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特許7293720スチールコード接着用ゴム組成物及びコンベヤベルト
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  • 特許-スチールコード接着用ゴム組成物及びコンベヤベルト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】スチールコード接着用ゴム組成物及びコンベヤベルト
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20230613BHJP
   C08K 5/55 20060101ALI20230613BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20230613BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20230613BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230613BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20230613BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20230613BHJP
   B65G 15/34 20060101ALI20230613BHJP
   C09J 109/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K5/55
C08L7/00
C08L9/06
C08K3/04
C08K3/06
C08K3/22
B65G15/34
C09J109/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019034272
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020139016
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】鄒 徳慶
(72)【発明者】
【氏名】米田 優子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦俊
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/084617(WO,A1)
【文献】特開2017-031240(JP,A)
【文献】特開2009-161650(JP,A)
【文献】特開2014-118459(JP,A)
【文献】特開2011-021162(JP,A)
【文献】特開2015-218280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B65G 15/30-15/58
C09J 109/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブタジエンゴムを少なくとも含むゴム成分と、ネオデカン酸ホウ酸コバルトとを含有し、前記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、1.2~3.5質量部である、スチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム成分が、更に、天然ゴム及び/又はスチレンブタジエン共重合体ゴムを含む、請求項1に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ポリブタジエンゴムの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、15~60質量部である、請求項1又は2に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項4】
更に、カーボンブラックを含有し、
前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、35~75質量部である、請求項1~3のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項5】
更に、加硫促進剤を含有し、
前記加硫促進剤が、チアゾール系加硫促進剤である、請求項1~のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項6】
前記加硫促進剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.3~1.2質量部である、請求項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項7】
更に、硫黄を含有し、
前記硫黄の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、2.1~5.0質量部である、請求項1~のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項8】
更に、ロジン、ロジン誘導体、フェノール樹脂及び塩素化パラフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項9】
更に、酸化亜鉛を含有し、
前記酸化亜鉛の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5.0質量部以上である、請求項1~のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項10】
更に、オイルを含有し、
前記オイルの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、2.0質量部以上である、請求項1~のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項11】
