(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】増幅回路及び増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20230613BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20230613BHJP
H03F 3/60 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H03F1/02
H03F3/24
H03F3/60
(21)【出願番号】P 2019016159
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西森 理人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 優
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-191176(JP,A)
【文献】特開平8-148949(JP,A)
【文献】特開2007-228034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
H04B1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの入力側に出力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の入力側に出力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の入力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅回路。
【請求項2】
前記並列共振回路は、伝送線路とキャパシタとの並列回路を含む、請求項
1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記並列共振回路は、インダクタとキャパシタとの並列回路を含む、請求項
1に記載の増幅回路。
【請求項4】
2次高調波に対する反射係数の位相と3次高調波に対する反射係数の位相とは、0°よりも大きく120°よりも小さい、請求項1から
3のいずれか一項に記載の増幅回路。
【請求項5】
増幅回路と、前記増幅回路により増幅された送信波を出力するアンテナとを備える増幅器であって、
前記増幅回路は、
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの入力側に出力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の入力側に出力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の入力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路及び増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基本波の2倍の周波数の2次高調波に対して共振する並列共振回路を備える高周波電力増幅器が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、基本波の3倍の周波数の3次高調波に対して共振する並列共振回路を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-191176号公報
【文献】特開2005-311579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、高調波に対する反射係数の位相を電力変換の高効率化に適した範囲に調整することが難しい。
【0005】
そこで、本開示は、高調波に対する反射係数の位相を電力変換の高効率化に適した範囲に調整することが容易な増幅回路及び増幅器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの入力側に出力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の入力側に出力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の入力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅回路を提供する。
【0009】
また、本開示は、
増幅回路と、前記増幅回路により増幅された送信波を出力するアンテナとを備える増幅器であって、
前記増幅回路は、
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの入力側に出力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の入力側に出力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の入力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の技術によれば、高調波に対する反射係数の位相を電力変換の高効率化に適した範囲に調整することが容易な増幅回路及び増幅器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態における増幅器の構成例を示す図である。
【
図2】一比較形態における増幅回路の構成例を示す図である。
【
図3】増幅回路の反射係数平面を例示するスミスチャートである。
【
図4】一比較形態における増幅回路の構成例を具体的に示す図である。
【
図5】一比較形態における増幅回路の反射係数平面を例示するスミスチャートである。
【
図6】第1の実施形態における増幅回路の構成例を示す図である。
【
図7】並列共振回路の位相の周波数特性を例示する図である。
