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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】電源装置および非常用照明装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20230613BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20230613BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230613BHJP
   H02J 9/02 20060101ALI20230613BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H02J7/10 K
H02J7/04 C
H02J7/10 G
H02J7/34 G
H02J9/02
H02J9/06 150
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019162274
(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2021040470
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】阿野 康則
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-125110(JP,A)
【文献】特開2000-341873(JP,A)
【文献】特開平10-023680(JP,A)
【文献】特開2015-082948(JP,A)
【文献】特開2014-236632(JP,A)
【文献】特開2012-185932(JP,A)
【文献】特開2011-004509(JP,A)
【文献】特開2008-304374(JP,A)
【文献】特開2004-180370(JP,A)
【文献】特開2002-191136(JP,A)
【文献】特開昭60-084928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
H02J 9/02
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池を充電する充電回路と、
前記充電回路から前記電池へ流れる充電電流が目標値と一致するように前記充電回路を制御し、充電の開始から予め定められた充電時間が経過すると前記目標値を低下させる制御部と、
を備え、
前記充電回路は、前記電池と直列に接続された抵抗を有し、
前記制御部は、前記電池の両端に印加される電池電圧を、前記電池と前記抵抗が形成する直列回路の両端に印加される電圧の目標電圧である基準電圧に変換し、前記直列回路の両端に印加される電圧と前記基準電圧との差分を小さくするように前記充電電流を制御することを特徴とする電源装置
【請求項2】
前記充電時間は、充電の開始から前記電池が満充電となるまでの時間であることを特徴とする請求項に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電池電圧と前記基準電圧との対応関係を示す第1テーブルを記憶し、前記第1テーブルを参照して前記電池電圧を前記基準電圧に変換し、
前記第1テーブルは、前記充電電流を前記目標値と一致させる前記基準電圧を与えることを特徴とする請求項またはに記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記充電時間が経過すると前記第1テーブルを第2テーブルに切り替え、前記第2テーブルを参照して前記電池電圧を前記基準電圧に変換し、
前記第2テーブルは、前記充電電流を前記第1テーブルよりも低い前記目標値と一致させる前記基準電圧を与えることを特徴とする請求項に記載の電源装置。
【請求項5】
光源と、
請求項1からの何れか1項に記載の電源装置と、
前記電池から電力を供給され、非常時に前記光源を点灯させる非常点灯回路と、
