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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】マークバンドおよび組立体
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/36 20060101AFI20230613BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230613BHJP
   G09F 3/06 20060101ALI20230613BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20230613BHJP
   H01R 11/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H01B7/36 B
H01B7/00 306
G09F3/06
H02G1/06
H01R11/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020039168
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021140993
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-01-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 守
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-080922(JP,U)
【文献】実開平06-036143(JP,U)
【文献】実開平03-076331(JP,U)
【文献】実公昭58-001930(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/36
H01B 7/00
G09F 3/06
H02G 1/06
H01R 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着端子を取り付ける電線に巻き付けて使用されるマークバンドであって、
少なくとも1つの記号が付され、前記電線に巻き付け可能なシート部と、
前記シート部の少なくとも一辺に設けられ、前記圧着端子に固定される突起部と、
を備え、
前記突起部が設けられる前記シート部の少なくとも一辺は、前記シート部が前記電線に巻き付いた状態において前記圧着端子側に位置する辺を含み、
前記突起部は、前記圧着端子により前記電線と共に圧着され、根元より先端が狭くなる形状である
ことを特徴とするマークバンド。
【請求項2】
圧着端子を取り付ける電線に巻き付けて使用されるマークバンドであって、
少なくとも1つの記号が付され、前記電線に巻き付け可能なシート部と、
前記シート部の少なくとも一辺に設けられ、前記圧着端子に固定される突起部と、
を備え、
前記突起部が設けられる前記シート部の少なくとも一辺は、前記シート部が前記電線に巻き付いた状態において前記圧着端子側に位置する辺を含み、
前記突起部は、前記圧着端子の外面に引っ掛け可能な鈎形である
ことを特徴とするマークバンド。
【請求項3】
電線と、
前記電線の端部に取り付けた圧着端子と、
前記電線に巻き付けたマークバンドと、を備え、
前記マークバンドは、
少なくとも1つの記号が付され、前記電線に巻き付けたシート部と、
前記シート部の少なくとも一辺に設けられ、前記圧着端子に固定した突起部と、を有し、
前記突起部が設けられる前記シート部の少なくとも一辺は、前記シート部が前記電線に巻き付いた状態において前記圧着端子側に位置する辺を含み、
前記突起部は、前記圧着端子により前記電線と共に圧着され、根元より先端が狭くなる形状であること、
を特徴とする組立体。
【請求項4】
電線と、
前記電線の端部に取り付けた圧着端子と、
前記電線に巻き付けたマークバンドと、を備え、
前記マークバンドは、
少なくとも1つの記号が付され、前記電線に巻き付けたシート部と、
前記シート部の少なくとも一辺に設けられ、前記圧着端子に固定した突起部と、を有し、
前記突起部が設けられる前記シート部の少なくとも一辺は、前記シート部が前記電線に巻き付いた状態において前記圧着端子側に位置する辺を含み、
前記突起部は、前記圧着端子の外面に引っ掛け可能な鈎形であること、
を特徴とする組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マークバンドおよび組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、実開昭59-82916号公報に開示されるように、盤内配線の端子部側に、記号を付けたシートを巻き付けることが知られている。この記号は、その配線が図面のどの部分に相当するものなのかを示すものである。作業員は、その記号を確認して端子台などに配線接続を行う。この記号が印刷されたシートは、電線に巻き付けて使用されるもので、マークバンドと呼ばれている。
【0003】
尚、出願人は、本発明に関連するものとして、上記の文献を含めて、以下に記載する文献を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭59-82916号公報
