(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】防護材の固定構造および防護材の固定金具
(51)【国際特許分類】
E04H 9/16 20060101AFI20230613BHJP
E04B 1/64 20060101ALI20230613BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20230613BHJP
E04B 1/72 20060101ALI20230613BHJP
E04B 1/92 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
E04H9/16 A
E04B1/64 C
E04B1/70 C
E04B1/72
E04B1/92
(21)【出願番号】P 2020010973
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 匠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知慈
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 翔太朗
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3162439(JP,U)
【文献】特開2005-213830(JP,A)
【文献】特開平8-199750(JP,A)
【文献】特開2002-206289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/16
E04B 1/00 - 1/99
E04B 2/00 - 2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の天端に設置された基礎水切りと外壁材との間に空気出入口が設けられて、
前記空気出入口に空気以外の異物が入り込むのを防ぐための防護材が、前記基礎水切りに固定金具を介して取り付けられる防護材の固定構造であって、
前記基礎水切りは前記基礎の上方に立ち上がる断面T字形の水返し部を具備する一方、
前記固定金具は前記水返し部に上方から嵌装されて前記水返し部を屋内外方向に挟み込む笠部を具備し、
前記防護材が前記笠部の屋外側に設けられた防護材保持部に留め付けられて前記空気出入口の内部に保持される
ことを特徴とする防護材の固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の防護材の固定構造において。
前記防護材保持部は前記笠部の屋外側から下向きに延出された爪状の突片であり、
前記突片がメッシュパイプからなる防護材に穿刺される
ことを特徴とする防護材の固定構造。
【請求項3】
請求項1に記載の防護材の固定構造において。
前記防護材保持部は前記笠部の屋外側から下向きに延出されて、その延出端が屋外側に折り返されたフック片であり、
前記フック片に円柱状のブラシからなる防護材の芯線が掛止される
ことを特徴とする防護材の固定構造。
【請求項4】
基礎の天端に取り付けられた基礎水切りと外壁材との間に設けられる空気出入口に空気以外の異物が入り込むのを防ぐための防護材を、前記基礎水切りに形成された断面T字形の水返し部に固定する防護材の固定金具であって、
前記水返し部に上方から嵌装されて前記水返し部を屋内外方向に挟み込む笠部を具備し、
前記笠部の屋外側に前記防護材を留め付ける防護材保持部が設けられた
ことを特徴とする防護材の固定金具。
【請求項5】
請求項4に記載された防護材の固定金具において、
前記防護材保持部は前記笠部の屋外側から下向きに延出された爪状の突片である
ことを特徴とする防護材の固定金具。
【請求項6】
請求項4に記載された防護材の固定金具において、
前記防護材保持部は前記笠部の屋外側から下向きに延出されて、その延出端が屋外側に折り返されたフック片である
ことを特徴とする防護材の固定金具。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載された防護材の固定金具において、
前記笠部の屋内側に、弾性変形によって前記基礎水切りの水返し部に係合し得るクリップ片が設けられた
ことを特徴とする防護材の固定金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願が開示する発明は、基礎と外壁との間に設けられる空気出入口に雪、昆虫、小動物等が入り込むのを防ぐための防護材を、基礎水切りに沿って留め付ける防護材の固定構造と、該固定構造に使用する防護材の固定金具と、に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅その他の建物の外壁構造として、壁体内部を上下方向に連通する通気路を外壁材の裏側に形成し、その通気路を外壁の上部および下部に設けた空気出入口を通じて外気に連通させることにより、壁体内に結露が生じるのを防ぐ技術が公知である。本出願人も、例えば特許文献1等において、かかる外壁構造(建物の換気構造)を提案し、実用に供している。
