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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】揮散装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20230612BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230612BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230612BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B65D85/00 A
B65D83/00 F
A61L9/01 Q
A61L9/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022185774
(22)【出願日】2022-11-21
(62)【分割の表示】P 2016255825の分割
【原出願日】2016-12-28
(65)【公開番号】P2023016855
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】松尾 宣典
(72)【発明者】
【氏名】辻 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 厚
(72)【発明者】
【氏名】小林 瑞紀
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-245086(JP,A)
【文献】意匠登録第1393554(JP,S)
【文献】意匠登録第1299195(JP,S)
【文献】意匠登録第1447148(JP,S)
【文献】意匠登録第1478289(JP,S)
【文献】意匠登録第1397119(JP,S)
【文献】特開2003-237863(JP,A)
【文献】特開2004-284655(JP,A)
【文献】特開2001-10683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
B65D 83/00
A61L 9/01-9/12
A45D 34/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、前記容器内に収容された吸液部材と、を具備する揮散装置であって、
前記容器は、前壁部、一対の側壁部、及び後壁部を有して筒状に形成された周壁部と、前記周壁部の一端を閉塞し、前記周壁部の他端側に突出した底壁部と、を具備し、
前記底壁部は、その外周縁より中央部が前記周壁部の他端側に位置し、その一部が前記他端側に隆起して形成されて前記底壁部の中心回りに離間して位置する3つの隆起部と、前記中心回りに隣接する一対の前記隆起部間にそれぞれ形成された流路部と、前記3つの隆起部間に設けられる領域に形成され、3つの前記流路部を合流させる合流部と、を具備し、
前記合流部が前記底壁部の前記外周縁より前記他端側に位置し、前記吸液部材の下端部が前記合流部に配置され、
前記周壁部及び前記底壁部の稜部の前記他端側の一端は、前記隆起部の前記他端側の一端よりも前記他端側に位置し、
前記稜部の、前記周壁部の軸線に直交する開口断面積が前記底壁部に向かうにつれて小さく形成される
揮散装置
【請求項2】
3つの前記隆起部のそれぞれの対向する面部は、前記底壁部の中心を通り、前記周壁部の軸線に平行な中心線を中心とする円弧面に形成される
請求項1に記載の揮散装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば芳香剤等の薬液を収容する容器、及び容器内に収容された吸液部材を備える揮散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車内等の室内に芳香剤や消臭剤等を拡散する為に、揮散装置が用いられている。揮散装置は、芳香剤や消臭剤等の薬液を容器の内部に収容し、この収容した薬液を容器の内部に配置した吸液部材により吸い上げる。吸液部材により吸い上げられた薬液は、揮発し、容器の開口から周囲に出る。
【0003】
この種の揮散装置の容器は、有底筒状に形成されており、周壁部、及び、底壁部を有している。底壁部は、その外周縁に対して径方向内側の部分が上方に盛りあがる椀状に形成されている。
【0004】
これは、容器が落下した際に容器内の薬液の重みで底壁部が下方にさがるように変形しても、底壁部の底面の径方向内側の部分が、底面の外周縁よりも下がることを防止する為である。底壁部全体を予め椀状に盛り上げることにより、容器が落下した際に薬液の重さにより底壁部の径方向内側の部分が下方にさがるように変形しても、底壁部の径方向内側の部分が載置面に接触することを防止できる。
【0005】
