(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】薬物中毒および他の障害の治療のための遺伝子組み換え大麻植物および組み換えカンナビノイド化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 39/23 20060101AFI20230613BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20230613BHJP
A01H 6/28 20180101ALI20230613BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20230613BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20230613BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20230613BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20230613BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20230613BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230613BHJP
C12N 15/52 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
C07C39/23
A01H5/00 A
A01H6/28
A61K31/05
A61P25/30
A61P25/32
A61P25/34
A61P25/36
A61P35/00
C12N15/52 Z
(21)【出願番号】P 2020553539
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(86)【国際出願番号】 US2019017433
(87)【国際公開番号】W WO2019164689
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-09-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-08
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522301980
【氏名又は名称】マイエムディー ファーマスーティカルズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ジョニー アール.
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】冨永 保
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/011210(WO,A1)
【文献】特表2014-530247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211049(US,A1)
【文献】国際公開第2016/189384(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/011210(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000843(US,A1)
【文献】Journal of Natural Products、(2016)、79、pp.324-331
【文献】Eur.J.Org.Chem.、(2010)、pp.2067-2072
【文献】FEBS Letters、(2007)、581、pp.2929-2934
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,A61K,A61P,C12N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、そのための薬学的に許容されるビヒクルと、を含む、薬学的組成物。
【請求項3】
以下の構造を有するエナンチオマーのラセミ混合物を含有する、
【化2】
請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記薬学的に許容されるビヒクルが、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、電子タバコ、チュアブルガム、鼻腔用スプレー、経皮パッチ、液剤、経粘膜ビヒクル、ヒドロゲル、ナノソーム、リポソーム、ノイソーム、ナノ粒子、ナノスフェア、ミクロスフェア、微粒子、マイクロエマルション、ナノ懸濁液、またはミセルである、請求項2または請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
癌または腫瘍の治療に使用するための、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
アルコール、タバコ、オピオイド、処方薬、コカイン、ベンゾジアゼピン、アンフェタミン、幻覚剤、吸入剤、フェンサイクリジン、または他の違法薬物への中毒の治療に使用するための、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
以下の構造を有する、少なくとも99%のエナンチオマー純度のエナンチオマーを含有する、
【化4】
請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記薬学的に許容されるビヒクルが、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、電子タバコ、チュアブルガム、鼻腔用スプレー、経皮パッチ、液剤、経粘膜ビヒクル、ヒドロゲル、ナノソーム、リポソーム、ノイソーム、ナノ粒子、ナノスフェア、ミクロスフェア、微粒子、マイクロエマルション、ナノ懸濁液、またはミセルである、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
癌または腫瘍の治療に使用するための、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
アルコール、タバコ、オピオイド、処方薬、コカイン、ベンゾジアゼピン、アンフェタミン、幻覚剤、吸入剤、フェンサイクリジン、または
、他の違法薬物への中毒の治療に使用するための、請求項8に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年2月20日に出願された第62/632,448号に対する優先権を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