【
図8】並列共振回路の反射係数平面を例示するスミスチャートである。
【
図9】第1の実施形態における増幅回路の反射係数平面を例示するスミスチャートである。
【
図11】並列共振回路の共振周波数と、2次高調波に対する反射係数と3次高調波に対する反射係数との間での位相差との関係を例示する図である。
【
図12】第2の実施形態における増幅回路の構成例を示す図である。
【
図13】第3の実施形態における増幅回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態における増幅器の構成の一例を示す図である。増幅器100は、例えば、電波を送受する無線基地局装置等の無線通信装置、レーダーなどのセンサ装置、マイクロ波を送信して物体を加熱するマイクロ波加熱装置として使用することができる。
【0014】
増幅器100は、例えば、ベースバンド回路1、ミキサ2、局部発振器3、パワーアンプ4及びアンテナ5を備える。ベースバンド回路1から変調処理されて出力されるベースバンド信号あるいは中間周波数信号は、ミキサ2及び局部発振器3により送信周波数帯にアップコンバートされ、パワーアンプ4により増幅される。パワーアンプ4により増幅された後の信号(送信波)は、パワーアンプ4の出力ノードに接続されるアンテナ5から出力される。ミキサ2は、ベースバンド回路1からのベースバンド信号あるいは中間周波数信号を、局部発振器3から出力される局部発振信号とミキシングし、ミキシング後の信号をパワーアンプ4の入力端子に供給する。パワーアンプ4は、本実施形態における増幅回路の一例である。
【0015】
次に、本実施形態における増幅回路と比較するため、本実施形態における増幅回路の詳細について説明する前に、一比較形態における増幅回路について説明する。
【0016】
図2は、一比較形態における増幅回路の構成例を示す図である。
【0017】
マイクロ波帯の高周波信号を増幅する増幅回路10では、電力変換の高効率化のために、高調波処理回路12が用いられる。高調波処理回路12とは、トランジスタ11の出力端(
図2の場合、ドレインD)に発生する高調波に対する終端条件を最適化し、トランジスタ11の出力端に現れる電圧波形及び電流波形を整形し、トランジスタ11内で消費される電力を低減する回路である。高調波処理回路12は、トランジスタ11の出力端と出力点13との間に直列に接続される。出力点13には、不図示の負荷が接続される。
【0018】
電力変換の高効率化を実現する高調波処理回路12の種類として、増幅回路10をF級動作させる回路と、増幅回路10を逆F級動作させる回路とがある。F級動作とは、トランジスタ11の出力端から負荷側を見たインピーダンスを、偶数次高調波に対しては短絡状態とし、奇数次高調波に対しては開放状態とする動作である。逆F級動作とは、トランジスタ11の出力端から負荷側を見たインピーダンスを、偶数次高調波に対しては開放状態とし、奇数次高調波に対しては短絡状態とする動作である。
【0019】
しかしながら、トランジスタ11によっては、トランジスタ11の出力端から負荷側を見たインピーダンスを、偶数次高調波に対しても奇数次高調波に対しても開放状態に近づける方が、高効率化を実現できる場合がある。なぜなら、トランジスタ11の内部寄生容量(例えば、ドレインDとソースSとの間の寄生容量Cds)などが、インピーダンスに影響するからである。
【0020】
トランジスタ11の出力端から負荷側を見た反射係数Γの位相θを調べると、2次高調波に対する反射係数Γ
2の位相θ
2と3次高調波に対する反射係数Γ
3の位相θ
3を、
図3に示すような領域に設定することで、高効率化を実現できる。より具体的には、高効率化の実現には、位相θ
2と位相θ
3は、いずれも、0°<θ<120°の範囲に設定されることが好ましく、0°<θ<90°がより好ましく、0°<θ<60°がさらに好ましい。位相θ
2と位相θ
3がこれらの範囲から外れると、電力変換の効率が急激に減少する。3次高調波に対する反射係数Γ
3の位相θ
3が2次高調波に対する反射係数Γ
2の位相θ
2よりも大きいのは、周波数が高いほどトランジスタ11の内部寄生容量の影響を受けやすいためである。なお、点14は、オープン(開放状態)を、点15は、ショート(短絡状態)を表す。
【0021】
例えば、
図4は、
図2に示す一比較形態における増幅回路10の構成の具体例を示す。高調波処理回路12は、基本波3GHzにおける電気長が40°で特性インピーダンスが50Ωの伝送線路16と、キャパシタンスが2pFのシャントキャパシタ17とを有する。
【0022】
図5は、
図4に示す増幅回路10の反射係数平面を例示するスミスチャートである。マーカm81,m82は、スミスチャート上での反射係数Γの位相(位置)を表す。freq.は、周波数の略語である。S(1,1)は、反射係数Γと等価なSパラメータである。m81,m82のZは、トランジスタ11の出力端から負荷側を見たインピーダンスを表す。Z0は、伝送線路16の特性インピーダンスである。
【0023】
高効率化を実現するため、
図4に示すように、高調波処理回路12の構成を、シャントキャパシタ17と伝送線路16との組み合わせ回路にすることより、高調波に対する反射係数Γの位相θを点14(オープン)の近くに回転させることができる。しかしながら、
図5に示すように、9GHzの3次高調波に対する反射係数Γ
3の位相θ
3(マーカm81で示す位置)の方が、6GHzの2次高調波に対する反射係数Γ
2の位相θ
2(マーカm82で示す位置)よりも大きく回ってしまう。つまり、3次高調波の方が2次高調波に比べて反射係数の位相が回りやすく、位相θ
3と位相θ
2との位相差が大きくなりやすい。そのため、
図4に示すような構成では、θ
2及びθ
3を、上述の
図3で示したような高効率化に適正な範囲(0°<θ<120°)に調整することは難しい。このような適正な範囲内に両方の位相θを調整するには、伝送線路16を非常に長くしてもよいが、回路面積が非常に大きくなるので、あまり実用的な調整方法ではない。
