(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】物品保管設備
(51)【国際特許分類】
B65G 63/00 20060101AFI20230613BHJP
B65G 1/14 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B65G63/00 J
B65G1/14 N
(21)【出願番号】P 2020044038
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】濱口 淳
(72)【発明者】
【氏名】金井 力哉
(72)【発明者】
【氏名】竹之下 裕崇
(72)【発明者】
【氏名】横原 利至
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/008914(WO,A1)
【文献】特開2006-176217(JP,A)
【文献】特許第6347333(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0089320(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133;
1/14-1/20;
63/00-63/06
B66C 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、保管場所を構成する載置面に、複数の前記容器を段積み状態としてなる容器群を載置して保管する
物品保管設備であって、
前記制御装置は記憶部を備え、
前記載置面により構成される理想的な平面を基準面とし、前記基準面に沿う方向であって互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、前記基準面に直交する方向をZ方向として、
前記記憶部には、前記載置面の複数箇所のそれぞれの前記X方向、前記Y方向、及び前記Z方向の実際の位置を示す座標情報と、前記容器の前記X方向及び前記Y方向に沿う底面の寸法を示す底面寸法情報と、前記容器の前記Z方向に沿う高さを示す高さ寸法情報と、前記容器群の前記載置面上における前記X方向及び前記Y方向の位置を示す容器群位置情報と、前記容器群を構成する前記容器の数である段積み数を示す段数情報と、が記憶され、
前記搬送装置は、単数の前記容器又は複数の段積み状態の前記容器を把持する把持部と、前記把持部を前記X方向及び前記Y方向に移動させる移動機構と、前記把持部を前記Z方向に沿って昇降させる昇降機構と、を備え、
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記座標情報と前記底面寸法情報と前記容器群位置情報とに基づいて、前記載置面に載置された前記容器群の前記Z方向に対する傾きである載置傾きを求める傾き演算処理と、前記容器群位置情報と前記載置傾きと前記高さ寸法情報とに基づいて、前記容器群を構成する各段の前記容器の前記X方向及び前記Y方向の位置を示す個別位置情報を求める個別位置演算処理と、を行い、前記個別位置情報に基づいて前記移動機構を制御する、物品保管設備。
【請求項2】
前記傾き演算処理では、前記制御装置は、前記容器群位置情報と前記底面寸法情報とに基づいて前記容器群の最下段の前記容器の前記底面である容器群底面の前記X方向及び前記Y方向において占める前記載置面上の領域である容器群底面領域を求め、前記容器群底面領域に対応する複数箇所の前記座標情報に基づいて前記容器群底面の複数箇所の前記Z方向の位置を求め、前記容器群底面の複数箇所の前記Z方向の位置に基づいて前記容器群底面の傾きを求め、前記容器群底面の傾きに基づいて前記載置傾きを求める、請求項1に記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記座標情報と前記高さ寸法情報と前記容器群位置情報とに基づいて、前記容器群を構成する各段の前記容器の前記Z方向の位置を示す個別高さ情報を求め、前記個別高さ情報に基づいて前記昇降機構を制御する、請求項1又は2に記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記制御装置は、前記容器群の前記Z方向の全域を前記Z方向に複数の高さエリアに区分し、前記個別位置演算処理において、前記個別位置情報を前記高さエリアごとに共通の値として求める、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品保管設備。
【請求項5】
前記記憶部には、前記載置面に載置された複数の前記容器群のそれぞれについての前記容器群位置情報と、複数の前記容器群のそれぞれについての前記段数情報と、が記憶され、
前記傾き演算処理及び前記個別位置演算処理は、前記制御装置により搬送対象として選択された前記容器群を対象として行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品保管設備。
【請求項6】
前記記憶部には、前記底面の寸法及び前記高さの少なくとも一方が異なる複数種類の前記容器のそれぞれについての前記底面寸法情報及び前記高さ寸法情報と、前記容器群を構成する前記容器の種類を示す種類情報と、が記憶され、
前記制御装置は、搬送対象として選択した前記容器群についての前記種類情報に基づいて、前記記憶部から前記底面寸法情報及び前記高さ寸法情報を取得する、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品保管設備。
【請求項7】
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記座標情報と前記底面寸法情報とに基づいて、前記載置傾きが規定値以上となる前記載置面上の領域を、前記容器群を載置することを禁止する禁止領域に設定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、保管場所を構成する載置面に、複数の前記容器を段積み状態としてなる容器群を載置して保管する物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品保管設備の一例が、特許第6347333号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された物品保管設備は、設備床面の一定領域に設定された載置面(1)に載置された容器(C)に対して上方から接近して、当該容器(C)を持ち上げるため、又は、当該容器(C)の上に他の容器(C)を載置して複数の容器(C)を段積み状態とするための搬送動作を行う搬送装置(2)を備えている。搬送装置(2)は、容器(C)を把持するための把持ユニット(7A,7B)を上下方向に昇降させることにより、載置面(1)に載置された容器(C)に対する搬送動作を行っている。容器(C)が載置される載置面(1)は、理想的には、その全域が水平な平面であることが好ましい。しかし実際には、設備が設けられる建屋の床面やその上に設置された支持台上の面が完全に水平な平面であることはなく、載置面(1)の高さが場所に応じてわずかに異なっている場合がほとんどである。この場合には、搬送対象となる容器(C)が載置されている箇所に応じて、搬送装置(2)による把持ユニット(7A,7B)の最適な昇降量が異なることになる。
【0004】
