(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】給電制御装置
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20230613BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H02H7/00 B
H02J7/00 302A
H02J7/00 T
H02J7/00 S
(21)【出願番号】P 2019237424
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 征哉
(72)【発明者】
【氏名】榊原 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅幸
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208766(JP,A)
【文献】特開2017-184538(JP,A)
【文献】特開平8-107632(JP,A)
【文献】特開2008-244487(JP,A)
【文献】特開2013-255017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02H 7/10 - 7/20
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流経路に配置され、両端に寄生ダイオードが接続されている第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチの両方をオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、
前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオン又はオフへの切替えを指示する処理を実行する処理部と、
前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記電流経路を電流が流れている場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える切替え回路と
を備え、
前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチそれぞれの寄生ダイオードのカソードは、前記電流経路にてアノードの下流側及び上流側に位置する
給電制御装置。
【請求項2】
前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの上流側に配置されており、
前記電流経路にて、前記第2半導体スイッチの下流側に負荷が配置されており、
前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記第2半導体スイッチ及び前記負荷間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧以上である場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの下流側に配置されており、
前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチの下流側に負荷が配置されており、
前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記第2半導体スイッチ及び前記負荷間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧以上である場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合、前記ノード電圧が前記閾値電圧以上であるか否かを判定し、
前記ノード電圧が前記閾値電圧以上であると判定した場合に前記第1半導体スイッチのオンへの切替えを前記切替え回路に指示する
処理を実行する
請求項2又は請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの上流側に配置されており、
前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチの上流側に負荷が配置されており、
前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記負荷及び第2半導体スイッチ間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧未満である場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの下流側に配置されており、
前記電流経路にて、前記第2半導体スイッチの上流側に負荷が配置されており、
前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記負荷及び第2半導体スイッチ間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧未満である場合に前記第1半導体スイッチを
オンに切替える
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合、前記ノード電圧が前記閾値電圧未満であるか否かを判定し、
前記ノード電圧が前記閾値電圧未満であると判定した場合に前記第1半導体スイッチのオンへの切替えを前記切替え回路に指示する
処理を実行する
請求項5又は請求項6に記載の給電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、バッテリから負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が配置されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、バッテリから負荷に流れる電流の電流経路に第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチが配置されている。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチそれぞれの両端には寄生ダイオードが接続されている。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチそれぞれの寄生ダイオードのカソードは、電流経路においてアノードの下流側及び上流側に位置する。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチの両方をオン又はオフに切替えることによって、バッテリから負荷への給電を制御する。
【0003】
ユーザは、バッテリについて、電流が第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチよりも先に負荷を流れる誤った接続を行う可能性がある。第1半導体スイッチが存在せず、かつ、第2半導体スイッチがオフである場合において、誤ったバッテリの接続を行ったとき、電流は第2半導体スイッチの寄生ダイオードを流れる。電流が第2半導体スイッチの寄生ダイオードを長期間流れた場合、第2半導体スイッチの温度が異常な温度に上昇し、故障が発生する可能性がある。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の給電制御装置では、第1半導体スイッチが配置されているので、第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチがオフである場合、バッテリの接続が正常であるか否かに無関係に、電流が第1半導体スイッチ又は第2半導体スイッチの寄生ダイオードを流れることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の給電制御装置において、バッテリの接続が正常であり、かつ、第1半導体スイッチがオフである状態で第2半導体スイッチの両端が短絡したと仮定する。この場合、電流は、バッテリから第1半導体スイッチの寄生ダイオード、第2半導体スイッチ及び負荷の順に流れる。電流が第1半導体スイッチの寄生ダイオードを長期間流れた場合、第1半導体スイッチにおいても故障が発生する可能性がある。
【0007】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一方の半導体スイッチにおける両端の短絡に起因して他方の半導体スイッチの故障が発生することがない給電制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る給電制御装置は、電流経路に配置され、両端に寄生ダイオードが接続されている第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチの両方をオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオン又はオフへの切替えを指示する処理を実行する処理部と、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記電流経路を電流が流れている場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える切替え回路とを備え、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチそれぞれの寄生ダイオードのカソードは、前記電流経路にてアノードの下流側及び上流側に位置する。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、第2半導体スイッチにおける両端の短絡に起因して第1半導体スイッチの故障が発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】給電制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図3】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
【
図4】給電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図6】電圧出力回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】実施形態3における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図8】電圧出力回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図9】実施形態4における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図10】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
【
図11】短絡検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態5における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図13】実施形態6における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図14】実施形態7における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図15】実施形態8における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図16】電圧出力回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図17】実施形態9における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図18】実施形態10における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図19】実施形態11における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図20】実施形態12における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、電流経路に配置され、両端に寄生ダイオードが接続されている第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチの両方をオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオン又はオフへの切替えを指示する処理を実行する処理部と、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記電流経路を電流が流れている場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える切替え回路とを備え、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチそれぞれの寄生ダイオードのカソードは、前記電流経路にてアノードの下流側及び上流側に位置する。
