(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20230612BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230612BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
H02J7/35 A
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/38 130
(21)【出願番号】P 2022182953
(22)【出願日】2022-11-15
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】202210363018.2
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】李 楽穎
(72)【発明者】
【氏名】鄒 祖冰
(72)【発明者】
【氏名】李 偉
(72)【発明者】
【氏名】劉 瑞闊
(72)【発明者】
【氏名】姚 維為
(72)【発明者】
【氏名】谷 ▲ユウ▼君
(72)【発明者】
【氏名】呉 海飛
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-054085(JP,A)
【文献】特開2018-026924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233679(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102208818(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104377724(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109066797(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 3/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法であって、
太陽光発電系統連系電力を収集するステップと、
前記太陽光発電系統連系電力に基づいて太陽光発電出力変動率を決定するステップと、
前記太陽光発電出力変動率を予め設定された閾値と比較し、前記太陽光発電出力変動率と前記予め設定された閾値との第1比較結果を得るステップと、
前記第1比較結果に基づいて電池充電モードを制御するステップと、を含み、
前記第1比較結果に基づいて電池充電モードを制御する前記ステップは、
前記第1比較結果として前記太陽光発電出力変動率が前記予め設定された閾値以上である場合、発電機で電池を充電するステップと、
前記第1比較結果として前記太陽光発電出力変動率が前記予め設定された閾値未満である場合、太陽光発電出力電力を目標出力電力と比較し、太陽光発電出力電力と目標出力電力との第2比較結果を得るステップと、
前記第2比較結果に基づいて、太陽光発電及び/又はエンジンで電池を充電することを含む電池充電モードを決定するステップと、を含み、
前記第2比較結果に基づいて、電池充電モードを決定する前記ステップは、
前記第2比較結果として前記太陽光発電出力電力が目標出力電力よりも大きい場合、太陽光発電出力余裕電力量を電池セル補充必要電力量と比較し、太陽光発電出力余裕電力量と電池セル補充必要電力量との第3比較結果を得るステップと、
第3比較結果に基づいて、前記電池充電モードが、太陽光発電又は太陽光発電と発電機で電池を充電することであると決定するステップと、
前記第2比較結果として前記太陽光発電出力電力が目標出力電力以下である場合、前記電池充電モードが発電機で電池を充電することであると決定するステップと、を含み、
太陽光発電又は太陽光発電と発電機で電池を充電する前記ステップは、
前記電池は複数の電池セルを含み、前記電池セルの残量を含む電池セル情報を収集するステップと、
前記電池セル残量を予め設定された残量と比較し、前記電池セル残量が前記予め設定された残量よりも低いか否かを判断するステップと、
前記電池セル残量が前記予め設定された残量よりも低い場合、電池セル補充必要電力量を前記電池セル残量と前記予め設定された残量との差として算出するステップと、
前記第3比較結果として前記太陽光発電出力余裕電力量が前記電池セル補充必要電力量以上である場合、太陽光発電で前記電池セルを充電するステップと、
前記第3比較結果として前記太陽光発電出力余裕電力量が前記電池セル補充必要電力量未満である場合、前記電池セル補充必要電力量と太陽光発電出力余裕電力量との差を算出し、太陽光発電と発電機で電池セルを充電するステップと、を含むことを特徴とする太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法。
