(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】乗員保護装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/045 20060101AFI20230613BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B60R21/045 331
B60N2/42
(21)【出願番号】P 2020072892
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】永木 諒
(72)【発明者】
【氏名】三村 拓也
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-237943(JP,A)
【文献】特開2009-079649(JP,A)
【文献】特開2013-124026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00-21/13
B60N 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートに着座している乗員を保護する乗員保護装置であって、
前記シートの前後方向の前方及び後方を前方及び後方とするとき、
前記シートの前方に設けられるブラケットと、
前記ブラケットの後端に取り付けられ、前記車両の衝突時に、前記シートに着座している乗員の膝を前方から支持しつつ圧縮変形するニーボルスタと、
前記車両の衝突時に、前記ブラケットを支点として、前記前後方向に交差する交差方向に前記ニーボルスタが変位することを規制する規制部と、を備え
、
前記ニーボルスタと前記シートとの間には、内装部材が配置され、
前記規制部は、前記内装部材の前面に設けられており、前記車両の衝突前には、前記ニーボルスタと接触しておらず、前記車両の衝突時には、前記ニーボルスタに接触することにより前記交差方向に前記ニーボルスタが変位することを規制する、
乗員保護装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記内装部材から前記ニーボルスタに向かって突出する突出部により構成されており、
前記突出部は、前記ニーボルスタの前記交差方向における少なくとも一側に設けられている、
請求項
1に記載の乗員保護装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記ニーボルスタの前記交差方向における両側に設けられている、
請求項
2に記載の乗員保護装置。
【請求項4】
前記ニーボルスタの後端部には、凹部が設けられており、
前記突出部は、前記前後方向において前記凹部に対向する位置に設けられている、
請求項
2または請求項
3に記載の乗員保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のインストルメントパネルの裏側には、シートに着座する乗員の一対の膝に対応して、一対のニーボルスタが車幅方向に互いに間隔をおいて配置されている(例えば、特許文献1参照)。インストルメントパネルの裏側には、車体のフレームを構成する一対の支持ブラケットが設けられている。各支持ブラケットの後端には、取付板が支持されている。ニーボルスタは、ブロー成形体からなる中空の構造体であり、取付板に取り付けられている。
【0003】
車両の衝突時、乗員が前方に移動した際に、乗員の膝によってニーボルスタが押圧されて圧縮変形することで乗員の膝に作用する荷重が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の衝突時において、乗員の膝が車両の前後方向に対して角度をもってニーボルスタに向かって移動する場合には、ニーボルスタが前後方向に沿って圧縮変形しにくくなり、乗員の膝に作用する荷重の低減効果が発揮されにくくなる。
【0006】
本発明の目的は、ニーボルスタを好適に圧縮変形させることができる乗員保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための乗員保護装置は、車両のシートに着座している乗員を保護するものであって、前記シートの前後方向の前方及び後方を前方及び後方とするとき、前記シートの前方に設けられるブラケットと、前記ブラケットの後端に取り付けられ、前記車両の衝突時に、前記シートに着座している乗員の膝を前方から支持しつつ圧縮変形するニーボルスタと、前記車両の衝突時に、前記ブラケットを支点として、前記前後方向に交差する交差方向に前記ニーボルスタが変位することを規制する規制部と、を備える。