そこで、特許文献1に開示された物品保管設備では、載置面(1)の複数箇所の高さを予め計測し、当該計測された高さに基づいて、載置面(1)上の位置に応じて搬送装置(2)による把持ユニット(7A,7B)の昇降量を補正している。これにより、載置面(1)の高さが場所に応じて異なる場合であっても、載置面(1)のいずれの位置に配置された容器(C)に対しても適切な搬送動作が行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、容器(C)が載置されている場所の載置面(1)が傾いている場合には、当該載置面(1)の傾きに応じて容器(C)も傾くことになる。複数の容器(C)を段積み状態としてなる容器群がそのように傾いた載置面(1)に載置されている場合には、上方へ向かうに従って底面に対する水平方向の位置ずれが大きくなる。そのため、把持ユニット(7A,7B)による容器(C)の水平方向の把持位置を下方の容器(C)と上方の容器(C)とで同じにした場合には、適切な搬送動作を行えない可能性がある。しかしながら、特許文献1には、この点については特に開示が無い。
【0007】
上記実状に鑑みて、複数の容器を段積み状態としてなる容器群が載置面に傾いて載置されている場合であっても、当該容器群に対して適切な搬送動作を行うことが可能な物品保管設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る物品保管設備は、
容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、保管場所を構成する載置面に、複数の前記容器を段積み状態としてなる容器群を載置して保管する物品保管設備であって、
前記制御装置は記憶部を備え、
前記載置面により構成される理想的な平面を基準面とし、前記基準面に沿う方向であって互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、前記基準面に直交する方向をZ方向として、
前記記憶部には、前記載置面の複数箇所のそれぞれの前記X方向、前記Y方向、及び前記Z方向の実際の位置を示す座標情報と、前記容器の前記X方向及び前記Y方向に沿う底面の寸法を示す底面寸法情報と、前記容器の前記Z方向に沿う高さを示す高さ寸法情報と、前記容器群の前記載置面上における前記X方向及び前記Y方向の位置を示す容器群位置情報と、前記容器群を構成する前記容器の数である段積み数を示す段数情報と、が記憶され、
前記搬送装置は、単数の前記容器又は複数の段積み状態の前記容器を把持する把持部と、前記把持部を前記X方向及び前記Y方向に移動させる移動機構と、前記把持部を前記Z方向に沿って昇降させる昇降機構と、を備え、
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記座標情報と前記底面寸法情報と前記容器群位置情報とに基づいて、前記載置面に載置された前記容器群の前記Z方向に対する傾きである載置傾きを求める傾き演算処理と、前記容器群位置情報と前記載置傾きと前記高さ寸法情報とに基づいて、前記容器群を構成する各段の前記容器の前記X方向及び前記Y方向の位置を示す個別位置情報を求める個別位置演算処理と、を行い、前記個別位置情報に基づいて前記移動機構を制御する。
【0009】
本構成によれば、載置面のいずれかの場所に容器群が載置されている場合に、この容器群に関する容器群位置情報と底面寸法情報とによって、当該容器群の底面が載置面において占める領域の位置及び寸法を把握することができる。これに加えて、記憶部には載置面の複数箇所のそれぞれの座標情報、より詳しくは、複数箇所のそれぞれのX方向、Y方向、及びZ方向の実際の位置を示す情報が記憶されているため、これらの情報に基づいて、載置面に載置された容器群のZ方向に対する傾きである載置傾きを求めることができる。ここで、載置傾きは、容器群全体としての傾きとなるが、X方向及びY方向の位置としては、上方へ向かうに従って容器群の底面に対するX方向及びY方向の位置のずれが大きくなる。本構成によれば、上記の載置傾きと、容器群位置情報と、当該容器群を構成する各段の容器1つ1つの高さ寸法情報とに基づいて、各段の容器のX方向及びY方向の位置を示す個別位置情報を求める個別位置演算処理を行う。これにより、容器群を構成する各段の容器それぞれについてのX方向及びY方向の実際の位置を個別位置情報として把握することができる。その上で、当該個別位置情報に基づいて移動機構を制御することで、容器群を構成する各段の容器それぞれの実際のX方向及びY方向の位置に応じて高精度に把持部を移動させて搬送動作を行うことができる。従って、本構成によれば、複数の容器を段積み状態としてなる容器群が載置面に傾いて載置されている場合であっても、当該容器群に対して適切な搬送動作を行うことが可能となる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】載置面のX方向における各地点の高さを計測する様子を示す図
【
図7】載置面のY方向における各地点の高さを計測する様子を示す図
【
図9】載置面の各地点の高さを計測した計測結果を示す図
【
図10】容器群が傾いていない場合における、各容器の個別位置と把持部の把持基準点との関係を示す図
【
図11】容器群が傾いている場合における、各容器の個別位置と把持部の把持基準点との関係を示す図
【
図12】容器群底面領域における複数箇所の座標情報を示す図
【
図14】補正値に従って把持基準点を補正する場合の把持部の動作を示す図
【
図15】複数の高さエリアごとに共通の補正値を演算する場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係る物品保管設備について図面を参照して説明する。
図1に示すように、物品保管設備100は、容器Cを搬送する搬送装置1と、搬送装置1を制御する制御装置2(
図5参照)と、を備えている。物品保管設備100は、保管場所を構成する載置面Fに、複数の容器Cを段積み状態としてなる容器群Cgを載置して保管するように構成されている。
物品保管設備100では、部品等が収容された容器C、或いは部品等が収容されていない空の容器Cを、物品として保管する。
【0013】
以下では、載置面Fにより構成される理想的な平面を基準面Fsとし、基準面Fsに沿う方向であって互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、基準面Fsに直交する方向をZ方向とする。基準面Fsは、水平面に沿う理想的な仮想面である。従って、この基準面Fsに沿うX方向及びY方向は、水平方向に沿う方向であり、この基準面Fsに直交するZ方向は、鉛直方向(上下方向)に沿う方向である。なお、実際には、物品保管設備100が設けられる建屋の床面やその上に設置された支持台上の面が完全に水平な平面であることはない。従って、実際の載置面Fは、基準面Fsとは異なり、場所に応じてわずかに高さ(Z方向の位置)が異なっている。
【0014】
図1~
図3に示すように、搬送装置1は、単数の容器C又は複数の段積み状態の容器Cを把持する把持部101と、把持部101をX方向及びY方向に移動させる移動機構11と、把持部101をZ方向に沿って昇降させる昇降機構12と、を備えている。
【0015】
本実施形態では、移動機構11は、載置面FにおけるX方向に離間した位置においてY方向に沿って配置されると共に当該載置面Fに固定される一対の固定ガイドレール11Rと、一対の固定ガイドレール11Rに支持されると共に把持部101をY方向に沿って移動させるY方向移動体11Yと、Y方向移動体11Yに支持されると共に把持部101をX方向に沿って移動させるX方向移動体11Xと、を備えている。
