(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物、インキセット、及び積層体
(51)【国際特許分類】
C09D 11/101 20140101AFI20230613BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20230613BHJP
B32B 27/38 20060101ALI20230613BHJP
C08G 59/20 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
C09D11/101
G09F3/10 A
B32B27/38
C08G59/20
(21)【出願番号】P 2019128695
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】舞 幹子
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036421(JP,A)
【文献】特開2007-211200(JP,A)
【文献】特開2009-173699(JP,A)
【文献】特開2010-241955(JP,A)
【文献】特表2013-502480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、カチオン重合開始剤、及び、カチオン重合性化合物を含むフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物であって、
前記カチオン重合性化合物が、ビスフェノールA構造を有するエポキシ化合物(A)、脂環式エポキシ化合物(B)((A)となる場合を除く)、及び、オキセタン化合物(C)を含み、
前記エポキシ化合物(A)の含有量が、カラーインキ組成物の総質量に対して、5~20質量%であり、
前記脂環式エポキシ化合物(B)の含有量が、カラーインキ組成物の総質量に対して、10~50質量%であり、
前記オキセタン化合物(C)の含有量が、カラーインキ組成物の総質量に対して、10~30質量%であり、
前記エポキシ化合物(A)の重量平均分子量が、400~2,000であり、
実質的に塩基性化合物を含まないことを特徴とする、フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物。
【請求項2】
前記脂環式エポキシ化合物(B)のエポキシ当量が、110~250で
ある、請求項
1に記載のフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物。
【請求項3】
前記オキセタン化合物(C)が、構造中にオキセタン環を1つ、及び、水酸基を1つ有
することを特徴とする、請求項
1または2に記載のフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物。
【請求項4】
請求項
1~3の何れか1項に記載のフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物と、重合性クリアインキ組成物とを有することを特徴とする、粘着ラベル用重合性インキセット。
【請求項5】
さらに、剥離剤として、カチオン重合性シリコーン組成物を有し、
前記カチオン重合性シリコーン組成物が、カチオン重合開始剤、及び、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサン化合物を含むことを特徴とする、請求項
4に記載の粘着ラベル用重合性インキセット。
【請求項6】
片面に粘着層を有する基材の粘着層とは反対側の面に、請求項
5記載の粘着ラベル用重合性インキセットを、フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物、重合性クリアインキ組成物、カチオン重合性シリコーン組成物の順で積層したことを特徴とする、粘着ラベル用積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着ラベルに使用されるフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物
、該フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物及び重合性クリアインキ組成物を
有する粘着ラベル用インキセット、並びに、該インキセットを用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケットなどでは、携帯用オートラベラーやハンドラベラーによって
、粘着ラベル用紙をラベル1枚ずつ自動送りしながら、タイムセールなどの特売値段を印
字したラベルを、紙器やプラスチックフィルムで包装された商品に貼り付けることが多く
なっている。携帯用オートラベラーやハンドラベラーに使用される粘着ラベル用紙は、上
質紙やコート紙などからなる基材の表面に人目に付くようにインキ層を印刷し、裏面に粘
着(感圧接着)加工を施したものをロール状に巻いたものである。粘着ラベル用紙は、粘
着層(裏面)と表面がスムーズに剥離(接着しないように)するように、粘着面には剥離
紙やプラスチックフィルムなどのセパレーターと呼ばれるものを重ね合わせている。その
ため、ラベルを使用する際に、セパレーターは剥がされて破棄されるため、環境面やコス
ト面からのセパレーターを使用しない方法が検討されてきた。
【0003】
例えば、特公平03-128975には、紫外線硬化性エポキシシリコーン/ポリオール
系の剥離組成物が開示され、ポリオルガノシロキサンを主剤とするシリコーン組成物が、
粘着性物質に対する剥離性を有することから、紙、プラスチックフィルムなどの表面に塗
工し剥離層を設けることで、裏面による粘着が抑えられるのでセパレーターの必要はなく
なる。このような剥離層として用いられるシリコーン組成物としては、熱硬化型と紫外線
硬化型が知られている。紫外線硬化型は、紫外線の照射により瞬時に硬化し、熱硬化型と
比較して省エネルギーであること、設備が安価であることから様々な検討がされてきた。
【0004】
さらに、紫外線硬化型シリコーン組成物は、硬化メカニズムによってラジカル重合型、
ヒドロシリル化反応型、カチオン重合型がある。中でも、カチオン重合型は、ラジカル重
合型のように硬化時の酸素による影響を受けないこと、硬化後の塗膜の収縮が少ないこと
、剥離性能をコントロールしやすいことなどから広く用いられてきた。
【0005】
しかしながら、カチオン重合性紫外線硬化型シリコーン組成物は、基材であるプラスチ
ックフィルムや合成紙などに含まれるアミン化合物や塩基性化合物により、硬化が不十分
となり満足する剥離性能が得られず、基材とカチオン重合性紫外線硬化型シリコーン組成
物との密着性が低下する問題があった。同様に、インキ層の上にカチオン重合性紫外線硬
化型シリコーン組成物を塗工する場合には、インキに含まれる物質の影響を大きく受ける
問題があった。例えば、近年、速乾燥性で高生産であることから使用が増えている顔料を
含んだラジカル重合性硬化型オフセットインキをインキ層に使用した場合、インキの硬化
性向上を目的に添加されているアミン化合物や、また、顔料分散剤として使用されている
塩基性分散剤といった塩基性化合物が、カチオン重合性紫外線硬化型シリコーン組成物の
硬化を妨げるため満足する剥離性能が得られないという課題があった。
【0006】
また、粘着層に含まれる化合物が、剥離層を通してインキ層へ移行することで、経時で
インキ層と基材層との密着性が低下するといった課題もあった。
【0007】
このような課題を解決するために、例えば、特許文献1(特開2002-240203
)には、基材と、カチオン重合性紫外線硬化型シリコーン剥離剤との間に、紫外線硬化型
目止め剤による目止め層を有する剥離基材が開示されている。しかしながら、インキ層に
、アミン化合物や塩基性分散剤といった塩基性化合物を使用したラジカル重合性硬化型イ
ンキを印刷すると、十分な効果が得られないという課題があった。ラジカル重合性硬化型
インキからアミン化合物を除いた場合、カチオン重合性紫外線硬化型シリコーン組成物の
硬化性は向上するが、顔料を5%以上含んだラジカル重合性硬化型インキでは、顔料が紫
外線の透過を妨げるため硬化不良が起こるという課題もあった。さらに、特許文献1では
、粘着層から移行する化合物が引き起こす密着性不良に関しては考慮されていない。
【0008】
また、インキ層に使用されるインキがオフセット印刷用である場合、印刷中にインキの
量、水の量の調整といった煩雑な作業が必要であり生産性に課題があった。そのため、イ
ンキ層は、オフセット印刷と比較して、煩雑な作業が必要なく、印刷コストも比較的安価
であり、紙のような浸透基材からプラスチックフィルムのような非浸透基材まで広範囲の
被記録媒体を用いることができるフレキソ印刷での印刷が求められていた。そして、有機
溶剤や水を取り除く乾燥工程を必要せず生産性が高い、紫外線硬化型フレキソインキが求
められている。
【0009】
紫外線硬化型フレキソインキとしては、例えば、特許文献2(特開2007-2325
