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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230613BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G05D1/02 G
B65G1/04 555Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019175575
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021051674
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 繁行
(72)【発明者】
【氏名】岸 遼司
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-41409(JP,A)
【文献】特開平4-24707(JP,A)
【文献】特開2007-279936(JP,A)
【文献】特開昭48-100869(JP,A)
【文献】特開2012-203788(JP,A)
【文献】特開2004-258989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行して物品を搬送する物品搬送車を備えた物品搬送設備であって、
前記物品搬送車は、前記物品搬送車の走行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、前記幅方向の両側に設置された被検出体を検出すると共に前記被検出体に保持された情報を読み取る検出装置を備え、
前記被検出体は、第1被検出体、第2被検出体及び第3被検出体を含み、
前記第1被検出体は、前記走行経路に沿った位置を示すアドレス情報を保持していると共に前記幅方向の一方側である幅方向第1側に設置され、
前記第2被検出体は、前記物品搬送車が停止する停止位置である第1停止位置を示すように前記幅方向第1側に設置され、
前記第3被検出体は、前記第1停止位置とは異なる前記停止位置である第2停止位置を示すように前記幅方向の他方側である幅方向第2側に設置され、
前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、前記物品搬送車の前記走行方向において、前記物品搬送車が停止する前記停止位置よりも手前側の領域であって、前記物品搬送車の走行速度が前記停止位置において停止可能な速度であるか否かを確認するための確認領域をさらに示すように形成され、
前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、形状により少なくとも前記停止位置を示し、前記走行経路に沿って延在するように配置された帯状の標章であり、
前記検出装置は、前記第1被検出体を検出する第1検出装置と、前記第2被検出体を検出する第2検出装置と、前記第3被検出体を検出する第3検出装置とを含み、
前記第2検出装置及び前記第3検出装置は、光センサであり、
前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、当該標章が同一幅で連続する第1部分によって前記確認領域を示し、前記物品搬送車の前記走行方向において上流側に位置する当該標章の端部である上流側端部により前記確認領域の開始位置を示し、前記第1部分とは異なる幅を有する第2部分によって前記停止位置を示す、物品搬送設備。
【請求項2】
前記第1停止位置は、前記走行経路に対して前記幅方向第1側に設置されて物品を移載する第1物品移載箇所の位置に対応し、
前記第2停止位置は、前記走行経路に対して前記幅方向第2側に設置されて物品を移載する第2物品移載箇所の位置に対応している、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
1つの前記アドレス情報に対して、前記第1停止位置と前記第2停止位置とがそれぞれ割り当てられている、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
記第1検出装置及び前記第2検出装置は、前記物品搬送車の前記幅方向第1側に設置され、
前記第3検出装置は、前記物品搬送車の前記幅方向第2側に設置されている、請求項1から3の何れか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記物品搬送車が、前記走行経路に沿った両方向に走行可能な区間において、前記第2被検出体又は前記第3被検出体は、前記第1被検出体の前記走行経路に沿った両端部よりも内側に全体が含まれるように配置されている、請求項1から4の何れか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
走行経路に沿って走行して物品を搬送する物品搬送車を備えた物品搬送設備であって、
前記物品搬送車は、前記物品搬送車の走行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、前記幅方向の両側に設置された被検出体を検出すると共に前記被検出体に保持された情報を読み取る検出装置を備え、
前記被検出体は、第1被検出体、第2被検出体及び第3被検出体を含み、
前記第1被検出体は、前記走行経路に沿った位置を示すアドレス情報を保持していると共に前記幅方向の一方側である幅方向第1側に設置され、
