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  • 特許-防護容器、計測システム及び計測方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】防護容器、計測システム及び計測方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20230613BHJP
   G01L 1/22 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
E21D11/10 Z
G01L1/22 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019172830
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050487
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中岡 健一
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-327172(JP,A)
【文献】実開平04-001298(JP,U)
【文献】特開平09-229783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0126479(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0300832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
G01L 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製支保工に取り付けられたセンサからの計測値を取得する通信装置を収納する防護容器であって、
地下空間を支持し、吹付けコンクリートに埋設される前記鋼製支保工に密接可能な防護側面と、
前記防護側面で囲まれ、前記通信装置を収納可能な内部空間と、
前記防護側面に一部が接続され、前記内部空間から前記通信装置を取り出し可能な蓋部とを備えたことを特徴とする防護容器。
【請求項2】
前記防護側面の側面部は、H形鋼からなる前記鋼製支保工のフランジ間の距離に応じた高さを有することを特徴とする請求項1に記載の防護容器。
【請求項3】
前記蓋部は、切欠きを備え、前記切欠きを破断させることにより前記内部空間を開口可能にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の防護容器。
【請求項4】
前記防護側面を、前記吹付けコンクリートの強度以上のコンクリート材料で構成したことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の防護容器。
【請求項5】
鋼製支保工に取り付けられたセンサからの計測値を出力する計測システムであって、
地下空間を支持し、吹付けコンクリートに埋設される鋼製支保工に密接可能な防護側面と、
前記防護側面で囲まれ、通信装置を収納可能な内部空間と、
前記防護側面に一部が接続され、前記内部空間から前記通信装置を取り出し可能な蓋部とを備えた防護容器と、
前記通信装置から取得した情報を出力する評価装置とを備えたことを特徴とする計測システム。
【請求項6】
鋼製支保工に取り付けられたセンサからの計測値を出力する計測システムを用いた計測方法であって、
地下空間を支持し、吹付けコンクリートに埋設される鋼製支保工に密接可能な防護側面と、前記防護側面で囲まれ、通信装置を収納可能な内部空間と、前記防護側面に一部が接続され、前記内部空間から前記通信装置を取り出し可能な蓋部とを備えた防護容器を、前記鋼製支保工の隙間に挿入し、
前記センサにより計測値を前記通信装置に送信させ、
前記計測値の計測後に、前記蓋部を開放して前記通信装置を前記内部空間から取り出し、
前記内部空間に間詰め材を挿入することを特徴とする計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル等の工事に用いる鋼製支保工における計測値を取得するための防護容器、計測システム及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル工事では、掘削に伴い地山の安定性を確認するため、日常の観察・計測項目として内空変位計測や地表面沈下測定等が実施される(A計測)。地山条件に応じ、鋼製支保工の適合性を判断する必要が生じた場合は、地中変位測定やロックボルトの軸力測定等が実施される(B計測)。土被りが小さく地山強度比が小さい場合や膨張性を有する地山の場合には、鋼製支保工に大きな土圧が生じる可能性がある。このため、鋼製支保工の安定性と妥当性を寸法やピッチ等で確認することを目的とした鋼製支保工のひずみ計測(応力測定)を実施することもある。
