(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】微粒子、タイヤ用ゴム組成物、及び、空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08G 81/02 20060101AFI20230613BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20230613BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230613BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230613BHJP
C08L 87/00 20060101ALI20230613BHJP
C08J 3/16 20060101ALI20230613BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
C08G81/02
C08L9/00
C08K3/013
C08K3/04
C08L87/00
C08J3/16 CEQ
C08J3/16 CFF
B60C1/00 A
(21)【出願番号】P 2019026338
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】影山 裕一
(72)【発明者】
【氏名】北村 臣将
(72)【発明者】
【氏名】木村 和資
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-000797(JP,A)
【文献】特開2009-298889(JP,A)
【文献】特開2017-105868(JP,A)
【文献】特開2018-131478(JP,A)
【文献】特開2003-072012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 81/00-85/00
C08J 3/00-3/28、99/00
C08K 3/013、3/04
C08L 9/00、87/00
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと前記コアの表面の少なくとも一部を覆うシェルとを有する微粒子であって、
前記コアが、ジエン系重合体以外の重合体を含有し、
前記シェルが、ジエン系重合体を含有し、
前記コアと前記シェルとが、アミド結合によって結合され
、
前記ジエン系重合体以外の重合体が、ポリウレタン系及び/又はポリカーボネート系のオリゴマー又はポリマーを含む、微粒子。
【請求項2】
平均粒子径が、0.001~30μmである、請求項1に記載の微粒子。
【請求項3】
前記ジエン系重合体の数平均分子量が、1,000~100,000である、請求項1又は2に記載の微粒子。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の微粒子を製造する、微粒子の製造方法であって、
ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体を水に分散させて、前記重合体のミセルを含有する分散液を得る、ミセル形成工程と、
前記ミセルの表面に存在するイソシアネート基と水とを反応させてアミノ基を生成させる、アミノ基生成工程と、
前記アミノ基生成工程後の分散液に酸無水物基を有するジエン系重合体を混合することで、前記ミセルの表面に前記ジエン系重合体のシェルを形成する、シェル形成工程と備え
、
前記ミセル形成工程において、前記ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体が、イソシアネート基を有する、ポリウレタン系及び/又はポリカーボネート系のオリゴマー又はポリマーを含む、微粒子の製造方法。
【請求項5】
ジエン系ゴムと、請求項1~3のいずれか1項に記載の微粒子とを含有し、
前記微粒子の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部である、タイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
さらに、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有し、
前記充填剤の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1~200質量部である、請求項5に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤトレッド部を備える、空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子、タイヤ用ゴム組成物、及び、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの剛性を向上することを目的として、弾性微粒子を含有するタイヤ用ゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようななか、本発明者らが特許文献1の実施例に示されている弾性微粒子(例えば、弾性微粒子3)を製造し、これを含有するタイヤ用ゴム組成物について検討したところ、今後さらに高まると考えられるタイヤへの要求性能を鑑みると、タイヤにしたときの低燃費性能及び強靭性をさらに向上させることが望ましいことが明らかになった。また、タイヤ用ゴム組成物の加工性についてもさらに向上させることが望ましいことが明らかになった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、タイヤ用ゴム組成物に用いたときに優れた加工性、低燃費性能及び強靭性を示す微粒子、上記微粒子を含有するタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いて製造された空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、コアとシェルとがアミド結合によって結合されたコアシェル構造にすることで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0007】
(1) コアと上記コアの表面の少なくとも一部を覆うシェルとを有する微粒子であって、
上記コアが、ジエン系重合体以外の重合体を含有し、