前記第2被検出体は、前記物品搬送車が停止する停止位置である第1停止位置を示すように前記幅方向第1側に設置され、
前記第3被検出体は、前記第1停止位置とは異なる前記停止位置である第2停止位置を示すように前記幅方向の他方側である幅方向第2側に設置され、
前記第1停止位置は、前記走行経路に対して前記幅方向第1側に設置されて物品を移載する第1物品移載箇所の位置に対応し、
前記第2停止位置は、前記走行経路に対して前記幅方向第2側に設置されて物品を移載する第2物品移載箇所の位置に対応し、
1つの前記アドレス情報に対して、前記第1停止位置と前記第2停止位置とがそれぞれ割り当てられている、物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行して物品を搬送する物品搬送車を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-41409号公報には、物品搬送車(1)の1つの停止位置(第1設定位置)に対して、二次元バーコードにて構成された第1被検出体(T1)と、一次元バーコードにて構成された第2被検出体(T2)とを備えて、当該停止位置で物品搬送車(1)が自動的に停止するように制御される物品搬送設備が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。物品搬送車(1)の制御装置(H)は、物品搬送車(1)を第1設定位置に向けて走行させている際に、第2被検出体(T2)の存在を検出すると、物品搬送車(1)を減速させる停止処理を実行する。物品搬送車(1)が停止した第1設定位置が正しければ、第1被検出体(T1)が検出可能であるから、制御装置(H)は、物品搬送車(1)が停止した状態で第1被検出体(T1)が検出できるか否かを判定する。第1被検出体(T1)が正しい位置で検出されていれば、制御装置(H)は、第1検出被検出体(T1)に保持されたアドレス情報を確認する。第1被検出体(T1)が正しい位置で検出されなければ、制御装置(H)は、正しい位置まで物品搬送車(1)を移動させた後、アドレス情報を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-41409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の物品搬送設備では、第1被検出体と第2被検出体との2つの被検出体が対となって停止制御に用いられる。このため、第1被検出体に保持されたアドレス情報に対応する停止位置(第1設定位置)は1つとなる。つまり、物品の移載箇所に相当する停止位置は、1つのアドレス情報に対して1つしか設定することができないものとなっていた。このような場合において、移載箇所の増加に対応して被検出体の対を増やすと、設備のコストが増大したり、物品の搬送効率が低下したりする可能性がある。
【0005】
上記背景に鑑みて、走行経路のアドレス情報を保持する被検出体と物品搬送車を停止させるための基準となる被検出体とを備えて物品搬送車の走行を制御する物品搬送設備において、コストの増加及び搬送効率の低下を抑制しつつ、1つのアドレス情報に対応する複数箇所に物品搬送車を停止させることができる技術の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、走行経路に沿って走行して物品を搬送する物品搬送車を備えた物品搬送設備は、1つの態様として、
前記物品搬送車は、前記物品搬送車の走行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、前記幅方向の両側に設置された被検出体を検出すると共に前記被検出体に保持された情報を読み取る検出装置を備え、
前記被検出体は、第1被検出体、第2被検出体及び第3被検出体を含み、
前記第1被検出体は、前記走行経路に沿った位置を示すアドレス情報を保持していると共に前記幅方向の一方側である幅方向第1側に設置され、
前記第2被検出体は、前記物品搬送車が停止する停止位置である第1停止位置を示すように前記幅方向第1側に設置され、
前記第3被検出体は、前記第1停止位置とは異なる前記停止位置である第2停止位置を示すように前記幅方向の他方側である幅方向第2側に設置され、
前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、前記物品搬送車の前記走行方向において、前記物品搬送車が停止する前記停止位置よりも手前側の領域であって、前記物品搬送車の走行速度が前記停止位置において停止可能な速度であるか否かを確認するための確認領域をさらに示すように形成され、
前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、形状により少なくとも前記停止位置を示し、前記走行経路に沿って延在するように配置された帯状の標章であり、
前記検出装置は、前記第1被検出体を検出する第1検出装置と、前記第2被検出体を検出する第2検出装置と、前記第3被検出体を検出する第3検出装置とを含み、
前記第2検出装置及び前記第3検出装置は、光センサであり、
前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、当該標章が同一幅で連続する第1部分によって前記確認領域を示し、前記物品搬送車の前記走行方向において上流側に位置する当該標章の端部である上流側端部により前記確認領域の開始位置を示し、前記第1部分とは異なる幅を有する第2部分によって前記停止位置を示す。
【0007】