【0024】
このような問題を解決するため、第1の実施形態における増幅回路は、
図6に示すような、高調波処理による高効率化を可能にする構成を有する。
図6は、第1の実施形態における増幅回路の構成例を示す図である。
図6に示す増幅回路20は、トランジスタ21、伝送線路26、並列共振回路22及びシャントキャパシタ27を備える。
【0025】
トランジスタ21は、信号を増幅する半導体素子である。トランジスタ21は、例えば、ゲートG、ソースS、ドレインDを有するFET(Field Effect Transistor)である。トランジスタ21に、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などのWBG(Wide Band Gap)デバイスを使用することによって、増幅回路20の高周波出力特性が向上する。
【0026】
伝送線路26は、トランジスタ21の出力側に入力側が接続され、
図6の場合、トランジスタ21のドレインDに入力側が接続されている。
【0027】
並列共振回路22は、伝送線路26の出力側に入力側が接続され、トランジスタ21から出力される信号の基本波の2.5倍程度の周波数で共振する。
図6には、並列共振回路22が伝送線路25とキャパシタ24との並列回路を含む場合が示されている。
【0028】
シャントキャパシタ27は、並列共振回路22の出力側に接続され、
図6の場合、並列共振回路22と出力点23との間に接続されている。出力点23には、不図示の負荷が接続される。
【0029】
ここで、
図7は、並列共振回路22の位相の周波数特性を例示する図である。
図7に示すように、並列共振回路22の共振周波数(この場合、3GHzの基本波の2.5倍の7.5GHz)の前後では、並列共振回路22の位相が急峻に変化する。マーカm82a,m83a,m81aは、それぞれ、基本波の2倍波、2.5倍波、3倍波の各周波数での並列共振回路22の位相を表す。したがって、並列共振回路22の直前の点29(
図6参照)から負荷側を見たときの2次高調波に対する反射係数の位相と3次高調波に対する反射係数の位相との差(位相差Δ)は、
図8に示すように非常に大きくなる。
【0030】
そこで、基本波の2.5倍程度に設定された共振周波数の前後では並列共振回路22の位相が急峻に変化することを利用して、
図6に示すように、基本波の2.5倍程度の周波数で共振する並列共振回路22に伝送線路26を組み合わせる。これにより、トランジスタ21の出力端28から負荷側を見たとき、3次高調波に対する反射係数の位相は、2次高調波に対する反射係数の位相よりも360゜近く多く回る(
図9参照)。例えば
図7,8において、マーカm82aで表される2次高調波に対する位相とマーカm81aで表される3次高調波に対する位相との差(位相差Δ)は、264.65°(=152.05°-(-112.60°))である。よって、並列共振回路22に伝送線路26を組み合わせることで、
図9に示すように、マーカm81で表される3次高調波に対する位相は、マーカm82で表される2次高調波に対する位相に対して(264.65+α)°回ることになる。αは、伝送線路26により生ずる位相変化量を表す。したがって、マーカm81で表される3次高調波に対する位相とマーカm82で表される2次高調波に対する位相とが共に上述の範囲(0°<θ<120°)内になるように、伝送線路26の長さを設計すれば、増幅回路20の高効率化を実現できる。
【0031】
このように、
図6に示す回路構成を有する増幅回路20によれば、2次高調波に対する反射係数Γ
2の位相θ
2及び3次高調波に対する反射係数Γ
3の位相θ
3を、
図9に示すように、高効率化に適正な範囲(0°<θ<120°)に単純な構成で容易に調整できる。
【0032】
なお、
図9において、マーカm82は、トランジスタ21の出力端から負荷側を見たときの反射係数Γ
2の位相θ
2の位置を表し、マーカm81は、トランジスタ21の出力端から負荷側を見たときの反射係数Γ
3の位相θ
3の位置を表す。また、
図6において、並列共振回路22の共振周波数は、7.5GHz(基本波3GHzの2.5倍)である。並列共振回路22は、7.5GHzにおいて、電気長が5°で特性インピーダンスが50Ωの伝送線路25と、キャパシタンスが2pFのキャパシタとの並列回路により形成されている。また、7.5GHzにおいて、シャントキャパシタ27のキャパシタンスは2pFであり、伝送線路26の電気長は30°で特性インピーダンスは50Ωである。
【0033】
図11は、
図10に示す並列共振回路22の共振周波数の違いによって、2次高調波に対する反射係数と3次高調波に対する反射係数との間での位相差Δが、どの程度変化するかを計算で求めたグラフである。
図10に示す並列共振回路22は、伝送線路25とキャパシタ24との並列回路である。
【0034】
図11において、f
0は、基本波の周波数を表す。並列共振回路22の共振周波数が、基本波の2.3~2.7倍であれば、2.5倍の場合とほぼ同程度の位相差Δが生じる。したがって、並列共振回路22が基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する場合でも、2次高調波に対する反射係数Γ
2の位相θ
2及び3次高調波に対する反射係数Γ
3の位相θ
3を、
図9のように、高効率化に適正な範囲(0°<θ<120°)に調整できる。
【0035】
図12は、第2の実施形態における増幅回路の構成例を示す図である。上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図12に示す増幅回路30は、
図6に示す並列共振回路22とは構成が異なる並列共振回路32を備える。
図12に示す並列共振回路32は、インダクタ35とキャパシタ24との並列回路を含み、基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する。インダクタ35は、例えば、コイル素子である。このような構成を有する第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様、2次高調波に対する反射係数Γ