【請求項2】
エネルギー貯蔵有効化状態情報、太陽光発電出力情報、調整可能マージン情報、現在の系統連系電力を取得するステップと、
前記エネルギー貯蔵有効化状態情報、前記太陽光発電出力情報、前記調整可能マージン情報、及び前記現在の系統連系電力に基づいて、エネルギー貯蔵実際出力値を決定するステップと、
前記第1比較結果として前記太陽光発電出力変動率が予め設定された閾値以上である場合、エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力を調整するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記エネルギー貯蔵有効化状態情報、前記太陽光発電出力情報、前記調整可能マージン情報、及び前記現在の系統連系電力に基づいて、エネルギー貯蔵実際出力値を決定する前記ステップは、
エネルギー貯蔵有効化状態情報としてエネルギー貯蔵セルが太陽光発電出力を有効化し得る場合、太陽光発電出力情報に基づいて現在のエネルギー貯蔵出力目標値を決定するステップと、
前記太陽光発電出力情報及び前記現在の系統連系電力に基づいて、太陽光発電出力に対する前記エネルギー貯蔵セルの平滑化方式を決定するステップと、
前記太陽光発電出力に対する前記エネルギー貯蔵セルの平滑化方式によって、前記現在のエネルギー貯蔵出力目標値と調整可能マージン情報に基づいて、エネルギー貯蔵実際出力値を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力を調整する前記ステップは、
前記エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力に電力平滑化を行い、太陽光発電出力電力を目標出力電力に達させるステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項5】
発電機で電池を充電する前記ステップは、
電池セル残量を含む電池セル情報を収集するステップであって、電池は複数の前記電池セルを含むステップと、
前記電池セル残量を予め設定された残量と比較し、前記電池セル残量が前記予め設定された残量よりも低いか否かを判断するステップと、
前記電池セル残量が前記予め設定された残量よりも低い場合、発電機で電池を充電するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
メモリと、プロセッサと、を含み、前記メモリと前記プロセッサは互いに通信可能に接続され、
前記メモリはコンピュータプログラムを記憶するために用いられ、前記コンピュータプログラムは前記プロセッサによって実行されると、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御方法を前記プロセッサに実行させることを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項7】
プロセッサによって実行されると請求項1~5のいずれか1項に記載の制御方法を実現するコンピュータ命令を記憶するために用いられることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新エネルギー分野に関し、具体的には、太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電の増加に伴い、使用中の弊害が徐々に明らかになってきた。その上、太陽光発電システムの電力出力の変動が大きいなどの要因による再生可能エネルギーの利用と普及に対する制限が日増しに深刻化することから、系統連系型太陽光発電システムにエネルギー貯蔵を配置することは現在の大規模エネルギー貯蔵システムの研究方向の1つとなっている。
【0003】
太陽光発電出力の平滑化を目的としたエネルギー貯蔵システムの配置方式では、太陽光発電側に集中型エネルギー貯蔵システムを配置することが一般的であり、従来の研究では、蓄電池パックとスーパーキャパシタを用いたハイブリッドエネルギー貯蔵システムが提案されており、さらに、それを利用して風力発電出力電力を平準化する制御方法が提案されている。提案された制御方法は、エネルギー貯蔵設備が単独で使用される場合の欠点をある程度解決し、補償過程においてグリッドディスパッチの需要を考慮して、風力発電システムの出力電力をよく平準化することもできる。
【0004】