この構成によれば、幅方向第1側に設置された第1被検出体に保持されたアドレス情報に対応して、第1被検出体と同じ幅方向第1側に設置された第2被検出体と、第1被検出体とは反対側の幅方向第2側に設置された第3被検出体との2つにより、異なる停止位置が設定される。このように、第2被検出体と第3被検出体とが幅方向の両側に分かれて設置されるため、第2被検出体と第3被検出体とを搬送方向に接近させて配置した場合であっても、検出装置によるこれらの検出を適切に行うことが容易となっている。そして、物品搬送車が第2被検出体に示される第1停止位置で停止する場合は、第1被検出体に保持されたアドレス情報と第1停止位置との関係により物品搬送車が適切に制御される。また、物品搬送車が第3被検出体に示される第2停止位置で停止する場合は、第1被検出体に保持されたアドレス情報と第2停止位置との関係により物品搬送車が適切に制御される。このように、本構成によれば、走行経路のアドレス情報を保持する被検出体と物品搬送車を停止させるための基準となる被検出体とを備えて物品搬送車の走行を制御する物品搬送設備において、コストの増加及び搬送効率の低下を抑制しつつ、1つのアドレス情報に対応する複数箇所に物品搬送車を停止させることができる。
物品搬送車を停止位置で停止させるためには、停止位置よりも上流側で物品搬送車の走行速度が適切に減速されていることが好ましい。例えば、停止位置よりも上流側の規定された地点において物品搬送車の走行速度が規定速度以下であれば、物品搬送車を停止位置で適切に停止させることが容易となる。本構成によれば、この規定された地点を示す被検出体を別途設けることなく、停止地点を示す第2被検出体及び第3被検出体が、確認領域を示すように形成されている。従って、本構成の物品搬送設備は、コストの増加を抑制しつつ、適切に物品搬送車を制御することができる。
また、標章の形状の検出は、光センサにより構成された第2検出装置及び第3検出装置を用いて比較的簡単な構成で行うことができる。本構成によれば、第2被検出体及び第3被検出体が第1部分と第2部分とを備えることによって、簡単に確認領域と停止位置との双方を示すことができる。また、例えば画像処理によるエッジ検出は比較的負荷の軽い演算で可能であり、検出装置は、第1部分の上流側端部によって示される確認領域の開始位置を比較的容易に検出することができる。
【0008】
上記に鑑みた、走行経路に沿って走行して物品を搬送する物品搬送車を備えた物品搬送設備は、別の態様として、
前記物品搬送車は、前記物品搬送車の走行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、前記幅方向の両側に設置された被検出体を検出すると共に前記被検出体に保持された情報を読み取る検出装置を備え、
前記被検出体は、第1被検出体、第2被検出体及び第3被検出体を含み、
前記第1被検出体は、前記走行経路に沿った位置を示すアドレス情報を保持していると共に前記幅方向の一方側である幅方向第1側に設置され、
前記第2被検出体は、前記物品搬送車が停止する停止位置である第1停止位置を示すように前記幅方向第1側に設置され、
前記第3被検出体は、前記第1停止位置とは異なる前記停止位置である第2停止位置を示すように前記幅方向の他方側である幅方向第2側に設置され、
前記第1停止位置が、前記走行経路に対して前記幅方向第1側に設置されて物品を移載する第1物品移載箇所の位置に対応し、
前記第2停止位置が、前記走行経路に対して前記幅方向第2側に設置されて物品を移載する第2物品移載箇所の位置に対応し、
1つの前記アドレス情報に対して、前記第1停止位置と前記第2停止位置とがそれぞれ割り当てられている。
【0009】
この構成によれば、幅方向第1側に設置された第1被検出体に保持されたアドレス情報に対応して、第1被検出体と同じ幅方向第1側に設置された第2被検出体と、第1被検出体とは反対側の幅方向第2側に設置された第3被検出体との2つにより、異なる停止位置が設定される。このように、第2被検出体と第3被検出体とが幅方向の両側に分かれて設置されるため、第2被検出体と第3被検出体とを搬送方向に接近させて配置した場合であっても、検出装置によるこれらの検出を適切に行うことが容易となっている。そして、物品搬送車が第2被検出体に示される第1停止位置で停止する場合は、第1被検出体に保持されたアドレス情報と第1停止位置との関係により物品搬送車が適切に制御される。また、物品搬送車が第3被検出体に示される第2停止位置で停止する場合は、第1被検出体に保持されたアドレス情報と第2停止位置との関係により物品搬送車が適切に制御される。このように、本構成によれば、走行経路のアドレス情報を保持する被検出体と物品搬送車を停止させるための基準となる被検出体とを備えて物品搬送車の走行を制御する物品搬送設備において、コストの増加及び搬送効率の低下を抑制しつつ、1つのアドレス情報に対応する複数箇所に物品搬送車を停止させることができる。
また、この構成によれば、走行経路に対して幅方向の両側に物品の移載箇所を配置することができ、高い空間利用効率で物品搬送設備を構築することができる。また、走行経路に対して幅方向の両側に配置された物品移載箇所のそれぞれに対して、適切に物品搬送車を停止させることができる。また、1つのアドレス情報に対して、幅方向第1側の第1停止位置と幅方向第2側の第2停止位置とがそれぞれ割り当てられていることで、コストの増加及び搬送効率の低下を抑制しつつ、1つのアドレス情報に対応して2箇所に物品搬送車を停止させることができる。
【0010】
物品搬送設備のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】物品搬送設備の一例を模式的に示す平面図