6)には、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、又はエポキシ化合物を含有する活
性エネルギー線硬化型フレキソインキが開示されている。しかしながら、塩基性分散剤や
アミン化合物といった塩基性化合物を使用しているため、カチオン重合性紫外線硬化型シ
リコーン組成物の硬化不良を解決できず、さらに、インキの粘度が低すぎてフレキソ印刷
に適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2002-240203号公報
【文献】特開2007-23256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、剥離剤として使用されるカチオン重合性シリコーン
組成物の硬化性を妨げず、粘着ラベルに必要な塗膜物性(密着性、柔軟性)を有し、かつ
フレキソ印刷適性を有するフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ、該フレキソ印刷
用カチオン重合性カラーインキ組成物と重合性クリアインキ組成物との粘着ラベル用イン
キセット、及びそれらを用いた積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すフレキソ印刷用
カチオン重合性紫外線硬化型カラーインキ組成物、該フレキソ印刷用カチオン重合性カラ
ーインキ組成物と重合性クリアインキ組成物との粘着ラベル用インキセットにより、上記
課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、着色剤、カチオン重合開始剤、及び、カチオン重合性化合物を含むフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物であって、
前記カチオン重合性化合物が、ビスフェノールA構造を有するエポキシ化合物(A)、脂環式エポキシ化合物(B)((A)となる場合を除く)、及び、オキセタン化合物(C)を含み、
前記エポキシ化合物(A)の含有量が、カラーインキ組成物の総質量に対して、5~20質量%であり、
前記脂環式エポキシ化合物(B)の含有量が、カラーインキ組成物の総質量に対して、10~50質量%であり、
前記オキセタン化合物(C)の含有量が、カラーインキ組成物の総質量に対して、10~30質量%であり、
前記エポキシ化合物(A)の重量平均分子量が、400~2,000であり、
実質的に塩基性化合物を含まないことを特徴とする、フレキソ印刷用カチオン重合性カ
ラーインキ組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、前記脂環式エポキシ化合物(B)のエポキシ当量が、110~250であることを特徴とする、上記フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、前記オキセタン化合物(C)が、構造中にオキセタン環を1つ、及び、水酸基を1つ有することを特徴とする、上記フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、上記フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物と、重合性ク
リアインキ組成物とを有することを特徴とする、粘着ラベル用重合性インキセットに関す
る。
【0018】
また、本発明は、さらに、剥離剤として、カチオン重合性シリコーン組成物を有し、
前記カチオン重合性シリコーン組成物が、カチオン重合開始剤、及び、エポキシ基を有
するポリオルガノシロキサン化合物を含むことを特徴とする、上記粘着ラベル用重合性イ
ンキセットに関する。
【0019】
また、本発明は、片面に粘着層を有する基材の粘着層とは反対側の面に、上記粘着ラベ
ル用重合性インキセットを、フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物、重合性
クリアインキ組成物、カチオン重合性シリコーン組成物の順で積層したことを特徴とする
、粘着ラベル用積層体に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によって、剥離剤として使用されるカチオン重合性シリコーン組成物の硬化性を
妨げず、基材との優れた密着性を有し、かつフレキソ印刷適性を有するフレキソ印刷用カ
チオン重合性カラーインキ、該フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物と重合
性クリアインキ組成物との粘着ラベル用インキセット、及びそれらを用いた積層体を提供
することができた。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の
実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することがで
きる。
【0022】
<フレキソ印刷用カチオン重合性紫外線硬化型カラーインキ>
本発明の一実施形態は、フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物に係わる。
該フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物は、着色剤、カチオン重合開始剤、
カチオン重合性化合物を含むフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物であって
、カチオン重合性化合物として、重量平均分子量400~2,000で、ビスフェノール
A骨格を有するエポキシ化合物(A)、脂環式エポキシ化合物(B)((A)となる場合
を除く)、及び、オキセタン化合物(C)を含み、実質的に塩基性化合物を含まないこと
を特徴とする。
【0023】
以下、本実施形態のフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物(以下、単に「
カラーインキ組成物」ともいう)に含まれるか、又は含まれ得る成分を説明する。
【0024】
[着色剤]
本発明におけるフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキは、着色剤を含む。着色剤
としては、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。耐光性の観点から
、顔料が好ましい。
本発明に用いることができる顔料としては、特に制限はなく、公知のものを用いること
ができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができる。
【0025】
上記無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、
チャネルブラックなどのカーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる
【0026】
上記有機顔料としては、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフ
トエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料; β-ナ
フトール系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセ
ト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブル
ー、ハロゲン化(例えば、塩素化または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅
フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;キナクリ
ドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン
、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン
系、ペリレン系など)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系、ジケトピロ
ロピロール系等の多環式顔料および複素環式顔料などが挙げられる。
なお、本明細書において、着色力を有しない体質顔料である硫酸バリウム、炭酸カルシ
ウム、水酸化アルミニウムなどは着色剤に含まない。
【0027】
更に詳しくは、C.I.カラーインデックスで示すと、黒顔料としては、C.I.Pi
gment Black 1、6、7、9、10、11、28、26、31などが挙げら
れる。
【0028】
白顔料としては、C.I.Pigment White 5、6、7、12、28など
が挙げられる。
【0029】
黄顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、
14、16、17、18、24、73、74、75、83、93、95、97、98、1
