(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】バルブとそれを用いた間欠塗工装置
(51)【国際特許分類】
F16K 41/00 20060101AFI20230613BHJP
B05C 5/02 20060101ALI20230613BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230613BHJP
F16K 11/22 20060101ALI20230613BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
F16K41/00
B05C5/02
B05C11/10
F16K11/22 Z
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2019025419
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】大森 克洋
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-114122(JP,A)
【文献】特開昭55-047078(JP,A)
【文献】実開平02-128875(JP,U)
【文献】特開2012-047245(JP,A)
【文献】特開平11-315956(JP,A)
【文献】特開2018-076932(JP,A)
【文献】実開昭53-111147(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/02
B05C 11/10
F16K 1/00
F16K 31/04
F16K 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、
前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、
前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、
前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、
前記出口に設けられた弁座と、
前記弁座を開閉する弁体と、
前記出口とは反対側の位置にある前記弁本体から外方に突出した筒突部と、
摺動軸を伸縮させるアクチュエータと、
前記筒突部と前記アクチュエータとを連結する連結体と、
前記筒突部を貫通すると共に前記空間へ突出し、その一端に前記弁体が設けられた摺動シャフトと、
前記連結体内において、前記摺動シャフトの他端と前記摺動軸とを接続する
クレビスと、
前記筒突部の内周に収納された円柱型の支持部と、
前記支持部の軸方向に貫通し、前記摺動シャフトが摺動する支持貫通孔と、
前記空間側にある前記支持貫通孔の一端の外周に設けられたリング状の第1溝と、
前記
第1溝に嵌め込まれたリング状の第1シール部材と、
を有するバルブ。
【請求項2】
前記第1シール部材は、Oリングである、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記連結体側にある前記支持貫通孔の他端の外周に設けられたリング状の第2溝と、
前記
第2溝に嵌め込まれたリング状の第2シール部材と、
を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項4】
前記第2シール部材は、縦断面U字型のバネシール部材であり、
前記バネシール部材の凸部側が、前記空間側に配されている、
請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
前記支持部の外周には、一又は複数のリング状の外周シール部材が巻回され、
前記外周シール部材が前記筒突部の内周面と接触している、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記連結体内部には、前記摺動シャフトが摺動するための滑り軸受が設けられ、
前記滑り軸受が前記支持部と隣接している、
請求項
1に記載のバルブ。
【請求項7】
前記滑り軸受と前記アクチュエータとの間に、前記
クレビスが配されている、
請求項
6に記載のバルブ。
【請求項8】
前記アクチュエータがボイスコイルモータである、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項9】
走行する長尺状のウエブに塗工液を塗工するダイと、
前記塗工液を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された前記塗工液を圧送するポンプと、
請求項1に記載のバルブである第1バルブの前記弁本体と、請求項1に記載のバルブである第2バルブの前記第2バルブの前記弁本体とが組み合わされた共通の空間を有した三方弁と、
前記ポンプからの前記塗工液を前記第1バルブの前記入口に供給する圧送配管と、
前記第1バルブの前記出口から前記ダイに前記塗工液を供給する給液配管と、
前記第2バルブの前記出口から前記タンクに前記塗工液を循環させる循環配管と、