図2】被検出体を備えた物品搬送設備の一例を示す説明図
図3】被検出体と物品搬送車の走行速度との関係の一例を示すグラフ
図4】第1被検出体から対となる第2(第3)被検出体までの位置関係を示す図
図5】第2(第3)被検出体から対ではない第1被検出体までの位置関係を示す図
図6】両方向走行区間における被検出体の一例を示す図
図7】両方向走行区間における被検出体の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。図1の平面図は、物品搬送設備100の一例を模式的に示している。物品搬送設備100は、例えば半導体の製造設備において、各種の処理装置4に半導体ウェハや材料を搬送する設備である。搬送対象の物品Wは、例えば半導体ウェハが収納された容器、半導体製造用のフォトマスクなどが収納された容器である。尚、物品搬送設備100は、半導体製造設備に限らず、物流倉庫において、その他の物品Wを搬送するものであってもよい。
【0013】
図1に示すように、物品搬送設備100は、走行経路Lに沿って走行して物品Wを搬送する物品搬送車1と、物品搬送車1との間及び処理装置4との間で物品Wを移載する移載装置6とを備えている。物品搬送車1は、基本的に一方向に走行する。ここでは、物品搬送車1が走行する方向を走行方向Dと称する。また、走行方向Dに対して平面視で直交する方向を幅方向Hと称し、幅方向Hの一方側を幅方向第1側H1と称し、他方側を幅方向第2側H2と称する。移載装置6は、走行経路Lに対して幅方向第1側H1と幅方向第2側H2との双方に配置されている。これらを区別する場合には、幅方向第1側H1に配置された移載装置6を第1物品移載装置61と称し、幅方向第2側H2に配置された移載装置6を第2物品移載装置62と称する。
【0014】
図2に示すように、物品搬送設備100には、走行経路Lに沿って、物品搬送車1が備える検出装置10により検出可能な被検出体20が備えられている。被検出体20は、第1被検出体21、第2被検出体22及び第3被検出体23を含む。第1被検出体21及び第2被検出体22は幅方向第1側H1に設置され、第3被検出体23は幅方向第2側H2に設置されている。第1被検出体21は、走行経路Lに沿った位置を示すアドレス情報を保持している。第2被検出体22及び第3被検出体23は、物品搬送車1が停止する停止位置Pを示すように配置されている。第1被検出体21は、例えば一次元バーコードや二次元バーコードなどによりアドレス情報が記されたバーコードを備えて構成されており、第2被検出体22及び第3被検出体23は、形状により少なくとも停止位置Pを示す標章(停止マーカー30)により構成されている。
【0015】
第2被検出体22は、第1停止位置P1を示すように幅方向第1側H1に設置され、第3被検出体23は、第1停止位置P1とは異なる第2停止位置P2を示すように幅方向第2側H2に設置されている。第1停止位置P1は、走行経路Lに対して幅方向第1側H1に設置されて物品Wを移載する第1物品移載装置61の設置箇所(第1物品移載箇所)の位置に対応している。また、第2停止位置P2は、走行経路Lに対して幅方向第2側H2に設置されて物品Wを移載する第2物品移載装置62の設置箇所(第2物品移載箇所)の位置に対応している。
【0016】
物品搬送車1は、幅方向Hの両側に設置された被検出体20を検出すると共に被検出体20に保持された情報を読み取る検出装置10を備えている。図1に示すように、検出装置10は、第1被検出体21を検出する第1検出装置11と、第2被検出体22を検出する第2検出装置12と、第3被検出体23を検出する第3検出装置13とを含む。第1検出装置11及び第2検出装置12は、物品搬送車1の幅方向第1側H1に設置され、第3検出装置13は、物品搬送車1の幅方向第2側H2に設置されている。本実施形態では、上述したように、第1被検出体21はバーコードを備えて構成されており、第1検出装置11はバーコードリーダーを用いて構成されている。第2被検出体22及び第3被検出体23は、形状により少なくとも停止位置Pを示す標章であり、第2検出装置12及び第3検出装置13は、光センサを用いて構成されている。
【0017】
図2に示すように、第2被検出体22及び第3被検出体23は、走行経路Lに沿って延在するように配置された帯状の標章(停止マーカー30)である。停止マーカー30は、同一幅で連続する第1部分31と、第1部分31とは異なる幅を有する第2部分32とを有する。第1部分31は図3も参照して後述する確認領域Cを示しており、第2部分32は停止位置Pを示している。また、物品搬送車1の走行方向Dにおいて上流側に位置する第1部分31の端部(停止マーカー30の端部)である上流側端部31Tは確認領域Cの開始位置を示している。
【0018】
物品搬送車1は、不図示の記憶装置に、走行経路Lのアドレス情報に関連付けて物品Wを移載するために物品搬送車1が停車する停止位置Pの情報を記憶しており、不図示の制御装置による自律制御によって走行して当該停止位置Pにて停車する。自律制御では、物品搬送車1に搭載された不図示のエンコーダ等によって、走行経路Lにおける物品搬送車1の位置(自車位置)が特定されている。しかし、当該自車位置には、物品搬送車1の走行に応じて誤差が生じる場合がある。このため、物品搬送車1は、第1被検出体21に保持されたアドレス情報に基づいて、走行経路Lにおけるアドレス(番地)を確認すると共に、第2被検出体22及び第3被検出体23に示された停止位置Pに基づいて、走行経路Lにおける位置を確認する。つまり、物品搬送車1は、被検出体20により自車位置を補正(学習)しながら走行経路Lを走行している。