【0016】
本実施形態では、Y方向移動体11Yは、X方向に沿って延在する可動レールにより構成されている。図示の例では、可動レールは互いに平行に配置された一対のレール部11Yaを備えている。Y方向移動体11Yは、そのX方向における両端部のそれぞれが固定ガイドレール11Rに対して移動自在に支持されており、当該固定ガイドレール11Rに沿ってY方向に移動する。Y方向移動体11Yは、例えばモータ等により構成されるY方向移動駆動部(不図示)によって駆動される。
【0017】
本実施形態では、X方向移動体11Xは、Y方向移動体11Yを構成する可動レール上を走行する台車により構成されている。X方向移動体11Xは、X方向に沿って延在するY方向移動体11Yに沿って走行することで、X方向に沿って移動する。X方向移動体11Xは、例えばモータ等により構成されるX方向移動駆動部(不図示)によって駆動される。
【0018】
把持部101は、X方向移動体11Xによって支持されている。そのため、X方向移動体11XがX方向に沿って移動することにより、当該X方向移動体11Xに支持された把持部101もX方向に沿って移動する。また、上述のように、このX方向移動体11Xは、Y方向移動体11Yに支持されている。そのため、Y方向移動体11YがY方向に沿って移動することにより、X方向移動体11Xに支持された把持部101もY方向に沿って移動する。このようにして、把持部101は、X方向及びY方向に沿って移動可能に構成されている。
【0019】
昇降機構12は、把持部101をZ方向に沿って昇降させるように構成されており、本例では、X方向移動体11Xに支持されている。詳細な図示は省略するが、昇降機構12は、把持部101に連結されたベルトと、例えばモータ等により構成され、ベルトを駆動する昇降駆動部(不図示)と、を備えている。昇降駆動部によってベルトが駆動されることにより、把持部101はZ方向に昇降する。このように、本実施形態では、把持部101は、昇降機構12を介してX方向移動体11Xに支持されている。
【0020】
本実施形態では、搬送装置1は、把持機構10を備えている。把持機構10は、上述の把持部101と、例えばモータ等により構成され、把持部101を駆動する把持駆動部(不図示)と、を備えている。把持部101は、把持駆動部により駆動されて、容器Cを把持するための把持状態と、容器Cを把持しないための非把持状態と、に状態変化するように構成されている。
【0021】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、把持部101は、X方向に互いに接近又は離間する一対の把持ユニット101Uを備えている。一対の把持ユニット101Uのそれぞれは、Y方向移動体11Yの一対のレール部11Yaの間で同期して昇降するように、昇降機構12を介してX方向移動体11Xに支持されている。一対の把持ユニット101Uのそれぞれは、Y方向に並んで配置されると共にY方向に互いに接近又は離間する一対の位置決め具101aと、Y方向に並ぶ一対の位置決め具101aの間に配置された把持具101bと、を備えている。
【0022】
本実施形態では、位置決め具101aは、把持部101の把持状態において、容器Cの外縁に対して外側から接触して当該容器Cの位置決めを行うように構成されている。本例では、一対の把持ユニット101Uのそれぞれに備えられた一対の位置決め具101a、すなわち、合計で4つの位置決め具101aは、平面形状が矩形状を成す容器Cの四隅に対して接触するように構成されている。図示の例では、複数の位置決め具101aは、容器Cの四隅のそれぞれの外縁形状に合致するように、水平面に沿う断面の形状がL字状の柱状体として構成されている。
【0023】
本実施形態では、把持具101bは、容器Cの上端部外縁において全周に亘って張り出すフランジ状の被把持部Crを把持するように構成されている。本例では、
図4に示すように、把持具101bは、把持部101の把持状態において、容器Cの被把持部Crに係合する複数の突出体101pと、複数の突出体101pを支持する支持部材101sと、を備えている。
【0024】
本実施形態では、支持部材101sは、Z方向に沿って延在する柱状に形成されており、その下端部領域において複数の突出体101pを支持している。支持部材101sに支持された複数の突出体101pは、当該支持部材101sの下端部領域においてZ方向に並んで配置されると共に、X方向に対向して配置される他方の支持部材101sの側(内側)に向かって突出している。本例では、Z方向に並ぶ複数の突出体101pが、Y方向に複数列(
図2に示す例では2列)並んで配置されている。
【0025】
複数の突出体101pのそれぞれは、バネにより内側(他方の支持部材101sの側)に突出する方向に付勢されている。従って、
図4に示すように、把持部101の把持状態において、複数の突出体101pの一部が、容器Cの被把持部Crからの反力を受けることによってバネの力に抗して外側へ引っ込み、引っ込んだ一部の突出体101pよりも下方に配置された他の一部の突出体101pが、容器Cの被把持部Crを下方から支持する状態となる。また、この状態では、位置決め具101aは、容器Cの外縁に対して外側から接触或いは外側に近接して、当該容器CをX方向及びY方向に位置決めしている(
図3参照)。
【0026】
把持部101によって容器Cを把持する基準となる点を、把持基準点10Pとする(
図4参照)。把持基準点10Pは、把持部101に囲まれる領域のX方向及びY方向の中心位置であって、把持部101のZ方向の基準位置に対応する位置である。本実施形態では、X方向に対向する一対の把持具101bの中間位置がX方向の中心位置であり、各把持ユニット101UにおいてY方向に並ぶ一対の位置決め具101aの中間位置がY方向の中心位置である。また、一対の把持部101のそれぞれにおける複数の突出体101pが配置されている領域のZ方向の中間位置がZ方向の基準位置である。ここでは、このようにして定まるX方向、Y方向、及びZ方向の各位置によって把持基準点10Pを定めている。搬送装置1は、把持部101の把持基準点10PにおけるX方向の位置、Y方向の位置、及びZ方向の位置を、容器群Cgを構成する各段の容器CのX方向の位置、Y方向の位置、及びZ方向の位置に合わせることで、
図3に示すように、把持対象とする1つの容器Cを把持した状態で、単数又は複数の容器Cを搬送する構成となっている。
【0027】
図2及び
図3は、搬送装置1が、7つの容器Cにより構成される容器群Cgから、上部3つの容器Cを取り出して搬送する例を示している。搬送装置1は、容器群Cgから、単数又は複数の容器Cを分離して搬送することが可能であり、また、容器群Cgの上方へ、搬送してきた他の単数又は複数の容器Cを載置して積み上げることが可能となっている。
【0028】
ここで、搬送装置1による搬送対象、及び、載置面Fに載置される対象となる容器Cは、複数段に亘って積み上げて段積み状態とすることが可能なものとされる。上述のように、本実施形態では、容器Cは、平面視で矩形状に形成されたものであるが、これに限らず、容器Cは、平面視で矩形状以外の多角形状、円形状、又は楕円形状に形成されたものであっても良い。また、本実施形態では、
図1に示すように、底面の寸法及び高さの少なくとも一方が異なる複数種類の容器Cを載置面Fに保管することが可能となっている。本例では、