を備えることを特徴とする非常用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置および非常用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カウンタの計数値が所定の値に達すると、電池の充電電流を大電流から小電流に切り替える切替回路を備えた充電器が開示されている。特許文献1において、大電流充電から細流充電への切り替えには、トランジスタスイッチが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭55-12821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、充電電流を切り替えるためにトランジスタなどの専用部品の追加が必要になる。このため、部品数が増加するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、部品数の増加を抑制して充電電流を変更できる電源装置および非常用照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電源装置は、電池と、該電池を充電する充電回路と、該充電回路から該電池へ流れる充電電流が目標値と一致するように該充電回路を制御し、充電の開始から予め定められた充電時間が経過すると該目標値を低下させる制御部と、を備え、該充電回路は、該電池と直列に接続された抵抗を有し、該制御部は、該電池の両端に印加される電池電圧を、該電池と該抵抗が形成する直列回路の両端に印加される電圧の目標電圧である基準電圧に変換し、直列回路の両端に印加される電圧と該基準電圧との差分を小さくするように該充電電流を制御する。

【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電源装置では、充電時間の経過により制御部が充電電流の目標値を低下させる。従って、部品数の増加を抑制して充電電流を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る非常用照明装置の回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る制御部および充電回路の回路ブロック図である。
図3】実施の形態1に係る制御部の構成を説明する図である。
図4】実施の形態1に係るテーブルの一例を示す図である。
図5】実施の形態2に係る充電回路の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る電源装置および非常用照明装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る非常用照明装置100の回路ブロック図である。非常用照明装置100は、LED40a、40bと、ユニット10と、電池250を備える。
【0011】
LED40a、40bは、非常時に明るさを確保するための光源である。ユニット10は外部電源ACからの給電を受け、電池250を充電する。外部電源ACは交流電源である。電池250は非常時にLED40a、40bに給電を行う。
【0012】
ユニット10は、入力フィルタ回路1と、常用電源回路2と、充電回路3と、点灯回路4と、非常点灯回路5と、電源生成回路6と、制御回路7を備えている。充電回路3、電池250および制御部50は電源装置を構成する。制御部50は例えばマイクロコンピュータである。
【0013】
入力フィルタ回路1は、過電流を保護するためのヒューズ11と、交流用のコンデンサ12と、交流を直流に変換するためのダイオードブリッジ13を備えている。外部電源ACの高電位側には、ヒューズ11の一端が接続される。ヒューズ11の他端はコンデンサ12の正極とダイオードブリッジ13の入力の高電位側に接続される。コンデンサ12の負極は外部電源ACの低電位側とダイオードブリッジ13の入力の低電位側に接続される。ダイオードブリッジ13の出力は常用電源回路2に接続される。ダイオードブリッジ13の出力の低電位側は接地用端子に接続される。
【0014】
入力フィルタ回路1は、消灯信号を検出する消灯信号検出回路14と、消灯信号を制御部50に伝達するフォトカプラ15を備えている。また、スイッチSWは外部電源ACから非常用照明装置100への給電をオンオフする。消灯信号検出回路14はスイッチSWのオンオフを検出しても良い。
【0015】
常用電源回路2は、絶縁形フライバック回路から構成される。常用電源回路2は、常用時に外部電源ACから電力を供給され、電池250を充電する。また、制御部50は常用電源回路2を制御する。ここで常用時とは、外部電源ACが停電状態または疑似停電状態では無い通常の状態を示す。
【0016】
常用電源回路2において、ダイオードブリッジ13の出力と並列にコンデンサ201が接続される。コンデンサ201の正極には、コンデンサ202の正極、抵抗203の一端およびトランス220の一次側の一端が接続される。コンデンサ202の負極と抵抗203の他端にはダイオード204のカソードが接続される。コンデンサ202、抵抗203およびダイオード204は、スイッチングに伴う過渡的な高電圧を吸収するスナバ回路を形成する。