さらに、底壁部に、底壁部を部分的に隆起して形成した隆起部を形成し、容器の剛性を高める技術が知られている。この隆起部は、容器の軸線回りに離間して配置されており、4つ形成されている。4つの隆起部の径方向の内端面は、互いに対向する。そして、互いに対向する径方向内端面間に、吸液部材の下端部を配置している。また、周方向に隣接する一対の隆起部の間には、底壁部の中央部及び周縁部を連続し、容器の下端の薬液を吸液部材まで導く通路が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-225884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の、底壁部全体を上方に椀状に盛り上げた形状の容器には、以下の問題があった。すなわち、吸液部材の下端部が底壁部の中央部に配置されることにより、この下端部は、底壁部の外周縁よりも高い位置に配置されることとなる。この為、容器内の薬液の残量が少なくなったとき、この周縁部に溜まった薬液は吸液部材により吸い上げられることなく、残ってしまうという問題がある。特に、底壁部に隆起部が形成される場合では、隆起部及び周壁部の間、並びに、隣接する一対の隆起部間の流路部にも薬液が残ってしまい、使用できずに容器内に残る薬液の量が多くなる。
【0008】
そこで本発明は、容器の剛性を維持しつつ、使用できずに残る薬液の量を少なくできる揮散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の揮散装置は、容器と、容器内に収容された吸液部材と、を具備する。容器は、前壁部、一対の側壁部、及び後壁部を有して筒状に形成された周壁部と、前記周壁部の一端を閉塞し、前記周壁部の他端側に突出した底壁部と、を備える。前記底壁部は、その外周縁より中央部が周壁部の他端側に位置し、その一部が前記他端側に隆起して形成されて前記底壁部の中心回りに離間して位置する3つの隆起部と、前記中心回りに隣接する一対の前記隆起部間にそれぞれ形成された流路部と、前記3つの隆起部間に設けられる領域に形成され、3つの前記流路部を合流させる合流部と、を備える。前記合流部は、前記底壁部の前記外周縁より前記他端側に位置する。前記吸液部材の下端部は、前記合流部に配置される。前記周壁部及び前記底壁部の稜部の他端側の一端は、前記隆起部の前記他端側の一端よりも前記他端側に位置する。稜部の、前記周壁部の軸線に直交する開口断面積が前記底壁部に向かうにつれて小さく形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器の剛性を維持しつつ、使用できずに残る薬液の量を少なくできる揮散装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る揮散装置を一部切り欠いて示す正面図。
図2】同容器を示す側面図。
図3】同容器の底壁部の内面を示す同容器の断面図。
図4】本発明の第2の実施形態に係る揮散装置の容器を示す正面図。
図5】同容器を示す側面図。
図6】同容器の底壁部を示す同容器の断面図。
図7】本発明の第3の実施形態に係る揮散装置の容器を示す正面図。
図8】同容器を示す側面図。
図9】容器の底壁部を示す同容器の断面図。
図10】同容器の変形例を示す正面図。
図11】本発明の第4の実施形態に係る揮散装置の容器を示す正面図。
図12】同容器の底壁部を示す同容器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態に係る揮散装置10を、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、揮散装置10を一部切り欠いて示す正面図である。図2は、容器20を示す側面図である。図3は、容器20の底壁部26を示す容器20の断面図である。図3は、容器20を、本体部24でその軸方向に直交する断面に沿って切断し、上方から見た状態を示している。
【0016】
図1に示すように、揮散装置10は、薬液を収容可能に形成された有底筒状の容器20、容器20の開口21内に配置された中栓40、中栓40内に配置され、薬液を吸い上げることが可能に形成された棒状の吸液部材50、及び、容器20に着脱可能に取り付けられる放散器80を有している。本実施形態では、容器20の軸方向のうちの開口21側を上として、揮散装置10の上下方向を設定する。
【0017】
また、揮散装置10は、図示していないが、中栓40に対して着脱可能に取り付けられるキャップを有している。このキャップは、揮散装置10の出荷時に取り付けられており、薬液が中栓40を通して外部に漏れ出ることを防止可能に形成されている。キャップは、揮散装置10の使用時には、使用者により取り外される。
【0018】
容器20は、例えば樹脂材料から形成されている。容器20は、例えばブロー成形により形成されている。容器20は、外周面に雄ねじが形成された筒状の首部22、首部22の下端に連続して形成され、なだらかに拡径する肩部23、及び、肩部23の下端に連続して形成された本体部24を有している。首部22、肩部23、及び、本体部24は、一体に形成されている。
【0019】
本体部24は、例えば、首部22と同軸に形成されている。本体部24は、その軸方向に直交する断面に沿って切断した形状が、例えば、楕円状となる有底筒状に形成されている。本体部24は、具体的には、肩部23に連続して形成された周壁部25、及び、底壁部26を有している。周壁部25は、その外周面27が軸方向に平行または略平行に形成されている。周壁部25は、その軸方向に断面形状が同一形状に形成されている。
【0020】
