(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ページ押さえ装置、印刷体利用支援システム、及びページ押さえ方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/042 20060101AFI20230613BHJP
B42D 9/00 20060101ALI20230613BHJP
G01B 7/06 20060101ALN20230613BHJP
G01B 21/08 20060101ALN20230613BHJP
G01B 11/06 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
G06F3/042 482
B42D9/00 F
G01B7/06 C
G01B21/08
G01B11/06 Z
(21)【出願番号】P 2018138514
(22)【出願日】2018-07-24
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小幡 光一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 弘一
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0168954(US,A1)
【文献】特開2001-293920(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107742446(CN,A)
【文献】特開2014-058053(JP,A)
【文献】特開平02-063410(JP,A)
【文献】特開平09-203611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00-15/00
15/04-19/00
G01B 7/00-7/34
G01B11/00-11/30
G01B21/00-21/32
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自ページ押さえ装置を複数の印刷媒体が綴じられた印刷体の表紙に取り付ける取り付け部と、
前記印刷体が見開きの状態にされた際の第1ページ及び第2ページのうちいずれかのページに対応する印刷媒体がめくられることで重ねられるページ側において重ねられた印刷媒体を把持する把持部と、
前記印刷体のページがめくられたか否かを検知する検知部と、
前記検知結果に基づいて、前記印刷媒体がめくられると前記把持部の把持を解放し、前記めくられた印刷媒体が重ねられると前記把持部によって把持するように制御する制御部と、
を有するページ押さえ装置。
【請求項2】
前記検知部により検知された情報を出力する出力部
を更に有する
請求項
1に記載のページ押さえ装置。
【請求項3】
複数の印刷媒体が綴じられた印刷体が見開きの状態にされた際の第1ページ及び第2ページのうちいずれか一方のページ側において重ねられた印刷媒体の厚みを検出する厚み検出部と、
前記検出された厚みに基づいて、前記第1ページまたは第2ページのページを識別するページ識別情報を検知するページ検知部と、
を有するページ情報検知装置と、
請求項
1または請求項
2記載のページ押さえ装置と
を有する印刷体利用支援システム。
【請求項4】
複数の印刷媒体が綴じられた印刷体の表紙に取り付けられたページ押さえ装置のページ押さえ方法であって、
把持部が、前記印刷体が見開きの状態にされた際の第1ページ及び第2ページのうちいずれかのページに対応する印刷媒体がめくられることで重ねられるページ側において重ねられた印刷媒体を把持し、
検知部が、前記印刷体のページがめくられたか否かを検知し、
制御部が、前記検知結果に基づいて、前記印刷媒体がめくられると前記把持部の把持を解放し、前記めくられた印刷媒体が重ねられると前記把持部によって把持するように制御する
ページ押さえ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ページ押さえ装置、印刷体利用支援システム、及びページ押さえ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体とコンピュータ上のソフトウェアを直接的に連携させる方法として、印刷面のページ番号や、ユーザにおける印刷面への指し示し等の操作を認識する技術がある(例えば、特許文献1~4参照)。例えば、特許文献1ではスキャナにより、特許文献2では光センサや磁気センサ或いは無線ICタグなどの電子的なタグ、特許文献4では印刷面が撮像された画像を用いて印刷物のページを認識する技術が開示されている。
また、特許文献3では導電性インクを用いて可視性マーカを印刷することにより印刷媒体に静電容量センサの端子を配線し、配線した静電容量センサの容量変化に応じて、ユーザにおける印刷面へ操作を検知する試みを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-5837号公報
【文献】特許第3987543号公報
【文献】国際公開第2017/170862号