【0003】
例えば、トンネル等の構造物の内空変位を計測し、構造物の変状を監視する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に開示された技術においては、構造物の内側に内空変位センサである梁の一端を固定し、梁の表面にひずみ計測が可能な装置を設置し、計測されたひずみから、構造物の鉛直方向および水平方向の変位を算出する。そして、内空変位センサに取り付けられたひずみ検出用デバイスの信号をひずみ計測装置が取得する。
【0004】
また、地震時のトンネルの覆工挙動をリアルタイムに把握するための計測システムも検討されている(例えば、特許文献2参照。)。この文献に開示されたトンネル覆工挙動の計測システムでは、トンネルの覆工表面に歪みゲージを有するセンサと、このセンサに接続される無線送信装置とを配置する。そして、無線送信装置からのトンネルの覆工表面の変状情報をトンネルの外で無線受信装置により受信し、トンネル覆工変状情報解析装置で覆工表面の変状情報を解析する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-047629号公報
【文献】特開2009-300323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鋼製支保工のひずみ計測を行なう場合、鋼製支保工に設置されたひずみゲージをデータロガーに接続する。鋼製支保工建込み直後からひずみ計測を開始する場合、掘削の影響が及ばない後方まで配線を養生しながら伸ばして、データロガーに接続する必要がある。この場合、手間と費用を要していた。また、掘削した直後の切羽での作業となるため、肌落ち等の対策も必要である。鋼製支保工建込み直後から、大きなひずみが発生することがあり、ひずみの計測が遅れた場合、追加のロックボルトの打設等、迅速な対策が困難であった。また、鋼製支保工の変形は目視では判断し難いため、坑内からの緊急退避等の対策も難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための防護容器は、鋼製支保工に取り付けられたセンサからの計測値を取得する通信装置を収納する。そして、地下空間を支持し、吹付けコンクリートに埋設される鋼製支保工に密接可能な防護側面と、前記防護側面で囲まれ、前記通信装置を収納可能な内部空間と、前記防護側面に一部が接続され、前記内部空間から前記通信装置を取り出し可能な蓋部とを備える。
【0008】
上記課題を解決するための計測システムは、鋼製支保工に取り付けられたセンサからの計測値を出力する。そして、地下空間を支持し、吹付けコンクリートに埋設される鋼製支保工に密接する防護側面と、前記防護側面で囲まれ、通信装置を収納可能な内部空間と、前記防護側面に一部が接続され、前記内部空間から前記通信装置を取り出し可能な蓋部とを備えた防護容器と、前記通信装置から取得した情報を出力する評価装置とを備える。
【0009】
上記課題を解決するための計測方法は、鋼製支保工に取り付けられたセンサからの計測値を出力する計測システムを用いる。そして、地下空間を支持し、吹付けコンクリートに埋設される鋼製支保工に密接可能な防護側面と、前記防護側面で囲まれ、通信装置を収納可能な内部空間と、前記防護側面に一部が接続され、前記内部空間から前記通信装置を取り出し可能な蓋部とを備えた防護容器を、前記鋼製支保工の隙間に挿入し、前記センサにより計測値を前記通信装置に送信させ、前記計測値の計測後に、前記蓋部を開放して前記通信装置を前記内部空間から取り出し、前記内部空間に間詰め材を挿入する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、鋼製支保工における計測値を効率的かつ安全に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の防護容器の斜視図。
図2】本実施形態の防護容器の六面図であって、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は上面図、(e)は背面図、(f)は底面図、(g)はA-A線切断における断面図。