底壁部26は、本体部24の一端を閉塞している。底壁部26は、その外周縁29より径方向内側の位置32から径方向内側の部分が、上方に椀状に盛り上がる形状に形成されている。ここで言う、盛り上がるとは、他の部分に比較して厚みが増大することにより突出することではなく、底壁部26の一部が厚みを他の部分と同じまたは略同じとして、突出することである。また、椀状は、底壁部26が上方に突出する形状の一例である。底壁部26が突出することは、容器20が落下した際に容器20内の薬液の重みで底壁部26が下方にさがるように変形しても、底壁部26の底面26aの径方向内側の部分が、底面26aの外周縁よりも下がることを防止する為である。底壁部26aを突出させることにより、容器20が落下した際に薬液の重さにより底壁部26aの径方向内側の部分が下方にさがるように変形しても、底壁部26の径方向内側の部分が載置面に接触することを防止できる。本実施形態では、底壁部26の突出の程度は、揮散装置10が一般に使用される高さから落下した場合においても、底壁部26の径方向内側の部分が底面26aの外周縁より下がることを防止可能となるように設定されている。位置32をつなぐ線は、平面形状で楕円状に形成される。すなわち、位置32をつなぐ線は、底壁部26において椀状に形成される部分の外周縁となる。
【0021】
図3に示すように、底壁部26の外周縁29及び位置32の間の範囲Rは、環状に形成されている。底壁部26の底面26a及び内面26bにおいて、外周縁29から位置32までの範囲Rは、容器20の軸線Lに直交する平面に形成されている。軸線Lは、直線である。なお、底面26aは、底壁部26において容器20の外側に面する面である。内面26bは、容器20内に面する面である。なお、本実施形態では、周壁部25は、容器20と同軸である。すなわち、周壁部25の軸線は、容器20の軸線と同じである。また、軸線Lは、底壁部26の中心を通る。
【0022】
この為、底面26aの中央部は、外周縁29よりも上方に位置している。また、底面26a及び内面26bにおいて後述する隆起部31以外の部分は、上方に椀状に突出するなだらかな曲面に形成されている。底面26aの中心、すなわち、軸線Lが通る位置が、底面26aにおいて、隆起部31を除いた部分において最も高い位置となる。内面26bの中心、すなわち、軸線Lが通る位置が、内面26bにおいて、隆起部31を除いた部分において最も高い位置となる。
【0023】
底壁部26及び周壁部25の稜部30は、下方に向かうにつれて、径方向内側に向かって縮径している。この為、底壁部26の外周縁29は、周壁部25よりも径方向内側に配置されている。稜部30は、本実施形態では、その内周面30a及び外周面30bが、容器20の軸方向に対して傾斜する傾斜面に形成されている。すなわち、稜部30の軸方向に直交する開口断面積は、底壁部26に向かうにつれて小さくなる。
【0024】
底壁部26には、図3に示すように、本体部24の軸方向に見た形状となる平面視での形状が扇状の3つの隆起部31が形成されている。より具体的説明すると、隆起部31の平面形状は、楕円を3分割した1つの扇状と同様の形状である。3つの隆起部31は、底壁部26の一部が上方に椀状に隆起することにより形成されている。3つの隆起部31は、容器20に剛性を付与可能に形成されている。3つの隆起部31は、軸線L回り、すなわち底壁部26の中心回りに並んで配置されている。ここで言う隆起とは、他の部分に比較して厚みが増大することにより突出することではなく、底壁部26の一部が厚みを他の部分と同じまたは略同じとして、突出することである。また、ここでいう椀状とは、隆起部31が隆起する形状、すなわち、上方に突出する形状の一例である。
【0025】
隆起部31は、具体的には、位置32より径方向内側に形成されており、周方向に離間して配置されている。すなわち、隆起部31の外周縁の一部は、位置32に配置されている。隆起部31は、図1及び図2に示すように、底壁部26の径方向内側に向かって次第に高くなる形状に形成されている。
【0026】
図3に示すように、周方向に隣接配置された一対の隆起部31の間には、底壁部26の中央部、及び、容器20内の下端部の外周部を連通する流路部33が形成されている。周方向に隣接配置された一対の隆起部31の間の溝が、流路部33となっている。底壁部26には、3つの流路部33が形成されている。流路部33は、容器20の軸方向に見た平面視で直線状に形成されている。
【0027】
3つの流路部33は、底壁部26の径方向の中央部で合流している。3つの流路部33が合流する合流部34は、3つの隆起部31の底壁部26の径方向の内端である径方向内端面(面部)35により構成されている。径方向内端面35は、隆起部31の内面36のうち容器20の軸線Lに面する部分である。径方向内端面35は、軸線Lを中心とする円弧面に形成されている。また、径方向内端面35は、上に向かうにつれて拡径する面に形成されている。具体的には、径方向内端面35は、軸線Lを中心線とする円錐の外周面の一部となる。すなわち、径方向内端面35は、容器20の軸方向に対して傾斜している。
【0028】
次に、隆起部31の内面36の上端37、及び、稜部30の関係について、説明する。上端37は、隆起部31の、容器20の開口側に最も突出した部分である。3つの隆起部31のそれぞれの上端37の、軸方向の高さ位置は、同じである。換言すると、図1に示すように揮散装置10を上下方向に直交する平面である載置面P上に載置すると、載置面Pから3つの隆起部31のそれぞれの上端37までの高さは等しい。