近年、大麻、そしてその成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)の治療効果についてかなりの研究が行われている。鬱病、薬物中毒、禁煙、疼痛、癌、自己免疫障害、および/または慢性炎症に関連する障害などの適応症を治療するための改善された化合物が依然として必要とされている。本明細書に記載の化合物は、遺伝子組み換え大麻植物から採取されてもよいし、あるいは本明細書に記載の化合物は、合成により調製されてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示される態様に従い、遺伝子組み換え大麻植物中のカンナビノイドレベルを増加させる方法が開示される。他の態様では、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)シンターゼの発現を制御する遺伝子の過剰発現を誘導するように、大麻植物の遺伝子組み換えにより大麻植物を遺伝子的に組み換える方法が開示される。一態様では、THCAシンターゼの過剰発現は、カンナビゲロール酸のテトラヒドロカンナビノール酸への増加した合成を触媒する。また他の態様では、遺伝子組み換え大麻植物中のテトラヒドロカンナビノール酸は、大麻植物中の増加したレベルのカンナビノイドに変換される。一態様では、カンナビノイドは、(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9オールである。別の態様に従い、遺伝子組み換え大麻植物は、大麻植物に、カンナビジオール酸(CBDA)シンターゼの発現を制御する遺伝子を過剰発現させる遺伝子組み換えを含む。CBDAシンターゼは、カンナビゲロール酸のカンナビジオール酸への増加した合成を触媒し、カンナビジオール酸は、大麻植物中の増加したカンナビノイドに変換される。
【0004】
一態様では、大麻植物を遺伝子的に組み換えて、増加したレベルのカンナビノイドを産生させる方法が開示される。別の態様では、大麻植物は、大麻植物にカンナビジオール酸(CBDA)シンターゼの発現を制御する遺伝子を過剰発現させる遺伝子組み換えを含むように遺伝子的に組み換えられ、CBDAシンターゼは、カンナビゲロール酸のカンナビジオール酸への増加した合成を触媒する。他の態様では、遺伝子組み換え大麻植物中のカンナビジオール酸は、大麻植物中の増加したレベルのカンナビノイドに変換される。別の態様では、カンナビノイドは、2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールである。別の態様に従い、遺伝子組み換え大麻植物は、大麻植物に、カンナビゲロール酸のテトラヒドロカンナビノール酸への増加した合成を触媒するTHCAシンターゼの発現を制御する遺伝子を過剰発現させる第2の遺伝子組み換えを含み、テトラヒドロカンナビノール酸は、大麻植物中の第2の増加したカンナビノイドレベルに変換される。
【0005】
別の態様に従い、増加したレベルのカンナビノイド化合物を産生するトランスジェニック大麻植物が開示される。一態様では、カンナビノイド化合物は、(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールである。別の態様では、カンナビノイド化合物は、2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールである。
【0006】
他の態様では、大麻植物中のカンナビノイドレベルを増加させる方法が開示され、本方法において、大麻植物は、大麻植物にカンナビゲロール酸の合成の触媒を制御する遺伝子を過剰発現させる遺伝子組み換えを含み、増加したレベルのカンナビゲロール酸は、大麻植物中でカンナビノイドに合成される。
【0007】
一態様では、組み換えカンナビノイド化合物(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールまたはその薬学的に許容される塩が開示される。別の態様において、組み換えカンナビノイド化合物は、2-((1R,5r)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールまたはその薬学的に許容される塩である。
【0008】
別の態様では、組成物は、治療有効用量の組み換えカンナビノイド化合物またはその薬学的に許容される塩およびそのための薬学的に許容されるビヒクルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面を考慮して以下の詳細な説明を参照することによって、本発明およびそのある特定の利点の理解がより完全となり得る。
【
図1】大麻植物におけるカンナビノイド合成の生合成経路を示す。THCAシンターゼおよびCBDAシンターゼは、カンナビゲロール酸(CBGA)のモノテルペン部分の酸化的環化を触媒して、THCAおよびCBDAを形成する。様々なカンナビノイド化合物およびカンナビノイド誘導体は、THCAおよびCBDAから生成される。最もよく知られているカンナビノイドのうちの2つであるTHCおよびCBDは、喫煙および保管中の非酵素的脱炭酸によってTHCAおよびCBDAから生成される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
大麻植物によって産生されるカンナビノイドには、膨大な種類の疾患および他のヒトの病気を治療するために新しい治療用化合物をもたらす可能性がある。100種類以上の異なるカンナヒノイドが大麻から単離されており、各カンナヒノイド化合物は様々な効果を示している。例えば、THCは、その精神的作用でよく知られており、CBDは、その非精神活性作用でよく知られている。THCおよび関連誘導体は、典型的には、ヒトおよび他の哺乳類に見られるカンナビノイド受容体を介して治療活性を発揮する。CBDはTHCの異性体である。CBDおよびCBD誘導体はまた、カンナビノイド受容体とは関係のない経路を通じて抗酸化および抗炎症作用を呈する。カンナヒノイド1型(CB1)受容体は、基底核および辺縁系、ならびに海馬および線条体、同様に小脳を含めて、主に脳に見られる。CB1受容体は、ヒト前眼および網膜に見られ得る。研究により、カンナビノイド2型(CB2)受容体は、カンナビノイドに関連する抗炎症作用および他の治療効果に貢献することが示されている。
【0011】
例えば、THCなどの高レベルのカンナビノイドを含有する大麻植物は、典型的には「マリファナ」草として知られる。カンナビノイド含有量が少ない大麻植物は、「麻」植物に分類される。マリファナ植物に分類される大麻植物と麻植物に分類される大麻植物とを区別するカンナビノイドのレベルは、通常、個々の国が決定する。一般に、麻植物に分類される大麻植物の乾燥重量基準を基準とするTHC含有量は、0.3%以下である。THC、CBD、および他のカンナビノイド含有レベルが0.3%を超える大麻植物は、典型的には、マリファナ植物とみなされる。医療用マリファナは、典型的には、5~20%のカンナビノイドレベルを含有する。他の大麻植物は、25~30%のカンナビノイドレベルを産生し得る。一態様では、少なくとも20%である増加したレベルのカンナビノイドを産生する遺伝子組み換え大麻植物が本明細書で開示される。別の態様では、約5~20%である増加したレベルのカンナビノイドを産生する遺伝子組み換え大麻植物が本明細書で開示される。また別の態様では、約25~30%である増加したレベルのカンナビノイドを産生する遺伝子組み換え大麻植物が本明細書で開示される。一態様では、遺伝子組み換えでない大麻植物は、麻植物に分類される。別の態様では、遺伝子組み換えでない大麻植物は、マリファナ植物に分類される。他の態様では、カンナビノイドはTHC誘導体である。他の態様では、カンナビノイドは、(3aR)-2,4,4-トリメチ-7-ペンチ-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペン[c]クロメン-9-オールである。他の態様では、カンナビノイドは、カンナビジオールまたはカンナビジオール誘導体である。さらに別の態様では、カンナビノイドは、2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールである。
【0012】