【0003】
図8は、特許文献1に開示された外壁構造のうち、外壁の下部に設けた空気出入口近傍の納まりを拡大して示した図である。外壁材11の裏面にあらかじめ形鋼材からなる枠材12を組み付けて形成された外壁パネル1が、適宜の取付部材2を介して壁体の軸組構造体(図示せず)や基礎3に結合される。鉄筋コンクリートからなる基礎3の立上り部分(基礎梁)の天端は均しモルタル31によって平坦に仕上げられ、その天端に専用の水切り取付具4を介して基礎水切り5が取り付けられる。これらにより、基礎水切り5と外壁パネル1との間に数mm程度の間隔を有する空気出入口6が設けられる。
【0004】
例示形態に係る水切り取付具4は短尺の部材で、基礎3の天端に添設される基礎取付片41と、基礎取付片41から屋外側に延び出す傾斜片42と、傾斜片42の延出端から下向きに延びる垂下片43と、基礎取付片41の上方に屈折しながら立ち上がる起立片44と、を具備している。垂下片43の下縁および起立片44の上縁には、基礎水切り5を掛着させるための掛止爪45、46がそれぞれ形成されている。この水切り取付具4が、適宜間隔で基礎3の天端にビス止めされる。
【0005】
基礎水切り5は長尺の部材で、基礎3の屋外側に張り出す水垂れ部51と、水垂れ部51の屋内側縁に連続して基礎3の上方に立ち上がる水返し部56と、を具備している。水垂れ部51は、屋外側に向かって緩く傾斜する傾斜面部52と、傾斜面部52の屋外側縁から屈折しつつ下向きに延び出す水落し面部53と、水落し面部53の下縁を屋内側に折り返して形成された水切り片54と、によって構成されている。また、水返し部56は、中間部を屈折させつつ上向きに延びる起立面部57と、起立面部57の上縁から屋内外方向に張り出す天面部58と、を具備して、上部が略T字形の断面形状をなしている。
【0006】
そして、基礎水切り5の傾斜面部52が水切り取付具4の傾斜片42に、基礎水切り5の水落し面部53が水切り取付具4の垂下片43に、基礎水切り5の起立面部57が水切り取付具4の起立片44に、それぞれ重ねられ、水切り片54の上面および天面部58の屋内側縁が水切り取付具4の掛止爪45、46にそれぞれ掛着される。このような納まりにより、基礎水切り5が基礎3の延設方向に沿って固定される。
【0007】
ところで、寒冷地においては、外壁の下部に設けられた空気出入口6から通気路の内部に雪が吹き込むおそれがある。それを防ぐため、空気出入口6の内部に円柱状のブラシやメッシュパイプ等からなる防雪材(図示せず)が取り付けられることがある。
【0008】
また、寒冷地でなくても、空気出入口6には昆虫やネズミ等の小動物が入り込むおそれがある。それを防ぐための防虫・防鼠材として、防雪材に類似したブラシやメッシュパイプが基礎3に沿って取り付けられることがある(例えば、特許文献2、3、4等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2000-8506号公報
【文献】特開2004-339817公報
【文献】特開2005-232813号公報
【文献】登録実用新案第3162439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のような防雪材あるいは防虫・防鼠材を空気出入口6に取り付けるに際し、現状では基礎水切り5に孔をあけ、ビスや結束材を用いて防雪材等を留め付けているので、その作業に手間がかかる。また、基礎水切り5に取り付けた防雪材等が動いたりずれたりしないように、防雪材等を手で押さえながら外壁パネル1を建て込む場合があるため、その際に指先を挟む危険もある。
【0011】
本願が開示する発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、
図8に示したような納まりの空気出入口6において、基礎水切り5に防雪材等を簡単かつ安全に取り付けることのできる固定構造と、その施工に際して好適に使用し得る固定金具と、を提供するものである。
【0012】