00、108、109、110、114、120、128、129、138、139、1
74、150、151、154、155、167、180、185、213などが挙げら
れる。
【0030】
青又はシアン顔料としては、C.I.Pigment Blue 1、2、14、15
、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62などが挙げられる。
【0031】
赤又は紅顔料としては、C.I.Pigment RED 1、3、5、19、21、
22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、
49:1、50、52、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、8
1:1、81:2、81:3、81:4、83、90、104、108、112、114
、122、144、146、148、149、150、166、168、169、170
、172、173、176、177、178、184、185、187、193、202
、209、214、242、254、255、264、266、269、C.I.Pig
ment Violet 19などが挙げられる。
【0032】
緑顔料としては、C.I.Pigment Green 1、2、3、4、7、8、1
0、15、17、26、36、45、50などが挙げられる。
【0033】
紫顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、2、3、4、5:1、
12、13、15、16、17、19、23、25、29、31、32、36、37、3
9、42などが挙げられる。
オレンジ顔料としては、C.I.Pigment Orange 13、16、20、
34、36、38、39、43、51、61、63、64、74などが挙げられる。
【0034】
本発明において、上記顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いて
もよい。
【0035】
本発明において、上記顔料は、印刷紙面上に目的の濃度が再現可能であれば任意の含有
量で使用することが可能であり、カラーインキ組成物の総質量に対して5~30質量%で
あることが好ましく、より好ましくは10~25質量%である。
【0036】
[カチオン重合開始剤(以下、「カチオン開始剤」とも称する)]
本発明におけるフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキは、カチオン重合開始剤を
含む。カチオン重合開始剤は、光や紫外線などのエネルギー線を受けることによって、カ
チオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物である。
【0037】
本発明において、上記カチオン重合開始剤は、特に制限はなく、公知のものを用いるこ
とができる。具体例としては、アリールスルホニウム塩誘導体、アリールヨードニウム塩
誘導体、アレン-イオン錯体誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系及びその他の
ハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。中でも、アリールスルホニウム塩誘導体を用い
ることが好ましい。
【0038】
上記カチオン重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0039】
本発明において、上記カチオン重合開始剤の含有量は、カラーインキ組成物の総質量に
対して、0.5~30質量%であることが好ましく、より好ましくは5~20質量%であ
る。
【0040】
本発明において、ラジカル重合開始剤を実質的に含まないことが好ましい。特に、アミ
ノ基を有するラジカル重合開始剤及びラジカル重合開始促進剤を実質的に含まないことが
好ましい。実質的に含まないこととは、ラジカル重合開始剤がカラーインキ組成物の総質
量に対して、1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下
である。
【0041】
[カチオン重合性化合物]
本発明におけるフレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキは、カチオン重合性化合物
として、重量平均分子量400~2,000で、ビスフェノールA構造を有するエポキシ
化合物(A)、脂環式エポキシ化合物(B)((A)となる場合を除く)、及び、オキセ
タン化合物(C)を含む。
【0042】
(重量平均分子量400~2,000のビスフェノールA構造を有するエポキシ化合物(
A))
本発明に用いるエポキシ化合物(A)とは、少なくとも重量平均分子量(以下、Mwと
も称する)が400~2,000であり、ビスフェノールA構造を有するエポキシ化合物
であれば、公知のものを用いることができる。中でも、硬化性の観点からMwは600~
1,200であることがより好ましい。
【0043】
なお、本明細書において、重量平均分子量は、構造式から重量平均分子量が特定できる
場合には構造式から算出し、構造式から重量平均分子量が特定できない場合には、ゲルパ
ーミエイションクロマトグラフィ(以下、「GPC」という。)で測定した。
【0044】
GPCの具体的な測定方法は、以下の通りである。東ソー(株)製HLC-8020を用
い、検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを
、カラムにはTSKgel SuperHM-M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は
流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
【0045】
本発明において、重量平均分子量400~2,000のビスフェノールA構造を有する
エポキシ化合物(A)の含有量は、カラーインキ組成物の総質量に対して、5~20質量
%であることが好ましく、より好ましくは8~15質量%である。含有量が、上記範囲で
あると、カラーインキ組成物の硬化性とフレキソ印刷適性を損なうことなく、粘着層から
の移行成分の抑制をすることができる。
【0046】
さらに、重量平均分子量400~2,000のビスフェノールA構造を有するエポキシ
化合物(A)のエポキシ当量は、硬化性と粘着層からの成分移行の抑制の観点から、20
0~1,000であることが好ましく、より好ましくは400~800である。
【0047】
なお、本明細書において、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠し、測定した。
【0048】
上記重量平均分子量400~2,000のビスフェノールA構造を有するエポキシ化合
物(A)の具体例としては、三菱ケミカル株式会社製のjER1001(Mw900、エ
ポキシ当量450)、jER1002(Mw1,200、エポキシ当量600)、jER
1003(Mw1,300、エポキシ当量450)、jER1004(Mw1,650、
エポキシ当量875)、jER1055(Mw1,600、エポキシ当量800)などが
挙げられる。
【0049】
本発明において、上記重量平均分子量400~2,000のビスフェノールA構造を有
するエポキシ化合物(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0050】
(脂環式エポキシ化合物(B)((A)となる場合を除く))
本発明において、脂環式エポキシ化合物(B)の含有量は、カラーインキ組成物の総質
量に対して、10~70質量%であることが好ましく、より好ましくは30~50質量%
である。含有量が、上記範囲であると、カラーインキ組成物の硬化性を損なうことなく、
フレキソ印刷適性を得ることができる。なお、本発明において、脂環式エポキシ化合物と
は、脂環骨格上に反応基であるエポキシ基を有する化合物である。
【0051】
本発明において、上記脂環式エポキシ化合物(B)は公知のものを用いることができる
。具体例としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-(3,4-エポキシ)シク
ロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,1-スピ
ロ(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシ
クロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4-ビニルエポキ
シシクロヘキサン、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペ
ート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-(3,4-エポキシ-6-メチル
)シクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)