しかし、従来技術では、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムにおける蓄電池パックとスーパーキャパシタからなるエネルギー貯蔵ユニットが、製造の偏差、異なる充放電条件の異常などの原因により、電池に過充電や過放電が生じ、電池の耐用年数が短くなるという問題を考慮していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、本発明が解決しようとする技術的課題は、過充電や過放電により電池の耐用年数が短くなるという従来技術の問題を解決するために、太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明で提供される太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法は、太陽光発電系統連系電力を収集するステップと、太陽光発電系統連系電力に基づいて太陽光発電出力変動率を決定するステップと、太陽光発電出力変動率を予め設定された閾値と比較し、太陽光発電出力変動率と予め設定された閾値との第1比較結果を得るステップと、第1比較結果に基づいて電池充電モードを制御するステップと、を含む。
【0007】
本発明で提供される太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法は、エネルギー貯蔵有効化状態情報、太陽光発電出力情報、調整可能マージン情報、及び現在の系統連系電力を取得するステップと、エネルギー貯蔵有効化状態情報、太陽光発電出力情報、調整可能マージン情報、及び現在の系統連系電力に基づいて、エネルギー貯蔵実際出力値を決定するステップと、第1比較結果として太陽光発電出力変動率が予め設定された閾値以上である場合、エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力を調整するステップと、をさらに含む。
【0008】
任意選択的に、エネルギー貯蔵有効化状態情報、太陽光発電出力情報、調整可能マージン情報、及び現在の系統連系電力に基づいて、エネルギー貯蔵実際出力値を決定するステップは、エネルギー貯蔵有効化状態情報としてエネルギー貯蔵セルが太陽光発電出力を有効化し得る場合、太陽光発電出力情報に基づいて現在のエネルギー貯蔵出力目標値を決定するステップと、太陽光発電出力情報及び前記現在の系統連系電力に基づいて、太陽光発電出力に対するエネルギー貯蔵セルの平滑化方式を決定するステップと、太陽光発電出力に対するエネルギー貯蔵セルの平滑化方式によって、現在のエネルギー貯蔵出力目標値と調整可能マージン情報に基づいてエネルギー貯蔵実際出力値を決定するステップと、を含む。
【0009】
任意選択的に、エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力を調整するステップは、エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力に電力平滑化を行い、太陽光発電出力電力を目標出力電力に達させるステップを含む。
【0010】
任意選択的に、第1比較結果に基づいて電池充電モードを制御するステップは、第1比較結果として太陽光発電出力変動率が予め設定された閾値以上である場合、発電機で電池を充電するステップと、第1比較結果として太陽光発電出力変動率が予め設定された閾値未満である場合、太陽光発電出力電力を目標出力電力と比較し、太陽光発電出力電力と目標出力電力との第2比較結果を得るステップと、第2比較結果に基づいて、太陽光発電又はエンジンで電池を充電するステップと、を含む。
【0011】
任意選択的に、第2比較結果に基づいて、太陽光発電及び/又はエンジンで電池を充電することを含む電池充電モードを決定するステップは、第2比較結果として太陽光発電出力電力が目標出力電力よりも大きい場合、太陽光発電出力余裕電力量を電池セル補充必要電力量と比較し、太陽光発電出力余裕電力量と電池セル補充必要電力量との第3比較結果を得るステップと、第3比較結果に基づいて、電池充電モードが、太陽光発電又は太陽光発電と発電機で電池を充電することであると決定するステップと、第2比較結果として太陽光発電出力電力が目標出力電力以下である場合、発電機で電池を充電するステップと、を含む。
【0012】
任意選択的に、太陽光発電電池又は太陽光発電と発電機で電池を充電するステップは、電池セルの残量を含む電池セル情報を収集するステップであって、電池は複数の電池セルを含むステップと、電池セル残量を予め設定された残量と比較し、電池セル残量が予め設定された残量よりも低いか否かを判断するステップと、電池セル残量が予め設定された残量よりも低い場合、電池セル補充必要電力量を電池セル残量と予め設定された残量との差として算出するステップと、第3比較結果として太陽光発電出力余裕電力量が電池セル補充必要電力量以上である場合、太陽光発電で電池セルを充電するステップと、第3比較結果として太陽光発電出力余裕電力量が電池セル補充必要電力量未満である場合、電池セル補充必要電力量と太陽光発電出力余裕電力量との差を算出し、太陽光発電と発電機で電池セルを充電するステップと、を含む。