なお、本願が開示する発明は、寒冷地における防雪材の取り付けを主たる目的として着想されたものであるが、この発明は、昆虫、小動物その他空気以外の異物の侵入を防ぐ部材の取り付けにも応用できる。よって、以下の説明および特許請求の範囲においては、それらの部材と防雪材とを包括して「防護材」と呼ぶこととする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の目的を達成するために、本願が開示する防護材の固定構造に係る発明は、基礎の天端に設置された基礎水切りと外壁材との間に空気出入口が設けられて、前記空気出入口に空気以外の異物が入り込むのを防ぐための防護材が、前記基礎水切りに固定金具を介して取り付けられる防護材の固定構造であって、前記基礎水切りは前記基礎の上方に立ち上がる断面T字形の水返し部を具備する一方、前記固定金具は前記水返し部に上方から嵌装されて前記水返し部を屋内外方向に挟み込む笠部を具備し、前記防護材が前記笠部の屋外側に設けられた防護材保持部に留め付けられて前記空気出入口の内部に保持される、との構成を採用する。これにより、防護材を基礎水切りに対して簡単に取り付けることができるとともに、防護材の保持状態も安定させることができる。
【0014】
さらに、本願が開示する防護材の固定構造に係る発明は、前記固定金具に設けられる防護材保持部が前記笠部の屋外側から下向きに延出された爪状の突片であり、前記突片がメッシュパイプからなる防護材に穿刺される、との構成を採用する。あるいは、前記固定金具に設けられる防護材保持部が前記笠部の屋外側から下向きに延出されて、その延出端が屋外側に折り返されたフック片であり、前記フック片に円柱状のブラシからなる防護材の芯線が掛止される、との構成を採用する。これらの構成により、固定金具に対する防護材の留め付けを、さらに容易にすることができる。
【0015】
また、本願が開示する防護材の固定金具に係る発明は、基礎の天端に取り付けられた基礎水切りと外壁材との間に設けられる空気出入口に空気以外の異物が入り込むのを防ぐための防護材を、前記基礎水切りに形成された断面T字形の水返し部に固定する防護材の固定金具であって、前記水返し部に上方から嵌装されて前記水返し部を屋内外方向に挟み込む笠部を具備し、前記笠部の屋外側に前記防護材を留め付ける防護材保持部が設けられた、との構成を採用する。この固定金具を用いることにより、防護材を基礎水切りに対して簡単に取り付けることができるとともに、防護材の保持状態も安定させることができる。
【0016】
さらに、本願が開示する防護材の固定金具に係る発明は、前記防護材保持部が前記笠部の屋外側から下向きに延出された爪状の突片である、との構成を採用する。あるいは、前記防護材保持部が前記笠部の屋外側から下向きに延出されて、その延出端が屋外側に折り返されたフック片である、との構成を採用する。これらの構成により、固定金具に対する防護材の留め付けを、さらに容易にすることができる。
【0017】
また、本願が開示する防護材の固定金具に係る発明は、前記笠部の屋内側に、弾性変形によって前記基礎水切りの水返し部に係合し得るクリップ片が設けられた、との構成を採用する。これによれば、基礎水切りに対する固定金具の嵌装状態が、さらに安定する。
【発明の効果】
【0018】
前述のように構成される防護材の固定構造を採用することによって、基礎水切りに防護材を簡単かつ安全に取り付けることが可能になる。
【0019】
また、前述のように構成される防護材の固定金具を使用することにより、前記固定構造を好適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願が開示する発明の第1実施形態に係る防護材の固定金具Aを示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は見上げ方向の斜視図である。
【
図2】
図1の固定金具Aを使用した防護材の固定構造を示す、空気出入口近傍の断面図である。
【
図3】本願が開示する発明の第2実施形態に係る防護材の固定金具Bを示す図であって、(a)は組み合わせ三面図、(b)は見上げ方向の斜視図である。
【
図4】
図3の固定金具Bを使用した防護材の固定構造を示す、空気出入口近傍の断面図である。
【
図5】本願が開示する発明の第3実施形態に係る防護材の固定金具Cを示す図であって、(a)は組み合わせ三面図、(b)は見上げ方向の斜視図である。
【
図6】
図5の固定金具Cを使用した防護材の固定構造を示す、空気出入口近傍の断面図である。
【
図8】特許文献1に開示された外壁構造のうち、外壁の下部に設けた空気出入口近傍の納まりを拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願が開示する発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
なお、以下の説明において、
図8に示した空気出入口6近傍の部位・部材と実質的に同一の構成要素には共通の符号を付して、それらの詳細な説明は省略する。また、部位・部材の位置関係や向きを特定する際には、空気出入口6近傍に施工された態様を基準にして、上下方向および水平方向を特定する。水平方向については、基礎3および基礎水切り5の延設方向(
図8における紙面奥行方向)を「長さ方向」と呼び、それに直交する屋内外方向(
図8における紙面左右方向)を「幅方向」と呼ぶこととする。
【0023】
また、複数の実施形態について説明する際には、機能または作用が共通する構成要素に同一の数字符号を付して、後述の実施形態における重複説明を簡略化する。先述の実施形態における特定の構成要素と、後述の実施形態における類似の構成要素とを区別あるいは対比する場合には、当該構成要素に対応する数字符号にアルファベット(A、B、C…)を付記するが、数字符号が共通する構成要素についての基本的概念は各実施形態を通じて共通である。
【0024】
<第1実施形態>
図1~
図2は、本願が開示する発明の第1実施形態に係る防護材の固定金具7Aと、それを使用した防護材の固定構造を示す。
【0025】
固定金具7Aは、略T字形の断面形状をなす基礎水切り5の水返し部56に上方から嵌装される笠部70を具備する。笠部70は、上面視略矩形の天板71と、天板71の屋内側から下向きに延出された一対の屋内側係止片72Aと、天板71の屋外側から下向きに延出された一対の屋外側係止片74Aと、によって構成されており、それらが適度な曲げ弾性を有する金属薄板材(例えば、ステンレス鋼板等)を折曲賦形して一体的に形成されている。
【0026】
屋内側係止片72Aは、詳細には天板71の幅方向の辺縁における屋内側の端部寄りから延出されており、その下半部が屋外側へ拡幅した略L字形の側面形状を有している。一方、屋外側係止片74Aは、天板71の幅方向の辺縁における屋外側の端部寄りから延出されており、その屋内側縁の上部に対して中間部以下が屋内側へ屈折偏倚している。そして、
図2に示すように、基礎水切り5の水返し部56に対して、その天面部58の屋内側縁にまず固定金具7Aの屋内側係止片72Aが係止され、続いて天面部58の屋外側縁に固定金具7Aの屋外側係止片74Aが嵌め込まれる。これにより、固定金具7Aが基礎水切り5の水返し部56を屋内外方向に挟むようにして、基礎水切り5に固定される。
【0027】
固定金具7Aの屋外側係止片74Aは、その屋外側縁の中間部に略V字形の切欠部75が形成されるとともに、下端部は両角部が斜めにカットされた爪状の突片76となされている。例示形態では、この突片76が防護材保持部となる。
【0028】
防護材としては、例えば
図7(a)、(b)に示すような合成樹脂製のメッシュパイプ8、あるいは細い金属線材を編成したメッシュパイプを利用することができる。メッシュパイプ8の径は、空気出入口6の幅の広い箇所に無理なく納まる程度が好ましいが、やや大きめの径のものを変形させながら押し込んでもよい。メッシュパイプ8の網目は格子状でも菱目状でも構わない。このようなメッシュパイプ8の網目に屋外側係止片74Aの突片76を穿刺すると、屋外側係止片74Aの切欠部75が網目に引っ掛って抜け止めとなり、メッシュパイプ8が固定金具7Aに留め付けられる。
【0029】
<第2実施形態>
図3~
図4は、本願が開示する発明の第2実施形態に係る防護材の固定金具7Bと、それを使用した防護材の固定構造を示す。
【0030】
この固定金具7Bも、略T字形の断面形状をなす基礎水切り5の水返し部56に上方から嵌装される笠部70を具備する。笠部70は、上面視略矩形の天板71と、天板71の屋内側から下向きに延出された屋内側係止片72Bと、天板71の屋外側から下向きに延出された一対の屋外側係止片74Bと、によって構成されており、それらが適度な曲げ弾性を有する金属薄板材(例えば、ステンレス鋼板等)を折曲賦形して一体的に形成されている。
【0031】
屋内側係止片72Bは、天板71の屋内側の長さ方向の辺縁から延出されており、その下半部が屋内側へ斜めに折り返されている。上半部は、その長さ方向における中間部が天板71の辺縁近傍から屋外側へ切り起こされて、下半部と略同一面で連続するように斜めに保持されている。この下半部と切り起こし部分とが、基礎水切り5の水返し部56に係合するクリップ片73となる。
【0032】
一方、屋外側係止片74Bは、天板71の屋外側の長さ方向の辺縁における両端部寄りから延出されており、その下端は天板71の屋外側の辺縁よりも屋内側へ折り込まれている。屋外側係止片74Bの片側縁の中間部には略V字形の切欠部75が形成されるとともに、下端部は両角部が斜めにカットされた爪状の突片76となされている。例示形態では、この突片76が防護材保持部となる。この突片76がメッシュパイプ8からなる防護材に穿刺されると、切欠部75が網目に引っ掛って抜け止めとなり、メッシュパイプ8が固定金具7Bに留め付けられる。メッシュパイプ8については前述の第1実施形態に示したものと同じである。
【0033】
そして、