【文献】特表2013-511856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像に基づいてページ番号や操作を把握しようとする場合には、印刷面を撮像する撮像装置を用意しなければならず、また安定して印刷面を撮像できる環境を整備する必要があるため、印刷媒体の閲覧方法に制約が生じてしまう。
また、印刷媒体に可視性マーカを印字する手法では、既存の印刷方法用いて安価に実現可能な反面、印刷媒体に可視性マーカにより占有される領域が生じることにより、ページ内の閲覧利用可能な領域が縮小され、印字の内容における意匠性を損なう問題がある。
また、印刷媒体に電子的なタグを用いる場合には、操作を識別する精度を高められることが期待できる半面、印刷媒体に単価の高い電子的なタグを大量に埋め込む必要があり、安価に大量生産できるという印刷媒体の優れた特性を損なうことになる。
また、いずれの方法においても、すでに製造された既存の印刷媒体では、そのまま対応することができない。このため、対応する印刷媒体を新たに製造するか、可視性マーカや電子的なタグなどを、既存の印刷媒体の各ページに貼り付ける必要があり、手間やコストがかかってしまう。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、既存の印刷媒体に変更を加えることなく、ユーザが閲覧しているページに関する情報を取得することができるページ押さえ装置、印刷体利用支援システム、及びページ押さえ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、自ページ押さえ装置を複数の印刷媒体が綴じられた印刷体の表紙に取り付ける取り付け部と、前記印刷体が見開きの状態にされた際の第1ページ及び第2ページのうちいずれかのページに対応する印刷媒体がめくられることで重ねられるページ側において重ねられた印刷媒体を把持する把持部と、前記印刷体のページがめくられたか否かを検知する検知部と、前記検知結果に基づいて、前記印刷媒体がめくられると前記把持部の把持を解放し、前記めくられた印刷媒体が重ねられると前記把持部によって把持するように制御する制御部と、を有するページ押さえ装置である。
【0014】
本発明の一態様は、上記のページ押さえ装置であって、前記検知部により検知された情報を出力する出力部を更に有する。
【0015】
本発明の一態様は、複数の印刷媒体が綴じられた印刷体が見開きの状態にされた際の第1ページ及び第2ページのうちいずれか一方のページ側において重ねられた印刷媒体の厚みを検出する厚み検出部と、前記検出された厚みに基づいて、前記第1ページまたは第2ページのページを識別するページ識別情報を検知するページ検知部と、を有するページ情報検知装置と、上記に記載のページ押さえ装置とを有する印刷体利用支援システムである。
【0017】
本発明の一態様は、複数の印刷媒体が綴じられた印刷体の表紙に取り付けられたページ押さえ装置のページ押さえ方法であって、把持部が、前記印刷体が見開きの状態にされた際の第1ページ及び第2ページのうちいずれかのページに対応する印刷媒体がめくられることで重ねられるページ側において重ねられた印刷媒体を把持し、検知部が、前記印刷体のページがめくられたか否かを検知し、制御部が、前記検知結果に基づいて、前記印刷媒体がめくられると前記把持部の把持を解放し、前記めくられた印刷媒体が重ねられると前記把持部によって把持するように制御するページ押さえ方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、既存の印刷媒体に変更を加えることなく、ユーザが閲覧しているページに関する情報を取得することができる。すなわち、印刷体に取り付けられたページ情報検知装置によりユーザが閲覧しているページ識別に関する情報が取得されることにより、既存の印刷媒体に、電子的なタグを埋め込んだりする変更を加えることなくユーザが閲覧しているページ番号などを取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る読み聞かせ支援システム1の概要を示す図である。
【
図2】実施形態に係る読み聞かせ支援システム1の機能の構成例を示す構成図である。
【
図3】実施形態に係るページ情報検知装置10が書籍40に適用される例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るページ情報検知装置10が書籍40に適用される例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るページ情報検知装置10の構造の例を示す構造図である。
【
図6】実施形態に係るページ情報検知装置10の構造の例を示す構造図である。
【
図7】実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理を説明する図である。
【
図8】実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理を説明する図である。
【