【0008】
同構成によれば、車両の衝突時に、ブラケットを支点として交差方向にニーボルスタが変位することが規制部によって規制される。これにより、乗員の膝が前後方向に対して角度をもってニーボルスタに向かって移動する場合であっても、ニーボルスタが前後方向に沿って圧縮変形しやすくなる。したがって、ニーボルスタを好適に圧縮変形させることができる。
【0009】
上記乗員保護装置において、前記ニーボルスタと前記シートとの間には、内装部材が配置され、前記規制部は、前記内装部材の前面に設けられていることが好ましい。
同構成によれば、規制部が、前後方向においてブラケットから離れた位置に設けられる。このため、車両の衝突時に、ブラケットを支点として交差方向にニーボルスタが変位することを効果的に規制できる。したがって、乗員の膝が前後方向に対して角度をもってニーボルスタに向かって移動する場合であっても、ニーボルスタが前後方向に沿って一層圧縮変形しやすくなる。
【0010】
上記乗員保護装置において、前記規制部は、前記内装部材から前記ニーボルスタに向かって突出する突出部により構成されており、前記突出部は、前記ニーボルスタの前記交差方向における少なくとも一側に設けられていることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、車両の衝突時に、乗員の膝によって押圧されることで内装部材がニーボルスタに向かって移動する際に、突出部が、交差方向における少なくとも一側においてニーボルスタに対向する。これにより、ブラケットを支点として交差方向における少なくとも一側にニーボルスタが変位することが規制される。このように内装部材に突出部を設けることによって、規制部を容易に具現化できる。
【0012】
上記乗員保護装置において、前記突出部は、前記ニーボルスタの前記交差方向における両側に設けられていることが好ましい。
同構成によれば、ブラケットを支点として交差方向における一側及び他側のいずれの側にニーボルスタが変位しようとする場合であっても、こうした変位が突出部によって規制される。これにより、ニーボルスタが前後方向に沿ってより好適に圧縮変形しやすくなる。したがって、ニーボルスタをより好適に圧縮変形させることができる。
【0013】
上記乗員保護装置において、前記ニーボルスタの後端部には、凹部が設けられており、前記突出部は、前記前後方向において前記凹部に対向する位置に設けられていることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、車両の衝突時に、突出部が凹部内に位置した状態でニーボルスタが圧縮変形するようになる。こうした圧縮変形に伴って、ニーボルスタと突出部との間隔が小さくなり、ニーボルスタと突出部とが互いに密着しやすくなる。このため、ブラケットを支点として交差方向にニーボルスタが変位することが規制されやすくなる。したがって、ニーボルスタをより一層好適に圧縮変形させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ニーボルスタを好適に圧縮変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態の乗員保護装置が設けられた車室内を示す斜視図。
【
図2】乗員保護装置におけるブラケットとニーボルスタとを分解して示す分解斜視図。
【
図3】車両の衝突前における乗員保護装置を模式的に示す平面図。
【
図4】車両の衝突後における乗員保護装置を模式的に示す平面図。
【
図5】第1変更例の乗員保護装置を模式的に示す平面図。
【
図6】第2変更例の乗員保護装置を模式的に示す平面図。
【
図7】第3変更例の乗員保護装置を模式的に示す平面図。
【
図8】第4変更例の乗員保護装置を模式的に示す平面図。
【
図9】第5変更例の乗員保護装置を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1~
図4を参照して、乗員保護装置の一実施形態について説明する。
各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については実際と異なる場合がある。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の乗員保護装置10は、車室内における乗員Pが着座するシート20の前方に設けられている。本実施形態のシート20は、運転席である。