【0017】
ダイオード204のアノードには、スイッチング素子205の第1端子とトランス220の一次側の他端が接続される。スイッチング素子205は、トランス220の一次巻き線と直列に接続される。スイッチング素子205の第2端子はコンデンサ201の負極に接続される。スイッチング素子205の制御端子は、制御IC200に接続されている。制御端子は、第1、第2端子間をスイッチングするための端子である。
【0018】
スイッチング素子205は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子205がMOSFETの場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。スイッチング素子205において、第1端子がトランス220、第2端子が接地用端子、制御端子が制御IC200に接続される。
【0019】
制御IC200は例えばPFC(Power Factor Correction)ドライバである。制御IC200はスイッチング素子205を駆動させる。トランス220の一次側の補助巻き線にはダイオード208のアノードが接続される。ダイオード208のカソードは、制御IC200の電源端子に接続される。ダイオード208は、制御IC200の電源をトランス220の補助巻き線から供給する。
【0020】
制御IC200にはフォトカプラ207が接続される。フォトカプラ207は、トランス220の二次側の情報を制御IC200に入力するために設けられる。
【0021】
常用電源回路2は入力電圧検出回路211を備える。入力電圧検出回路211は、常用電源回路2への入力電圧を検出する。検出した入力電圧は、フォトカプラ212を介して制御部50に入力される。これにより、制御部50は常用電源回路2の入力電圧を検出する。
【0022】
トランス220の二次側のフライバック巻き線の一端には、ダイオード209のアノードが接続される。ダイオード209は、トランス220の二次側に直列に接続され、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。ダイオード209のカソードには、電解コンデンサ214の正極が接続される。電解コンデンサ214の負極は接地用端子に接続される。
【0023】
常用電源回路2の接地用の線路において、トランス220の一次側と二次側はコンデンサ213によって絶縁されている。
【0024】
常用電源回路2は出力電圧検出回路を備える。出力電圧検出回路は、直列に接続された抵抗215と抵抗216から構成される。出力電圧検出回路は、電解コンデンサ214と並列に接続される。抵抗215と抵抗216の分圧値は、制御部50に入力される。これにより、制御部50は常用電源回路2の出力電圧を検出する。
【0025】
制御部50は、常用電源回路2の出力電圧に応じて目標値を算出する。その後、制御部50は、出力端子から目標値に対応する電圧を出力する。この電圧は、フォトカプラ207を介して一次側に伝達される。フォトカプラ207の一次側は、制御IC200に接続される。制御IC200は、フォトカプラ207を介して制御部50から目標値を受信する。制御IC200は、この目標値と常用電源回路2の出力電圧が一致するようにスイッチング素子205のオンオフを制御する。これにより、絶縁形フライバック回路である常用電源回路2の定電圧フィードバックが実現する。
【0026】
充電回路3は電池250を充電する。充電回路3は、トランス220の二次側のフォワード巻きに接続されている。トランス220の二次側のフォワード巻きの出力には、ダイオード31のアノードが接続される。ダイオード31のカソードと接地用端子との間には電解コンデンサ32が接続される。ダイオード31および電解コンデンサ32は、充電回路3に安定した電圧を伝達するために設けられる。
【0027】
ダイオード31のカソードと電解コンデンサ32の正極には、スイッチング素子33の第1端子が接続される。スイッチング素子33の第2端子には抵抗34の一端が接続される。抵抗34の他端には電池250の正極が接続される。抵抗34は電池250と直列に接続される。電池250の負極は接地用端子に接続される。つまり、常用電源回路2の出力端には、スイッチング素子33、抵抗34、電池250が直列に接続される。
【0028】
スイッチング素子33は、例えばトランジスタである。スイッチング素子33がトランジスタの場合、第1端子はコレクタであり、第2端子はエミッタであり、制御端子はベースである。制御端子は第1、第2端子間をスイッチングするための端子である。
