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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20230613BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20230613BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20230613BHJP
   H04B 1/401 20150101ALI20230613BHJP
   H04W 72/54 20230101ALI20230613BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W4/38
H04W16/14
H04B1/401
H04W72/54 110
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019053276
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020155955
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】青野 祐治
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-130796(JP,A)
【文献】特開2017-184219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B23/00-23/02
G08C13/00-25/04
H03J9/00-9/06
H04B1/38-1/58
7/24-7/26
H04Q9/00-9/16
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線局免許を必要としない周波数帯を用いて無線通信を行う第1無線通信部と、
データの送信に使用するチャネルの空き状況の事前確認を行ってから前記第1無線通信部にデータを送信させる第1動作モードと、前記事前確認を行うことなく前記第1無線通信部にデータを送信させる第2動作モードとの切り替え制御を行う制御部と、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとの切り替え制御に用いられる設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記設定情報に基づいて、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの切り替え制御を行い、
前記制御部は、データ送信周期が予め規定された第1閾値以下である場合、通信データレートが予め規定された第2閾値以下である場合、又はエラーレートが予め規定された第3閾値よりも大である場合には、前記第1動作モードにする制御を行い、
前記設定情報には、前記第1動作モードを実行することが可能な第1データ送信周期と、前記第2動作モードを実行することが可能な第2データ送信周期と、が規定された第1テーブルが含まれており、
前記第1データ送信周期には、前記第1閾値以下の前記データ送信周期と、前記第1閾値よりも大である前記データ送信周期とが設定可能であり、
前記第2データ送信周期には、前記第1閾値よりも大である前記データ送信周期のみが設定可能であり、
前記制御部は、前記データ送信周期が、前記第1データ送信周期に設定されている前記第1閾値以下のものである場合には、前記第1動作モードにする制御を行う、
無線通信装置。
【請求項2】
無線局免許を必要としない周波数帯を用いて無線通信を行う第1無線通信部と、
データの送信に使用するチャネルの空き状況の事前確認を行ってから前記第1無線通信部にデータを送信させる第1動作モードと、前記事前確認を行うことなく前記第1無線通信部にデータを送信させる第2動作モードとの切り替え制御を行う制御部と、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとの切り替え制御に用いられる設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記設定情報に基づいて、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの切り替え制御を行い、
前記制御部は、データ送信周期が予め規定された第1閾値以下である場合、通信データレートが予め規定された第2閾値以下である場合、又はエラーレートが予め規定された第3閾値よりも大である場合には、前記第1動作モードにする制御を行い、
前記設定情報には、前記第1動作モードを実行することが可能な第1通信データレートと、前記第2動作モードを実行することが可能な第2通信データレートと、が規定された第2テーブルが含まれており、
前記第1通信データレートには、前記第2閾値以下の前記通信データレートと、前記第2閾値よりも大である前記通信データレートとが設定可能であり、
前記第2通信データレートには、前記第2閾値よりも大である前記通信データレートのみが設定可能であり、
前記制御部は、前記通信データレートが、前記第1通信データレートに設定されている前記第2閾値以下のものである場合には、前記第1動作モードにする制御を行う、
無線通信装置。
【請求項3】
外部機器と近距離無線通信を行って前記設定情報を取得する第2無線通信部を更に備える、請求項1又は請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
少なくとも前記第1無線通信部及び前記制御部に電力を供給する電池を備える、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記電池は、交換可能である、請求項4記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet Of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)といった技術が注目されている。IoTは、ありとあらゆるモノ(センサ、機器・装置等のハードウェア端末全般)をインターネットに接続し、モノから得られるデータを用いてモノの状態を把握したり、モノを操作したりする技術である。AIは、一般的には、人間の知的行動をソフトウェアによって人工的に再現した技術であり、例えば人間が用いる自然言語の理解、論理的な推論等を行う技術である。
【0003】