以降において、シート20の前後方向を前後方向Lと称し、車幅方向を車幅方向Wと称する。また、前後方向Lの前方を単に前方と称し、前後方向Lの後方を単に後方と称する。本実施形態では、シート20の前後方向Lと、車両の前後方向とが一致している。なお、シート20に着座した乗員Pは前方を向いている。
【0019】
シート20の前方における車両の前部には、車幅方向Wに沿って延びる金属製のリーンフォースメント30が設けられている。リーンフォースメント30の両端は、車幅方向Wの両側に設けられた図示しないフレームに連結されている。
【0020】
リーンフォースメント30におけるシート20の前方に対応する部分には、金属製の一対のブラケット40が車幅方向Wに互いに間隔をおいて設けられている。各ブラケット40は、乗員Pの一対の膝に対応する位置において、後方に向かって延びている。なお、各ブラケット40同士の間には、後斜め上方に延びる図示しないステアリングコラムが配置されている。
【0021】
図2に示すように、ブラケット40は、前後方向Lに延在する延在部41と、延在部41の後端に設けられた取付部42とを有している。延在部41の前端は、リーンフォースメント30に連結されている。なお、ブラケット40は、金属板を曲げ加工及び溶接することにより形成されている。
【0022】
取付部42には、一対の貫通孔43が上下方向に互いに間隔をおいて設けられている。
各ブラケット40の取付部42には、ニーボルスタ50が取り付けられている。ニーボルスタ50は、車両の衝突時に、シート20に着座している乗員Pの膝を前方から支持しつつ圧縮変形する。これにより、車両の衝突時に乗員Pの膝に作用する荷重が低減される。
【0023】
ニーボルスタ50は、中空の直方体状をなしている。ニーボルスタ50は、例えば、硬質ウレタンフォームなどの樹脂材料により形成されている。ニーボルスタ50の前後方向Lにおける長さは、車幅方向Wにおける長さよりも長い。
【0024】
ニーボルスタ50の前端面には、一対のクリップ51が上下方向に互いに間隔をおいて突出して設けられている。クリップ51が取付部42の貫通孔43に係合することで、ニーボルスタ50がブラケット40に対して取り付けられている。
【0025】
ニーボルスタ50の車幅方向Wにおける両側面には、前後方向Lに沿って延びる溝部52が設けられている。ニーボルスタ50の各側面においては、一対の溝部52が上下方向に並んでいる。各溝部52は、ニーボルスタ50の前後方向Lにおける全体にわたって延びている。こうした溝部52によってニーボルスタ50の剛性が適度に高められる。これにより、乗員Pの膝に作用する荷重が好適に低減される。
【0026】
ニーボルスタ50の後端部には、一対の凹部53が車幅方向Wに互いに間隔をおいて設けられている。各凹部53は、上記後端部の上方の角部を略直方体状に切り欠くことにより構成されている。ニーボルスタ50における凹部53同士の間の部分は、その他の部分よりも車幅方向Wにおける幅が狭い。
【0027】
図1に示すように、シート20とリーンフォースメント30との間には、車幅方向Wに沿って延びるインストルメントパネル60が配置されている。インストルメントパネル60は、アッパパネル61と一対のロアパネル62とを備えている。アッパパネル61には、例えば、各種機器が組み付けられている。一対のロアパネル62は、車幅方向Wに互いに間隔をおいてアッパパネル61に対して取り付けられている。ロアパネル62は、シート20の前方に配置されている。より詳しくは、ロアパネル62は、シート20に着座している乗員Pの下肢に対向して配置されている。したがって、ロアパネル62は、各ニーボルスタ50とシート20との間に配置されている。ロアパネル62は、内装部材の一例である。
【0028】
図3に示すように、ロアパネル62の前面、すなわち、前後方向Lにおいてシート20とは反対側に位置する面には、規制部63が設けられている。規制部63は、車両の衝突時に、ブラケット40を支点として、前後方向Lに交差する交差方向にニーボルスタ50が変位することを規制する。本実施形態における交差方向は、前後方向Lに直交する車幅方向Wである。
【0029】
本実施形態の規制部63は、ロアパネル62からニーボルスタ50に向かって突出する一対の突出部64により構成されている。突出部64は、ロアパネル62と一体に設けられている。一対の突出部64は、車幅方向Wに互いに間隔をおいて設けられている。したがって、一対の突出部64は、ニーボルスタ50の車幅方向Wにおける両側に設けられている。
【0030】
突出部64は、前後方向Lにおいてニーボルスタ50の凹部53に対向する位置に設けられている。また、各突出部64とニーボルスタ50とは車幅方向Wにおいて並んで設けられている。なお、突出部64は、凹部53の内面には接触していない。