【0029】
スイッチング素子33の制御端子にはコンデンサ98の正極と、抵抗97の一端が接続される。コンデンサ98の負極は接地用端子に接続される。抵抗97の他端は抵抗99の一端とトランジスタ77aの第1端子に接続される。抵抗99の他端はダイオード31のカソードと電解コンデンサ32の正極に接続される。
【0030】
トランジスタ77aの第2端子は、接地用端子に接続される。トランジスタ77aの制御端子は、制御部50に接続される。トランジスタ77aの第2端子と制御端子は抵抗77cによって接続される。このように、スイッチング素子33の制御端子は、抵抗97、トランジスタ77a、抵抗77bを介して制御部50に接続される。制御部50はスイッチング素子33のオンオフを制御する。
【0031】
スイッチング素子33の第2端子と、抵抗34との接続点には、抵抗35、36の直列回路の一端が接続される。抵抗35、36の直列回路の他端は接地用端子に接続される。抵抗35、36の接続点は、制御部50に接続される。抵抗35、36は、抵抗34と電池250の直列回路の両端電圧を制御部50で検出するために設けられる。
【0032】
点灯回路4では、LED40aと直列にスイッチング素子41aと抵抗42aが接続される。同様に、LED40bと直列にスイッチング素子41bと抵抗42bが接続される。スイッチング素子41a、41bは、例えばMOSFETである。スイッチング素子41a、41bの第1端子は、それぞれLED40a、40bに接続される。また、スイッチング素子41a、41bの第2端子はそれぞれ抵抗42a、42bの一端に接続される。スイッチング素子41a、41bの制御端子は、それぞれ制御部50に接続される。抵抗42a、42bの他端は接地用端子に接続される。制御部50からはスイッチング素子41a、41bが能動領域で動作するような信号が出力される。
【0033】
スイッチング素子41aの第1端子と接地用端子との間には、抵抗43a、44aの直列回路が接続される。抵抗43a、44aの接続点は制御部50に接続される。スイッチング素子41bの第1端子と接地用端子との間には、抵抗43b、44bの直列回路が接続される。抵抗43b、44bの接続点は制御部50に接続される。抵抗43a、44aおよび抵抗43b、44bにより、スイッチング素子41a、41bの第1端子の電圧を制御部50で検出できる。
【0034】
また、抵抗42a、42bの両端電圧は、制御部50でそれぞれ検出される。制御部50は、抵抗42a、42bの両端電圧を検出し、検出電圧に応じてスイッチング素子41a、41bをフィードバック制御する。これにより、スイッチング素子41a、41bのインピーダンスが変更され、LED40a、40bをそれぞれ定電流制御できる。
【0035】
なお、非常用照明装置100が備えるLED40a、40bの数は1つ以上であれば良い。また、LED40a、40bの一方のみが設けられても良い。
【0036】
非常点灯回路5は、昇圧型スイッチング回路で構成されている。非常点灯回路5は、外部電源ACの停電時または疑似停電時等の非常時に、電池250から電力を供給され、電池250の出力電圧を昇圧してLED40a、40bを点灯させる。
【0037】
非常点灯回路5の入力端にはコンデンサ51が並列に接続される。コンデンサ51の正極には、電池250の正極とコイル52の一端が接続される。コンデンサ51の負極は接地用端子に接続される。コイル52の他端は、ダイオード54のアノードに接続される。ダイオード54のカソードはコンデンサ55の正極に接続される。コンデンサ55の負極はコンデンサ51の負極に接続される。つまり、コンデンサ51と並列に、コイル52、ダイオード54、コンデンサ55の順で接続された直列回路が接続されている。また、コンデンサ55の正極には、LED40a、40bのアノード側が接続される。
【0038】
コイル52とダイオード54の接続点と接地用端子との間には、スイッチング素子53が接続されている。スイッチング素子53の第1端子は、ダイオード54のアノードに接続される。スイッチング素子53の第2端子はコンデンサ51の負極に接続される。スイッチング素子53の制御端子は制御部50に接続される。スイッチング素子53は例えばMOSFETである。
【0039】
非常点灯回路5は電圧検出回路を備える。電圧検出回路は非常点灯回路5の出力電圧を検出する。電圧検出回路は、直列に接続された抵抗215と抵抗216から構成される。電圧検出回路はコンデンサ55と並列に接続される。抵抗215と抵抗216の分圧値は制御部50に入力される。これにより、制御部50は非常点灯回路5の出力電圧を検出する。制御部50は電圧検出回路の検出電圧に応じて非常点灯回路5をフィードバック制御する。これにより、非常点灯回路5の定電圧制御が実現される。