【0013】
上記の態様にあっては、第2半導体スイッチが短絡している場合において、第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフを指示しているとき、第1半導体スイッチのみがオフに切替わる。このとき、電流は第1半導体スイッチの寄生ダイオードを流れる。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、電流経路を電流が流れている場合、第2半導体スイッチの両端が短絡しているとして、第1半導体スイッチをオンに切替える。これにより、第1半導体スイッチの寄生ダイオードを電流が長期間流れることはないので、第2半導体スイッチにおける両端の短絡に起因して、第1半導体スイッチの故障が発生することはない。
【0014】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置は、前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの上流側に配置されており、前記電流経路にて、前記第2半導体スイッチの下流側に負荷が配置されており、前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記第2半導体スイッチ及び前記負荷間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧以上である場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える。
【0015】
上記の態様にあっては、直流電源の正極から、電流は、第1半導体スイッチ、第2半導体スイッチ及び負荷の順に流れる。第1半導体スイッチがオフである状態で第2半導体スイッチの両端が短絡している場合、電流は、第1半導体スイッチの寄生ダイオード、第2半導体スイッチ及び負荷の順に流れ、ノード電圧は、直流電源の電圧又は直流電源の電圧近傍の値である。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフが指示されているにも関わらず、ノード電圧が高い場合、第2半導体スイッチの両端が短絡しているとみなす。
【0016】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置は、前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの下流側に配置されており、前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチの下流側に負荷が配置されており、前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記第2半導体スイッチ及び前記負荷間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧以上である場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える。
【0017】
上記の態様にあっては、直流電源の正極から、電流は、第2半導体スイッチ、第1半導体スイッチ及び負荷の順に流れる。第1半導体スイッチがオフである状態で第2半導体スイッチの両端が短絡している場合、電流は、第2半導体スイッチ、第1半導体スイッチの寄生ダイオード及び負荷の順に流れ、ノード電圧は、直流電源の電圧又は直流電源の電圧近傍の値である。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフが指示されているにも関わらず、ノード電圧が高い場合、第2半導体スイッチの両端が短絡しているとみなす。
【0018】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置は、前記処理部は、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合、前記ノード電圧が前記閾値電圧以上であるか否かを判定し、前記ノード電圧が前記閾値電圧以上であると判定した場合に前記第1半導体スイッチのオンへの切替えを前記切替え回路に指示する処理を実行する。
【0019】
上記の態様にあっては、第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、ノード電圧が高い場合、切替え回路に指示して、第1半導体スイッチをオンに切替えさせる。
【0020】
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置は、前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの上流側に配置されており、前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチの上流側に負荷が配置されており、前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記負荷及び第2半導体スイッチ間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧未満である場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える。
【0021】
上記の態様にあっては、直流電源の正極から、電流は、負荷、第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチの順に流れる。第1半導体スイッチがオフである状態で第2半導体スイッチの両端が短絡している場合、電流は、負荷、第1半導体スイッチの寄生ダイオード及び第2半導体スイッチの順に流れ、ノード電圧は、ゼロV又はゼロV近傍の値である。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフが指示されているにも関わらず、ノード電圧が低い場合、第2半導体スイッチの両端が短絡しているとみなす。
【0022】
(6)本開示の一態様に係る給電制御装置は、前記電流経路にて、前記第1半導体スイッチは、前記第2半導体スイッチの下流側に配置されており、前記電流経路にて、前記第2半導体スイッチの上流側に負荷が配置されており、前記切替え回路は、前記処理部が前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、前記負荷及び第2半導体スイッチ間の接続ノードのノード電圧が閾値電圧未満である場合に前記第1半導体スイッチをオンに切替える。
【0023】
上記の態様にあっては、直流電源の正極から、電流は、負荷、第2半導体スイッチ及び第1半導体スイッチの順に流れる。第1半導体スイッチがオフである状態で第2半導体スイッチの両端が短絡している場合、電流は、負荷、第2半導体スイッチ及び第1半導体スイッチの寄生ダイオードの順に流れ、ノード電圧は、ゼロV又はゼロV近傍の値である。第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフが指示されているにも関わらず、ノード電圧が低い場合、第2半導体スイッチの両端が短絡しているとみなす。
【0024】
(7)本開示の一態様に係る給電制御装置は、前記処理部は、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合、前記ノード電圧が前記閾値電圧未満であるか否かを判定し、前記ノード電圧が前記閾値電圧未満であると判定した場合に前記第1半導体スイッチのオンへの切替えを前記切替え回路に指示する処理を実行する。
【0025】
上記の態様にあっては、第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、ノード電圧が低い場合、切替え回路に指示して、第1半導体スイッチをオンに切替えさせる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
(実施形態1)
<電源システム1の構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に好適に搭載されており、給電制御装置10、負荷11、バッテリ12、正極端子Tp及び負極端子Tnを備える。給電制御装置10は、負荷11の一端及び正極端子Tpに接続されている。負荷11の他端及び負極端子Tnは接地されている。バッテリ12は、ユーザによって、正極端子Tp及び負極端子Tn間に着脱可能に接続される。
【0028】
通常、
図1に示すように、ユーザは、バッテリ12の正極及び負極それぞれを正極端子Tp及び負極端子Tnに接続する。この接続は正常接続である。給電制御装置10は、正極端子Tp及び負荷11の電気的な接続と、この電気的な接続の遮断とを行うことによって、バッテリ12から負荷11への給電を制御する。バッテリ12の接続が正常接続である場合において、給電制御装置10が正極端子Tp及び負荷11を電気的に接続したとき、バッテリ12は、負荷11に電力を供給する。同様の場合において、給電制御装置10が電気的な接続を遮断したとき、バッテリ12から負荷11への給電が停止する。
【0029】
ユーザは、バッテリ12の正極及び負極それぞれを、誤って負極端子Tn及び正極端子Tpに接続する可能性がある。この接続は逆接続である。給電制御装置10は、バッテリ12の接続が逆接続である場合にバッテリ12から負荷11への給電を停止することができる。
【0030】
負荷11は、車両に搭載されている電気機器であり、例えば、ファンを駆動するモータである。バッテリ12から負荷11に電力が供給されている場合、負荷11は作動する。バッテリ12から負荷11への給電が停止した場合、負荷11は動作を停止する。
【0031】
<給電制御装置10の構成>
給電制御装置10は、第1半導体スイッチ20a、第2半導体スイッチ20b、第1ダイオード21a、第2ダイオード21b、第1駆動回路22a、第2駆動回路22b、OR回路23、電圧出力回路24、装置抵抗25及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)26を有する。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bそれぞれは、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。OR回路23は、2つの入力端と1つの出力端とを有する。電圧出力回路24は回路抵抗30,31を有する。
【0032】
第1ダイオード21a及び第2ダイオード21bそれぞれは、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの寄生ダイオードである。従って、第1ダイオード21a及び第2ダイオード21bそれぞれは、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bを製造した場合に、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bにおいて形成される。第1ダイオード21aのカソード及びアノードそれぞれは、第1半導体スイッチ20aのドレイン及びソースに接続されている。第2ダイオード21bのカソード及びアノードそれぞれは、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースに接続されている。
【0033】
第1半導体スイッチ20aのソースは正極端子Tpに接続されている。第1半導体スイッチ20aのドレインは、第2半導体スイッチ20bのドレインに接続されている。第2半導体スイッチ20bのソースは負荷11の一端に接続されている。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bそれぞれのゲートは、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bに接続されている。第1駆動回路22aは、更に、OR回路23の出力端に接続されている。