亜鉛メッキスチールコードを接着させるために使用される、請求項1~10のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物を用いて形成されたコンベヤベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチールコード接着用ゴム組成物及びコンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スチールコードに対する接着性能等の向上を目的とするゴム組成物が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に、カーボンブラックを40~80質量部、ネオデカン酸ホウ酸コバルト、フェノール系樹脂および硬化剤を配合してなるゴム組成物であって、カーボンブラックのDBP吸油量が50×10-5~80×10-53/kg、よう素吸着量が100~150g/kgであり、かつ動歪2%、20℃における動的貯蔵弾性率(E′)が8MPa以上、60℃の正接損失(tanδ)が0.20以下、歪60%、400rpmの定歪疲労試験で破壊するまでの繰り返し回数が45,000回以上であるゴム組成物が提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、亜鉛メッキスチールコードとの耐湿接着性と初期接着性に優れるゴム組成物を用いた、亜鉛メッキスチールコードとゴムとの接着方法、および、該接着方法を用いて製造されるスチールコードコンベヤベルトの提供を目的として、
硫黄加硫可能なゴム100重量部に対して、
ロジンまたはロジン誘導体を3~15重量部と、
有機コバルト塩をコバルト量として0.2~1.0重量部と、
有機塩素化合物を3~50重量部と
を含有するゴム組成物と、亜鉛メッキスチールコードとを接着する、亜鉛メッキスチールコードとゴムとの接着方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-131522号公報
【文献】特許第4449941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、スチールコードを内蔵するコンベヤベルトが寒冷地で使用される場合、上記コンベヤベルトにおいて、スチールコードをコートするコートゴム層(クッションゴム)に使用されるゴム組成物には、スチールコードに対する接着性のほか、更に、耐寒性が要求される。
【0006】
このようななか、本発明者らは特許文献1等を参考にして、ゴム組成物を調製しこれを評価したところ、このような組成物は、耐寒性に劣ること、並びに、耐久性及び耐水接着性の両立が困難であることが明らかとなった(比較例2~4)。
そこで、本発明は、耐寒性、耐久性及び耐水接着性に優れる、スチールコード接着用ゴム組成物を提供することを目的とする。なお、本発明において耐水接着性は耐湿接着性を含むものとする。
また、本発明は、耐寒性、耐久性及び耐水接着性に優れるコンベヤベルトを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ゴム組成物が、ポリブタジエンゴムを少なくとも含むゴム成分と、ネオデカン酸ホウ酸コバルトとを含有する場合、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
【0008】
[1] ポリブタジエンゴムを少なくとも含むゴム成分と、ネオデカン酸ホウ酸コバルトとを含有する、スチールコード接着用ゴム組成物。
[2] 上記ゴム成分が、更に、天然ゴム及び/又はスチレンブタジエン共重合体ゴムを含む、[1]に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[3] 上記ポリブタジエンゴムの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、15~60質量部である、[1]又は[2]に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[4] 更に、カーボンブラックを含有し、
上記カーボンブラックの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、35~75質量部である、[1]~[3]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[5] 上記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、1.2~3.5質量部である、[1]~[4]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[6] 更に、加硫促進剤を含有し、
上記加硫促進剤が、チアゾール系加硫促進剤である、[1]~[5]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[7] 上記加硫促進剤の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、0.3~1.2質量部である、[6]に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[8] 更に、硫黄を含有し、
上記硫黄の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、2.1~5.0質量部である、[1]~[7]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[9] 更に、ロジン、ロジン誘導体、フェノール樹脂及び塩素化パラフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、[1]~[8]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[10] 更に、酸化亜鉛を含有し、