、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシ
クロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボ
キシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-(3,4-エポキ
シ)シクロヘキサンカルボキシレート、リモネンモノオキサイド、リモネンジオキサイド
などが挙げられる。中でも、硬化性とフレキソ印刷適性の観点から、脂環式エポキシ構造
を2つ有する化合物が好ましく、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-(3,4-エ
ポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートがより好ましい。
【0052】
本発明において、上記脂環式エポキシ化合物(B)は、1種単独で用いてもよく、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
(オキセタン化合物(C))
本発明において、オキセタン化合物(C)の含有量は、カラーインキ組成物の総質量に
対して、10~30質量%であることが好ましく、より好ましくは15~25質量%であ
る。
【0054】
前記オキセタン化合物(C)としては、公知のものを用いることができる。具体的には
、オキセタン環を1つ有する化合物として、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタ
ン、3-(メタ)アリルオキシメチル-3-エチルオキセタン、3-エチル-3-(4-
ヒドロキシブチルオキシメチル)オキセタン、(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ
)メチルベンゼン、4-フルオロ-〔1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メ
チル〕ベンゼン、4-メトキシ-〔1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチ
ル〕ベンゼン、〔1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエー
テル、イソブトキシメチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、イソボル
ニルオキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3
-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-エチルヘキシル(3-エチル-3-
オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3-エチル-3-オキセ
タニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3-エチル-3-オキセタニルメチル
)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)
エーテル、ジシクロペンテニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テト
ラヒドロフルフリル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフ
ェニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-テトラブロモフェノキシ
エチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3-エ
チル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-トリブロモフェノキシエチル(3-エチ
ル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシエチル(3-エチル-3-オキ
セタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシプロピル(3-エチル-3-オキセタニルメ
チル)エーテル、ブトキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペ
ンタクロロフェニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフ
ェニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3-エチル-3-
オキセタニルメチル)エーテルなどが挙げられ、オキセタン環を2つ以上有する化合物と
して、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、3,3’-(1,3-
(2-メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス-(3-エチルオキセ
タン)、1,4-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、
1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビ
ス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコール
ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-
エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル
-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3
-オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3-エチル-3
-オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オ
キセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)
ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリ
スリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリト
ールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコ
ールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘ
キサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペ
ンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテ
トラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペン
タエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロ
ラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル
)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチ
ル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)
エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エー
テル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エー
テル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エー
テル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテルなど
が挙げられる。中でも、塗膜の柔軟性からオキセタン環を1つ有する化合物が好ましく、
さらに、基材への密着性の観点から、オキセタン環を1つ有し、かつ、水酸基を1つ有す
る化合物が好ましい。
【0055】
(その他の重合性化合物)
上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)としては、特に
制限はなく、本発明の効果が低下しない範囲で、その他の重合性化合物を用いてもよい。
具体的には、分子内に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基
、内部二重結合性基(マレイン酸など)などの重合性基を有する化合物が挙げられる。中
でも、カチオン重合の観点から、ビニル基、ビニルエーテル基を有する化合物が好ましい