【0034】
第2半導体スイッチ20bのソース及び負荷11の一端間の接続ノードは、電圧出力回路24の回路抵抗30の一端に接続されている。回路抵抗30の他端は回路抵抗31の一端に接続されている。回路抵抗31の他端は接地されている。回路抵抗30,31間の接続ノードは、OR回路23の一方の入力端に接続されている。第2駆動回路22bとOR回路23の他方の入力端とは、装置抵抗25の一端に接続されている。装置抵抗25の他端はマイコン26に接続されている。
【0035】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bそれぞれについて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が一定電圧以上である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さい。このとき、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bそれぞれはオンであり、電流がドレイン及びソースを介して流れることが可能である。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bそれぞれについて、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が一定電圧未満である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きい。このとき、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bそれぞれはオフであり、電流がドレイン及びソースを介して流れることはない。
【0036】
OR回路23は、ハイレベル電圧又はローレベル電圧を第1駆動回路22aに出力している。第1駆動回路22aは、OR回路23から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、接地電位を基準とした第1半導体スイッチ20aのゲートの電圧を上昇させる。これにより、第1半導体スイッチ20aでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が一定電圧以上の電圧に上昇し、第1半導体スイッチ20aはオンに切替わる。
【0037】
第1駆動回路22aは、OR回路23から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、接地電位を基準とした第1半導体スイッチ20aのゲートの電圧を低下させる。これにより、第1半導体スイッチ20aでは、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が一定電圧未満の電圧に低下し、第1半導体スイッチ20aはオフに切替わる。
以上のように、第1駆動回路22aは、OR回路23から入力されている電圧に応じて、第1半導体スイッチ20aをオン又はオフに切替える。
【0038】
マイコン26は、装置抵抗25を介して、OR回路23及び第2駆動回路22bにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。第2駆動回路22bは、マイコン26から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、第1駆動回路22aと同様に、第2半導体スイッチ20bをオンに切替える。第2駆動回路22bは、マイコン26から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、第1駆動回路22aと同様に、第2半導体スイッチ20bをオフに切替える。
【0039】
以下では、電圧出力回路24が接続される接続ノードの電圧をノード電圧と記載する。実施形態1では、ノード電圧は、接地電位を基準として、第2半導体スイッチ20bのソース及び負荷11の一端間の接続ノードに印加される電圧である。電圧出力回路24の回路抵抗30,31はノード電圧を分圧する。回路抵抗30,31が分圧することによって得られた電圧は、電圧出力回路24の出力電圧として、OR回路23に入力される。この出力電圧は、回路抵抗30,31の抵抗値の比によって決まる。回路抵抗30,31の抵抗値は一定値である。回路抵抗30の抵抗値が回路抵抗31の抵抗値の2倍である場合、電圧出力回路24の出力電圧は、ノード電圧を3で除算することで得られる電圧である。
【0040】
OR回路23は、電圧出力回路24又はマイコン26の出力電圧が基準電圧以上である場合、ハイレベル電圧を第1駆動回路22aに出力する。電圧出力回路24及びマイコン26の出力電圧が基準電圧未満である場合、ローレベル電圧を第1駆動回路22aに出力する。基準電圧は、ゼロVを超える一定値であり、予め設定されている。マイコン26が出力するハイレベル電圧は基準電圧以上である。マイコン26が出力するローレベル電圧は基準電圧未満である。
【0041】
電圧出力回路24の出力電圧はノード電圧に比例する。電圧出力回路24の出力電圧が基準電圧である場合におけるノード電圧を閾値電圧と記載する。基準電圧がゼロVを超えているので、閾値電圧もゼロVを超えている。ノード電圧が閾値電圧未満である場合、電圧出力回路24は、基準電圧未満である電圧をOR回路23に出力する。ノード電圧が閾値電圧以上である場合、電圧出力回路24は、基準電圧以上である電圧をOR回路23に出力する。
【0042】
<給電制御装置10の動作>
図2は、給電制御装置10の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図2では、マイコン26の出力電圧、ノード電圧、電圧出力回路24の出力電圧、OR回路23の出力電圧、並びに、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの状態の推移が示されている。これらの推移において、横軸には、時間が示されている。負極の電位を基準としたバッテリ12の正極の電圧をバッテリ電圧と記載する。バッテリ電圧は閾値電圧を超えている。
図2では、ハイレベル電圧、ローレベル電圧、基準電圧、バッテリ電圧及び閾値電圧それぞれは、H、L、Vr、Vb及びVthによって示される。
図2以外の図においても、ハイレベル電圧、ローレベル電圧、基準電圧、バッテリ電圧及び閾値電圧それぞれは、同様に示される。
【0043】
以下では、バッテリ12の接続は正常接続であると仮定する。
図2に示すように、給電制御装置10内において故障が発生していない場合において、マイコン26の出力電圧がローレベル電圧であるとき、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bはオフである。ノード電圧及び電圧出力
回路24の出力電圧はゼロVである。OR回路23の出力電圧はローレベル電圧である。
【0044】
マイコン26が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、OR回路23は、第1駆動回路22aへの出力電圧をハイレベル電圧に切替え、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。更に、第2駆動回路22bへの出力電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わるので、第2駆動回路22bは第2半導体スイッチ20bをオンに切替える。このため、マイコン26が出力電圧をハイレベル電圧に切替えた場合、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bはオンに切替わる。
【0045】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンに切替わった場合、ノード電圧は、バッテリ電圧Vbに上昇する。これにより、電圧出力回路24の出力電圧は、基準電圧Vr以上である電圧に上昇する。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンに切替わった場合、正極端子Tp及び負荷11の一端が電気的に接続し、バッテリ12は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bを介して負荷11に電力を供給する。
【0046】
このとき、電流は、正極端子Tpから第1半導体スイッチ20a、第2半導体スイッチ20b、負荷11及び負極端子Tnの順に流れる。このように、正極端子Tpから負極端子Tnへ流れる電流の電流経路には、第1半導体スイッチ20a、第2半導体スイッチ20b及び負荷11がこの順で配置されている。第1ダイオード21a及び第2ダイオード21bそれぞれのカソードは、電流経路においてアノードの下流側及び上流側に位置する。
【0047】
第1半導体スイッチ20aがオンである場合、ドレイン及びソース間の電圧が実質的にゼロVであるため、第1ダイオード21aを電流が流れることはない。同様に、第2半導体スイッチ20bがオンである場合、第2ダイオード21bを電流が流れることはない。
【0048】
マイコン26が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、第2駆動回路22bは第2半導体スイッチ20bをオフに切替える。第2半導体スイッチ20bがオフに切替わった場合、負荷11を介した電流の通流、及び、回路抵抗30,31を介した電流の通流が停止するので、ノード電圧、及び、電圧出力回路24の出力電圧はゼロVに低下する。これにより、OR回路23に入力される2つの電圧が基準電圧Vr未満となるので、OR回路23の出力電圧がローレベル電圧に切替わり、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオフに切替える。
【0049】
以上のように、給電制御装置10内で故障が発生していない場合において、マイコン26が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えたとき、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bはオフに切替わる。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフに切替わった場合、正極端子Tp及び負荷11の一端間の電気的な接続が遮断され、バッテリ12から負荷11への給電が停止する。
【0050】
マイコン26がローレベル電圧を出力している状態で第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡した場合、バッテリ12の正極から、電流が、第1半導体スイッチ20aの第1ダイオード21a、第2半導体スイッチ20b及び負荷11の順に流れ、ノード電圧は、バッテリ電圧Vb近傍の値まで上昇し、閾値電圧Vthを超える。これより、電圧出力回路24の出力電圧は基準電圧Vr以上となり、OR回路23の出力電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わる。これにより、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに切替え、第1ダイオード21aを介した電流の通流が停止する。
【0051】
以上のように、マイコン26は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのオフへの切替えを指示している場合において、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡したとき、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。
【0052】
第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースの短絡は、第2半導体スイッチ20bにおいて、ゲートの電圧に無関係に、ドレイン及びソース間の抵抗値が小さい値に固定される故障を意味する。短絡が発生している場合、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。
【0053】