前記第1バルブの前記出口を開閉することによって前記ウエブに塗工区間と未塗工区間とを交互に形成する間欠塗工を行う制御部と、
を有する間欠塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブとそれを用いた間欠塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルム、布帛、紙、金属箔、金属メッシュなどの長尺状のウエブに塗工液を間欠塗工する間欠塗工装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の間欠塗工装置は、バックアップロール上を搬送するウエブにダイによって未塗工区間と塗工区間とを交互に形成するために、塗工液を圧送するポンプとダイとの間にバルブを設け、未塗工区間を形成するときは、このバルブを閉じてダイへの塗工液の供給を停止し、一方、塗工区間を形成するときは、このバルブを開けてダイに塗工液を供給する。
【0004】
しかし、最近のリチウムイオン電池の電極部材などに使用される金属箔に、塗工液を間欠塗工する場合には、未塗工区間の長さと塗工区間の長さの精度が、従来より高く要求される。
【0005】
そこで本出願人は先に、ボイスコイルモータを用いたバルブによって間欠塗工を行う間欠塗工装置を提案した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなバルブにおいて、間欠塗工装置を使用していると、塗工液がボイスコイルモータに流れて、このボイスコイルモータが故障するという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、塗工液などの液体がボイスコイルモータなどのアクチュエータに流れ込まないバルブ及びそれを用いた間欠塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、弁本体と、前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、前記出口に設けられた弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、前記出口とは反対側の位置にある前記弁本体から外方に突出した筒突部と、摺動軸を伸縮させるアクチュエータと、前記筒突部と前記アクチュエータとを連結する連結体と、前記筒突部を貫通すると共に前記空間へ突出し、その一端に前記弁体が設けられた摺動シャフトと、前記連結体内において、前記摺動シャフトの他端と前記摺動軸とを接続するクレビスと、前記筒突部の内周に収納された円柱型の支持部と、前記支持部の軸方向に貫通し、前記摺動シャフトが摺動する支持貫通孔と、前記空間側にある前記支持貫通孔の一端の外周に設けられたリング状の第1溝と、前記第1溝に嵌め込まれたリング状の第1シール部材と、を有するバルブである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、弁本体の空間にある液体が、摺動シャフトを伝って浸入しようとしても、第1シール部材によって阻止され、連結体やアクチュエータに浸入しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示す間欠塗工装置の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態の間欠塗工装置100について
図1~
図4に基づいて説明する。
【0013】
(1)三方弁10の構造
まず、間欠塗工装置100に用いられる三方弁10について
図2を参照して説明する。
【0014】
三方弁10は、第1バルブ1と第2バルブ2とを組み合わせたものである。すなわち、第1バルブ1の第1弁本体3と第2バルブ2の第2弁本体4を組合せ、組合せ弁本体12を構成している。組合せ弁本体12内部には、共通の空間20を有している。
【0015】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の側部に、塗工液の入口14が開口している。
【0016】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の上部には、円筒状の第1出口16が開口している。
【0017】
組合せ弁本体12における第2弁本体4の上部には、円筒状の第2出口18が開口している。
【0018】
共通の空間20は、入口14と第1出口16と第2出口18とを繋いでいる。この空間20内部であって、第1出口16の基部には、ゴム製、又は、シリコン製の第1弁座22が形成され、第2出口18の基部には、ゴム製の第2弁座24が形成されている。
【0019】
第1弁座22を開閉するための第1弁体26が、第1出口16の基部内部に配されている。第2弁座24を開閉するための第2弁体28が、第2出口18の基部内部に配されている。