【文献】実開昭59-68382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のマークバンドは、電線に巻き付けた状態で回転するおそれがある。マークバンドが回転すれば、外部から記号を視認しづらくなる。そのため、作業員は、作業時にマークバンドを回転させて記号を確認する必要があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、適切に固定されて回転しないマークバンドおよび組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成のため、本発明に係るマークバンドは以下のように構成される。また、上記目的の達成のため、本発明に係る電線と端子とマークバンドとを備える組立体は以下のように構成される。
【0008】
本発明に係るマークバンドは、電線に巻き付けて使用されるマークバンドである。前記電線には圧着端子が取り付けられる。
【0009】
マークバンドは、シート部と突起部とを備える。前記シート部は、少なくとも1つの記号が付され前記電線に巻き付け可能である。前記突起部は、前記シート部の少なくとも一辺に設けられ、前記圧着端子に固定される。ここで、「前記シート部の少なくとも一辺」は、シート部が電線に巻き付いた状態において圧着端子側に位置する辺を含む。前記シート部が前記電線に巻き付いた状態において前記圧着端子側に位置する辺に前記突起部が設けられることで、前記マークバンドの回転を防ぐことができる。

【0010】
1つの態様では、前記突起部は、前記圧着端子により前記電線と共に圧着される。前記突起部のみを前記電線と共に圧着することで、前記シート部全周を圧着端子に差し込んで前記電線と共に圧着するよりも、引張強度の低下を抑制できる。
【0011】
他の1つの態様では、前記突起部は、先端が尖った形である。前記突起部の先端を尖った形にすることで、前記突起部を圧着端子に差し込み易くできる。
【0012】
他の1つの態様では、前記突起部は、線形である。前記突起部を線形にすることで、より強固に電線2と圧着端子3を圧着でき、いっそう引張強度の低下を抑制できる。
【0013】
他の1つの態様では、前記突起部は、前記圧着端子の外面に引っ掛け可能な鈎形である。前記突起部を圧着端子に圧着させずに引っ掛けることで、前記マークバンドの固定位置を調整可能である。
【0014】
他の1つの態様では、前記シート部は、第1の向きに印字した第1記号と、前記第1の向きとは逆向きに前記第1記号を印字した第2記号とを有する。記号を正方向と逆方向の両方向に付すことで、記号の向きを気にすることなくマークバンドを作成でき、マークバンドを固定する作業の段階で、視認し易い記号の向きを選択して圧着端子に固定可能である。
【0015】
他の1つの態様では、前記シート部は、前記電線に巻き付いた状態で、巻き付き方向の両端部が重なり合って、重なり合った部分により前記第1記号および前記第2記号のいずれか一方が隠れる。これによれば、表に現れる記号と裏に隠す記号とを任意に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、突起部を圧着端子に固定することで、マークバンドの回転を防ぐことができる。これにより作業コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係るマークバンド及び組立体の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るマークバンド及び組立体の上面図である。
図3】マークバンドの取り付け形状を示す図である。
図4】マークバンドのシート部の変形例について説明するための図である。
図5】マークバンドのシート部の他の変形例について説明するための図である。
図6図5に示すマークバンドを電線に巻きつけた状態を、電線の軸方向から見た断面図である。
図7】マークバンドの突起部の変形例について説明するための図である。
図8】本発明の実施の形態2に係るマークバンドの取り付け形状を示す図である。
図9】本発明の実施の形態2に係るマークバンド及び組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るマークバンド及び組立体の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係るマークバンド及び組立体の上面図である。図1図2には組立体の一端の構成が表されているが、他端については図1と同様の構成であってよいし、他の構成であってもよい。
【0020】
図1に示す組立体1は、電線2、圧着端子3、マークバンド4を備える。
【0021】
電線2は、裸電線でも絶縁電線でもよい。図1に示す例では電線2は、導体21が絶縁体22で覆われた絶縁電線である。導体21は、より線でも単線でもよい。
【0022】
圧着端子3は、電線2の端部に取り付ける接続端子である。圧着端子3は、先端部31と電線抱合部32を備える。先端部31は、丸形に限定されるものではなく、先開形、CB形、棒形、閉端接続子などであってよい。
【0023】
マークバンド4は、圧着端子3を取り付ける電線2に巻き付けて使用される。図3は、マークバンドの取り付け形状を示す図である。マークバンド4は、シート部41と突起部42とを備える。
【0024】
シート部41は、帯状であり電線2に巻き付け可能である。好ましくは、シート部41は弾性体であり、突起部42と直交する方向が曲面方向となる様に円筒形状あるいは円筒形状の一部となる様に成形されている。さらに、好ましくは、電線2に巻き付けない単体状態で円筒形状をなす場合、シート部41はその円筒形状が構成する内径が電線2の直径より小さく、円筒形状を形成するシート部の一部が重なり合う。シート部41は、少なくとも1つの記号43が付されている。記号は、文字、マーク、絵などを含む。図1に示す例では、記号として文字列「123A」が付されている。
【0025】
突起部42は、シート部41の少なくとも一辺に設けられる。ここで、「シート部41の少なくとも一辺」は、シート部41が電線2に巻き付いた状態において圧着端子3側に位置する辺を含む。突起部42は、圧着端子3に固定される。突起部42を圧着端子3に固定することで、マークバンド4の回転を防ぐことができる。