。
【0056】
[その他の成分]
本発明において、カラーインキ組成物は、本発明の効果が低下しない範囲で、体質顔料
、樹脂、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、表面張力調整剤、消泡剤、重合禁止剤
、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを必要に応じて添加することができる。
【0057】
なお、本発明において、カラーインキ組成物は、塩基性化合物を実質的に含まないこと
が好ましい。実質的に含まないとは、カラーインキ組成物の総質量に対して、1.0質量
%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。カラーインキ組
成物に、塩基性化合物を含まないことで、インキ層上に印刷されるクリア層のカチオン重
合性クリアインキ組成物や、剥離層であるカチオン重合性シリコーン組成物の硬化性が向
上し、密着性も向上する。
【0058】
本明細書で塩基性化合物とは、有機塩基性化合物及び無機塩基性化合物のいずれも含む
。有機塩基性化合物は、フェノールよりも塩基性が高い化合物であり、含窒素有機性化合
物、有機アミンなどが挙げられる。
【0059】
有機塩基性化合物の具体例としては、デシルアミン、ドデシルアミン、N,N-ジメチ
ルドデシルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、ベンジルピペリジン、N,N-ジ
メチルシクロヒキシルアミン、モノ、ジ、又はトリエタノールアミン、アミノプロパノー
ル、アミノブタノール、アミノヘキサノール、ジメチルアミノヘキサノール、モルホリン
、アミノエチルモルホリン、アミノプロピルモルホリン、アミノエチルピペラジン、アミ
ノエチルピロリジン、ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、アミノプロピルピロリジノ
ン、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエチルモルホリン、フェニルモルホリン
、1,3-ビス[1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ピペリジル]プロパン、グラミン
、1-(2-フェネチル)-4-ピペリドン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン
、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、N,N-ジエチルアニ
リン、ドデシルアニリン、アミノビフェニル、アミノフェノール、4-アミノアセトアニ
リド、アミノアセトフェノン、アミノベンズアミド、アミノベンズアニリド、アミノベン
ゾフェノン、ジメチルアミノメチルチオフェン、ジメチルアミノフェネチルアルコール、
ポリエチレンイミン、ポリアリールアミン、ポリビニルピリジン、N,N-ジメチルアミ
ノエチルメタクリレートとメタクリル酸エステル類(例えばメタクリル酸ブチル)のコポ
リマー、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートとアクリル酸エステル類(例えば
アクリル酸エチル)のコポリマー、ジメチルアミノメチルスチレンとスチレンのコポリマ
ー、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと1,
4-ブタン二酸の縮合ポリマー、グアニジン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1,3
,3,-テトラメチルグアニジン、2-アミノピリジン、3-アミノピリジン、4-アミ
ノピリジン、2-ジメチルアミノピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2-ジエチル
アミノピリジン、2-(アミノメチル)ピリジン、2-アミノ-3-メチルピリジン、2
-アミノ-4-メチルピリジン、2-アミノ-5-メチルピリジン、2-アミノ-6-メ
チルピリジン、3-アミノエチルピリジン、4-アミノエチルピリジン、3-アミノピロ
リジン、ピペラジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-(2-アミノエチル)
ピペリジン、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ピペリジノピ
ペリジン、2-イミノピペリジン、1-(2-アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、
3-アミノ-5-メチルピラゾール、5-アミノ-3-メチル-1-p-トリルピラゾー
ル、ピラジン、2-(アミノメチル)-5-メチルピラジン、ピリミジン、2,4-ジア
ミノピリミジン、4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、
N-アミノモルフォリン、N-(2-アミノエチル)モルフォリン、1,5-ジアザビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ-
7-エン、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,4,5-トリフェニル
イミダゾール、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ヒドロキシエチルモ
ルホリン、N-ベンジルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CH
METU)等の3級モルホリン誘導体等が挙げられる。
【0060】
また、ラジカル重合開始剤として用いられる2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1
-(4-モルホリノフェニル) -1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-
メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン
等も有機塩基性化合物として挙げられる。
【0061】
また、ラジカル重合促進剤として用いられるトリエタノールアミン、p-ジメチルアミ
ノ安息香酸エチルエステル、p-ホルミルジメチルアニリン、p-メチルチオジメチルア
ニリン等も有機塩基性化合物として挙げられる。
【0062】
さらに、顔料分散剤として用いられる塩基性の極性基を有しアミン価を持つ公知の高分
子分散剤も有機塩基性化合物として挙げられる。具体的には、ビックケミー社製のDis
perBYK(登録商標)-161(アミン価11mgKOH/g)、DisperBY
K-162(アミン価13mgKOH/g)、DisperBYK-163(アミン価1
0mgKOH/g)、DisperBYK-164(アミン価18mgKOH/g)、D
isperBYK-166(アミン価20mgKOH/g)、DisperBYK-16
7(アミン価13mgKOH/g、酸化0mgKOH/g)、DisperBYK-16
8(アミン価10mgKOH/g、酸化0mgKOH/g)、ルーブリソール社製のソル
スパース(登録商標)24000(アミン価47mgKOH/g)、ソルスパース320
00(アミン価27.1mgKOH/g)、味の素ファインテック社製のアジスパー(登
録商標)PB822(アミン価17mgKOH/g)等が挙げられる。
【0063】
[フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物の物性]
(粘度)
本発明において、上記カラーインキ組成物の25℃における粘度は、好ましくは200
~1,000mPa・sであり、より好ましくは300~800mPa・sである。25
℃における粘度が上記範囲内にあると、アニロックスロール、版、被記録媒体の順にイン
キ組成物を転移していく過程で、粘度上昇による転移不良などのトラブルを低減でき、良
好なフレキソ印刷適性が得られる。なお、粘度は、E型粘度計(東機産業株式会社製 T
VE-25型粘度計、type E)を用いて、25℃の環境下で回転数100rpmの
粘度を読み取ることにより測定できる。
【0064】
<粘着ラベル用インキセット>
本発明における粘着ラベル用インキセットは、上記のフレキソ印刷用カチオン重合性カ
ラーインキ組成物と、重合性クリアインキ組成物とを有する。前記インキセットを用いる
ことにより、粘着層からの移行成分を抑制し、経時での基材とカラーインキ層の密着性低
下を抑制することができる。
【0065】
<重合性クリアインキ組成物>
本実施形態では、カチオン重合性クリアインキ組成物、ラジカル重合性クリアインキ組
成物のいずれの重合性クリアインキ組成物も使用できる。以下、本実施形態の重合性クリ
アインキ組成物(以下、クリアインキとも称する)に含まれるか、又は含まれ得る成分を
説明する。
【0066】
[カチオン重合性クリアインキ組成物]