カンナビノイドを含有する大麻植物材料には、植物、または植物の部位、例えば、樹皮、葉、茎、根、木、花、果実、種子、漿果、滲出物、抽出物、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。本明細書で使用される場合、大麻植物には、変異種、亜種、化学変種、遺伝子交配物、自己交配物、またはハイブリッドが含まれる。本明細書に開示される一態様に従い、トランスジェニック大麻植物は、カンナビノイド生合成経路に関与する遺伝子(単数または複数)を発現する、抑制する、改変する、または変異させるように遺伝子的に組み換えられる。さらに別の態様によれば、本明細書に開示される遺伝子組み換え大麻植物は、様々なカンナビノイドの生合成に関与する酵素(複数可)またはタンパク質(複数可)をコードする組み換え遺伝子(単数または複数)に起因して、増加したレベルのカンナビノイドを生成してもよい。
【0013】
様々なカンナビノイドを産生する大麻植物の生合成経路は、前駆体のカンナビゲロール酸から始まる。
図1に示すように、酵素であるTHCAシンターゼおよびCBDAシンターゼは、それぞれテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)およびカンナビジオール酸(CBDA)、ならびに他のカンナビノイドへのカンナビゲロール酸の生体合成を触媒する。この経路を介して他の様々なカンナビノイドが産生されることが知られている。THC、CBD、および他のカンナビノイド誘導体は、非酵素的脱炭酸化によってTHCAおよびCBDAから人工的に生成される。Evolution of the Cannabinoid and Terpene Content during the Growth of Cannabis sativa Plants from Different Chemotypes,Oier Aizpurua-Olaizola,Umut Soydaner,Ekin Ozturk,Daniele Schibano,Yilmaz Simsir,Patricia Navarro,Nestor Etxebarria,and Aresatz Usobiaga,Journal of Natural Products 2016 79(2),324-331。様々なクラスのカンナビノイドが、この一般経路を介して生合成されてTHC(テトラヒドロカンナビノール)、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、CBD(カンナビジオール)、CBDA(カンナビジオール酸)、CBN(カンナビノール)、CBG(カンナビゲロール)、CBC(カンナビクロメン)、CBL(カンナビシクロール)、CBV(カンナビバリン)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、CBDV(カンナビジバリン)、CBCV(カンナビクロメバリン)、CBGV(カンナビゲロバリン)、CBGM(カンナビゲロールモノメチルエーテル)、CBE(カンナビエルソイン)、およびCBT(カンナビシトラン)を含むようになる。
【0014】
大麻植物中のカンナビノイド含有量を増加させるための遺伝子工学技術には、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)シンターゼの発現を制御する遺伝子を操作すること、および/またはカンナビジオール酸(CBDA)シンターゼの発現を制御する遺伝子を制御することが伴う。一態様では、THCAシンターゼを産生する遺伝子の過剰発現により、大麻植物中の増加したレベルのTHCAシンターゼが得られる。The Gene Controlling Marijuana Psychoactivity:Molecular Cloning and Heterologous Expression of Delta1-Tetrahydrocannabinolic Acid Synthase from Cannabis sativa L.J.Biol.Chem.2004 279:39767。
図1に示すように、THCAシンターゼは、カンナビゲロール酸(CBGA)のテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)への合成を触媒する。したがって、THCAシンターゼの発現が増加することで、CBGAのTHCAへのレベルの増加が触媒される。THCAは、続いて、他のTHC関連カンナビノイドに変換または合成される。別の態様では、CBDAシンターゼを産生する遺伝子の過剰発現により、大麻植物中の増加したレベルのCBDAシンターゼが得られる。Taura Futoshi,Sirikantaramas Supaart,Shoyama Yoshinari,Yoshikai,Kazuyoshi,Shoyama Yukihiro,and Morimoto Satoshi(2007),Cannabidiolic-acid synthase,the chemotype-determining enzyme in the fiber-type Cannabis sativa,FEBS Letters,581。
図1に示すように、CBDAシンターゼは、カンナビゲロール酸(CBGA)のカンナビジオール酸(CBDA)への合成を触媒する。CBDAは、続いて、他のCBD関連カンナビノイドに変換または合成される。したがって、CBDAシンターゼの発現が増加することで、CBGAのCBDAへのレベルの増加が触媒される。本明細書に開示される遺伝子工学技術によれば、増加したレベルの(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチ-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールおよび2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペン-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼ-1,3-ジオーは、トランスジェニック大麻植物から生成され得る。
【0015】
一態様によれば、本明細書に開示される遺伝子組み換え大麻植物は、例えば、少なくとも以下のレベル、以下のレベル超、以下のレベル未満、以下のレベル、またはこれらの間のいずれかの数の乾燥重量-重量を基準としたカンナビノイド含有レベルを産生してもよい:約0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、0.50%、0.55%、0.60%、0.65%、0.70%、0.75%、0.80%、0.85%、0.90%、0.95%、1.00%、2.00%、3.00%、4.00%、5.00%、6.00%、6.00%、7.00%、7.00%、8.00%、9.00%、10.00%、11.00%、12.00%、13.00%、14.00%、15.00%、16.00%、17.00%、18.00%、19.00%、20.00%、21.00%、22.00%、23.00%、24.00%、25.00%、26.00%、27.00%、28.00%、29.00%、30.00%、31.00%、32.00%、33.00%、34.00%、35.00%、36.00%、37.00%、38.00%、39.00%、40.00%、41.00%、42.00%、43.00%、44.00%、45.00%、46.00%、47.00%、48.00%、49.00%、50.00%。
【0016】