【0019】
1つのアドレス情報(番地)に対しては、幅方向第1側H1に設置された第1物品移載装置61との間で物品Wを移載するために物品搬送車1が停止する第1停止位置P1が1つ割り当てられている。また、同じアドレス情報に対して、幅方向第2側H2に設置された第2物品移載装置62との間で物品Wを移載するために物品搬送車1が停止する第2停止位置P2も1つ割り当てられている。つまり、1つのアドレス情報に対して、2つの停止位置Pが割り当てられている。当然ながら、1つのアドレス情報に対して、第1停止位置P1及び第2停止位置P2の何れか一方のみが割り当てられていてもよい。
【0020】
図3のグラフは、第1被検出体21と、停止マーカー30(第2被検出体22又は第3被検出体23)と物品搬送車1の走行速度との関係の一例を示している。図3において第1速度V1は、物品搬送車1の定常走行速度である。第2速度V2は、停止位置Pよりも上流側において規定された位置(後述する確認領域Cの開始位置)における物品搬送車1の速度の上限値である。この上限値は、この先に存在する停止位置Pで物品搬送車1を適切に停止することができる速度に設定されている。確認領域Cは、物品搬送車1の走行方向Dにおいて、物品搬送車1が停止する停止位置Pよりも手前側の領域であって、物品搬送車1の走行速度が停止位置Pにおいて停止可能な第2速度V2であるか否かを確認するためにも設けられている。つまり、第2被検出体22及び第3被検出体23の上流側端部31Tにおいて、物品搬送車1の速度が第2速度V2以下であるか否かが確認される。
【0021】
物品搬送車1は、第1検出装置11により第1被検出体21を検出してアドレス情報を取得しつつ、取得したアドレス情報に関連付けて記憶された停止位置Pのそれぞれで停車できるように、停止位置Pのそれぞれに対応して設定された規定の減速開始位置Qから物品搬送車1の走行速度を低下させ始める。この減速開始位置Qは、停止位置Pに基づいて設定された位置であり、物品搬送車1は、自律制御に伴って得られた物品搬送車1の位置情報(自車位置情報)に基づいて減速開始位置Qを設定して減速を開始する。ここで、自車位置情報に誤差が生じていると、正しい減速開始位置Qにおいて減速を開始できない可能性がある。また、この誤差により、正しい停止位置Pにおいて物品搬送車1を停止できなかったり、減速が足りずに停止位置Pにおいて急制動を掛ける必要が生じたりする可能性もある。
【0022】
このため、停止マーカー30は、確認領域Cの開始位置及び確認領域Cを示す第1部分31と、停止位置Pを示す第2部分32とを備えている。上述したように、停止マーカー30は、帯状に形成されており、同一幅で連続する第1部分31は走行経路Lに沿うように配置されている。この第1部分31は、物品搬送車1の走行速度が停止位置Pにおいて停止可能な第2速度V2であるか否かを確認するための確認領域Cを示している。また、第1部分31の上流側端部31Tは、この確認領域Cの開始位置を示している。第1部分31とは異なる幅(ここでは第1部分31よりも広い幅)の第2部分32は、走行経路Lに沿って第1部分31から連続して配置されており、停止位置Pを示している。
【0023】
例えば、物品搬送車1は、減速開始位置Qから減速を開始し、第2速度V2で一定期間等速走行した後、確認領域Cの開始位置からさらに減速して停止位置Pで停止する。ここで、自車位置情報に基づく減速開始位置Qが実際の減速開始位置Qよりも上流側であると、減速が早く開始される。このため、第2速度V2で等速走行する期間が長くなる。また、自車位置情報に基づく減速開始位置Qが実際の減速開始位置Qよりも下流側であると、減速が遅く開始される。このため、第2速度V2で等速走行する期間が短くなる。つまり、自車位置情報の誤差による減速開始位置Qのずれは、第2速度V2による等速走行期間の長さによって調整される。
【0024】
尚、このような等速走行期間の長さではなく、物品搬送車1は、自車位置情報を確認領域Cの開始位置に基づいて補正して、減速加速度を調整して停止位置Pまで減速制御を行ってもよい。例えば、自車位置情報に基づく減速開始位置Qが実際の減速開始位置Qよりも上流側であると、減速が早く開始されるため、物品搬送車1が確認領域Cを検出した時点で、物品搬送車1の速度が第2速度V2以下となる。物品搬送車1は、自車位置情報を確認領域Cの開始位置に基づいて補正して、減速加速度を小さくして停止位置Pまで減速制御を行う。また、自車位置情報に基づく減速開始位置Qが実際の減速開始位置Qよりも下流側であると、減速が遅く開始されるため、物品搬送車1が確認領域Cを検出した時点では、物品搬送車1の速度が第2速度V2まで低下していない場合がある。その場合、物品搬送車1は、自車位置情報を確認領域Cの開始位置に基づいて補正して、通常よりも大きい減速加速度により停止位置Pまで減速制御を行う。
【0025】
物品搬送車1は、停止マーカー30の第2部分32を検出し、第2部分32に示される停止位置Pに基づいて物品搬送車1を停止させてもよいし、自車位置情報に基づく停止位置Pに基づいて物品搬送車1を停止させてもよい。確認領域C(確認領域Cの開始位置)と停止位置Pとの距離は長くはないため、確認領域において自車位置情報が補正されていれば(学習されていれば)、停止位置Pにおける自車位置情報の誤差はほぼない。このため、物品搬送車1は、自車位置情報に基づいて停止位置Pで物品搬送車1を停止させてもよい。但し、物品搬送車1が停止しているとより正確に停止マーカー30と物品搬送車1との相対位置を特定することができる。従って、この場合も、物品搬送車1が停止した状態で、停止マーカー30の第2部分32に基づいて、自車位置情報を補正(学習)すると好適である。これにより、物品搬送車1が停止位置Pで停止した際に誤差が残存しても、その誤差を解消させることができる。
【0026】
上述したように、停止マーカー30はアドレス情報を保持する第1被検出体21に関連付けられている。物品搬送車1が第1被検出体21を検出してから停止マーカー30(第2被検出体22、第3被検出体23)を検出するまでの間には、第1被検出体21からアドレス情報を読み出す処理を実行するのに要する時間(アドレス情報取得時間)が確保されていることが好ましい。物品搬送車1は、このアドレス情報取得時間においても走行しているため、第1被検出体21と停止マーカー30との間は、アドレス情報取得時間に物品搬送車1が進む距離に応じた距離以上離間していることが好ましい。
【0027】
具体的には、図4に示すように、第1被検出体21と当該第1被検出体21に関連付けられた停止マーカー30とが、当該第1被検出体21の走行経路Lに沿った上流側端部21Tに対して、当該停止マーカー30の第1部分31の上流側端部31Tが走行方向Dの下流側に第1距離A1以上離間するように、設置されていると好適である。第1距離A1は、アドレス情報取得時間に物品搬送車1が移動する最大距離に応じて設定されていると好適である。また、物品搬送車1が移動する最大距離とは、物品搬送車1が許容された最大速度で走行する場合の移動距離である。
【0028】
また、停止マーカー30と、当該停止マーカー30が関連付けられている第1被検出体21の次に配置された第1被検出体21(下流側の第1被検出体21)との間も、図5に示す第2距離A2以上離間していると好適である。第2距離A2は、停止マーカー30を検出しなくなったことを物品搬送車1が判定するのに要する時間に、物品搬送車1が移動する距離に応じて設定されると好適である。停止マーカー30が設けられていても、搬送対象の物品Wや処理内容に応じて、当該停止マーカー30により示される停止位置Pで物品搬送車1が停止するとは限らない。従って、物品搬送車1が移動する距離は、物品搬送車1が許容された最大速度で走行する場合の移動距離であると好適である。
【0029】
例えば、図5に示すように、第1被検出体21(下流側の第1被検出体21)と当該第1被検出体21の前の第1被検出体21(上流側の第1被検出体21)に関連付けられた停止マーカー30とが、上流側の第1被検出体21の走行経路Lに沿った上流側端部21Tに対して、停止マーカー30の第2部分32の下流側端部32Tが走行方向Dの上流側に第2距離A2以上離間するように、設置されていると好適である。
【0030】
上記においては、図1のように、物品搬送車1が一方向にのみ走行する形態を例示して説明した。しかし、物品搬送車1が一方向にのみ走行して物品Wを搬送する場合であっても、物品搬送車1は、メンテナンスや車両の追加などで走行方向Dとは逆方向に走行経路Lを走行する場合がある。つまり、走行経路Lが両方向走行区間を有している場合がある。図6及び図7は、そのような両方向走行区間Kの一例を示している。例えば、不図示のメンテナンスリフタが設置されたメンテナンスターミナルMTは、走行経路Lから分岐したメンテナンス用走行経路Bを介して走行経路Lに接続されている。
【0031】
図6に例示する形態では、物品搬送車1は、走行経路Lにおける通常の走行方向Dと同じ第1走行方向M1で走行経路Lからメンテナンス用走行経路Bに進入し、メンテナンスターミナルMTで停止する。この際、物品搬送車1は、走行経路Lとメンテナンス用走行経路Bとの分岐部よりも上流側における最も近くに設置された被検出体20を検出して停止する。その後、メンテナンス用走行経路Bに他の物品搬送車1が存在しないことを確認して第1走行方向M1でメンテナンス用走行経路Bに進入し、メンテナンスターミナルMTに設置された被検出体20を検出して停止する。また、メンテナンスターミナルMTから出発した物品搬送車1は、第1走行方向M1とは逆方向の第2走行方向M2でメンテナンス用走行経路Bを走行して走行経路Lに進入し、走行経路Lとメンテナンス用走行経路Bとの分岐部よりも上流側(第2走行方向M2の下流側)における最も近くに設置された被検出体20を検出して停止する。その後、物品搬送車1は、通常の走行方向Dで走行経路Lを走行する。
【0032】
図7に例示する形態では、物品搬送車1は、走行経路Lにおける通常の走行方向Dとは逆の第2走行方向M2で走行経路Lからメンテナンス用走行経路Bに進入し、メンテナンスターミナルMTで停止する。この際、物品搬送車1は、走行経路Lとメンテナンス用走行経路Bとの合流部よりも下流側における最も近くに設置された被検出体20を検出して停止する。その後、メンテナンス用走行経路Bに他の物品搬送車1が存在しないことを確認して第2走行方向M2でメンテナンス用走行経路Bに進入し、メンテナンスターミナルMTに設置された被検出体20を検出して停止する。また、メンテナンスターミナルMTから出発した物品搬送車1は、第2走行方向M2とは逆方向の第1走行方向M1でメンテナンス用走行経路Bを走行して走行経路Lに進入する。その後、物品搬送車1は、通常の走行方向Dで走行経路Lを走行する。
【0033】
図6及び図7を参照して上述したように、走行経路Lにおいて、物品搬送車1が、走行経路Lに沿った両方向に走行可能な区間を両方向走行区間Kと称する。また、メンテナンスターミナルMTと走行経路Lとを結ぶメンテナンス用走行経路Bも、両方向走行区間Kに含む。尚、図6及び図7に示すように、メンテナンス用走行経路Bは、メンテナンスターミナルMTを貫通して、走行経路L側とは反対側にも延在している場合があり、走行経路L側とは反対側から物品搬送車1の出し入れが行われる場合がある。従って、メンテナンスターミナルMTと走行経路Lとの間だけではなく、メンテナンス用走行経路Bは全体に亘って両方向走行区間Kに含まれる。
【0034】
両方向走行区間Kに配置された被検出体20は、走行方向D(第1走行方向M1)と、逆方向(第2走行方向M2)との双方に対応する必要がある。特に停止マーカー30(第2被検出体22及び第3被検出体23)は、確認領域Cを示す第1部分31と、停止位置Pを示す第2部分32とを有しており、物品搬送車1が走行している方向における上流側に第1部分31が配置され、下流側に第2部分32が配置される必要がある。このため、図6及び図7に示すように、両方向走行区間Kに配置される停止マーカー30は、1つの第2部分32と、走行方向Dに沿って第2部分32を挟んで両側に配置される2つの第1部分31とを備えていると好適である。これにより、物品搬送車1がどちらの方向に走行している場合にも、検出装置10が先に第1部分31を検出し、その後に第2部分32を検出するようにできる。
【0035】
また、第1被検出体21と停止マーカー30(第2被検出体22及び第3被検出体23)との関係では、第1被検出体21の走行経路Lに沿った両端部(走行方向Dによって何れも上流側端部21Tとなり得る端部)よりも内側に、停止マーカー30(第2被検出体22及び第3被検出体23)の全体が含まれるように配置されていると好適である。さらに、図4を参照して上述したように、第1被検出体21の走行経路Lに沿った両端部と、停止マーカー30(第2被検出体22及び第3被検出体23)の2つの上流側端部31Tとの間に、第1距離A1が設けられていると好適である。
【0036】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0037】
(1)上記においては、1つの第1被検出体21に対して、第2被検出体22及び第3被検出体23がそれぞれ1つずつ、或いは第2被検出体22及び第3被検出体23の何れか1つが関連付けられて設置される形態を例示した。しかし、1つの第1被検出体21に対して、複数の第2被検出体22又は複数の第3被検出体23を含んで、3つ以上の停止マーカー30が関連付けられて配置される形態を妨げるものではない。
【0038】
(2)上記においては、第1被検出体21が保持するアドレス情報が、バーコードにより表されている形態を例示した。しかしこれには限定されず、アドレス情報は、第1被検出体21が備えるICタグ等に電子データとして保持され、或いは、第1被検出体21の表面に描かれた、画像認識等によって読み取り可能な図形や文字等として保持されていてもよい。
【0039】
(3)上記においては、第2被検出体22が示す第1停止位置P1が、幅方向第1側H1に設置された物品移載箇所の位置に対応し、第3被検出体23が示す第2停止位置P2が、幅方向第2側H2に設置された物品移載箇所の位置に対応している形態を例示した。しかしこれには限定されず、第2被検出体22が示す第1停止位置P1と第3被検出体23が示す第2停止位置P2とが、幅方向Hにおける物品移載箇所の位置とは無関係に設定されていてもよい。
【0040】
(4)上記においては、検出装置10が、第1被検出体21を検出する第1検出装置11と、第2被検出体22を検出する第2検出装置12と、第3被検出体23を検出する第3検出装置13とを含む形態を例示した。しかしこれには限定されず、第1被検出体21、第2被検出体22、及び第3被検出体23を、1つの検出装置によって検出する構成としてもよい。
【0041】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について簡単に説明する。
【0042】
1つの態様として、走行経路に沿って走行して物品を搬送する物品搬送車を備えた物品搬送設備は、前記物品搬送車は、前記物品搬送車の走行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、前記幅方向の両側に設置された被検出体を検出すると共に前記被検出体に保持された情報を読み取る検出装置を備え、前記被検出体は、第1被検出体、第2被検出体及び第3被検出体を含み、前記第1被検出体は、前記走行経路に沿った位置を示すアドレス情報を保持していると共に前記幅方向の一方側である幅方向第1側に設置され、前記第2被検出体は、前記物品搬送車が停止する停止位置である第1停止位置を示すように前記幅方向第1側に設置され、前記第3被検出体は、前記第1停止位置とは異なる前記停止位置である第2停止位置を示すように前記幅方向の他方側である幅方向第2側に設置されている
【0043】
この構成によれば、幅方向第1側に設置された第1被検出体に保持されたアドレス情報に対応して、第1被検出体と同じ幅方向第1側に設置された第2被検出体と、第1被検出体とは反対側の幅方向第2側に設置された第3被検出体との2つにより、異なる停止位置が設定される。このように、第2被検出体と第3被検出体とが幅方向の両側に分かれて設置されるため、第2被検出体と第3被検出体とを搬送方向に接近させて配置した場合であっても、検出装置によるこれらの検出を適切に行うことが容易となっている。そして、物品搬送車が第2被検出体に示される第1停止位置で停止する場合は、第1被検出体に保持されたアドレス情報と第1停止位置との関係により物品搬送車が適切に制御される。また、物品搬送車が第3被検出体に示される第2停止位置で停止する場合は、第1被検出体に保持されたアドレス情報と第2停止位置との関係により物品搬送車が適切に制御される。
