(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】動力工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20230613BHJP
B24B 55/10 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B24B55/10
(21)【出願番号】P 2019111125
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】畠山 健太郎
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-036260(JP,A)
【文献】国際公開第2017/102126(WO,A1)
【文献】特開2019-042891(JP,A)
【文献】特開2019-059010(JP,A)
【文献】特開2016-007680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0328573(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0323593(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0326337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
B24B 23/00 - 23/08
B24B 55/10
B25D 17/00
B23B 45/00
B23D 33/00
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを収容するハウジングと、
前記モータによって回転するファンと、
前記ハウジングに設けられる吸気口と、
前記吸気口を覆うように前記ハウジングに取り付けられるフィルタ部材と、を有し、
前記フィルタ部材は、取付け方向の一端に
設けられ前記ハウジングと係合可能な係合部
と、取外し方向に突出する2つの突出部と、を含み、
前記2つの突出部に対し、前記取り外し方向と交差する方向であって、かつ互いに反対方向となる押圧力を加えることで、前記係合部と前記ハウジングとの係合を解除すること又は弱めることが可能である、動力工具。
【請求項2】
前記係合
部は2つあり、前記2つの突出部に互いに反対方向の押圧力を加えることで、前記2つの係合部と前記ハウジングとの係合を解除すること又は弱めることが可能である、請求項
1に記載の動力工具。
【請求項3】
2つの前記突出部を相互に近接させるように前記突出部に押圧力を加えることで、前記係合部と前記ハウジングとの係合を解除すること又は弱めることが可能である、請求項1または2に記載の動力工具。
【請求項4】
前記係合部は、前記ハウジングの凹部又は穴部に係合可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の動力工具。
【請求項5】
前記フィルタ部材は、前記取り外し方向における前記ハウジングの端部よりも前記取り外し方向側へ延びる延在部を有し、
前記フィルタ部材には、前記吸気口と同方向に臨む第1フィルタ部と、前記吸気口とは異なる方向に臨む第2フィルタ部と、が設けられ、前記第2フィルタ部は前記延在部に設けられる、請求項1又は2に記載の動力工具。
【請求項6】
前記吸気口は後方に臨み、前記第2フィルタ部は少なくとも上方を向いている、請求項5に記載の動力工具。
【請求項7】
前記延在部と前記ハウジングの外面との間に空間が形成され、当該空間を前記第1及び第2フィルタ部から入った空気が通る、請求項5又は6に記載の動力工具。
【請求項8】
前記フィルタ部材は、筒状部を有し、
前記第2フィルタ部は、前記筒状部の周面に設けられる、請求項5から7のいずれか一項に記載の動力工具。
【請求項9】
前記フィルタ部材は、前記吸気口を覆う覆い部を有し、
前記係合部は、前記覆い部の前記取付け方向側に設けられ、
前記2つの突出部は、前記覆い部から前記取り外し方向に突出する、請求項1から8のいずれか一項に記載の動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気口を覆うフィルタ部材を有する動力工具に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用電気グラインダー等の動力工具では、ハウジング内に塵埃が進入するのを抑制するため、吸気口部に網状のフィルタを設けることが知られている。下記特許文献1では、風窓を覆うフィルタ付きのカバーをネジによってハウジングに着脱可能に固定する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネジ等によってフィルタを固定する場合には、専用の工具を用いなければならず、面倒であった。一方で、フィルタ自体に爪等の係合形状を設けることで工具を用いずに着脱を可能とする構成が考えられるが、フィルタ部材は薄く軽量に作られるものなので、係合用の爪自体も薄く作られ、着脱方法によってはフィルタ部材が破損、変形する恐れがある。また、薄く作られた係合用の爪自体を操作するように構成した場合、爪自体に係る負荷も大きくなる上、係合解除の操作が困難になる恐れもある。また別の課題として、フィルタは動力工具に設けられる吸気口の開口よりも小さい目のメッシュ(網)部材を用いているが、これによって動力工具が吸入できる空気の量が低減し、動力工具の冷却性能が下がってしまう恐れがある。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、破損や変形が抑制されたフィルタ部材を有する動力工具を提供することにある。また本発明の別の目的は、冷却性能の低下を抑制するフィルタ部材を有する動力工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、動力工具である。この動力工具は、