【0029】
稜部30の上端38は、隆起部31の内面36の上端37よりも高い。すなわち、容器20は、隆起部31よりも高い位置から縮径するように形成されている。上端37及び上端38は、容器20の軸方向に距離D離れている。
【0030】
中栓40は、容器20の首部22内に嵌まる形状に形成されている。中栓40は、例えば、筒状に形成されている。中栓40は、その内部に、吸液部材50を配置可能な孔41が形成されている。中栓40は、首部22内に配置されると、首部22の開口において吸液部材50を配置する孔41と、容器20内の薬液が減少することに伴う容器20内の圧力変化を調整する通気穴(図示せず)以外の部分を閉塞する。
【0031】
孔41は、吸液部材50が嵌まる。例えば、吸液部材50は、その断面が円にとなる円柱状に形成されている。孔41の内周面の径は、例えば、吸液部材50の外周面と同じ、または、若干大きい。
【0032】
吸液部材50は、中栓40の孔41内に配置されている。吸液部材50は、その下端部が、合流部34内に配置されている。すなわち、中栓40は、吸液部材50を容器20と同軸に配置可能に形成されている。吸液部材50は、容器20内の薬液を吸い上げて、その上端部に導くことが可能に形成されている。吸液部材50の上端部は、中栓40よりも上方に位置している。また、吸液部材50の上端部には、吸液部材50で吸い上げた薬液を含浸させて揮散させる揮散部材60が接触している。揮散部材60は放散器80内に保持されており、吸液部材50から揮散部材60に到達した薬液が蒸発して揮散装置10の外部に放出されることにより、周囲に拡散される。
【0033】
このように構成された揮散装置10では、稜部30により、容器20が隆起部31の上端37よりも高い位置から縮径する形状に形成される。さらに、隆起部31は、容器20の径方向に稜部30と対向する。この為、隆起部31及び稜部30の径方向の間に規定される、吸液部材50により吸い上げられない薬液が溜まる可能性のある空間Aの容積を小さくすることができる。
【0034】
例えば、稜部30が隆起部31の上端37よりも低い位置に形成されると、隆起部31は、容器20の径方向に、周壁部25の一部、及び、稜部30と対向することとなる。この場合では、稜部30、稜部30に径方向に対向する周壁部25の一部、及び、稜部30により囲まれる、吸液部材50により吸い上げられない薬液が溜まる可能性のある空間の容積は、上述の空間Aの容積よりも大きくなる。
【0035】
この為、周壁部25より縮径する稜部30を、隆起部31の上端37よりも高い位置に配置することにより、薬液が溜まる空間Aの容積を小さくできるので、容器20内に使用されずに残る薬液の量を少なくできる。また、外周縁29および位置32の間の範囲Rを小さくすることによっても、薬液が溜まる空間Aの容積を小さくできるので、範囲Rを小さくすることが望ましい。
【0036】
さらに、流路部33内にも使用されずに残る薬液が溜まるが、隆起部31の数を3つとすることにより、流路部33の数を3つにすることができる。流路部33の数を3つとすることにより、使用されずに残る薬液の量を少なくすることができる。なお、本実施形態では、流路部33の幅Wは、図3に示すように、流路部33の底面33aの幅である。底面33aは、隣接する2つの隆起部31の間の長さとなる。幅Wを、4.5mmとすることにより、流路部33の幅を狭くできるので、吸液部材50により吸い上げることができずに流路部33内に残る薬液の量を少なくできる。なお、幅Wを4.5mmとすることは一例であり、これに限定されるものではない。しかしながら、本実施形態のように流路部33の幅Wを4.5mmなどの狭い幅とすることは、吸液部材50により吸い上げられることなく流路部33内に残る薬液の量を少なくできるので、好ましい。このように、本実施形態の揮散装置10によれば、容器20の剛性を維持しつつ、容器20内に残る使用できない薬液の量を少なくできる。
【0037】
また、合流部34を構成する隆起部31のそれぞれの底壁部26の径方向内端面35が、軸線Lを中心とする円弧面に形成されることにより、容器20に吸液部材50を差し込んだときに、吸液部材50の下端部が径方向内端面35にガイドされることにより、スムーズに合流部34内に案内される。さらに、径方向内端面35が、容器20の軸方向に対して傾斜する面に形成されることにより、吸液部材50を合流部34内に、より一層スムーズに案内することができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態に係る揮散装置に用いられる容器20Aを、図4乃至図6を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
図4は、本実施形態の揮散装置の容器20Aを示す正面図である。図5は、容器20Aを示す側面図である。図6は、容器20Aの底壁部26Aを示す容器20の断面図である。図6は、容器20Aを、本体部24Aで軸方向に直交する断面に沿って切断し、上方から見た状態を示している。
【0040】