上記シェルが、ジエン系重合体を含有し、
上記コアと上記シェルとが、アミド結合によって結合された、微粒子。
(2) 平均粒子径が、0.001~30μmである、上記(1)に記載の微粒子。
(3) 上記ジエン系重合体の数平均分子量が、1,000~100,000である、上記(1)又は(2)に記載の微粒子。
(4) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の微粒子を製造する、微粒子の製造方法であって、
ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体を水に分散させて、上記重合体のミセルを含有する分散液を得る、ミセル形成工程と、
上記ミセルの表面に存在するイソシアネート基と水とを反応させてアミノ基を生成させる、アミノ基生成工程と、
上記アミノ基生成工程後の分散液に酸無水物基を有するジエン系重合体を混合することで、上記ミセルの表面に上記ジエン系重合体のシェルを形成する、シェル形成工程と備える、微粒子の製造方法。
(5) ジエン系ゴムと、上記(1)~(3)のいずれかに記載の微粒子とを含有し、
上記微粒子の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部である、タイヤ用ゴム組成物。
(6) さらに、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有し、
上記充填剤の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1~200質量部である、上記(5)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(7) 上記(5)又は(6)に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤトレッド部を備える、空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0008】
以下に示すように、本発明によれば、タイヤ用ゴム組成物に用いたときに優れた加工性、低燃費性能及び強靭性を示す微粒子、上記微粒子を含有するタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いて製造された空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例の部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の微粒子、上記微粒子を含有するタイヤ用ゴム組成物及び上記タイヤ用ゴム組成物を用いて製造された空気入りタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
【0011】
[微粒子]
本発明の微粒子は、コアと上記コアの表面の少なくとも一部を覆うシェルとを有する微粒子である。ここで、上記コアはジエン系重合体以外の重合体を含有し、上記シェルはジエン系重合体を含有する。また、上記コアと上記シェルとはアミド結合によって結合されている。
本発明の微粒子はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えらえる。その理由は明らかではないが、コアとシェルとが強いアミド結合により結合されているため、アミド結合以外の結合(例えば、ウレタン結合)により結合されている場合よりも強靭性が向上するものと推測される。また、上述のとおり、強固な構造であるため、エネルギーロスが低減され、低燃費性能も向上するものと推測される。
【0012】
〔コア〕
本発明の微粒子において、コアはジエン系重合体以外の重合体を含有する。
【0013】
<ジエン系重合体以外の重合体>
上記ジエン系重合体以外の重合体は特に制限されないが、例えば、ジエン系重合体以外の熱可塑性樹脂、ジエン系重合体以外の熱硬化性樹脂等が挙げられる。具体例としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ポリカーボネートウレタン系、脂肪族系、飽和炭化水素系、アクリル系、植物由来系もしくはシロキサン系のオリゴマーまたはポリマー等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ポリウレタン系、ポリカーボネート系が好ましく、ポリカーボネート系のウレタンポリマー(ポリカーボネートを原料としたウレタンポリマー)がより好ましい。
【0014】
コア中の「ジエン系重合体以外の重合体」の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0015】
〔シェル〕
本発明の微粒子において、シェルはジエン系重合体を含有する。
【0016】
<ジエン系重合体>
上記ジエン系重合体は特に制限されないが、その具体例としては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、アクリルニトリルブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体、スチレンイソプレン共重合体、スチレンイソプレンブタジエンゴム共重合体等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ポリイソプレン、スチレンブタジエン共重合体が好ましく、スチレンブタジエン共重合体がより好ましい。
上記ジエン系重合体の数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1,000~100,000であることが好ましい。
なお、Mnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
【0017】
シェル中のジエン系重合体の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0018】
本発明の微粒子において、コアの表面の少なくとも一部がシェルで覆われていればよいが、本発明の効果がより優れる理由から、コア全体がシェルで覆われていることが好ましい。
【0019】
〔アミド結合〕
本発明の微粒子において、コアとシェルとはアミド結合(-CO-NH-)によって結合されている。すなわち、コアの表面とシェルの内表面とはアミド結合によって結合されている。