モータと、
前記モータを収容するハウジングと、
前記モータによって回転するファンと、
前記ハウジングに設けられる吸気口と、
前記吸気口を覆うように前記ハウジングに取り付けられるフィルタ部材と、を有し、
前記フィルタ部材は、取付け方向の一端に設けられ前記ハウジングと係合可能な係合部と、取外し方向に突出する2つの突出部と、を含み、
前記2つの突出部に対し、前記取り外し方向と交差する方向であって、かつ互いに反対方向となる押圧力を加えることで、前記係合部と前記ハウジングとの係合を解除すること又は弱めることが可能である。
【0008】
前記係合部は2つあり、前記2つの突出部に互いに反対方向の押圧力を加えることで、前記2つの係合部と前記ハウジングとの係合を解除すること又は弱めることが可能であってもよい。
2つの前記突出部を相互に近接させるように前記突出部に押圧力を加えることで、前記係合部と前記ハウジングとの係合を解除すること又は弱めることが可能であってもよい。
【0009】
前記係合部は、前記ハウジングの凹部又は穴部に係合可能であってもよい。
【0010】
前記フィルタ部材は、前記取り外し方向における前記ハウジングの端部よりも前記取り外し方向側へ延びる延在部を有し、
前記フィルタ部材には、前記吸気口と同方向に臨む第1フィルタ部と、前記吸気口とは異なる方向に臨む第2フィルタ部と、が設けられ、前記第2フィルタ部は前記延在部に設けられてもよい。
【0011】
前記吸気口は後方に臨み、前記第2フィルタ部は少なくとも上方を向いていてもよい。
【0012】
前記延在部と前記ハウジングの外面との間に空間が形成され、当該空間を前記第1及び第2フィルタ部から入った空気が通ってもよい。
【0013】
前記フィルタ部材は、筒状部を有し、
前記第2フィルタ部は、前記筒状部の周面に設けられてもよい。
【0014】
前記フィルタ部材は、前記吸気口を覆う覆い部を有し、
前記係合部は、前記覆い部の前記取付け方向側に設けられ、
前記2つの突出部は、前記覆い部から前記取り外し方向に突出してもよい。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、破損や変形が抑制されたフィルタ部材を有する動力工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る動力工具1Aの右側面図。
【
図3】動力工具1Aの、フィルタ部材30を取り外した状態の右側面図。
【
図8】動力工具1Aの、フィルタ部材30を取り外した状態の背面図。
【
図9】フィルタ部材30を前方右上から見た斜視図。
【
図10】フィルタ部材30を前方左下から見た斜視図。
【
図11】フィルタ部材30を後方右下から見た斜視図。
【
図12】フィルタ部材30を後方右上から見た斜視図。
【
図17】本発明の実施の形態2に係る動力工具1Bを後方右上から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態は、フィルタ部材30及びそれを着脱可能に取り付けた動力工具1Aに関する。
図1及び
図4により、互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。動力工具1Aは、外部の交流電源からの供給電力で動作するコード付きタイプのグラインダーである。動力工具1Aの外殻(ハウジング)は、モータハウジング2、テールカバー3、及びギヤケース4により形成される。モータハウジング2の後端部にテールカバー3がネジ止め等により固定され、モータハウジング2の前端部にギヤケース4がネジ止め等により固定される。モータハウジング2及びテールカバー3は、例えば樹脂成形体である。ギヤケース4は、例えばアルミ等の金属製である。
【0022】
テールカバー3の後端部からは、外部の交流電源に接続するための電源コード9が延びる。電源コード9の基端部を覆うコードアーマー9aが、テールカバー3の後端部に取り付けられる。
図3及び
図8に示すように、テールカバー3の後端部には、吸気口3aが設けられる。
図1及び
図7に示すように、フィルタ部材30が、吸気口3aを覆うようにテールカバー3に着脱可能に取り付けられる。フィルタ部材30の構成は後述する。
【0023】
モータハウジング2は、一体成型された前後方向に延びる円筒形状等の筒型であり、前端及び後端が開口する。
図2及び