図4に示すように、基礎水切り5の水返し部56に対して、その天面部58の屋外側縁に固定金具7Bの屋外側係止片74Bが係止され、続いて天面部58の屋内側縁に屋内側係止片72Bが、クリップ片73を弾性変形させながら嵌め込まれる。これにより、固定金具7Bが、基礎水切り5の水返し部56を屋内外方向に挟むようにして基礎水切り5に固定される。なお、この第2実施形態については、固定金具7Bを基礎水切り5に嵌装してから、その固定金具7Bにメッシュパイプ8を留め付けてもよいし、固定金具7Bにあらかじめメッシュパイプ8を留め付けておいてから基礎水切り5に嵌装してもよい。
【0034】
<第3実施形態>
図5~
図6は、本願が開示する発明の第3実施形態に係る防護材の固定金具7Cと、それを使用した防護材の固定構造を示す。
【0035】
この固定金具7Cも、略T字形の断面形状をなす基礎水切り5の水返し部56に上方から嵌装される笠部70を具備する。笠部70は、上面視略矩形の天板71と、天板71の屋内側から下向きに延出された屋内側係止片72Cと、天板71の屋外側から下向きに延出された一対の屋外側係止片74Cと、によって構成されており、それらが適度な曲げ弾性を有する金属薄板材(例えば、ステンレス鋼板等)を折曲賦形して一体的に形成されている。
【0036】
天板71および屋内側係止片72Cは、第2実施形態の天板71および屋内側係止片72Bと同じであり、屋内側係止片72Cにはクリップ片73が形成されている。
【0037】
屋外側係止片74Cは、第2実施形態と同様に、天板71の屋外側の長さ方向の辺縁における両端部寄りから延出されて、その下端が天板71の屋外側の辺縁よりも屋内側へ折り込まれている。ただし、この第3実施形態では、屋外側係止片74Cの延出端が屋外側に折り返されたフック片77となされており、このフック片77が防護材保持部となる。このフック片77には、例えば
図7(c)に示すような円柱状のブラシ9からなる防護材が、その芯線を掛止させて留め付けられる。このブラシ9は、例えば金属線材を撚り合わせた芯線に合成樹脂製の毛材を植設するなどして形成されたものである。
【0038】
そして、
図6に示すように、基礎水切り5の水返し部56に対して、その天面部58の屋外側縁に固定金具7Cの屋外側係止片74Cが係止され、続いて天面部58の屋内側縁に屋内側係止片72Cが、クリップ片73を弾性変形させながら嵌め込まれる。これにより、固定金具7Cが、基礎水切り5の水返し部56を屋内外方向に挟むようにして基礎水切り5に固定される。なお、この第3実施形態についても、固定金具7Cを基礎水切り5に嵌装してから、その固定金具7Cにブラシ9を掛止させる手順と、固定金具7Cにあらかじめブラシ9を掛止させておいてから基礎水切り5に嵌装する手順と、の両法を採用することができる。
【0039】
前述のように構成される固定金具7A、7B、7Cを、基礎水切り5の長さ方向に沿って適宜間隔で複数個、配置し、その防護材保持部にメッシュパイプ8やブラシ9等の防護材を留め付けることで、防護材を空気出入口6の内部に簡単に取り付けることができる。この取り付け作業には工具を必要としないので、作業負担が従来よりも軽減される。固定金具7は、基礎水切り5および防護材のいずれに対しても、それらの長さ方向における任意の位置に配置することができる。したがって、その配置箇所を増やすことで、防護材の保持状態を無理なく安定させることができる。防護材の保持状態が安定すれば、外壁パネル1を建て込む際に防護材を手で支えたり押えたりする必要がなくなるので、安全性も向上する。
【0040】
なお、本願が開示する発明の技術的範囲は、例示した実施形態によって限定的に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて概念的に解釈されるべきものである。本願が開示する発明の実施に際しては、特許請求の範囲において具体的に特定していない構成要素の形状、構造、材質、数量、接合形態、相対的な位置関係等を、例示形態と実質的に同等程度の作用効果が得られる範囲内で適宜、改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願が開示する発明は、外壁と基礎との間に形成される空気出入口に空気以外の異物が入り込むのを防ぐための納まりとして幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 外壁パネル
11 外壁材
12 枠材
2 取付部材
3 基礎
31 均しモルタル
4 水切り取付具
41 基礎取付片
42 傾斜片
43 垂下片
44 起立片
5 基礎水切り
51 水垂れ部
52 傾斜面部
53 水落し面部
54 水切り片
56 水返し部
57 起立面部
58 天面部
6 空気出入口
7A、7B、7C 固定金具
70 笠部
71 天板
72A、72B、72C 屋内側係止片
73 クリップ片
74A、74B、74C 屋外側係止片
75 切欠部
76 突片(防護材保持部)
77 フック片(防護材保持部)
8 メッシュパイプ(防護材)
9 ブラシ(防護材)