近年、このようなIoTやAIを用いて、工場やプラント等に設置された設備の異常の兆候を捉えて設備の故障を未然に防止するシステムを構築する取り組みが行われている。具体的に、このシステムは、対象となる設備に多数の無線センサを設置するとともに、無線センサから無線信号で送信される各種のデータを収集するサーバ装置を設け、サーバ装置に蓄積されたデータを解析して上述した異常の兆候を捉えるシステムである。
【0004】
このようなシステムにおいて、上述した無線センサによる無線通信は、無線局免許を必要としない周波数帯(アンライセンスバンド)を用いて行われる場合が多い。また、上述の無線センサは、電源を確保することが困難な場所に設置されることもあるため、電池駆動が要求される。このような電池駆動型の無線センサは、電池寿命を延ばすために低消費電力であることが要求される。尚、以下の特許文献1には、キャリアセンス方式を用いて複数の通信システムの競合状態を制御する無線通信デバイスにおける電力消費量の増加を抑制する従来技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6288268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した異常の兆候を捉えるシステムで使用される無線通信装置は、低頻度(例えば、数時間~1日に1回程度の頻度)で無線通信が行われるのが殆どである。この無線通信装置は、例えば上述した異常の兆候が捉えられた場合に、より詳細なデータを測定するために、一時的に高頻度(例えば、数分~数時間に1回程度の頻度)でデータ送信を行うように設定が変更される場合がある。このような通信頻度が変更される無線通信装置において、電池寿命を延ばすためには、無線通信が低頻度で行われる場合の不要な電力の消費を抑えるとともに、無線通信が高頻度で行われる場合の不要な電力の消費を抑える必要がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、通信頻度に拘わらず従来よりも電力消費を抑えることができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による無線通信装置(10)は、無線局免許を必要としない周波数帯を用いて無線通信を行う第1無線通信部(13)と、データの送信に使用するチャネルの空き状況の事前確認を行ってから前記第1無線通信部にデータを送信させる第1動作モードと、前記事前確認を行うことなく前記第1無線通信部にデータを送信させる第2動作モードとの切り替え制御を行う制御部(15)と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様による無線通信装置は、前記制御部が、データ送信周期、通信データレート、及びエラーレートの少なくとも1つに応じて、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの切り替え制御を行う。
【0010】
また、本発明の一態様による無線通信装置は、前記制御部が、前記データ送信周期が予め規定された第1閾値以下である場合、前記通信データレートが予め規定された第2閾値以下である場合、又は前記エラーレートが予め規定された第3閾値よりも大である場合には、前記第1動作モードにする制御を行う。
【0011】
また、本発明の一態様による無線通信装置は、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの切り替え制御に用いられる設定情報(CD)を記憶する記憶部(12)を備えており、前記制御部が、前記記憶部に記憶された前記設定情報に基づいて、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの切り替え制御を行う。
【0012】
また、本発明の一態様による無線通信装置は、外部機器(TM)と近距離無線通信を行って前記設定情報を取得する第2無線通信部(14)を更に備える。
【0013】
また、本発明の一態様による無線通信装置は、前記設定情報には、前記第1動作モードを実行することが可能な第1データ送信周期と、前記第2動作モードを実行することが可能な第2データ送信周期と、が規定された第1テーブル(TB1)が含まれており、前記第1データ送信周期には、前記第1閾値以下の前記データ送信周期と、前記第1閾値よりも大である前記データ送信周期とが設定可能であり、前記第2データ送信周期には、前記第1閾値よりも大である前記データ送信周期のみが設定可能である。
【0014】
或いは、本発明の一態様による無線通信装置は、前記設定情報には、前記第1動作モードを実行することが可能な第1通信データレートと、前記第2動作モードを実行することが可能な第2通信データレートと、が規定された第2テーブル(TB2)が含まれており、前記第1通信データレートには、前記第2閾値以下の前記通信データレートと、前記第2閾値よりも大である前記通信データレートとが設定可能であり、前記第2通信データレートには、前記第2閾値よりも大である前記通信データレートのみが設定可能である。
【0015】
或いは、本発明の一態様による無線通信装置は、前記設定情報には、前記第1閾値、前記第2閾値、及び前記第3閾値の少なくとも1つが含まれており、前記制御部が、前記データ送信周期が前記第1閾値以下である場合、前記通信データレートが前記第2閾値以下である場合、又は前記エラーレートが前記第3閾値よりも大である場合には、前記第1動作モードにする制御を行い、前記データ送信周期が前記第1閾値よりも大である場合、前記通信データレートが前記第2閾値よりも大である場合、又は前記エラーレートが前記第3閾値以下である場合には、前記第2動作モードにする制御を行う。
【0016】
また、本発明の一態様による無線通信装置は、少なくとも前記第1無線通信部及び前記制御部に電力を供給する電池(BT)を備える。
【0017】
また、本発明の一態様による無線通信装置は、前記電池が、交換可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信頻度に拘わらず従来よりも電力消費を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による無線通信装置が用いられるデータ収集システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態による無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態において、動作モードの切り替え制御に用いられるテーブルを示す図である。
図4】本発明の第1実施形態による無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態の変形例における動作の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態の変形例において設定される動作モードを示す図である。