本明細書で使用される場合、「酵素」、「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は、本明細書で互換的に使用され、隣接する残基のアルファ-アミノ基とカルボキシ基との間のペプチド結合によって互いに接続される一連のアミノ酸残基を指定する。「酵素」、「タンパク質」、「ペプチド」、および「ポリペプチド」という用語は、その大きさまたは機能に関係なく、修飾されたアミノ酸(例えば、リン酸化、糖化、グリコシル化など)およびアミノ酸類似体を含む、アミノ酸のポリマーを指す。「タンパク質」および「ポリペプチド」は、比較的大きなポリペプチドを参照して使用されることが多く、一方で用語「ペプチド」は、小さなポリペプチドを参照して使用されることが多いが、当該技術分野におけるこれらの用語の使用は重複する。用語「酵素」、「タンパク質」、および「ペプチド」は、遺伝子産物およびその断片を指す場合、本明細書において互換的に使用される。したがって、例示的な酵素、ポリペプチド、ペプチド、またはタンパク質は、前述の遺伝子産物、天然に存在する酵素、タンパク質、ホモログ、オーソログ、パラログ、断片、ならびに前述のものの他の等価物、変異体、断片、および類似体を含む。
【0017】
一態様によれば、カンナビノイド生合成に関連するポリペプチドをコードする遺伝子を利用して、ポリペプチドが通常見い出され得る大麻植物におけるポリペプチドを過剰発現させるまたはポリペプチドの発現を阻害し得る。他の態様では、遺伝子は、遺伝子の発現を阻害または誘導するポリヌクレオチドを設計するために使用されてもよく、ポリヌクレオチドは、大麻植物の細胞に導入されてもよい。
【0018】
「アミノ酸配列」は、酵素、タンパク質、またはペプチドについて直接決定されてもよいし、対応する核酸配列から推定されてもよい。「核酸」または「核酸配列」は、リボ核酸、デオキシリボ核酸、またはその類似体の単位を組み込んだ任意の分子、好ましくはポリマー分子であってもよい。核酸は、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。一本鎖核酸は、変性二本鎖DNAの1つの核酸鎖であり得る。あるいは、これは、いずれの二本鎖DNAにも由来しない一本鎖核酸であり得る。一態様では、核酸は、DNAであり得る。別の態様では、核酸は、RNAであり得る。好適な核酸分子は、ゲノムDNAまたはcDNAを含むDNAである。他の好適な核酸分子は、mRNAを含むRNAである。核酸に適用される「異種」は、天然の大麻植物細胞の起源とは異なる起源のものである。
【0019】
「ベクター」は、一本鎖または二本鎖いずれかのDNA片を指す。ベクターは、例えば、典型的には、選択可能またはスクリーニング可能なマーカーまたは導入遺伝子をコードする、プラスミドまたはウイルス起源のものであり得る。ベクターは、異質または異種DNAを好適な宿主細胞に輸送するために使用される。宿主細胞に入ると、ベクターは、宿主染色体DNAから独立してまたは宿主染色体DNAと同時に複製することができる。あるいは、ベクターは、宿主染色体への異質または異種DNAの挿入を標的とすることができる。
【0020】
「トランスジェニック」という用語は、「形質転換」された大麻植物または植物細胞を指す。「形質転換」は、DNAを大麻植物または植物細胞に導入することを説明する。ほとんどの場合、DNAは、DNAセグメントを含むベクターの形態で大麻植物または植物細胞に導入される。形質転換された大麻植物は、当該技術分野で既知の方法に従って、選択可能なマーカーおよびレポート遺伝子によって識別されてもよい。「発現」は、DNAがタンパク質に翻訳されるmRNAに転写されるときに植物細胞内で産生されるタンパク質を説明する。「阻害」は、遺伝子から転写されるmRNAの細胞レベル(すなわち、コードポリヌクレオチド)、および/またはコードポリヌクレオチドのペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質産物の細胞レベルにおける測定可能な減少を説明する。「過剰発現」は、野生型大麻植物または細胞における発現と比較した、大麻植物または細胞における遺伝子のより大きな発現レベルを説明する。「抑制された」は、タンパク質の発現または活性の低下を指す。
【0021】
「配列同一性%」という用語は、DNAまたはタンパク質セグメントの配列がヌクレオチド配列またはアミノ酸配列などの配列の整列のウィンドウ全体を通して不変である程度を説明し、比較ウィンドウに対して2つの最適に整列された配列を比較することによって決定される。参照配列と整列した配列の同一性分数は、整列アルゴリズムによって導入されたギャップを含まない整列の長さで除した、配列によって共有される同一の構成要素の数である。「同一性%」は、同一性分数に100を乗じたものである。「実質的に同一である」は、参照配列と85%超同一であるヌクレオチド配列を説明する。
【0022】
「プロモーター」は、転写を初期化する調節DNAを説明する。当業者に既知の方法を使用して、組換えDNA構築物が組み立てられ、これは、通常、DNAに作動可能に連結されたプロモーターを含む。
【0023】
細胞生物学および分子生物学における一般的な用語の定義は、Blackwell Science Ltd.出版のThe Encyclopedia of Molecular Biology,(1994)(ISBN 0-632-02182-9)、Jones&Bartlett Publishing出版のBenjamin Lewin,(2009)Genes X,(ISBN-10:0763766321)、VCH Publishers,Inc.出版のKendraw et al.(eds.)(1995),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,(ISBN 1-56081-569-8)and Current Protocols in Protein Sciences(2009),Wiley Intersciences,Coligan et al.,eds.において見い出すことができる。
【0024】
別段の記載がない限り、本開示は、例えば、Sambrook et al.,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3 ed.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,USA、Davis et al.,(1995)Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier Science Publishing,Inc.,New York,USA、またはMethods in Enzymology:Guide to Molecular Cloning Techniques Vol.152,S.L.Berger and A.R.Kimmel Eds.,Academic Press Inc.,San Diego,USA(1987)、およびCurrent Protocols in Protein Science(CPPS)(John E.Coligan,et.al.,ed.,John Wiley and Sons,Inc.)に記載されている標準的な手順を使用して行われ、これらの文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、THCAまたはCBDAの生合成に関連するポリペプチドをコードする大麻植物遺伝子を利用して、ポリペプチドが通常見い出される大麻植物におけるポリペプチドを過剰発現させるまたはポリペプチドの発現を阻害し得る。例えば、遺伝子または関連ベクターは、遺伝子が通常見られない遺伝子座内の植物の細胞に導入されてもよく、あるいは遺伝子または関連ベクターの天然コピーが、天然遺伝子またはベクターの発現の増加につながる調節制御要素のもとに置かれてもよい。他の例では、遺伝子は、遺伝子の発現を阻害するポリヌクレオチドを設計するために使用されてもよく、ポリヌクレオチドは、大麻植物の細胞に導入されてもよい。したがって、遺伝子組み換え大麻植物は、カンナビノイド生合成に関連する1つまたはいくつかの主要な遺伝子を過剰発現または阻害することによって、(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールおよび2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼ-1,3-ジオールなどの合成されたある特定のカンナビノイドのレベルを増加または減少させるように操作されてもよい。