マイコン26がハイレベル電圧を出力している状態で第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡した場合においては、マイコン26が出力電圧をローレベル電圧に切替えても、ノード電圧が閾値電圧Vth未満の電圧に低下することはない。このため、マイコン26の出力電圧がローレベル電圧に切替わっても、OR回路23はハイレベル電圧を出力し続け、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに維持する。
【0054】
通常、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったとしても、ノード電圧、及び、電圧出力回路24の出力電圧はゼロVに維持され、OR回路23の出力電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わることはない。このため、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態では、バッテリ12の接続が正常接続であるか否かに無関係に、バッテリ12から電流が流れることはない。
【0055】
<マイコン26の構成>
図3はマイコン26の要部構成を示すブロック図である。マイコン26は、出力部40、記憶部41及び制御部42を有する。これらは、内部バス43に接続されている。出力部40は、更に、装置抵抗25を介して、OR回路23及び第2駆動回路22bに接続されている。
【0056】
出力部40は、装置抵抗25を介して、OR回路23及び第2駆動回路22bにローレベル電圧又はハイレベル電圧を出力している。出力部40は、制御部42の指示に従って、OR回路23及び第2駆動回路22bへの出力電圧をローレベル電圧又はハイレベル電圧に切替える。
【0057】
記憶部41は不揮発メモリである。記憶部41には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部42は、処理を実行する処理素子、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有する。制御部42の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、負荷11への給電を制御する給電制御処理を実行する。
【0058】
なお、コンピュータプログラムPは、制御部42が有する処理素子が読み取り可能に記憶媒体Aに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Aから読み出されたコンピュータプログラムPが記憶部41に書き込まれる。記憶媒体Aは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムPをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPを記憶部41に書き込んでもよい。
【0059】
また、制御部42が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。この場合、複数の処理素子がコンピュータプログラムPに従って、温度算出処理及び給電制御処理を協同で実行してもよい。
【0060】
<給電制御処理>
図4は給電制御処理の手順を示すフローチャートである。以下では、バッテリ12の接続は正常接続であると仮定する。給電制御処理では、まず、制御部42は、電力を負荷11に供給するか否かを判定する(ステップS1)。例えば、負荷11の作動を指示する作動信号が図示しない入力部に入力された場合、制御部42は電力を負荷11に供給すると判定する。作動信号が入力部に入力されていない場合、制御部42は電力を負荷11に供給しないと判定する。
【0061】
制御部42は、電力を供給しないと判定した場合(S1:NO)、負荷11への給電を停止するか否かを判定する(ステップS2)。例えば、負荷11への給電の停止を指示する停止信号が図示しない入力部に入力された場合、制御部42は負荷11への給電を停止すると判定する。停止信号が入力部に入力されていない場合、制御部42は負荷11への給電を停止しないと判定する。制御部42は、給電を停止しないと判定した場合(S2:NO)、給電制御処理を終了する。制御部42は、給電制御処理を終了した後、再び、給電制御処理を実行する。従って、制御部42は、負荷11への給電が必要となるか、又は、負荷11への給電の停止が必要となるまで待機する。
【0062】
制御部42は、電力を供給すると判定した場合(S1:YES)、出力部40に、出力電圧のハイレベル電圧への切替えを指示する(ステップS3)。これにより、出力部40は、OR回路23及び第2駆動回路22bへの出力電圧をハイレベル電圧に切替える。結果、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bは第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオンに切替え、バッテリ12は負荷11に電力が供給される。制御部42は、ステップS3を実行することによって、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bに第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのオンへの切替えを指示する。
【0063】
制御部42は、給電を停止すると判定した場合(S2:YES)、出力部40に、出力電圧のローレベル電圧への切替えを指示する(ステップS4)。これにより、出力部40は、OR回路23及び第2駆動回路22bへの出力電圧をローレベル電圧に切替える。第2半導体スイッチ20bの両端が短絡していない場合においては、出力部40が出力電圧をローレベル電圧に切替えたとき、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bは、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオフに切替え、バッテリ12から負荷11への給電が停止する。
【0064】
制御部42は、ステップS4を実行することによって、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bに第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのオフへの切替えを指示する。制御部42は処理部として機能する。
制御部42は、ステップS3,S4の一方を実行した後、給電制御処理を終了する。前述したように、制御部42は、給電制御処理を終了した後、再び、給電制御処理を実行する。
【0065】
<給電制御装置10の効果>
以上のように、マイコン26の制御部42は、出力部40に出力電圧のローレベル電圧への切替えを指示することによって、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのオフへの切替えを指示する。制御部42が第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、ノード電圧が閾値電圧以上である場合、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡したとみなし、OR回路23は、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。これにより、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。ノード電圧が閾値電圧以上であることは、正極端子Tpから負極端子Tnへの電流経路を電流が流れていることを意味する。
【0066】
第1駆動回路22aが以上のように動作するので、第1ダイオード21aを介して電流が長時間流れることはなく、第1半導体スイッチ20aの温度が異常な温度に上昇することはない。第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースの短絡に起因して第1半導体スイッチ20aの故障が発生することはない。第1駆動回路22aは切替え部として機能する。
【0067】
(実施形態2)
電圧出力回路24の構成は実施形態1において示された構成に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0068】
<電圧出力回路24の構成>
図5は、実施形態2における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態2を実施形態1と比較した場合、電圧出力回路24の構成が異なる。実施形態2において、電圧出力回路24は、回路抵抗50,51,・・・,54、第1回路スイッチ55及び第2回路スイッチ56を有する。第1回路スイッチ55はNPN型のバイポーラトランジスタである。第2回路スイッチ56はPNP型のバイポーラトランジスタである。
【0069】
回路抵抗50の一端は、第2半導体スイッチ20bのソース及び負荷11の一端間の接続ノードに接続されている。回路抵抗50の他端は、第1回路スイッチ55のベースに接続されている。第1回路スイッチ55のベース及びエミッタ間に回路抵抗51が接続されている。第1回路スイッチ55のエミッタは接地されている。第1回路スイッチ55のコレクタは回路抵抗52の一端に接続されている。回路抵抗52の他端は、第2回路スイッチ56のベースに接続されている。
【0070】
第2回路スイッチ56のベース及びエミッタ間に回路抵抗53が接続されている。第2回路スイッチ56のエミッタには、一定電圧Vcが印加されている。一定電圧Vcは接地電位を基準とした電圧である。第2回路スイッチ56のコレクタは、回路抵抗54の一端に接続されている。回路抵抗54の他端は接地されている。第2回路スイッチ56のコレクタ及び回路抵抗54の一端間の接続ノードはOR回路23の一方の入力端に接続されている。
【0071】
第1回路スイッチ55では、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が正の一定電圧以上である場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値は十分に小さい。このとき、第1回路スイッチ55はオンであり、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることが可能である。第1回路スイッチ55では、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が正の一定電圧未満である場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値は十分に大きい。このとき、第1回路スイッチ55はオフであり、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることはない。
【0072】
第2回路スイッチ56では、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が負の一定電圧未満である場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値は十分に小さい。このとき、第2回路スイッチ56はオンであり、エミッタ及びコレクタを介して電流が流れることが可能である。第2回路スイッチ56では、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が負の一定電圧以上である場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値は十分に大きい。このとき、第2回路スイッチ56はオフであり、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることはない。
【0073】
<電圧出力回路24の動作>
図6は、電圧出力回路24の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6には、ノード電圧、第1回路スイッチ55の状態、第2回路スイッチ56の状態及び電圧出力回路24の出力電圧の推移が示されている。これらの推移について、横軸には時間が示されている。
【0074】