【0031】
本実施形態では、シート20の前方に設けられたブラケット40と、ブラケット40の取付部42に取り付けられたニーボルスタ50と、ロアパネル62に設けられた規制部63とによって乗員保護装置10が構成されている。
【0032】
本実施形態の作用について説明する。
図3及び
図4に示すように、車両の衝突時に、ブラケット40を支点として車幅方向Wにニーボルスタ50が変位することが規制部63によって規制される。これにより、乗員Pの膝が前後方向Lに対して角度をもってニーボルスタ50に向かって移動する場合であっても、ニーボルスタ50が前後方向Lに沿って圧縮変形しやすくなる。
【0033】
本実施形態の効果について説明する。
(1)乗員保護装置10は、シート20の前方に設けられるブラケット40と、ブラケット40の後端に取り付けられ、車両の衝突時に、シート20に着座している乗員Pの膝を前方から支持しつつ圧縮変形するニーボルスタ50と、車両の衝突時に、ブラケット40を支点として、前後方向Lに交差する車幅方向Wにニーボルスタ50が変位することを規制する規制部63とを備える。
【0034】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、ニーボルスタ50を好適に圧縮変形させることができる。よって、乗員Pの膝に作用する荷重の低減効果を好適に発揮できる。
【0035】
(2)ニーボルスタ50とシート20との間には、ロアパネル62が配置されている。規制部63は、ロアパネル62の前面に設けられている。
こうした構成によれば、規制部63が、前後方向Lにおいてブラケット40から離れた位置に設けられる。このため、車両の衝突時に、ブラケット40を支点として車幅方向Wにニーボルスタ50が変位することを効果的に規制できる。したがって、乗員Pの膝が前後方向Lに対して角度をもってニーボルスタ50に向かって移動する場合であっても、ニーボルスタ50が前後方向Lに沿って一層圧縮変形しやすくなる。
【0036】
(3)規制部63は、ロアパネル62からニーボルスタ50に向かって突出する突出部64により構成されている。突出部64は、ニーボルスタ50の車幅方向Wにおける少なくとも一側に設けられている。
【0037】
こうした構成によれば、車両の衝突時に、乗員Pの膝によって押圧されることでロアパネル62がニーボルスタ50に向かって移動する際に、突出部64が、車幅方向Wにおける少なくとも一側においてニーボルスタ50に対向する。これにより、ブラケット40を支点として車幅方向Wにおける少なくとも一側にニーボルスタ50が変位することが規制される。このようにロアパネル62に突出部64を設けることによって、規制部63を容易に具現化できる。
【0038】
(4)突出部64は、ニーボルスタ50の車幅方向Wにおける両側に設けられている。
こうした構成によれば、ブラケット40を支点として車幅方向Wにおける一側及び他側のいずれの側にニーボルスタ50が変位しようとする場合であっても、こうした変位が突出部64によって規制される。これにより、ニーボルスタ50が前後方向Lに沿ってより好適に圧縮変形しやすくなる。したがって、ニーボルスタ50をより好適に圧縮変形させることができる。
【0039】
(5)ニーボルスタ50の後端部には、凹部53が設けられている。突出部64は、前後方向Lにおいて凹部53に対向する位置に設けられている。
こうした構成によれば、車両の衝突時に、突出部64が凹部53内に位置した状態でニーボルスタ50が圧縮変形するようになる。こうした圧縮変形に伴って、ニーボルスタ50と突出部64との間隔が小さくなり、ニーボルスタ50と突出部64とが互いに密着しやすくなる。このため、ブラケット40を支点として車幅方向Wにニーボルスタ50が変位することが規制されやすくなる。したがって、ニーボルスタ50をより一層好適に圧縮変形させることができる。
【0040】
(6)突出部64とニーボルスタ50とが車幅方向Wにおいて並んで設けられている。
こうした構成によれば、車両が衝突していない状態において、突出部64とニーボルスタ50とが車幅方向Wにおいて並んでいるため、ブラケット40を支点として車幅方向Wにニーボルスタ50が変位することを突出部64によって早期に規制できる。したがって、ニーボルスタ50をより一層好適に圧縮変形させることができる。
【0041】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・突出部64とニーボルスタ50とは、車幅方向Wにおいて並んで設けられていなくてもよい。すなわち、突出部64がニーボルスタ50よりも後方に位置していてもよい。この場合であっても、車両の衝突時に突出部64がニーボルスタ50に車幅方向Wにおいて並ぶ位置まで移動することで、上述した効果(1)~効果(5)に準じた効果を奏することができる。