【0026】
本実施形態では、突起部42は、圧着端子3により電線2と共に圧着される。具体的には、電線抱合部32に突起部42と導体21とが挿入された状態で、電線抱合部32がかしめられることで、突起部42と圧着端子3と電線2とが圧着により固定される。突起部42のみを電線2と共に圧着することで、シート部41全周を圧着端子3に差し込んで電線2と共に圧着するよりも、引張強度の低下を抑制できる。また、導体21と電線抱合部32との接触部分の一部のみに突起部42が挟まることになるので、導体21と圧着端子3との接触抵抗の増大も抑制できる。さらに、シート部41の単体での形状の内径が電線2より小さいので、電線2にマークバンド4を巻き付けただけの状態でも保持力があるので、電線2と圧着端子3とのかしめ作業中のマークバンド4のずれを防止できる。
【0027】
突起部42の形状について説明する。突起部42は、根元より先端側が狭くなる形状である。さらに、突起部42は、先端が尖った形であることが好ましい。図1に示す突起部42は三角形である。突起部42の先端が狭くさらに、尖った形にすることで、突起部42を圧着端子3に差し込み易くできる。
【0028】
実施の形態1における変形例について説明する。
図4は、シート部41の変形例について説明するため図である。シート部41は、第1の向きに印字した第1記号431と、第1の向きとは逆向きに第1記号431と同じ記号を印字した第2記号432とを有する。すなわち、シート部41には、圧着端子3の先端部31が左側になるように配線するのに適した第1記号431と、先端部31が右側になるように配線するのに適した第2記号432とが付されている。図4の例では、第1記号431と第2記号432として文字列「123A」が付されている。このように、記号を正方向と逆方向の両方向に付すことで、記号の向きを気にすることなくマークバンド4を作成でき、マークバンド4を固定する作業の段階で、視認し易い記号の向きを選択して圧着端子3に固定可能である。なお、この変形例は以下の実施の形態においても適用可能である。
【0029】
図5は、シート部41の他の変形例について説明するため図である。図6は、図5に示すマークバンド4を電線2に巻きつけた状態を、電線2の軸方向から見た断面図である。図5において、第1記号431から長手方向下端までの長さをL1、第1記号431の高さをF、第1記号431から第2記号432までの長さをL2、第2記号432の高さをF、第2記号432から長手方向上端までの長さをL1とする。ここで、シート部41の巻き付き方向(図5の長手方向)の長さは、図6に示す「L1+F+L2>電線2の周長」を満たすように構成される。
【0030】
すなわち、シート部41は、電線2に巻き付いた状態で、巻き付き方向(図5の長手方向)の両端部が重なり合って、重なり合った部分により第1記号431および第2記号432のいずれか一方が隠れるように構成されている。ここで、端部はL1+Fの長さを有するものとする。これによれば、両端部が重なり合った状態を変更することで、表に現れる記号と裏に隠す記号とを任意に切り替えることができる。なお、この変形例は以下の実施の形態においても適用可能である。
【0031】
図7は、突起部42の変形例について説明するための図である。突起部42aは、線形である。例えば突起部42aはシート部41に貼り付けた糸の一部である。突起部42aを線形にすることで、図4に示す三角形の突起部42に比して、より強固に電線2と圧着端子3を圧着でき、いっそう引張強度の低下を抑制でき、さらに導体21と圧着端子3との接触抵抗の増大も抑制できる。
【0032】
ところで、上述した実施の形態1では、マークバンド4を電線2に巻きつけた状態を電線2の軸方向から見た断面形状は、円形または楕円形に近い形状であるが、これに限定されるものではない。断面形状は多角形であってもよい。なお、この変形例は以下の実施の形態においても適用可能である。
【0033】
実施の形態2.
次に、図8及び図9を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
【0034】
上述した実施の形態1では、突起部42を電線2と共に圧着することで、引張強度の低下を抑制しつつマークバンド4の回転を防ぐことができる。ところで、マークバンド4の位置を取り付け後に微調整や交換したい場合もある。そこで、実施の形態2では、突起部42を圧着させずに固定することとした。
【0035】
図8は、本発明の実施の形態2に係るマークバンドの取り付け形状を示す図である。図9は、本発明の実施の形態2に係るマークバンド及び組立体の斜視図である。図8に示す構成は、突起部42bを除き図3と同様である。図9に示す構成は、突起部42bを除き図1と同様である。
【0036】
突起部42bは、圧着端子3の外面に引っ掛け可能な鈎形である。突起部42bを圧着端子3に圧着させずに引っ掛けることで、マークバンド4の固定位置を調整や交換が可能である。図9では電線2を中心として突起部42bの根元が圧着端子3の先端部31と反対側(180度)の位置で取り付けられているが、この位置に対し90度右回転、あるいは90度左回転させてとりつけることも可能であるので、記号43がより視認しやすい様に調整することができる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 組立体
2 電線
3 圧着端子
4 マークバンド
21 導体
22 絶縁体
31 先端部
32 電線抱合部
41 シート部
42、42a、42b 突起部
43 記号
431 第1記号
432 第2記号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9