図7】本発明の第2実施形態において、動作モードの切り替え制御に用いられるテーブルを示す図である。
図8】本発明の第2実施形態の変形例において設定される動作モードを示す図である。
図9】本発明の第3実施形態において設定される動作モードを示す図である。
図10】本発明の第4実施形態における動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による無線通信装置について詳細に説明する。以下では、まず本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の各実施形態の詳細について説明する。
【0021】
〔概要〕
本発明の実施形態は、通信頻度に拘わらず従来よりも電力消費を抑えることができるようにするものである。ここで、無線局免許を必要としない周波数帯(アンライセンスバンド)を用いて無線通信を行う無線通信装置がチャネル(無線チャネル)をアクセスする方法としては、以下の2つが挙げられる。
【0022】
・LBT(Listen Before Talk)
データの送信に使用するチャネルの空き状況の事前確認を行ってからデータ送信を行う方法である。具体的には、データの送信前に、使用するチャネル(例えば、送信に使用する周波数のチャネル)における受信レベルを検出する。検出された受信レベルが予め規定された閾値よりも高い場合には、そのチャネルは使用中であると判断してデータの送信を行わない。これに対し、検出された受信レベルが上記閾値以下の場合には、そのチャネルは空いていると判断してデータ送信を行う。尚、この方法は、CCA(Clear Channel Assessment)と呼ばれることもある。
【0023】
・DC(Duty Cycle)
ある期間に占める無線通信装置の送信時間の割合に制限(法的な制限)を持たせて運用する方法である。尚、本方法では、LBTのような事前確認が行われることなくデータ送信が行われる。
【0024】
アンライセンスバンドを用いて無線通信を行う無線通信装置は、使用される国又は地域の法律によって、データの送信前に上記のLBTを実施すること、又は、上記のDCの制限に従った運用をすることが求められる場合がある。
【0025】
ところで、データの送信前に上記のLBTを実施する無線通信装置は、データの送信前にデータの送信に使用するチャネルが空きチャネルか否かを確認している。このため、例えば、他の無線局が高頻度(例えば、数分~数時間に1回程度の頻度)でデータ送信を行っていて、他の無線局と干渉する可能性が高い状況においても、空きチャネルを用いて確実な無線通信が可能である。
【0026】
しかしながら、データの送信前に上記のLBTを実施する無線通信装置では、例えば、他の無線局が低頻度(例えば、数時間~1日に1回程度の頻度)でデータ送信を行っていて、他の無線局と干渉する可能性が低い状況においても、データの送信前に上記のLBTが実施される。このため、不要な電力消費が発生して、電池寿命が短くなる要因になってしまう。
【0027】
一方、上述のDCの制限に従って運用されている無線通信装置では、通信頻度に拘わらず上記のLBTは行われない。このため、低頻度で無線通信を行う状況においては、不要な電力消費が発生しないことから、データの送信前に上記のLBTを実施する無線通信装置に比べて、電池寿命を延ばすことができる。
【0028】
しかしながら、上述のDCの制限に従って運用されている無線通信装置では、上記のLBTが行われないことから、高頻度で無線通信を行う状況においては、他の無線局との電波干渉によるデータ通信ロスが発生しやすくなる。すると、再送処理が頻繁に行われることになり、電力が無駄に消費されて電池寿命が短くなってしまう。また、低データレートでのデータ送信を行う場合や、データサイズが大きなデータの送信を行う場合には送信時間が長くなるが、DCの規制によって、本来行いたい頻度でのデータ送信を行えないことが考えられる。また、データ送信を行うことができた場合であっても、送信時間が長いため、電力消費が増加して電池寿命が短くなる要因になってしまう。
【0029】
本発明の実施形態では、アンライセンスバンドを用いて無線通信を行う場合において、データの送信に使用するチャネルの空き状況の事前確認を行ってからデータを送信させる第1動作モードと、事前確認を行うことなくデータを送信させる第2動作モードとの切り替え制御を行う。具体的には、データ送信周期、通信データレート、及びエラーレートの少なくとも1つに応じて、第1動作モードと第2動作モードとの切り替え制御を行う。これにより、高頻度で無線通信が行われる場合の通信ロスが抑制されるととともに、再送処理が減って(或いは、再送処理が無くなって)不要な電力消費を抑えることができる。そして、低頻度で無線通信が行われる場合の不要な電力消費を抑えることができることから、通信頻度に拘わらず従来よりも電力消費を抑えることができる。
【0030】
〔第1実施形態〕
〈データ収集システム〉
図1は、本発明の第1実施形態による無線通信装置が用いられるデータ収集システムの全体構成を示す図である。図1に示す通り、データ収集システム1は、無線センサ10(無線通信装置)、ゲートウェイ20、及びサーバ30を備えており、無線センサ10から無線信号で送信される各種のデータを、ゲートウェイ20を介してサーバ30に収集するものである。
【0031】
無線センサ10は、測定対象設備FCに設置され、各種物理量(例えば、温度、湿度、圧力、振動、磁気、腐食等)を測定する。無線センサ10は、無線ネットワークN1を介してゲートウェイ20に接続されている。無線センサ10は、各種物理量の測定結果を、無線ネットワークN1を介してゲートウェイ20に送信する。無線ネットワークN1は、例えば低消費電力長距離無線通信が可能な通信路(LPWAN:Low Power Wide Area Network)である。無線センサ10は、端末装置TM(外部機器)との間で近距離無線通信を行うことも可能である。無線センサ10の詳細については後述する。
【0032】
尚、無線センサ10が設置される測定対象設備FCは、例えばプラントに設置された任意の設備(機器、装置を含む)であって良い。上記のプラントとしては、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等であって良い。
【0033】
ゲートウェイ20は、無線ネットワークN1とネットワークN2とを接続し、無線ネットワークN1を介して送受信される各種データと、ネットワークN2を介して送受信される各種データの中継を行う。このゲートウェイ20を設けることで、セキュリティを維持しつつ、無線ネットワークN1とネットワークN2とを相互に接続することができる。ゲートウェイ20は、無線センサ10から送信される無線信号を受信することが可能な任意の場所に設置される。ゲートウェイ20の設置場所は、プラントの内部であっても良く、プラントの外部であっても良い。