本発明の微粒子は、本発明の効果がより優れる理由から、コアがアミノ基を有する「ジエン系重合体以外の重合体」であり、シェルが酸無水物基を有するジエン系共重合体であり、コアの表面に存在する上記アミノ基とシェルの内表面に存在する上記酸無水物基とがアミド結合を形成しているのが好ましい。
【0020】
〔平均粒子径〕
本発明の微粒子の平均粒子径は、本発明の効果がより優れる理由から、0.001~100μmであることが好ましく、0.01~10μmであることがより好ましく、0.1~1μmであることがさらに好ましい。
なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置により測定したものとする。
【0021】
[微粒子の製造方法]
上述した本発明の微粒子の製造方法は特に制限されないが、得られる微粒子をタイヤ用ゴム組成物に用いたときに加工性、低燃費性能及び強靭性がより優れる理由から、下記(1)~(3)の工程を備える製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも言う)が好ましい。以下、「得られる微粒子をタイヤ用ゴム組成物に用いたときに加工性、低燃費性能及び強靭性がより優れる」ことを「本発明の効果がより優れる」とも言う。
【0022】
(1)ミセル形成工程
ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体を水に分散させて、上記重合体(ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体)のミセルを含有する分散液を得る工程
(2)アミノ基生成工程
上記重合体のミセルの表面に存在するイソシアネート基と水とを反応させてアミノ基を生成させる工程
(3)シェル形成工程
アミノ基生成工程後の分散液に酸無水物基を有するジエン系重合体を混合することで、ジエン系重合体以外の重合体のミセルの表面にジエン系重合体のシェルを形成する工程
【0023】
以下、各工程について説明する。
【0024】
〔ミセル形成工程〕
ミセル形成工程は、ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体を水に分散させて、上記重合体(ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体)のミセルを含有する分散液を得る工程である。
【0025】
<ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体>
ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体(以下、「特定重合体」とも言う)は、ジエン系重合体以外の重合体であってイソシアネート基を有する重合体であれば特に制限されない。ジエン系重合体以外の重合体の具体例及び好適な態様は上述したコアに含有される「ジエン系重合体以外の重合体」と同じである。
特定重合体は、本発明の効果がより優れる理由から、2個のイソシアネート基を有するのが好ましい。
また、特定重合体は、本発明の効果がより優れる理由から、末端にイソシアネート基を有するのが好ましい。
【0026】
(特定ウレタンポリマー)
上記特定重合体は、本発明の効果がより優れる理由から、イソシアネート基を有するウレタンポリマー(以下、「特定ウレタンポリマー」とも言う)であることが好ましい。
特定ウレタンポリマーは、本発明の効果がより優れる理由から、2個のイソシアネート基を有するのが好ましい。また、ウレタンポリマーは、本発明の効果がより優れる理由から、末端にイソシアネート基を有するのが好ましい。
【0027】
特定ウレタンポリマーは、本発明の効果がより優れる理由から、ポリイソシアネートと1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物(活性水素化合物)とを重合したものであることが好ましい。
【0028】
特定ウレタンポリマーの製造の際に使用されるポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
特定ウレタンポリマーの製造の際に使用されるポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI;例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような、脂肪族ポリイソシアネート(脂環式ポリイソシアネートを含む);
これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;
これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが挙げられる。
【0029】
ポリイソシアネートは、本発明の効果がより優れる理由から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、MDIがより好ましい。
【0030】
特定ウレタンポリマーの製造の際に使用される1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物(活性水素化合物)は特に限定されない。活性水素含有基としては、例えば、水酸(OH)基、アミノ基、イミノ基が挙げられる。
活性水素化合物としては、例えば、1分子中に2個以上の水酸(OH)基を有するポリオール化合物等が好適に挙げられ、中でも、ポリオール化合物であることが好ましい。
【0031】
ポリオール化合物は、ヒドロキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。例えば、ポリカーボネートポリオール;ポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオール;アクリルポリオール、ポリブタジエンジオール、水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素-炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;低分子多価アルコール類;これらの混合ポリオールが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
【0032】
特定ウレタンポリマーは、本発明の効果がより優れる理由から、ポリカーボネートジオールと芳香族ポリイソシアネートとを重合させてなるものであることが好ましい。