図3】本実施形態の防護容器の使用方法の説明図であって、(a)はH形鋼への挿入前、(b)は挿入後の説明図。
図4】本実施形態の防護容器を取り付けた鋼製支保工の説明図。
図5】本実施形態の計測システムの説明図。
図6】本実施形態の計測作業の説明図であって、(a)はひずみゲージの取付、(b)はひずみ計測装置の収納、(c)は防護容器の取付の説明図。
図7】本実施形態の計測作業の説明図であって、(a)は計測後の防護容器の開口、(b)はひずみ計測装置の取り出し及び間詰めブロックの収納、(c)は工事終了後の状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図7を用いて、防護容器、計測システム及び計測方法を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、地下空間としてのトンネルの工事に用いる鋼製支保工のひずみを計測するための防護容器、計測システム、計測方法として説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態では、ひずみの計測時に防護容器10を用いる。この防護容器10は、吹付けコンクリートと同じ強度を有する筐体(例えば、コンクリート材料製)からなり、防護側面としての側面部11,12、底面部13、蓋部14、背面部15を備える。そして、側面部11~背面部15により、内部空間16が形成される。
【0014】
図2は、防護容器10の六面図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は左側面図、図2(c)は右側面図、図2(d)は上面図、図2(e)は背面図、図2(f)は底面図である。
側面部11,12は、高さ:約140mm、奥行:約180.5mm、厚さ:約50mmである。
【0015】
底面部13は、側面部11,12の間に設けられており、幅:約160mm、奥行:約100mm、厚さ:約20mmである。
蓋部14は、側面部11,12の間に設けられており、背面部15に接続する。蓋部14の大きさは、幅:約150mm、奥行:約60mm、厚さ:約10mmである。この蓋部14と、側面部11,12の間には、内部空間16の両端辺に沿って、幅:約5mmのスリット14aが設けられている。
【0016】
図2(g)は、A-A線切断における断面図である。蓋部14の背面部15側には、切欠き14bが設けられている。
背面部15は、側面部11,12に接続して設けられており、高さ:約140mm、幅:約160mm、厚さ:約50mmである。
【0017】
図3(a)に示すように、この防護容器10は、高さ150mmのH形鋼40からなる鋼製支保工に対して用いられる。防護容器10の内部空間16には、ひずみ計測装置20を収納する。このひずみ計測装置20は、H形鋼40(鋼製支保工)のウェブに取り付けられたひずみゲージ30と、配線により接続される。このひずみゲージ30は、H形鋼40の表面において、印加された応力(ひずみ)に応じて物性値(本実施形態では抵抗値)が変化するセンサである。
【0018】
防護容器10の内部空間16にひずみ計測装置20を収納するため、内部空間16の高さh1は、ひずみ計測装置20の高さより僅かに高い。また、蓋部14の奥行d1は、ひずみ計測装置20の奥行よりも長い。また、側面部11,12において、蓋部14よりも正面側の奥行d2は、H形鋼40のフランジの片側長d4よりも僅かに短い。また、側面部11,12において、蓋部14よりも正面側の高さh3は、H形鋼40のウェブの高さh4よりも僅かに低い。この形状により、防護容器10を、H形鋼の上下フランジ、ウェブにほぼ密着させることができる。
【0019】
そして、図3(b)に示すように、ひずみ計測装置20を収納した防護容器10を、H形鋼40のフランジ間に挿入すると、側面部11,12の先端部がH形鋼40のウェブに当接する。また、底面部13を、フランジ内面に当接させると、蓋部14の先端面が一方のフランジの側面に当接する。
【0020】
図4に示すように、H形鋼40は、コンクリートで覆工するまで掘削面が崩れないように土圧を支えるため、トンネルの形状に合わせて配置される。そして、ひずみ計測装置20を収納した防護容器10を、トンネル内に設けるH形鋼40に複数箇所に配置する。配置場所としては、例えば、天井側、両側面の3ヶ所を用いる。この場合、図4において、矢印の方向に、防護容器10の蓋部14が配置されるように挿入する。なお、防護容器10は、トンネル工事における切羽の反対側(入口側)に配置する。