【0026】
一例では、トランスジェニック大麻植物は、大麻植物または細胞を、大麻植物または細胞中で作動可能なプロモーターと、カンナビノイド生合成経路に重要な酵素(複数可)またはタンパク質(複数可)をコードすることができるDNA配列とを含むベクターまたは外因性DNA構築物に曝露し、それにより増加したレベルの(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールおよび/または2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールを誘導することによって、増加したレベルの(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールおよび/または2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールを用いて栽培されてもよい。一例では、標的酵素は、THCAシンターゼおよび/またはCBDAシンターゼである。したがって、大麻植物は、DNA構築物またはベクターによって形質転換される。形質転換された植物または細胞を選択し、得られたトランスジェニック大麻植物を、従来の技術を使用して再生する。
【0027】
カナビノイド生体合成経路に関与する酵素またはタンパク質をコードする単離された核酸の発現は、DNAまたはcDNAをプロモーターに作動可能に連結させ、次いで発現ベクターに組み込むことによって達成され得る。ベクターは、原核生物または真核生物のいずれかにおける複製および統合に好適であり得る。典型的な発現ベクターは、カンナビノイド生合成経路に関与する酵素またはタンパク質をコードするDNAの発現を調節する、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、ならびにプロモーターを含む。次に、ベクターを適切な宿主細胞に導入する。
【0028】
本開示の一態様によれば、遺伝子組み換え大麻植物は、酵素(例えば、THCAシンターゼ、CBDAシンターゼなど)、タンパク質、もしくはカンナビノイド生合成経路に重要な他の成分に関連するか、またはカンナビノイド化合物(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールおよび/もしくは2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールを生成する生合成および/もしくは代謝経路に直接関連する大麻植物遺伝子に対して、少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を含む大麻植物形質転換ベクターを含む。別の態様によれば、核酸は、プロモーターに作動可能に連結されている。別の態様によれば、遺伝子組み換え大麻植物のための核酸構築物が提供される。核酸構築物は、カンナビノイドおよびカンナビノイド誘導体生体合成経路に関連する大麻植物遺伝子に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、遺伝子組み換え大麻植物におけるポリヌクレオチド配列の発現を駆動するための1つ以上の制御配列と、を含む。
【0029】
化合物2-((1R,5R)-3-メチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロペント-2-エン-1-イル)-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオールは、以下の構造を有する。
【化1】
【0030】
化合物(3aR)-2,4,4-トリメチル-7-ペンチル-3,3a,4,9b-テトラヒドロシクロペンタ[c]クロメン-9-オールは、以下の構造を有する。
【化2】
【0031】
一態様によれば、本明細書に記載のカンナビノイド化合物は、塩として形成されてもよく、これは、化学的純度、安定性、溶解性、および/または生物学的利用能を向上させるのに役立ち得る。可能性のある塩の非限定的な例は、P.H.Stahl et al.,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA,2002に記載されており、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフル酸(+)、カンフル-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、およびウンデシレン酸が挙げられる。
【0032】
本明細書に記載の化合物は、前述の遺伝子組み換え大麻植物から採取されてもよい。本明細書に記載の化合物はまた、本明細書に示される構造を形成するために反応物への適切な修飾を用いる既知の技術を使用して、または当業者には明らかであろう他の好適な経路によって、合成により調製されてもよい。非限定的な例として、本明細書に記載の化合物は、本明細書に開示の構造を得るために、当業者には明らかとなる反応物への適切な修飾を用いて、Razdan,Total Synthesis of Cannabinoids,SISA Incorporated,Cambridge,Massachusettsに記載されている次の経路、例えば、201ページに記載されているTHC合成または224ページに記載されているCBD合成のうちの1つ以上に従って合成されてもよい。
【0033】
ヒトまたは他の哺乳動物への投与を意図した化合物は、一般に、非常に高い純度を有するべきである。合成により調製された化合物の場合、純度は、任意の精製工程後の化合物の質量の試料総質量に対する比率を指す。通常、純度のレベルは、少なくとも約95%、より通常には、少なくとも約96%、約97%、約98%、またはそれ以上である。例えば、純度のレベルは、約98.5%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上であってもよい。
【0034】
2つ以上の光学異性体形態(エナンチオマー)で存在する本明細書に記載の化合物は、ラセミ混合物として、またはエナンチオマーのうちの1つを単離することによって提供されてもよく、後者の場合、上述の純度は、エナンチオマー純度を指してもよい。
【0035】
上記のように、カンナビノイドおよび関連するカンナビノイド誘導体は、典型的には、CB1受容体およびCB2受容体を介して治療活性および抗炎症活性を発揮する。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に開示される化合物はまた、MAO-AおよびMAO-B活性のいずれかまたは両方を含む、モノアミンオキシダーゼ(MAO)活性の阻害剤としての特性を呈してもよい。これらの特性により、化合物は、MAO活性に関連する適応症、例えば、鬱病、疼痛、薬物中毒、禁煙などの治療に有効となり得る。本明細書に開示される化合物はまた(または代替的に)、例として、インターロイキン、例えば、IL-1およびIL-6、TNF、シクロオキシゲナーゼ(COX)などを含めて、化合物の炎症経路との相互作用による抗炎症特性を呈してもよい。MAO-Aおよび/もしくはMAO-B活性を阻害する化合物の能力、ならびに/またはCOXおよび/もしくは炎症に関連する他の経路を阻害するその能力は、当業者に周知のアッセイを使用して評価されてもよい。