上記カチオン重合性クリアインキ組成物は、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合
物を含み、実質的に着色剤を含まないことを特徴とする。実質的に含まないとは、クリア
インキ組成物の総質量に対して、1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましく
は0.1質量%以下である。
【0067】
上記カチオン重合開始剤としては、上述のカラーインキ組成物に含まれるものとして例
示したカチオン重合開始剤を用いることができる。中でも、アリールスルホニウム塩誘導
体を用いることが好ましい。
【0068】
本発明において、上記カチオン重合開始剤の含有量は、皮膜の硬化性および、カラーイ
ンク層とクリアインク層との密着性の観点から、上記カラーインキ組成物に含まれるカチ
オン重合開始剤の含有量に対して、0.5~30質量%であることが好ましく、5~20
質量%であることがより好ましい。
【0069】
上記カチオン重合性化合物は、上述のカラーインキ組成物に含まれるものとして例示し
たカチオン重合性化合物を用いることができる。中でも、粘着層からの移行成分の抑制の
観点から、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサ
ンカルボキシレートと、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを含むことが好ま
しい。
【0070】
本発明において、上記カチオン重合クリアインキ組成物は、本発明の効果が低下しない
範囲で、樹脂、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤などを必要に応じて添加することができる。
【0071】
本発明において、上記カチオン重合性クリアインキ組成物は、本発明の効果が低下しな
い範囲で、上述のカラーインキ組成物に含まれるものとして例示したその他の重合性化合
物およびその他の成分を必要に応じて添加することができる。
【0072】
なお、本発明において、上記カチオン重合性クリアインキ組成物は、上述のカラーイン
キ組成物と同様に、塩基性化合物を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まない
とは、上記カチオン重合性クリアインキ組成物の総質量に対して、1.0質量%以下であ
ることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。
【0073】
前記塩基性化合物とは、上述のカラーインキ組成物に実質的に含まないものとして例示
した塩基性化合物と同じである。
【0074】
[ラジカル重合性クリアインキ組成物]
上記ラジカル重合性クリアインキ組成物は、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性化合
物を含み、実質的に着色剤およびを塩基性化合物含まないことを特徴とする。実質的に含
まないとは、クリアインキ組成物の総質量に対して、1.0質量%以下であることが好ま
しく、より好ましくは0.1質量%以下である。
【0075】
上記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤を用いること
ができる。具体例としては、ベンゾフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化
合物、α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物
、チオキサントン化合物などが挙げられる。また、上記ラジカル重合開始剤は、1種単独
で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
上記ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、
4-フェニルベンゾフェノン、[4-(メチルフェニルチオ)フェニル]-フェニルメタ
ノンなどが挙げられる。
【0077】
上記α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキ
シルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン
、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-
1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メ
チル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オンなどが
挙げられる。
【0078】
上記のアシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、ジフェニルアシルフェニルフ
ォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオ
キサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイ
ドなどが挙げられる。
【0079】
上記チオキサントン系化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジ
メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
【0080】
上記ラジカル重合開始剤の含有量は、上記ラジカル重合性クリアインキ組成物の総質量
に対して、1~25質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ま
しい。
【0081】
上記ラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、公知のラジカル重合性化合物を
用いることができる。本発明に用いることができる重合性化合物としては、ラジカル重合
性基として分子内にエチレン性不飽和結合を1つ以上有する化合物であれば、特に限定さ
れず、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態も包含する。また、上記ラジカル
重合性化合物は、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0082】
上記ラジカル重合性化合物としては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキノー
ル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒ
ドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)
アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2
-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,
5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジ
シクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)
アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、環状トリメ
チロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、E
O変性(2)ノニルフェノールアクリレート、2-メチル-2-エチル-1、3-ジオキ
ソラン-4-イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリンなどの分子内に(メ
タ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートモノマー、
N-ビニルカルバゾール、1-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-ピロリドン、N-
ビニルカプロラクタム、N-ビニルホルムアミドなどの分子内にビニル基を1つ有する単
官能ビニルモノマー、
1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1
,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)ア
クリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300
)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート
、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネ
オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1,6-