図1に示すように、複数の容器Cを段積み状態としてなる容器群Cgのそれぞれは、底面の寸法及び高さが同一である同種類の容器Cにより構成される。但し、積み上げ可能であれば、互いに異なる複数種類の容器Cにより容器群Cgが構成されていても良い。このような容器Cは、例えば、工場の製造ラインで用いられる部品等を収容するためのプラスチック製のコンテナとされる。また、例えば搬送装置1は、部品等が収容された容器C、或いは部品等が収容されていない空の容器Cを、物品保管設備100の外部との間で入出庫するための入出庫装置としても機能する。
物品保管設備100では、このような部品等が収容された容器C、或いは部品等が収容されていない空の容器Cを、物品として保管する。
【0029】
図5に示すように、制御装置2は、搬送装置1との間で通信可能であり、搬送装置1を制御可能に構成されている。また、制御装置2は、物品保管設備100の全体を統括して管理する。本実施形態では、制御装置2は、載置面Fに載置された容器群Cgの位置、容器群Cgを構成する容器Cの種類、及び容器群Cgを構成する容器Cの数(段積み数)を管理している。なお、本実施形態では、制御装置2は、容器Cが単体で載置面Fに載置されている場合にも、容器群Cgを構成する容器Cの数(段積み数)が「1」である容器群Cgとして管理することとしている。制御装置2は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0030】
制御装置2は、演算部21と記憶部22とを備えている。記憶部22には、載置面Fの複数箇所のそれぞれのX方向、Y方向、及びZ方向の実際の位置を示す座標情報Icと、容器CのX方向及びY方向に沿う底面の寸法を示す底面寸法情報Isと、容器CのZ方向に沿う高さCh(
図13参照)を示す高さ寸法情報Ihと、容器群Cgの載置面F上におけるX方向及びY方向の位置(容器群位置Cgp)を示す容器群位置情報Icgpと、容器群Cgを構成する容器Cの数である段積み数を示す段数情報Inと、が記憶されている。本実施形態では、容器群位置情報Icgpが示す容器群位置Cgpは、容器群Cgの最下段の容器Cの底面である容器群底面Cgbの載置面F上におけるX方向及びY方向の位置である。ここでは、容器群底面Cgbの重心位置(図形の重心の位置)に対応する載置面F上の位置を容器群位置Cgpとしている。また本実施形態では、容器群Cgは、平面形状が矩形状の容器Cのいずれかの辺がX方向に平行になるように載置面Fに配置される。よって、容器群位置情報IcgpはX方向及びY方向に対する角度の情報を含まない。なお、容器Cのいずれかの辺がX方向に対して傾斜して配置されるような場合には、容器群位置情報IcgpにX方向及びY方向に対する角度の情報が含まれていると好適である。そして、演算部21は、これらの情報に基づいて、後述する傾き演算処理と個別位置演算処理とを実行するように構成されている。なお、容器CのZ方向に沿う高さChとは、容器Cが基準面Fsに載置された状態での高さChを意味し、容器Cの高さ寸法Chと言い換えることもできる。
【0031】
本実施形態では、載置面Fの各地点(複数箇所)におけるZ方向の実際の位置を予め計測する計測作業を行い、計測作業により計測した計測値を座標情報Icとして記憶部22に記憶する。この計測作業では、
図6及び
図7に示すように、載置面Fまでの垂直距離を計測する計測装置3がX方向移動体11Xに一時的に取り付けられる。上述のように、X方向移動体11Xは、自らがX方向に沿って移動可能であると共に、Y方向移動体11Yの移動を介してY方向にも移動可能となっている。そのようなX方向移動体11Xに取り付けられた計測装置3は、載置面Fの各地点における、載置面Fまでの垂直距離を計測する。この垂直距離の計測によって、載置面FにおけるX方向及びY方向の各地点におけるZ方向の実際の位置(高さ)が計測され、載置面Fの各地点のX方向、Y方向、及びZ方向の実際の位置を示す座標情報Icが取得される。なお、計測装置3としては、レーザー光や超音波を利用した距離センサー、或いは、その他の公知の計測装置を用いることができる。
【0032】
図8は、載置面Fの各地点における高さをイメージ化したものである。図中において、濃く色塗りされた領域ほど高い位置を示しており、薄く色塗りされた領域ほど低い位置を示している。このように、実際の載置面Fは、理想的な平面とされる基準面Fsとは異なり、場所に応じてわずかに高さ(Z方向の位置)が異なっている。図中における矩形状の破線は、載置面Fに載置された容器Cの底面、より詳しくは、容器群Cgの最下段を構成する容器Cの底面である容器群底面Cgbを示している。
図8において示された2つの容器群底面Cgbのうち一方は、載置面Fにおける同じ高さの領域(平面)に配置されており、この場合、容器群Cgは、適切な姿勢で載置面Fに載置された状態(傾いていない状態)となっている(
図10参照)。また、
図8において示された2つの容器群底面Cgbのうち他方は、載置面Fにおける互いに異なる高さの領域に跨って配置されており、この場合、容器群Cgは、傾いた姿勢で載置面Fに載置された状態となっている(
図11参照)。
【0033】
図9は、載置面Fの一部における各地点の計測結果を示している。
図9において、小枠内に示される数値は、基準面Fsの高さを「0」とした場合における載置面Fの各地点における高さを、例えばミリ単位で示したものである。本実施形態では、載置面Fを複数の単位区画Aに区画し、複数の単位区画AごとにZ方向の位置を計測している。そして、複数の単位区画AのそれぞれにおけるX方向の位置、Y方向の位置、及びZ方向の位置が、座標情報Icとして上述の記憶部22に記憶されている。
【0034】
図10に示すように、容器群Cgの上に更に容器Cを積み重ねる場合において、容器群Cgが、適切な姿勢、すなわち、傾いていない姿勢で載置面Fに載置された状態では、移動機構11は、載置面F上における容器群CgのX方向及びY方向の位置である容器群位置Cgpに対して、把持部101の把持基準点10PのX方向及びY方向の位置を合わせる。ここでは、把持部101の把持基準点10Pは、把持部101に把持された容器Cの被把持部Crの外縁形状の重心位置(図形の重心の位置)と一致している。なお本実施形態では、容器群Cgを構成する各段の容器CのX方向及びY方向の位置である個別位置Cpも、容器Cの被把持部Crの外縁形状の重心位置(図形の重心の位置)としている。また上記のとおり、本実施形態では、容器群底面Cgbの重心位置に対応する載置面F上の位置が容器群位置Cgpとなっている。
図10に示すように、容器群Cgを構成する各段の容器CのX方向及びY方向の位置である個別位置Cpと、容器群位置Cgpとは、容器群Cgが適切な姿勢で載置面Fに載置された状態において、X方向及びY方向において同じ位置に配置される。移動機構11によるX方向及びY方向の位置合わせが完了すれば、昇降機構12は、容器群Cgを構成する最上段の容器Cの高さに合わせて把持部101を下降させる。より具体的には、昇降機構12は、容器群Cgを構成する最上段の容器Cの上にもう1段積み重ねたと仮定した容器C(図中において仮想線で示す。)の個別位置Cpに把持部101の把持基準点10Pが重なるように、把持部101を下降させる。なお、容器群Cgを構成する一部の容器Cを把持して搬送する場合には、容器群Cgを構成する各段の容器Cのうち、把持対象として指定された容器Cが配置された高さに合わせて、把持部101を下降させる。この場合、昇降機構12は、把持部101の把持基準点10Pと、把持対象となる容器Cの個別位置Cpとが重なるように、把持部101を下降させる。
【0035】