【0036】
過酸化水素(H2O2)は、安定した、非荷電かつ自由に拡散可能な反応性酸素種(ROS)および第2のメッセンジャーである。組織内の酸素消費量が高いため、脳内のH2O2の生成は特に高い。ROSは本質的にミトコンドリアによって産生され、MAOなどのミトコンドリア酵素を遮断する能力により、初期段階のH2O2産生が妨げられ得る。いくつかの例では、本明細書に開示される化合物は、例えばH2O2の合成を阻害することによって、H2O2を特異的に標的とし、それによりH2O2レベルを調節して、H2O2レベルの上昇に関連する様々な障害を治療し得る。
【0037】
いくつかの態様では、本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、アルコール、タバコ、オピオイド、処方薬、コカイン、ベンゾジアゼピン、アンフェタミン、幻覚剤、吸入剤、フェンシクリジン、または他の薬物依存症などの薬物依存症の治療のために、それを必要とする個体に投与される。このような治療はまた、ベンゾジアゼピン、アヘン剤、またはアルコールへの依存の離脱症状、ならびに不安、気分症状、疼痛、および不眠症などの薬物使用障害を有する患者が経験する症状の治療を含む。
【0038】
薬物使用障害に関連する不安に加えて、組み換えカンナビノイド化合物は、外傷後ストレス障害、一般不安障害、パニック障害、社会不安障害、および強迫性障害などの他の種類の不安障害の治療に有効であり得る。
【0039】
他の態様では、本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、多発性硬化症、線維筋痛症、癲癇、または神経変性、神経損傷、および精神疾患などの癲癇に関連する神経精神障害の治療のために、それを必要とする個体に投与されてもよい。組み換えカンナビノイド化合物は、フェニトインおよびジアゼパムなどの他の活性剤の抗痙攣活性を増強するのに有効であり得る。
【0040】
また他の態様では、本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、統合失調症患者を治療するための抗精神病薬として使用されてもよい。組み換えカンナビノイド化合物は、緑内障の治療などにおいて眼圧を低減するのにも有効であり得る。
【0041】
さらに他の態様では、本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、癌の治療のために、それを必要とする個体に投与されてもよい。組み換えカンナビノイド化合物は、癌細胞の成長を抑制するため、および/または癌細胞の死滅を促進するために、癌細胞が体内に広がり、領域を完全に侵すのを遮断することに有効であってもよい。
【0042】
本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、免疫系が膵臓の細胞を攻撃するときに炎症によって引き起こされる1型糖尿病、ならびに一部には身体の炎症および酷使された皮脂腺によって引き起こされる座瘡の治療に有用であってもよい。化合物の抗炎症特性は、座瘡の最も一般的な形態である尋常性座瘡を含む座瘡につながる皮脂の産生を低下させ得る。
【0043】
本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、アルツハイマー病を治療するため、特に、アルツハイマー病の初期段階で投与される場合に対象における社会的認識障害の発症を防止するために使用されてもよい。本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物によって治療され得る障害の他の例には、吐き気、嘔吐、食欲不振、および悪液質が挙げられる。本化合物は、例えば、エイズ患者または食物を拒否するアルツハイマー病を有する個体において、食欲増進効果を生じさせ得る。
【0044】
本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、多発性硬化症(MS)または脊髄損傷、運動障害、例えば、トゥレット症候群、ジストニア、または遅発性ジスキネジアによって引き起こされる痙性の治療に有用であってもよい。MS患者は、運動失調、および振戦の軽減に対する利益を受け得る。
【0045】
組み換えカンナビノイド化合物の鎮痛特性は、例えば、多発性硬化症による神経障害性疼痛、腕神経叢の損傷およびHIV感染、関節リウマチの疼痛、癌の疼痛、頭痛、生理痛、慢性腸炎、および神経痛の治療において有益であることが示され得る。
【0046】
本明細書に記載の組み換えカンナビノイド化合物は、喘息の治療に有用であってもよい。THCまたは大麻の抗喘息効果を調べる実験は、主に1970年代に遡り、すべて急性試験である。大麻タバコ(2%のTHC)または経口THC(15mg)の効果は、それぞれ、一般的な気管支拡張薬(サルブタモール、イソプレナリン)の治療用量で得られるものにほぼ相当する。大麻生成物の吸入が粘膜を刺激する場合があるので、経口投与または別の代替送達系が好ましい。THCを吸入した後に気管支収縮を発症した患者はごくわずかである。
【0047】
反応性鬱病における気分の改善が、THCを用いたいくつかの臨床試験において観察されている。睡眠障害、不安障害、双極性障害、気分変調症などの他の精神症状および疾患におけるカンナビノイドの利益を主張するさらなる症例報告が存在する。精神的症候群および大麻については、様々な著者が異なる見解を示している。大麻による問題を強調するものもあれば、治療の可能性を奨励するものもある。大麻生成物は、特定の場合に応じて、有益にも有害にもなる可能性が高い。主治医と患者は、このトピックに対する批判的検討、および両方の可能性に対する率直さを受け入れるべきである。
【0048】
炎症プロセスに続くある数の痛みを伴う症候群(例えば、潰瘍性大腸炎、関節炎)では、大麻生成物は、鎮痛剤としてだけでなく、抗炎症能力も示し得る。例えば、大麻を用いる一部の患者は、ステロイドおよび非ステロイド系抗炎症薬の必要性の低下を報告している。さらに、アレルギー状態における大麻自己処方による前向き効果の報告もある。大麻生成物が自己免疫疾患の原因プロセスに関連する影響を及ぼす可能性があるかどうかは未だ不明である。
【0049】
上記のカテゴリーに容易に割り当てることができない病状、例えば、掻痒、吃逆、ADS(注意欠陥症候群)、高血圧、耳鳴り、慢性疲労症候群、下肢静止不能症候群などについて、多くの陽性患者の報告がある。異なる執筆者が、大麻およびTHCに対する可能性のある数百の適応症を説明している。例えば、2.5~5mgのTHCが、肝臓疾患による掻痒を有する3人の患者に有効であった。別の例は、手術後に発症した慢性吃逆の治療の成功である。いずれの薬剤も効果がなかったが、大麻タバコの喫煙により症状が完全に消失した。
【0050】
大麻生成物は、THC効果のスペクトル内に包含される複数の症状を伴う疾患、例えば、炎症性起源(例えば、関節炎)を有するか、もしくは筋緊張の増加(例えば、生理痛、脊髄損傷)が付随する疼痛状態において、またはそれぞれ疼痛、不安、および鬱が付随する吐き気および食欲不振を伴う疾患(例えば、エイズ、癌、C型肝炎)において、非常に良好な効果を示すことが多い。
【0051】
好適な用量は、疾患または障害の種類および/または重症度、以前の治療、個体の一般的な健康状態、年齢、および/または体重、治療の頻度、組成物からの放出速度、ならびに存在する他の疾患を含む様々な要因に応じて広範囲にわたって変化し得る。この用量は、対象の疾患状態、年齢、および体重などの要因によって変化し得る。例えば、進行段階にある状態および/または生命を脅かす状態が関与する治療のためには、より高い用量が投与され得る。用量レジメンはまた、最適な治療応答を提供するように調整されてもよい。