【0033】
特定ウレタンポリマーの製造方法は特に制限されない。例えば、活性水素化合物が有する活性水素含有基(例えばヒドロキシ基)1モルに対し、1.5~2.5モルのイソシアネート基が反応するようにポリイソシアネートを使用し、これらを混合して反応させることによって製造することができる。以下、活性水素化合物が有する活性水素含有基1モルに対するポリイソシアネートが有するイソシアネート基のモル数を「NCO/OH」とも言う。
【0034】
<特定重合体を水に分散させる方法>
特定重合体を水に分散させる方法は特に制限されないが、例えば、水に特定重合体及び界面活性剤(例えば、ソルビタン酸系界面活性剤)を混合し、撹拌する法等が挙げられる。
特定重合体を水に分散させる際、事前に特定重合体に水酸基2つ以上とカルボン酸とを有する化合物(例えば、ジメチロールブタン酸)を反応させて、特定重合体を高分子量化(プレポリマーからポリマー)するとともにカルボキシ基を導入してもよい。
【0035】
〔アミノ基形成工程〕
アミノ基形成工程は、分散液中のミセルの表面に存在するイソシアネート基(特定重合体が有するイソシアネート基)と水とを反応させてアミノ基を生成させる工程である。なお、イソシアネート基はカルバミン酸を経てアミノ基に変わるものと考えらえる。アミノ基を生成させる方法は特に制限されないが、分散液を撹拌する方法や分散液を加熱する方法等が挙げられる。
加熱の条件は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、40~100℃、0.5~10時間であることが好ましい。
なお、ミセルの表面に存在するイソシアネート基の一部が反応せずにイソシアネート基として残存していてもよい。
【0036】
〔シェル形成工程〕
シェル形成工程は、上述したアミノ基生成工程後の分散液に酸無水物基を有するジエン系重合体を混合することで、ミセルの表面にジエン系重合体のシェルを形成する工程である。
ミセルの表面のアミノ基とジエン系重合体の酸無水物基とが反応してアミド結合が形成されることで、コアと上記コアの表面の少なくとも一部を覆うシェルとを有する微粒子であって、上記コアがジエン系重合体以外の重合体であり、上記シェルがジエン系重合体であり、上記コアと上記シェルとがアミド結合によって結合された微粒子が得られる。
【0037】
<酸無水物基を有するジエン系重合体>
酸無水物基を有するジエン系重合体は、酸無水物基を有するジエン系重合体であれば特に制限されない。ジエン系重合体の具体例及び好適な態様は上述したシェルに含有されるジエン系重合体と同じである。
酸無水物基を有するジエン系重合体は、側鎖に酸無水物基を有するジエン系重合体であることが好ましい。酸無水物基を側鎖に有することで、コアとの結合がより強固なものとなり、本発明の効果がより優れたものとなる。
【0038】
[タイヤ用ゴム組成物]
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、ジエン系ゴムと、上述した本発明の微粒子とを含有する、タイヤ用ゴム組成物である。
【0039】
〔ジエン系ゴム〕
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは特に制限されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br-IIR、Cl-IIR)、クロロプレンゴム(CR)及びこれらの各ゴムの誘導体などが挙げられる。
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、これらのゴムの少なくとも1種を30質量%以上含むのが好ましい。
【0040】
上記ジエン系ゴムの重量分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100,000~10,000,000であることが好ましく、200,000~1,500,000であることがより好ましく、300,000~3,000,000であることがさらに好ましい。
また、上記ジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50,000~5,000,000であることが好ましく、100,000~750,000であることがより好ましく、150,000~1,500,000であることがさらに好ましい。
上記ジエン系ゴムに含まれる少なくとも1種のジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることが好ましく、上記ジエン系ゴムに含まれるすべてのジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることがより好ましい。
なお、Mw及びMnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
【0041】
〔微粒子〕
上述のとおり、本発明の組成物は、上述した本発明の微粒子を含有する。
本発明の微粒子については上述のとおりである。
【0042】
本発明の組成物において、本発明の微粒子の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~50質量部であることがより好ましく、3~30質量部であることがさらに好ましい。
【0043】
〔任意成分〕
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の成分(任意成分)を含有することができる。
そのような成分としては、例えば、充填剤(例えば、カーボンブラック、白色充填剤(好ましくは、シリカ))、シランカップリング剤、テルペン樹脂(好ましくは、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
【0044】
<充填剤>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、さらに、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有するのが好ましく、カーボンブラック及び白色充填剤の両方を含有するのがより好ましい。
【0045】
(カーボンブラック)
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50~200m2/gであることが好ましく、70~150m2/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