上記酸化亜鉛の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、5.0質量部以上である、[1]~[9]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[11] 更に、オイルを含有し、
上記オイルの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、2.0質量部以上である、[1]~[10]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[12] 亜鉛メッキスチールコードを接着させるために使用される、[1]~[11]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[13] [1]~[12]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物を用いて形成されたコンベヤベルト。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスチールコード接着用ゴム組成物は、耐寒性、耐久性及び耐水接着性に優れる。
また、本発明のコンベヤベルトは、耐寒性、耐久性及び耐水接着性に優れる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明のコンベヤベルトの一例を模式的に表す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について以下詳細に説明する。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知の方法が挙げられる。
本明細書において、耐寒性、耐久性及び耐水接着性のうちの少なくとも1つがより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
【0012】
[スチールコード接着用ゴム組成物]
本発明のスチールコード接着用ゴム組成物(本発明の組成物)は、ポリブタジエンゴムを少なくとも含むゴム成分と、ネオデカン酸ホウ酸コバルトとを含有する、スチールコード接着用ゴム組成物である。
【0013】
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明の組成物は、ゴム成分としてポリブタジエンゴムを含有することによって、脆化温度を好適な範囲とすることができ、耐寒性に優れる。
また、本発明者らは、有機コバルト塩としてナフテン酸コバルトを使用する場合、過加硫の状態でのゴムの破断時伸び(EB)の保持率が低く、コンベヤベルトの耐久性を低下させるという問題があることを見出した。
ここで、上記過加硫は、製品を製造する際に必要とされる通常の加硫時間後(初期加硫の後)、更にゴムが加硫することを意味する。上記の更なる加硫としては、具体的には例えば、未加硫ゴムを加硫する際の加硫時間が通常よりも長い場合;加硫ゴム又はコンベヤベルトを修理する際に上記加硫ゴム等を更に加硫する場合;加硫ゴムを更に加硫してエンドレス化する場合、等が挙げられる。
上記問題について、本発明者らは、有機コバルト塩としてネオデカン酸ホウ酸コバルトを使用する場合、耐水接着性を維持又は改善しつつ、コンベヤベルトの耐久性を向上させ得ることを知見した。
ネオデカン酸ホウ酸コバルト又はナフテン酸コバルトが含有するコバルト量を等量とする場合、ネオデカン酸ホウ酸コバルトが有する有機酸の含有量は、ナフテン酸コバルトより少ないため、過加硫後の破断時伸び(EB)の低下を少なくできると本発明者らは推測する。
このように、本発明の組成物はネオデカン酸ホウ酸コバルトを含有することによって、耐久性及び耐水接着性を優れたレベルで両立させることができる。
以上のとおり、本発明の組成物は、耐寒性、耐久性、耐水接着性を優れる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
【0014】
<ゴム成分>
本発明の組成物は、ポリブタジエンゴムを少なくとも含むゴム成分を含有する。
【0015】
<ポリブタジエンゴム>
本発明の組成物に含有されるポリブタジエンゴム(ブタジエンゴム。「BR」とも称する。)は、ブタジエンの単独重合体であれば特に制限されない。なお、上記ポリブタジエンゴムは変性されていてもよい。
【0016】
(ポリブタジエンゴムの重量平均分子量)
ポリブタジエンゴムの重量平均分子量は、本発明の効果により優れ、引抜力(スチールコードをゴムから引き抜く際に要する力。)が高くなるという観点から、40万~100万が好ましく、45万~80万がより好ましい。
本発明において、ポリブタジエンゴムの重量平均分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0017】
(ポリブタジエンゴムのガラス転移温度)
ポリブタジエンゴムのガラス転移温度は、本発明の効果により優れる(特に耐寒性)という観点から、-50℃以下が好ましく、-150~-80℃がより好ましい。
本発明において、ガラス転移温度は、JIS K7121:2012に準拠し、示差熱分析機器を用いて20℃/分の昇温温度で熱流速の変化を測定した時に得られる曲線において、変曲点を読み取った値とできる。
【0018】
上記ポリブタジエンゴムの含有量は、本発明の効果(特に耐寒性)により優れ、初期加硫後のゴムが過加硫で更に架橋することによってゴムが固くなりすぎず、脆化温度を適切な範囲とできるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、15~60質量部であることが好ましく、20~50質量部がより好ましく、20質量部超50質量部以下が更に好ましく、25~45質量部が特に好ましい。
【0019】
(BR以外のゴム)
上記ゴム成分は、BR以外に、更に別のゴムを含むことができる。