このように、容器群Cgが適切な姿勢で載置面Fに載置された状態では、移動機構11によって、把持基準点10PのX方向及びY方向の位置を容器群位置情報Icgpに示される容器群位置Cgpに合わせることで、容器群Cgを構成する各段の容器Cに対して把持部101のX方向及びY方向の位置を合わせることができる。しかしながら、
図11に示すように、容器群Cgが傾いた姿勢で載置面Fに載置された状態では、容器群Cgを構成する各段の容器Cの個別位置Cpと、容器群位置情報Icgpに示される容器群位置Cgpとは、X方向及びY方向の少なくとも一方にずれることになる。特に、容器群Cgの上方へ向かうに従って、容器Cの個別位置Cpと容器群位置CgpとのX方向及びY方向の位置ずれは大きくなる。そのため、容器群Cgが傾いた姿勢で載置されている場合には、移動機構11により把持基準点10Pと容器群位置CgpとのX方向及びY方向の位置合わせを行ったとしても、容器群Cgを構成する各段の容器Cの個別位置Cpと把持基準点10PとのX方向及びY方向の位置にずれが生じることになる。このような場合には、容器群Cgを構成する最上段の容器Cの上に他の容器Cをもう1段積み重ねることが難しく、また、容器群Cgの一部を搬送する際には各容器Cを把持部101によって適切に把持することが難しい。
【0036】
そこで、制御装置2は、容器群Cgを構成する各段の容器Cの個別位置Cpと容器群位置情報Icgpに示される容器群位置CgpとのX方向及びY方向の位置ずれ量を補正値Cvとして演算する補正値演算処理を行う。この補正値演算処理として、制御装置2は、
図12及び
図13に示すように、記憶部22に記憶された座標情報Icと底面寸法情報Isと容器群位置情報Icgpとに基づいて、載置面Fに載置された容器群CgのZ方向に対する傾きである載置傾きθを求める傾き演算処理と、容器群位置情報Icgpと載置傾きと高さ寸法情報Ihとに基づいて、容器群Cgを構成する各段の容器CのX方向及びY方向の位置(個別位置Cp)を示す個別位置情報を求める個別位置演算処理と、を行う。そして、制御装置2は、個別位置演算処理により求めた個別位置情報に基づいて移動機構11を制御する。換言すれば、制御装置2は、容器群Cgを構成する各段の容器CのX方向及びY方向の位置である個別位置Cpと容器群位置情報Icgpに示される容器群位置CgpとのX方向及びY方向の相対距離(位置ずれ量)を補正値Cvとして、当該補正値Cvと容器群位置情報Icgpに示される容器群位置Cgpとに従って移動機構11を制御する。
【0037】
以下、載置傾きθを求める傾き演算処理、及び、容器Cの個別位置Cpを求める個別位置演算処理について、
図12及び
図13を参照して説明する。なお、
図11、
図13等では、載置傾きθを実際よりも大きく強調して示している。
【0038】
図12に示すように、傾き演算処理では、制御装置2は、容器群位置情報Icgpと底面寸法情報Isとに基づいて容器群Cgの最下段の容器Cの底面である容器群底面CgbのX方向及びY方向において占める載置面F上の領域である容器群底面領域Afを求め、容器群底面領域Afに対応する複数箇所の載置面Fの座標情報Icに基づいて容器群底面Cgbの複数箇所のZ方向の位置を求める。そして、容器群底面Cgbの複数箇所のZ方向の位置に基づいて容器群底面Cgbの傾きである底面傾きαを求め、この底面傾きαに基づいて載置傾きθを求める。
【0039】
上記のとおり、記憶部22には、容器群位置Cgpを示す容器群位置情報Icgpと、容器Cの底面寸法を示す底面寸法情報Isと、が記憶されている。制御装置2は、これらの情報を利用して、容器群底面領域Afに対応する複数箇所、例えば、矩形状の容器群底面Cgbの四隅に対応する箇所の座標を求める(
図12参照)。上記のとおり、本実施形態では、容器群Cgは、平面形状が矩形状の容器Cのいずれかの辺がX方向に平行になるように載置面Fに配置される。また、容器群位置Cgpは、容器群底面Cgbの重心位置に設定されている。そのため、容器群位置Cgpと底面寸法情報Isとから、容器群底面Cgbの四隅の座標を求めることができる。なお、これには限らず、容器群底面領域Afに含まれる3箇所以上の座標を求めてもよい。容器群底面領域Afに含まれる3箇所以上の座標を求めることができれば容器群底面Cgbの傾きである底面傾きαを求めることができる。
【0040】
例えば
図13に示すように、容器群CgのZ方向に対する傾きである載置傾きθは、基準面Fsに対する容器群底面Cgbの傾きである底面傾きαに等しい。そして、底面傾きαは、上記のように求めた容器群底面領域Afに含まれる3箇所以上の座標、本例では容器群底面Cgbの四隅の座標から求めることができる。三次元空間における平面の姿勢は、当該平面に含まれる3点の座標によって定まるからである。
図13では、説明の簡略化のため、二次元空間内での傾きしかない状況を想定して説明する。図示の例では、容器Cの底面が載置面Fと接触する複数の接触点のうち、最も高い位置に配置された接触点と最も低い位置に配置された接触点との、Z方向の高さの差ΔZとX-Y平面に沿う方向の相対距離ΔLとにより、以下の(1)式と(2)式とから底面傾きαを求める。
ΔZ/ΔL=tanα・・・・・・・・(1)
α=arctanΔZ/ΔL=θ・・・(2)
ここで、底面傾きαと載置傾きθとは同じ値となる。このように、本実施形態では、傾き演算処理において、容器群底面Cgbの複数箇所のZ方向の位置に基づいて容器群底面Cgbの傾きである底面傾きαを求め、この底面傾きαに基づいて載置傾きθを求める。なお、演算部21は、実際には、傾き演算処理において、容器群底面領域Afに含まれる3箇所以上の座標に基づいて、X-Y-Zの三次元空間内での底面傾きαを求め、当該底面傾きαから載置傾きθを求める。
【0041】
個別位置演算処理では、上記のように求まった載置傾きθと、容器群位置Cgpを示す容器群位置情報Icgpと、容器Cの高さ寸法Chを示す高さ寸法情報Ihとに基づいて、容器群Cgを構成する各段の容器Cの個別位置Cpを演算する。上述のように、記憶部22には、容器Cの高さ寸法Chを示す高さ寸法情報Ihと、容器群Cgを構成する容器Cの数である段積み数nを示す段数情報Inと、が記憶されている。制御装置2は、これらの情報に基づいて、容器群底面Cgbに直交する方向における、当該容器群底面Cgbから各段の容器Cの上端部までの距離を取得することができる。上述のように、容器Cの上端部には、把持部101によって把持される被把持部Crが形成されている。そこで、本実施形態では、各段の容器Cの被把持部CrのX方向及びY方向の位置を、当該容器Cの個別位置Cpとする。上記のとおり、本実施形態では、被把持部Crの外縁形状の重心位置(図形の重心の位置)を個別位置Cpとしている。
【0042】
そして、被把持部Crの位置を示す個別位置Cpと容器群位置情報Icgpに示される容器群位置CgpとのX方向及びY方向の位置ずれ量が、容器群位置情報Icgpに示される容器群位置Cgpに対して把持基準点10PをX方向及びY方向に補正するための補正値Cvとなる。この補正値Cvは、以下の(3)式により求まる。
Cv=m・Ch/sinθ・・・・・・(3)
「Ch」は、容器Cの高さ寸法を示している。「m」は、把持部101による把持の対象となる容器Cが配置される段数(下からm段目)を示しており、容器群Cgを構成する容器Cの段積み数n以下の自然数とされる。