【0046】
(白色充填剤)
上記白色充填剤は特に制限されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、シリカであることが好ましい。
【0047】
上記シリカは特に制限されないが、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、湿式シリカであることが好ましい。
【0048】
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100~400m2/gであることが好ましく、150~300m2/gであることがより好ましく、160~250m2/gであることがさらに好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
【0049】
(含有量)
本発明の組成物が充填剤を含有する場合、充填剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~200質量部であることが好ましく、10~150質量部であることがより好ましく、30~100質量部であることがさらに好ましい。
【0050】
本発明の組成物が充填剤を含有する場合、上述した本発明の微粒子と充填剤の合計の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、5~250質量部であることが好ましく、20~200質量部であることがより好ましく、50~150質量部であることがさらに好ましい。
【0051】
本発明の組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、5~50質量部であることがより好ましい。
【0052】
本発明の組成物が白色充填剤(特に、シリカ)を含有する場合、白色充填剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~150質量部であることが好ましく、10~120質量部であることがより好ましく、50~90質量部であることがさらに好ましい。
【0053】
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造された空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物を用いて製造されたタイヤトレッド部を備える空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表す空気入りタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは
図1に示す態様に限定されるものではない。
【0054】
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
【0055】
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
〔微粒子の製造〕
下記のとおり、特定微粒子1~2及び比較微粒子1~2を製造した。
【0058】
<特定微粒子1>
以下のとおり、特定微粒子1を製造した。
【0059】
(ミセル形成工程)
ポリカーボネートジオール(旭化成社製T6001、数平均分子量1000)67gと、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー社製ミリオネートMT、数平均分子量250)33gとを、80℃で5時間反応させ、末端イソシアネートポリカーボネートウレタンプレポリマー(末端にイソシアネート基を有するポリカーボネート系のウレタンプレポリマー)(特定重合体)を得た。
またこれとは別に、メチルイソブチルケトン(MIBK、試薬)7gにジメチロールブタン酸(DMBA、試薬)4.2g及びトリエチルアミン(TEA、試薬)2.8gを混合して溶解させ先の末端イソシアネートポリカーボネートウレタンプレポリマーに加え、5分間撹拌した。次いでこれに、水400gにソルビタン酸系界面活性剤(花王社製TW-O320V)15gを投入し、高速ディゾルバー式撹拌機により、回転数2000rpmで10分間撹拌した。これにより、末端イソシアネートポリカーボネートウレタンポリマーのミセルを含有する分散液を得た。
【0060】
(アミノ基生成工程)
その後、1時間撹拌を続けた。これにより、ミセルの表面に存在するイソシアネート基と水とが反応し、アミノ基が生成した。なお、表面の一部のイソシアネート基は反応せずに残存した。
【0061】
(シェル形成工程)
次いでこれに、無水マレイン酸変性ポリイソプレン(側鎖に無水マレイン酸基を有するイソプレン重合体)(クラレ社製LIR-403、数平均分子量34000)(酸無水物基を有するジエン系重合体)20gを投入し、1時間撹拌を続けた。これにより、ポリカーボネートウレタンポリマーをコアとして、その表面が無水マレイン酸変性ポリイソプレンのシェルで覆われた微粒子(特定微粒子1)の分散液が得られた。
特定微粒子1において、コアの表面に存在するアミノ基は、シェルの内表面に存在する無水マレイン酸変性ポリイソプレンの無水マレイン酸基と反応して、アミド結合を形成している。すなわち、特定微粒子1において、コアとシェルとはアミド結合によって結合されている。
また、レーザー回折式粒子径分布測定装置により特定微粒子1の平均粒子径を測定したところ、特定微粒子1の平均粒子径は300nmであった。
また、得られた分散液を撹拌しながら80℃まで昇温して水分を蒸発させ、白色の粉末(特定微粒子1)を得た。
【0062】
<特定微粒子2>
無水マレイン酸変性ポリイソプレンの代わりに、無水マレイン酸変性ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー(側鎖に無水マレイン酸を有するスチレンブタジエンランダム共重合体)(トタル・ルブリカンツ・ジャパン社製Ricon 184MA6、数平均分子量9100)(酸無水物基を有するジエン系重合体)を使用した以外は、特定微粒子1と同様の手順に従って微粒子(特定微粒子2)を得た。