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコールジ(
メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ
)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性(4
)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ
)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-
トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート
などの分子内に(メタ)アクリロイル基を2つ有する2官能(メタ)アクリレートモノマ
ー、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性(3)トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレ
ート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレートなどの分子内に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリ
レートモノマー、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ
(メタ)アクリレートなどの分子内にアクリロイル基を4つ有する4官能(メタ)アクリ
レートモノマー、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの分子内に(メタ)アクリロ
イル基を5つ有する5官能(メタ)アクリレートモノマー、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの分子内に(メタ)アクリロ
イル基を6つ有する6官能(メタ)アクリレートモノマー、などが挙げられる。
なお、本明細書では、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメ
タアクリレートのうちいずれかを意味する。
【0083】
本発明において、上記ラジカル重合性クリアインキ組成物は、本発明の効果が低下しな
い範囲で、体質顔料、樹脂、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを必要に応じて添加することができる。
【0084】
なお、本発明において、上記ラジカル重合性クリアインキ組成物は、上述のカラーイン
キ組成物と同様に、塩基性化合物を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まない
とは、上記ラジカル重合性クリアインキ組成物の総質量に対して、0.5質量%以下であ
ることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。
【0085】
[重合性クリアインキ組成物の物性]
(粘度)
本発明において、上記重合性クリアインキ組成物の25℃における粘度は100~80
0mPa・sであり、より好ましくは200~500mPa・sである。25℃における
粘度が上記範囲内にあると、アニロックスロール、版、被記録媒体の順にインキ組成物を
転移していく過程で、レベリング不良等のトラブルを低減でき、良好な印刷物が得られる
。なお、粘度は、E型粘度計(東機産業株式会社製 TVE-25型粘度計、type
E)を用いて、25℃の環境下で回転数100rpmの粘度を読み取ることにより測定で
きる。
【0086】
本発明における粘着ラベル用インキセットは、さらに、剥離剤を有することが好ましい
。
【0087】
<カチオン重合性シリコーン組成物>
本発明において、上記剥離剤は、特に制限はなく、公知の剥離剤を用いることができる
。中でも、生産性、剥離性能の制御の観点から、カチオン重合開始剤、エポキシ基を有す
るポリオルガノシロキサン化合物を含むカチオン重合性シリコーン組成物が好ましい。
【0088】
上記カチオン重合性シリコーン組成物としては、荒川化学工業株式会社製のシリコリー
スシリーズのUVPOLY200、UVPOLY201、UVPOLY215、信越化学
工業株式会社製のX-62-7622、X-62-7660、X-62-7655などが
挙げられる。
【0089】
<粘着ラベル用積層体>
本発明における粘着ラベル用積層体は、上記カラーインキ組成物は、フレキソ印刷方式
によって、片側に粘着層を有する基材上のもう片側に印刷され、硬化させる。硬化後、そ
の上に上記クリアインキ組成物を印刷、硬化させ、さらに、剥離剤として上記カチオン重
合性シリコーン組成物を印刷、硬化させる。これにより、粘着層からの移行成分を抑制し
、経時での基材とカラーインキ層の密着性低下を抑制した粘着ラベル用積層体を得ること
ができる。
【0090】
上記被記録媒体としては、感熱紙(サーマル紙)を用いることができる。具体的には、
王子製紙製GS80、HE90、GG50、リコー製 150LA-1、150LHB等
が挙げられる。
【0091】
本発明において、上記カラーインキ組成物、上記クリアインキ組成物および上記カチオ
ン重合性シリコーン組成物を硬化する方法には、特に制限はなく、公知の方法を用いるこ
とができる。例えば、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などを照射
することで硬化することができる。中でも、紫外線、電子線が好ましく、より好ましくは
紫外線である。紫外線のピーク波長は、200~600nmであることが好ましく、より
好ましくは250~420nmである。
【0092】
紫外線源としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、
水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハイドライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV
-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等のLED(発光ダイオード)や
ガス・固体レーザーなどが挙げられる。
【0093】
上記カラーインキ組成物および上記クリアインキ組成物の塗膜の膜厚は1~20μmと
なるように、より好ましくは、5μm~10μmとなるよう印刷することが好ましい。
【実施例】
【0094】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は
これらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」及び「%」とは
「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。
【0095】
[フレキソ印刷用カチオン重合性カラーインキ組成物の作成]
カラーインキ1
カチオン重合性化合物(A)として、JER1001を5部と、カチオン重合性化合物
(B)として、CER4221を10部とを混合し、撹拌しながらJER1001を加熱
溶解させた。その後、CER4221を35部と、着色剤として、PIGMENT YE
LLOW 1453Tを15部とを加え、3本ロールにて最大粒径が20μm以下となる
ように分散し、その後、カチオン重合性化合物(C)として、OXT-101を20部と
、カチオン重合開始剤として、AT-6992を15部とを加え撹拌し、カチオン重合性
カラーインキ組成物を作成した。
【0096】
カチオン重合性カラーインキ2~インキ24
表1に記載した原料と量に変更した以外は、インキ1と同様の方法でインキ2~インキ
24を得た。
【0097】
[フレキソ印刷用ラジカル重合性カラーインキ組成物の作成]
インキ24
ラジカル重合化合物として、ビスコート230Dを15部と、着色剤として、LION
OL YELLOW TT1842を15部と、顔料分散剤としてアジスパーPB822
を3部と、ラジカル重合開始剤として、Omnirad369を5部と、Omnirad
TPOを7部とを加え、3本ロールにて最大粒径が20μm以下になるように分散し、そ
の後、MIRAMER M3130を25部と、MIRAMER M600を20部とを
加え撹拌し、ラジカル重合性カラーインキ組成物を作成した。
【0098】
ラジカル重合性カラーインキ24~インキ26
表1に記載した原料と量に変更した以外は、インキ24と同様の方法でインキ24~イ
ンキ26を得た。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
[カチオン重合性クリアインキ組成物の作成]
クリア1
カチオン重合性化合物として、jER1001を10部、セロキサイド2021Pを5
0部、OXT-101を20部加え、撹拌しながらjER1001を加熱溶解させた。そ