上記BR以外のゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴム(例えばスチレンブタジエン共重合体ゴム)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)のようなジエン系ゴムが挙げられる。
【0020】
上記ゴム成分は、本発明の効果により優れるという観点から、更に、天然ゴム及び/又はスチレンブタジエン共重合体ゴムを含むことが好ましく、天然ゴム及びスチレンブタジエン共重合体ゴムを含むことがより好ましい。
【0021】
・天然ゴム
上記天然ゴム(NR)は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0022】
・スチレンブタジエン共重合体ゴム
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムは、スチレンとブタジエンとの共重合体であれば特に制限されない。
【0023】
(スチレンブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量)
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量は、本発明の効果(特に耐寒性)により優れ、後述する上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度が低くなるという観点から、上記スチレンブタジエン共重合体ゴム全量に対して、5~40質量%であることが好ましく、10~30質量%がより好ましい。
【0024】
(スチレンブタジエン共重合体ゴムのビニル量)
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのブタジエンによるビニル量(1,2-ビニル結合量)は、本発明の効果(特に耐寒性)により優れ、後述する上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度が低くなるという観点から、スチレンブタジエン共重合体ゴムが有するブタジエンによる繰り返し単位の総量に対して、5~30質量%であることが好ましく、5~20質量%がより好ましい。
本発明において、上記スチレンブタジエン共重合体ゴムが有する、上記結合スチレン量と上記ビニル量は、1H-NMRで測定することができる。
【0025】
(スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度)
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度は、本発明の効果(特に耐寒性)により優れるという観点から、-50℃以下が好ましい。
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度の下限は、例えば、-100℃以上とできる。
【0026】
(スチレンブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量)
スチレンブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量は特に制限されない。例えば、20万~300万とできる。
本発明において、スチレンブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0027】
上記ゴム成分が、BRのほかに、更に、上記天然ゴム及び上記スチレンブタジエン共重合体ゴムを含む場合(3者併用)、上記天然ゴムの含有量は、本発明の効果により優れ、脆化温度を適切な範囲とできるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、20~42.5質量部が好ましく、25~40質量部がより好ましい。
また、上記3者併用場合、上記スチレンブタジエン共重合体ゴムの含有量は、本発明の効果により優れ、脆化温度を適切な範囲とできるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、20~42.5質量部が好ましく、25~40質量部がより好ましい。
【0028】
<ネオデカン酸ホウ酸コバルト>
本発明の組成物に含有されるネオデカン酸ホウ酸コバルトは、下記式(1)で表される化合物である。
本発明の組成物は、ネオデカン酸ホウ酸コバルトを含有することによって、スチールコードとの接着性に優れる。
【化1】
【0029】
(ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量)
上記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れ、初期加硫後のゴムが過加硫で更に架橋することによってゴムが固くなりすぎないという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、1.2~3.5質量部であることが好ましく、1.5質量部を超え2.5質量部以下がより好ましい。
【0030】
(カーボンブラック)
本発明の組成物は、更に、カーボンブラックを含有することができる。
上記カーボンブラックは特に制限されない。
なかでも、上記カーボンブラックは、本発明の効果により優れるという観点から、HAF級カーボンブラック、ISAF級カーボンブラックが好ましく、HAF級カーボンブラックがより好ましい。
【0031】
(カーボンブラックの窒素吸着比表面積)
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、本発明の効果により優れるという観点から、60~120m2/gが好ましく、65~95m2/gがより好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K 6217-2:2017「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定できる。
【0032】
(カーボンブラックの含有量)
上記カーボンブラックの含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、35~75質量部であることが好ましく、40~70質量部がより好ましい。