【0040】
電源生成回路6は制御部50の電源を生成する。電源生成回路6は、ダイオード61、レギュレータ62、63およびリセット回路64を備える。ダイオード61のアノードは電解コンデンサ214の正極に接続される。電解コンデンサ214には常用電源回路2の出力電圧が印加される。ダイオード61のカソードと接地用端子との間にはレギュレータ62が接続される。
【0041】
また、コンデンサ55の正極は、レギュレータ62の入力に接続される。コンデンサ55には非常点灯回路5の出力電圧が印加される。
【0042】
レギュレータ62は電圧を安定させるために設けられる。レギュレータ62により電圧Vcc2が生成される。この電圧は制御部50に供給される。常用時は常用電源回路2が動作しているため、レギュレータ62は、ダイオード61を介して常用電源回路2の出力電圧から電源を生成する。非常時は非常点灯回路5が動作しているため、レギュレータ62は、非常点灯回路5の出力電圧から電源を生成する。
【0043】
電源生成回路6は、さらに電圧Vcc1を生成するレギュレータ63を有しても良い。電圧Vcc1は、例えば後述する赤外線センサ74に電源として供給される。
【0044】
制御回路7は、疑似停電用のスイッチ71、72と、寿命情報などのリセットを行うリセットスイッチ73を備える。また、制御回路7は、リモコン受信用の赤外線センサ74と、表示用LED75を備える。スイッチ71、72、リセットスイッチ73、赤外線センサ74および表示用LED75は制御部50に接続される。スイッチ71、72、リセットスイッチ73、赤外線センサ74および表示用LED75からの信号は、それぞれ制御部50に入力される。これらの信号を制御部50で処理することで、疑似停電状態を発生させることができる。従って、外部電源ACの停電時に非常用照明装置100が正常動作可能か否かを確認できる。
【0045】
図2は、実施の形態1に係る制御部50および充電回路3の回路ブロック図である。制御部50によって充電電流を定電流制御する方法について説明する。ここでは、制御部50の離散時間を連続時間に変換した仮想空間を用いて、定電流制御の原理を説明する。制御部50でのフィードバック制御には、例えばPI(Proportional-Integral)制御を適用できる。PI制御はCPU等の負荷軽減の観点で優れている。
【0046】
フィードバック制御はPI補償器で実現できる。図2では便宜上、オペアンプを有するアナログ回路によってPI補償器の構成を説明している。仮想アンプ93aであるオペアンプの入力には抵抗90cが接続される。オペアンプの入力と抵抗90cとの接続点と、仮想アンプ93aの出力との間には、コンデンサ90aと抵抗90bの直接回路が接続される。
【0047】
電池250の正極には抵抗37、38の直列回路の一端が接続される。抵抗37、38の直列回路の他端は電池250の負極に接続される。電池250の両端に印加される電池電圧は、抵抗37、38で分圧され、制御部50に入力される。なお、抵抗37、38は図1では省略されている。抵抗38に印加される電圧に対応するアナログ信号は、A/D変換器91でデジタル化される。これにより、電池電圧に対応する第1デジタル値Vbatが得られる。
【0048】
図3は、実施の形態1に係る制御部50の構成を説明する図である。制御部50は各種の演算を行うCPU50aと、記憶部であるメモリ50bと、タイマ50cを備える。メモリ50bには、予めテーブル92が書き込まれている。制御部50は、テーブル92を記憶している。メモリ50bは、例えば不揮発性メモリから構成される。
【0049】
テーブル92は電池電圧と基準電圧との対応関係を示す。具体的には、テーブル92は、電池電圧に対応する第1デジタル値Vbatと、基準電圧に対応する第2デジタル値Ibatとの対応関係を示す。ここで、基準電圧は、電池250と抵抗34が形成する直列回路の両端に印加される電圧の目標値である。第2デジタル値Ibatの算出方法については後述する。制御部50は、テーブル92を参照して電池電圧を基準電圧に変換する。つまり、第1デジタル値Vbatは第2デジタル値Ibatに変換される。第2デジタル値Ibatは比較器である仮想アンプ93aの一方の入力に入力される。
【0050】
一方、電池250と抵抗34が形成する直列回路の両端に印加される電圧は、抵抗35、36で分圧され、制御部50に入力される。抵抗35、36で検出される検出電圧は、スイッチング素子33の第2端子の電圧である。抵抗36に印加される電圧に対応するアナログ信号は、A/D変換器94でデジタル化される。このデジタル値は、抵抗90cを介して仮想アンプ93aの他方の入力に入力される。