本実施形態の揮散装置は、薬液を収容可能に形成された有底筒状の容器20A、容器20Aの開口21内に配置された中栓、中栓内に配置され、薬液を吸い上げることが可能に形成された吸液部材、及び、容器20Aに着脱可能に取り付けられる放散器を有している。なお、中栓、吸液部材、揮散部材及び、放散器は、第1の実施形態の中栓40、吸液部材50、揮散部材60、放散器80と同様のものが用いられる。本実施形態の中栓は、吸液部材50を、底壁部26Aの中心線C1と同軸に配置可能に形成されており、吸液部材の下端部を底壁部26Aの中央部に形成された合流部34内に配置する。
【0041】
容器20Aは、例えば樹脂材料から形成されている。容器20Aは、例えばブロー成形により形成されている。図4に示すように、容器20Aは、首部22、肩部23、及び、肩部23の下端に連続して形成された本体部24Aを有している。首部22、肩部23、及び、本体部24Aは、一体に形成されている。本体部24Aは、外観が直方体状に形成されている。本体部24Aは、具体的には、肩部23に連続して形成された周壁部25A、及び、底壁部26Aを有している。
【0042】
周壁部25Aは、その外周面27Aの少なくとも一部が、図5及び図6に示すように、本体部24Aの軸方向に直交する開口断面積が下方に向かうにつれて小さくなるように形成されている。周壁部25Aは、軸方向に直交する開口断面積が下方に向かうにつれて小さくなるように、例えば、その一部が容器20Aの軸方向に傾斜してもよい。または、周壁部25Aの少なくとも一部が、湾曲する形状に形成されてもよい。
【0043】
本実施形態では、周壁部25Aは、前壁部70、一対の側壁部71、及び、後壁部72を有している。前壁部70、及び、一対の側壁部71は、下方に向かうにつれて容器20Aの底壁部26Aの中心線C1に近づくように湾曲している。後壁部72は、軸方向に平行に形成されている。なお、本実施形態では、本体部24Aは、直方体状に形成されたが、ここで言う直方体状は、厳密に直方体であることではない。本実施形態では、前壁部70、及び、側壁部71の稜部の内面及び外面は、曲面に形成されている。後壁部72、及び、側壁部71の稜部の内面及び外面は、曲面に形成されている。また、前壁部70、一対の側壁部71、及び、後壁部72のそれぞれは、図6に示すように、容器20Aの軸線に直交する断面の形状が、湾曲する形状に形成されている。
【0044】
底壁部26Aは、図6に示すように、容器20Aの軸方向に見た形状すなわち平面視での形状が矩形状に形成されている。なお、ここで言う矩形とは、厳密に矩形であることではない。本実施形態では、底壁部26Aは、図6に示すように、その外縁が、前壁部70、側壁部71に応じて曲線に形成されている。
【0045】
底壁部26Aは、第1の実施形態の底壁部26と同様に揮散装置の落下に伴い薬液の重さにより変形しても底壁部26Aの内側の部分が外周縁よりも下がることを防止可能に、その外周縁より内側部分が、上方に椀状に盛り上がる形状に形成されている。ここで言う、盛り上がるとは、他の部分に比較して厚みが増大することにより突出することではなく、底壁部26Aの一部が厚みを他の部分と同じまたは略同じとして、突出することである。また、椀状は、底壁部26Aが上方に突出する形状の一例である。
【0046】
底壁部26Aは、3つの隆起部31、3つの流路部33、及び、合流部34が形成されている。3つの隆起部31、3つの流路部33、及び、合流部34は、第1の実施形態と同様に形成されている。なお、本実施形態の隆起部31のそれぞれは、底壁部26Aが平面視矩形状に形成されていることから、矩形を3つに分けた形状の1つとなる形状に形成されており、平面視で3角形状に形成されている。また、3つの隆起部31は、底壁部26Aの中心を通る中心線C1回りに並んで配置されている。中心線C1は、周壁部25Aの軸線Lに平行な直線である。
【0047】
また、隆起部31は、底壁部26Aを、第1の実施形態と同様に、隆起することにより形成されている。隆起部31の径方向内端面35は、本実施形態では中心線C1に対向する面部であり、中心線C1を中心とする円弧面に形成されている。また、径方向内端面35は、上に向かうにつれて拡径する面に形成されている。具体的には、径方向内端面35は、軸線Lを中心線とする円錐の外周面の一部となる。すなわち、径方向内端面35は、容器20の軸方向に対して傾斜している。本実施形態の径方向内端面35は、第1の実施形態の径方向内端面35と同様の機能を有する。
【0048】
底壁部26Aの内面において、隆起部31を除いた部分では、中心線C1が通る中心が最も高い位置となる。底壁部26Aの底面において、隆起部31を除いた部分では、中心線C1が通る中心が最も高い位置となる。
【0049】
本実施形態の揮散装置の容器20Aでは、周壁部25Aは、その前壁部70及び一対の側壁部71が、それぞれの下端がそれぞれの上端より中心線C1側に配置されるように湾曲していることにより、本体部24Aの、その軸方向に直交する開口断面積が下方に向かうにつれて小さくなる。
【0050】
この為、隆起部31及び周壁部25Aの間に構成される、吸液部材50により吸い上げられることがなく残る薬液が溜まる空間Bの容積を、周壁部25Aが軸線に平行に形成される場合に比較して小さくすることができる。この為、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施形態に係る揮散装置に用いられる容器20Bを、図7乃至図9を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