図9】実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理を説明する図である。
【
図10】実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理を説明する図である。
【
図11】実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態の印刷体利用支援システムを、図面を参照しながら説明する。
本実施形態においては、印刷体が書籍である場合を例示して説明するが、これに限定されることはない。印刷体は、複数の印刷媒体が綴じられたものであればよく、雑誌、パンフレット、カタログ、レジュメ、カレンダ、帳票等であってもよい。また、書籍には、文字、図形、記号、絵画、及び写真のうち少なくとも一つが印刷されたものが含まれる。
また、本実施形態においては、印刷体利用支援システムが支援する印刷体の利用の態様として、書籍の読み聞かせを行う場合を例示して説明するが、これに限定されることはない。印刷体利用支援システムは、印刷体の利用の態様として、例えば書籍の閲覧、鑑賞、朗読、音読、黙読等のいずれに用いられてもよい。
【0021】
図1は、実施形態に係る読み聞かせ支援システム1の概要を示す図である。読み聞かせ支援システム1は、例えば、ページ情報検知装置10、情報処理装置20、音響装置30、表示装置31を含んで構成される。以下、読み聞かせ支援システム1は、ユーザPによる書籍40を読み聞かせが行われる際に適用される。
【0022】
ページ情報検知装置10は、ユーザPが読み聞かせを行う書籍40に取り付けられる。ページ情報検知装置10は、書籍40において開かれているページに関する情報を取得する。ここで、開かれているページに関する情報は、開かれているページ番号、開かれているページにおいてユーザPにより指し示されている場所、或いはユーザPによりページめくり操作が行われたこと等を示す情報である。ページ情報検知装置10は、取得した情報を情報処理装置20に送信する。
情報処理装置20は、例えばユーザPが所有するスマートフォンやタブレット端末等のコンピュータである。情報処理装置20は、ページ情報検知装置10から情報を受信する。情報処理装置20は、受信した情報に応じたコンテンツを選択する。ここでのコンテンツは、書籍40において開かれているページや、そのページにおいて指し示されて場所に対応させて提示する情報であり、例えば、開かれたページに記載された場面を盛り上げる効果が期待される映像や画像、音や音声、振動、温度、照明、芳香および力覚などである。情報処理装置20は、選択したコンテンツの情報を、そのコンテンツを提示することができる提示装置(例えば、音響装置30および表示装置31)に出力する。
音響装置30および表示装置31は、例えば、ユーザPが読み聞かせを行う部屋に設けられ、情報処理装置20からの情報に応じたコンテンツを出力する提示装置の一例である。例えば、音響装置30は、情報処理装置20から音を示す情報を受信し、受信した情報に対応する音や音声を出力する。表示装置31は、情報処理装置20から画像や映像の情報を受信し、受信した情報に対応する画像や映像を表示する。なお、提示装置としては、上述した音響装置30、および表示装置31の他、バイブレータ、空調機、照明装置、ディフューザ、玩具などの機械装置等を用いることができる。
【0023】
図2は、実施形態に係る読み聞かせ支援システム1の機能の構成例を示す構成図である。読み聞かせ支援システム1においては、例えば、ページ情報検知装置10、情報処理装置20、音響装置30および表示装置31が、通信ネットワーク60を介して互いに通信可能に接続される。
ページ情報検知装置10は、例えば、通信部11、検知部12、出力部13、開閉制御部14、把持部15、取り付け部16および装着検知部17を備える。
通信部11は、通信ネットワーク60を介して情報処理装置20との通信を行う。
検知部12は、書籍40において開かれているページを識別するページ識別情報を検知する。検知部12は、例えば、開かれているページのページID(ページ番号)を検知する。また、検知部12は、開かれているページがユーザPにより指し示された場合、その指し示された場所を検知する。また、検知部12は、ユーザPによりページがめくられたか否かを検知する。検知部12は、検知した内容に応じた情報を出力部13に出力する。
出力部13は、書籍40において開かれているページに関する情報を、情報が示す内容に応じて出力する。出力部13は、例えば、開かれているページのページ番号、および開かれているページにおいて指し示された場所を示す情報を、通信部11に出力する。また、出力部13は、ページがめくられたか否かを示す情報を、開閉制御部14に出力する。
【0024】
把持部15は、書籍40が開かれた状態にある場合に、その開かれたページの何れか一方に重ねられたページ群を把持する。これにより、開かれたページがめくれたり、閉じてしまったりすることがないようにすることができる。また、把持部15は、把持を継続または解放させる開閉部150(
図8参照)を備える。ここで、書籍40が開かれた状態にある場合における開かれたページは、「見開きページ」の一例であり、「第1ページ」及び「第2ページ」の一例である。