【0051】
仮想アンプ93aは、電池250と抵抗34が形成する直列回路の両端に印加される電圧である検出電圧と、基準電圧との比較を行う。比較結果は、オシレータ95と仮想アンプ96を用いてPWM(Pulse Width Modulation)信号に変換される。仮想アンプ96は、例えばオシレータ95が出力する信号のデューティ比を、仮想アンプ93aの比較結果に応じて変化させる。つまり、仮想アンプ96は仮想アンプ93aの出力とオシレータ95の出力を比較し、オン時間を決定する。このオン時間を有するPWM信号は、PWM信号出力部90dを介して制御部50から出力される。
【0052】
PWM信号は、PWM信号出力部90dおよび平均化回路である抵抗97、コンデンサ98を介して、スイッチング素子33の制御端子に入力される。スイッチング素子33は、PWM信号に応じてスイッチングする。なお、図2ではトランジスタ77a、抵抗77b、77cは省略されている。
【0053】
PWM信号のデューティ比は、第1デジタル値と第2デジタル値の差分を小さくするように設定される。従って、検出電圧と基準電圧との差分を小さくするように、充電電流が制御される。
【0054】
テーブル92は、各電池電圧値に対して、充電回路3から電池250へ流れる充電電流を目標値と一致させる基準電圧を与える。このため、上記の制御により、充電電流と充電電流の目標値との差分が小さくなる。従って、制御部50は、充電電流が目標値と一致するように充電回路を制御することとなる。
【0055】
例えば、何かしらの要因によって、充電電流が減少した場合、テーブル92によって基準電圧が増加する。この結果、制御部50から出力されるPWM信号のオン時間が広がる。これにより、スイッチング素子33のインピーダンスが低下し、充電電流の減少分を補うことができる。従って、スイッチング素子33のベース電流が制御され、定電流制御を実現できる。
【0056】
次に、テーブルに書き込む値について説明する。図4は、実施の形態1に係るテーブル92の一例を示す図である。以下で、Vr34~Vr38はそれぞれ抵抗34~38に印加される電圧である。また、R34~R38はそれぞれ抵抗34~38の抵抗値である。充電電流IBATは以下の式(1)で表される。
【0057】
【数1】
【0058】
Vr34は、Vr35とVr36の和からVr37とVr38の和を引いたものである。このため、Vr34は以下の式(2)で表される。ここで、Vccは制御部50の電源電圧である。また、デジタル値は10bitで表されるものとする。
【0059】
【数2】
【0060】
式(1)、(2)より充電電流IBATは、以下の式(3)で表される。
【0061】
【数3】
【0062】
よって、この充電電流IBATが目標値と一致するような第1デジタル値Vbat[bit]と第2デジタル値Ibat[bit]の組み合わせを、制御部50に書き込めば良い。
【0063】
図4には、第1テーブルと第2テーブルが示されている。第1テーブルでは、充電電流IBATが0.025Aとなる第1デジタル値Vbat[bit]と第2デジタル値Ibat[bit]の組み合わせが与えられている。第2テーブルでは、充電電流IBATが0.016Aとなる第1デジタル値Vbat[bit]と第2デジタル値Ibat[bit]の組み合わせが与えられている。
【0064】
次に、充電電流を切り換えるための方法について説明する。制御部50のメモリ50bには、充電の開始から電池250が満充電となるまでの時間である充電時間が予め書き込まれている。また、制御部50は電池250の充電を開始すると、充電の開始からの経過時間をタイマ50cを用いてカウントする。
【0065】
メモリ50bには第1テーブルと第2テーブルが記憶されている。第1テーブルと第2テーブルは、それぞれ電池電圧と基準電圧との対応関係を示す。第2テーブルは、充電電流の目標値が第1テーブルよりも低い。つまり、第2テーブルは、各電池電圧に対して、充電電流を第1テーブルよりも低い目標値と一致させる基準電圧を与える。
【0066】
充電の開始からの経過時間が充電時間に満たない場合、制御部50は第1テーブルを参照して電池電圧を基準電圧に変換し、充電電流を定電流制御する。
【0067】
充電の開始から充電時間が経過すると、制御部50は第1テーブルを第2テーブルに切り替える。このため、充電時間の経過後は、第2テーブルを参照して電池電圧を基準電圧に変換する。これにより、充電時間の経過前と比較して充電電流の目標値が低下する。従って、電池250が満充電となった後は、満充電となる前と比較して充電電流が低くなる。