【0013】
任意選択的に、発電機で電池を充電するステップは、電池セル残量を含む電池セル情報を収集するステップであって、電池は複数の電池セルを含むステップと、電池セル残量を予め設定された残量と比較し、電池セル残量が予め設定された残量よりも低いか否かを判断するステップと、電池セル残量が予め設定された残量よりも低い場合、発電機で電池を充電するステップと、を含む。
【0014】
本発明は、メモリと、プロセッサと、を含み、メモリとプロセッサは互いに通信可能に接続され、メモリはコンピュータプログラムを記憶することに用いられ、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることにより、本発明のいずれかの実施例における制御方法をプロセッサに実行させるコンピュータ機器を提供する。
【0015】
本発明は、プロセッサによって実行されると、本発明のいずれかの実施例における制御方法を実現するコンピュータ命令を記憶することに用いられることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例では、太陽光発電系統連系電力を収集し、太陽光発電系統連系電力に基づいて太陽光発電出力変動率を決定し、太陽光発電出力変動率を予め設定された閾値と比較し、太陽光発電出力変動率と予め設定された閾値との第1比較結果を得て、第1比較結果に基づいて電池充電モードを制御することによって、電池セルが常に一定の残量を有するようにし、電池の過充電や過放電により電池の耐用年数が短くなるという問題を解決し、電池の耐用年数を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【
図1】本発明の実施例で提供される太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例で提供される電池のバランス制御のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例で提供される太陽光発電出力電力の平滑化制御のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例で提供されるエネルギー貯蔵実際出力値を決定する計算フローチャートである。
【
図5】本発明の実施例で提供される太陽光発電で電池を充電する制御フローチャートである。
【
図6】本発明の実施例で提供される太陽光発電と発電機で電池を充電する制御フローチャートである。
【
図7】本発明の実施例で提供される発電機で電池を充電する制御フローチャートである。
【
図8】本発明の実施例で提供されるコンピュータ機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の技術的解決手段について明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて、創造的な努力を必要とせずに得る他の全ての実施例は本発明の特許範囲に属する。
【0019】
本実施例は、電池のバランス及び太陽光発電出力の平滑化を解決する制御方法を提供し、
図1に示すように、該方法は、ステップS1~ステップS4を含む。
【0020】
ステップS1:太陽光発電系統連系電力を収集し、太陽光発電系統連系電力とは、発電機ユニットの送電線が送電網に接続されるときの電力であり、収集対象となる太陽光発電系統連系電力には、現在の時刻と前の時刻の太陽光発電系統連系電力が含まれる。
【0021】
ステップS2:太陽光発電系統連系電力に基づいて太陽光発電出力変動率を決定し、隣接する2つのサンプリング時刻での系統連系電力の差と太陽光発電定格設備容量を計算することで太陽光発電出力変動率を得る。その式は以下の通りである。
【0022】
【0023】
上式において、δは太陽光発電出力変動率、△PPVは隣接する2つのサンプリング時刻での太陽光発電系統連系電力の差、△PPV-Nは太陽光発電定格設備容量を表す。
【0024】
ステップS3:太陽光発電出力変動率を予め設定された閾値と比較し、太陽光発電出力変動率と予め設定された閾値との第1比較結果を得る。
【0025】
ステップS4:第1比較結果に基づいて電池充電モードを制御し、第1比較結果として太陽光発電出力変動率が予め設定された閾値以上である場合、発電機で電池を充電し、第1比較結果として太陽光発電出力変動率が予め設定された閾値未満である場合、太陽光発電出力電力を目標出力電力と比較し、太陽光発電出力電力と目標出力電力との第2比較結果を得る。
【0026】