図13には、3段の容器Cにより構成される容器群Cgにおいて、下から3段目の容器Cの個別位置Cpを演算する場合の例が示されている。上記のとおり、載置傾きθは三次元空間内での傾きとして求められるが、本例では、説明の簡略化のため、X-Z平面又はY-Z平面のいずれかの二次元空間内での傾きしかない状況を想定して説明している。この場合、補正値Cvは、X方向又はY方向のいずれかの値となる。載置傾きθがX-Y-Zの三次元空間内での傾きである場合でも、X-Z平面又はY-Z平面のそれぞれの傾きに分解することで、同様にX方向及びY方向のそれぞれの補正値Cvを求めることができる。
【0043】
以上のようにして求めた補正値Cvと、容器群位置情報Icgpに示される容器群位置Cgpとに基づいて、容器群Cgを構成する各段の容器Cの個別位置Cpが求められる。具体的には、容器群位置Cgpに示された容器群底面CgbのX方向及びY方向の位置を、各段の容器Cの段数mに応じたX方向及びY方向の補正値Cvにより補正したX方向及びY方向の位置が、各段の容器Cの個別位置Cpとなる。このようにして個別位置Cpが求まると、制御装置2は、
図14に示すように、当該個別位置Cpに基づいて移動機構11を制御する。すなわち制御装置2は、把持部101の把持基準点10PのX方向及びY方向の位置を、対象となる容器群Cgにおける最上段の容器Cの上にもう1段積み重ねたとした場合の、当該追加段の容器C(図中において仮想線で示す。)の個別位置Cpに合わせるように、移動機構11を制御する。
図14は、4段の容器Cから構成される容器群Cgの上に、もう1段容器Cを積み重ねる状況を図示している。この場合、最上段である下から4段目の容器Cの上に積み重ねられる追加段である5段目の容器Cの個別位置Cpに合わせて、把持部101をX方向及びY方向に移動させる。移動機構11をこのように制御することにより、既存の容器群Cgの上に、もう1つの容器Cを適切に積み重ねることができる。
【0044】
また、制御装置2は、上記のようにして各段の容器Cの個別位置Cpを求めると共に、記憶部22に記憶された座標情報Icと高さ寸法情報Ihと容器群位置情報Icgpとに基づいて、容器群Cgを構成する各段の容器CのZ方向の位置を示す個別高さ情報を求める。本実施形態では、制御装置2は、容器群位置情報Icgpに示される、容器群位置CgpのX方向及びY方向の位置に対応する載置面Fの座標情報Ic(X方向、Y方向、及びZ方向の位置)に示されるZ方向の位置を、当該容器群Cgにおける容器群底面Cgbの高さHbとし、当該容器群底面Cgbの高さに、容器Cの段数に応じて高さ寸法情報Ihに示される高さ寸法Ch(
図13参照)を加えることで、容器群Cgを構成する各段の容器Cの個別高さHpを示す個別高さ情報を求める。
【0045】
そして、制御装置2は、上記のように、把持部101の把持基準点10PのX方向及びY方向の位置を、対象となる容器群Cgの最上段の容器Cの上に積み重ねたと仮定した追加段の容器Cの個別位置Cpに合わせるように移動機構11を制御した後、当該追加段の容器Cの個別高さHpに合わせた高さに把持部101を下降させる下降動作を昇降機構12に行わせる。これにより、実際の位置に合わせた個別位置Cpに示されるX方向及びY方向の位置であって実際の高さに合わせた個別高さHpに示されるZ方向の位置に把持部101を移動させ、対象となる容器群Cgの最上段の容器Cの上に、把持部101が把持している容器Cを積み重ねる。
図14に示す例では、4段の容器Cから構成される容器群Cgの上に追加段である5段目の容器Cを積み重ねるため、当該5段目の容器Cの個別位置Cpに合わせて把持部101をX方向及びY方向に移動させた後、当該5段目の容器Cの個別高さHpに合わせて把持部101をZ方向に下降させ、把持部101が把持している容器Cを、容器群Cgの最上段である4段目の容器Cの上に積み重ねる。このように、本実施形態の構成によれば、容器群Cgを構成する各段の容器Cのそれぞれが位置している実際の位置及び高さに応じて、適切な位置に把持部101を動作させ、適切に容器Cを積み重ねることができる。
【0046】
なお、対象となる容器群Cgを構成する一部の容器Cを把持部101により把持して搬送する場合も、上記のようにして求めた個別位置Cp及び個別高さHpを用いて、適切に容器Cを把持部101により把持することができる。この場合、制御装置2は、把持部101の把持基準点10PのX方向及びY方向の位置を、把持対象となる容器Cの個別位置Cpに合わせるように移動機構11を制御した後、把持対象となる容器Cの個別高さHpに合わせた高さに把持部101を下降させる下降動作を昇降機構12に行わせる。これにより、個別位置Cpに示されるX方向及びY方向の位置であって個別高さHpに示されるZ方向の位置に把持部101を移動させ、対象となる容器Cを把持する把持動作を把持機構10に行わせる。例えば、4段の容器Cから構成される容器群Cgにおける、下から4段目の容器Cが把持対象とされる場合、当該4段目の容器Cの個別位置Cpに合わせて把持部101をX方向及びY方向に移動させた後、当該4段目の容器Cの個別高さHpに合わせて把持部101をZ方向に下降させ、当該4段目の容器Cを把持部101により把持する。このように、本実施形態の構成によれば、容器群Cgを構成する各段の容器Cのそれぞれが位置している実際の位置及び高さに応じて、適切な位置に把持部101を動作させ、適切に容器Cを把持することができる。
【0047】
以上説明した物品保管設備100によれば、複数の容器Cを段積み状態としてなる容器群Cgが載置面Fに傾いて載置されている場合であっても、当該容器群Cgの上に把持部101が把持している容器Cを積み重ね、或いは、当該容器群Cgを構成する一部の容器Cを把持部101により把持して搬送することができるなど、当該容器群Cgに対して適切な搬送動作を行うことが可能となる。
【0048】
上述のように、本実施形態では、載置面Fは、複数の容器群CgをX方向及びY方向に並べて配置することが可能に構成されている。本例では、記憶部22には、載置面Fに載置された複数の容器群Cgのそれぞれについての容器群位置情報Icgpと、複数の容器群Cgのそれぞれについての段数情報Inと、が記憶されている。そして、傾き演算処理及び個別位置演算処理は、制御装置2により搬送対象として選択された容器群Cgを対象として行われる。
【0049】
また、上述のように、本実施形態では、載置面Fは、底面の寸法及び高さChの少なくとも一方が異なる複数種類の容器Cを配置することが可能に構成されている。本例では、記憶部22には、底面の寸法及び高さChの少なくとも一方が異なる複数種類の容器Cのそれぞれについての底面寸法情報Is及び高さ寸法情報Ihと、容器群Cgを構成する容器Cの種類を示す種類情報と、が記憶されている。そして、制御装置2は、搬送対象として選択した容器群Cgについての種類情報に基づいて、記憶部22から底面寸法情報Is及び高さ寸法情報Ihを取得する。すなわち本実施形態では、制御装置2は、搬送対象となる容器群Cgを構成する容器Cの種類に応じて、傾き演算処理と個別位置演算処理とを行う。
【0050】
このように、本実施形態によれば、載置面Fに複数の容器群Cgが載置されている場合、及び、載置面Fに載置された容器群Cgを構成する容器Cの種類が複数ある場合であっても、それぞれの容器群Cgに合わせて適切に傾き演算処理及び個別位置演算処理を行い、それぞれの容器群Cgに対して適切な搬送動作を行うことができる。但し、容器群Cgが載置される場所によっては載置面Fの傾きが大きいために、載置傾きθが大きな値となることがあり、その場合には、搬送装置1による搬送動作のエラーが生じ易くなる。そこで、本実施形態では、制御装置2は、記憶部22に記憶された座標情報Icと底面寸法情報Isとに基づいて、載置傾きθが規定値以上となる載置面F上の領域を、容器群Cgを載置することを禁止する禁止領域に設定する。規定値は、把持部101による把持構造や、載置面Fに載置される容器群Cgの安定性等に基づいて、実験等により定められると良い。このような規定値は、例えば、鉛直方向に対する傾きが3°以上等に設定することができる。上記構成により、載置傾きθが規定値未満の容器群Cgのみが載置面Fに載置された状態とすることができる。禁止領域は、例えば、作業者が作業を行うための作業エリアや、作業者の通路として利用することができる。