【0021】
(計測システム)
図5を用いて、ひずみ計測装置20を用いた計測システムS1を説明する。計測システムS1は、ひずみ計測装置20、ひずみゲージ30、評価装置50を備える。
【0022】
ひずみ計測装置20は、ブリッジ21、アンプ22、通信制御ユニット23、無線ユニット24、バッテリ25を備える。
ブリッジ21は、ひずみゲージ30を1つの抵抗として用いて、ひずみの変化に応じた抵抗値を計測する回路(例えば、ホイートストンブリッジ)である。
【0023】
アンプ22は、ブリッジ21の出力信号の強度を増幅する。
通信制御ユニット23は、出力信号を無線信号に変換する。
無線ユニット24は、アンテナを介して、無線信号を送信する。本実施形態では、920MHz帯の周波数を用いることにより、約20m程度の通信距離を確保する。
【0024】
バッテリ25は、アンプ22、通信制御ユニット23、無線ユニット24に電源を供給する。本実施形態では、ひずみ計測装置20の設置から24時間後までは1分間隔、24時間以降は10分間隔で無線信号を送信し、1ヵ月以上の持続時間を確保できる容量のバッテリを用いる。
なお、ひずみ計測装置20の筐体は、防塵性能・防水性能としてIP67対応とする。
【0025】
評価装置50は、無線ユニット51、通信制御ユニット52、解析ユニット53を備える。この評価装置50は、例えば、ドリルジャンボ(登録商標)等のトンネル工事用機械等の掘削装置に設置される。
【0026】
ひずみ計測装置20から送信された無線信号は、評価装置50の無線ユニット51で受信する。この無線ユニット51は、ひずみ計測装置20の無線ユニット24から20m以内の位置に設けられる。そして、通信制御ユニット52は、無線信号を、ひずみ強度に関わる出力信号に変換する。
【0027】
解析ユニット53は、出力信号に基づいて、鋼製支保工(H形鋼40)のひずみ状況を解析するコンピュータ端末である。解析ユニット53は、ひずみ状況が基準値を超えた場合には、アラームを出力する。
【0028】
(計測方法)
まず、図6(a)に示すように、鋼製支保工の建込前に、H形鋼40の所望の位置に、ひずみゲージ30を取り付ける。そして、ひずみゲージ30からの配線をひずみ計測装置20に接続する。
【0029】
次に、図6(b)に示すように、ひずみ計測装置20を、防護容器10の内部空間16に収納する。この場合、ひずみ計測装置20の電源を入れて起動させておく。
次に、図6(c)に示すように、側面部11,12を、H形鋼40のフランジ間に挿入する。そして、側面部11,12の先端部を、H形鋼40のウェブに当接させる。この場合、蓋部14の先端部をH形鋼40のフランジに当接させる。更に、防護容器10の脱落を防止するために、結束バンド等を用いて、防護容器10をH形鋼40に固定する。
【0030】
トンネル工事では、削孔、装薬、発破、ずり出し、支保工建込、吹付けコンクリート、コンクリートによる覆工が、順次、行なわれる。そして、ひずみ計測装置20が固定されたH形鋼40を、鋼製支保工として坑内に建て込む。この建込み段階から、計測システムS1により、ひずみの計測を開始する。この場合、ひずみ計測装置20は、吹付けコンクリートにより、蓋部14の表面以外はコンクリートに埋め込まれる。
【0031】
所定期間の計測を終了した場合、ひずみ計測装置20を回収する。この場合、蓋部14をハンマ等で打撃し、切欠き14bを破断する。
図7(a)に示すように、スリット14a、破断した切欠き14bによって、防護容器10から蓋部14が分離されるので、蓋部14を取り外し、内部空間16のひずみ計測装置20を露出させる。
【0032】
図7(b)に示すように、内部空間16からひずみ計測装置20を取り出す。次に、内部空間16に間詰めブロック60を挿入する。この間詰めブロック60は吹付けコンクリートと同じ強度を備えている。間詰めブロック60の高さh5は、間詰めブロック60の挿入時に、上面が防護容器10の底面部13から蓋部14の上端(H形鋼40のフランジの上面)で、高さh2(図3)と同じになるように構成される。間詰めブロック60の奥行きは、蓋部14の奥行きと同じである。間詰めブロック60は、先端から後端に高くなった返し部61を備える。
【0033】
図7(c)に示すように、内部空間16に間詰めブロック60を挿入した場合、この返し部61がH形鋼40のフランジに掛かって固定される。この間詰めブロック60の上面、防護容器10の側面部11,12、背面部15の上面は、吹付けコンクリートと同じ高さとなる。