【0033】
(加硫促進剤)
本発明の組成物は、更に、加硫促進剤を含有することができる。
上記加硫促進剤は特に制限されない。例えば、チアゾール系、グアニジン系、チウラム系、又は、スルフェンアミド系の加硫促進剤が挙げられる。
なかでも、上記加硫促進剤は、本発明の効果により優れ、加硫後においてゴムが更に架橋することを促進しにくいという観点から、チアゾール系加硫促進剤であることが好ましく、ジベンゾチアジルジスルフィドがより好ましい。
【0034】
(加硫促進剤の含有量)
上記加硫促進剤の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、0.3~1.2質量部であることが好ましく、0.3質量部以上1.0質量部未満がより好ましく、0.4~0.9質量部が更に好ましい。
【0035】
(硫黄)
本発明の組成物は更に硫黄を含有することができる。上記硫黄は特に制限されない。
【0036】
(硫黄の含有量)
上記硫黄の含有量は、本発明の効果(特に耐水接着性)により優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、2.1~5.0質量部であることが好ましく、2.5~4.0質量部がより好ましい。
【0037】
(ネオデカン酸ホウ酸コバルト/硫黄の質量比)
本発明の組成物が更に硫黄を含有する場合、上記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量と上記硫黄の含有量の質量比(ネオデカン酸ホウ酸コバルト/硫黄)は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、0.24(1.2/5)~1.7(3.5/2.1)が好ましく、0.50を超え1.0以下がより好ましく、0.55~0.80が更に好ましい。
【0038】
(ロジン等)
本発明の組成物は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、更に、ロジン、ロジン誘導体、フェノール樹脂及び塩素化パラフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、ロジン又はロジン誘導体と、フェノール樹脂と、塩素化パラフィンとを併用することがより好ましい。
本明細書において、ロジン、ロジン誘導体、フェノール樹脂及び塩素化パラフィンをまとめて以下「ロジン等」と称する場合がある。
上記ロジン等は、接着付与剤として機能できる。
【0039】
・ロジン、ロジン誘導体
ロジンは、松脂とも言われる天然樹脂の1種である。
ロジン誘導体としては、例えば、松材から溶剤等で抽出されるガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、これらのロジンの重合体、不均斉化ロジン、マレイン化ロジン、アルデヒド変性ロジン、水素添加ロジンおよびその加工品等が挙げられる。
ロジン及びロジン誘導体は粘着付与剤として一般的に使用されうるものを使用することができる。
ロジンまたはロジン誘導体としては、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、荒川化学工業株式会社製のガムロジン又はウッドロジン、ハリマ化成グループ株式会社製のトール油ロジン、Hercules社製の水素添加ロジン等が挙げられる。
【0040】
上記ロジンの含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、3~10質量部であることが好ましい。ロジン誘導体の含有量も上記ロジンの含有量と同様である。
【0041】
・フェノール樹脂
フェノール樹脂としては、一般にゴム組成物に配合可能なものを使用できる。上記フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒドとの反応によって得られる樹脂及びその変性物を含むことができる。フェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールまたはレゾルシン等を例示することができる。また、アルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはフルフラール等を例示することができる。
なお、本発明の組成物は、フェノール樹脂の硬化剤を含有しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0042】
上記フェノール樹脂の含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、2~8質量部であることが好ましい。
【0043】
・塩素化パラフィン
上記塩素化パラフィンは、塩素を有するパラフィンであれば特に制限されない。例えば、平均で炭素数26の鎖状飽和炭化水素化合物であって、該化合物中の水素原子の全部又は一部が塩素原子で置換されているものが挙げられる。
上記塩素化パラフィンが有する塩素量は、塩素化パラフィン全量に対して、例えば、40~80質量%が好ましい。
【0044】
上記塩素化パラフィンの含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、3~8質量部であることが好ましい。
【0045】
(併用する場合の合計含有量)
ロジン又はロジン誘導体と、フェノール樹脂と、塩素化パラフィンとを併用する場合、これらの合計含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、8~22質量部であることが好ましい。
ロジン又はロジン誘導体と、フェノール樹脂と、塩素化パラフィンとを併用する場合、これらの合計含有量に対するフェノール樹脂の含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、10~40質量%であることが好ましい。
【0046】
(酸化亜鉛)
本発明の組成物は更に酸化亜鉛を含有することができる。上記酸化亜鉛は特に制限されない。