【0068】
非常用照明装置100は例えば誘導灯である。誘導灯は、不特定多数の人が集まる場所での火災、地震、その他の災害、事故の際に生じる停電時に、その場にいる人々が安全に避難できるように誘導をするために設けられる。非常用照明装置100では、常用時は外部電源ACからの電力で電池250を充電し、外部電源ACが停電した場合などの非常時には電池250からの電力で光源を点灯させる。
【0069】
誘導灯において、常用時に電池を満充電したあと、電池を充電し続けても電池には蓄電されない。このため、充電の電力は熱となって消費される。即ち、無駄な電力が消費される。また、電力が熱となることで、電池の周囲温度が上昇するおそれがある。このため、電池の寿命に悪影響を与える可能性がある。
【0070】
これに対し本実施の形態の非常用照明装置100では、制御部50は充電の開始から予め定められた充電時間が経過すると、充電電流の目標値を低下させる。従って、消費電力を抑制できる。
【0071】
さらに、本実施の形態ではテーブル92の置き換えにより充電電流を変更できる。このため、充電電流の変更のために電流経路を切り替える必要がない。つまり、充電電流の切り替えのためにスイッチおよび複数の電流経路を設ける必要がない。このため、部品数の増加を抑制して充電電流を変更できる。従って、製品の小型化、低コスト化および高性能化を実現できる。
【0072】
また、本実施の形態ではメモリ50bに複数のテーブルが書き込まれ、複数のテーブルのうち使用するテーブルを変更することで、容易に充電電流の目標値を変更できる。従って、充電電流を任意に精度よく変更できる。
【0073】
また、一般に非常点灯装置では、電池電圧の状態をモニタして電池の異常の有無を判断することがある。この点、本実施の形態では抵抗37、38で電池電圧を検出できる。このため、電池電圧を検出し易く、電池電圧の検出誤差を抑制できる。これに対し、後述する実施の形態2のような構成では、電池電圧は常用電源回路2の出力電圧とスイッチング素子83のコレクタ電圧との差分となる。このため、電池電圧を検出しにくいおそれがある。
【0074】
また、本実施の形態では非常点灯回路5と常用電源回路2の基準電位を同じにすることができる。これにより、非常点灯回路5と常用電源回路2の電圧検出を1つの制御部50で実施することができる。これに対し、後述する実施の形態2のように電池250の負極側に充電回路を設け、電池250の両端に非常点灯回路5を形成すると、非常点灯回路5と常用電源回路2の基準電位が一致しないおそれがある。
【0075】
また、電池250の負極側に充電回路を構成し、充電回路を含めて非常点灯回路5を構成すると、電池250からの放電電流が充電回路を通ることが考えられる。このとき、損失が大きくなるおそれがある。これに対し本実施の形態では、充電回路3は電池250の正極側に設けられる。このため、充電回路3による放電電流の損失を抑制できる。
【0076】
本実施の形態では、充電電流を2段階で変更した。これに限らず、充電電流は3段階以上で制御されても良い。この場合、メモリ50bにはテーブルが3つ以上記憶される。また、テーブルの切り替えのタイミングは満充電時では無くても良い。例えば電池電圧が予め定められた電圧となるタイミングで、テーブルが切り替えられても良い。
【0077】
また、用途によっては、予め定められた時間の経過後に充電電流の目標値を増加させても良い。
【0078】
また、制御部50からの出力を、スイッチング素子33がオフする領域にすることで、イレギュラー時に充電を停止しても良い。これにより、電池250を安全に充電できる。
【0079】
本実施の形態の電源装置は、非常用照明装置100に限らず、電池250を充電する機能を有するあらゆる装置に適用できる。
【0080】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る電源装置および非常用照明装置について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る電源装置および非常用照明装置については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0081】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る充電回路803の回路ブロック図である。本実施の形態では、電池250の負極側に充電回路803を構成している。
【0082】