【0020】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の下部には、円筒状の第1連結体5が設けられ、第1連結体5の下部には、直動式のアクチュエータである第1ボイスコイルモータ(以下、「第1VCモータ」という)7が設けられている。
【0021】
第1連結体5から第1弁本体3の空間20に突出した第1摺動シャフト34は、その上端に第1弁体26が取り付けられている。この第1摺動シャフト34が摺動することにより、この第1弁体26が第1弁座22を開閉する。第1摺動シャフト34の下端は、第1VCモータ7から突出した第1摺動軸30の上端と接続部材54を介して接続されている。第1摺動軸30の下端には、第1位置センサ38が取り付けられている。この第1位置センサ38は、リニアスケールより構成され、第1摺動軸30の位置を1μm単位で検出できる。
【0022】
組合せ弁本体12における第2弁本体4の下部には、円筒状の第2連結体6が設けられ、第2連結体6の下部には、直動式のアクチュエータである第2ボイスコイルモータ(以下、「第2VCモータ」という)8が取り付けられている。
【0023】
第2連結体6から第2弁本体4の空間20に突出した第2摺動シャフト36は、組合せ弁本体12を貫通し、その上端に第2弁体28が取り付けられている。この第2摺動シャフト36が摺動することにより、この第2弁体28が第2弁座24を開閉する。第2摺動シャフト36の下端は、第2VCモータ8から突出した第2摺動軸32の上端と接続部材56を介して接続されている。第2摺動軸32の下端には、第2位置センサ40が取り付けられている。この第2位置センサ40は、リニアスケールより構成され、第2摺動軸32の位置を1μm単位で検出できる。
【0024】
(2)第2VCモータ8
次に、第2VCモータ8について
図2を参照して説明する。
【0025】
円筒形に形成された第2VCモータ8のケーシング52内部には、円筒形の鉄製のアウターヨーク42が配され、このアウターヨーク42の内周面には、リング状のマグネット44が固定されている。この円筒形のアウターヨーク42の内側には、円筒型の鉄製のインナーヨーク46が配され、アウターヨーク42とインナーヨーク46とは下面で固定されている。アウターヨーク42とインナーヨーク46との間には、間隙が設けられている。
【0026】
円筒形の非磁性のコイルボビン48が、アウターヨーク42とインナーヨーク46との間隙を軸方向に摺動自在に配されている。コイルボビン48の外周面にはコイル50が巻回され、リング状のマグネット44の位置に対応している。
【0027】
コイルボビン48の軸方向の中央部には、第2摺動軸32が貫通して固定されている。また、第2摺動軸32は、円筒型のインナーヨーク46も貫通し、リニアスケールよりなる第2位置センサ40まで延びている。
【0028】
第2VCモータ8の動作状態について説明する。
【0029】
コイルボビン48のコイル50に、直流電流を流すことにより、リング状のマグネット44との間に磁界が発生し、ファラデーの法則により、コイルボビン48が第2摺動軸32と共に軸方向に移動する。この軸方向に移動する第1摺動速度v1は、コイル50に流す直流電流の強さによって決定される。また、第2摺動軸32がどの位置まで移動させるかは、第2位置センサ40で第2摺動軸32の位置を検出し、所定の位置まで第2摺動軸32が移動すると、コイル50に流れる直流電流をOFFし、第2摺動軸32の摺動を停止させる。
【0030】
第1VCモータ7も、第2VCモータ8と同様の構造を有し、同様の動作を行う。
【0031】
(3)第2連結体6
次に第2連結体6について
図2~
図4を参照して説明する。
【0032】
まず、
図2と
図3に示すように、第2連結体6の第2出口18の反対側の位置には、第2摺動シャフト36が貫通するための円形の開口部96が開口し、開口部96の縁部から筒突部94が下方に突出ししている。
【0033】
また、
図3に示すように、第2連結体6の筒体58の上端の外周には上フランジ部98が設けられ、筒体58の下端の外周には下フランジ部74が設けられている。
【0034】
図3に示すように、筒突部94の下端と筒体58の上フランジ部98とが、不図示のボルトにより固定されている。
【0035】
図3に示すように、筒突部94の内側には、円柱状の支持部60が収納されている。支持部60の軸方向には支持貫通孔62が設けられ、第2摺動シャフト36が開口部96、支持貫通孔62を貫通する。この支持貫通孔62は、第2摺動シャフト36よりもやや大きく、第2摺動シャフト36が摺動自在となっている。
【0036】
図3に示すように、筒体58内の上部であって、支持部60の下方には、滑り軸受64が収納されている。滑り軸受64は、第2摺動シャフト36が貫通し、第2摺動シャフト36をスムーズに摺動させる。そして、第2摺動シャフト36の下端は、この滑り軸受64の下部から突出している。
【0037】
図3と
図4に示すように、第2VCモータ8の上面には、筒体58の下フランジ部74が載置され、不図示のボルトにより一体に固定されている。
【0038】