開閉制御部14は、ページがめくられたか否かを示す情報に基づいて、開閉部150を制御する。開閉制御部14は、ページがめくられていない場合に開閉部150を閉じたままとし、ページ群の把持を継続させる。また、開閉制御部14は、ページがめくられた場合に開閉部150を回転させ、把持していたページ群の把持を解く。その後、開閉制御部14は、ページがめくられていない状態に戻った場合に開閉部150を閉じ、当該めくられたページを含むページ群を再び把持させる。つまり、開閉制御部14は、印刷媒体がめくられると把持部15の把持を解放し、めくられた印刷媒体が重ねられると把持部15によって把持するように制御する。これにより、開かれたページを押さえ、尚且つ、ページがめくられた際に、めくられたページが元に戻ってしまうことがない。
取り付け部16は、ページ情報検知装置10を書籍40に固定する機能を有する。
装着検知部17は、ページ情報検知装置10が書籍40に装着されたか否かを検知する。
【0025】
情報処理装置20は、例えば、通信部21、コンテンツ選択部22、書籍情報記憶部23およびコンテンツ記憶部24を備える。
通信部21は、通信ネットワーク60を介してページ情報検知装置10、音響装置30および表示装置31との通信を行う。
コンテンツ選択部22は、書籍40において開かれているページに関する情報に基づいてコンテンツ記憶部24を参照し、当該ページに関する情報に応じたコンテンツを選択する。コンテンツ選択部22は、選択したコンテンツの情報を通信部21に出力する。
書籍情報記憶部23は、書籍40に関する情報を記憶する。ここで、書籍40に関する情報とは、例えば、書籍40のタイトル、ページ数、ページ一枚当たりの厚み等であり、ページ情報検知装置10が書籍40に関する情報(例えば、開かれているページのページID)を特定するために必要な情報である。
コンテンツ記憶部24は、書籍40の読み聞かせに応じて提示するコンテンツに関する情報を記憶する。コンテンツ記憶部24には、例えば、書籍40のページIDや、対応するページにおいて指し示される場所ごとに対応するコンテンツの情報が記億される。
なお、上記では、情報処理装置20が書籍情報記憶部23およびコンテンツ記憶部24を備えている場合を例示して説明したが、書籍情報記憶部23およびコンテンツ記憶部24は、情報処理装置20とは異なるサーバ装置に記憶されていてもよい。この場合、情報処理装置20は、サーバ装置に記憶される情報を、通信ネットワーク60を介して参照する。
【0026】
通信ネットワーク60は、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局、専用回線、赤外線やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信などのうち一部または全部を含む通信網である。
【0027】
ここで、ページ情報検知装置10を書籍40に適用する方法を、
図3および
図4を用いて説明する。
図3および
図4は、実施形態に係るページ情報検知装置10が書籍40に適用される例を示す図である。
【0028】
図3では、ページ情報検知装置10が書籍40の表紙400に取り付けられる例を示している。この例に示すように、ページ情報検知装置10の取り付け部16は、例えばコの字型の形状である。ページ情報検知装置10は、例えば、取り付け部16におけるコの字型の平行な面の間に表紙400が挟み込まれることにより、表紙400の天400Aと地400Bの間の周縁部400Cの略中央に挟み込まれて書籍40に取り付けられる。取り付け部16は、例えば、ユーザPにより表紙400に挟み込まれて固定される。
なお、上記では、ページ情報検知装置10を表紙400に挟み込む形で固定される場合を例示して説明したが、これに限定されない。ページ情報検知装置10は、ゴムバンドやベルト等で固定されてもよいし、粘着部材で表紙400に接着されてもよい。
図4では、ページ情報検知装置10が書籍40に取り付けられた例を示している。この例に示すように、把持部15は、例えば、取り付け部16の上面と把持部15との間にページ群を挟んで押さえるクリップである。
【0029】
ここで、ページ情報検知装置10の構造を、
図5および
図6を用いて説明する。
図5および
図6は、実施形態に係るページ情報検知装置10の構造の例を示す構造図である。
【0030】
図5では、ページ情報検知装置10が書籍40に取り付けられた様子を側面からみた模式図を示している。この例に示すように、ページ情報検知装置10の把持部15は、バネ等の弾性部材を有する押さえ部151を備え、押さえ部151により取り付け部16の上面と把持部15との間に挟んだページ群401を押さえることにより、ページ群401を把持する。
【0031】
また、把持部15は、開閉部150を備え、開閉部150が駆動されることにより、把持部15の長手方向における開閉部150側を中心とした回転運動が行われる。把持部15は、係る回転運動によりページ群401の把持を解放させる。開閉部150は、サーボモーターやステッピングモーターなどの回転角度の制御が可能な動力によって電子的に制御されてもよいし、書籍40の開閉に合わせて機械的な接続によって動作してもよい。