トランス220の二次側のフォワード巻きの出力には、安定した電圧を伝達するためのダイオード31、電解コンデンサ32を介して電池250の正極が接続される。電池250の負極には、スイッチング素子83の第1端子が接続される。スイッチング素子83の第2端子には抵抗84の一端が接続される。抵抗84の他端には接地用端子が接続される。電池250、スイッチング素子83および抵抗84は直列に接続される。
【0083】
スイッチング素子83は、例えばトランジスタである。スイッチング素子83の制御端子は制御部50に接続される。制御部50はスイッチング素子83のオンオフを制御する。
【0084】
また、スイッチング素子83の第1端子には、抵抗81、82の直列回路の一端が接続される。抵抗81、82の直列回路の他端は、抵抗84の他端に接続される。スイッチング素子83と抵抗84の直列回路の両端電圧は、抵抗81、82で分圧され制御部50に入力される。これにより制御部50の検出端子の電圧を監視できる。従って、検出端子の電圧が上昇し過ぎることを防止できる。
【0085】
また、抵抗84の一端は制御部50に接続される。制御部50は、抵抗84の両端に印加される電圧を検出電圧として検出する。電池250と直列に接続された抵抗84には充電電流が流れる。このため、抵抗84からは充電電流に対応する検出電圧が得られる。
【0086】
メモリ50bには充電電流の目標値に対応する目標電圧が予め書き込まれている。制御部50は、検出電圧が目標電圧と一致するように充電電流を制御する。つまり、制御部50は、抵抗84に印加される電圧が一定になるようにスイッチング素子83を制御する。これより、テーブルを使用することなく、定電流を実現できる。
【0087】
次に、本実施の形態における充電電流を切り換えるための方法について説明する。本実施の形態においても、制御部50のメモリ50bには、電池250が満充電となるまでの時間である充電時間が予め書き込まれている。また、制御部50は充電の開始からの経過時間を、タイマ50cを用いてカウントする。
【0088】
メモリ50bには第1目標電圧と第2目標電圧が記憶されている。第2目標電圧は、第1目標電圧よりも低い。
【0089】
充電の開始からの経過時間が充電時間に満たない場合、制御部50は第1目標電圧と検出電圧とが一致するように、充電電流を定電流制御する。
【0090】
充電の開始から充電時間が経過すると、制御部50は第1目標電圧を第2目標電圧に切り替える。このため、制御部50は第2目標電圧と検出電圧とが一致するように、充電電流を定電流制御する。
【0091】
本実施の形態では、制御部50は充電時間が経過すると目標電圧を低下させる。従って、電池250が満充電となった後は、満充電となる前と比較して充電電流が低くなる。このように本実施の形態においても、切り換え用の部品を追加することなく、充電電流を変更できる。
【0092】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 入力フィルタ回路、2 常用電源回路、3 充電回路、4 点灯回路、5 非常点灯回路、6 電源生成回路、7 制御回路、10 ユニット、11 ヒューズ、12 コンデンサ、13 ダイオードブリッジ、14 消灯信号検出回路、15 フォトカプラ、31 ダイオード、32 電解コンデンサ、33 スイッチング素子、34~38 抵抗、41a、41b スイッチング素子、42a、42b 抵抗、43a、43b 抵抗、50 制御部、50b メモリ、50c タイマ、51 コンデンサ、52 コイル、53 スイッチング素子、54 ダイオード、55 コンデンサ、61 ダイオード、62、63 レギュレータ、64 リセット回路、71 スイッチ、73 リセットスイッチ、74 赤外線センサ、77a トランジスタ、77b、77c、81 抵抗、83 スイッチング素子、84 抵抗、90a コンデンサ、90b、90c 抵抗、90d PWM信号出力部、91 A/D変換器、92 テーブル、93a 仮想アンプ、94 A/D変換器、95 オシレータ、96 仮想アンプ、97 抵抗、98 コンデンサ、99 抵抗、100 非常用照明装置、201、202 コンデンサ、203 抵抗、204 ダイオード、205 スイッチング素子、207 フォトカプラ、208、209 ダイオード、211 入力電圧検出回路、212 フォトカプラ、213 コンデンサ、214 電解コンデンサ、215、216 抵抗、220 トランス、250 電池、803 充電回路、AC 外部電源、200 制御IC、75 表示用LED、SW スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5