【0034】
サーバ30は、ゲートウェイ20を介して送信されてくる無線センサ10からのデータを収集して蓄積する。サーバ30は、蓄積したデータを解析して測定対象設備FCの異常の兆候を捉えるようにしても良い。サーバ30は、ネットワークN2を介してゲートウェイ20に接続されている。ネットワークN2は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)であっても良く、プラント等に敷設されたLAN(Local Area Network)であっても良い。
【0035】
〈無線通信装置〉
図2は、本発明の第1実施形態による無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態による無線通信装置としての無線センサ10は、センサ部11、記憶部12、無線通信部13(第1無線通信部)、無線通信部14(第2無線通信部)、制御部15、電源部16、及びアンテナAT1,AT2を備える。無線センサ10は、上述した各種物理量の測定及び測定結果の送信を、予め設定された一定の周期で行う。
【0036】
センサ部11は、上述した各種物理量を検出するセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、振動センサ、磁気センサ、腐食センサ等)と、センサの検出結果をサンプリングするサンプリング回路とを備える。センサ部11は、制御部15の制御の下で、各種物理量の検出及びサンプリングを行う。サンプリング回路によってサンプリングされたサンプリングデータは、センサデータとしてセンサ部11から制御部15に出力される。
【0037】
記憶部12は、無線センサ10で使用される各種データを記憶する。例えば、記憶部12は、無線センサ10の動作を規定する設定データCDを記憶する。尚、記憶部12は、センサ部11から制御部15に出力されたセンサデータを記憶しても良い。記憶部12は、例えば、揮発性又は不揮発性のメモリによって実現される。尚、設定データCDの詳細については後述する。
【0038】
無線通信部13は、制御部15の制御の下で、無線ネットワークN1を介した無線通信を行う。無線通信部13が無線ネットワークN1を介して行う無線通信は、無線局免許を必要としない周波数帯(アンライセンスバンド)を用いた無線通信である。無線通信部13は、例えば、前述した低消費電力長距離無線通信の一種であるLoRa(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を行う。アンテナAT1は、無線通信部13に接続される。このアンテナAT1としては、例えばチップアンテナ素子を用いることができる。尚、無線通信部13が、送信データの経路と受信データの経路とが異なるように設計されている場合には、無線通信部13とアンテナAT1との間に経路を切り替えるためのスイッチを備えても良い。
【0039】
無線通信部14は、外部機器である端末装置TMと近距離無線通信を行う。無線通信部14が行う近距離無線通信は、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等であって良い。また、無線通信部14が行う近距離無線通信は、赤外線通信であっても良い。無線通信部14は、端末装置TMと近距離無線通信を行って、無線センサ10の動作を規定する設定データCDを取得する。アンテナAT2は、無線通信部14に接続される。このアンテナAT2としては、例えばループアンテナを用いることができる。尚、無線通信部14が、送信データの経路と受信データの経路とが異なるように設計されている場合には、無線通信部14とアンテナAT2との間に経路を切り替えるためのスイッチを備えても良い。
【0040】
制御部15は、無線センサ10の各部(センサ部11、記憶部12、無線通信部13、無線通信部14、及び電源部16)を制御することによって、無線センサ10を統括して制御する。例えば、制御部15は、予め設定された一定の周期で、センサ部11を制御して各種物理量を検出させ、得られるセンサデータに対して所定の処理を行って各種物理量を求め、無線通信部13を制御して各種物理量を示すデータを送信させる。
【0041】
ここで、制御部15は、無線通信部13を制御してデータを送信させる際に、データの送信に使用するチャネルの空き状況の事前確認(LBT)を行ってから無線通信部13にデータを送信させる動作モード(LBT有モード:第1動作モード)と、上記の事前確認(LBT)を行うことなく無線通信部13にデータを送信させる動作モード(LBT無モード)との切り替え制御を行う。制御部15が、このような動作モードの切り替え制御を行うのは、通信頻度に拘わらず従来よりも電力消費を抑えるためである。例えば、LBT無モードの場合には、DCによる方法で送信させる場合がある。
【0042】
制御部15は、データ送信周期に応じて、上記の動作モードの切り替え制御を行う。具体的に、制御部15は、データ送信周期が、予め設定された第1閾値(例えば、180[分])以下である場合には、LBT有モードにする制御を行う。このような制御を行うのは、高頻度で無線通信が行われる場合の通信ロスを抑制することで、再送処理が頻繁に行われることによる無駄な電力消費を抑えるためである。尚、第1閾値は、前述したDCの規制を考慮して設定される。
【0043】
制御部15は、記憶部12に記憶された設定データCDに基づいて上述した動作モードの切り替え制御を行う。具体的に、制御部15は、設定データCDとして記憶部12に記憶された図3に示すテーブルTB1(第1テーブル)を用いて上述した動作モードの切り替え制御を行う。図3は、本発明の第1実施形態において、動作モードの切り替え制御に用いられるテーブルを示す図である。尚、図3に示すテーブルTB1は、端末装置TMで作成され、無線通信部14と端末装置TMとの間で近距離無線通信が行われることによって無線通信部14で取得されて記憶部12に設定データCDとして記憶される。
【0044】
テーブルTB1は、LBT有モードを実行することが可能なデータ送信周期(第1データ送信周期)と、LBT無モードを実行することが可能なデータ送信周期(第2データ送信周期)と、が規定されたテーブルである。図3に示す例では、LBT有モードを実行することが可能(設定可能)なデータ送信周期として、1[分]~4320[分]が規定されており、LBT無モードを実行することが可能(設定可能)なデータ送信周期として、240[分]~4320[分]が規定されている。
【0045】