【0051】
また、禁止領域として設定されていない載置面Fの領域においても、容器群Cgの高さ、すなわち容器群底面Cgbに直交する方向における容器群Cgの寸法と、載置傾きθとによっては、容器群Cgの安定性を十分に確保できない可能性がある。容器群底面Cgbに直交する方向における容器群Cgの寸法は、容器群Cgを構成する各段の容器Cの高さ寸法Chと、容器群Cgの段積み数nに基づいて定まる。そこで、本実施形態では、制御装置2は、載置傾きθと、容器群Cgを構成する各段の容器Cの高さ寸法Chとに基づいて、載置面Fに載置される容器群Cgの段積み数nを制限するようにしても良い。例えば、載置傾きθが大きくなるに従って、容器群Cgの高さの上限が低くなるように、高さ寸法Chに基づいて段積み数nの上限を設定すると良い。更に、容器Cの形状等によっても、容器群Cgの安定性が異なる場合がある。その場合、制御装置2は、容器Cの種類を示す種類情報にも基づいて、容器群Cgの段積み数nを制限すると好適である。そして、容器Cの種類に応じて異なる容器底面の寸法に基づいて定まる底面傾きα、又は、容器Cの種類に応じて異なる高さ寸法Chを考慮して、上記のように容器群Cgの段積み数nを制限すると好適である。
〔その他の実施形態〕
次に、物品保管設備のその他の実施形態について説明する。
【0052】
(1)上記の実施形態では、制御装置2は、容器群Cgを構成する各段の容器Cのそれぞれについて、個別位置Cp及び補正値Cvを求める例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、
図15に示すように、制御装置2は、容器群CgのZ方向の全域をZ方向に複数の高さエリアAhに区分し、個別位置演算処理において、個別位置情報を高さエリアAhごとに共通の値として求めても良い。すなわち、制御装置2は、高さエリアAhごとに、個別位置Cp及び補正値Cvを求めても良い。これにより、容器群Cgを構成する各段の容器Cのそれぞれについて個別位置Cpを求めるのではなく、高さエリアAhごとに共通の値として個別位置Cpを求めるため、個別位置Cpを求める数を少なくし、制御装置2の演算負荷を軽減することができる。
図15に示す例では、15段の容器Cにより構成される容器群Cgが載置面Fに載置されており、5段ごとに高さエリアAh1~Ah3が区分されている。そして、制御装置2は、例えば、高さエリアAhにおけるZ方向の中間位置を当該高さエリアAhに配置される複数の容器C(図示の例では5つの容器C)全体の個別位置Cpとし、この個別位置Cpに対応する補正値Cvを求める。図示の例では、制御装置2は、複数の高さエリアAh1~Ah3のそれぞれについて、個別位置Cp1~Cp3と補正値Cv1~Cv3とを求めている。
【0053】
(2)上記の実施形態では、制御装置2が、記憶部22に記憶された座標情報Icと高さ寸法情報Ihと容器群位置情報Icgpとに基づいて、容器群Cgを構成する各段の容器CのZ方向の位置である個別高さHpを示す個別高さ情報を求め、当該個別高さ情報に基づいて昇降機構12を制御する構成を例として説明した。しかし、このような構成には限定されない。例えば、座標情報Icと高さ寸法情報Ihと容器群位置情報Icgpとに加えて、傾き演算処理により求めた載置傾きθにも基づいて、容器群Cgを構成する各段の容器Cの個別高さHpを示す個別高さ情報を求めても良い。このようにすれば、容器群Cgの載置傾きθも考慮して容器Cの個別高さHpを求めるため、より高精度に個別高さ情報を取得することができる。
【0054】
(3)上記の実施形態では、載置面Fを複数の単位区画Aに区画し、計測装置3によって複数の単位区画AごとにZ方向の位置を計測し、計測された単位区画AごとのZ方向の位置を座標情報Icの一部として記憶部22に記憶している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、載置面Fを複数の単位区画Aに区画することなく、計測装置3によって計測された点ごとのZ方向の位置を座標情報Icの一部として記憶部22に記憶するようにしても良い。この場合、隣り合う計測地点と計測地点との間の点は、計測されたZ方向の位置データを持たないことになる。この場合、隣り合う計測地点同士の間の各点のZ方向の位置は、当該隣り合う2つの計測地点のZ方向の位置データを線形補間することにより求めると好適である。
【0055】
(4)上記の実施形態では、底面の寸法及び高さの少なくとも一方が異なる複数種類の容器Cを載置面Fに保管することが可能に構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品保管設備100では、同種類の容器Cのみが載置面Fに保管されるように構成されていても良い。
【0056】
(5)上記の実施形態では、制御装置2が、載置傾きθが規定値以上となる載置面F上の領域を、容器群Cgを載置することを禁止する禁止領域として設定する例について説明したが、そのような禁止領域を設定しなくても良い。
【0057】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0058】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品保管設備について説明する。
【0059】
容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、保管場所を構成する載置面に、複数の前記容器を段積み状態としてなる容器群を載置して保管する物品保管設備であって、
前記制御装置は記憶部を備え、
前記載置面により構成される理想的な平面を基準面とし、前記基準面に沿う方向であって互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、前記基準面に直交する方向をZ方向として、
前記記憶部には、前記載置面の複数箇所のそれぞれの前記X方向、前記Y方向、及び前記Z方向の実際の位置を示す座標情報と、前記容器の前記X方向及び前記Y方向に沿う底面の寸法を示す底面寸法情報と、前記容器の前記Z方向に沿う高さを示す高さ寸法情報と、前記容器群の前記載置面上における前記X方向及び前記Y方向の位置を示す容器群位置情報と、前記容器群を構成する前記容器の数である段積み数を示す段数情報と、が記憶され、
前記搬送装置は、単数の前記容器又は複数の段積み状態の前記容器を把持する把持部と、前記把持部を前記X方向及び前記Y方向に移動させる移動機構と、前記把持部を前記Z方向に沿って昇降させる昇降機構と、を備え、
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記座標情報と前記底面寸法情報と前記容器群位置情報とに基づいて、前記載置面に載置された前記容器群の前記Z方向に対する傾きである載置傾きを求める傾き演算処理と、前記容器群位置情報と前記載置傾きと前記高さ寸法情報とに基づいて、前記容器群を構成する各段の前記容器の前記X方向及び前記Y方向の位置を示す個別位置情報を求める個別位置演算処理と、を行い、前記個別位置情報に基づいて前記移動機構を制御する。