図5に示すように、モータハウジング2は、原動機としてのモータ6を収容すると共に、モータ6の前方に冷却用のファン10を収容する。モータ6の軸方向は、前後方向と平行である。ファン10は、モータ6によって回転する。ファン10は、径方向外方に気流を発生させる遠心ファンであり、ファン10によって発生した気流は、ファン10の周囲に配置されたファンガイド10aによって前方へと整流される。モータ6は、ブラシ付きモータである。モータハウジング2の右側面には、トリガ7がスライド可能に支持される。トリガ7は、モータ6の電流経路に設けられたスイッチ11のオンオフ、すなわちモータ6の駆動、停止を使用者が切り替えるための操作部である。スイッチ11は、テールカバー3の内側においてモータハウジング2に保持される。
【0024】
ギヤケース4の前面には、排気口4aが設けられる。ギヤケース4内には、回転伝達機構としての減速機構5が収容される。減速機構5は、一対のベベルギアを組み合わせたものであり、モータ6の回転を減速すると共に90度変換してスピンドル8に伝達する。スピンドル8の軸方向は、上下方向と平行である。スピンドル8の下端部には回転具(先端工具)としての砥石8aが一体回転可能に設けられる。ホイルガード12は、砥石8aの約半分を覆う。モータ6の回転から砥石8aの回転に至るまでの機械的な構成及び動作は周知なので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0025】
フィルタ部材30は、例えば樹脂成形体であり、テールカバー3に対して、後方から前方に向けて取り付けられ、前方から後方に向けて取り外される。すなわち、フィルタ部材30の取付け方向は前方であり、取外し方向は後方である。フィルタ部材30は、左右一対の係合部31と、筒状部32と、左右一対の突出部(操作部)34と、端面部36と、を有する。係合部31は、フィルタ部材30の前端(取付け方向の一端)に設けられ、テールカバー3と係合可能である。一対の係合部31は、共に爪部あるいは凸部であり、テールカバー3の左右側面に設けられた被係合部としての凹部3bとそれぞれ係合する(凹部3b内に入り込む)ことで、フィルタ部材30をテールカバー3に対して係止する。なお、被係合部は、凹部3bに替えて穴部であってもよい。
【0026】
筒状部32と一対の突出部34は、延在部を構成する。筒状部32は、前後方向を中心軸とする筒状の周面を有する。筒状部32の下部は切り欠き38となり、これにより筒状部32が左右に開きやすくなっている。また、切り欠き38は電源コード9を通すための開口としても機能し、これによってフィルタ部材30の着脱が容易となる。すなわち、切り欠き38は、フィルタ部材30の変形と着脱を容易にする効果を奏する。筒状部32の前端の左右両側部から、一対の係合部31がそれぞれ前方に延びる。筒状部32は、後方(取外し方向)に向けてテールカバー3から離間するように延びる。一対の突出部34は、筒状部32の後端の左右両側部からそれぞれ後方(取外し方向)に向けて突出する(テールカバー3から離間するように延びる)。筒状部32の中心軸周り方向において、突出部34と係合部31の位置は好ましくは互いに略等しい。突出部34は、筒状部32の径方向と略垂直な外面を有する。使用者は、突出部34の外面に前後方向と交差する方向、具体的には筒状部32の径方向内側への押圧力を加えることで、係合部31とテールカバー3の凹部3bとの係合を解除すること又は弱めることが可能であり、その状態でフィルタ部材30をテールカバー3に対して後方に移動させることで、係合部31の破損や変形を抑制しなから、フィルタ部材30をテールカバー3から弱い力で容易に取り外すことができる。このように、突出部34を内側に押圧すると端面部36が撓み、係合部31と突出部34のそれぞれが端面部36(特に右端部または左端部)を中心とするように移動するように構成しているので、突出部34の長さを調整すれば着脱時に必要となる押圧力を調整することができる。突出部34を内側に押圧したときには、係合部31の周囲、特に突出する係合部31の付け根部分に応力がかかりにくい構成にすることができるので、係合部31が変形、破損してしまうことを抑制できる。分割不能なように一体的に作られるフィルタ部材30の一部を押圧することで、同じくフィルタ部材30の一部である係合部31を移動させることができるので、複数部品による複雑な構成とする必要がない。
【0027】
図11及び
図12に示すように、突出部34の内面と端面部36に跨がるように、リブ35が設けられる。リブ35は、突出部34の外面が筒状部32の径方向内側に向けて押圧されたときに、突出部34の湾曲(変形)を抑制して突出部34の破損等を抑制すると共に、係合部31が径方向外側に開きやすくする(凹部3bから出る方向に移動しやすくする)役割を持つ。
【0028】
図11及び
図12に示すように、端面部36は、筒状部32の後端開口を閉じるように設けられる。端面部36には、第1フィルタ部としてのメッシュ37が設けられる(端面部36の一部がメッシュ37となっている)。メッシュ37は、テールカバー3の吸気口と同方向、すなわち後方に臨む。筒状部32の周面には、第2フィルタ部としてのメッシュ33が設けられる(筒状部32の周面の一部がメッシュ33となっている)。メッシュ33は、好ましくは筒状部32の周面の左部、上部、右部にそれぞれ設けられる。メッシュ33は、筒状部32の径方向に臨む。端面部36はテールカバー3の後端部から離間しており、テールカバー3の後方には、テールカバー3の後端部とフィルタ部材30の筒状部32と端面部36とに囲まれた空間が存在する。メッシュ33、37を通過した空気は、当該空間を経由して吸気口3aからテールカバー3の内部に取り込まれる。