【0043】
・本実施形態の凹部53は、ニーボルスタ50の後端部の一部を切り欠いて構成されるものであったが、これに代えて、凹部53として、ニーボルスタ50の後端部に突出部64が挿入される孔を設けることもできる。
【0044】
・溝部52は、ニーボルスタ50の前後方向Lにおける全体にわたって延びるものでなくてもよい。溝部52は、例えば、ニーボルスタ50の前端縁から前後方向Lにおける中央部まで延びるものであってもよい。
【0045】
・
図5に示すように、凹部53を省略するとともに、突出部64をニーボルスタ50の車幅方向Wにおける外側に配置してもよい。
・規制部63は、ニーボルスタ50の車幅方向Wにおける一側にのみ設けられていてもよい。
【0046】
・突出部64の上下方向における位置は適宜変更することができる。
・複数の突出部64を上下方向に互いに間隔をおいて設けることもできる。
・突出部64は、ロアパネル62と一体に設けられるものでなくてもよい。すなわち、突出部64は、ロアパネル62とは別体に設けられるものであってもよい。例えば、ロアパネル62に機器などを取り付けるためのブラケットが設けられている場合には、当該ブラケットを突出部64として適用することもできる。
【0047】
・
図6に示すように、車両の衝突時に、ニーボルスタ50に突き刺さる突起65を規制部63として採用することもできる。突起65は、ロアパネル62のうちニーボルスタ50に対向する部分からニーボルスタ50に向かって突出している。こうした構成によれば、車両の衝突時に、突起65がニーボルスタ50に向かって移動し、ニーボルスタ50に突き刺さる。これにより、ブラケット40を支点として車幅方向Wにニーボルスタ50が変位することが規制される。
【0048】
・
図7に示すように、車両の衝突時に、ニーボルスタ50に接着して固定される接着部66を規制部63として採用することもできる。接着部66は、ロアパネル62のうちニーボルスタ50に対向する部分に設けられている。接着部66としては、例えば、接着シートなどが挙げられる。こうした構成によれば、車両の衝突時に、接着部66がニーボルスタ50に向かって移動し、ニーボルスタ50に接着される。これにより、ブラケット40を支点として車幅方向Wにニーボルスタ50が変位することが規制される。
【0049】
・
図8に示すように、ブラケット40の取付部42の車幅方向Wにおける両端から後方に向かって突出する一対の規制壁67を規制部63として採用することもできる。この場合、内装部材を省略して、ニーボルスタ50を車室内の任意の位置において露出させることもできる。これらの構成であっても、上記効果(1)を奏することができる。
【0050】
・
図9に示すように、シート20の前方に配置された他のシート20のシートバック21の内部にブラケット40と、ニーボルスタ50とを設けることもできる。この場合、例えば、ブラケット40をシートバック21を構成するフレームに対して連結するとともに、シートバック21の内面に規制部63を設ければよい。
【0051】
・本実施形態におけるシート20の前後方向Lは、車両の前後方向と一致するものであったが、シート20の前後方向Lは、例えば、車幅方向Wと一致するものであってもよい。すなわち、乗員Pが車両の側方を向くように配置されたシート20に対しても本発明を適用することができる。なお、このとき、交差方向は車両の前後方向と一致する。こうした構成においては、ニーボルスタ50と上記シート20との間に、インストルメントパネル60以外の内装部材が配置されていてもよい。
【0052】
・シート20は、運転席に限定されず、車両内における任意の位置に配置されるシートであってもよい。
・
図3に示すように、突出部64は、ロアパネル62を二点鎖線にて示すアッパパネル61に対して固定するためのクリップであってもよい。この構成によれば、既存のクリップを規制部63として用いることができるため、ロアパネル62に規制部63を個別に設ける必要がない。したがって、乗員保護装置10の構成を簡素化できる。
【符号の説明】
【0053】
L…前後方向
P…乗員
W…車幅方向
10…乗員保護装置
20…シート
21…シートバック
30…リーンフォースメント
40…ブラケット
41…延在部
42…取付部
43…貫通孔
50…ニーボルスタ
51…クリップ
52…溝部
53…凹部
60…インストルメントパネル
61…アッパパネル
62…ロアパネル
63…規制部
64…突出部
65…突起
66…接着部
67…規制壁