第2比較結果として太陽光発電出力電力が目標出力電力以下である場合、発電機で電池を充電し、第2比較結果として太陽光発電出力電力が目標出力電力よりも大きい場合、太陽光発電出力余裕電力量△PPV-Eを、電池セルの現在の残量と予め設定された残量との差△PS-Eである電池セル補充必要電力量と比較し、太陽光発電出力余裕電力量△PPV-Eと電池セル補充必要電力量△PS-Eとの第3比較結果を得て、第3比較結果に基づいて、太陽光発電で電池を充電するか、太陽光発電と発電機で電池を充電するかを判断する。
【0027】
第3比較結果として太陽光発電出力余裕電力量が電池セル残量補充必要電力量以上(△PPV-E≧△PS-E)である場合、太陽光発電で電池セルを充電する。
【0028】
第3比較結果として太陽光発電出力余裕電力量が電池セル残量補充必要電力量未満(△PPV-E<△PS-E)である場合、電池セル補充必要電力量と太陽光発電出力余裕電力量との差を算出し、太陽光発電と発電機で電池セルを充電する。
【0029】
上記の太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法では、太陽光発電と発電機で電池を充電することによって、エネルギー貯蔵セル間でのエネルギーの分布が不均一であるという問題を解決し、電池の耐用年数を延ばし、しかも、太陽光発電による電気の品質を向上させつつエネルギーを節約し、太陽光発電の消費・供給の能力を向上させ、電池のバランス制御の具体的なフローチャートを
図2に示す。
【0030】
好ましくは、ステップS3では、第1比較結果として太陽光発電出力変動率が予め設定された閾値以上である場合、その結果には、エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力電力を平滑化し、太陽光発電出力電力を目標出力電力に達させることがさらに含まれ、太陽光発電出力電力を平滑化する具体的な制御流れを
図3に示す。
【0031】
具体的には、エネルギー貯蔵実際出力値に応じて太陽光発電出力に電力平滑化を行い、太陽光発電出力電力を目標出力電力に達させることは、エネルギー貯蔵有効化状態情報、太陽光発電出力情報、調整可能マージン情報、及び現在の系統連系電力を取得することと、エネルギー貯蔵有効化状態情報、太陽光発電出力情報、調整可能マージン情報、及び現在の系統連系電力に基づいて、エネルギー貯蔵実際出力値を決定することと、コントローラはエネルギー貯蔵実際出力値をエネルギー管理システム(EMS:Energy Management System)に送信し、EMSは太陽光発電出力に電力平滑化を行って、目標出力電力値に達することと、を含む。
【0032】
具体的には、エネルギー貯蔵有効化状態情報、太陽光発電出力情報、調整可能マージン情報、及び現在の系統連系電力に基づいて、エネルギー貯蔵実際出力値を決定することは、エネルギー貯蔵有効化状態情報に基づいて、エネルギー貯蔵セルが太陽光発電出力を有効化し得るか否かを判断し、太陽光発電出力を有効化し得る場合、エネルギー貯蔵セルで太陽光発電出力を平滑化し、それ以外の場合、太陽光発電平滑化操作を行わないことと、太陽光発電出力情報に基づいて現在のエネルギー貯蔵出力目標値を算出することと、を含む。調整可能マージン情報に基づいて最大充電有効値又は最大放電有効値を得る。まず、エネルギー貯蔵セルが太陽光発電を平滑化できる場合、太陽光発電出力情報と組み合わせて、ローパスフィルタリングアルゴリズムを採用して現在のエネルギー貯蔵出力目標値を計算し、即ち、ローパスフィルタリングアルゴリズムを採用して現在の太陽光発電系統連系電力と現在のエネルギー貯蔵出力目標値を分解し、次に、現在の太陽光発電出力電力と現在の太陽光発電系統連系電力の大きさを判断し、現在の太陽光発電出力電力が現在の太陽光発電系統連系電力よりも大きい場合、エネルギー貯蔵セルに現在の太陽光発電出力余裕電力量(エネルギー貯蔵セルを充電することで太陽光発電出力を平滑化することに相当)を記憶する必要があり、このとき、現在のエネルギー貯蔵出力目標値と最大充電有効値の大きさをさらに判断し、現在のエネルギー貯蔵出力目標値>最大充電有効値の場合、エネルギー貯蔵実際出力値が最大充電有効値に等しく、現在のエネルギー貯蔵出力目標値<最大充電有効値の場合、エネルギー貯蔵実際出力値が現在のエネルギー貯蔵出力目標値に等しく、現在の太陽光発電出力電力が現在の太陽光発電系統連系電力未満である場合、エネルギー貯蔵セルを放電することで現在の太陽光発電系統連系電力と現在の太陽光発電出力電力の差を補償し(エネルギー貯蔵セルを放電することで太陽光発電出力を平滑化することに相当)、このとき、現在のエネルギー貯蔵出力目標値と最大放電有効値の大きさをさらに判断し、現在のエネルギー貯蔵出力目標値>最大放電有効値の場合、エネルギー貯蔵実際出力値が最大放電有効値に等しく、現在のエネルギー貯蔵出力目標値<最大放電有効値の場合、エネルギー貯蔵実際出力値が現在のエネルギー貯蔵出力目標値に等しく、エネルギー貯蔵実際出力値を決定する過程は具体的には