図3に示すように、筒体58内において、第2摺動シャフト36の下端と第2摺動軸32の上端が、接続部材56によって接続されている。接続部材56は、円柱状のクレビスである。すなわち、接続部材56の上部は、U字状の凹部76を有している。また、第2摺動シャフト36の下端は、先細りとなっている。先細りとなった第2摺動シャフト36の下端が凹部76に嵌まり込み、ピン78によって回転自在に接続部材56の上部に固定されている。接続部材56の下部には、雌ネジ部が形成され、第2摺動軸32の上部に形成された雄ネジ部が螺合し、ナット80で固定されている。
【0039】
支持部60の上端部であって、貫通孔62の外周には、リング状の上溝82が設けられている。このリング状の上溝(第1溝)82には、断面円形のOリングよりなる上シール部材(第1シール部材)84が嵌め込まれている。この上シール部材84の内周部は、第2摺動シャフト36に当接し、塗工液の浸入を阻止することができる。
【0040】
支持部60の下端部であって、貫通孔62の外周には、リング状の下溝(第2溝)86が設けられている。このリング状の下溝86には、断面U字状のバネシール部材(例えば、オムニシール(登録商標))からなる下シール部材(第2シール部材)88が設けられている。断面U字状の下シール部材88は、凸部側が上方で、凹部側が第2VCモータ8の方向に収納されている。そして、下シール部材88の内側は、第2摺動シャフト36と接触し、滑り軸受64から浸入しようとする空気を排除できる。
【0041】
支持部60の外周部に沿って2本の外周溝90が所定間隔を空けて設けられ、この外周溝90には縦断面円形のOシールである外周シール部材92が巻回されている。この外周シール部材92は、筒突部94の内周に支持部60を収納した場合に、筒突部94と支持部60の間の隙間に塗工液や空気が浸入しないようにするためのシール部材である。
【0042】
第1連結体5の内部についても、第2連結体6と同様の構造を有する。
【0043】
(4)間欠塗工装置100の構成
次に、間欠塗工装置100の構成について、
図1を参照して説明する。リチウムイオン電池の電極部材の材料となる長尺状のウエブW(例えば、金属箔)が、バックアップロール102によって所定の走行速度Vで走行する。このバックアップロール102の側方には、ウエブWに塗工液を間欠塗工するためのダイ104が配されている。このダイ104内部には、液溜め部106が設けられ、この液溜め部106からスリット108を経てダイ104の吐出口109に至る。バックアップロール102の前後には、ウエブWを案内する案内ロール130と案内ロール132が回転自在に設けられている。ダイ104の吐出口109とバックアップロール102を走行するウエブWとの間隙であるギャップgを調整するために、ダイ104、又は、バックアップロール102がエアーシリンダで移動自在に支持されている。
【0044】
図1に示すように、塗工液を貯留するためのタンク110が、設けられている。タンク110から吸引パイプ113を介して塗工液を吸引する定量ポンプ112が設けられている。定量ポンプ112は、ポンプモータ114によって駆動する。定量ポンプ112と三方弁10の入口14との間には圧送配管116が設けられ、定量ポンプが、単位時間当たり一定量の塗工液を、圧送配管116を介して三方弁10へ圧送する。
【0045】
図1に示すように、三方弁10の第1出口16には、給液配管118の一端部が接続され、この給液配管118の他端部は、ダイ104の塗工液入口120に接続されている。三方弁10の第2出口18には、循環配管122の一端部が接続され、この循環配管122の他端部は、タンク110に設けられている。また、この循環配管122の途中には絞り弁124が設けられている。
【0046】
(5)間欠塗工装置100の電気的構成
間欠塗工装置100の電気的構成について、
図1を参照して説明する。
【0047】
コンピュータよりなる制御部126には、バックアップロール102を回転させるための走行モータ128、定量ポンプ112を駆動させるポンプモータ114、三方弁10の第1VCモータ7、第2VCモータ8、第1位置センサ38、第2位置センサ40がそれぞれ接続されている。
【0048】
(6)間欠塗工装置100の動作状態
次に、間欠塗工装置100を用いてウエブWに塗工区間L1と未塗工区間L2を形成する間欠塗工を行う動作について
図1~
図3に基づいて説明する。
【0049】
ウエブWに塗工区間L1を形成する場合、作業者は、タンク110に塗工液を入れて基準量まで満杯にし、ダイ104の吐出口109とウエブWとの間隙であるギャップgを基準ギャップg0に設定する。
【0050】
制御部126は、ウエブWを走行速度Vで走行させ、三方弁10の第1出口16を開状態にし、第2出口18を閉状態にして、定量ポンプ112によってタンク110から塗工液を圧送し、三方弁10を経て、ダイ104に塗工液を圧送する。ダイ104に圧送された塗工液は、液溜め部106からスリット108を経て吐出口109において塗工液を、走行するウエブWに塗工する。
【0051】