【0034】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、ひずみ計測装置20を収納した防護容器10を、H形鋼40のフランジ間に挿入する。これにより、ひずみ計測装置20について、発破時の防爆や、重機からの防護、吹付けコンクリートからの防護を確保することができる。この防護容器10は、吹付けコンクリートと同じ材質で構成することにより、吹付けコンクリートと同等の強度を有するとともに、吹付けコンクリートになじみやすい。
【0035】
(2)本実施形態では、ひずみ計測装置20は、H形鋼40のウェブに取り付けられたひずみゲージ30で計測したひずみに関する情報を無線送信する。これにより、鋼製支保工の建込み直後からひずみ計測を開始できる。ひずみ計測装置20からの評価装置50までの配線が不要であるため、効率的に計測を行なうことができる。また、ひずみ計測装置20の設置や配線の作業時の肌落ち災害等も防止できる。従って、鋼製支保工の妥当性を早期に判断できる。そして、鋼製支保工が不安定化すると判断した場合、追加のロックボルトを打設する等の対策を図ることができる。
【0036】
(3)本実施形態では、蓋部14と、側面部11,12の間には、内部空間16の両端辺に沿ってスリット14aが設けられている。これにより、ひずみ計測装置20の電波を送出し易くできる。
【0037】
(4)本実施形態では、蓋部14の背面部15側には、切欠き14bが設けられている。これにより、蓋部14の固定のための突起物がないため、効率的にコンクリートの吹き付け作業を行なうことができる。
【0038】
更に、計測終了後に、スリット14a、切欠き14bにより、蓋部14を容易に開放できる。ボルト締め等で蓋部14を閉じると、吹付けコンクリートが付着するとボルトが回せなくなる可能性があるが、打撃等で蓋部14を取り外すことができ、ひずみ計測装置20を容易に回収できるので、コスト軽減を図ることができる。
【0039】
(5)本実施形態では、鋼製支保工の建込前に、H形鋼40へのひずみゲージ30を取り付け、ひずみ計測装置20を収納した防護容器10の固定を行なう。これにより、天井付近でひずみを計測する場合にも、高所作業を減らすことができる。
【0040】
(6)本実施形態では、防護容器10の内部空間16からひずみ計測装置20を取り出し、内部空間16に間詰めブロック60を挿入する。これにより、覆工時の巻き厚を確保することができる。更に、間詰めブロック60は返し部61を備えるので、強固に固定できる。
【0041】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、地下構造物はトンネルに限定されるものではない。コンクリートに埋め込まれる鋼製支保工を用いる構造物であればよい。
【0042】
・上記実施形態では、支保工としてH形鋼40を用いるが、支保工の形状はH形鋼に限定されるものではなく、コンクリートに埋設される鋼製支保工に適用することができる。例えば、溝形鋼に用いてもよい。
・上記実施形態では、無線ユニット24は、アンテナを介して、無線信号を送信する。これに代えて、鋼製支保工を通信媒体として利用してもよい。この場合には、ひずみ計測装置20の出力信号の出力部を鋼製支保工に電気的に接続し、この鋼製支保工を介して、出力信号を外部に出力する。
【0043】
・上記実施形態では、計測対象は工事時に計測可能な情報であれば、ひずみに限定されない。
・上記実施形態では、防護容器10は、吹付けコンクリートと同じ強度を有する筐体(例えば、コンクリート材料製)からなる。この筐体は、吹付けコンクリートと同等以上の強度を有する材料であれば、コンクリートに限定されるものではない。例えば、鋼製や樹脂製の筐体を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…防護容器、11,12…側面部、13…底面部、14…蓋部、14a…スリット、14b…切欠き、15…背面部、16…内部空間、20…ひずみ計測装置、21…ブリッジ、22…アンプ、23…通信制御ユニット、24…無線ユニット、25…バッテリ、30…ひずみゲージ、40…H形鋼、50…評価装置、51…無線ユニット、52…通信制御ユニット、53…解析ユニット、60…間詰めブロック、61…返し部、S1…計測システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7