図4に示され、最後に、エネルギー貯蔵セルに対する充電又は放電によって太陽光発電出力への平滑化を行い、太陽光発電出力電力が系統連系の要件を満たすようにし、これによって、太陽光発電系統連系による変動を低減させる。
【0033】
好ましくは、ステップS4では、太陽光発電で電池セルを充電することは、電池セル情報を収集することと、電池セル残量を予め設定された残量と比較し、電池セル残量が予め設定された残量よりも低いか否かを判断することと、電池セル残量が予め設定された残量よりも低い場合、電池セル残量と予め設定された残量との差として電池セル補充必要電力量を算出することと、太陽光発電出力余裕電力量△P
PV-Eを電池セル補充必要電力量△P
S-Eと比較し、太陽光発電出力余裕電力量△P
PV-Eと電池セル補充必要電力量△P
S-Eとの第3比較結果を得て、第3比較結果に基づいて、切り替え回路を制御して太陽光発電で電池を充電するか、太陽光発電と発電機で電池を充電するかを判断することと、第3比較結果として太陽光発電出力余裕電力量が電池セル補充必要電力量以上(△P
PV-E≧△P
S-E)である場合、太陽光発電で電池セルを充電し、電池残量が予め設定された残量以上である場合、コントローラは切り替え回路を制御して電池セルに対する充電を終了することと、を含み、太陽光発電で電池を充電する具体的な制御流れを
図5に示す。
【0034】
好ましくは、ステップS4では、太陽光発電と発電機で電池セルを充電することは、電池セル情報を収集することと、電池セル残量を予め設定された残量と比較し、電池セル残量が予め設定された残量よりも低いか否かを判断することと、電池セル残量が予め設定された残量よりも低い場合、電池セル残量と予め設定された残量との差として電池セル補充必要電力量を計算することと、太陽光発電出力余裕電力量△P
PV-Eを電池セル補充必要電力量△P
S-Eと比較し、太陽光発電出力余裕電力量△P
PV-Eと電池セル補充必要電力量△P
S-Eとの第3比較結果を得て、第3比較結果に基づいて、切り替え回路を制御して太陽光発電で電池を充電するか、太陽光発電と発電機で電池を充電するかを判断することと、第3比較結果として太陽光発電出力余裕電力量が電池セル補充必要電力量未満(△P
PV-E<△P
S-E)である場合、電池セル補充必要電力量と太陽光発電出力余裕電力量との差を算出し、太陽光発電と発電機で電池セルを充電し、電池残量が予め設定された残量以上である場合、コントローラは切り替え回路を制御して電池セルに対する充電を終了することと、を含み、太陽光発電と発電機で電池を充電する具体的な制御流れを
図6に示す。
【0035】
好ましくは、ステップS4では、発電機で電池を充電することは、電池単位である電池セルの情報を収集することと、電池セル残量を予め設定された残量と比較し、電池セル残量が予め設定された残量よりも低いか否かを判断することと、電池セル残量が予め設定された残量よりも低い場合、コントローラは切り替え回路を制御して発電機で電池を充電し、電池残量が予め設定された残量以上である場合、コントローラは切り替え回路を制御して電池セルに対する充電を終了することと、を含み、発電機で電池を充電する具体的な制御流れを
図7に示す。
【0036】
本実施例はコンピュータ機器を提供し、
図8に示すように、該コンピュータ機器は、少なくとも1つのプロセッサ41、少なくとも1つの通信インターフェース42、少なくとも1つの通信バス43、及び少なくとも1つのメモリ44を含んでもよく、これらのうち、通信インターフェース42はディスプレイ(Display)、キーボード(Keyboard)を含んでもよく、通信インターフェース42は任意により標準有線インターフェース、無線インターフェースを含んでもよい。メモリ44は高速RAMメモリ(Random Access Memory、揮発性ランダム・アクセス・メモリ)であってもよいし、不揮発性メモリ(non-volatile memory)、例えば少なくとも1つの磁気ディスクメモリであってもよい。メモリ44は任意により前述プロセッサ41から離れた少なくとも1つの記憶装置であってもよい。プロセッサ41は
図8に記載の装置と組み合わせてもよく、メモリ44にアプリケーションプログラムが記憶され、プロセッサ41はメモリ44に記憶されたプログラムコードを呼び出して、上記の任意の方法の実施例における太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御のステップを実行することに用いられる。
【0037】