具体的に、LBT有モードを実行することが可能(設定可能)なデータ送信周期として、1[分],10[分],30[分],60[分],120[分],180[分],240[分],300[分],360[分],720[分],1080[分],1440[分](1日),2880[分](2日),4320[分](3日)が規定されている。LBT無モードを実行することが可能(設定可能)なデータ送信周期として、240[分],300[分],360[分],720[分],1080[分],1440[分](1日),2880[分](2日),4320[分](3日)が規定されている。
【0046】
図3に示す例では、データ送信周期が1[分]~180[分]である場合には、LBT無モードを実行することが不可(設定不可)とされている。つまり、図3に示す例では、上述した第1閾値が180[分]に設定されている。LBT有モードを実行することが可能なデータ送信周期には、第1閾値以下のデータ送信周期(1[分]~180[分])と、第1閾値よりも大であるデータ送信周期(240[分]~4320[分])とが設定可能である。
【0047】
これに対し、LBT無モードを実行することが可能なデータ送信周期には、第1閾値よりも大であるデータ送信周期(240[分]~4320[分])のみが設定可能である。このようにすることで、データ送信周期が180[分]以下である場合(1[分]~180[分]である場合)には、LBT有モードが実行されるようにしている。
【0048】
ここで、データ送信周期が180[分]よりも大である場合(240[分]~4320[分]である場合)には、LBT有モード及びLBT無モードの双方を実行することが可能である。このため、データ送信周期が180[分]よりも大である場合には、制御部15は、テーブルTB1の設定内容に応じて動作モードの切り替え制御を行うこととなる。例えば、データ送信周期が180[分]よりも大である場合にはLBT無モードのみが実行されるようにテーブルTB1を設定することが望ましい。このように設定することで、低頻度で無線通信が行われる場合には、LBTが実施されなくなり、LBTが実施されることによる不要な電力消費を抑えることができる。
【0049】
電源部16は、電池BTを備えており、制御部15の制御の下で、無線センサ10の各部(センサ部11、記憶部12、無線通信部13、無線通信部14、及び制御部15)に対する電力供給を行う。電源部16は、電池BTを交換可能に構成されている。電池BTとしては、例えば、塩化チオニルリチウム電池等の自己放電が極めて少ない一次電池や二次電池、燃料電池等を用いることができる。
【0050】
電源部16は、制御部15から省電力動作を指示する制御信号が出力された場合には、電池BTの消費を抑えるために、例えば制御部15以外(センサ部11、記憶部12、無線通信部13、及び無線通信部14)に対する電力供給を停止する。電源部16は、制御部15から省電力動作の解除を指示する制御信号が出力された場合には、例えば制御部15以外(センサ部11、記憶部12、無線通信部13、及び無線通信部14)に対する電力供給を再開する。
【0051】
〈無線通信装置の動作〉
図4は、本発明の第1実施形態による無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。尚、図4に示すフローチャートは、データ送信時の動作のみを抜き出して示したものである。図4に示すフローチャートは、予め設定された一定の周期で繰り返し行われる。
【0052】
図4に示すフローチャートの処理が開始されると、まず記憶部12に設定データCDとして記憶されたテーブルTB1を読み出す処理が制御部15によって行われる(ステップS11)。次に、テーブルTB1の設定内容に従って動作モードを設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS12)。例えば、データ送信周期が第1閾値以下である場合(1[分]~180[分]である場合)には、図3に示すテーブルTB1の設定内容に従ってLBT有モードに設定する処理が制御部15によって行われる。
【0053】
尚、データ送信周期が第1閾値よりも大である場合(240[分]~4320[分]である場合)には、テーブルTB1の設定内容に従ってLBT有モード及びLBT無モードの何れか一方に設定する処理が制御部15によって行われる。例えば、図3に示すテーブルTB1において、第1閾値よりも大であるデータ送信周期(240[分]~4320[分])が、LBT有モードを実行することが可能なデータ送信周期として設定されておらず、LBT無モードを実行することが可能なデータ送信周期として設定されている場合には、LBT無モードに設定する処理が制御部15によって行われる。
【0054】
以上の設定が終了すると、制御部15によって無線通信部13が制御されて、データの送信処理が実施される(ステップS13)。具体的に、ステップS12の処理でLBT有モードが設定された場合には、LBTを行ってからデータを送信する処理が行われる。これに対し、ステップS12の処理でLBT無モードが設定された場合には、LBTを行うことなくデータを送信する処理が行われる。
【0055】
〈変形例〉
次に、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。本変形例は、図3に示すテーブルTB1を設定データCDとして記憶部12に記憶する代わりに、上述した第1閾値(180[分])を設定データCDとして記憶部12に記憶したものである。そして、データ送信周期と第1閾値との比較結果に基づいて、動作モードの切り替え制御を行うようにしたものである。
【0056】
図5は、本発明の第1実施形態の変形例における動作の一例を示すフローチャートである。図6は、本発明の第1実施形態の変形例において設定される動作モードを示す図である。尚、図5に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートと同様に、データ送信時の動作のみを抜き出して示したものであり、予め設定された一定の周期で繰り返し行われる。
【0057】
図5に示すフローチャートの処理が開始されると、まずデータ送信周期が第1閾値以下であるか否かを判断する処理が制御部15によって行われる(ステップS21)。データ送信周期が第1閾値以下であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、LBT有モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS22)。つまり、データ送信周期が1[分]~180[分]である場合には、図6に示す通り、LBT有モードに設定される。
【0058】
これに対し、データ送信周期が第1閾値よりも大であると判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、LBT無モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS23)。つまり、データ送信周期が240[分]~4320[分]である場合には、図6に示す通り、LBT無モードに設定される。