【0052】
薬学的組成物は、1つ以上の許容可能な薬学的または食品グレードの担体または賦形剤とともに製剤化されてもよい。本明細書で使用される場合、「許容可能な薬学的または食品グレードの担体または賦形剤」という用語は、任意の種類の無毒性、不活性固体、半固体、または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、または製剤化助剤を意味する。例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤;ココアバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、紅花油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質不含水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグリウムなどの適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤および芳香剤、保存剤および酸化防止剤も、配合者の判断に従って組成物中に判定剤中に存在することができる。
【0053】
医薬組成物は、任意の好適な技術によって調製されてもよく、その製造のためのいずれの特定の方法によっても限定されない。例えば、精製されたカンナビノイドを賦形剤および結合剤と組み合わせ、その後、顆粒化することができる。顆粒化は、任意の残留成分と乾燥ブレンドし、錠剤などの固体形態に圧縮することができる。
【0054】
薬学的組成物は、任意の好適な経路によって投与され得る。例えば、組成物は、経口、非経口、吸入スプレーによって、局所、直腸内、鼻腔内、口腔内、膣内、埋込み型リザーバを介して投与されるか、または栄養補助食品もしくは食品として摂取されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、吸入器中で提供され、この吸入器を作動させて、肺に吸入される気化媒体を投与してもよい。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、および頭蓋内注射または輸注技術を含む。最も多くの場合、薬学的組成物は容易に経口投与され、摂取される。
【0055】
薬学的組成物は、任意の従来の無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含有してもよい。ある場合には、製剤のpHは、製剤組成物またはその送達形態の安定性を高めるために、許容される薬学的または食品グレードの酸、塩基、または緩衝液で調節されてもよい。
【0056】
経口投与のための液体剤形としては、許容される薬学的または食品グレードのエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒などの当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、および胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、ならびにこれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、および香料などのアジュバントも含むことができる。
【0057】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、丸剤、粉末剤、および顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な許容される薬学的または食品グレードの賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)アガーアガー、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarding agent)、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘度などの吸収剤、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの潤滑剤、ならびにj)甘味剤、香味剤、芳香剤、およびそれらの混合物と混合される。カプセル剤、トローチ剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。
【0058】
錠剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは、任意選択で乳白剤を含有してもよく、また活性成分(複数可)のみを、または好ましくは腸管のある特定の部分で、または任意選択で遅延または延長した様式で、放出する組成物であり得る。使用することができる埋込み組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。徐放のための錠剤製剤は、米国特許第5,942,244号にも記載されている。
【0059】
組成物は、組み換えカンナビノイド化合物(単数または複数)を、単独で、または他の治療用化合物(複数可)と共に、含有してもよい。治療用化合物は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、もしくは予防において薬理活性もしくは他の直接的な効果を提供するか、または人間もしくは動物の身体の構造もしくはいずれかの機能に影響を及ぼす化合物である。本明細書に開示される治療用化合物は、薬学的に許容される塩、溶媒和物、塩の溶媒和物、例えば、塩酸塩の形態で使用されてもよい。加えて、本明細書に開示される治療用化合物は、ラセミ酸塩として、またはR-エナンチオマーもしくはS-エナンチオマーを含む個々のエナンチオマーとして提供されてもよい。したがって、本明細書に開示される治療用化合物は、治療用化合物のR-エナンチオマーのみ、S-エナンチオマーのみ、またはR-エナンチオマーとS-エナンチオマーとの両方の組み合わせを含んでもよい。いくつかの態様では、治療用化合物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの抗炎症活性を有してもよい。NSAIDは、鎮痛、抗炎症、および解熱特性を有する治療用化合物の大規模な群である。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼを遮断することによって炎症を減少させる。NSAIDには、限定されないが、アセクロフェナク、アセメタシン、アクタリット、アルコフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、アロキシピリン、アミノフェナゾン、アントラフェニン、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリレート、ベノキサプロフェン、ベンジダミン、ブチブフェン、セレコキシブ、クロルテノキサシン、サリチル酸コリン、クロメタシン、デキストプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エモルファゾン、エピリゾール;エトドラク、エトリコキシブ、フェクロブゾン、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フルビプロフェニン、グラフェニン、サリチル酸ヒドロキシレチル、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、ラクチルフェネチン、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、メチアジン酸、モフェブタゾン、モフェゾラク、ナブメトン、ナプロキセン、ニフェナゾン、ニフルミン酸、オキサメタシン、フェナセチン、ピペブゾン、プラノプロフェン、プロピフェナゾン、プロカゾン、プロチジン酸、ロフェコキシブ、サリチルアミド、サラサレート、スリンダク、スプロフェン、チアラミド、チノリジン、トルフェナム酸、バルデコキシブ、およびゾメピラクが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