【0047】
(酸化亜鉛の含有量)
上記酸化亜鉛の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、5.0質量部以上であることが好ましい。
上記酸化亜鉛の含有量の上限は、上記ゴム成分100質量部に対して、20質量部以下とできる。
【0048】
(オイル)
本発明の組成物は更にオイルを含有することができる。上記オイルは特に制限されない。例えば、パラフィンオイル(ただし塩素化パラフィンを除く。)、アロマオイルが挙げられる。
【0049】
(オイルの含有量)
上記オイルの含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、2.0質量部以上であることが好ましい。
上記オイルの含有量の上限は、上記ゴム成分100質量部に対して、10質量部以下とできる。
【0050】
本発明の組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記必須の成分に加え、更に、ステアリン酸、老化防止剤等の添加剤を含有できる。
【0051】
本発明の組成物は、上記必須成分、必要に応じて使用することができる上記カーボンブラック等を、ロールミル又はバンバリーミキサーなどを用いて混合することによって、製造することができる。
【0052】
本発明の組成物は、例えば、スチールコード(具体的には例えば亜鉛メッキスチールコード)を接着させるために使用することができる。
本発明の組成物をスチールコード(例えば亜鉛メッキスチールコード)とともに用いて、例えば加硫することによって、加硫ゴムとスチールコードとを有する複合体を得ることができる。上記複合体において加硫ゴムとスチールコードとは接着することができる。
【0053】
上記スチールコードとしては、例えば、表面無処理のスチールコード;表面無処理のスチールコードを亜鉛メッキしたものが挙げられる。
上記スチールコードは、本発明の効果により優れ、防錆性に優れるという観点から、亜鉛メッキされたものが好ましい。
上記スチールコードの例えば素線径又はコード径などは、適宜選択できる。
【0054】
本発明の組成物を加硫する際の温度は、例えば140~160℃程度とできる。
【0055】
本発明の組成物を加硫して得られる加硫物の脆化温度は、本発明の効果により優れる(特に耐寒性)というという観点から、-50℃以下であることが好ましく、-58℃以下がより好ましい。
本発明において、本発明の組成物を153℃、面圧2.0MPaの条件下で20分間加圧加硫して、加硫ゴム(厚さ2mmのシート状)を得、上記加硫ゴムを用いて、JIS K 6261-2:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-低温特性の求め方- 第2部:低温衝撃ぜい化試験」に準拠して、脆化温度を測定した。
【0056】
本発明の組成物は、例えば、コンベヤベルトの製造に好適に用いることができる。本発明の組成物をコンベヤベルトの製造に用いる場合、本発明の組成物は、コンベヤベルトを構成する部材として例えば、スチールコードをコートするコートゴム層(クッションゴム)を形成することが好ましい。
【0057】
[コンベヤベルト]
次に、本発明のコンベヤベルトについて以下に説明する。
本発明のコンベヤベルトは、本発明のスチールコード接着用ゴム組成物を用いて形成されたコンベヤベルトである。
【0058】
本発明のコンベヤベルトは、スチールコードを有することが好ましい態様として挙げられる。上記スチールコードは、本発明の効果により優れるという観点から、表面無処理のスチールコードを亜鉛メッキしたものが好ましい。
【0059】
本発明のコンベヤベルトに使用されるスチールコード接着用ゴム組成物は、本発明のスチールコード接着用ゴム組成物であれば特に制限されない。
本発明の組成物は、本発明の効果により優れるという観点から、スチールコードをコートするコートゴム層(クッションゴム)を形成することが好ましい。
本発明のコンベヤベルトは、更に、カバーゴム層を有することが好ましい態様の1つとして挙げられる。上記カバーゴム層を形成しうるゴム組成物は特に制限されない。
【0060】
本発明のコンベヤベルトについて添付の図面を用いて以下に説明する。本発明のコンベヤベルトは添付の図面に制限されない。
図1は本発明のコンベヤベルトの一例を模式的に表す断面斜視図である。
図1において、コンベヤベルト1は、両表面にカバーゴム層6を有し、カバーゴム層6の間に、スチールコード2とコートゴム層4を有する。コートゴム層4はスチールコード2をコートする。コートゴム層4は本発明のスチールコード接着用ゴム組成物で形成されることが好ましい。
【実施例
【0061】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
【0062】
<組成物の製造>
下記第1表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いた。
まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、バンバリーミキサーで混合し、次に、得られた混合物に硫黄および加硫促進剤を加えてこれらをロールを用いて混合して、各組成物を製造した。
【0063】
<<評価>>
上記のとおり製造された各組成物を用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
<耐寒性>
耐寒性を脆化温度で評価した。
・評価方法
上記各組成物をプレス成型機を用いて153℃、面圧2.0MPaの条件下で20分間加圧加硫して、加硫ゴム(厚さ2mmのシート状)を得た。
JIS K 6261-2:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-低温特性の求め方- 第2部:低温衝撃ぜい化試験」に準拠して、上記各加硫ゴムから試験片を作製し、規定の条件下で上記各試験片に衝撃曲げを与えた。上記試験片に衝撃曲げを与えたときに、上記試験片の総数の50%が破壊した温度を測定し、上記のとおり測定された温度を「脆化温度」とした。