【0059】
以上の設定が終了すると、制御部15によって無線通信部13が制御されて、データの送信処理が実施される(ステップS24)。具体的に、ステップS22の処理でLBT有モードが設定された場合には、LBTを行ってからデータを送信する処理が行われる。これに対し、ステップS23の処理でLBT無モードが設定された場合には、LBTを行うことなくデータを送信する処理が行われる。
【0060】
以上の通り、本実施形態では、アンライセンスバンドを用いて無線通信を行う場合において、データ送信周期とテーブルTB1の設定内容とに基づいて(或いは、データ送信周期と第1閾値との比較結果に基づいて)、LBT有モードとLBT無モードとの切り替え制御を行うようにしている。これにより、例えば、高頻度で無線通信が行われる場合にはLBTが実施されるようにして、再送処理が頻繁に行われることによる無駄な電力消費を抑えることができる。また、低頻度で無線通信が行われる場合にはLBTが実施されないようにして、LBTが実施されることによる不要な電力消費を抑えることができる。その結果として、従来よりも消費電力を抑えることができ、電池BTの寿命(電池寿命)を延ばすことができる。
【0061】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態の無線通信装置としての無線センサ10は、データ送信周期に応じて動作モードの切り替え制御を行うものであった。これに対し、本実施形態の無線通信装置としての無線センサは、通信データレートに応じて動作モードの切り替え制御を行うものである。
【0062】
尚、本実施形態の無線センサは、第1実施形態の無線センサ10とは、通信データレートに応じて動作モードの切り替え制御を行う点において相違するのみであり、図2に示す第1実施形態の無線センサ10と同様の構成である。また、本実施形態における無線センサは、図1に示す無線センサ10と同様に、データ収集システム1で用いることが可能である。
【0063】
本実施形態の無線センサが備える制御部15は、通信データレートが、予め設定された第2閾値(例えば、1760[bps])以下である場合には、LBT有モードにする制御を行う。このような制御を行うのは、高頻度で無線通信が行われる場合の通信ロスを抑制することで、再送処理が頻繁に行われることによる無駄な電力消費を抑えるためである。ここで、本実施形態では、通信データレートが小さくなる(例えば、第2閾値以下になる)と、データの送信時間が長くなり、所定時間に占める送信時間の割合が増加するため、高頻度で無線通信が行われることになる。尚、第2閾値は、第1閾値と同様に、前述したDCの規制を考慮して設定される。
【0064】
図7は、本発明の第2実施形態において、動作モードの切り替え制御に用いられるテーブルを示す図である。尚、図7に示すテーブルTB2は、図3に示すテーブルTB1と同様に、端末装置TMで作成され、無線通信部14と端末装置TMとの間で近距離無線通信が行われることによって無線通信部14で取得されて記憶部12に設定データCDとして記憶される。
【0065】
テーブルTB2は、LBT有モードを実行することが可能な通信データレート(第1通信データレート)と、LBT無モードを実行することが可能な通信データレート(第2通信データレート)と、が規定されたテーブルである。図7に示す例では、LBT有モードを実行することが可能(設定可能)な通信データレートとして、250[bps]~50000[bps]が規定されており、LBT無モードを実行することが可能(設定可能)な通信データレートとして、3125[bps]~50000[bps]が規定されている。
【0066】
具体的に、LBT有モードを実行することが可能(設定可能)な通信データレートとして、250[bps],440[bps],980[bps],1760[bps],3125[bps],5470[bps],11000[bps],50000[bps]が規定されている。LBT無モードを実行することが可能(設定可能)な通信データレートとして、3125[bps],5470[bps],11000[bps],50000[bps]が規定されている。
【0067】
図7に示す例では、通信データレートが250[bps]~1760[bps]である場合には、LBT無モードを実行することが不可(設定不可)とされている。つまり、図7に示す例では、上述した第2閾値が1760[bps]に設定されている。LBT有モードを実行することが可能な通信データレートには、第2閾値以下の通信データレート(250[bps]~1760[bps])と、第2閾値よりも大である通信データレート(3125[bps]~50000[bps])とが設定可能である。
【0068】
これに対し、LBT無モードを実行することが可能な通信データレートには、第2閾値よりも大である通信データレート(3125[bps]~50000[bps])のみが設定可能である。このようにすることで、通信データレートが1760[bps]以下である場合(250[bps]~1760[bps]である場合)には、LBT有モードが実行されるようにしている。
【0069】
ここで、通信データレートが1760[bps]よりも大である場合(3125[bps]~50000[bps]である場合)には、LBT有モード及びLBT無モードの双方を実行することが可能である。このため、通信データレートが1760[bps]よりも大である場合には、制御部15は、テーブルTB2の設定内容に応じて動作モードの切り替え制御を行うこととなる。例えば、通信データレートが1760[bps]よりも大である場合にはLBT無モードのみが実行されるようにテーブルTB2を設定することが望ましい。
【0070】
このように設定することで、低頻度で無線通信が行われる場合には、LBTが実施されなくなり、LBTが実施されることによる不要な電力消費を抑えることができる。ここで、本実施形態では、通信データレートが大きくなる(例えば、第2閾値よりも大になる)と、データの送信時間が短くなり、所定時間に占める送信時間の割合が減少するため、低頻度で無線通信が行われることになる。
【0071】
本実施形態の無線センサにおいて、データ送信時には、図4に示すフローチャートの処理と同様の処理が行われる。本実施形態における無線センサのデータ送信時の動作を示すフローチャートは、図4中の「テーブルTB1」を「テーブルTB2」と読み替えたものである。つまり、本実施形態では、まず、記憶部12に設定データCDとして記憶されたテーブルTB2を読み出す処理が制御部15によって行われる(ステップS11)。次に、テーブルTB2の設定内容に従って動作モードを設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS12)。そして、制御部15によって無線通信部13が制御されて、データの送信処理が実施される(ステップS13)。