【0032】
また、ページ情報検知装置10の検知部12は、例えば、把持部15により把持されているページ群401の厚みを測定することにより、開かれているページのページIDを検出する。つまり、検知部12は、複数の印刷媒体が綴じられた印刷体が見開きの状態にされた際の第1ページ及び第2ページのうちいずれか一方のページ側において重ねられた印刷媒体の厚みを検出する。
この場合、検知部12は、厚みセンサ121および122を備える。厚みセンサ121は、出射した光の反射光を受光することにより、取り付け部16の上面における把持部15側の端部から把持部15における取り付け部16側の面までの距離Mを測定する。厚みセンサ122は、把持部15における取り付け部16側の面からページ群401までの距離M#を測定する。検知部12は、距離Mから距離M#を減算することにより、ページ群401の厚みを算出する。
なお、厚みセンサ121および122には、レーザー変位センサ、超音波変位センサ、ホールセンサなど、距離を測定可能なセンサを利用することができる。また、上記では、押さえ部151が把持部15から突出した部分の距離(この例では距離M#)を測定する場合を例示して説明したが、押さえ部151が把持部15から突出しないか、或いは、ページ群401の厚み(距離)と比較して無視できる程度に小さい場合には距離M#を測定しなくともよい。この場合、厚みセンサ122は不要となる。
【0033】
また、ページ情報検知装置10においては、取り付け部16のコの字の上面と下面との接合部分に、装着検知部17が設けられるようにしてよい。装着検知部17は、例えば突起部170を備える。突起部170は、取り付け部16に表紙400が挟みこまれて装着されることで、表紙400により押され、表紙400の装着が検知される。一方、取り付け部16から表紙400が抜かれることにより、押されていた突起部170が戻り、表紙400が取り外されたことが検知される。ページ情報検知装置10は、例えば、表紙400が装着された場合に装着時におけるイベント(例えば、ページIDの検出)を開始する。一方、ページ情報検知装置10は、表紙400が取り外された場合にスリープ処理などの所定のイベントを実施するようにしてもよい。なお、突起部170は、マイクロスイッチなどの機械的スイッチで実現されてもよいし、赤外線フォトリフレクターなどの光学的スイッチで実現されてもよい。
【0034】
図6では、検知部12が静電容量の変化に基づいて、ページ群401の厚みを検知する場合の例を示している。この例に示すように、検知部12は、例えば静電容量センサ電極123および導体124を備える。
静電容量センサ電極123と導体124とは、その間の静電容量を測定する測定方向とページ群401の厚み方向とが平行となるように配置される。このような配置とすることで、ページ群401のページ枚数の変化に伴って静電容量センサ電極123と導体124との間の静電容量が変化する。例えば、静電容量センサ電極123は把持部15の取り付け部16側の面に沿って、導体124は取り付け部16の把持部15側の端部の面に沿って設けられる。検知部12は、静電容量を計測することにより、静電容量センサ電極123と導体124との間にあるページ群401の厚み方向の距離を測定する。なお、静電容量センサ電極123と導体124とは、ページ情報検知装置10への実装の都合等により入れ替えられて配置されてもよい。
【0035】
ここで、書籍40に用いられている印刷媒体におけるページ当たりの厚みは、書籍40により様々である。このため、読み聞かせ支援システム1においては、ページ情報検知装置10が書籍40に装着された場合に、ページ情報検知装置10が情報処理装置20に問い合わせを行うことにより、書籍40のページの厚みを取得するようにしてよい。
【0036】
例えば、ページ情報検知装置10は、ページ情報検知装置10が書籍40に装着された場合に、その旨を情報処理装置20に通知する。情報処理装置20は、当該通知を受けて書籍40の候補一覧を表示装置31、或いは図示しない情報処理装置20の表示部に表示させる。ここでの書籍40の候補一覧は、例えば、書籍情報記憶部23に記憶された情報であり、コンテンツの登録がなされた書籍の一覧である。
ユーザPは、書籍40の候補一覧から、ページ情報検知装置10を装着させた書籍40を選択する。これにより、書籍40のページの厚みが特定される。ページ情報検知装置10は、検知部12により検知されたページ群401の厚みを、特定した書籍40のページの厚みで除算することにより、ページIDを検出する。
なお、検知部12は、少なくともページ群401の厚みを検知すればよく、書籍40のページIDを検出する処理は、ページ情報検知装置10および情報処理装置20のいずれがおこなってもよい。情報処理装置20が、ページIDを特定する場合、ページ情報検知装置10は、情報処理装置20にページ群401の厚みを示す情報を送信する。情報処理装置20は、ページ群401の厚みを、書籍40のページの厚みで除算することにより、ページIDを検出する。
【0037】