得られた特定微粒子2は、ポリカーボネートウレタンポリマーをコアとして、その表面がブタジエン・スチレン・ランダムコポリマーのシェルで覆われた微粒子である。特定微粒子2において、コアの表面に存在するアミノ基は、シェルの内表面に存在する無水マレイン酸変性ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマーの無水マレイン酸基と反応して、アミド結合を形成している。すなわち、特定微粒子2において、コアとシェルとはアミド結合によって結合されている。
特定微粒子2について特定微粒子1と同様に平均粒子径を測定したところ、特定微粒子2の平均粒子径は100nmであった。
【0063】
<比較微粒子1>
無水マレイン酸変性ポリイソプレンを投入しなかった点以外は、特定微粒子1と同様の手順に従って微粒子(比較微粒子1)を得た。
得られた比較微粒子1は、ポリカーボネートウレタンポリマーのコアのみからなる微粒子である。
比較微粒子1について特定微粒子1と同様に平均粒子径を測定したところ、比較微粒子1の平均粒子径は50nmであった。
【0064】
<比較微粒子2>
無水マレイン酸変性ポリイソプレンの代わりに、末端水酸基ポリイソプレン(末端に水酸基を有するポリイソプレン)(Poly ip)(出光興産株式会社製)を使用した以外は、特定微粒子1と同様の手順に従って微粒子(比較微粒子2)を得た。
得られた比較微粒子2は、ポリカーボネートウレタンポリマーをコアとして、その表面がポリイソプレンのシェルで覆われた微粒子である。比較微粒子2において、コアの表面に残存するイソシアネート基は、シェルの内表面に存在する末端水酸基ポリイソプレンの水酸基と反応して、ウレタン結合を形成している。すなわち、比較微粒子2において、コアとシェルとはウレタン結合によって結合されている。なお、比較微粒子2において、コアとシェルとの間にアミド結合は存在しない。
比較微粒子2について特定微粒子1と同様に平均粒子径を測定したところ、比較微粒子2の平均粒子径は500nmであった。
【0065】
〔タイヤ用ゴム組成物の調製〕
下記表1~2に示す成分を、同表に示す割合(質量部)で配合した。具体的には、まず硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、150℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。次に、得られたマスターバッチに硫黄及び加硫促進剤をオープンロールで混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
【0066】
〔評価〕
得られた各タイヤ用ゴム組成物について、以下の評価を行った。
【0067】
<加工性>
JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計にてL型ロータ(38.1mm径、5.5mm厚)を使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、100℃、2rpmの条件でムーニー粘度を測定した。
結果を表1~2に示す。結果は、表1については標準例1-1を100とする指数で示し、表2については標準例2-1を100とする指数で示した。値が小さいほど粘度が小さく加工性に優れることを意味する。
【0068】
<低燃費性能>
得られたタイヤ用ゴム組成物をランボーン摩耗用金型(直径63.5mm、厚さ5mmの円板状)中で加硫して(170℃、15分間)、加硫ゴムシートを作製した。
得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。
結果を表1~2に示す。結果は、表1については標準例1-1を100とする指数で示し、表2については標準例2-1を100とする指数で示した。値が小さいほど低燃費性能に優れることを意味する。
【0069】
<強靭性>
上記のように作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度100℃、引張り速度500mm/分の条件で100%モジュラス(M100:100%変形時の応力)及び破断伸び(EB:破断時の伸び)を測定した。そして、M1000.75×EBを算出し、これを強靭性の指標とした。
結果を表1~2に示す。結果は、表1については標準例1-1を100とする指数で示し、表2については標準例2-1を100とする指数で示した。値が大きいほど強靭性に優れることを意味する。
【0070】
【0071】
【0072】
上記表1~2に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製NIPOL1502
・シリカ:ローディア社製Zeosil 1165MP
・カーボンブラック:東海カーボン社製シースト6
・特定微粒子1~2:上述のとおり製造した特定微粒子1~2
・比較微粒子1~2:上述のとおり製造した比較微粒子1~2
・シランカップリング剤:ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、Evonik社製Si69
・亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
・老化防止剤:フレキシス社製サントフレックス6PPD
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤1:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ-G
・加硫促進剤2:住友化学社製ソクシノールD-G
・オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
【0073】
表1~2から分かるように、コアとシェルとがアミド結合によって結合された特定微粒子を含有する実施例1-1~1-3及び実施例2-1~2-3の組成物は、特定微粒子を含有しない標準例1-1及び2-1と比較して、優れた加工性、低燃費性能及び強靭性を示した。
実施例1-1と実施例1-2との対比、及び、実施例2-1と実施例2-2との対比から、シェルがイソプレン重合体を含有する実施例1-1及び実施例2-1は、より優れた低燃費性能及び強靭性を示した。
【0074】
一方、特定微粒子の代わりに、コアのみからなる微粒子を含有する比較例1-1及び比較例2-1、並びに、コアとシェルとがウレタン結合によって結合された(アミド結合は存在しない)微粒子を含有する比較例1-2及び比較例2-2は、加工性、低燃費性能及び強靭性が不十分であった。
【符号の説明】
【0075】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション