(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】光送信機、光トランシーバモジュール、及び光変調方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20230613BHJP
H04B 10/516 20130101ALI20230613BHJP
【FI】
G02F1/01 B
H04B10/516
(21)【出願番号】P 2019198574
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】蘇武 洋平
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161196(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/043079(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0212076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
H04B 10/00 - 10/90
H04J 14/00 - 14/08
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の変調セグメントを有する多分割光変調器を備えた光送信機において、
入力されるデジタル電気信号に基づいて
1つ以上の上位ビットと2以上の下位ビットとを含むバイナリデータを出力するドライバ回路と、
前記ドライバ回路から出力されるビット信号のうち、
前記2以上の
下位ビットを含む第1駆動信号で駆動される多値変調セグメントと、
前記1つ以上の
上位ビットの1ビットの第2駆動信号でビットごとに駆動されるバイナリ変調セグメントとを有するマッハツェンダ干渉計型の光変調器と、
を有し、
前記多値変調セグメントは、前記光変調器の各アームに配置される第1位相シフタを有し、
前記バイナリ変調セグメントは、前記光変調器の前記各アームに沿って配置される複数の第2位相シフタを有し、
前記第2位相シフタの長さはすべて同じであり、かつ前記第1位相シフタの長さよりも短
く、
前記ドライバ回路のうち、前記第1位相シフタを駆動する第1回路部分は前記2以上の下位ビットのそれぞれに対応する複数のドライバを有し、前記第1回路部分のドライバインピーダンスは、前記2以上の下位ビットの重さに反比例して重み付けされ、
前記第2位相シフタを駆動する第2回路部分のドライバインピーダンスは、前記第1回路部分のドライバインピーダンスのうちの最小インピーダンスに設定されていることを特徴とする光送信機。
【請求項2】
前記第1回路部分と前記第1位相シフタは容量を介して接続されており、前記第1位相シフタに接続される容量は、前記2以上の
上位ビットの重さに比例して重み付けされており、
前記第2回路部分と前記第2位相シフタは第2容量を介して接続されており、前記第2容量は、前記第1位相シフタに接続される容量のうちの最大容量に設定されていることを特徴とする請求項
1に記載の光送信機。
【請求項3】
前記第1駆動信号に含まれるビット数をm、位相シフタの単位長をLとすると、前記第1位相シフタの長さは(2
m-1)×L、前記第2位相シフタの長さは2
m-1×Lであることを特徴とする請求項1
または2に記載の光送信機。
【請求項4】
前記1つ以上の上位ビットの前記1ビット
の第2駆動信号のトータルのビット数をnとすると(n=1、2、…i、…n)、
前記バイナリ変調セグメントのi番目のサブセグメントに含まれる前記第2位相シフタの数は2
iであることを特徴とする請求項
3に記載の光送信機。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の光送信機と、
光送信機にデジタル電気信号を出力するデジタル信号プロセッサと、
光受信機と、
を有する光トランシーバモジュール。
【請求項6】
複数の変調セグメントを有する多分割光変調器を用いた光変調方法において、
入力デジタル電気信号に基づいて、ドライバ回路で
1つ以上の上位ビットと2以上の下位ビットとを含むバイナリデータを生成し、
生成された
前記バイナリデータのうち、
前記2以上の
下位ビットを含む第1駆動信号を光変調器の多値変調セグメントに入力し、
前記1つ以上の
上位ビットの1ビットの第2駆動信号を前記光変調器のバイナリ変調セグメントに入力し、
前記多値変調セグメントに設けられた第1位相シフタを用いて、前記第1駆動信号で入力光を多値変調し、
前記バイナリ変調セグメントの
1以上のサブセグメントのそれぞれで、第2位相シフタを用いて、
前記1ビットの前記第2駆動信号で前記入力光をバイナリ変調し、
前記第2位相シフタは、前記バイナリ変調セグメントの中ですべて同じ長さに設定されており、かつ前記第1位相シフタの長さよりも短く設定されて
おり、
前記ドライバ回路のうち、前記第1位相シフタを駆動する第1回路部分を、前記2以上の下位ビットのそれぞれに対応する複数のドライバで構成し、前記第1回路部分のドライバインピーダンスを、前記2以上の下位ビットの重さに反比例して重み付けし、
前記第2位相シフタを駆動する第2回路部分のドライバインピーダンスを、前記第1回路部分のドライバインピーダンスのうちの最小インピーダンスに設定する
ことを特徴とする光変調方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信機、光トランシーバモジュール、及び光変調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信容量を拡大するために、一度の変調で2ビット以上の情報を生成する多値変調が行われている。また、デジタルコヒーレント送受信の普及により、送信側では、ビット列の信号点へのマッピング、波形整形、予等化などのデジタル信号処理が行われている。
【0003】
一般的な光送信機では、デジタル信号プロセッサ(DSP)から出力されるデジタル信号を、デジタル-アナログコンバータ(DAC)で電気アナログ信号に変換し、電気アナログ信号をアナログドライバで増幅して、数ボルトの振幅の駆動信号を生成している。この駆動信号で光変調器を駆動することで、変調された光信号が出力される。
【0004】
一方、デジタル信号を入力するだけで多値光変調信号を発生させる光変調器モジュールが提案されている(たとえば、特許文献1及び特許文献2参照)。
図1は、デジタルドライバで光変調器を駆動する構成例を示す。デジタルドライバは、DSPから出力されるデジタル信号から、ビットごとに低振幅(たとえば、振幅電圧が1V未満)の駆動信号を生成する。構成ビットごとに、光変調器の分割されたセグメント(seg.1~seg.m)に低振幅の駆動信号を作用させて、光信号を出力する。
【0005】
図1の構成は、電気領域でデジタル-アナログ変換を行わずに、ビットごとにデジタルドライバの出力で光を変調することから、「光DAC」構成と呼ばれている。光DAC構成では、低振幅のデジタルドライバで変調された光信号が得られる。また、電気DACが不要になり、光送信機全体の電力消費を低減することができる。しかし、ビット数が増えると、電極セグメントの数は2のべき乗で増大する。
【0006】
図2のように、分割された電極セグメントの一部をデジタルドライバで駆動してmビットを生成し、残りのnビットの各ビットをバイナリの温度計符号で駆動するハイブリッドな構成が提案されている(たとえば、非特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】再公表特許第2011/043079号
【文献】再公表特許第2013/042753号
【非特許文献】
【0008】
【文献】山瀬和行他、「65-nmCMOS-IC直接駆動による線形加速器型縦列電極構造InP MZ光変調器の低電力多値光変調」、信学技報 OPE2013-12 LQE2013-22 (2013-6)
【文献】Tomoyuki Yamase et al., "Low-Power Multi-level Modulation of InP MZM with In-line Centipede Structure Directly Driven by CMOS IC", OECC/PS, WK2-3, 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図2の構成では、mビットで多値変調される領域と、nビットの各ビットがバイナリ変調される領域で、異なる駆動回路構成が用いられており、2つの領域間で均一な変調帯域(アナログ動作帯域)が得られない。多値変調される領域と、ビットごとにバイナリ変調される領域の間で動作帯域がずれ、出力光の波形またはアイパターンが劣化する。
【0010】
本発明は、多値変調されるセグメントと、ビットごとにバイナリ変調されるセグメントの間で動作帯域が均一化された光送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様では、複数の変調セグメントを有する多分割光変調器を備えた光送信機は、
入力されるデジタル信号に基づいてビットごとのバイナリデータを出力するドライバ回路と、
前記ドライバ回路から出力されるビット信号のうち、2以上のビットを含む第1ビット信号で駆動される多値変調セグメントと、1ビットの第2ビット信号でビットごとに駆動されるバイナリ変調セグメントとを有する光変調器と、
を有し、
前記多値変調セグメントは、前記光変調器の各アームに配置される第1位相シフタを有し、
前記バイナリ変調セグメントは、前記光変調器の前記アームに沿って配置される複数の第2位相シフタを有し、
前記複数の第2位相シフタの長さは同一であり、かつ前記第1位相シフタよりも短い。
【発明の効果】
【0012】
多値変調されるセグメントとビットごとにバイナリ変調されるセグメントの間で変調帯域が均一化され、出力光信号の波形を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】デジタルドライバで光変調器を駆動する公知の構成の模式図である。
【
図2】公知のハイブリッド型光変調の模式図である。
【
図4】実施形態の構成に至る仮定で想定される位相シフタの構成である。
【
図5】m=3、n=2のときの光変調器の模式図である。
【
図6】光変調器の多値変調セグメントの駆動構成例である。
【
図7】光変調器のバイナリ変調セグメントの駆動構成例である。
【
図8】出力波形の計算に用いる光送信機のモデルを説明する図である。
【
図10A】多値変調セグメントの動作帯域を説明する図である。
【
図10B】バイナリ変調セグメントの動作帯域を説明する図である。
【
図11】m=3、n=3のときの光変調器の模式図である。
【
図12】
図11の光変調器の多値変調セグメントの駆動構成例である。
【
図14】実施形態の光送信機を用いた光トランシーバモジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図3は、実施形態の光送信機1の模式図である。実施形態では、多値変調セグメントとビットごとにバイナリ変調されるバイナリ変調セグメントが設けられた光変調器で、セグメント間で変調帯域、すなわち動作帯域を均一化する。これを実現するために、双方のセグメントで同じ基準に基づいて位相シフタの長さと数を最適化する。また、各位相シフタを駆動する最終段のドライバ構成を共通化して、ドライバインピーダンスを最適化する。
【0015】
光送信機1は、ドライバ回路40と、光変調器20を有する。光送信機1は光源10を内蔵していてもよいし、外部の光源10を用いてもよい。光送信機1は、DSP5を内蔵していてもよいし、外部のDSP5を用いてもよい。DSP5は、入力された送信ビット列の論理値に応じたデジタル電気信号を生成し、出力する。
【0016】
ドライバ回路40は、DSP5の出力信号に従って、光変調器20を駆動する。ドライバ回路40は、プリドライバ41と、光変調器20の入力に接続される最終段の駆動信号を出力するファイナルドライバ42を含む。
【0017】
光変調器20は、マッハツェンダ(MZ)型の光変調器であり、2本の光導波路201と202で、光と電気が相互作用する相互作用部が形成されている。光変調器20は、LN変調器のように電気光学効果を利用した変調器であってもよいし、キャリアプラズマ効果や電界吸収効果を利用した半導体光変調器であってもよい。
【0018】
光変調器20は、2以上のビット数で多値変調される多値変調セグメント21と、1ビットごとにバイナリ変調されるバイナリ変調セグメント24を有する。バイナリ変調セグメント24は、バイナリ変調されるビットの数に応じて、サブセグメント22、23を有する。
図3の例では、多値変調ビット数mは2(m=2)、バイナリ変調ビット数nは2(n=2)であり、1シンボルあたり4ビットの光信号が送信される。
【0019】
多値変調セグメント21は、ビット0とビット1による4値の電気信号で駆動される。バイナリ変調セグメント24のサブセグメント22は、ビット2の電気信号で駆動され、サブセグメント23は、ビット3の電気信号で、それぞれ個別に駆動される。
【0020】
バイナリ変調セグメント24に設けられる位相シフタである1ビットバイナリ駆動電極の長さはすべて等しく、かつ、多値変調セグメント21に設けられる位相シフタである多値駆動電極の長さよりも短い。
【0021】
図3では、バイナリ変調セグメント24に設けられた位相シフタ221a、221b、222a、222b、231a~231d、及び232a~232dのすべては、同じ長さである。多値変調セグメント21に設けられた位相シフタ211と212の長さは、バイナリ変調セグメント24の各位相シフタの長さよりも長い。
【0022】
位相シフタの単位長をLとすると、
図3のようにm=2、n=2のときは、多値変調セグメント21の位相シフタ211と212の長さは3L、バイナリ変調セグメント24の各位相シフタの長さは2Lである。
【0023】
バイナリ変調セグメント24のうち、ビット2で駆動されるサブセグメント22では、長さ2Lの位相シフタが、光導波路201、202のそれぞれに沿って、縦列で2つ配置されている。ビット3で駆動されるサブセグメント23では、長さ2Lの位相シフタが、光導波路201、202のそれぞれに沿って、縦列で4つ配置されている。
【0024】
多値変調セグメント21の位相シフタの長さは、単位長Lと、mの値を用いて、2
k×Lの総和(kは0からm-1までの整数)で表される。kが0~m-1の整数である場合、総和の値は(2
m-1)Lとなる。
図3の構成例ではm=2なので、位相シフタとして機能する位相シフタ211と212の長さは、(2
2-1)L=3Lとなる。
【0025】
バイナリ変調セグメント24の各位相シフタのそれぞれの長さは、単位長Lとmの値を用いて、2
m-1×Lで表される。
図3の構成例では、m=2なので、バイナリ変調セグメント24の各位相シフタの長さは、2
2-1×L=2Lとなる。
【0026】
バイナリ変調セグメント24のサブセグメント22とサブセグメント23のそれぞれに含まれる位相シフタの数(セグメント数)は、nビットのビット番号(nは1以上の自然数)またはサブセグメントの番号を用いて、2
nで表される。
図3の構成例では、1番目のサブセグメント22で、最下位ビットのビット番号はn=1であり、セグメント数は、2
1=2となる。光導波路201と202のそれぞれで、長さ2Lの位相シフタが2つ、縦列で配置される。
【0027】
2番目のサブセグメント23で、最上位ビットのビット番号はn=2であり、セグメント数は、22=4となる。したがって、光導波路201と202のそれぞれで、長さ2Lの位相シフタが4つ、縦列で配置される。
【0028】
これを一般化すると、n個(n=1,2、…i、…、n)の1ビット駆動信号で駆動されるバイナリ変調セグメント24で、i番目のサブセグメントに含まれる位相シフタの数は、2iで表される。
【0029】
このような位相シフタの配置により、多値変調セグメント21と、バイナリ変調セグメント24で、位相シフタの長さが最適化される。
【0030】
図4は、実施形態の構成に至る過程で想定される位相シフタの構成であり、実施形態の各セグメントでの位相シフタの長さと数の根拠になる図である。
【0031】
たとえば、m=3、n=2で5ビットのすべてを1ビットごとにバイナリ駆動する場合を考える。最下位のビット0から最上位のビット4までの各ビットに対応する位相シフタは、上位ビットになるほど位相シフト量が多くなるように、2のべき乗で重み付けされている。
【0032】
この状態で、下位の3ビット(ビット0~ビット2)を一体化して、一つのセグメントにすることを考える。この場合、一体化されたセグメントの位相シフタのトータルの長さは、L+2L+4L=7Lとなる。これが、
図3の多値変調セグメント21の各アームにおいて、総和Σで表される位相シフタ長の根拠である。
【0033】
次に、一体化された下位のビットのうちの最も上位のビットに対応する部分のセグメント長を基準長として、残りのバイナリ駆動セグメントの長さを考える。ビット2のセグメントの長さ4Lが、残りのバイナリ駆動セグメントの基準長となる。ビット3のバイナリセグメントの長さは、基準長の2倍の8L、ビット4のバイナリセグメントの長さは、基準長の4倍の16Lである。この基準長の2倍の長さと、4倍の長さが、
図3のバイナリ変調セグメントでのセグメント数の根拠である。
【0034】
図3の例では、m=2なので、一体化された下位ビットのうちの最も上位のビットのセグメント長は2Lである。そのため、バイナリ変調セグメントのそれぞれで、セグメント長とセグメント数は、2L×2と、2L×4に設定されている。
【0035】
図4では、m=3であり、一体化された下位ビットのうちの最も上位のビットのセグメント長は4Lになる。ビット3のバイナリセグメントでは、4L×2、ビット3のバイナリセグメントでは、4L×4になる。
【0036】
多値変調セグメントとビットごとのバイナリ変調セグメントで、同じ基準でビットに応じた位相シフタ長の重み付けがされており、多値変調セグメントとバイナリ変調セグメントで動作帯域を均一化できる。
【0037】
バイナリ変調セグメントの各セグメントで、同一の長さに分割された位相シフタを用いることで、光変調器全体で動作帯域を高くすることができ、高速動作が可能になる。
【0038】
図5は、
図4と同じく、m=3、n=2でのハイブリッド光変調を、多値変調セグメントとバイナリ変調セグメントで実現する構成である。
【0039】
光変調器30は、ビット0~ビット2を一体化した多値変調セグメント31と、ビット3とビット4をそれぞれバイナリ変調するバイナリ変調セグメント34を有する。
【0040】
多値変調セグメント31で、位相シフタ311と312の長さは、それぞれ(2
3-1)L=7Lに設定されている。この根拠は、
図4で説明したように、単位長Lをビット順に重み付けした位相シフタ長の総和である。
【0041】
バイナリ変調セグメント34のうち、サブセグメント32では、多値変調セグメント31を
図4のように分解したときに最も上位のビットに対応する位相シフタの長さ4Lを基準にして、各アームに2つの位相シフタが設けられる。一方のアームに配置される位相シフタ321aと321b、他方のアームに配置される位相シフタ322aと322bの長さは、4Lで統一されている。
【0042】
サブセグメント33では、同じく4Lを基準にして、各アームに4つの位相シフタが設けられる。一方のアームに配置される位相シフタ331a~331dと、他方のアームに配置される位相シフタ332a~332dのそれぞれの長さは、4Lである。
【0043】
多値変調セグメント31と、バイナリ変調セグメント34で、単位長Lと、多値変調セグメント31のビット数mの値に基づいて各位相シフタの長さと数が設定されており、動作帯域が均一化される。
【0044】
バイナリ変調セグメント34のサブセグメント32,33のそれぞれで、多値変調セグメント31に割り当てられるmビットのうちの最も上位のビットに想定される位相シフタ長を基準とする。各アームに配置される位相シフタの数の増大が抑制され、かつ同じ動作速度で動作することができる。この位相シフタ長の考え方は、mの値、nの値によらず適用する。
【0045】
次に、各セグメントでのドライバ構成を説明する。上記では、多値変調セグメントとバイナリ変調セグメントで、同じ基準に基づいて位相シフタの長さと数を最適化した。多値変調セグメントとバイナリ変調セグメントの間の動作帯域の均一化をさらに強化するために、最も位相シフタに近いドライバ最終段の構成を共通化する。
【0046】
図6は、多値変調セグメント21の駆動構成例である。この駆動構成は、
図3の光変調器20の構成に基づいている。位相シフタ211と212の長さに対応する位相シフタ長L
PSは3L(Lは単位長)に設定され、2ビット(ビット0とビット1)で符号化された多値変調を行う。
【0047】
ビット0に対応するドライバ421と、ビット1に対応するドライバ422は、ビットの重さに比例して、その駆動能力が重み付けされている。駆動能力の重み付けの一例として、CMOSで形成されるドライバのサイズを変える。ビット1のドライバ422のサイズは、ビット0のドライバ421のサイズの2倍に設定されている。
【0048】
ドライバ能力が高い(ドライバサイズの大きい)ということは、ドライバインピーダンスが小さいと言い換えてもよい。ドライバ421と422には、ビットの重さに反比例して重み付けされたインピーダンスが設定されている。
【0049】
ドライバ421と422のそれぞれと、位相シフタ211と212の間に容量が接続されている。容量は、ビットの重さに応じて重み付けされている。ドライバ421の第1出力と位相シフタ211の間に容量Cが挿入され、ドライバ421の第2出力(反転出力)と212の間に容量Cが挿入されている。ドライバ422の第1出力と位相シフタ211の間に容量2Cが挿入され、ドライバ422の第2出力(反転出力)と位相シフタ212の間に容量2Cが挿入されている。
【0050】
送信データ列の一部を構成するビット0とビット1のそれぞれは、対応するドライバ421と422に入力される。ドライバ421の第1出力とドライバ422の第1出力は、容量Cと容量2Cで合成されて、第1多値信号として位相シフタ211に入力される。
【0051】
ドライバ421の第2出力とドライバ422の第2出力は、容量Cと容量2Cで合成されて、第2多値信号として位相シフタ212に入力される。
【0052】
位相シフタ211と212は、入力された多値信号に応じてMZ導波路を伝搬する光の位相を変調する。位相シフタ211と212を介して変調される多値変調セグメント21全体の光の位相変化φ(t)は、
φ(t)=21・bit1(t)+20・bit0(t)
となる。
【0053】
図7は、光変調器20のバイナリ変調セグメント24の各位相シフタの駆動構成例である。バイナリ変調セグメント24では、サブセグメント22及びサブセグメント23で、同じファイナルドライバ42の構成をとる(
図3参照)。サブセグメント22とサブセグメント23で用いられる位相シフタの数に応じて、前段のプリドライバ41の配置構成は異なるが、ファイナルドライバ42はすべて同じ構成である。
【0054】
図7では、ビット2が入力されるサブセグメント22の中の一対の位相シフタ221、222の駆動構成に着目しているが、サブセグメント22の他の位相シフタ対も、ビット3が入力されるサブセグメント23の各位相シフタ対も、すべて同じ駆動構成である。
【0055】
ビット2の論理値を表わす電気信号は、最終的にドライバ431に入力される。ドライバ431は、多値変調セグメント21における最小のドライバインピーダンス、すなわち最大の駆動能力(ドライバサイズ)が設定されている。位相シフタ221と222は、多値変調セグメント21が一体化されていないと仮定した場合に、割り当てられるmビットのうちの最も上位のビットに対応する位相シフタ長に設定されているからである。
【0056】
ドライバ431の一方の出力と位相シフタ211の間、及びドライバ431の他方の出力(反転出力)と位相シフタ212の間に、容量2Cがそれぞれ接続されている。容量2Cは、多値変調セグメント21の最も上位のビットの重さに応じた値である。
【0057】
位相シフタ221と222は、入力されたバイナリ信号に応じてMZ導波路を伝搬する光の位相を変調する。
【0058】
このように、バイナリ変調セグメントの各ドライバ構成は、多値変調セグメントの最も上位のビットを扱うドライバ構成と同じである。これにより、多値変調セグメントとバイナリ変調セグメントで動作帯域を均一にすることができる。
【0059】
なお、多値変調セグメント21へのドライバ信号入力のタイミングと、バイナリ変調セグメントの各セグメントへのドライバ信号入力のタイミングの間に、MZ型導波路を伝搬する光の速度に応じた遅延差が設けられている。
【0060】
図8は、実施形態の光送信機の出力波形の計算に用いるモデルを説明する図である。DSP5は、m=2、n=2の4ビットのデジタル信号を出力する。光変調器20の各セグメントの単位長を250μmとする。多値変調セグメントの位相シフタの長さ3Lは、750μmである。バイナリ変調セグメントは、2L×6セグメント、すなわち500μm×6セグメントに設定されている。
【0061】
ドライバ回路40のうち、ビット2を扱う部分で、1段目のプリドライバ41の出力は最終段のファイナルドライバ42の入力に接続されている。ビット2を扱う部分は、3段のツリー構造を有し、最終的に4つのファイナルドライバにデジタル電気信号が入力される。
【0062】
ファイナルドライバ42の出力では、セグメント間の光伝搬時間に対応した遅延時間が設定されている。また、MZ型導波路の各アームに、変調器の動作点または伝搬光の位相状態を最適に制御するための低速の位相調整器205、206が設けられている。位相調整器205、206は、位相調整用のDCバイアスが印加されるバイアス電極で実現され得る。
【0063】
図9は、
図8のモデルによる出力波形図である。ここでは、ボーレート25Gbaudで、4ビット(16値)の出力光信号を計算している。実施形態の構成を適用したことにより、レベル間でほぼ均一なアイ開口が得られている。
【0064】
図10Aは、多値変調セグメント21の動作帯域を説明する図、
図10Bは、バイナリ変調セグメントの動作帯域を説明する図である。
図10Aで、多値変調セグメントに、たとえばビット0とビット1が入力される。ビット0をLSB、ビット1をMSBとする。各ビットで、V
DDと0Vの2値をとり、2ビットのバイナリ信号で4つの値をとる。
【0065】
0ビットのドライバに設定されるインピーダンスをZm、1ビットのドライバに設定されるインピーダンスをZm/αとする。m=2の場合、α=2m-1=2であり、ビット1のドライバインピーダンスは、ビット0のドライバインピーダンスの半分である。長さL(たとえばLは単位長の3倍)の位相シフタのインピーダンスをZfとする。
【0066】
MSBとLSBの双方の論理値が「0」の場合、双方のドライバに0Vが印加され、位相シフタに流れる電流iはゼロになる。
【0067】
MSBとLSBの双方の論理値が「1」の場合、トータルのインピーダンスは、ドライバが並列接続された部分のインピーダンスと、これに直列接続された位相シフタのインピーダンスZfの和であり、[Zm+(1+α)Zf]/(1+α)となる。したがって、流れる電流iは、VDD×(1+α)/[Zm+(1+α)Zf]となる。
【0068】
MSBの論理値が「0」、LSBの論理値が「1」の場合、電流iは、VDD×1/[Zm+(1+α)Zf]となる。
【0069】
MSBの論理値が「1」、LSBの論理値が「0」の場合、電流iは、VDD×α/[Zm+(1+α)Zf]となる。
【0070】
図10Bで、バイナリ変調セグメントの各ビット、たとえばビット2で、V
DDと0Vの2値をとる。ビット2のドライバに設定されるインピーダンスは、多値変調セグメントにおける最小のインピーダンスであるZm/αである。
【0071】
バイナリ変調セグメントの各位相シフタの長さは、多値変調セグメントのmの値に応じて重み付けされている。たとえば、m=2の場合、多値変調セグメントの位相シフタ長の2/3倍である。この重み付けをβとすると、インピーダンスは、Zf/βである。ドライバと位相シフタのトータルのインピーダンスは、Zm/α+Zf/βである。
【0072】
ビット2の入力値が0のとき、ドライバに0Vが印加され流れる電流iはゼロである。ビット2の入力値が1のとき、VDDが入力され、流れる電流量は、
VDD/(Zm/α+Zf/β)=VDD×α/[Zm+(α/β)Zf)
となる。
【0073】
m=2の例で、α=2、β=2/3と設定されていると、多値変調セグメントで流れる電流iの分母のインピーダンス成分は、[Zm+(1+α)Zf]=Zm+3Zfである。バイナリ変調セグメントの各セグメントに流れる電流iの分母のインピーダンス成分は、[Zm+(α/β)Zf)=Zm+3Zfである。
【0074】
光変調器20の全セグメントのアナログ帯域(動作帯域)が等しくなる。
【0075】
図11は、m=3、n=3のときの光変調器50を用いた光送信機2の模式図である。光変調器50は、2以上のビット数で多値変調される多値変調セグメント51と、1ビットごとにバイナリ変調されるバイナリ変調セグメント55を有する。バイナリ変調セグメント24は、バイナリ変調されるビットの数に応じて、サブセグメント52、53、54を有する。
図11の例では、多値変調ビット数mは3(m=3)、バイナリ変調ビット数nは3(n=3)であり、1シンボルあたり6ビットの光信号が送信される。
【0076】
多値変調セグメント51は、ビット0、ビット1、及びビット2による8値の電気信号で駆動される。バイナリ変調セグメント55のサブセグメント52はビット3の電気信号で駆動され、サブセグメント53はビット4の電気信号で駆動され、サブセグメント54はビット5の電気信号で駆動される。
【0077】
バイナリ変調セグメント55に設けられる位相シフタである1ビットバイナリ駆動電極の長さはすべて等しく、かつ、多値変調セグメント51に設けられる位相シフタである多値駆動電極の長さよりも短い。
【0078】
位相シフタの単位長をLとすると、
図12のようにm=3、n=3のときは、多値変調セグメント51の位相シフタの長さは7L(=1L+2L+4L)である。バイナリ変調セグメント55の各位相シフタの長さは、多値変調セグメント51の最も上位のビットに対応する部分の位相シフタ長に合わせて、4Lである。
【0079】
バイナリ変調セグメント55のうち、ビット3で駆動されるサブセグメント52では、長さ4Lの位相シフタが、MZ型変調器の各アームに沿って縦列で2つ配置されている。ビット4で駆動されるサブセグメント53では、長さ4Lの位相シフタが、各アームに沿って、縦列で4つ配置されている。ビット5で駆動されるサブセグメント54では、長さ4Lの位相シフタが、各アームに沿って縦列で8つ配置されている。
【0080】
このような位相シフタの配置により、多値変調セグメント51と、バイナリ変調セグメント55で、位相シフタの長さが最適化され、多値変調セグメント51とバイナリ変調セグメント55の動作帯域を均一にすることができる。また、多値レベルが高くなってもトータルの位相シフタ数の増大を抑制することができる。
【0081】
図12は、多値変調セグメント51の駆動構成例である。この駆動構成は、
図11の光変調器50の構成に基づいている。多値変調セグメント51の位相シフタ長L
PSは7L(Lは単位長)に設定され、3ビット(ビット0、ビット1、ビット2)で符号化された多値変調を行う。
【0082】
ビット0に対応するドライバ421と、ビット1に対応するドライバ422と、ビット2に対応するドライバ423は、ビットの重さに比例してどの駆動能力に重み付けがされている。駆動能力の重み付の一例として、CMOSで形成されるドライバのサイズを異ならせる。ビット1のドライバ422のサイズは、ビット0のドライバ421のサイズの2倍に設定されている。ビット2のドライバ423のサイズは、ビット0のドライバ421のサイズの4倍に設定されている。これは、ドライバ421~423には、ビットの重さに反比例して重み付けされたインピーダンスが設定されていることを意味する。
【0083】
ドライバ421~423のそれぞれと、位相シフタの間に容量が接続されている。容量は、ビットの重さに応じて重み付けされている。ドライバ421の出力と位相シフタの間に容量Cが挿入されている。ドライバ422の出力と位相シフタの間に、容量2Cが挿入されている。ドライバ423の出力と位相シフタの間に容量4Cが挿入されている。
【0084】
ドライバ421の第1出力と、ドライバ422の第1出力と、ドライバ423の第1出力は、容量C、容量2C、及び容量4Cで合成されて、第1多値信号として一方の位相シフタに入力される。ドライバ421の第2出力と、ドライバ422の第2出力と、ドライバ423の第2出力は、容量C、容量2C、及び容量4Cで合成されて、第2多値信号として他方の位相シフタに入力される。一対の位相シフタは、入力された多値信号に応じてMZ導波路を伝搬する光の位相を変調する。
【0085】
光変調器50のバイナリ変調セグメント55の各位相シフタの駆動構成は、ドライバ431に設定される重み付け、接続される容量、及び、位相シフタの長さL
PSを除いて、
図7の構成と同じである。光送信機2では、ドライバの重み付けと、容量は、多値変調セグメント51の最も上位のビットに合わせて4倍にされている。バイナリ変調セグメント55の各位相シフタの長さL
PSは、4Lに設定されている。
【0086】
この構成により、多値変調セグメント51とバイナリ変調セグメント55の各セグメントで動作帯域がそろって、出力光信号の波形劣化が抑制される。
【0087】
図13は、実施形態の構成のIQ変調器への適用例を示す。光送信機3は、たとえば偏波多重方式の多値変調に適用され、XI変調器(Mod-XI)、XQ変調器(Mod-XQ)、YI変調器(Mod-YI)、及びYQ変調器(Mod-YI)を有する。各変調器は、
図3の光変調器20と同じ構成であり、4ビットで16のレベルを持つ(
図9参照)最大256QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式の値の光変調を行う。
【0088】
XI変調器(Mod-XI)とXQ変調域(Mod-XQ)の間に、90度の位相差を与える90度位相シフタ7が配置されている。YI変調器(Mod-YI)とYQ変調域(Mod-YQ)の間に、90度の位相差を与える90度位相シフタ8が、配置されている。
【0089】
XI変調器の出力と、90度の位相差をもつXQ変調域の出力が合成されることで、複素平面上で16×16の値をもつ光変調信号が生成される。互いに直交する2つの偏波を利用することで、情報量をさらに2倍にすることができる。
【0090】
XI変調器(Mod-XI)、XQ変調器(Mod-XQ)、YI変調器(Mod-YI)、及びYQ変調器(Mod-YI)のそれぞれで、多値変調セグメントと、ビットごとのバイナリ変調セグメントの動作帯域が均一化されており、光波形またはアイパターンが良好に保たれる。
【0091】
図14は、実施形態の光送信機1を用いた光トランシーバモジュール100の模式図である。光トランシーバモジュール100は、パッケージ内に、光送信機1と光受信機4とDSP5を有する。
【0092】
より具体的には、光トランシーバモジュール100は、パッケージ内に、光IC101と、電子部品102と、DSP5を有する。DSP5の側に、他の伝送装置との電気的な接続をとる電気コネクタを有していてもよい。図示は省略されているが、光IC101の側に、光ファイバケーブル等との接続のための光コネクタを有していてもよい。
【0093】
光ICは、たとえばシリコンフォトニクス技術を用いて、基板上に種々の光回路素子が集積されている。送信側では、光変調器20の他に、ビームスプリッタ、ビームコンバイナ、光カプラ、モニタPD等が集積される。受信側では、光検出器103の他に、デジタルコヒーレント受信のために、ビームスプリッタ、90度ハイブリッド光ミキサ等が形成されていてもよい。偏波多重方式に対応する場合は、偏光ビームスプリッタ、偏波ローテータ等が形成されていてもよい。
【0094】
電子部品102は、送信側にドライバ回路40を有する。ドライバ回路40は、プリドライバ41とファイナルドライバ42(
図3参照)を含む。ファイナルドライバ42は、光変調器20の光導波路(アーム)に沿って所定の長さで配置される複数の位相シフタに接続され、所定の容量が接続されている。ファイナルドライバは、すべて同じ回路構成で光変調器20の各セグメントを駆動する。
【0095】
電子部品102の受信側では、光検出器103から出力される光電流を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプ(TIA)を含む増幅回路が形成されている。
【0096】
DSP5は光送信機1と光受信機4で共通に用いられてもよい。DSP5は、光変調器20の構成に応じて、多値変調セグメントのためのmビットのデジタル信号と、バイナリ変調セグメントのためのnビットのデジタル信号を出力する。
【0097】
光トランシーバモジュール100が光源10(
図3参照)を内蔵する場合は、光源10の出力は2つに分割され、一方は光変調器20に入力され、他方は、受信光信号の検波のための局発光として用いられる。
【0098】
図14では、光変調器20を有する光送信機1を用いているが、光変調器50を用いた光送信機2、あるいは偏波多重方式の光送信機3を用いてもよい。いずれの場合も、多値変調されるセグメントとバイナリ変調されるセグメントの間で均一な動作帯域を持つ光トランシーバモジュールが実現される。
【0099】
本発明は上述した具体的な構成例に限定されない。たとえば、ドライバ回路40は、CMOSに替えてバイポーラトランジスタで形成された回路構成を用いてもよい。光変調器は、シリコンコアの導波路に替えて、InP基板に形成された多重量子井戸をコアとするMZ型変調器であってもよい。また、MZ干渉計を有さない他の変調器構造に適用してもよい。
【0100】
以上の説明に対し、以下の付記を呈示する。
(付記1)
複数の変調セグメントを有する多分割光変調器を備えた光送信機において、
入力されるデジタル電気信号に基づいてビットごとのバイナリデータを出力するドライバ回路と、
前記ドライバ回路から出力されるビット信号のうち、2以上のビットを含む第1駆動信号で駆動される多値変調セグメントと、1つ以上の1ビットの第2駆動信号でビットごとに駆動されるバイナリ変調セグメントとを有するマッハツェンダ干渉計型の光変調器と、
を有し、
前記多値変調セグメントは、前記光変調器の各アームに配置される第1位相シフタを有し、
前記バイナリ変調セグメントは、前記光変調器の前記各アームに沿って配置される複数の第2位相シフタを有し、
前記第2位相シフタの長さはすべて同じであり、かつ前記第1位相シフタの長さよりも短いことを特徴とする光送信機。
(付記2)
前記ドライバ回路のうち、前記第1位相シフタを駆動する第1回路部分のドライバインピーダンスは、前記2以上のビットの重さに反比例して重み付けされ、
前記第2位相シフタを駆動する第2回路部分のドライバインピーダンスは、前記第1回路部分のドライバインピーダンスのうちの最小インピーダンスに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光送信機。
(付記3)
前記第1回路部分と前記第1位相シフタは容量を介して接続されており、前記第1位相シフタに接続される容量は、前記2以上のビットの重さに比例して重み付けされており、
前記第2回路部分と前記第2位相シフタは第2容量を介して接続されており、前記第2容量は、前記第1位相シフタに接続される容量のうちの最大容量に設定されていることを特徴とする付記2に記載の光送信機。
(付記4)
前記第1駆動信号に含まれるビット数をm、位相シフタの単位長をLとすると、前記第1位相シフタの長さは(2m-1)×L、前記第2位相シフタの長さは2m-1×Lであることを特徴とする付記1~3のいずれかに記載の光送信機。
(付記5)
1ビットの前記第2駆動信号のトータルのビット数をnとすると(n=1、2、…i、…n)、前記バイナリ変調セグメントのi番目のサブセグメントに含まれる前記第2位相シフタの数は2iであることを特徴とする付記4に記載の光送信機。
(付記6)
前記ドライバ回路は、前記デジタル電気信号を入力とする前段のプリドライバと、前記第1位相シフタ及び前記第2位相シフタの入力に接続される出力を有するファイナルドライバを含み、
前記バイナリ変調セグメントの駆動に用いられる前記ファイナルドライバは、同一の駆動構成を有することを特徴とする付記1~5のいずれかに記載の光送信機。
(付記7)
前記ファイナルドライバの出力には、位相シフタ間の光伝搬時間に対応した遅延が設定されていることを特徴とする付記6に記載の光送信機。
(付記8)
前記光変調器の前記各アームには、光位相調整用の低速の位相調整器が設けられていることを特徴とする付記1~7のいずれかに記載の光送信機。
(付記9)
付記1~8のいずれかに記載の光送信機と、
光送信機にデジタル電気信号を出力するデジタル信号プロセッサと、
光受信機と、
を有する光トランシーバモジュール。
(付記10)
複数の変調セグメントを有する多分割光変調器を用いた光変調方法において、
入力デジタル電気信号に基づいて、ドライバ回路でビットごとのバイナリデータを生成し、
生成されたバイナリデータのうち、2以上のビットを含む第1駆動信号を光変調器の多値変調セグメントに入力し、1つ以上の1ビットの第2駆動信号を前記光変調器のバイナリ変調セグメントに入力し、
前記多値変調セグメントに設けられた第1位相シフタを用いて、前記第1駆動信号で入力光を多値変調し、
前記バイナリ変調セグメントの1つ以上のサブセグメントのそれぞれで、第2位相シフタを用いて、1つ以上の前記第2駆動信号で前記入力光をバイナリ変調し、
前記第2位相シフタは、前記バイナリ変調セグメントの中ですべて同じ長さに設定されており、かつ前記第1位相シフタの長さよりも短く設定されていることを特徴とする光変調方法。
(付記11)
前記ドライバ回路で、前記第1位相シフタを駆動する第1回路部分のドライバインピーダンスを、前記2以上のビットの重さに反比例して重み付けし、
前記第2位相シフタを駆動する第2回路部分のドライバインピーダンスを、前記第1回路部分のドライバインピーダンスのうちの最小インピーダンスに設定することを特徴とする付記10に記載の光変調方法。
(付記12)
前記第1回路部分を容量を介して前記第1位相シフタに接続し、前記第1位相シフタに接続される容量を、前記2以上のビットの重さに比例して重み付けし、
前記第2回路部分を第2容量を介して前記第2位相シフタに接続し、前記第2容量を、前記第1位相シフタに接続される容量のうちの最大容量に設定することを特徴とする付記11に記載の光変調方法。
【符号の説明】
【0101】
1、2、3 光送信機
5 DSP
10 光源
20、30、50 光変調器
21、31、51 多値変調セグメント
22、23、32、33、52、53、54 サブセグメント
24、34、55 バイナリ変調セグメント
40 ドライバ回路
41 プリドライバ
42 ファイナルドライバ
100 光トランシーバモジュール
101 光IC
102 電子部品
211、212 位相シフタ(第1位相シフタ)
221a~221b、222a~222b、231a~231d、232a~232d 位相シフタ(第2位相シフタ)