図7は、容器20Bを示す正面図である。図8は、容器20Bを示す側面図である。図9は、容器20Bの底壁部26Bを示す容器20Bの断面図である。図10は、容器20Bを示す正面図である。
【0053】
図7に示すように、本実施形態の揮散装置は、薬液を収容可能に形成された有底筒状の容器20B、容器20Bの開口21内に配置された中栓、中栓内に配置され、薬液を吸い上げることが可能に形成された吸液部材、及び、容器20Aに着脱可能に取り付けられる放散器を有している。なお、中栓、吸液部材、揮散部材、及び、放散器は、第1の実施形態の中栓40、吸液部材50,揮散部材60、放散器80と同様のものが用いられる。本実施形態の中栓は、第1の実施形態と同様に、吸液部材を容器20Bと同軸に配置し、吸液部材の下端部が底壁部26Bの中央部に形成された合流部34内に配置可能に形成されている。
【0054】
容器20Bは、例えば樹脂材料から形成されている。容器20Bは、例えばブロー成形により形成されている。容器20Bは、首部22、肩部23、及び、肩部23の下端に連続して形成された本体部24Bを有している。本体部24Bは、例えば、首部22と同軸に形成されている。首部22、肩部23、及び、本体部24Bは、一体に形成されている。本体部24Bは、図9に示すように、軸方向に直交する断面に沿って切断した形状が楕円状となる形状に形成されている。本体部24Bは具体的には、周壁部25、及び、底壁部26Bを有している。本実施形態では、容器20Bの軸線Lは、周壁部25の軸線と同じであり、かつ、底壁部26Bの中心を通る。すなわち、軸線Lは、底壁部26Bの中心線と同じである。
【0055】
底壁部26Bは、その外周縁29Bよりも径方向内側の位置32Bから内側の範囲に、下方に下がる凹部101が形成されている。底壁部26Bにおいて外周縁29B及び位置32Bの間の範囲R1は、環状に形成されている。さらに、底壁部26Bの底面26Ba及び内面26Bbの範囲R1の部分は、容器20Bの軸方向に直交する平面に形成されている。
【0056】
凹部101は、具体的には、凹部用周壁部102、及び、凹部用底壁部103を有している。凹部用周壁部102は、その内周面及び外周面が容器20Bの軸方向に平行に形成されている。凹部用底壁部103は、平面形状が楕円状に形成されている。凹部用底壁部103は、図8及び図9に示すように、凹部用底壁部103の外周縁104より径方向内側の部分が、第1の実施形態の底壁部26と同様に揮散装置の落下に伴い薬液の重さにより変形しても凹部用底壁部103径方向の内側の部分が外周縁よりも下がることを防止可能に、上方に向かって椀状に盛り上がる形状に形成されている。凹部用周壁部102の中心は、本実施形態では、底壁部26Bの中心と一致している。この為、軸線Lは、凹部用周壁部102の中心を通る。ここで言う、盛り上がるとは、他の部分に比較して厚みが増大することにより突出することではなく、底壁部26の一部が厚みを他の部分と同じまたは略同じとして、突出することである。また、椀状は、底壁部26が上方に突出する形状の一例である。
【0057】
凹部用底壁部103には、3つの隆起部31、3つの流路部33、及び、合流部34が形成されている。3つの隆起部31、3つの流路部33、及び、合流部34は、第1の実施形態と同様に形成されている。3つの隆起部31は、軸線L回り、すなわち凹部用底壁部103の中心回りに並んで配置されている。また、隆起部31は、底壁部26Bを、第1の実施形態と同様に隆起することにより形成されている。本実施形態の隆起部31は、第1の実施形態と同様に、径方向内端面35は、軸線Lを中心とする円弧面であり、かつ、軸方向に傾斜している。隆起部31の内面36の上端37は、外周縁29Bよりも上方に位置している。凹部用底壁部103の内面において、隆起部31を除いた部分では、軸線Lが通る中心106が、最も高い位置となる。凹部用底壁部103の底面において、隆起部31を除いた部分では、軸線Lが通る中心が最も高い位置となる。
【0058】
本実施形態の揮散装置の容器20Bでは、吸液部材50により吸い上げられずに容器20B内に残る薬液は、凹部用周壁部102及び隆起部31の間の空間Cに溜まる。凹部101は、容器20Bの周壁部25よりも径方向内側の範囲に形成されている。この為、凹部101が形成されない場合に比較して、空間Cの容積を小さくできるので、使用できずに容器20内に残る薬液の量を少なくすることができる。さらに、3つの隆起部31が形成されることにより、容器20Bに剛性を付与することができる。この為、揮散装置10Bは、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、周壁部25及び底壁部26の間の稜部30の上端38は、隆起部31の上端37よりも上方に位置しているが、これに限定されない。これは、凹部101により、吸液部材50により吸い上げられずに残る薬液の量を少なくすることができる為である。
【0060】
また、本実施形態では、凹部101の凹部用周壁部102は、容器20Bの軸方向に平行に形成されている。すなわち、凹部用周壁部102の内周面及び外周面は、容器20Bの軸方向に平行に形成されている。しかしながら、これに限定されない。例えば、図10に示す容器20Bの変形例のように、凹部用周壁部102は、容器20Cの軸方向に対して、凹部用周壁部102の下端102aが、凹部用周壁部102の上端102bよりも径方向内側に配置されるように傾斜してもよい。