の後、カチオン重合開始剤として、AT-6992を5部、その他樹脂として、FLEX
OREZ-188を10部、表面張力調整剤として、ファインオキソコール180を5部
加え、撹拌してカチオン重合性クリアインキ組成物を作成した。
【0103】
[ラジカル重合性クリアインキ組成物の作成]
クリア2
ラジカル重合性化合物として、MIRAMER M600を30部、サートマーSR3
06を30部、フォトマー4028を25部加え、その後、Omnirad4MBZを5
部、Omnirad481を5部、表面張力調整剤として、ファインオキソコール180
を5部加え、加熱撹拌してラジカル重合性クリアインキ組成物を作成した。
【0104】
クリア3
表2に記載した原料と量を変更した以外は、クリア2と同様の方法でクリア3を得た。
【0105】
【0106】
表1、表2中の略語は、以下の通りである。
[着色剤]
・Pigment Yellow 1453T:山陽色素株式会社製、C.I.Pigm
ent Yellow 14
[カチオン重合開始剤]
・AT-6992:ACETO社製
[カチオン重合性化合物]
・JER828:三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物、Mw3
70、エポキシ当量120
・JER834:三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物、Mw4
70、エポキシ当量230
・JER1001:三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物、Mw
900、エポキシ当量450
・JER1002:三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物、Mw
1200、エポキシ当量875
・JER1004:三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物、Mw
1650、エポキシ当量875
・JER1007:三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物、Mw
2900、エポキシ当量1750
・TTA15:サンケミカル株式会社製、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタア
クリレート
・CER4221:Achiewell社製、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-
(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
・TTA26:サンケミカル株式会社製、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル
)アジペート
・エポライト1600:共栄社株式会社製、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエー
テル
・OXT-101:東亜合成株式会社製、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン
・OXT-212:東亜合成株式会社製、2-エチルヘキシルオキセタン
・OXT-121:東亜合成株式会社製、キシレンビスオキセタン
・OXT-221:東亜合成株式会社製、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-
3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン
[ラジカル重合開始剤]
・Omnirad369:iGM RESINS社製、2-ベンジル-2-ジメチルアミ
ノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1
・OmniradTPO:iGM RESINS社製、2,4,6-トリメチルベンゾイ
ル-ジフェニルフォスフィンオキサイド
・Omnirad4MBZ:iGM RESINS社製、4-メチルベンゾフェノン
・ダロキュア1173:BASF社製、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1
-プロパノン
・Omnirad481:iGM RESINS社製、1-ヒドロキシシクロヘキシルフ
ェニルケトン
[ラジカル重合性化合物]
・ビスコート230D:大阪有機化学工業株式会社製、1,6-ヘキサンジオールのアク
リル酸エステル多量体エステル
・Miramer M3130:Miwon Specialty Chemical
Co.,Ltd製、EO変性(3)トリメチロールプロパントリアクリレート
・Miramer M600:Miwon Specialty Chemical C
o.,Ltd製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・フォトマー4028:iGM RESINS社製、EO変性ビスフェノールAジアクリ
レート
・サートマーSR306:Sartomer社製、トリプロピレングリコールジアクリレ
ート
・エベクリル8415:オルネクス社製、ウレタンアクリレート
[塩基性化合物]
・アジスパーPB822:味の素ファイケミカル株式会社製、塩基性顔料分散剤、アミン
価17mgKOH/g
[樹脂]
・ビームセット271:荒川化学社製、アミン変性アクリレートポリマー
・FLEXOREZ-188:楠本化成社製、ポリエステルポリオール
[表面張力調整剤]
・ファインオキソコール180:日産化学株式会社製、イソオクタデカノール
【0107】
[試験サンプルの作成方法]
試験サンプル1
得られたカラーインキ組成物を、基材であるサーマル紙(リコー社製 150LA)に
、線数800LPI、セル容積3.72cm3/m2のアニロックスローラーとフレキシプ
ルーフ機を用いて、カラーインキ1を印刷後、コンベアー速度 50m/min、空冷水銀
ランプ(出力160w/cm2の条件)で硬化させた。その後、カラーインキ層の上に、線
数400LPI、セル容積9.48cm3/m2のアニロックスローラーを用いて、得られ
たクリアインキ1を印刷後、コンベアー速度 50m/min、空冷水銀ランプランプ(出
力160w/cm2の条件)で硬化させた。さらに、クリア層の上に、線数400LPI、
セル容積9.48cm3/m2のアニロックスローラーを用いて、剥離剤としてシリコリー
スUVPOLY215(荒川化学社製)を印刷後、コンベアー速度 50m/min、空冷
水銀ランプランプ(出力160w/cm2の条件)で硬化させた。そして、基材、カラーイ
ンキ層、クリアインキ層、剥離層の順で積層された試験サンプル1を得た。
【0108】
試験サンプル2~26
表3に記載したカラーインキ、クリアインキを変更した以外は、サンプル1と同様の方
法で試験サンプル2~26を得た。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
[剥離剤の硬化性]
上記方法で作成した試験サンプル1~29の硬化直後の剥離層面を、指で触り以下の基
準で評価した。3以上を実用上問題ないレベルであると評価する。
5:完全にベタツキなし。
4:ほとんどベタツキなし。
3:ほとんどベタツキなしだが、わずかにベタツキあり。
2:ベタツキややあり。
1:ベタツキあり。
【0114】
[硬化直後の基材への密着性]
上記方法で作成した試験サンプル1~29の印刷層面と基材とのセロハンテープ剥離試
験を行い、以下の基準にて評価した。3以上を実用上問題ないレベルであると評価する。
5:全く剥離しない。
4:接着面の5%程度が剥離する。
3:接着面の15%程度が剥離する。
2:接着面の50%以上が剥離する。
1:全て剥離する。
【0115】
[経時での剥離性]
上記方法で作成した試験サンプル1~29の印刷層面と、粘着剤(サイデン化学社製の
サイビノール)が塗工されたサーマル紙の粘着層面とを重ね合わせ、1平方センチメート
ルあたり10kgの荷重をかけて、60℃10日間静置した。そして、10日後、25℃
で印刷面と粘着層面とを剥がし、印刷面の状態を以下の基準で目視評価した。3以上を実
用上問題ないレベルであると評価する。
5:印刷面に影響なく、剥離性良好。
4:印刷面に影響がないが、やや剥離抵抗を感じる。
3:印刷面に影響がないが、剥離抵抗を感じる。
2:印刷面と粘着剤面が付着し、印刷面が50%未満の面積で剥離する。
1:印刷面と粘着剤面が付着し、印刷面が50%以上の面積で剥離する。
【0116】
[柔軟性]
上記方法で得られた試験サンプル1~29を、剥離層が内側になるように180°折り
曲げて戻し、さらに、剥離層を外側になるように180°折り曲げ、折り曲げた部分の印
刷層の状態を、以下の基準で目視評価した。3以上を実用上問題ないレベルであると評価
する。
5:印刷面に影響がなく、皮膜の割れもない。
4:印刷面に影響がないが、わずかに割れが確認される。
3:印刷面に影響がないが、皮膜の割れがやや確認される。
2:印刷面がややひび割れ、基材が確認できる。
1:印刷面が割れ、基材が確認できる。