【0029】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0030】
(1) フィルタ部材30は突出部34を有し、使用者は、突出部34に筒状部32の径方向内側への押圧力を加えることで、テールカバー3の凹部3bに対する係合部31の係合を解除すること又は弱めることができる。このため、使用者は突出部34に筒状部32の径方向内側への押圧力を加えながらフィルタ部材30をテールカバー3に対して後方に移動させることで、係合部31の破損や変形を抑制しながら、フィルタ部材30をテールカバー3から容易に取り外すことができる。
【0031】
(2) 突出部34は筒状部32の中心軸延長線を挟んで互いに反対側に位置するように2つ設けられるため、使用者は、2つの突出部34をつまむように操作することでテールカバー3の凹部3bに対する係合部31の係合を解除すること又は弱めることができ、操作性が良い。すなわち、フィルタ部材30を掴む(把持する)という動作がそのままフィルタ部材を着脱するための操作となるので、フィルタ部材30の着脱を簡単に行うことができる。
【0032】
(3) テールカバー3の後端部とフィルタ部材30の筒状部32と端面部36とで空間を形成し、当該空間に臨むように、筒状部32にメッシュ33を設け、かつ端面部36にメッシュ37を設けている。このため、メッシュ33、37の合計面積はテールカバー3の吸気口3aの開口の合計面積よりも顕著に大きくなる。このため、メッシュ33、37を設けることによる空気抵抗の増大を抑制し、吸気効率の低下を抑制できる。換言すれば、吸気口3aに対向する部分の他に、追加でメッシュ部分(フィルタ部材30における吸気部分)を設けたので、フィルタ部材30によって吸気可能な空気の量が低減してしまうことを抑制できる。特に本実施の形態では、フィルタ部材30を後方に延ばすことで、追加のメッシュ部分を好適に設けることが可能となる。
【0033】
本実施の形態のフィルタ部材30から突出部34を無くした場合、突出部34の操作はできなくなるが、使用者は後方に延在する筒状部32を持ってフィルタ部材30を操作できるので、係合部31又はその近くに操作力を伝わりにくくすることで係合部31に加わる応力を抑制でき、係合部31の破損、変形を抑制できる。
【0034】
(実施の形態2)
本実施の形態は、フィルタ部材50及びそれを着脱可能に取り付けた動力工具1Bに関する。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。フィルタ部材50は、例えば樹脂成形体であり、テールカバー3に対して、下方から上方に向けて取り付けられ、上方から下方に向けて取り外される。すなわち、フィルタ部材50の取付け方向は上方であり、取外し方向は下方である。フィルタ部材50は、左右一対の係合部51と、上部が切り欠かれた筒状部52と、左右一対の突出部(操作部)54と、を有する。係合部51は、フィルタ部材50の上端(取付け方向の一端)に設けられた爪部あるいは凸部であって、テールカバー3の被係合部(凹部あるいは穴部)と係合可能である。筒状部52は、テールカバー3の上部を除く外周面に接触して、当該外周面に開口する吸気口を覆う。筒状部52の上端部が係合部51となる。筒状部52にメッシュ(フィルタ部)53が設けられる(筒状部の一部がメッシュ53となっている)。筒状部52の下部に、一対の突出部54が設けられる。突出部54は、延在部を構成する。突出部54は、下方(取外し方向)に向けてテールカバー3から離間するように延びる。使用者は、一対の突出部54に互いに近づく方向への押圧力を加えることで、係合部51とテールカバー3との係合を解除すること又は弱めることが可能であり、その状態でフィルタ部材50をテールカバー3に対して下方に移動させることで、係合部51の破損や変形を抑制しながら、フィルタ部材50をテールカバー3から弱い力で容易に取り外すことができる。
【0035】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0036】
本発明の動力工具は、グラインダーに限定されず、ハウジングに吸気口を有する他の種類のものであってもよい。本発明の動力工具は、外部の交流電源からの供給電力で動作するコード付きタイプに限定されず、着脱可能に装着した電池パックの電力で動作するコードレスタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1A、1B 動力工具(グラインダー)、
2 モータハウジング、3 テールカバー、3a 吸気口(風窓)、3b 凹部、4 ギヤケース、4a 排気口、5 減速機構(回転伝達機構)、6 モータ、7 トリガ、8 スピンドル、8a 砥石、9 電源コード、9a コードアーマー、10 ファン、11 スイッチ、12 ホイルガード、
30 フィルタ部材、31 係合部(爪部)、32 筒状部、33 メッシュ(第2フィルタ部)、34 突出部(操作部)、35 リブ、36 端面部、37 メッシュ(第1フィルタ部)、38 切り欠き、
50 フィルタ部材、51 係合部、52 筒状部、53 メッシュ(フィルタ部)、54 突出部(操作部)