【0060】
本構成によれば、載置面のいずれかの場所に容器群が載置されている場合に、この容器群に関する容器群位置情報と底面寸法情報とによって、当該容器群の底面が載置面において占める領域の位置及び寸法を把握することができる。これに加えて、記憶部には載置面の複数箇所のそれぞれの座標情報、より詳しくは、複数箇所のそれぞれのX方向、Y方向、及びZ方向の実際の位置を示す情報が記憶されているため、これらの情報に基づいて、載置面に載置された容器群のZ方向に対する傾きである載置傾きを求めることができる。ここで、載置傾きは、容器群全体としての傾きとなるが、X方向及びY方向の位置としては、上方へ向かうに従って容器群の底面に対するX方向及びY方向の位置のずれが大きくなる。本構成によれば、上記の載置傾きと、容器群位置情報と、当該容器群を構成する各段の容器1つ1つの高さ寸法情報とに基づいて、各段の容器のX方向及びY方向の位置を示す個別位置情報を求める個別位置演算処理を行う。これにより、容器群を構成する各段の容器それぞれについてのX方向及びY方向の実際の位置を個別位置情報として把握することができる。その上で、当該個別位置情報に基づいて移動機構を制御することで、容器群を構成する各段の容器それぞれの実際のX方向及びY方向の位置に応じて高精度に把持部を移動させて搬送動作を行うことができる。従って、本構成によれば、複数の容器を段積み状態としてなる容器群が載置面に傾いて載置されている場合であっても、当該容器群に対して適切な搬送動作を行うことが可能となる。
【0061】
ここで、前記傾き演算処理では、前記制御装置は、前記容器群位置情報と前記底面寸法情報とに基づいて前記容器群の最下段の前記容器の前記底面である容器群底面の前記X方向及び前記Y方向において占める前記載置面上の領域である容器群底面領域を求め、前記容器群底面領域に対応する複数箇所の前記座標情報に基づいて前記容器群底面の複数箇所の前記Z方向の位置を求め、前記容器群底面の複数箇所の前記Z方向の位置に基づいて前記容器群底面の傾きを求め、前記容器群底面の傾きに基づいて前記載置傾きを求めると好適である。
【0062】
本構成によれば、載置面において容器群底面が占める領域である容器群底面領域を求め、当該容器群底面領域に対応する座標情報に基づいて容器群底面の傾きを求め、そこから載置傾きを求めるため、適切に載置傾きを求めることができる。
【0063】
また、前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記座標情報と前記高さ寸法情報と前記容器群位置情報とに基づいて、前記容器群を構成する各段の前記容器の前記Z方向の位置を示す個別高さ情報を求め、前記個別高さ情報に基づいて前記昇降機構を制御すると好適である。
【0064】
本構成によれば、容器群を構成する各段の容器のそれぞれが位置している実際の高さに応じて、昇降機構による把持部の昇降量を制御することができる。これにより、容器群を構成する各段の容器それぞれに対して、高精度に把持部を移動させて搬送動作を行うことができる。
【0065】
また、前記制御装置は、前記容器群の前記Z方向の全域を前記Z方向に複数の高さエリアに区分し、前記個別位置演算処理において、前記個別位置情報を前記高さエリアごとに共通の値として求めると好適である。
【0066】
載置面は、通常、理想的な平面である基準面に沿って設けられるため、載置面の複数箇所における高さのバラつきは、実際には微小なものである。そのため、容器群が載置傾きを有する場合であっても、当該容器群を構成する各段の容器のうち、Z方向において隣り合う容器同士、或いは、Z方向において互いに近い位置に配置されている容器同士について、それぞれのX方向及びY方向の位置(個別位置情報)の差は微小である場合が多い。そして、このような微小なX方向及びY方向の位置の差は、把持部をX方向及びY方向に移動させるための移動機構の動作精度よりも小さい場合があり、そのような場合にまで各段の容器の個別位置情報を詳細に求める必要はない。本構成によれば、容器群の全てを構成する各段の容器それぞれについて個別位置情報を求めるのではなく、高さエリアごとに共通の値として個別位置情報を求めるため、制御装置の演算負荷を軽減することができる。
【0067】
また、前記記憶部には、前記載置面に載置された複数の前記容器群のそれぞれについての前記容器群位置情報と、複数の前記容器群のそれぞれについての前記段数情報と、が記憶され、
前記傾き演算処理及び前記個別位置演算処理は、前記制御装置により搬送対象として選択された前記容器群を対象として行われると好適である。
【0068】
本構成によれば、載置面における複数箇所に載置された複数の容器群それぞれに対して、載置傾きによるX方向及びY方向の位置ずれを考慮した高精度な搬送動作を行うことができる。
【0069】
また、前記記憶部には、前記底面の寸法及び前記高さの少なくとも一方が異なる複数種類の前記容器のそれぞれについての前記底面寸法情報及び前記高さ寸法情報と、前記容器群を構成する前記容器の種類を示す種類情報と、が記憶され、
前記制御装置は、搬送対象として選択した前記容器群についての前記種類情報に基づいて、前記記憶部から前記底面寸法情報及び前記高さ寸法情報を取得すると好適である。
【0070】
本構成によれば、容器群を構成する容器として、底面の寸法及び高さの少なくとも一方が異なる複数種類の容器が存在する場合であっても、それら複数種類の容器のそれぞれについての底面寸法情報及び高さ寸法情報を用いて、適切に傾き演算処理及び個別位置演算処理を行い、高精度な搬送動作を行うことができる。
【0071】
また、前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記座標情報と前記底面寸法情報とに基づいて、前記載置傾きが規定値以上となる前記載置面上の領域を、前記容器群を載置することを禁止する禁止領域に設定すると好適である。
【0072】
本構成によれば、載置傾きが規定値以上となる載置面上の領域は、容器群を載置することを禁止する禁止領域に設定されるため、載置傾きが規定値未満の容器群のみが載置面に載置された状態とすることができる。従って、容器群の載置傾きを小さく抑えて安定性を高めることができると共に、搬送動作のエラーを生じ難くすることができる。なお、禁止領域は、例えば、作業者が作業を行うための作業エリアや、作業者の通路として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示に係る技術は、容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、保管場所を構成する載置面に、複数の前記容器を段積み状態としてなる容器群を載置して保管する物品保管設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
100 :物品保管設備
1 :搬送装置
2 :制御装置
11 :移動機構
12 :昇降機構
22 :記憶部
101 :把持部
Af :容器群底面領域
Ah :高さエリア
C :容器
Cg :容器群
Cgb :容器群底面
Cgp :容器群位置
Ch :高さ寸法
Cp :個別位置
F :載置面
Fs :基準面
n :段積み数
θ :載置傾き
Ic :座標情報
Is :底面寸法情報
Ih :高さ寸法情報
Icgp :容器群位置情報
In :段数情報
Icp :個別位置情報
Ihp :個別高さ情報
It :種類情報