【0061】
凹部用周壁部102が上述のように傾斜することにより、空間Cの容積をより一層小さくできるので、容器20C内に使用されずに残る薬液の量を少なくすることができる。
【0062】
次に、第4の実施形態に係る揮散装置に用いられる容器20Cを、図11及び図12を用いて説明する。なお、第3の実施形態と同様の機能を有する構成は、第3の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図11は、容器20Cを示す正面図である。図12は、容器20Cの底壁部26Cを示す容器20Cの断面図である。図12は、容器20Cを、本体部24Cでその軸方向に直交する断面に沿って切断し、上方から見た状態を示している。
【0064】
本実施形態の揮散装置は、薬液を収容可能に形成された有底筒状の容器20C、筒状に形成され、容器20Cの開口21内に配置された中栓、中栓内に配置され、薬液を吸い上げることが可能に形成された吸液部材、及び、容器20Cに着脱可能に取り付けられる放散器を有している。なお、中栓、吸液部材、揮散部材及び放散器は、第1の実施形態の中栓40、吸液部材50、揮散部材60、放散器80と同様のものが用いられる。本実施形態の中栓は、第1の実施形態と同様に、吸液部材を容器20Aと同軸に配置し、吸液部材の下端部を底壁部26Cの中央部に形成された合流部34内に配置可能に形成されている。容器20Cは、例えば樹脂材料から形成されている。容器20Cは、例えばブロー形成により形成されている。容器20Cは、首部22、肩部23、及び、肩部23の下端に連続して形成された本体部24Cを有している。
【0065】
本体部24Cは、例えば、首部22と同軸に形成されている。本体部24Cは、図11に示すように、容器20Cの軸方向に直交する断面に沿って切断した形状が楕円状となる形状に形成されている。本体部24Cは、具体的には、周壁部25、及び、底壁部26Cを有している。本実施形態では、容器20Cの軸線Lは、周壁部25の軸線と同じであり、かつ、底壁部26Cの中心を通る。すなわち、軸線Lは、底壁部26Cの中心線と同じである。
【0066】
底壁部26Cは、凹部101が形成されている。凹部101は、底壁部26Cの外周縁29Cよりも一段下がる形状に形成されている。凹部101は、具体的には、凹部用周壁部102C、及び、凹部用底壁部103を有している。凹部用底壁部103は、第3の実施形態と同様に形成されている。すなわち、凹部用底壁部103の外周縁104より径方向内側の部分が、上方に向かって椀状に盛り上がる形状に形成されており、さらに、3つの隆起部31、3つの流路部33、及び、その中央部に合流部34が形成されている。3つの隆起部31は、軸線L回りに並んで配置されている。隆起部31、流路部33、及び、合流部34は、第3の実施形態と同様に形成されている。凹部用周壁部102Cは、図12に示すように、その内周面及び外周面を、その軸方向に直交する断面に沿って切断した形状が、楕円状に形成されている。
【0067】
また、凹部用周壁部102Cは、容器20Cの径方向外側に向かって突出する突出部110が形成されている。突出部110は、凹部用周壁部102Cの一部が径方向外側に屈曲して突出する形状を有している。突出部110は、本実施形態では、2つ形成されており、それぞれ、上述のよう楕円状に形成された凹部用周壁部102Cの、長軸L0と交差する部分に形成されている。
【0068】
本実施形態では、第3の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、周壁部102Cに突出部110が形成されることにより、空間Cの容積をさらに小さくできる。この効果について、具体的に説明する。
【0069】
突出部110が形成されることにより、底壁部26Cの載置面Pとの接触面積を、突出部110の分、増大することができる。容器20Cは、載置面Pに載置された際に、底壁部26Cの載置面Pとの接触面積が大きいほど、その姿勢が安定する。また、凹部101の径が大きいほど、底壁部26Cの載置面Pとの接触面積が大きくなる
これらのことより、本実施形態では、突出部110による底壁部26Cの載置面Pとの接触面積の増大分、凹部101の径を小さくし、底壁部26Cの載置面Pとの必要な接触面積を維持している。必要な接触面積とは、揮散装置を載置面Pに載置した際の姿勢を安定させることができる面積である。
【0070】
このように、凹部101の径を小さくすることができることにより、凹部用周壁部102C及び隆起部31の間の空間Cの容積を小さくできるので、容器20C内で使用されずに残る薬液の量を少なくすることができる。
【0071】
なお、本発明、及び、第1~4の実施形態でいう筒状は、楕円筒状や直方体状の筒状に限定されるものではない。筒状は、他の例では、円筒や、矩形の筒状や、三角形の筒状等も含む。要するに、筒状は、その軸線回りに一周連続する周壁部を有する形状である。
【0072】