【0072】
〈変形例〉
本実施形態においても、第1実施形態と同様の変形例が可能である。つまり、図7に示すテーブルTB2を設定データCDとして記憶部12に記憶する代わりに、上述した第2閾値(1760[bps])を設定データCDとして記憶部12に記憶することが可能である。本変形例では、図5に示すフローチャートの処理と同様の処理が行われる。本変形例における無線センサのデータ送信時の動作を示すフローチャートは、図5中のステップS21における「データ送信周期が第1閾値以下?」を、「通信データレートが第2閾値以下?」と読み替えたものである。
【0073】
つまり、本変形例では、まず、通信データレートが第2閾値以下であるか否かを判断する処理が制御部15によって行われる(ステップS21)。通信データレートが第2閾値以下であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、LBT有モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS22)。つまり、通信データレートが250[bps]~1760[bps]である場合には、図8に示す通り、LBT有モードに設定される。図8は、本発明の第2実施形態の変形例において設定される動作モードを示す図である。
【0074】
これに対し、通信データレートが第2閾値よりも大であると判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、LBT無モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS23)。つまり、通信データレートが3125[bps]~50000[bps]である場合には、図8に示す通り、LBT無モードに設定される。
【0075】
以上の設定が終了すると、制御部15によって無線通信部13が制御されて、データの送信処理が実施される(ステップS24)。具体的に、ステップS22の処理でLBT有モードが設定された場合には、LBTを行ってからデータを送信する処理が行われる。これに対し、ステップS23の処理でLBT無モードが設定された場合には、LBTを行うことなくデータを送信する処理が行われる。
【0076】
以上の通り、本実施形態では、アンライセンスバンドを用いて無線通信を行う場合において、通信データレートとテーブルTB2の設定内容とに基づいて(或いは、通信データレートと第2閾値との比較結果に基づいて)、LBT有モードとLBT無モードとの切り替え制御を行うようにしている。これにより、第1実施形態と同様に、従来よりも消費電力を抑えることができ、電池BTの寿命(電池寿命)を延ばすことができる。
【0077】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した第1実施形態の無線通信装置としての無線センサ10は、データ送信周期に応じて動作モードの切り替え制御を行うものであった。これに対し、本実施形態の無線通信装置としての無線センサは、パケットエラーレート(PER:Packet Error Rate)に応じて動作モードの切り替え制御を行うものである。
【0078】
尚、本実施形態の無線センサは、第1実施形態の無線センサ10とは、パケットエラーレートに応じて動作モードの切り替え制御を行う点において相違するのみであり、図2に示す第1実施形態の無線センサ10と同様の構成である。また、本実施形態における無線センサは、図1に示す無線センサ10と同様に、データ収集システム1で用いることが可能である。
【0079】
本実施形態の無線センサが備える制御部15は、パケットエラーレートが、予め設定された第3閾値(例えば、10[%])よりも大である場合には、LBT有モードにする制御を行う。このような制御を行うのは、通信環境が良好とは言えず、他の無線局との電波干渉しやすい状況における通信ロスを抑制することで、再送処理が頻繁に行われることによる無駄な電力消費を抑えるためである。
【0080】
本実施形態では、上述した第3閾値(10[%])が設定データCDとして記憶部12に記憶される。本実施形態では、パケットエラーレートを算出する処理が行われた後に、図5に示すフローチャートの処理と同様の処理が行われる。本実施形態における無線センサのデータ送信時の動作を示すフローチャートは、図5中のステップS21における「データ送信周期が第1閾値以下?」を、「パケットエラーレートが第3閾値よりも大?」と読み替えたものである。
【0081】
本実施形態では、まず、制御部15によって無線通信部13が制御され、パケットエラーを算出するために必要な一定期間の間、無線通信部13とゲートウェイ20との間で通信が行われる。そして、その通信結果に基づいて、パケットエラーを算出する処理が制御部15で行われる。
【0082】
以上の処理が終了すると、パケットエラーレートが第3閾値よりも大であるか否かを判断する処理が制御部15によって行われる(ステップS21)。パケットエラーレートが第3閾値よりも大であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、図9に示す通り、LBT有モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS22)。図9は、本発明の第3実施形態において設定される動作モードを示す図である。
【0083】
これに対し、パケットエラーレートが第3閾値以下であると判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、図9に示す通り、LBT無モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS23)。このような制御を行うのは、通信環境が良好であり、電波干渉が生じにくく通信ロスも少ない(或いは、殆ど無い)ため、再送処理が少ない(或いは、殆ど無い)と考えられるためである。LBT無モードでは、LBTが実施されないため、不要な電力消費を抑えることができる。
【0084】
以上の設定が終了すると、制御部15によって無線通信部13が制御されて、データの送信処理が実施される(ステップS24)。具体的に、ステップS22の処理でLBT有モードが設定された場合には、LBTを行ってからデータを送信する処理が行われる。これに対し、ステップS23の処理でLBT無モードが設定された場合には、LBTを行うことなくデータを送信する処理が行われる。
【0085】