NSAIDは、それらの化学構造または作用機序に基づいて分類され得る。
NSAIDの非限定的な例としては、サリチル酸誘導体NSAID、p-アミノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)阻害剤、および選択的シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤が挙げられる。NSAIDはプロフェンであってもよい。好適なサリチル酸誘導体NSAIDの例としては、限定されないが、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ジフルニサル、およびサルサレートが挙げられる。好適なp-アミノフェノール誘導体NSAIDの例としては、限定されないが、パラセタモールおよびフェナセチンが挙げられる。好適なプロピオン酸誘導体NSAIDの例としては、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、デキストプロフェン、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプロフェン、およびスプロフェンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な酢酸誘導体NSAIDの例としては、限定されないが、アセクロフェナク、アセメタシン、アクタリット、アルコフェナク、アンフェナク、クロメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、ケトロラック、メチアジン酸、モフェゾラック、ナブメトン、ナプロキセン、オキサメタエン(oxametaein)、スリンダク、およびゾメピラクが挙げられる。好適なエノール酸(オキシカム)誘導体NSAIDの例としては、限定されないが、ドロキシカム、イソキシカム、ロモキシカム、メロキシカム、ピロキシカム、およびテノキシカムが挙げられる。好適なフェナム酸誘導体NSAIDの例としては、限定されないが、フルフェナム酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、およびトルフェナム酸が挙げられる。好適な選択的COX-2阻害剤の例としては、限定されないが、セレコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ルミラコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、ロフェコキシブ、およびバルデコキシブが挙げられる。
【0061】
本明細書に開示される治療用化合物の治療有効量は、概して、約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲内である。有効量は、例えば、少なくとも0.001mg/kg/日、少なくとも0.01mg/kg/日、少なくとも0.1mg/kg/日、少なくとも1.0mg/kg/日、少なくとも5.0mg/kg/日、少なくとも10mg/kg/日、少なくとも15mg/kg/日、少なくとも20mg/kg/日、少なくとも25mg/kg/日、少なくとも30mg/kg/日、少なくとも35mg/kg/日、少なくとも40mg/kg/日、少なくとも45mg/kg/日、または少なくとも50mg/kg/日であってもよい。いくつかの例では、治療用化合物の有効量は、約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約75mg/kg/日、または約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲内であってもよい。他の例では、本明細書に開示される治療用化合物の有効量は、例えば、約0.01mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約75mg/kg/日、または約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/dayの範囲内であってもよい。
【0062】
薬学的組成物に加えて、本明細書に記載される化合物は、エリキシル剤、飲料、咀嚼剤、錠剤、トローチ剤、ガムなどとして製剤化されてもよい。別の態様によれば、本薬学的組成物はまた、薬学的に許容されるビヒクル、例えば、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、電子タバコ、チュアブルガム、鼻腔用スプレー、経皮パッチ、液剤、経粘膜ビヒクル、ヒドロゲル、ナノソーム、リポソーム、ノイソーム、ナノ粒子、ナノスフェア、ミクロスフェア、微粒子、マイクロエマルション、ナノ懸濁液、またはミセルとして製剤化されてもよい。本組成物はまた、例えば、栄養補助食品または栄養剤として製剤化されてもよい。
【0063】
本開示の実施形態の説明は、網羅的であること、または本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。本開示の特定の実施形態および実施例は、例示的な目的で本明細書に記載されるが、関連技術分野の当業者が認識するように、本開示の範囲内で様々な等価の修正が可能である。例えば、方法ステップまたは機能は所与の順序で提示されるが、代替の実施形態は異なる順序で機能を実行してもよく、または機能が実質的に同時に実行されてもよい。本明細書に提供される本開示の教示は、適宜、他の手順または方法に適用され得る。本明細書に記載される様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本開示の態様は、必要に応じて、上記の参照および出願の組成物、機能、および概念を用いて、本開示のさらなる実施形態を提供するように修正され得る。さらに、生物学的機能等価性の考慮から、物質または量の生物学的または化学的作用に影響を与えることなく、タンパク質構造にいくつかの変更を加えることができる。これらおよび他の変更は、詳細な説明に照らして本開示に対して行うことができる。すべてのそのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0064】
前述の実施形態のいずれかの特定の要素は、他の実施形態では、要素を組み合わせるか、または要素の代わりにすることができる。さらに、本開示のある特定の実施形態と関連付けられた利点は、これらの実施形態の文脈において説明されているが、他の実施形態はまた、そのような利点を呈することができ、本開示の範囲に含まれるものとするために、すべての実施形態が必ずしもそのような利点を示す必要があるわけではない。
【0065】
本発明は、特定の実施例に関して説明されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨および範囲に含まれる上記のシステムおよび技術の多くの変形および置換があることを理解するであろう。