このように、本構成によれば、走行経路のアドレス情報を保持する被検出体と物品搬送車を停止させるための基準となる被検出体とを備えて物品搬送車の走行を制御する物品搬送設備において、コストの増加及び搬送効率の低下を抑制しつつ、1つのアドレス情報に対応する複数箇所に物品搬送車を停止させることができる。
【0044】
ここで、前記第1停止位置は、前記走行経路に対して前記幅方向第1側に設置されて物品を移載する第1物品移載箇所の位置に対応し、前記第2停止位置は、前記走行経路に対して前記幅方向第2側に設置されて物品を移載する第2物品移載箇所の位置に対応していると好適である。
【0045】
この構成によれば、走行経路に対して幅方向の両側に物品の移載箇所を配置することができ、高い空間利用効率で物品搬送設備を構築することができる。また、走行経路に対して幅方向の両側に配置された物品移載箇所のそれぞれに対して、適切に物品搬送車を停止させることができる。
【0046】
また、前記検出装置は、前記第1被検出体を検出する第1検出装置と、前記第2被検出体を検出する第2検出装置と、前記第3被検出体を検出する第3検出装置とを含み、前記第1検出装置及び前記第2検出装置は、前記物品搬送車の前記幅方向第1側に設置され、前記第3検出装置は、前記物品搬送車の前記幅方向第2側に設置されていると好適である。
【0047】
この構成によれば、幅方向第1側に設置された第1検出装置、第2検出装置により、幅方向第1側に設置された第1被検出体及び第2被検出体を適切に検出でき、幅方向第2側に設置された第3検出装置により、適切に第3被検出体を検出することができる。
【0048】
また、前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、前記物品搬送車の走行方向において、前記物品搬送車が停止する前記停止位置よりも手前側の領域であって、前記物品搬送車の走行速度が前記停止位置において停止可能な速度であるか否かを確認するための確認領域をさらに示すように形成されていると好適である。
【0049】
物品搬送車を停止位置で停止させるためには、停止位置よりも上流側で物品搬送車の走行速度が適切に減速されていることが好ましい。例えば、停止位置よりも上流側の規定された地点において物品搬送車の走行速度が規定速度以下であれば、物品搬送車を停止位置で適切に停止させることが容易となる。本構成によれば、この規定された地点を示す被検出体を別途設けることなく、停止地点を示す第2被検出体及び第3被検出体が、確認領域を示すように形成されている。従って、本構成の物品搬送設備は、コストの増加を抑制しつつ、適切に物品搬送車を制御することができる。
【0050】
前記第2被検出体及び前記第3被検出体が前記確認領域を示すように形成されている場合において、前記第2被検出体及び前記第3被検出体は、前記走行経路に沿って延在するように配置された帯状の標章であり、当該標章が同一幅で連続する第1部分によって前記確認領域を示し、前記物品搬送車の前記走行方向において上流側に位置する当該標章の端部である上流側端部により前記確認領域の開始位置を示し、前記第1部分とは異なる幅を有する第2部分によって前記停止位置を示していると好適である。
【0051】
標章の形状の検出は、比較的簡単な構成の検出装置によって行うことができる。本構成によれば、第2被検出体及び第3被検出体が第1部分と第2部分とを備えることによって、簡単に確認領域と停止位置との双方を示すことができる。また、例えば画像処理によるエッジ検出は比較的負荷の軽い演算で可能であり、検出装置は、第1部分の上流側端部によって示される確認領域の開始位置を比較的容易に検出することができる。
【0052】
また、前記物品搬送車が、前記走行経路に沿った両方向に走行可能な区間において、前記第2被検出体又は前記第3被検出体は、前記第1被検出体の前記走行経路に沿った両端部よりも内側に全体が含まれるように配置されていると好適である。
【0053】
物品搬送車の走行方向が一方向の場合には、第2被検出体が示す第1停止位置の第1被検出体に対する走行方向における相対位置、及び、第3被検出体が示す第2停止位置の第1被検出体に対する走行方向における相対位置を、全ての被検出体において同様にすることができる。しかし、走行方向が両方向の場合には、走行方向が異なることに応じてこの相対位置が逆となる場合がある。本構成のように、第1被検出体の前記走行経路に沿った両端部よりも内側に第2被検出体又は第3被検出体の全体が含まれると、走行方向が両方向の場合であっても、停止位置の第1被検出体に対する走行方向における相対位置を、全ての被検出体において同様にすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 :物品搬送車
10 :検出装置
11 :第1検出装置
12 :第2検出装置
13 :第3検出装置
20 :被検出体
21 :第1被検出体
21T :上流側端部
22 :第2被検出体
23 :第3被検出体
31 :第1部分
32 :第2部分
100 :物品搬送設備
C :確認領域
D :走行方向
H :幅方向
H1 :幅方向第1側
H2 :幅方向第2側
K :両方向走行区間(両方向に走行可能な区間)
L :走行経路
P :停止位置
P1 :第1停止位置
P2 :第2停止位置
W :物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7