通信バス43は周辺コンポーネント相互接続(peripheral componentinterconnect、略語PCI)バス又は拡張業界標準アーキテクチャ(extended industry standardarchitecture、略語EISA)バスなどであってもよい。通信バス43はアドレスバス、データバス、制御バス等に分けられてもよい。説明しやすさから、
図8においては、1本の太線だけで表すが、1本のバス又は1つのタイプのバスしかないわけではない。
【0038】
メモリ44は揮発性メモリ(英語:volatile memory)、例えばランダム・アクセス・メモリ(英語:random-access memory、略語:RAM)を含んでもよく、不揮発性メモリ(英語:non-volatile memory)、例えばフラッシュメモリ(英語:flash memory)、ハードディスク(英語:hard diskdrive、略語:HDD)又はソリッドステートハードディスク(英語:solid-state drive、略語:SSD)を含んでもよく、上記の種類のメモリの組み合わせを含んでもよい。
【0039】
プロセッサ41は中央処理装置(英語:central processing unit、略語:CPU)、ネットワークプロセッサ(英語:network processor、略語:NP)又はCPUとNPの組み合わせであってもよい。
【0040】
プロセッサ41はハードウェアチップをさらに含んでもよい。上記ハードウェアチップは特定用途向け集積回路(英語:application-specific integrated circuit、略語: ASIC)、プログラムロジックデバイス(英語:programmable logic device、略語:PLD)又はそれらの組み合わせであってもよい。上記PLDは複雑なプログラムロジックデバイス(英語:complex programmable logic device、略語:CPLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(英語:field-programmable gate array、略語:FPGA)、ジェネリック配列ロジック(英語:generic arraylogic、略語:GAL)又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。任意選択的に、メモリ44はプログラム命令を記憶することにも用いられる。プロセッサ41はプログラム命令を呼び出して、本発明のいずれかの実施例における太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法を実現してもよい。
【0041】
本実施例はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、コンピュータ記憶媒体にコンピュータ実行可能な命令が記憶され、該コンピュータ実行可能な命令は上記のいずれかの方法の実施例における太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法を実行することができる。記憶媒体は磁気ディスク、コンパクトディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク(Hard Disk Drive、略語:HDD)又はソリッドステートハードディスク(SSD:Solid-State Drive)などであってもよく、記憶媒体は上記の種類のメモリの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0042】
もちろん、上記実施例は明確に説明するために例示するものに過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他の様々な形態の変化や変更を行ってもよい。ここでは、全ての実施形態を網羅する必要がなく、また、これは不可能なことである。以上から導出される明らかな変化や変更も本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【要約】
【課題】
太陽光発電用エネルギー貯蔵電池のバランス制御方法を開示し、太陽光発電の出力を平滑化することに基づいて電池のバランスの課題を解決し、電池の耐用年数を延ばすことを目的とする。
【解決手段】
本発明は、該方法は、太陽光発電系統連系電力を収集するステップと、前記太陽光発電系統連系電力に基づいて太陽光発電出力変動率を決定するステップと、前記太陽光発電出力変動率を予め設定された閾値と比較し、前記太陽光発電出力変動率と前記予め設定された閾値との第1比較結果を得るステップと、前記第1比較結果に基づいて電池充電モードを制御するステップとを含む。
【選択図】
図1