以上の通り、本実施形態では、アンライセンスバンドを用いて無線通信を行う場合において、パケットエラーレートと第3閾値との比較結果に基づいて、LBT有モードとLBT無モードとの切り替え制御を行うようにしている。これにより、第1実施形態と同様に、従来よりも消費電力を抑えることができ、電池BTの寿命(電池寿命)を延ばすことができる。
【0086】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、前述した第1実施形態の変形例と第3実施形態とを組み合わせたものである。図10は、本発明の第4実施形態における動作の一例を示すフローチャートである。尚、図10に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートと同様に、データ送信時の動作のみを抜き出して示したものであり、予め設定された一定の周期で繰り返し行われる。
【0087】
図10に示すフローチャートの処理が開始されると、まずデータ送信周期が第1閾値以下であるか否かを判断する処理が制御部15によって行われる(ステップS21)。データ送信周期が第1閾値以下であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、LBT有モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS22)。
【0088】
これに対し、データ送信周期が第1閾値よりも大であると判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、パケットエラーレートが第3閾値よりも大であるか否かを判断する処理が制御部15によって行われる(ステップS31)。パケットエラーレートが第3閾値よりも大であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、LBT有モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS22)。これに対し、パケットエラーレートが第3閾値以下であると判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、LBT無モードに設定する処理が制御部15によって行われる(ステップS23)。
【0089】
以上の設定が終了すると、制御部15によって無線通信部13が制御されて、データの送信処理が実施される(ステップS24)。具体的に、ステップS22の処理でLBT有モードが設定された場合には、LBTを行ってからデータを送信する処理が行われる。これに対し、ステップS23の処理でLBT無モードが設定された場合には、LBTを行うことなくデータを送信する処理が行われる。
【0090】
以上の通り、本実施形態では、アンライセンスバンドを用いて無線通信を行う場合において、データ送信周期と第1閾値との比較結果と、パケットエラーレートと第3閾値との比較結果とに基づいて、LBT有モードとLBT無モードとの切り替え制御を行うようにしている。これにより、通信頻度及び通信環境を考慮しつつ、LBT有モードとLBT無モードとの切り替え制御が行われることから、従来よりも消費電力を抑えることができ、電池BTの寿命(電池寿命)を延ばすことができる。
【0091】
本実施形態において、パケットエラーレートが、第3閾値に近い値である場合には、LBT有モードとLBT無モードとの切り替えが頻繁に行われることが考えられる。このため、LBT有モードとLBT無モードとの切り替えが頻繁に行われないような対策を施すことが望ましい。例えば、パケットエラーレートが第3閾値(10[%])よりも大になった場合(ステップS31の判断結果が「YES」になった場合)には、パケットエラーレートが所定値(例えば、8[%])よりも小になるまで、LBT有モードとLBT無モードとの切り替えを行わないといった対策が考えられる。つまり、第3閾値にヒステリシス(例えば、[2%])を持たせるといった対策が考えられる。
【0092】
以上、本発明の実施形態による無線通信装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した第4実施形態は、第1実施形態の変形例と第3実施形態とを組み合わせたものであったが、第2実施形態の変形例と第3実施形態とを組み合わせることも可能である。この組み合わせにおける動作を示すフローチャートは、図10中のステップS21における「データ送信周期が第1閾値以下?」を、「通信データレートが第2閾値以下?」と読み替えたものになる。
【0093】
また、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせることも可能である。この組み合わせにおける動作を示すフローチャートは、図10中のステップS31における「PERが第3閾値よりも大?」を、「通信データレートが第2閾値以下?」と読み替えたものになる。更に、第1~第3実施形態を組み合わせることも可能である。この組み合わせにおける動作を示すフローチャートは、図10中のステップS21とステップS31との間に、「通信データレートが第2閾値以下?」という判断ステップを設け、この判断ステップの判断結果が「YES」の場合にはステップS22に移行し、「NO」の場合にはステップS31に移行するものとなる。
【0094】
尚、上述した実施形態において、無線通信装置は、消費電力を抑えることができ、また、通信ロスの発生を抑えることができ、また、消費電力と通信ロスの発生とを抑えることができる。
【0095】
また、上述した実施形態では、無線センサ10の無線通信部13が、低消費電力長距離無線通信の一種であるLoRa(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を行う例について説明した。しかしながら、無線通信部13は、例えばISA100.11aやWirelessHART(登録商標)等のアンライセンスバンドを使用した他の無線通信規格を用いて無線通信を行うものであっても良い。
【0096】
更に、第1実施形態で用いられるテーブルTB1に設定可能なデータ送信周期は、図3に示されるものに制限される訳ではなく、任意のデータ送信周期を設定することが可能である。また、第2実施形態で用いられるテーブルTB2に設定可能な通信データレートは、図7に示されるものに制限される訳ではなく、任意の通信データレートを設定することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 無線センサ
12 記憶部
13 無線通信部
14 無線通信部
15 制御部
BT 電池
CD 設定情報
TB1 テーブル
TB2 テーブル
TM 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10