【0064】
・評価基準
本発明において、上記脆化温度が-50℃以下である場合、耐寒性に優れると評価した。
上記脆化温度が-50℃を超える場合、耐寒性が劣ると評価した。
上記脆化温度が-50℃より低いほど、耐寒性により優れると評価した。
【0065】
<耐久性>
耐久性を破断時伸び(EB)保持率で評価した。
・評価方法
上記各組成物をプレス成型機を用いて153℃、面圧2.0MPaの条件下で20分間加圧加硫して、初期加硫ゴムを得た。
また、別途、上記各組成物(上記のとおり製造された未加硫の各ゴム組成物)を153℃の条件下に90分間置いて、経時加硫ゴムを得た。
上記のとおり得られた各初期加硫ゴムから、JIS3号ダンベル型の初期試験片(厚さ2mm。)を打ち抜いた。各経時加硫ゴムからも同様にして、経時試験片を得た。
JIS K6251:2017に準じて、室温、引張速度500mm/分の条件で、上記のとおり得られた初期試験片及び経時試験片について引張試験を行い、破断時伸び(EB)を測定した。
得られた初期試験片及び経時試験片の破断時伸びの値を下記式に当てはめて、破断時伸びの保持率を算出した。
破断時伸び(EB)保持率(%)=(経時試験片の破断時伸び)/(初期試験片の破断時伸び)×100
【0066】
・評価基準
本発明において、上記破断時伸び保持率が45%以上である場合、耐久性に優れると評価した。
上記保持率が45%未満である場合、耐久性が劣ると評価した。
上記保持率が45%より大きいほど、耐久性により優れると評価した。
【0067】
<耐水接着性>
耐水接着性をゴム付きで評価した。
・評価方法
デシケータ中に保管して防塵防湿処理を施してある直径4.1mmの亜鉛メッキスチールコードに、上記のとおり製造された各組成物を15mmの厚さに付与して、各組成物とスチールコードとの複合体(スチールコードは組成物中に埋まっている状態)とし、上記複合体をプレス成型機を用いて153℃、面圧2.0MPaの条件下で20分間加圧加硫して、試験体(ゴム/亜鉛メッキスチールコード複合体)を作製した。上記試験体において、ゴム表面からスチールコードが突出している箇所のゴムとスチールコードとの境目を蜜ロウでシールし、温度50℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽内で1週間放置した。その後、室温条件下で各試験体からスチールコードを引き抜く引き抜き試験を行った。上記引き抜き試験は、DIN22131に準拠して行った。
引き抜き試験後、引き抜かれたスチールコードの状態を確認し、初期のスチールコードの表面積に対する引き抜き後のスチールコード表面に残存するゴムの被覆面積の割合(ゴム被覆率、%)を算出した。上記のとおり算出されたゴム被覆率をゴム付きとして第1表に示した。
【0068】
・評価基準
本発明において、上記ゴム付き(ゴム被覆率)が65%以上である場合、耐水接着性に優れると評価した。
上記ゴム付きが65%未満である場合、耐水接着性が劣ると評価した。
上記ゴム付きが65%より大きいほど、耐水接着性により優れると評価した。
【0069】
【表1】
【0070】
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム。TSR20
・SBR:スチレンブタジエン共重合体ゴム。NIPOL 1502(日本ゼオン社製)。ガラス転移温度-54℃。重量平均分子量49万、結合スチレン量24質量%、ビニル量16質量%
【0071】
・BR:ポリブタジエンゴム。Nipol BR 1220、日本ゼオン社製(ZEON CORPORATION)。重量平均分子量50万、ガラス転移温度-105℃
【0072】
・HAF級カーボンブラック:キャボットジャパン株式会社製シヨウブラック N330T(窒素吸着比表面積74m2/g)
【0073】
・フェノール系樹脂:スミライト レジン PR-175、住友デュレズ株式会社
・ガムロジン:中国ロジン WW、荒井化学工業株式会社製。
・塩素化パラフィン(塩素含有量70%):塩素化パラフィン(塩素含有量70質量%)。商品名エンパラ 70S、味の素ファインテクノ社製。
【0074】
・(比較)ナフテン酸コバルト(コバルト含有量10%):ナフテン酸コバルト。コバルト含有量10質量%。ナフテン酸コバルト 10%、DIC CORPORATION社製
【0075】
・ネオデカン酸ホウ酸コバルト:下記式(1)で表されるネオデカン酸ホウ酸コバルト。DIC CORPORATION社製DICNATE NBC-II(コバルト含量22.2質量%)
【化2】
【0076】
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・パラフィンオイル:マシン油 22(昭和シェル石油株式会社製)
【0077】
・加硫促進剤DM:チアゾール系加硫促進剤。ジベンゾチアジルジスルフィド。商品名サンセラー DM-PO、(三新化学工業株式会社)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(鶴見化学工業社製)
【0078】
第1表に示す結果から明らかなように、ネオデカン酸ホウ酸コバルトを含有せず、代わりにナフテン酸コバルトを含有する比較例1は、耐久性が低かった。
ポリブタジエンゴムを含有せず、ゴム成分が全て天然ゴムである比較例2は、耐水接着性に劣った。
ポリブタジエンゴムを含有せず、ゴム成分が全て天然ゴムであり、ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量が比較例2よりも多い比較例3は、耐寒性、耐久性に劣った。
ポリブタジエンゴム及びネオデカン酸ホウ酸コバルトを含有せず、ポリブタジエンゴムの代わりに天然ゴム及びSBRを含有し、ネオデカン酸ホウ酸コバルトの代わりにナフテン酸コバルトを含有する比較例4は、耐久性に劣った。
【0079】
これに対して、本発明の組成物は、耐寒性、耐久性、耐水接着性に優れた。
【符号の説明】
【0080】
1 コンベヤベルト
2 スチールコード
4 コートゴム層
6 カバーゴム層
図1