また、第1~4の実施形態では、容器20は、首部22、肩部23、及び、本体部24,24A,24B,24Cを有しており、軸方向に断面形状が異なる筒状に形成されている。本発明で言う筒状とは、このように、その軸方向に断面形状が異なる形状も含む。しかしながら、これに限定されない。他の例では、容器20は、首部22及び肩部23を有さず、本体部24,24A,24B,24Cのみを有する構成であってもよい。
【0073】
また、第1~4の実施形態では、隆起部31は、底壁部26,26A,26B,26Cが、その厚みを底壁部の他の部分と同じまたは略同じまま突出することにより形成されたが、これに限定されない。他の例では、隆起部31は、底壁部26,26A,26B,26Cの厚みを底壁部の他の部分に比べて厚くすることにより突出させる形状であってもよい。
【0074】
また、第1~4の実施形態の揮散装置10は、その構成として、容器20,20A,20B,20C、中栓40、吸液部材50、揮散部材60及び放散器80を有しているがこれに限定されない。他の例では、中栓40、放散器80を備えない構成であってもよい。要するに、揮散装置は、容器と、容器内の薬液を吸い上げる吸液部材を有すればよく、容器自体が、吸液部材の下端部を合流部34内に配置可能に形成されてもよい。この場合では、例えば、容器の首部等の開口部が、吸液部材が嵌まる形状に形成されてもよい。
【0075】
また、第1~4の実施形態では、底壁部26,26A、凹部用底壁部103が突出する形状は、一例として椀状であるが、これに限定されない。例えば、椀状の深さは限定されない。さらに他の例では、ドーム状や、皿状であってもよい。底壁部が突出することにより、容器が落下した際に薬液の重みにより底壁部の内側部分が外周縁より下がることを防止できればよい。なお、容器20が落下する高さは、使用環境によって異なる。この為、第1~4の実施形態では、一例として、使用される高さを想定して、底壁部の突出の程度が決定されている。しかしながら、底壁部が突出していることによって、少なくとも、容器の落下による、底壁部の破損の程度を小さくできる。そして、底壁部の突出の程度を、容器の使用環境などを考慮して決定することにより、底壁部の破損を防止できる、または、その破損の程度を小さくできる。
【0076】
また、第1~4の実施形態では、隆起部31の平面形状は、それぞれ、底壁部を、その中心回りに3分割した形状と同様の形状に形成された。しかしながら、これに限定されない。他の例では、隆起部31の平面形状は、底壁部をその中心回りに3分割した形状と同様となる形状以外の形状であってもよい。
【0077】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
筒状に形成された周壁部と、
前記周壁部の一端を閉塞し、前記周壁部の他端側に突出した底壁部と、
を具備し、
前記底壁部は、その一部が前記他端側に隆起して形成されて前記底壁部の中心回りに離間して位置する3つの隆起部と、前記中心回りに隣接する一対の前記隆起部間にそれぞれ形成された流路部と、前記3つの隆起部間に設けられる領域に形成され、3つの前記流路部を合流させる合流部と、を具備し、
前記周壁部及び前記底壁部の稜部は、前記隆起部の前記他端側の一端よりも前記他端側から形成され、かつ、前記周壁部の軸線に直交する開口断面積が前記底壁部に向かうにつれて小さく形成される
容器。
[2]
筒状に形成された周壁部と、
前記周壁部の一端を閉塞し、前記周壁部の他端側に突出した底壁部と、
を具備し、
前記底壁部は、その一部が前記他端側に隆起して形成されて前記底壁部の中心回りに離間して位置する3つの隆起部と、隣接する一対の前記隆起部間にそれぞれ形成された流路部と、前記3つの隆起部間に設けられる領域に形成され、3つの前記流路部を合流させる合流部と、を具備し、
前記周壁部は、その軸線に直交する開口断面積が、前記隆起部の前記他端側の一端よりも前記他端側から前記底壁部に向かうにつれて、小さく形成される
容器。
[3]
筒状に形成された周壁部と、
前記周壁部の一端を閉塞する底壁部と、
を具備し、
前記底壁部は、凹部用周壁部、及び、前記周壁部の他端側に向かって突出する凹部用底壁部を有し、前記他端から離れる方向に凹む凹部を具備し、
前記凹部用底壁部は、その一部が前記他端側に隆起して形成されて前記凹部用底壁部の中心回りに離間して位置する3つの隆起部と、前記中心回りに隣接する一対の前記隆起部間にそれぞれ形成された流路部と、前記3つの隆起部間に設けられる領域に形成され、3つの前記流路部を合流させる合流部を具備する
容器。
[4]
前記凹部用周壁部は、その前記凹部用底壁部側の一端が他端より、前記周壁部の軸線側に位置するよう傾斜する
[3]に記載の容器。
[5]
3つの前記隆起部のそれぞれの対向する面部は、前記底壁部の中心を通り、前記周壁部の軸線に平行な中心線を中心とする円弧面に形成される
[1]乃至[4]のうちのいずれか1に記載の容器。
[6]
[1],[2],[3]のうちのいずれか1に記載の容器と、
前記容器内に収容された吸液部材と、
を具備した揮散装置。
【符号の説明】
【0078】
10…揮散装置、20…容器、20A…容器、20B…容器、20C…容器、25…周壁部、25A…周壁部、26…底壁部、26A…底壁部、26B…底壁部、26C…底壁部、30…稜部、31…隆起部、35…径方向内端面(面部)、33…流路部、34…合流部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12