ノード電圧がゼロを超えた場合、電流は回路抵抗50,51の順に流れる。回路抵抗51において、電圧降下が生じる。第1回路スイッチ55において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、回路抵抗51における電圧降下の幅と一致する。ノード電圧が高い程、回路抵抗51を流れる電流が大きいので、電圧降下の幅は大きい。閾値電圧Vthは、第1回路スイッチ55において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が、第1回路スイッチ55の正の一定電圧である場合におけるノード電圧である。閾値電圧Vthは、ゼロVを超えており、かつ、バッテリ電圧Vb未満である。
【0075】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧は、ゼロVであり、閾値電圧Vth未満である。ノード電圧が閾値電圧Vth未満である場合、第1回路スイッチ55において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、正の一定電圧未満である。このため、第1回路スイッチ55はオフである。
【0076】
第1回路スイッチ55がオフである場合、電流は回路抵抗53,52を流れないので、第2回路スイッチ56において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、ゼロVであり、正の一定電圧以上である。このため、第2回路スイッチ56もオフである。第2回路スイッチ56がオフである場合、電流は回路抵抗54を流れないので、電圧出力回路24はゼロVをOR回路23に出力する。ゼロVは基準電圧Vr未満である。従って、ノード電圧がゼロVである場合、実施形態1と同様に、電圧出力回路24は、基準電圧Vr未満である電圧を出力する。
【0077】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、バッテリ電圧Vb、又は、バッテリ電圧Vb近傍の値であり、閾値電圧Vth以上である。このとき、第1回路スイッチ55において、エミッタを基準としたベースの電圧は、正の一定電圧以上であり、第1回路スイッチ55はオンである。第1回路スイッチ55がオンである場合、電流は、回路抵抗53,52の順に流れ、回路抵抗53において電圧降下が生じる。
【0078】
このとき、第2回路スイッチ56において、エミッタを基準としたベースの電圧は、負の一定電圧未満であり、第2回路スイッチ56はオンである。第2回路スイッチ56がオンである場合、電圧出力回路24は一定電圧VcをOR回路23に出力する。一定電圧Vcは、OR回路23の基準電圧Vr以上である。従って、ノード電圧がバッテリ電圧Vb又はバッテリ電圧Vb近傍の値である場合、実施形態1と同様に、電圧出力回路24は、基準電圧以上である電圧を出力する。
【0079】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は、ゼロVであり、閾値電圧Vth未満であるので、第1回路スイッチ55及び第2回路スイッチ56はオフであり、電圧出力回路24はゼロVを出力する。このため、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態では、バッテリ12の接続が正常接続であるか否かに無関係に、バッテリ12から電流が流れることはない。
【0080】
以上のように、実施形態2における電圧出力回路24は、実施形態1における電圧出力回路24と同様に作用する。従って、実施形態2における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0081】
(実施形態3)
電圧出力回路24の構成は実施形態1,2において示された構成に限定されない。
以下では、実施形態3について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0082】
<電圧出力回路24の構成>
図7は、実施形態3における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態3を実施形態1と比較した場合、電圧出力回路24の構成が異なる。実施形態3において、電圧出力回路24は、コンパレータ60、回路抵抗61及び直流電源62を有する。コンパレータ60は、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。
【0083】
コンパレータ60のプラス端は、第2半導体スイッチ20bのソース及び負荷11の一端間の接続ノードと、回路抵抗61の一端とに接続されている。コンパレータ60のマイナス端は直流電源62の正極に接続されている。回路抵抗61の他端と、直流電源62の負極とは接地されている。コンパレータ60の出力端はOR回路23の一方の入力端に接続されている。
【0084】
接地電位を基準とした直流電源62の正極の電圧は、一定値であり、閾値電圧Vthとして機能する。コンパレータ60は、接地電位を基準としたプラス端の電圧、即ち、ノード電圧が閾値電圧Vth以上である場合、ハイレベル電圧をOR回路23に出力する。コンパレータ60が出力するハイレベル電圧は、OR回路23の基準電圧以上である。コンパレータ60は、ノード電圧が閾値電圧未満である場合、ローレベル電圧をOR回路23に出力する。コンパレータ60が出力するローレベル電圧は、OR回路23の基準電圧未満である。
【0085】
<電圧出力回路24の動作>
図8は、電圧出力回路24の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8には、ノード電圧及び電圧出力回路24の出力電圧の推移が示されている。これらの推移について、横軸には時間が示されている。
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧はゼロVである。ノード電圧がゼロVである場合、コンパレータ60、即ち、電圧出力回路24は、実施形態1と同様に、基準電圧Vr未満である電圧を出力する。
【0086】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、バッテリ電圧Vb、又は、バッテリ電圧Vb近傍の値である。このとき、コンパレータ60はハイレベル電圧を出力する。従って、ノード電圧がバッテリ電圧Vb又はバッテリ電圧Vb近傍の値である場合、実施形態1と同様に、電圧出力回路24は、基準電圧以上である電圧を出力する。
【0087】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、回路抵抗61の他端が接地されているので、ノード電圧はゼロVである。ノード電圧がゼロVである場合、コンパレータ60、即ち、電圧出力回路24はローレベル電圧を出力する。このため、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態では、バッテリ12の接続が正常接続であるか否かに無関係に、バッテリ12から電流が流れることはない。
【0088】
以上のように、実施形態3における電圧出力回路24は、実施形態1における電圧出力回路24と同様に作用する。従って、実施形態3における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0089】
(実施形態4)
実施形態1において、ノード電圧が閾値電圧以上であるか否かの判定はOR回路23によって行われる。しかしながら、この判定を行う機器は、OR回路23に限定されない。
以下では、実施形態4について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0090】
図9は、実施形態4における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態4における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が有する構成部の中で、OR回路23以外の構成部を有する。実施形態4においては、電圧出力回路24の回路抵抗30,31間の接続ノードはマイコン26に接続されている。マイコン26は、装置抵抗25を介して、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bに接続されている。
【0091】
電圧出力回路24の出力電圧はマイコン26に入力される。マイコン26は、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。第1駆動回路22aは、マイコン26から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。第1駆動回路22aは、マイコン26から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、第1半導体スイッチ20aをオフに切替える。
【0092】
マイコン26の出力電圧がハイレベル電圧に切替わった場合、実施形態1と同様に、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bは第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオンに切替える。マイコン26の出力電圧がローレベル電圧に切替わった場合、電圧出力回路24の出力電圧に無関係に、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bは第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオフに切替える。
【0093】
<マイコン26の構成>
図10はマイコン26の要部構成を示すブロック図である。実施形態4におけるマイコン26は、実施形態1におけるマイコン26が有する構成部に加えて、入力部44及びA/D変換部45を有する。出力部40は、内部バス43に接続されるとともに、装置抵抗25を介して、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bに接続されている。A/D変換部45は、内部バス43及び入力部44に接続されている。入力部44は、更に、電圧出力回路24が有する回路抵抗30,31間の接続ノードに接続されている。
【0094】
出力部40は、装置抵抗25を介して、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。出力部40は、制御部42の指示に従って、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bへの出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
【0095】
電圧出力回路24は、入力部44にアナログの電圧を出力する。入力部44は、アナログの電圧が入力された場合、入力されたアナログの電圧をA/D変換部45に出力する。A/D変換部45は、入力部44から入力されたアナログの電圧をデジタルの電圧に変換する。制御部42は、A/D変換部45が変換したデジタルの電圧をA/D変換部45から取得する。制御部42が取得する電圧は、取得時点において電圧出力回路24が出力した電圧と実質的に一致する。
【0096】
制御部42の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、給電制御処理に加えて、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースの短絡を検知する短絡検知処理を実行する。
【0097】
<短絡検知処理>
図11は短絡検知処理の手順を示すフローチャートである。制御部42は、出力部40の出力電圧がローレベル電圧であるか否かを判定する(ステップS11)。実施形態1の説明で述べたように、出力部40の出力電圧がローレベル電圧であることは、制御部42が第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのオフを指示していることを意味する。
【0098】
制御部42は、出力電圧がローレベル電圧であると判定した場合(S11:YES)、ノード電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12では、制御部42は、電圧出力回路24の出力電圧が基準電圧Vr以上である場合、ノード電圧が閾値電圧以上であると判定する。電圧出力回路24の出力電圧が基準電圧Vr未満である場合、ノード電圧が閾値電圧未満であると判定する。
【0099】
制御部42は、出力電圧がローレベル電圧ではないと判定した場合(S11:NO)、又は、ノード電圧が閾値電圧未満であると判定した場合(S12:NO)、短絡検知処理を終了する。制御部42は、短絡検知処理を終了した後、再び、短絡検知処理を実行する。従って、出力電圧がローレベル電圧である状態でノード電圧が閾値電圧以上となるまで待機する。
【0100】
制御部42は、ノード電圧が閾値電圧以上であると判定した場合(S12:YES)、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡したとして、出力部40に指示して、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bへの出力電圧をハイレベル電圧に切替えさせる(ステップS13)。これにより、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。制御部42は、ステップS13を実行することによって、第1駆動回路22aに第1半導体スイッチ20aのオンへの切替えを指示する。
制御部42は、ステップS13を実行した後、短絡検知処理を終了し、再び短絡検知処理を実行する。
【0101】
以上のように、実施形態4における給電制御装置10においても、実施形態1と同様に、制御部42が、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、ノード電圧が閾値電圧以上である場合、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。実施形態4における給電制御装置は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0102】
(実施形態5)
実施形態1においては、第1半導体スイッチ20aは第2半導体スイッチ20bの上流側に配置されている。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置はこの配置に限定されない。
以下では、実施形態5について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0103】
<給電制御装置10の構成>
図12は、実施形態5における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態5を実施形態1と比較した場合、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置が異なる。実施形態5における給電制御装置10では、第2半導体スイッチ20bのドレインは、正極端子Tpに接続されている。第2半導体スイッチ20bのソースは、第1半導体スイッチ20aのソースに接続されている。第1半導体スイッチ20aのドレインは負荷11の一端に接続されている。
【0104】
バッテリ12の接続が正常接続である場合において、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンであるとき、電流は、正極端子Tp、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20a、負荷11及び負極端子Tnの順に流れる。正極端子Tpから負極端子Tnへ流れる電流の電流経路には、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20a及び負荷11がこの順で配置されている。
【0105】
電圧出力回路24の回路抵抗30の一端は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのソース間の接続ノードに接続されている。実施形態5におけるノード電圧は、接地電位を基準として、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのソース間の接続ノードに印加される電圧である。
【0106】
バッテリ12の接続が正常接続である場合において、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡していると仮定する。この場合、電流は、正極端子Tp、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20aの第1ダイオード21a、負荷11及び負極端子Tnの順に流れる。
【0107】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧は、実施形態1と同様にゼロVである。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、実施形態1と同様に、バッテリ電圧Vb、又は、バッテリ電圧Vb近傍の値である。
【0108】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は実施形態1と同様にゼロVである。
従って、実施形態5における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0109】
なお、実施形態5において、電圧出力回路24の構成は、回路抵抗30,31を用いた構成に限定されず、実施形態2,3における電圧出力回路24の一方の構成であってもよい。
【0110】
(実施形態6)
実施形態5において、ノード電圧は、接地電位を基準として、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのソース間の接続ノードに印加される電圧に限定されない。
以下では、実施形態6について、実施形態5と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態5と共通している。このため、実施形態5と共通する構成部には実施形態5と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0111】
<給電制御装置10の構成>
図13は、実施形態6における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態6を実施形態5と比較した場合、電圧出力回路24が接続している接続ノードが異なる。実施形態5の説明で述べたように、電圧出力回路24の構成は、回路抵抗30,31を用いた構成に限定されず、実施形態2,3における電圧出力回路24の一方の構成であってもよい。
【0112】
図13には、電圧出力回路24の構成が回路抵抗30,31を用いた実施形態1の構成である例が示されている。この場合、回路抵抗30の一端は、第1半導体スイッチ20aのドレイン及び負荷11の一端間の接続ノードに接続されている。実施形態6では、ノード電圧は、接地電位を基準として、第1半導体スイッチ20aのドレイン及び負荷11の一端間の接続ノードに印加される電圧である。
【0113】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧は、実施形態5と同様にゼロVである。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、実施形態5と同様に、バッテリ電圧Vb、又は、バッテリ電圧Vb近傍の値である。
【0114】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は実施形態5と同様にゼロVである。
従って、実施形態6における給電制御装置10は、実施形態5における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0115】
(実施形態7)
実施形態4においては、第1半導体スイッチ20aは第2半導体スイッチ20bの上流側に配置されている。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置はこの配置に限定されない。
以下では、実施形態7について、実施形態4と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態4と共通している。このため、実施形態4と共通する構成部には実施形態4と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0116】
<給電制御装置10の構成>
図14は、実施形態7における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態7を実施形態4と比較した場合、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置が異なる。実施形態7における給電制御装置10では、第2半導体スイッチ20bのドレインは、正極端子Tpに接続されている。第2半導体スイッチ20bのソースは、第1半導体スイッチ20aのソースに接続されている。第1半導体スイッチ20aのドレインは負荷11の一端に接続されている。
【0117】
バッテリ12の接続が正常接続である場合において、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンであるとき、電流は、正極端子Tp、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20a、負荷11及び負極端子Tnの順に流れる。正極端子Tpから負極端子Tnへ流れる電流の電流経路には、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20a及び負荷11がこの順で配置されている。
【0118】
実施形態4の説明で述べたように、電圧出力回路24の構成は、回路抵抗30,31を用いた構成に限定されず、実施形態2,3における電圧出力回路24の一方の構成であってもよい。
図14では、電圧出力回路24の構成が回路抵抗30,31を用いた実施形態1の構成である例が示されている。この例では、回路抵抗30の一端は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのソース間の接続ノードに接続されている。実施形態7におけるノード電圧は、接地電位を基準として、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのソース間の接続ノードに印加される電圧である。
【0119】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧は、実施形態4と同様にゼロVである。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、実施形態4と同様に、バッテリ電圧Vb、又は、バッテリ電圧Vb近傍の値である。
【0120】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は実施形態4と同様にゼロVである。
従って、実施形態7における給電制御装置10は、実施形態4における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0121】
<なお書き>
電圧出力回路24が接続する接続ノードは、実施形態6と同様に、第1半導体スイッチ20aのドレイン及び負荷11の一端間の接続ノードであってもよい。この場合、ノード電圧は、接地電位を基準として、第1半導体スイッチ20aのドレイン及び負荷11の一端間の接続ノードに印加される電圧である。
【0122】
(実施形態8)
実施形態2においては、負荷11は給電制御装置10の下流側に配置されている。しかしながら、負荷11の配置はこの配置に限定されない。
以下では、実施形態8について、実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態2と共通している。このため、実施形態2と共通する構成部には実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0123】
<電源システム1の構成>
図15は、実施形態8における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態8における電源システム1では、正極端子Tpは負荷11の一端に接続されている。負荷11の他端は、給電制御装置10が有する第1半導体スイッチ20aのソースに接続されている。第2半導体スイッチ20bのソースは接地されている。
【0124】
実施形態8では、給電制御装置10は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオンに切替える。これにより、負荷11の他端及び負極端子Tnが電気的に接続され、バッテリ12から負荷11に電力が供給される。給電制御装置10は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオフに切替える。これにより、負荷11の他端及び負極端子Tn間の電気的な接続が遮断され、バッテリ12から負荷11への給電が停止する。
【0125】
<給電制御装置10の構成>
実施形態8における給電制御装置10は、実施形態2における給電制御装置10が有する全ての構成部を有する。第1半導体スイッチ20a、第2半導体スイッチ20b、第1駆動回路22a、第2駆動回路22b、OR回路23、装置抵抗25及びマイコン26は実施形態2と同様に接続されている。実施形態8における電圧出力回路24は、実施形態2と同様に、回路抵抗52,53,54及び第2回路スイッチ56を有する。これらは、実施形態2と同様に接続されている。
【0126】
回路抵抗52の一端は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのドレイン間の接続ノードに接続されている。第2回路スイッチ56のエミッタには、一定電圧Vcが印加されている。第2回路スイッチ56のコレクタ及び回路抵抗54の一端間の接続ノードは、OR回路23の一方の入力端に接続されている。実施形態8におけるノード電圧は、接地電位を基準として、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのドレイン間の接続ノードに印加される電圧である。
【0127】
バッテリ12の接続が正常接続である場合において、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンであるとき、電流は、正極端子Tpから負荷11、第1半導体スイッチ20a、第2半導体スイッチ20b及び負極端子Tnの順に流れる。このように、正極端子Tpから負極端子Tnへ流れる電流の電流経路には、負荷11、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがこの順で配置されている。同様の場合において、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡していると仮定する。この場合、電流は、正極端子Tp、負荷11、第1半導体スイッチ20aの第1ダイオード21a、第2半導体スイッチ20b及び負極端子Tnの順に流れる。
【0128】
<電圧出力回路24の動作>
図16は電圧出力回路24の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図16には、ノード電圧及び電圧出力回路24の出力電圧の推移が示されている。これらの推移について、横軸には時間が示されている。
【0129】
ノード電圧が一定電圧Vc未満である場合、電流は回路抵抗53,52の順に流れ、回路抵抗53において電圧降下が生じる。このとき、第2回路スイッチ56において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、負の電圧である。負の電圧の絶対値は電圧降下の幅と一致する。ノード電圧が低い程、回路抵抗53を流れる電流が大きいので、電圧降下の幅は大きい。閾値電圧Vthは、第2回路スイッチ56において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が、第2回路スイッチ56の負の一定電圧である場合におけるノード電圧である。閾値電圧Vthは、ゼロVを超えており、かつ、一定電圧Vc未満である。
【0130】
実施形態8において、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、電流は回路抵抗52,53を流れないので、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、閾値電圧Vth以上である。この場合、第2回路スイッチ56はオフであり、電圧出力回路24は、基準電圧Vr未満であるゼロVをOR回路23に出力する。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している状態で第1半導体スイッチ20aがオフである場合、ノード電圧は、ゼロVであり、閾値電圧Vth未満である。この場合、第2回路スイッチ56はオンであり、電圧出力回路24は、基準電圧Vr以上である一定電圧VcをOR回路23に出力する。
【0131】
従って、マイコン26の制御部42が出力部40にローレベル電圧を出力させているにも関わらず、ノード電圧が閾値電圧未満である場合、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡したとして、OR回路23は、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。これにより、第1駆動回路22aは第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。ノード電圧が閾値電圧Vth未満であることは、正極端子Tpから負極端子Tnへの電流経路を電流が流れていることを意味する。
【0132】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、閾値電圧Vth以上であるので、第2回路スイッチ56はオフであり、電圧出力回路24はゼロVを出力する。このため、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態では、バッテリ12の接続が正常接続であるか否かに無関係に、バッテリ12から電流が流れることはない。
実施形態8における給電制御装置10は、実施形態2における給電制御装置10と同様に作用し、実施形態2における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0133】
(実施形態9)
実施形態8において、ノード電圧は、接地電位を基準として、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bのドレイン間の接続ノードに印加される電圧に限定されない。
以下では、実施形態9について、実施形態8と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態8と共通している。このため、実施形態8と共通する構成部には実施形態8と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0134】
<給電制御装置10の構成>
図17は、実施形態9における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態9を実施形態8と比較した場合、電圧出力回路24の回路抵抗52の一端が接続している接続ノードが異なる。回路抵抗52の一端は、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのソース間の接続ノードに接続されている。実施形態9では、ノード電圧は、接地電位を基準として、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのソース間の接続ノードに印加される電圧である。
【0135】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、実施形態8と同様に閾値電圧Vth以上である。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、ゼロV、又は、ゼロV近傍の値であり、実施形態8と同様に閾値電圧Vth未満である。
【0136】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、実施形態8と同様に閾値電圧Vth以上である。
従って、実施形態9における給電制御装置10は、実施形態8における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0137】
(実施形態10)
実施形態8において、ノード電圧が閾値電圧以上であるか否かの判定はOR回路23によって行われる。しかしながら、この判定を行う機器は、OR回路23に限定されない。
以下では、実施形態10について、実施形態8と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態8と共通している。このため、実施形態8と共通する構成部には実施形態8と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0138】
図18は、実施形態10における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態10における給電制御装置10は、実施形態8における給電制御装置10が有する構成部の中で、OR回路23以外の構成部を有する。実施形態10におけるマイコン26は、実施形態4におけるマイコン26と同様に構成されている。実施形態10においては、電圧出力回路24の第2回路スイッチ56のコレクタ及び回路抵抗54間の接続ノードは、マイコン26の入力部44に接続されている。マイコン26の出力部40は、装置抵抗25を介して、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bに接続されている。
【0139】
電圧出力回路24の出力電圧はマイコン26の入力部44に入力される。マイコン26の出力部40は、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。第1駆動回路22aは、出力部40から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。第1駆動回路22aは、マイコン26の出力部40から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、第1半導体スイッチ20aをオフに切替える。
【0140】
出力部40の出力電圧がハイレベル電圧に切替わった場合、実施形態8と同様に、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bは第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオンに切替える。出力部40の出力電圧がローレベル電圧に切替わった場合、電圧出力回路24の出力電圧に無関係に、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bは第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bをオフに切替える。
【0141】
実施形態10では、実施形態4と同様に、電圧出力回路24は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合に基準電圧Vr未満である電圧を出力する。電圧出力回路24は、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している状態で第1半導体スイッチ20aがオフである場合に基準電圧Vr以上である電圧を出力する。
【0142】
マイコン26の制御部42は実施形態4と同様の短絡検知処理を行うので、実施形態10における給電制御装置10は、実施形態4における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0143】
実施形態10における短絡検知処理のステップS12では、制御部42は、電圧出力回路24の出力電圧が基準電圧Vr未満である場合、ノード電圧が閾値電圧以上であると判定する。制御部42は、電圧出力回路24の出力電圧が基準電圧Vr以上である場合、ノード電圧が閾値電圧未満であると判定する。制御部42は、ノード電圧が閾値電圧未満であると判定した場合(S12:NO)、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡したとして、ステップS13を実行する。制御部42は、ノード電圧が閾値電圧以上であると判定した場合(S12:YES)、短絡検知処理を終了する。
【0144】
<なお書き>
電圧出力回路24の回路抵抗52の一端は、実施形態9と同様に、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのソース間の接続ノードに接続されてもよい。この場合、ノード電圧は、実施形態9と同様に、接地電位を基準として、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのソース間の接続ノードに印加される電圧である。
【0145】
(実施形態11)
実施形態8においては、第1半導体スイッチ20aは第2半導体スイッチ20bの上流側に配置されている。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置はこの配置に限定されない。
以下では、実施形態11について、実施形態8と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態8と共通している。このため、実施形態8と共通する構成部には実施形態8と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0146】
<給電制御装置10の構成>
図19は、実施形態11における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態11を実施形態8と比較した場合、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置が異なる。実施形態11における給電制御装置10では、第2半導体スイッチ20bのドレインは、負荷11の他端に接続されている。第2半導体スイッチ20bのソースは、第1半導体スイッチ20aのソースに接続されている。第1半導体スイッチ20aのドレインは接地されている。
【0147】
バッテリ12の接続が正常接続である場合において、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンであるとき、電流は、正極端子Tp、負荷11、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20a及び負極端子Tnの順に流れる。正極端子Tpから負極端子Tnへ流れる電流の電流経路には、負荷11、第2半導体スイッチ20b及び第1半導体スイッチ20aがこの順で配置されている。同様の場合において、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡していると仮定する。この場合、電流は、正極端子Tp、負荷11、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20aの第1ダイオード21a及び負極端子Tnの順に流れる。
【0148】
電圧出力回路24の回路抵抗52の一端は、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのドレイン間の接続ノードに接続されている。実施形態11におけるノード電圧は、接地電位を基準として、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのドレイン間の接続ノードに印加される電圧である。
【0149】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、実施形態8と同様に閾値電圧Vth以上である。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、ゼロV又はゼロV近傍の値であり、実施形態8と同様に、閾値電圧Vth未満である。
【0150】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、実施形態8と同様に閾値電圧Vth以上である。
従って、実施形態11における給電制御装置10は、実施形態8における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0151】
(実施形態12)
実施形態10においては、第1半導体スイッチ20aは第2半導体スイッチ20bの上流側に配置されている。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置はこの配置に限定されない。
以下では、実施形態12について、実施形態10と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は、実施形態10と共通している。このため、実施形態10と共通する構成部には実施形態10と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0152】
<給電制御装置10の構成>
図20は、実施形態12における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態12を実施形態10と比較した場合、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bの配置が異なる。実施形態12における給電制御装置10では、第2半導体スイッチ20bのドレインは、負荷11の他端に接続されている。第2半導体スイッチ20bのソースは、第1半導体スイッチ20aのソースに接続されている。第1半導体スイッチ20aのドレインは接地されている。
【0153】
バッテリ12の接続が正常接続である場合において、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンであるとき、電流は、正極端子Tp、負荷11、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20a及び負極端子Tnの順に流れる。正極端子Tpから負極端子Tnへ流れる電流の電流経路には、負荷11、第2半導体スイッチ20b及び第1半導体スイッチ20aがこの順で配置されている。
【0154】
バッテリ12の接続が正常接続である場合において、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡していると仮定する。この場合、電流は、正極端子Tp、負荷11、第2半導体スイッチ20b、第1半導体スイッチ20aの第1ダイオード21a及び負極端子Tnの順に流れる。
【0155】
回路抵抗52の一端は、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのドレイン間の接続ノードに接続されている。実施形態12におけるノード電圧は、接地電位を基準として、負荷11の他端及び第1半導体スイッチ20aのドレイン間の接続ノードに印加される電圧である。
【0156】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである場合、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、実施形態10と同様に閾値電圧Vth以上である。第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオンである場合、又は、第1半導体スイッチ20aがオフであり、かつ、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースが短絡している場合、ノード電圧は、ゼロV又はゼロV近傍の値であり、実施形態10と同様に閾値電圧Vth未満である。
【0157】
第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bがオフである状態でバッテリ12が正極端子Tp及び負極端子Tn間に接続される。このとき、バッテリ12の接続が逆接続であったと仮定する。この場合、ノード電圧は、一定電圧Vcであり、実施形態10と同様に閾値電圧Vth以上である。
従って、実施形態12における給電制御装置10は、実施形態10における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0158】
<変形例>
実施形態1~12において、第1半導体スイッチ20a及び第2半導体スイッチ20bそれぞれは、寄生ダイオードを有する半導体スイッチであればよいので、Nチャネル型のFETに限定されない。第1半導体スイッチ20aはPチャネル型のFETであってもよい。この場合、第1ダイオード21aのカソード及びアノードは、第1半導体スイッチ20aのソース及びドレインに接続される。
【0159】
第1半導体スイッチ20aがPチャネル型のFETである場合、第1半導体スイッチ20aのドレイン及びソースそれぞれの接続先は、第1半導体スイッチ20aがNチャネル型のFETである場合における第1半導体スイッチ20aのソース及びドレインの接続先に変更される。第1駆動回路22aは、第1半導体スイッチ20aのゲートの電圧を低下させることによって、第1半導体スイッチ20aをオンに切替える。第1駆動回路22aは、第1半導体スイッチ20aのゲートの電圧を上昇させることによって、第1半導体スイッチ20aをオフに切替える。
【0160】
同様に、第2半導体スイッチ20bはPチャネル型のFETであってもよい。この場合も、第2ダイオード21bのカソード及びアノードは、第2半導体スイッチ20bのソース及びドレインに接続される。第2半導体スイッチ20bがPチャネル型のFETである場合、第2半導体スイッチ20bのドレイン及びソースそれぞれの接続先は、第2半導体スイッチ20bがNチャネル型のFETである場合における第2半導体スイッチ20bのソース及びドレインの接続先に変更される。第2駆動回路22bは、第2半導体スイッチ20bのゲートの電圧を低下させることによって、第2半導体スイッチ20bをオンに切替える。第2駆動回路22bは、第2半導体スイッチ20bのゲートの電圧を上昇させることによって、第2半導体スイッチ20bをオフに切替える。
【0161】
実施形態1~12において、マイコン26は、装置抵抗25を介して、OR回路23及び第2駆動回路22b、又は、第1駆動回路22a及び第2駆動回路22bに接続している。給電制御装置10は2つの装置抵抗25を有する場合、マイコン26は、一方の装置抵抗25を介して、OR回路23又は第1駆動回路22aに接続され、他方の装置抵抗25を介して、第2駆動回路22bに接続されてもよい。この場合、マイコン26は、OR回路23又は第1駆動回路22aにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力するとともに、第2駆動回路22bにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力する。マイコン26が第1駆動回路22aにハイレベル電圧又はローレベル電圧を直接に出力する構成では、電圧出力回路24の出力電圧が基準電圧Vr以上である場合、マイコン26は第1駆動回路22aに出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。
【0162】
実施形態1~3,5,6において、OR回路23の一方の入力端は、電圧出力回路24を介さずに、電流経路上の接続ノードに直接に接続されてもよい。この場合、OR回路23の一方の入力端に入力される電圧の基準電圧は、閾値電圧と一致する。同様に、実施形態1~3,5,6において、OR回路23の一方の入力端は、電圧出力回路24ではなく、ダイオードを介して電流経路上の接続ノードに接続されてもよい。この場合も、OR回路23の一方の入力端に入力される電圧の基準電圧は、閾値電圧と一致する。ダイオードのカソードはOR回路23側に配置される。
【0163】
実施形態2,5~7において、第1回路スイッチ55は、制御端の電圧が一定電圧以上となった場合にオンに切替わるスイッチであればよいので、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、例えば、Nチャネル型のFETであってもよい。
実施形態2,5~12において、第2回路スイッチ56は、制御端の電圧が一定電圧未満となった場合にオンに切替わるスイッチであればよいので、PNP型のバイポーラトランジスタに限定されず、例えば、Pチャネル型のFETであってもよい。
【0164】
開示された実施形態1~12はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0165】
1 電源システム
10 給電制御装置
11 負荷
12 バッテリ
20a 第1半導体スイッチ
20b 第2半導体スイッチ
21a 第1ダイオード
21b 第2ダイオード
22a 第1駆動回路(切替え部)
22b 第2駆動回路
23 OR回路
24 電圧出力回路
25 装置抵抗
26 マイコン
30,31,50,51,52,53,54,61 回路抵抗
40 出力部
41 記憶部
42 制御部(処理部)
43 内部バス
44 入力部
45 A/D変換部
55 第1回路スイッチ
56 第2回路スイッチ
60 コンパレータ
62 直流電源
A 記憶媒体
P コンピュータプログラム
Tn 負極端子
Tp 正極端子