また、書籍40に、様々な厚みを有する印刷媒体が混在する場合もあり得る。この場合、書籍40ごとに、ページIDの各々に対応するページ群の厚みを対応させた書籍情報を書籍情報記憶部23に記憶させる。
【0038】
ここで、ページ情報検知装置10が、書籍40の開かれているページにおいて指し示されている場所を特定する処理について、
図7、
図8を用いて説明する。
図7、
図8は、実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理を説明する図である。
図7では、ページ情報検知装置10が周囲を走査する様子を模式的に示している。この例に示すように、検知部12は、例えば、距離センサ125を備える。距離センサ125は、光線を照射させて周囲の状況を走査することにより、ページ情報検知装置10の周囲に物体があるか否かを検知する。距離センサ125は、例えば、照射した光線が物体に反射した反射波を受光することより、物体の有無を検知する。また、距離センサ125は、照射した時間と反射波が受光された時間との差分に応じて、照射位置から物体までの距離を特定する。こうすることで、検知部12は、例えば、手で指し示す走査がなされた場合(符号70)、その指先70Aの位置を特定する。
【0039】
なお、距離センサ125としては、一般的に知られている回転ミラーによる走査型レーザー距離センサを用いてもよいし、走査型ではない単体の距離センサを、その走査方向を変化させながら複数配置して周囲の物体を検知するようにしてもよい。また、赤外線パターン投影やToF(Time of Flight)を利用した小型の3D(三次元)デプスセンサモジュールを利用しても良い。いずれの場合も、距離センサ125が照射する光線が赤外線などの不可視光線であるか、或いは超音波などであって、印刷媒体(例えば紙)に印刷された文字や写真の判読を阻害しないものが望ましい。
【0040】
図8では、検知部12が書籍40の開かれているページにおいて指し示されている場所を特定する様子を模式的に示している。この例に示すように、ページ情報検知装置10が書籍40に装着された場合、距離センサ125は、表紙400の主面と平行な面であって開かれたページに近接する面上を、ページ情報検知装置10が装着される書籍40の周縁部から中央方向に向かって走査する。距離センサ125は、例えば物体が検知された場合における走査角θと、検出距離Lとからその検知された物体の位置を特定する。
【0041】
また、書籍40の読み聞かせや閲覧を行う場合、書籍40を手で押さえて保持する動作がなされる場合がある(符号71)。このような動作がなされた場合、距離センサ125にその保持する動作を行う手が検知されてしまう場合が考えられる。
この対策として、検知部12は、予め、書籍40のページ領域における周縁部を、指し示す場所の検知から除外する領域としてよい。これにより、書籍40を保持する動作を指し示しの操作として誤検知してしまうことを抑制できる。
一般に、書籍40の周縁部には文字などが印刷されていないマージン領域が設けられているが、マージン領域をどの程度の大きさにするかは書籍40により様々である。例えば、読み聞かせ支援システム1においては、書籍40ごとに、マージン領域の大きさを対応させた情報を書籍情報記憶部23に記憶させることで、検知部12が書籍40のマージン領域を特定できるようにする。これにより、検知部12は、距離センサ125が検知した物体のうちマージン領域で検知されたものを指し示しの操作から除外することができるため、精度よく指し示しの操作を検知することが可能となる。
【0042】
ここで、ページ情報検知装置10が行う、めくられたページを押さえる処理を、
図9および
図10を用いて説明する。
図9および
図10は、実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理を説明する図である。
【0043】
図9では、書籍40に装着されたページ情報検知装置10を側面からみた様子を模式的に示している。この例では、書籍40においてページ402がめくられている様子を示している。この場合、検知部12によりページがめくられていることが検知され、開閉制御部14により開閉部150が駆動されることにより把持部15の主面の方向が方向S2から方向S1に変化して把持部15による把持が解放され、ページ群401の把持が一旦解かれる。そして、めくられたページ402がページ群401に重ねられると、検知部12により、ページがめくられる動作が終了したことが検知され、開閉制御部14により開閉部150が駆動されることにより把持部15が元の状態に戻され、ページ402を含むページ群401が再び把持される。
【0044】