このときに、制御部126は、第1摺動シャフト34を第1基準摺動速度v0で移動させ、第1出口16を開状態にし、第2出口18を閉状態にして、ウエブWに塗工液の塗工を開始して塗工区間L1を形成する。第1摺動シャフト34の第1弁体26を開状態にするときの摺動停止位置は、第1位置センサ38によって検出し、予め決められた所定位置まで第1摺動シャフト34が突出すると、制御部126は、第1VCモータ7のコイル50に流す直流電流をOFFして、第1摺動シャフト34の摺動を停止させる。また、制御部126は、第2出口18を閉状態にする場合に、第2摺動シャフト36の第2摺動速度v2を第1摺動シャフト34の第1基準摺動速度v0と同じにするか、又は、少し遅くする。これにより、第1出口16が開状態になったときに、第2出口18が閉状態になるときの圧力変化の影響を塗工部分が受けることがなく、塗工区間L1の始端に盛り上がり部分が形成されない。
【0052】
次に、制御部126は、走行速度VからウエブWの塗工区間L1の長さを測定し、塗工区間L1の塗工が終了した場合には、第1出口16を閉状態にし、同時に第2出口18を開状態にする。制御部126が第1出口16を閉状態にする第1摺動シャフト34の第1摺動速度v1を第1最大摺動速度v1maxで行う。一方、制御部126は、第2VCモータ8のコイル50に流す直流電流の強さを制御して、第2出口18を開状態にする場合も同様に、第2摺動シャフト36の第2摺動速度v2を第2最大摺動速度v2maxで行う。このような制御をする理由は、塗工液の吐出が迅速に終了すればするほど、塗工区間L1の終端がエッジ状になって盛り上がりを防止でき、そして、塗工液の吐出を迅速に終了させるには、第1摺動シャフト34を最も早く摺動させて第1弁体26を閉状態にする必要があるからである。なお、第1摺動シャフト34を閉状態にするときの摺動は、第1弁体26が第1弁座22に当たると停止する。また、第2摺動シャフト36を開状態にするときの摺動停止位置は、第2位置センサ40によって検出し、第2摺動シャフト36の摺動を停止させる。これによって、塗工区間L1の終端の盛り上がりを防止でき、また、塗工区間L1の長さを予め決めた長さに正確に塗工できる。
【0053】
次に、制御部126は、走行速度VからウエブWの未塗工区間L2の長さを測定し、未塗工区間L2の形成が終了すると、上記と同様の制御によって三方弁10の第1出口16を開状態にし、第2出口18を閉状態にして、ウエブWに塗工区間L1を塗工する。未塗工区間L2を形成している場合には、三方弁10の第1出口16が閉状態であり、第2出口18が開状態であるため、定量ポンプ112から圧送された塗工液は、循環配管122によって、タンク110に循環する。この循環量は、絞り弁124によって決定する。
【0054】
(7)効果
本実施形態によれば、組合せ弁本体12の空間20にある塗工液が開口部96から第2摺動シャフト36を伝って浸入しようとしても、上シール部材84によって阻止され、第2バルブ本体6や第2VCモータに浸入しない。
【0055】
また、支持部60の下端に下シール部材88が設けられているため、滑り軸受64からの空気の浸入が阻止され、空気が空間20に浸入しない。
【0056】
また、支持部60の外周部に外周シール部材92が設けられているため、塗工液や空気が、筒突部94と支持部60の隙間から流れ込んだりしない。その上、支持部60の位置が固定されているため、貫通孔62の中心軸と第2弁座24の中心軸とが常に一定であるため、第2摺動シャフト36が直線上に移動できる。
【0057】
また、第2摺動軸32と第2摺動シャフト36とは、クレビスよりなる接続部材56によって接続されているため、第2摺動シャフト36の軸方向と第2摺動軸32の軸方向が多少ずれても、クレビスよりなる接続部材56のピン78を中心に第2摺動シャフト36が回転し、その位置ずれを吸収できる。
【0058】
(8)変更例
上記実施形態では、外周シール部材92を支持部60の上下方向に2個設けたが、1個、又は3個以上設けてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、直動式のアクチュエータとしてVCモータを用いたが、これに限らず他の装置、例えば、エアーシリンダなどを用いてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、クレビスを有する接続部材56を用いたが、このクレビスがなく、第2摺動軸32と第2摺動シャフト36を直結する接続部材でもよい。
【0061】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・第1バルブ、2・・・第2バルブ、3・・・第1弁本体、4・・・第2弁本体、5・・・第1連結体、6・・・第2連結体、7・・・第1ボイスコイルモータ、8・・・第2ボイスコイルモータ、30・・・第1摺動軸、32・・・第2摺動軸、34・・・第1摺動シャフト、36・・・第2摺動シャフト、54・・・接続部材、56・・・接続部材、58・・・筒体、60・・・支持部、64・・・滑り軸受、82・・・上溝、84・・・上シール部材、86・・・下溝、88・・・下シール部材、90・・・外周溝、92・・・外周シール部材、94・・・筒突部、100・・・間欠塗工装置、102・・・バックアップロール、104・・・ダイ