、ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。なお、本実施形態による情報処理システム100bでは、ベース波形信号の振幅を変更するという簡易な手法により、ペン入力における書き心地や質感の違和感を適切に低減することができる。
【0134】
[第4の実施形態]
次に、図面を参照して、第4の実施形態による情報処理システム100c及びタブレット端末1cについて説明する。
本実施形態では、振動波形信号の生成処理をペン30aが実行する変形例について説明する。すなわち、本実施形態による情報処理システム100bでは、タブレット端末1cの代わりにペン30aが、振動波形信号を生成する。
【0135】
図17は、第4の実施形態による情報処理システム100cの機能構成の一例を示すブロック図である。
図17に示すように、情報処理システム100cは、タブレット端末1cとペン30aとを備え、タブレット端末1cは、制御部10cと、タッチスクリーン20と、記憶部40と、無線通信部29とを備える。また、ペン30aは、振動発生器31と、無線通信部32と、ペン制御部50aとを備える。
【0136】
なお、本実施形態による情報処理システム100cの外観図及びハードウェア構成は、上述した
図1及び
図2に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、
図17において、上述した
図3と同一の構成には同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0137】
制御部10cは、例えば、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、OS(例えば、Android(登録商標)など)に基づく各種処理を実行する。制御部10cは、ペン振動制御部110を備えずに、入力処理部101と、表示処理部102とを備える。
【0138】
ペン制御部50aは、例えば、MCU33により実現される機能部であり、制御部10cの代わりに、ペン振動制御部110を備える。また、ペン振動制御部110は、方位角生成部111と、振動波形信号生成部112とを備える。
【0139】
なお、ペン振動制御部110、方位角生成部111、及び振動波形信号生成部112の処理は、第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
本実施形態では、タブレット端末1c(制御部10c)は、ペン角度θ1と、ペン30aの移動方向とを、無線通信部29を介して、ペン30aに送信する。
【0140】
ペン30a(ペン制御部50a)のペン振動制御部110は、無線通信部32を介してタブレット端末1cから受信したペン角度θ1と、ペン30aの移動方向とに応じた振動波形信号を生成する。なお、ペン振動制御部110は、振動波形信号を生成する際に、無線通信部32を介して、基準波形情報記憶部41及び合成テーブル記憶部42が記憶する情報を、タブレット端末1c(制御部10c)から取得する。
ペン制御部50aは、生成した振動波形信号を、振動発生器31に送信して、ペン30を振動させる。
【0141】
以上説明したように、本実施形態による情報処理システム100cは、タブレット端末1c(情報処理装置)と、ペン30aとを備える。タブレット端末1cは、表示部21、タッチセンサ部22、及びペン角度検出部220を備える。ペン30aは、振動発生器31、及びペン振動制御部110を備える。タブレット端末1cは、ペン角度θ1と、ペン30aの移動方向とをペン30aに送信する。ペン振動制御部110は、タブレット端末1cから受信したペン角度θ1と、ペン30aの移動方向とに応じた振動波形信号を生成する。
【0142】
これにより、本実施形態による情報処理システム100cは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏し、ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
また、本実施形態による情報処理システム100cは、ペン30aが、振動波形信号を生成するため、タブレット端末1cの処理負荷を低減させることができる。
【0143】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、情報処理装置が、タブレット端末1(1a、1b、1c)である例を説明したが、これに限定されるものではない。情報処理装置は、例えば、スマートフォンやタブレットモードを備えるノートブック型パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0144】
また、上記の各実施形態において、使用するOSの一例として、Android(登録商標)を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、iOS(登録商標)などの他のOSに適用してもよい。
【0145】
また、上記の各実施形態において、ペン角度θ1として、画面DF上に接触しているペン30(30a)が傾いている画面DF上の方向の角度を用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。ペン振動制御部110(110a、110b)は、振動波形信号の生成処理に、ペン30(30a)の仰角を用いてもよい。
【0146】
また、上記の各実施形態において、ペン振動制御部110(110a、110b)は、振動波形信号の生成処理をソフトウェア処理を用いたデジタル信号処理を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、アナログ回路を用いて実現されてもよい。
【0147】
また、上記の第1及び第2の実施形態において、基準振動波形情報、及びフィルタ情報は、0度、45度、90度、135度、180度の5つの基準方位角に対応するものを用いたが、これに限定されるものではなく、5つ以外の複数の基準方位角を用いてもよい。
【0148】
また、上記の第1及び第4の実施形態において、基準振動波形情報は、種類の異なる筆記具(例えば、ペン、鉛筆など)と種類の異なる紙との組む合わせに応じて、複数用意され、複数のうちから選択して使用するようにしてもよい。これにより、情報処理システム100は、筆記具と紙との組み合わせに応じてさらにリアルな書き心地や質感を実現できる。
【0149】
また、上記の第2の実施形態において、フィルタ情報は、種類の異なる筆記具(例えば、ペン、鉛筆など)と種類の異なる紙との組む合わせに応じて、複数用意され、複数のうちから選択して使用するようにしてもよい。これにより、情報処理システム100aは、筆記具と紙との組み合わせに応じてさらにリアルな書き心地や質感を実現できる。
【0150】
また、上記の第2及び第3の実施形態において、ベース波形信号は、種類の異なる筆記具(例えば、ペン、鉛筆など)と種類の異なる紙との組む合わせに応じて、複数用意されてもよい。
【0151】
また、上記の第4の実施形態において、第1の実施形態に対して適用する例を説明したが、第2及び第3の実施形態に対して適用してもよい。
また、上記の第4の実施形態において、記憶部40の一部又は全部の記憶部をペン30aが備えるようにしてもよい。
また、上記の第4の実施形態において、ペン振動制御部110の一部を、ペン30aが備えるようにしてもよい。
【0152】
なお、上述した情報処理システム100(100a、100b、100c)が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理システム100(100a、100b、100c)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理システム100(100a、100b、100c)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0153】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0154】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理システム100(100a、100b、100c)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0155】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0156】
1 タブレット端末
10 制御部
11 プロセッサ
12 メインメモリ
13 フラッシュメモリ
20 タッチスクリーン
21 表示部
22 タッチセンサ部
23 周辺デバイス
24 オーディオシステム
25 マイク
26 スピーカ
27 ベースバンドチップ
28 無線部
29、32 無線通信部
30 ペン
31 振動発生器
33 MCU
40、40a、40b 記憶部
41 基準波形情報記憶部
42 合成テーブル記憶部
43 ベース波形記憶部
44 フィルタ情報記憶部
45 処理テーブル記憶部
46 ボリューム情報記憶部
50 ペン制御部
101 入力処理部
102 表示処理部
110 ペン振動制御部
111 方位角生成部
112、112a、112b 振動波形信号生成部
220 ペン角度検出部
221 接触検出部
222 ペン検出部
LC1 共振回路
【要約】
【課題】ペン入力における書き心地や質感の違和感を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上する。
【解決手段】情報処理システムは、振動発生器を有するペンと、表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部と、前記画面上に接触している前記ペンが傾いている前記画面上の方向を示すペン角度を検出する角度検出部と、前記角度検出部が検出した前記ペン角度と、前記ペンの移動方向とに応じた振動波形信号を生成し、生成した前記振動波形信号により前記振動発生器を振動させるペン振動制御部とを備える。
【選択図】
図3