図10では、書籍40に装着されたページ情報検知装置10を斜視した様子を模式的に示している。この例では、書籍40においてページ402がめくられている状態を距離センサ125が検知する様子を示している。この場合、距離センサ125から照射される走査線がめくられたページ402により反射される。この場合、距離センサ125には検出点群D(検出点D1~Dn)が検出される。検知部12は、距離センサ125により検出された検出結果に基づいて、検出点D1~Dnに物体があることを検知する。その後、ページ402が更にめくられると、距離センサ125には検出点群Dよりも近い位置に、一連の検出点群を検出する。この場合、検知部12は、検出点群Dよりも更に近い位置に物体があること、つまり、ある程度の領域(書籍40におけるページの大きさ(高さ)に相当する領域)に渡る一連の物体が近づいていることを検知する。このように、ページの大きさ(高さ)に相当する所定の領域に連続して物体の存在が検出され、尚且つ、その検出された物体が所定の速度で近づいてくる場合、検知部12は、ページがめくられたと検知する。
【0045】
図11は、実施形態に係るページ情報検知装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ページ情報検知装置10の装着検知部17は、ページ情報検知装置10が書籍40に装着されたか否かを検知する(ステップS101)。装着検知部17は、突起部170が表紙400により押された場合に装着されたと判定する。
次に、ページ情報検知装置10は、情報処理装置20から装着された書籍40の書籍情報を取得する(ステップS102)。ページ情報検知装置10の通信部11は、情報処理装置20に装着された旨を通知する。情報処理装置20は、その応答として書籍の一覧を表示させ、ユーザPにより選択された書籍の書籍情報をページ情報検知装置10に送信する。
次に、ページ情報検知装置10は、書籍40において開かれているページ上に物体があるか否かを検知する(ステップS103)。ページ情報検知装置10の検知部12は、距離センサ125の走査により検出点が検出された場合に物体があると判定する。
ページ情報検知装置10は、書籍40において開かれているページ上に物体があることを検知した場合、走査線により連続して物体が検知されたか否かを判定する(ステップS104)。
ページ情報検知装置10は、走査線により連続して物体が検知されたと判定した場合、把持部15を開く(ステップS105)。ページ情報検知装置10の開閉制御部14は、把持部15の開閉部150を駆動させることにより把持部15を開き、一旦、ページ群401の把持を解く。
ページ情報検知装置10は、連続して検知されていた物体が検知されなくなったか否かを判定し(ステップS106)、物体が検知されている間は把持部15を開いたままとし、物体が検知されなくなったら把持部15を閉じる(ステップS107)。
ページ情報検知装置10は、把持部15に把持されているページ群の厚みを、厚みセンサ121或いは静電容量センサ等により測定する(ステップS108)。
ページ情報検知装置10は、測定されたページ群401の厚みに応じて、ページIDを特定する(ステップS109)。
そして、ページ情報検知装置10は、情報処理装置20にページIDを通知する(ステップS110)。
一方、ステップS104において、物体が検知されているが、走査線により連続して物体が検知されていないと判定された場合、ページ情報検知装置10は、書籍40において指し示しの操作がなされたと判定し、指し示された場所を特定する(ステップS111)。そして、ページ情報検知装置10は、情報処理装置20に指し示された場所を通知する(ステップS110)。
【0046】
以上説明したように、実施形態のページ情報検知装置10は、見開きページの一方に重ねられた印刷媒体の厚みに基づいて、開かれているページを識別するページ識別情報を検知する。これにより、既存の印刷媒体に変更を加えることなく、ユーザが閲覧しているページに関する情報を取得することができる。また、書籍40において何れのページが開かれているのかを認識できるため、開かれたページに応じたコンテンツを提供することが可能となる。
【0047】
上述した実施形態においては、ページ情報検知装置10における検知部12、把持部15、開閉制御部14、取り付け部16の機能をページ情報検知装置10とは別の装置であるページ押さえ装置として構成するようにしてもよい。この場合、ページ押さえ装置は、開かれたページが閉じないように押さえ、ページがめくられた場合にはその把持を解放し、ページがめくられた後に再びページを把持することができ、読み手がページをめくる動作を支援することができる。
【0048】
上述した実施形態における読み聞かせ支援システム1およびページ情報検知装置10の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0049】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…読み聞かせ支援システム
10…ページ情報検知装置
11…通信部
12…検知部
13…出力部
14…開閉制御部
15…把持部
16…取り付け部
17…装着検知部
121…厚みセンサ
122…厚みセンサ
123…静電容量センサ電極
124…導体
125…距離センサ
150…開閉部
151…押さえ部
20…情報処理装置
21…通信部
22…コンテンツ選択部
23…書籍情報記憶部
24…コンテンツ記憶部
30…音響装置
31…表示装置
40…書籍
400…表紙
401…ページ群
402…ページ
60…通信ネットワーク