2の位相θ
2及び3次高調波に対する反射係数Γ
3の位相θ
3を、
図9のように、高効率化に適正な範囲(0°<θ<120°)に単純な構成で容易に調整できる。
【0036】
図13は、第3の実施形態における増幅回路の構成例を示す図である。上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図13に示す増幅回路40は、伝送線路46と並列共振回路42とシャントキャパシタ47とがトランジスタ21の入力側に配置されている点で、
図6に示す構成と異なる。
【0037】
伝送線路46は、トランジスタ21の入力側に出力側が接続され、
図13の場合、トランジスタ21のゲートGに出力側が接続されている。
【0038】
並列共振回路42は、伝送線路46の入力側に出力側が接続され、トランジスタ21に入力される信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する。
図13には、並列共振回路42が伝送線路45とキャパシタ44との並列回路を含む場合が示されている。なお、伝送線路45は、コイル素子等のインダクタに置換されてもよい。
【0039】
シャントキャパシタ47は、並列共振回路42の入力側に接続され、
図13の場合、並列共振回路42と入力点43との間に接続されている。入力点43には、高周波信号を入力点43に供給する不図示の外部回路が接続される。
【0040】
図13において、並列共振回路42は、トランジスタ21に入力される信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する。よって、上述の場合と同様に、並列共振回路42と伝送線路46との間の点49から信号入力側を見たときの2次高調波に対する反射係数の位相と3次高調波に対する反射係数の位相との差(位相差Δ)は、非常に大きくなる。この点を利用して、並列共振回路42に伝送線路46を組み合わせることにより、トランジスタ21の入力端48から信号入力側を見たとき、3次高調波に対する反射係数の位相は、2次高調波に対する反射係数の位相よりも360゜近く多く回る。したがって、
図13に示す回路構成を有する増幅回路40によれば、2次高調波に対する反射係数Γ
2の位相θ
2及び3次高調波に対する反射係数Γ
3の位相θ
3を、
図9のように、高効率化に適正な範囲(0°<θ<120°)に単純な構成で容易に調整できる。
【0041】
以上、増幅回路及び増幅器を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0042】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの出力側に入力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の出力側に入力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の出力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅回路。
(付記2)
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの入力側に出力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の入力側に出力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の入力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅回路。
(付記3)
前記並列共振回路は、伝送線路とキャパシタとの並列回路を含む、付記1又は2に記載の増幅回路。
(付記4)
前記並列共振回路は、インダクタとキャパシタとの並列回路を含む、付記1又は2に記載の増幅回路。
(付記5)
2次高調波に対する反射係数の位相と3次高調波に対する反射係数の位相とは、0°よりも大きく120°よりも小さい、付記1から4のいずれか一項に記載の増幅回路。
(付記6)
2次高調波に対する反射係数の位相と3次高調波に対する反射係数の位相とは、0°よりも大きく90°よりも小さい、付記1から4のいずれか一項に記載の増幅回路。
(付記7)
2次高調波に対する反射係数の位相と3次高調波に対する反射係数の位相とは、0°よりも大きく60°よりも小さい、付記1から4のいずれか一項に記載の増幅回路。
(付記8)
増幅回路と、前記増幅回路により増幅された送信波を出力するアンテナとを備える増幅器であって、
前記増幅回路は、
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの出力側に入力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の出力側に入力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の出力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅器。
(付記9)
増幅回路と、前記増幅回路により増幅された送信波を出力するアンテナとを備える増幅器であって、
前記増幅回路は、
信号を増幅するトランジスタと、
前記トランジスタの入力側に出力側が接続される伝送線路と、
前記伝送線路の入力側に出力側が接続され、前記信号の基本波の2.3~2.7倍の周波数で共振する並列共振回路と、
前記並列共振回路の入力側に接続されるシャントキャパシタとを備える、増幅器。
【符号の説明】
【0043】
10,20,30,40 増幅回路
4 パワーアンプ
5 アンテナ
21 トランジスタ
22,42 並列共振回路
25,26,45,46 伝送線路
27,47 シャントキャパシタ
100 増幅器